説明

光電変換素子用電極、及び、光電変換素子

【課題】光電変換素子に優れた耐久性を付与することができる光電変換素子用電極、及び、光電変換素子を提供すること。
【解決手段】基板11と、基板11上に設けられ、錫を含有する導電膜12と、導電膜12上に設けられ、銀粒子51を含有する集電配線16を有する配線部13とを備え、集電配線16が導電膜12と接触する接触部Bを有し、接触部Bが、銀と錫との合金からなる銀錫合金部52を有し、集電配線16と導電膜12との間で接触部Bに隣接して空隙Aが形成されている光電変換素子用電極10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子用電極、及び、光電変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換素子として、安価で、高い光電変換効率が得られることから色素増感太陽電池が注目されており、色素増感太陽電池に関して種々の開発が行われている。
【0003】
色素増感太陽電池は一般に、多孔質酸化物半導体層を有する作用極と、対極と、これらの間に配置される電解質と、作用極と対極とを連結し、電解質の周囲に設けられる封止部とを備えている。
【0004】
このような色素増感太陽電池として、下記特許文献1に記載の色素増感太陽電池が知られている。下記特許文献1には、作用極と対極とを有し、作用極が、基材上に透明導電層と、透明導電層上に形成された金属配線層と、金属配線層の表面を被覆する絶縁層とを有する色素増感太陽電池が開示されている。そして、下記特許文献1には、金属配線層が、導電粒子となる金属粉とガラス微粒子などの結合剤を配合してなるペーストを所定のパターンを形成するように塗膜し、加熱して焼成することによって得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−140909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1に記載の色素増感太陽電池は、光電変換効率の経時的な低下が十分に小さいと言えるものではなく、耐久性の点で改善の余地を有していた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた耐久性を光電変換素子に付与することができる光電変換素子用電極、及び、光電変換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記特許文献1に記載の色素増感太陽電池において光電変換効率の低下が十分に小さいと言えない原因について検討した。その結果、本発明者は、特許文献1に記載の色素増感太陽電池において、作用極における透明導電層が熱収縮又は熱膨張すると、金属配線層と透明導電層との界面に過大な応力がかかり、この応力により、金属配線層が透明導電層から剥離するのではないかと考えた。また、透明導電層に対する金属配線層の密着性がいまだ不十分であることも、金属配線層を透明導電層から剥離させる要因の一つではないかと本発明者は考えた。そして、金属配線層が透明導電層から剥離されることにより接触抵抗が増加し、その結果、光電変換効率の低下が十分に小さいとは言えないのではないかと本発明者は考えた。そこで、本発明者はさらに鋭意研究を重ねた結果、以下の発明により上記課題を解決し得ることを見出した。
【0009】
即ち本発明は、基板と、前記基板上に設けられ、錫を含有する導電膜と、前記導電膜上に設けられ、銀粒子を含有する集電配線を有する配線部とを備え、前記集電配線が、前記導電膜と接触する接触部を有し、前記接触部が、銀と錫との合金からなる銀錫合金部を有し、前記集電配線と前記導電膜との間で前記接触部に隣接して空隙が形成されている、光電変換素子用電極である。
【0010】
この電極によれば、導電膜が熱収縮又は熱膨張すると、配線部の集電配線は、導電膜との界面付近において熱収縮や熱膨張による過大な応力を受ける。このとき、集電配線と導電膜との接触部に応力が加えられても、集電配線と導電膜との間で接触部に隣接して空隙が形成されているため、空隙により、接触部に加わる応力が十分に緩和される。また接触部が銀錫合金からなる銀錫合金部を有している。ここで、銀錫合金部は、錫を含有する導電膜と共通の錫を含有し、銀粒子を含有する集電配線と共有の銀を含有する。このため、銀錫合金部は、集電配線及び導電膜のいずれに対しても高い密着性を有する。このため、導電膜からの集電配線の剥離が十分に抑制され、集電配線と導電膜との接触抵抗の増加が十分に抑制される。従って、本発明の光電変換素子用電極によれば、光電変換効率の低下を十分に抑制でき、光電変換素子用電極を電極として用いる光電変換素子に優れた耐久性を付与することができる。
【0011】
また前記接触部が、ガラスフリットからなるガラスフリット部をさらに有することが好ましい。
【0012】
この場合、集電配線と導電膜との接触部が、ガラスフリット部をさらに有するため、ガラスフリット部により集電配線と導電膜との密着性をより高めることができる。
【0013】
前記配線部は、前記集電配線を覆って保護する配線保護層をさらに有することが好ましい。
【0014】
この配線部を有する電極を、電解質を有する光電変換素子の電極として使用すると、配線保護層により、電解質による集電配線の腐食が十分に抑制される。
【0015】
前記集電配線は空隙をさらに含むことが好ましい。
【0016】
この場合、集電配線が熱膨張又は熱収縮する場合でも、集電配線に加わる応力が十分に緩和され、クラックの発生が十分に抑制される。
【0017】
前記集電配線は前記接触部に対し前記導電膜と反対側に設けられる本体部をさらに有し、前記本体部が、さらにガラスフリットからなるガラスフリット部を含んでもよい。
【0018】
前記集電配線中に占める前記空隙の割合である空隙率が30%以下であることが好ましい。
【0019】
この場合、空隙率が30%を超える場合に比べて、体積抵抗をより小さくすることができる。
【0020】
前記銀粒子の平均粒径は0.3〜10μmであることが好ましい。
【0021】
銀粒子の平均粒径が上記範囲内にあると、上記範囲を外れる場合と比べて体積抵抗をより十分に低下させることができる。
【0022】
また本発明は、上述した光電変換素子用電極を含む光電変換素子である。
【0023】
なお、本発明において、「空隙率」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)で集電配線の断面を観察した場合における集電配線に占める空隙の面積の割合を言うものとする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、優れた耐久性を光電変換素子に付与することができる光電変換素子用電極、及び、光電変換素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る光電変換素子の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の配線部を示す部分断面図である。
【図3】本発明に係る光電変換素子の第2実施形態における配線部を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
<第1実施形態>
まず本発明に係る光電変換素子の第1実施形態について図面を参照ながら説明する。図1は、本発明に係る光電変換素子の第1実施形態を示す断面図、図2は、図1の配線部を示す部分断面図である。
【0028】
図1に示すように、色素増感太陽電池100は、作用極10と、作用極10に対向するように配置される対極20とを備えている。作用極10と対極20との間には電解質30が配置され、電解質30の周囲には、作用極10と対極20とを連結する封止部40が設けられている。なお、色素増感太陽電池100には、太陽光を電気に変換する素子のみならず、室内の光源(例えば蛍光灯)からの光を電気に変換する素子も含まれるものとする。
【0029】
作用極10は、導電性基板11と、導電性基板11の上に設けられる多孔質酸化物半導体層12と、導電性基板11上に多孔質酸化物半導体層12を包囲するように設けられる配線部13とを備えている。導電性基板11は、透明基板14と、透明基板14の対極20側に設けられ、錫を含有する透明導電膜15とを有する。作用極10のうちの多孔質酸化物半導体層12には光増感色素が担持されている。
【0030】
対極20は、対極基板21と、対極基板21のうち作用極10側に設けられて対極20の表面における還元反応を促進する導電性の触媒層22とを備えている。
【0031】
図2に示すように、配線部13は、透明導電膜15上に設けられる集電配線16と、集電配線16を被覆して電解質30から保護する配線保護層17とを備えている。
【0032】
集電配線16は、銀粒子51を含有する焼結体で構成されている。そして、集電配線16は、透明導電膜15と接触する接触部Bと、接触部B上に設けられる本体部Cとを有している。接触部Bは、銀と錫との合金からなる銀錫合金部52と、ガラスフリットからなるガラスフリット部53とを有しており、集電配線16と透明導電膜15との間で接触部Bに隣接して空隙Aが形成されている。接触部Bも空隙Aを有していてもよい。また集電配線16は、透明導電膜15から離間した本体部Cに、空隙Aとガラスフリット部53とを有している。
【0033】
この色素増感太陽電池100によれば、透明導電膜15が熱収縮又は熱膨張すると、配線部13の集電配線16は、透明導電膜15との界面付近において熱収縮や熱膨張による過大な応力を受ける。このとき、集電配線16と透明導電膜15との接触部Bに応力が加えられても、集電配線16と透明導電膜15との間で接触部Bに隣接して空隙Aが形成されているため、空隙Aにより接触部Bに加わる応力が十分に緩和される。また接触部Bが、銀錫合金からなる銀錫合金部52を有している。ここで、銀錫合金部52は、錫を含有する透明導電膜15と共通の錫を含有し、銀粒子51を含有する集電配線16と共通の銀を含有する。このため、銀錫合金部52は、集電配線16及び透明導電膜15のいずれに対しても高い密着性を有する。このため、透明導電膜15からの集電配線16の剥離が十分に抑制され、透明導電膜15と集電配線との接触抵抗の増加が十分に抑制される。従って、色素増感太陽電池100によれば、光電変換特性の低下を十分に抑制することができ、優れた耐久性を有することが可能となる。
【0034】
また色素増感太陽電池100では、集電配線16と透明導電膜15との接触部Bが、銀錫合金部52と、ガラスフリットからなるガラスフリット部53とを有する。このため、ガラスフリット部53により集電配線16と透明導電膜15との密着性をより高めることができ、透明導電膜15からの集電配線16の剥離をより十分に抑制することができる。
【0035】
さらに色素増感太陽電池100では、配線部13が、集電配線16を覆って保護する配線保護層17をさらに有する。このため、配線保護層17により、電解質30による集電配線16の腐食が十分に抑制される。
【0036】
さらにまた色素増感太陽電池100では、集電配線16の本体部Cが空隙Aを含む。このため、集電配線16が熱膨張又は熱収縮する場合でも、集電配線16の本体部Cに加わる応力が十分に緩和され、クラックの発生が十分に抑制される。
【0037】
次に、作用極10、光増感色素、対極20、電解質30および封止部40について詳細に説明する。
【0038】
(作用極)
透明基板14を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルフォン(PES)などが挙げられる。透明基板14の厚さは、色素増感太陽電池100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50μm〜10000μmの範囲にすればよい。
【0039】
透明導電膜15を構成する材料は、錫を含有する透明な材料であればよく、錫を含有する透明な材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(Indium−Tin−Oxide:ITO)、酸化スズ(SnO)、フッ素添加酸化スズ(Fluorine−doped−Tin−Oxide:FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。透明導電膜15は、単層でも、異なる導電性金属酸化物で構成される複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電膜15が単層で構成される場合、透明導電膜15は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOで構成されることが好ましい。また透明導電膜15として、複数の層で構成される積層体を用いると、各層の特性を反映させることが可能となることから好ましい。中でも、ITOで構成される層と、FTOで構成される層との積層体を用いることが好ましい。この場合、高い導電性、耐熱性及び耐薬品性を持つ透明導電膜15が実現できる。透明導電膜15の厚さは例えば0.01μm〜2μmの範囲にすればよい。
【0040】
多孔質酸化物半導体層12は、多孔質酸化物半導体で構成される。多孔質酸化物半導体は、例えば酸化物半導体粒子で構成される。これら酸化物半導体粒子の平均粒径は1〜1000nmであることが、色素で覆われた酸化物半導体の表面積が大きくなり、即ち光電変換を行う場が広くなり、より多くの電子を生成することができることから好ましい。ここで、多孔質酸化物半導体層12が、粒度分布の異なる酸化物半導体粒子を積層させてなる積層体で構成されることが好ましい。この場合、積層体内で繰り返し光の反射を起こさせることが可能となり、入射光を積層体の外部へ逃がすことなく効率よく光を電子に変換することができる。多孔質酸化物半導体層12の厚さは、例えば0.5〜50μmとすればよい。なお、多孔質酸化物半導体層12は、異なる材料からなる複数の半導体層の積層体で構成することもできる。
【0041】
上記酸化物半導体粒子としては、例えば酸化チタン(TiO)、シリカ(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タリウム(Ta)、酸化ランタン(La)、酸化イットリウム(Y)、酸化ホルミウム(Ho)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO)及び酸化アルミニウム(Al)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。多孔質酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、バーコート法などを用いることができる。
【0042】
集電配線16は、銀粒子51を含有している。銀粒子51の平均粒径は0.3〜10μmであることが好ましく、0.5〜2.0μmであることがより好ましい。銀粒子51の平均粒径が0.3〜10μmの範囲内にあると、その範囲を外れる場合と比べて体積抵抗をより十分に低下させることができる。
【0043】
また集電配線16中に空隙Aが占める割合である空隙率は30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
【0044】
この場合、空隙率が30%を超える場合に比べて、体積抵抗をより小さくすることができる。
【0045】
但し、集電配線16における空隙率は、透明導電膜15と銀との接触抵抗を低下させることができるという理由から、1%以上であることが好ましい。
【0046】
配線保護層17は、集電配線16を電解質30から保護するものであり、例えば樹脂材料、無機材料で構成される。
【0047】
上記樹脂材料としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの熱可塑性樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などが挙げられる。
【0048】
上記無機材料としては、例えば非鉛系の透明な低融点ガラスフリットなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0049】
(光増感色素)
光増感色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体や、ポルフィリン、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素が挙げられる。
【0050】
(対極)
対極基板21としては、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン等の耐食性の金属材料や、上述した透明基板14の上にITO、FTO等の導電性酸化物を積層してなるものなどを用いることができる。
【0051】
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。
【0052】
対極20の厚さは例えば0.005mm〜0.5mmの範囲内であればよい。
【0053】
(電解質)
電解質30は通常、電解液で構成され、この電解液は例えばI/Iなどの酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどを用いることができる。酸化還元対としては、例えばI/Iのほか、臭素/臭化物イオンなどの対が挙げられる。色素増感太陽電池100は、酸化還元対としてI/Iのような揮発性溶質及び、高温下で揮発しやすいアセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリルのような有機溶媒を含む電解液を電解質として用いた場合に特に有効である。この場合、色素増感太陽電池100の周囲の環境温度の変化によりセル空間の内圧の変化が特に大きくなり、封止部40と対極20との界面、および封止部40と作用極10との界面から電解質30が漏洩しやすくなるからである。なお、上記揮発性溶媒にはゲル化剤を加えてもよい。また電解質30は、イオン液体と揮発性成分との混合物からなるイオン液体電解質で構成されてもよい。この場合も、色素増感太陽電池100の周囲の環境温度の変化によりセル空間の内圧の変化が大きくなるためである。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドが好適に用いられる。また揮発性成分としては、上記の有機溶媒や、1−メチル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、LiI、I、4−t−ブチルピリジンなどが挙げられる。さらに電解質30としては、上記イオン液体電解質にSiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットイオンゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化したイオン液体電解質を用いてもよい。
【0054】
(封止部)
封止部40は、例えば樹脂材料で構成される。このような樹脂材料としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの熱可塑性樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などが挙げられる。
【0055】
次に、色素増感太陽電池100の製造方法について説明する。
【0056】
[準備工程]
まず作用極10及び対極20を準備する。
【0057】
(作用極)
作用極10は以下のようにして得ることができる。
【0058】
はじめに透明基板14の上に透明導電膜15を形成して積層体を形成する。透明導電膜15の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、スプレー熱分解法(SPD:Spray Pyrolysis Deposition)及びCVD法などが用いられる。
【0059】
次に、上記のようにして得られた透明導電膜15上に、多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを印刷する。多孔質酸化物半導体層形成用ペーストは、酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。
【0060】
次に、多孔質酸化物半導体層形成用ペーストを焼成して透明導電膜15上に多孔質酸化物半導体層12を形成する。焼成温度は酸化物半導体粒子により異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子により異なるが、通常は1〜5時間である。
【0061】
次に、導電性基板11の透明導電膜15上に集電配線16を形成する。このとき、集電配線16は、多孔質酸化物半導体層12を囲むように形成する。
【0062】
集電配線16は、例えば、銀粒子と、バインダ樹脂と、ガラスフリットと、溶媒とを含む導電ペーストを準備し、その導電ペーストを、スクリーン印刷法などを用いて透明導電膜15上に塗膜し、加熱して焼成することによって得ることができる。このとき、ガラスフリットの含有率は、0.5〜5.0質量%であることが好ましく、1.5〜3.5質量%であることがより好ましい。ガラスフリットの含有率が上記範囲内にあると、上記範囲を外れた場合に比べて、集電配線16の透明導電膜15からの剥離をより十分に抑制することができる。
【0063】
上記バインダ樹脂としては、例えばジヒドロターピネオールなどが挙げられる。また溶媒としては、例えばエチルセルロースが挙げられる。
【0064】
接触部Bにおいて、銀錫合金部52を得るためには、導電ペースト中の銀粒子と透明導電膜15とがいずれも融解する温度まで導電ペーストを加熱すればよい。具体的には、導電ペーストを400〜600℃まで加熱すればよい。
【0065】
また集電配線16と透明導電膜15との間に空隙Aを形成するためには、導電ペースト中の溶媒の量や、ガラスフリットの量を調整すればよい。
【0066】
さらに、集電配線16に空隙Aを形成するためには、ガラスフリットとして銀粒子よりも低い融点を有するものを用いる。この場合、銀粒子51よりも先にガラスフリットが融解するため、ガラスフリットが重力の作用により透明導電膜15に向かうことが可能となる。その結果、集電配線16に空隙Aが形成される。
【0067】
次に、集電配線16を配線保護層17で被覆する。このとき、配線保護層17は集電配線16を完全に覆うとともに導電性基板11に接触する。
【0068】
こうして、導電性基板11上に、集電配線16、配線保護層17が順次形成され、配線部13が形成される。
【0069】
以上のようにして作用極10が得られる。
【0070】
[色素担持工程]
次に、作用極10の多孔質酸化物半導体層12に光増感色素を担持させる。このためには、作用極10を、光増感色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その色素を多孔質酸化物半導体層12に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させることで、光増感色素を多孔質酸化物半導体層12に吸着させればよい。但し、光増感色素を含有する溶液を多孔質酸化物半導体層12に塗布した後、乾燥させることによって光増感色素を多孔質酸化物半導体層12に吸着させることによっても、光増感色素を多孔質酸化物半導体層12に担持させることが可能である。
【0071】
(対極)
一方、対極20は、以下のようにして得ることができる。
【0072】
即ちまず対極基板21を準備する。そして、対極基板21の上に触媒層22を形成する。触媒層22の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法などが用いられる。これらのうちスパッタ法が膜の均一性の点から好ましい。
【0073】
[封止部固定工程]
次に、作用極10のうち透明導電膜15の表面上の部位であって多孔質酸化物半導体層12を包囲する環状部位に封止部形成材料を固定する。例えば、封止部形成材料は、封止部40を例えば非鉛系の透明な低融点ガラスフリットなどの無機絶縁材料で構成する場合には、その無機絶縁材料を含むペーストを環状部位に塗布し焼成することによって得ることができる。なお、封止部形成材料は、作用極10の表面上の部位のうち、多孔質酸化物半導体層12を包囲する環状部位のみならず、対極20の表面上の環状部位に固定してもよい。
【0074】
[電解質層配置工程]
次に、作用極10上であって封止部形成材料の内側に電解質30を配置する。電解質30は、作用極10上であって封止部形成材料の内側に注入したり、印刷したりすることによって得ることができる。
【0075】
ここで、電解質30が液状である場合は、電解質30を、封止部形成材料を超えて封止部形成材料の外側に溢れるまで注入することができる。この場合、封止部形成材料の内側に電解質30を十分に注入することが可能となる。また封止部形成材料と封止部形成材料とを接着して、封止部40を形成するに際し、作用極10と対極20と封止部40とによって囲まれるセル空間から空気を十分に排除することができ、光電変換効率を十分に向上させることができる。
【0076】
[重合せ工程]
次に、作用極10と対極20とを対向させて、作用極10に固定した封止部形成材料と、対極20とを重ね合わせる。
【0077】
[封止部形成工程]
次に、上記封止部形成材料を加圧しながら加熱溶融させる。こうして作用極10と対極20との間に封止部40が形成される。このとき、作用極10と対極20との貼合せは、例えば作用極10と対極20とを減圧空間内に配置し、減圧空間を減圧することで行うことができる。
【0078】
その際の減圧空間の圧力は通常、50Pa以上1013hPa未満の範囲であり、50〜800Paとすることが好ましく、300〜800Paとすることがより好ましい。
【0079】
また上記封止部形成材料の加圧は通常、1〜50MPaで行い、好ましくは2〜30MPa、より好ましくは3〜20MPaで行う。
【0080】
封止部形成材料を構成する樹脂として、例えば熱可塑性樹脂を用いる場合は、封止部形成材料を溶融させるときの温度は、封止部形成材料の融点以上とする。
【0081】
但し、封止部形成材料を溶融させるときの温度は、(封止部形成材料に含まれる樹脂の融点+200℃)以下であることが好ましい。上記温度が(封止部形成材料に含まれる樹脂の融点+200℃)を超えると、封止部形成材料に含まれる樹脂が熱によって分解するおそれがある。
【0082】
こうして、色素増感太陽電池100が得られ、色素増感太陽電池100の製造が完了する。
【0083】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る光電変換素子の第2実施形態について図3を参照ながら説明する。図3は、本実施形態に係る光電変換素子の配線部を示す部分断面図である。
【0084】
図3に示すように、本実施形態の色素増感太陽電池は、集電配線16の本体部Cにガラスフリット部53を有しておらず、集電配線16と透明導電膜15との接触部Bがガラスフリット部53を有していない点で第1実施形態の色素増感太陽電池100と相違する。
【0085】
本実施形態の色素増感太陽電池によれば、集電配線16にガラスフリット部53が形成されていないため、集電配線16の体積抵抗を低くすることができる。また接触部Bがガラスフリット部53を有していない。すなわち接触部Bが銀錫合金部52のみで構成されている。このため、ガラスフリット部53を有する場合に比べて接触抵抗を低下させることができる。
【0086】
なお、本実施形態の集電配線16を得るためには、集電配線16を形成するための銀ペーストにガラスフリットを含めないようにすればよい。このとき、銀ペースト中の銀粒子の含有率は50〜80質量%とすることが好ましく、60〜75質量%とすることがより好ましい。銀ペースト中の溶媒の含有率は、1〜5質量%とすることが好ましく、2〜4質量%とすることがより好ましい。また銀ペースト中のバインダ樹脂の含有率は、20〜30質量%とすることが好ましく、22〜26質量%とすることがより好ましい。
【実施例】
【0087】
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0088】
(実施例1)
はじめに、20cm×20cm×4mmのFTO基板を準備した。続いて、FTO基板の上に、ドクターブレード法によって酸化チタンペースト(Solaronix社製、Ti nanoi×ide T/sp)を、その厚さが17μmとなるように24箇所に塗布した後、熱風循環タイプのオーブンに入れて500℃で3時間焼成し、FTO基板上に多孔質酸化物半導体層を形成し、作用極を得た。
【0089】
そして、0.8μmの平均粒径を有する銀粒子とエチルセルロースとガラスフリットとジヒドロテルピネオールとをそれぞれ70質量%、3質量%、3質量%、24質量%配合してなる銀ペーストを、多孔質酸化物半導体層を包囲するように塗布した後、500℃、1時間で銀ペーストを焼成し、幅0.4mm、厚さ0.02mmで且つ20mm×5.5mmの24個の四角開口を有する格子状の集電配線を形成した。
【0090】
次に、低融点ガラスフリット(セントラル硝子社製B20、融点:475℃)を含むペーストを集電配線の上に塗布し、ペーストを500℃で3時間加熱して焼成することにより焼成体を形成した。こうして、FTO基板上に配線部を形成し、作用極を作製した。
【0091】
一方、19cm×17cm×0.04mmのチタンからなる対極基板を準備した。そして、対極基板上に、スパッタリング法により、厚さ6nmの白金触媒層を形成した。こうして対極を得た。
【0092】
次に、エチレン−メタクリル酸共重合体であるニュクレル(三井・デュポンポリケミカル社製、融点:98℃)からなる19.5cm×17.5cm×100μmのシートの中央に、18.5cm×16.5cm×100μmの開口を形成した四角環状の樹脂シートを準備した。そして、この樹脂シートを、作用極の多孔質酸化物半導体層を包囲する配線部の上に配置した。この樹脂シートを180℃で5分間加熱し溶融させることによって配線部に接着し、FTO基板上における配線部上に封止部形成材料を固定した。
【0093】
次に、この作用極を、光増感色素であるN719色素を0.2mM溶かした脱水エタノール液中に一昼夜浸漬して作用極に光増感色素を担持させた。
【0094】
一方、ニュクレルからなる19.0cm×17.0cm×100μmのシートの中央に、18.5cm×16.5cm×100μmの開口を形成した四角環状の樹脂シートを準備した。そして、この樹脂シートを、対極の環状部位に配置した。この樹脂シートを180℃で5分間加熱し溶融させることによって環状部位に接着し、対極上における環状部位に封止部形成材料を形成した。
【0095】
次いで、作用極を、FTO基板の多孔質酸化物半導体層側の表面が水平になるように配置し、封止部形成材料の内側に、メトキシプロピオニトリルからなる揮発性溶媒を主溶媒とし、ヘキシルメチルイミダゾリウムヨージドを0.1M、ヨウ素を0.2M、4−tert−ブチルピリジンを0.5M含む揮発系電解質を注入した。
【0096】
次に、封止部形成材料を形成した対極を作用極に対向させ、大気圧下で、作用極上の封止部形成材料と対極上の封止部形成材料とを重ね合わせた。そして、800Paの減圧下で、プレス機を用いて、封止部形成材料同士を、対極を介して5MPaで加圧しながら148℃で加熱して溶融させ、封止部を得た。こうして色素増感太陽電池を得た。
【0097】
得られた色素増感太陽電池について、SEMによって、集電配線の断面を観察したところ、集電配線にはガラスフリット部及び空隙が形成されていることが確認された。
【0098】
また集電配線と透明導電膜との間に空隙が形成されていることが確認された。
【0099】
さらに銀粒子の平均粒径および空隙率について求めた。結果を表1に示す。
【0100】
さらにまた、接触部について、元素マッピング装置(ZEISS社製、ULTRA 55)を用いて元素マッピング分析を行ったところ、接触部が、銀と錫との合金からなる銀錫合金部を有することが確認された。
【0101】
(実施例2)
銀粒子の平均粒径を表1に示す通り、0.8μmから10μmに変更し、集電配線における空隙率を表1に示す通り15%から35%に変更したこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を得た。
【0102】
得られた色素増感太陽電池について、実施例1と同様にして、集電配線の断面を観察したところ、集電配線にはガラスフリット部及び空隙が形成されていることが確認された。
【0103】
また集電配線と透明導電膜との間にも空隙が形成されていることが確認された。
【0104】
さらに、接触部について、実施例1と同様に、元素マッピング分析を行ったところ、接触部が銀と錫との合金からなる銀錫合金部を有することが確認された。
【0105】
(実施例3)
銀ペーストにガラスフリットを配合せず、集電配線における空隙率を表1に示す通り15%から10%に変更したこと以外は実施例1と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0106】
得られた色素増感太陽電池について、実施例1と同様にして集電配線の断面を観察したところ、集電配線には空隙が形成されていたものの、ガラスフリット部が形成されていないことが確認された。
【0107】
また集電配線と透明導電膜との間にも空隙が形成されていることが確認された。
【0108】
さらに接触部がガラスフリット部を有していないことも確認された。
【0109】
さらに、接触部について、実施例1と同様にして元素マッピング分析を行ったところ、接触部が銀と錫との合金からなる銀錫合金部を有することが確認された。
【0110】
(実施例4)
銀粒子の平均粒径を表1に示す通り、0.8μmから2.0μmに変更し、集電配線における空隙率を表1に示す通り10%から11%に変更したこと以外は実施例3と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0111】
得られた色素増感太陽電池について、実施例1と同様にして、集電配線の断面を観察したところ、集電配線には空隙が形成されていたものの、ガラスフリット部が形成されていないことが確認された。
【0112】
また集電配線と透明導電膜との間にも空隙が形成されていることが確認された。
【0113】
さらに接触部がガラスフリット部を有していないことも確認された。
【0114】
さらにまた、接触部について、実施例1と同様に、元素マッピング分析を行ったところ、接触部が銀と錫との合金からなる銀錫合金部を有することが確認された。
【0115】
(実施例5)
銀粒子の平均粒径を表1に示す通り、0.8μmから0.4μmに変更し、集電配線における空隙率を表1に示す通り10%から14%に変更したこと以外は実施例3と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0116】
得られた色素増感太陽電池について、実施例1と同様にして、集電配線の断面を観察したところ、集電配線には空隙が形成されていたものの、ガラスフリット部が形成されていないことが確認された。
【0117】
また集電配線と透明導電膜との間にも空隙が形成されていることが確認された。
【0118】
さらに接触部がガラスフリット部を有していないことも確認された。
【0119】
さらにまた、接触部について、実施例1と同様に、元素マッピング分析を行ったところ、接触部が銀と錫との合金からなる銀錫合金部を有することが確認された。
【0120】
(実施例6)
銀粒子の平均粒径を表1に示す通り、0.8μmから3.5μmに変更し、集電配線における空隙率を表1に示す通り10%から13%に変更したこと以外は実施例3と同様にして色素増感太陽電池を作製した。
【0121】
得られた色素増感太陽電池について、実施例1と同様にして、集電配線の断面を観察したところ、集電配線には空隙が形成されていたものの、ガラスフリット部が形成されていないことが確認された。
【0122】
また集電配線と透明導電膜との間にも空隙が形成されていることが確認された。
【0123】
さらに接触部がガラスフリット部を有していないことも確認された。
【0124】
さらにまた、接触部について、実施例1と同様に、元素マッピング分析を行ったところ、接触部が銀と錫との合金からなる銀錫合金部を有することが確認された。
【0125】
(比較例1)
銀ペーストを350℃、1時間で焼成を行うことにより集電配線を形成し、集電配線における空隙率を表1に示す通り15%から40%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、色素増感太陽電池を得た。
【0126】
得られた色素増感太陽電池について、実施例1と同様にして、集電配線の断面を観察したところ、集電配線には空隙及びガラスフリット部が形成されていることが確認された。
【0127】
また集電配線と透明導電膜との間にも空隙が形成されていた。
【0128】
さらに接触部はガラスフリット部を有していることも確認された。しかし、接触部について、実施例1と同様にして元素マッピング分析を行ったところ、銀と錫との合金からなる銀錫合金部が確認されなかった。
【0129】
[色素増感太陽電池の光電変換特性評価:評価1]
実施例1〜6及び比較例1で得られた色素増感太陽電池について、光電変換効率(η)を測定した。続いて、色素増感太陽電池について、JIS C8938 A−1に準拠した温度サイクル試験を行った後の光電変換効率(η)も測定した。そして、下記式:
光電変換効率の維持率(%)=η/η×100
に基づき、光電変換効率の維持率を算出した。結果を表1に示す。
【0130】
[透明導電膜に対する集電配線の剥離]
実施例1〜6及び比較例1で得られた色素増感太陽電池について、JIS C8938 A−1に準拠した温度サイクル試験を行った後、集電配線がFTO基板から剥離しているかどうかをSEMで観察した。結果を表1に示す。なお、表1において、一切剥離が観察されなかった色素増感太陽電池については「◎」と表示し、一部剥離が確認された色素増感太陽電池については「○」と表示し、完全に剥離が確認された色素増感太陽電池については「×」と表示した。そして、「◎」及び「○」と表示された色素増感太陽電池については合格とし、「×」と表示された色素増感太陽電池については不合格とした。

【表1】

【0131】
表1に示す結果より、実施例1〜6の色素増感太陽電池においては、FTO基板からの集電配線の剥離が一部確認されたものの、FTO基板からの集電配線の剥離は十分に抑制されていた。これに対し、比較例1の色素増感太陽電池では、集電配線がFTO基板から完全に剥離していた。
【0132】
そして、実施例1〜6の色素増感太陽電池は、比較例1の色素増感太陽電池に比べて、光電変換効率の維持率が高いことが分かった。
【0133】
よって、本発明の光電変換素子用電極は、集電配線の導電膜からの剥離を十分に抑制でき、優れた耐久性を光電変換素子に付与できることが確認された。
【符号の説明】
【0134】
10…作用極(光電変換素子用電極)
16…集電配線
17…配線保護層
51…銀粒子
52…銀錫合金部
53…ガラスフリット部
100…色素増感太陽電池(光電変換素子)
A…空隙
B…接触部
C…本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、錫を含有する導電膜と、
前記導電膜上に設けられ、銀粒子を含有する集電配線を有する配線部とを備え、
前記集電配線が、前記導電膜と接触する接触部を有し、
前記接触部が、銀と錫との合金からなる銀錫合金部を有し、
前記集電配線と前記導電膜との間で前記接触部に隣接して空隙が形成されている、
光電変換素子用電極。
【請求項2】
前記接触部が、ガラスフリットからなるガラスフリット部をさらに有する、請求項1に記載の光電変換素子用電極。
【請求項3】
前記配線部が、前記集電配線を覆って保護する配線保護層をさらに有する、請求項1又は2に記載の光電変換素子用電極。
【請求項4】
前記集電配線が空隙をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光電変換素子用電極。
【請求項5】
前記集電配線が、前記接触部に対し前記導電膜と反対側に設けられる本体部をさらに有し、前記本体部が、ガラスフリットからなるガラスフリット部をさらに含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の光電変換素子用電極。
【請求項6】
前記集電配線に占める前記空隙の割合である空隙率が30%以下である、請求項4に記載の光電変換素子用電極。
【請求項7】
前記銀粒子の平均粒径が0.3〜10μmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光電変換素子用電極。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の光電変換素子用電極を含む光電変換素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−51143(P2013−51143A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188844(P2011−188844)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】