説明

光電界センサ形計器用変圧器

【課題】小型、軽量にすることにより、ガス絶縁開閉装置等の送配電機器の小型化、軽量化を図ることができる光電界センサ形計器用変圧器を提供する。
【解決手段】課電部の高電圧導体2に対し同心状に設けた接地電位の円筒状タンク3の側壁開口部7に、先端部がタンク3内で高電圧導体2方向に向かうよう光電界センサ5を取り付け、高電圧導体2の電圧を測定するもので、光電界センサ5を、半球状先端を備える電界透過性絶縁物のカバー6内に、偏光素子10、1/4波長素子11、ポッケルス素子12、検光子13を光透過方向に順に電界透過性絶縁物の台座9に取り付けて収納すると共に、カバー6の半球状先端内にプリズム4を台座9に取り付けて収納し、光の方向を180度変えて該光電界センサ5への光の入射方向と出射方向とを平行とし、かつ、ポッケルス素子12の透過光の方向が、高電圧導体2とタンク3間に発生する電界方向と平行となるように取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送配電系統のガス絶縁開閉装置等の送配電機器に課電される交流高電圧を測定するための光電界センサ形計器用変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
送配電系統に接続されているガス絶縁開閉装置等の送配電機器に課電される交流高電圧の測定には、計器用変圧器が用いられている。計器用変圧器としては、一般に、電磁誘導技術を利用して主回路側一次巻線と二次巻線の巻数比に対応し降圧変成する巻線形の計器用変圧器や、主回路側主コンデンサと分圧コンデンサの静電容量に応じて分圧を行うコンデンサ形の計器用変圧器がある。
【0003】
巻線形計器用変圧器は、鉄心に一次巻線、二次巻線を施し、絶縁性ガスなどが満たされたタンク等の密閉容器に収納する構造を取るため、大型で非常に重いものとなる。そしてガス絶縁開閉装置等での測定においては、巻線形計器用変圧器の取付けに分岐母線が必要となるため、ガス絶縁開閉装置等の送配電機器は大型化してしまう。
【0004】
また、コンデンサ形計器用変圧器は、負担に応じて主コンデンサの静電容量を変える必要があり、負担を任意に選択できない。さらに一次側の高調波成分がフィルタリングされるために周波数特性が悪い。そこで、一般には、分圧構造を固定として分圧電圧を増幅器で変成する増幅形計器用変圧器や、分圧電圧により光を変復調して変成する光交換形計器用変圧器を用いる。
【0005】
こうした増幅形計器用変圧器や光交換形計器用変圧器をガス絶縁開閉装置等で使用する場合、増幅形計器用変圧器や光交換形計器用変圧器の分圧器は、増幅器の入力インピーダンスを大きくし、主コンデンサの静電容量を数10pF程度としておき、絶縁性確保の観点から主回路導体と中間電極で主コンデンサを形成する。分圧コンデンサも、使用するコンデンサ素子や、ガス絶縁開閉装置等からの伝播サージに配慮したコンデンサ素子の等配構造(例えば、特許文献1参照)とする必要があるため、分圧器の構造が複雑かつ大型なものになり、ガス絶縁開閉装置等の送配電機器が大型化してしまう。
【0006】
なお、電界計測形光電圧センサとして、ポッケルス素子等の光学部品から構成され、絶縁物のカバーにより気密シールされたセンサを、高電圧の導体を囲うアース電位のタンクに取り付けたもの(例えば、特許文献2参照)があり、また光応用計器用変圧器として、一次電圧をコンデンサ分圧器で分圧し、分圧電圧を接地電位側のポッケルス素子等による電圧センサに印加するようにしたもの(例えば、非特許文献1参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−132860号公報
【特許文献2】特開2002−350471号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】平成6年開閉保護・高電圧合同研究会、SP−94−91,HV−94−162、中田・平田・米田・野田「1000kVGIS用計器用変成器の開発」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、小型、軽量とすることができ、計測対象のガス絶縁開閉装置等の送配電機器の小型化、軽量化を図ることができる光電界センサ形計器用変圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光電界センサ形計器用変圧器は、送配電機器の課電部の高電圧導体に対し同心状に設けられた接地電位の円筒状タンクのタンク側壁に形成した開口部に、先端部が前記タンク内で前記高電圧導体方向に向かうよう光電界センサを取り付けて、前記高電圧導体へ課電された電圧を測定する光電界センサ形計器用変圧器であって、前記光電界センサは、半球状先端を備える電界透過性の絶縁物でなるカバー内に、偏光素子、1/4波長素子、ポッケルス素子、検光子を、それぞれ光透過方向に順に電界透過性の絶縁物でなる台座に取り付けて収納すると共に、前記カバーの前記半球状先端内にプリズムを前記台座に取り付けて収納し光の方向を180度変えるようにして該光電界センサへの光の入射方向と出射方向とを平行とし、かつ、前記ポッケルス素子を透過する光の方向が、前記高電圧導体と前記タンクとの間に発生する電界方向と平行となるように取り付けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型、軽量となり、ガス絶縁開閉装置等の送配電機器の小型化、軽量化することができる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光電界センサ形計器用変圧器の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における光電界センサの構成図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る光電界センサ形計器用変圧器の構成図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における光電界センサの配置状況を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態における光電界センサ形計器用変圧器の要部組立図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る光電界センサ形計器用変圧器の要部構成図である。
【図7】本発明の第4の実施形態における光電界センサ形計器用変圧器の要部組立図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る光電界センサ形計器用変圧器の要部構成図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る光電界センサ形計器用変圧器の要部構成図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る光電界センサ形計器用変圧器の要部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
先ず本発明の第1の実施形態を図1及び図2により説明する。
【0015】
図1及び図2において、1は光電界センサ形計器用変圧器で、送配電系統の送配電機器である、例えばガス絶縁開閉装置に課電する高電圧導体2に対し、所定距離だけ離間して同心状に設けられた接地電位の円筒状タンク3にセンサ部4を設けるようにして構成されている。センサ部4は、光電界センサ5と、電界透過性を有する絶縁物でなるカバー6を備えて構成されており、カバー6は先端が半球状に形成され、中間部分が直円筒状で、根元側開口の外周に鍔部6aを有する略ハット形状のものとなっている。
【0016】
そして、円筒状タンク3へのセンサ部4の取付けは、カバー6に光電界センサ5を収納し、タンク側壁に形成したカバー6の円筒状中間部分の外形より大径の開口部7に、光電センサ5の先端部がタンク3内方に位置して高電圧導体2の方向に指向し、タンク外側壁面にカバー6の筒軸が直交するようにカバー6を挿入する。さらに、鍔部6aをタンク外側壁に気密に固着することにより開口部7を閉塞するようにして、取付けは行なわれている。なお、開口部7に取り付けられたセンサ部4の根元側部分は、金属製の保護カバー8をタンク3の外壁面に気密に固着するようにして覆われていて、光電界センサ5を風雨などから保護し、外部の不要電磁波を遮断すると共に、送配電機器の電界が外部に漏洩するのを防止するようになっている。
【0017】
またセンサ部4の光電界センサ5は、カバー6内の縦断面形状に略等しい逆T字形状の電界透過性を有する絶縁物によって形成された台座9に、入射した光を直線偏光に変換する偏光素子10と、偏光素子10からの直線偏光を円偏光に変換する1/4波長素子11と、1/4波長素子11からの円偏光を透過し、電界強度に応じた楕円偏光に変換するポッケルス素子12と、ポッケルス素子12の透過光である楕円偏光を検出する検光子13とを、偏光素子10を根元側に位置させるようにして、それぞれ光透過方向に一列に、台座9の根元部側から先端側に向けて順に取り付けることにより構成されている。さらに、光電界センサ5には、台座9の半円形状の最先端部分に、検光子13からの光の方向を180度変える、例えば直角プリズム、コーナーキューブプリズム等のプリズム14が、頂部を先端側にして取り付けられている。
【0018】
そして、こうした光電界センサ5を、プリズム14を半球状先端内に位置させるようにしてカバー6に収納した際には、プリズム14での入射光と出射光が平行で逆の方向となることから、光電界センサ5内での光路は、カバー6の中間部分の筒軸方向に平行な二つ折りされた光路形態を呈し、また光路は、センサ部4をタンク3に取り付けた際、タンク側壁に直交したものとなり、プリズム14の入射光側の光路に各素子等が直線的に配列され、出射光側は光ファイバ15によって光路が形成される。
【0019】
さらに、光電界センサ5をカバー6に収納してタンク側壁の開口部7に取り付けることで、高電圧導体2と円筒状タンク3の間に発生する矢印Aで示す電界方向と、ポッケルス素子12を透過する光の方向(矢印B)とが平行なものとなる。なお、16は外部から光を光電界センサ5の偏光素子10に送光する送光コリメータであり、17は検光子13からの光を受光し外部に送出する受光コリメータであり、共に光電界センサ5の根元部分に送受光方向を平行とするようにして設けられている。
【0020】
またさらに、センサ部4は、光源18と、信号処理回路19を備える計測部20が設けられており、光源18は送光コリメータ16と送光用光ファイバ21により、計測部20は受光コリメータ17と受光用光ファイバ22により接続されている。これにより、光源18からの光は送光用光ファイバ21、送光コリメータ16を介して偏光素子10に送光され、各素子を透過した検光子13からの光は受光コリメータ17、受光用光ファイバ22を介して計測部20の信号処理回路19に送り込まれ、信号処理が行なわれて高電圧導体2に課電されている電圧を計測する。
【0021】
以上のように本実施形態を構成することで、ガス絶縁開閉装置のタンク3に取り付けられたセンサ部4では、送光用光ファイバ21により光源18から送光コリメータ16を介し光電界センサ5に光を入力すると、ポッケルス素子12を光が透過する際の方向が高電圧導体2の方向を指向するものとなり、ポッケルス素子12の透過光方向と高電圧導体2とタンク3の間に発生する電界方向と平行となって、効率よく電界を捉えることができ、ポッケルス素子12における円偏光を電界強度に対応した楕円偏光に変換する光の変調が効率よく行なわれることになる。
【0022】
その結果、変調された光から計測部20により高電圧導体2に課電されている電圧を正確に計測することができる。また巻線構造や大掛かりな分圧器構造が必要なくなり、光電センサ形計器用変圧器1が小型、軽量なものとなり、ガス絶縁開閉装置等の送配電機器への取付け構造も簡単で、送配電機器の小型化、軽量化を図ることができる。
【0023】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態を図3及び図4により説明する。なお、本実施形態は、第1の実施形態とタンク3に設けるセンサ部4の数が異なり、他の点は第1の実施形態と略同様の構成であるため、同一部分は同一符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0024】
図3及び図4において、25は光電界センサ形計器用変圧器で、高電圧導体2に対し同心状に設けられた接地電位の円筒状タンク3に、複数、例えば4つのセンサ部4を設けるようにして構成されている。各センサ部4は、タンク3の同一円周上に等間隔で形成された開口部7に、第1の実施形態におけると同様にして取り付けられている。また、各センサ部4への送光、電圧計測のために、各センサ部4に対応して複数の光源18、複数の信号処理回路19を備え、さらに各信号処理回路19の出力から課電されている電圧を算出する演算処理回路26を備えた各計測部27が設けられている。
【0025】
以上のように本実施形態を構成することで、ガス絶縁開閉装置のタンク3に取り付けられた各センサ部4では、第1の実施形態と同様に、光電界センサ5のポッケルス素子12を透過する光の方向と高電圧導体2とタンク3の間に発生する電界方向とが平行なものとなり、効率よく電界を捉えることができ、ポッケルス素子12における電界強度に対応じた光の変調が効率よく行なわれることになる。
【0026】
そして、各センサ部4で変調された光から計測部27の各信号処理回路19で測定した電圧が出力され、その出力電圧を演算処理回路26で平均化することにより電圧計測が行なわれる。これにより、より高い精度で高電圧導体2に課電されている電圧を計測することができ、また複数のセンサ部4を設けることで、一部のセンサ部4が故障した場合でも、残りのセンサ部4で計測を継続することができて、取付けを行った送配電機器や送配電機器が接続された系統の運用の信頼性を向上させることができると共に、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0027】
なお、本実施形態では、各センサ部4をタンク3の同一円周上に等間隔で設けるようにしたが、これに限るものではなく、タンク3の側壁であり、ガス絶縁開閉装置の同一監視区域内の適宜位置であればよい。
【0028】
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態を図5及び図6により説明する。なお、本実施形態は、第1の実施形態とセンサ部4をタンク3に設ける構成が異なり、他の点は第1の実施形態と略同様の構成であるため、同一部分は同一符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0029】
図5及び図6において、31は光電界センサ形計器用変圧器で、高電圧導体2に対し同心状に設けられた接地電位の円筒状タンク3の開口部7に、センサ部4を設けて構成されている。またセンサ部4が設けられているタンク3の開口部7には、その外側壁部分に、開口部7と同径の内径部分を有する金属製の円環状の取付座32が固定されており、さらに取付座32の外面には、内径部分と同中心のオーリング溝33が刻設されている。一方、センサ部4は、そのカバー6の鍔部6aの外周部分に、取付座32と略同形状の金属製のフランジ34が固定されており、さらにフランジ34の取付座32に対向する外面には、取付座32のオーリング溝33に対応する位置にオーリング溝33が刻設されている。
【0030】
そして、円筒状タンク3へのセンサ部4の取付けでは、先ずタンク3の開口部7に取付座32を設けると共に、カバー6の鍔部6aにフランジ34を設けておく。次にフランジ34が設けられたカバー6に光電界センサ5を収納する。続いて、フランジ34のオーリング溝33にオーリング35を装着し、タンク側壁に形成した開口部7に、光電界センサ5の先端部がタンク3内方に位置して高電圧導体2の方向に指向するようにカバー6を挿入する。さらに、オーリング35を取付座32のオーリング溝33に嵌め込み、フランジ34を取付座32に図示しないボルト等で固着することにより、センサ部4を開口部7に取り付け、開口部7を気密に閉塞する。なお、図示しないが、第1の実施形態と同様に、開口部7に取り付けられたセンサ部4の根元側部分は、タンク3に気密に固着された保護カバー8で覆われている。
【0031】
以上のように本実施形態を構成することで、第1の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、センサ部4のタンク3への取付けの際、過大な締付けトルクや歪み応力等がカバー6に加わらず、カバー6でのクラック発生や破損等の虞がなく、確実な密閉構造によってセンサ部4をタンク3に取り付けることができ、またタンク3内を開封することなく光電界センサ5の着脱を行えることから、光電界センサ5の交換等を容易に行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0032】
(第4の実施形態)
次に本発明の第4の実施形態を図7及び図8により説明する。なお、本実施形態は、第3の実施形態とセンサ部4をタンク3に設ける構成が異なり、他の点は第3の実施形態と略同様の構成であるため、同一部分は同一符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0033】
図7及び図8において、41は光電センサ形計器用変圧器で、高電圧導体2に対し同心状に設けられた接地電位の円筒状タンク3の開口部7に、センサ部4を設けて構成されている。また、センサ部4を構成する光電界センサ5は、その根元部分にフランジ34と外形状が同じ金属製のベース板42が取り付けられている。
【0034】
そして、円筒状タンク3へのセンサ部4の取付けは、先ずタンク3の開口部7に取付座32を設けると共に、カバー6の鍔部6aにフランジ34を設け、さらに光電界センサ5にベース板42を取り付けておく。次にフランジ34が設けられたカバー6に、ベース板42を取り付けた光電界センサ5を収納する。続いて、タンク3の取付座32が設けられた開口部7に、光電界センサ5の先端部がタンク3内方に位置して高電圧導体2の方向に指向するようにカバー6を挿入する。さらに、取付座32にオーリング35を介在させるようにしてフランジ34、ベース板42を重ね図示しないボルト等で固着することにより、センサ部4を開口部7に取り付け、開口部7を気密に閉塞する。
【0035】
以上のように本実施形態を構成することで、第3の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、センサ部4の根元側部分を覆うための保護カバー8を設けることなく、光電界センサ5を風雨などから保護し、外部の不要電磁波を遮断し、ガス絶縁開閉装置等の送配電機器の電界が外部に漏洩するのを防止することができる。また、光電界センサ5を取り付けたベース板42をタンク3と同じ接地電位とすることができるため、ポッケルス素子12にかかる電界が安定したものとなり、計測精度を劣化させることなく、安定した高電圧導体2に課電されている電圧の計測を行うことができる。
【0036】
(第5の実施形態)
次に本発明の第5の実施形態を図9により説明する。なお、本実施形態は、第4の実施形態とセンサ部4aの構成が異なり、さらにセンサ部4aをタンク3に設ける構成が異なり、他の点は第4の実施形態と略同様の構成であるため、同一部分は同一符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0037】
図9において、51は光電界センサ形計器用変圧器で、高電圧導体2に対し同心状に設けられた円筒状タンク3の開口部7に、センサ部4aを設けて構成されている。センサ部4aは、光電界センサ5aの構成が、カバー6の内形状より細長く形成された逆T字形状の電界透過性を有する絶縁物によって形成された台座9aに、偏光素子10、1/4波長素子11、ポッケルス素子12、検光子13を、カバー6に収納されるよう先端側の位置に、光透過方向に根元部側から先端側に向けて一列に順に配置されるよう取り付け、さらに、先端部分にプリズム14が位置するよう取り付けた構成となっている。
【0038】
また、カバー6の鍔部6aに設けられたフランジ34のオーリング溝33刻設面の裏面には、円環状の金属製押え板52が固着されており、この押え板52と光電界センサ5の根元部分のベース板42との間には、筒状に形成した金属製のベローズ53が光電界センサ5の根元側を気密に囲うように設けられている。さらに、ベローズ53の外方側の押え板52とベース板42との間には、複数本のスタッド54が立設されている。そして、スタッド54には、緊締具のナット55等がベース板42を両面側から挟むように螺着されており、ナット55等を調節してベース板42を両矢印Cで示す方向に進退させることにより両板間の間隔を調節することが可能となっており、また調節された位置に固定できるようになっている。なお、光電界センサ5aとカバー6との間には、押え板52とベース板42間の間隔を調節するさいの調節範囲に対応した空間が形成されている。
【0039】
これにより、タンク3の開口部7に設けられたセンサ部4aを、ナット55等によって押え板52とベース板42との間隔を適宜調節して固定することで、高電圧導体2とタンク3の間に発生する電界方向に平行な方向に光電界センサ5aの位置を変えることができ、光電界センサ5aを所要とする位置に固定することができる。
【0040】
その結果、上述のように構成した本実施形態によれば、第4の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、押え板52とベース板42間の間隔を適宜調節し、ベース板42の位置を固定することで、電界をより効率よく捉えることができる位置に光電界センサ5を位置させることができて、S/N比を向上させることができ、高電圧導体2に課電されている電圧のより精度の高い計測を行うことができる。
【0041】
(第6の実施形態)
次に本発明の第6の実施形態を図10により説明する。なお、本実施形態は、第5の実施形態とセンサ部4aをタンク3に設ける構成が異なり、他の点は第5の実施形態と略同様の構成であるため、同一部分は同一符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0042】
図10において、61は光電界センサ形計器用変圧器で、高電圧導体2に対し同心状に設けられた円筒状タンク3の開口部7に、センサ部4aを設けて構成されている。そして、スタッド54にナット55を螺着してベース板42を取り付けている部分には、ベース板42とナットとの間に、合成ゴムやばね等の弾性部材、あるいは制振材料で形成された防振材62を挿入されており、これにより、タンク3等からの衝撃波や振動波が光電界センサ5aに伝わるのを軽減することができるようになっている。
【0043】
その結果、上述のように構成した本実施形態によれば、第5の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、ガス絶縁開閉装置の遮断器等における遮断動作などで発生する衝撃波や振動波が光電界センサ5aに伝わるのを軽減することができることから、衝撃波や振動波などにより一時的に計測値が異常となる虞が少なくなり、高電圧導体2に課電されている電圧の安定した計測を行うことができる。
【符号の説明】
【0044】
1,25,31,41,51,61…光電界センサ形計器用変圧器、2…高電圧導体、3…タンク、4,4a…センサ部、5,5a…光電界センサ、6…カバー、6a…鍔部、7…開口部、8…保護カバー、9,9a…台座、10…偏光素子、11…1/4波長素子、12…ポッケルス素子、13…検光子、14…プリズム、15…光ファイバ、16…送光コリメータ、17…受光コリメータ、18…光源、19…信号処理回路、20,27…計測部、21…送光用光ファイバ、22…受光用光ファイバ、26…演算処理回路、32…取付座、33…オーリング溝、34…フランジ、35…オーリング、42…ベース板、52…押え板、53…ベローズ板、54…スタッド、55…ナット、62…防振材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送配電機器の課電部の高電圧導体に対し同心状に設けられた接地電位の円筒状タンクのタンク側壁に形成した開口部に、先端部が前記タンク内で前記高電圧導体方向に向かうよう光電界センサを取り付けて、前記高電圧導体へ課電された電圧を測定する光電界センサ形計器用変圧器であって、
前記光電界センサは、半球状先端を備える電界透過性の絶縁物でなるカバー内に、偏光素子、1/4波長素子、ポッケルス素子、検光子を、それぞれ光透過方向に順に電界透過性の絶縁物でなる台座に取り付けて収納すると共に、前記カバーの前記半球状先端内にプリズムを前記台座に取り付けて収納し光の方向を180度変えるようにして該光電界センサへの光の入射方向と出射方向とを平行とし、かつ、前記ポッケルス素子を透過する光の方向が、前記高電圧導体と前記タンクとの間に発生する電界方向と平行となるように取り付けられていることを特徴とする光電界センサ形計器用変圧器。
【請求項2】
前記光電界センサが、前記タンクに複数取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の光電界センサ形計器用変圧器。
【請求項3】
前記タンクの前記開口部周囲に金属製の取付座を設けると共に、前記カバーの根元周囲の鍔部に金属製のフランジを設けるようにし、オーリングを間に介在させて前記取付座に前記フランジを固着することで前記カバーを前記タンクに取り付け、前記光電界センサを前記カバー内に収納するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の光電界センサ形計器用変圧器。
【請求項4】
前記光電界センサ根元部に金属製のベースを取り付けると共に、前記ベースを前記フランジに固着することにより、前記光電界センサを接地電位としたことを特徴とする請求項3記載の光電界センサ形計器用変圧器。
【請求項5】
前記フランジに固定して設けた押え板と前記ベースに両端をそれぞれ固定するようにして金属製のベローズを設けると共に、前記押え板と前記ベースに両端を取り付け両者の間隔を調節可能とするようスタッドを設け、前記間隔を調節することによって前記光電下位センサの位置を調整可能としたことを特徴とする請求項4記載の光電界センサ形計器用変圧器。
【請求項6】
前記ベースに、防振材を介して前記スタッドを取り付けたことを特徴とする請求項5記載の光電界センサ形計器用変圧器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−75410(P2011−75410A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227270(P2009−227270)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】