説明

光電センサ及び光電センサ用発光装置

【課題】耐液性を向上することができる光電センサ及び光電センサ用発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光を通過させるための第1通過口21を挟んで形成された1対の第1取付面22上にそれぞれ粘着テープ7を取り付け、1対の第1突出部26間を通して本体ケース2内に挿入した透光板5を当該粘着テープ7上に接着させる。さらに、1対の係止用開口28にそれぞれ押圧部材9を取り付けることにより、透光板5における第1取付面22側とは反対側の面を押圧部材9により押圧する。これにより、粘着テープ7及び押圧部材9によって第1通過口21からの液体の浸入を防止することができるので、耐液性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電センサ及び光電センサ用発光装置に係り、さらに詳しくは、光電素子又は発光素子が収容された本体ケースに、光を透過させるための透光板を取り付けるときの取付構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
光電センサの中には、光電素子や発光素子などの光学素子と、光学素子を収容する本体ケースと、本体ケースに取り付けられ、本体ケースの内部及び外部の間で光を透過させるための透光板とを備えているものがある。この種の光電センサとしては、透光板を本体ケースに対してスライドさせて取り付けるような構造を有しているものが知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−155597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されている技術では、本体ケースと、この本体ケースに対してスライドさせて取り付けられる透光板との間に、パッキンなどのシール部材が設けられていない。そのため、本体ケースと透光板との間の隙間から水や油などの液体が浸入し、センサの故障原因となるおそれがある。
【0004】
例えば、当該センサを生産ラインに設けた場合には、加工機などに用いられている油がセンサに飛び散って、センサ内に浸入するおそれがある。このような生産ラインに用いられるセンサが故障した場合には、生産ラインを一旦停止させる必要が生じるため、歩留まりが低下するなどの問題がある。
【0005】
そこで、透光板が取り付けられる開口部に沿って環状のパッキンを設けることにより、外部からの液体の浸入を防止することが考えられる。しかし、環状のパッキンを設ける場合には、センサの大きさに応じて異なる形状のパッキンを用意する必要がある。例えば、ユーザが検知対象の大きさなどに応じてセンサの長さを決定し、その決定された長さで本体ケースを切断してセンサを製造するような場合には、本体ケースの長さに対応する環状のパッキンをわざわざ用意しなければならないため、生産性が低下するといった問題がある。
【0006】
このような理由から、パッキンの代わりに加工が容易な粘着テープを用いて、透光板が取り付けられる開口部に沿って粘着テープを貼り、その粘着テープ上に透光板を取り付けるといった方法を採用することもできる。しかし、特許文献1のように透光板を本体ケースに対してスライドさせて取り付けるような構造では、本体ケースと透光板との間に粘着テープを挟み込むことが困難である。また、粘着テープは耐油性が低いため、粘着テープを用いたセンサを油が飛び散るような環境で使用すると、粘着テープに油が染み込んで粘着力が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、耐液性を向上することができる光電センサ及び光電センサ用発光装置を提供することを目的とする。また、本発明は、生産性を向上することができる光電センサ及び光電センサ用発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明による光電センサは、受光量に応じた電気信号を出力する光電素子が備えられた光電センサであって、上記光電素子が収容された本体ケースと、上記本体ケースに取り付けられ、上記本体ケースの内部及び外部の間で光を透過させるための透光板と、上記透光板を上記本体ケースに接着するための第1接着部材と、上記透光板を上記本体ケースに対して押圧固定するための第1押圧部材とを備え、上記本体ケースには、光を通過させるための第1通過口と、上記第1通過口を挟んで形成され、上記第1通過口を塞ぐように上記透光板を取り付けるための1対の第1取付面と、上記1対の第1取付面と同一方向に対向し、上記1対の第1取付面に対して上記本体ケースの外方に突出した1対の第1突出部と、各第1取付面と対応する上記第1突出部との間に形成された互いに対向する1対の係止用開口とが形成され、上記透光板が、上記1対の第1突出部間を通して上記本体ケースの内方に挿入可能であり、上記1対の第1取付面上に上記第1接着部材を介して上記透光板が取り付けられるとともに、上記1対の係止用開口にそれぞれ上記第1押圧部材が取り付けられることにより、上記透光板における上記第1取付面側とは反対側の面が上記第1押圧部材により押圧されるように構成される。
【0009】
このような構成によれば、光を通過させるための第1通過口を挟んで形成された1対の第1取付面上にそれぞれ第1接着部材を取り付け、1対の第1突出部間を通して本体ケース内に挿入した透光板を当該第1接着部材上に接着させることができる。したがって、本体ケースと透光板との間に第1接着部材を容易に挟み込んで接着することができる。さらに、1対の係止用開口にそれぞれ第1押圧部材が取り付けられることにより、透光板における第1取付面側とは反対側の面が第1押圧部材により押圧されるので、第1接着部材が剥がれるのを防止できる。したがって、第1接着部材及び第1押圧部材によって第1通過口からの液体の浸入を防止し、耐液性を向上することができる。
【0010】
また、第1通過口を挟んで形成された1対の第1取付面に沿って、それぞれ第1接着部材及び第1押圧部材を設けることにより、透光板を1対の第1取付面上に取り付けることができる。したがって、環状のパッキンを設けるような構成とは異なり、第1接着部材及び第1押圧部材を所望の長さに切断して使用することができるので、生産性を向上することができる。
【0011】
さらに、透光板よりも第1突出部を突出させることにより、当該第1突出部によって透光板を保護することができるので、光電センサの強度を向上することができる。
【0012】
第2の本発明による光電センサは、上記構成に加えて、上記本体ケースにおける上記1対の第1取付面が延びる方向の両端部に取り付けられ、内部に上記光電素子が収容された先端部材と、上記透光板を上記先端部材に接着するための第2接着部材と、上記透光板を上記先端部材に対して押圧固定するための第2押圧部材とを備え、上記先端部材には、光を通過させるための第2通過口と、上記第2通過口を塞ぐように上記透光板を取り付けるための第2取付面とが形成され、上記透光板が、上記第2取付面上に上記第2接着部材を介して取り付けられるとともに、上記第2押圧部材が取り付けられることにより、上記透光板における上記第2取付面側とは反対側の面が上記第2押圧部材により押圧されるように構成される。
【0013】
このような構成によれば、本体ケースの両端部に、本体ケースと同様に光電素子が収容された先端部材が取り付けられる。したがって、本体ケースの両端部に先端部材が取り付けられた光電センサにおいて、その一端から他端まで光電素子を配置することができるので、光電センサを小型化することができる。また、先端部材においても、第2接着部材及び第2押圧部材によって第2通過口からの液体の浸入を防止し、耐液性を向上することができる。
【0014】
このように本体ケースの両端部に先端部材を取り付けるような構成では、本体ケースを所望の長さに形成し、その両端部に先端部材を取り付けることにより、任意の長さの光電センサを形成することができる。このとき、先端部材の長さは変更する必要がなく、光電センサの長さに関わらず第2接着部材及び第2押圧部材を一定形状とすることができるので、生産性を向上することができる。
【0015】
第3の本発明による光電センサは、上記構成に加えて、上記第2押圧部材には、上記透光板を上記先端部材に対して押圧した状態で上記先端部材に係合する係合部が形成されており、上記第2押圧部材が上記第2通過口に対向する方向から上記先端部材内に挿入されることにより、上記係合部が上記先端部材に係合するように構成される。
【0016】
このような構成によれば、第2押圧部材を第2通過口に対向する方向から先端部材内に挿入するだけで、係合部を先端部材に係合させて第2押圧部材を容易に取り付けることができるので、生産性を向上することができる。
【0017】
第4の本発明による光電センサは、上記構成に加えて、上記先端部材には、上記第2取付面に対して突出し、上記先端部材が上記本体ケースに取り付けられた状態で、上記1対の第1突出部にそれぞれ隣接して同一直線状に延びる1対の第2突出部が形成されて構成される。
【0018】
このような構成によれば、先端部材においても、1対の第1突出部にそれぞれ隣接して同一直線状に延びる1対の第2突出部によって透光板を保護することができるので、光電センサの強度を向上することができる。
【0019】
第5の本発明による光電センサは、上記構成に加えて、上記先端部材には、上記第2取付面に対して突出し、上記本体ケース側とは反対側の先端縁に沿って、上記1対の第2突出部に対して直交方向に延びる第3突出部が形成されており、上記第3突出部の一部には、その先端から根元側に向かって切り欠きが形成されて構成される。
【0020】
このような構成によれば、先端部材において、1対の第2突出部だけでなく第3突出部によっても透光板を保護することができるので、光電センサの強度をさらに向上することができる。特に、第3突出部の一部に切り欠きが形成されることにより、透光板を上方に向けた状態で光電センサを使用する場合などに、当該切り欠きを介して透光板上の液体を排出することができるので、耐液性を向上することができる。
【0021】
第6の本発明による光電センサは、上記構成に加えて、上記本体ケースには、上記1対の係止用開口を形成している連続面により、上記先端部材を上記本体ケースに固定するための固定具を挿入する挿入穴が形成されて構成される。
【0022】
このような構成によれば、係止用開口を形成する連続面によって、先端部材を本体ケースに固定するための固定具を挿入する挿入穴も形成することができるので、生産性を向上することができる。
【0023】
第7の本発明による光電センサ用発光装置は、光を照射する発光素子が備えられた光電センサ用発光装置であって、上記発光素子が収容された本体ケースと、上記本体ケースに取り付けられ、上記本体ケースの内部及び外部の間で光を透過させるための透光板と、上記透光板を上記本体ケースに接着するための第1接着部材と、上記透光板を上記本体ケースに対して押圧固定するための第1押圧部材とを備え、上記本体ケースには、光を通過させるための第1通過口と、上記第1通過口を挟んで形成され、上記第1通過口を塞ぐように上記透光板を取り付けるための1対の第1取付面と、上記1対の第1取付面と同一方向に対向し、上記1対の第1取付面に対して上記本体ケースの外方に突出した1対の第1突出部と、各第1取付面と対応する上記第1突出部との間に形成された互いに対向する1対の係止用開口とが形成され、上記透光板が、上記1対の第1突出部間を通して上記本体ケースの内方に挿入可能であり、上記1対の第1取付面上に上記第1接着部材を介して上記透光板が取り付けられるとともに、上記1対の係止用開口にそれぞれ上記第1押圧部材が取り付けられることにより、上記透光板における上記第1取付面側とは反対側の面が上記第1押圧部材により押圧されるように構成される。
【0024】
このような構成によれば、第1の本発明と同様の効果を奏する光電センサ用発光装置を提供することができる。すなわち、第1接着部材及び第1押圧部材によって第1通過口からの液体の浸入を防止し、耐液性を向上することができるとともに、第1接着部材及び第1押圧部材を所望の長さに切断して使用することができるので、生産性を向上することができる。また、第1突出部によって透光板を保護することができるので、光電センサ用発光装置の強度を向上することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、第1接着部材及び第1押圧部材によって第1通過口からの液体の浸入を防止し、耐液性を向上することができるとともに、第1接着部材及び第1押圧部材を所望の長さに切断して使用することができるので、生産性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明の実施の形態による光電センサ1の一構成例を示した斜視図であり、光電センサ1を上側から見た斜視図である。図2は、図1の光電センサ1を下側から見た斜視図である。図3は、図1の光電センサ1の側面図である。図4は、図3における光電センサ1のA−A断面図である。図5は、図1の光電センサ1を上側から見た分解斜視図である。以下では、図3における左側を左方、右側を右方とし、図4における左側を前方、右側を後方として説明することとする。
【0027】
この光電センサ1は、前後方向に長尺形状を有する中空状の本体ケース2と、この本体ケース2の前後両端部に取り付けられる中空状の1対の先端部材3とを備えている。本体ケース2は、アルミなどの金属材料を用いて押出成型により形成されている。一方、先端部材3は、亜鉛などの金属材料を用いてダイキャストにより形成され、又は、樹脂材料を用いて射出成型により形成されている。本体ケース2及び先端部材3は、それぞれ光電素子や発光素子などの光学素子4を内部に収容しており、当該本体ケース2及び先端部材3の上面には、長方形状に形成された1枚の透光板5が取り付けられている。
【0028】
透光板5は、ガラスなどで形成された透明板であり、本体ケース2及び先端部材3の内部と外部との間で光を通過させるためのものである。すなわち、光学素子4としての光電素子は、透光板5を介して入射した光の受光量に応じた電気信号を出力する一方、発光素子は、透光板5を介して外部へ光を照射する。この例では、本体ケース2及び先端部材3の内部において、光学素子4としての複数の光電素子が前後方向に等間隔で整列配置されている。
【0029】
この光電センサ1は、好ましくは、光学素子4としての複数の発光素子が本体ケース2の長手方向である前後方向に等間隔で配設された投光器と、投光器と略同一形状であって、投光器の各発光素子に対応した複数の光電素子が本体ケース2の長手方向である前後方向に等間隔で配設された受光器とからなり、投光器の各発光素子からの光が検出領域に投射され、検出領域に投射された光を各発光素子に対応した各光電素子がそれぞれ受光するように設置される。このようにして、検出領域に投光器及び受光器により複数の光軸列がいわゆるライトカーテンを形成する。この光電センサ1は、多光軸光電センサとも呼ばれ、多光軸光電センサの複数の光軸列のうち、いずれかの光軸が物体により遮光されることで、物体が検出領域内に存在する或いは検出領域内に進入したことを検出する。
【0030】
この光電センサ1を組み立てる際には、本体ケース2の両端部に、ゴムやエラストマーなどの弾性体で形成されたパッキン6を介して先端部材3を取り付けることにより、複数の光学素子4を光電センサ1の内部に収容する。このとき、各先端部材3の側面における4隅近傍に形成された4つの貫通穴31に、それぞれねじなどの固定具が挿入され、当該固定具を用いて各先端部材3が本体ケース2に対して固定される。
【0031】
このようにして、本体ケース2及び1対の先端部材3を結合した後、本体ケース2及び各先端部材3の上面に両面テープからなる粘着テープ7,8を貼り付け、これらの粘着テープ7,8上に透光板5を取り付けることにより、透光板5を本体ケース2及び各先端部材3に接着することができる。本体ケース2に貼り付けられる粘着テープ7は、本体ケース2の一端から他端まで前後方向に、すなわち、複数の光学素子4の配列方向に一直線状に延びる第1接着部材である。一方、各先端部材3に貼り付けられる粘着テープ8は、各先端部材3の上面の外周縁に沿って延びる環状の第2接着部材である。
【0032】
本体ケース2には、粘着テープ7上に貼り付けられた透光板5の上面を下方に向かって押圧固定するための押圧部材9が取り付けられる。この押圧部材9は、本体ケース2の一端から他端まで前後方向に一直線状に延びる第1押圧部材であり、例えばゴムやエラストマーなどの弾性体により形成されている。当該押圧部材9は、粘着テープ7に対応する形状を有しており、粘着テープ7に対して透光板5を挟んで上方に、すなわち、光学素子4の光軸に沿った方向で本体ケース2の外方に対向するように取り付けられる。
【0033】
一方、各先端部材3には、粘着テープ8上に貼り付けられた透光板5の上面を下方に向かって押圧固定するための押圧部材10が取り付けられる。この押圧部材10は、各先端部材3の上面の外周縁に沿って延びる環状の第2押圧部材であり、例えば金属板により形成されている。当該押圧部材10は、粘着テープ8に対応する形状を有しており、粘着テープ8に対して透光板5を挟んで上方に対向するように取り付けられる。
【0034】
図6は、本体ケース2を一端側から見た側面図であり、他端側に先端部材3が取り付けられた状態を示している。この図6に示すように、本体ケース2の上面には、当該本体ケース2の内部と外部との間で光を通過させるための第1通過口21が形成されている。この第1通過口21は、本体ケース2の一端から他端まで前後方向に延びており、光学素子4としての発光素子から照射した光を外部に通過させるとともに、外部からの光を本体ケース2内の光電素子へと通過させる。
【0035】
本体ケース2の上面における第1通過口21を挟んで左右両側には、すなわち、複数の光学素子4の配列方向及び光軸に沿った方向に対して直交方向両側には、それぞれ本体ケース2の一端から他端まで前後方向に延びる1対の第1取付面22が形成されている。これらの1対の第1取付面22は、同一面内に形成されている。したがって、各第1取付面22に対応する粘着テープ7を取り付け、その上に透光板5を貼り付けることによって、第1通過口21を塞ぐように1対の第1取付面22に透光板5を取り付けることができる。
【0036】
各第1取付面22における外方側の端縁、すなわち左側の第1取付面22における左端縁及び右側の第1取付面22における右端縁には、それぞれ上方に向かって突出する突条23が前後方向に一直線状に延びるように形成されている。これらの突条23は互いに平行に延びており、各突条23間の距離が透光板5の左右方向の幅に対応している。したがって、1対の第1取付面22に粘着テープ7を介して透光板5が貼り付けられた状態では、透光板5が1対の突条23間に挟み込まれ、透光板5が左右方向にずれるのを各突条23によって規制することができるようになっている。
【0037】
本体ケース2の上面における1対の突条23の外方、すなわち左側の突条23の左方及び右側の突条23の右方には、それぞれ屈曲又は湾曲する連続面24によって、第1取付面22よりも下方に窪んだ凹部25と、突条23よりも上方に突出した第1突出部26とが形成されている。各凹部25の下部には、上記連続面24によって、略円形の挿入穴27が前後方向に一直線状に延びるように形成されている。これらの挿入穴27は、各先端部材3を本体ケース2に取り付ける際に各貫通穴31に挿入した固定具を固定するための穴であり、固定具としてねじを用いた場合には、上記挿入穴27はねじ穴として形成される。
【0038】
上記のような挿入穴27は、本体ケース2の上部に2つ形成されているだけでなく、各先端部材3に形成された4つの貫通穴31に対応して、本体ケース2の下部にも2つ形成されている。すなわち、本体ケース2の下部にも、屈曲又は湾曲する連続面によって上方に窪んだ凹部が形成され、この凹部の左右両側における上部に、それぞれ略円形の挿入穴27が前後方向に一直線状に延びるように形成されている。
【0039】
1対の第1突出部26は、互いに左右方向に対向しており、それぞれ上方に向かって延びるとともに、各上部が内方に向かって略直角に屈曲することにより、略L字状に形成されている。各第1突出部26の先端部は、対応する突条23の上方に対向する位置まで延びており、これらの互いに対向する突条23及び第1突出部26の各先端部により、左右方向に向かって開口する係止用開口28が形成されている。これらの1対の係止用開口28は、互いに左右方向に対向しており、各係止用開口28内には押圧部材9が嵌め込まれる。この例では、係止用開口28を形成する連続面24によって、先端部材3を本体ケース2に固定するための固定具を挿入する挿入穴27も形成されているので、生産性を向上することができる。
【0040】
各押圧部材9の上面には、内方側の端縁に沿って上方に突出する第1当接部91が形成されるとともに、外方側の端縁に沿って上方に突出する第2当接部92が形成されている。第1当接部91は、第2当接部92よりも上方まで突出するように形成されている。各押圧部材9を対応する係止用開口28内に嵌め込んだ状態では、各押圧部材9の下面が突条23の先端部に当接し、各押圧部材9の上面が第1突出部26の先端部に当接するとともに、各押圧部材9の上面に形成されている第1当接部91及び第2当接部92が、第1突出部26の先端部における内方側及び外方側の面にそれぞれ当接する。この状態では、各押圧部材9の下面が対向する透光板5の左右各端縁に当接し、当該押圧部材9によって透光板5が下方に押圧される。
【0041】
本実施の形態では、光を通過させるための第1通過口21を挟んで形成された1対の第1取付面22上にそれぞれ粘着テープ7を取り付け、1対の第1突出部26間を通して本体ケース2内に挿入した透光板5を当該粘着テープ7上に接着させることができる。また、1対の第1突出部26の離間距離は、透光板5の左右方向の幅に対応していて、より好ましくは、1対の第1突出部26の離間距離は、透光板5の左右方向の幅よりもやや大きく設定されている。したがって、透光板5を本体ケース2の上面側から本体ケース2の内方に挿入可能なので、本体ケース2と透光板5との間に粘着テープ7を容易に挟み込んで接着することができる。さらに、1対の係止用開口28にそれぞれ押圧部材9が取り付けられることにより、透光板5における第1取付面22側とは反対側の面が押圧部材9により押圧されるので、粘着テープ7が剥がれるのを防止できる。したがって、粘着テープ7及び押圧部材9によって第1通過口21からの液体の浸入を防止し、耐液性を向上することができる。
【0042】
また、第1通過口21を挟んで形成された1対の第1取付面22に沿って、それぞれ粘着テープ7及び押圧部材9を設けることにより、透光板5を1対の第1取付面22上に取り付けることができる。したがって、環状のパッキンを設けるような構成とは異なり、粘着テープ7及び押圧部材9を所望の長さに切断して使用することができるので、生産性を向上することができる。
【0043】
さらに、透光板5よりも第1突出部26を突出させることにより、当該第1突出部26によって透光板5を保護することができるので、光電センサ1の強度を向上することができる。
【0044】
図7は、図4における光電センサ1のB−B断面図である。この図7に示すように、先端部材3の上面には、当該先端部材3の内部と外部との間で光を通過させるための第2通過口32が形成されている。この第2通過口32は、先端部材3の一端から他端まで前後方向に延びており、光学素子4としての発光素子から照射した光を外部に通過させるとともに、外部からの光を先端部材3内の光電素子へと通過させる。
【0045】
先端部材3の上面には、第2通過口32の周囲を取り囲む環状の第2取付面33が形成されている。この第2取付面33に粘着テープ8を取り付け、その上に透光板5を貼り付けることによって、第2通過口32を塞ぐように第2取付面33に透光板5を取り付けることができる。
【0046】
第2取付面33における左右各端縁には、それぞれ上方に向かって突出する1対の第2突出部34が前後方向に一直線状に延びるように形成されている。これらの第2突出部34は互いに平行に延びており、各第2突出部34間の距離が透光板5の左右方向の幅に対応している。したがって、1対の第2取付面33に粘着テープ8を介して透光板5が貼り付けられた状態では、透光板5が1対の第2突出部34間に挟み込まれ、透光板5が左右方向にずれるのを各第2突出部34によって規制することができるようになっている。
【0047】
1対の第2突出部34は、透光板5に対して第1突出部26と同じ高さまで上方に突出しており、各先端部材3が本体ケース2に取り付けられた状態では、1対の第2突出部34が対応する第1突出部26にそれぞれ隣接して同一直線状に延びている。これにより、先端部材3においても、1対の第1突出部26にそれぞれ隣接して同一直線状に延びる1対の第2突出部34によって透光板5を保護することができるので、光電センサ1の強度を向上することができる。
【0048】
1対の第2突出部34における内方側の面には、それぞれ押圧部材10を係合するための係合溝35が形成されている。また、各先端部材3における本体ケース2とは反対側の側面上部にも、押圧部材10を係合するための係合溝36が形成されている(図5参照)。押圧部材10には、上記の各係合溝35,36に対応する3つの係合部101が形成されており、これらの係合部101を対応する係合溝35,36に係合することにより、押圧部材10を先端部材3に取り付けることができるようになっている。
【0049】
ここで、押圧部材10は、金属板が屈曲されることにより、透光板5の上面に当接する主板部102と、主板部102の左右両端縁からそれぞれ上方へ突出する第1側板部103及び第2側板部104と、主板部102の本体ケース2とは反対側の端縁から下方へ突出する第3側板部105とが一体的に形成されている。主板部102は、先端部材3の上方に対向する第1領域102Aと、本体ケース2の上方に対向する第2領域102Bとを有しており、第1領域102Aが先端部材3の上面における外周縁に対向するとともに、第2領域102Bが本体ケース2の上面における隣接する端縁に対向するようになっている。
【0050】
主板部102の第1領域102Aは、その中央部に前後方向に延びる長孔106が形成されることにより、粘着テープ8に対応する環状に形成されている。したがって、透光板5上に押圧部材10を取り付けた状態では、先端部材3内の光学素子4に対して、長孔106を介して光を通過させることができる。また、主板部102の第2領域102Bには、その本体ケース2側の端縁中央部から先端部材3側へ窪んだ凹部107が形成されている。したがって、透光板5上に押圧部材10を取り付けた状態では、本体ケース2内の端部に配置されている光学素子4に対して、凹部107を介して光を通過させることができる。
【0051】
各第1側板部103は、主板部102における第1領域102Aの左右両端縁からそれぞれ上方へ略直角に突出している。上記3つの係合部101のうちの2つは、左右各第1側板部103における本体ケース2側の端部に形成されている。これらの係合部101は、第1側板部103に切り込みが形成され、その切り込みによって形成される当該第1側板部103の一部が外方に向かって折り曲げられることにより、折曲片として形成されており、押圧部材10を先端部材3に取り付けた状態では、当該折曲片の先端部が対応する係合溝35の内面に当接することにより係合するようになっている。
【0052】
また、各第1側板部103の上端部は外方に向かって折り曲げられており、押圧部材10を先端部材3に取り付けた状態では、この折り曲げられた部分が対向する第2突出部34の上面に当接するようになっている。これにより、第1側板部103と第2突出部34との間から液体が浸入するのを抑制することができるので、耐液性を向上することができる。
【0053】
各第2側板部104は、主板部102における第2領域102Bの左右両端縁からそれぞれ上方向に対して外方に傾斜した方向へ突出している。押圧部材10を先端部材3に取り付けた状態では、各第2側板部104の外方側の面が、本体ケース2に取り付けられている押圧部材9の端部に内方側から当接し、当該押圧部材9の端部を外方へ向かって押圧する。また、各第2側板部104の上端部は外方に向かって折り曲げられており、押圧部材10を先端部材3に取り付けた状態では、この折り曲げられた部分が対向する押圧部材9の端部における第1当接部91の先端に当接するようになっている。これにより、押圧部材9の端部が係止用開口28から脱落することを防止できる。
【0054】
第3側板部105は、主板部102の本体ケース2とは反対側の端縁から下方へ略直角に突出している。上記3つの係合部101のうちの1つは、第3側板部105の中央部に形成されている。この係合部101は、第3側板部105に切り込みが形成され、その切り込みによって形成される当該第3側板部105の一部が内方に向かって折り曲げられることにより、折曲片として形成されており、押圧部材10を先端部材3に取り付けた状態では、当該折曲片の先端部が対応する係合溝36の内面に当接することにより係合するようになっている。
【0055】
本実施の形態では、本体ケース2の両端部に、本体ケース2と同様に光学素子4が収容された先端部材3が取り付けられる。したがって、本体ケース2の両端部に先端部材3が取り付けられた光電センサ1において、その一端から他端まで光学素子4を配置することができるので、光電センサ1を小型化することができる。また、先端部材3においても、粘着テープ8及び押圧部材10によって第2通過口32からの液体の浸入を防止し、耐液性を向上することができる。
【0056】
このように本体ケース2の両端部に先端部材3を取り付けるような構成では、本体ケース2を所望の長さに形成し、その両端部に先端部材3を取り付けることにより、任意の長さの光電センサ1を形成することができる。このとき、先端部材3の長さは変更する必要がなく、光電センサ1の長さに関わらず粘着テープ8及び押圧部材10を一定形状とすることができるので、生産性を向上することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、各先端部材3の第2取付面33上に粘着テープ8を介して透光板5を取り付けた状態で、上方から各先端部材3内に押圧部材10を挿入し、当該押圧部材10に形成されている3つの係合部101を対応する係合溝35,36に係合させることにより、透光板5における第2取付面33側とは反対側の面を押圧部材10により押圧した状態で固定することができる。したがって、押圧部材10を上方から先端部材3内に挿入するだけで、係合部101を先端部材3に係合させて押圧部材10を容易に取り付けることができるので、生産性を向上することができる。
【0058】
本実施の形態では、第2取付面33の本体ケース2とは反対側の端縁に沿って、上方に向かって突出する第3突出部37が形成されている。この第3突出部37は、第2突出部34に対して直交方向に延びており、透光板5に対して第2突出部34と同じ高さまで上方に突出している。第3突出部37の中央部には、その先端から根元側、すなわち上端縁から下方に向かって切り欠き37Aが形成されている。押圧部材10を先端部材3に取り付けた状態では、切り欠き37Aの底面上に押圧部材10が当接するようになっている。
【0059】
これにより、先端部材3において、1対の第2突出部34だけでなく第3突出部37によっても透光板5を保護することができるので、光電センサ1の強度をさらに向上することができる。特に、第3突出部37の一部に切り欠き37Aが形成されることにより、透光板5を上方に向けた状態で光電センサ1を使用する場合などに、当該切り欠き37Aを介して透光板5上の液体を排出することができるので、耐液性を向上することができる。
【0060】
図6及び図7に示したように、互いに対向する第1突出部26間の間隔及び第2突出部34間の間隔は、それぞれ透光板5の左右方向の幅と一致している。したがって、透光板5を第1取付面22及び第2取付面33に対して平行に保持した状態で、第1突出部26間及び第2突出部34間を通して、本体ケース2及び先端部材3の内部に透光板5を挿入し、第1取付面22及び第2取付面33に取り付けることができる。
【0061】
ただし、上記のような構成に限らず、第1突出部26間及び第2突出部34間の各間隔が、透光板5の左右方向の幅よりも大きいような構成であってもよいし、小さいような構成であってもよい。第1突出部26間及び第2突出部34間の各間隔が、透光板5の左右方向の幅よりも小さい場合には、第1取付面22及び第2取付面33に対して透光板5を傾斜させた状態で本体ケース2及び先端部材3の内部に挿入すればよい。
【0062】
本実施の形態では、光電素子及び発光素子をいずれも備えた光電センサ1について説明したが、本発明は、このような光電センサ1に限らず、光電素子のみを備えた光電センサや、発光素子のみを備えた光電センサ用発光装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態による光電センサの一構成例を示した斜視図であり、光電センサを上側から見た斜視図である。
【図2】図1の光電センサを下側から見た斜視図である。
【図3】図1の光電センサの側面図である。
【図4】図3における光電センサのA−A断面図である。
【図5】図1の光電センサを上側から見た分解斜視図である。
【図6】本体ケースを一端側から見た側面図であり、他端側に先端部材が取り付けられた状態を示している。
【図7】図4における光電センサのB−B断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 光電センサ
2 本体ケース
3 先端部材
4 光学素子
5 透光板
7,8 粘着テープ
9,10 押圧部材
21 第1通過口
22 第1取付面
24 連続面
26 第1突出部
27 挿入穴
28 係止用開口
32 第2通過口
33 第2取付面
34 第2突出部
37 第3突出部
37A 切り欠き
101 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光量に応じた電気信号を出力する光電素子が備えられた光電センサであって、
上記光電素子が収容された本体ケースと、
上記本体ケースに取り付けられ、上記本体ケースの内部及び外部の間で光を透過させるための透光板と、
上記透光板を上記本体ケースに接着するための第1接着部材と、
上記透光板を上記本体ケースに対して押圧固定するための第1押圧部材とを備え、
上記本体ケースには、光を通過させるための第1通過口と、上記第1通過口を挟んで形成され、上記第1通過口を塞ぐように上記透光板を取り付けるための1対の第1取付面と、上記1対の第1取付面と同一方向に対向し、上記1対の第1取付面に対して上記本体ケースの外方に突出した1対の第1突出部と、各第1取付面と対応する上記第1突出部との間に形成された互いに対向する1対の係止用開口とが形成され、
上記透光板は、上記1対の第1突出部間を通して上記本体ケースの内方に挿入可能であり、上記1対の第1取付面上に上記第1接着部材を介して上記透光板が取り付けられるとともに、上記1対の係止用開口にそれぞれ上記第1押圧部材が取り付けられることにより、上記透光板における上記第1取付面側とは反対側の面が上記第1押圧部材により押圧されることを特徴とする光電センサ。
【請求項2】
上記本体ケースにおける上記1対の第1取付面が延びる方向の両端部に取り付けられ、内部に上記光電素子が収容された先端部材と、
上記透光板を上記先端部材に接着するための第2接着部材と、
上記透光板を上記先端部材に対して押圧固定するための第2押圧部材とを備え、
上記先端部材には、光を通過させるための第2通過口と、上記第2通過口を塞ぐように上記透光板を取り付けるための第2取付面とが形成され、
上記透光板は、上記第2取付面上に上記第2接着部材を介して取り付けられるとともに、上記第2押圧部材が取り付けられることにより、上記透光板における上記第2取付面側とは反対側の面が上記第2押圧部材により押圧されることを特徴とする請求項1に記載の光電センサ。
【請求項3】
上記第2押圧部材には、上記透光板を上記先端部材に対して押圧した状態で上記先端部材に係合する係合部が形成されており、上記第2押圧部材が上記第2通過口に対向する方向から上記先端部材内に挿入されることにより、上記係合部が上記先端部材に係合することを特徴とする請求項2に記載の光電センサ。
【請求項4】
上記先端部材には、上記第2取付面に対して突出し、上記先端部材が上記本体ケースに取り付けられた状態で、上記1対の第1突出部にそれぞれ隣接して同一直線状に延びる1対の第2突出部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光電センサ。
【請求項5】
上記先端部材には、上記第2取付面に対して突出し、上記本体ケース側とは反対側の先端縁に沿って、上記1対の第2突出部に対して直交方向に延びる第3突出部が形成されており、上記第3突出部の一部には、その先端から根元側に向かって切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光電センサ。
【請求項6】
上記本体ケースには、上記1対の係止用開口を形成している連続面により、上記先端部材を上記本体ケースに固定するための固定具を挿入する挿入穴が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光電センサ。
【請求項7】
光を照射する発光素子が備えられた光電センサ用発光装置であって、
上記発光素子が収容された本体ケースと、
上記本体ケースに取り付けられ、上記本体ケースの内部及び外部の間で光を透過させるための透光板と、
上記透光板を上記本体ケースに接着するための第1接着部材と、
上記透光板を上記本体ケースに対して押圧固定するための第1押圧部材とを備え、
上記本体ケースには、光を通過させるための第1通過口と、上記第1通過口を挟んで形成され、上記第1通過口を塞ぐように上記透光板を取り付けるための1対の第1取付面と、上記1対の第1取付面と同一方向に対向し、上記1対の第1取付面に対して上記本体ケースの外方に突出した1対の第1突出部と、各第1取付面と対応する上記第1突出部との間に形成された互いに対向する1対の係止用開口とが形成され、
上記透光板は、上記1対の第1突出部間を通して上記本体ケースの内方に挿入可能であり、上記1対の第1取付面上に上記第1接着部材を介して上記透光板が取り付けられるとともに、上記1対の係止用開口にそれぞれ上記第1押圧部材が取り付けられることにより、上記透光板における上記第1取付面側とは反対側の面が上記第1押圧部材により押圧されることを特徴とする光電センサ用発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−10817(P2009−10817A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171666(P2007−171666)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】