免疫を改善するためのプロバイオティックエンテロコッカス
動物で免疫及びワクチンの有効性を調節する組成物及び方法を開示する。この組成物及び方法は、プロバイオティック生物、具体的にはプロバイオティックエンテロコッカス株を利用し、特にネコに適用可能である。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、哺乳動物の栄養及び免疫応答に及ぼすその効果に関する。特に、本発明は、動物に投与して動物における自然免疫と適応免疫の両方を改善し、ワクチンの有効性を増強するプロバイオティックス生物を利用する。
【0002】
[発明の背景]
特許、公開出願、技術的論文及び学術的論文を含む種々の刊行物が、本明細書全体にわたって引用されている。これらの引用された刊行物の各々は、本明細書中で参考としてその全体が援用される。本明細書内で完全には引用されていない刊行物の完全な引用は、本明細書の終わりに示す。
【0003】
プロバイオティックスは、適切な量で投与されるとき、宿主に健康効果をもたらす生きた微生物として定義されている(Schrezenmeir Jら(2001))。プロバイオティックスは、病原細菌による粘膜表面の集落形成に対する耐性を増加させることによるか(集落形成耐性)(Sanders ME(2003))、又は消化管関連リンパ系組織(GALT)に直接に影響を及ぼすことにより、免疫調節性物質の産生をもたらすプロバイオティックスの有益な健康効果を与え得ると理論付けられている。(Isolauri Eら(2001a)、及びMacpherson AJら(2004))。
【0004】
プロバイオティックスは、ヒト医療での種々の感染症の経過を調節するために使用されてきた。(Isolauri E(2001b))。対照的に、大部分の獣医学研究が大動物で行われる獣医学では、プロバイオティックスを糞便性病原体の排泄の変更(Kim LMら(2001))又は体重増加、飼料要求率及び死亡率減少などの産生パラメータを改善する試みに用いる研究はほとんど行われていない。1つの動物試験で、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)株SF68(NCIMB10415)を、イヌ汎白血球減少症ウイルス(CDV)でワクチン接種した子イヌの1群に与え、ワクチン接種のみを受けた対照群と比較した(Benyacoub Jら(2003))。SF68が補充された子イヌでは、対照の子イヌと比べて血清及び糞便の総IgA濃度が増加し、CDV特異的IgG及びIgAの血清濃度が増加し、そして循環血中のBリンパ球のパーセンテージが増加して、このプロバイオティックにより誘導される免疫増強効果が立証された。
【0005】
ネコ汎白血球減少症(FPV)は、ウイルス血症に引き続き重篤な胃腸疾患を引き起こすウイルスであり、適切にワクチン接種された子ネコは殺菌免疫を有する(Richards Jら(2001))。しかし、ウイルスの上気道感染症は、ネコの医療における大きな問題であり続けている(Sykes JEら(1999))。ネコの鼻腔気管炎(FHV−1)及びネコカリシウイルス(FCV)は、この症候群に関係する2つのウイルス病原体である。病原性のチャレンジ株を接種後、ワクチン非接種対照と比較した場合、FCVワクチンはワクチン接種を受けた動物で、>95%の相対的有効性を誘導するが、FHV−1ワクチンは、約60%の相対的有効性のみを誘導する。(Lappin MRら、2002))。したがって、FHV−1は、広範なワクチン接種にもかかわらず深刻な問題であり続ける。(Sykes JEら(1999))。ワクチン接種の有効性を改善する以前の試みは、より大きな副作用を導く鼻腔内投与(Scott FWら(1999))と疾患の重篤度の低下には導くがキャリア状態の有病率は低下させない病原性株の遺伝子操作とを含んでいた。(Slater Eら(1976)) キャリア状態は、宿主の再発又は再感染並びに同居する動物に対する伝染に導く場合がある。インターフェロンアルファ、頭蓋開口術、抗ウイルス剤、鼻切開術、グルココルチコイド、局所的鬱血除去剤、及び細菌の二次感染に対する抗生物質を含む慢性FHV−1感染症に対する複数の治療が試みられた(Van Pelt DRら(1994))。しかし、これらのいずれも慢性ウイルス感染症を治すことができなかった。したがって、ウイルス排泄及び臨床的な疾病の再発は一般的である。細胞媒介性の免疫応答とIgA粘膜免疫応答との両方が、α−ヘルペスウイルス感染の予防及び制御に重要であると考えられる(Lappin MRら(2002)、及びSlater Eら(1976))。改善されたFHV−1ワクチン又はワクチン接種に対する応答が、この病原体により誘導される罹患率を減らすために必要である。
【0006】
[発明の概要]
本発明の1つの態様は、動物で免疫を調節する、又はワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を特徴とする。免疫応答を調節し、ワクチンの有効性を増強することは、動物の保護に役立ち、病原体により誘導される罹患率及び死亡率を減らすのに役立つ。
【0007】
特定の実施形態では、組成物はペット若しくは動物食品組成物、栄養補助食品、又はヒトの食用に製剤化された食料製品である。種々の実施形態では、プロバイオティック生物は、少なくとも1つをエンテロコッカス属種(Enterococcus spp.)を単独で、又は他のプロバイオティック生物、たとえばストレプトコッカス属種(Streptococcus spp.)、ラクトバシラス属種(Lactobacillus spp.)、ラクトコッカス属種(Lactococcus spp.)、バチルス属種(Bacillus spp.)、ビフィドバクテリウム属種(Bifidobacterium spp.)、又はサッカロミセス属種(Saccharomyces spp.)との組合せで含んでいる。好ましい実施形態においては、プロバイオティック生物は、エンテロコッカス・フェシウムNCIMB10415(SF68)である。この組成物は、追加成分を含み得る。たとえば、7−オキソデヒドロエピアンドロステロンなどのさらに免疫を増強する1つ又は複数の化合物が含まれる。
【0008】
特定の実施形態では、この組成物は、ネコのようなコンパニオン動物用に製剤化される。他の実施形態では、組成物は非コンパニオン動物用に、特にネコ科のメンバー用に製剤化される。他の実施形態では、この組成物は、ヒトの食用に製剤化される。
【0009】
本発明の別の態様は、動物で免疫を調節するのに有効な量で上記のように1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を定期的に動物に投与することを含む、動物で免疫を調節する方法を特徴とする。特定の実施形態では、この方法はネコなどのコンパニオン動物に適用される。他の実施形態では、この方法は非コンパニオン動物、特にネコ科のメンバーに適用される。他の実施形態では、この方法はヒトに適用される。
【0010】
本発明の別の態様では、上記のように動物でワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を定期的に動物に投与することを含む、動物でワクチンの有効性を増強する方法を特徴とする。好ましい実施形態においては、このワクチンはネコ鼻腔気管炎ウイルス、ネコカリシウイルス又はネコ汎白血球減少症ウイルスに対するものである。特定の実施形態では、この方法はネコなどのコンパニオン動物に適用される。他の実施形態では、この方法は非コンパニオン動物で特にネコ科のメンバーに適用される。他の実施形態では、この方法はヒトに適用される。
【0011】
本発明の別の態様は、上記のように動物で免疫を調節する薬剤又は組成物の製造における1つ又は複数のプロバイオティック生物の使用を特徴とする。特定の実施形態では、この組成物は、機能性食品又は栄養補助食品である。この組成物は、ネコなどのコンパニオン動物に給餌することができる。他の実施形態では、この組成物は非コンパニオン動物で特にネコ科のメンバーに適用することができる。他の実施形態では、ヒトへの適用に用いることができる。
【0012】
本発明の別の態様では、上記のように、動物でワクチンの有効性を増強する薬剤又は組成物の製造における1つ又は複数のプロバイオティック生物の使用を特徴とする。特定の実施形態では、この組成物は、機能性食品又は栄養補助食品である。この組成物を、その動物でワクチンの有効性を増強するのに有効な量で定期的に動物に投与することができる。好ましい実施形態においては、ワクチンはネコ鼻腔気管炎ウイルス、ネコカリシウイルス、又はネコ汎白血球減少症ウイルスに対するものである。特定の実施形態では、この組成物はネコなどのコンパニオン動物に適用される。他の実施形態では、この組成物は非コンパニオン動物で、特にネコ科のメンバーに適用される。他の実施形態では、この組成物はヒトに適用される。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面、詳細な説明及び実施例を参照することにより明らかになるであろう。
【0014】
[例示的な実施形態の詳細な説明]
定義:
本発明の方法及び他の態様に関する種々の用語は、本明細書及び特許請求の範囲を通して用いられる。特記しない限り、このような用語は、当技術分野における用語の通常の意味を与えられるべきである。他の特に定義した用語は、本明細書で提供されるこの定義での一致した様式で解釈されるべきである。
【0015】
本明細書及び実施例で以下の略語が用いられる。FHV−1、ネコ鼻腔気管炎ウイルス;FCV、ネコカリシウイルス;FPV、ネコ汎白血球減少症ウイルス;spp.、種;ELISA、酵素結合免疫吸着検定法;DM、乾物;CFU、コロニー形成単位;kg、キログラム;BW、体重。
【0016】
「有効量」とは、特定の生物学的結果を達成するために有効な本明細書に記載されるような、化合物、物質、又は組成物の量を意味する。このような結果は、限定されるものではないが、動物で免疫を改善する、又はワクチンの有効性を増強することを含む。このような有効な活性は、たとえば、動物に本発明の組成物を投与することにより達成され得る。
【0017】
この明細書の文脈中で、用語「約」は、場合によってはプラスマイナス20%を、より好ましくは場合によってはプラスマイナス10%を、さらに好ましくは場合によってはプラスマイナス5%を、さらにより好ましくは場合によってはプラスマイナス2%を、もっとも好ましくは場合によってはプラスマイナス1%を意味すると解釈される。
【0018】
「…を含む」とは、「特に、…を含む」を意味すると解釈され、「…のみから成る」を意味することを意図していない。
【0019】
「適応免疫」又は「適応免疫応答」とは、本明細書で相互に交換可能に広義に使用され、免疫記憶の発現を含む抗原チャレンジに対する免疫応答を意味する。適応免疫応答は、限定されるものではないが、体液性及び細胞性免疫を含む。
【0020】
「体液性免疫」又は「体液性免疫応答」とは、本明細書で相互に交換可能に使用され、抗原チャレンジに応答する免疫グロブリン分子の産生を意味する。
【0021】
「細胞性免疫」又は「細胞性免疫応答」又は「細胞媒介性免疫」とは、本明細書で相互に交換可能に使用され、抗原チャレンジに応答する細胞障害性又はヘルパーTリンパ球、単核細胞、及びサイトカインの活性化を意味する。この用語は、抗体を用いて天然レシピエントへ移入することができない全ての適応免疫を包含する。
【0022】
「自然免疫」とは、特定の抗原によるその後のチャレンジにより増強されない、病原体に対する体の耐性の非特異的なメカニズムを意味する。
【0023】
「免疫を調節する」又は「免疫の調節」とは、当技術分野の適切な任意の手段により測定されるような、抗原チャレンジに対する自然免疫応答又は適応免疫応答を生じる体の能力のすべての増強又は抑制を意味する。
【0024】
「ワクチンの有効性」とは、特定の病原体に対し、動物に及ぼす所望の治療又は保護効果を生じるワクチンの能力を意味する。「増強されたワクチンの有効性」とは、当技術分野の適切な任意の手段により測定されるような、特定の病原体に対して動物に及ぼす所望の治療又は保護効果を生じるワクチンの能力のすべての改善を意味する。
【0025】
「プロバイオティック生物」とは、宿主動物に有益な効果を及ぼす、たとえば疾患に対する健康又は耐性を増加するすべての生物、特に微生物を意味する。プロバイオティック生物は、1つ又は複数の以下の非限定的な特性を示すことができる。すなわち、宿主に対する非病原性又は無毒性;生存細胞として、好ましくは多数存在し;腸環境(たとえば、低いpH、及び胃腸酸、及び分泌物に対する耐性)で生存し、代謝し、存続でき;上皮細胞、特に胃腸管の上皮細胞への付着;殺菌若しくは静菌活性又は病原細菌に対する効果;抗発癌性活性;免疫調節活性、特に免疫の増強;内在微生物叢に対する調節的活性;尿生殖路の健康状態の増強;創傷又はその周囲の殺菌活性及び創傷治癒の増強;下痢の減少;アレルギー性反応の減少;新生児壊死性全腸炎の減少;炎症性腸疾患の減少;並びに腸管透過性の減少である(Reid Gら(2003);Drisko JAら(2003);及びOyetayo VOら(2004))。
【0026】
本発明は、すべての動物、好ましくは哺乳動物に関し、1つの実施形態ではコンパニオン動物に関する。「コンパニオン動物」とは、すべての飼いならされた動物であり、限定するものではないが、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタなどが挙げられる。イヌとネコが最も好ましく、ネコが本明細書で例示される。特定の実施形態では、「動物」はヒトであり得る。別の実施形態においては、本発明はコンパニオン動物以外の動物に関する。特にこの方法は、ネコ科(Felidae)のメンバーに関し、ネコがプロバイオティック組成物の投与を受けることができる場合、本発明を適用し得るネコ科に関する(たとえば、動物園、獣医学施設、猟鳥獣保護区など)。イエネコ(Felis cattus)に加えて、ネコ科は、(1)チーター属(Acinonyx)、たとえばチーター(A.jubatus)、(2)ウンピョウ属(Neofelis)、たとえばウンピョウ(N.nebulosa)、(3)ヒョウ属(Panthera)、たとえばライオン(P.leo)、ジャガー(P.onca)、ヒョウ(P.pardus)、トラ(P.tigris);(3)ユキヒョウ属(Uncia)、たとえばユキヒョウ(U.uncia);(4)ピューマ属(Puma)、たとえばクーガー、マウンテンライオン又はピューマ(P.concolor)並びに(5)さまざまな種の野生のネコ(ネコ属(Felis))、これらには限定されないが、たとえばボルネオヤマネコ(F.badia)、カラカル(F.caracal)、ハイイロネコ(F.bieti)、ジャングルキャット(F.chaus)、サンドキャット(F.margarita)、クロアシネコ(F.nigripes)、ヤマネコ(F.sylvestris、F.lybica)、ジャガランディ(F.yagouraroundi)、オセロット(F.pardalis)、ジャガーネコ(F.tigrina)、トラネコ(F.wieldi)、サーバルキャット(F.serval)、オオヤマネコ(F.lynx)、ボブキャット(F.rufus)、パンパスキャット(F.colocolo)、ジェフリーキャット(F.geoffroyi)、アンデスネコ(F.jacobita)、パラスキャット(F.manul)、コドコド(F.guigna)、レオパードキャット(F.bengalensis、F.iriomotensis)、フラットヘッドキャット(F.planiceps)、サビイロヤマネコ(F.rubiginosus)、スナドリネコ(F.viverrina)、及びアフリカゴールデンキャット(F.aurata)などの属のメンバーを含む。本明細書中で用いられる用語「ネコ」又は「ネコ科動物」は、特に明記しない限りネコ科の全てのメンバーを意味する。
【0027】
本明細書中で用いられる用語「ペット食品」、「ペット食品組成物」、「動物食品」又は「動物食品組成物」とは、動物による、そして好ましくはコンパニオン動物による摂取が意図される組成物を意味する。「栄養的に完全にバランスのとれたペット又は動物食品」とは、動物栄養分野で認められた専門家の勧告に基づく適切な量及び割合で全ての既知の必要な栄養素を含み、したがって食事摂取の唯一の供給源として用いて補助的な栄養供給源の追加なしで生命の維持又は産生を促進することができる食品である。栄養的にバランスのとれたペット食品及び動物食品組成物は、当技術分野で広く知られ広く使用されている。
【0028】
本明細書中で用いられる「栄養補助食品」とは、動物の通常の食餌に加えて摂取されることを意図した製品である。
【0029】
本明細書中で用いられる「ヒトの食用に製剤化された食料製品」とは、ヒトによる摂取が意図されたすべての組成物である。
【0030】
わかりやすい簡潔な明細書を書く目的で、特定の実施形態を本明細書に記載したが、これらの実施形態の特徴は、本発明の範囲内でさまざまに組み合わせることができるか又は分離することができることは理解されるであろう。
【0031】
説明:
本発明者らは、子ネコにおいてエンテロコッカス・フェシウムNCIMB10415(SF68)などのプロバイオティック生物による食餌の補充は、CD4+リンパ球の数を増加させることを観察した。したがって本発明のさまざまな態様では、動物で免疫を改善し、動物でワクチンの有効性を増強するための食餌組成物及び方法を提供することによりこれらの発見を利用する。
【0032】
組成物
本発明の1つの態様は、動物で免疫を調節する、又はワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を特徴とする。1つの好ましい実施形態では、このプロバイオティック生物は、動物で自然免疫を調節する。さらに好ましい実施形態では、このプロバイオティック生物は、動物で適応免疫応答を調節する。別の好ましい実施形態では、このプロバイオティック生物は、動物でFHV−1、FCV、及びFPVに対するワクチンの有効性を増強する。
【0033】
このプロバイオティック生物は、成分又は添加物として組成物中に存在できる。このプロバイオティック生物は、原核生物、真核生物、又は古細菌であってもよい。この組成物のさまざまな実施形態では、このプロバイオティック生物は、エンテロコッカス属の任意の適切な株又は亜種の少なくとも1つを単独で、或いはストレプトコッカス属、ラクトバシラス属、ラクトコッカス属、バチルス属、ビフィドバクテリウム属、又はサッカロミセス属のような属中に含まれる他のプロバイオティック生物との組合せで含んでいる。エンテロコッカス属種は、これに限定されるものではないが、エンテロコッカス・フェシウム、特に、E.フェシウム株SF68、並びに他のエンテロコッカス属、たとえば、E.フェシウムDSM10663(M74)、E.フェシウムGHR017 DSM7134、E.フェシウムCECT4515、E.フェシウムCL15/ATCC19434、E.フェシウムNCIMB11181/DSM5464、E.フェシウムIMB52/DSM3530、E.フェシウムCNCM MA17/5U、E.フェシウム202 DSM4788/ATCC53519、E.フェシウム301 DSM4789/ATCC55593、E.フェシウムATCC19434、E.フェシウムEF−101 ATCC19434、及びE.フェシウムAK2205 BCCM/LMG S−16555を含む。ストレプトコッカス属種は、これに限定されるものではないが、ストレプトコッカス・フェシウム(Streptococcus faecium)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)及びストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarus)を含む。ラクトバシラス属種は、これに限定されるものではないが、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシラス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・ケロビオスス(Lactobacillus cellobiosus)、ラクトバシラス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバシラス・クルヴァトス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバシラスGG(ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)又はラクトバシラス・カゼイ亜種ラムノサス(Lactobacillus casei subspecies rhamnosus))、ラクトバシラス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス・ヨーンソニィ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarus)、ラクトバシラス・ロイテリー(Lactobacillus reuteri)、ラクトバシラス・ヨーンソニィLA1(Lactobacillus johnsonii LA1)、ラクトバシラス・アシドフィラスNCFB1748(Lactobacillus acidophilus NCFB 1748)、ラクトバシラス・カゼイ・シロタ(Lactobacillus casei Shirota)、ラクトバシラス・アシドフィラスNCFM(Lactobacillus acidophilus NCFM)、ラクトバシラス・アシドフィラスDDS−1(Lactobacillus acidophilus DDS−1)、ラクトバシラス・デルブリュッキー亜種デルブリュッキー(Lactobacillus delbrueckii subspecies delbrueckii)、ラクトバシラス・デルブリュッキー亜種ブルガリカスタイプ2038(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus type 2038)、ラクトバシラス・アシドフィラス SBT−2062(Lactobacillus acidophilus SBT−2062)、ラクトバシラス・サリバリウスUCC118(Lactobacillus salivarus UCC 118)、ラクトバシラス・パラカゼイST11(Lactobacillus paracasei ST11)、及びラクトバシラス・パラカゼイ亜種パラカゼイF19(Lactobadllns paracasei subsp paracasei F19)を含む。ラクトコッカス属種は、これに限定されるものではないが、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)及びラクトコッカス・プランタラム(Lactococcus plantarum)を含む。バチルス属種は、これに限定されるものではないが、バシラス サチリス(Bacillus subtilis)を含む。ビフィドバクテリウム属種は、これに限定されるものではないが、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)及びビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)を含む。サッカロミセス属種は、これに限定されるものではないが、サッカロミセス・ブラウディ(セルビジエ)(Saccharomyces boulardii(cerevisiae))を含む。
【0034】
1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、ペット又は動物食品組成物である。これらは必要な栄養所要量を供給することを意図した食品、及びごちそう(treat)(たとえば、ビスケット)又は他の栄養補助食品を含むのが有利である。場合によって、ペット又は動物食品組成物は、乾燥組成物(たとえば粒キブル(kibble))、やや湿った組成物、湿性組成物、又はこれらの任意の混合物であってもよい。特定の実施形態においては、組成物はイエネコを含むが、これに限定されないネコ科動物による摂取用に製剤化される。
【0035】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物はヒトの食用に製剤化された食料製品である。これらはヒトの必要な栄養所要量を供給することを意図した食品及び栄養素、並びに他のヒトの栄養補助食品を含むのが有利である。詳細な実施形態において、ヒトの食用に製剤化された食料製品は栄養的に完全にバランスがとれている。
【0036】
別の好ましい実施形態では、この組成物は、たとえば肉汁、飲料水、飲物、液体濃縮物、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、チュー(chew)、小片(morsel)、ごちそう、スナック、ペレット、ピル、カプセル、錠剤、又はその他の送達形態などの栄養補助食品である。この栄養補助食品は、コンパニオン動物又は非コンパニオン動物などの特定の動物、特にネコ又はヒトでの摂取用に特別に製剤化されてもよい。1つの詳細な実施形態では、この栄養補助食品は、この補助食品を動物に小量投与できるように高濃度のプロバイオティック生物を含んでいてもよく、また代替形態において、動物投与の前に希釈されてもよい。栄養補助食品は、動物に投与する前に水と混合する必要がある場合もある。
【0037】
この組成物は冷蔵又は凍結できる。このプロバイオティック生物は、必要とする利益をもたらす量を提供するために、この組成物の他の成分とブレンド済みであり得、ペット食品組成物、栄養補助食品、又はヒトの食用に製剤化された食料製品の上にコーティングされ得るか或いは、たとえば、粉末又は混合物を用いて動物にこれを提供する前にこの組成物に添加され得る。
【0038】
本発明の組成物は、この組成物は投与された動物で免疫を調節する又はワクチンの有効性を増強するのに有効な量でプロバイオティック生物を含む。ペット食品及びヒトの食用に配合された食料製品は、この組成物の1グラム当り約102から約1011の範囲のコロニー形成単位(CFU)でプロバイオティック生物を含むように製剤化することができる。栄養補助食品は、数倍高濃度のプロバイオティック生物を含むように、錠剤、カプセル、液体濃縮物の形態、又は他の類似した剤形での動物投与に馴染みやすいように、或いは、たとえば水での希釈、ペット食品上への噴霧又は吹掛け、他の類似の投与形態など、投与前に希釈されるように製剤化され得る。
【0039】
1つの実施形態では、この組成物のプロバイオティック生物の濃度は、免疫機能調節に必要とされる量の関数であり、動物の血液中のCD4+リンパ球の割合及び/又は数の増加を含んでいる。別の実施形態においては、この組成物のプロバイオティック生物の濃度は、血清、糞便、分泌物たとえば、乳汁、涙、及び唾液中の特定の病原体の抗原に対して反応する免疫グロブリンの濃度を増加させるために必要な量の関数である。CD4+リンパ球のレベル並びに動物の血清、糞便、分泌物、たとえば乳汁、涙、及び唾液中の免疫グロブリンの濃度は、当業者に認識され認められた任意の手段により測定され得る。
【0040】
本発明の組成物は、場合によっては、補助物質、たとえば、ミネラル、ビタミン、塩類、調味料、着色剤、及び保存料を含むことができる。補助のミネラルの非限定例は、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、セレニウムなどを含む。補助のビタミンの非限定例は、ビタミンA、種々のBビタミン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンKを含む。また追加の栄養補助食品は、たとえば、ナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、アミノ酸などを含み得る。
【0041】
本発明の組成物は、場合によっては、健全な免疫系を促進するか若しくは持続する又はさらに免疫を調節する1つ又は複数の補助物質を含むことができる。このような物質は、これらに限定されるものではないが、L−アルギニン、7−オキソデヒドロエピアンドロステロン(7−オキソDHEA)などのステロイド、アルファ及びベータカロテンなどのカロテノイド、抗酸化剤、並びにハーブ又はアストラガルス及びエキナセアなどのハーブの抽出液を含む。
【0042】
種々の実施形態で、本発明の動物食品又は栄養補助食品組成物は、乾物ベースで組成物の約15重量%から約50重量%までの粗タンパク質を含むことができる。この粗タンパク質物質は、植物性タンパク質、たとえば、ダイズ、綿実、及びピーナッツ、又は動物タンパク質、たとえば、カゼイン、アルブミン、及び食肉タンパク質を含み得る。本明細書で有用な食肉タンパク質の非限定例は、ポーク、ラム、ウマ、鳥肉、魚類、及びこれらの混合物を含む。
【0043】
この組成物は、乾物ベースで組成物の約5重量%から約40重量%までの脂肪をさらに含み得る。この組成物は、炭水化物の供給源をさらに含み得る。この組成物は、乾物ベースで組成物の約15重量%から約60重量%までの炭水化物を含み得る。このような炭水化物の非限定例は、穀粒又は穀物、たとえば、米、トウモロコシ、モロコシ、アルファルファ、オオムギ、ダイズ、アブラナ、オート麦、小麦、及びこれらの混合物を含む。この組成物は、他の物質を、たとえば乾燥ホエー及び他の酪農副産物を場合によっては含み得る。
【0044】
またこの組成物は、少なくとも1つの繊維質供給源を含み得る。さまざまな可溶性又は不溶性繊維質が利用され得ることは当業者の知るところである。繊維質供給源は、甜菜パルプ、(糖ビート由来の)、アラビアゴム、タルハガム、オオバコ、米糠、イナゴマメガム、シトラスパルプ、ペクチン、短鎖オリゴ果糖に付加されたフルクトオリゴ糖、マンナンオリゴ果糖、大豆繊維質、ハウチワマメ由来の繊維質、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン、又はこれらの混合物であってもよい。或いはこの繊維質供給源は、発酵性繊維質であってもよい。発酵性繊維質は、コンパニオン動物の免疫系に利益を提供するために以前に記載されている。また腸内でプロバイオティック微生物の増殖を増強できるプロバイオティック組成物を提供する当業者には周知の発酵性繊維質又は他の組成物も、本発明により動物の免疫系に提供される利益の増強を助成するために、この組成物に組み込まれ得る。
【0045】
詳細な実施形態では、この組成物は栄養的に完全にバランスがとれたペット又は動物食品である。この文脈において、ペット食品の製剤及び製造の当業者により認識されるように、ペット食品は、湿性の食品、乾燥食品、又は中程度の含水量の食品であり得る。「湿性の食品」は、典型的には缶又はホイルバッグで販売され、典型的には約70%から約90%の範囲の含水量を有するペット食品を表わす。「乾燥食品」は、湿性の食品に類似した組成物であるが、典型的には約5%から約15%の範囲の限定された含水量を含んでおり、したがって、たとえば、小さいビスケット様のキブル粒として与えられるペット食品を表わす。この組成物及び栄養補助食品は、成体動物用に、又は老いた動物若しくは若い動物用に、たとえば、「子イヌの食べ物」、「子ネコ食べ物」、又は「シニア」製剤用に特別に製剤化され得る。一般に、特殊化した製剤は、成長又は年齢の種々の段階での動物に適切なエネルギー及び栄養所要量を含むであろう。
【0046】
本発明の特定の態様では、完全にバランスのとれた食品と組み合わせて使用されるのが好ましい(たとえば、全米研究評議会(National Research Council)、2006、イヌ及びネコの栄養所要量、ナショナルアカデミープレス(National Academy Press)、Washington D.C.、又はアメリカ飼料検査官協会(Association of American Feed Control Officials)公式出版 1996に記載されているように)。すなわち、本発明の特定の態様に基づくプロバイオティック生物を含む組成物は、高品質の市販食品と共に使用されるのが好ましい。本明細書中で用いられる「高品質の市販食品」は、たとえば、イヌ及びネコに対する上記の全米研究評議会の勧告中で述べられるように、又はアメリカ飼料検査官協会によりガイドラインで述べられているように、80%以上の重要な栄養素の消化率を生じるように製造された食物を表す。同様の高い栄養素規格が他の動物のために使用されるであろう。
【0047】
当業者は、どのように所与の組成物に添加されるプロバイオティック生物の適切な量を決定するかを理解するであろう。考慮され得るそのような要素は、組成物のタイプ(たとえば、ペット食品組成物、栄養補助食品、又はヒトの食用に製剤化された食料製品)、種々の動物による特異的タイプの組成物の平均摂取量及び組成物が調製される製造条件を含む。組成物に添加されるプロバイオティック生物の濃度は、動物のエネルギー及び栄養所要量に基づき算出することができる。本発明の特定の態様によれば、プロバイオティック生物は、製造及び/又は組成物の加工中の任意の時点に添加してもよい。これは、限定されるものではないが、ペット食品組成物、栄養補助食品、若しくはヒトの食用に製剤化した食料製品の製剤の1部として、又はペット食品組成物、栄養補助食品、若しくはヒトの食用に製剤化した食料製品に適用されるコーティングとして含む。
【0048】
この組成物は、当技術分野の適切な任意の方法、たとえば、Waltham Book of Dog and Cat Nutrition、ATB Edney編、A.Rainbirdによる“A Balanced Diet”と題する章、57頁〜74頁、Pergamon Press Oxford中で記載される方法によって製造されてもよい。
【0049】
方法
本発明の別の態様では、動物で免疫を調節するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を動物に投与することを含む、動物で免疫を調節する方法を特徴とする。本発明のさらに別の態様では、動物でワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を動物に投与することを含む、動物でワクチンの有効性を増強する方法を特徴とする。ある実施形態では、ワクチンは、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコ鼻腔気管炎ウイルス、又はネコカリシウイルスに対するものである。
【0050】
本発明の2つの上述した態様のいずれの詳細な実施形態においても、本明細書中で例証されるように、この組成物はペット若しくは動物食品組成物、栄養補助食品又はヒトの食用に製剤化された食品である。さらに詳細な実施形態では、プロバイオティック生物は、少なくとも1つエンテロコッカス属種を、好ましくはE.フェシウムを、最も好ましくはSF68株を単独で、或いは上記のような1つ又は複数のストレプトコッカス属種、ラクトバシラス属種、ラクトコッカス属種、バチルス属種、ビフィドバクテリウム属種、又はサッカロミセス属種を含む他のプロバイオティック生物と組み合わされて含む。動物は、上記のような任意の飼いならされた又はコンパニオン動物を含んでもよく、或いはヒトを含んでもよい。特定の実施形態では、動物はネコなどのコンパニオン動物である。別の実施形態においては、動物はヒトである。
【0051】
この組成物は、任意の種々の代替投与経路により動物に投与することができる。そのような経路は、これらに限定されるものではないが、経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、胃内、幽門横断、皮下、直腸などを含む。この組成物は、経口的に投与されるのが好ましい。本明細書中で用いられる用語「経口投与」又は「経口的に投与する」とは、本明細書に記載されている1つ又は複数の本発明の組成物を、動物が摂取するか又はヒトが食べるように指示されるか又は動物に食べさせることを意味する。
【0052】
ヒトがこの組成物を食べるように指示されるとき、そのような指示は、この組成物の使用によりリファレンス付きの有益性、たとえば動物での免疫を調節又はワクチンの有効性の増強を提供し得る及び/又は提供するであろうことを、ヒトに指導及び/又は通知する指示であり得る。そのような指示は、口頭の指示(たとえば、医師、獣医師、若しくは他の医療従事者からの口頭の指導、又はラジオ若しくはテレビ媒体(すなわち、広告)、又は文書による指示(たとえば、医師、獣医師、若しくは他の医療従事者(たとえば、処方箋)、販売専門家若しくは組織(たとえば、マーケティングブローシャ、パンフレット、若しくは他の指導的用具を介した)からの文書による指示を介した)、筆記媒体(たとえば、インターネット、電子メール、若しくは他のコンピュータ関連媒体)、及び/又は組成物を伴う包装(たとえば、組成物が入っている容器上のラベル)を介する)であり得る。
【0053】
投与は、必要性に応じて又は所望に応じて、たとえば、月1回、週1回、毎日、又は毎日複数回であってもよい。同様に投与は、1日、1週、又は1カ月おきに、2日、2週、又は2カ月おきに、3日、3週、又は3カ月おきなどであってもよい。投与は1日当り複数回であってもよい。通常の食事所要量に対する補助食品として利用されるとき、この組成物は動物に直接投与されるか、或いはそうでなければ1日の飼料又は食品と接触又は混合され得る。1日の飼料また食品として利用される場合、投与は当業者によく知られている。
【0054】
また投与は定期的に、たとえば動物における食事療法の1部として実施されてもよい。食事療法は、動物で免疫を調節するか又はワクチンの有効性を増強するのに有効な量で、1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物の動物による定期的な摂取を与えることを含んでもよい。定期的な摂取は、1日に1回、又は毎日若しくは毎週1日に2回、3回、若しくは4回以上であってもよい。同様に定期的な投与は、1日若しくは1週おきに、2日若しくは2週おきに、3日若しくは3週おきに、4日若しくは4週おきに、又は5日若しくは5週おきでもよく、そのような食事療法で、投与は1日に複数回でもよい。定期的な投与の目標は、本明細書中で例証されるように、好ましい1日量のプロバイオティック生物を動物に提供することである。
【0055】
プロバイオティック生物の1日量は、動物当り1日に投与されるコロニー形成単位(CFU)によって測定できる。プロバイオティック生物の1日量は、約105から約1012CFU/日の範囲であってもよい。より好ましくは、プロバイオティック生物の1日量は、約107から約109CFU/日である。より好ましくは、プロバイオティック生物の1日量は、約108から約109CFU/日である。最も好ましくは、プロバイオティック生物の1日量は、約108CFU/日である。
【0056】
本発明の方法によれば、食事療法の1部としての投与を含む1つ又は複数のプロバイオティック生物を含むこの組成物の投与は、動物の妊娠から一生に及ぶ期間にわたってもよい。
【0057】
さらに詳細に本発明を記載するために、以下の実施例を示す。これらは例示のためのものであって、本発明の限定を意図するものではない。
【0058】
実施例1
動物及び実験パラメータ
ネコ科の実験対象集団。20匹の生後6週のSPF子ネコを、Liberty Laboratories(Liberty、NY)から購入した。子ネコは、ELISAによりネコ白血病ウイルス抗原及びネコ免疫不全ウイルス抗体に対して血清反応陰性であることが示された。(Snap Combo、IDEXX Laboratories、Portland、ME)。
【0059】
実験設計。10日の平衡期間の後、子ネコを各々10匹の子ネコの2群に無作為に分け、投与研究を7週齢で始めた。0.25と0.28gの間(希釈計数アッセイに基づく約5×109CFU)の、LBC ME5 PET E.フェシウムSF68(NCIMB 10415)(Cerbios−Pharma SA、Switzerland)を、それぞれ50mLの円錐底部ポリプロピレン遠心チューブに添加し、キャップをかぶせて、研究期間の間4℃に保存した。同様の調製物を、チューブ当たり150mg使用して、嗜好促進剤(主な成分として肝臓ダイジェストを含む典型的なペット食品コーティングを用いた)のアリコートに使用した。アリコートを吸水に関してモニターし、プロバイオティック又は嗜好促進剤どちらかの何らかの凝集があるように見える場合には廃棄することとした。投与の直前に、嗜好促進剤の1つのアリコートを保存したE.フェシウムSF68チューブの1本(投与群)又は1本の空のチューブ(プラセボ群)へ移し、室温の水道水を用いて全容量10mLに希釈した。内容物を少なくとも3分間ボルテックスし、12ccの注射器中に吸引した。この懸濁液をボルテックスした直後に適切な子ネコに、子ネコが27週齢になるまで1mlのE.フェシウムSF68(1日当りの総1日量5×108CFU)又は嗜好促進剤単独(プラセボ子ネコ)を経口投与した。両方の群は、無制限に乾燥子ネコ食品(全てのAAFCOの所要量を満たす典型的な子ネコ成長用処方は、鶏肉ベースであり、主な成分として米を使用した)を与え、群を2つの別々の部屋に収容してプロバイオティクスによる相互汚染を避けた。アメリカネコ科開業医協会(American Association of Feline Practitioners)により推奨されるように、9及び12週齢で、ネコヘルペスウィルス−1、ネコカリシウイルス、及びネコ汎白血球減少症ウイルスに対する改良生組合せワクチン(Pfizer Animal Health、Exton、PA)で、全ての子ネコの皮下にワクチン接種した。(Richards J ら(2001))。
【0060】
統計的評価。各サンプル採取日に、全ての測定されたパラメータに関する群平均値を算出した。プロバイオティック投与群とプラセボ群間の差異を、反復測定実験に適切な混合ANOVAモデルを用いて分析した。時間は連続変数としてモデルに含まれていた。C.パーフリンジェンス(C.perfringens)のエンテロトキシン又はC.ディフィシレ(C.difficile)トキシンA若しくはBに対して陽性のネコサンプルのパーセンテージ及び細胞表面マーカーに関して陽性のゲート制御された細胞のパーセンテージを、研究期間の間ネコの各群に対して算出し、両側t検定により比較した。(GRAPHPAD Prism、GRAPHPAD Software,Inc.、San Diego、CA)。統計的有意差は、p<0.05であると考えられた。
【0061】
実施例2
サンプル収集及び臨床的モニタリング
この研究を通して子ネコの態度と行動を毎日モニターした。体重は毎週測定した。血液、唾液、及び糞便を、7週齢のプロバイオティック補充又は嗜好促進剤補充開始前に、並びに9、15、21、及び27週齢に全てのネコから採取した。さらに糞便を28週齢の投与群の子ネコから採取した。子ネコの各群について、1日当たり5つの糞便サンプルを共用猫用トイレから無作為抽出し、標準化されたグラフィックスコアカードを用いて記録して、毎日の群平均値を測定した。総IgA及び総IgG測定用の糞便抽出液をBenyacoub Jら(2003))によって記載されたプロトコルに従って処理した。全てのサンプルは、バッチでアッセイするまで−80℃に保存した。
【0062】
全ての子ネコの糞便は、補充期間の当初(7週齢)は正常であった。各群の1匹の子ネコを、この研究とは無関係な理由で研究から除去し、したがって最終のデータ分析から除去した。期間中又は個々の時点で、体重及び糞便スコアに2群間で統計学的に差異が見られなかった(図1)。
【0063】
この研究を通して全血球数、生化学パラメータ、及び体重は、ネコ群の間で類似していた。糞便スコアは群間で類似しており、同様にここで記載した用量でのSF68の使用は、顕著な臨床的な異常を誘導しないことも示唆していた。
【0064】
実施例3
糞便のアッセイ
各サンプル採取日に、各子ネコから糞便を8階段の連続10倍希釈して、KFストレプトコッカス寒天培地に播種し、好気的に37℃で48時間インキュベートした。各形態型の10コロニーを、無菌のエーゼを用いて釣菌し、1.2mLのブレーンハートインフュージョン培地(BHI)(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)に入れ、分析まで−80℃に保存した。生存可能なE.フェシウムSF68が投与したネコの糞便中に存在するかどうかを決定するために、及びこのプロバイオティックが投与した子ネコから対照の子ネコに偶発的に伝播したかどうかを評価するために、RAPD−PCRを各サンプルからの細菌分離株で実施した。サーモサイクラーパラメータは以下の通りであった。すなわち、95℃で1分の変性、40℃で1分のアニール、72℃で4分の伸長を30サイクルで行った。25.5μLの反応混合液は、2.45μL 10×マグネシウム非含有緩衝液(100mM Tris−HCl、pH 8.3、500mM KC1)、3.22mM MgCl2、0.4μL(1ユニット)JumpStart Taq DNAポリメラーゼ(Sigma D−4184、Sigma−Aldrich,Inc.、St.Louis、MO)、1.9μL dNTP混合物(2.5mM)、1μL プライマー(100μM)、15.47μL PCR水、及び1μL 細菌培養を含んでいた。用いたプライマーの配列は、5’−GGTTGGGTGAGAATTGCACG−3’であった。5〜10μLのPCR産物を2パーセントのアガロースゲルで泳動し、バンドのパターンをSF68陽性対照と比較した。市販のELISAを、クロストリジウム パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)エンテロトキシン又はたはC.ディフィシル(C.difficile)トキシンA/Bが全ての子ネコの糞便中に存在したかどうかを測定するために使用した。(C.パーフリンジェンス(ELISA、Kit No.92−000−22)及びC.ディフィシル(ELISA、Kit No.94−0150−KT)、Techlabs、Blacksburg、VA.)。サルモネラ属種及びカンピロバクター属種のルーチンの好気性糞便培養は、コロラド州立大学診断研究室(the Colorado State University Diagnostic Laboratory)で実施した。
【0065】
投与したネコ9匹のうち7匹の糞便は、研究の間の少なくとも1つの時点でSF68陽性だった。しかし、SF68 DNAは、補充をやめた1週後(28週)、いずれの投与ネコの糞便からも増幅されなかった。サルモネラ属種もカンピロバクター属種のいずれも、糞便から増殖しなかった。プラセボネコからの全サンプルは、RAPD PCRによりSF68陰性だった。この研究を通して、C.ディフィシル トキシンA/B又はC.パーフリンジェンス エンテロトキシンに関して陽性のサンプルの数(表1)は、群間で異ならなかった。
【0066】
サルモネラ属種及びカンピロバクター属種排泄は、SF68補充によって誘導されなかった。子ネコの両方の群のいくつかの糞便サンプルは、C.ディフィシル又はC.パーフリンジェンス トキシンについて陽性だったが、群間の陽性サンプル数に有意な差異はなく、陽性の結果は下痢の存在と関連していなかった。SF68は補充期間の間に大部分の投与したネコ糞便で検出されたが、補充をやめた1週後の糞便ではもはや検出されなくて、この生物は一過性の状態でのみネコにおいて存続したことを示した。したがって本明細書で記載される用量を用いるSF68の投与は、有害な影響がなく研究した期間での投与は安全である。
【0067】
実施例4
免疫学的アッセイ
完全血球数、血清生化学的パネル、及び尿分析はコロラド州立大学(Colorado State University)の臨床病理検査室(Clinical Pathology Laboratory)で実施した。抗原特異的体液性免疫応答を、血清FHV−1特異的IgG、FHV−1特異的IgA、FCV特異的IgG、及びネコ汎白血球減少症特異的IgGを10の血清で測定し、並びに既報のELISAアッセイの適応を用いて唾液でFHV−1特異的IgG及びIgAレベルを測定することにより算定した。(Lappin MRら(2002);及びDitmer DAら(1998)。FHV−1特異的IgG及びIgAに関して、結果は各サンプルについて3セットの試験ウェルに対する両方の平均吸光度により算出し、パーセンテージELISA単位の算出により算出した(テストサンプル平均吸光度マイナス陰性対照サンプル平均吸光度/陽性対照サンプル平均吸光度マイナス陰性対照サンプル平均吸光度に100を掛けた)。FCV及びFPVについては平均吸光度を使用した。血清、糞便抽出液、及び唾液中の総IgG及びIgA濃度は、市販のELISAアッセイ又は放射状免疫拡散アッセイを用いて算定した。(Bethyl Laboaratories,Inc.、Montgomery、TX)。
【0068】
細胞性免疫応答は、フローサイトメトリー及び全血増殖アッセイによって評価した。フローサイトメトリーは、赤血球溶血緩衝液(0.155M NH4Cl/0.010M KHCO3/5×10−4%フェノールレッド(0.5%)中、室温でインキュベートした500μLの抗凝固処理(EDTA)血液を使用して、血液採集の12時間以内に実施した。細胞をPBSで2回洗浄し、得られた細胞ペレットを、PBS、0.1%アジ化ナトリウム及び2%ウシ胎児血清を含むFACS緩衝液に、可能ならば1×106細胞/100μLの濃度を達成するように再懸濁した。上記の懸濁液の少なくとも500μLについて不十分な細胞を有するサンプルをカウントし、細胞濃度を記録した。免疫染色するために、各細胞懸濁液100μLを丸底96穴プレートのそれぞれのウェルに添加した。非特異的結合を、10%正常ネコ血清の添加によりブロックした。(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.、West Grove、PA)。免疫染色は、暗所、4℃でFACS緩衝液中で実施した。リンパ球は、CD4及びCD8の発現(vpg34;抗CD4−fitc、vpg9;抗CD8−rpe抗体;Serotec、Raleigh、NC(Oxford、UK))並びにCD44の発現(IM7;抗CD44−pe/cy5抗体;Pharmingen、Franklin Lakes、NJ)について染色した。B細胞の分析については、溶解した全血を、B220(ra3−b62;抗B220−ビオチニル化抗体;eBioscience、San Diego、CA)、CD21(b−ly4;抗CD21−apc抗体;BD−Biosciences、Franklin Lakes、NJ)、及びMHCクラスII(抗MHCクラスII−fitc抗体;クローンCAG5−3D1、Serotec、Raleigh、NC(Oxford、UK))に交差反応性抗体で免疫染色した。分析用の細胞を、前方及び側面分散特性に基づき生きているリンパ球集団でゲート制御した。データは、Cyan MLE cytometerpで収集し、Summitソフトウェアを用いて分析した。(Dako−Cytomation、Fort Collins、CO)。
【0069】
増殖アッセイは、マイトジェン又は抗原の添加前に5%CO2、37℃で30分間、100μLの完全腫瘍培地(complete tumor media)でインキュベートしてプレ条件付けした10μLの全ヘパリン添加血を用いて3回反復して実施した。(完全腫瘍培地:必須及び可欠アミノ酸+10%FBSを補充した改変Eagle培地)。細胞を培地単独で維持する(刺激していない)か又は、コンカナバリンA(10μg/mL:Con ASigma−Aldrich、St.Louis、MO)、若しくはFHV−1抗原調製物(1μL/ウェル、研究開始前に調製し、等分して−80℃で保存した)で、5%CO2、37℃で96時間刺激した。(Veir JKら(2005))。細胞は、ウェル当り1μCiのトリチウムチミジンでパルス標識し、18時間後にガラス繊維フィルターマット上に採取した。(Wallac−Microbeta Perkin −Elmer、Boston、MA)。マットをMicroBetas液体シンチレーションカウンターを用いて読み取った。平均刺激指数(非刺激サンプル当りの平均最大カウントで割った刺激したサンプル当りの平均最大カウント)を、全てのサンプルに対して算出した。
【0070】
完全血球数及び生化学的プロフィールは、全ての時点で全てのネコの年齢群について正常範囲内であった。分析したこのアッセイ間で期間中又は個々の時点で、この群間で統計的な差異はなかった。21及び27週齢で、血清及び唾液中のFHV−1特異的IgAの平均レベルは、プラセボ群と比べた場合投与群で数値的により大きかったが、この差異は統計学的差異ではなかった(図2)。15、21及び27週齢で、平均FHV−1特異的血清IgGレベルは、両方のアッセイを用いるプラセボ群と比べた場合、投与群で数値的により大きかったが、この差異は統計学的に有意な差異ではなかった(図3)。FHV−1特異的IgGは、唾液中に検出されなかった。血清中のFCV特異的IgGレベルは、群間で同程度だった(図4)。15週齢で、投与群血清平均FPV特異的IgGレベルは、プラセボ群のレベルより数値的により大きかったが、この差異は統計学的に有意な差異ではなかった(図5)。
【0071】
血清中の総IgG及びIgA濃度は、群間で同程度だった(データは示さず)。総IgGは唾液で検出されなく、唾液中の総IgA濃度は群間で同程度だった(データは示さず)。27週齢で、糞便抽出液中の投与群平均総IgG濃度は、プラセボ群の濃度より数値的に大きかったが、この差異は統計学的差異ではなかった(図6)。糞便抽出液中の総IgA濃度は、群間で同程度だった(図6)。
【0072】
刺激剤として10μg/mLのコンカナバリンA又は1/μLのFHV−1抗原調製物のどちらかを用いる増殖アッセイでは、どの時点でも群間で有意に異なる平均最大カウントを生じなかった。最初の4つの時点で、任意の細胞表面マーカーについて群間で統計的な差異はなかった(図7)。27週齢でこの投与群(平均13.87%)は、プラセボ群よりもゲート制御されたCD4陽性リンパ球の有意に高パーセンテージを有していた(平均10.61%、p=0.0220)。他の比較で有意な群間差はなかった。
【0073】
27週齢でCD8+カウントの付随した増加を伴わないプラセボ群と比較した投与群でのCD4+カウントの増加は、プロバイオティックによる全身性免疫の調節効果を示している。いくつかの回収時の、数値的により大きな体液性免疫応答パラメータの検出は、Th1応答刺激が生じたことを示唆している。この仮説は、子イヌにおけるSF68補充研究の知見により裏付けられている。(Benyacoub Jら(2003))。
【0074】
ワクチン接種後、各々の子ネコは、他の研究と同様なFHV−1、FCV、及びFPV特異的血清抗体応答を発現し、これらの子ネコは免疫応答性であり、使用した改良生ワクチンは実用的であることを示していた。(Lappin MRら(2002))。この結果のいくつかは、プロバイオティックの給餌は、これらの子ネコの体液性及び細胞性免疫応答に影響を与えたことを示している。これらはプラセボ群に比較した場合、27週齢で統計学的に有意により大きいCD4+リンパ球カウントの検出と、21及び27週齢で血清及び唾液中のFHV−1特異的IgA、15、21及び27週齢で血清中のFHV−1特異的IgGレベル、15週齢で血清中のFPV特異的IgGレベル、並びに27週齢で糞便抽出液中の総IgG濃度に関する数値的により大きな平均値の検出とを含んでいる。
【0075】
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【0076】
本発明は上記に記載し例示した実施形態に限定されるものではなく、添付されている特許請求の範囲内で変更及び修正可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1a】7週齢で開始し27週齢まで毎日、150mgの鶏肉ダイジェストPO(プラセボ、n=9)又は5×108cfu/日のエンテロコッカス・フェシウム株SF68を混合した(投与、n=9)150mgの鶏肉ダイジェストで補充した子ネコの経時的な体重(a)及び糞便スコア(b)を示すグラフである。子ネコは、9及び12週齢で市販の改良生FHV−1ワクチンdで皮下にワクチン接種した。箱ひげ図は、この最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図1b】7週齢で開始し27週齢まで毎日、150mgの鶏肉ダイジェストPO(プラセボ、n=9)又は5×108cfu/日のエンテロコッカス・フェシウム株SF68を混合した(投与、n=9)150mgの鶏肉ダイジェストで補充した子ネコの経時的な体重(a)及び糞便スコア(b)を示すグラフである。子ネコは、9及び12週齢で市販の改良生FHV−1ワクチンdで皮下にワクチン接種した。箱ひげ図は、この最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図2a】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコ由来の血清(a)及び唾液(b)における、FHV−1特異的IgA結果を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図2b】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコ由来の血清(a)及び唾液(b)における、FHV−1特異的IgA結果を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図3】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコ由来の血清おける、FHV−1特異的IgG結果を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図4】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコからの、FCV特異的IgG結果を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図5】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコからの、FPV特異的IgG結果を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図6a】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコの糞便抽出液の総IgG(a)及びIgA(b)を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図6b】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコの糞便抽出液の総IgG(a)及びIgA(b)を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図7a】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコで、フローサイトメトリーによる末梢血におけるゲート制御されたCD4(a)及びCD8(b)陽性のリンパ球のパーセントを示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。*は、投与群がプラセボ群よりも有意に高かった時点を示す。
【図7b】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコで、フローサイトメトリーによる末梢血におけるゲート制御されたCD4(a)及びCD8(b)陽性のリンパ球のパーセントを示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。*は、投与群がプラセボ群よりも有意に高かった時点を示す。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、哺乳動物の栄養及び免疫応答に及ぼすその効果に関する。特に、本発明は、動物に投与して動物における自然免疫と適応免疫の両方を改善し、ワクチンの有効性を増強するプロバイオティックス生物を利用する。
【0002】
[発明の背景]
特許、公開出願、技術的論文及び学術的論文を含む種々の刊行物が、本明細書全体にわたって引用されている。これらの引用された刊行物の各々は、本明細書中で参考としてその全体が援用される。本明細書内で完全には引用されていない刊行物の完全な引用は、本明細書の終わりに示す。
【0003】
プロバイオティックスは、適切な量で投与されるとき、宿主に健康効果をもたらす生きた微生物として定義されている(Schrezenmeir Jら(2001))。プロバイオティックスは、病原細菌による粘膜表面の集落形成に対する耐性を増加させることによるか(集落形成耐性)(Sanders ME(2003))、又は消化管関連リンパ系組織(GALT)に直接に影響を及ぼすことにより、免疫調節性物質の産生をもたらすプロバイオティックスの有益な健康効果を与え得ると理論付けられている。(Isolauri Eら(2001a)、及びMacpherson AJら(2004))。
【0004】
プロバイオティックスは、ヒト医療での種々の感染症の経過を調節するために使用されてきた。(Isolauri E(2001b))。対照的に、大部分の獣医学研究が大動物で行われる獣医学では、プロバイオティックスを糞便性病原体の排泄の変更(Kim LMら(2001))又は体重増加、飼料要求率及び死亡率減少などの産生パラメータを改善する試みに用いる研究はほとんど行われていない。1つの動物試験で、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)株SF68(NCIMB10415)を、イヌ汎白血球減少症ウイルス(CDV)でワクチン接種した子イヌの1群に与え、ワクチン接種のみを受けた対照群と比較した(Benyacoub Jら(2003))。SF68が補充された子イヌでは、対照の子イヌと比べて血清及び糞便の総IgA濃度が増加し、CDV特異的IgG及びIgAの血清濃度が増加し、そして循環血中のBリンパ球のパーセンテージが増加して、このプロバイオティックにより誘導される免疫増強効果が立証された。
【0005】
ネコ汎白血球減少症(FPV)は、ウイルス血症に引き続き重篤な胃腸疾患を引き起こすウイルスであり、適切にワクチン接種された子ネコは殺菌免疫を有する(Richards Jら(2001))。しかし、ウイルスの上気道感染症は、ネコの医療における大きな問題であり続けている(Sykes JEら(1999))。ネコの鼻腔気管炎(FHV−1)及びネコカリシウイルス(FCV)は、この症候群に関係する2つのウイルス病原体である。病原性のチャレンジ株を接種後、ワクチン非接種対照と比較した場合、FCVワクチンはワクチン接種を受けた動物で、>95%の相対的有効性を誘導するが、FHV−1ワクチンは、約60%の相対的有効性のみを誘導する。(Lappin MRら、2002))。したがって、FHV−1は、広範なワクチン接種にもかかわらず深刻な問題であり続ける。(Sykes JEら(1999))。ワクチン接種の有効性を改善する以前の試みは、より大きな副作用を導く鼻腔内投与(Scott FWら(1999))と疾患の重篤度の低下には導くがキャリア状態の有病率は低下させない病原性株の遺伝子操作とを含んでいた。(Slater Eら(1976)) キャリア状態は、宿主の再発又は再感染並びに同居する動物に対する伝染に導く場合がある。インターフェロンアルファ、頭蓋開口術、抗ウイルス剤、鼻切開術、グルココルチコイド、局所的鬱血除去剤、及び細菌の二次感染に対する抗生物質を含む慢性FHV−1感染症に対する複数の治療が試みられた(Van Pelt DRら(1994))。しかし、これらのいずれも慢性ウイルス感染症を治すことができなかった。したがって、ウイルス排泄及び臨床的な疾病の再発は一般的である。細胞媒介性の免疫応答とIgA粘膜免疫応答との両方が、α−ヘルペスウイルス感染の予防及び制御に重要であると考えられる(Lappin MRら(2002)、及びSlater Eら(1976))。改善されたFHV−1ワクチン又はワクチン接種に対する応答が、この病原体により誘導される罹患率を減らすために必要である。
【0006】
[発明の概要]
本発明の1つの態様は、動物で免疫を調節する、又はワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を特徴とする。免疫応答を調節し、ワクチンの有効性を増強することは、動物の保護に役立ち、病原体により誘導される罹患率及び死亡率を減らすのに役立つ。
【0007】
特定の実施形態では、組成物はペット若しくは動物食品組成物、栄養補助食品、又はヒトの食用に製剤化された食料製品である。種々の実施形態では、プロバイオティック生物は、少なくとも1つをエンテロコッカス属種(Enterococcus spp.)を単独で、又は他のプロバイオティック生物、たとえばストレプトコッカス属種(Streptococcus spp.)、ラクトバシラス属種(Lactobacillus spp.)、ラクトコッカス属種(Lactococcus spp.)、バチルス属種(Bacillus spp.)、ビフィドバクテリウム属種(Bifidobacterium spp.)、又はサッカロミセス属種(Saccharomyces spp.)との組合せで含んでいる。好ましい実施形態においては、プロバイオティック生物は、エンテロコッカス・フェシウムNCIMB10415(SF68)である。この組成物は、追加成分を含み得る。たとえば、7−オキソデヒドロエピアンドロステロンなどのさらに免疫を増強する1つ又は複数の化合物が含まれる。
【0008】
特定の実施形態では、この組成物は、ネコのようなコンパニオン動物用に製剤化される。他の実施形態では、組成物は非コンパニオン動物用に、特にネコ科のメンバー用に製剤化される。他の実施形態では、この組成物は、ヒトの食用に製剤化される。
【0009】
本発明の別の態様は、動物で免疫を調節するのに有効な量で上記のように1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を定期的に動物に投与することを含む、動物で免疫を調節する方法を特徴とする。特定の実施形態では、この方法はネコなどのコンパニオン動物に適用される。他の実施形態では、この方法は非コンパニオン動物、特にネコ科のメンバーに適用される。他の実施形態では、この方法はヒトに適用される。
【0010】
本発明の別の態様では、上記のように動物でワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を定期的に動物に投与することを含む、動物でワクチンの有効性を増強する方法を特徴とする。好ましい実施形態においては、このワクチンはネコ鼻腔気管炎ウイルス、ネコカリシウイルス又はネコ汎白血球減少症ウイルスに対するものである。特定の実施形態では、この方法はネコなどのコンパニオン動物に適用される。他の実施形態では、この方法は非コンパニオン動物で特にネコ科のメンバーに適用される。他の実施形態では、この方法はヒトに適用される。
【0011】
本発明の別の態様は、上記のように動物で免疫を調節する薬剤又は組成物の製造における1つ又は複数のプロバイオティック生物の使用を特徴とする。特定の実施形態では、この組成物は、機能性食品又は栄養補助食品である。この組成物は、ネコなどのコンパニオン動物に給餌することができる。他の実施形態では、この組成物は非コンパニオン動物で特にネコ科のメンバーに適用することができる。他の実施形態では、ヒトへの適用に用いることができる。
【0012】
本発明の別の態様では、上記のように、動物でワクチンの有効性を増強する薬剤又は組成物の製造における1つ又は複数のプロバイオティック生物の使用を特徴とする。特定の実施形態では、この組成物は、機能性食品又は栄養補助食品である。この組成物を、その動物でワクチンの有効性を増強するのに有効な量で定期的に動物に投与することができる。好ましい実施形態においては、ワクチンはネコ鼻腔気管炎ウイルス、ネコカリシウイルス、又はネコ汎白血球減少症ウイルスに対するものである。特定の実施形態では、この組成物はネコなどのコンパニオン動物に適用される。他の実施形態では、この組成物は非コンパニオン動物で、特にネコ科のメンバーに適用される。他の実施形態では、この組成物はヒトに適用される。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面、詳細な説明及び実施例を参照することにより明らかになるであろう。
【0014】
[例示的な実施形態の詳細な説明]
定義:
本発明の方法及び他の態様に関する種々の用語は、本明細書及び特許請求の範囲を通して用いられる。特記しない限り、このような用語は、当技術分野における用語の通常の意味を与えられるべきである。他の特に定義した用語は、本明細書で提供されるこの定義での一致した様式で解釈されるべきである。
【0015】
本明細書及び実施例で以下の略語が用いられる。FHV−1、ネコ鼻腔気管炎ウイルス;FCV、ネコカリシウイルス;FPV、ネコ汎白血球減少症ウイルス;spp.、種;ELISA、酵素結合免疫吸着検定法;DM、乾物;CFU、コロニー形成単位;kg、キログラム;BW、体重。
【0016】
「有効量」とは、特定の生物学的結果を達成するために有効な本明細書に記載されるような、化合物、物質、又は組成物の量を意味する。このような結果は、限定されるものではないが、動物で免疫を改善する、又はワクチンの有効性を増強することを含む。このような有効な活性は、たとえば、動物に本発明の組成物を投与することにより達成され得る。
【0017】
この明細書の文脈中で、用語「約」は、場合によってはプラスマイナス20%を、より好ましくは場合によってはプラスマイナス10%を、さらに好ましくは場合によってはプラスマイナス5%を、さらにより好ましくは場合によってはプラスマイナス2%を、もっとも好ましくは場合によってはプラスマイナス1%を意味すると解釈される。
【0018】
「…を含む」とは、「特に、…を含む」を意味すると解釈され、「…のみから成る」を意味することを意図していない。
【0019】
「適応免疫」又は「適応免疫応答」とは、本明細書で相互に交換可能に広義に使用され、免疫記憶の発現を含む抗原チャレンジに対する免疫応答を意味する。適応免疫応答は、限定されるものではないが、体液性及び細胞性免疫を含む。
【0020】
「体液性免疫」又は「体液性免疫応答」とは、本明細書で相互に交換可能に使用され、抗原チャレンジに応答する免疫グロブリン分子の産生を意味する。
【0021】
「細胞性免疫」又は「細胞性免疫応答」又は「細胞媒介性免疫」とは、本明細書で相互に交換可能に使用され、抗原チャレンジに応答する細胞障害性又はヘルパーTリンパ球、単核細胞、及びサイトカインの活性化を意味する。この用語は、抗体を用いて天然レシピエントへ移入することができない全ての適応免疫を包含する。
【0022】
「自然免疫」とは、特定の抗原によるその後のチャレンジにより増強されない、病原体に対する体の耐性の非特異的なメカニズムを意味する。
【0023】
「免疫を調節する」又は「免疫の調節」とは、当技術分野の適切な任意の手段により測定されるような、抗原チャレンジに対する自然免疫応答又は適応免疫応答を生じる体の能力のすべての増強又は抑制を意味する。
【0024】
「ワクチンの有効性」とは、特定の病原体に対し、動物に及ぼす所望の治療又は保護効果を生じるワクチンの能力を意味する。「増強されたワクチンの有効性」とは、当技術分野の適切な任意の手段により測定されるような、特定の病原体に対して動物に及ぼす所望の治療又は保護効果を生じるワクチンの能力のすべての改善を意味する。
【0025】
「プロバイオティック生物」とは、宿主動物に有益な効果を及ぼす、たとえば疾患に対する健康又は耐性を増加するすべての生物、特に微生物を意味する。プロバイオティック生物は、1つ又は複数の以下の非限定的な特性を示すことができる。すなわち、宿主に対する非病原性又は無毒性;生存細胞として、好ましくは多数存在し;腸環境(たとえば、低いpH、及び胃腸酸、及び分泌物に対する耐性)で生存し、代謝し、存続でき;上皮細胞、特に胃腸管の上皮細胞への付着;殺菌若しくは静菌活性又は病原細菌に対する効果;抗発癌性活性;免疫調節活性、特に免疫の増強;内在微生物叢に対する調節的活性;尿生殖路の健康状態の増強;創傷又はその周囲の殺菌活性及び創傷治癒の増強;下痢の減少;アレルギー性反応の減少;新生児壊死性全腸炎の減少;炎症性腸疾患の減少;並びに腸管透過性の減少である(Reid Gら(2003);Drisko JAら(2003);及びOyetayo VOら(2004))。
【0026】
本発明は、すべての動物、好ましくは哺乳動物に関し、1つの実施形態ではコンパニオン動物に関する。「コンパニオン動物」とは、すべての飼いならされた動物であり、限定するものではないが、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタなどが挙げられる。イヌとネコが最も好ましく、ネコが本明細書で例示される。特定の実施形態では、「動物」はヒトであり得る。別の実施形態においては、本発明はコンパニオン動物以外の動物に関する。特にこの方法は、ネコ科(Felidae)のメンバーに関し、ネコがプロバイオティック組成物の投与を受けることができる場合、本発明を適用し得るネコ科に関する(たとえば、動物園、獣医学施設、猟鳥獣保護区など)。イエネコ(Felis cattus)に加えて、ネコ科は、(1)チーター属(Acinonyx)、たとえばチーター(A.jubatus)、(2)ウンピョウ属(Neofelis)、たとえばウンピョウ(N.nebulosa)、(3)ヒョウ属(Panthera)、たとえばライオン(P.leo)、ジャガー(P.onca)、ヒョウ(P.pardus)、トラ(P.tigris);(3)ユキヒョウ属(Uncia)、たとえばユキヒョウ(U.uncia);(4)ピューマ属(Puma)、たとえばクーガー、マウンテンライオン又はピューマ(P.concolor)並びに(5)さまざまな種の野生のネコ(ネコ属(Felis))、これらには限定されないが、たとえばボルネオヤマネコ(F.badia)、カラカル(F.caracal)、ハイイロネコ(F.bieti)、ジャングルキャット(F.chaus)、サンドキャット(F.margarita)、クロアシネコ(F.nigripes)、ヤマネコ(F.sylvestris、F.lybica)、ジャガランディ(F.yagouraroundi)、オセロット(F.pardalis)、ジャガーネコ(F.tigrina)、トラネコ(F.wieldi)、サーバルキャット(F.serval)、オオヤマネコ(F.lynx)、ボブキャット(F.rufus)、パンパスキャット(F.colocolo)、ジェフリーキャット(F.geoffroyi)、アンデスネコ(F.jacobita)、パラスキャット(F.manul)、コドコド(F.guigna)、レオパードキャット(F.bengalensis、F.iriomotensis)、フラットヘッドキャット(F.planiceps)、サビイロヤマネコ(F.rubiginosus)、スナドリネコ(F.viverrina)、及びアフリカゴールデンキャット(F.aurata)などの属のメンバーを含む。本明細書中で用いられる用語「ネコ」又は「ネコ科動物」は、特に明記しない限りネコ科の全てのメンバーを意味する。
【0027】
本明細書中で用いられる用語「ペット食品」、「ペット食品組成物」、「動物食品」又は「動物食品組成物」とは、動物による、そして好ましくはコンパニオン動物による摂取が意図される組成物を意味する。「栄養的に完全にバランスのとれたペット又は動物食品」とは、動物栄養分野で認められた専門家の勧告に基づく適切な量及び割合で全ての既知の必要な栄養素を含み、したがって食事摂取の唯一の供給源として用いて補助的な栄養供給源の追加なしで生命の維持又は産生を促進することができる食品である。栄養的にバランスのとれたペット食品及び動物食品組成物は、当技術分野で広く知られ広く使用されている。
【0028】
本明細書中で用いられる「栄養補助食品」とは、動物の通常の食餌に加えて摂取されることを意図した製品である。
【0029】
本明細書中で用いられる「ヒトの食用に製剤化された食料製品」とは、ヒトによる摂取が意図されたすべての組成物である。
【0030】
わかりやすい簡潔な明細書を書く目的で、特定の実施形態を本明細書に記載したが、これらの実施形態の特徴は、本発明の範囲内でさまざまに組み合わせることができるか又は分離することができることは理解されるであろう。
【0031】
説明:
本発明者らは、子ネコにおいてエンテロコッカス・フェシウムNCIMB10415(SF68)などのプロバイオティック生物による食餌の補充は、CD4+リンパ球の数を増加させることを観察した。したがって本発明のさまざまな態様では、動物で免疫を改善し、動物でワクチンの有効性を増強するための食餌組成物及び方法を提供することによりこれらの発見を利用する。
【0032】
組成物
本発明の1つの態様は、動物で免疫を調節する、又はワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を特徴とする。1つの好ましい実施形態では、このプロバイオティック生物は、動物で自然免疫を調節する。さらに好ましい実施形態では、このプロバイオティック生物は、動物で適応免疫応答を調節する。別の好ましい実施形態では、このプロバイオティック生物は、動物でFHV−1、FCV、及びFPVに対するワクチンの有効性を増強する。
【0033】
このプロバイオティック生物は、成分又は添加物として組成物中に存在できる。このプロバイオティック生物は、原核生物、真核生物、又は古細菌であってもよい。この組成物のさまざまな実施形態では、このプロバイオティック生物は、エンテロコッカス属の任意の適切な株又は亜種の少なくとも1つを単独で、或いはストレプトコッカス属、ラクトバシラス属、ラクトコッカス属、バチルス属、ビフィドバクテリウム属、又はサッカロミセス属のような属中に含まれる他のプロバイオティック生物との組合せで含んでいる。エンテロコッカス属種は、これに限定されるものではないが、エンテロコッカス・フェシウム、特に、E.フェシウム株SF68、並びに他のエンテロコッカス属、たとえば、E.フェシウムDSM10663(M74)、E.フェシウムGHR017 DSM7134、E.フェシウムCECT4515、E.フェシウムCL15/ATCC19434、E.フェシウムNCIMB11181/DSM5464、E.フェシウムIMB52/DSM3530、E.フェシウムCNCM MA17/5U、E.フェシウム202 DSM4788/ATCC53519、E.フェシウム301 DSM4789/ATCC55593、E.フェシウムATCC19434、E.フェシウムEF−101 ATCC19434、及びE.フェシウムAK2205 BCCM/LMG S−16555を含む。ストレプトコッカス属種は、これに限定されるものではないが、ストレプトコッカス・フェシウム(Streptococcus faecium)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)及びストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarus)を含む。ラクトバシラス属種は、これに限定されるものではないが、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバシラス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・ケロビオスス(Lactobacillus cellobiosus)、ラクトバシラス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバシラス・クルヴァトス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバシラスGG(ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)又はラクトバシラス・カゼイ亜種ラムノサス(Lactobacillus casei subspecies rhamnosus))、ラクトバシラス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス・ヨーンソニィ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・サリバリウス(Lactobacillus salivarus)、ラクトバシラス・ロイテリー(Lactobacillus reuteri)、ラクトバシラス・ヨーンソニィLA1(Lactobacillus johnsonii LA1)、ラクトバシラス・アシドフィラスNCFB1748(Lactobacillus acidophilus NCFB 1748)、ラクトバシラス・カゼイ・シロタ(Lactobacillus casei Shirota)、ラクトバシラス・アシドフィラスNCFM(Lactobacillus acidophilus NCFM)、ラクトバシラス・アシドフィラスDDS−1(Lactobacillus acidophilus DDS−1)、ラクトバシラス・デルブリュッキー亜種デルブリュッキー(Lactobacillus delbrueckii subspecies delbrueckii)、ラクトバシラス・デルブリュッキー亜種ブルガリカスタイプ2038(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus type 2038)、ラクトバシラス・アシドフィラス SBT−2062(Lactobacillus acidophilus SBT−2062)、ラクトバシラス・サリバリウスUCC118(Lactobacillus salivarus UCC 118)、ラクトバシラス・パラカゼイST11(Lactobacillus paracasei ST11)、及びラクトバシラス・パラカゼイ亜種パラカゼイF19(Lactobadllns paracasei subsp paracasei F19)を含む。ラクトコッカス属種は、これに限定されるものではないが、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)及びラクトコッカス・プランタラム(Lactococcus plantarum)を含む。バチルス属種は、これに限定されるものではないが、バシラス サチリス(Bacillus subtilis)を含む。ビフィドバクテリウム属種は、これに限定されるものではないが、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)及びビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)を含む。サッカロミセス属種は、これに限定されるものではないが、サッカロミセス・ブラウディ(セルビジエ)(Saccharomyces boulardii(cerevisiae))を含む。
【0034】
1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、ペット又は動物食品組成物である。これらは必要な栄養所要量を供給することを意図した食品、及びごちそう(treat)(たとえば、ビスケット)又は他の栄養補助食品を含むのが有利である。場合によって、ペット又は動物食品組成物は、乾燥組成物(たとえば粒キブル(kibble))、やや湿った組成物、湿性組成物、又はこれらの任意の混合物であってもよい。特定の実施形態においては、組成物はイエネコを含むが、これに限定されないネコ科動物による摂取用に製剤化される。
【0035】
別の好ましい実施形態では、本発明の組成物はヒトの食用に製剤化された食料製品である。これらはヒトの必要な栄養所要量を供給することを意図した食品及び栄養素、並びに他のヒトの栄養補助食品を含むのが有利である。詳細な実施形態において、ヒトの食用に製剤化された食料製品は栄養的に完全にバランスがとれている。
【0036】
別の好ましい実施形態では、この組成物は、たとえば肉汁、飲料水、飲物、液体濃縮物、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、チュー(chew)、小片(morsel)、ごちそう、スナック、ペレット、ピル、カプセル、錠剤、又はその他の送達形態などの栄養補助食品である。この栄養補助食品は、コンパニオン動物又は非コンパニオン動物などの特定の動物、特にネコ又はヒトでの摂取用に特別に製剤化されてもよい。1つの詳細な実施形態では、この栄養補助食品は、この補助食品を動物に小量投与できるように高濃度のプロバイオティック生物を含んでいてもよく、また代替形態において、動物投与の前に希釈されてもよい。栄養補助食品は、動物に投与する前に水と混合する必要がある場合もある。
【0037】
この組成物は冷蔵又は凍結できる。このプロバイオティック生物は、必要とする利益をもたらす量を提供するために、この組成物の他の成分とブレンド済みであり得、ペット食品組成物、栄養補助食品、又はヒトの食用に製剤化された食料製品の上にコーティングされ得るか或いは、たとえば、粉末又は混合物を用いて動物にこれを提供する前にこの組成物に添加され得る。
【0038】
本発明の組成物は、この組成物は投与された動物で免疫を調節する又はワクチンの有効性を増強するのに有効な量でプロバイオティック生物を含む。ペット食品及びヒトの食用に配合された食料製品は、この組成物の1グラム当り約102から約1011の範囲のコロニー形成単位(CFU)でプロバイオティック生物を含むように製剤化することができる。栄養補助食品は、数倍高濃度のプロバイオティック生物を含むように、錠剤、カプセル、液体濃縮物の形態、又は他の類似した剤形での動物投与に馴染みやすいように、或いは、たとえば水での希釈、ペット食品上への噴霧又は吹掛け、他の類似の投与形態など、投与前に希釈されるように製剤化され得る。
【0039】
1つの実施形態では、この組成物のプロバイオティック生物の濃度は、免疫機能調節に必要とされる量の関数であり、動物の血液中のCD4+リンパ球の割合及び/又は数の増加を含んでいる。別の実施形態においては、この組成物のプロバイオティック生物の濃度は、血清、糞便、分泌物たとえば、乳汁、涙、及び唾液中の特定の病原体の抗原に対して反応する免疫グロブリンの濃度を増加させるために必要な量の関数である。CD4+リンパ球のレベル並びに動物の血清、糞便、分泌物、たとえば乳汁、涙、及び唾液中の免疫グロブリンの濃度は、当業者に認識され認められた任意の手段により測定され得る。
【0040】
本発明の組成物は、場合によっては、補助物質、たとえば、ミネラル、ビタミン、塩類、調味料、着色剤、及び保存料を含むことができる。補助のミネラルの非限定例は、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、鉄、塩化物、ホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、セレニウムなどを含む。補助のビタミンの非限定例は、ビタミンA、種々のBビタミン、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンKを含む。また追加の栄養補助食品は、たとえば、ナイアシン、パントテン酸、イヌリン、葉酸、ビオチン、アミノ酸などを含み得る。
【0041】
本発明の組成物は、場合によっては、健全な免疫系を促進するか若しくは持続する又はさらに免疫を調節する1つ又は複数の補助物質を含むことができる。このような物質は、これらに限定されるものではないが、L−アルギニン、7−オキソデヒドロエピアンドロステロン(7−オキソDHEA)などのステロイド、アルファ及びベータカロテンなどのカロテノイド、抗酸化剤、並びにハーブ又はアストラガルス及びエキナセアなどのハーブの抽出液を含む。
【0042】
種々の実施形態で、本発明の動物食品又は栄養補助食品組成物は、乾物ベースで組成物の約15重量%から約50重量%までの粗タンパク質を含むことができる。この粗タンパク質物質は、植物性タンパク質、たとえば、ダイズ、綿実、及びピーナッツ、又は動物タンパク質、たとえば、カゼイン、アルブミン、及び食肉タンパク質を含み得る。本明細書で有用な食肉タンパク質の非限定例は、ポーク、ラム、ウマ、鳥肉、魚類、及びこれらの混合物を含む。
【0043】
この組成物は、乾物ベースで組成物の約5重量%から約40重量%までの脂肪をさらに含み得る。この組成物は、炭水化物の供給源をさらに含み得る。この組成物は、乾物ベースで組成物の約15重量%から約60重量%までの炭水化物を含み得る。このような炭水化物の非限定例は、穀粒又は穀物、たとえば、米、トウモロコシ、モロコシ、アルファルファ、オオムギ、ダイズ、アブラナ、オート麦、小麦、及びこれらの混合物を含む。この組成物は、他の物質を、たとえば乾燥ホエー及び他の酪農副産物を場合によっては含み得る。
【0044】
またこの組成物は、少なくとも1つの繊維質供給源を含み得る。さまざまな可溶性又は不溶性繊維質が利用され得ることは当業者の知るところである。繊維質供給源は、甜菜パルプ、(糖ビート由来の)、アラビアゴム、タルハガム、オオバコ、米糠、イナゴマメガム、シトラスパルプ、ペクチン、短鎖オリゴ果糖に付加されたフルクトオリゴ糖、マンナンオリゴ果糖、大豆繊維質、ハウチワマメ由来の繊維質、アラビノガラクタン、ガラクトオリゴ糖、アラビノキシラン、又はこれらの混合物であってもよい。或いはこの繊維質供給源は、発酵性繊維質であってもよい。発酵性繊維質は、コンパニオン動物の免疫系に利益を提供するために以前に記載されている。また腸内でプロバイオティック微生物の増殖を増強できるプロバイオティック組成物を提供する当業者には周知の発酵性繊維質又は他の組成物も、本発明により動物の免疫系に提供される利益の増強を助成するために、この組成物に組み込まれ得る。
【0045】
詳細な実施形態では、この組成物は栄養的に完全にバランスがとれたペット又は動物食品である。この文脈において、ペット食品の製剤及び製造の当業者により認識されるように、ペット食品は、湿性の食品、乾燥食品、又は中程度の含水量の食品であり得る。「湿性の食品」は、典型的には缶又はホイルバッグで販売され、典型的には約70%から約90%の範囲の含水量を有するペット食品を表わす。「乾燥食品」は、湿性の食品に類似した組成物であるが、典型的には約5%から約15%の範囲の限定された含水量を含んでおり、したがって、たとえば、小さいビスケット様のキブル粒として与えられるペット食品を表わす。この組成物及び栄養補助食品は、成体動物用に、又は老いた動物若しくは若い動物用に、たとえば、「子イヌの食べ物」、「子ネコ食べ物」、又は「シニア」製剤用に特別に製剤化され得る。一般に、特殊化した製剤は、成長又は年齢の種々の段階での動物に適切なエネルギー及び栄養所要量を含むであろう。
【0046】
本発明の特定の態様では、完全にバランスのとれた食品と組み合わせて使用されるのが好ましい(たとえば、全米研究評議会(National Research Council)、2006、イヌ及びネコの栄養所要量、ナショナルアカデミープレス(National Academy Press)、Washington D.C.、又はアメリカ飼料検査官協会(Association of American Feed Control Officials)公式出版 1996に記載されているように)。すなわち、本発明の特定の態様に基づくプロバイオティック生物を含む組成物は、高品質の市販食品と共に使用されるのが好ましい。本明細書中で用いられる「高品質の市販食品」は、たとえば、イヌ及びネコに対する上記の全米研究評議会の勧告中で述べられるように、又はアメリカ飼料検査官協会によりガイドラインで述べられているように、80%以上の重要な栄養素の消化率を生じるように製造された食物を表す。同様の高い栄養素規格が他の動物のために使用されるであろう。
【0047】
当業者は、どのように所与の組成物に添加されるプロバイオティック生物の適切な量を決定するかを理解するであろう。考慮され得るそのような要素は、組成物のタイプ(たとえば、ペット食品組成物、栄養補助食品、又はヒトの食用に製剤化された食料製品)、種々の動物による特異的タイプの組成物の平均摂取量及び組成物が調製される製造条件を含む。組成物に添加されるプロバイオティック生物の濃度は、動物のエネルギー及び栄養所要量に基づき算出することができる。本発明の特定の態様によれば、プロバイオティック生物は、製造及び/又は組成物の加工中の任意の時点に添加してもよい。これは、限定されるものではないが、ペット食品組成物、栄養補助食品、若しくはヒトの食用に製剤化した食料製品の製剤の1部として、又はペット食品組成物、栄養補助食品、若しくはヒトの食用に製剤化した食料製品に適用されるコーティングとして含む。
【0048】
この組成物は、当技術分野の適切な任意の方法、たとえば、Waltham Book of Dog and Cat Nutrition、ATB Edney編、A.Rainbirdによる“A Balanced Diet”と題する章、57頁〜74頁、Pergamon Press Oxford中で記載される方法によって製造されてもよい。
【0049】
方法
本発明の別の態様では、動物で免疫を調節するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を動物に投与することを含む、動物で免疫を調節する方法を特徴とする。本発明のさらに別の態様では、動物でワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物を動物に投与することを含む、動物でワクチンの有効性を増強する方法を特徴とする。ある実施形態では、ワクチンは、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコ鼻腔気管炎ウイルス、又はネコカリシウイルスに対するものである。
【0050】
本発明の2つの上述した態様のいずれの詳細な実施形態においても、本明細書中で例証されるように、この組成物はペット若しくは動物食品組成物、栄養補助食品又はヒトの食用に製剤化された食品である。さらに詳細な実施形態では、プロバイオティック生物は、少なくとも1つエンテロコッカス属種を、好ましくはE.フェシウムを、最も好ましくはSF68株を単独で、或いは上記のような1つ又は複数のストレプトコッカス属種、ラクトバシラス属種、ラクトコッカス属種、バチルス属種、ビフィドバクテリウム属種、又はサッカロミセス属種を含む他のプロバイオティック生物と組み合わされて含む。動物は、上記のような任意の飼いならされた又はコンパニオン動物を含んでもよく、或いはヒトを含んでもよい。特定の実施形態では、動物はネコなどのコンパニオン動物である。別の実施形態においては、動物はヒトである。
【0051】
この組成物は、任意の種々の代替投与経路により動物に投与することができる。そのような経路は、これらに限定されるものではないが、経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、胃内、幽門横断、皮下、直腸などを含む。この組成物は、経口的に投与されるのが好ましい。本明細書中で用いられる用語「経口投与」又は「経口的に投与する」とは、本明細書に記載されている1つ又は複数の本発明の組成物を、動物が摂取するか又はヒトが食べるように指示されるか又は動物に食べさせることを意味する。
【0052】
ヒトがこの組成物を食べるように指示されるとき、そのような指示は、この組成物の使用によりリファレンス付きの有益性、たとえば動物での免疫を調節又はワクチンの有効性の増強を提供し得る及び/又は提供するであろうことを、ヒトに指導及び/又は通知する指示であり得る。そのような指示は、口頭の指示(たとえば、医師、獣医師、若しくは他の医療従事者からの口頭の指導、又はラジオ若しくはテレビ媒体(すなわち、広告)、又は文書による指示(たとえば、医師、獣医師、若しくは他の医療従事者(たとえば、処方箋)、販売専門家若しくは組織(たとえば、マーケティングブローシャ、パンフレット、若しくは他の指導的用具を介した)からの文書による指示を介した)、筆記媒体(たとえば、インターネット、電子メール、若しくは他のコンピュータ関連媒体)、及び/又は組成物を伴う包装(たとえば、組成物が入っている容器上のラベル)を介する)であり得る。
【0053】
投与は、必要性に応じて又は所望に応じて、たとえば、月1回、週1回、毎日、又は毎日複数回であってもよい。同様に投与は、1日、1週、又は1カ月おきに、2日、2週、又は2カ月おきに、3日、3週、又は3カ月おきなどであってもよい。投与は1日当り複数回であってもよい。通常の食事所要量に対する補助食品として利用されるとき、この組成物は動物に直接投与されるか、或いはそうでなければ1日の飼料又は食品と接触又は混合され得る。1日の飼料また食品として利用される場合、投与は当業者によく知られている。
【0054】
また投与は定期的に、たとえば動物における食事療法の1部として実施されてもよい。食事療法は、動物で免疫を調節するか又はワクチンの有効性を増強するのに有効な量で、1つ又は複数のプロバイオティック生物を含む組成物の動物による定期的な摂取を与えることを含んでもよい。定期的な摂取は、1日に1回、又は毎日若しくは毎週1日に2回、3回、若しくは4回以上であってもよい。同様に定期的な投与は、1日若しくは1週おきに、2日若しくは2週おきに、3日若しくは3週おきに、4日若しくは4週おきに、又は5日若しくは5週おきでもよく、そのような食事療法で、投与は1日に複数回でもよい。定期的な投与の目標は、本明細書中で例証されるように、好ましい1日量のプロバイオティック生物を動物に提供することである。
【0055】
プロバイオティック生物の1日量は、動物当り1日に投与されるコロニー形成単位(CFU)によって測定できる。プロバイオティック生物の1日量は、約105から約1012CFU/日の範囲であってもよい。より好ましくは、プロバイオティック生物の1日量は、約107から約109CFU/日である。より好ましくは、プロバイオティック生物の1日量は、約108から約109CFU/日である。最も好ましくは、プロバイオティック生物の1日量は、約108CFU/日である。
【0056】
本発明の方法によれば、食事療法の1部としての投与を含む1つ又は複数のプロバイオティック生物を含むこの組成物の投与は、動物の妊娠から一生に及ぶ期間にわたってもよい。
【0057】
さらに詳細に本発明を記載するために、以下の実施例を示す。これらは例示のためのものであって、本発明の限定を意図するものではない。
【0058】
実施例1
動物及び実験パラメータ
ネコ科の実験対象集団。20匹の生後6週のSPF子ネコを、Liberty Laboratories(Liberty、NY)から購入した。子ネコは、ELISAによりネコ白血病ウイルス抗原及びネコ免疫不全ウイルス抗体に対して血清反応陰性であることが示された。(Snap Combo、IDEXX Laboratories、Portland、ME)。
【0059】
実験設計。10日の平衡期間の後、子ネコを各々10匹の子ネコの2群に無作為に分け、投与研究を7週齢で始めた。0.25と0.28gの間(希釈計数アッセイに基づく約5×109CFU)の、LBC ME5 PET E.フェシウムSF68(NCIMB 10415)(Cerbios−Pharma SA、Switzerland)を、それぞれ50mLの円錐底部ポリプロピレン遠心チューブに添加し、キャップをかぶせて、研究期間の間4℃に保存した。同様の調製物を、チューブ当たり150mg使用して、嗜好促進剤(主な成分として肝臓ダイジェストを含む典型的なペット食品コーティングを用いた)のアリコートに使用した。アリコートを吸水に関してモニターし、プロバイオティック又は嗜好促進剤どちらかの何らかの凝集があるように見える場合には廃棄することとした。投与の直前に、嗜好促進剤の1つのアリコートを保存したE.フェシウムSF68チューブの1本(投与群)又は1本の空のチューブ(プラセボ群)へ移し、室温の水道水を用いて全容量10mLに希釈した。内容物を少なくとも3分間ボルテックスし、12ccの注射器中に吸引した。この懸濁液をボルテックスした直後に適切な子ネコに、子ネコが27週齢になるまで1mlのE.フェシウムSF68(1日当りの総1日量5×108CFU)又は嗜好促進剤単独(プラセボ子ネコ)を経口投与した。両方の群は、無制限に乾燥子ネコ食品(全てのAAFCOの所要量を満たす典型的な子ネコ成長用処方は、鶏肉ベースであり、主な成分として米を使用した)を与え、群を2つの別々の部屋に収容してプロバイオティクスによる相互汚染を避けた。アメリカネコ科開業医協会(American Association of Feline Practitioners)により推奨されるように、9及び12週齢で、ネコヘルペスウィルス−1、ネコカリシウイルス、及びネコ汎白血球減少症ウイルスに対する改良生組合せワクチン(Pfizer Animal Health、Exton、PA)で、全ての子ネコの皮下にワクチン接種した。(Richards J ら(2001))。
【0060】
統計的評価。各サンプル採取日に、全ての測定されたパラメータに関する群平均値を算出した。プロバイオティック投与群とプラセボ群間の差異を、反復測定実験に適切な混合ANOVAモデルを用いて分析した。時間は連続変数としてモデルに含まれていた。C.パーフリンジェンス(C.perfringens)のエンテロトキシン又はC.ディフィシレ(C.difficile)トキシンA若しくはBに対して陽性のネコサンプルのパーセンテージ及び細胞表面マーカーに関して陽性のゲート制御された細胞のパーセンテージを、研究期間の間ネコの各群に対して算出し、両側t検定により比較した。(GRAPHPAD Prism、GRAPHPAD Software,Inc.、San Diego、CA)。統計的有意差は、p<0.05であると考えられた。
【0061】
実施例2
サンプル収集及び臨床的モニタリング
この研究を通して子ネコの態度と行動を毎日モニターした。体重は毎週測定した。血液、唾液、及び糞便を、7週齢のプロバイオティック補充又は嗜好促進剤補充開始前に、並びに9、15、21、及び27週齢に全てのネコから採取した。さらに糞便を28週齢の投与群の子ネコから採取した。子ネコの各群について、1日当たり5つの糞便サンプルを共用猫用トイレから無作為抽出し、標準化されたグラフィックスコアカードを用いて記録して、毎日の群平均値を測定した。総IgA及び総IgG測定用の糞便抽出液をBenyacoub Jら(2003))によって記載されたプロトコルに従って処理した。全てのサンプルは、バッチでアッセイするまで−80℃に保存した。
【0062】
全ての子ネコの糞便は、補充期間の当初(7週齢)は正常であった。各群の1匹の子ネコを、この研究とは無関係な理由で研究から除去し、したがって最終のデータ分析から除去した。期間中又は個々の時点で、体重及び糞便スコアに2群間で統計学的に差異が見られなかった(図1)。
【0063】
この研究を通して全血球数、生化学パラメータ、及び体重は、ネコ群の間で類似していた。糞便スコアは群間で類似しており、同様にここで記載した用量でのSF68の使用は、顕著な臨床的な異常を誘導しないことも示唆していた。
【0064】
実施例3
糞便のアッセイ
各サンプル採取日に、各子ネコから糞便を8階段の連続10倍希釈して、KFストレプトコッカス寒天培地に播種し、好気的に37℃で48時間インキュベートした。各形態型の10コロニーを、無菌のエーゼを用いて釣菌し、1.2mLのブレーンハートインフュージョン培地(BHI)(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)に入れ、分析まで−80℃に保存した。生存可能なE.フェシウムSF68が投与したネコの糞便中に存在するかどうかを決定するために、及びこのプロバイオティックが投与した子ネコから対照の子ネコに偶発的に伝播したかどうかを評価するために、RAPD−PCRを各サンプルからの細菌分離株で実施した。サーモサイクラーパラメータは以下の通りであった。すなわち、95℃で1分の変性、40℃で1分のアニール、72℃で4分の伸長を30サイクルで行った。25.5μLの反応混合液は、2.45μL 10×マグネシウム非含有緩衝液(100mM Tris−HCl、pH 8.3、500mM KC1)、3.22mM MgCl2、0.4μL(1ユニット)JumpStart Taq DNAポリメラーゼ(Sigma D−4184、Sigma−Aldrich,Inc.、St.Louis、MO)、1.9μL dNTP混合物(2.5mM)、1μL プライマー(100μM)、15.47μL PCR水、及び1μL 細菌培養を含んでいた。用いたプライマーの配列は、5’−GGTTGGGTGAGAATTGCACG−3’であった。5〜10μLのPCR産物を2パーセントのアガロースゲルで泳動し、バンドのパターンをSF68陽性対照と比較した。市販のELISAを、クロストリジウム パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)エンテロトキシン又はたはC.ディフィシル(C.difficile)トキシンA/Bが全ての子ネコの糞便中に存在したかどうかを測定するために使用した。(C.パーフリンジェンス(ELISA、Kit No.92−000−22)及びC.ディフィシル(ELISA、Kit No.94−0150−KT)、Techlabs、Blacksburg、VA.)。サルモネラ属種及びカンピロバクター属種のルーチンの好気性糞便培養は、コロラド州立大学診断研究室(the Colorado State University Diagnostic Laboratory)で実施した。
【0065】
投与したネコ9匹のうち7匹の糞便は、研究の間の少なくとも1つの時点でSF68陽性だった。しかし、SF68 DNAは、補充をやめた1週後(28週)、いずれの投与ネコの糞便からも増幅されなかった。サルモネラ属種もカンピロバクター属種のいずれも、糞便から増殖しなかった。プラセボネコからの全サンプルは、RAPD PCRによりSF68陰性だった。この研究を通して、C.ディフィシル トキシンA/B又はC.パーフリンジェンス エンテロトキシンに関して陽性のサンプルの数(表1)は、群間で異ならなかった。
【0066】
サルモネラ属種及びカンピロバクター属種排泄は、SF68補充によって誘導されなかった。子ネコの両方の群のいくつかの糞便サンプルは、C.ディフィシル又はC.パーフリンジェンス トキシンについて陽性だったが、群間の陽性サンプル数に有意な差異はなく、陽性の結果は下痢の存在と関連していなかった。SF68は補充期間の間に大部分の投与したネコ糞便で検出されたが、補充をやめた1週後の糞便ではもはや検出されなくて、この生物は一過性の状態でのみネコにおいて存続したことを示した。したがって本明細書で記載される用量を用いるSF68の投与は、有害な影響がなく研究した期間での投与は安全である。
【0067】
実施例4
免疫学的アッセイ
完全血球数、血清生化学的パネル、及び尿分析はコロラド州立大学(Colorado State University)の臨床病理検査室(Clinical Pathology Laboratory)で実施した。抗原特異的体液性免疫応答を、血清FHV−1特異的IgG、FHV−1特異的IgA、FCV特異的IgG、及びネコ汎白血球減少症特異的IgGを10の血清で測定し、並びに既報のELISAアッセイの適応を用いて唾液でFHV−1特異的IgG及びIgAレベルを測定することにより算定した。(Lappin MRら(2002);及びDitmer DAら(1998)。FHV−1特異的IgG及びIgAに関して、結果は各サンプルについて3セットの試験ウェルに対する両方の平均吸光度により算出し、パーセンテージELISA単位の算出により算出した(テストサンプル平均吸光度マイナス陰性対照サンプル平均吸光度/陽性対照サンプル平均吸光度マイナス陰性対照サンプル平均吸光度に100を掛けた)。FCV及びFPVについては平均吸光度を使用した。血清、糞便抽出液、及び唾液中の総IgG及びIgA濃度は、市販のELISAアッセイ又は放射状免疫拡散アッセイを用いて算定した。(Bethyl Laboaratories,Inc.、Montgomery、TX)。
【0068】
細胞性免疫応答は、フローサイトメトリー及び全血増殖アッセイによって評価した。フローサイトメトリーは、赤血球溶血緩衝液(0.155M NH4Cl/0.010M KHCO3/5×10−4%フェノールレッド(0.5%)中、室温でインキュベートした500μLの抗凝固処理(EDTA)血液を使用して、血液採集の12時間以内に実施した。細胞をPBSで2回洗浄し、得られた細胞ペレットを、PBS、0.1%アジ化ナトリウム及び2%ウシ胎児血清を含むFACS緩衝液に、可能ならば1×106細胞/100μLの濃度を達成するように再懸濁した。上記の懸濁液の少なくとも500μLについて不十分な細胞を有するサンプルをカウントし、細胞濃度を記録した。免疫染色するために、各細胞懸濁液100μLを丸底96穴プレートのそれぞれのウェルに添加した。非特異的結合を、10%正常ネコ血清の添加によりブロックした。(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.、West Grove、PA)。免疫染色は、暗所、4℃でFACS緩衝液中で実施した。リンパ球は、CD4及びCD8の発現(vpg34;抗CD4−fitc、vpg9;抗CD8−rpe抗体;Serotec、Raleigh、NC(Oxford、UK))並びにCD44の発現(IM7;抗CD44−pe/cy5抗体;Pharmingen、Franklin Lakes、NJ)について染色した。B細胞の分析については、溶解した全血を、B220(ra3−b62;抗B220−ビオチニル化抗体;eBioscience、San Diego、CA)、CD21(b−ly4;抗CD21−apc抗体;BD−Biosciences、Franklin Lakes、NJ)、及びMHCクラスII(抗MHCクラスII−fitc抗体;クローンCAG5−3D1、Serotec、Raleigh、NC(Oxford、UK))に交差反応性抗体で免疫染色した。分析用の細胞を、前方及び側面分散特性に基づき生きているリンパ球集団でゲート制御した。データは、Cyan MLE cytometerpで収集し、Summitソフトウェアを用いて分析した。(Dako−Cytomation、Fort Collins、CO)。
【0069】
増殖アッセイは、マイトジェン又は抗原の添加前に5%CO2、37℃で30分間、100μLの完全腫瘍培地(complete tumor media)でインキュベートしてプレ条件付けした10μLの全ヘパリン添加血を用いて3回反復して実施した。(完全腫瘍培地:必須及び可欠アミノ酸+10%FBSを補充した改変Eagle培地)。細胞を培地単独で維持する(刺激していない)か又は、コンカナバリンA(10μg/mL:Con ASigma−Aldrich、St.Louis、MO)、若しくはFHV−1抗原調製物(1μL/ウェル、研究開始前に調製し、等分して−80℃で保存した)で、5%CO2、37℃で96時間刺激した。(Veir JKら(2005))。細胞は、ウェル当り1μCiのトリチウムチミジンでパルス標識し、18時間後にガラス繊維フィルターマット上に採取した。(Wallac−Microbeta Perkin −Elmer、Boston、MA)。マットをMicroBetas液体シンチレーションカウンターを用いて読み取った。平均刺激指数(非刺激サンプル当りの平均最大カウントで割った刺激したサンプル当りの平均最大カウント)を、全てのサンプルに対して算出した。
【0070】
完全血球数及び生化学的プロフィールは、全ての時点で全てのネコの年齢群について正常範囲内であった。分析したこのアッセイ間で期間中又は個々の時点で、この群間で統計的な差異はなかった。21及び27週齢で、血清及び唾液中のFHV−1特異的IgAの平均レベルは、プラセボ群と比べた場合投与群で数値的により大きかったが、この差異は統計学的差異ではなかった(図2)。15、21及び27週齢で、平均FHV−1特異的血清IgGレベルは、両方のアッセイを用いるプラセボ群と比べた場合、投与群で数値的により大きかったが、この差異は統計学的に有意な差異ではなかった(図3)。FHV−1特異的IgGは、唾液中に検出されなかった。血清中のFCV特異的IgGレベルは、群間で同程度だった(図4)。15週齢で、投与群血清平均FPV特異的IgGレベルは、プラセボ群のレベルより数値的により大きかったが、この差異は統計学的に有意な差異ではなかった(図5)。
【0071】
血清中の総IgG及びIgA濃度は、群間で同程度だった(データは示さず)。総IgGは唾液で検出されなく、唾液中の総IgA濃度は群間で同程度だった(データは示さず)。27週齢で、糞便抽出液中の投与群平均総IgG濃度は、プラセボ群の濃度より数値的に大きかったが、この差異は統計学的差異ではなかった(図6)。糞便抽出液中の総IgA濃度は、群間で同程度だった(図6)。
【0072】
刺激剤として10μg/mLのコンカナバリンA又は1/μLのFHV−1抗原調製物のどちらかを用いる増殖アッセイでは、どの時点でも群間で有意に異なる平均最大カウントを生じなかった。最初の4つの時点で、任意の細胞表面マーカーについて群間で統計的な差異はなかった(図7)。27週齢でこの投与群(平均13.87%)は、プラセボ群よりもゲート制御されたCD4陽性リンパ球の有意に高パーセンテージを有していた(平均10.61%、p=0.0220)。他の比較で有意な群間差はなかった。
【0073】
27週齢でCD8+カウントの付随した増加を伴わないプラセボ群と比較した投与群でのCD4+カウントの増加は、プロバイオティックによる全身性免疫の調節効果を示している。いくつかの回収時の、数値的により大きな体液性免疫応答パラメータの検出は、Th1応答刺激が生じたことを示唆している。この仮説は、子イヌにおけるSF68補充研究の知見により裏付けられている。(Benyacoub Jら(2003))。
【0074】
ワクチン接種後、各々の子ネコは、他の研究と同様なFHV−1、FCV、及びFPV特異的血清抗体応答を発現し、これらの子ネコは免疫応答性であり、使用した改良生ワクチンは実用的であることを示していた。(Lappin MRら(2002))。この結果のいくつかは、プロバイオティックの給餌は、これらの子ネコの体液性及び細胞性免疫応答に影響を与えたことを示している。これらはプラセボ群に比較した場合、27週齢で統計学的に有意により大きいCD4+リンパ球カウントの検出と、21及び27週齢で血清及び唾液中のFHV−1特異的IgA、15、21及び27週齢で血清中のFHV−1特異的IgGレベル、15週齢で血清中のFPV特異的IgGレベル、並びに27週齢で糞便抽出液中の総IgG濃度に関する数値的により大きな平均値の検出とを含んでいる。
【0075】
参考文献
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【0076】
本発明は上記に記載し例示した実施形態に限定されるものではなく、添付されている特許請求の範囲内で変更及び修正可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1a】7週齢で開始し27週齢まで毎日、150mgの鶏肉ダイジェストPO(プラセボ、n=9)又は5×108cfu/日のエンテロコッカス・フェシウム株SF68を混合した(投与、n=9)150mgの鶏肉ダイジェストで補充した子ネコの経時的な体重(a)及び糞便スコア(b)を示すグラフである。子ネコは、9及び12週齢で市販の改良生FHV−1ワクチンdで皮下にワクチン接種した。箱ひげ図は、この最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図1b】7週齢で開始し27週齢まで毎日、150mgの鶏肉ダイジェストPO(プラセボ、n=9)又は5×108cfu/日のエンテロコッカス・フェシウム株SF68を混合した(投与、n=9)150mgの鶏肉ダイジェストで補充した子ネコの経時的な体重(a)及び糞便スコア(b)を示すグラフである。子ネコは、9及び12週齢で市販の改良生FHV−1ワクチンdで皮下にワクチン接種した。箱ひげ図は、この最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図2a】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコ由来の血清(a)及び唾液(b)における、FHV−1特異的IgA結果を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図2b】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコ由来の血清(a)及び唾液(b)における、FHV−1特異的IgA結果を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図3】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコ由来の血清おける、FHV−1特異的IgG結果を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図4】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコからの、FCV特異的IgG結果を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図5】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコからの、FPV特異的IgG結果を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図6a】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコの糞便抽出液の総IgG(a)及びIgA(b)を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図6b】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコの糞便抽出液の総IgG(a)及びIgA(b)を示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。全ての時点で、p>0.05。
【図7a】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコで、フローサイトメトリーによる末梢血におけるゲート制御されたCD4(a)及びCD8(b)陽性のリンパ球のパーセントを示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。*は、投与群がプラセボ群よりも有意に高かった時点を示す。
【図7b】SF68補充(投与)あり又はSF68補充なし(プラセボ)の子ネコで、フローサイトメトリーによる末梢血におけるゲート制御されたCD4(a)及びCD8(b)陽性のリンパ球のパーセントを示すグラフである。箱ひげ図は、最小、最大、中央並びに25及び75パーセンタイルを示す。*は、投与群がプラセボ群よりも有意に高かった時点を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネコ科動物で免疫を調節する、又はワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティックエンテロコッカス属(Enterococcus)細菌を含む組成物。
【請求項2】
食品組成物又は栄養補助食品である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、E.フェシウム(E.faecium)株SF68である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、製剤の1グラム当り少なくとも約102から約1011コロニー形成単位(CFU)の量で存在する請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
7−オキソ−DHEAをさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
プロバイオティック生物の少なくとも1つの他の種類をさらに含む請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記ネコ科動物がイエネコである請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記ワクチンが、FVH−1ワクチン、FCVワクチン、又はFPVワクチンである請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
改善される免疫が、FVH、FCV又はFPVに対する免疫を含む請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
ネコ科動物で免疫を調節する方法であって、前記動物で免疫を調節するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティックエンテロコッカス属細菌を含む組成物を前記動物に定期的に投与することを含む方法。
【請求項11】
前記組成物が、動物食品組成物又は栄養補助食品である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、E.フェシウム株SF68である請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、製剤の1グラム当り少なくとも約102から約1011CFUの量で存在する請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ネコ科動物がイエネコである請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記改善される免疫が、FVH、FCV又はFPVに対する免疫を含む請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
動物でワクチンの有効性を増強する方法であって、前記動物でワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティックエンテロコッカス属細菌を含む組成物を前記動物に定期的に投与することを含む方法。
【請求項17】
前記組成物が、動物食品組成物又は栄養補助食品である請求16に記載の方法。
【請求項18】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、E.フェシウム株SF68である請求16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、製剤の1グラム当り少なくとも約102から約1011CFUの量で存在する請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ネコ科動物がイエネコである請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ワクチンが、FVH−1ワクチン、FCVワクチン、又はFPVワクチンである請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記動物でのワクチンの有効性の増強が、前記動物でCD4+リンパ球の産生増加をもたらす請求項16〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記動物でのワクチンの有効性の増強が、前記動物の血清、糞便、乳汁、涙、唾液、気道上皮、又は胃腸上皮中で、特定の病原体の抗原に対して反応する免疫グロブリン濃度の増加をもたらす請求項16〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
動物で免疫を調節する薬剤又は組成物の製造における1つ又は複数のプロバイオティックエンテロコッカス属細菌の使用。
【請求項25】
前記動物がネコである請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記組成物が、動物食品組成物又は栄養補助食品である請求項24又は25に記載の使用。
【請求項27】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、E.フェシウム株SF68である請求項24〜26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、製剤の1グラム当り少なくとも約102から約1011CFUの量で存在する請求項24〜27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記動物がイエネコである請求項24〜28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
FVH、FCV又はFPVに対する免疫が改善される請求項24〜29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
動物でワクチンの有効性を増強する薬剤又は組成物の製造における1つ又は複数のプロバイオティックエンテロコッカス属細菌の使用。
【請求項32】
前記組成物が、動物食品組成物又は栄養補助食品である請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、E.フェシウム株SF68である請求項31又は32に記載の使用。
【請求項34】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、製剤の1グラム当り少なくとも約102から約1011CFUの量で存在する請求項31〜33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
前記動物がネコである請求項31〜34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記動物がイエネコである請求項31〜35のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
前記ワクチンが、FVH−1ワクチン、FCVワクチン、又はFPVワクチンである請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
前記動物でのワクチンの有効性の増強が、前記動物でCD4+リンパ球の産生増加をもたらす請求項31〜37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
前記動物でのワクチンの有効性の増強が、前記動物の血清、糞便、乳汁、涙、唾液、気道上皮、又は胃腸上皮中で、特定の病原体の抗原に対して反応する免疫グロブリン濃度の増加をもたらす請求項31〜38のいずれか一項に記載の使用。
【請求項1】
ネコ科動物で免疫を調節する、又はワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティックエンテロコッカス属(Enterococcus)細菌を含む組成物。
【請求項2】
食品組成物又は栄養補助食品である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、E.フェシウム(E.faecium)株SF68である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、製剤の1グラム当り少なくとも約102から約1011コロニー形成単位(CFU)の量で存在する請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
7−オキソ−DHEAをさらに含む請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
プロバイオティック生物の少なくとも1つの他の種類をさらに含む請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記ネコ科動物がイエネコである請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記ワクチンが、FVH−1ワクチン、FCVワクチン、又はFPVワクチンである請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
改善される免疫が、FVH、FCV又はFPVに対する免疫を含む請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
ネコ科動物で免疫を調節する方法であって、前記動物で免疫を調節するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティックエンテロコッカス属細菌を含む組成物を前記動物に定期的に投与することを含む方法。
【請求項11】
前記組成物が、動物食品組成物又は栄養補助食品である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、E.フェシウム株SF68である請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、製剤の1グラム当り少なくとも約102から約1011CFUの量で存在する請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ネコ科動物がイエネコである請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記改善される免疫が、FVH、FCV又はFPVに対する免疫を含む請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
動物でワクチンの有効性を増強する方法であって、前記動物でワクチンの有効性を増強するのに有効な量で1つ又は複数のプロバイオティックエンテロコッカス属細菌を含む組成物を前記動物に定期的に投与することを含む方法。
【請求項17】
前記組成物が、動物食品組成物又は栄養補助食品である請求16に記載の方法。
【請求項18】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、E.フェシウム株SF68である請求16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、製剤の1グラム当り少なくとも約102から約1011CFUの量で存在する請求項16〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ネコ科動物がイエネコである請求項16〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ワクチンが、FVH−1ワクチン、FCVワクチン、又はFPVワクチンである請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記動物でのワクチンの有効性の増強が、前記動物でCD4+リンパ球の産生増加をもたらす請求項16〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記動物でのワクチンの有効性の増強が、前記動物の血清、糞便、乳汁、涙、唾液、気道上皮、又は胃腸上皮中で、特定の病原体の抗原に対して反応する免疫グロブリン濃度の増加をもたらす請求項16〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
動物で免疫を調節する薬剤又は組成物の製造における1つ又は複数のプロバイオティックエンテロコッカス属細菌の使用。
【請求項25】
前記動物がネコである請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記組成物が、動物食品組成物又は栄養補助食品である請求項24又は25に記載の使用。
【請求項27】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、E.フェシウム株SF68である請求項24〜26のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、製剤の1グラム当り少なくとも約102から約1011CFUの量で存在する請求項24〜27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記動物がイエネコである請求項24〜28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
FVH、FCV又はFPVに対する免疫が改善される請求項24〜29のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
動物でワクチンの有効性を増強する薬剤又は組成物の製造における1つ又は複数のプロバイオティックエンテロコッカス属細菌の使用。
【請求項32】
前記組成物が、動物食品組成物又は栄養補助食品である請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、E.フェシウム株SF68である請求項31又は32に記載の使用。
【請求項34】
前記プロバイオティックエンテロコッカス属が、製剤の1グラム当り少なくとも約102から約1011CFUの量で存在する請求項31〜33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
前記動物がネコである請求項31〜34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記動物がイエネコである請求項31〜35のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
前記ワクチンが、FVH−1ワクチン、FCVワクチン、又はFPVワクチンである請求項31〜36のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
前記動物でのワクチンの有効性の増強が、前記動物でCD4+リンパ球の産生増加をもたらす請求項31〜37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
前記動物でのワクチンの有効性の増強が、前記動物の血清、糞便、乳汁、涙、唾液、気道上皮、又は胃腸上皮中で、特定の病原体の抗原に対して反応する免疫グロブリン濃度の増加をもたらす請求項31〜38のいずれか一項に記載の使用。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【公表番号】特表2009−510153(P2009−510153A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533945(P2008−533945)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009695
【国際公開番号】WO2007/039313
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009695
【国際公開番号】WO2007/039313
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】
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