光電子デバイス
パッシブマトリクス表示装置は、複数のアノードライン(4)と複数のカソードライン(3)との間に配置されたダイオードのアレイを備える。これらのダイオードのうちの少なくともいくつかのダイオードは、カソードラインおよびアノードラインに対して向きが順方向に配向された発光ダイオード(1)であり、また、これらのダイオードのうちの他のダイオードは、カソードラインおよびアノードラインに対して向きが逆方向に配向された光検知ダイオード(2)である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電子デバイス、光電子表示装置、および、それらの駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野では、様々なタイプの光電子表示装置が知られている。1つのタイプは、マトリクス状の発光ダイオード(LED)を含んでおり、例えば、有機または無機の単色表示装置あるいは多色表示装置で用いられる。
【0003】
光電子表示装置用の光電気デバイスの1つの種類は、発光(または、太陽電池などの場合には光検出)のために有機材料を使用するものである。これらのデバイスの基本的な構造は、カソードとアノードとの間に挟まれた発光有機層である。例えば、負電荷キャリア(電子)を有機層に注入(インジェクト)するためのカソードと正電荷キャリア(正孔)を有機層に注入するためのアノードとの間に挟まれたポリフェニレンビニレン(PPV)またはポリフルオレンの膜である。各電子および正孔は、有機層で結合されて光子を生成する。国際公開第90/13148号では、有機発光材料はポリマーである。米国特許第4,539,507号では、有機発光材料は、(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)など、小分子材料として知られている種類のものからなる。実際のデバイスでは、各電極のうちの1つは透過性を有し、光子がデバイスから逃げ出すことができるようにする。
【0004】
典型的な有機発光デバイス(OLED)は、インジウムスズ酸化物(ITO)など透過性のアノードで被覆されたガラス基板上またはプラスティック基板上に製造される。少なくとも1つのエレクトロルミネセント有機材料(EL有機材料)の薄膜の層が、第1の電極を覆う。最後に、カソードが、エレクトロルミネセント有機材料の層を覆う。通常、カソードは金属または合金であり、アルミニウムなどの単一層、または、カルシウムとアルミニウムなどの複数の層を含んでもよい。
【0005】
動作において、正孔はアノードを介してデバイスに注入され、電子はカソードを介してデバイスに注入される。各正孔および電子は、有機エレクトロルミネセント層(有機EL層)内で結合されて、励起子(エキシトン)を形成し、次いで励起子は放射崩壊を経て光を放出する。
【0006】
有機LEDは、基板上でマトリクス状の画素に形成されて、単色のまたは多色の画素表示装置を形成してもよい。多色表示装置は、赤、緑および青の発光画素群を使用して構成してもよい。いわゆるアクティブマトリクス表示装置は、各画素に関連した記憶素子を有し、典型的には蓄積コンデンサおよびトランジスタを有する。いわゆるパッシブマトリクス表示装置は、こうした記憶素子を有しておらず、その代わりに繰り返し走査(スキャン)されて、安定した画像の効果を与える。
【0007】
図1には、発光ダイオードのアレイを備えるパッシブマトリクス表示装置が示されている。複数の発光ダイオードは、複数のアノードラインと複数のカソードラインとの間に配置され、それらのアノードラインとカソードラインに接続されている。アノードラインとカソードラインは、ダイオードを駆動するための電気的なバイアスを加える。アノードラインはカソードラインに対して正にバイアスされ、カソードラインはアノードラインに対して負にバイアスされる。
【0008】
図2には、OLEDデバイス100の一例の縦断面図が示されている。アクティブマトリクス表示装置では、画素の領域の一部分が、関連する駆動回路(図1には図示せず)で占められている。デバイスの構造は、例示するためにいくらか簡略化してある。
【0009】
OLED100は、基板102を備えている。基板は、通常0.7mmまたは1.1mmのガラス製であるが、場合によっては透明なプラスティック製である。この基板上にアノード層106が形成される。通常、アノード層は、約150nm厚のITO(インジウムスズ酸化物)を含み、その上に、通常約500nmのアルミニウムの金属接触層が設けられている。このアルミニウムのような金属は、アノード金属と呼ばれることがある。ITOおよび接触金属で被覆されたガラス基板は、米国Corningから購入することができる。接触金属(および場合によってはITO)は、表示装置を見えにくくしないように、従来プロセスによるフォトリソグラフィとそれに続くエッチングにより、所望のパターニングがなされている。
【0010】
アノード金属上には、実質上透明な正孔輸送層108aが設けられ、それに続いてエレクトロルミネセント層(EL層)108bが設けられる。例えばポジまたはネガのフォトレジスト材料からバンク112を基板上に形成して、凹部(ウェル)114を画定してもよい。凹部114には、例えば液滴付着またはインクジェット印刷の技法により、これらのアクティブ状態にある有機層を選択的に形成してもよい。したがって、これらの凹部は、表示装置の発光領域すなわち画素を画定する。
【0011】
次いで、カソード層110が、例えば物理的な蒸着によって加えられる。通常、カソード層は、カルシウムまたはバリウムなど仕事関数の低い金属で構成される。カソード層は、アルミニウムのより厚いキャッピング層で覆われ、また場合によっては追加の層を備える。追加の層は、電子エネルギーレベルマッチングを改善するために、フッ化リチウムの層などエレクトロルミネセント層のすぐ近くに隣接している。
【0012】
ある種の用途では、発光機能ではなく光検知機能を有する装置、例えば太陽電池、カメラなどを実現することが望ましい。このような装置としては、光検知ダイオードデバイスが知られており、発光ダイオードデバイスと構造が非常に似ている。光検知ダイオードは、本質的に、前述の発光ダイオードとは逆の働きをする。光検知ダイオードデバイスに衝突する光の光子は、デバイスの光電気的にアクティブ状態にある層の中で正孔と電子を含む励起子を生成する。対向する電極を介して光電気的にアクティブ状態にある層にバイアスが加えられる場合、正孔と電子は、対向する電極を介して光電気的にアクティブ状態にある層から抽出され、電流を生じさせることが可能であり、この電流は、適切な検知回路で検知することができる。正孔は、負にバイアスされた電極を介して抽出され、電子は、正にバイアスされた電極を介して抽出されることになる。大きなバイアスを必要とすることなく、各電極が正孔および電子を容易に抽出するように、適切な材料が選択される。正にバイアスされた電極では、電子受容性材料を選択しなければならず、負にバイアスされた電極では、正孔受容性材料を選択しなければならない。通常、発光デバイスにおいて良好な正孔インジェクタである材料(アノード材料)はまた、光検知デバイスにおいて良好な正孔アクセプタの役割を果たす。同様に、発光デバイスにおいて良好な電子インジェクタである材料(カソード材料)は、光検知デバイスにおいて良好な電子アクセプタの役割を果たす。したがって、光検知デバイスでは、負にバイアスされた電極(カソード)は、容易に正孔を受け取るために、有利にはアノード材料から作られ、正にバイアスされた電極(アノード)は、有利にはカソード材料から作られる。
【0013】
ある種の用途では、発光画素と光検知/光検出画素の両方が配置されたデバイスを実現することが望ましい。こうしたデバイスの一例はタッチスクリーンである。タッチスクリーンは、複数の光検知画素が組み込まれたアレイ内に、複数の発光画素を含んでもよい。ユーザの指がこうした表示装置に隣接して置かれると、表示装置から放射される光は反射して戻され、ユーザの指に隣接する検知画素のうちの1つまたは複数の検知画素によって検出することができる。あるいは、外部の光源、例えばライトペンなど他の駆動機構を使用して、こうした表示装置内の光検知画素を駆動することができる。駆動装置(アクチュエータ)の位置は、どの検知画素を駆動するのかを決定することになる。この機能を使用して、例えば、デバイス上に表示されるアイコンを選択することができ、またはデバイス上に表示されるメニューから選択肢を選択することができる。
【0014】
発光画素と光検知画素の両方を備えるアクティブマトリクス発光ダイオード表示デバイスが知られている。しかし、それらのデバイスは複雑な回路を備え、したがって複雑な製造プロセスが必要になり、その結果、製造コストが相対的に高くなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第90/13148号
【特許文献2】米国特許第4,539,507号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の各実施形態は、従来技術における前述の問題を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本出願人は、より簡略で安価な表示デバイスを実現することを提示する。この表示デバイスは、タッチスクリーン等として使用するために、発光と光検知の両方の機能を組み込んだものである。
【0018】
この目的を達成するために、本出願人は、この問題に対する1つの解決策が(アクティブマトリクス表示装置ではなく)パッシブマトリクス発光ダイオード表示装置を使用することであることを認識した。パッシブマトリクス発光ダイオード表示装置は、図1に示す表示装置に似ているが、複数のダイオードのうちの少なくともいくつかのダイオードが表示装置への光入射を検出するために使用されている。すなわち、複数のダイオードのうちの少なくともいくつかのダイオードに検知回路を接続して、デバイス上に衝突する光を検出してもよい。
【0019】
この解決策についての1つの問題は、パッシブマトリクスダイオード表示装置が、アクティブマトリクス表示装置と同様の各ダイオードに対する個々の回路を備えていないことである。各ダイオードは、カソードラインとアノードラインの共通のアレイの間に配置され、走査(スキャン)されるときには同じ方向にバイアスされる。したがって、光子がダイオードのうちの1つに衝突し、ダイオードの光電気的にアクティブ状態にある層の中で電子/正孔の対(励起子)が生成される場合、電子は、正にバイアスされた電極に向かって引き寄せられることになり、この電極は正孔注入材料から作製される正孔注入電極になる。同様にして、光子によって生成される正孔は、負にバイアスされた電極に引き寄せられることになり、この電極は、電子注入材料から作製される電子注入電極になる。正孔注入材料は、電子を容易に受け入れることがなく、また電子注入材料は、正孔を容易に受け入れることがないので、この場合、入射光によって形成される電荷担体により生成される電流は、ほとんどないか、または全くない。したがって、各ダイオードは、有効なセンサの役割を果たさない。さらに、やはりダイオードが光を放射しようとしているとき(順バイアスされている場合)、放射と検出の機能は分離することが不可能であり、スイッチオンになることが望まれていないダイオードをオンにしてしまうことがあり得る。
【0020】
本出願人は、表示装置内の複数のダイオードのうちのいくつかのダイオードを逆バイアスすることにより、前述の問題を部分的に解決することができることに気づいた。例えば、図1を参照すると、簡単な標準のパッシブマトリクス表示装置では、複数の画素は、第1の行の電極を(各列に対して)負の電位に保持し、各列の電極に正のバイアスを加えて、その第1の行にわたって各ダイオードを順番にオンにすることによって、走査(スキャン)されてもよい。続いて、第2の行の電極を負の電位に保持し、各列の電極に正のバイアスを加えて、その第2の行にわたって各ダイオードを順番にオンにすることなどができる。しかしながら、これらの列の電極のうちのいくつかの電極に、行に対して負のバイアスが与えられる場合には(すなわち、電子がこれらの列の電極から行の電極に流れるような、より負の電位では)、これらの列にある各ダイオードは、逆バイアスされることになり、発光体ではなく光検出器の働きをすることができる。例えば、ダイオードの交互の列は、このようにして逆バイアスにすることもできる。
【0021】
前述の構成に関連する1つの問題は、発光ダイオードを順バイアスにするために行の電極が相対的に負の電位に保持されるので、検出ダイオードを逆バイアスにするために、これらの列の電極に比較的大きな負の電位を課さなければならないことである。このことは非効率であり、消費電力を増大させ、各ダイオードの寿命を短縮することにつながる。さらに、検出ダイオードの感度が低いこともある。
【0022】
したがって、本出願人は、前述の解決策が実現可能であることを認識していたが、先に述べた通り、この解決策に関して問題が存在する。
【0023】
本発明の一態様によれば、上記を考慮して、複数のアノードラインと複数のカソードラインとの間に配置されたダイオードのアレイを備えるパッシブマトリクス表示装置が提供される。複数のダイオードのうちの少なくともいくつかのダイオードは、カソードラインおよびアノードラインに対して順方向に配向された発光ダイオードであり、複数のダイオードのうちの他のダイオードは、カソードラインおよびアノードラインに対して逆方向に配向された光検知ダイオードである。
【0024】
アノードラインは、カソードラインに対して正にバイアスするように構成することができる。表示装置は、アノードラインおよびカソードラインに接続された駆動回路を備え、アノードラインをカソードラインに対して正にバイアスするように構成されてもよい。
【0025】
ダイオードは、アノードと、カソードと、それらの間に配置された光電気的にアクティブ状態にある材料と、を備えてもよい。
【0026】
光を放射するために順方向に配向されたダイオードは、アノードラインに隣接しアノードラインに電気接続して配置されたアノードと、カソードラインに隣接しカソードラインに電気接続して配置されたカソードを有する。これらのダイオードのアノードは、正電荷キャリア(例えば正孔)を注入するのに適した材料から作製され、これらのダイオードのカソードは、負電荷キャリア(例えば電子)を注入するのに適した材料から作製される。
【0027】
それとは対照的に、光を検出するために逆方向に配向されたダイオードは、カソードラインに隣接しカソードラインに電気接続して配置されたアノードの層と、アノードラインに隣接しアノードラインに電気接続して配置されたカソードを有する。これらのダイオードのアノードは、正電荷キャリア(例えば正孔)を受け入れるのに適した材料から作製され、これらのダイオードのカソードは、負電荷キャリア(例えば電子)を受け入れるのに適した材料から作製される。すなわち、光を検出するダイオードは効果的に反転され、これにより、ダイオードに電気バイアスを供給するカソードラインとアノードラインに関して、発光ダイオードとは逆方向に配向されている。すなわち、光検知ダイオードは、ダイオードをバイアスするカソードラインとアノードラインに関して、物理的に逆向きである。これは、すべてのダイオードが同じ方向に配向されている図1に示した構成とは対照的である。
【0028】
本発明との関連で、光検知ダイオードに関して、カソードおよびアノードという用語は、これらの層で使用される材料の固有特性を指すことに留意されよう。したがって、カソードは、電子を容易に受け入れる材料から作製されるが、アノードは、正孔を容易に受け入れる材料から作製される。発光ダイオードとは対照的に、光検知ダイオードでは、カソードは、アノードラインと実際に接触しており、正にバイアスされるが、アノードは、カソードラインと実際に接触しており、負にバイアスされる。
【0029】
前述の実施形態は、追加の回路構成部品を必要とせず、したがって表示装置の製造がより容易であるという点で、従来技術のアクティブマトリクス表示装置に関して前述の問題を解決するものである。したがって、本発明の表示装置は、製造コストがより低い。さらに、こうした構成により、カソードラインおよびアノードラインに関してすべてのダイオードが同じ方向に配向されているパッシブマトリクス表示装置に関連する前述の問題が克服される。本発明の表示装置は、より効率的になり、消費電力がより低く、寿命が長く、感度がより良好になり、オンにすることが望ましくないダイオードのスイッチオンの問題が改善されることになる。
【0030】
前述の構成では、ダイオード自体が逆向きなので、検知機能を実現するために走査/駆動ラインのうちのあるラインのバイアスを逆にする必要はない。したがって、すべての走査ラインは、同じ方向にバイアスすることができ、カソードラインおよびアノードラインに対して光検知ダイオードの配向が逆なので、光検知ダイオードの逆バイアスが自然に生じることになる。
【0031】
カソードラインおよびアノードラインに関して光検知ダイオードの配向を逆向きにすることは、2つの異なる方式で実現することができる。すなわち、(1)光検知ダイオードの層は、発光ダイオードに対して逆向きにすることができる。それにより、アノードラインは、ダイオードアレイの一方の側に配置され、カソードラインは、ダイオードアレイのもう一方の側に配置される。そして、発光ダイオードは、アノードラインに隣接するアノード材料とカソードラインに隣接するカソード材料とで形成され、光検知ダイオードは、カソードラインに隣接するアノード材料とアノードラインに隣接するカソード材料で形成される。または、(2)光検知ダイオードの層は、発光ダイオードと同じ順序で配置されるが、カソードラインおよびアノードラインは経路が指定される。それにより、カソードラインは、光検知ダイオードのアノードとは接触せずに発光ダイオードのカソードと接触し、アノードラインは、光検知ダイオードのカソードとは接触せずに発光ダイオードのアノードと接触するように配置される。このように、ダイオードの積層構造を逆向きにしてもよく、または、カソードラインおよびアノードラインの経路を再設定して、カソードラインおよびアノードラインに対して光検知ダイオードおよび発光ダイオードの配向を逆向きにすることができる。
【0032】
本発明の一実施形態では、光検知ダイオードの配向を逆向きにするために、光検知ダイオードの1つまたは複数の層がドープされる。
【0033】
光電気的にアクティブ状態にある層との間で電子を効率的に注入/受入するために、カソードは、3.5eVより小さい仕事関数、より好ましくは3.2eVより小さい仕事関数、もっとも好ましくは3eVより小さい仕事関数を有する。
【0034】
光電気的にアクティブ状態にある層との間で正孔を効率的に注入/受入するために、アノードは、3.5eVより大きい仕事関数、より好ましくは4.0eVより大きい仕事関数、もっとも好ましくは4.5eVより大きい仕事関数を有する。
【0035】
しかし、一実施形態によれば、光検知ダイオードのアノードおよびカソードに使用される材料は同じでもよい。この材料は、電子受容体または正孔受容体のいずれかの役割を果たすことができるように、中間の仕事関数を有するように選択されることが好ましい。例えば、この材料は、3〜4.5eVの範囲の仕事関数、より好ましくは3.2〜4.3eVの範囲の仕事関数、もっとも好ましくは3.5〜4.3eVの範囲の仕事関数を有してもよい。こうした材料の一例はアルミニウムである。
【0036】
カソードラインとアノードラインは、列と行に配置してもよい。列/行のうちにあるものは、検知するために逆向きに配向されたダイオードを備えてもよい。例えば、交互に並んだ列または行は、検知するために逆向きに配向されたダイオードを備えてもよい。
【0037】
光検知ダイオードは、基板上の発光ダイオードと並んで配置してもよい。あるいは、光検知ダイオードは、積み重ねた構成で発光ダイオードの上または下に配置してもよい。例えば、光検知ダイオードは、発光ダイオードの上面に積み重ねてもよい。この結果として、タッチスクリーン表示装置の感度がより高くなる。
【0038】
積み重ねた構成により、発光ダイオードから反射してデバイスに戻る光の検出精度を向上させることができる。さらに、発光ダイオードおよび/または光検知ダイオードが横に並んで配置されている場合にそうであるように、発光ダイオードおよび/または光検知ダイオードの数を減らす必要はないので、表示装置の発光領域および/または検知領域を増大させることができる。したがって、横に並べた構成と比較すると、同じサイズの表示装置に対してより多くの光検知部(センサ)および発光体を利用してもよい。
【0039】
それとは対照的に、垂直に積み重ねた構成と比較すると、光検知ダイオードと発光ダイオードの横に並べた構成は、薄い表示装置、例えば薄いフレキシブルディスプレイを製造する際に有利になることがある。さらに、積み重ねた構成と比較すると、横に並べた構成では、表示装置内での光(例えば、光電気的にアクティブ状態にある層から放射された光)の吸収は、低減されることがある。
【0040】
光検知ダイオードおよび/または発光ダイオードは、光電気的にアクティブ状態にある層とアノードおよび/またはカソードとの間の電荷輸送層および/または追加の電荷注入層を備えてもよい。例えば、正孔輸送材料は、アノードと光電気的にアクティブ状態にある層との間に設けることができる。電子輸送材料は、カソードと光電気的にアクティブ状態にある層との間に設けることができる。アノードに隣接する正孔注入層/受入層などの追加の層、またはカソードに隣接する電子注入層/受入層を設けてもよい。
【0041】
本発明の他の態様によれば、発光ダイオードデバイスが提供される。この発光ダイオードデバイスは、一方を他方の上に積み重ねた発光ダイオードと光検知ダイオードを含む発光ダイオードデバイスが提供される。これは、照明されたタッチセンシティブボタンなどの簡略なデバイスでもよく、または、前述の表示装置などのより複雑なデバイスでもよい。前述の通り、各ダイオードは、アノード材料の層と、カソード材料の層と、それらの間に配置された光電気的にアクティブ状態にある材料と、を含んでもよい。駆動回路は、発光ダイオード内のカソード材料の層を負にバイアスし、発光ダイオード内のアノード材料の層を正にバイアスし、光検知ダイオード内のアノード材料の層を負にバイアスし、光検知ダイオード内のカソード材料の層を正にバイアスするように適合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
次に、添付図面を参照しながら、ほんの一例として本発明の各実施形態を説明する。
【0043】
【図1】図1は、すべてのダイオードが同じ向きに配向されている、典型的な従来技術のパッシブマトリクスアレイにおけるダイオードの標準構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示したようなパッシブマトリクス表示装置の縦断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態によるパッシブマトリクス表示装置内の光検知ダイオードおよび発光ダイオードのアレイ構造を示す図である。
【図4】図4は、光検知ダイオードの配向を逆向きにすることが、アノードラインおよびカソードラインの経路を再指定(リルート)することによってもたらされる、本発明の一実施形態によるOLEDデバイスの断面図である。
【図5】図5は、光検知ダイオードの配向を逆向きにすることが、各ダイオードの積層構造を逆向きにすることによってもたらされる、本発明の一実施形態によるOLEDデバイスの断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による発光ダイオードのエネルギーレベルを示す図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態によりその配向が逆向きになった光検知ダイオードのエネルギーレベルを示す図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態により両方の電極に同じ材料が使用されている光検知ダイオードのエネルギーレベルを示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態によって使用することができるドープ層ダイオードの断面図である。
【図10a】図10aは、本発明の一実施形態による発光ダイオードおよび光検知ダイオードの垂直スタック構成を示す図である。
【図10b】図10bは、本発明の一実施形態による発光ダイオードおよび光検知ダイオードの垂直スタック構成を示す図である。
【図11a】図11aは、本発明の一実施形態による垂直スタック構成の上面図である。
【図11b】図11bは、本発明の一実施形態による垂直スタック構成の上面図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態によって使用することができるポリマーブレンドを含む光検知ダイオードを示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態によって使用することができる別の光検知ダイオードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図3は、本発明の一実施形態によるパッシブマトリクス表示装置内の発光ダイオード1および光検知ダイオード2のアレイ構造を示す図である。図1に示す従来技術の構成を相互参照することで分かるように、図3の構成は、光検知ダイオード2が発光ダイオード1と逆向きに配向されている点で異なる。これらのダイオードは、カソードライン3の行(横行)とアノードライン4の列(縦列)との間に配置されている。
【0045】
この構造は、一度に1行ずつアドレス指定される。この場合、3つの電圧レベルが定義可能である。グラウンドレベルVgndは、ゼロボルトに等しく、光検知ダイオードのバイアスレベルVsは、例えば20ボルトであり、発光ダイオード用の典型的な駆動電圧Vdは、(発光ダイオードは電流駆動されることがあるが)、グラウンドレベルとVsの間にあってもよい。ある行が駆動されるとき、その行はグラウンドレベル電圧に固定され、他のすべての行はVsに設定される。光検知部(センサ)の列は、走査中にはVsで駆動され、生成される任意の電流は、検知回路で測定することができる。発光体の列は、駆動電圧Vdで駆動され、この電圧により、電子は順方向に流れ、光が放出される。
【0046】
オフ状態の行にある光検知ダイオードは、ゼロバイアスを有することになり、したがって、入射光からは電流を殆どまたは全く生成しない。
【0047】
オフ状態の行にある発光ダイオードは、逆バイアスになり、したがってオフになる。オフ状態の行にある発光ダイオードを逆バイアスにするために、VdはVsより小さいことが好ましいが、VdはVsと等しくなることもでき、または、発光ダイオードを駆動するのに必要とされる閾値電圧を超えない量だけVsよりも大きくなることもできる。
【0048】
オン状態の行にある光検知ダイオードは、Vsだけ逆バイアスになり、したがって、これらのダイオードに入射する光を検出するための量子効率が改善される。電圧をVsに保持しているとき、電流が生成され、光を検出することができる。
【0049】
オン状態の行にある発光ダイオードは、Vdだけ順バイアスになり、したがって、光を放出する。
【0050】
発光ダイオードが放出する光は、スクリーンに近接しているまたは触れている任意の対象物に当たるが、反射して光検知ダイオードに戻ることになる。
【0051】
この方法に対する変形例として、オフ状態の行をVsマイナス検知ダイオード固有の電圧に保持することができ、したがって、いかなる光電流も抑制することができる。
【0052】
図4には、カソードラインとアノードラインに関して光検知ダイオードを逆向きに配向することができる一つの手法が示してある。これは、図4に示すように、アノードライン4とカソードライン3の経路を再指定し、その結果、それらが交互にダイオードのアノード5とカソード7に接することによって達成される。光電気的にアクティブ状態にある材料6は、アノード5とカソード7の間に配置されている。このように、各ダイオードは、下側のアノード5と、光電気的にアクティブ状態にある層6と、カソード7とで構成されている。発光ダイオード1では、カソードライン3がカソード7に接触し、アノードライン4がアノード5に接触する。光検知ダイオード2では、カソードラインがアノード5に接触し、アノードラインがカソード7に接触する。バンク材料8にバイアスを加えて、これらの電極ラインがダイオードの交互に並んだ端子に接触するようにしてもよい。
【0053】
図4に示した構成には、交互に並んだ発光部と光検知部の列が示してある。しかし、他の構成を考えることもできる。例えば、交互に並んだ行を設けることもでき、またはより少ない光検知ダイオードを設けて、表示装置内の発光ダイオードの数を増加させることもできる。
【0054】
図5には、光検知ダイオードの配向を逆向きにすることが、ダイオードの積層構造を逆向きにすることによってもたらされる、本発明の別の実施形態によるOLED表示装置の断面図が示してある。この構成では、カソードライン3は、ダイオードアレイの片側にとどまり、アノードライン4は、ダイオードアレイの反対側にとどまる。光検知ダイオード2の逆配向は、カソード材料7をアノードライン4に隣接して配置すること、およびアノード材料5をカソードライン3に隣接して配置することによって達成される。それとは対照的に、発光ダイオードでは、アノード材料5はアノードライン4に隣接して配置され、カソード材料7はカソードライン3に隣接して配置される。
【0055】
図6には、本発明の一実施形態による発光ダイオードのエネルギーレベルが示してある。例えば、ITOのアノード5およびバリウムのカソード7を使用してもよい。アノード5は、アノードライン4によって正にバイアスされ、カソード7は、カソードライン3によって負にバイアスされる。したがって、正に帯電した正孔は、アノード5からHOMOレベルの光電気的にアクティブ状態にある材料に注入される。同様に、電子は、カソード7からLUMOレベルの光電気的にアクティブ状態にある材料に注入される。正孔と電子は、光電気的にアクティブ状態にある材料中で結合して、励起子を形成し、励起子が放射崩壊すると光が放出される。
【0056】
図7には、本発明の一実施形態によりその配向が逆向きになった光検知ダイオードのエネルギーレベルが示してある。この場合、ダイオード内のカソード材料7は、アノードライン4によって正にバイアスされ、ダイオード内のアノード材料5は、カソードライン3によって負にバイアスされる。したがって、光の光子の吸収により、光電気的にアクティブ状態にある層の中で励起子が形成されるとき、電子はカソード材料7に向けてバイアスされ、正孔はアノード材料5に向けてバイアスされる。電子はカソード材料7が受け入れ、正孔はアノード材料5が受け入れる。したがって、電荷は、ダイオードから流れ出て、検出することのできる電流を生成する。
【0057】
図8には、両方の電極に同じ材料を使用している光検知ダイオードのエネルギーレベルが示してある。この場合、アルミニウムを使用してもよい。ダイオードは、図7に示すのと同様な働きをする。光電気的にアクティブ状態にある材料のHOMOおよびLUMOと、アノード材料5およびカソード材料7のフェルミ準位とのエネルギーレベルのマッチングは、図7の構成ほど良好ではなく、このように、測定可能な電流を生成するためにより大きなバイアス電圧が必要になることがあるが、両方の電極に同じ材料を使用することの簡潔さは、用途によっては有利になることがある。
【0058】
光電気的にアクティブ状態にある層と電極との間に追加の電荷輸送層を挿入することにより、より良好なエネルギーレベルマッチングを達成することができる。例えば、図9には、ドープn型の層10がカソード7に隣接して配置され、ドープp型の層12がアノード5に隣接して配置されている構成が示してある。光検知ダイオードおよび/または発光ダイオードを製造する特に有用な1つの方法は、正孔輸送材料と電子輸送層の混合物を溶液から形成することを必要とし、正孔輸送材料と電子輸送材料は相分離していて、正孔輸送層および電子輸送層を形成する。光電気的にアクティブ状態にある材料6はまた、混合物中で形成してもよく、相分離して図9に示すような別々の層になってもよく、または正孔輸送層もしくは電子輸送層のうちの1つの中に残ってもよい。
【0059】
図10aには、発光ダイオード1および光検知ダイオード2の垂直スタック構成(垂直に積み重ねた構成)が示してある。図示した構成では、発光ダイオード1は光検知ダイオード2の上面に配置されるが、光検知ダイオードが発光ダイオードの上面に配置されるように構成を逆にすることもできる。
【0060】
図に示す積み重ねた構成では、光検知ダイオード2は、カソードラインCと接触している下側のアノード電極5(例えばアルミニウム)を備える。したがって、光検知ダイオード2は、その上に配置される光電気的にアクティブ状態にある層6から正電荷キャリアを受け入れるために負にバイアスされる。光電気的にアクティブ状態にある層6は、下側の電極5の上に配置される。上側のカソード電極7(例えばアルミニウム)は、光電気的にアクティブ状態にある層6の上に配置される。上側のカソード電極7は、アノードラインBと接触しており、したがって、光電気的にアクティブ状態にある層6から負電荷キャリアを受け入れるために正にバイアスされている。図に示した実施形態では、光検知ダイオード2のアノード5およびカソード7は、同じ材料、例えばアルミニウムから作製される。しかし、それらは、前述のように異なる材料から作製してもよい。
【0061】
発光ダイオード1のアノード5(例えばITO)が、光検知ダイオード2の上に配置されている。このアノード5は、アノードラインBと接触しており、したがって、その上に配置された光電気的にアクティブ状態にある層6に正電荷キャリアを注入するために正にバイアスされている。発光ダイオード1のカソード7(例えばバリウム)は、光電気的にアクティブ状態にある層6の上に配置されており、発光ダイオード1の光電気的にアクティブ状態にある層6に負電荷キャリアを注入するためにカソード7を負にバイアスするようにカソードラインAと接触している。
【0062】
図10bには、図10aに示した構成におけるエネルギーレベル図が示してあり、電荷の蓄積、放射および吸収の動きが示してある。
【0063】
図11aおよび11bには、垂直スタック構成の平面図が示してあり、カソードラインA、CおよびアノードラインBの配向を示している。
【0064】
他の積み重ねた構成も考えられることが理解されよう。例えば、バイアスラインA、Cは、正にバイアスされているアノードラインでもよく、バイアスラインBは、負にバイアスされているカソードラインでもよい。この場合、光検知ダイオードの底面の電極はカソード材料を含んでもよく、光検知ダイオードの上面の電極はアノード材料を含んでもよく、発光ダイオードの底面の電極はカソード材料を含んでもよく、発光ダイオードの上面の電極はアノード材料を含んでもよい。
【0065】
上側に重なる層の形成と関連する処理ステップのために、バッファ層を利用して下側に重なる層を保護してもよい。
【0066】
ポリマーブレンドを含むダイオードが図12に示してある。ダイオードは、アノード5(例えばITO)と、正孔注入層(例えばPEDOT)13と、ポリマーブレンド層15と、カソード7(例えばAlまたはLiF)を備える。ポリマーブレンド層15は、発光成分および電荷輸送成分などの他の成分を含む。電子輸送層および正孔輸送層を含む多層構造を備えるダイオードが、図13に示してある。ダイオードは、アノード5、正孔注入層13、正孔輸送層17、電子輸送層19、およびカソード7を含む。これらのダイオードは、本発明の実施形態のダイオード向けに利用してもよい。
【0067】
光検知ダイオードの光電気的にアクティブ状態にある材料が、発光ダイオードから直接放射される光を吸収せずに、例えば、外部光源(例えばライトペン)またはデバイスに隣接する外部体からの反射によって生成される異なる周波数の光を吸収するように、発光ダイオードおよび光検知ダイオードの光電気的にアクティブ状態にある材料は、選択されてもよい。発光ダイオードおよび光検知ダイオード用の材料は、当技術分野でよく知られており、本明細書の教示を考慮すれば、当業者であればこうした選択を容易に行うこともできるはずである。
【0068】
本発明は、その好ましい実施形態に関して具体的に図示し説明してきたが、添付特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更を本発明に加えてもよいことが当業者には理解されよう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電子デバイス、光電子表示装置、および、それらの駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
この技術分野では、様々なタイプの光電子表示装置が知られている。1つのタイプは、マトリクス状の発光ダイオード(LED)を含んでおり、例えば、有機または無機の単色表示装置あるいは多色表示装置で用いられる。
【0003】
光電子表示装置用の光電気デバイスの1つの種類は、発光(または、太陽電池などの場合には光検出)のために有機材料を使用するものである。これらのデバイスの基本的な構造は、カソードとアノードとの間に挟まれた発光有機層である。例えば、負電荷キャリア(電子)を有機層に注入(インジェクト)するためのカソードと正電荷キャリア(正孔)を有機層に注入するためのアノードとの間に挟まれたポリフェニレンビニレン(PPV)またはポリフルオレンの膜である。各電子および正孔は、有機層で結合されて光子を生成する。国際公開第90/13148号では、有機発光材料はポリマーである。米国特許第4,539,507号では、有機発光材料は、(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)など、小分子材料として知られている種類のものからなる。実際のデバイスでは、各電極のうちの1つは透過性を有し、光子がデバイスから逃げ出すことができるようにする。
【0004】
典型的な有機発光デバイス(OLED)は、インジウムスズ酸化物(ITO)など透過性のアノードで被覆されたガラス基板上またはプラスティック基板上に製造される。少なくとも1つのエレクトロルミネセント有機材料(EL有機材料)の薄膜の層が、第1の電極を覆う。最後に、カソードが、エレクトロルミネセント有機材料の層を覆う。通常、カソードは金属または合金であり、アルミニウムなどの単一層、または、カルシウムとアルミニウムなどの複数の層を含んでもよい。
【0005】
動作において、正孔はアノードを介してデバイスに注入され、電子はカソードを介してデバイスに注入される。各正孔および電子は、有機エレクトロルミネセント層(有機EL層)内で結合されて、励起子(エキシトン)を形成し、次いで励起子は放射崩壊を経て光を放出する。
【0006】
有機LEDは、基板上でマトリクス状の画素に形成されて、単色のまたは多色の画素表示装置を形成してもよい。多色表示装置は、赤、緑および青の発光画素群を使用して構成してもよい。いわゆるアクティブマトリクス表示装置は、各画素に関連した記憶素子を有し、典型的には蓄積コンデンサおよびトランジスタを有する。いわゆるパッシブマトリクス表示装置は、こうした記憶素子を有しておらず、その代わりに繰り返し走査(スキャン)されて、安定した画像の効果を与える。
【0007】
図1には、発光ダイオードのアレイを備えるパッシブマトリクス表示装置が示されている。複数の発光ダイオードは、複数のアノードラインと複数のカソードラインとの間に配置され、それらのアノードラインとカソードラインに接続されている。アノードラインとカソードラインは、ダイオードを駆動するための電気的なバイアスを加える。アノードラインはカソードラインに対して正にバイアスされ、カソードラインはアノードラインに対して負にバイアスされる。
【0008】
図2には、OLEDデバイス100の一例の縦断面図が示されている。アクティブマトリクス表示装置では、画素の領域の一部分が、関連する駆動回路(図1には図示せず)で占められている。デバイスの構造は、例示するためにいくらか簡略化してある。
【0009】
OLED100は、基板102を備えている。基板は、通常0.7mmまたは1.1mmのガラス製であるが、場合によっては透明なプラスティック製である。この基板上にアノード層106が形成される。通常、アノード層は、約150nm厚のITO(インジウムスズ酸化物)を含み、その上に、通常約500nmのアルミニウムの金属接触層が設けられている。このアルミニウムのような金属は、アノード金属と呼ばれることがある。ITOおよび接触金属で被覆されたガラス基板は、米国Corningから購入することができる。接触金属(および場合によってはITO)は、表示装置を見えにくくしないように、従来プロセスによるフォトリソグラフィとそれに続くエッチングにより、所望のパターニングがなされている。
【0010】
アノード金属上には、実質上透明な正孔輸送層108aが設けられ、それに続いてエレクトロルミネセント層(EL層)108bが設けられる。例えばポジまたはネガのフォトレジスト材料からバンク112を基板上に形成して、凹部(ウェル)114を画定してもよい。凹部114には、例えば液滴付着またはインクジェット印刷の技法により、これらのアクティブ状態にある有機層を選択的に形成してもよい。したがって、これらの凹部は、表示装置の発光領域すなわち画素を画定する。
【0011】
次いで、カソード層110が、例えば物理的な蒸着によって加えられる。通常、カソード層は、カルシウムまたはバリウムなど仕事関数の低い金属で構成される。カソード層は、アルミニウムのより厚いキャッピング層で覆われ、また場合によっては追加の層を備える。追加の層は、電子エネルギーレベルマッチングを改善するために、フッ化リチウムの層などエレクトロルミネセント層のすぐ近くに隣接している。
【0012】
ある種の用途では、発光機能ではなく光検知機能を有する装置、例えば太陽電池、カメラなどを実現することが望ましい。このような装置としては、光検知ダイオードデバイスが知られており、発光ダイオードデバイスと構造が非常に似ている。光検知ダイオードは、本質的に、前述の発光ダイオードとは逆の働きをする。光検知ダイオードデバイスに衝突する光の光子は、デバイスの光電気的にアクティブ状態にある層の中で正孔と電子を含む励起子を生成する。対向する電極を介して光電気的にアクティブ状態にある層にバイアスが加えられる場合、正孔と電子は、対向する電極を介して光電気的にアクティブ状態にある層から抽出され、電流を生じさせることが可能であり、この電流は、適切な検知回路で検知することができる。正孔は、負にバイアスされた電極を介して抽出され、電子は、正にバイアスされた電極を介して抽出されることになる。大きなバイアスを必要とすることなく、各電極が正孔および電子を容易に抽出するように、適切な材料が選択される。正にバイアスされた電極では、電子受容性材料を選択しなければならず、負にバイアスされた電極では、正孔受容性材料を選択しなければならない。通常、発光デバイスにおいて良好な正孔インジェクタである材料(アノード材料)はまた、光検知デバイスにおいて良好な正孔アクセプタの役割を果たす。同様に、発光デバイスにおいて良好な電子インジェクタである材料(カソード材料)は、光検知デバイスにおいて良好な電子アクセプタの役割を果たす。したがって、光検知デバイスでは、負にバイアスされた電極(カソード)は、容易に正孔を受け取るために、有利にはアノード材料から作られ、正にバイアスされた電極(アノード)は、有利にはカソード材料から作られる。
【0013】
ある種の用途では、発光画素と光検知/光検出画素の両方が配置されたデバイスを実現することが望ましい。こうしたデバイスの一例はタッチスクリーンである。タッチスクリーンは、複数の光検知画素が組み込まれたアレイ内に、複数の発光画素を含んでもよい。ユーザの指がこうした表示装置に隣接して置かれると、表示装置から放射される光は反射して戻され、ユーザの指に隣接する検知画素のうちの1つまたは複数の検知画素によって検出することができる。あるいは、外部の光源、例えばライトペンなど他の駆動機構を使用して、こうした表示装置内の光検知画素を駆動することができる。駆動装置(アクチュエータ)の位置は、どの検知画素を駆動するのかを決定することになる。この機能を使用して、例えば、デバイス上に表示されるアイコンを選択することができ、またはデバイス上に表示されるメニューから選択肢を選択することができる。
【0014】
発光画素と光検知画素の両方を備えるアクティブマトリクス発光ダイオード表示デバイスが知られている。しかし、それらのデバイスは複雑な回路を備え、したがって複雑な製造プロセスが必要になり、その結果、製造コストが相対的に高くなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第90/13148号
【特許文献2】米国特許第4,539,507号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の各実施形態は、従来技術における前述の問題を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本出願人は、より簡略で安価な表示デバイスを実現することを提示する。この表示デバイスは、タッチスクリーン等として使用するために、発光と光検知の両方の機能を組み込んだものである。
【0018】
この目的を達成するために、本出願人は、この問題に対する1つの解決策が(アクティブマトリクス表示装置ではなく)パッシブマトリクス発光ダイオード表示装置を使用することであることを認識した。パッシブマトリクス発光ダイオード表示装置は、図1に示す表示装置に似ているが、複数のダイオードのうちの少なくともいくつかのダイオードが表示装置への光入射を検出するために使用されている。すなわち、複数のダイオードのうちの少なくともいくつかのダイオードに検知回路を接続して、デバイス上に衝突する光を検出してもよい。
【0019】
この解決策についての1つの問題は、パッシブマトリクスダイオード表示装置が、アクティブマトリクス表示装置と同様の各ダイオードに対する個々の回路を備えていないことである。各ダイオードは、カソードラインとアノードラインの共通のアレイの間に配置され、走査(スキャン)されるときには同じ方向にバイアスされる。したがって、光子がダイオードのうちの1つに衝突し、ダイオードの光電気的にアクティブ状態にある層の中で電子/正孔の対(励起子)が生成される場合、電子は、正にバイアスされた電極に向かって引き寄せられることになり、この電極は正孔注入材料から作製される正孔注入電極になる。同様にして、光子によって生成される正孔は、負にバイアスされた電極に引き寄せられることになり、この電極は、電子注入材料から作製される電子注入電極になる。正孔注入材料は、電子を容易に受け入れることがなく、また電子注入材料は、正孔を容易に受け入れることがないので、この場合、入射光によって形成される電荷担体により生成される電流は、ほとんどないか、または全くない。したがって、各ダイオードは、有効なセンサの役割を果たさない。さらに、やはりダイオードが光を放射しようとしているとき(順バイアスされている場合)、放射と検出の機能は分離することが不可能であり、スイッチオンになることが望まれていないダイオードをオンにしてしまうことがあり得る。
【0020】
本出願人は、表示装置内の複数のダイオードのうちのいくつかのダイオードを逆バイアスすることにより、前述の問題を部分的に解決することができることに気づいた。例えば、図1を参照すると、簡単な標準のパッシブマトリクス表示装置では、複数の画素は、第1の行の電極を(各列に対して)負の電位に保持し、各列の電極に正のバイアスを加えて、その第1の行にわたって各ダイオードを順番にオンにすることによって、走査(スキャン)されてもよい。続いて、第2の行の電極を負の電位に保持し、各列の電極に正のバイアスを加えて、その第2の行にわたって各ダイオードを順番にオンにすることなどができる。しかしながら、これらの列の電極のうちのいくつかの電極に、行に対して負のバイアスが与えられる場合には(すなわち、電子がこれらの列の電極から行の電極に流れるような、より負の電位では)、これらの列にある各ダイオードは、逆バイアスされることになり、発光体ではなく光検出器の働きをすることができる。例えば、ダイオードの交互の列は、このようにして逆バイアスにすることもできる。
【0021】
前述の構成に関連する1つの問題は、発光ダイオードを順バイアスにするために行の電極が相対的に負の電位に保持されるので、検出ダイオードを逆バイアスにするために、これらの列の電極に比較的大きな負の電位を課さなければならないことである。このことは非効率であり、消費電力を増大させ、各ダイオードの寿命を短縮することにつながる。さらに、検出ダイオードの感度が低いこともある。
【0022】
したがって、本出願人は、前述の解決策が実現可能であることを認識していたが、先に述べた通り、この解決策に関して問題が存在する。
【0023】
本発明の一態様によれば、上記を考慮して、複数のアノードラインと複数のカソードラインとの間に配置されたダイオードのアレイを備えるパッシブマトリクス表示装置が提供される。複数のダイオードのうちの少なくともいくつかのダイオードは、カソードラインおよびアノードラインに対して順方向に配向された発光ダイオードであり、複数のダイオードのうちの他のダイオードは、カソードラインおよびアノードラインに対して逆方向に配向された光検知ダイオードである。
【0024】
アノードラインは、カソードラインに対して正にバイアスするように構成することができる。表示装置は、アノードラインおよびカソードラインに接続された駆動回路を備え、アノードラインをカソードラインに対して正にバイアスするように構成されてもよい。
【0025】
ダイオードは、アノードと、カソードと、それらの間に配置された光電気的にアクティブ状態にある材料と、を備えてもよい。
【0026】
光を放射するために順方向に配向されたダイオードは、アノードラインに隣接しアノードラインに電気接続して配置されたアノードと、カソードラインに隣接しカソードラインに電気接続して配置されたカソードを有する。これらのダイオードのアノードは、正電荷キャリア(例えば正孔)を注入するのに適した材料から作製され、これらのダイオードのカソードは、負電荷キャリア(例えば電子)を注入するのに適した材料から作製される。
【0027】
それとは対照的に、光を検出するために逆方向に配向されたダイオードは、カソードラインに隣接しカソードラインに電気接続して配置されたアノードの層と、アノードラインに隣接しアノードラインに電気接続して配置されたカソードを有する。これらのダイオードのアノードは、正電荷キャリア(例えば正孔)を受け入れるのに適した材料から作製され、これらのダイオードのカソードは、負電荷キャリア(例えば電子)を受け入れるのに適した材料から作製される。すなわち、光を検出するダイオードは効果的に反転され、これにより、ダイオードに電気バイアスを供給するカソードラインとアノードラインに関して、発光ダイオードとは逆方向に配向されている。すなわち、光検知ダイオードは、ダイオードをバイアスするカソードラインとアノードラインに関して、物理的に逆向きである。これは、すべてのダイオードが同じ方向に配向されている図1に示した構成とは対照的である。
【0028】
本発明との関連で、光検知ダイオードに関して、カソードおよびアノードという用語は、これらの層で使用される材料の固有特性を指すことに留意されよう。したがって、カソードは、電子を容易に受け入れる材料から作製されるが、アノードは、正孔を容易に受け入れる材料から作製される。発光ダイオードとは対照的に、光検知ダイオードでは、カソードは、アノードラインと実際に接触しており、正にバイアスされるが、アノードは、カソードラインと実際に接触しており、負にバイアスされる。
【0029】
前述の実施形態は、追加の回路構成部品を必要とせず、したがって表示装置の製造がより容易であるという点で、従来技術のアクティブマトリクス表示装置に関して前述の問題を解決するものである。したがって、本発明の表示装置は、製造コストがより低い。さらに、こうした構成により、カソードラインおよびアノードラインに関してすべてのダイオードが同じ方向に配向されているパッシブマトリクス表示装置に関連する前述の問題が克服される。本発明の表示装置は、より効率的になり、消費電力がより低く、寿命が長く、感度がより良好になり、オンにすることが望ましくないダイオードのスイッチオンの問題が改善されることになる。
【0030】
前述の構成では、ダイオード自体が逆向きなので、検知機能を実現するために走査/駆動ラインのうちのあるラインのバイアスを逆にする必要はない。したがって、すべての走査ラインは、同じ方向にバイアスすることができ、カソードラインおよびアノードラインに対して光検知ダイオードの配向が逆なので、光検知ダイオードの逆バイアスが自然に生じることになる。
【0031】
カソードラインおよびアノードラインに関して光検知ダイオードの配向を逆向きにすることは、2つの異なる方式で実現することができる。すなわち、(1)光検知ダイオードの層は、発光ダイオードに対して逆向きにすることができる。それにより、アノードラインは、ダイオードアレイの一方の側に配置され、カソードラインは、ダイオードアレイのもう一方の側に配置される。そして、発光ダイオードは、アノードラインに隣接するアノード材料とカソードラインに隣接するカソード材料とで形成され、光検知ダイオードは、カソードラインに隣接するアノード材料とアノードラインに隣接するカソード材料で形成される。または、(2)光検知ダイオードの層は、発光ダイオードと同じ順序で配置されるが、カソードラインおよびアノードラインは経路が指定される。それにより、カソードラインは、光検知ダイオードのアノードとは接触せずに発光ダイオードのカソードと接触し、アノードラインは、光検知ダイオードのカソードとは接触せずに発光ダイオードのアノードと接触するように配置される。このように、ダイオードの積層構造を逆向きにしてもよく、または、カソードラインおよびアノードラインの経路を再設定して、カソードラインおよびアノードラインに対して光検知ダイオードおよび発光ダイオードの配向を逆向きにすることができる。
【0032】
本発明の一実施形態では、光検知ダイオードの配向を逆向きにするために、光検知ダイオードの1つまたは複数の層がドープされる。
【0033】
光電気的にアクティブ状態にある層との間で電子を効率的に注入/受入するために、カソードは、3.5eVより小さい仕事関数、より好ましくは3.2eVより小さい仕事関数、もっとも好ましくは3eVより小さい仕事関数を有する。
【0034】
光電気的にアクティブ状態にある層との間で正孔を効率的に注入/受入するために、アノードは、3.5eVより大きい仕事関数、より好ましくは4.0eVより大きい仕事関数、もっとも好ましくは4.5eVより大きい仕事関数を有する。
【0035】
しかし、一実施形態によれば、光検知ダイオードのアノードおよびカソードに使用される材料は同じでもよい。この材料は、電子受容体または正孔受容体のいずれかの役割を果たすことができるように、中間の仕事関数を有するように選択されることが好ましい。例えば、この材料は、3〜4.5eVの範囲の仕事関数、より好ましくは3.2〜4.3eVの範囲の仕事関数、もっとも好ましくは3.5〜4.3eVの範囲の仕事関数を有してもよい。こうした材料の一例はアルミニウムである。
【0036】
カソードラインとアノードラインは、列と行に配置してもよい。列/行のうちにあるものは、検知するために逆向きに配向されたダイオードを備えてもよい。例えば、交互に並んだ列または行は、検知するために逆向きに配向されたダイオードを備えてもよい。
【0037】
光検知ダイオードは、基板上の発光ダイオードと並んで配置してもよい。あるいは、光検知ダイオードは、積み重ねた構成で発光ダイオードの上または下に配置してもよい。例えば、光検知ダイオードは、発光ダイオードの上面に積み重ねてもよい。この結果として、タッチスクリーン表示装置の感度がより高くなる。
【0038】
積み重ねた構成により、発光ダイオードから反射してデバイスに戻る光の検出精度を向上させることができる。さらに、発光ダイオードおよび/または光検知ダイオードが横に並んで配置されている場合にそうであるように、発光ダイオードおよび/または光検知ダイオードの数を減らす必要はないので、表示装置の発光領域および/または検知領域を増大させることができる。したがって、横に並べた構成と比較すると、同じサイズの表示装置に対してより多くの光検知部(センサ)および発光体を利用してもよい。
【0039】
それとは対照的に、垂直に積み重ねた構成と比較すると、光検知ダイオードと発光ダイオードの横に並べた構成は、薄い表示装置、例えば薄いフレキシブルディスプレイを製造する際に有利になることがある。さらに、積み重ねた構成と比較すると、横に並べた構成では、表示装置内での光(例えば、光電気的にアクティブ状態にある層から放射された光)の吸収は、低減されることがある。
【0040】
光検知ダイオードおよび/または発光ダイオードは、光電気的にアクティブ状態にある層とアノードおよび/またはカソードとの間の電荷輸送層および/または追加の電荷注入層を備えてもよい。例えば、正孔輸送材料は、アノードと光電気的にアクティブ状態にある層との間に設けることができる。電子輸送材料は、カソードと光電気的にアクティブ状態にある層との間に設けることができる。アノードに隣接する正孔注入層/受入層などの追加の層、またはカソードに隣接する電子注入層/受入層を設けてもよい。
【0041】
本発明の他の態様によれば、発光ダイオードデバイスが提供される。この発光ダイオードデバイスは、一方を他方の上に積み重ねた発光ダイオードと光検知ダイオードを含む発光ダイオードデバイスが提供される。これは、照明されたタッチセンシティブボタンなどの簡略なデバイスでもよく、または、前述の表示装置などのより複雑なデバイスでもよい。前述の通り、各ダイオードは、アノード材料の層と、カソード材料の層と、それらの間に配置された光電気的にアクティブ状態にある材料と、を含んでもよい。駆動回路は、発光ダイオード内のカソード材料の層を負にバイアスし、発光ダイオード内のアノード材料の層を正にバイアスし、光検知ダイオード内のアノード材料の層を負にバイアスし、光検知ダイオード内のカソード材料の層を正にバイアスするように適合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
次に、添付図面を参照しながら、ほんの一例として本発明の各実施形態を説明する。
【0043】
【図1】図1は、すべてのダイオードが同じ向きに配向されている、典型的な従来技術のパッシブマトリクスアレイにおけるダイオードの標準構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示したようなパッシブマトリクス表示装置の縦断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態によるパッシブマトリクス表示装置内の光検知ダイオードおよび発光ダイオードのアレイ構造を示す図である。
【図4】図4は、光検知ダイオードの配向を逆向きにすることが、アノードラインおよびカソードラインの経路を再指定(リルート)することによってもたらされる、本発明の一実施形態によるOLEDデバイスの断面図である。
【図5】図5は、光検知ダイオードの配向を逆向きにすることが、各ダイオードの積層構造を逆向きにすることによってもたらされる、本発明の一実施形態によるOLEDデバイスの断面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による発光ダイオードのエネルギーレベルを示す図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態によりその配向が逆向きになった光検知ダイオードのエネルギーレベルを示す図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態により両方の電極に同じ材料が使用されている光検知ダイオードのエネルギーレベルを示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態によって使用することができるドープ層ダイオードの断面図である。
【図10a】図10aは、本発明の一実施形態による発光ダイオードおよび光検知ダイオードの垂直スタック構成を示す図である。
【図10b】図10bは、本発明の一実施形態による発光ダイオードおよび光検知ダイオードの垂直スタック構成を示す図である。
【図11a】図11aは、本発明の一実施形態による垂直スタック構成の上面図である。
【図11b】図11bは、本発明の一実施形態による垂直スタック構成の上面図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態によって使用することができるポリマーブレンドを含む光検知ダイオードを示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態によって使用することができる別の光検知ダイオードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図3は、本発明の一実施形態によるパッシブマトリクス表示装置内の発光ダイオード1および光検知ダイオード2のアレイ構造を示す図である。図1に示す従来技術の構成を相互参照することで分かるように、図3の構成は、光検知ダイオード2が発光ダイオード1と逆向きに配向されている点で異なる。これらのダイオードは、カソードライン3の行(横行)とアノードライン4の列(縦列)との間に配置されている。
【0045】
この構造は、一度に1行ずつアドレス指定される。この場合、3つの電圧レベルが定義可能である。グラウンドレベルVgndは、ゼロボルトに等しく、光検知ダイオードのバイアスレベルVsは、例えば20ボルトであり、発光ダイオード用の典型的な駆動電圧Vdは、(発光ダイオードは電流駆動されることがあるが)、グラウンドレベルとVsの間にあってもよい。ある行が駆動されるとき、その行はグラウンドレベル電圧に固定され、他のすべての行はVsに設定される。光検知部(センサ)の列は、走査中にはVsで駆動され、生成される任意の電流は、検知回路で測定することができる。発光体の列は、駆動電圧Vdで駆動され、この電圧により、電子は順方向に流れ、光が放出される。
【0046】
オフ状態の行にある光検知ダイオードは、ゼロバイアスを有することになり、したがって、入射光からは電流を殆どまたは全く生成しない。
【0047】
オフ状態の行にある発光ダイオードは、逆バイアスになり、したがってオフになる。オフ状態の行にある発光ダイオードを逆バイアスにするために、VdはVsより小さいことが好ましいが、VdはVsと等しくなることもでき、または、発光ダイオードを駆動するのに必要とされる閾値電圧を超えない量だけVsよりも大きくなることもできる。
【0048】
オン状態の行にある光検知ダイオードは、Vsだけ逆バイアスになり、したがって、これらのダイオードに入射する光を検出するための量子効率が改善される。電圧をVsに保持しているとき、電流が生成され、光を検出することができる。
【0049】
オン状態の行にある発光ダイオードは、Vdだけ順バイアスになり、したがって、光を放出する。
【0050】
発光ダイオードが放出する光は、スクリーンに近接しているまたは触れている任意の対象物に当たるが、反射して光検知ダイオードに戻ることになる。
【0051】
この方法に対する変形例として、オフ状態の行をVsマイナス検知ダイオード固有の電圧に保持することができ、したがって、いかなる光電流も抑制することができる。
【0052】
図4には、カソードラインとアノードラインに関して光検知ダイオードを逆向きに配向することができる一つの手法が示してある。これは、図4に示すように、アノードライン4とカソードライン3の経路を再指定し、その結果、それらが交互にダイオードのアノード5とカソード7に接することによって達成される。光電気的にアクティブ状態にある材料6は、アノード5とカソード7の間に配置されている。このように、各ダイオードは、下側のアノード5と、光電気的にアクティブ状態にある層6と、カソード7とで構成されている。発光ダイオード1では、カソードライン3がカソード7に接触し、アノードライン4がアノード5に接触する。光検知ダイオード2では、カソードラインがアノード5に接触し、アノードラインがカソード7に接触する。バンク材料8にバイアスを加えて、これらの電極ラインがダイオードの交互に並んだ端子に接触するようにしてもよい。
【0053】
図4に示した構成には、交互に並んだ発光部と光検知部の列が示してある。しかし、他の構成を考えることもできる。例えば、交互に並んだ行を設けることもでき、またはより少ない光検知ダイオードを設けて、表示装置内の発光ダイオードの数を増加させることもできる。
【0054】
図5には、光検知ダイオードの配向を逆向きにすることが、ダイオードの積層構造を逆向きにすることによってもたらされる、本発明の別の実施形態によるOLED表示装置の断面図が示してある。この構成では、カソードライン3は、ダイオードアレイの片側にとどまり、アノードライン4は、ダイオードアレイの反対側にとどまる。光検知ダイオード2の逆配向は、カソード材料7をアノードライン4に隣接して配置すること、およびアノード材料5をカソードライン3に隣接して配置することによって達成される。それとは対照的に、発光ダイオードでは、アノード材料5はアノードライン4に隣接して配置され、カソード材料7はカソードライン3に隣接して配置される。
【0055】
図6には、本発明の一実施形態による発光ダイオードのエネルギーレベルが示してある。例えば、ITOのアノード5およびバリウムのカソード7を使用してもよい。アノード5は、アノードライン4によって正にバイアスされ、カソード7は、カソードライン3によって負にバイアスされる。したがって、正に帯電した正孔は、アノード5からHOMOレベルの光電気的にアクティブ状態にある材料に注入される。同様に、電子は、カソード7からLUMOレベルの光電気的にアクティブ状態にある材料に注入される。正孔と電子は、光電気的にアクティブ状態にある材料中で結合して、励起子を形成し、励起子が放射崩壊すると光が放出される。
【0056】
図7には、本発明の一実施形態によりその配向が逆向きになった光検知ダイオードのエネルギーレベルが示してある。この場合、ダイオード内のカソード材料7は、アノードライン4によって正にバイアスされ、ダイオード内のアノード材料5は、カソードライン3によって負にバイアスされる。したがって、光の光子の吸収により、光電気的にアクティブ状態にある層の中で励起子が形成されるとき、電子はカソード材料7に向けてバイアスされ、正孔はアノード材料5に向けてバイアスされる。電子はカソード材料7が受け入れ、正孔はアノード材料5が受け入れる。したがって、電荷は、ダイオードから流れ出て、検出することのできる電流を生成する。
【0057】
図8には、両方の電極に同じ材料を使用している光検知ダイオードのエネルギーレベルが示してある。この場合、アルミニウムを使用してもよい。ダイオードは、図7に示すのと同様な働きをする。光電気的にアクティブ状態にある材料のHOMOおよびLUMOと、アノード材料5およびカソード材料7のフェルミ準位とのエネルギーレベルのマッチングは、図7の構成ほど良好ではなく、このように、測定可能な電流を生成するためにより大きなバイアス電圧が必要になることがあるが、両方の電極に同じ材料を使用することの簡潔さは、用途によっては有利になることがある。
【0058】
光電気的にアクティブ状態にある層と電極との間に追加の電荷輸送層を挿入することにより、より良好なエネルギーレベルマッチングを達成することができる。例えば、図9には、ドープn型の層10がカソード7に隣接して配置され、ドープp型の層12がアノード5に隣接して配置されている構成が示してある。光検知ダイオードおよび/または発光ダイオードを製造する特に有用な1つの方法は、正孔輸送材料と電子輸送層の混合物を溶液から形成することを必要とし、正孔輸送材料と電子輸送材料は相分離していて、正孔輸送層および電子輸送層を形成する。光電気的にアクティブ状態にある材料6はまた、混合物中で形成してもよく、相分離して図9に示すような別々の層になってもよく、または正孔輸送層もしくは電子輸送層のうちの1つの中に残ってもよい。
【0059】
図10aには、発光ダイオード1および光検知ダイオード2の垂直スタック構成(垂直に積み重ねた構成)が示してある。図示した構成では、発光ダイオード1は光検知ダイオード2の上面に配置されるが、光検知ダイオードが発光ダイオードの上面に配置されるように構成を逆にすることもできる。
【0060】
図に示す積み重ねた構成では、光検知ダイオード2は、カソードラインCと接触している下側のアノード電極5(例えばアルミニウム)を備える。したがって、光検知ダイオード2は、その上に配置される光電気的にアクティブ状態にある層6から正電荷キャリアを受け入れるために負にバイアスされる。光電気的にアクティブ状態にある層6は、下側の電極5の上に配置される。上側のカソード電極7(例えばアルミニウム)は、光電気的にアクティブ状態にある層6の上に配置される。上側のカソード電極7は、アノードラインBと接触しており、したがって、光電気的にアクティブ状態にある層6から負電荷キャリアを受け入れるために正にバイアスされている。図に示した実施形態では、光検知ダイオード2のアノード5およびカソード7は、同じ材料、例えばアルミニウムから作製される。しかし、それらは、前述のように異なる材料から作製してもよい。
【0061】
発光ダイオード1のアノード5(例えばITO)が、光検知ダイオード2の上に配置されている。このアノード5は、アノードラインBと接触しており、したがって、その上に配置された光電気的にアクティブ状態にある層6に正電荷キャリアを注入するために正にバイアスされている。発光ダイオード1のカソード7(例えばバリウム)は、光電気的にアクティブ状態にある層6の上に配置されており、発光ダイオード1の光電気的にアクティブ状態にある層6に負電荷キャリアを注入するためにカソード7を負にバイアスするようにカソードラインAと接触している。
【0062】
図10bには、図10aに示した構成におけるエネルギーレベル図が示してあり、電荷の蓄積、放射および吸収の動きが示してある。
【0063】
図11aおよび11bには、垂直スタック構成の平面図が示してあり、カソードラインA、CおよびアノードラインBの配向を示している。
【0064】
他の積み重ねた構成も考えられることが理解されよう。例えば、バイアスラインA、Cは、正にバイアスされているアノードラインでもよく、バイアスラインBは、負にバイアスされているカソードラインでもよい。この場合、光検知ダイオードの底面の電極はカソード材料を含んでもよく、光検知ダイオードの上面の電極はアノード材料を含んでもよく、発光ダイオードの底面の電極はカソード材料を含んでもよく、発光ダイオードの上面の電極はアノード材料を含んでもよい。
【0065】
上側に重なる層の形成と関連する処理ステップのために、バッファ層を利用して下側に重なる層を保護してもよい。
【0066】
ポリマーブレンドを含むダイオードが図12に示してある。ダイオードは、アノード5(例えばITO)と、正孔注入層(例えばPEDOT)13と、ポリマーブレンド層15と、カソード7(例えばAlまたはLiF)を備える。ポリマーブレンド層15は、発光成分および電荷輸送成分などの他の成分を含む。電子輸送層および正孔輸送層を含む多層構造を備えるダイオードが、図13に示してある。ダイオードは、アノード5、正孔注入層13、正孔輸送層17、電子輸送層19、およびカソード7を含む。これらのダイオードは、本発明の実施形態のダイオード向けに利用してもよい。
【0067】
光検知ダイオードの光電気的にアクティブ状態にある材料が、発光ダイオードから直接放射される光を吸収せずに、例えば、外部光源(例えばライトペン)またはデバイスに隣接する外部体からの反射によって生成される異なる周波数の光を吸収するように、発光ダイオードおよび光検知ダイオードの光電気的にアクティブ状態にある材料は、選択されてもよい。発光ダイオードおよび光検知ダイオード用の材料は、当技術分野でよく知られており、本明細書の教示を考慮すれば、当業者であればこうした選択を容易に行うこともできるはずである。
【0068】
本発明は、その好ましい実施形態に関して具体的に図示し説明してきたが、添付特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更を本発明に加えてもよいことが当業者には理解されよう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアノードラインと複数のカソードラインとの間に配置されたダイオードのアレイを備え、
前記アレイを構成する複数の前記ダイオードのうちの少なくともいくつかのダイオードは、前記カソードラインおよび前記アノードラインに対して向きが順方向に配向された発光ダイオードであり、
前記アレイを構成する複数の前記ダイオードのうちの他のダイオードは、前記カソードラインおよび前記アノードラインに対して向きが逆方向に配向された光検知ダイオードであることを特徴とするパッシブマトリクス表示装置。
【請求項2】
前記アノードラインおよび前記カソードラインに接続され、前記アノードラインを前記カソードラインに対して正にバイアスするように適合された駆動回路を備える、請求項1に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項3】
複数の前記ダイオードの各々は、アノード材料の層と、カソード材料の層と、これらの層の間に配置された光電気的にアクティブ状態にある材料とを含む、請求項1または2に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項4】
前記順方向に配向された前記発光ダイオードは、前記アノードラインに隣接し前記アノードラインに電気接続して配置されたアノード材料と、前記カソードラインに隣接し前記カソードラインに電気接続して配置されたカソード材料を有し、
前記逆方向に配向された前記光検知ダイオードは、前記カソードラインに隣接し前記カソードラインに電気接続して配置されたアノード材料と、前記アノードラインに隣接し前記アノードラインに電気接続して配置されたカソード材料を有する、請求項3に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項5】
前記アノードラインは、前記ダイオードの前記アレイの一方の側に配置され、
前記カソードラインは、前記ダイオードの前記アレイのもう一方の側に配置され、
前記発光ダイオードは、前記アノードラインに隣接するアノード材料および前記カソードラインに隣接するカソード材料で形成され、
前記光検知ダイオードは、前記カソードラインに隣接するアノード材料および前記アノードラインに隣接するカソード材料で形成される、請求項3または4に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項6】
前記光検知ダイオードの前記アノード材料の層および前記カソード材料の層は、前記発光ダイオードと同じ順序で配置され、前記カソードラインおよび前記アノードラインは前記ダイオードの前記アレイを通って経路が指定され、
それにより、前記カソードラインは、前記発光ダイオードの前記カソードおよび前記光検知ダイオードの前記アノードに接触し、前記アノードラインは、前記発光ダイオードの前記アノードおよび前記光検知ダイオードの前記カソードに接触する、請求項3または4に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項7】
前記カソード材料は、3.5eVより小さい仕事関数、より好ましくは3.2eVより小さい仕事関数、もっとも好ましくは3eVより小さい仕事関数を有する、請求項3〜6のいずれか一項に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項8】
前記アノード材料は、3.5eVより大きい仕事関数、より好ましくは4.0eVより大きい仕事関数、もっとも好ましくは4.5eVより大きい仕事関数を有する、請求項3〜7のいずれか一項に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項9】
前記光検知ダイオードの前記アノード層および前記カソード層に使用される前記材料が同じである、請求項3〜6のいずれか一項に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項10】
前記光検知ダイオードの前記アノード層および前記カソード層に使用される前記材料は、3〜4.5eVの範囲の仕事関数、より好ましくは3.2〜4.3eVの範囲の仕事関数、もっとも好ましくは3.5〜4.3eVの範囲の仕事関数を有する、請求項9に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項11】
前記カソードラインおよび前記アノードラインは、列と行に配置される、請求項1〜10のいずれかに記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項12】
前記ダイオードの前記アレイは、光検知ダイオードの列または行を備える、請求項11に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項13】
前記ダイオードアレイは、光検知ダイオードと発光ダイオードの交互に並んだ列または行を備える、請求項12に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項14】
前記光検知ダイオードは、基板上の前記発光ダイオードと横に並んで配置される、請求項1〜13のいずれかに記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項15】
前記光検知ダイオードは、縦に積み重ねた構成の中で前記発光ダイオードの上または下に配置される、請求項1〜14のいずれか一項に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項16】
前記光検知ダイオードおよび/または前記発光ダイオードは、電荷注入層および/または電荷輸送層を備える、請求項1〜15のいずれかに記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項17】
前記光検知ダイオードの1つまたは複数の層がドープされる、請求項1〜16のいずれかに記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項18】
前記光検知ダイオードと電気的に接触している少なくとも前記アノードラインおよび前記カソードラインに結合され、前記光検知ダイオードによって生成される電流を検知するように適合された検知回路を備える、請求項1〜17のいずれかに記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項19】
発光ダイオードと光検知ダイオードを備え、前記発光ダイオードと前記光検知ダイオードの一方が他方の上に積み重ねられたことを特徴とする発光ダイオードデバイス。
【請求項20】
前記発光ダイオードと前記光検知ダイオードの各々は、アノード材料の層と、カソード材料の層と、これらの層の間に配置された光電気的にアクティブ状態にある材料とを含む、請求項19に記載の発光ダイオードデバイス。
【請求項21】
前記発光ダイオードの前記カソード材料の層を負にバイアスし、前記発光ダイオードの前記アノード材料の層を正にバイアスし、前記光検知ダイオードの前記アノード材料の層を負にバイアスし、前記光検知ダイオードの前記カソード材料の層を正にバイアスするように適合された駆動回路を備える、請求項20に記載の発光ダイオードデバイス。
【請求項1】
複数のアノードラインと複数のカソードラインとの間に配置されたダイオードのアレイを備え、
前記アレイを構成する複数の前記ダイオードのうちの少なくともいくつかのダイオードは、前記カソードラインおよび前記アノードラインに対して向きが順方向に配向された発光ダイオードであり、
前記アレイを構成する複数の前記ダイオードのうちの他のダイオードは、前記カソードラインおよび前記アノードラインに対して向きが逆方向に配向された光検知ダイオードであることを特徴とするパッシブマトリクス表示装置。
【請求項2】
前記アノードラインおよび前記カソードラインに接続され、前記アノードラインを前記カソードラインに対して正にバイアスするように適合された駆動回路を備える、請求項1に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項3】
複数の前記ダイオードの各々は、アノード材料の層と、カソード材料の層と、これらの層の間に配置された光電気的にアクティブ状態にある材料とを含む、請求項1または2に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項4】
前記順方向に配向された前記発光ダイオードは、前記アノードラインに隣接し前記アノードラインに電気接続して配置されたアノード材料と、前記カソードラインに隣接し前記カソードラインに電気接続して配置されたカソード材料を有し、
前記逆方向に配向された前記光検知ダイオードは、前記カソードラインに隣接し前記カソードラインに電気接続して配置されたアノード材料と、前記アノードラインに隣接し前記アノードラインに電気接続して配置されたカソード材料を有する、請求項3に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項5】
前記アノードラインは、前記ダイオードの前記アレイの一方の側に配置され、
前記カソードラインは、前記ダイオードの前記アレイのもう一方の側に配置され、
前記発光ダイオードは、前記アノードラインに隣接するアノード材料および前記カソードラインに隣接するカソード材料で形成され、
前記光検知ダイオードは、前記カソードラインに隣接するアノード材料および前記アノードラインに隣接するカソード材料で形成される、請求項3または4に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項6】
前記光検知ダイオードの前記アノード材料の層および前記カソード材料の層は、前記発光ダイオードと同じ順序で配置され、前記カソードラインおよび前記アノードラインは前記ダイオードの前記アレイを通って経路が指定され、
それにより、前記カソードラインは、前記発光ダイオードの前記カソードおよび前記光検知ダイオードの前記アノードに接触し、前記アノードラインは、前記発光ダイオードの前記アノードおよび前記光検知ダイオードの前記カソードに接触する、請求項3または4に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項7】
前記カソード材料は、3.5eVより小さい仕事関数、より好ましくは3.2eVより小さい仕事関数、もっとも好ましくは3eVより小さい仕事関数を有する、請求項3〜6のいずれか一項に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項8】
前記アノード材料は、3.5eVより大きい仕事関数、より好ましくは4.0eVより大きい仕事関数、もっとも好ましくは4.5eVより大きい仕事関数を有する、請求項3〜7のいずれか一項に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項9】
前記光検知ダイオードの前記アノード層および前記カソード層に使用される前記材料が同じである、請求項3〜6のいずれか一項に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項10】
前記光検知ダイオードの前記アノード層および前記カソード層に使用される前記材料は、3〜4.5eVの範囲の仕事関数、より好ましくは3.2〜4.3eVの範囲の仕事関数、もっとも好ましくは3.5〜4.3eVの範囲の仕事関数を有する、請求項9に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項11】
前記カソードラインおよび前記アノードラインは、列と行に配置される、請求項1〜10のいずれかに記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項12】
前記ダイオードの前記アレイは、光検知ダイオードの列または行を備える、請求項11に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項13】
前記ダイオードアレイは、光検知ダイオードと発光ダイオードの交互に並んだ列または行を備える、請求項12に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項14】
前記光検知ダイオードは、基板上の前記発光ダイオードと横に並んで配置される、請求項1〜13のいずれかに記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項15】
前記光検知ダイオードは、縦に積み重ねた構成の中で前記発光ダイオードの上または下に配置される、請求項1〜14のいずれか一項に記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項16】
前記光検知ダイオードおよび/または前記発光ダイオードは、電荷注入層および/または電荷輸送層を備える、請求項1〜15のいずれかに記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項17】
前記光検知ダイオードの1つまたは複数の層がドープされる、請求項1〜16のいずれかに記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項18】
前記光検知ダイオードと電気的に接触している少なくとも前記アノードラインおよび前記カソードラインに結合され、前記光検知ダイオードによって生成される電流を検知するように適合された検知回路を備える、請求項1〜17のいずれかに記載のパッシブマトリクス表示装置。
【請求項19】
発光ダイオードと光検知ダイオードを備え、前記発光ダイオードと前記光検知ダイオードの一方が他方の上に積み重ねられたことを特徴とする発光ダイオードデバイス。
【請求項20】
前記発光ダイオードと前記光検知ダイオードの各々は、アノード材料の層と、カソード材料の層と、これらの層の間に配置された光電気的にアクティブ状態にある材料とを含む、請求項19に記載の発光ダイオードデバイス。
【請求項21】
前記発光ダイオードの前記カソード材料の層を負にバイアスし、前記発光ダイオードの前記アノード材料の層を正にバイアスし、前記光検知ダイオードの前記アノード材料の層を負にバイアスし、前記光検知ダイオードの前記カソード材料の層を正にバイアスするように適合された駆動回路を備える、請求項20に記載の発光ダイオードデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−541148(P2010−541148A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526312(P2010−526312)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062969
【国際公開番号】WO2009/040429
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062969
【国際公開番号】WO2009/040429
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】
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