説明

免疫グロブリン分画およびそのためのプロセス

本発明は、食品添加物としての使用のためのIgAを含む組成物の生産に関する。より具体的には、それはIgA濃縮乳製品抽出組成物を調製するプロセス、およびそのような組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、食品添加物としての使用のためのIgAを含む組成物の生産に関する。より具体的には、IgA濃縮乳製品抽出組成物を調製するプロセス、およびそのような組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、本領域においてこれまでに何がなされたかということに照らして理解されるべきである。しかしながら、以下の議論は、言及されたいかなる資料も、本出願の優先日においてオーストラリアにおいて公表され、使用され、または共通の一般的知識の一部であったことを承認または自認するものではない。
【0003】
免疫グロブリンA(IgA)は、母乳を含むヒトの分泌物における主要な免疫グロブリンであり、病原ウイルス、細菌、真菌、およびそれらの毒素に結合して、身体に病原体に対する防御を提供する。IgAは、乳児に、前述の病原体に対する本質的な防御を提供する。IgA抗体は、それらが消化管内の酵素による分解に抵抗性であるがゆえに、経口的に服用されたときに有効であり、従って栄養補給食品または栄養補助食品として理想的である。IgAは、病原体に起因する悪影響を抑制するかまたは減じるために、プロバイオティクスと組み合わされてもよい。適用には、鼻、目、耳、肺、乳房、および膣などにおけるヒト粘膜面の感染の原因となる病原体を標的とする栄養補給食品原料としてのIgAの使用が含まれる。さらに、IgAを含む製品は、消化管および口腔の健康的適用に適する。牛乳中に通常存在するIgAが低レベルであるため、IgAの収率を商業規模に増大させる確立された方法は、乳におけるレベルをブーストする免疫化レジメによる。典型的には、牛乳は約1:8の比率でIgAおよびIgGを含む。
【0004】
食品消費のためのIgAを含む組成物は、目下、本質的に同じプロセスを用いて、また事実上同じ様式において、世界的に生産されている。最も一般的な生産手法は、通常たくさんの乳牛がウイルスなどの免疫原性物質を投与されて、過剰免疫応答を引き起こす、過剰免疫化プロセスと呼ばれる。過剰免疫応答の結果として、免疫化乳牛によって生産された乳は増大した量のIgAを含み、別に「過剰免疫乳」として知られている。過剰免疫乳は、次に、標準的な膜技術を用いて濃縮され、約5% w/wのIgAを含む乳製品抽出物を産生し、乳児用調合乳のためなどの栄養補助食品として用いることができる。
【0005】
過剰免疫乳を生産する手順に特有な問題は、それが乳牛に過剰免疫応答を発生させるために免疫化レジメが通常3ヵ月まで、それからIgAを含む乳製品抽出物の商用量を生産するのに十分な分量の過剰免疫乳を収集するのにさらに1ヶ月かかることである。加えて、この手順は本発明のプロセスと比べて高価でもある。
【0006】
IgAは、可変的な糖鎖修飾により約4.5〜6.5の範囲において酸性の等電点、すなわちpIを有し、通常、商用価値があるであろうほどの量において陽イオン交換樹脂に吸着できるとは考えられない。本発明のプロセスは、驚くべきことに、負荷および溶出条件を改変することによって、陽イオン交換クロマトグラフィによる脱脂乳などの乳製品からのIgAの分画を可能にさせる。そのようなプロセスは、商業規模においてはこれまでに達成されていない。
【0007】
さらに、本発明のプロセスは、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、または増殖因子などの、乳製品のその他の成分の精製のための既存のプロセスの一部として含められる可能性がある。そのようなプロセスの一例においては、乳製品を陽イオン交換樹脂と接触させ、IgA濃縮画分が最初に、引き続きIgA除去ラクトペルオキシダーゼ画分が、そして次にラクトフェリン画分が、増大するイオン強度の移動相による連続的溶出によって溶出される。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明は、乳牛の過剰免疫、従ってそれに関与する時間およびコストの必要性を予め除去する、IgA濃縮乳製品抽出組成物を調製するプロセスに関する。
【0009】
従って、IgA濃縮乳製品抽出組成物を提供すること、およびそのためのプロセスが本発明の目的であり、そのプロセスは、商業規模で使用することができ、それは先行技術の不都合の少なくともいくつかを克服する。「IgA濃縮」という用語は、溶出された乳製品抽出物中のIgA:IgGの比率が、分画前の乳製品中のIgA:IgGの比率と比べて増大したことを意味する。
【0010】
本発明の1つの局面によれば、乳製品から抽出されたIgAおよびIgGを含むIgA濃縮乳製品抽出組成物を調製するプロセスが提供され、そこではIgGに対する相対的なIgAの含量が乳製品におけるそれと比べて増大しており、そのプロセスは、
乳製品の供給源、
陽イオン交換樹脂、および
移動相
を提供する段階;
IgAがIgGに比べてその上に優先的に吸着するように、乳製品を陽イオン交換樹脂と接触させる段階;
移動相によって陽イオン交換樹脂を溶出する段階;並びに
溶出したIgA濃縮画分を採取する段階
を含む。
【0011】
乳製品が必ずしも牛の全乳に限定されず、IgA濃縮乳製品抽出組成物の生産における開始点としてその他の乳製品を用いることができることは当業者に明らかであろう。
【0012】
本発明のさらなる局面において、乳製品が全乳、脱脂乳、乳清、および初乳からなる群より選択されるプロセスが提供される。
【0013】
IgA濃縮乳製品抽出組成物が生産される特定の条件は異なっていてもよく、依然としてIgA濃縮画分をもたらす。
【0014】
それゆえに、本発明の好ましい局面において、溶出が、0.05〜0.4M(0.29〜2.34% w/v)NaClまたは等価なイオン強度、好ましくは0.08〜0.35M(0.47〜2.05% w/v)NaCl、より好ましくは約0.17M(1% w/v)NaClまたは等価なイオン強度を含む移動相で行われるプロセスが提供される。代替方法では、等価なイオン強度の他の適当な移動相溶液が用いられてもよい。
【0015】
本発明のもうひとつの局面において、移動相は、4.5〜9の範囲のpH、好ましくは5.5〜7.5、最も好ましくは約6.5のpHを有する。
【0016】
本発明のもうひとつの局面において、接触段階の間に乳製品が陽イオン交換カラムに吸着する流量が、毎時樹脂1リットルあたり6〜90リットル(線流量毎時60〜900cm)の範囲でありうる。好ましくは、使用される流量が、毎時樹脂1リットルあたり6〜70リットル(線流量毎時60〜700cm)、より好ましくは、毎時樹脂1リットルあたり6〜40リットル(線流量毎時60〜400cm)の範囲である。これらの流量では、IgAの最適な分画のために、陽イオン交換樹脂に接触している乳製品の量は、約16〜300カラム(層(bed))容積、好ましくは16〜200カラム容積、より好ましくは16〜40カラム容積の範囲であることが見出されている。
【0017】
本発明のさらなる局面において、IgA濃縮画分の溶出に先立ち、陽イオン交換樹脂は、低イオン強度(<0.008Mの塩またはその等価物)の緩衝液または水ですすいで、カラムに残っている乳製品を除去する。
【0018】
さらに、様々なタイプの陽イオン交換樹脂を、本発明において用いることができ、そのうちSPセファロースビッグビーズ(SP Sepharose Big Beads)などのセファロース陽イオン交換樹脂ビーズが好ましい。45〜300μmのサイズ範囲の樹脂ビーズがさらに好ましい。
【0019】
本発明のさらなる局面において、陽イオン交換樹脂が、好ましくは45〜300μmのサイズ範囲の、セファロースビーズを含むプロセスが提供される。
【0020】
本発明のプロセスは、連続的プロセスとして、またはバッチプロセスとして用いることができるが、連続的プロセシングが好ましい。溶出したIgA濃縮画分は、続いてその中の塩分を減じるべく処理してもよい。
【0021】
脱脂乳は、約1〜2.5% IgG w/wおよび0.05〜1% IgA w/wを含み、ウシ血清は20% IgG w/wおよび0.4% IgA w/wを含む。本発明者らは、本発明のプロセスによって、得られた乳製品抽出濃縮物(溶出物)が、驚くべき事に予期していたよりも低いレベルのIgG w/w(IgA:IgGの比率で典型的には1:2程度であり、それは8から16倍のIgAの濃縮と同等視できる)を含むことを見出した。IgAおよびIgGの定量化は、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)キットを用いて行った。IgA:IgG比率のこの増大は、食用物質において、または栄養補給食品として、増大したレベルのIgAを提供したい人々にとって、重大な意味を有する。陽イオン交換クロマトグラフィ溶出物におけるIgAの存在およびIgAおよびIgGの相対量(比率)は、これまでに知られていなかった。
【0022】
それゆえに、本発明のさらなる局面は、結果として生じるIgA濃縮乳製品抽出組成物が、少なくとも1:8、好ましくは1:4、より好ましくは少なくとも1:2のIgA:IgG比率を含むプロセスを提供する。
【0023】
IgA濃縮乳製品抽出組成物は、存在する非IgAタンパク質の量を減じるべく、さらに処理されてもよい。これは、膜濾過、カラムクロマトグラフィ、透析またはその他の公知の手段によって達成されうる。そのような無関係なタンパク質の除去は、標準化された食用物質または栄養補給食品の生産のために重要であると考えられる。
【0024】
本発明のもうひとつの局面において、IgA:IgG比率が少なくとも1:8、好ましくは1:4、より好ましくは少なくとも1:2であるIgA濃縮乳製品抽出組成物が提供される。
【0025】
本発明のさらなる局面によれば、本発明のプロセスによって得られたIgA濃縮乳製品抽出組成物が提供される。さらに、本発明の乳製品抽出物は、食用物質または栄養補給食品として、好ましくは乳児用食用物質または栄養補給食品として使用されうる。
【0026】
本プロセスの結果は、免疫グロブリンが酸性の等電点を有し、それゆえに陽イオン交換樹脂上に、またはIgAがIgGと比べて優先的に結合するような様式で、保持される可能性が低いタンパク質の部類に属すると考えられることから、特に驚くべき事である。
【0027】
本明細書に記載されている本発明は、開示された特徴の具体的な例に限定されるべきでないことを理解されたい。
【0028】
詳細な説明
以下は、本発明のIgA濃縮画分の調製の詳細な説明である。
【0029】
IgAの適した供給源には、ヒト、乳牛、ヒツジ、ヤギ、雌ブタなどの哺乳動物からの全乳、脱脂乳、乳清、または初乳などの乳製品が含まれうる。IgAの吸着を可能にするべく乳製品を陽イオン交換樹脂と接触させる段階において、本発明のために乳製品のpHを調整する必要はないが、乳製品のpHは好ましくは約6.5である。
【0030】
乳製品を陽イオン交換樹脂と接触させるために使用する流量は、毎時樹脂1リットルあたり6〜90リットル(線流量毎時60〜900cm)から、好ましくは毎時樹脂1リットルあたり6〜70リットル(線流量毎時60〜700cm)、より好ましくは毎時樹脂1リットルあたり約6〜40リットル(線流量毎時60〜400cm)など、広範囲に渡って変化させ得る。極めて低い流量においてプロセスを動かす費用が収益を上回るよう、下限値は、工業プロセスにとっての費用対効果によって定められ。高い流量は、樹脂に接触する乳製品の総量が制限されていれば、IgA精製に適する。
【0031】
オーストリア特許第613688号に記載されているように、樹脂容積を大幅に上回る乳製品容積がラクトペルオキシダーゼおよびラクトフェリンなどの他の乳製品の精製に適する一方で、本発明者らは、樹脂容積に対し1000カラム容積程度(樹脂1リットルあたりの乳製品のリットル数)の乳製品容積が、本発明のプロセスによるIgA精製に適さないことを見出した。本発明者らは、乳製品容積が樹脂容積に対し約400カラム容積超過していると、樹脂にIgAがほとんど結合しない結果に終わり、回収されたIgAが出発原料におけるIgGと比べて濃縮されないことを見出した。本発明によれば、好ましい上限は、脱脂乳の場合において、約300カラム容積、好ましくは約200カラム容積、最も好ましくは約34カラム容積である。樹脂に対する乳製品の比率が増大するにつれて、結合するIgAの量および溶出するIgAの純度が徐々に減少する。流量に関しては、下限値はカラムに関係する要因よりむしろ商業的な関心によって設定される。負荷する乳製品の容積が16カラム容積よりはるか少量に低下すると、すすぎおよび溶出時間は、十分なIgAが精製でき、プロセスを経済的に実行可能にするような点を上回る点に達する。
【0032】
陽イオン交換カラムに乳製品を負荷する段階に続いて、および移動相によるIgAの溶出に先立って、陽イオン交換カラムの中の結合していない乳製品は、水または例えば0.0086M塩化ナトリウムより低いイオン強度を有する緩衝液でカラムをすすぐことによって、除去されうる。
【0033】
吸着したIgAの溶出において、0.086〜0.4Mの塩化ナトリウム、塩化カリウム、または等価物の低イオン強度を有する緩衝液からなる移動相が用いられる。移動相に用いられる塩のタイプは限定されない。イオン強度が0.4を超えて増大すると、非IgAタンパク質が溶出し始め、従ってIgAが他のタンパク質で希釈されるため、IgAの純度は減少する。好ましくは、0.35M塩化ナトリウムまたはそれより低いものと等価なイオン強度が用いられる。
【0034】
移動相は、4.5〜9.0、好ましくは5.5〜7.5、最も好ましくは約6.5などの、広い範囲内のpHを有していてもよい。上限値および下限値において、タンパク質の安定性、およびタンパク質の陽イオン交換樹脂に結合する能力の両方が影響を受けるようになる。5.5〜7.5の範囲のpHにおいて、最高のIgA純度が、収率を低減することなく、提供される。
【0035】
本発明において、IgAの吸着に適する陽イオン交換樹脂のタイプには、セファロース陽イオン交換樹脂ビーズなどの樹脂が含まれうる。例えば、スルホプロピル官能基およびカルボキシメチル基をそれぞれ含む、SPセファロースビッグビーズおよびCMセファロースビーズ(GEヘルスケアの製品)が適当である。陽イオン交換樹脂ビーズのサイズは、好ましくは45〜300μmの範囲である。本発明によれば、45〜165μmの範囲および100〜300μmの範囲の両SPセファロースビーズがIgA吸着および精製に適する。
【0036】
IgA濃縮乳製品抽出組成物が供されうるさらなる処理の1つは、例えば透析または限外濾過による脱塩である。IgA濃縮乳製品抽出組成物が供されうるもうひとつの処理は、非IgAタンパク質の除去である。非IgAタンパク質の除去は、例えば免疫吸着またはサイズ排除による、さらなるクロマトグラフィによって達成されうる。
【0037】
本発明のIgA濃縮乳製品抽出組成物は、食用物質または栄養補給食品として、好ましくは乳児用食用物質または栄養補給食品として使用されてもよい。
【0038】
本発明のプロセスは、IgA濃縮乳製品抽出組成物を調製するための分離において行われてもよく、または他の所望の乳製品抽出物が分画されるような統合的な分画プロセスの一部として組み入れられてもよい。
【0039】
IgA濃縮画分およびIgA除去画分を生産するためのプロセス
本発明の好ましい方法は、45μmより大きい(理想的には90〜300μm)SP(スルホプロピル)セファロースの、深さ10cmのカラムをパックすることである。カラムには、乳製品、理想的には脱脂乳、の流れが、適用された乳の容積がカラムにパックした樹脂の容積の134.6倍になるまで、11ml/分(線流量331cm/時または0.55カラム容積(CV)/分)で適用される。カラムに残っている乳は、3.5 ml/分(線流量147cm/時または0.25 CV/分)で10分間 、2.5CVの低イオン強度(<0.05%(0.0086M)NaClまたは等価物)の緩衝液または水で除去される。IgA濃縮画分は、1%(0.171M)NaCl、pH6.5と等価のナトリウムイオンを含む3.5CVの緩衝液により、3.5 ml/分(線流量102cm/時または0.175 CV/分)で20分間その陽イオン溶液を流すことによって、カラムから溶出される。最初の3分(0.5 CV)は排水管に廃棄し、次の20分(3.5 CV)はIgA濃縮画分として採取する(次の緩衝液の適用時間に重複する3分[0.5 CV]、すなわちブレークスルータイムを含む)。残っているタンパク質(IgA除去画分)は、8.75%(1.5M)NaClと等価のナトリウムイオンを含む3.5CVの緩衝液により、3.5 ml/分(線流量102cm/時または0.175 CV/分)で20分間陽イオン溶液を流すことによって、カラムから溶出される。最初の3分(0.5 CV)は排水管に廃棄し、次の20分(3.5 CV)はIgA除去画分として採取する(次の緩衝液の適用時間に重複する3分[0.5 CV]、すなわちブレークスルータイムを含む)。回収したタンパク質画分は、塩を除去するために、限外濾過膜または等価物を介してダイアフィルター濾過する。商業的使用のためにこのIgA分画法がスケールアップできることは、等業者に明らかであろう。
【0040】
3つの画分(IgA濃縮画分、IgA除去ラクトペルオキシダーゼおよびラクトフェリン)を生産するためのプロセス
本発明のさらに好ましい方法は、45μMより大きい(理想的には90〜300μMの)SP(スルホプロピル)セファロースの、深さ10cmのカラムをパックすることである。カラムには、乳製品、好ましくは脱脂乳、の流れが、適用された乳の容積がカラムにパックされた樹脂の容積の134.6倍になるまで、11ml/分(線流量331cm/時または0.55CV/分)で適用される。カラムに残っている乳は、3.5 ml/分(線流量 147cm/時または0.25 CV/分)で10分間 、2.5CVの低イオン強度(<0.008MのNaClまたは等価物)の緩衝液、または水によって除去される。IgA濃縮画分は、1%(0.171M)NaCl、pH6.5と等価のナトリウムイオンを含む3.5CVの緩衝液により、3.5 ml/分(線流量102cm/時または0.175 CV/分)で20分間陽イオン溶液を流すことによって、カラムから溶出される。最初の3分(0.5 CV)は排水管に廃棄し、次の20分(3.5 CV)はIgA除去画分として採取する(次の緩衝液の適用時間に重複する3分[0.5 CV]すなわちブレークスルータイムを含む)。IgA除去ラクトペルオキシダーゼ画分は、2.5% w/v(0.43M)NaClと等価のナトリウムイオンを含む3.5CVの緩衝液により、3.5 ml/分(線流量 102cm/時または0.175 CV/分)で20分間陽イオン溶液を流すことによって、カラムから溶出される。最初の3分(0.5 CV)は排水管に廃棄し、次の20分(3.5 CV)はIgA除去ラクトペルオキシダーゼ画分として採取する(次の緩衝液の適用時間に重複する3分[0.5 CV]すなわちブレークスルータイムを含む)。ラクトフェリン画分は、8.75%(1.5M)NaClと等価のナトリウムイオンを含む3.5CVの緩衝液により、3.5 ml/分(線流量 102cm/時または0.175 CV/分)で20分間陽イオン溶液を流すことによって、カラムから溶出される。最初の3分(0.5 CV)は排水管に廃棄し、次の20分(3.5 CV)はラクトフェリン画分として採取する(次の緩衝液の適用時間に重複する3分[0.5 CV]、すなわちブレークスルータイムを含む)。回収したタンパク質画分は、塩を除去するために、限外濾過膜または等価物を介してダイアフィルター濾過する。商業的使用のために、このIgA分画法がスケールアップできることは、等業者に明らかであろう。
【0041】
本発明は、後述するように、実施例を参照して説明される。
【0042】
実施例1:脱脂乳からのIgA濃縮画分の調製
本発明による好ましいプロセスにおいて、脱脂乳は、全部で134.6カラム容積を毎時樹脂1リットルあたり22リットルの流量で、各々の総容積(bed volume)が29.7リットルの複数のSPセファロースビッグビーズ陽イオン交換樹脂カラム上に、連続的プロセスで負荷される。カラムは次に低イオン強度の緩衝液(水)ですすぎ、0.3M NaCl pH 6.5からなる移動相で溶出する。溶出したIgA濃縮画分は採取し、透析して塩分を減じる。溶出した画分は、ELISAによって免疫グロブリン含量を分析し、4.7% w/w IgAを含み、約1:2のIgA:IgG比率であることを見出した(表1)。分画したIgA濃縮乳製品抽出物は、次に凍結乾燥し、15℃にて安定状態で保管してもよい。
【0043】
(表1)ELISAによって分析した様々な動物製品におけるIgA:IgGの相対量

1) 分画されていないウシ血清の試料
2) 分画されていないウシ初乳の試料
3) 陰イオンおよび陽イオン交換クロマトグラフィーを組み合わせたプロセスを用いた、乳清からの免疫グロブリン画分
4) 本発明のプロセスを用いた、乳清からの免疫グロブリン画分
【0044】
実施例2:IgA溶出に対する塩濃度および溶出の流量の効果
IgA強化した脱脂乳は、樹脂に脱脂乳のIgA含有画分が吸着できるようにするため、11ml/分の流量で、90〜300μmのSPセファロースビッグビーズ(GE Healthcare)でパックしたカラムに通過させた。全部で134.6カラム容積(CV)をカラムに通過させた。脱イオン水は、5ml/分の流量でカラムに通過させて樹脂をすすぎ、次にIgA含有画分を溶出するために、0.5、1、1.5、2、2.5または8.75% NaCl pH 6.5のうち1つを含む移動相を、2.4または5.0ml/分のいずれかの流量において、カラムに通過させた。溶出した画分における全タンパク質濃度(図2A)、IgA濃度(図2B)、および溶出画分におけるIgA%(図2C)を決定した。2% w/v NaClを超えるイオン強度において、追加的なIgAを伴わない、増大した量の非IgAタンパク質のカラムからの溶出物が溶出した。流量が2.4 ml/分または5 ml/分であるとき、溶出した画分におけるIgA濃度に違いはなかった。
【0045】
実施例3:陽イオン交換樹脂と接触する乳製品容積の効果
脱脂乳は、樹脂が脱脂乳由来のタンパク質を吸着するのを可能にさせるため、11ml/分の流量で、90〜300μmのSPセファロースビッグビーズ(GE Healthcare)でパックしたカラムに通過させた。樹脂の量を維持しつつ、通過させる脱脂の量を増大させた。33.6 (676 ml)、67.3 (1352 ml)、134.6 (2705 ml)、183.0 (3678 ml) および231.5 (4652 ml) CVに相当する、5つの容積の脱脂乳を検査した。脱イオン水は、樹脂をすすぐため5ml/分の流量でカラムを通過させ、次に8.75%(1.5M)NaCl pH 6.5を含む移動相を3.5ml/分の流量でカラムに通過させて、樹脂に吸着した全タンパク質を溶出した。溶出した画分におけるIgAおよびIgGの量は、回収された全タンパク質に対して決定した。IgAとして溶出された全タンパク質の割合は、脱脂乳の容積が増大するにつれて減少した(図3Aおよび図3B)。回収されたIgAの純度は、脱脂乳の容積が増大するにつれて減少した(図3C)。さらに、IgA:IgGの比率は、1:1.58から1:1.71との間にとどまった(図3E)が、回収されたIgGの全タンパク質量の百分率としての量は、脱脂乳の容積が増大するにつれて減少した(図3D)。これらのデータは、樹脂を通過させる乳製品の量を増大させると、IgAおよび全タンパク質量の割合としてのIgAの量が減少するが、IgAおよびIgGの両方の収率の比例的な減少を反映して、依然として高いIgA:IgG比率を生じることを示唆している。
【0046】
実施例4:陽イオン交換樹脂と接触する脱脂乳製品容積の効果
脱脂乳は、樹脂が脱脂乳由来のタンパク質を吸着するのを可能にさせるため、11ml/分の流量で、90〜300μmのSPセファロースビッグビーズ(GE Healthcare)でパックしたカラムに通過させた。樹脂の量を維持しつつ、通過させる脱脂の量を増大させた。16.8 (338 ml)、33.6 (676 ml)、67.3 (1352 ml)、および100.9 (2028 ml) CVに相当する、5つの容積の脱脂乳を検査した。脱イオン水は、樹脂をすすぐため、5ml/分の流量でカラムを通過させ、IgA濃縮画分は、3.5 ml/分の流量で0.192M Na+ (0.84% オルトリン酸水素二ナトリウム+0.89% NaCl(pH 6.5))を含む移動相により溶出し、次に樹脂に吸着した残りのタンパク質を溶出するため、8.75%(1.5M)NaCl pH 6.5を含む移動相を、3.5ml/分の流量でカラムに通過させた。溶出した画分におけるIgAおよびIgGの量は、回収された全タンパク質に対して決定した。IgAとして溶出された全タンパク質の割合は、脱脂乳の容積が増大するにつれて減少した(図4Aおよび4B)。カラムに適用する脱脂乳の容積を増大させると、適用したIgAの回収率が減少した。適用した脱脂乳の容積を増大させると、IgA:IgG比率は、約1:2にとどまった(図4C)。
【0047】
実施例5:溶出されるIgAの組成に対する移動相pHの効果
脱脂乳は、樹脂が脱脂乳のIgA含有画分を吸着するのを可能にさせるため、11ml/分の流量で、90〜300μmのSPセファロースビッグビーズ(GE Healthcare)でパックしたカラムに通過させた。カラムに通過させた脱脂乳の容積は33.6CVであった。脱イオン水は5ml/分の流量でカラムに通過させて樹脂をすすぎ、次にpH5.5、6.5、7.5、8.5、または9.5で1.125%(0.19M) NaClと等価のイオン強度の移動相を3.5ml/分の流量でカラムに通過させてIgA含有画分を溶出し、次に8.75%(1.5M) NaCl pH6.5を含む移動相を3.5ml/分の流量でカラムに通過させて樹脂に吸着した残りのタンパク質を溶出した。溶出した画分の全タンパク質濃度(図5A)、IgA濃度(図5B)、IgA%(図5C)、および溶出した画分における開始時の乳製品と比べたIgA純度の増大(図5D)を決定した。pHが6.5を超えて増大するにつれ、非IgAタンパク質の増大した量がカラムから溶出したが、追加的なIgAは溶出しなかった。さらに、溶出した画分中のIgA%は、pHを増大させるにつれて減少して、pH6.5での18%からpH9.5での約10%にまで減り、IgA画分の純度もまた6.5を超えたpHで減少した。IgA:IgG比率は、5.5、6.5、7.5、8.5、および9.5のpHにおいて、それぞれ>1:1.5、>1:1.4、>1:1.5、>1:1.4、および>1:1.4であった。
【0048】
実施例6:乳清タンパク質濃縮物(WPC)からのIgA精製
乳清タンパク質濃縮物(WPC)は、樹脂がWPC由来のタンパク質を吸着するのを可能にさせるため、11ml/分の流量で、90〜300μmのSPセファロースビッグビーズ(GE Healthcare)でパックしたカラムに通過させた。樹脂の量を維持しつつ、通過させるWPCの量を増大させた。25 (500 ml)、50 (1000 ml)、75 (1500 ml)および100 (2000 ml) CVのWPCに相当する、5つの容積のWPCをカラムに通過させた。脱イオン水は樹脂をすすぐため5ml/分の流量でカラムを通過させ、次にpH7.5で1.125%(0.19M) NaClと等価のイオン強度の移動相を3.5ml/分の流量でカラムに通過させてIgA含有画分を溶出し、次に8.75%(1.5M) NaClを含む緩衝化しない移動相を3.5ml/分の流量でカラムに通過させて樹脂に吸着した残りのタンパク質を溶出した。溶出した画分におけるIgAおよびIgGの量は、回収された全タンパク質に対して決定した。IgAとして溶出された全タンパク質の割合は、WPCの容積が増大するにつれて減少した(図6A)。増大する量のWPCを適用するにつれ、より少ないIgA(%タンパク質)(図6B)ではあるが、全体としてより多くのIgAが生じた(図6C)。25、50、75、および100 CV に相当するWPC容積が、それぞれ 1:2.59、1:2.76、1:2.471、および1:2.61のIgA:IgG比率を生じた。
【0049】
実施例7:IgA濃縮画分、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼを分離するプロセス;様々な画分におけるIgAに対する移動相のイオン強度の効果
脱脂乳(134.6 CV)は、樹脂が脱脂乳由来のタンパク質を吸着するのを可能にさせるため、11ml/分の流量で、90〜300μmのSPセファロースビッグビーズ(GE Healthcare)でパックしたカラムに通過させた。カラムに残った乳は、5ml/分(線流量147cm/時または0.25 CV/分)で10分間、2.5CVの脱イオン水によって除去した。IgA濃縮画分は、1% w/v(0.171M)NaClまたは1.125%(0.193M)w/v NaClと等価のナトリウムイオンを提供する0.04Mオルトリン酸水素二ナトリウムおよびNaClを含むpH6.5で3.5CVの緩衝液により、3.5 ml/分(線流量102cm/時または0.175 CV/分)で20分間移動相を流すことによって、カラムから溶出した。最初の3分(0.5 CV)は排水管に廃棄し、次の20分(3.5 CV)はIgA濃縮画分として採取した(次の緩衝液の適用時間に重複する3分[0.5 CV]、すなわちブレークスルータイムを含む)。第二の画分、IgA除去ラクトペルオキシダーゼ画分は、2.5% w/v(0.43M)NaCl、pH6.5と等価のナトリウムイオンを含む3.5CVの緩衝液により、3.5 ml/分(線流量102cm/時または0.175 CV/分)で20分間陽イオン溶液を流すことによって、カラムから溶出した。最初の3分(0.5 CV)は排水管に廃棄し、次の20分(3.5 CV)はIgA除去ラクトペルオキシダーゼ画分として採取した(次の緩衝液の適用時間に重複する3分[0.5 CV]、すなわちブレークスルータイムを含む)。ラクトフェリン画分は、8.75% w/v(1.5M)NaCl、pH6.5と等価のナトリウムイオンを含む3.5CVの緩衝液により、3.5 ml/分(線流量102cm/時または0.175 CV/分)で20分間陽イオン溶液を流すことによって、カラムから溶出した。最初の3分(0.5 CV)は排水管に廃棄し、次の20分(3.5 CV)はラクトフェリン画分として採取した(次の緩衝液の適用時間に重複する3分[0.5 CV]、すなわちブレークスルータイムを含む)。回収したタンパク質画分は、IgA、IgG、および増殖因子IGF1含量について測定した。
【0050】
1.125% w/v NaClによる溶出は、1% w/v NaClと比べて、IgA濃縮画分中のIgAの量を増大させ、それに続く画分(ラクトペルオキシダーゼおよびラクトフェリン)中に存在するIgAの量を大幅に減少した(図7Aおよび7B)。さらに、IgA濃縮画分中のIgGの量は、1.125% w/v NaClによる溶出によって50%減少した(図7C)。IgA:IgG比率もまた、より高いNaCl濃度での溶出によって大幅に増大した(図7D)。0.172M NaClおよび0.193M NaClによるIgAの溶出は、IgA:IgG比率がそれぞれ1:2.01および1:0.92である画分を生じた。
【0051】
興味深いことに、IgA濃縮画分にはIGF1は存在しなかった(図7E)。IgA濃縮画分(0.172Mおよび0.193M NaClの両方において<0.005 % w/v)およびラクトフェリン画分(0.172Mおよび0.193M NaClの両方において<0.005 % w/v)には非常に僅かなラクトペルオキシダーゼしか見出されなかったが、ラクトペルオキシダーゼ画分(0.172M NaClにおいて0.074 % w/v、0.193M NaCl において0.073 % w/v)には大量見出された。IgA濃縮画分(0.172M NaClにおいて0.02 mg/ml、0.193M NaClにおいて0.06 mg/ml)およびラクトペルオキシダーゼ画分(0.172M NaClにおいて0.01 mg/ml、0.193M NaClにおいて0.03 mg/ml)には僅かなラクトフェリンしか見出されなかったが、ラクトフェリン画分(0.172M NaClおよび0.193M NaClの両方において3.0 % w/v)には大量見出された。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】
【図2】図2A〜2C:IgA溶出に対する塩濃度および溶出の流量の効果。
【図3A】陽イオン交換樹脂と接触する乳製品容積の効果。
【図3B】陽イオン交換樹脂と接触する乳製品容積の効果。
【図3C】陽イオン交換樹脂と接触する乳製品容積の効果。
【図3D】陽イオン交換樹脂と接触する乳製品容積の効果。
【図3E】陽イオン交換樹脂と接触する乳製品容積の効果。
【図4】図4A〜4C:陽イオン交換樹脂と接触する脱脂乳製品容積の効果。
【図5A】溶出したIgAの組成に対する移動相pHの効果。
【図5B】溶出したIgAの組成に対する移動相pHの効果。
【図5C】溶出したIgAの組成に対する移動相pHの効果。
【図5D】溶出したIgAの組成に対する移動相pHの効果。
【図6A】乳清タンパク質濃縮物(WPC)からのIgA精製。
【図6B】乳清タンパク質濃縮物(WPC)からのIgA精製。
【図6C】乳清タンパク質濃縮物(WPC)からのIgA精製。
【図7A】IgA濃縮画分、ラクトフェリン、およびラクトペルオキシダーゼを分離するプロセス;様々な画分におけるIgAに対する移動相のイオン強度の効果。
【図7B】IgA濃縮画分、ラクトフェリン、およびラクトペルオキシダーゼを分離するプロセス;様々な画分におけるIgAに対する移動相のイオン強度の効果。
【図7C】IgA濃縮画分、ラクトフェリン、およびラクトペルオキシダーゼを分離するプロセス;様々な画分におけるIgAに対する移動相のイオン強度の効果。
【図7D】IgA濃縮画分、ラクトフェリン、およびラクトペルオキシダーゼを分離するプロセス;様々な画分におけるIgAに対する移動相のイオン強度の効果。
【図7E】IgA濃縮画分、ラクトフェリン、およびラクトペルオキシダーゼを分離するプロセス;様々な画分におけるIgAに対する移動相のイオン強度の効果。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳製品から抽出されたIgAおよびIgGを含むIgA濃縮乳製品抽出組成物を調製するプロセスであって、IgGに対する相対的なIgAの含量が乳製品におけるそれと比べて増大しており、以下の段階を含むプロセス:
乳製品の供給源;
陽イオン交換樹脂;および
移動相;
を提供する段階;
IgAがIgGに比べてその上に優先的に吸着するように、乳製品を陽イオン交換樹脂と接触させる段階;
移動相によって陽イオン交換樹脂からIgA濃縮画分を溶出する段階、並びに、
溶出したIgA濃縮画分を採取する段階。
【請求項2】
乳製品が、全乳、脱脂乳、乳清、好ましくはチーズ乳清、初乳からなる群より選択される、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
陽イオン交換樹脂と接触している乳製品の量が、約16カラム容積から約300カラム容積である、請求項1または2記載のプロセス。
【請求項4】
陽イオン交換樹脂と接触している乳製品の量が、約16カラム容積から約40カラム容積である、請求項1または2記載のプロセス。
【請求項5】
IgA濃縮画分の溶出に先立ち、陽イオン交換樹脂を低イオン強度(<0.008Mの塩またはその等価物)の緩衝液または水ですすいでカラムに残っている乳製品を除去する、請求項1から4のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項6】
溶出が、0.05〜0.4M(0.29〜2.34% w/v)NaClまたは等価なイオン強度を含む移動相による、請求項1から5のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項7】
溶出が、0.08〜0.35M(0.47〜2.05% w/v)NaClまたは等価なイオン強度を含む移動相による、請求項1から5のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項8】
溶出が、0.17M(1% w/v)NaClまたは等価なイオン強度を含む移動相による、請求項1から5のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項9】
溶出が、5.5〜7.5の範囲のpHの移動相による、請求項1から8のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項10】
陽イオン交換樹脂がセファロースビーズを含む、請求項1から9のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項11】
セファロースビーズが45〜300μmのサイズ範囲である、請求項10記載のプロセス。
【請求項12】
乳製品を樹脂と接触させる段階の間、陽イオン交換樹脂が毎時樹脂1リットルあたり約6〜90リットルの範囲の流量に供される、請求項1から11のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項13】
接触流量が毎時樹脂1リットルあたり約6〜70リットルの範囲である、請求項12記載のプロセス。
【請求項14】
接触流量が毎時樹脂1リットルあたり約6〜40リットルの範囲である、請求項12記載のプロセス。
【請求項15】
連続的プロセスまたはバッチプロセスである、請求項1から14のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項16】
連続的プロセスである、請求項1から14のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項17】
結果として生じるIgA濃縮乳製品抽出組成物が、少なくとも1:8、好ましくは少なくとも1:4、より好ましくは少なくとも1:2であるIgA対IgG比率を含む、請求項1から16のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項18】
結果として生じるIgA濃縮乳製品抽出組成物が、少なくとも2% w/w、好ましくは少なくとも10% w/w、より好ましくは少なくとも20% w/wのIgA含量を含む、請求項1から16のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項19】
IgA濃縮乳製品抽出組成物が、存在する非IgAタンパク質および/または塩の量を減じるべくさらに処理される、請求項1から18のいずれか一項記載のプロセス。
【請求項20】
IgA対IgG比率が少なくとも1:8、好ましくは少なくとも1:4、より好ましくは少なくとも1:2である、IgA濃縮乳製品抽出組成物。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか一項記載のプロセスによって得られる、IgA濃縮乳製品抽出組成物。
【請求項22】
請求項20または21記載のIgA濃縮乳製品抽出組成物の、食用物質または栄養補給食品としての使用。
【請求項23】
栄養補助食品が、乳児用食用物質または栄養補給食品である、請求項22記載の使用。
【請求項24】
ウイルス、細菌、真菌、およびそれらの毒素に起因する疾病の治療または予防のための医用製剤の調製のための、請求項20または21記載のIgA濃縮乳製品抽出組成物の使用。
【請求項25】
鼻、目、耳、肺、乳房、および膣などにおけるヒト粘膜面の感染の原因となる病原体を標的化するための栄養補給食品原料としての、請求項20または21記載のIgA濃縮乳製品抽出組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【公表番号】特表2008−540462(P2008−540462A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510359(P2008−510359)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000607
【国際公開番号】WO2006/119560
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507125398)マレー ゴールバーン コーオペラティブ コー リミテッド (6)
【Fターム(参考)】