説明

免疫エフェクターのアミノアルキルグルコサミニドホスフェートおよびジサッカライドの製造方法、ならびにその中間体

【課題】種々の新規の中間体および中間工程を含む、ワクチン及び同様のものに向けた免疫エフェクター、アジュバンドとなるアルキルアミノグルコサミニドホスフェート化合物およびジサッカライド化合物の製造方法の提供。
【解決手段】O-シリルグリコシドをα,α-ジハロメチルアルキルエーテルと、シリルグリコシドに関して、塩化亜鉛、臭化亜鉛および三フッ化ホウ素からなる群より選択される要素のおよそ化学量論的量またはそれを超える量の存在下で反応させる段階を含む、グリコシルハライドの製造方法。さらに、ジサッカライドを形成させるため、銀塩の存在下でグリコシルハライドをモノサッカライドとカップリングさせる段階をさらに含む、ジサッカライドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2002年7月8日付けで出願した米国特許仮出願第60/394,487号の優先権を主張するものである。前記の仮出願は2002年4月30日付けで出願した米国特許出願第10/137,730号に関連し、その出願は2002年1月8日付けで出願した米国特許出願第10/043,089号の一部継続出願であり、その出願は2001年7月12日付けで出願した米国特許出願第09/905,106号の一部継続出願であり、その出願は1999年11月12日付けで出願した米国特許出願第09/439,839号、現在、米国特許第6,303,347号の一部継続出願であり、その出願は1997年5月8日付けで出願した米国特許出願第08/853,826号、現在、米国特許第6,113,918号の一部継続出願である。本出願は同様に、1998年5月7日付けで出願した米国特許出願第09/074,720号、現在、米国特許第6,355,257号にも関連し、その出願も同様に米国特許出願第853,826号の一部継続出願である。本出願は同様に、2003年1月6日付けで出願した米国特許仮出願第60/438,585号の優先権を主張するものである。前記の特許および特許出願の全ては、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)のおよびジサッカライド化合物の製造方法に関する。そのような化合物は、ワクチンおよび同様のものに向けた免疫エフェクター、アジュバントになることが見出されており、さらに、固有の治療的および/または予防的特性を持ち得る。さらに、本発明は、AGP化合物、ジサッカライド、および構造的に関連した分子の合成において中間体として役立ち得る、グリコシルハライドの製造方法に関する。
【0003】
アミノアルキルグルコサミニドホスフェートは、多くの特許、公開特許公報、および学術論文に記述されている。そのような化合物は一般に、環式または非環式とできる「アグリコン」(窒素含有部)とともに、分子構造中に5つまたは6つのアシル基を有する。非環式のアグリコン基を有するAGPは、例えば、米国特許第6,113,918号(特許文献1); 米国特許第6,303,347号(特許文献2)および米国特許第6,355,257号(特許文献3)に開示されている。環式のアグリコン基を有するAGPは、例えば、国際公開公報第02/012258号(特許文献4)に開示されている。
【0004】
上記の文献には、2つの別法によるAGP化合物の製造について記述されている。一方の方法では、ホスホネート側鎖を含む、保護された3-O-アシルオキシアシル化グリコシルハライドが、特許文献に記述されるタイプのアミノアルカノールまたはアミノアルカンチオールとカップリングされる。次いで、記述されるように、反応生成物が選択的にアシル化されて、さらにアシル基が付与され、そして保護基が除去される。もう一方の方法では、ホスホネート側鎖と脂肪酸基の両方がカップリング反応後に組み込まれる。AGP化合物の製造方法のさらなる情報は、Johnsonら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 9: 2273 (1999)(非特許文献1)に含まれている。
【0005】
本明細書に記述される方法により製造できるジサッカライドには、周知の免疫賦活剤モノホスホリル脂質A (例えば、MPL(登録商標)免疫賦活剤(Corixa社)に含まれる)の成分が含まれる。製造できるその他のジサッカライドは、例えば、PCT出願国際公開公報第01/90129号(特許文献5)ならびに米国特許第6,013,640号(特許文献6); 米国特許第4,987,237号(特許文献7); 米国特許第4,912,094号(特許文献8); 米国特許第4,436,727号(特許文献9); および米国特許第4,436,728号(特許文献10)に開示されている。米国特許第6,103,640号(特許文献11)の場合、ジサッカライドは、保護されたおよび/または3-O-アシルオキシアシル化グリコシルドナー単位とのN-アシルオキシアシル化またはN保護グリコシルアクセプター単位のカップリングにより調製されていた。保護基は、さまざまなベンジル(Bn)および2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル(Troc)基であった。グリコシルアクセプターおよびドナー単位は、それぞれ、周知の出発物質のベンジル-および2-(トリメチルシリル)エチル-2-アミノ-2-デオキシ-4,6-O-イソプロピリデン-β-D-グルコピラノシドから始めて、一連の置換基保護および脱保護段階により別々に構築されていた。
【0006】
グリコシルハライドは、分子中にグリコシド部分を導入するための多くの方法で、通常、サッカライド化学の分野でマルチ段階合成の一部として利用される。これらは、通常、求核試薬、とりわけ酸素、硫黄、および窒素求核試薬との反応により、 さまざまな基を取り込むのに有用な中間体である。グリコシルハライドを出発物質として用いた、AGPおよびジサッカライド化合物の製造方法を提供することが有利であると思われる。
【0007】
グリコシルハライドのさまざまな製造方法が報告されている。一般に、これらの方法には、既存のグリコシド(これらには、アミノまたはヒドロキシルのような反応部分に典型的な保護基が含まれ得る)のハロゲン化が含まれる。
【0008】
例えば、米国特許第6,299,897号(特許文献12)の場合、問題のグリコシドのエチルエステル(この場合には、N-アセチルノイラミン酸)をアセチルクロライドと反応させて、対応するグリコシルクロライドが製造されている。米国特許第5,843,463号(特許文献13)の場合、グリコシルクロライドは、問題のグリコシド(3-O-アリール-5-O-ベンジル-1,2-O-メトキシベンジリデン-α-D-リボフラノース)をトリメチルシリルクロライドと反応させることにより製造されている。反応は、2つの反応物質を混合することによりまたはグリコシドをトリメチルシリルクロライドに溶解させることにより行われる。
【0009】
米国特許第4,613,590号(特許文献14)には、チタンテトラクロライドを使ったグリコシドの処理によるグリコシルクロライドの調製方法が開示されている。Sugiyamaら、Org. Lett. 2:2713 (2000)(非特許文献2)の場合、グリコシルクロライドは、クロロスルホニウムクロライドとのチオグリコシドの反応により調製されていた。
【0010】
Kovac, Carbohydr. Res. 245: 219 (2993)(非特許文献3)によれば、ジクロロメチルメチルエーテルおよび塩化亜鉛とのグリコシドの反応により、グリコシルクロライドが調製されていた。Takeoら、Carbohydr. Res. 245: 81 (1993)(非特許文献4)によれば、塩素との反応によりグリコシルクロライドが製造されていた。Magnussonら、J. Org. Chem. 55: 3181 (1990)(非特許文献5)によれば、触媒量の塩化亜鉛の存在下、1,1-ジクロロメチルメチルエーテルとの2-(トリメチルシリル)エチルグリコシドの反応により、グリコシルクロライドが製造されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,113,918号
【特許文献2】米国特許第6,303,347号
【特許文献3】米国特許第6,355,257号
【特許文献4】国際公開公報第02/012258号
【特許文献5】PCT出願国際公開公報第01/90129号
【特許文献6】米国特許第6,013,640号
【特許文献7】米国特許第4,987,237号
【特許文献8】米国特許第4,912,094号
【特許文献9】米国特許第4,436,727号
【特許文献10】米国特許第4,436,728号
【特許文献11】米国特許第6,103,640号
【特許文献12】米国特許第6,299,897号
【特許文献13】米国特許第5,843,463号
【特許文献14】米国特許第4,613,590号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Johnsonら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 9: 2273 (1999)
【非特許文献2】Sugiyamaら、Org. Lett. 2:2713 (2000)
【非特許文献3】Kovac, Carbohydr. Res. 245: 219 (2993)
【非特許文献4】Takeoら、Carbohydr. Res. 245: 81 (1993)
【非特許文献5】Magnussonら、J. Org. Chem. 55: 3181 (1990)
【発明の概要】
【0013】
本発明は、アミノアルキルグルコサミニドホスフェートのおよびジサッカライドの製造に関連する一群の新規の方法、ならびに中間の工程および化合物に関する。
【0014】
一つの局面において、本発明には、アミノアルキルグルコサミニド(AGP)化合物の製造方法が含まれる。
【0015】
第二の局面において、本発明は、シリルグリコシドをジハロメチルアルキルエーテルと、塩化亜鉛、臭化亜鉛、三フッ化ホウ素、または類似のルイス酸の存在下で反応させる段階を含む、グリコシルハライドの製造方法に関する。この段階には同様に、シリルグリコシルを最初に反応させてグリコシルハライド(これを次いで、水の存在下で銀塩と反応させてヘミアセタールを生成させる)を生成させることによる、シリルグリコシルからのアノマーシリル保護基の2段階の除去方法の第1段階が含まれる。
【0016】
他の局面として、本発明には、上記のグリコシルハライドを最初に生成させ、続けて銀塩の存在下でグリコシルハライドをモノサッカライドと反応させて、ジサッカライドを形成させる段階を含む、方法が含まれる。
【0017】
本発明の他の局面には、モノサッカライドをシリルグリコシドと反応させる段階を含む、ジサッカライドの製造方法が含まれる。
【0018】
本発明の他の局面には、ジサッカライドのシリル化のための方法および選択的にそのジサッカライドにホスホノ側鎖を続けて付加するための方法が含まれる。
【0019】
本発明の他の局面には、ジサッカライドからのトリアシル化ジサッカライドの製造方法が含まれる。
【0020】
本発明の他の局面は、ジサッカライドからのアセチル保護基の除去方法である。
【0021】
本発明の他の局面には、(a) ジサッカライドの6'-ヒドロキシル置換基を選択的に保護する段階; および(b) そのジサッカライドの5'位にホスホノ側鎖を付加する段階による、リン酸化ジサッカライドの製造方法が含まれる。
【0022】
本発明の他の局面には、シリルベースの保護基を複数有するジサッカライドからシリルベースの保護基を全て同時に除去するための方法が含まれる。
【0023】
本発明の他の局面は、その他の新規の方法および新規の中間体を含み、ならびに/または引き続く説明から明らかになるものと思われる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
定義: 本明細書では:
グリコシド」とは、ヒドロキシ基、選択的に置換アルコキシ基、または三置換シリルオキシ基である置換基を1位に(すなわち、環中の酸素原子に隣接する炭素原子の1つに)持つテトラヒドロピラン環を指す。グリコシドは同様に、その他の位置に置換基、典型的には保護または未保護ヒドロキシ基またはアミノ基を含むことができる。
【0025】
シリルグリコシド」とは、1位に結合した基がトリメチルシリルオキシ基、tert-ブチルジメチルシリルオキシ基、またはtert-ブチルジフェニルシリルオキシ基のような三置換シリルオキシ基である、グリコシドを指す。この基のシリル部分は、式RaRbRcSiを有し、Ra、Rb、およびRcは独立して、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、および選択的に置換されたフェニルからなる群より選択される。好ましくは、Ra、Rb、およびRc基のうちの一つがメチルよりも大きく; t-ブチル、フェニル、およびイソプロピルのような比較的かさ高い基が好ましい。アリールジアルキルシリル基、ジアリールアルキルシリル基、およびトリアリールシリル基がシリル部分のなかに含まれる。典型例には、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、t-ブチルジメチルシリル(t-butyldimethysilyl)(TBS)基、およびt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基が含まれる。シリルグリコシドのシリル部分は、TBS基またはTBDPS基であることが最も好ましい。
【0026】
シリルグリコシドは一般に、下記式(II)により表すことができる:

式中、R20は三置換シリル基、好ましくは、TBS基またはTBDPS基であり、ならびにW、X、Y、およびZは、独立してH、選択的に保護されたヒドロキシ基、選択的に保護されたアミノ基、または選択的に置換されたアルキル基を表す。典型的には、Zは、選択的に保護されたヒドロキシメチル基を表す。
【0027】
ジハロメチルアルキルエーテル」とは、単一の炭素原子上にアルコキシ基と二つのハロゲン原子を持つ化合物を指す。典型例には、ジクロロメチルメチルエーテル(CHCl2OCH3)、ジクロロメチルエチルエーテル(CHCl2OC2H5)、ジブロモメチルメチルエーテル(CHBr2OCH3)、1,1-ジクロロエチルエチルエーテル(CH3CCl2OC2H5)、および同様のものが含まれる。本発明の方法の場合、ジクロロメチルメチルエーテルが好ましい。
【0028】
グリコシルハライド」とは、2-ハロテトラヒドロピラン化合物、例えば、2-クロロテトラヒドロピランまたは2-ブロモテトラヒドロピランを指す。好ましいハロゲンは、フッ化物、塩化物、および臭化物であって、塩化物が最も好ましい。さらに、本発明の方法で使用されるグリコシルハライドは、上記の式(II)の置換基に類似した他の置換基を有する。
【0029】
グリコシルハライドは一般に、下記式(III)により表される:

式中、W、X、YおよびZは、式(II)に対して上記に定義されるとおりであり、ならびにAは、Cl、Br、またはFである。
【0030】
脂肪族(の)」とは、直鎖もしくは分枝鎖、または非芳香族の環式の、炭化水素ラジカル、またはその組み合わせを意味し、これは完全に飽和していても、または単不飽和もしくは多不飽和であってもよく、そして指定の炭素原子数(すなわち、C1〜C10は、1〜10個の炭素原子を意味する)を有する、二価および多価ラジカルを含むことができる。飽和非環式脂肪族基(「アルキル」基とも呼ばれる)の例には、以下に限定されることはないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどの同族体および異性体のような基が含まれる。不飽和脂肪族基は、一つまたは複数の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和非環式脂肪族基の例には、以下に限定されることはないが、ビニル、2-プロペニル、イソプロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-および3-プロピニル、3-ブチニル、ならびにさらに高級の同族体および異性体が含まれる。環式脂肪族基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、および同様のものが含まれる。
【0031】
二価脂肪族基には、上記のものに類似の飽和および不飽和基、例えば、メチレン、-CH2-; エチレン、-CH2CH2-; n-ブチレン、-CH2CH2CH2CH2-; および-CH=CH-、-CH=CH-CH2CH2-などのような不飽和基が含まれる。
【0032】
「オキシ脂肪族(の)」、「アミノ脂肪族(の)」および「チオ脂肪族(の)」という用語は、その従来の意味で使用され、そしてそれぞれ、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残りの部分に結合される脂肪族基を指す。「アルコキシ」、「チオアルコキシ」および「アミノアルキル」とは、飽和非環式脂肪族部分を含むそのような基を指す。
【0033】
「ヘテロ脂肪族(の)」という用語は、それ自体または他の用語との組み合わせで、特に指定のない限り、脂肪族基に類似の基、すなわち、飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分枝鎖、もしくは環式の、ラジカル、またはその組み合わせであって、一定の炭素数からなりならびにO、N、SiおよびSからなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子をさらに含み、その際に、窒素および硫黄原子は選択的に酸化されていてもよくならびに窒素ヘテロ原子は選択的に第四級化されていてもよい基を意味する。ヘテロ原子/ヘテロ原子(複数)のO、NおよびSならびにSiは、ヘテロ脂肪族基の内部位置にまたはその基が分子の残りの部分に結合される位置に配置することができる。例には、以下に限定されることはないが、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、および-CH2-CH=N-OCH3が含まれる。
【0034】
脂肪族基は、置換されてもまたは置換されなくてもよい。置換基には、0から(2m'+1) (m'はこのようなラジカル中の炭素原子の総数である)に及ぶ範囲の数の-OR'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、- OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NR''C(O)2R'、-NR-C(NRR'R'')=NR'''、-NR'C(NR'R'')=NR'''、-NR-C(NR'R'')=NR'''、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R''、-NRSO2R'、-CNおよび-NO2から選択される種々の基が含まれる。R'、R''およびR'''は、それぞれ独立して水素、選択的に置換されたアルキル、選択的に1〜3個のハロゲンで置換されたアリール、選択的に置換されたアルコキシ、選択的に置換されたチオアルコキシまたは選択的に置換されたアリール-(C1〜C4)アルキル基とすることができる。本発明の化合物に二つ以上のR基が含まれる場合、例えば、それぞれのR基は、R'、R''およびR'''基の二つ以上が存在する場合の各R'、R''およびR'''基と同様に独立して選択される。R'、R''が同じ窒素原子に結合する場合、これらは窒素原子と組み合わされて、5員環、6員環、または7員環を形成することができる。例えば、-NR'R''は、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことを意味する。
【0035】
芳香族(の)」または「アリール」とは、このクラスの典型的な置換されたまたは置換されていない非脂肪族ヒドロカルビル基、すなわち、多不飽和の、典型的には芳香族の、炭化水素置換基を指し、これは単環またはともに融合されるか共有結合される複素環(三環まで)、例えば、フェニル、ナフチル、および同様のものとすることができる。
【0036】
アリールアルキル」とは、一つまたは複数のアリール基; 例えば、ベンジル、フェネチル、トリフェニルメチル、および同様のものが内在するアルキル基を指す。
【0037】
アシル」とは、ヒドロキシ基を除去することによって有機酸から誘導される基を指す。アシル化合物は一般に、天然の脂肪族、芳香族または複素環式化合物とすることができる。「脂肪族アシル」とは、飽和または不飽和脂肪酸から誘導されるそのような基を指し、そしてアセチル、プロピニル、ブチリル、ヘキサノイル、デカノイル、ドデカノイル、テトラデカノイルなどのような基を含む。その炭素原子含量によりアシル基を定義する場合、その言及は、基全体の炭素原子含量に対するものである。従って、アセチルはC2アシル基である; プロピオニルはC3アシル基である、テトラデカノイルはC14アシル基である、など。
【0038】
アルカノイルオキシカルボニル」とは、飽和もしくは不飽和脂肪族基、またはベンジルのようなアリールアルキル基が酸素原子を介してカルボニル基に結合された基、すなわち、一般式Alk.-OC(O)- (式中、Alk.は、上記に定義される脂肪族基またはアリールアルキル基を表す)を有する基を指す。
【0039】
アルカノイルオキシアシル」とは、指定位置で脂肪族基に置換された飽和または不飽和アシル基、すなわち、Al.C(O)O- (式中、Al.は、非環式の飽和または不飽和脂肪族基を表す)を指す。アルカノイルオキシ基全体で、炭素原子2〜24個を有することが好ましく、炭素原子6〜14個を有することが最も好ましい。アルカノイルオキシアシル基のアシル部分には、炭素原子6〜14個が含まれる。このタイプの典型的な基は、3-(n-アルカノイルオキシ)アシル基であり、この場合、アシル基はテトラデカノイルであり、そしてアルカノイルオキシ基には炭素原子2〜20個、好ましくは6〜14個が含まれる。同様に、「アルカノイル」とは、基Al.C(O)- (式中、Al.は上記に定義されるとおりである)を指す。
【0040】
「保護基」とは、基の反応性を遮断する、抑制する、または低下させるため、ヒドロキシ基、アミノ基またはチオール基のような反応基の水素を一つまたは二つとも置換するのに使用される多数の基のうちのいずれかを指す。保護基の例(およびこれらに対して一般に利用される略語の一覧表)は、T. W. GreeneおよびP. G. Futs, 「Protective Groups in Organic Chemistry」(Wiley), BeaucageおよびIyer, Tetrahedron 48:2223 (1992)ならびにHarrisonら、Compendium of Synthetic Organic Methods, vols. 1〜8 (Wiley)に見出すことができる。
【0041】
代表的なアミノ保護基には、窒素原子とカルバメートまたはアミドを形成するもの、ならびにGreeneおよびFutsのテキストのなかで「特殊-NH保護基」とまとめて呼ばれるような基が含まれる。アミノ保護基の代表例には、アセチル(Ac)、トリフルオロアセチル、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、tert.-ブトキシカルボニル(Boc)、アリロキシカルボニル(Aoc)、9-フルオレニルメチルオキシ-カルボニル(Fmoc)、ニトロ-ベラチロキシカルボニル(nitro-versatryloxycarbonyl) (Nvoc)、選択的に置換されたフタロイルおよび同様のものが含まれる。
【0042】
代表的なヒドロキシ保護基には、ヒドロキシ基が、例えば、エーテルまたはエステルの形成により、例えば、アセチル、ベンジル、トリチル、アルキル、テトラヒドロピラニル、アリルおよび三置換シリル基を用いて、アシル化されるかまたはアルキル化されるものが含まれる。
【0043】
ある化合物、目的または一連の条件に対する保護基の選択は、当業者の範囲内であり、そして一般的な条件(他の反応化合物、pH、温度などの存在)下で、問題の反応基を全体的にまたは選択的に保護するように行われる。本発明で使用可能であり且つ本明細書に記述されている保護基には、フタロイル、アセチル(Ac)、ベンジル(Bn)、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、t-ブチルジメチルシリル(TBS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、および2,2,2-トリクロロ-1、1-ジメチルエチルクロロホルミル(TCBOC)基が含まれる。当技術分野において知られるように、ある特定の保護基または基のタイプが、特定の化合物とともにまたは所定の条件で使用するのに他のものよりもいっそう適当である可能性があり、ヒドロキシおよび/またはアミノのような反応基を有する化合物を含む方法を開発する際にこれらの適合性が利用される。従って、下記に見られるように、ある特定の化合物を製造するまたは反応させるため、全体的または選択的な保護または脱保護(保護基の除去)がある時点で行われる、反応スキームを開発することができる。例えば、アミノ基も含む化合物のヒドロキシ基を選択的に反応させるため、または逆の場合も同様に、基の反応が現段階で所望とされない基は、反応の条件下で除去されない(例えば、反応を塩基性条件下で行う必要がある場合、塩基で加水分解されない)保護基で遮断することができ、その一方で、反応すべき基は、塩基で加水分解する基により保護することができ、結果的に、その基は、その時点で未保護、従って反応性となる。同様に、下記に見られるように、分子中のある場所に位置する、基、例えば、ヒドロキシル基を選択的に反応させるため、その基は、分子中の他のヒドロキシルと異なる保護基で保護することができる。本明細書では、「PG」という記号表示は、ヒドロキシ基と(すなわち、ヒドロキシ基の酸素原子と)エステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基またはアミノ基と(すなわち、アミノ基の窒素原子と)アミドもしくはカルバメートを形成する保護基を指す。「PG'」という記号表示は、本明細書では、選択的に置換されたフタロイル基、例えば、フタロイルまたはテトラクロロフタロイルを指すのに使用され、そしてこれは記載のとおり、アミノ基を保護するのに使用することができる。しかしながら、いずれにせよ、本明細書に記述の方法で使用されるまたは説明される特定の保護基の選択は、本発明を限定することを決して意図するものではない。
【0044】
主要生成物
本発明の方法および中間体を用いて製造される主要生成物には、モノサッカライドであるAGP化合物、およびいくぶん類似した構造のジサッカライドの両方を含む、一群の化合物が含まれる。一般に、生成物は、下記式(I)および(Ia〜c)により示すことができる化合物ならびにその薬学的に許容される塩および誘導体である:

(式中、Yは-O-または-NH-であり; R1およびR2はそれぞれ独立して飽和および不飽和(C2〜C24)脂肪族アシル基より選択され; R8は-Hまたは-PO3R11R12であって、R11およびR12はそれぞれ独立して-Hまたは(C1〜C4)脂肪族基であり; R9は-H、-CH3または-PO3R13R14であって、R13およびR14はそれぞれ独立して-Hおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択され; その際にR8およびR9のうちの少なくとも一方はリン含有基であるが、ただしR8およびR9は両方ともにリン含有基ではなく; ならびにXは下記式より選択される基であり:

式中、p'およびm'の合計が0〜6の整数である場合、下付き文字n、m、p、q、n'、m'、p'およびq'はそれぞれ独立して0〜6の整数であり; 下付き文字rは独立して0〜14の整数であり且つ同じであってもまたは異なっていてもよく; R3、R11、およびR12は独立して飽和または不飽和(C2〜C24)脂肪族アシル基であり; およびXが式(Ia)または(Ic)である場合、R1、R2、R3、R11およびR12のうちの一つは選択的に水素であり; R4およびR5は独立してHおよびメチルより選択され; R6およびR7は独立してH、OH、(C1〜C4)オキシ脂肪族基、-PO3H2、-OPO3H2、-SO3H、-OSO3H、-NR15R16、-SR15、-CN、-NO2、-CHO、-CO2R15、-CONR15R16、-PO3R15R16、-OPO3R15R16、-SO3R15および-OSO3R15より選択され、その際にR15およびR16はそれぞれ独立してHおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択され; R10はH、CH3、-PO3H2、ω-ホスホノオキシ(C2〜C24)アルキル、およびω-カルボキシ(C1〜C24)アルキルより選択され; R13は独立してH、OH、(C1〜C4)オキシ脂肪族基、-PO3R17R18、-OPO3R17R18、-SO3R17、-OSO3R17、-NR17R18、-SR17、-CN、-NO2、-CHO、-CO2R17、および-CONR17R18より選択され、その際にR17およびR18はそれぞれ独立してHおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択され; ならびにZは-O-または-S-である)。
【0045】
方法および中間体
本発明の一つの方法には、塩化亜鉛、臭化亜鉛、三フッ化ホウ素、または類似のルイス酸の存在下で、O-シリルグリコシドをジハロメチルアルキルエーテルと反応させる段階を含む、グリコシルハライドの製造が含まれる。より具体的には、この方法の場合、グリコシルハライドは、塩化亜鉛、臭化亜鉛、三フッ化ホウ素、または類似の適当なルイス酸の存在下で、下記式(II)を有するシリルグリコシドを、ジハロメチルアルキルエーテル、好ましくはジクロロメチルメチルエーテルと反応させることにより形成される:

(式中、R20は式RaRbRCSiを有する三置換シリル基であって、Ra、RbおよびRCは独立してC1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキルおよび選択的に置換されたフェニル、好ましくはTBSまたはTBDPSからなる群より選択され、ならびにW、X、Y、およびZは独立してH、選択的に保護されたヒドロキシ基、選択的に保護されたアミノ基、および選択的に置換されたアルキル基を表す)。ルイス酸は、シリルグリコシドに関しておよそ化学量論的量で使用される。グリコシルハライドを製造するための方法は、約-30℃〜約50℃、好ましくは約0℃〜約30℃の温度で、およびクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、または反応に必要とされる条件に不活性である類似溶媒のような溶媒の存在下で行われる。反応の温度は、反応物質を実質的に溶解可能とし且つジハロメチルアルキルエーテルが沸騰して蒸発しないように選択される。所望の生成物グリコシルハライドの収率は大体、約50〜約95%である。そのような溶媒の選択は、当業者の知識の範囲内である。シリルグリコシドは、当技術分野において知られるように、通常、保護された形で従来的な方法で製造される。しかしながら、ある種のトリアセチル化シリルグリコシドおよびその誘導体のような、ある種のグリコシドは、本発明の局面を形成する、下記の新規の中間体を介して製造することができる。
【0046】
当業者であれば、グリコシルハライドは、他の置換基がグリコシルハライドの環に存在するような異性体として存在し得ることを理解するものと思われる。本発明には、個々の異性体ならびに両方の異性体の混合物の製造が含まれる。グリコシルハライドとの多くの求核試薬の反応条件は、当業者によく知られている。
【0047】
従って、得られるグリコシルハライドは、通常、下記式(III)を有する:

(式中、AはCl、Br、またはFであり、ならびにW、X、YおよびZは上記に定義されるとおりである)。
【0048】
一つの好ましい態様として、シリルグリコシドおよび得られる生成物は3位(置換基X)が、脂肪族アシル基、好ましくはアルカノイルオキシアシル基、より好ましくは3-n-アルカノイルオキシアシル基、および最も好ましくは3-アルカノイルオキシテトラデカノイル基であって、炭素原子を2〜24個、好ましくは2〜18個、および最も好ましくは6〜14個含む、脂肪族基またはアルカノイル基により置換されており、そして問題の化合物における保護基は、Troc基または類似のアルカノイルオキシカルボニル基であることが好ましい。そのような態様の場合、化合物は下記の一般式(IV)または(V)を有する:

(式中、AはCl、Br、またはFであり; R20は三置換シリル基でありおよびR21は脂肪族アシル基、好ましくは3-n-アルカノイルオキシテトラデカノイル基である)。この式および後に続く式のなかで、保護基は、説明および/または明示する目的で具体的に特定されていることに注意すべきである。しかしながら、当技術分野において知られるように、「PG」に関して上に一般的に定義されるようなその他の保護基を、適当なものとして使用することができる。従って、例えば、より一般的には、これらの化合物は下記式により表すことができる:

(式中、PGは、酸素原子とエーテル、エステル、もしくはカーボネートを形成する保護基、または窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)。
【0049】
他の好ましい態様として、シリルグリコシドは4位のヒドロキシル基が、ジアルキルホスホニル基またはジアリールホスホニル基のようなリン酸エステル基で置換されており、R21はアルカノイルオキシアシル基、好ましくは3-n-アルカノイルオキシテトラデカノイル基であり、および保護基は、2,2,2-トリクロロ-1,1-ジメチルエチルクロロホルメートから得られる「TCBOC」基、またはTrocのような類似のアルカノイルオキシカルボニル保護基であることが好ましい; すなわち、シリルグリコシドは下記の具体式(VI)を有し得る:

(式中、R20は三置換シリル基、好ましくはTBSまたはTBDPSであり; R21は脂肪族アシル基、好ましくはアルカノイルオキシアシル基であり; およびR22は、アルキル、アリール、もしくはアリールアルキルであるか、またはその他の適当な保護基の使用を可能とする一般式を有してもよく、
そしてこれに対応してグリコシルハライドは下記の具体式(VII)を有する:

式中、R21およびR22は上記に定義されるとおりであり、ならびにAはCl、Br、またはFである)。
【0050】
本発明の一つの局面として、このように製造されたグリコシルクロライドをモノサッカライドと、好ましくは銀塩の存在下で、反応させて、この2段階法によりジサッカライドを製造する。この方法で反応物質として使用できるモノサッカライドには、例えば、下記式(i)〜(iii)を有するものが含まれる:

(式中、R23は、上記のように、脂肪族アシル基、好ましくは3-n-アルカノイルオキシテトラデカノイル基である)。
【0051】
そのような方法により製造できるジサッカライドには、下記式(iA)〜(ivA)を有するものが含まれる:

(式中、R21、R22およびR23は上記に定義されるとおりであり、ならびに表示の保護基は、使用できるものの代表である)。
【0052】
本発明による生成物(iA)〜(ivA)の生成反応は一般的に、約-30℃〜約30℃の温度で、塩素系溶媒または他の溶媒中にて、トリフルオロメタンスルホン酸銀(トリフレート)のような銀触媒の存在下、および無水条件の下で、モレキュラーシーブまたは緩衝剤、例えば、テトラメチルウレアのような他の添加剤を加えてまたは加えずに行われる。
【0053】
本発明の他の局面として、式(II)のシリルグリコシドは、グリコシドハライドの形成を介して進行することなく、モノサッカライドと直接的にカップリングされる。得られる生成物はこの場合も先と同様に、出発物質による置換基を有するジサッカライドである。そのような方法は一般的に、約-78℃〜約50℃の温度で、三フッ化ホウ素エーテルのトリメチルシリルトリフレートのような適当なルイス酸触媒の存在下、乾燥剤または緩衝剤を添加してまたは添加せずに行われる。本発明の他の局面として、保護基は、そのような基を有するシリルグリコシドから、これをジハロアルキルエーテルと反応させることで効果的に除去されて、グリコシルハライドを生成することができ、次いでグリコシルハライドを水の存在下、酸化銀または炭酸銀のような銀塩と反応させて、対応するヘミアセタールを生成することができる。
【0054】
どちらかの方法により生成されたジサッカライドは、イミダゾールおよびN,N-ジメチルホルムアミドの存在下、TBSのようなシリル化基で還元糖の4位のヒドロキシル基をシリル化することによりさらに反応させて、3,4-ビス-シリル化化合物を生成させることができる。次に、非還元糖の4位におけるリン酸基の付加は、(1) 4,6位保護基(通常、アセテートまたはTroc)の脱保護の段階、(2) N-脱保護/アシル化の段階、(3) TCBOCのような基での主に6位の選択的保護の段階、および(4) 6位保護ジサッカライドを、ホスホロアミダイト試薬、例えば、ジベンジルジイソプロピルホスホロアミダイト[ジベンジルホスホノ側鎖を与える]のようなホスホニル化剤、またはビス(2,2,2-トリクロロエチル)クロロホスフェート[ビス(2,2,2-トリクロロエチル)ホスホノ側鎖を与える]もしくはジフェニルクロロホスフェート[ジフェニルホスホノ側鎖を与える]のようなクロロホスフェートと反応させることによる段階を含む、一連の段階により行われる。
【0055】
本発明にはまた、同じように、下記式(VIII)を有するもののようなトリアシル化ジサッカライドの製造方法が含まれる:

(式中、R21、R23およびR24は脂肪族アシル基、好ましくはアルカノイルオキシアシル基であり、ならびにR22は、ピリジンのような第3級アミンの存在下、2,2,2-トリクロロ-1,1-ジメチルエチルクロロホルメートで対応するジサッカライドのC-6ヒドロキシル基を選択的に保護することにより、選択的に置換されたアルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基である)。好ましくは、R21、R23およびR24は、それぞれ、(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイル、(R)-3-オクタデカノイルオキシテトラデカノイル、および(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルであるが、しかしこれらは、グリコシル化の段階で使用されるモノサッカライドドナーの性質および所望とされる置換基に応じ、同じであるかまたは異なり得る。
【0056】
本発明は同様に、アミノアルキルおよび環式アミノアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)化合物、すなわち式(I)の化合物(式中、Xは(Ia)または(Ic)であり)の製造方法に関し、その際に脂肪酸基もリン酸基も最初のグリコシル化(カップリング)の段階後にAGP骨格上に導入される。これらの方法には、エステル結合およびアミド結合アシルオキシアシル残基の導入前に糖6位が選択的に保護され得る、新規のグリコシドトリオール中間体の使用が含まれる。
【0057】
AGP化合物を調製するための本発明の好ましい方法の一つは、以下のスキーム1に示される。スキーム1は、式(Ia)の特定化合物の製造について描いているが、同一のまたは類似の方法を使用して、式(Ia)のタイプの他の化合物ならびに式(Ic)の化合物を製造できるものと思われるので、本発明のこの局面の一例を成すのみであることが意図される。
【0058】
この方法の場合、グルコサミンおよびアグリコン単位への脂肪族アシル、例えば、(R)-3-n-アルカノイルオキシテトラデカノイル、およびリン酸基の導入は同様に、カップリング反応に続いて行われるが、特許先行技術に示される方法とは対照的に、3-ヒドロキシル基は、脂肪族アシル基により置換されたアルカン酸、好ましくは(R)-3-n-アルカノイルオキシアルカン酸で、未保護/未リン酸化4-ヒドロキシル基の存在下、6位は遮断された状態で、選択的にエステル化される。これは、アセトニドによる4,6-ヒドロキシル位の一時的保護に代えて、持続性保護基で糖単位の6-ヒドロキシル基を保護することにより行われる。好ましくは、β-グリコシド8または対応するbis-Troc誘導体9を、適当な塩基で脱-O-アセチル化して、トリオール中間体10を得、これを、当技術分野において周知の標準的な条件の下で、t-ブチルジメチルシリル(TBS)のようなかさ高いシリル基により6位を選択的に保護して、シリル保護中間体12を得る。トリオール中間体10は、新規化合物である。例えば、(R)-3-n-アルカノイルオキシテトラデカン酸で12を3-O-アシル化し、続いて脱保護段階で亜鉛(PG=Troc)または亜鉛およびPd(0) (PG=Aoc)ならびにアシル化段階で(R)-3-n-アルカノイルオキシテトラデカン酸を用いて、同時に(PG=Troc)または逐次的に(PG=Aoc)、糖およびアグリコンのアミノ基を脱保護/アシル化して、ヘキサアシル化中間体13を得る。ペンタアシル化化合物(すなわち、式中、アシル基R1、R2、R3、R11またはR12のうちの一つが水素である)は、二つのアミノ基に対し、一方またはもう一方が選択的にアシル化され得るような異なる保護基を利用することにより、例えば、一方にはAoc基およびもう一方にはTroc基を用いることにより、調製することができる。
【0059】
4-ヒドロキシル基のリン酸化を当技術分野において周知の方法により、好ましくはジベンジルまたはジ-t-ブチルで保護されたクロロホスフェートまたはホスホロアミダイト試薬を用いて行い、ホスホトリエステル14を得る。次いで、14のホスフェート、シリルおよび残る保護基を弱酸性条件の下でまたは他の適当な手段により切断して、式(Ia)の化合物を得る。14のリン酸基およびN-結合(R)-3-n-アルカノイルオキシテトラデカノイル基が導入される順番は、直交性のホスフェートおよびアミノ保護基を適当に選択することで逆とできることに注意することが重要である。
【0060】
スキーム1に示される方法の変形は、スキーム2に示されており、そしてアセチルまたはフタルイミド窒素-保護基およびアノマーアセトキシ基またはハライド基を持つ15のような市販のグリコシルドナーの使用を含む。この場合もやはり、このスキームは、式(Ia)または(Ic)の化合物を製造するための本発明の方法を代表するものである。
【0061】
スキーム2の場合、グリコシルドナー15を適当な触媒の存在下、同様にN保護されたアクセプター単位16とカップリングして、β-グリコシド17を得る。N-アセチルおよびフタルイミド基は通常、脱保護には強塩基性条件が必要とされるので、トリフェニルメチル(トリチル、Tr)のような塩基安定性のエーテル結合保護基を6位に使用することが一般に必要とされる。従って、標準的な条件下で17を脱-O-アセチル化し、好ましくはその後、6位を選択的にトリチル化して、ジオール18を得る。N-アセチルまたはフタルイミド基を塩基により切断し、その後、得られるジアミノジオール中間体を適当なカップリング試薬/試薬(複数)の存在下、(R)-3-n-アルカノイルオキシテトラデカン酸で同時にまたは逐次的にN-アシル化およびO-アシル化して、ヘキサアシル化誘導体19を得る。化合物18を塩基で処理することによって形成されるジアミノジオール中間体は、下記式を有する。

スキーム1にあるように、クロロホスフェートまたはホスホロアミダイト試薬で19をリン酸化し、その後、弱酸性条件の下でまたは他の適当な手段により脱保護して、式(Ia)の化合物を得る。
スキーム1

スキーム2

上記のスキーム1および2において、各種の基R1〜R7、n、pおよびqは上記に定義されるとおりである。
【0062】
本発明を以下に続く実施例によりさらに説明する。これらの実施例は、本発明の説明として単に与えられるものであって、その定義または範囲を決して限定するものではない。
【実施例】
【0063】
実施例1: 2-デオキシ-4-O-ジフェニルホスホノ-3-O-[(R)-3-テトラドデカノイルオキシテトラデカノイル]-6-O-(2,2,2-トリクロロ-1,1-ジメチルエトキシカルボニル)-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-α-D-グルコピラノシルクロライドの生成
この過程は、以下、スキームAに描かれており、そして新規の中間体(iv)、(vi)および(vii)を含み、このなかに本発明の局面が含まれる。
スキームA

【0064】
(a) t-ブチルジフェニルシリル2-デオキシ-4,6-O-イソプロピリデン-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-α-D-グルコピラノシド(スキームA、化合物vi)の生成
(1) 2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルクロライド(200 g、0.944 mol)を、10 L三口丸底フラスコに入れたD-グルコサミニドヒドロクロライド(v、200 g、0.927 mol)とNaHCO3 (200 g、2.4 mol)の水溶液(4 L)に分割添加し、そして得られる混合物を、一晩室温で機械的に攪拌する。生じる白色沈殿を、2 Lフリット漏斗を用いてろ過により集め、エーテル(2 L)で洗浄し、そして高真空で3時間乾燥し、白色個体(分子量354.57)として2-デオキシ-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-D-グルコース297 g (90%)を得る。
【0065】
(2) 上記(1)の2-デオキシ-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-D-グルコース(297 g、0.838 mol)のピリジン(1 L、12.4 mol)と無水酢酸(1 L、10.6 mol)の混合溶液を10 L丸底フラスコ中、一晩室温で機械的に攪拌する。反応混合物を減圧下で濃縮して油状物を得、これをトルエン(2×1 L)と共沸混合し、そして高真空で一晩乾燥し、シロップ(分子量522.71、TLC(EtOAc) Rf 0.75)としてそのテトラアセテート438 g(約100%; vから90%)を得る。
【0066】
(3) 上記(2)のテトラアセテート(438 g、0.838 mol)をEtOAc (4 L)に溶解して、10 L三口丸底フラスコに移し、モルホリン(200 mL、2.29 mol)で処理し、そして室温で8時間機械的に撹拌する。TLC(50% EtOAc/ヘキサン)で反応の完結を確認する。3N HCl水溶液(2 L)を添加し、得られる混合物を30分間撹拌する。この混合物を6 L分液漏斗に移して、層を分離する。有機層を飽和NaCl水溶液(1 L)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、そして濃縮し、白色の泡状物質(分子量480.67 ; TLC(50% EtOAc/ヘキサン) Rf 0.22)として1-O-脱保護誘導体(ヘミアセタール)373 g (93%、vから84%)を得る。
【0067】
(4) 上記(3)のヘミアセタール(373 g、0.776 mol)とイミダゾール(132 g、1.94 mol)のN, N-ジメチルホルムアミド(DMF、430 mL、1.8 M)溶液を、t-ブチルクロロジフェニルシラン(242 mL、0.931 mol)で処理し、そして室温で48時間撹拌する。TLC(50% EtOAc/ヘキサン)で反応の完結を確認する。反応混合物を6 L分液漏斗中、エチルエーテル(4 L)と水(1 L)とに分配し、そしてこれらの層を分離する。エーテル層を水(1 L)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、そして濃縮して銅色の油状物を得、これを3倍量(three crops)のEtOAc-ヘキサン(約1:2 v/v)から結晶化し、無色の固体(分子量719.08; TLC (50% EtOAc/ヘキサン) Rf 0.44)としてt-ブチルジフェニルシリルグリコシドiv 474 g(85%、vから71%)を得る。
【0068】
(5) 3 L三口丸底フラスコに入れた上記(4)のシリルグリコシド(474 g、0.659 mol)のMeOH(2 L)溶液を水酸化アンモニウム(300 mL、4.5 mol)で処理し(いくぶん沈殿が生じる)、そして一晩室温で攪拌し、次いでもう一部の水酸化アンモニウム(50 mL、0.75 mol)で処理し、再度、一晩攪拌する。TLC(EtOAc)で反応の完結を確定する。反応混合物を濃縮し、そして得られる残渣をEtOAc (500 mL)に溶解し、3 Lフリットガラス漏斗中のシリカゲル(1 kg)のパッド上に加え、そして50% EtOAc-ヘキサン(5 L)およびEtOAc(7 L)で溶出させる。生成物を含有する分画を3 L丸底フラスコ中で濃縮し、そのトリオール(分子量592.97、TLC (EtOAc) Rf 0.35) 329 g(84%、vから60%)を得る。
【0069】
(6) 3 L丸底フラスコに入れた上記(5)のトリオール(329 g、0.555 mol)の2,2-ジメトキシプロパン(1.5 L)のスラリーをカンファースルホン酸(6.4 g、0.028 mol)で処理し、そして一晩室温で機械的に撹拌して、淡黄色溶液を得る。固形のNaHC03 (4.6 g、0.055 mol)を添加し、そして得られる混合物を室温で2時間撹拌し、次いで濃縮乾固する。得られる粗生成物をジクロロメタン(1.2 L)に溶解して、二等分し、そして二つの別個の3 Lフリットガラス漏斗中のシリカゲル(1 kg、30% EtOAc/ヘキサンで予め湿らせた)上に加え、そして30% EtOAc/ヘキサン(10 L)および50% EtOAc/ヘキサン(8 L)で溶出させる。精製物を含有する分画を合わせて、そして濃縮し、非晶質固体として化合物viを得る。必要に応じて、この生成物をヘキサンからの結晶化によりさらに精製することができる。
分子式: C28H36Cl3NO7Si
分子量: 633.04
理論的収量: 587 g (vに基づき)
予想収量: 306 g (87%、vから52%)
TLC: Rf 0.60 (EtOAc)
【0070】
(b) t-ブチルジフェニルシリル2-デオキシ-4-O-ジフェニルホスホノ-3-O-[(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]-6-O-(2,2,2-トリクロロ-1,1-ジメチルエトキシカルボニル)-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-α-D-グルコピラノシド(スキームA、化合物vii)の生成
(1) 2 L丸底フラスコに入れた化合物vi(141 g、0.223 mol)のCH2Cl2(1 L)溶液を3-(R)-(テトラデカノイルオキシ)テトラデカン酸(101.7 g、0.224 mol)、DCC(55 g、金属として、0.267 mol)および4-ピロリジノピリジン(3.3 g、0.022 mol)で処理し、そして一晩室温で攪拌する。TLC(20% EtOAc/ヘキサン)で反応の完結を確定する。反応混合物をろ過し、約半分の容量にまで濃縮して、これを二等分し、そして二つの別個の3 Lフリットガラス漏斗中のシリカゲル(1 kg、2.5% EtOAc/ヘキサンで予め湿らせた)上に加える。2.5%、5%、および10% EtOAc/ヘキサン (各8 L)で勾配溶出し、そして生成物を含有する分画を3 L丸底フラスコ中で濃縮し、そのエステル(分子量1069.72, TLC (20% EtOAc/ヘキサン) Rf 0.53) 220 g(92%)を得る。
【0071】
(2) 上記(1)のエステル(218 g、0.204 mol)を3 L丸底フラスコ中の90% AcOH水溶液(1 L)に懸濁し、そして70℃で2.5時間撹拌(ロータリー・エバポレータにて)して、乳白色溶液を得る。TLC(20% EtOAc/ヘキサン)で反応の完結を確定する。この反応混合物を濃縮し、そして残渣AcOHをトルエン(2×500 mL)で共沸することで除去する。得られる粗生成物を10% EtOAc/ヘキサン(400 mL)に溶解して、二等分し、そして二つの別個の3 Lフリットガラス漏斗中のシリカゲル(1 kg)上に加える。10% EtOAc/ヘキサン (10 L)ならびに15%、20%、および30% EtOAc/ヘキサン (各5 L)で勾配溶出し、そして生成物を含有する分画を濃縮し、少量(TLCで5%未満)の6-O-アセチルの副産物(Rf 0.25)を含有するそのジオール(分子量1029.66、TLC (20% EtOAc) Rf 0.10) 193 g (92%、viから85%)を得る。(注記: 6-アセテートの副産物は、下記の段階(3)で4-ジフェニルホスフェート誘導体として加圧クロマトグラフィーにより容易に分離される。)
【0072】
(3) 0℃で機械的に撹拌した上記(2)のジオール(193 g、0.187 mol)のCH2Cl2(1 L)溶液をピリジン(18.2 mL、0.225 mol)、続いて1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエチルクロロホルメート(49.5 g、0.206 mol)で処理する。TLC (20% EtOAc/ヘキサン)で反応の進行を監視する。TLCで反応が完結していれば(通常は30〜60分であるが、さらに長い反応時間が必要とされるかもしれない)、トリエチルアミン(55 mL、0.39 mol)、4-ピロリジノピリジン(13.9 g、0.094 mol)、およびジフェニルクロロホスフェート(58.2 mL、0.281 mol)を、続いて添加して、得られる混合物を一晩室温で撹拌する。TLC(20% EtOAc/ヘキサン)で反応の完結を確定する。反応混合物を濃縮乾固して、得られる残渣を6 L分液漏斗中、EtOAc (1.5 L)と1.2 N HCl水溶液(2 L)とに分配し、そしてこれらの層を分離する。EtOAc層を水(2 L)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、そして濃縮する。得られる残渣を10% EtOAc/ヘキサン (500 mL)に溶解し、そして10% EtOAc/ヘキサン(50 L)を用いたBiotage 150 Hiシステム(150 Lカラム)での勾配溶出により精製して、分画950 mLを集める。化合物viiを含有する分画を合わせて、そして濃縮する。
分子式: C70H98Cl6NO15PSi
分子量: 1465.30
理論的収量: 326.8 g (viに基づき)
予想収量: 211 g (77%、viから65%)
TLC: Rf 0.47 (20% EtOAc/ヘキサン)
【0073】
(c) 2-デオキシ-4-O-ジフェニルホスホノ-3-O-[(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]-6-O-(2,2,2-トリクロロ-1,1-ジメチルエトキシカルボニル)-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-α-D-グルコピラノシルクロライド(スキームA、化合物viii)の生成
5 L丸底フラスコに入れた化合物vii(192 g、0.131 mol)の0℃ CHCl3(2 L)溶液をα,α-ジクロロメチルメチルエーテル(78 mL、0.87 mol)で処理し、続いて滴下漏斗を介してZnCl2 (エーテル中で1.0 M、100 mL、0.1 mol)を滴下して処理する。冷水浴を取り除き、そして得られる混合物を一晩室温で撹拌する。TLC(20% EtOAc/ヘキサン)で反応の完結を確定する。反応混合物を冷飽和NaHCO3水溶液(1 L)で処理し、これを1時間撹拌し、そして6 L分液漏斗中で層を分離する。有機層を乾燥(MgSO4)し、そして濃縮する。得られる残渣をBiotage 150 Hiシステム(150 Lカラム)にて、10% EtOAc/ヘキサン (80 L、分画950 mL)で溶出して精製する。精製物を含有する分画を合わせて、そして濃縮する。
分子式: C54H79Cl7NO14P
分子量: 1245.36
理論的収量: 163.2 g
予想収量: 141 g (86%)
TLC: Rf 0.42 (20% EtOAc/ヘキサン)
【0074】
実施例2 - N-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイル]-O-[2-デオキシ-4-O-ホスホノ-2-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-3-O-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイル]-β-D-グルコピラノシル]-L-セリントリエチルアンモニウム塩 [式(Ia)の化合物、式中、R1=R2=R3=n-C19H19CO、Z=Y=O、n=m=p=q=0、r=10、R4=R5=R7=R9=H、R6=CO2H、R8=PO3H2]]、すなわち:

の調製
本実施例は、スキーム1に示される工程を利用する。
【0075】
(1) 1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-β-D-グルコピラノシド(5.33 g、10.2 mmol)とベンジルN-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル)-L-セリン(4.16 g、11.2 mmol)の無水CH2Cl2(15 mL)溶液を三フッ化ホウ素エーテル(2.59 mL、20.4 mmol)で滴下処理し、次いで室温で2時間撹拌した。この反応混合物を飽和NaHCO3水溶液(20 mL)でクエンチし、そして層を分離した。水層をCHCl3(2×10 mL)で抽出し、そして有機層を合わせて、水(10 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、そして真空濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出液、20→50% AcOEt/ヘキサン)により、N-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル)-O-[3,4,6-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-β-D-グルコピラノシル]-L-セリンベンジルエステル7.42 g(87%)を白色固体(化合物9; X=O、n=m=p=q=0、r=10、R4=R5=R7=H、R6=CO2Bn)として得た。
【0076】
(2) 上記(1)で調製した化合物(408 mg、0.49 mmol)のテトラヒドロフラン(THF ; 20 mL)溶液に、炭素(30 mg)上の10%パラジウムの存在下、室温および大気圧下で3時間かけて水素添加した。反応混合物をCeliteに通して濾過し、そしてろ液を真空濃縮した。2% MeOH-CHCl3、続いて10% MeOH-CHCl3を用いたシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、N-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル)-O-[3,4,6-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-β-D-グルコピラノシル]-L-セリン347 mg(98%)を白色固体(化合物9; X=O、n=m=p=q=0、r=10、R4=R5=R7=H、R6=CO2H)として得た。
【0077】
(3) 上記(2)で調製した化合物(998 mg、1.34 mmol)のメタノール(15.5 mL)溶液を、室温で16時間、水酸化アンモニウム(0.21 mL、5.37 mmol)で処理し、続けてさらに水酸化アンモニウム(0.21 mL、5.37 mmol)により24時間処理した。反応混合物を真空濃縮し、そして白色固体を得た。この白色固体のCH2Cl2(33.5 mL)懸濁液を臭化ベンジル(0.80 mL、6.7 mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム(432 mg、1.34 mmol)および飽和NaHCO3(33.5 mL)で処理し、そして得られる二相混合物を室温で24時間激しく撹拌し、そして層を分離した。水層をCHCl3(2×15 mL)で抽出し、そして有機層を合わせて、水(10 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、そして真空濃縮した。得られた残渣を無水ピリジン(10 mL)に溶解し、t-ブチルジメチルシリルクロライド(242 mg、1.61 mmol)で処理し、そして室温で1.5時間撹拌した。反応混合物をさらにt-ブチルジメチルシリルクロライド(242 mg、1.61 mmol)で処理し、そして1.5時間撹拌した。反応混合物をCHCl3(10 mL)と水(10 mL)とに分配した。水層をCHCl3(2×15 mL)で抽出し、そして有機層を合わせて、水(15 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、そして真空濃縮した。勾配溶出(1.0→1.25% CH30H/CHCl3)を用いたシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、N-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル)-O-[6-O-t-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-β-D-グルコピラノシル]-L-セリンベンジルエステル724 mg(66%)を白色固体(化合物12 PG=Troc、X=O、n=m=p=q=0、r=10、R4=R5=R7=H、R6=CO2H)として得た。
【0078】
(4) 上記(3)で調製した化合物(892 mg、1.09 mmol)の無水CH2Cl2(10.5 mL)溶液を0℃で1時間、(R)-3-デカノイルオキシテトラデカン酸(476 mg、1.20 mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドメチオジド(EDC-MeI; 355 mg、1.20 mmol)、および4-ピロリジノピリジン(8 mg、0.054 mmol)で処理した。反応混合物を0℃で、さらに(R)-3-デカノイルオキシテトラデカン酸(60 mg)およびEDC. MeI (60 mg)で処理し、30分撹拌し、そして真空濃縮した。1:6 AcOEt-ヘキサンを用いたシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、N-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル)-O-[6-O-t-ブチルジメチルシリル-3-O-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイル]-2-デオキシ-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-β-D-グルコピラノシル]-L-セリンベンジルエステル1.10 g (85%)を無色の油状物として得た。
【0079】
(5) 上記(4)で調製した化合物(1.162 g、0.967 mmol)の20% THF(16 mL)溶液を、亜鉛粉末(632 mg、9.67 mmol)および酢酸(0.12 mL、2.13 mmol)で処理し、そして室温で1時間撹拌した。反応混合物をCeliteに通して濾過し、そしてろ液を真空濃縮した。得られた灰白色の固体をCHCl3(15 mL)に溶解し、そして15 mL量の0.1M HCl、飽和NaHCO3水溶液、および水で連続的に洗浄した。有機層を乾燥(Na2SO4)して、真空濃縮し、そして得られた残渣を高減圧下で一晩乾燥した。残渣の無水CH2Cl2(9.5 mL)溶液を(R)-3-デカノイルオキシテトラデカン酸(848 mg、2.13 mmol)およびEDC. MeI(632 mg、2.13 mmol)で処理し、そして室温で2時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、そして得られた残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出液; 20→25% AcOEt/ヘキサン)により精製して、N-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイル]-O-[6-O-t-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-2-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-3-O-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイル]-β-D-グルコピラノシル]-L-セリンベンジルエステル1.03 g(66%)をガラス状固体(化合物13 R1=R2=R3=n-C9H19CO、X=O、n=m=p=q=0, r=10, R4=R5=R7=H, R6=CO2Bn)として得た。
【0080】
(6) 上記(5)で調製した化合物(112 mg、0.069 mmol)の無水ジクロロメタン(1 mL)溶液をアルゴン下、ジベンジルジイソプロピルホスホロアミダイト(39 μL、0.12 mmol)およびテトラゾール(12 mg、0.173 mmol)で処理し、そして室温で1時間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、そしてm-クロロ過安息香酸(m-CPBA; 33 mg、0.193 mmol)で30分間処理した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液(5 mL)の添加によりクエンチし、そして室温で15分間撹拌した。水層をクロロホルム(3×5 mL)で抽出し、そして有機層を合わせて、水(5 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、そして真空濃縮した。25% AcOEt-ヘキサンを用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、部分精製物を得、これを20% AcOEt-ヘキサンを用いてシリカゲルで再クロマトグラフ処理し、N-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイル]-O-[6-O-t-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-4-O-ジフェニルホスホノ-2-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-3-O-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイル]-β-D-グルコピラノシル]-L-セリンベンジルエステル122 mg (93%)を無色の油状物として得た。
【0081】
(7) 上記(6)で調製した化合物(232 mg、0.124 mmol)の無水THF(10 mL)溶液に、炭素(46 mg)上の20%水酸化パラジウムの存在下、室温および大気圧下で36時間かけて水素添加した。反応混合物をCeliteに通して濾過し、そしてろ液を真空濃縮した。得られた油状物(181 mg)をCH2Cl2(2.5 mL)に溶解して、トリフルオロ酢酸(29 μL)で処理し、そしてアルゴン下、室温で18時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、そしてヘキサン(2×5 mL)と共蒸発させた。クロロホルム-メタノール-水-トリエチルアミンを用いたシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出液; 87:12:0.5:0.5→77:22.5:0.5:0.5)により、N-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイル]-O-[2-デオキシ-4-O-ホスホノ-2-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-3-O-[(R)-3-デカノイルオキシテトラデカノイル]-β-D-グルコピラノシル]-L-セリントリエチルアンモニウム塩(RC-527) 102 mg(55%)を無色の固体として得た。
【0082】
実施例3 - (S)-2-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-3-ホスホノオキシプロピル2-デオキシ-4-O-ホスホノ-3-O-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイル]-2-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-β-D-グルコピラノシドビス(トリエチル)アンモニウム塩 [式(I)の化合物、式中、Xは(Ia)である、すなわちR1=R2=R3=n-C5H11CO、Z=Y=O、n=m=p=q=0、r=10、R4=R5=R7=R9=H、R6=CH2OPO3H2、R8=PO3H2]、すなわち:

の調製
本実施例は、スキーム1に示される工程を利用する。
【0083】
(1) 実施例2-(3)と同じように、1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-β-D-グルコピラノシド(0.62 g、1.18 mmol)と(S)-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-3-ベンジルオキシ-1-プロパノール(0.46 g、1.30 mmol)とを、三フッ化ホウ素エーテル(0.3 mL、2.4 mmol)の存在下でカップリングして、(R)-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-3-ベンジルオキシ-1-プロピル2-デオキシ-3,4,6-テトラ-O-アセチル-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-β-D-グルコピラノシドを淡黄色の固体(化合物9; X=O、n=m=p=q=0、r=10、R4=R5=R7=H、R6=CH2OBn)として得た。この化合物のメタノール(15 mL)溶液を室温で19時間、水酸化アンモニウム(0.21 mL、5.37 mmol)で処理し、続いてさらに水酸化アンモニウム(0.20 mL、5.1 mmol)により25時間処理した。反応混合物を真空濃縮し、そして白色固体を得た。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出液; 5→6% CH3OH/CHCl3)により、3-ベンジルオキシ-(R)-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)プロピル2-デオキシ-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-β-D-グルコピラノシド0.57 g(63%)をガラス状固体として得た。
【0084】
(2) 上記(2)で調製した化合物(0.57 g、0.83 mmol)の無水ピリジン(8.5 mL)溶液を、t-ブチルジメチルシリルクロライド(0.15 g、0.99 mmol)で処理し、そして室温で1.5時間撹拌した。さらにt-ブチルジメチルシリルクロライド(0.15 g、0.99 mmol)を添加し、そしてさらに1.5時間後、反応混合物をCHCl3(10 mL)と水(10 mL)とに分配し、そして層を分離した。水層をCHCl3(2×10 mL)で抽出し、そして有機層を合わせて、水(10 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、そして真空濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出液; 80:1→60:1 CHCl3/CH30H)により、3-ベンジルオキシ-(R)-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)プロピル6-O-t-ブチルジメチルシリル-2-デオキシ-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-β-D-グルコピラノシド0.65 g(98%)を白色固体として得た。
【0085】
(3) 実施例2-(4)と同じように、上記(2)で調製した化合物(0.47 g、0.59 mmol)を、EDC-MeI(0.21 g、0.70 mmol)および4-ピロリジノピリジン(4 mg、0.03 mmol)の存在下、(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカン酸(0.22 g、0.64 mmol)でアシル化して、3-ベンジルオキシ-(R)-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)プロピル6-O-t-ブチルジメチルシリル-3-O-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイル]-2-デオキシ-2-(2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルアミノ)-β-D-グルコピラノシド0.58 g(88%)を無色の油状物として得た。
【0086】
(4) 実施例2-(5)と同じように、上記(3)で調製した化合物(0.58 g、0.51 mmol)を亜鉛(0.34 g、5.14 mmol)で脱保護し、そしてEDC.MeI(0.34 g、1.13 mmol)の存在下、(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカン酸(0.39 g、1.13 mmol)でアシル化して、3-ベンジルオキシ-(R)-2-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイルアミノ]プロピル6-O-t-ブチルジメチルシリル-3-O-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイル]-2-デオキシ-2-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-β-D-グルコピラノシド0.41 g (56%)を無色の油状物(化合物13 R1=R2=R3=n-C5H11CO、X=O、n=m=p=q=0、r=10、R4=R5=R7=H、R6=CH2OBn)として得た。
【0087】
(5) 上記(4)で調製した化合物(0.41 g、0.29 mmol)のTHF(18 mL)溶液に、水酸化パラジウム(0.04 g)の存在下、室温および大気圧下で17時間かけて水素添加した。反応混合物をCeliteに通して濾過し、そしてろ液を真空濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(勾配溶出液、1:2→1:8 酢酸エチル/ヘプタン)により、3-ヒドロキシ-(R)-2-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイルアミノ]プロピル6-O-t-ブチルジメチルシリル-3-O-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイル]-2-デオキシ-2-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-β-D-グルコピラノシド0.3 g(77%)を無色の油状物(化合物13 R1=R2=R3=n-C5H11CO、X=O、n=m=p=q=0、r=10、R4=R5=R7=H、R6=CH20H)として得た。
【0088】
(6) 実施例2-(6)と同じように、上記(5)で調製した化合物(0.30 g、0.22 mmol)を、ジベンジルジイソプロピルホスホロアミダイト(0.25 mL、0.75 mmol)、テトラゾール(0.08 g、1.11 mmol)、およびm-CPBA(0.33 g、1.95 mmol)でリン酸化して、3-ジベンジルホスホノオキシ-(R)-2-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイルアミノ]プロピル4-ジベンジルホスホノ-6-O-t-ブチルジメチルシリル-3-O-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイル]-2-デオキシ-2-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-β-D-グルコピラノシド0.30 g(73%)を無色の油状物として得た。
【0089】
(7) 上記(6)で調製した化合物(302 mg、0.16 mmol)の無水THF(13 mL)溶液に、炭素(60 mg)上の20%水酸化パラジウムの存在下、室温および大気圧下で27時間かけて水素添加した。反応混合物をCeliteに通して濾過し、そしてろ液を真空濃縮した。得られた油状物(226 mg)のCH2Cl2(3.5 mL)溶液をトリフルオロ酢酸(0.04 mL、0.49 mmol)で処理し、そしてアルゴン下、室温で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、ヘキサン(2×5 mL)と共蒸発させ、そして得られた残渣を高真空下で乾燥させて、粗生成物(226 mg)を得た。粗生成物の一部(102 mg)を1:2 CHCl3/CH30H(9 mL)に溶解して、DEAE-セルロースカラム(15 g、fast flow、Sigma)に添加し、そして2:3:1 CHCl3:CH30H:H20で塩勾配0〜0.1 M NH4OAcとして溶出させた。精製物を含有する分画を合わせて、0.1 N HCl水溶液で洗浄し、そして真空濃縮した。得られた残渣を1%トリエチルアミン水溶液(発熱物質無し)から凍結乾燥して、(S)-2-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-3-ホスホノオキシプロピル2-デオキシ-4-O-ホスホノ-3-O-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイル]-2-[(R)-3-ヘキサノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-β-D-グルコピラノシドビス(トリエチル)アンモニウム塩82 mg(81%)を白色粉末として得た: ポジティブFAB-MS計算値[M+Na]+ 1407.8534、実測値1407.8689;

【0090】
本明細書に引用された全ての刊行物および特許出願書類は、それぞれ個々の刊行物または特許出願書類が具体的かつ個別に、参照として組み入れられることが示されるかのごとく、参照として本明細書に組み入れられる。
【0091】
前述の発明について、理解を明瞭にすることを目的として、例証および実例によりかなり詳細に説明してきたが、当業者には、本発明の開示に照らして添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく本発明にある程度の変更および変形を行うことができることは容易に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
O-シリルグリコシドをα,α-ジハロメチルアルキルエーテルと、シリルグリコシドに関して、塩化亜鉛、臭化亜鉛および三フッ化ホウ素からなる群より選択される要素のおよそ化学量論的量またはそれを超える量の存在下で反応させる段階を含む、グリコシルハライドの製造方法。
【請求項2】
シリルグリコシドは下記式:

(式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテル、もしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
を有し、
およびグリコシルハライドは下記式:

(式中、R20は式RaRbRcSiを有し、Ra、RbおよびRcは独立して、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、および選択的に置換されたフェニルからなる群より選択され、ならびにAはCl、BrまたはFである)
を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
R20はt-ブチルジメチルシリルまたはt-ブチルジフェニルシリルである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
シリルグリコシドは下記式:

(式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
を有し、
およびグリコシルハライドは下記式:

(式中、R20はRaRbRcSiであって、Ra、RbおよびRcは独立して、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、および選択的に置換されたフェニルからなる群より選択され; ならびにR21はアルカノイルオキシアシル基である)
を有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
シリルグリコシドは下記式:

(式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
を有し、
およびグリコシルハライドは下記式:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルまたはt-ブチルジフェニルシリルであり; R21はアルカノイルオキシアシル基であり; およびR22はアルキル、アリール、およびアルカリールより選択される)
を有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項2記載の方法。
【請求項7】
AはClである、請求項2記載の方法。
【請求項8】
ジサッカライドを形成させるため、銀塩の存在下でグリコシルハライドをモノサッカライドとカップリングさせる段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
銀塩はトリフルオロメタンスルホン酸銀である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
ジサッカライドを形成させるため、銀塩の存在下でグリコシルハライドをモノサッカライドとカップリングさせる段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項11】
銀塩はトリフルオロメタンスルホン酸銀である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ジサッカライドを形成させるため、銀塩の存在下でグリコシルハライドをモノサッカライドとカップリングさせる段階をさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項13】
銀塩はトリフルオロメタンスルホン酸銀である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
モノサッカライドが
(i) 下記式のモノサッカライド:

(ii) 下記式のモノサッカライド:

(式中、R23はアルカノイルオキシアシル基である);および
(iii) 下記式のモノサッカライド:

(式中、R23はアルカノイルオキシアシル基であり; および式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項15】
アルカノイルオキシアシル基は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ジサッカライドが
(i) 下記式のジサッカライド:

(ii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R21はアルカノイルオキシアシル基である);
(iii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R21およびR23は独立してアルカノイルオキシアシル基である);および
(iv) 下記式のジサッカライド:

(式中、R21およびR23は独立してアルカノイルオキシアシル基であり; R22はアルキル、アリール、およびアルカリールより選択され; および式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
である、請求項8記載の方法。
【請求項17】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルであり、およびR23は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
3,4-ビス(t-ブチルジシリルメチル)ジサッカライドを形成させるため、イミダゾールのN, N-ジメチルホルムアミド溶液の存在下、ジサッカライドのC-4ヒドロキシルをt-ブチルクロロジメチルシランでシリル化する段階をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項19】
3,4-ビス(t-ブチルジメチル)ジサッカライドが
(i) 下記式のジサッカライド:

(ii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R21はアルカノイルオキシアシル基である); または
(iii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R21およびR23は独立してアルカノイルオキシアシル基であり; および式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルであり、およびR23は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
モノサッカライドが
(i) 下記式のモノサッカライド:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルもしくはt-ブチルジフェニルシリルである);
(ii) 下記式のモノサッカライド:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルもしくはt-ブチルジフェニルシリルであり; およびR23はアルカノイルオキシアシル基である);または
(iii) 下記式のモノサッカライド:

(式中、R1はt-ブチルジメチルシリルもしくはt-ブチルジフェニルシリルであり、およびR23はアルカノイルオキシアシル基であり; ならびに式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
である、請求項8記載の方法。
【請求項22】
R23は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項21記載の方法。
【請求項23】
ジサッカライドが
(i) 下記式のジサッカライド:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルもしくはt-ブチルジフェニルシリルである);
(ii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルもしくはt-ブチルジフェニルシリルであり; およびR21はアルカノイルオキシアシル基である);
(iii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルもしくはt-ブチルジフェニルシリルであり、ならびにR21およびR23は独立してアルカノイルオキシアシル基である);または
(iv) 下記式のジサッカライド:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルもしくはt-ブチルジフェニルシリルであり; R21およびR23は独立してアルカノイルオキシアシル基であり; ならびにR22はアルキル、アリール、およびアルカリールより選択され; および
式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
である、請求項8記載の方法。
【請求項24】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルであり、およびR23は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
3,4-ビス(t-ブチルジシリルメチル)ジサッカライドが
(i) 下記式のジサッカライド:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルもしくはt-ブチルジフェニルシリルである);
(ii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルもしくはt-ブチルジフェニルシリルであり、およびR21はアルカノイルオキシアシル基である);または
(iii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルもしくはt-ブチルジフェニルシリルであり、ならびに R21およびR23は独立してアルカノイルオキシアシル基であり; および
式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
である、請求項18記載の方法。
【請求項26】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルであり、およびR23は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
ルイス酸の存在下でシリルグリコシドをモノサッカライドと反応させる段階を含む、ジサッカライドの製造方法。
【請求項28】
ルイス酸は三フッ化ホウ素ジエチルエーテルである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
モノサッカライドが
(i) 下記式のモノサッカライド:

(ii) 下記式のモノサッカライド:

(式中、R23はアルカノイルオキシアシル基である);または
(iii) 下記式のモノサッカライド:

(式中、R23はアルカノイルオキシアシル基であり; および
式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
アルカノイルオキシアシル基は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
ジサッカライドが
(i) 下記式のジサッカライド:

(ii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R21はアルカノイルオキシアシル基である);
(iii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R21およびR23は独立してアルカノイルオキシアシル基である);または
(iv) 下記式のジサッカライド:

(式中、R21およびR23は独立してアルカノイルオキシアシル基であり; ならびにR22はアルキル、アリール、およびアルカリールより選択され; および
式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
である、請求項27記載の方法。
【請求項32】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルであり、およびR23は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
シリルグリコシドは下記式:

(式中、R20は式RaRbRcSiを有し、Ra、RbおよびRcは独立して、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキルおよび選択的に置換されたフェニルからなる群より選択され; ならびに式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
を有する、請求項27記載の方法。
【請求項34】
R20はt-ブチルジメチルシリルまたはt-ブチルジフェニルシリルである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
シリルグリコシドは下記式:

(式中、R20はRaRbRcSiであって、Ra、RbおよびRcは独立して、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキルおよび選択的に置換されたフェニルからなる群より選択され; R21はアルカノイルオキシアシル基であり; ならびに式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
を有する、請求項27記載の方法。
【請求項36】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
シリルグリコシドは下記式:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルもしくはt-ブチルジフェニルシリルであり; R21はアルカノイルオキシアシル基であり; R22はアルキル、アリール、およびアルカリールより選択され; ならびに式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
を有する、請求項27記載の方法。
【請求項38】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
ジサッカライドを水酸化アンモニウムのメタノール溶液と接触させる段階を含む、3,4-ビス(t-ブチルジシリルメチル)ジサッカライドからのアセチル保護基の選択的除去方法。
【請求項40】
3,4-ビス(t-ブチルジメチル)ジサッカライドが
(i) 下記式のジサッカライド:

(ii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R21はアルカノイルオキシアシル基である);または
(iii) 下記式のジサッカライド:

(式中、R21およびR23は独立してアルカノイルオキシアシル基であり; ならびに
式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルであり、およびR23は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項40記載の方法。
【請求項42】
下記式のジサッカライド:

(式中、R21、R23、およびR24は独立してアルカノイルオキシアシルであり、ならびにR22はアルキル、アリール、およびアルカリールより選択され; および式中、PGは、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
の製造方法であって、
(i) 下記式のジサッカライドを提供する段階;

(ii) 6'-保護ジサッカライドを形成させるため、該ジサッカライドの6'-ヒドロキシル基を第3級アミンの存在下で2,2,2-トリクロロ-1,1-ジメチルエチルクロロホルメートで選択的に保護する段階;
および
(iii) 該6'-保護ジサッカライドをホスホノ側鎖とカップリングする段階を含む、方法。
【請求項43】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルであり、R23は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルであり、およびR24は(R)-3-オクタデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項42記載の方法。
【請求項44】
ホスホノ側鎖は、(a) 6'-保護ジサッカライドをホスホロアミダイトと反応させる段階、その後、酸化剤との段階(a)の生成物の反応により調製される、請求項42記載の方法。
【請求項45】
ホスホロアミダイトはジベンジルジイソプロピルホスホロアミダイトであり、および酸化剤はm-クロロ過安息香酸である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
ホスホノ側鎖は、第3級アミンの存在下、6'-保護ジサッカライドをクロロホスフェートと反応させる段階により調製される、請求項42記載の方法。
【請求項47】
クロロホスフェートはビス(2,2,2-トリクロロエチル)クロロホスフェートである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
クロロホスフェートはジフェニルクロロホスフェートである、請求項46記載の方法。
【請求項49】
下記式のジサッカライド:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルであり; R21、R23およびR24は独立してアルカノイルオキシアシルであり; ならびにR22はアルキル、アリール、およびアルカリールより選択される)
の製造方法であって、
(i) 下記式のジサッカライドを提供する段階;

(ii) 6'-TCBOCジサッカライドを形成させるため、該ジサッカライドの6'-ヒドロキシル基を第3級アミンの存在下で2,2,2-トリクロロ-1,1-ジメチルエチルクロロホルメートで選択的に保護する段階;および
(iii) 該6'-TCBOCジサッカライドをホスホノ側鎖とカップリングする段階を含む、方法。
【請求項50】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルであり、R23は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルであり、およびR24は(R)-3-オクタデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項50記載の方法。
【請求項51】
ホスホノ側鎖はビス(2,2,2-トリクロロエチル)ホスホノ基である、請求項50記載の方法。
【請求項52】
ホスホノ側鎖はジベンジルホスホノ基である、請求項50記載の方法。
【請求項53】
ホスホノ側鎖はビス[2-(トリメチルシリル)エチル]ホスホノ基である、請求項50記載の方法。
【請求項54】
ホスホノ側鎖はジフェニルホスホノ基である、請求項50記載の方法。
【請求項55】
下記式のジサッカライド:

(式中、R20はt-ブチルジメチルシリルまたはt-ブチルジフェニルシリルであり; R21、R23およびR24は独立してアルカノイルオキシアシルであり; ならびにR22はアルキル、アリール、およびアルカリールより選択される)
の製造方法であって、
(i) 下記式のジサッカライドを提供する段階;

(ii) 6'-TBSジサッカライドを形成させるため、該ジサッカライドの6'-ヒドロキシル基をt-ブチルクロロジメチルシランで選択的に保護する段階;および
(iii) 該6'-TBSジサッカライドをホスホノ側鎖とカップリングする段階を含む、方法。
【請求項56】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルであり、R23は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルであり、およびR24は(R)-3-オクタデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項55記載の方法。
【請求項57】
ホスホノ側鎖はビス[2-(トリメチルシリル)エチル]ホスホノ基である、請求項55記載の方法。
【請求項58】
ホスホノ側鎖はビス(2,2,2-トリクロロエチル)ホスホノ基である、請求項55記載の方法。
【請求項59】
ホスホノ側鎖はジベンジルホスホノ基である、請求項55記載の方法。
【請求項60】
ホスホノ側鎖はジフェニルホスホノ基である、請求項55記載の方法。
【請求項61】
シリルグリコシドからのアノマーシリル保護基の除去方法であって、
(i) グリコシルハライドを生成させるため、塩化亜鉛、臭化亜鉛、および三フッ化ホウ素からなる群より選択される要素の存在下、該シリルグリコシドをジハロアルキルアルキルエーテルと反応させる段階;および
(ii) 銀塩の存在下、該グリコシルハライドを水と反応させる段階
を含む方法。
【請求項62】
銀塩は酸化銀または炭酸銀である、請求項61記載の方法。
【請求項63】
ジサッカライドをフッ化水素またはピリジニウムポリ(フッ化水素)と反応させる段階を含む、シリルベースの保護基を複数有するジサッカライドからシリルベースの保護基を全て同時に除去するための方法。
【請求項64】
ジサッカライドが下記式を有する、請求項63記載の方法:

(式中、R21、R23、およびR24は独立してアルカノイルオキシアシルである)。
【請求項65】
R21は(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルであり、R23は(R)-3-ヘキサデカノイルオキシテトラデカノイルであり、およびR24は(R)-3-オクタデカノイルオキシテトラデカノイルである、請求項64記載の方法。
【請求項66】
下記式:

(式中、Xは

であり;
Yは-O-または-NH-であり; R1およびR2はそれぞれ独立して飽和および不飽和(C2〜C24)脂肪族アシル基より選択され; R8は-Hまたは-PO3R11R12であって、R11およびR12はそれぞれ独立して-Hまたは(C1〜C4)脂肪族基であり; R9は-H、-CH3または-PO3R13R14であって、R13およびR14はそれぞれ独立して-Hおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択され; その際にR8およびR9のうちの少なくとも一方はリン含有基であるが、ただしR8およびR9は両方ともにリン含有基ではなく; 式中、p'およびm'の合計が0〜6の整数である場合、下付き文字n、m、p、q、n'、m'、p'およびq'はそれぞれ独立して0〜6の整数であり、ならびに下付き文字rは独立して2〜10の整数であり; R3、R11、およびR12は独立して飽和または不飽和(C2〜C24)脂肪族アシル基であり; およびXが式(Ia)または(Ic)である場合、R1、R2、R3、R11およびR12のうちの一つは選択的に水素であり; R4およびR5は独立してHおよびメチルより選択され; R6およびR7は独立してH、OH、(C1〜C4)オキシ脂肪族基、-PO3H2、-OPO3H2、-SO3H、-OSO3H、-NR15R16、-SR15、-CN、-NO2、-CHO、-CO2R15、-CONR15R16、-PO3R15R16、-OPO3R15R16、-SO3R15および-OSO3R15より選択され、その際にR15およびR16はそれぞれ独立してHおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択され; R10はH、CH3、-PO3H2、ω-ホスホノオキシ(C2〜C24)アルキル、およびω-カルボキシ(C1〜C24)アルキルより選択され; R13は独立してH、OH、(C1〜C4)オキシ脂肪族基、-PO3R17R18、-OPO3R17R18、-SO3R17、-OSO3R17、-NR17R18、-SR17、-CN、-NO2、-CHO、-CO2R17、および-CONR17R18より選択され、その際にR17およびR18はそれぞれ独立してHおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択され; ならびにZは-O-または-S-である)
を有するアミノアルキルグルコサミニド4-ホスフェート化合物の調製方法であって、
(a) 下記式:

(式中、XはOまたはSであり; およびPGは独立して、ヒドロキシ基の酸素原子とエステル、エーテルもしくはカーボネートを形成する保護基、またはアミノ基の窒素原子とアミドもしくはカルバメートを形成する保護基をそれぞれ表す)
を有する2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース誘導体を、第3級アミンの存在下、三置換クロロシランRaRbRcSi-Cl(式中、Ra、Rb、およびRcは独立して、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキル、および選択的に置換されたフェニルからなる群より選択される)で選択的に6-O-シリル化して、6-シリル化誘導体を得る段階;
(b) 得られた6-O-シリル化誘導体の3-OH位を、カルボジイミド試薬および触媒の4-ジメチルアミノピリジンまたは4-ピロリジノピリジンの存在下、(R)-3-アルカノイルオキシアルカン酸またはヒドロキシ-保護(R)-3-ヒドロキシアルカン酸で選択的にアシル化して、4-O-アシル化誘導体を得る段階;
(c) 逐次的にまたは同時に、窒素保護基を選択的に脱保護し、得られたジアミンを、ペプチドカップリング試薬の存在下、(R)-3-アルカノイルオキシアルカン酸またはヒドロキシ-保護(R)-3-ヒドロキシアルカン酸でN,N-ジアシル化する段階;
(d) クロロホスフェートまたはホスホロアミダイト試薬により4位に保護リン酸基を導入して、ホスホトリエステルを得る段階; ならびに
(e) ホスフェート、シリル、および残る保護基を同時にまたは逐次的に脱保護する段階
を含む、方法。
【請求項67】
PGは2,2,2-トリクロロエチルオキシカルボニル基を表し、および三置換クロロシラン試薬はt-ブチルジメチルクロロシランである、請求項66記載の方法。
【請求項68】
3-O-アシル化に使用されるカルボジイミド試薬は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドメチオダイドであり、および触媒は4-ピロリジノピリジンである、請求項66記載の方法。
【請求項69】
N-アシル化に使用されるペプチドカップリング試薬は、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリンである、請求項66記載の方法。
【請求項70】
N-アシル化に使用されるペプチドカップリング試薬は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドメチオダイドである、請求項66記載の方法。
【請求項71】
リン酸保護基はベンジルまたは置換ベンジルである、請求項66記載の方法。
【請求項72】
リン酸保護基はt-ブチルである、請求項66記載の方法。
【請求項73】
リン酸保護基は2,2,2-トリクロロエチルである、請求項66記載の方法。
【請求項74】
リン酸保護基は2-トリメチルシリルエチルである、請求項66記載の方法。
【請求項75】
リン酸保護基はアリルである、請求項66記載の方法。
【請求項76】
PGは2,2,2-トリクロロエチルオキシカルボニル基を表し、三置換クロロシラン試薬はt-ブチルクロロジメチルシランであり、およびリン酸保護基はベンジルである、請求項66記載の方法。
【請求項77】
PGは9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基を表し、三置換クロロシラン試薬はt-ブチルクロロジメチルシランであり、およびリン酸保護基はベンジルである、請求項66記載の方法。
【請求項78】
2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース誘導体は下記式を有する、請求項66記載の方法:

【請求項79】
2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース誘導体は下記式を有する、請求項66記載の方法:

【請求項80】
2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース誘導体は下記式を有する、請求項66記載の方法:

【請求項81】
グルコピラノース誘導体を第3級アミンの存在下、t-ブチルクロロジメチルシランと反応させて、下記式を有する6-O-シリル化誘導体を得る、請求項78記載の方法:

【請求項82】
グルコピラノース誘導体を第3級アミンの存在下、t-ブチルクロロジメチルシランと反応させて、下記式を有する6-O-シリル化誘導体を得る、請求項79記載の方法:

【請求項83】
グルコピラノース誘導体をピリジンの存在下、t-ブチルクロロジメチルシランと反応させて、下記式を有する6-O-シリル化誘導体を得る、請求項80記載の方法:

【請求項84】
下記式:

(式中、Xは

であり;
Yは-O-または-NH-であり; R1およびR2はそれぞれ独立して飽和および不飽和(C2〜C24)脂肪族アシル基より選択され; R8は-Hまたは-PO3R11R12であって、R11およびR12はそれぞれ独立して-Hまたは(C1〜C4)脂肪族基であり; R9は-H、-CH3または-PO3R13R14であって、R13およびR14はそれぞれ独立して-Hおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択され; その際にR8およびR9のうちの少なくとも一方はリン含有基であるが、ただしR8およびR9は両方ともにリン含有基ではなく; 式中、p'およびm'の合計が0〜6の整数である場合、下付き文字n、m、p、q、n'、m'、p'およびq'はそれぞれ独立して0〜6の整数であり、ならびに下付き文字rは独立して2〜10の整数であり; R3、R11、およびR12は独立して飽和または不飽和(C2〜C24)脂肪族アシル基であり; およびXが式(Ia)または(Ic)である場合、R1、R2、R3、R11およびR12のうちの一つは選択的に水素であり; R4およびR5は独立してHおよびメチルより選択され; R6およびR7は独立してH、OH、(C1〜C4)オキシ脂肪族基、-PO3H2、-OPO3H2、-SO3H、-OSO3H、-NR15R16、-SR15、-CN、-NO2、-CHO、-CO2R15、-CONR15R16、-PO3R15R16、-OPO3R15R16、-SO3R15および-OSO3R15より選択され、その際にR15およびR16はそれぞれ独立してHおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択され; R10はH、CH3、-PO3H2、ω-ホスホノオキシ(C2〜C24)アルキル、およびω-カルボキシ(C1〜C24)アルキルより選択され; R13は独立してH、OH、(C1〜C4)オキシ脂肪族基、-PO3R17R18、-OPO3R17R18、-SO3R17、-OSO3R17、-NR17R18、-SR17、-CN、-NO2、-CHO、-CO2R17、および-CONR17R18より選択され、その際にR17およびR18はそれぞれ独立してHおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択され; ならびにZは-O-または-S-である)
を有するアミノアルキルグルコサミニド4-ホスフェート化合物の調製方法であって、
(1) 下記式:

(式中、XはSまたはOであり、PGはアセチルまたは置換アセチルであり、およびPG'はフタロイルまたは置換フタロイルである)
を有するアルコールまたはチオールを、下記式:

(式中、PGはアセチルまたは置換アセチルでありおよびPG'はフタロイルまたは置換フタロイルであり、ならびにQはCl、Br、F、OAc、またはC(CCl3)=NHである)
を有するグリコシルドナーにより、ルイス酸触媒の存在下でグリコシル化して、それぞれ下記式:

(式中、XはSまたはOである)
を有する2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース誘導体を得る段階;
(2) 2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース誘導体に存在するO-結合アセテート基を水酸化アンモニウムまたはナトリウムメトキシドのメタノール溶液で選択的に脱保護する段階;
(3) 段階(2)から得られた脱アセチル化誘導体を第3級アミンの存在下、アルキルハライドで選択的に6-O-アルキル化して、置換メチル、置換エチル、ベンジル、または置換ベンジルエーテルを形成させる段階;
(4) PGまたはPG'基をアルカリまたはジアミン塩基で選択的に脱保護する段階;
(5) 2つのアミノ基および3-OH位をペプチドカップリング試薬の存在下、(R)-3-アルカノイルオキシアルカン酸またはヒドロキシ-保護(R)-3-ヒドロキシアルカン酸で同時にまたは逐次的にトリアシル化する段階;
(6) クロロホスフェートまたはホスホロアミダイト試薬により4-OH位にリン酸基を導入して、ホスホトリエステルを得る段階; および
(7) リン酸基、6-O-アルキル基、および残る保護基を同時にまたは逐次的に脱保護する段階
を含む、方法。
【請求項85】
PG'はフタロイル基である、請求項84記載の方法。
【請求項86】
PG'はテトラクロロフタロイル基である、請求項84記載の方法。
【請求項87】
PGはアセチル基である、請求項84記載の方法。
【請求項88】
PG'はフタロイル基であり、QはOAcであり、およびルイス酸のグリコシル化触媒は塩化第二スズである、請求項84記載の方法。
【請求項89】
PG'はフタロイル基であり、QはC(CCl3)=NHであり、およびルイス酸触媒は三フッ化ホウ素エーテルである、請求項84記載の方法。
【請求項90】
PG'はフタロイル基であり、QはC(CCl3)=NHであり、およびルイス酸触媒はトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルである、請求項84記載の方法。
【請求項91】
PGはアセチル基であり、QはOAcであり、およびルイス酸のグリコシル化触媒は三フッ化ホウ素エーテルである、請求項84記載の方法。
【請求項92】
PGはアセチル基であり、QはOAcであり、およびルイス酸のグリコシル化触媒は塩化第二鉄である、請求項84記載の方法。
【請求項93】
PGはアセチル基であり、QはOAcであり、およびルイス酸のグリコシル化触媒はトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルである、請求項84記載の方法。
【請求項94】
6-OH保護基はトリフェニルメチル基または置換トリフェニルメチル基である、請求項84記載の方法。
【請求項95】
フタロイル基はヒドラジン水和物、アルキルジアミンまたは樹脂結合アルキルジアミンで除去される、請求項84記載の方法。
【請求項96】
アミノ基のアシル化に使用されるペプチドカップリング試薬は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドメチオダイドである、請求項84記載の方法。
【請求項97】
3-OH位のアシル化に使用されるペプチドカップリング試薬は、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドメチオダイドであり、および該3-OH位のアシル化を4-ピロリジノピリジン触媒の存在下で行う段階をさらに含む、請求項84記載の方法。
【請求項98】
アミノおよび3-OH基のアシル化が逐次的に行われる、請求項96記載の方法。
【請求項99】
アミノおよび3-OH基のアシル化が同時に行われる、請求項97記載の方法。
【請求項100】
リン酸保護基はベンジルまたは置換ベンジルである、請求項84記載の方法。
【請求項101】
リン酸保護基はt-ブチルである、請求項84記載の方法。
【請求項102】
2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース誘導体は下記式を有する、請求項84記載の方法:

【請求項103】
2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース誘導体は下記式を有する、請求項84記載の方法:

【請求項104】
2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース誘導体をナトリウムメトキシドのメタノール溶液で脱アセチル化し、得られる生成物を第3級アミンの存在下、選択的に置換されたトリフェニルメチルクロライドと反応させて、下記式を有する6-O-トリチル誘導体を得る、請求項102記載の方法:

【請求項105】
2-アミノ-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース誘導体をナトリウムメトキシドのメタノール溶液で脱アセチル化し、得られる生成物を第3級アミンの存在下、選択的に置換されたトリフェニルメチルクロライドと反応させて、下記式を有する6-O-トリチル誘導体を得る、請求項103記載の方法:

【請求項106】
6-O-トリチル誘導体を樹脂結合アルキルジアミンでN-脱保護して、下記式を有するジアミノジオールを形成させる、請求項104記載の方法:

【請求項107】
請求項105に記載の式の化合物を水酸化バリウム水溶液でN-脱保護して、下記式を有するジアミノジオールを形成させる、請求項105記載の方法:

【請求項108】
下記式を有する化合物:

(式中、下付き文字n、m、p、およびqはそれぞれ独立して0〜6の整数であり; R4およびR5は独立してHおよびメチルより選択され; PGはAocまたはTrocであり; R6およびR7は独立してH、OH、(C1〜C4)オキシ脂肪族基、-PO3H2、-OPO3H2、-SO3H、-OSO3H、-NR15R16、-SR15、-CN、-NO2、-CHO、-CO2R15、-CONR15R16、-PO3R15R16、-OPO3R15R16、-SO3R15および-OSO3R15より選択され、その際にR15およびR16はそれぞれ独立してHおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択され; R10はH、CH3、-PO3H2、ω-ホスホノオキシ(C2〜C24)アルキル、およびω-カルボキシ(C1〜C24)アルキルより選択され; R13は独立してH、OH、(C1〜C4)オキシ脂肪族基、-PO3R17R18、-OPO3R17R18、-SO3R17、-OSO3R17、-NR17R18、-SR17、-CN、-NO2、-CHO、-CO2R17、および-CONR17R18より選択され、その際にR17およびR18はそれぞれ独立してHおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択される)。
【請求項109】
下記式を有する化合物:

(式中、下付き文字n、m、p、およびqはそれぞれ独立して0〜6の整数であり; R4およびR5は独立してHおよびメチルより選択され; PGは独立してAcまたは選択的に置換されたフタロイルであり; R6およびR7は独立してH、OH、(C1〜C4)オキシ脂肪族基、-PO3H2、-OPO3H2、-SO3H、-OSO3H、-NR15R16、-SR15、-CN、-NO2、-CHO、-CO2R15、-CONR15R16、-PO3R15R16、-OPO3R15R16、-SO3R15および-OSO3R15より選択され、その際にR15およびR16はそれぞれ独立してHおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択され; R10はH、CH3、-PO3H2、ω-ホスホノオキシ(C2〜C24)アルキル、およびω-カルボキシ(C1〜C24)アルキルより選択され; R13は独立してH、OH、(C1〜C4)オキシ脂肪族基、-PO3R17R18、-OPO3R17R18、-SO3R17、-OSO3R17、-NR17R18、-SR17、-CN、-NO2、-CHO、-CO2R17、および-CONR17R18より選択され、その際にR17およびR18はそれぞれ独立してHおよび(C1〜C4)脂肪族基より選択される)。
【請求項110】
下記式を有する化合物:

【請求項111】
下記式を有する化合物:

【請求項112】
下記式を有する化合物:

【請求項113】
下記式を有する化合物:


【公開番号】特開2010−285446(P2010−285446A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173257(P2010−173257)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【分割の表示】特願2004−520086(P2004−520086)の分割
【原出願日】平成15年7月8日(2003.7.8)
【出願人】(505012896)コリクサ コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】