説明

免疫グロブリンをコードする核酸の決定

本明細書において、以下を含む、免疫グロブリンをコードするmRNAの量の決定のための方法を報告する:a)サンプルを提供すること、b)配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いて軽鎖を増幅させるためのポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、及び/又はc)配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いて重鎖を増幅させるためのポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、及びd)効率2.0を用いて定量化すること。配列番号23及び24を有するプライマーが、それぞれ位置CL 247−266及びCL166−185で結合し、配列番号33を有するプローブが、ヒトIgGカッパ鎖中の189〜212で結合する。配列番号19を有するプライマーが、CH領域2位置220〜237で結合し、配列番号21を有するプライマーが、CH領域3位置114〜133で結合する。最後に、配列番号40を有するプローブが、CH2中の位置315からCH3中の位置7までに結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫グロブリンをコードする核酸、即ち、RNA及びDNA、ならびに免疫グロブリンをコードする核酸のPCR決定用のプライマーの決定のための方法に関する。
【0002】
発明の背景
現在のバイオテクノロジープロセスにおいて、遺伝子操作された微生物が、治療用ポリペプチドを高収率で提供するために用いられる。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株が、組換えポリペプチド、特に治療用免疫グロブリンの産生のために広く使用される。この細胞株は二次改変を提供することが可能であり、最も重要なことは、CHO細胞株は、組換え産生されたポリペプチドを培養液に分泌することが可能であり、下流のプロセス操作を容易にする(Jiang, Z., et al., Biotechnol. Prog. 22 (2006) 313-138; Yee, J. C., et al., Biotechnol. Bioeng. 102 (2009) 246-263)。親細胞株と同様の組換え細胞株パラメータの生産性を増加させるために、培養液、又は培養条件を最適化しなければならない(Yee, J. C., et al., Biotechnol. Bioeng. 102 (2009) 246-263)。
【0003】
組換え細胞株のゲノムにおいて組込まれた異種核酸の位置、構造、及びコピー数の分析に基づき、組換え細胞株の特性についての決定のための指標を確立すべきである(Wurm, F. M., Ann. N. Y. Acad. Sci. 782 (1996) 70-78)。異種ポリペプチドをコードする核酸を、組換え細胞株のゲノム中にデオキシリボ核酸(DNA)として組込み、それは転写プロセスの間にリボ核酸(RNA)に転写される。RNAは、次に、翻訳プロセスにおけるタンパク質生合成のためのテンプレートである。遺伝子発現のためのRNAの重要性のために、この核酸の分析が重要性を得る(Seth, G., et al., Biotechnol Bioeng. 97 (2007) 933-951)。
【0004】
WO2008/094871において、高産生細胞株の選択のための方法が報告される。モノクローナル抗体産生CHO細胞株の試験が、Chusainow, J., et al.(Biotechnol. Bioeng. 102 (2009) 1182-1196)により報告される。Barnes, L. M., et al.(Biotechnol. Bioeng. 85 (2004) 115-121)は、組換えNS0骨髄腫細胞における安定的なタンパク質発現の予測指標の分子定義を報告する。
【0005】
発明の要約
本発明の一局面は、ポリメラーゼ連鎖反応及び絶対的定量化を用いた、IgG1又はIgG4サブクラスの免疫グロブリン軽鎖及び/又は免疫グロブリン重鎖をコードするmRNAの量の決定のための方法であって、以下
a)配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いて、TaqMan加水分解プローブフォーマットにおける色素FAMを用いて免疫グロブリン軽鎖についてのポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、及び/又は
b)配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いて、TaqMan加水分解プローブフォーマットにおける色素Cy5を用いて免疫グロブリン重鎖についてのポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、及び
c)効率2.0を用いて絶対的定量化を実施すること
による。
【0006】
本発明のさらなる局面は、配列番号23、配列番号24、及び配列番号33の核酸を含む第1のキットならびに配列番号19、配列番号21、及び配列番号40の核酸を含む第2のキットである。
【0007】
別の局面は、ポリメラーゼ連鎖反応における配列番号23、24、及び33又は配列番号19、21、及び40の核酸の使用である。
本発明の別の局面は、以下の順番で以下:
− 生産性が公知の細胞において異種ポリペプチドをコードするmRNAの量を決定すること、
− 生産性が未知の細胞において前記異種ポリペプチドをコードするmRNAの量を決定すること、
− 生産性が公知の前記細胞に対する生産性が未知の前記細胞の前記異種ポリペプチドをコードするmRNAの決定量の比率を算出すること、
− 生産性が公知の前記細胞の生産性を、算出された前記比率を用いて乗じ、それにより異種ポリペプチドを発現する細胞の生産性を決定すること
の工程を含む、異種ポリペプチドを発現する細胞の生産性を決定するための方法である。
【0008】
一実施態様において、前記異種ポリペプチドは、免疫グロブリン、又は免疫グロブリンフラグメント、又は免疫グロブリン抱合体である。さらなる実施態様において、mRNAの前記量の前記決定は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介する。一実施態様において、mRNAの量を決定することは、配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いた、TaqMan加水分解プローブフォーマットにおける色素FAMを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、及び/又は、配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いた、TaqMan加水分解プローブフォーマットにおける色素Cy5を用いたポリメラーゼ連鎖反応による。さらなる実施態様において、前記異種免疫グロブリンをコードするmRNAの前記量は、前記異種免疫グロブリンの軽鎖をコードするmRNAの量及び前記異種免疫グロブリンの重鎖をコードするmRNAの量の平均である。別の実施態様において、前記生産性は、pg/細胞/日の特定産生率である。別の実施態様において、前記ポリメラーゼ連鎖反応は、マルチプレックスポリメラーゼ連鎖反応である。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明において、免疫グロブリンをコードする核酸(DNA)のコピー数及びそこから生成される転写物(RNA)の量を使用し、異種免疫グロブリンを発現する組換えCHO細胞株の生産性を決定できることが見出されている。また、異種ポリペプチドをコードするmRNAの量が、そのような細胞の特定の生産性についての測定であることが見出されている。
【0010】
本発明は、以下:
a)配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施し、及び/又は配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施し、それにより生産性が公知の細胞において免疫グロブリンをコードするmRNAの量を決定すること、
b)配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施し、及び/又は配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施し、それにより生産性が未知の細胞において免疫グロブリンをコードするmRNAの量を決定すること、
c)生産性が公知の細胞に対する生産性が未知の細胞の免疫グロブリンをコードするmRNAの決定量の比率を算出すること、
d)生産性が公知の細胞の生産性を、算出された比率を用いて乗じ、それにより免疫グロブリンを発現する細胞の生産性を決定すること
を含む、免疫グロブリンを発現する細胞の生産性を決定するための方法を含む。
【0011】
当業者に公知の方法及び技術は、本発明を行うために有用であり、例えば、Ausubel, F. M., ed., Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I to III (1997), Wiley and Sons; Sambrook, et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y. (1989)において記載される。
【0012】
本願内で使用する「アミノ酸」という用語は、カルボキシαアミノ酸の群を示し、それらは直接的に又は前駆体の形態で、核酸によりコードされうる。個々のアミノ酸は、3つのヌクレオチドからなる核酸、いわゆるコドン又は塩基トリプレットによりコードされる。各アミノ酸は、少なくとも1つのコドンによりコードされる。異なるコドンによる同じアミノ酸のコードは、「遺伝コードの縮重」として公知である。本願内で使用する「アミノ酸」という用語は、天然に存在するカルボキシαアミノ酸を示し、アラニン(3文字コード:ala、1文字コード:A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リジン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、スレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)、及びバリン(val、V)を含んでいる。
【0013】
「核酸」又は「核酸配列」は、これらの用語は本願内で互換的に使用され、個々のヌクレオチド(塩基とも呼ぶ)A、C、G、及びT(又はRNA中のU)からなるポリマー分子、例えばDNA、RNA、又はその改変を指す。このポリヌクレオチド分子は、天然に存在するポリヌクレオチド分子もしくは合成ポリヌクレオチド分子又は1つ又は複数の天然に存在するポリヌクレオチド分子と1つ又は複数の合成ポリヌクレオチド分子の組み合わせでありうる。また、この定義により、1つ又は複数のヌクレオチドが変化(例、突然変異誘発による)、欠失、又は付加されている天然に存在するポリヌクレオチド分子が包含される。核酸を、単離する、又は別の核酸、例えば、発現カセット、プラスミド、又は細胞の染色体中に組込むことができる。
【0014】
当業者に対して、(例、ポリペプチドの)アミノ酸配列を、このアミノ酸配列をコードする対応する核酸配列に変換するための手順及び方法が周知である。従って、核酸は、個々のヌクレオチドからなるその核酸配列により、及び同様に、それによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列により特徴付けられる。
【0015】
「ポリペプチド」は、天然で又は合成的に産生されたかを問わず、ペプチド結合により連結されたアミノ酸からなるポリマーである。約20アミノ酸残基未満のポリペプチドを「ペプチド」といってもよいのに対し、2つ又はそれ以上のポリペプチドからなる又は100を上回るアミノ酸残基の1つのポリペプチドを含む分子を「タンパク質」といってもよい。ポリペプチドは、また、非アミノ酸成分、例えば炭水化物基、金属イオン、又はカルボン酸エステルなどを含んでもよい。非アミノ酸成分を、ポリペプチドが発現される細胞により加えてもよく、細胞型によって変動しうる。ポリペプチドは、本明細書において、それらのアミノ酸骨格構造又はこれをコードする核酸に関して定義する。付加物、例えば炭水化物基などは、一般的に特定されず、しかし、それにもかかわらず存在してもよい。
【0016】
「免疫グロブリン」という用語は、種々の形態の免疫グロブリン構造(完全免疫グロブリン及び免疫グロブリン抱合体を含む)を包含する。本発明において用いられる免疫グロブリンは、一実施態様において、ヒト抗体、又はヒト化抗体、又はキメラ抗体、又はT細胞抗原枯渇抗体である(例、WO98/33523、WO98/52976、及びWO00/34317を参照のこと)。免疫グロブリンの遺伝子操作は、例えば、Morrison, S. L., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 6851-6855; US 5,202,238及びUS 5,204,244; Riechmann, L., et al., Nature 332 (1988) 323-327; Neuberger, M. S., et al., Nature 314 (1985) 268-270; Lonberg, N., Nat. Biotechnol. 23 (2005) 1117-1125に記載されている。免疫グロブリンは、種々のフォーマット(例えば、Fv、Fab、及びF(ab)2ならびに一本鎖(scFv)又はダイアボディ)で存在しうる(例、Huston, J. S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1988) 5879-5883; Bird, R. E., et al., Science 242 (1988) 423-426;一般的に、Hood et al., Immunology, Benjamin N. Y., 2nd edition (1984);及びHunkapiller, T. and Hood, L., Nature 323 (1986) 15-16)。
【0017】
「完全免疫グロブリン」という用語は、2つのいわゆる軽鎖及び2つのいわゆる重鎖を含む免疫グロブリンを示す。完全免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の各々は、抗原と相互作用できる結合領域を含む可変ドメイン(可変領域)(一般的に、ポリペプチド鎖のアミノ末端部分)を含む。完全免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の各々は、定常領域(一般的に、カルボキシ末端部分)を含む。重鎖の定常領域は、抗体の、i)Fcガンマ受容体(FcγR)を持つ細胞、例えば食細胞など、又はii)Brambell受容体としても公知の新生児Fc受容体(FcRn)を持つ細胞に対する結合を媒介する。それは、また、古典的補体系、例えば成分(C1q)などの因子を含む一部の因子に対する結合を媒介する。免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖の可変ドメインは、次に、異なるセグメント、即ち、4つのフレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(CDR)を含む。
【0018】
「免疫グロブリン抱合体」という用語は、ペプチド結合を介してさらなるポリペプチドに抱合された免疫グロブリン重鎖又は軽鎖の少なくとも1つのドメインを含むポリペプチドを示す。さらなるポリペプチドは、非免疫グロブリンペプチド、例えばホルモン、又は増殖受容体、又は抗融合ペプチド、又は補体因子などである。例示的な免疫グロブリン抱合体が、WO2007/045463に報告されている。
【0019】
「異種免疫グロブリン」という用語は、哺乳動物細胞又は宿主細胞により天然で産生されない免疫グロブリンを示す。本発明の方法に従い産生される免疫グロブリンは、組換え手段により産生される。そのような方法は、最先端技術において広く公知であり、真核細胞におけるタンパク質発現を含み、続く異種免疫グロブリンの回収及び単離、ならびに通常は医薬的に許容可能な純度までの精製を伴う。免疫グロブリンの産生、即ち、発現のために、軽鎖をコードする核酸及び重鎖をコードする核酸を、各々、標準方法により発現カセット中に挿入する。免疫グロブリン軽鎖及び重鎖をコードする核酸を、従来手順を使用して、容易に単離及び配列決定する。ハイブリドーマ細胞は、そのような核酸の供給源としての役割を果たしうる。発現カセットを発現プラスミド中に挿入してもよく、それを次に本来は免疫グロブリンを産生しない宿主細胞中にトランスフェクトする。発現を、適切な原核又は真核宿主細胞中で実施し、免疫グロブリンを、溶解後の細胞から又は培養上清から回収する。
【0020】
「単離ポリペプチド」には、本質的に、混入する細胞成分、例えば炭水化物、脂質、又は天然でポリペプチドに関連する他のタンパク質性不純物などがないポリペプチドである。典型的には、単離ポリペプチドの調製物は、ポリペプチドを、高度に精製された形態で、即ち、少なくとも約80%純粋、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、95%を上回り純粋、又は99%を上回り純粋に含む。特定のタンパク質調製物が単離ポリペプチドを含むことを示す1つの方法は、タンパク質調製物のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びゲルのクーマシーブリリアントブルー染色に続く単一バンドの出現による。しかし、「単離」という用語は、代わりの物理的形態、例えば二量体又は代わりにグリコシル化又は誘導体化形態などでの同じポリペプチドの存在を除外しない。
【0021】
「異種DNA」又は「異種ポリペプチド」は、所与の宿主細胞内で天然に存在しないDNA分子もしくはポリペプチド、又はDNA分子の集団もしくはポリペプチドの集団を指す。特定の宿主細胞に対して異種であるDNA分子は、宿主DNAが非宿主DNA(即ち、外因性DNA)と組み合わされる限り、宿主細胞種に由来するDNA(即ち、内因性DNA)を含みうる。例えば、プロモーターを含む宿主DNAセグメントに機能的に連結されたポリペプチドをコードする非宿主DNAセグメントを含むDNA分子は、異種DNA分子であると考えられる。逆に、異種DNA分子は、外因性プロモーターに機能的に連結された内因性構造遺伝を含みうる。非宿主DNA分子によりコードされるペプチド又はポリペプチドは、「異種」ペプチド又はポリペプチドである。
【0022】
「細胞」又は「宿主細胞」という用語は、核酸(例、異種ポリペプチドをコードする)をトランスフェクトできる又はされる細胞を指す。「細胞」は、原核細胞(プラスミドの増殖のために使用される)及び真核細胞(核酸の発現及びコードされるポリペプチドの産生のために使用される)の両方を含む。一実施態様において、真核細胞は哺乳動物細胞である。別の実施態様において、哺乳動物細胞は、CHO細胞、好ましくはCHO K1細胞(ATCC CCL−61又はDSM ACC 110)、又はCHO DG44細胞(CHO−DHFR[−], DSM ACC 126としても公知)、又はCHO XL99細胞、CHO−T細胞(例、Morgan, D., et al., Biochemistry 26 (1987) 2959-2963を参照のこと)、又はCHO−S細胞、又はSuper−CHO細胞(Pak, S. C. O., et al., Cytotechnology. 22 (1996) 139-146)である。これらの細胞が無血清培地中又は浮遊状態での増殖に適応されない場合、本発明における使用前での適応を実施すべきである。本明細書において使用される「細胞」という表現は、対象細胞及びその子孫を含む。このように、「形質転換体」及び「形質転換細胞」という語は、トランスファー又は継代培養の数にかかわらず、初代対象細胞及びそれに由来する培養物を含む。また、全ての子孫が、意図的又は偶発的な突然変異のため、DNA含量において正確に同一ではない場合があることが理解される。元の形質転換細胞についてスクリーニングされたのと同じ機能及び生物学的活性を有するバリアント子孫が含まれる。
【0023】
本明細書において使用される「発現」という用語は、細胞内で生じる転写及び翻訳プロセスを指す。細胞における目的の核酸配列の転写レベルを、細胞中に存在する対応するmRNAの量に基づき決定できる。例えば、目的の配列から転写されるmRNAを、RT−PCRにより又はノーザンハイブリダイゼーションにより定量化できる(Sambrook, et al., 1989、上記を参照のこと)。目的の核酸によりコードされるポリペプチドを、種々の方法、例、ELISAにより、ポリペプチドの生物学的活性をアッセイすることにより、又はそのような活性に非依存的なアッセイ(例えばウエスタンブロッティング又はラジオイムノアッセイなど)を用いることにより、ポリペプチドを認識し、それに結合する免疫グロブリンを使用して定量化できる(Sambrook, et al., 1989、上記を参照のこと)。
【0024】
遺伝子の発現は、一過性又は持続性の発現として実施される。目的のポリペプチドは、一般的に、分泌ポリペプチドであり、従って、N末端伸長(シグナル配列としても公知)を含み、それは、細胞壁を通じた、細胞外培地中へのポリペプチドの輸送/分泌のために必要である。一般的に、シグナル配列は、分泌ポリペプチドをコードする任意の遺伝子に由来しうる。異種シグナル配列が使用される場合、それは、好ましくは、宿主細胞により認識され、プロセシングされる(即ち、シグナルペプチダーゼにより切断される)ものである。酵母における分泌のために、例えば、発現させるべき異種遺伝子の天然シグナル配列を、分泌遺伝子に由来する同種の酵母シグナル配列、例えば酵母インベルターゼシグナル配列、アルファ因子リーダー(サッカロマイセス(Saccharomyces)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、及びハンゼヌラ(Hansenula)α因子リーダーを含み、第2はUS5,010,182に記載されている)、酸性ホスファターゼシグナル配列、又はC.アルビカンス(C.albicans)グルコアミラーゼシグナル配列(EP0362179を参照のこと)などにより置換してもよい。哺乳動物細胞での発現において、目的のタンパク質の天然シグナル配列が満足できるが、他の哺乳動物シグナル配列が適する場合がある。例えば、同種の又は関連種の分泌ポリペプチドからのシグナル配列(例、ヒト又はマウス由来の免疫グロブリン用)、ならびにウイルス分泌シグナル配列、例えば、ヘルペス単純糖タンパク質Dシグナル配列など。そのようなプレセグメントをコードするDNAフラグメントを、目的のポリペプチドをコードするDNAフラグメントにインフレームでライゲーションし、即ち、機能的に連結する。
【0025】
本発明の方法に従った、例えば、CHO細胞のトランスフェクションを、トランスフェクション及び選択の連続工程として実施する。本発明の方法において適するCHO細胞は、例えば、CHO K1細胞、又はCHO DG44細胞、又はCHO XL99細胞、又はCHO DXB11細胞、又はCHO DP12細胞、又はsuper−CHO細胞である。本発明の範囲内で、トランスフェクト細胞を、当技術分野において公知の実質的に任意の種類のトランスフェクション方法を用いて得てもよい。例えば、核酸を、細胞中に、エレクトロポレーション又はマイクロインジェクションを用いて導入してもよい。あるいは、リポフェクション試薬、例えばFuGENE 6(Roche Diagnostics GmbH, Germany)、X-tremeGENE(Roche Diagnostics GmbH, Germany)、LipofectAmine(Invitrogen Corp., USA)、及びnucleotransfection(AMAXA Corp.)などを使用してもよい。あるいは、核酸を、細胞中に、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、又はアデノ関連ウイルスに基づく適切なウイルスベクターシステムにより導入してもよい(Singer, O., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101 (2004) 5313-5314)。
【0026】
通常、DNA又はRNAレベルでの遺伝子発現プロファイリングを、マルチステップ手順によりルーチンでモニターする。第1に、それぞれの細胞サンプルを培養容器から除去する。付着細胞の場合において、回収は、固形支持体から付着細胞を剥離するためのトリプシン処理(トリプシン−EDTA溶液を用いた処理)により支持されうる。第2に、回収した細胞をペレット状にして細胞溶解に供する。第3の工程として、通常、サンプル中に存在する全RNA、mRNA、又はDNAを少なくとも部分的に精製することが要求される(例、EP0389063を参照のこと)。その後、要求される場合、第1鎖cDNA合成工程を、RNA依存性DNAポリメラーゼ、例えばAMV又はMoMULV Reverse Transcriptase(Roche Applied Science, Germany)などを用いて実施する。
【0027】
続いて、DNA又は生成されたcDNAの量を、定量的PCR(Sanger, G. and Goldstein, C., Biochemica 3 (2001) 15-17)を用いて又は代わりにDNAマイクロアレイ上での増幅及び続くハイブリダイゼーション(Kawasaki, E. S., Ann. N. Y. Acad. Sci. 1020 (2004) 92-100)を用いて定量化する。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の場合において、ワンステップRT−PCRを実施してよく、第1鎖cDNA合成及び続く増幅は、同じポリメラーゼ、例えばT.thポリメラーゼ(Roche Applied Science Cat. No. 11 480 014, Germany)などにより触媒されることを特徴とする。
【0028】
一実施態様において、遺伝子発現分析はリアルタイムPCRに基づく。そのようなリアルタイムでのモニタリングは、PCR反応における核酸の増幅の進行をリアルタイムでモニター及び定量化することを特徴とする。様々な検出フォーマットが当技術分野において公知である。以下で言及する検出フォーマットは、PCRのために有用であることが証明されており、ひいては遺伝子発現分析のための簡単で分かりやすい可能性を提供する:
【0029】
a)TaqMan加水分解プローブフォーマット:
一本鎖ハイブリダイゼーションプローブを2つの成分を用いて標識する。第1成分が適した波長の光を用いて励起される場合、吸収エネルギーは、蛍光共鳴エネルギー転移の原理に従い、第2成分、いわゆるクエンチャーに移される。PCR反応のアニーリング工程の間に、ハイブリダイゼーションプローブが標的DNAに結合し、続く伸長段階の間にTaqポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性により分解される。結果として、励起された蛍光成分及びクエンチャーが互いに空間的に分離され、ひいては第1成分の蛍光放出を測定できる。TaqManプローブアッセイが、詳細に、US5,210,015、US5,538,848、及びUS5,487,972において報告されている。TaqManハイブリダイゼーションプローブ及び試薬混合物が、US5,804,375において報告されている。
【0030】
b)分子ビーコン:
これらのハイブリダイゼーションプローブを蛍光成分及びクエンチャーを用いて標識し、標識は、好ましくは、プローブの両端に位置付けられる。プローブの二次構造の結果として、両方の成分が溶液中で空間的に近接する。標的核酸へのハイブリダイゼーション後、両方の成分を互いに分離し、適した波長の光を用いた励起後、第1成分の蛍光放出を測定できるようにする(US5,118,801)。
【0031】
c)FRETハイブリダイゼーションプローブ:
FRETハイブリダイゼーションプローブテストフォーマットは、全ての種類の同種ハイブリダイゼーションアッセイのために特に有用である(Matthews, J. A. and Kricka, L. J., Anal. Biochem. 169 (1988) 1-25)。それは、同時に使用され、増幅された標的核酸の同じ鎖の隣接部位に相補的である二本鎖ハイブリダイゼーションプローブにより特徴付けられる。両方のプローブを、異なる蛍光成分を用いて標識する。適した波長の光を用いて励起した場合、第1成分は、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)の原理に従い、吸収エネルギーを第2成分に移し、第2成分の蛍光放出を、両方のハイブリダイゼーションプローブが検出すべき標的分子の隣接位置に結合した場合、測定できる。FRETアクセプター成分の蛍光における増加をモニターする代わりに、FRETドナー成分の蛍光減少を、ハイブリダイゼーション事象の定量的測定値としてモニターすることも可能である。
【0032】
特に、FRETハイブリダイゼーションプローブフォーマットを、増幅した標的DNAを検出するために、リアルタイムPCRにおいて使用してもよい。リアルタイムPCRの技術分野において公知の全ての検出フォーマットの内、FRETハイブリダイゼーションプローブフォーマットが、高感度で、正確で、信頼できることが証明されている(WO97/46707;WO97/46712;WO97/46714を参照のこと)。2つのFRETハイブリダイゼーションプローブの代用として、蛍光標識プライマー及び1つだけの標識されたオリゴヌクレオチドプローブを使用することも可能である(Bernard, P. S., et al., Anal. Biochem. 255 (1998) 101-107)。これに関して、任意に、プライマーをFRETドナー又はFRETアクセプター化合物を用いて標識することを選んでもよい。
【0033】
d)SYBR(登録商標)Greenフォーマット:
リアルタイムPCRを添加剤の存在において実施する場合、増幅産物が二本鎖核酸結合成分を使用して検出されることも本発明の範囲内である。例えば、それぞれの増幅産物を、本発明に従い、蛍光DNA結合色素により検出することもでき、それは、適した波長の光を用いた励起後、二本鎖核酸との相互作用時に対応する蛍光シグナルを放出する。色素SYBR(登録商標)Green I及びSYBR(登録商標)Gold(Molecular Probes, USA)が、この適用に特に適することが証明されている。インターカレート色素を代わりに使用できる。しかし、このフォーマットのために、異なる増幅産物を識別するために、それぞれの融解曲線分析を実施する必要がある(US6,174,670)。
【0034】
e)マルチプレックスフォーマット:
1つの反応容器における異なる核酸の同時決定を、マルチプレックスリアルタイムPCRと称する。一般的に、各々の核酸の決定のために、他の用いられる色素と干渉しない又は小さな重複だけを有する蛍光色素が要求される。
【0035】
本発明において使用され、本発明の局面でもあるPCRプライマーを、以下:
− 増幅すべき配列に対する特異的結合、
− プライマー二量体の形成がない又は可能性が低い、
− 長さ18〜25ヌクレオチド、
− G/C含量が約50%、
− 融解温度が約60℃、
− 500塩基対又はそれ以下、一実施態様において、100〜250塩基対のアンプリコン、
− 好ましくは、プライマーは隣接エクソンには結合し、PCR産物は、ゲノムDNAとcDNAの増幅の間の識別を可能にする少なくとも1つのイントロンに及ぶべきである
のパラメータに従い、ソフトウェアeprimer3を用いて設計した。
【0036】
設計されたプライマーと相補的な核酸が、IgG1及びIgG4型の免疫グロブリンと同一の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の定常領域内に位置付けられる。
【0037】
本発明において使用され、本発明の局面でもあるプローブを、以下:
− 融解温度が約70℃、
− 5’末端にGなし、
− プライマー又は他のプローブと二量体形成なし又は可能性が低い、
− 好ましくは、RT−PCRのために使用されることが意図されるプローブは、ゲノムDNAとcDNAの増幅の間での識別を可能にする2つの異なる隣接エクソンに結合すべきである
のパラメータに従い、ソフトウェアeprimer3を用いて設計した。
【0038】
一実施態様において、設計されたプライマーと相補的な核酸が、IgG1及びIgG4型の免疫グロブリンと同一の免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の定常領域内に位置付けられる。プローブを、以下:
− 軽鎖:蛍光色素FAM、465nmで励起、510nmで検出、
− 参照遺伝子:Yakima Yellow色素、533nmで励起、580nmで検出、
− 重鎖:蛍光色素IRD 700又はCy5、618nmで励起、660nmで検出
の通りにマルチプレックスRT−PCRを可能にするために、標識した。
【0039】
表1に列挙するプライマー及びプローブを設計し、各々は個々に及び組み合わせは本発明の局面である。
【0040】
【表1】

【0041】
免疫グロブリン定常領域中のプライマー及びプローブの位置を、図1〜4に示す。
【0042】
以下において、本発明を、アミロイドβ−A4ペプチドに特異的に結合する免疫グロブリン(抗Aβ抗体)を産生する3つの細胞株に基づき例示し、それにより免疫グロブリンをコードする核酸を含むプラスミドを用いて、第1の細胞株を1回トランスフェクトし、第2の細胞株を2回トランスフェクトし、第3の細胞株を3回トランスフェクトする。
【0043】
免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の遺伝子発現を、色素SYBR(登録商標)Green I及びTaqManプローブを使用し、定常領域コード部分中の重鎖及び軽鎖mRNAの定量化によるRT−PCRを用いて決定した。決定は、一実施態様において、全細胞RNAを用いて実施する。
【0044】
3つの細胞株での抗体軽鎖のmRNA量の決定を、非依存的に、各々3つの異なるmRNA量(250ng、50ng、及び10ng)及び色素SYBR(登録商標)Green Iを用いて5回実施した。プライマーの組み合わせ#131及び#132を用いて得られた1つの代表的な実験での結果を、1回トランスフェクトされた細胞株8C8でのmRNA量に基づいて列挙し、それは表2において100%相対量に設定された。2回トランスフェクトされた細胞株4F5は、1回トランスフェクトされた細胞株よりも約40%多い免疫グロブリン軽鎖をコードするmRNAを有すること、及び3回トランスフェクトされた細胞株20F2は約70%多い免疫グロブリン軽鎖をコードするmRNAを有することが分かる。
【0045】
【表2】

【0046】
上で実施された決定方法は特異的である。なぜなら、単一産物だけが、アガロースゲル電気泳動により確認され、図5に示される通りに得られるからである。
【0047】
TaqMan加水分解プローブを用いた3つの細胞株での抗体軽鎖のmRNA量の決定のために、最初に、本発明のこの局面において有用なプライマー及びプローブの組み合わせを決定しなければならなかった。表3に列挙する組み合わせをテストした。
【0048】
【表3】

【0049】
上に列挙する異なるプライマー−プローブの組み合わせを用いて得られるPCR産物(例、図6)は、プライマー#133及び#132とプローブ#166の組み合わせならびにプライマー#133及び#38とプローブ#166の組み合わせが、高い特異性の産物収率及び低い副産物形成を伴うPCR産物をもたらしたことを示す。このように、プライマー−プローブの組み合わせ#133、#132、及び#166ならびにプライマー−プローブの組み合わせ#133、#38、及び#166自体が、本発明の特定の局面ならびにこれらのプライマー−プローブの組み合わせの使用の態様である。一実施態様において、プライマー−プローブの組み合わせ#133、#132、及び#166である。この組み合わせが好ましい。なぜなら、それはより良好なPCR効率、即ち、図7に示す増幅曲線での急勾配の増加を示すからである。
【0050】
3つの細胞株での抗体軽鎖のmRNA量の決定を、独立に、3つの異なるmRNA量(250ng、50ng、及び10ng)を用いて各々4回実施した。プライマーの組み合わせ#133/#132及びプローブ#166を用いて得られた1つの代表的な実験での結果を、1回トランスフェクトされた細胞株でのmRNA量に基づいて列挙し、それは表4において100%相対量に対して設定された。細胞株4F5は、1回トランスフェクトされた細胞株よりも約77%多い免疫グロブリン軽鎖をコードするmRNAを有すること、及び細胞株20F2は約114%多い免疫グロブリン軽鎖をコードするmRNAを有することが分かる。
【0051】
【表4】

【0052】
上で実施された決定方法は特異的である。なぜなら、単一産物だけが、アガロースゲル電気泳動により確認される通りに得られるからである。
【0053】
抗体重鎖のmRNA量の決定のために、プライマー#62及び#65ならびに色素SYBR(登録商標)Green Iを使用した。これらのプライマーは2つの異なるエクソン(それぞれCH1及びCH2領域)に結合し、それらは1つのイントロン、ヒンジエクソン、及び第2イントロンにより分離される。
【0054】
3つの細胞株での抗体重鎖のmRNA量の決定を、独立に、3つの異なるmRNA量(250ng、50ng、及び10ng)を用いて各々3回実施した。上で実施された決定方法は特異的である。なぜなら、単一産物だけが、アガロースゲル電気泳動により確認され、図8に示される通りに得られるからである。
【0055】
プライマーの組み合わせ#62/#65を用いて得られた1つの代表的な実験での結果を、1回トランスフェクトされた細胞株でのmRNA量に基づいて列挙し、それは表5において100%相対量に対して設定された。細胞株4F5は、1回トランスフェクトされた細胞株よりも約60%多い免疫グロブリン軽鎖をコードするmRNAを有すること、及び細胞株20F2は約140%多い免疫グロブリン軽鎖をコードするmRNAを有することが分かる。
【0056】
【表5】

【0057】
TaqMan加水分解プローブを用いた3つの細胞株での抗体重鎖のmRNA量の決定のために、最初に、本発明のこの局面において有用なプライマー及びプローブの組み合わせを決定しなければならなかった。プライマー#62、#65、#66、#68、#67、#62、#63ならびにTaqManプローブ#167及び#168の組み合わせをテストした。プローブは、5’末端に色素IRD700を含んだ。上に列挙する異なるプライマー−プローブの組み合わせを用いて得られるPCR産物(例、図9)は、組み合わせプライマー#66及び#68とプローブ#168ならびに組み合わせプライマー#67及び#68とプローブ#168が、高い特異性の産物収率及び低い副産物形成を伴うPCR産物をもたらしたことを示す。蛍光強度における増加のため、プローブ#168の蛍光色素がCy5に交換した。この新たなプローブをプローブ#173として示す。このように、プライマー−プローブの組み合わせ#66、#68、及び#168又は#173ならびにプライマー−プローブの組み合わせ#67、#68、及び#168又は#173自体が、本発明の特定の局面ならびに本発明の方法におけるこれらのプライマー−プローブの組み合わせの使用である。一実施態様において、プライマー−プローブの組み合わせ#66、#68、及び#173である。この組み合わせが好ましい。なぜなら、それはより良好なPCR効率、即ち、増幅曲線での急勾配の増加を示すからである。
【0058】
3つの細胞株での抗体重鎖のmRNA量の決定を、独立に、3つの異なるmRNA量(250ng、50ng、及び10ng)を用いて各々4回実施した。プライマーの組み合わせ#66/#68及びプローブ#173を用いて得られた1つの代表的な実験での結果を、1回トランスフェクトされた細胞株でのmRNA量に基づいて列挙し、それは表6において100%相対量に対して設定された。細胞株4F5は、1回トランスフェクトされた細胞株よりも約88%多い免疫グロブリン重鎖をコードするmRNAを有すること、及び細胞株20F2は約126%多い免疫グロブリン軽鎖をコードするmRNAを有することが分かる。
【0059】
【表6】

【0060】
上で実施された決定方法は特異的である。なぜなら、単一産物だけが、アガロースゲル電気泳動により確認される通りに得られるからである。
【0061】
日内及び研究室間での変動を排除するために得られた結果を標準化するために、ハウスキーピング遺伝子に対する相関を使用できる。酵素グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)をコードする遺伝子をこの目的のために使用できることが見出されている。このように、本発明の一局面は、プライマー−プローブの組み合わせ#169/#170及び#171ならびにGAPDH mRNAの決定のためのTaqManプローブPCRフォーマットにおける前記組み合わせの使用である。
【0062】
マルチプレックスPCR反応において、免疫グロブリン重鎖をコードするmRNA、免疫グロブリン軽鎖をコードするmRNA、及びGAPDHをコードするmRNAの同時増幅及び検出を実施した。単一決定のために、プライマー−プローブの組み合わせ#132/#133/#166(軽鎖、FAM色素)、#66/#68/#173(重鎖、Cy5色素)、及び#169/#170/#171(GAPDH、Yakima Yellow色素)を使用した。GAPDH遺伝子についての組み合わせは、マルチプレックスPCR反応において有用ではなかった。しかし、プライマー−プローブの組み合わせ#148/#149/#174が、GAPDH mRNAのマルチプレックスPCR決定において有用であることが見出されている。このように、本発明の一局面は、プライマー−プローブの組み合わせ#148/#149及び#174ならびにマルチプレックスPCR反応におけるその使用である。
【0063】
プライマー−プローブの組み合わせ#132/#133/#166(軽鎖の増幅及び検出用、FAM色素)、#66/#68/#173(重鎖の増幅及び検出用、Cy5色素)、及び#148/#149/#174(GAPDH増幅及び検出用、Yakima Yellow色素)を用いたマルチプレックスPCR後、PCR産物を2%アガロースゲル上で分離した。検出されたバンドは、予測されたフラグメント101bp(軽鎖)、197bp(GAPDH)、244bp(重鎖)に相関した(図10を参照のこと)。
【0064】
リアルタイムPCR反応の効率は、4重で決定された希釈系列(200ng、100ng、50ng、25ng、12.5ng、6.25ng、3.125ng)に基づいて決定され、表7に与える。
【0065】
【表7】

【0066】
このように、算出のための効率2を使用できる。
【0067】
マルチプレックスPCRにおいて、細胞株8C8と比較し、細胞株4F5及び20F2における免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖をコードするmRNAについての以下の量(100%に設定する)が見出された。
【0068】
【表8】

【0069】
現在、細胞の特定産生率(SPR)は、産生された異種ポリペプチドをコードするmRNAの量と十分に相関することが見出されている。
【0070】
これは、シンプレックスPCR反応(表9)ならびにマルチプレックスPCR反応(表10)について見出された。
【0071】
【表9】

【0072】
【表10】

【0073】
現在、因数を、異種ポリペプチドの未知のSPRを伴う細胞及び公知のSPRを伴う細胞のPCRを介して決定されたmRNAの量に基づいて算出できることが見出されており、それによって未知のSPRの算出が可能になる。
【0074】
【表11】

【0075】
このように、本発明の一局面は、以下:
− 生産性が公知の細胞において異種ポリペプチドをコードするmRNAの量を決定すること、
− 生産性が未知の細胞において異種ポリペプチドをコードするmRNAの量を決定すること、
− 生産性が公知の細胞に対する生産性が未知の細胞の異種ポリペプチドをコードするmRNAの決定量の比率を算出すること、
− 生産性が公知の前記細胞の生産性を、算出された前記比率を用いて乗じ、それにより異種ポリペプチドを発現する細胞の生産性を決定すること
の工程を含む、異種ポリペプチドを発現する細胞の生産性を決定するための方法である。
【0076】
一実施態様において、異種ポリペプチドは、免疫グロブリン又は免疫グロブリンフラグメント又は免疫グロブリン抱合体である。一実施態様において、異種免疫グロブリンは、多量体異種免疫グロブリンである。別の実施態様において、異種ポリペプチドをコードするmRNAの量は、サブユニットの数で割った、前記異種ポリペプチドの全サブユニットをコードするmRNAの量の合計である。一実施態様において、生産性は、特定産生率(pg/細胞/日)である。一実施態様において、異種免疫グロブリンをコードするmRNAの量は、異種免疫グロブリンの軽鎖をコードするmRNAの量と異種免疫グロブリンの重鎖をコードするmRNAの量の平均である。一実施態様において、mRNAの量を決定することは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介する。一実施態様において、PCRはマルチプレックスPCRである。別の実施態様において、PCRは逆転写PCR(RT−PCR)である。一実施態様において、算出された比率を因数0.925により乗ずる。
【0077】
例えば、親細胞での特定産生率は100pg/細胞/日である。生産性が未知の細胞のmRNAのマルチプレックスPCRを介して、免疫グロブリン軽鎖をコードするmRNAの量を169%に決定し、免疫グロブリン重鎖をコードするmRNAの量を親細胞のmRNAの量の161%に決定した。前記mRNA量の平均は、親細胞のmRNAの量の165%又は1.65倍である。このように、親細胞のSPR100pg/細胞/日を1.65により乗じ、それによりSPR165pg/細胞/日を得る。未知の細胞のSPRを165pg/細胞/日に決定した。
【0078】
本願内で使用する「約」という用語は、示した値の+/−10%の偏差を示す。このように、「約1.65」という用語は、1.49〜1.82の範囲を示す。
【0079】
それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に依存し、抗体をクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに分け、これらのいくつかをさらにサブクラス、例えばIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4、IgA1及びIgA2などに分けてもよい。異なるクラスの抗体に対応する重鎖定常領域をそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ぶ。全ての5つの抗体クラスにおいて見出すことができる軽鎖定常領域をκ(カッパ)及びλ(ラムダ)と呼ぶ。
【0080】
ゲノム中に組込まれる異種免疫グロブリンをコードする異なる遺伝子コピー数のため、これらの遺伝子から転写されるmRNAの量も異なる。このように、本発明のさらなる局面は、以下:
a)サンプルを提供すること、
b)配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、及び/又は
c)配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、及び
d)効率2.0を用いて定量化すること
を含む、mRNAについての相対的定量化又はDNAについての絶対的定量化を用いたmRNA又はDNAの量の決定のための方法である。
【0081】
異なる細胞株の特定の生産性がmRNA量と十分に相関することがさらに見出されている。免疫グロブリンの重鎖をコードするmRNAが、免疫グロブリンをコードするmRNAの30%を占め、免疫グロブリンの軽鎖をコードするmRNAが、免疫グロブリンをコードするmRNAの70%を占めることも見出されている。
【0082】
本発明のさらなる局面は、以下:
a)細胞を提供すること、
b)前記細胞のRNAを単離すること、
c)単離RNAを用いて、配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、
d)単離RNAを用いて、配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、
e)工程c)及びd)においてポリメラーゼ連鎖反応産物が得られる場合、免疫グロブリン産生細胞として細胞を選択すること
を含む、免疫グロブリン産生細胞の選択のための方法である。
【0083】
一実施態様において、提供される細胞を、免疫グロブリンをコードする核酸を用いてトランスフェクトしている。別の実施態様において、提供される細胞は、内因性に免疫グロブリンを産生しない細胞である。一実施態様において、細胞は複数の細胞である。
【0084】
本発明の別の局面は、以下:
a)複数の細胞を提供すること、
b)前記細胞の各々のRNAを単離すること、
c)単離RNAを用いて、配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、
d)単離RNAを用いて、配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、
e)工程c)及びd)において形成されたポリメラーゼ連鎖反応産物の量に基づき細胞を選択すること、
f)選択された細胞を培養すること、
g)細胞又は培養液から免疫グロブリンを回収し、それにより免疫グロブリンを生産すること
を含む、免疫グロブリンの生産のための方法である。
【0085】
一実施態様において、工程d)において最高量のポリメラーゼ連鎖反応産物を有する細胞を選択する。
【0086】
本発明のさらなる局面は、ハイスループット様式での IgG1及びIgG4重鎖及び軽鎖の同時決定のための方法である。
【0087】
本発明の一実施態様において、異種ポリペプチドは抗Abeta抗体である。
【0088】
先に提示した本発明の方法の一実施態様において、ポリメラーゼ連鎖反応はTaqMan加水分解プローブフォーマットである。別の実施態様において、前記軽鎖プライマーを、色素FAMを用いて標識し、重鎖プライマーを色素Cy5を用いて標識する。一実施態様において、配列番号23及び24のプライマーは免疫グロブリン軽鎖用であり、配列番号19及び20のプライマーは免疫グロブリン重鎖用である。一実施態様において、工程c)及びd)は、また、リアルタイムで核酸の増幅を測定し、核酸の増幅量を決定することを含む。
【0089】
以下の実施例、配列リスト、及び図を提供し、本発明の理解を助け、その真の範囲を添付の特許請求の範囲に記載する。本発明の精神から逸脱することなく、記載する手順を修正できることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】軽鎖定常領域(ヒトIgGカッパ鎖;配列番号44)におけるプライマー及びプローブの位置及び方向。
【図2】重鎖定常領域1(ヒトIgG重鎖CH1;配列番号45)におけるプライマー及びプローブの位置及び方向。
【図3】重鎖定常領域2(ヒトIgG重鎖CH2;配列番号46)におけるプライマー及びプローブの位置及び方向。
【図4】重鎖定常領域3(ヒトIgG重鎖CH3;配列番号47)におけるプライマー及びプローブの位置及び方向。
【図5】プライマーの組み合わせ#131及び#132ならびにSYBR(登録商標)GREEN Iを用いた軽鎖PCR反応のアガロースゲル分離。
【図6】45サイクルPCR反応の8μlサンプルのアガロースゲル分離;サンプル:MW:塩基対マーカー;1:139/134−165;2:139/134−166;3:139/132−165;4:139/132−166;5:139/146−165;6:139/146−166;7:139/38−147;8:139/38−165;9:139/38−166;10:139/146−147;11:131/38−166;12:131/38−147;13:37/134−166;14:37/132−166;15:37/146−166;16:37/146−147;17:145/146−147;18:145/38−147;19:131/134−165;20:131/134−166;21:131/132−165;22:131/132−166;23:131/146−166;24:131/146−165;25:131/146−147;26:131/38−165;27:37/38−166;28:133/134−166;29:133/132−166;30:133/146−166;31:133/146−147;32:133/38−166。
【図7】それぞれプライマー−プローブの組み合わせ#133、#132、及び#166、又は#133/#38、及び#160を用いたPCR反応の増幅曲線。
【図8】プライマー#62及び#65ならびに色素SYBR(登録商標)Green Iを用いた重鎖PCR反応のアガロースゲル分離;bpm=塩基対標準マーカー;1:空の参照;2:8C8;3:4F5;4:20F2。
【図9】45サイクルPCR反応の8μlサンプルのアガロースゲル分離;サンプル:MW:塩基対マーカー;1:空の参照;2:62/65−167;3:66/68−168;4:67/68−168。
【図10】プライマー−プローブの組み合わせ#132/#133/#166(軽鎖の増幅及び検出用、FAM色素)、#66/#68/#173(重鎖の増幅及び検出用、Cy5色素)、及び#148/#149/#174(GAPDHの増幅及び検出用、Yakima Yellow色素)を用いたマルチプレックスPCRのPCR産物のアガロースゲル。検出されたバンドは、予測されたフラグメント101bp(軽鎖)、197bp(GAPDH)、及び244bp(重鎖)に相関した。
【0091】
実施例
材料&方法
ヒト免疫グロブリン軽鎖及び重鎖のヌクレオチド配列に関する一般情報を以下に与える:Kabat, E. A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)。抗体鎖のアミノ酸をEUナンバリングに従って番号付けする(Edelman, G. M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 63 (1969) 78-85; Kabat, E. A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, (1991))。
【0092】
組換えDNA技術:
標準方法を使用し、Sambrook, J., et al., Molecular cloning: A laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989に記載されている通りにDNAを操作した。分子生物学的試薬を製造業者の指示に従って使用した。
【0093】
遺伝子合成:
所望の遺伝子セグメントを、化学合成により作製されたオリゴヌクレオチドから調製した。100〜600bp長のセグメントは、1つの制限エンドヌクレアーゼ切断部位により隣接されており、PCR増幅を含むアニーリング及びライゲーションにより組み立てられ、続いて、Aオーバーハングを介してpCR2.1−TOPO−TAクローニングベクター(Invitrogen Corp., USA)又はpPCR−Script Amp SK(+)クローニングベクター(Stratagene Corp., USA)中にクローニングした。サブクローニングされた遺伝子フラグメントのDNA配列をDNA配列決定により確認した。
【0094】
DNAオリゴヌクレオチド合成:
未標識プライマー及びプローブを、蛍光色素及びクエンチャーを用いて標識し、化学合成により生成した。
【0095】
タンパク質の決定:
タンパク質濃度を、アミノ酸配列に基づき算出されたモル吸光係数を使用し、280nmでの光学密度を決定することにより決定した。
DNA及びRNAの決定:DNA及びRNA濃度を、光学密度1が50μg/ml二本鎖DNA又は40μg/ml RNAに対応すると仮定し、260nmでの光学密度を測定することにより決定した。
【0096】
細胞数の決定:
細胞数をCASY(登録商標)TTモデルにおいて決定した。細胞数決定の前に、細胞を、トリプシンを用いた37℃で10分間の処理により個別化した。トリプシン処理を、ウシ胎仔血清(FCS)の添加により終結した。
【0097】
免疫グロブリン力価の決定:
免疫グロブリン力価を、抗ヒトFc ELISAにより又はプロテインAクロマトグラフィーにより、自己精製抗体を参照として使用して決定した。
【0098】
SDS−PAGE
LDSサンプルバッファー、4倍濃縮液(4×):4gグリセロール、0.682g TRIS−Base、0.666g TRIS−ハイドロクロライド、0.8g LDS(ドデシル硫酸リチウム)、0.006g EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、0.75mlの水中Serva Blue G250の1重量%(w/w)溶液、0.75mlのフェノールレッドの1重量%(w/w)溶液、水を加えて全容積10mlにする。分泌された免疫グロブリンを含む培養ブロスを遠心分離し、細胞及び細胞細片を除去した。一定分量の浄化された上清を、1/4容積(v/v)の4×LDSサンプルバッファー及び1/10容積の(v/v)の0.5M 1,4−ジチオスレイトール(DTT)と混合した。次に、サンプルを10分間にわたり70℃でインキュベートし、タンパク質をSDS−PAGEにより分離した。NuPAGE(登録商標)Pre-Castゲルシステム(Invitrogen Corp., USA)を、製造業者の指示に従い使用した。特に、10% NuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)Bis-TRIS Pre-Castゲル(pH 6.4)及びNuPAGE(登録商標)MOPSバッファーを使用した。
【0099】
ウエスタンブロット
トランスファーバッファー:39mMグリシン、48mM TRIS−ハイドロクロライド、0.04%(w/w)SDS、及び20%(v/v)メタノール。
【0100】
SDS−PAGE後、分離された免疫グロブリン鎖を、Burnetteの「セミドライブロッティング方法」(Burnette, W. N., Anal. Biochem. 112 (1981) 195-203)に従い、電気泳動的にニトロセルロースフィルター膜(孔径:0.45μm)にトランスファーした。
【0101】
RNA単離
RNAを、Qiagen(Hilden, Germany)からのRNeasy(登録商標)mini-Kitを用いて、製造業者のマニュアルに従って単離している。DNA混入を、DNAseの添加により排除した。RNAを、培養3日目に採取された1×10個の細胞から単離した。
【0102】
DNA単離
ゲノムDNAを、Qiagen(Hilden, Germany)からのBlood & Cell Culture DNA Midi Kitを用いて、製造業者のマニュアルに従い、培養4日目の1×10個の細胞から単離した。
【0103】
リアルタイムPCR又はリアルタイムRT−PCR
リアルタイムPCR又はリアルタイムRT−PCRのために、色素SYBR(登録商標)Green I及びTaqManプローブを使用している。反応混合物を、調製後及び増幅前に、暗所において氷上に置く。決定及び分析を、LightCycler(登録商標)2.0-System及びLightCycler(登録商標)ソフトウェア4.1又はLightCycler(登録商標)II 480-System及びLightCycler(登録商標)ソフトウェア1.5(全てRoche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)を用いて実施した。
【0104】
実施例1
抗Aβ抗体を発現させるための発現ベクター
本発明の方法を例示できる例の抗体は、アミロイドβ−A4ペプチドに対する抗体(抗Aβ抗体)である。そのような抗体及び対応する核酸配列は、例えば、WO2003/070760又はUS2005/0169925又は配列番号1〜12に報告されている。
【0105】
3つの抗Aβ抗体を発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を、WO2009/046978に報告する通りに、3つの連続的な完全トランスフェクション及び選択操作により生成した。
【0106】
ゲノムヒトκ軽鎖定常領域遺伝子セグメント(Cカッパ、CL)を、抗Aβ抗体の軽鎖可変領域に加え、ヒトγ1重鎖定常領域遺伝子セグメント(CH1−ヒンジ−CH2−CH3)を、抗Aβ抗体の重鎖可変領域に加えた。完全κ軽鎖及びγ1重鎖抗体遺伝子を、次に、5’末端のヒトサイトメガロウイルス(HCMV)プロモーター及び3’末端のヒト免疫グロブリンポリアデニル化シグナル配列に連結させた。
【0107】
抗Aβ抗体の発現及び産生のために、軽鎖及び重鎖発現カセットを単一の発現ベクターに置いた(時計回りで軽鎖の上流の重鎖)。3つの同一の発現ベクターを生成し、選択マーカー遺伝子、特にネオマイシン、ハイグロマイシン、又はピューロマイシンに対する耐性を与える遺伝子を含むことだけが異なった。
【0108】
前適応させた親宿主細胞を、浮遊状態で、合成の動物成分不含ProCHO4完全培地中で、標準的な加湿条件(95%、37℃、及び5% CO)下で増殖させた。細胞密度に応じた定期的な間隔で、細胞を新鮮培地中に分割した。細胞を、対数増殖期において遠心分離により回収し、無菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で1回洗浄し、無菌PBS中に再懸濁した。
【0109】
トランスフェクション前に、抗Aβ抗体発現プラスミドを、βラクタマーゼ遺伝子(E.coliアンピシリン耐性マーカー遺伝子)内で、制限エンドヌクレアーゼPvuI又はAviIIを使用して線形化した。切断したDNAを、エタノールを用いて沈殿させ、真空下で乾燥させ、無菌PBS中に溶解した。一般的に、トランスフェクションのために、CHO細胞を、PBS中で約10個の細胞当たり20〜50μg線形化プラスミドDNAを用いて、室温でエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションを、Gene Pulser XCellエレクトロポレーションデバイス(Bio-Rad Laboratories)を用いて、2mmギャップキュベット中で、単一180Vパルスを用いた方形波プロトコールを使用して実施した。トランスフェクション後、細胞を、96ウェル培養プレート中のProCHO4完全培地中にプレーティングした。24時間の増殖後、1つ又は複数の選択剤を含む溶液を加えた(ProCHO4完全選択培地;G418:400μg/ml;ハイグロマイシン:600μg/ml;ピューロマイシン:8μg/ml)。1週間に1回、ProCHO4完全選択培地を交換した。抗Aβ抗体の抗体濃度を、培養上清中のヒトIgG1に特異的なELISAアッセイを用いて分析した。
【0110】
抗Aβ抗体産生細胞株の選択のために、生産性を、抗ヒトIgG1 ELISA及び/又は分析プロテインA HPLCを使用し、6ウェル培養プレート、Tフラスコ、及び/又はエルレンマイヤー撹拌フラスコ中での増殖後、ProCHO4完全選択培地中でテストした。
【0111】
1回目のトランスフェクション及び選択工程のために、選択剤ネオマイシンに対する耐性を与える遺伝子を含むプラスミドを使用している。プラスミドを、エレクトロポレーションを用いて、ProCHO4完全培地中の増殖に適応させた親細胞株中にトランスフェクトした。トランスフェクト細胞を、96ウェルプレート中の700μg/mlまでのG418を添加したProCHO4完全培地中で培養した。培養上清中の抗体濃度を、抗ヒトIgG1 ELISAにより評価した。約1000クローンをテストしており、その内の選択されたものを、24ウェルプレート、6ウェルプレート、続いて撹拌フラスコ中でさらに培養した。約20クローンの増殖及び生産性を、静置培養及び浮遊培養において、抗ヒトIgG1 ELISA及び/又は分析プロテインA HPLCにより評価した。最良のクローン(最良のクローンは最も生産的なクローンを示さず、それは、さらなる工程のための最良の特性を伴うクローンを示す)を、700μg/ml G418を添加したProCHO4条件培地中での限界希釈によりサブクローニングした。選択したクローンを8C8と名付けた。
【0112】
2回目のトランスフェクション及び選択工程のために、選択剤ハイグロマイシンに対する耐性を与える遺伝子を含むプラスミドを使用している。プラスミドを、エレクトロポレーションを用いて、700μg/ml G418を添加したProCHO4完全培地中で培養された細胞株中にトランスフェクトしている。トランスフェクト細胞を、約2〜3週間にわたり、200μg/ml G418及び300μg/mlハイグロマイシンを添加したProCHO4条件培地(ProCHO4二重選択培地)中で拡大した。単一の抗体分泌細胞を、Protein A Alexa Fluor抱合体を用いた染色後でのFACS分析によるそれらの蛍光強度に基づき特定及び寄託した。寄託細胞を、96ウェルプレート中のProCHO4二重選択培地中で培養した。培養上清中の抗体濃度を、抗ヒトIgG1 ELISAにより評価した。約500クローンをテストしており、その内の選択されたものを、24ウェルプレート、6ウェルプレート、続いて撹拌フラスコ中でさらに培養した。約14クローンの増殖及び生産性を、静置培養及び浮遊培養において、抗ヒトIgG1 ELISA及び/又は分析プロテインA HPLCにより評価した。選択したクローンを4F5と名付けた。
【0113】
3回目のトランスフェクション及び選択工程のために、選択剤ピューロマイシンに対する耐性を与える遺伝子を含むプラスミドを使用している。プラスミドを、エレクトロポレーションを用いて、ProCHO4二重選択培地中で培養された細胞株中にトランスフェクトしている。トランスフェクト細胞を、約2〜3週間にわたり、ProCHO4三重選択培地(200μg/ml G418及び300μg/mlハイグロマイシン及び4μg/mlピューロマイシンを添加したProCHO4条件培地)中で拡大した。単一の抗体分泌細胞を、Protein A Alexa Fluor抱合体を用いた染色後でのFACS分析によるそれらの蛍光強度に基づき特定及び寄託した。寄託細胞を、96ウェルプレート中のProCHO4三重選択培地中で培養した。培養上清中の抗体濃度を、抗ヒトIgG1 ELISAにより評価した。約500クローンをテストしており、その内の選択されたものを、24ウェルプレート、6ウェルプレート、続いて撹拌フラスコ中でさらに培養した。約10クローンの増殖及び生産性を、静置培養及び浮遊培養において、抗ヒトIgG1 ELISA及び/又は分析プロテインA HPLCにより評価した。選択したクローンを20F2と名付けた。
【0114】
クローンの特徴:
以下の表から分かる通り、3日間の培養後での倍加時間及び細胞密度は、基礎細胞株CHO−K1(野生型)及び選択されたクローンを比較した場合、同程度であった。
【0115】
【表12】

【0116】
実施例2
SYBR(登録商標)Green Iを用いたリアルタイムRT−PCR
SYBR(登録商標)Green Iを用いたRT−PCRのために、LightCycler(登録商標)2.0システムを用いた(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)。細胞株8C8、4F5、及び20F2の各々のRNAから、減少するRNA濃度を伴う希釈系列を調製及び分析した。全サンプル中のRNA量に、全RNA量、即ち、野生型RNA及びサンプルRNAの合計が、全サンプル中で同じになる方法で、野生型RNAを添加した。
【0117】
サンプル調製後、5μlのサンプルを15μlのRT−PCR−SG溶液と混合した。RT−PCR−SG溶液は以下:
5μlのPCRグレード水
1.3μlの50nM Mn(OAc)
7.5μlのSYBR(登録商標)Green I Pre-Mix
0.6μlのフォワードプライマー(10pmol/μl)
0.6μlのリバースプライマー(10pmol/μl)
を含む。
【0118】
各サンプルから、3つの異なるRNA量を分析した(250ng、50ng、及び10ng)。PCR条件は表13に示す通りである。
【0119】
【表13】

【0120】
蛍光を530nmで決定した。
【0121】
類似して、LightCycler(登録商標)II 480をRT−PCRにおいて用いた。PCR条件を表14に示した。
【0122】
【表14】

【0123】
実施例3
TaqMan加水分解プローブを用いたリアルタイムRT−PCR
TaqMan加水分解プローブを用いたリアルタイムRT−PCRのために、LightCycler(登録商標)II 480システムを用いた(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)。PCRサンプルを、LightCycler(登録商標)480 RNA Master Hydrolysis Probes Kit(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)を使用して調製した。
【0124】
サンプル調製後、5μlのサンプルを15μlのRT−PCR−HS溶液と混合した。RT−PCR−HS溶液は以下:
3.8μlのPCRグレード水
1.3μlの3.25nM Mn(OAc)
7.4μlのLightCycler(登録商標)Pre-Mix
1.0μlのフォワードプライマー(10pmol/μl)
1.0μlのリバースプライマー(10pmol/μl)
0.5μlのTaqMan加水分解プローブ(10pmol/μl)
を含む。
【0125】
PCR条件は表15に示す通りである。
【0126】
【表15】

【0127】
実施例4
TaqMan加水分解プローブを用いたリアルタイムマルチプレックスRT−PCR
マルチプレックスRT−PCRのために、それぞれ2又は3のTaqMan加水分解プローブを組み合わせた。サンプル調製後、5μlのサンプルを15μlのRT−PCR−M_HS溶液を混合した。
【0128】
【表16】

【0129】
マルチプレックスRT−PCRの結果は、用いられたTaqManプローブについて生成された色補償プログラムを用いて補正されている。
【0130】
実施例5
リアルタイムPCR
リアルタイムPCRのために、SYBR(登録商標)Green I及びTaqManプローブを用いたLightCycler(登録商標)II 480システムを使用している。各サンプルを、サンプル−DNA希釈物50ng、25ng、10ng、5ng、及び2.5ng中で4重で決定した。リアルタイムPCRのために、15μlの対応するPCR溶液を、続いて5μlのサンプル−DNAを、96ウェルマイクロタイタ―プレートのウェル中に置いた。プレートを、LightCycler(登録商標)480密封ホイル(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)を用いて密封し、1,500×gで2分間にわたり遠心した。その後、プレートをLightCycler(登録商標)480システムに乗せた。データの決定及び分析を、LightCycler(登録商標)480ソフトウェアバージョン1.5を用いて行った。
【0131】
コピー数を、線形形態の外部標準としての実施例1の第1トランスフェクションプラスミドを用いた絶対的定量化により決定した。
【0132】
SYBR(登録商標)Green I
リアルタイムPCRのために、LightCycler(登録商標)FastStart Master PLUS SYBR Green I Kit(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)を用いた。
【0133】
反応混合物は以下:
9μlのPCRグレード水
4μlのSYBR(登録商標)Green I Pre-Mix
1μlのフォワードプライマー(10pmol/μl)
1μlのリバースプライマー(10pmol/μl)
で構成された。
【0134】
用いたPCR条件は、表17に示す通りであった。
【0135】
【表17】

【0136】
TaqMan加水分解プローブ
RT−PCRのために、LightCycler(登録商標)480 Probes Master Kit(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)を使用した。反応混合物は以下:
2.5μlのPCRグレード水
10μlのLightCycler(登録商標)Pre-Mix
1μlのフォワードプライマー(10pmol/μl)
1μlのリバースプライマー(10pmol/μl)
0.5μlのTaqMan加水分解プローブ(10pmol/μl)
で構成された。
【0137】
用いたPCR条件は、表18に示す通りであった。
【0138】
【表18】

【0139】
絶対的定量化
絶対的定量化において、核酸配列の量を、前記配列のコピー数に関して決定する。標準及び参照関数を、実施例1で使用した第1プラスミドの公知の濃度を伴う5つの溶液の分析により決定した。参照関数は、Cp値と核酸のコピー数の間での直線関係を提供し、サンプル中での未知コピー数の決定を可能にした。
【0140】
標準サンプルの希釈物は、2.5×10〜2.5×10コピーのプラスミドを含んだ。標準関数での線形化プラスミドのコピー数(Nk)の算出を、以下の等式(1)〜(4)に従い行った(例、Jiang, Z., et al., Biotechnol. Prog.22 (2006) 313-318を参照のこと):
【0141】
(1)Mプラスミド=bpプラスミド×Mbp=14,033bp・660gmol-1=9,261,780gmol-1
(2)cプラスミド=92.92ngμl-1(線形化後)
(3)N=6.022×1023mol-1(アボガドロ数)
(4)N=cプラスミド・N/Mプラスミド=6.0416×10コピーμl-1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)サンプルを提供すること、
b)配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、及び/又は
c)配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、及び
d)効率2.0を用いて定量化すること
を含む、mRNAの量の決定のための方法。
【請求項2】
a)未知の生産性を有する細胞及び公知の生産性を有する細胞を提供すること、
b)生産性が公知の該細胞のRNAを用いて、配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施し、及び/又は配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施し、それにより生産性が公知の細胞において該免疫グロブリンをコードするmRNAの量を決定すること、
c)生産性が未知の該細胞のRNAを用いて、配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施し、及び/又は配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施し、それにより生産性が未知の細胞において該免疫グロブリンをコードするmRNAの量を決定すること、
d)生産性が公知の該細胞に対する生産性が未知の該細胞の該免疫グロブリンをコードするmRNAの決定量の比率を算出すること、
e)生産性が公知の該細胞の生産性を、算出された該比率を用いて乗じ、それにより免疫グロブリンを発現する細胞の生産性を決定すること
を含む、免疫グロブリンを発現する細胞の生産性を決定するための方法。
【請求項3】
a)細胞を提供すること、
b)該細胞のRNAを単離すること、
c)単離RNAを用いて、配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、
d)単離RNAを用いて、配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いてポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、
e)工程c)及びd)においてポリメラーゼ連鎖反応産物が得られる場合、免疫グロブリン産生細胞として細胞を選択すること
を含む、免疫グロブリン産生細胞の選択のための方法。
【請求項4】
a)複数の細胞を提供すること、
b)該細胞の各々のRNAを単離すること、
c)単離RNAの各々を用いて、配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いて個別にポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、
d)単離RNAの各々を用いて、配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いて個々にポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、
e)工程c)及びd)において形成されたポリメラーゼ連鎖反応産物の量に基づいて免疫グロブリン産生細胞として細胞を選択すること
を含む、免疫グロブリン産生細胞の選択のための方法。
【請求項5】
a)複数の細胞を提供すること、
b)該細胞の各々のRNAを単離すること、
c)単離RNAの各々を用いて、配列番号23及び24のプライマーならびに配列番号33のプローブを用いて個別にポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、
d)単離RNAの各々を用いて、配列番号19及び21のプライマーならびに配列番号40のプローブを用いて個別にポリメラーゼ連鎖反応を実施すること、
e)工程c)及び/又はd)において形成されたポリメラーゼ連鎖反応産物の量に基づき細胞を選択すること、
f)選択された細胞を培養すること、
g)細胞又は培養培地から免疫グロブリンを回収し、それにより免疫グロブリンを生産すること
を含む、免疫グロブリン生産のための方法。
【請求項6】
工程d)において最高量のポリメラーゼ連鎖反応産物を有する細胞を選択することを特徴とする、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
提供された細胞又は提供された細胞群が、免疫グロブリンをコードする核酸を用いてトランスフェクトされていることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
比率が因数0.925を用いて乗じられることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項9】
ポリメラーゼ連鎖反応がTaqMan加水分解プローブフォーマットであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
配列番号23及び24のプライマーが免疫グロブリン軽鎖用であり、配列番号19及び20のプライマーが免疫グロブリン重鎖用であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
軽鎖プライマーを、色素FAMを用いて標識し、重鎖プライマーを色素Cy5を用いて標識することを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ポリメラーゼ連鎖反応を実施する工程が、さらに、リアルタイムで核酸の増幅を測定し、核酸の増幅量を決定することを含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
ポリメラーゼ連鎖反応が逆転写ポリメラーゼ連鎖反応であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
a)配列番号23の核酸、
b)配列番号24の核酸、及び
c)配列番号33の核酸
を含むキット。
【請求項15】
a)配列番号19の核酸、
b)配列番号21の核酸、及び
c)配列番号40の核酸
を含むキット。
【請求項16】
ポリメラーゼ連鎖反応における配列番号23、24、及び33又は配列番号19、21、及び40の核酸の使用。

【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−506243(P2012−506243A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532530(P2011−532530)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007521
【国際公開番号】WO2010/046094
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】