説明

光量測定装置及び光量測定方法

【課題】簡易且つ高精度に光量を測定することができる光量測定装置及び光量測定方法を得る。
【解決手段】所定の入射光を受光面60Mで受光する受光素子50Mと、受光素子50Mの受光面60Mと同一方向に向く受光面60A〜60Cで上記入射光を受光する補助受光素子50A〜50Cとを備えており、CPU70が、受光面60Mに対する入射光の入射角度が特定し、選択回路54が、上記特定された入射角度が所望の入射角度と異なる場合に、受光素子50Mのカソードに対して補助受光素子50A〜50Cのカソードを選択的に電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光の量を測定する光量測定装置及び光量測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光等に含まれる紫外線等の光の量を測定する光量測定装置が普及している。
【0003】
図7には、従来の光量測定装置10’の電気的構成の一例が示されている。
【0004】
この光量測定装置10’は、受光面への入射光の量を示す信号を出力する受光素子50’を備え、受光素子50’が出力した信号を変換部52’によって電圧に変換し、変換部52’による変換後の電圧をアナログデジタル変換回路(以下、「ADC」という。)72’によってデジタル信号に変換し、CPU70’によって上記デジタル信号に基づいて受光面60への入射光量を算出し、表示部16’に算出した光量を示す情報を表示する。
【0005】
しかし、時間と共に太陽の位置が変化することに伴い、受光部12’に対する入射光の入射角度が入射光の量が最大となる方向(例えば、受光面に対して90°で光が入射する方向)からずれる。このため、この装置では、実際の光量に比較して、上記ずれに応じた量だけ受光素子による受光量が減少する、という問題があった。
【0006】
この問題を解決するために、特許文献1には、光量測定装置を保持する支持台と当該支持台を回転自在となるように軸支する固定台と当該固定台を固定する基盤とを有する保持器であって、光量測定装置を保持した上記支持台を回転させることにより、光量測定装置の受光面を太陽に対して90°に向ける技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−121430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、測定者が自ら光量測定装置の受光面に対する入射光の入射角度を調整しなければならないため、手間がかかる、という問題点があった。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、簡易且つ高精度に光量を測定することのできる光量測定装置及び光量測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、所定の入射光を第1の受光面で受光する第1の受光素子と、前記第1の受光面と同一方向に向く第2の受光面で前記入射光を受光する第2の受光素子と、前記第1の受光面に対する前記入射光の入射角度を特定する特定回路と、前記入射角度が所望の入射角度と異なる場合には、前記第1の受光素子の出力部に対して前記第2の受光素子の出力部を選択的に電気的に接続する選択回路と、を備えている。
【0010】
請求項1に記載の光量測定装置によれば、所定の入射光を第1の受光面で受光する第1の受光素子と、第1の受光面と同一方向に向く第2の受光面で上記入射光を受光する第2の受光素子とを備えており、特定回路によって、第1の受光面に対する入射光の入射角度が特定され、選択回路によって、上記特定された入射角度が所望の入射角度と異なる場合に、第1の受光素子の出力部に対して第2の受光素子の出力部が選択的に電気的に接続される。
【0011】
このように、請求項1に記載の光量測定装置によれば、第1の受光面に対する入射光の入射角度を特定し、特定した入射角度が所望の入射角度と異なる場合に、第1の受光素子の出力部に対して第2の受光素子の出力部を選択的に電気的に接続するので、簡易且つ高精度に光量を測定することができる。
【0012】
なお、請求項1に記載の発明は、請求項2に記載の発明のように、各々受光面の面積が異なる複数の前記第2の受光素子を備えるとしてもよい。これにより、より高精度に光量の測定をすることができる。
【0013】
さらに、請求項1又は請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の発明のように、前記選択回路は、前記第1の受光素子と複数の前記第2の受光素子とを個別かつ並列に接続するか否かを切り替えるスイッチ素子により、前記入射角度が前記所望の入射角度と異なることによる受光量の減少を補うように、前記第1の受光素子の出力部に対して前記第2の受光素子の出力部を選択的に電気的に接続する。これにより、第1の受光素子の出力部に対する複数の第2の受光素子の出力部の電気的な接続を、より簡易に行うことができる。
【0014】
一方、上記目的を達成するために、請求項4に記載の光量測定方法は、所定の入射光を第1の受光面で受光する第1の受光素子と、前記第1の受光面と同一方向に向く第2の受光面で前記入射光を受光する第2の受光素子と、を備えた光量測定装置による光量測定方法であって、前記第1の受光面に対する前記入射光の入射角度を特定し、前記入射角度が所望の入射角度と異なる場合には、前記第1の受光素子の出力部に対して前記第2の受光素子の出力部を選択的に電気的に接続する。
【0015】
従って、請求項4に記載の光量測定方法によれば、請求項1に記載の発明と同様に作用するので、請求項1に記載の発明と同様に、簡易且つ高精度に光量を測定することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明した如く、本発明によれば、簡易且つ高精度に光量を測定することができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明を、太陽光に含まれる紫外線領域の光量を測定する光量測定装置に適用した場合について説明する。
【0018】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る光量測定装置10の外観上の構成を説明する。
【0019】
図1(A)に示すように、光量測定装置10には、受光部12、操作部14、表示部16が備えられている。
【0020】
受光部12は、後述する受光素子50M、及び補助受光素子50A〜50C(図3も参照)を備えており、太陽からの光を受光する。
【0021】
なお、本実施の形態に係る光量測定装置10では、補助受光素子の数として3個を適用しているが、これに限らず、補助受光素子の数を1つとしてもよいし、2つ、又は4つ以上としてもよい。
【0022】
また、本実施の形態に係る光量測定装置10では、受光部12の装置筐体における入光領域と、上記受光素子50M、及び補助受光素子50A〜50Cの受光面との位置関係から、一例として図2に示されるように、入射してくる光を受光素子50M、及び補助受光素子50A〜50Cにて受光できない領域(以下、「デッドゾーン」という。)が存在する。
【0023】
一方、操作部14には、電源スイッチ20、位置情報取得スイッチ22、測定開始スイッチ24及び測定停止スイッチ26が備えられている。
【0024】
なお、本実施の形態に係る光量測定装置10は、位置情報取得スイッチ22が押圧操作されることで、装置本体の現在位置の緯度及び経度を示す情報(以下、「位置情報」という。)、受光部12が向いている方位を示す情報(以下、「方位情報」という。)等の位置に関する情報が取得される。また、本実施の形態に係る光量測定装置10は、測定開始スイッチ24が押圧操作されることで紫外線領域の光の測定が開始され、測定停止スイッチ26が押圧操作されることで当該測定が終了される。
【0025】
また、表示部16には、測定によって得られたUV−A領域の紫外線量、UV−B領域の紫外線量、現在の日時、受光部12が向いている方位等の各種数値情報が表示される。また、表示部16には図示しない切替スイッチが操作されることで、測定によって得られた紫外線量の時間変化を示すグラフ等、各種グラフィック情報が表示される。なお、本実施の形態に係る光量測定装置10は、表示部16に表示する方位として北を0度、東を90度、南を180度、及び西を270度とした方位角を適用した場合について説明するが、これに限らないことは言うまでもない。
【0026】
さらに、本実施の形態に係る光量測定装置10には、一例として図1(B)に示すように、背面に装置本体を所定角度にて位置決めする支持部材30が備えられている。
【0027】
本実施の形態に係る支持部材30は、長さが調整可能に構成されており、光量測定装置10は、支持部材30の長さが調整されることによって、接地面に対する角度、換言すれば、その時点の太陽に対する受光部12の向きを調整することが可能とされている。
【0028】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る光量測定装置10の電気系の要部構成を説明する。
【0029】
同図に示されるように、光量測定装置10は、前述した受光部12、変換部52、選択回路54、及び演算部56が備えられている。
【0030】
受光部12は、前述したように受光素子50M、及び補助受光素子50A〜50Cを備えており、受光素子50M、及び補助受光素子50A〜50Cの受光面は同一の方向を向いている。
【0031】
一方、本実施の形態に係る変換部52は、オペアンプ64、抵抗66、及び電圧生成部68を含んで構成されている。オペアンプ64の反転入力端子と出力端子とは抵抗66を介して接続される一方、オペアンプ64の非反転入力端子は電圧生成部68を介して接地されている。すなわち、本実施の形態に係る変換部52は、反転増幅器を用いた電流電圧変換回路として構成されている。
【0032】
また、本実施の形態に係る選択回路54は、受光素子50Mのカソードに対して補助受光素子50A〜50Cのカソードを選択的に電気的に接続するために、補助受光素子50A〜50Cの各々に対応して3つのFET(電界効果トランジスタ)62A〜62Cが備えられている。このように、本実施の形態に係る選択回路54は、本発明のスイッチ素子としてFETを適用しているが、これに限らず、例えば、バイポーラ型トランジスタ、リレースイッチ等の他の電気的に断続可能なスイッチ素子を適用してもよいことは言うまでもない。
【0033】
なお、以下の説明において、FETを各々区別する必要がある場合は、符号の末尾に対応するアルファベットを付する一方、区別する必要がない場合は当該アルファベットを省略して表記する。
【0034】
一方、本実施の形態に係る演算部56は、光量測定装置10全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit)70、入力された電圧をデジタル信号に変換するADC72、各種制御プログラムや各種テーブル情報等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)74、CPU70による各種プログラムの実行時のワークエリアや、各種情報を記憶するために用いられるRAM(Random Access Memory)76、装置本体の現在位置の緯度と経度を特定する位置特定部78、受光部12に備えられている受光素子50Mの受光面の向いている方位を特定する方位特定部82、現在の月日及び時刻の計時を行う計時部83、及びCPU70に接続され、CPU70から送信されるFET62をオン状態とするためのスイッチ素子制御信号の状態を記憶するレジスタ84、を備えている。
【0035】
また、本実施の形態に係る光量測定装置10では、位置特定部78としてアンテナ80を介してGPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信して、現在位置を緯度及び経度によって特定するものを適用するが、これに限らず、携帯電話機等から基地局へ出力する電波を利用して位置を特定するもの等を適用してもよい。また、本実施の形態に係る光量測定装置10では、方位特定部82として地磁気を検出し、検出した地磁気に基づいて方位を特定する電子コンパスを適用するが、これに限らず、現在の日時から太陽が位置する方位角を導出するものや、方位磁石等を適用してもよい。
【0036】
これらCPU70、ADC72、ROM74、RAM76、位置特定部78、方位特定部82、計時部83、及び表示部16は、システムバス86を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU70は、ROM74、RAM76との各種情報の送受信、ADC72、位置特定部78、方位特定部82、計時部83からの各種情報の受信、及び表示部16の動作の制御を各々行なうことができる。
【0037】
なお、本実施の形態に係る受光部12における受光素子50M、及び補助受光素子50A〜50Cのアノードは接地され、補助受光素子50Aのカソードは選択回路54のFET62Aのソースに、補助受光素子50BのカソードはFET62Bのソースに、補助受光素子50CのカソードはFET62Cのソースに、各々接続されている。また、FET62のドレインと受光素子50Mのカソードは変換部52のオペアンプ64における反転入力端子に接続されている。
【0038】
すなわち、受光素子50Mのカソードはオペアンプ64の反転入力端子に直接接続される一方、補助受光素子50A〜50Cの各カソードは、対応するFET62A〜62Cを介してオペアンプ64の反転入力端子に接続されている。
【0039】
このように、本実施の形態では、補助受光素子50A〜50Cが選択回路54の対応するFET62に接続されているため、FET62をオン状態とするものとして予め定められた電圧(以下、「オン電圧」という。)を、各FET62のゲートへ選択的に印加することにより、受光素子50Mに対して、選択したFET62に接続されている補助受光素子50A〜50Cを個別かつ並列に接続することができる。そして、変換部52におけるオペアンプ64の出力端子からは、受光素子50Mと、選択的に電気的に接続された補助受光素子50A〜50Cから出力された受光量に応じた電流を、電圧に変換して出力することができる。
【0040】
一方、オペアンプ64の出力端子は演算部56のADC72に接続されている。従って、変換部52により変換された電圧は、ADC72によってデジタル信号に変換され、演算部56のCPU70は、当該デジタル信号に基づいて受光部12で受光した光量を導出する。
【0041】
また、演算部56のレジスタ84の出力端子は、選択回路54のFET62に個別に接続されている。これにより、各FET62には、レジスタ84を介してCPU70から送信されてくるスイッチ素子制御信号に応じて、選択的にゲートにオン電圧が印加される。
【0042】
図4に、本実施の形態に係る受光素子50M及び補助受光素子50A〜50Cの受光面の形状を示す。
【0043】
同図に示すように、受光素子50Mの受光面60Mを囲むように、補助受光素子50Cの受光面60Cが受光面60Mと同一方向を向いて配置され、受光面60Cを囲むように、補助受光素子50Bの受光面60Bが受光面60Mと同一方向を向いて配置され、同様に受光面60Bを囲むように、補助受光素子50Aの受光面60Aが受光面60Mと同一方向を向いて配置されている。なお、以下、受光面を各々区別する必要がある場合は、符号の末尾に対応するアルファベットを付する一方、区別する必要がない場合は当該アルファベットを省略して表記する。
【0044】
また、本実施の形態に係る受光面60の面積は、各々異なっている。表1に受光面60Mの面積を1とした場合の補助受光素子50A〜50Cの受光面60A〜60Cの面積比の一例を示す。なお、表1では、受光素子50M,及び補助受光素子50A〜50Cを表示するものとして、対応する符号の末尾のアルファベットのみを表記する。
また、以下の説明では、受光素子50M、及び補助受光素子50A〜50Cの受光面60の面積比として、表1に記載された面積比を適用する。
【0045】
【表1】


図5には、受光部12を、南方向で、且つ太陽の高度が最大となる方向(以下、「最大太陽高度」という。)に向けた状態で装置本体を固定し、太陽が東から西に移動している状態での受光素子50Mのみの受光量の変化が示されている。
【0046】
同図に示されるように、太陽の位置が南(最大太陽高度)となった場合は、受光面60Mに対する入射光の入射角度が90°となり、受光素子50Mによる受光量が最大となる。しかし、太陽の位置が南でない場合は、受光面60Mに対する入射光の入射角度が90°からずれ、そのずれ量に応じて受光素子50Mによる受光量が減少する。
【0047】
そのため、本実施の形態に係る光量測定装置10では、ずれ量に応じた受光量の減少を補うように、選択回路54が、受光素子50Mのカソードに対して補助受光素子50A〜50Cのカソードを選択的に電気的に接続する。
【0048】
表2に、上記ずれ量に応じて受光素子50Mのカソードに対して補助受光素子50A〜50Cのカソードを選択的に電気的に接続させた組み合わせの一例を、CPU70からレジスタ84を介して選択回路54へ送信されるスイッチ素子制御信号と共に示す。なお、本実施の形態では、スイッチ素子制御信号として「1」が送信された場合は、対応するFET62のゲートにオン電圧が印加される。また、表2では、受光素子50M,及び補助受光素子50A〜50Cを表示するものとして、対応する符号の末尾のアルファベットのみを表記する。
【0049】
また、表2に示す受光面の合計面積比は、受光素子50Mと、スイッチ素子制御信号によってオン状態とされた補助受光素子50A〜50Cの受光面60の面積の合計値であり、受光面60の合計面積比に対応するずれ量は、受光素子50Mの受光面60Mに対する入射光の入射角度を90°からずらすことによって、受光素子50Mから出力される電流値を実際に測定した結果に基づいて得られたものである。
【0050】
なお、本実施の形態に係る光量測定装置10では、表2によって示されるずれ量毎の受光素子50Mと補助受光素子50A〜50Cとの組み合せを示す情報(以下、組み合せ情報という)がROM74に予め記憶されている。
【0051】
【表2】


次に、図6を参照して、本実施の形態に係る光量測定装置10の作用を説明する。なお、図6は、電源スイッチ20が押圧操作されて、光量測定装置10が動作可能状態とされた際に、CPU70によって実行される光量測定プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM74に予め記憶されている。
【0052】
まず、同図のステップ100では、位置情報取得スイッチ22が押圧操作されるまで待機し、位置情報取得スイッチ22が押圧操作されると、次のステップ102で、位置特定部78から位置情報を、方位特定部82から方位情報を各々取得する。
【0053】
次のステップ104では、取得した方位情報により示される方位を示す数値情報を表示するものとして予め設定された画面を表示部16により表示させる。
【0054】
次のステップ106では、測定日当日の測定位置における最大太陽高度を算出する。
【0055】
本実施の形態に係る光量測定装置10では、太陽高度をθ(°)、位置情報により示される緯度をφ(°)、太陽赤緯をδ(°)、太陽の時角をh(°)とし、緯度φ、太陽赤緯δ、及び時角hを次の(1)式に代入し、測定日当日における所定時間間隔毎の太陽高度θを算出することで、測定日当日の最大太陽高度を算出する。
【0056】
【数1】

なお、太陽赤緯δは、1月1日からの通し日数をdとし、下記(2)式に代入して変数αを算出し、(2)式によって算出した変数αを下記(3)式に代入することによって算出する。
【0057】
【数2】

【0058】
【数3】

なお、本実施の形態に係る光量測定装置10では、定数Aとして0.006918、定数Bとして0.399912、定数Cとして0.070257、定数Dとして0.006758、定数Eとして0.000907、定数Fとして0.002697、及び定数Gとして0.001480を適用する。
【0059】
また、太陽の時角hは、均時差をE(°)とし、上記(2)式で算出した変数αを下記(4)式に代入することによって均時差Eを算出し、測定を行う地域における標準時間をT(hour)、測定を行う地域における標準子午線の経度と位置情報により示される経度との差(経度差)をΔψ(°)とし、これらと(4)式によって算出した均時差Eとを下記(5)式に代入することによって算出する。
【0060】
【数4】

【0061】
【数5】

なお、本実施の形態に係る光量測定装置10では、定数Hとして0.000075、定数Iとして0.001868、定数Jとして0.032077、定数Kとして0.014615、及び定数Lとして0.040849を適用する。
【0062】
次のステップ108では、算出した最大太陽高度を表示部16により表示させる。
【0063】
次のステップ110では、測定開始スイッチ24が押圧操作されたか否かを判定する。肯定判定の場合はステップ112へ移行し、否定判定の場合はステップ102へ戻る。
【0064】
なお、測定者は、測定開始スイッチ24を押圧操作する前に、表示部16に表示されている方位が南を表示するように装置本体を測定位置に置き、且つ受光面60が最大太陽高度の方向を向くように支持部材30を調整する。
【0065】
次のステップ112では、現在時刻における受光素子50Mの受光面60Mに対する入射光の入射角度を特定する。
【0066】
本実施の形態に係る光量測定装置10では、(1)式を用いて測定日当日の現在時刻における太陽高度を算出する。そして、受光素子50Mの受光面60Mに対する入射光の入射角度をΘ(°)、最大太陽高度をθMAX(°)、現在時刻の太陽高度をθNOW(°)とし、次の(6)式に最大太陽高度θMAX、現在時刻の太陽高度θNOWを代入することにより、入射角度Θを特定する。
【0067】
【数6】

次のステップ113では、ステップ112で特定した入射光の入射角度が所望の入射角度(本実施の形態では、90°)と異なるか否かを判定する。
【0068】
当該判定は、特定した入射角度Θを次の(7)式に代入することによって、所望の入射角度からのずれ量Φ(°)を算出し、ずれ量Φの値が0(零)となった場合以外を肯定と判定する。なお、ずれ量Φの値が0を含む所定範囲内の場合以外を肯定と判定してもよい。
【0069】
【数7】

本ステップにおいて、肯定判定となった場合はステップ114へ移行する。
【0070】
次のステップ114では、受光素子50Mに電気的に接続させる補助受光素子50A〜50Cを特定する。
【0071】
本ステップでは、ROM74から組み合せ情報を読み出し、読み出した組み合せ情報に基づいて上記ステップ114で(7)式により算出したずれ量Φに対応した受光素子50Mと組み合わせる補助受光素子50A〜50Cを特定する。
【0072】
なお、本実施の形態では、(7)式により算出したずれ量Φが、組み合せ情報により示されるずれ量の何れにも該当しない場合は、特定する補助受光素子50A〜50Cの組み合せとして、最も近いずれ量に対応する組み合わせを適用する。また、最も近いずれ量が2つある場合は、小さいほうのずれ量に対応する組み合わせを適用するが、これに限らず、大きい方のずれ量に対応する組み合わせを適用してもよい。
【0073】
次のステップ115では、特定した補助受光素子50A〜50Cに対応したスイッチ素子制御信号を、選択回路54に出力することで、選択回路54によって、受光素子50Mのカソードに対して補助受光素子50A〜50Cのカソードを選択的に電気的に接続させる。
【0074】
例えば、(7)式で算出したずれ量Φが62°であった場合は、受光素子50Mと組み合わされる補助受光素子として、補助受光素子50A,50Bが特定される(表2を参照)。これに応じて、CPU70からFET62Aに対するスイッチ素子制御信号として「1」が、FET62Bに対するスイッチ素子制御信号として「1」が、FET62Cに対するスイッチ素子制御信号として「0」が、レジスタ84を介して選択回路54へ送信される。選択回路54は、上記スイッチ素子制御信号を受信すると、FET62A,62Bの各ゲートへオン電圧を印加することで、受光素子50Mのカソードに対して補助受光素子50A,50Bのカソードを電気的に接続し、ステップ116へ移行する。
【0075】
一方、ステップ113の判定処理によって否定判定となった場合は、ステップ114における補助受光素子50A〜50Cを特定する処理、及びステップ115における受光素子50Mのカソードに対して、特定した補助受光素子50A〜50Cのカソードを電気的に接続させる処理を行なうことなく、ステップ116へ移行する。
【0076】
ステップ116では、受光素子50Mと選択的に電気的に接続された補助受光素子50A〜50Cの受光量を示す電流が変換部52で電圧に変換され、当該電圧がADC72で変換されて出力されたデジタル信号から光量を導出する。
【0077】
次のステップ118では、上記導出した光量を示す情報を時系列でRAM76に記憶させる。
【0078】
次のステップ120では、上記導出した光量を表示部16により表示させる。
【0079】
次のステップ122では、測定停止スイッチ26が押圧されたか否かを判断し、肯定判定の場合は本プログラムを終了する一方、否定判定の場合は、ステップ112へ戻り、測定停止スイッチ26が押圧されるまで測定を継続する。
【0080】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、所定の入射光を第1の受光面(ここでは、受光面60M)で受光する第1の受光素子(ここでは、受光素子50M)と、第1の受光面と同一方向に向く第2の受光面(ここでは、受光面60A〜60C)で上記入射光を受光する第2の受光素子(ここでは、補助受光素子50A〜50C)とを備えており、特定回路(ここでは、CPU70)によって、第1の受光面に対する入射光の入射角度を特定し、選択回路(ここでは、選択回路54)によって、入射角度が所望の入射角度と異なる場合に、第1の受光素子の出力部に対して第2の受光素子の出力部を選択的に電気的に接続するので、簡易且つ高精度に光量を測定することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、各々受光面の面積が異なる複数の第2の受光素子を備えるので、より高精度に光量の測定をすることができる。
【0082】
また、本実施の形態では、選択回路は、第1の受光素子と複数の第2の受光素子とを個別かつ並列に接続するか否かを切り替えるスイッチ素子により、入射角度が所望の入射角度と異なることによる受光量の減少を補うように、第1の受光素子の出力部に対して第2の受光素子の出力部を選択的に電気的に接続するので、第1の受光素子の出力部に対する第2の受光素子の出力部の電気的な接続を、より簡易に行うことができる。
【0083】
以上、本発明を上記実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0084】
また、上記実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における組み合わせにより種々の発明を抽出できる。上記実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0085】
例えば、上記実施の形態では、波長領域が紫外線領域の太陽光を測定対象とする場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、測定対象として、波長領域が可視光領域の太陽光等、他の波長領域の太陽光を対象とする形態としてもよい。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0086】
また、上記実施の形態では、受光素子50M、及び補助受光素子50A〜50Cの受光面60の面積が全て異なる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、受光素子50M、及び補助受光素子50A〜50Cの受光面60の面積が同じものを含む形態としてもよい。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0087】
また、上記実施の形態では、測定日当日の測定位置における最大太陽高度を計算式により算出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、緯度、経度、及び日時毎の、太陽高度を示す情報をテーブル形式等で予めROM74に記憶させておき、当該情報から測定日当日の測定位置における最大太陽高度を導出する形態としてもよい。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0088】
その他、上記実施の形態で説明した光量測定装置10の構成(図1、図3及び図4参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりすることができることは言うまでもない。
【0089】
また、上記実施の形態で説明した光量測定プログラムの処理の流れ(図6参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、必要に応じて新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることができることは言うまでもない。
【0090】
また、上記実施の形態で説明した各種演算式((1)式〜(7)式参照。)や当該演算式で用いられる係数も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なパラメータを削除したり、必要に応じて新たなパラメータを追加したり、係数値を変更したりすることができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施の形態に係る光量測定装置の外観と設置状態例を示す外観図である。
【図2】実施の形態に係る光量測定装置におけるデッドゾーンの説明に供する図である。
【図3】実施の形態に係る光量測定装置の電気系の要部構成を示すブロック図(一部回路図)である。
【図4】実施の形態に係る受光素子の受光面の形状を示す平面図である。
【図5】受光面に対する入射光の入射角度と、受光素子が出力する電流との関係の一例を示す模式図である。
【図6】実施の形態に係る光量測定プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】従来の光量測定装置の構成を示すブロック図(一部回路図)である。
【符号の説明】
【0092】
10 光量測定装置
50A 補助受光素子(第2の受光素子)
50B 補助受光素子(第2の受光素子)
50C 補助受光素子(第2の受光素子)
50M 受光素子(第1の受光素子)
54 選択回路
60A 受光面(第2の受光面)
60B 受光面(第2の受光面)
60C 受光面(第2の受光面)
60M 受光面(第1の受光面)
70 CPU(特定回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の入射光を第1の受光面で受光する第1の受光素子と、
前記第1の受光面と同一方向に向く第2の受光面で前記入射光を受光する第2の受光素子と、
前記第1の受光面に対する前記入射光の入射角度を特定する特定回路と、
前記入射角度が所望の入射角度と異なる場合には、前記第1の受光素子の出力部に対して前記第2の受光素子の出力部を選択的に電気的に接続する選択回路と、
を備えたことを特徴とする光量測定装置。
【請求項2】
各々受光面の面積が異なる複数の前記第2の受光素子を備えたことを特徴とする請求項1記載の光量測定装置。
【請求項3】
前記選択回路は、前記第1の受光素子と複数の前記第2の受光素子とを個別かつ並列に接続するか否かを切り替えるスイッチ素子により、前記入射角度が前記所望の入射角度と異なることによる受光量の減少を補うように、前記第1の受光素子の出力部に対して前記第2の受光素子の出力部を選択的に電気的に接続することを特徴とする請求項2記載の光量測定装置。
【請求項4】
所定の入射光を第1の受光面で受光する第1の受光素子と、前記第1の受光面と同一方向に向く第2の受光面で前記入射光を受光する第2の受光素子と、を備えた光量測定装置による光量測定方法であって、
前記第1の受光面に対する前記入射光の入射角度を特定し、
前記入射角度が所望の入射角度と異なる場合には、前記第1の受光素子の出力部に対して前記第2の受光素子の出力部を選択的に電気的に接続する
光量測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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