説明

光電脈波(PPG)データのアンダーサンプリングされた収集および送信ならびに受信機におけるフルバンドPPGデータの再構成のための方法および装置

本開示のいくつかの態様は、圧縮感知(CS)のための方法に関する。CSは、シャノン/ナイキストサンプリング定理によって提案されるセンサ測定よりも著しく少数のセンサ測定を使用して、任意に高い分解能で信号を復元することができる、信号処理概念である。本開示では、CSフレームワークは、ヘルスケアおよびフィットネス適用例のためのボディエリアネットワーク(BAN)において低電力の頑丈なセンサおよび確実な通信をサポートするために、センサ信号処理に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条に基づく優先権の主張
本特許出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明確に組み込まれる、2008年9月26日に出願された仮出願第61/100,654号および2008年9月29日に出願された仮出願第61/101,056号の優先権を主張する。
【0002】
本開示のいくつかの態様は、一般に信号処理に関し、より詳細には、信号のアンダーサンプリングされた収集、送信、および再構成のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
圧縮感知(compressed sensing:CS)は、シャノン(Shannon)/ナイキスト(Nyquist)サンプリング定理によって提案されるセンサ測定よりも著しく少数のセンサ測定を使用して、任意に高い分解能で信号を復元することができる、新興の信号処理概念である。これは、感知されている信号が、ある領域において本質的に圧縮可能またはスパースであるときに可能である。M≪fs/2であり、fsが、ナイキストサンプリングレートなど、提案されるサンプリングレートである、M非ゼロスペクトル成分をもつ帯域制限信号のクラスについて考える。旧来、そのような信号は、より効率的な送信および/または記憶のために収集後に圧縮できる。
【0004】
CSフレームワークでは、その収集処理(すなわち、感知すること)は、ソース圧縮に一体化することができ、信号のスパースな性質とは無関係なものとすることができる。しかしながら、このスパーシティ情報は、信号再構成を実行するために受信機側において必要とされることがある。CSフレームワークにおける測定は、一般に、信号とランダム基底関数との内積として定義される。これらの信号は、少なくとも2Mサンプルが受信機において利用可能であれば、正確に復元できるが、受信機において若干の計算複雑性が追加される。これは、ボディエリアネットワーク(body area network:BAN)において採用されるセンサの可使時間を増加させるためにフレキシブルな電力量で計算複雑性がノードにシフトされるので、BANに関して有用であることがある。
【0005】
CSパラダイムは、信号検出/分類、イメージング、データ圧縮および磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)に関係する適用例のために使用できる。改善された信号忠実度および優れた認識パフォーマンスに関するCSの利益が報告されている。本開示では、ヘルスケアおよびフィットネス適用例のためのBAN内に低電力センサを設けるためのCSベースの信号処理を提案する。
【0006】
ヘルスケア適用例におけるBANの重要な側面は、センサ電力および通信待ち時間を最小限に抑えながら、センサ(すなわち、送信機)とアグリゲータ(すなわち、受信機)との間の確実な通信リンクを提供することである。以前に、マルチホップワイヤレスネットワークに関して最高50%のパケットロス率が観測されたことが報告されている。しかしながら、そのパケットロスパフォーマンスは、サービス品質(Quality of Service:QoS)アウェアなネットワークを採用することによって改善できる。一方のチャネルを緊急警報メッセージのために確保することができる、デュアルチャネル手法が適用できる。その結果として、5%〜25%のより低いパケットロス率が観測され得る。しかしながら、パケットロス率はネットワーク輻輳とともに増加することがある。
【0007】
さらに、BANシナリオ内での前方誤り訂正(Forward Error Correction:FEC)符号化の使用が探究されている。FEC方式を使用することによって、通信待ち時間に関して秒のオーダーの小さい残余パケットロス率が観測され得る。また、ジェネラルパケットラジオサービス(General Packet Radio Service:GPRS)リンクを介した心電図(electro−cardiogram:ECG)信号の送信が調査され、通信待ち時間に関して秒のオーダーの小さいロス率が達成されている。FECを使用することの利益はあるが、送信帯域幅およびセンサ複雑さが増加する。一方、再送信に基づく技法は、FEC手法と比較して帯域幅不利益は小さくなるが、送信機においてパケットをバッファする必要があるので、センサの複雑さが大きくなる。また、ラウンドトリップタイムに比例した待ち時間不利益がある。
【0008】
したがって、当技術分野では、所与のパケットロス率に関する特定用途向け客観的品質メトリックを損なうことなしに、送信機における帯域幅オーバーヘッドがより低く、計算複雑性がより低く、より長いセンサの寿命につながる方法が必要である。
【発明の概要】
【0009】
いくつかの態様は、信号処理のための方法を提供する。本方法は、一般に、ある装置において、非一様サンプリングインスタンスを生成することと、複数の非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知することとを含む。
【0010】
いくつかの態様は、信号処理のための装置を提供する。本装置は、一般に、非一様サンプリングインスタンスを生成するように構成された生成器と、複数の非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知するように構成されたセンサとを含む。
【0011】
いくつかの態様は、信号処理のための装置を提供する。本装置は、一般に、非一様サンプリングインスタンスを生成するための手段と、複数の非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知するための手段とを含む。
【0012】
いくつかの態様は、信号処理のためのコンピュータプログラム製品を提供する。本コンピュータプログラム製品は、非一様サンプリングインスタンスを生成することと、複数の非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知することとを行うように実行可能な命令を備えるコンピュータ可読媒体を含む。
【0013】
いくつかの態様は感知デバイスを提供する。本感知デバイスは、一般に、非一様サンプリングインスタンスを生成するように構成された生成器と、少なくとも複数の非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知するように構成されたセンサと、感知されたサンプルを送信するように構成された送信機とを含む。
【0014】
いくつかの態様は、信号処理のための方法を提供する。本方法は、一般に、ある装置において、他の装置から信号のサンプルを受信することと、上記他の装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断することと、非一様サンプリングインスタンスの判断されたセットを使用して、受信したサンプルから上記信号を再構成することとを含む。
【0015】
いくつかの態様は、信号処理のための装置を提供する。本装置は、一般に、他の装置から送信された信号のサンプルを受信するように構成された受信機と、上記他の装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断するように構成された回路と、非一様サンプリングインスタンスの判断されたセットを使用して、受信したサンプルから上記信号を再構成するように構成された再構成器とを含む。
【0016】
いくつかの態様は、信号処理のための装置を提供する。本装置は、一般に、他の装置から送信された信号のサンプルを受信するための手段と、上記他の装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断するための手段と、非一様サンプリングインスタンスの判断されたセットを使用して、受信したサンプルから上記信号を再構成するための手段とを含む。
【0017】
いくつかの態様は、信号処理のためのコンピュータプログラム製品を提供する。本コンピュータプログラム製品は、ある装置から送信された信号のサンプルを受信することと、上記装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断することと、非一様サンプリングインスタンスの判断されたセットを使用して、受信したサンプルから上記信号を再構成することとを行うように実行可能な命令を備えるコンピュータ可読媒体を含む。
【0018】
いくつかの態様はヘッドセットを提供する。本ヘッドセットは、一般に、ある装置から送信された信号のサンプルを受信するように構成された受信機と、上記装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断するように構成された回路と、非一様サンプリングインスタンスの判断されたセットを使用して、受信したサンプルから上記信号を再構成するように構成された再構成器と、上記再構成された信号に基づいてオーディオ出力を与えるように構成されたトランスデューサとを含む。
【0019】
いくつかの態様は時計を提供する。本時計は、一般に、ある装置から送信された信号のサンプルを受信するように構成された受信機と、上記装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断するように構成された回路と、非一様サンプリングインスタンスの判断されたセットを使用して、受信したサンプルから上記信号を再構成するように構成された再構成器と、上記再構成された信号に基づいて指示を与えるように構成されたユーザインターフェースとを含む。
【0020】
いくつかの態様は監視デバイスを提供する。本監視デバイスは、一般に、コネクタと、コネクタを介して、ある装置から送信された信号のサンプルを受信するように構成された受信機と、上記装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断するように構成された回路と、非一様サンプリングインスタンスの判断されたセットを使用して、受信したサンプルから上記信号を再構成するように構成された再構成器と、上記再構成された信号に基づいて指示を与えるように構成されたユーザインターフェースとを含む。
【0021】
いくつかの態様は、信号処理のための方法を提供する。本方法は、一般に、複数の非一様サンプリングインスタンス中にソースを作動させることと、複数の非一様サンプリングインスタンス間でソースを停止させることとを含む。
【0022】
いくつかの態様は、信号処理のための装置を提供する。本装置は、一般に、複数の非一様サンプリングインスタンス中にソースを作動させるように構成された作動回路と、複数の非一様サンプリングインスタンス間でソースを停止させるように構成された停止回路とを含む。
【0023】
いくつかの態様は、信号処理のための装置を提供する。本装置は、一般に、複数の非一様サンプリングインスタンス中にソースを作動させるための手段と、複数の非一様サンプリングインスタンス間でソースを停止させるための手段とを含む。
【0024】
いくつかの態様は、信号処理のためのコンピュータプログラム製品を提供する。本コンピュータプログラム製品は、一般に、複数の非一様サンプリングインスタンス中にソースを作動させることと、複数の非一様サンプリングインスタンス間でソースを停止させることとを行うように実行可能な命令を備えるコンピュータ可読媒体を含む。
【0025】
いくつかの態様は感知デバイスを提供する。本感知デバイスは、一般に、複数の非一様サンプリングインスタンス中にソースを作動させるように構成された作動回路と、複数の非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知するように構成されたセンサと、複数の非一様サンプリングインスタンス間でソースを停止させるように構成された停止回路とを含む。
【0026】
本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、添付の図面にその一部を示す態様を参照することによって、上記で簡単に要約したより具体的な説明を得ることができる。ただし、その説明は他の等しく有効な態様に通じるので、添付の図面は、本開示のいくつかの典型的な態様のみを示し、したがって、その範囲を限定するものと見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本開示のいくつかの態様による、例示的なワイヤレス通信システムを示す図。
【図2】本開示のいくつかの態様による、ワイヤレスデバイスにおいて利用できる様々な構成要素を示す図。
【図3】本開示のいくつかの態様による、ワイヤレス通信システム内で使用できる例示的な送信機と例示的な受信機とを示す図。
【図4】本開示のいくつかの態様によるボディエリアネットワーク(BAN)の一例を示す図。
【図5】本開示のいくつかの態様による、BAN内で使用されるセンサのアレイの例示的なブロック図。
【図6】本開示のいくつかの態様による、BAN内で使用されるアグリゲータの例示的なブロック図。
【図7】本開示のいくつかの態様による時間領域光電脈波(photoplethysmograph:PPG)信号とその周波数スペクトルとの一例を示す図。
【図8】本開示のいくつかの態様による時間領域心電図(ECG)信号とその周波数スペクトルとの一例を示す図。
【図9】本開示のいくつかの態様によるPPG信号の周波数スペクトルの別の例を示す図。
【図10】本開示のいくつかの態様によるPPG信号とガボール空間におけるPPG信号の変換との一例を示す図。
【図11】本開示のいくつかの態様による、異なるアンダーサンプリング比(under−sampling ratio:USR)を使用して得られる再構成された信号の比較を示す図。
【図12】本開示のいくつかの態様による、異なるUSRに関する圧縮感知(CS)フレームワークに基づく心拍数(heart rate:HR)推定の比較を示す図。
【図13】本開示のいくつかの態様による、異なるUSRに関するCSフレームワークに基づくPPG信号再構成の比較を示す図。
【図14】本開示のいくつかの態様による、ECGおよびPPG信号ピークに基づくパルス到達時刻(pulse arrival time:PAT)とHRとの例示的な測定を示す図。
【図15】本開示のいくつかの態様による、収縮期血圧(systolic blood pressure:SBP)推定誤差および拡張期血圧(diastolic blood pressure:DBP)推定誤差についての標準偏差を示す図。
【図16】本開示のいくつかの態様による、CSベースのパケットロス補償(packet loss concealment:PLC)方法の例示的な動作を示す図。
【図16A】図16に示す動作を実行することが可能な例示的な構成要素を示す図。
【図17】本開示のいくつかの態様による、例示的なECG信号と、ガボール空間におけるECG信号の変換と、ECG信号のプリコードされたバージョンとを示す図。
【図18】本開示のいくつかの態様による、インターリービングベースのCS−PLC方法の例示的な動作を示す図。
【図18A】図18に示す動作を実行することが可能な例示的な構成要素を示す図。
【図19】本開示のいくつかの態様による、異なる数の送信されたパケットに関するCS−PLCの例示的な2乗平均誤差(root−mean−square−error:RMSE)パフォーマンスのグラフを示す図。
【図20】本開示のいくつかの態様による、CS−PLC手法とPLCなしの方式とを使用した信号再構成の一例を示す図。
【図21】本開示のいくつかの態様による、様々なPLC方式に関する例示的な正規化RMSEパフォーマンスのグラフを示す図。
【図22】本開示のいくつかの態様による、様々なPLC方式に関する心拍検出パフォーマンス比較を示す図。
【図23】本開示のいくつかの態様による、CS−PLC方式を使用して復元されたオーディオ信号の一例を示す図。
【図24】本開示のいくつかの態様による、CS−PLC方式を使用して復元されたオーディオ信号の別の例を示す図。
【図25】本開示のいくつかの態様による、アンダーサンプリングされた収集と再構成とのための例示的な動作を示す図。
【図25A】図25に示す動作を実行することが可能な例示的な構成要素を示す図。
【図26】本開示のいくつかの態様によるセンサおよび再構成器の例示的なブロック図。
【図27】本開示のいくつかの態様による、非一様サンプリングインスタンスにおいて感知された信号の一例を示す図。
【図28】本開示のいくつかの態様による、センサにおいてソースを作動および停止させるための例示的な動作を示す図。
【図28A】図28に示す動作を実行することが可能な例示的な構成要素を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付の図面を参照しながら本開示の様々な態様について以下でより十分に説明する。ただし、本開示は、多くの異なる形態で実施できるものであり、本開示全体にわたって提示する任意の特定の構造または機能に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの態様は、本開示が周到で完全になり、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるために与えるものである。本明細書の教示に基づいて、本開示の範囲は、本開示の他の態様とは無関係に実装されるにせよ、本開示の他の態様と組み合わせて実装されるにせよ、本明細書で開示する本開示のいかなる態様をもカバーするものであることを、当業者なら諒解されたい。たとえば、本明細書に記載の態様をいくつ使用しても、装置を実装し、または方法を実施することができる。さらに、本開示の範囲は、本明細書に記載の本開示の様々な態様に加えてまたはそれらの態様以外に、他の構造、機能、または構造および機能を使用して実施されるそのような装置またはそのような方法をカバーするものとする。本明細書で開示する本開示の任意の態様が請求項の1つまたはそれより多い要素によって実施できることを理解されたい。
【0029】
「例示的(exemplary)」という単語は、本明細書では「例(example)、事例(instance)、または例示(illustration)の働きをすること」を意味するために使用する。「例示的」として本明細書で説明するいかなる態様も、必ずしも他の態様よりも好適または有利なものと解釈すべきではない。
【0030】
本明細書では特定の態様について説明するが、これらの態様の多くの変形体および置換は本開示の範囲内に入る。好ましい態様のいくつかの利益および利点について説明するが、本開示の範囲は特定の利益、使用、または目的に限定されるものではない。むしろ、本開示の態様は、様々なワイヤレス技術、システム構成、ネットワーク、および送信プロトコルに広く適用可能であるものとし、そのうちのいくつかを例として図および好ましい態様についての以下の説明で示す。発明を実施するための形態および図面は、限定的なものではなく本開示を説明するものにすぎず、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲およびその均等物によって規定される。
【0031】
例示的なワイヤレス通信システム
本明細書で説明する技法は、直交多重化方式およびシングルキャリア送信に基づく通信システムを含む、様々なブロードバンドワイヤレス通信システムに使用できる。そのような通信システムの例には、直交周波数分割多元接続(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:OFDMA)システム、シングルキャリア周波数分割多元接続(Single−Carrier Frequency Division Multiple Access:SC−FDMA)システム、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access:CDMA)などがある。OFDMAシステムは、全システム帯域幅を複数の直交サブキャリアに区分する変調技法である、直交周波数分割多重(orthogonal frequency division multiplexing:OFDM)を利用する。これらのサブキャリアは、トーン、ビンなどと呼ばれることもある。OFDMでは、各サブキャリアはデータで独立して変調できる。SC−FDMAシステムは、システム帯域幅にわたって分散されたサブキャリア上で送信するためのインターリーブされたFDMA(interleaved FDMA:IFDMA)、隣接するサブキャリアのブロック上で送信するための局所FDMA(localized FDMA:LFDMA)、または隣接するサブキャリアの複数のブロック上で送信するための拡張FDMA(enhanced FDMA:EFDMA)を利用することができる。一般に、変調シンボルは、OFDMでは周波数領域で、SC−FDMAでは時間領域で送信される。CDMAシステムは、各送信機(すなわち、ユーザ)が、複数のユーザが同じ物理チャネルを介して多重化されることを可能にするための符号を割り当てられる、スペクトラム拡散技術および符号化方式を利用することができる。
【0032】
直交多重化方式に基づく通信システムの1つの具体的な例はWiMAXシステムである。マイクロウェーブアクセスのためのワールドワイド・インターオペラビリティ(Worldwide Interoperability for Microwave Access)を表すWiMAXは、長距離にわたる高いスループットブロードバンド接続を与える、規格ベースのブロードバンドワイヤレス技術である。現在、WiMAXの2つの主要な適用例、すなわち固定WiMAXとモバイルWiMAXとがある。固定WiMAX適用例は、たとえば、家庭および企業でのブロードバンドアクセスを可能にするポイントツーマルチポイントである。モバイルWiMAXは、ブロードバンド速度でのセルラーネットワークのフルモビリティを提供する。
【0033】
IEEE802.16xは、固定およびモバイルブロードバンドワイヤレスアクセス(broadband wireless access:BWA)システムのためのエアインターフェースを定義する新興の規格組織である。IEEE802.16xは、2004年5月に固定BWAシステムのための「IEEEP802.16d/D5−2004」を承認し、2005年10月にモバイルBWAシステムのための「IEEEP802.16e/D12.Oct.2005」を公開した。現在、IEEE802.16の最新バージョンである、「IEEEP802.16Rev2/D8 December 2008」、ドラフト規格が、IEEE802.16eからの資料および訂正を統合している。それらの規格は、4つの異なる物理層(physical layer:PHY)および1つの媒体アクセス制御(medium access control:MAC)層を定義する。4つの物理層のうちのOFDMおよびOFDMA物理層は、それぞれ固定およびモバイルBWA領域において最も一般的である。
【0034】
本明細書の教示は、様々なワイヤードまたはワイヤレス装置(たとえば、ノード)に組み込む(たとえば、その装置内に実装する、またはその装置によって実行する)ことができる。いくつかの態様では、本明細書の教示に従って実装されるノードはアクセスポイントまたはアクセス端末を備えることができる。
【0035】
アクセスポイント(「acess point:AP」)は、ノードB、無線ネットワークコントローラ(「Radio Network Controller:RNC」)、eノードB、基地局コントローラ(「Base Station Controller:BSC」)、ベーストランシーバ局(「Base Transceiver Station:BTS」)、基地局(「Base Station:BS」)、トランシーバ機能(「Transceiver Function:TF」)、無線ルータ、無線トランシーバ、基本サービスセット(「Basic Service Set:BSS」)、拡張サービスセット(「Extended Service Set:ESS」)、無線基地局(「Radio Base Station:RBS」)、または何らかの他の用語を備えるか、それらのいずれかとして実装されるか、あるいはそれらのいずれかとして知られていることがある。
【0036】
アクセス端末(「access terminal:AT」)は、アクセス端末、加入者局、加入者ユニット、移動局、リモート局、リモート端末、ユーザ端末、ユーザエージェント、ユーザデバイス、ユーザ機器、または何らかの他の用語を備えるか、それらのいずれかとして実装されるか、あるいはそれらのいずれかとして知られていることがある。いくつかの実装形態では、アクセス端末は、セルラー電話、コードレス電話、セッション開始プロトコル(「Session Initiation Protocol:SIP」)電話、ワイヤレスローカルループ(「wireless local loop:WLL」)局、携帯情報端末(「personal digital assistant:PDA」)、ワイヤレス接続機能を有するハンドヘルドデバイス、またはワイヤレスモデムに接続された何らかの他の好適な処理デバイスを備えることができる。したがって、本明細書で教示する1つまたはそれより多い態様は、電話(たとえば、セルラー電話またはスマートフォン)、コンピュータ(たとえば、ラップトップ)、ポータブル通信デバイス、ポータブルコンピューティングデバイス(たとえば、個人情報端末)、娯楽デバイス(たとえば、音楽またはビデオデバイス、あるいは衛星ラジオ)、全地球測位システムデバイス、あるいはワイヤレスまたはワイヤード媒体を介して通信するように構成された他の好適なデバイスに組み込むことができる。いくつかの態様では、ノードはワイヤレスノードである。たとえば、そのようなワイヤレスノードは、ワイヤードまたはワイヤレス通信リンクを介した、ネットワーク(たとえば、インターネットまたはセルラーネットワークなど、ワイドエリアネットワーク)のための、またはネットワークへの接続性を与えることができる。
【0037】
図1に、本開示の態様が採用できるワイヤレス通信システム100の例を示す。ワイヤレス通信システム100は、ブロードバンドワイヤレス通信システムとすることができる。ワイヤレス通信システム100は、いくつかのセル102に通信を与えることができ、各セルは基地局104によってサービスされる。基地局104は、ユーザ端末106と通信する固定局とすることができる。基地局104は、代替的に、アクセスポイント、ノードBまたは何らかの他の用語で呼ばれることもある。
【0038】
図1は、システム100全体に散在する様々なユーザ端末106を示す。ユーザ端末106は固定(すなわち、静止)でも移動でもよい。ユーザ端末106は、代替的に、リモート局、アクセス端末、端末、加入者ユニット、移動局、局、ユーザ機器などと呼ばれることもある。ユーザ端末106は、セルラー電話、携帯情報端末(personal digital assistant:PDA)、ハンドヘルドデバイス、ワイヤレスモデム、ラップトップコンピュータ、パーソナルコンピュータなど、ワイヤレスデバイスとすることができる。
【0039】
様々なアルゴリズムおよび方法を、基地局104とユーザ端末106との間の、ワイヤレス通信システム100における送信のために使用することができる。たとえば、OFDM/OFDMA技法に従って、基地局104とユーザ端末106との間で信号を送信および受信することができる。この場合には、ワイヤレス通信システム100をOFDM/OFDMAシステムと呼ぶことができる。代替的に、CDMA技法に従って、基地局104とユーザ端末106との間で信号を送信および受信することができる。この場合には、ワイヤレス通信システム100をCDMAシステムと呼ぶことができる。
【0040】
基地局104からユーザ端末106への送信を可能にする通信リンクをダウンリンク(downlink:DL)108と呼び、ユーザ端末106から基地局104への送信を可能にする通信リンクをアップリンク(uplink:UL)110と呼ぶことができる。代替的に、ダウンリンク108を順方向リンクまたは順方向チャネルと呼び、アップリンク110を逆方向リンクまたは逆方向チャネルと呼ぶことができる。
【0041】
セル102は複数のセクタ112に分割できる。セクタ112は、セル102内の物理的カバレージエリアである。ワイヤレス通信システム100内の基地局104は、セル102の特定のセクタ112内の電力の流れを集中させるアンテナを利用することができる。そのようなアンテナを指向性アンテナと呼ぶことができる。
【0042】
図2に、ワイヤレス通信システム100内で採用できるワイヤレスデバイス202において利用できる様々な構成要素を示す。ワイヤレスデバイス202は、本明細書で説明する様々な方法を実装するように構成できるデバイスの一例である。ワイヤレスデバイス202は基地局104またはユーザ端末106とすることができる。
【0043】
ワイヤレスデバイス202は、ワイヤレスデバイス202の動作を制御するプロセッサ204を含むことができる。プロセッサ204は中央処理装置(central processing unit:CPU)と呼ばれることもある。読取り専用メモリ(ROM)とランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)の両方を含むことができるメモリ206は、命令とデータとをプロセッサ204に与える。メモリ206の一部は不揮発性ランダムアクセスメモリ(non−volatic random access memory:NVRAM)をも含むことができる。プロセッサ204は、一般に、メモリ206内に記憶されたプログラム命令に基づいて、論理および演算動作を実行する。メモリ206中の命令は、本明細書で説明する方法を実装するように実行可能であることがある。
【0044】
ワイヤレスデバイス202は、ワイヤレスデバイス202と遠隔地との間のデータの送信および受信を可能にするために送信機210と受信機212とを含むことができるハウジング208をも含むことができる。送信機210と受信機212とを組み合わせてトランシーバ214を形成することができる。アンテナ216は、ハウジング208に取り付け、トランシーバ214に電気的に結合することができる。ワイヤレスデバイス202は、複数の送信機、複数の受信機、複数のトランシーバ、および/または複数のアンテナ(図示せず)をも含むことができる。
【0045】
ワイヤレスデバイス202は、トランシーバ214によって受信された信号のレベルを検出および定量化するために使用できる信号検出器218をも含むことができる。信号検出器218は、総エネルギー、シンボルごとのサブキャリア当たりのエネルギー、電力スペクトル密度および他の信号などの信号を検出することができる。ワイヤレスデバイス202は、信号を処理する際に使用するためのデジタル信号プロセッサ(digital signal processor:DSP)220をも含むことができる。
【0046】
ワイヤレスデバイス202の様々な構成要素は、データバスに加えて、電力バス、制御信号バス、およびステータス信号バスを含むことができるバスシステム222によって互いに結合できる。
【0047】
図3に、OFDM/OFDMAを利用するワイヤレス通信システム100内で使用できる送信機302の一例を示す。送信機302の部分は、ワイヤレスデバイス202の送信機210中に実装され得る。送信機302は、ダウンリンク108上でデータ306をユーザ端末106に送信するために基地局104中に実装され得る。送信機302は、アップリンク110上でデータ306を基地局104に送信するためにユーザ端末106中にも実装され得る。
【0048】
送信されるデータ306は、直並列(serial−to−parallel:S/P)変換器308に入力として供給されるものとして示してある。S/P変換器308はその送信データをM個の並列データストリーム310に分割する。
【0049】
次いで、N個の並列データストリーム310はマッパー312に入力として供給される。マッパー312は、N個の並列データストリーム310をN個のコンスタレーションポイントにマッピングする。マッピングは、2位相シフトキーイング(binary phase−shift keying:BPSK)、4位相シフトキーイング(quadrature phase−shift keying:QPSK)、8位相シフトキーイング(8 phase−shift keying:8PSK)、直交振幅変調(quadrature amplitude modulation:QAM)など、何らかの変調コンスタレーションを使用して行われる。したがって、マッパー312は、それぞれ逆高速フーリエ変換(inverse fast Fourier transform:IFFT)320のN個の直交サブキャリアのうちの1つに対応する、N個の並列シンボルストリーム316を出力する。これらのN個の並列シンボルストリーム316は、周波数領域において表されて、IFFT構成要素320によってN個の並列時間領域サンプルストリーム318に変換される。
【0050】
次に、用語に関する簡単な注釈を与える。周波数領域におけるN個の並列変調は、周波数領域におけるN個の変調シンボルに等しく、これは、周波数領域におけるNマッピングおよびNポイントIFFTに等しく、これは、時間領域における1つの(有用な)OFDMシンボルに等しく、これは、時間領域におけるN個のサンプルに等しい。時間領域における1つのOFDMシンボル、NSは、NCP(OFDMシンボル当たりの巡回プレフィックス(CP)サンプル数)+N(OFDMシンボル当たりの有用なサンプル数)に等しい。
【0051】
N個の並列時間領域サンプルストリーム318は、並直列(parallel−to−serial:P/S)変換器324によって、OFDM/OFDMAシンボルストリーム322に変換される。巡回プレフィックス挿入構成要素326は、OFDM/OFDMAシンボルストリーム322中の連続したOFDM/OFDMAシンボル間にCPを挿入する。次いで、CP挿入構成要素326の出力は、無線周波数(radio frequency:RF)フロントエンド328によって、所望の送信周波数帯域にアップコンバートされる。次いで、アンテナ330は、得られた信号332を送信する。
【0052】
図3に、OFDM/OFDMAを利用するワイヤレスデバイス202内で使用できる受信機304の一例をも示す。受信機304の部分は、ワイヤレスデバイス202の受信機212中に実装され得る。受信機304は、ダウンリンク108上で基地局104からデータ306を受信するためにユーザ端末106中に実装され得る。受信機304は、アップリンク110上でユーザ端末106からデータ306を受信するために基地局104中にも実装され得る。
【0053】
送信された信号332は、ワイヤレスチャネル334上を移動するものとして示してある。信号332’がアンテナ330’によって受信されると、受信された信号332’はRFフロントエンド328’によってベースバンド信号にダウンコンバートされる。次いで、CP除去構成要素326’は、CP挿入構成要素326によってOFDM/OFDMAシンボル間に挿入されたCPを除去する。
【0054】
CP除去構成要素326’の出力はS/P変換器324’に供給される。S/P変換器324’は、OFDM/OFDMAシンボルストリーム322’を、それぞれN個の直交サブキャリアのうちの1つに対応するN個の並列時間領域シンボルストリーム318’に分割する。高速フーリエ変換(fast Fourier transform:FFT)構成要素320’は、N個の並列時間領域シンボルストリーム318’を周波数領域に変換し、N個の並列周波数領域シンボルストリーム316’を出力する。
【0055】
デマッパー312’は、マッパー312によって実行されたシンボルマッピング動作の逆を実行し、それによって、N個の並列データストリーム310’を出力する。P/S変換器308’は、N個の並列データストリーム310’を単一のデータストリーム306’に合成する。理想的には、このデータストリーム306’は、送信機302に入力として供給されたデータ306に対応する。要素308’、310’、312’、316’、320’、318’および324’がすべてベースバンドプロセッサ340’中で発見されることがあることに留意されたい。
【0056】
ボディエリアネットワークの概念
図4に、図1に示すワイヤレスシステム100に対応し得るボディエリアネットワーク(BAN)400の一例を示す。ボディエリアネットワークは、慢性疾患に対する薬剤の効果などを診断目的で常時監視することなど、ヘルスケア適用例のための有望な概念を表す。
【0057】
BANは、いくつかの収集回路からなることができる。各収集回路は、1つまたはそれより多いバイタルサインを感知し、そのバイタルサインをモバイルハンドセット、ワイヤレスウォッチ、または個人情報端末(PDA)などのアグリゲータ(すなわち、アクセス端末)に通信する、ワイヤレスセンサを備えることができる。様々な生物医学信号を収集し、それらの信号をワイヤレスチャネルを介してアグリゲータ410に送信するセンサ402、404、406、および408は、アクセスポイント104と同じ機能を有し得る。図5に、BAN400内のセンサ402〜408に対応し得る生物医学センサ510a〜510kのアレイの詳細ブロック図を示す。各センサ510a〜510kは、図2からの送信機210および図3からの送信機302の一例であり得る。
【0058】
図4に示すアグリゲータ410は、センサ402〜408からワイヤレスチャネルを介して送信された様々な生物医学信号を受信し、処理することができる。アグリゲータ410は、モバイルハンドセットまたはPDAとすることができ、図1からのモバイルデバイス106と同じ機能を有し得る。図6に、BAN400内のアグリゲータ410に対応し得るアグリゲータ610の詳細ブロック図を示す。アグリゲータ610は、図2からの受信機212および図3からの受信機304の一例であり得る。
【0059】
BANにおいて使用されるセンサは、非侵入型で長持ちすることが望ましい。本開示では、センサ信号処理のための圧縮感知(CS)技法の利益を示すために、光電脈波(PPG)および心電図(ECG)信号について考慮する。PPG、ECGおよびアクティビティ感知は、人口の大きいセグメントにおける大部分の慢性疾患をカバーし、したがって、BANにおけるワイヤレス技術と、ワイヤレスエリアネットワーク(wireless area network:WAN)接続性をもつモバイルデバイスとに大きな機会を与える。
【0060】
パルスオキシメータセンサは、肺および呼吸を含む肺系の重要なインジケータである、血中酸素濃度(Sp2とも呼ばれる)の常時監視を可能にし得るPPG波形を生成することができる。血液は、体細胞の生存、適切な機能を確実にし、細胞の老廃物を除去するために、酸素、栄養分および化学物質を体細胞に運ぶ。Sp2は、診断、手術、長期監視などのための臨床的状況において広範囲にわたって使用される。図7に、時間領域PPG信号とその周波数スペクトルとの一例を示す。
【0061】
ECGは、心臓血管系を評価するための別の重要なバイタルサインである。心臓は、毎分約6リットルの血液を人間の体にわたって送る、最もよく働く身体部位のうちの1つである。各心臓周期中に生成された電気信号は、ECGを形成し、Ag/AgCl電極センサによって容易にキャプチャできる。ECGは、心臓関連の問題を診断するための臨床的状況において日常的に使用でき、ECGの常時監視は、多くの慢性症状の早期診断を可能にし得る。図8に、時間領域ECG信号とその周波数スペクトルとの一例を示す。
【0062】
血圧(BP)は、非常に大きい臨床的価値がある別のバイタルサインである。ECGおよびPPG信号を使用して、収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)を推定することができる。
【0063】
提案する方法の概観
本開示のいくつかの態様は、パルスオキシメータセンサの電力消費量を低減するための方法に関する。商用パルスオキシメータは、一般に、20〜60mWのオーダーの電力を消費することがある。赤色および赤外線の発光ダイオード(light−emitting diode:LED)が、この電力の大部分を占める。PPGセンサの電力効率の良い設計により、電力消費量を1.5mWまで低下させ得る。所与の一様サンプリングレートに対して、LED点灯に関連するデューティサイクルが低減され得る。他の最適化のうち、高速検出器およびより高いクロック周波数が使用されることがある。したがって、LEDは、T・fs持続時間の間、オンに切り替えられ得、fsとTは、それぞれ、サンプリングレートと、各サンプルを収集するために必要とされる点灯の持続時間とを表す。
【0064】
PPG信号は、スペクトル領域においてスパースであり、したがって圧縮可能であることがある。これにより、PPG信号を収集するために圧縮感知(CS)フレームワークの使用が可能になることがある。PPG信号は、非一様(すなわち、ランダム)時間間隔で、ただし平均サンプリングレートFsを用いて、サンプリングされ得る。CS手法では、サンプリングレートFsは、一様サンプリングレートfsよりもはるかに小さいものとすることができる。ファクタfs/Fsは、アンダーサンプリング比(USR)と呼ばれることがある。このサンプリング手法により、T・fsではなくT・fs/USR持続時間の間のみLEDを点灯することができるので、PPG収集のために使用されるパルスオキシメータセンサの電力消費量を(すなわち、約USR分の1に)低減することができることに留意されたい。
【0065】
s/USRでの低域フィルタ処理およびサンプリングと比較して、CSベースの手法の利益は、fs/USRを上回る信号成分が失われないことがあることである。同様に、高いUSRを用いて、より高い周波数における狭帯域信号を収集することもできる。図9に、fs=125HzでサンプリングされたPPG信号の例示的なスペクトルを示す。低域フィルタのみがPPG信号に適用され、USRが40の場合にfs/40=3.125Hzでサンプリングされると、かなりのスペクトル成分が失われ得ることが観測され得る。
【0066】
CSフレームワークを利用することの別の利益は、測定が、従来のナイキストレートサンプリングの場合のフーリエ空間を含む、再構成において使用される変換空間とは無関係であり得ることである。CS測定フレームワークは、センサ側ではかなりの節電につながるが、受信機においてはPPG信号の近似値を再構成するための計算オーバーヘッドが増加することがある。
【0067】
また、必要とされる計算はモバイルハンドセットまたはPDA上でホストされ得るので、所与のタスクに対する受信機複雑さを評価することは興味深い。たとえば、心拍数(HR)推定タスクはCSサンプルからPPG信号の中間表現を必要としないことがあり、したがってPPG信号再構成およびHR推定などのタスクに対する後処理複雑さは異なることがある。
【0068】
USRの異なる値を用いたCSフレームワークにおいてHRおよびBP推定精度が損なわれないことがあることを示すために、集中治療のためのマルチパラメータ知的監視(Multi−parameter intelligent monitoring for intensive care:MIMIC)データベースを使用することができる。MIMICデータベースは、数人の血行力学的に不安定な対象者(すなわち、観測の所与の期間中にECG、PPGおよびBPパターンが変化することがある対象者)からの、24時間超にわたるECG、PPGおよびBPの同時記録からなる。
【0069】
本開示のいくつかの態様は、信号の送信中のパケットロス緩和のためにCSフレームワークを利用することをサポートする。これは、受信機がスパース表現から信号を再構成する能力を備え得るので可能であり得る。感知モジュールからアグリゲータへの生物医学信号のワイヤレストランスポートについて考える。たとえば、ランダム射影(たとえば、ラデマッハー(Rademacher)パターン)を使用して未加工ECGデータを符号化し、得られたランダム係数を無線での送信のためにパケット化することがある。
【0070】
符号化されたECG信号のスパースな性質により、これらのランダム係数のサブセットを使用して再構成を実行することが可能になることがあり、サブセット濃度はスパーシティ情報に依存することがある。これは、チャネル誤差によるいくつかのパケットのロスにもかかわらず、受信機においてECG信号が依然として再構成でき、HR推定が実行できることを示唆する。この手法の利益は、再送信が必要とされないことがあるので、待ち時間が少なくなり、センサにおけるプロトコルスタックがより単純になることである。別の顕著な特徴は、チャネル状態に従ってランダム射影の数(すなわち、圧縮感知帯域幅)を適合させることができることであり得る。
【0071】
圧縮感知ベースの収集および再構成
図26に、生物医学信号の感知および再構成のための例示的なブロック図を示す。PPG信号などの生物医学信号を収集するためのセンサ2602は、3つの主要な構成要素、すなわち、LED2606と、光検出器2610と、それぞれLEDのための点灯シーケンス2604および光検出器のためのサンプリングシーケンス2612とを備えることができる。LED2606は、スペクトルの赤色および赤外線部分をも備える、600nmと1000nmとの間の波長をもつ光を発し得る。LED2606からの光は、組織2608(たとえば、図26に示すように、人間の指または耳)から送信/反射され、光検出器2610上で収集され得る。光検出器において測定されたLEDに対応する平均強度の比は、血液中の酸素含有量(Sp2)を判断する際に有用であることがある。したがって、Sp2は、PPG信号の平均(DC成分)の関数であることがある。
【0072】
点灯シーケンス2604およびサンプリングシーケンス2612は、定義されたアンダーサンプリング比(USR)2616に従ってシード生成器2614によって生成されるランダムシードを使用して得られ得る。光検出器2610からのサンプリングされたデータ2618は、送信の前に、媒体アクセス制御/物理層(MAC/PHY)処理2620のために送信され得る。次いで、処理されたサンプルは、パケット化され、1つまたはそれより多いアンテナ2622によって送信され得る。
【0073】
受信機側において、図26に示すように、送信されたサンプルは、1つまたはそれより多いアンテナ2624において受信され、MAC/PHYブロック2626によって処理され得る。次いで、そのデータは、当初感知された生物医学信号を得るために再構成器2628に受け渡され得る。正確な再構成のために、サンプリングシーケンス2632を生成するランダムシード生成器2630は、センサのランダムシード生成器2614と同期させる必要があることがある。
【0074】
本開示の一態様では、たとえば、l1ノルムの修正されたガボールスパーシティ基底正則化ベクトル2638を使用することによって、勾配ベースのスパース再構成2636が、サンプリングされたデータ2634に対して適用され得る。次いで、推定された信号2640が、たとえば、血圧推定値、血液中の酸素のレベル、および心拍数を得るために、タスク固有の処理のためのユニット2642によって利用され得る。実際の信号2644は、サンプリングインスタンスを生成するために利用されるUSRを更新するために、ユニット2648によってターゲット信号2646と比較され得る。ユニット2650の出力において更新されたUSR値2652が、ランダムシード生成器2630によって使用され得、また、センサのUSR2616を適合させるためにセンサにフィードバックされ得る。USRの他に、センサにおける測定の数、測定行列の係数、信号の送信されたサンプル数、および各送信されたパケット中のサンプル数など、何らかの他のパラメータを適合させるために、追加のフィードバック情報がセンサに送信されることもある。
【0075】
(赤色LEDまたは赤外線LEDのいずれかに関連する)PPG波形における変調は、瞬時血流量に関係し得る。波形ピーク間の距離の逆数として瞬時心拍数(HR)が推定され得る。LEDのための点灯シーケンスは、PPG信号のための所望のサンプリングレートに依存し得る。それは一様ナイキストサンプリングレートと仮定され得る。また、LEDの頻繁な点灯はパルスオキシメータセンサのかなりの電力消費量を生じることがあることに留意されたい。
【0076】
本開示のいくつかの態様は、PPG信号のスパースな性質を利用することと、センサ電力を節約するためにより少数の測定を行うこととをサポートする。様々なスケールでガウス窓関数によって制限された時間サポートを用いた様々な余弦波からなる変換空間として、ガボール基底が採用され得る。
【0077】
元のサンプリングされたPPG信号をN次元ベクトルxによって示し、スパース領域変換基底をN×N行列Wによって表す。行列Wの(i,j)エントリは次のように与えられ得る。
【数1】

【0078】
式(1)からの項wは、ガボール基底においてガウスカーネルの幅に関連付けられ得る。行列Wの各行は、対応するl2ノルムが1に等しくなるように正規化され得、行列Wはスパース基底と呼ばれることがある。PPG信号xをそのスパース基底上に射影して、ガボール変換空間において対応するN次元表現を生成することができ、それは次のように与えられ得る。
【数2】

【0079】
図10に、本開示のいくつかの態様による、PPG信号と、ガボール変換空間における対応する表現yとの短いセグメントの一例を示す。図10は、125Hzでサンプリングされた8秒セグメント(すなわち、合計N=1000サンプル)を示している。信号xは変換領域においてスパースで圧縮可能であり得、絶対的な大きさに関して0.2よりも大きい約30個の係数があることが観測され得る。これは、そのPPG信号特性の大部分が、Nと比較してはるかに低い次元の空間にあり得、したがって、そのPPG信号は圧縮可能であり得ることを示す。
【0080】
したがって、CS原理を利用できるので、K≪N測定を行い(すなわち、元のデータを高度にアンダーサンプリングし)、依然として、高忠実度でxを推定することが可能である。信号xが明示的にスパースであり、M非ゼロ要素のみが変換空間にある場合、xからK≧M log N/M個のサンプルをランダムに選択することにより、ゼロ誤差での信号再構成を可能にする高い確率で、十分な情報が与えられ得る。
【0081】
現実の状況では、その信号は決して真にスパースではないことがあり、一部の情報成分が変換空間全体にわたって存在することがある。ただし、ε≪max(y)である、εよりも大きい大きさをもつ有意な成分の数はNよりもはるかに小さいものであり得る。図10では、εの値は0.2である。この手法は、xが明示的にスパースでない場合に拡張され得、CSパラダイムは依然として有効なままであり得る。ただし、再構成誤差は必ずしもゼロに等しくないことがある。
【0082】
xの感知処理は数学的に表すことができる。Pが、(たとえば、ランダムに選択された)一意のエントリを含んでいるK次元のベクトルを示し、各要素が1とNとの間に境界を画定されるものとする。これは、本質的に、xから要素を選択するためのK個のランダムロケーションを与え得る。ベクトルPを構成するための乱数生成のためのシードは、センサにおいてまたは受信機において局所的に生成され得る。シードは、通信リンクのセキュリティプロトコルにおいて使用されるキーに基づき得る。xから得られた、K次元の測定ベクトルrは、次のように書くことができる。
【数3】

【0083】
上式で、HはK×N測定行列を示す。
【0084】
式(3)からの行列Hのi番目の行は、Pのi番目の要素によって与えられるロケーションにおいて1をもつ全零ベクトルであり得る。CSフレームワークでは、その測定行列は、ランダム独立同分布(i.i.d)要素を含んでいる行列として定義され得ることに留意されたい。そのような測定行列は、入力信号が時間領域においてまたは変換領域においてスパースであることがアプリオリに知られていないときに必要であることがある。
【0085】
測定ベクトルrからの信号再構成のためにマッチング追跡(matcing pursuit:MP)アルゴリズムを採用することができる。MP技法は、局所的に最適な決定を行うことによって信号近似値を反復的に蓄積するグリーディアルゴリズムを表す。MPアルゴリズムの初期化は、V=[V1・・・VN]になるように、修正された基底V=次元K×NのH・Wを定義することによって与えられ得、上式で、VjはVのj番目の列ベクトルである。その場合、残差はr0=rとして初期化され得、近似値
【数4】

【0086】
はy(すなわち、N)と同じである。また、反復カウンタは、i=1として初期化され得る。
【0087】
その後、V上への残差ri-1の内積を最大にする、Vからの列ベクトルが発見され得る。
【数5】

【0088】
次いで、その残差は更新され得、係数ベクトルyは次のように推定され得る。
【数6】

【0089】
その後、反復カウンタiは増分され得、
【数7】

【0090】
が定義され得る。i<mおよびΔi>εである場合、式(4)によって定義されたアルゴリズムステップは反復され得る。他の場合、
【数8】

【0091】
および
【数9】

【0092】
であり、アルゴリズムは、式(5)および式(6)によって定義されたステップに進み得る。最後に、元の推定値が、
【数10】

【0093】
として得られ得る。
【0094】
項mは、再構成のために許可される反復の数に対する上限を表し、項εは収束基準を定義する。MPアルゴリズムの後ろの直観は2つの部分をもつ。各反復ステップにおいて、MPアルゴリズムは、残差rと最も強く相関し得るVの列を発見することを試み、次いで、この列ベクトルの寄与をrから減算し得る。このアルゴリズムは、各ステップにおいて、射影空間Wにおける原信号xの最も支配的な成分を推定し得るので、本質的にグリーディである。また、MPアルゴリズムの主要な複雑さは、単一の反復のためにO(K・N)回の算術演算を要し得る式(4)にあることに留意されたい。
【0095】
本開示のいくつかの態様は、測定ベクトルrから再構成された信号を得るために、勾配射影ベースのスパース再構成(gradient−projection based sparse reconstruction:GPSR)手法を使用する。この手法は、制約を受けずに、データ忠実度項(すなわち、誤差のl2ノルム)と変換空間におけるl1ノルム(すなわち、スパーシティの測度)とを一緒に最小限に抑えることによって、原信号xを推定し得る。本開示では、重み付けされたl1ノルムを使用することによってこの最適化問題を修正することを提案する。再構成アルゴリズムは次のように与えられ得る。
【数11】

【0096】
上式で、fは、スパーシティの測度(すなわち、l1ノルム)を計算するために変換空間において係数の相対的重要度を与える、N次元ベクトルである。量τは、コスト関数においてl2ノルムとl1ノルムとの相対的重みを示す非負パラメータである。項[f]iと[W・x]iは、それぞれ、ベクトルfのi番目の要素と[W・x]iのi番目の要素とを示す。
【0097】
ベクトルfのi番目の要素は以下によって与えられ得る。
【数12】

【0098】
上式で、σは小さい正則化パラメータである。量
【数13】

【0099】
は、原信号ベクトルxの集合平均を表し、トレーニング例ベクトルを平均化することによって推定され得る。MIMICデータベースからのセグメントを利用して
【数14】

【0100】
を推定することができ、その場合、それは、以下で説明する実験的な検証から除外することができる。
【0101】
図25に、本開示のいくつかの態様による、センサにおけるアンダーサンプリングされた収集と受信機における再構成とのための例示的な動作2500を示す。図28に、センサにおいて光源を作動および停止させるための例示的な動作2800を示す。2510において、ランダムシードに従って非一様サンプリングインスタンスをセンサにおいて生成する。2520において、複数の非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知する。2810において、たとえば、複数の生成された非一様サンプリングインスタンス中に1つまたはそれより多いLEDをオンにすることによってセンサにおいて上記光源を作動させ、2820において、複数の非一様サンプリングインスタンス間で上記光源を停止させる。
【0102】
次いで、上記信号の感知されたサンプルの少なくとも1つのパケットを得るために、感知されたサンプルをパケット化し、得られた少なくとも1つのパケットをワイヤレスチャネルを介して送信する。2530において、再構成器においてセンサから上記信号のサンプルを受信する。2540において、センサにおいて前記ランダムシードに従って信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを再構成器において判断する。一態様では、非一様サンプリングシーケンスのためのシードは、センサと再構成器との間の通信リンクのセキュリティプロトコルにおいて使用されるキーに基づいて再構成器において生成され得る。別の態様では、非一様サンプリングシーケンスのためのシードは、センサにおいて判断され、再構成器に(すなわち、受信機に)搬送され得る。さらに別の態様では、非一様サンプリングシーケンスのためのシードは、受信機において判断され、センサに搬送され得る。2550において、たとえば、式(7)〜式(8)によって定義された修正されたGPSRアルゴリズムに従って、判断された非一様サンプリングシーケンスを使用して、受信したサンプルから上記信号を再構成する。
【0103】
非一様サンプリングインスタンスは、上記信号の正確な再構成のために、上記信号の受信したサンプルと同期させられ得る。再構成中に観測された情報(たとえば、再構成された信号に関係する係数、送信中に欠落したパケットの数、チャネル信号対雑音比、または変数
【数15】

【0104】
および
【数16】

【0105】
のうちの少なくとも1つ)を利用して、観測された情報をフィードバック機構を介してセンサに搬送することによって、様々なセンサパラメータ(たとえば、USR、測定の数K、信号の送信されたサンプル数N、各送信されたパケット中の信号のサンプル数P、および測定行列H)を適合させ得る。次いで、非一様サンプリングインスタンスは、受信したフィードバック情報に従ってセンサにおいて適合させられ得る。
【0106】
本開示では、CS手法に基づいて生成されるいくつかの再構成の例を提示する。125Hzでサンプリングされた8秒セグメント(すなわち、N=1000サンプル)をMIMICデータベースから選択し得る。CSサンプルの数がKであり、それによりアンダーサンプリング比(USR)がN/Kとして定義されることが想起され得る。図11に、MP反復の数mに対する上限が500に等しく、USRが10、20および30の場合に得られるCS−PPG信号再構成の一例を示す。曲線1110は、一様にサンプリングされた原信号を表し、曲線1120、1130および1140は、それぞれ、USRの値が10、20および30の場合の再構成された信号を表す。図27に、USRが40のときに非一様サンプリングインスタンスにおいて感知された信号の一例を示す。それらのサンプリングインスタンスは垂直線として示されている。
【0107】
信号完全性は、USRが20までは十分に維持され、その後は劣化し始め得ることが、図11から観測され得る。ただし、信号ピークロケーションは、高いUSR(すなわち、USR値が30)を用いても十分に維持され得ることに留意されたい。この場合、はるかに少ない持続時間の間、詳細にはT・fs秒ではなくT・fs/USR秒の間のみ、LEDを点灯することができるので、(PPGデータ収集の一部としての)LED電力消費量をUSR分の1だけ著しく低減することができる。
【0108】
心拍数およびPPG再構成
係数ベクトルyの各要素はサンプリングされた信号xにおける(特定の周波数をもつ)余弦の強度を近似的に表し得ることが、式(1)および式(2)から想起され得る。また、PPG信号は本質的に振動性があり、支配的な周波数がHR信号に比例し得ることに留意されたい。したがって、HR信号はCS再構成
【数17】

【0109】
から推定され得、それは、MPアルゴリズムによって、次のように得られ得る。
【数18】

【0110】
上式で、
【数19】

【0111】
であり、
【数20】

【0112】
はベクトル
【数21】

【0113】
のj番目の要素であり、bpmは毎分脈拍の単位を表す。
【0114】
式(9)によって与えられるHR推定値は、N・fs秒の持続時間にわたって得られた平均であり得ることに留意されたい。また、その推定値の分解能は
【数22】

【0115】
によって与えられ得、それは、N=1000およびfs=125Hzの場合、3.75bpmに等しい。この分解能はより小さいNを用いて改善でき、N=1000の選択は任意であることが観測され得る。
【0116】
HR推定のためのMPアルゴリズムの複雑さを、PPG再構成の複雑さと比較することができる。図10に示す例示的なPPG信号セグメントについて考慮することができ、そのPPG信号セグメントに関して、nmaxが23に等しく、それにより、推定されるHRが82.5bpmであることが暗示される。また、MPアルゴリズムが本質的にグリーディであり、それは、射影空間WにおけるPPG信号の支配的な成分が初期反復において推定され得ることを暗示することが想起され得る。この場合、2つの最も支配的な成分は、HRに対応する周波数をもつDC成分および余弦であり得る。したがって、MPアルゴリズムの数回の反復内にHRの確実な推定を達成することが予想され得、それはまた、完全なPPG信号の中間表現を生成する必要がない場合があることを示唆する。
【0117】
一方、信号再構成タスクのために射影空間Wにおいてより多くの係数を再構成することが必要であることがあり、それにより、MPベースの後処理が著しくより多く反復されることがある。MPアルゴリズムのm回の反復はおおよそO(m・K・N)回の算術演算を要し得ることに留意されたい。したがって、(たとえば、CS測定からの)HR推定は、PPG信号再構成と比較すると、受信機においてより少ない計算複雑性を必要とし得る。また、N次元信号xに対応するCSサンプルの数がKであり得、それによりアンダーサンプリング比(USR)がN/Kとして定義されることが想起され得る。USRが増加すると、指定されたパフォーマンスレベルを達成するために受信機において計算複雑性が増加することが予想され得る。これは、センサ電力(送信機におけるより少数の測定)とアグリゲータ電力(受信機におけるより多くの反復および計算)との間のトレードオフを表す。
【0118】
HR推定とPPG信号再構成とのためのパフォーマンスメトリックを導入することができる。HR推定の場合、メトリックは、
【数23】

【0119】
として定義される2乗平均誤差(RMSE)であり得る。PPG再構成のためのメトリックは、
【数24】

【0120】
として定義される正規化RMSEであり得る。項E[・]は、PPG信号xおよび異なる測定ベースHの様々な実現にわたるモンテカルロ平均化を用いた期待値演算子を示す。PPG信号の実現xはMIMICデータベースから取られ得る。真の心拍数は、式(9)において示唆されるように、原信号xから抽出され得る。各信号セグメントxは、8秒の長さになり、125Hzでサンプリングされるように取られ得る。
【0121】
図12に、USRが10および20の場合の、MPベースの後処理の反復の数mに関するHR推定RMSEを示す。推定精度は反復の数の増加とともに改善するので、RMSEがmの増加とともに減少し得ることが観測され得る。また、指定されたRMSEを達成するために必要とされる反復の数は、USRの増加とともに増加し得る。m=50のときに、HR推定RMSEは1bpmに等しく、1bpmは、USRが10および20の場合のそれぞれの当該の分解能3.75bpmおよび4bpmよりも小さいことに留意されたい。
【0122】
したがって、USRが10のときに1bpmのHR推定RMSEを達成するためには、おおよそ毎秒625000(すなわち、
【数25】

【0123】
、上式でfs=125Hz)回のオーダーの算術演算が必要とされ得る。同様に、その信号をUSR=10のときにRMSE≒0.1で再構成するためには、おおよそ毎秒3875000(すなわち、
【数26】

【0124】
)回のオーダーの算術演算が必要とされ得る。これは、説明する推定手法が、現在のスマートフォンまたはPDA中の計算リソースによって処理され得ることを示唆する。
【0125】
図13に、USRが10および20の場合の、アルゴリズムの反復の数mに関する正規化再構成RMSEを示す。そのRMSEはmの増加とともに低減され得ることが観測され得る。ただし、その減少は、HR推定RMSEとは反対に、mとともに漸進的であり得ることに留意されたい。これは、この再構成タスクが、HR推定の場合の単一の支配的な成分とは反対に、スパース空間Wにおける複数の係数の推定を必要とし得るからであり得る。
【0126】
したがって、受信機複雑さは、USRの値、当該のタスク、および所望のパフォーマンスレベルに依存し得る。(完全な再構成を必要とし得る)PPG信号の中間表現は、HR推定タスクなどのいくつかのタスクには必要でないことがある。さらに、再構成中にMPアルゴリズムにおいて定義される
【数27】

【0127】
および
【数28】

【0128】
変数の値を監視し得る。この情報は、信号の変動に適合させるようにセンサ側においてUSRの値を変更するために使用され得る。
【0129】
カフレス血圧推定
パルス到達時刻(PAT)および心拍数(HR)を使用して、SBPおよびDBPを推定し得、PATは、ECG波形における擬似ランダム信号ピークとPPG波形における対応するピークとの間の遅延として定義できる。図14に、例示的なECGおよびPPG波形に基づくPATおよびHRの定義を示す。
【0130】
血圧(BP)推定アルゴリズムに関与する第1のステップは、ECGおよびPPG信号から当該のピークおよび他のポイントが抽出できるように、それらの信号をセグメント化することであり得る。第2のステップは、PATおよびHRからBPを推定することであり得る。
【0131】
ECGセグメント化は、8Hzと15Hzとの間の帯域フィルタを適用し、その後、それを2乗し、次いで、それを可変持続時間のセグメントにおいて処理することによって、達成され得る。初期セグメント持続時間は2秒とすることができる。あらゆるセグメントに対して、しきい値が計算され、そのしきい値を上回るすべてのピークが配置され得る。次いで、間隔が0.17秒未満のすべてのピークが除去され、最も高い振幅をもつピークが常に維持され得る。PPG信号をセグメント化するためには、2つの連続するECGピーク間のセグメントが分析され得る。各セグメント内の最大ポイントと最小ポイントを見つけることによって、ピークと谷が検出され得る。いつでも、確実なPATおよびHR推定値を与えるためには、近傍の信号ピークも確実である必要があり得る。
【0132】
BP推定モデルは次のように示され得る。
【数29】

【0133】
上式で、較正パラメータai、biおよびci、i=1,2は、トレーニングプロセス中に推定され、再較正の機会ごとに再帰的最小2乗(recursive least squares:RLS)アルゴリズムによって適合させられ得る。
【0134】
本開示の一態様では、再較正は1時間ごとに1回実行され得る。再較正持続時間は、本質的に、モデルパラメータを推定するかまたは適合させることがどのくらい頻繁に必要とされ得るかを暗示し得る。再較正ステップは、バイアスおよびドリフトの問題に取り組むために、現実の適用例のために必要であることがある。より長い時間期間の間、カフなしで連続的に、非侵襲的に血圧が測定できるように、再較正期間が長いことが望まれることがある。より頻繁な再較正は、BP推定誤差を低減し得るが、あまり頻繁でない再較正は、システムをより常用に適したものにし得る。
【0135】
CS−PPGを使用したBP推定の結果を提示し、ナイキストPPGを使用したBP推定の結果と比較する。たとえば、この評価のために、MIMICデータベースからの13人の患者に対応する記録を使用することができ、それらの記録の長さは平均38時間のオーダーである。患者記録全体のCS−PPGを生成するために、勾配射影ベースのスパース再構成(GPSR)手法が使用され得る。
【0136】
図15に、提案する手法のECGおよびCS−PPG信号の使用に基づくBP推定結果を示す。USRの値は、PPG信号のCSフレームワークベースの測定の場合、40になるように取ることができる。BP監視の観点から、BP推定値の報告/生成の周波数を計算することが重要であり得る。CS−PPGおよびナイキストPPGベースラインアルゴリズムを使用して毎分生成されたBP推定値の平均数として、項NBPを導入することができる。
【0137】
図15はまた、SBPおよびDBP推定誤差の標準偏差、ならびに、ナイキストPPGのNBPと、USRが40の場合のCS−PPGのNBPとを示している。BP推定に関する医療器具開発協会(Association for the advancement of Medical Instrumentation:AAMI)の要件は、SBPとDBPの両方に関して誤差の標準偏差は8mmHgを下回らなければならないことを示している。SBP推定誤差とDBP推定誤差の両方に関して平均標準偏差が8mmHg未満であり得ることが、図15から観測され得る。さらに、ナイキストPPGと比較すると、CS−PPGを使用することによって精度が劣化していない。この例示的なシミュレーションでは、ナイキストPPGを使用すると毎分平均51BPの推定値であることと比較して、USRが40のときに毎分平均8.85BPの測定値が推定され得る。
【0138】
本開示では、PPG信号を収集するためのCSベースの低電力ソリューションを提案するが、HRおよびBP推定精度は、提案するCS−PPG手法を使用して損なわれないことがある。また、少なくともK≧M log N/M個のサンプルが収集され、十分な計算リソースが受信機において利用可能であるという条件で、PPG信号全体が任意に高い分解能で再構成され得ることが示される。
【0139】
圧縮感知ベースのパケットロス補償
本開示では、送信機と受信機との間の不良チャネル状態、輻輳およびモビリティによるパケットロスの問題に対処する。通信リンクにおけるパケットロスに対するロバストネスを改善するために、生物医学信号(すなわち、PPG信号、ECG信号など)のスパースな性質を利用することが特に興味深いことがあり得る。無線で送信されている信号が本質的にスパースである(すなわち、その信号が冗長性を有する)とき、パケットロスは、チャネルによって実行される圧縮として疎に扱われ得る。
【0140】
本開示のいくつかの態様は、電力消費量を低下させ、遠隔医療におけるECG信号のロバストな通信を達成するための、CSベースの手法をサポートする。ECG信号は、フーリエ/ガボール空間において、PPG信号と比較してスパースでないことがあることが観測され得る。図17に示すように、0.05Hz〜40Hz帯域内に多くの成分があり得、それらの成分は、ECG信号にとって臨床的に関係のあるものと見なされ得る。本開示で提案するCSベースのPLC手法は、少なくともK≧M log N/M個の測定値が再構成のために受信機において利用可能であるという条件で、PPGおよび他の信号にも完全に適用可能であり得る。
【0141】
データが送信機(すなわち、センサ)から受信機(すなわち、アグリゲータ)にパケットの形態でワイヤレス送信され得ると仮定することができる。従来の用語に従って、各パケットはサービスデータユニット(Service Data Unit:SDU)およびアプリケーションデータユニット(Application Data Unit:ADU)を含み得る。ADUはアプリケーション層のECGペイロードを含み得、ペイロードは、8〜12ビットの典型的なビット分解能でP個のECGサンプルを含むように定義され得る。チャネル誤差をもつSDUが下位層において欠落し得、損失したパケットのロケーションが、正しく受信したパケットのヘッダ中のシーケンス番号フィールドを介してアプリケーション層において識別され得ると仮定することができる。
【0142】
データは、未加工ECGサンプルの形態では送信されないことがある。代わりに、そのデータに対してアプリケーション層プリコーディングが実行され得る。その意図は、式(3)において定義されたランダム測定行列Hを使用することによって、送信の前に元のECG信号をプリコードすることである。得られたプリコードされたデータを使用して、n>1個の(すなわち、複数の)パケットが形成され得、次いで、それらのパケットは順番に受信機に送信され得る。この動作は、パケットロスの場合に原信号に関する何らかの情報を推測することが可能であり得るようにし得る。ECG信号推定値、HR推定値などを得るために、CSベースの再構成原理が受信データに適用され得る。このプロセスは、送信すべき各情報ビットが、拘束長として定義されたより長い持続時間にわたって拡散される、畳み込み符号化に類似することがある。各ADU中のサンプル数はPによって示される。ECG信号はMIMICデータベースから取られ得、サンプリングレートはfs=125Hzとすることができる。
【0143】
図16に、本開示のいくつかの態様による、CSベースのパケットロス補償(packet loss concealment:PLC)の例示的な動作1600を示す。動作1610〜1640は送信機(たとえば、PPGセンサおよびECGセンサなどの生物医学センサ)において実行され得、動作1650〜1670は受信機(たとえば、モバイルハンドセットまたはPDA)において実行され得る。
【0144】
1610において、監視された生物医学信号のサンプルを収集する。たとえば、N=n・Pである、N個の連続するECGのサンプルを備えるベクトルxが生成され得る。その後、次元K×Nの測定行列Hが作成され得る。一態様では、行列Hの要素は、対称ベルヌーイ分布Pr(Hi,j=−1または1)=1/2から単独で選択され得る。別の態様では、その測定行列の行は、2Kウォルシュシーケンスからランダムに選択され得る。さらに別の態様では、その測定行列の行は、サイズN×Nのハール行列からランダムに選択され得る。
【0145】
1620において、当該の処理された信号を得るために、監視された生物医学信号の収集されたサンプルを随意に処理する。たとえば、図14に示すように、パルス到達時刻(PAT)および心拍数(HR)変動性を得るために、ならびに血液中の酸素含有量を得るために、ECGおよびPPG信号が利用され得る。HR変動性およびPATは、さらに、式(10)によって定義されたように、血圧を計算するために使用され得る。1630において、プリコードされた信号を得るために、測定行列を使用して原信号x(たとえば、ECG信号およびPPG信号)または処理された信号(たとえば、PAT、HR変動性、酸素含有量など)をプリコードする。
【0146】
1640において、プリコードされた信号の少なくとも1つのパケットを得るために、プリコードされた信号をパケット化する。たとえば、K個のプリコードされたサンプルが、送信の前にn=K/P個のパケットにパケット化され得る。万一チャネルがいくつかのパケットを欠落させた場合、正しく受信したプリコードされたデータパケットから原信号を再構成するために、監視された生物医学信号の基礎をなす変換領域スパーシティが使用され得る。再構成忠実度はパケットロス率および信号スパーシティ構造に依存し得ることに留意されたい。1650において、プリコードされた信号の少なくとも1つのパケットをワイヤレスチャネルを介して送信する。N個のサンプルがプリコードされ、送信され得るので、一定のエンドツーエンド待ち時間N/fs(または
【数30】

【0147】
)秒がシステムに導入され得る。パラメータKはNに(すなわち、n・Pに)設定され得る。PPG収集に関して、収集電力を節約するために、パラメータKは、Nよりもはるかに小さく設定され、スパーシティを活用し得ることが想起され得る。
【0148】
1660において、ワイヤレスチャネルを介して送信された少なくとも1つのパケットをアグリゲータにおいて受信する。1670において、送信中に破損または損失したパケットのインデックスを識別する。次いで、1680において、送信された信号の元のサンプルを再構成するために、これらのインデックスを使用する。
【0149】
センサは、非一様サンプリングインスタンスのシーケンスを生成するために、ランダムシードを利用し得る。このランダムシードは、再構成中にサンプリングインスタンスのシーケンスを再生成し、使用することができるように、受信機に通信され得る。一方、受信機は、セキュアな通信において使用されるキーに基づいてランダムシードを選択し得る。この場合、受信機は、サンプリングインスタンスの同じシーケンスがセンサと受信機の両方において採用できるように、どのランダムシードを使用すべきかをセンサに通知し得る。
【0150】
ワイヤレスチャネルを次元K×Kの対角行列Hcによって表す。再構成のためのアプリケーション層において損失し、利用不可能なパケットのインデックスを含んでいるセットをSとする。セットSの濃度は、欠落したパケットの数を表し得る。Hcの対角線上の要素は次のように定義され得る。
【数31】

【0151】
rにHcを前から掛けると、本質的に、正常に受信したプリコードされたデータサンプルが与えられ得る。得られたベクトルは
【数32】

【0152】
として示すことができ、それはHc・H・xによって与えられる。セットSの濃度がnである場合、これは、すべてのパケットが送信中に欠落したことを暗示し得、この場合、受信機において推定された信号は0に設定され得る。セットSの濃度が0である(すなわち、Hcが単位行列である)場合、これは、欠落したパケットがないことを暗示し得る。この場合、ECG信号
【数33】

【0153】
は単に
【数34】

【0154】
と推定され得、上式でH#はHの擬逆数である。Sの濃度が0よりも大きくnよりも小さい場合は、受信したベクトル
【数35】

【0155】
に基づいて信号推定値
【数36】

【0156】
を得るために、前に説明したMPアルゴリズムが使用され得る。この特定の場合においては、MPアルゴリズム中の項Hの代わりにHc・Hを使用する必要があり得ることに留意されたい。
【0157】
CS再構成中にスパーシティを実施するために、式(1)において定義されたガボール基底Wが使用され得る。この特定のCSベースのPLC方式はCS−PLCと呼ばれることがある。図15は、ECG信号xと、ガボール変換空間におけるその対応する表現y(すなわち、W・x)との短いセグメントの一例を示している。図17には、r=H・xによって与えられる、xのプリコードされたバージョンも示されている。
【0158】
CS−PLC手法内のプリコーディングがn・P回の内積に関与し得、各内積がn・P回のオーダーの算術演算を必要とし得ることに留意されたい。したがって、プリコーディング複雑さはO(n2・P2)回のオーダーである。プリコーディング複雑さを減少させるために、本開示では、インターリービングに基づく代替CSベースのPLC手法をも提案する。
【0159】
図18に、本開示のいくつかの態様による、インターリービングベースのCS−PLCの例示的な動作1800を示す。動作1810〜1850は送信機(たとえば、PPGセンサおよびECGセンサなど、生物医学信号のセンサ)において実行され得る。動作1860〜1890は受信機(たとえば、モバイルハンドセットまたはPDA)において実行され得る。
【0160】
1810において、監視された生物医学信号のサンプルを収集する。1820において、プリコードされたサンプルのセットを得るために、定義された数の収集されたサンプルをプリコードする。1830において、インターリーブされた信号を得るために、プリコードされたサンプルのセットにわたってサンプルレベルインターリービングを実行する。1840において、インターリーブされた信号の少なくとも1つのパケットを得るために、インターリーブされた信号をパケット化する。1850において、インターリーブされた信号の少なくとも1つのパケットをワイヤレスチャネルを介して送信する。
【0161】
1860において、ワイヤレスチャネルを介して送信された少なくとも1つのパケットを受信する。1870において、送信中に破損または損失したパケットのインデックスを識別する。次いで、送信された信号の元のサンプルを再構成するために、これらのインデックスを使用する。1880において、デインターリーブされた信号を得るために、受信した信号をデインターリーブする。最後に、1890において、送信された信号の元のサンプルを推定するために、たとえばMPアルゴリズムを使用することによって、デインターリーブされた信号を処理する。
【0162】
図16に示すCS−PLC方式1600と比較して、主要な差は、ここではプリコーディングが、n・P個のサンプルではなく、P個のECGサンプルに対して実行され得、それにより、プリコーディング複雑さがn2分の1に低減され得ることである。この後に、n・P個のサンプルの長さにわたって、プリコードされたデータのサンプルレベルインターリービングが続き得る。図16からのCS−PLC方式1600と比較して、元のECGデータはより短い持続時間にわたってプリコードされ得るが、インターリービングステップ1830により、より長い持続時間にわたって信号情報を拡散することが可能になり得る。インターリービングプロセスは、バースト的チャネル誤差(すなわち、順に複数のパケットを損失すること)の処理を可能にし得る。また、センサ寿命と再構成忠実度との間の最適なトレードオフを達成するために、パラメータUSR、n、KおよびHは、受信機におけるHc
【数37】

【0163】
および
【数38】

【0164】
の観測値に基づいて適合させられ得ることに留意されたい。
【0165】
提案するCS−PLC方式を再送信ベースの手法と比較することができ、再送信ベースの手法では、受信機において正常に受信されていないパケットに対して最高k−1回の再送信試行が行われ得る。したがって、k=1は、データが送信機から1回のみ送信され得ることを示し、パケットが欠落した場合、対応する信号ロケーションは受信機によって0に設定され得る。再送信は、前方誤り訂正(FEC)と比較して帯域幅不利益は小さくなり得るが、送信機においてパケットをバッファする必要があり得るので、センサにおける複雑さが大きくなる。さらに、システム待ち時間が大きいことがあり、それはラウンドトリップタイム(round trip time:RTT)に比例する。これらの理由のために、CS−PLC手法は、低電力センサに関してFECおよび再送信ベースの手法よりも好ましいものであり得る。
【0166】
上述の様々なPLC方式の定量的比較をパケットロス率に関して提示する。パケットロス率は、チャネル状態、輻輳などのインジケータとすることができ、パケットが送信中に欠落した率を表し得る。パケットロス率は0と1との間に境界を画定され得、0はチャネルがクリーンであることを示し得、1はチャネルが完全に信頼できないことを示し得る。本開示で提示するすべての比較は、20,000のモンテカルロチャネル実現にわたって平均化される。
【0167】
PLC方式のパフォーマンスは、最初に、
【数39】

【0168】
として定義される正規化RMSEに関して評価される。項E[・]は、ECG信号xおよび異なるチャネル実現Hcの様々な実現にわたるモンテカルロ平均化を用いた期待値演算子を示す。ECG信号の実現xは、125HzでサンプリングされたMIMICデータベースから取られ得る。
【0169】
図19は、パラメータnの異なる値に関するCS−PLC方式の正規化RMSEパフォーマンスを比較する。Kの値は、提示する定量分析ごとに、パケット当たり20個のサンプルに設定されている。nの当該の例示的な値は5、10および20であり、それぞれ、0.8秒、1.6秒および2.4秒の待ち時間に対応する。正規化RMSEはパケットロス率の増加とともに劣化し得ることが、図19から観測され得る。これが予想され得るのは、パケットロス率が高くなると、
【数40】

【0170】
を推定するために受信機において利用可能な確実なデータの量が低減することが暗示され得るからである。また、正規化RMSEパフォーマンスはパケットの数nの増加とともに改善し得ることに留意されたい。nが高くなると、スパーシティは、より長いECG信号持続時間にわたって実施され得、したがって、再構成忠実度が改善され得る。
【0171】
図20に、ワイヤレスチャネルによって4つのパケットが欠落したときの受信機における例示的な信号再構成を示す。この特定の例では、nは15個のパケットに設定されている。曲線2010は原信号を表す。曲線2020は、k=1(すなわち、単一送信)である、k送信方式を表し、曲線2030はCS−PLCベースの信号推定を表す。曲線2020に対応する1送信方式に関与するパケットロス補償はなく、すなわち、パケットが損失した場合、受信機における当該の信号ロケーションにおいて0が代用され得る。1送信方式では、この特定の例において2つのECGピークが損失し得るが、CS−PLCを使用すると、完全なECG信号が高忠実度で推定され得ることに留意されたい。重要なロケーションにおいて信号成分を損失すると、常時HR監視のような医療適用例に深刻な影響を及ぼし得ることにも留意されたい。
【0172】
図21に、CS−PLC方式と、インターリービングを用いたCSと、再送信方式との比較を示す。曲線2110と曲線2120は、それぞれ、CS−PLC方式と「CSおよびインターリービング」方式を表す。nの値は15個のパケットに設定されている。「CSおよびインターリービング」技法を使用して得られる再構成忠実度は、CS−PLC方法と極めて同等であり得ることに留意されたい。「CSおよびインターリービング」方式では、より小さい信号サポートにわたって(すなわち、各パケット内で)プリコーディングが実行され得るが、インターリービングプロセスにより、N個のサンプルの長さにわたって情報を拡散することが可能になり得る。「CSおよびインターリービング」技法を使用する主要な利益は、一般に、より電力が制約される側であり得るセンサ側におけるプリコード複雑さの低減であり得る。図21中の曲線2130は、1送信方式を表す。中程度のパケットロス率10-2のときに、1送信方法は、CS−PLC方式と比較してRMSEパフォーマンスが約5倍低下し得ることに留意されたい。
【0173】
前に提案したサンプルレベルインターリービングが1送信方式において採用され得る。インターリービングを用いると、1送信方法は、パケットロス率が10-2の場合、CS−PLCと比較してパフォーマンスの低下がわずか3倍であり得る(すなわち、プロット2140対プロット2110)ことが観測され得る。インターリービングなしのk送信手法におけるkの異なる値に関するRMSEパフォーマンスを提示する。曲線2150、2160、および2170は、それぞれ、k=2、3および4の場合を表す。2回および3回の再送信の場合、再構成RMSEの著しい改善が達成され得ることが観測され得る。しかしながら、これにより、送信帯域幅、エンドツーエンドシステム待ち時間が増加し、センサにおけるプロトコル複雑さが大きくなり得る。
【0174】
上記で提示した様々なPLC方式を心拍検出精度に関して比較することができる。この量は、ECG信号中のピークを正しく識別する率として定義できる。値100%は完全な拍動検出を示し得、値0%は拍動検出なしを示し得る。AAMI規格によれば、拍動は、データベースから事前に入手可能な注釈付き拍動指数の150ms内に拍動がある場合、正しく検出されると見なされ得る。
【0175】
図22に、本開示のいくつかの態様による、様々なPLC方式に関する心拍検出パフォーマンス比較を示す。図22に示すモンテカルロシミュレーションの場合の想定されるパラメータは、図21に示すシミュレーションの場合と同じである。図22に示すシミュレーション結果からのいくつかの所見がある。第1に、心拍検出率は、予想通り、パケットロス率の増加とともに劣化し得る。第2に、k送信方式のパフォーマンスは、再送信の数kの増加とともに改善し得る。ここでも、これが得られても、送信帯域幅およびエンドツーエンドシステム待ち時間は増加し得る。第3に、提案するCSベースのPLC方式(すなわち、プロット2210および2220)は、パケットロス率が極めて高いときでさえ、3送信方法よりも優れたパフォーマンスを発揮し得る。パケットロス率が0.5のとき、87%の検出精度を達成し得る3送信方法(すなわち、プロット2260)とは反対に、CSおよびインターリービングベースのPLC方法(すなわち、プロット2220)は、96%の検出精度を達成し得ることに留意されたい。単一送信およびインターリービングなし(すなわち、プロット2230)の場合、パケットロス率が0.5のときに得られる検出精度は、55%に等しいことがあり得る。
【0176】
図23〜図24に、提案するCS−PLC方式を使用して復元されたオーディオ信号の例を示す。CS−PLC方式が非生物医学信号について十分に正確な推定結果を与え得ることが観測され得る。
【0177】
要約すると、本開示では、ヘルスケアおよびフィットネス適用例のためのボディエリアネットワークにおける低電力ロバストセンサに関係する圧縮感知(CS)の様々な適用例を提示した。パルスオキシメータセンサ収集電力を著しく低減しながら、臨床的適用例においてそのユーティリティが損なわれないことがあることが示された。詳細には、MIMICデータベース中の多くの対象者からの長期データを使用してCSベースの収集手法をナイキストサンプリングと比較し、HRおよびBP推定が、許容される精度基準を満たすことができることが示された。
【0178】
CSベースの手法は、センサの寿命を増加させるために使用され得るが、受信機において複雑さが追加される。センサ側におけるアンダーサンプリングと所与のタスクに対する受信機複雑さとの間のトレードオフを提示した。BANにおける多くのヘルスケアおよびフィットネス適用例の場合、受信機複雑さは、十分に、現在のモバイルハンドセットおよびPDAプラットフォームの機能内であり得る。心拍数推定などの適用例は、完全な再構成を必要としないことがあり、受信機複雑さをさらに低減し得る。最後に、パケットロスの存在下でのロバストな通信のためのCSベースの信号処理の利益が提示された。パケットロス率が増加するにつれて、再構成精度がゆるやかに劣化し得ることが示された。高いパケットロス率状態の存在下でさえ、ECG信号が高忠実度で復元され得ることが示され得る。MIMICデータベースからのECGデータに基づいて提示したシミュレーションでは、0.5と同じ高さのパケットロス率のときでも最高96%の拍動検出精度が維持され得ることが示され得る。
【0179】
上記で説明した方法の様々な動作は、対応する機能を実行することが可能な任意の好適な手段によって実行できる。それらの手段は、限定はしないが、回路、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)、またはプロセッサを含む、様々なハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素(複数可)および/またはモジュール(複数可)を含むことができる。一般に、図に示す動作がある場合、それらの動作は、同様の番号をもつ対応するカウンターパートのミーンズプラスファンクション構成要素を有することができる。たとえば、図16、図18、図25および図28に示す、ブロック1610〜1680、1810〜1890、2510〜2550および2810〜2820は、図16A、図18A、図25Aおよび図28Aに示す、回路ブロック1610A〜1680A、1810A〜1890A、2510A〜2550Aおよび2810A〜2820Aに対応する。
【0180】
本明細書で使用する「判断」という用語は、多種多様なアクションを包含する。たとえば、「判断」は、計算、算出、処理、導出、調査、探索(たとえば、テーブル、データベース、または別のデータ構造中の探索)、確認などを含むことができる。また、「判断」は、受信(たとえば、情報を受信すること)、アクセス(たとえば、メモリ中のデータにアクセスすること)などを含むことができる。また、「判断」は、解決、選択、選出、確立などを含むことができる。
【0181】
本明細書で使用する、項目のリスト「のうちの少なくとも1つ」を指す句は、単一のメンバーを含む、それらのアイテムの任意の組合せを指す。一例として、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、a−b、a−c、b−c、およびa−b−cをカバーするものとする。
【0182】
上記で説明した方法の様々な動作は、様々なハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素(複数可)、回路、および/またはモジュール(複数可)など、それらの動作を実行することが可能な任意の好適な手段によって実行できる。一般に、図に示すどの動作も、その動作を実行することが可能な対応する機能的手段によって実行できる。
【0183】
本開示に関して説明した様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor:DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ信号(field programmable gate array:FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス(programmable logic device:PLD)、個別ゲートまたはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、あるいは本明細書で説明した機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せを用いて実装または実行できる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサとすることができるが、代替として、プロセッサは、任意の市販のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械とすることができる。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、複数のDSPコア、1つまたはそれより多いDSPコアと連携する1つまたはそれより多いマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のそのような構成として実装することもできる。
【0184】
本開示に関連して説明した方法またはアルゴリズムのステップは、直接ハードウェアか、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールか、またはその2つの組合せで実施できる。ソフトウェアモジュールは、当技術分野で知られている任意の形態の記憶媒体中に常駐することができる。使用できる記憶媒体のいくつかの例には、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)、読取り専用メモリ(read only memory:ROM)、フラッシュメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROMなどがある。ソフトウェアモジュールは、単一の命令、または多数の命令を備えることができ、いくつかの異なるコードセグメント上で、異なるプログラム間で、および複数の記憶媒体にわたって分散できる。記憶媒体は、プロセッサがその記憶媒体から情報を読み取ることができ、その記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合できる。代替として、記憶媒体はプロセッサに一体化することができる。
【0185】
本明細書で開示する方法は、説明した方法を達成するための1つまたはそれより多いステップまたはアクションを備える。本方法のステップおよび/またはアクションは、特許請求の範囲から逸脱することなく互いに交換することができる。言い換えれば、ステップまたはアクションの特定の順序が指定されない限り、特定のステップおよび/またはアクションの順序および/または使用は特許請求の範囲から逸脱することなく変更できる。
【0186】
説明した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せで実装できる。ソフトウェアで実装した場合、機能は1つまたはそれより多い命令としてコンピュータ可読媒体上に記憶できる。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体でよい。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、または他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気記憶デバイス、あるいは命令またはデータ構造の形態の所望のプログラムコードを搬送または記憶するために使用でき、コンピュータによってアクセスできる、任意の他の媒体を備えることができる。本明細書で使用するディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(compact disc)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(digital versatile disc:DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスク(Blu−ray disc)を含み、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)はデータをレーザで光学的に再生する。
【0187】
したがって、いくつかの態様は、本明細書で提示する動作を実行するためのコンピュータプログラム製品を備えることができる。たとえば、そのようなコンピュータプログラム製品は、本明細書で説明する動作を実行するために1つまたはそれより多いプロセッサによって実行可能である命令をその上に記憶した(および/または符号化した)コンピュータ可読媒体を備えることができる。いくつかの態様では、コンピュータプログラム製品はパッケージング材料を含むことができる。
【0188】
ソフトウェアまたは命令はまた、送信媒体を介して送信できる。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(digital subscriber line:DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術は、送信媒体の定義に含まれる。
【0189】
さらに、本明細書で説明した方法および技法を実行するためのモジュールおよび/または他の適切な手段は、適用可能な場合にアクセス端末および/またはアクセスポイントによってダウンロードおよび/または他の方法で取得できることを諒解されたい。たとえば、本明細書で説明した方法を実行するための手段の転送を可能にするために、そのようなデバイスをサーバに結合することができる。代替的に、本明細書で説明した様々な方法を記憶手段(たとえば、RAM、ROM、コンパクトディスク(CD)またはフロッピー(登録商標)ディスクなどの物理的記憶媒体など)によって提供することができ、それにより、アクセス端末および/またはアクセスポイントは、その記憶手段をデバイスに結合または供給すると、それらの様々な方法を取得することができるようになる。さらに、本明細書で説明する方法および技法をデバイスに与えるための任意の他の適切な技法を利用することができる。
【0190】
特許請求の範囲は、上記に示した正確な構成および構成要素に限定されないことを理解されたい。上記で説明した方法および装置の構成、動作および詳細において、特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な改変、変更および変形を行うことができる。
【0191】
本開示におけるワイヤレスデバイスは、ワイヤレスデバイスによって送信されるか、またはワイヤレスデバイスにおいて受信される信号に基づいて機能を実行する様々な構成要素を含むことができる。ワイヤレスデバイスはまた、ウェアラブルワイヤレスデバイスを指すことがある。いくつかの態様では、ウェアラブルワイヤレスデバイスは、ワイヤレスヘッドセットまたはワイヤレスウォッチを備えることができる。たとえば、ワイヤレスヘッドセットは、受信機を介して受信されたデータに基づいてオーディオ出力を与えるように適合されたトランスデューサを含むことができる。ワイヤレスウォッチは、受信機を介して受信されたデータに基づいて指示を与えるように適合されたユーザインターフェースを含むことができる。ワイヤレス感知デバイスは、送信機によって送信すべきデータを与えるように適合されたセンサを含むことができる。
【0192】
ワイヤレスデバイスは、好適なワイヤレス通信技術に基づくあるいはサポートする1つまたはそれより多いワイヤレス通信リンクを介して通信することができる。たとえば、いくつかの態様では、ワイヤレスデバイスはネットワークに関連することができる。いくつかの態様では、ネットワークは、超広帯域技術または何らかの他の好適な技術を使用して実装された、(たとえば、30メートルのオーダーのワイヤレスカバレージエリアをサポートする)パーソナルエリアネットワーク、または(たとえば、10メートルのオーダーのワイヤレスカバレージエリアをサポートする)ボディエリアネットワークを備えることができる。いくつかの態様では、ネットワークはローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワークを備えることができる。ワイヤレスデバイスは、たとえば、CDMA、TDMA、OFDM、OFDMA、WiMAX、Wi−Fiなど、様々なワイヤレス通信技術、プロトコル、または規格のうちの1つまたはそれより多いサポートあるいは使用することができる。同様に、ワイヤレスデバイスは様々な対応する変調方式または多重化方式のうちの1つまたはそれより多くをサポートあるいは使用することができる。したがって、ワイヤレスデバイスは、上記または他のワイヤレス通信技術を使用して1つまたはそれより多いワイヤレス通信リンクを確立し、それを介して通信するために適切な構成要素(たとえば、エアインターフェース)を含むことができる。たとえば、デバイスは、ワイヤレス媒体による通信を可能にする様々な構成要素(たとえば、信号生成器および信号プロセッサ)を含むことができる関連する送信機構成要素および受信機構成要素(たとえば、送信機210または302および受信機212または304)をもつワイヤレストランシーバを備えることができる。
【0193】
本明細書の教示は、様々な装置(たとえば、デバイス)に組み込む(たとえば、装置内に実装する、または装置によって実行する)ことができる。たとえば、本明細書で教示する1つまたはそれより多い態様は、電話(たとえば、セルラー電話)、個人情報端末(「PDA」)またはいわゆるスマートフォン、娯楽デバイス(たとえば、音楽およびビデオプレーヤを含むポータブルメディアデバイス)、ヘッドセット(たとえば、ヘッドフォン、イヤピースなど)、マイクロフォン、医療感知デバイス(たとえば、生体センサ、心拍数モニタ、歩数計、EKGデバイス、スマートバンデージなど)、ユーザ入出力デバイス(たとえば、ウォッチ、遠隔制御装置、照明スイッチ、キーボード、マウスなど)、環境感知デバイス(たとえば、タイヤ空気圧モニタ)、医療または環境感知デバイス(たとえば、デスクトップ、モバイルコンピュータなど)からデータを受信することができる監視デバイス、ポイントオブケアデバイス、補聴器、セットトップボックス、または他の好適なデバイスに組み込むことができる。監視デバイスは、ネットワークとの接続を介して様々な感知デバイスからのデータにアクセスすることもできる。
【0194】
これらのデバイスは、異なる電力およびデータ要件を有することができる。いくつかの態様では、本明細書の教示は、(たとえば、インパルスベースのシグナリング方式および低デューティサイクルモードを使用して)低電力適用例で使用するように適合させることができ、(たとえば、高帯域パルスを使用して)比較的高いデータレートを含む様々なデータレートをサポートすることができる。
【0195】
いくつかの態様では、ワイヤレスデバイスは、通信システムのためのアクセスデバイス(たとえば、アクセスポイント)を備えることができる。そのようなアクセスデバイスは、たとえば、ワイヤードまたはワイヤレス通信リンクを介して別のネットワーク(たとえば、インターネットまたはセルラーネットワークなどワイドエリアネットワーク)への接続性を提供することができる。したがって、アクセスデバイスは、別のデバイス(たとえば、ワイヤレス局)が他のネットワークまたは何らかの他の機能にアクセスできるようにすることができる。さらに、それらのデバイスのうちの一方または両方はポータブルでも、場合によっては比較的非ポータブルでもよいことを諒解されたい。また、ワイヤレスデバイスは、適切な通信インターフェースを介して非ワイヤレスの方式で(たとえば、ワイヤード接続を介して)情報を送信および/または受信することもできることを諒解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置において、非一様サンプリングインスタンスを生成することと、
複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知することと
を備える、信号処理のための方法。
【請求項2】
前記装置において、前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス中にソースを作動させることと、
前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス間で前記ソースを停止させることと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ソースを作動させることが、前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に1つまたはそれより多い発光ダイオード(LED)をオンにすることを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各LEDが、600nmから1000nmまでの範囲の波長をもつ光を発する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記非一様サンプリングインスタンスを生成することが、シードに従って前記非一様サンプリングインスタンスを生成することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記信号のサンプルを感知するために、および他の装置による前記信号の再構成のために、前記同じ非一様サンプリングインスタンスが使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シードが、前記装置と前記他の装置との間の通信リンクのセキュリティプロトコルにおいて使用されるキーに基づいて生成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記信号の前記感知されたサンプルの少なくとも1つのパケットを得るために、前記感知されたサンプルをパケット化することと、
前記少なくとも1つのパケットをワイヤレスチャネルを介して送信することと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記非一様サンプリングインスタンスに関するフィードバック情報を受信することと、
前記受信したフィードバック情報に従って前記非一様サンプリングインスタンスを適合させることと
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記受信したフィードバック情報が、前記信号の再構成に関係する係数と少なくとも1つのパラメータとを備え、前記非一様サンプリングインスタンスを適合させることが、アンダーサンプリング比または前記サンプリングインスタンスの数のうちの少なくとも1つを適合させることを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記信号が光電脈波(PPG)信号または心電図(ECG)信号を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
非一様サンプリングインスタンスを生成するように構成された生成器と、
複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知するように構成されたセンサと
を備える、信号処理のための装置。
【請求項13】
ソースと、
前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に前記ソースを作動させるように構成された作動回路と、
前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス間で前記ソースを停止させるように構成された停止回路と
をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ソースが、1つまたはそれより多い発光ダイオード(LED)を備え、前記作動回路が、前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に前記1つまたはそれより多いLEDをオンにするように構成された、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
各LEDが、600nmから1000nmまでの範囲の波長をもつ光を発する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記非一様サンプリングインスタンスを生成するように構成された前記生成器が、シードに従って前記非一様サンプリングインスタンスを生成するように構成された回路を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記信号のサンプルを感知するために、および他の装置による前記信号の再構成のために、前記同じ非一様サンプリングインスタンスが使用される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記シードが、前記装置と前記他の装置との間の通信リンクのセキュリティプロトコルにおいて使用されるキーに基づいて生成される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記信号の前記感知されたサンプルの少なくとも1つのパケットを得るために、前記感知されたサンプルをパケット化するように構成された回路と、
前記少なくとも1つのパケットをワイヤレスチャネルを介して送信するように構成された送信機と
をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記非一様サンプリングインスタンスに関するフィードバック情報を受信するように構成された受信機と、
前記受信したフィードバック情報に従って前記非一様サンプリングインスタンスを適合させるように構成されたアダプタと
をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項21】
前記受信したフィードバック情報が、前記信号の再構成に関係する係数と少なくとも1つのパラメータとを備え、前記非一様サンプリングインスタンスを適合させることが、アンダーサンプリング比または前記サンプリングインスタンスの数のうちの少なくとも1つを適合させることを備える、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記信号が光電脈波(PPG)信号または心電図(ECG)信号を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項23】
非一様サンプリングインスタンスを生成するための手段と、
複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知するための手段と
を備える、信号処理のための装置。
【請求項24】
ソースと、
前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に前記ソースを作動させるための手段と、
前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス間で前記ソースを停止させるための手段と
をさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記ソースが、1つまたはそれより多い発光ダイオード(LED)を備え、前記ソースを作動させるための前記手段が、前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に前記1つまたはそれより多いLEDをオンにするための手段を備える、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
各LEDが、600nmから1000nmまでの範囲の波長をもつ光を発する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記非一様サンプリングインスタンスを生成するための前記手段が、シードに従って前記非一様サンプリングインスタンスを生成するための手段を備える、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記信号のサンプルを感知するために、および他の装置による前記信号の再構成のために、前記同じ非一様サンプリングインスタンスが使用される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記シードが、前記装置と前記他の装置との間の通信リンクのセキュリティプロトコルにおいて使用されるキーに基づいて生成される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記信号の前記感知されたサンプルの少なくとも1つのパケットを得るために、前記感知されたサンプルをパケット化するための手段と、
前記少なくとも1つのパケットをワイヤレスチャネルを介して送信するための手段と
をさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項31】
前記非一様サンプリングインスタンスに関するフィードバック情報を受信するための手段と、
前記受信したフィードバック情報に従って前記非一様サンプリングインスタンスを適合させるための手段と
をさらに備える、請求項23に記載の装置。
【請求項32】
前記受信したフィードバック情報が、前記信号の再構成に関係する係数と少なくとも1つのパラメータとを備え、前記非一様サンプリングインスタンスを適合させることが、少なくともアンダーサンプリング比および前記サンプリングインスタンスの数を適合させることを備える、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記信号が光電脈波(PPG)信号または心電図(ECG)信号を備える、請求項23に記載の装置。
【請求項34】
非一様サンプリングインスタンスを生成することと、
複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知することと
を行うように実行可能な命令を備えるコンピュータ可読媒体を備える、信号処理のためのコンピュータプログラム製品。
【請求項35】
非一様サンプリングインスタンスを生成するように構成された生成器と、
複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知するように構成されたセンサと、
前記感知されたサンプルを送信するように構成された送信機と
を備える、感知デバイス。
【請求項36】
装置において、他の装置から送信された信号のサンプルを受信することと、
前記他の装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断することと、
非一様サンプリングインスタンスの前記判断されたセットを使用して、前記受信したサンプルから前記信号を再構成することと
を備える、信号処理のための方法。
【請求項37】
前記信号を再構成することが、修正された勾配射影ベースのスパース再構成(GPSR)アルゴリズムに従って前記信号を再構成することを備える、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記修正されたGPSRアルゴリズムが、重み係数を適用することを備え、前記重み係数が、原信号の推定された集合平均を備える、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記集合平均が、トレーニング信号のセットを平均化することによって推定される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
非一様サンプリングインスタンスの前記セットを判断することが、
シードに従って非一様サンプリングインスタンスの前記セットを生成することを備える、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記シードが、前記装置に関与する通信リンクのセキュリティプロトコルにおいて使用されるキーに基づいて前記装置において生成される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記シードに関する情報を前記他の装置に返送すること
をさらに備える、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
他の装置から送信された信号のサンプルを受信するように構成された受信機と、
前記他の装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断するように構成された回路と、
非一様サンプリングインスタンスの前記判断されたセットを使用して、前記受信したサンプルから前記信号を再構成するように構成された再構成器と
を備える、信号処理のための装置。
【請求項44】
前記信号を再構成するように構成された前記再構成器が、修正された勾配射影ベースのスパース再構成(GPSR)アルゴリズムに従って前記信号を再構成するように構成された回路を備える、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記修正されたGPSRアルゴリズムが、重み係数を適用することを備え、前記重み係数が、原信号の推定された集合平均を備える、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記集合平均が、トレーニング信号のセットを平均化することによって推定される、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
非一様サンプリングインスタンスの前記セットを判断するように構成された前記回路が、
シードに従って非一様サンプリングインスタンスの前記セットを生成するように構成された生成器を備える、請求項43に記載の装置。
【請求項48】
前記シードが、前記装置に関与する通信リンクのセキュリティプロトコルにおいて使用されるキーに基づいて前記装置において生成される、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記シードに関する情報を前記他の装置に返送するように構成された送信機
をさらに備える、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
他の装置から送信された信号のサンプルを受信するための手段と、
前記他の装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断するための手段と、
非一様サンプリングインスタンスの前記判断されたセットを使用して、前記受信したサンプルから前記信号を再構成するための手段と
を備える、信号処理のための装置。
【請求項51】
前記信号を再構成するための前記手段が、修正された勾配射影ベースのスパース再構成(GPSR)アルゴリズムに従って前記信号を再構成するための手段を備える、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記修正されたGPSRアルゴリズムが、重み係数を適用することを備え、前記重み係数が、原信号の推定された集合平均を備える、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記集合平均が、トレーニング信号のセットを平均化することによって推定される、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
非一様サンプリングインスタンスの前記セットを判断するための前記手段が、
シードに従って非一様サンプリングインスタンスの前記セットを生成するための手段を備える、請求項50に記載の装置。
【請求項55】
前記シードが、前記装置に関与する通信リンクのセキュリティプロトコルにおいて使用されるキーに基づいて前記装置において生成される、請求項54に記載の装置。
【請求項56】
前記シードに関する情報を前記他の装置に返送するための手段
をさらに備える、請求項55に記載の装置。
【請求項57】
装置から送信された信号のサンプルを受信することと、
前記装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断することと、
非一様サンプリングインスタンスの前記判断されたセットを使用して、前記受信したサンプルから前記信号を再構成することと
を行うように実行可能な命令を備えるコンピュータ可読媒体を備える、信号処理のためのコンピュータプログラム製品。
【請求項58】
装置から送信された信号のサンプルを受信するように構成された受信機と、
前記装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断するように構成された回路と、
非一様サンプリングインスタンスの前記判断されたセットを使用して、前記受信したサンプルから前記信号を再構成するように構成された再構成器と、
前記再構成された信号に基づいてオーディオ出力を与えるように構成されたトランスデューサと
を備える、ヘッドセット。
【請求項59】
装置から送信された信号のサンプルを受信するように構成された受信機と、
前記装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断するように構成された回路と、
非一様サンプリングインスタンスの前記判断されたセットを使用して、前記受信したサンプルから前記信号を再構成するように構成された再構成器と、
前記再構成された信号に基づいて指示を与えるように構成されたユーザインターフェースと
を備える、時計。
【請求項60】
コネクタと、
前記コネクタを介して、ある装置から送信された信号のサンプルを受信するように構成された受信機と、
前記装置において信号がサンプリングされた非一様サンプリングインスタンスのセットを判断するように構成された回路と、
非一様サンプリングインスタンスの前記判断されたセットを使用して、前記受信したサンプルから前記信号を再構成するように構成された再構成器と、
前記再構成された信号に基づいて指示を与えるように構成されたユーザインターフェースと
を備える、監視デバイス。
【請求項61】
複数の非一様サンプリングインスタンス中にソースを作動させることと、
前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス間で前記ソースを停止させることと
を備える、信号処理のための方法。
【請求項62】
前記ソースを作動させることが、前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に1つまたはそれより多い発光ダイオード(LED)をオンにすることを備える、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
各LEDが、600nmから1000nmまでの範囲の波長をもつ光を発する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
複数の非一様サンプリングインスタンス中にソースを作動させるように構成された作動回路と、
前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス間で前記ソースを停止させるように構成された停止回路と
を備える、信号処理のための装置。
【請求項65】
前記ソースが、1つまたはそれより多い発光ダイオード(LED)を備え、前記作動回路が、前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に前記1つまたはそれより多いLEDをオンにするように構成された、請求項64に記載の装置。
【請求項66】
各LEDが、600nmから1000nmまでの範囲の波長をもつ光を発する、請求項65に記載の装置。
【請求項67】
複数の非一様サンプリングインスタンス中にソースを作動させるための手段と、
前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス間で前記ソースを停止させるための手段と
を備える、信号処理のための装置。
【請求項68】
前記ソースが、1つまたはそれより多い発光ダイオード(LED)を備え、前記ソースを作動させるための前記手段が、前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に前記1つまたはそれより多いLEDをオンにするための手段を備える、請求項61に記載の装置。
【請求項69】
各LEDが、600nmから1000nmまでの範囲の波長をもつ光を発する、請求項62に記載の装置。
【請求項70】
複数の非一様サンプリングインスタンス中にソースを作動させることと、
前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス間で前記ソースを停止させることと
を行うように実行可能な命令を備えるコンピュータ可読媒体を備える、信号処理のためのコンピュータプログラム製品。
【請求項71】
少なくとも複数の非一様サンプリングインスタンス中にソースを作動させるように構成された作動回路と、
前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス中に信号のサンプルを感知するように構成されたセンサと、
少なくとも前記複数の前記非一様サンプリングインスタンス間で前記ソースを停止させるように構成された停止回路と
を備える、感知デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図16A】
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【図17】
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【図18】
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【図18A】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図25A】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図28A】
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【公表番号】特表2012−504022(P2012−504022A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529262(P2011−529262)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/058383
【国際公開番号】WO2010/036894
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】