説明

免疫治療用オリゴヌクレオチドおよびサイトカインを用いる免疫系刺激のための方法および産物

【課題】本発明は、免疫刺激的CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインの相乗作用的組み合わせに関する。
【解決手段】詳細には、本発明は、化合物およびそれに関する産物の相乗作用的な組み合わせを用いる免疫応答刺激の方法に関する。被験体において免疫応答を刺激するための方法であって、以下:少なくとも以下の式を含む配列を有する免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインの相乗効果的な抗原特異的免疫応答を誘導するために
有効な量を、抗原に曝露された被験体に投与する工程であって:5’X1CGX23’ここで、該オリゴヌクレオチドは、少なくとも8つのヌクレオチドを含み、ここでCおよびGは、非メチル化されており、そして、ここでX1およびX2はヌクレオチドである工程、を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインの
相乗効果的組み合わせに関する。詳細には、本発明は、化合物およびそれに関連
する産物の相乗効果的組み合わせを用いる免疫応答の刺激方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
免疫監視機構の理論は、免疫系の主要機能が、腫瘍形成の前に腫瘍性細胞を検
出し、そして排除することであるということである。この理論の基礎的な原理は
、癌の細胞が正常な細胞とは抗原的に異なり、従って、免疫学的に不適合の同種
移植片の拒絶を起こす免疫反応と類似する免疫反応を惹起することである。いく
つかの研究が、腫瘍細胞は、抗原の発現において、量的にかまたは質的にのいず
れかで異なることを確認した。例えば、「腫瘍特異的抗原」は、腫瘍細胞とは特
異的に関連するが正常細胞とは関連しない抗原である。腫瘍特異的抗原の例は、
DNAウイルスまたはRNAウイルスによって誘発される腫瘍におけるウイルス
抗原である。「腫瘍関連」抗原は、腫瘍細胞および正常細胞の両方に存在するが
、腫瘍細胞においては、異なる量または異なる形態で存在する。このような抗原
の例は、腫瘍胎児性抗原(例えば、癌胎児抗原)、分化抗原(例えば、T抗原お
よびTn抗原)、および癌遺伝子産物(例えば、HER/neu)である。
【0003】
インビトロおよびインビボで腫瘍標的を殺傷し得る異なる型の細胞は、同定さ
れている:ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、細胞溶解性Tリンパ球(CTL
)、リンフォカイン活性化キラー細胞(LAK)および活性化マクロファージ。
NK細胞は、事前に特定抗原に感作されることなく、腫瘍細胞を殺傷し得、そし
て活性は、標的細胞上での主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によりコードさ
れるクラスI抗原の存在を必要としない。NK細胞は、新生の腫瘍の制御に、お
よび転移性増殖の制御に関与すると考えられる。NK細胞と対照的に、CTLは
、CTLが腫瘍抗原に感作された後で、そしてその標的抗原が、MHCクラスI
も発現する腫瘍細胞上で発現される場合のみ、腫瘍細胞を殺傷し得る。CTLは
、移植された腫瘍およびDNAウイルスにより生じた腫瘍の拒絶において、エフ
ェクター細胞であると考えられる。LAK細胞は、NKおよびCTL集団とは異
なるヌルリンパ球のサブセットである。活性化マクロファージは、一旦活性化さ
れると、抗原依存性でもなくMHC拘束でもない様式で腫瘍細胞を殺傷し得る。
活性化マクロファージは、それが浸潤する腫瘍の増殖速度を減じると考えられる
。インビトロアッセイは、他の免疫機構(例えば、抗体依存性、細胞媒介性細胞
傷害性反応および抗体プラス補体による溶解)を同定した。しかし、これらの免
疫エフェクター機構は、インビボにおけるNK、CTL、LAKおよびマクロフ
ァージの機能よりも、インビボにおいてより重要度が低いと考えられる(概説と
しては、Piessens,W.F.およびDavid,J.「Tumor I
mmunology」Scientific American Medici
ne,第2巻、Scientific American Books,N.Y
.,1〜13頁,1996を参照のこと)。
【0004】
癌の免疫学における最も複雑な現象の1つは、腫瘍を排除するための免疫系の
不全に関する。1970年代に、Hewittは、ほとんどの腫瘍がどんな腫瘍
特異的抗原もネオ抗原も発現せず、従って、免疫系により「外来」として認識さ
れ得ないという概念を示した。実際のところ、腫瘍特異的であることが見出され
た、抗体により認識される腫瘍細胞表面抗原は実際にはなく、さらに、ほとんど
の自然発症のマウス腫瘍は、同系の宿主に移植された場合にその腫瘍が排除され
得ないことにより規定されるように、「免疫原性に乏しい」と考えられた(He
wittら、Br.J.Cancer,33:241〜259、1976)。し
かし、これらの同じ腫瘍は、新しい抗原が腫瘍細胞表面で発現される場合、変異
誘発によって「免疫原性」を与えられ得る(Van Pel and Boon
,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79:4718〜4722
,1982)。免疫系は、ネオ抗原が存在しないことによってではなく、むしろ
インビボにおいて抗原への応答が不十分であることによって腫瘍を排除し得ない
という可能性がある。従って、腫瘍細胞への宿主の免疫応答を増強することによ
る腫瘍細胞の免疫原性を増強するための方法は、免疫療法において重要な進歩を
提供する。
【0005】
免疫療法の目的は、樹立された腫瘍に対する患者の免疫応答を増強することで
ある。免疫療法の1つの方法としては、アジュバントの使用が挙げられる。微生
物(例えば、bacillus Calmette‐Guerin)に由来する
アジュバント物質は、免疫応答を高め、そして動物における腫瘍への耐性を増強
する。bacillus Calmette‐Guerinは、多数の臨床試験
で試験されたが、結果は定まっておらず、そしてこの型の細菌アジュバント療法
の価値は未定のままである(Piessens and David,1996
、前出)。
【0006】
多数の細菌産物(例えば、リポ多糖)は、哺乳動物の免疫応答を刺激すること
が公知である。最近、細菌DNA自体が、そのような分子の1つであることが報
告されている(例えば、Kreig,A.M.ら1995,Nature 37
4:546〜9)。細菌DNA(強力な免疫刺激因子効果を有する)と脊椎動物
DNA(その効果を持たない)との間の主要な差異の1つは、細菌のDNAが、
脊椎動物DNAが含むよりも、非メチル化CpGジヌクレオチドのより高い頻度
を含むことである。非メチル化CpGモチーフ(CpG ODN)を含む選択合
成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)は、免疫学的効果を有し、そしてB細
胞、NK細胞および抗原提示細胞(APC)(例えば、単球およびマクロファー
ジ)の活性化を誘導し得ることが示されている(Krieg,A.M.ら、前出
)。これはまた、活性な免疫応答の発生に参加することが公知のサイトカインの
産生を増強し得る。これには、腫瘍壊死因子−α、IL−12およびIL−6が
挙げられる(例えば、Klinman D.M.ら、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA,93:2879〜2883,1996)。
【0007】
細胞へのDNAの結合は、リガンドレセプター相互作用と類似していることが
示されている:結合は、飽和可能、競合的であり、そしてDNAエンドサイトー
シスおよびオリゴヌクレオチドへの分解を導く(Benne,R.M.ら、J.
Clin.Invest.76:2182、1995)。DNAのように、オリ
ゴデオキシリボヌクレオチドは、配列、温度およびエネルギーと独立しているプ
ロセスで細胞に入り得る(JaroszewskiおよびCohen,Ad.D
rug.Del.Rev.6:235,1991)。リンパ球オリゴデオキシリ
ボヌクレオチド取り込みは、細胞活性化により調節されることが示されている(
Krieg,A.M.ら、Antisense Research and D
evelopment 1:161,1991)。
【0008】
GM−CSFは、基本条件およびストレス条件の下で、細胞増殖を調節するこ
とが公知であり、そしてマクロファージの腫瘍殺傷能力を活性化することが公知
である。いくつかの研究は、GM−CSFおよび標準的誘導化学療法の同時処置
が、化学療法の効力を改善し得ることを示す(Estey,E.H.Blood
83:2015,1994)。コロニー刺激因子(例えば、GM−CSF)の
主な利点は、化学療法の合併症の1つである汎血球減少症の処置におけるそれら
の使用であると仮定されている(PiessensおよびDavid,1996
、前出)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、CpGオリゴヌクレオチドおよびサイトカインの組み合わせを用い
る、相乗効果的な免疫応答を誘導するための方法および産物に関する。1つの局
面では、本発明は、被験体において免疫応答を刺激するための方法である。この
方法は、抗原に曝露された被験体に、相乗効果的抗原特異的免疫応答を誘導する
のに有効な量の、免疫増強サイトカインおよび免疫刺激CpGオリゴヌクレオチ
ド(少なくとも以下の式を含む配列を有する)を投与する工程を含む:
5’X1CGX23’
ここで、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも8つのヌクレオチドを含み、こ
こでCおよびGは、非メチル化されており、そして、ここでX1およびX2はヌク
レオチドである。
【0010】
このサイトカインは、例えば、GM−CSF、IL−3、IL−5、IL−1
2またはインターフェロンγであり得る。この免疫増強サイトカインはまた、抗
原−サイトカイン融合タンパク質であり得る。好ましい実施態様において、この
抗原−サイトカイン融合タンパク質は、抗原−GM−CSF融合タンパク質であ
る。
【0011】
この抗原は、当該分野で公知の任意の型の抗原であり得る。1つの実施態様に
おいて、この抗原は、腫瘍抗原、微生物抗原およびアレルゲンからなる群から選
択される。好ましくは、この抗原は、腫瘍抗原である。この実施態様において、
被験体は、腫瘍性の障害を有し得る。1つの実施態様において、この抗原は、ウ
イルス抗原であり、そして被験体は、ウイルス感染を有するかまたは、その危険
性にある。
【0012】
いくつかの実施態様において、この抗原は、免疫刺激CpGオリゴヌクレオチ
ドおよび免疫増強サイトカインを組み合わせて、被験体に投与される。他の実施
態様では、この被験体は、抗原に受動的に曝露される。
【0013】
他の局面では、本発明は、少なくとも以下の式を含む配列を有する免疫刺激C
pGオリゴヌクレオチド、そしてGM−CSF、IL−4、TNFa、Flt3
リガンドおよびIL−3からなる群から選択されるサイトカインの、樹状細胞を
相乗効果的に活性化するために有効な量の組成物であって:
5’X1CGX23’
ここで、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも8つのヌクレオチドを含み、こ
こでCおよびGは、非メチル化されており、そして、ここでX1およびX2はヌク
レオチドである。好ましくはサイトカインはGM−CSFである。
【0014】
この組成物はまた、抗原を含み得る。いくつかの実施態様において、この抗原
は、癌抗原、微生物抗原およびアレルゲンからなる群から選択される。
【0015】
本発明の別の局面に従って、樹状細胞を活性化するための方法が提供される。
この方法は、抗原に曝露される樹状細胞を、少なくとも以下の式を含む配列を有
する免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインの、相乗効
果的に樹状細胞を活性化するために有効な量と接触させる工程であって:
5’X1CGX23’
ここで、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも8つのヌクレオチドを含み、こ
こでCおよびGは、非メチル化されており、そして、ここでX1およびX2はヌク
レオチドである工程、を含む。
【0016】
このサイトカインは、例えば、GM−CSF、IL−3、IL−5、IL−1
2またはインターフェロンγであり得る。この免疫増強サイトカインはまた、抗
原−サイトカイン融合タンパク質であり得る。好ましい実施態様において、この
抗原−サイトカイン融合タンパク質は、抗原−GM−CSF融合タンパク質であ
る。
【0017】
この抗原は、当該分野で公知の任意の型の抗原であり得る。1つの実施態様に
おいて、この抗原は、腫瘍抗原、微生物抗原およびアレルゲンからなる群から選
択される。好ましくは、この抗原は、腫瘍抗原である。この実施態様において、
被験体は、腫瘍性の障害を有し得る。他の実施態様において、この抗原は、ウイ
ルス抗原であり、そして被験体は、ウイルス感染を有するかまたは、その危険性
にある。
【0018】
別の局面に従って、本発明は、腫瘍性の障害を有する被験体を処置するための
方法である。この方法は、少なくとも以下の式を含む配列を有する免疫刺激Cp
Gオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインを、腫瘍性障害を有する被験
体の腫瘍に投与する工程であって:
5’X1CGX23’
ここで、該オリゴヌクレオチドは、少なくとも8つのヌクレオチドを含み、ここ
でCおよびGは、非メチル化されており、そして、ここでX1およびX2はヌクレ
オチドであり、ここで、投与量は、免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドまたは免
疫増強サイトカイン単独を投与された被験体に関して被験体の生存時間を相乗効
果的に延長するために有効な量である、工程を含む。
【0019】
好ましくは、この腫瘍は、脳、肺、卵巣、乳房、前立腺、結腸、皮膚および血
液の腫瘍からなる群から選択される。1つの実施態様では、免疫刺激CpGオリ
ゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインは、腫瘍に直接注射される。
【0020】
本発明の別の局面において、避妊方法が提供される。この方法は、抗原、免疫
増強サイトカインおよび少なくとも以下の式を含む配列を有する免疫刺激CpG
オリゴヌクレオチドを被験体に投与する工程であって:
5’X1CGX23’
ここで、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも8つのヌクレオチドを含み、こ
こでCおよびGは、非メチル化されており、そして、ここでX1およびX2はヌク
レオチドであり、ここでこの抗原は、生殖腺細胞抗原、ならびに生殖線細胞の維
持のために必要な、サイトカインまたはホルモン由来の抗原からなる群から選択
される抗原である工程、を含む。
以上から、本発明は、以下をも含むことが理解される。
(1) 被験体において免疫応答を刺激するための方法であって、以
下:
少なくとも以下の式を含む配列を有する免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドお
よび免疫増強サイトカインの相乗効果的な抗原特異的免疫応答を誘導するために
有効な量を、抗原に曝露された被験体に投与する工程であって:
5’X1CGX23’
ここで、該オリゴヌクレオチドは、少なくとも8つのヌクレオチドを含み、ここ
でCおよびGは、非メチル化されており、そして、ここでX1およびX2はヌクレ
オチドである工程、
を含む、方法。
(2) 前記サイトカインがGM−CSF、IL−3、IL−5、I
L−12およびインターフェロンγからなる群から選択される、項目1に記載
の方法。
(3) 前記免疫増強サイトカインが抗原−サイトカイン融合タンパ
ク質である、項目1に記載の方法。
(4) 前記抗原−サイトカイン融合タンパク質が抗原−GM−CS
F融合タンパク質である、項目3に記載の方法。
(5) 前記抗原が腫瘍抗原、微生物抗原およびアレルゲンからなる
群から選択される、項目1に記載の方法。
(6) 前記抗原が腫瘍抗原である、項目5に記載の方法。
(7) 前記抗原が前記免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドおよび前
記免疫増強サイトカインを組み合わせて、前記被験体に投与される、項目1に
記載の方法。
(8) 前記被験体が前記抗原に受動的に曝露される、項目1に記
載の方法。
(9) 前記被験体が腫瘍性の障害を有する、項目1に記載の方法

(10) 前記被験体がウイルス性の感染を有する、項目1に記載
の方法。
(11) 組成物であって、以下:
少なくとも以下の式を含む配列を有する免疫刺激CpGオリゴヌクレオチド:
5’X1CGX23’
ここで、該オリゴヌクレオチドは、少なくとも8つのヌクレオチドを含み、ここ
でCおよびGは、非メチル化されており、そして、ここでX1およびX2はヌクレ
オチドである;ならびに
GM−CSF、IL−4、TNFa、Flt3リガンドおよびIL−3からな
る群から選択されるサイトカイン、
の樹状細胞を相乗効果的に活性化するために有効な量を含む、組成物。
(12) 前記サイトカインがGM−CSFである、項目11に記
載の組成物。
(13) 抗原をさらに含む、項目11に記載の組成物。
(14) 前記抗原が、癌抗原、微生物抗原およびアレルゲンからな
る群から選択される、項目13に記載の組成物。
(15) 樹状細胞を活性化するための方法であって、以下:
抗原に曝露される樹状細胞を、少なくとも以下の式を含む配列を有する免疫刺
激CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインの相乗効果的に樹状細
胞を活性化するために有効な量と接触させる工程であって:
5’X1CGX23’
ここで、該オリゴヌクレオチドは、少なくとも8つのヌクレオチドを含み、ここ
でCおよびGは、非メチル化されており、そして、ここでX1およびX2はヌクレ
オチドである工程、
を含む、方法。
(16) 前記サイトカインがGM−CSF、IL−3、IL−5、
IL−12およびインターフェロンγからなる群から選択される、項目15に
記載の方法。
(17) 前記抗原が腫瘍抗原である、項目15に記載の方法。
(18) 腫瘍性の障害を有する被験体を処置するための方法であっ
て、以下:
少なくとも以下の式を含む配列を有する免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドお
よび免疫増強サイトカインを、腫瘍性の障害を有する被験体の腫瘍に、免疫刺激
CpGオリゴヌクレオチドまたは免疫増強サイトカイン単独を投与された被験体
に関して被験体の生存時間を相乗効果的に延長するために有効な量で投与する工
程であって:
5’X1CGX23’
ここで、該オリゴヌクレオチドは、少なくとも8つのヌクレオチドを含み、ここ
でCおよびGは、非メチル化されており、そして、ここでX1およびX2はヌクレ
オチドである工程、
を含む、方法。
(19) 前記腫瘍が脳、肺、卵巣、乳房、前立腺、結腸、皮膚およ
び血液の腫瘍からなる群から選択される、項目18に記載の方法。
(20) 前記免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドおよび前記免疫増
強サイトカインが腫瘍に直接注射される、項目18に記載の方法。
(21) 避妊方法であって、以下:
抗原、免疫増強サイトカインおよび少なくとも以下の式を含む配列を有する免
疫刺激CpGオリゴヌクレオチドを被験体に投与する工程であって:
5’X1CGX23’
ここで、該オリゴヌクレオチドは、少なくとも8つのヌクレオチドを含み、ここ
でCおよびGは、非メチル化されており、そして、ここでX1およびX2はヌクレ
オチドであり、ここで該抗原は、生殖腺細胞抗原、ならびに生殖線細胞の維持の
ために必要なサイトカインまたはホルモン由来の抗原からなる群から選択される
抗原である工程、
を含む、方法。
【0021】
本発明のそれぞれの限定は、本発明の種々の実施態様を包含し得る。従って、
任意の1つのエレメントまたはエレメントの組み合わせを含む本発明のそれぞれ
の限定が、本発明のそれぞれの局面に含まれ得ることが理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(発明の詳細な説明)
本発明は、被験体における免疫応答を刺激するための方法および産物に関する
。本発明に従って、免疫増強化合物の組み合わせに対する相乗的な応答を達成し
得ることを発見した。これらの相乗的な効果は、インビトロ、インビボおよびエ
キソビボで観察された。生存率の相乗的な増加は、確立された腫瘍を有する動物
においてさえも観察された。本方法は、抗原に曝露された被験体に、相乗的な抗
原特異的免疫応答を誘導するのに有効量の免疫増強サイトカインおよび免疫刺激
CpGオリゴヌクレオチドを投与することにより行われる。
【0023】
この知見は、免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドを、免疫増強サイトカインと
組み合わせて被験体に投与した場合、生じた免疫応答が相乗的であるという発見
に基づく。CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインは両方とも、
被験体に投与された場合、独力で免疫応答を生じる能力を有する。しかし、この
2つの組み合わせが共に投与された場合、免疫応答の量および型はシフトする。
例えば、CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインを、図3に示さ
れるように、反復免疫を使用して抗原と組み合わせて投与する場合、抗原特異的
なIgGの相乗的な誘導が観察される。さらに、CpGおよびGM−CSFを共
に投与した場合、抗体応答はIgG2a(Th1免疫応答の指標)およびIgG
1(Th2免疫応答の指標)の両方を含む免疫応答を発生するのに対して、GM
−CSFを単独で投与する場合、IgG2a抗体が動物の系に依存して検出不可
能であるか、または低い。
【0024】
驚くべきことに、CpGオリゴヌクレオチドと免疫増強サイトカインとの組み
合わせは、腫瘍接種後の数日間投与した場合でさえ、腫瘍を注射した動物の生存
率に関して劇的な効果を有する。この知見は、薬物の組み合わせが確立した腫瘍
を排除し得ることを実証したので、注目すべきことであった。代表的な先行技術
免疫ストラテジーは、一般に、腫瘍の確立を防止するために接種の前に行われる
。マウスに腫瘍を注射しそして続いていずれの腫瘍治療も与えなかった場合、そ
の生存率は0%であった。CpGオリゴヌクレオチド単独、またはGM−CSF
および抗原で処置したマウスは、それぞれ、0%および30%の生存率を有した
。CpGオリゴヌクレオチドとGM−CSFとの組み合わせは、70%という劇
的な生存率を生じた。この知見は、確立した腫瘍の処置について、ならびに腫瘍
発達の防止について重大な意味を有する。
【0025】
本発明は1つの局面において、被験体における免疫応答を刺激するための方法
である。本方法は、抗原に曝露された被験体に、相乗的な抗原特異性免疫応答を
誘導するために有効量の免疫増強サイトカインおよび免疫刺激CpGオリゴヌク
レオチドを投与することにより行われる。免疫刺激CpGオリゴヌクレオチドは
、少なくとも以下の式を含む配列を有する:
5’X1CGX23’
ここで、このオリゴヌクレオチドは少なくとも8つのヌクレオチドを含み、Cお
よびGはメチル化されておらず、そしてX1およびX2はヌクレオチドである。
【0026】
本明細書中で使用される「抗原」は、免疫応答を引き起こし得る分子である。
抗原としては以下が挙げられるがそれらに限定されない:細胞、細胞抽出物、多
糖、多糖結合体、脂質、糖脂質、炭水化物、ペプチド、タンパク質、ウイルス、
およびウイルス抽出物。用語抗原は、宿主免疫系により外来であるとして認識さ
れる任意の型の分子を広範に含む。抗原としては、癌抗原、微生物抗原、および
アレルゲンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0027】
本発明の方法は、癌抗原に対する抗原特異的な免疫応答を刺激することにより
癌を処置するために有用である。本明細書中で使用されるような「癌抗原」は、
腫瘍または癌細胞の表面に会合する化合物(例えば、ペプチド)であり、そして
この化合物は、MHC分子に関連する抗原提示細胞の表面上に発現された場合、
免疫応答を引き起こし得る。癌抗原を、癌細胞の粗抽出物を調製すること(例え
ば、Cohenら,1994,Cancer Research,54:105
5に記載される)、これらの抗原を部分的に精製すること、組換え技術、または
公知の抗原のデノボ合成のいずれかによって、癌細胞から調製し得る。癌抗原と
しては、腫瘍または癌の免疫原性部分である抗原または腫瘍全体もしくは癌全体
である抗原が挙げられる。このような抗原は、単離され得るか、または組換え的
にもしくは当該分野で公知の任意の他の手段によって調製され得る。癌または腫
瘍は、以下を含むがそれらに限定されない:胆管癌;脳癌;乳癌;頸部癌;絨毛
癌;結腸癌;子宮体癌;食道癌;胃癌;表皮内新生物;リンパ腫;肝臓癌;肺癌
(例えば、小細胞および非小細胞);黒色腫;神経芽腫;口腔癌(oral c
ancer);卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;精巣癌;甲
状腺癌;および腎臓癌、ならびに他の癌腫および肉腫。
【0028】
腫瘍は抗原性であり、そして免疫学的な破壊に感受性であり得る。用語「腫瘍
」は、通常、新生物と同一視され、これは文字通り「新生物(new grow
th)」を意味し、そして「癌」と交換可能に使用される。「新生物障害」は、
細胞増殖、特に、新生物に関連する任意の障害である。「新生物」は、その出現
を開始した発癌性因子の撤退後に持続しそして増殖する組織の異常な塊である。
2つの型の新生物、すなわち、良性および悪性が存在する。ほとんど全ての良性
腫瘍は被包化され、そして非侵襲性である;対照的に、悪性腫瘍はほとんど全く
被包化されず、浸潤性の破壊性増殖により隣接する組織を浸潤する。この浸潤性
増殖に続いて、腫瘍細胞は、最初の腫瘍と不連続な部位にインプラントし得る。
本発明の方法を使用して、ヒトにおける新生物障害を処置し得る。この新生物障
害としては以下が挙げられるがそれらに限定されない:肉腫、癌種、線維種、リ
ンパ腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、および神経膠腫、ならびに本明細書中に
記載される他の腫瘍の各々。
【0029】
本発明はまた、ヒト以外の被験体における癌および腫瘍を処置するために使用
され得る。癌は、愛玩動物(すなわち、ネコおよびイヌ)における死を導く原因
の1つである。癌は、通常、ハウスペットの場合、家族の一員となっている高齢
の動物を襲う。10歳より高齢の45%のイヌが、この疾患に屈するようである
。最も通常の処置選択としては、手術、化学療法および放射線治療が挙げられる
。ある程度の成功をもって使用されてきた他の処置様式は、レーザー治療、寒冷
療法、温熱療法および免疫療法である。処置の選択は、癌の型および汎発の程度
に依存する。悪性増殖が身体において別々の領域に制限されなければ、また正常
細胞に影響を及ぼさないで悪性組織のみを取り除くことは困難である。
【0030】
イヌおよびネコにおいて通常診断される悪性障害としては、以下が挙げられる
がそれらに限定されない:リンパ肉腫、骨肉腫、乳房腫瘍、肥満細胞腫、脳腫瘍
、黒色腫、腺扁平上皮癌、カルチノイド肺腫瘍、気管支腺腫瘍、細気管支癌、線
維腫、粘液軟骨腫、肺肉腫、神経肉腫、骨腫、乳頭腫、網膜芽腫、ユーイング肉
腫、ウィルムス腫瘍、バーキットリンパ腫、小グリア細胞腫、神経芽腫、骨巨細
胞腫、口腔新生物、線維肉腫、骨肉腫および横紋筋肉腫。イヌにおける他の新生
物としては、生殖器扁平上皮癌、感染性静脈腫瘍、精巣腫瘍、精上皮腫、セルト
リ細胞腫瘍、血管周囲細胞腫、組織球腫、緑色腫(顆粒球性肉腫)、角膜乳頭腫
、角膜扁平上皮癌、血管肉腫、胸膜中皮腫、基底細胞腫瘍、胸腺腫、胃腫瘍、副
腎癌、口腔乳頭腫、血管内皮腫および嚢胞腺腫。ネコにおいて診断されるさらな
る悪性としては、濾胞リンパ腫、腸リンパ肉腫、線維肉腫および肺扁平上皮癌が
挙げられる。さらにより流行のハウスペットであるフェレットは、インスリノー
マ、リンパ腫、肉腫、神経腫、ランゲルハンス島細胞腫瘍、胃MALTリンパ腫
および胃腺癌を発生することが公知である。
【0031】
農業家畜が発症する新生物としては、以下が挙げられる:(畜牛においては)
白血病、血管周囲細胞腫およびウシ眼球新生物(bovine ocular
neoplasia);(ウマにおいては)包皮線維肉腫、潰瘍性扁平上皮癌、
包皮癌、結合組織新生物および肥満細胞腫;(ブタにおいては)肝細胞癌;(ヒ
ツジにおいては)リンパ腫および肺腺腫症;(鳥類においては)肺肉腫、リンパ
腫、ラウス肉腫、網状内皮症(reticulendotheliosis)、
線維肉腫、腎芽腫、B細胞リンパ腫およびリンパ性白血病;網膜芽腫、肝性新生
物(hepatic neoplasia)、リンパ肉腫(リンパ芽球性リンパ
腫)、プラズマ細胞白血病(plasmacytoid leukemia)お
よび浮き袋肉腫(swimbladder sarcoma)(魚類において)
、乾酪性リンパ節炎(caseous lumphadenitis)(CLA
):細菌Corynebacterium pseudotuberculos
isにより引き起こされるヒツジおよびヤギの慢性性疾患、感染性疾患、伝染性
疾患、ならびに肺線腫症により引き起こされるヒツジの伝染性肺腫瘍。
【0032】
CpGオリゴヌクレオチドは、B細胞、NK細胞、および抗原提示細胞(例え
ば、単球およびマクロファージ)の活性化において有用であり得る。CpGオリ
ゴヌクレオチドは、抗体依存性細胞傷害性を増大し、そして腫瘍チャレンジに対
して防御するために、腫瘍抗原と組み合わせてアジュバントとして使用され得る
(Wooldridge,J.E.ら,1987,前出;Weiner,G.J
.ら,Proc Natl Acad Sci USA 94:10833−1
0837,1997)。本発明は、CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サ
イトカインが、腫瘍に対する免疫応答を生じるために相乗的に作用し、その結果
、CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強剤の効果は、CpGオリゴヌクレオ
チドまたは免疫増強剤のいずれかの個々の効果の合計よりも大きいという知見に
基づく。
【0033】
本発明の方法において、CpGオリゴヌクレオチドは、免疫増強サイトカイン
と共に使用される。「免疫増強サイトカイン」は、体液性免疫応答および/また
は細胞性免疫応答を刺激する分子および化合物である。用語「サイトカイン」は
、体液性調節因子としてナノモル〜ピコモル濃度で作用し、そして正常状態また
は病的状態のいずれかで個々の細胞および組織の機能的な活性を調節する、多様
な群の可溶性のタンパク質およびペプチドに対する一般的な名称として使用され
る。これらのタンパク質はまた、細胞間の相互作用を直接的に媒介し、そして細
胞外環境で起こるプロセスを調節する。サイトカインの例としては、以下が挙げ
られるがそれらに限定されない:IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、I
L−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、顆粒球−マクロファ
ージコロニー刺激因子(G−MCSF)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)
、インターフェロンγ(γ−INF)、腫瘍壊死因子(TNF)、TGF−β、
FLT−3リガンド、およびCD40リガンド。
【0034】
FLT3リガンドは、EP0627487A2およびWO94/28391に
記載される化合物のクラスである。ヒトFLT3リガンドcDNAは、Amer
ican Tissue Type Culture Collection,
Rockville,Marylandに寄託され、そして受託番号ATCC6
9382を与えられた。インターロイキン(Il)は、当該分野において広範に
記載されている(例えば、Mosleyら,1989,Cell,59:335
,Idzerdaら,1990,J.Exp.Med.,171:861)。
GM−CSFは、サルグラモスチン(sargramostine)ロイキン(
leukine)(Immunex)として市販されている。
【0035】
サイトカインは、T細胞応答の指向に役割を果たす。ヘルパー(CD4+)T
細胞は、他の免疫系細胞(他のT細胞を含む)に対して作用する可溶性因子の産
生を介して哺乳動物の免疫応答を統合する。ほとんどの成熟CD4+Tヘルパー
細胞は、2つのサイトカインのプロフィールのうちの一方を発現する:Th1ま
たはTh2。Th1細胞は、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−
9、IL−10、IL−13、GM−CSFおよび低レベルのTNF−αを発現
する。TH1サブセットは、遅延型過敏症、細胞媒介免疫、および免疫グロブリ
ンのIgG2aへのクラス切り替えを促進する。Th2サブセットは、B細胞を活
性化し、抗体産生を促進し、そしてIgG1およびIgEへのクラス切り替えを
誘導することにより体液性免疫を誘導する。
【0036】
腫瘍は「腫瘍特異的抗原」を発現し得、これは、明らかに、腫瘍特異的免疫応
答を強力に刺激し得る抗原である。これらの抗原は正常な遺伝子によりコードさ
れ得、そして以下のいくつかのカテゴリーに分類される:(1)正常なサイレン
トな遺伝子、(2)分化抗原、(3)胚性抗原および胎児性抗原、ならびに(4
)クローン抗原。これらは、少数の正常細胞(例えば、腫瘍が起源する細胞)で
のみ発現される。腫瘍特異的抗原は、癌遺伝子(例えば、活性化されたras癌
遺伝子)、抑制遺伝子(例えば、p53変異体)のような変異体細胞遺伝子によ
ってコードされ得る。融合タンパク質は、内部欠失または染色体転位から生じる
。腫瘍特異的抗原はまた、ウイルス遺伝子(例えば、RNA腫瘍ウイルスまたは
DNA腫瘍ウイルス)によりコードされ得る。
【0037】
リンパ腫の処置において、分泌された免疫グロブリンのイディオタイプは、非
常に特異的な腫瘍関連抗原として作用する。「イディオタイプ」とは、特異的な
抗体または限定されたセットの抗体に対して特異的なV領域決定基のコレクショ
ンを意味する。1つの実施態様において、免疫増強サイトカインは、免疫増強サ
イトカインに融合された、リンパ腫により分泌された特定の抗原イディオタイプ
からなるタンパク質(融合タンパク質)である。抗原−サイトカイン融合タンパ
ク質を生成する方法は、当該分野において周知である(例えば、Tao,M.H
.,Levy,R.,Nature 362:755−758,1993を参照
のこと)。1つの実施態様おいて、融合タンパク質は、抗原−GM−CSF融合
タンパク質である。
【0038】
本発明の方法はまた、感染性疾患を処置するために有用である。感染性疾患は
、本明細書中で使用される場合、身体中の外来微生物の存在から生じる疾患であ
る。CpGおよび免疫増強サイトカインを使用して、微生物の抗原に対するT細
胞応答またはB細胞応答を活性化し得る抗原特異的な免疫応答を刺激する。本方
法は、抗原が微生物に特異的であることを除いて微生物抗原を使用して、腫瘍に
対して上記と同様の方法で達成される。「微生物抗原」は、本明細書中で使用さ
れる場合、微生物の抗原であり、そして感染性ウイルス、感染性細菌、および感
染性真菌を含むがこれらに限定されない。このような抗原は、完全微生物、なら
びに天然の単離物、およびそれらのフラグメントもしくは誘導体を含み、そして
また、天然の微生物抗原に対して同一または類似する合成化合物を含む。これら
の抗原は、微生物に対して特異的な免疫応答を誘導する。化合物が天然の微生物
抗原に対して免疫応答(体液性および/または細胞性)を誘導する場合、この化
合物は天然の微生物抗原に類似する。このような抗原は、当該分野において規定
的に使用され、そして当業者に周知である。
【0039】
ヒトにおいて見出されている感染性ウイルスの例としては、以下が挙げられる
がそれらに限定されない:Retroviridae(例えば、ヒト免疫不全疾
患ウイルス(例えば、HIV−1(HTLV−III、LAVもしくはHTLV
−III/LAV、またはHIV−IIIとしても言及される);および他の分
離株、例えば、HIV−LP;Picornaviridae(例えば、ポリオ
ウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、
ライノウイルス、ECHOウイルス);Calciviridae(例えば、胃
腸炎を引き起こす株);Togaviridae(例えば、ウマ脳炎ウイルス、
風疹ウイルス);Flaviridae(例えば、デング熱ウイルス、脳炎ウイ
ルス、黄熱病ウイルス);Coronoviridae(例えば、コロナウイル
ス);Rhabdoviradae(例えば、水疱性口炎ウイルス、狂犬病ウイ
ルス);Coronaviridae(例えば、コロナウイルス);Rhabd
oviridae(例えば、水疱性口炎ウイルス、狂犬病ウイルス);Filo
viridae(例えば、エボラウイルス);Paramyxoviridae
(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイル
ス、RSウイルス);Orthomyxoviridae(例えば、インフルエ
ンザウイルス);Bungaviridae(例えば、ハンターンウイルス、ブ
ンヤウイルス(bunga virus)、フレボウイルスおよびナイロウイル
ス(Nairo virus));Arena viridae(出血熱ウイル
ス);Reoviridae(例えば、レオウイルス、オルビウイルスおよびロ
タウイルス);Birnaviridae;Hepadnaviridae(B
型肝炎ウイルス);Parvovirida(パルボウイルス);Papova
viridae(乳頭腫ウイルス、ポリオーマウイルス);Adenoviri
dae(主要なアデノウイルス);Herpesviridae(単純ヘルペス
ウイルス(HSV)1および2、水痘−帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイル
ス(CMV)、ヘルペスウイルス);Poxviridae(痘瘡ウイルス、ワ
クシニアウイルス、ポックスウイルス);およびIridoviriae(例え
ば、アフリカ豚コレラウイルス);ならびに分類されていないウイルス(例えば
、海綿状脳障害の病因論的因子、デルタ型肝炎の因子(B型肝炎ウイルスの欠損
サテライトであると考えられる)、非A型非B型肝炎の因子(クラス1=内部遺
伝;クラス2=親遺伝)(すなわち、C型肝炎);ノーウォークウイルスおよび
関連ウイルス、ならびにアストロウイルス(astrovirus))。
【0040】
グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌はともに、脊椎動物において抗原として
作用する。このようなグラム陽性細菌としては、Pasteurella種、S
taphylococci種、およびStreptococcus種が挙げらる
がこれらに限定されない。グラム陰性細菌としては、Escherichia
coli、Pseudomonas種、およびSalmonella種が挙げら
れるがこれらに限定されない。感染性細菌の特定の例としては、以下が挙げられ
るがそれらに限定されない:
【0041】
【化1】



【0042】
感染性真菌の例としては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:Cry
ptococcus neoformans,Histoplasma cap
sulatum,Coccidioides immitis,Blastom
yces dermatitidis,Chlamydia trachoma
tis,Candida albicans。他の感染性生物体(すなわち、原
生生物)としては以下が挙げられる:Plasmodium(例えば、Plas
modium falciparum,Plasmodium malaria
e,Plasmodium ovale,ならびにPlasmodium vi
vaxおよびToxoplasma gondii。
【0043】
他の医療的に関連する微生物は、文献において広範に記載されている(例えば
、C.G.A Thomas,Medical Microbiology,B
ailliere Tindall,Great Britain 1983(
この内容全体は、参考として本明細書中に援用される)を参照のこと)。
【0044】
本発明の方法はまた、アレルギー疾患を処置するために有用である。この方法
は、抗原がアレルゲンに特異的であるということを除いて、腫瘍免疫治療および
感染性疾患の処置について上記したのと同様の方法で達成される。現在、アレル
ギー疾患は、一般に、低用量の抗原の注射、引き続いて、増加性の用量の抗原の
注射により処置される。この手順は、記憶免疫応答を生じ、さらなるアレルギー
反応を防止すると考えられている。しかし、これらの方法は、アレルギー反応の
ような副作用の危険性を伴う。本発明の方法はこれらの問題を回避する。
【0045】
「アレルゲン」とは、感受性の被験体においてアレルギー反応またはぜん息反
応を誘起し得る物質(抗原)をいう。アレルゲンの一覧は膨大であり、そしてこ
の一覧は、花粉、昆虫の毒液、動物の麟屑粉塵、真菌の胞子および薬物(例えば
、ペニシリン)を含み得る。天然の、動物および植物のアレルゲンの例としては
、以下の属に特異的なタンパク質が挙げられるがそれらに限定されない:
【0046】
【化2】



【0047】
「アレルギー」とは、物質(アレルゲン)に対する後天性過敏症のことをいう
。アレルギー状態は、湿疹、アレルギー性鼻炎またはアレルギー性コリーザ、枯
草熱、気管支喘息、じんま疹(urticaria)(じんま疹(hives)
)および食物アレルギー、ならびに他のアトピー性状態を含むが、これらに限定
されない。アレルギー反応を有する被験体は、アレルギーを有するかまたはアレ
ルギーの発症の危険にさらされている被験体である。
【0048】
アレルギーは、一般的に、無害なアレルゲンに対するIgE抗体の産生によっ
て引き起こされる。非メチル化CpGオリゴヌクレオチドによって誘導されるサ
イトカインは主に、細胞免疫応答によって最も良く特徴付けされ、そしてIL−
12およびIFN−γならびにIgG2a抗体の産生に関連する「Th1」と呼
ばれるクラスである。他の主要な型の免疫応答は、Th2免疫応答と呼ばれ、こ
れは1つよりも多いIgG1抗体免疫応答およびIL−4、IL−5およびIL
−10の産生に関連する。一般に、アレルギー疾患は、Th2型免疫応答によっ
て媒介され、そして自己免疫疾患は、Th1免疫応答によって媒介されるようで
ある。患者における免疫応答をTh2応答(これはIgE抗体の産生およびアレ
ルギーに関連し、そしてGM−CSF単独に対する応答で産生される)からTh
1応答(これは、アレルギー反応に対して防御性である)へシフトするCpGオ
リゴヌクレオチドと免疫増強サイトカインとの組み合わせの能力に基づき、有効
な用量のCpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインを被験体へ投与
し、アレルギーを処置または予防し得る。
【0049】
免疫増強サイトカインとの組み合わせられたCpGオリゴヌクレオチドはまた
、喘息の処置において有意な治療上の有用性を有し得る。Th2サイトカイン、
特にIL−4およびIL−5は、喘息の被験体の気道において上昇される。これ
らのサイトカインは、IgEアイソトープ転換、好酸球走化性および好酸球活性
化、ならびに肥満細胞増殖を含む喘息の炎症応答の重要な局面を促進する。Th
1サイトカイン、特にIFN−γおよびIL−12は、Th2クローンの形成お
よびTh2サイトカインの産生を抑制し得る。「喘息」とは、炎症によって特徴
付けられる呼吸器系の障害(気道の狭窄および吸入物質に対する気道の増大した
反応性)のことをいう。喘息は、アトピー性症状またはアレルギー性症状に広範
に関連しないが、頻繁である。
【0050】
同時係属出願の米国特許出願第08/960,774号)に記載されるように
、非メチル化CpGモチーフ(すなわち、TCCATGACGTTCCTGAC
GTT;配列番号93)を含むが、コントロールオリゴヌクレオチド(TCCA
TGAGCTTCCTGAGTCT;配列番号103)を含まないオリゴヌクレ
オチドは、喘息のマウスモデルにおいて炎症細胞浸潤および好酸球増加症の発症
を予防した。さらに、好酸性炎症の抑制は、Th2応答の抑制およびTh1応答
の誘導に関連した。
【0051】
「被験体」とは、ヒトまたはイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、
ニワトリ、霊長類(例えば、サル)、魚(養殖漁業種)(例えば、サケ)、ラッ
トおよびマウスを含むが、これらに限定されない脊椎動物を意味する。
【0052】
上記の多くの障害は、ヒトの障害に関連するが、本発明はまた、他の非ヒト脊
椎動物を処置するのに有用である。非ヒト脊椎動物はまた、癌、感染、アレルギ
ー、および喘息を発症し得る。例えば、感染性ヒト疾患の処置に加えて、本発明
の方法は、動物の感染を処置するのに有用である。
【0053】
本明細書中で使用される場合、感染性疾患に関して用いられる場合に用語「処
置する」、「処置した」、または「処置している」とは、病原体による感染に対
して被験体の抵抗力を増大する(すなわち被験体が、病原体に感染する可能性を
低下する)予防的な処置、および感染と闘うための被験体が感染した後の処置(
例えば、感染を減少するかまたは排除するか、あるいは悪化することからそれを
防ぐ)をいう。非ヒト脊椎動物の処置のための多くのワクチンは、Bennet
t,K.Compendium of Veterinary Product
s,第3版、North American Compendiums,Inc
.,1995に開示される。
【0054】
従って、本発明は、ヒトおよび非ヒト動物における抗原特異的免疫応答を誘導
するためのCpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインの使用を意図
する。上で議論されるように、ウイルス、細菌ならびに真菌のような感染微生物
を含む抗原およびそれらのフラグメントは、天然の供給源または合成的に誘導さ
れる。ヒトおよび非ヒト脊椎動物の両方の感染ウイルスは、レトロウイルス、R
NAウイルス、およびDNAウイルスを含む。レトロウイルスのこのグループは
、単純レトロウィルスおよび複合レトロウイルスの両方を含む。この単純レトロ
ウイルスは、B型レトロウイルス、C型レトロウイルス、およびD型レトロウイ
ルスのサブグループを含む。B型レトロウイルスの例は、マウス乳腺癌ウイルス
(MMTV)である。C型レトロウイルスは、C型グループA(ラウス肉腫ウイ
ルス(RSV)、鳥類の白血病ウイルス(ALV)、および鳥類骨髄芽球症ウイ
ルス(AMV)を含む)およびC型グループB(マウス白血病ウイルス(MLV
)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、マウス肉腫ウイルス(MSV)、テナガ
ザル白血病ウイルス(GALV)、脾臓壊死ウイルス(SNV)、細網内皮症ウ
イルス(RV)およびサル肉腫ウイルス(SSV)を含む)のサブグループを含
む。D型レトロウイルスは、マソン‐ファイザーウイルス(MPMV)およびサ
ルレトロウイルス1型(SRV−1)を含む。複合レトロウィルスは、レンチウ
イルス、T細胞白血病ウィルスおよびフォーミーウイルスのサブグループを含む
。レンチウイルスは、HIV−1を含むが、HIV−2、SIV、ビスナウイル
ス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、およびウマ伝染性貧血ウイルス(EIA
V)もまた含む。T細胞白血病ウイルスは、HTLV−1、HTLV−II、サ
ルT細胞白血病ウイルス(STLV)、およびウシ白血病ウイルス(BLV)を
含む。フォーミーウイルスは、ヒトフォーミーウイルス(HFV)、サルフォー
ミーウイルス(SFV)およびウシフォーミーウイルス(BFV)を含む。
【0055】
脊椎動物における抗原である他のRNAウイルスの例は、以下のファミリーの
メンバーを含むがこれらに限定されない:レオウイルス科ファミリー(オルトレ
オウイルス属(哺乳動物レトロウイルスおよび鳥類レトロウイルスの複数の血清
型)、オルビウイルス属(ブルータングウイルス、ユーベナンギー(Eugen
angee)ウイルス、ケメロボウイルス、アフリカウマ病ウイルス、およびコ
ロラドダニ熱ウイルス)、ロタウイルス属(ヒトロタウイルス、ネブラスカ仔ウ
シ下痢症ウイルス、マウスロタウイルス、サルロタウイルス、ウシまたはヒツジ
ロタウイルス、鳥類ロタウイルス)を含む);エンテロウイルス属(ポリオウイ
ルス、コクサッキーウイルスAおよびB、腸細胞障害性(enteric cy
topathic)ヒトオーファン(ECHO)ウイルス、A型肝炎ウイルス、
サルエンテロウイルス、マウス脳脊髄炎(ME)ウイルス、マウスポリオウイル
ス、ウシエンテロウイルス、ブタエンテロウイルス)、カーディオウイルス属(
脳心筋炎ウイルス(EMC)、メンゴウイルス)、ライノウイルス属(少なくと
も113のサブタイプを含む、ヒトライノウイルス;他のライノウイルス)、ア
フトウイルス属(口蹄疫(FMDV))を含む、ピコルナウイルス科ファミリー
;ブタ小水疱性発疹ウイルス、サンミグエルアザラシウイルス、ネコピコルナウ
イルス、およびノーウォークウイルスを含む、カルシウイルス科ファミリー;ア
ルファウイルス属(東部ウマ脳炎ウイルス、セムリキ森林ウイルス、シンドビス
ウイルス、チクングンヤウイルス、オニョンニョンウイルス、ロス川ウイルス、
ベネズエラウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス)、フラビウイルス属(蚊
媒介(mosquito borne)黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、日
本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マリーバレー脳炎ウイルス、ウエ
ストナイル脳炎ウイルス、クンジンウイルス、中央ヨーロッパダニ媒介(tic
k borne)ウイルス、極東ダニ媒介ウイルス、キャサヌール森林病ウイル
ス、跳躍病ウイルス、ポーワッサンウイルス、オムスク出血性熱ウイルス)、ル
ビウイルス属(風疹ウイルス)、ペスチウイルス属(粘膜病ウイルス、豚コレラ
ウイルス、ボーダー病ウイルス)を含む、トガウイルス科ファミリー;ブンヤウ
イルス属(ブンヤムウェラ熱ウイルスおよびブンヤムウェラ熱関連ウイルス、カ
リフォルニア脳炎群ウイルス)、フレボウイルス属(サシチョウバエ熱シシリー
型(Scilian)ウイルス、リフトバレー熱ウイルス)、ナイロウイルス属
(クリミア‐コンゴ出血性熱ウイルス、ナイロビヒツジ病ウイルス)、およびウ
ウクウイルス属(ウウクニエミーウイルスおよびウウクニエミー関連ウイルス)
を含む、ブンヤウイルス科ファミリー;インフルエンザウイルス属(インフルエ
ンザウイルスA型、多くのヒトサブタイプ);ブタインフルエンザウイルス、な
らびに鳥類インフルエンザウイルスおよびウマのインフルエンザウイルス;イン
フルエンザB型(多くのヒトサブタイプ)、およびインフルエンザC型(考えら
れる別個の属)を含む、オルトミクソウイルス科ファミリー;パラミクソウイル
ス属(パラインフルエンザウイルス1型、センダイウイルス、血球吸着性ウイル
ス、パラインフルエンザウイルス2〜5型、ニューカッスル病ウイルス、流行性
耳下腺炎ウイルス)、麻疹ウイルス属(麻疹ウイルス、亜急性硬化性汎脳炎ウイ
ルス、ジステンパーウイルス、牛疫ウイルス)、肺炎ウイルス属(RSウイルス
(RSV)、ウシRSウイルス、およびマウス肺炎ウイルス)を含む、パラミク
ソウイルス科ファミリー;森林(forest)ウイルス、シンドビスウイルス
、チクングニンウイルス、オニョンニョンウイルス、ロス川ウイルス、ベネズエ
ラウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス)、フラビウイルス属(蚊媒介(m
osquito borne)黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、日本脳炎ウ
イルス、セントルイス脳炎ウイルス、マリーバレー脳炎ウイルス、ウエストナイ
ル脳炎ウイルス、クンジンウイルス、中央ヨーロッパダニ媒介(tick bo
rne)ウイルス、極東ダニ媒介ウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、跳躍
病ウイルス、ポーワッサンウイルス、オムスク出血性熱ウイルス)、ルビウイル
ス属(風疹ウイルス)、ペスチウイルス属(粘膜病ウイルス、豚コレラウイルス
、ボーダー病ウイルス)を含む、トガウイルス科ファミリー;ブンヤウイルス属
(ブンヤムウェラ熱ウイルスおよびブンヤムウェラ熱関連ウイルス、カリフォル
ニア脳炎群ウイルス)、フレボウイルス属(サシチョウバエ熱シシリー型(Sc
ilian)ウイルス、リフトバレー熱ウイルス)、ナイロウイルス属(クリミ
ア‐コンゴ出血性熱ウイルス、ナイロビヒツジ病ウイルス)、およびウウクウイ
ルス属(ウウクニエミーウイルスおよびウウクニエミー関連ウイルス)を含む、
ブンヤウイルス科ファミリー;インフルエンザウイルス属(インフルエンザウイ
ルスA型、多くのヒトサブタイプ);ブタインフルエンザウイルス、ならびに鳥
類インフルエンザウイルスおよびウマのインフルエンザウイルス;インフルエン
ザB型(多くのヒトサブタイプ)、およびインフルエンザC型(考えられる別個
の属)を含む、オルトミクソウイルス科ファミリー;パラミクソウイルス属(パ
ラインフルエンザウイルス1型、センダイウイルス、血球吸着性ウイルス、パラ
インフルエンザウイルス2〜5型、ニューカッスル病ウイルス、流行性耳下腺炎
ウイルス)、麻疹ウイルス属(麻疹ウイルス、亜急性硬化性汎脳炎ウイルス、ジ
ステンパーウイルス、牛疫ウイルス)、肺炎ウイルス属(RSウイルス(RSV
)、ウシRSウイルス、およびマウス肺炎ウイルス)を含む、パラミクソウイル
ス科ファミリー;ベシクロウイルス属(VSV)(チャンディプラウイルス、フ
ランダース−ハートパークウイルス)、リッサウイルス属(狂犬病ウイルス)、
魚類ラブドウイルス、および2つの考えられる(two probable)ラ
ブドウイルス(マルブルクウイルスおよびエボラウイルス)を含む、ラブドウイ
ルス科ファミリー;リンパ球脈絡髄膜炎ウイルス(LCM)、タカリベウイルス
複合体、およびラッサウイルスを含む、アレナウイルス科ファミリー;伝染性気
管支炎ウイルス(IBV)、マウス肝炎ウイルス、ヒト腸(enteric)コ
ロナウイルス、およびネコの伝染性腹膜炎(ネココロナウイルス)を含む、コロ
ナウイルス科ファミリー。
【0056】
脊椎動物において抗原である例示的DNAウイルスは以下を含むが、これらに
限定されない:オルトポックスウイルス属(大痘瘡、小痘瘡、サル痘ワクシニア
、牛痘、スイギュウポックス(Buffalopox)、家兎痘、エクトロメリ
ア)、レポリポックスウイルス属(線維性粘液腫、線維腫)、トリポックスウイ
ルス属(鶏痘、他の鳥類ポックスウイルス)、カプリポックスウイルス属(羊痘
、ヤギ痘)、スイポックスウイルス(豚痘)、パラポックスウイルス属(感染性
膿疱性皮膚炎ウイルス、偽牛痘、ウシ丘疹性口内炎ウイルス)を含む、ポックス
ウイルス科ファミリー;イリドウイルス科ファミリー(アフリカ豚コレラウイル
ス、カエルウイルス2および3、魚類のリンパ嚢腫ウイルス);アルファヘルペ
スウイルス(単純ヘルペス1型および2型、水痘‐帯状疱疹、ウマ流産ウイルス
、ウマヘルペスウイルス2および3、仮性狂犬病ウイルス、ウシの伝染性角膜炎
ウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、ネコ鼻気管炎ウイルス、伝染性喉頭気
管支炎ウイルス)、ベータヘルペスウイルス(ヒトサイトメガロウイルス、なら
びにブタ、サルおよびげっ歯類のサイトメガロウイルス)、ガンマヘルペスウイ
ルス(エプスタイン−バーウイルス(EBV)、マレク病ウイルス、リスザルヘ
ルペスウイルス、クモザルヘルペスウイルス、ノウサギヘルペスウイルス、モル
モットヘルペスウイルス、ルッケ腫瘍(Lucke tumor)ウイルス)を
含む、ヘルペスウイルス科ファミリー;マストアデノウイルス属(ヒトサブグル
ープA、B、C、D、E、および非グループ化;サルアデノウイルス(少なくと
も23の血清型)、イヌの伝染性肝炎、およびウシ、ブタ、ヒツジ、カエルおよ
び多くの他の種のアデノウイルス)、トリアデノウイルス属(鳥類のアデノウイ
ルス)を含む、アデノウイルス科ファミリー;および培養不可能な(non−c
ultivatable)アデノウイルス;パピローマウイルス属(ヒトパピロ
ーマウイルス、ウシパピローマウイルス、ショープウサギ乳頭腫ウイルス、およ
び他の種の種々の病原性パピローマウイルス)、ポリオーマウイルス属(ポリオ
ーマウイルス、サル空胞形成因子(vacuolating agent)(S
V−40)、ウサギ空胞形成因子(RKV)、Kウイルス、BKウイルス、JC
ウイルス、および霊長類ポリオーマウイルス(例えば、リンパ増殖性(lymp
hotrophic)パピローマウイルス)を含む、パポバウイルス科ファミリ
ー;アデノ関連ウイルス属、パルボウイルス属(ネコ汎白血球減少症ウイルス、
ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、アリューシャンミンク病ウイルスな
ど)を含む、パルボウイルス科ファミリー。最後に、DNAウイルスは、上記の
ファミリーに一致しないウイルス(例えば、クールーウイルスおよびクロイツフ
ェルト−ヤーコプ病ウイルス、ならびに慢性感染神経障害因子(chronic
infectious neuropathic agent)(CHINA
ウイルス))を含み得る。
【0057】
前記のリストのそれぞれは、例示であり、そして限定を意図しない。
【0058】
ヒトにおいて抗原特異的免疫応答を誘導するためのCpGオリゴヌクレオチド
および免疫増強サイトカインの組み合わせの使用に加えて、好ましい実施態様の
方法は、トリ(例えば、雌鳥、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル(カモ)、ガ
チョウ、ウズラ、およびキジ)の処置に特によく適している。トリは、多くの型
の感染の主な標的である。
【0059】
孵化するトリは、誕生後まもなく病原性微生物に曝される。これらのトリは、
始めは母親由来の抗体によって病原体から防御されるが、この防御は一時的に過
ぎず、そしてトリ自身の未成熟な免疫システムが、病原体からトリを防御し始め
なければならない。若いトリが最も感受性である時に、それらにおいて感染を防
ぐことが、しばしば望ましい。特に、トリが閉鎖された区域に入れられる(これ
は疾患の急速な伝播を導く)場合、老齢のトリにおいて感染を防ぐことがまた望
ましい。従って、抗原が存在する場合、抗原特異的免疫応答を増強するために本
発明のCpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインをトリに投与する
ことが望ましい。
【0060】
ニワトリの普通の感染の例は、ニワトリ感染性貧血ウイルス(CIAV)であ
る。CIAVは、1979年日本でマレク病ワクチン接種ブレーク(vacci
nation break)の研究の間に初めて単離された(Yuasaら、1
979、Avian Dis.23:366−385)。この時以来、CIAV
は、全ての主な家禽生産国の養鶏において検出されている(van Bulow
ら、1991、690−699頁、Diseases of Poultry,
第九版、Iowa State Unversity Press)。
【0061】
CIAV感染は、若い感受性のニワトリにおいて、貧血、出血および免疫抑制
によって特徴づけられる臨床疾患を生じる。CIAV感染したニワトリの胸腺の
萎縮症および骨髄の萎縮症ならびに一貫した病変もまた、CIAV感染の特徴で
ある。胸腺におけるリンパ球の枯渇、および時折ファブリキウス嚢におけるリン
パ球の枯渇は、免疫抑制を生じ、そして二次的なウイルス感染、細菌感染、また
は真菌感染(次いで、これは疾患の経過を複雑にする)に対する感受性を増大さ
せる。免疫抑制は、マレク病ウイルス(MDV)、伝染性ファルビキウス嚢病、
細網内皮症ウイルス、アデノウイルス、またはレオウイルスの1つ以上に感染後
に疾患を悪化させる原因となり得る。MDVの病原性は、CIAVによって増強
されることが報告されている(DeBoerら、1989、28頁、Proce
edings of the 38th Western Poultry D
iseases Conference,Tempe,Ariz.)。さらに、
CIAVが、伝染性ファルビキウス嚢病の徴候を悪化させることが報告されてい
る(Rosenbergerら、1989、Avian Dis.33:707
−713)。ニワトリは、CAAによって実験的に引き起された疾患に対して年
齢抵抗性(age resistance)を発生させる。これは、本質的に、
2週齢までに完了するが、老齢のトリは、感染に対して未だ感受性である(Yu
asa,N.ら、1979前出;Yuasa,N.ら、Aian Diseas
es 24,202−209,1980)。しかし、ニワトリを、CAAおよび
免疫抑制因子(IBDV、MDVなど)に二重に感染させる場合、この疾患に対
する年齢抵抗性は、遅延される(Yuasa,N.ら、1979および1980
前出;Bulow von V.ら、J.Veterinary Medici
ne 33:93−116,1986)。疾患の伝染を増強し得るCIAVの特
徴は、環境的な不活性化およびいくつかの通常の消毒剤に対する高い抵抗性を含
む。家禽産業に対するCIAV感染の経済的影響は、疾患に感染したトリの10
%〜30%が、死を突発するという事実から明らかである。
【0062】
トリのワクチン接種は、他の脊椎動物のように、任意の年齢で行われ得る。通
常、ワクチン接種は、生きた微生物については12週齢までに行われ、そして不
活性化微生物または他の型のワクチンについては14〜18週の間に行われる。
卵内(in ovo)ワクチン接種については、ワクチン接種が、胚発生の最後
の四半期(last quarter)に行われ得る。このワクチンは、皮下、
スプレーによって、経口、眼内、気管内、経鼻、卵内(in ovo)、または
本明細書中に記載される他の方法によって投与され得る。従って、本発明のCp
Gオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインは、慣用的なワクチンスケジ
ュールを用いてトリおよび他の非ヒト脊椎動物へ投与され得、そして抗原は、本
明細書中に記載される適切な時間の後に投与される。
【0063】
ウシおよび家畜もまた、感染に対して感受性である。これらの動物を冒す疾患
は、(特にウシの間で)深刻な経済損失を生じ得る。本発明の方法を用いて、家
畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、およびヤギ)における感染に対して防
御し得る。
【0064】
ウシは、ウシウイルスによって感染され得る。ウシウイルス性下痢性ウイルス
(BVDV)は、小エンベロープ化(small enveloped)プラス
鎖RNAウイルスであり、そして豚コレラウイルス(HOCV)およびヒツジボ
ーダー病ウイルス(BDV)と共に、ペスチウイルス属に分類される。ペスチウ
イルスは、以前にトガウイルス科ファミリーに分類されたが、いくつかの研究は
、フラビウイルスおよびC型肝炎ウイルス(HCV)グループと共にフラビウイ
ルス科ファミリーへの再分類を提案している(Franckiら、1991)。
【0065】
BVDV(これはウシの重要な病原体である)は、細胞培養分析に基づいて、
細胞病原性(CP)生物型および非細胞病原性(NCP)生物型へ区別され得る
。両方の生物型は、ウシにおいて見出され得るが、NCP生物型がより広範囲に
及ぶ。妊娠中のウシが、NCP株に感染する場合、ウシは、持続的に感染させた
ウシ、すなわち、その一生の間ウイルスを伝播する免疫寛容ウシを出産する。持
続的に感染させたウシは、粘膜疾患で死に得、次いで、両方の生物型が、この動
物から分離され得る。臨床的症状は、流産、奇形発生、ならびに呼吸の問題、粘
膜疾病および軽度の下痢を含み得る。さらに、この動物の死を生じ得る、群れの
伝染病に関連する重篤な血小板減少症が記載されており、そしてこの疾患と関連
する株は、古典的なBVDVよりも病原性であると思われる。
【0066】
ウマヘルペスウイルス(EHV)は、ウマにおいて無症状疾患から致命的疾患
までにわたる種々の感染を引き起こす、抗原性的に区別された生物学的因子の群
を含む。これらは、ウマにおける遍在性の病原体であるウマヘルペスウイルス−
1(EHV−1)を含む。EHV−1は、流産、気道疾患、および中枢神経系障
害の流行病に関連する。若いウマの上気道の初期の感染は、8〜10日間続く熱
病(febrile illness)を生じる。免疫学的経験をした雌馬は、
疾患が明らかになることなしに気道を通じて再感染され得、その結果、流産は、
通常前兆なしに生じる。神経学的症候群は、呼吸疾患、または流産に関連し、任
意の年齢のいずれかの性別の動物を冒し得、共調運動不能、衰弱および後部麻痺
(posterior paralysis)を導く(Telford,E.A
.R.ら、Virology 189,304−316,1992)。他のEH
Vは、EHV−2、またはウマサイトメガロウイルス、EHV−3、ウマ交疹ウ
イルス、およびEHV−4(以前はEHV−1サブタイプ2に分類された)を含
む。
【0067】
ヒツジおよびヤギは、ビスナ−マエディを含む種々の危険な微生物によって感
染され得る。
【0068】
サル(monkey)、サル(ape)、およびマカクのような霊長類は、サ
ル免疫不全ウイルスによって感染され得る。不活性化細胞−ウイルスおよび無細
胞の全サル免疫不全ワクチンは、マカクに防御をもたらすことが報告されている
(Stottら、(1990)Lancet 36:1538−1541;De
srosiersら、PNAS USA(1989)86:6353−6357
;Murphey−Corbら、(1989)Science 246:129
3−1297;およびCarlsonら、(1990)AIDS Res.Hu
man Retroviruses 6:1239−1246)。組換えHIV
gp120ワクチンは、チンパンジーに防御をもたらすことが報告されている
(Bermanら、(1990)Nature 345:622−625)。
【0069】
ネコ(家庭内および野生の両方)は、種々の微生物での感染に感受性である。
例えば、ネコの伝染性腹膜炎は、家ネコ、および野生のネコ(例えば、ライオン
、ヒョウ、チーター、およびジャガー)の両方において生じる疾患である。この
型のおよび他の型の病原性生物体を用いてネコにおける感染を防御することが望
ましい場合、本発明の方法を用いて、ネコにワクチン接種し、感染からネコを防
御し得る。
【0070】
家ネコは、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、ネコ肉腫ウイルス(FeSV)
、内因性C型オンコルナウイルス(RD−114)、およびネコシンシチア形成
(forming)ウイルス(FeSFV)を含むが、これらに限定されない、
いくつかのレトロウイルスで感染させ得る。これらのうち、FeLVは、最も有
意な病原体であり、これは、リンパ性細網(lymphoreticular)
新生物および骨髄性新生物、貧血、免疫媒介性障害(immune media
ted disorder)、およびヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)に
類似した免疫不全症候群を含む多様な症状を引き起こす。最近、FeLV−AI
DSと命名された特定の複製不全(replication−defectiv
e)FeLV変異体が、免疫抑制特性とより詳細に関連付けされている。
【0071】
ネコTリンパ指向性(T−lymphotropic)レンチウイルス(ネコ
免疫不全ともいわれる)の発見は、Pedersenら(1987)Scien
ce 235:790−793に最初に報告された。FIVの特徴は、Yama
motoら(1988)Leukemia,12月 補遺 2:204S−21
5S;Yamamotoら(1988)Am.J.Vet.Res.49:12
46−1258;およびAckleyら(1990)J.Virol.64:5
652−5655に報告されている。FIVのクローニングおよび配列分析は、
Olmstedら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
86:2448−2452および86:4355−4360に報告されている

【0072】
ネコの伝染性腹膜炎(FIP)は、家ネコ科および野生のネコ科において予測
不可能に生じる散発性疾患である。FIPは、主に家ネコの疾患であるが、ライ
オン、アメリカライオン、ヒョウ、チーター、およびジャガーにおいて診断され
ている。FIPに冒されている小型の野生のネコは、ヤマネコおよびカラカル、
サンドキャット(sand cat)、およびパラスキャット(pallas
cat)を含む。家ネコにおいて、全ての年齢のネコが感受性であるが、この疾
患は、若い動物において主に生じる。発生率のピークは、6と12ヶ月齢の間で
生じる。発生率の低下が、5〜13歳で認められ、次いで14〜15歳のネコに
おいて発生率の増加が認められる。
【0073】
魚類、甲殻類または他の水性生物品種におけるウイルス疾患および細菌疾患は
、養殖漁業産業について深刻な問題を提起する。孵化タンクまたは閉鎖された海
洋養殖領域における動物の高い密度が原因で、感染性疾患は、例えば、魚類設備
、甲殻類設備、または他の水性生物品種設備において大部分のストックを死滅さ
せ得る。疾患の予防は、疾患が進行してすぐの介入よりも、魚類へのこれらの脅
威に対するより好適な救済策である。魚類のワクチン接種は、免疫によって長期
間の防御を提供し得る唯一の予防法である。ワクチン接種に基づく核酸は、Da
visへ発行された米国特許第5,780,448号に記載される。
【0074】
魚類の免疫系は、哺乳動物免疫系に類似した多くの特性を有する(例えば、B
細胞、T細胞、リンホカイン、補体、および免疫グロブリンの存在)。魚類は、
哺乳動物のB細胞およびT細胞のリンパ球サブクラスに多くの点で類似している
と思われる役割を有するリンパ球サブクラスを有する。ワクチンは、経口投与さ
れるか、あるいは液浸または注入によって投与され得る。
【0075】
養殖漁業種は、魚類、甲殻類または他の水性動物を含むが、これらに限定され
ない。魚類は、全ての魚形脊椎動物を含む。これは、例えば、サケ科、コイ、ナ
マズ、ブリ、タイ、およびスズキのような硬骨魚類または軟骨魚類であり得る。
サケ科は、マス(ニジマスを含む)、サケ、および北極イワナ(Arctic
char)を含む魚類のファミリーである。甲殻類の例は、ハマグリ、ロブスタ
ー、エビ、カニ、およびカキを含むが、これらに限定されない。他の養殖水性動
物は、ウナギ、イカ、およびタコを含むが、これらに限定されない。
【0076】
ウイルス性水性生物病原体のポリペプチドは、ウイルス性出血性敗血症ウイル
ス(VHSV)の糖タンパク質(G)または核タンパク質(N);伝染性造血組
織壊死ウイルス(IHNV)のGタンパク質またはNタンパク質;伝染性膵臓壊
死ウイルス(IPNV)のVP1構造、VP2構造、VP3構造、またはN構造
タンパク質;コイ春ウイルス血症ウイルス(SVC)のGタンパク質;ならびに
ブチナマズウイルス(CCV)の膜関連タンパク質、外被(tegumin)タ
ンパク質およびキャプシドタンパク質または糖タンパク質を含むが、これらに限
定されない。
【0077】
細菌性病原体のポリペプチドとしては、以下が挙げられるが、これらに限定さ
れない:Aeromonis salmonicidaの鉄調節外膜タンパク質
(IROMP)、外膜タンパク質(OMP),およびA−タンパク質(これは、
フルンケル多発症を引き起こす)、Renibacterium salmon
inarumのp57タンパク質(これは、細菌性腎疾患(BKD)を引き起こ
す)、Yersiniosisの主要表面関連抗原(msa)、表面発現細胞毒
素(mpr)、表面発現溶血素(ish)、および鞭毛抗原;Pasteure
llosisの細胞外タンパク質(ECP)、鉄調節外膜タンパク質(IROM
P)、および構造タンパク質;Vibrosis anguillarumおよ
びV.ordaliiのOMPおよび鞭毛タンパク質;Edwardsiell
osis ictaluriおよびE.tardaの鞭毛タンパク質、OMPタ
ンパク質、aroAおよびpurA;ならびにIchthyophthiriu
sの表面抗原;ならびにCytophaga columnariの構造タンパ
ク質および調節タンパク質;ならびにRickettsiaの構造タンパク質お
よび調節タンパク質。
【0078】
寄生虫性病原体のポリペプチドとしては、Ichthyophthirius
の表面抗原が挙げられるが、これに限定されない。
【0079】
被験体を、この抗原に暴露する。本明細書中で使用される場合、用語「曝露さ
れる(する)」とは、被験体を抗原と接触させる能動的工程、またはインビボで
の抗原への被験体の受動的曝露のいずれかをいう。抗原への被験体の能動的曝露
のための方法は、当該分野において周知である。一般には、抗原を、任意の手段
(例えば、静脈内投与、筋内投与、経口投与、経皮投与、粘膜投与、鼻腔内投与
、気管内投与、または皮下投与)によって、被験体に直接的に投与する。抗原は
、全身的にかまたは局所的に投与され得る。抗原およびCpGおよび免疫増強サ
イトカインを投与するための方法は、以下においてより詳細に記載される。抗原
が、身体内の免疫細胞に曝露するために利用可能となる場合、被験体を受動的に
抗原に対して曝露する。被験体を、例えば、身体内に外来病原体の侵入させるこ
とによってか、または表面に外来抗原を発現する腫瘍細胞の発生させることによ
って、抗原に対して受動的に曝露し得る。被験体を抗原に対して受動的に曝露す
る場合、CpGオリゴヌクレオチドは、8〜100ヌクレオチド長のオリゴヌク
レオチドであり、および/またはリン酸改変骨格を有することが好ましい。
【0080】
被験体を抗原に対して受動的に曝露する方法は、CpGオリゴヌクレオチドお
よび免疫増強サイトカインの投与の時期に部分的に特に依存し得る。例えば、癌
もしくは感染性疾患、またはアレルギー性応答もしくは喘息性応答の発症の危険
性がある被験体において、この危険性が最も大きい時(すなわち、アレルギーの
季節、または癌の原因因子への曝露後)に、被験体は、規則的に(on reg
ular basis)CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカイン
を投与され得る。さらに、CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカイ
ンは、旅行者が、感染因子への曝露の危険性がある外国に旅行する前に、その旅
行者に対して投与され得る。同様に、CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強
サイトカインは、生物戦争に曝露される危険性のある軍人または民間人に対して
、それらの被験体がそれに曝露される時および場合に、抗原に対する全身的免疫
応答を誘導するために投与され得る。
【0081】
癌を発生させる危険性のある被験体はまた、本発明の方法に従って、CpGお
よび免疫増強サイトカインに続いて抗原に受動的または能動的に曝露することに
よって処置され得る。癌を発症する危険性のある被験体とは、癌を発症する高い
可能性を有する被験体をいう。これらの被験体としては、例えば、遺伝子異常(
その存在が、癌発症のより高い可能性に対して相関性を有することが実証されて
いる)を有する被験体、および癌の原因因子(例えば、タバコ、アスベスト、ま
たは他の化学毒素)に対して曝露された被験体が挙げられる。癌発症の危険性の
ある被験体を、CpGおよび免疫増強サイトカインで規則的に(例えば、毎月)
処置する場合、被験体は、抗原特異的免疫応答を認識し、そして生成し得る。被
験体において、腫瘍が形成を開始する場合に、被験体は、1つ以上のこの腫瘍抗
原に対して特異的免疫応答を発症する。本発明のこの局面は、被験体が曝露され
る抗原が未知である場合に、特に有利である。例えば、生物戦争に曝露される危
険性のある軍人において、これらの軍人が曝露されるかもしれない生物兵器が何
であるかは、一般的に未知である。
【0082】
抗原は、単独で、またはキャリアを伴って、被験体の免疫系に送達され得る。
例えば、コロイド分散系が、被験体に抗原を送達するために使用され得る。本明
細書中で使用される場合、「コロイド分散系」とは、被験体中に抗原を送達およ
び放出し得る、細菌学的供給源またはウイルス性供給源由来以外の、天然の分子
または合成分子をいう。コロイド分散系としては、高分子複合体、ナノカプセル
(nanocapsule)、ミクロスフェア、ビーズ、および脂質に基づく系
(水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む)が挙げ
られる。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームとは、
インビボまたはインビトロの送達ベクターとして有用な人工膜血管である。サイ
ズが0.2〜4.0μの範囲である大きな単層血管(LUV)は、水性の内部に
大きな高分子をカプセル化し得、そしてこれらの高分子は生物学的に活性な形態
で細胞に送達され得ることが示されている(Fraleyら、Trends B
iochem.Sci.6:77(1981)。
【0083】
トランスフェクションのための脂質処方物は、例えば、EFFECTENETM
(特別なDNA濃縮エンハンサーを有する非リポソーム脂質)およびSUPER
−FECTTM(新規の作用性デンドリマー技術(acting dendrim
eric technology))としてQIAGENから、ならびに、例え
ば、LIPOFECTINTMおよびLIPOFECTACETM(これらは、例え
ば、N−[1−(2,3ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメ
チルアンモニウムクロリド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモ
ニウムブロミド(DDAB)のようなカチオン性脂質から構成される)としてG
ibco BRLから市販される。リポソームを作製するための方法は当該分野
において周知であり、そして多くの刊行物に記載されている。リポソームは、G
regoriadis,G.、Trends in Biotechnolog
y 3:235−241(1985)(これは、本明細書中で参考として援用さ
れる)による概説文献に記載された。
【0084】
抗原が、この抗原をコードする核酸分子において被験体に送達され得、その結
果、この抗原がインビボで発現されるに違いないことが想像される。本発明のこ
れらの実施態様において、この核酸分子はまた、核酸配列中にCpGジヌクレオ
チドを含み得る。しかしこの場合、この核酸分子は、CpGオリゴヌクレオチド
と取って代わることはない。抗原は、この核酸分子から離れたCpGオリゴヌク
レオチドとの組合わせにおいて投与されなければならない。抗原をコードする核
酸は、真核生物細胞内での抗原核酸の発現を指向する遺伝子発現配列に、作動可
能に連結される。「遺伝子発現配列」は、それに対して作動可能に連結される抗
原核酸の効率的な転写および翻訳を促進する、任意の調節ヌクレオチド配列(例
えば、プロモーター配列、またはプロモーター−エンハンサーの組合わせ)であ
る。遺伝子発現配列とは、例えば、哺乳動物プロモーターまたはウイルス性プロ
モーター(例えば、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター)であり得る
。構成的哺乳動物プロモーターとしては、以下の遺伝子についてのプロモーター
が挙げられるが、これらに限定されない:ヒポキサンチンホスホリボシルトラン
スフェラーゼ(HPTR)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、β
−アクチンプロモーターおよび他の構成的プロモーター。真核生物細胞中で構成
的に機能する、例示的なウイルス性プロモーターとしては、例えば、シミアンウ
イルス、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV
)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルスおよ
び他のレトロウイルスの長い末端反復(LTR)、ならびに単純ヘルペスウイル
スのチミジンキナーゼプロモーター由来のプロモーターが挙げられる。他の構成
的プロモーターは、当業者に公知である。本発明の遺伝子発現配列として有用な
プロモーターはまた、誘導性プロモーターを含む。誘導性プロモーターは、誘導
因子の存在下で発現される。例えば、メタロチオネインプロモーターは、特定の
金属イオンの存在下で転写および翻訳を促進するように誘導される。他の誘導性
プロモーターは、当業者に公知である。
【0085】
一般的に、遺伝子発現配列は、必要に応じて、それぞれ転写および翻訳の開始
に関与する、5’−非転写配列および5’−非翻訳配列(例えば、TATAボッ
クス、キャップ配列、CAAT配列など)を含む。特に、そのような5’−非転
写配列は、作動可能に連結された抗原核酸の転写制御についてのプロモーター配
列を含むプロモーター領域を含む。この遺伝子発現配列は、必要に応じてエンハ
ンサー配列、または所望される場合には上流のアクチベーター配列を含む。
【0086】
抗原核酸は、遺伝子の発現配列に作動可能に連結される。本明細書中で使用さ
れる場合、抗原核酸配列および遺伝子発現配列が、この遺伝子発現配列の影響下
または制御下で、この抗原コード配列の発現あるいは転写および/または翻訳さ
せるように配置するような様式で共有結合される場合に、それらを「作動可能に
連結」されている状態であるという。2つのDNA配列は、5’遺伝子発現配列
中のプロモーターの誘導が、抗原配列の転写を生じる場合、および2つのDNA
配列の間の連結の性質が、(1)フレームシフト変異の導入を生じない、(2)
抗原配列の転写を指向する、プロモーター領域の能力を妨害しない、または(3
)タンパク質に翻訳される、対応するRNAの転写の能力を妨害しない場合に、
作動可能に連結されているという。従って、遺伝子発現配列は、その遺伝子発現
配列が、抗原核酸配列の転写を有効にし得、その結果、得られる転写産物が所望
のタンパク質またはポリペプチドに翻訳される場合に、抗原核酸配列に作動可能
に連結される。
【0087】
本発明の抗原核酸は、単独で、またはベクターと共に、免疫系に送達され得る
。最も広範な意味で、「ベクター」とは、免疫系の細胞、および好ましくはAP
Cへの抗原核酸の移行を促進し得、その結果、その抗原がAPCの表面上で発現
および提示され得る、任意のビヒクルである。好ましくは、ベクターは、ベクタ
ーの非存在下で生じる崩壊の程度と比較して、崩壊性を低減して免疫細胞に核酸
を輸送する。ベクターは、必要に応じて、APCでの抗原核酸の発現を増強する
ために上記の遺伝子発現配列を含む。一般的に、本発明において有用なベクター
としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗原核酸配列の挿入ま
たは組込みによって操作されたプラスミド、ファージミド、ウイルス、ウイルス
供給源または細菌性供給源由来の他のビヒクル。ウイルスベクターは、ベクター
の好ましい型であり、これは以下のウイルス由来の核酸配列を含むがこれらに限
定されない:レトロウイルス(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス、ハーベ
イマウス肉腫ウイルス、マウス乳腺癌ウイルス、およびラウス肉腫ウイルス);
アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイル
ス;エプスタイン−バーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワ
クシニアウイルス;ポリオウイルス;およびRNAウイルス(例えば、レトロウ
イルス)。列挙されていないが、当該分野において公知の他のベクターを容易に
使用し得る。
【0088】
好ましいウイルスベクターは、必須でない遺伝子が目的の遺伝子と置き換えら
れている、非細胞障害性の真核生物ウイルスに基づく。非細胞障害性ウイルスと
しては、その生活環が、引き続き宿主の細胞性DNAへのプロウイルスの組込み
を伴う、DNAへのゲノムウイルスRNAの逆転写に関与するレトロウイルスが
挙げられる。レトロウイルスは、ヒトの遺伝子治療試行について認可されている
。最も有用なものは、複製欠損した(すなわち、所望のタンパク質の合成を指向
し得るが、感染性粒子を生産し得ない)レトロウイルスである。そのような遺伝
的に改変されたレトロウイルス発現ベクターは、インビボでの遺伝子の高効率性
形質導入について、一般的な有用性を有する。複製欠損レトロウイルスを産生す
るための標準的プロトコール(外因性の遺伝物質をプラスミドに組込む工程、プ
ラスミドによる、パッケージング細胞株をトランスフェクションする工程、パッ
ケージング細胞株による組換えレトロウイルスの産生工程、組織培養培地からの
ウイルス粒子の回収工程、およびウイルス粒子を用いた標的細胞の感染工程を含
む)は、Kriegler,M.、「Gene Transfer and E
xpression,A Laboratory Manual」W.H.Fr
eeman C.O.、New York(1990)およびMurry,E.
J.編「Methods in Molecular Biology」第7巻
、Humana Press Inc.、Cliffton、New Jers
ey(1991)に提供される。
【0089】
特定の適用について好ましいウイルスは、アデノ随伴ウイルス(二本鎖DNA
ウイルス)である。このアデノ随伴ウイルスは、複製欠損となるように操作され
得、そして広範な細胞型および種に感染し得る。これはさらに、熱安定性および
脂質溶媒安定性;多様な系列の細胞(造血細胞を含む)中への高い形質導入頻度
;および重感染阻害の欠如(従って、複数回の連続した形質導入を可能にする)
のような利点を有する。報告されているように、アデノ随伴ウイルスは、ヒトの
細胞DNA中に部位特異的様式で組み込み得、それによって挿入変異誘発および
レトロウイルス感染に特徴的な挿入遺伝子発現の可変性の可能性を最小化する。
さらに、野生型アデノ随伴ウイルス感染は、選択圧の非存在下で100を超える
継代の組織培養に続く。これは、アデノ随伴ウイルスのゲノム組込みが比較的安
定な事象であることを意味する。アデノ随伴ウイルスはまた、染色体外様式にお
いても機能し得る。
【0090】
他のベクターとしては、プラスミドベクターが挙げられる。プラスミドベクタ
ーは、当該分野において広範に記載されており、そして当業者に周知である。例
えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A La
boratory Manual」第2版、Cold Spring Harb
or Laboratory Press、1989を参照のこと。ここ数年、
プラスミドベクターは、宿主ゲノム中で複製せずそしてその中に組み込まれない
というその能力が理由で、インビボで細胞に遺伝子を送達するために特に有用で
あることが見出された。しかし、宿主細胞に適合性のプロモーターを有するこれ
らのプラスミドは、プラスミド中で作動可能にコードされた遺伝子からペプチド
を発現し得る。いくつかの一般的に使用されるプラスミドとしては、pBR32
2、pUC18、pUC19、pRC/CMV、SV40およびpBlueSc
riptが挙げられる。他のプラスミドは、当業者に周知である。さらに、プラ
スミドは、制限酵素および連結反応を使用して、DNA中の特定のフラグメント
を除去および付加するように特注で設計され得る。
【0091】
プラスミドを保有する遺伝子は、細菌を使用することによって、免疫系に送達
され得ることが近年発見された。細菌(例えば、Salmonella)の改変
形態は、プラスミドを用いてトランスフェクトされ得、そして送達ビヒクルとし
て使用され得る。細菌性送達ビヒクルは、経口的にか、または他の投与手段によ
って、宿主被験体に投与され得る。細菌は、おそらく腸障壁を通過することによ
って、免疫細胞(例えば、樹状細胞)にプラスミドを送達する。高レベルの免疫
防御は、この方法論を使用して確立された。
【0092】
従って、本発明は、CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインの
計画的な投与を意図する。このオリゴヌクレオチドは、被験体に毎週または毎月
を基準に投与され得る。被験体が1つまたは複数の抗原への曝露の危険性にある
場合、曝露に際して迅速に抗原を認識し、そして抗原特異的免疫応答を産生する
ように、規則的にCpGおよび免疫増強サイトカインを投与し得る。抗原への曝
露の危険性のある被験体とは、抗原に曝露され、そして抗原への免疫応答を発達
させる高い可能性を有する任意の被験体である。抗原がアレルゲンであり、そし
て被験体がその特定の抗原に対してアレルギー応答を発達させ、そしてその被験
体がその抗原に曝露される場合(すなわち、花粉の時期の間)、その時、被験体
は抗原への曝露の危険性がある。
【0093】
本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、非メチル化シトシン−グアニンジヌク
レオチド配列(すなわち、「CpG DNA」、すなわち5’シトシン、次いで
3’グアノシンを含み、そしてリン酸結合によって連結されているDNA)を含
み、そして免疫系を活性化させる核酸分子である。CpGオリゴヌクレオチドは
、二本鎖または一本鎖であり得る。一般的に、二本鎖分子はインビボでより安定
であるが、一本鎖分子は増大した免疫活性を有する。
【0094】
用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、複数のヌクレオチド(すなわ
ち、リン酸基および交換可能な有機塩基(置換ピリミジン(例えば、シトシン(
C)、チミジン(T)、またはウラシル(U))または置換プリン(例えば、ア
デニン(A)、またはグアニン(G))のいずれか)に連結された糖(例えば、
リボースまたはデオキシリボースを含む分子)を意味するために、交換可能に使
用される。本明細書中で使用される場合、この用語はオリゴリボヌクレオチドな
らびにオリゴデオキシリボヌクレオチドをいう。この用語はまた、ポリヌクレオ
シド(すなわち、リン酸を除いたポリヌクレオチド)およびポリマーを含む任意
の他の有機塩基を含む。核酸分子は、既存の核酸供給源(例えば、ゲノムまたは
cDNA)から入手され得るが、好ましくは合成される(例えば、オリゴヌクレ
オチド合成によって生成される)。完全なCpGオリゴヌクレオチドは、非メチ
ル化であり得るか、または部分的に非メチル化であり得るが、少なくとも5’C
G3’のCは非メチル化されていなければならない。
【0095】
1つの好ましい実施態様において、本発明は、少なくとも以下の式:
5’N11CGX223’
によって示されるCpGオリゴヌクレオチドを提供する。ここで、少なくとも1
つのヌクレオチドは連続したCpGを分離し;X1はアデニン、グアニン、また
はチミンであり;X2はシトシン、アデニン、またはチミンであり;Nは任意の
ヌクレオチドであり、そしてN1およびN2は、各々約0〜25Nからなる核酸配
列である。
【0096】
別の実施態様において、本発明は、少なくとも以下の式:
5’N112CGX3423’
によって示される単離されたCpGオリゴヌクレオチドを提供する。ここで、少
なくとも1つのヌクレオチドは連続したCpGを分離し;X12は、GpT、G
pA、ApA、GpGおよびApTからなる群から選択され;X34は、TpT
、CpT、TpC、CpCおよびApTからなる群から選択され;Nは、任意の
ヌクレオチドであり、そしてN1およびN2は、各々約0〜25Nからなる核酸配
列である。好ましい実施態様において、核酸のN1およびN2は、CCGG四量体
(quadmer)または1つより多いCCGもしくはCGG三量体を含まない
。別の好ましい実施態様において、CpGオリゴヌクレオチドは、配列5’TC
1TX12CGX343’を有する。
【0097】
好ましくは、本発明のCpGオリゴヌクレオチドは、GpT、GpG、GpA
およびApAからなる群から選択されるX12を含み、そしてX34は、TpT
、CpTおよびGpTからなる群から選択される。細胞への取り込みを促進する
ために、CpG含有オリゴヌクレオチドは、好ましくは8〜30塩基長の範囲で
ある。しかし、8ヌクレオチドより大きい任意のサイズ(数kb長でさえも)の
核酸は、十分な免疫刺激モチーフが存在する場合に、本発明に従って免疫応答を
誘導し得る。なぜなら、より長い核酸は細胞内でオリゴヌクレオチドに分解され
るからである。好ましい合成オリゴヌクレオチドは、CCGG四量体または1つ
より多いCCGもしくはCGG三量体を、5’末端および/または3’末端また
はその付近に含まない。オリゴヌクレオチドがリン酸骨格の改変を組み込む場合
には、安定化オリゴヌクレオチドはまた、以下においてより詳細に議論されるよ
うに、好ましい。改変は、例えば、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエ
ート改変であり得る。好ましくは、リン酸骨格改変は、核酸の5’末端(例えば
、オリゴヌクレオチドの5’末端の、最初の2つのヌクレオチド)で生じる。さ
らに、リン酸骨格改変は、核酸の3’末端(例えば、核酸の3’末端の、最後の
5つのヌクレオチド)で生じ得る。あるいは、オリゴヌクレオチドは完全にか、
または部分的に改変され得る。
【0098】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、8と100との間の範囲であり、
そしてより好ましくは8ヌクレオチドと30ヌクレオチドとの間のサイズである
。あるいは、CpGオリゴヌクレオチドは、プラスミド中で大量に生成され得、
そしてオリゴヌクレオチドに分解され得る。
【0099】
CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強サイトカインは、被験体に直接的に
投与され得るか、または核酸送達複合体と組合わせて投与され得る。「核酸/サ
イトカイン送達複合体」とは、標的化手段(例えば、標的細胞へのより高い親和
性結合を生じる分子(例えば、樹状細胞表面および/または標的細胞による細胞
取り込みの増大))と結合した(例えば、それにイオン的にか、もしくは共有結
合的に結合した;または、その中にカプセル化された)、核酸分子および/また
はサイトカインを意味するべきである。核酸/サイトカイン送達複合体の例とし
ては、ステロール(例えば、コレステロール)、脂質(例えば、カチオン性脂質
、ビロソーム、またはリポソーム)、または標的細胞特異的結合因子(例えば、
標的細胞特異的レセプターによって認識されるリガンド)と結合した核酸/サイ
トカインが挙げられる。好ましい複合体は、標的細胞によるインターナリゼーシ
ョンの前の有意な脱共役を妨げるために、インビボで十分に安定であるべきであ
る。しかし、複合体は、細胞内において適切な条件下で切断可能であるべきであ
り、その結果、核酸/サイトカインは機能的形態で放出される。
【0100】
「パリンドローム配列」は、反転反復(すなわち、ABCDEE’D’C’B
’A’のような配列であって、ここでAおよびA’は、通常のワトソン−クリッ
ク塩基対を形成し得る塩基である)を意味するべきである。インビボでそのよう
な配列は、二本鎖構造を形成し得る。1つの実施態様において、CpGオリゴヌ
クレオチドはパリンドローム配列を含む。この状況において使用されるパリンド
ローム配列は、CpGがパリンドロームの一部であり、そして好ましくはそのパ
リンドロームの中心であるパリンドロームをいう。別の実施態様において、Cp
Gオリゴヌクレオチドはパリンドロームを含まない。パリンドロームを含まない
CpGオリゴヌクレオチドとは、CpGジヌクレオチドがパリンドロームの一部
でないCpGオリゴヌクレオチドである。そのようなオリゴヌクレオチドは、C
pGはそのパリンドロームの一部ではない、パリンドロームを含み得る。
【0101】
「安定化核酸分子」とは、インビボでの分解(例えば、エキソヌクレアーゼま
たはエンドヌクレアーゼを介した)に対して、比較的耐性である核酸分子を意味
するべきである。安定化とは、長さまたは二次構造の機能であり得る。数十〜数
百kb長である非メチル化CpGオリゴヌクレオチドは、インビボでの分解に対
して比較的安定である。より短いCpGオリゴヌクレオチドに対して、二次構造
は安定であり得、そしてそれらの効果を増大させる。例えば、オリゴヌクレオチ
ドの3’末端が、上流領域に対して自己相補性を有する場合、その結果、それは
折り畳み得、そして一種のステムループ構造を形成し得る。次いで、そのオリゴ
ヌクレオチドは安定となり、従ってより高い活性を示す。
【0102】
本発明の好ましい安定化オリゴヌクレオチドは、改変骨格を有する。オリゴヌ
クレオチド骨格の改変は、インビボに投与された場合に、CpGオリゴヌクレオ
チドの増強した活性を提供することが実証されている。3’末端の多重ホスホロ
チオエート結合中にあるオリゴヌクレオチドの5’末端に、少なくとも2つ(好
ましくは5つ)のホスホロチオエート結合を含むCpG構築物は、最大の活性を
提供し、そして細胞内のエキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分
解から、このオリゴヌクレオチドを保護する。他の改変オリゴヌクレオチドとし
ては、ホスホジエステル改変オリゴヌクレオチド、ホスホジエステルおよびホス
ホロチオエートオリゴヌクレオチドの組合わせ、メチルホスホネート、メチルホ
スホロチオエート、ホスホロジチオエート、およびそれらの組合わせが挙げられ
る。これらの組合わせの各々、および免疫細胞に対するそれらの特定の効果は、
米国特許出願番号第08/738,652号、同第08/960,774号(そ
れぞれ、1996年10月30日出願、および1997年10月30日出願)(
これらの内容全体を、本明細書中で参考として援用する)の優先権を主張する、
同時係属中のPCT公開特許出願に、より詳細に議論される。これらの改変オリ
ゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性の増大、細胞取り込みの増大、タンパク質
結合の増大、および/または細胞内局在化の改変に起因して、より高い刺激活性
を示し得る。
【0103】
CpGモチーフを含むホスホロチオエートおよびホスホジエステルオリゴヌク
レオチドの両方は、樹状細胞のようなAPCにおいて活性である。しかし、Cp
G特異的効果を誘導するために必要とされる濃度に基づいて、ヌクレアーゼ耐性
ホスホロチオエート骨格CpGオリゴヌクレオチドがより強力である(ホスホロ
チオエートについて2μg/ml対し、ホスホジエステルについて90μg/m
lの総量)。
【0104】
他の安定化されたオリゴヌクレオチドは、以下を含む:非イオン性DNAアナ
ログ(例えば、アルキルホスフェートおよびアリールホスフェート、ここで、荷
電したホスホン酸酸素が、アルキル基またはアリール基で置換されている)、ホ
スホジエステルおよびアルキルホスホトリエステル(ここで、荷電した酸素部分
はアルキル化されている)。いずれかの末端または両方の末端にジオール(例え
ば、テトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコール)を含むオリゴ
ヌクレオチドはまた、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に耐性であることが示さ
れた。
【0105】
免疫リモデリングを誘導するために有用である本発明の核酸配列は、上記に広
範に記載され、そして米国特許出願番号第08/738,652号および同第0
8/960,774号(それぞれ、1996年10月30日、および1997年
10月30日出願)に対して優先権を主張するPCT公開特許出願において開示
される核酸配列である。代表的な配列は、表1および以下に示される免疫刺激性
配列を含むがそれらに限定されない:
【0106】
【化3】


特定の免疫刺激性CpG DNAの刺激指数は、種々の免疫細胞アッセイにお
いて試験され得る。好ましくは、B細胞増殖に関する免疫刺激性CpG DNA
の刺激指数は、マウスB細胞培養物における3Hウリジンの取り込みによって決
定される場合(同時係属中のPCT特許出願米国特許出願番号第08/960,
774号において詳細に記載されるように、この培養物は、20μMのオリゴヌ
クレオチドと37℃にて20時間接触され、そして1μCiの3Hウリジンでパ
ルスされており;そして4時間後に収集およびカウントされた)、少なくとも約
5、好ましくは少なくとも約10、より好ましくは少なくとも約15、そして最
も好ましくは少なくとも約20である。例えば、被験体における細胞媒介(局所
的)免疫応答を刺激することによって免疫系不全を処置するインビボでの使用の
ために、免疫刺激性CpG DNAが、樹状細胞のようなAPCによるサイトカ
イン分泌を効果的に誘導し得ることが重要である。
【0107】
好ましい免疫刺激性CpG核酸は、治療的指示に依存して、実施例において記
載されるアッセイによって決定されるように、少なくとも約500pg/mlの
TNF−α、15pg/mlのIFN−γ、70pg/mlのGM−CSF、2
75pg/mlのIL−6、200pg/mlのIL−12をもたらすべきであ
る。他の好ましい免疫刺激性CpG DNAは、少なくとも約10%、より好ま
しくは少なくとも約15%、そして最も好ましくは少なくとも約20%のYAC
−1細胞特異的溶解、または少なくとも約30、より好ましくは少なくとも約3
5、そして最も好ましくは少なくとも約40%の2C11細胞特異的溶解をもた
らすべきである。免疫増強性サイトカインと組み合わせて投与される場合、所望
の免疫応答を生じるために必要とされるCpGオリゴヌクレオチドおよびサイト
カインの両方の量は、より少ない。
【0108】
好ましくは、B細胞増殖に関するCpGオリゴヌクレオチドの刺激指数は、マ
ウスB細胞培養物における3Hウリジンの取り込みによって決定される場合(こ
の培養物は、米国特許出願番号第08/738,652号および同第08/96
0,774号(それぞれ、1996年10月30日、および1997年10月3
0日出願)に対して優先権を主張する同時係属中のPCT公開特許出願において
詳細に記載されるとおり、20μMのオリゴヌクレオチドと37℃にて20時間
接触され、そして1μCiの3Hウリジンでパルスされており;そして4時間後
に収集およびカウントされた)、少なくとも約5、好ましくは少なくとも約10
、より好ましくは少なくとも約15、そして最も好ましくは少なくとも約20で
ある。例えば、インビボでの使用のために、CpGオリゴヌクレオチドおよびサ
イトカインが、樹状細胞のようなAPCの活性化を効果的に誘導し得ることが重
要である。例えば、このことを達成し得るオリゴヌクレオチドは、米国特許出願
番号第08/738,652号および同第08/960,774号(それぞれ、
1996年10月30日、および1997年10月30日出願)に対して優先権
を主張するPCT公開特許出願において記載されるオリゴヌクレオチドである。
【0109】
CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインは、抗原の投与前に
単独で被験体に投与され得る。このオリゴヌクレオチドおよびサイトカインはま
た、即時型抗原特異的応答を提供する抗原と組み合わせて被験体に投与され得る
。次いで、第1の抗原と同じでも異なっていてもよい第2の抗原が、さらなるC
pGおよびサイトカインの存在または非存在下でのCpGおよび免疫増強性サイ
トカインの投与後のある時点で被験体に投与され得る。用語「〜と組み合わせて
」は、抗原のわずかに前、またはわずかに後、または同時の、CpGオリゴヌク
レオチドおよび免疫増強性サイトカインの投与をいう。用語「わずかに前」およ
び「わずかに後」は、24時間、好ましくは12時間をいう。CpGおよびサイ
トカインは、互いに組み合わせて投与され、従ってまた、一緒にまたは別々に投
与され得る。
【0110】
CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインが、第1の抗原と組
み合わせて投与される場合、この第1の抗原は、即時型免疫応答の特異性を決定
する。CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインは、有効な「危
険シグナル」として作用し、そして免疫系を、この領域における新しい抗原に対
して激しく応答させる。この作用様式は、おそらく、主に、樹状細胞および他の
「専門的な」抗原提示細胞に対するCpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性
サイトカインの刺激性局所的効果、ならびにB細胞に対する同時刺激性効果から
生じる。この効果は、CpGオリゴヌクレオチドの投与の際にすぐに生じる。
【0111】
治療における使用のために、単独、または核酸/サイトカイン送達複合体とし
て処方された適切なCpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインの
有効量は、このオリゴヌクレオチドが適切な標的細胞(例えば、樹状細胞)によ
って取り込まれるのを可能にする任意の様式で被験体に投与され得る。好ましい
投与経路は、経口投与、経皮投与(例えば、パッチを介する)、注射(皮下投与
、静脈内投与、非経口投与、腹腔内投与、髄腔内(intrathecal)投
与など)、経鼻投与、気管内投与、および粘膜投与を含むがこれらに限定されな
い。注射は、ボーラスまたは連続的注入であり得る。
【0112】
用語「有効量」のCpGオリゴヌクレオチドは、所望の生物学的効果を達成す
るに必要または十分な量をいう。例えば、免疫系不全を処置するために少なくと
も1つの非メチル化CpGを含む有効量のオリゴヌクレオチドは、免疫系の活性
化を生じ、抗原への曝露の際に抗原特異的免疫応答の発生を生じるのに必要な量
であり得る。本明細書中で使用される有効量は、相乗的な免疫応答を生じる量で
ある。相乗作用を引き起こす量は、CpG単独またはサイトカイン単独のいずれ
かの個々の効果の合計より大きい、特異的抗原に対する免疫応答を生じる量であ
る。
【0113】
任意の特定の適用のために有効な量は、処置される疾患もしくは状態、投与さ
れる特定のCpGオリゴヌクレオチド/サイトカイン(例えば、非メチル化Cp
Gモチーフの数、または核酸におけるそれらの位置)、被験体のサイズ、または
疾患もしくは状態の重篤度のような因子に依存して変化し得る。当業者は、過度
な実験を必要とすることなく、特定のオリゴヌクレオチド/サイトカインの有効
量を経験的に決定し得る。
【0114】
免疫増強性サイトカインと組み合わせたCpGオリゴヌクレオチドについての
別の使用は、被験体における使用のための避妊方法を与えることである。この特
定の実施態様において、被験体は、好ましくは哺乳動物であり、そして好ましく
は非ヒトである。精巣および卵巣は、「免疫特権(immune privil
eged)」である。すなわち、これらは、免疫系とは解剖学的に分かれている
。さらに、精巣および卵巣における細胞は、活性化されたT細胞においてアポト
ーシスを誘導するfasリガンドを発現し得る。fasリガンドの物理的分離お
よび発現はともに、精巣および卵巣における細胞に対する免疫応答を妨げる。免
疫増強性サイトカインと組み合わせて使用されるCpGオリゴヌクレオチドを使
用して、これらの細胞の免疫特権を破壊することによって精巣および卵巣におけ
る細胞を排除または実質的に減少させ、それによって避妊手段を提供し得る。C
pGオリゴヌクレオチドを、免疫増強性サイトカインと組み合わせて使用し、精
巣および卵巣の細胞の免疫特権を破壊し得る。
【0115】
この方法は、被験体に抗原、免疫増強性サイトカイン、および免疫刺激性Cp
Gオリゴヌクレオチドを投与することによって達成される。ここで、この抗原は
、生殖腺細胞(gonadal cell)抗原、および生殖腺細胞の維持のた
めに必要とされるサイトカインまたはホルモン由来の抗原からなる群から選択さ
れる抗原である。本明細書中で使用される「生殖腺細胞抗原」は、生殖腺細胞(
例えば、精巣細胞または卵巣細胞)の表面上の抗原である。そのような抗原は、
当業者に周知である。生殖腺細胞の維持のために必要とされるサイトカインまた
はホルモン由来の抗原もまた、当該分野において周知である。これらの抗原は、
このサイトカインまたはホルモンに対する免疫応答を引き起こし、従って生殖腺
細胞の損失を生じる。
【0116】
本発明の1つの局面において、CpGオリゴヌクレオチドを使用して、免疫細
胞、および好ましくはAPCの活性化を誘導する。APCは、当該分野において
通常の意味を有し、そして例えば、未成熟樹状細胞および前駆体および前駆体樹
状細胞、ならびに抗原を取り込み、そして発現し得る成熟樹状細胞のような樹状
細胞を含む。APCまたは樹状細胞のこのような集団を、APCまたは樹状細胞
のプライム化集団(primed population)とよぶ。
【0117】
樹状細胞は、抗原を提示することによって、そしてそれらの局所的環境中のL
PS様微生物分子を検出するパターン認識レセプターの発現を介して、先天性免
疫系と後天性免疫系との間の連結を形成する。免疫増強性サイトカインおよびC
pGオリゴヌクレオチドの組み合わせは、免疫増強性サイトカイン単独でTh2
特異的抗体を産生するのみであった場合に、Th1特異的抗体の誘導を示した。
樹状細胞は先天性免疫系と後天性免疫系との間の連結を形成するので、CpGお
よび免疫増強性サイトカインを用いて樹状細胞を活性化する能力は、癌およびア
レルギー性疾患または感染性疾患のような障害に対する免疫療法のためのCpG
−免疫増強性サイトカインの組み合わせに基づくストラテジーの使用を支持する
。CpGおよび免疫増強性サイトカインの組み合わせは、樹状細胞の相乗的活性
化を示す。
【0118】
1つの局面において、本発明は、インビトロ、エキソビボ、およびインビボで
の目的のための樹状細胞を活性化するための方法および産物に関する。本発明に
よって、免疫増強性サイトカインおよびCpGオリゴヌクレオチドの組み合わせ
は、樹状細胞の強力な活性化因子であることが示された。樹状細胞は、インビボ
での免疫細胞における一次免疫応答の開始のために必須であると考えられる。本
発明によって、CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインが、ア
ジュバントと類似して、T細胞における一次免疫応答を開始するように樹状細胞
を活性化し得ることが発見された。CpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性
サイトカインの組み合わせを使用して樹状細胞を活性化する場合、優勢的にIg
G2aそしてより少ないIgG1の産生が誘導されることが発見された。このこ
とは、この組み合わせが、インビボにおいてTh1免疫応答の発達を増強すると
いう傾向を示す。これらの知見は、CpGの強力なアジュバント活性を示し、そ
して障害(例えば、癌、感染性疾患、およびアレルギー)の処置における免疫療
法剤としてのCpGオリゴヌクレオチドの使用の基礎を提供する。1つの局面に
おいて、本発明は、抗原に曝露される樹状細胞を、樹状細胞を相乗的に活性化す
るのに有効な量の免疫増強性サイトカインおよび免疫刺激性CpGオリゴヌクレ
オチドと接触させることによって、樹状細胞を活性化するための方法である。
【0119】
樹状細胞は、それが曝露される可溶性の特異的抗原を効率的にインターナライ
ズし、プロセシングし、そして提示する。抗原のインターナリゼーションおよび
提示のプロセスは、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)および同時刺激性分
子の発現、サイトカインの産生、ならびにT細胞の活性化に関与すると考えられ
ているリンパ器官への移動の迅速なアップレギュレーションを引き起こす。
【0120】
本発明のCpGオリゴヌクレオチドおよび免疫増強性サイトカインの組み合わ
せについての1つの特定の使用は、癌抗原に対する特異的な免疫応答を増強する
目的のために樹状細胞を活性化することである。この免疫応答は、エキソビボ技
術またはインビボ技術を用いて増強され得る。本明細書中で使用される「エキソ
ビボ」方法は、被験体からの樹状細胞の単離、身体の外側でのこの細胞の操作、
およびこの操作された細胞の被験体への再移植を含む方法である。このエキソビ
ボ手順は、自己細胞または異種細胞に対して使用され得るが、好ましくは自己細
胞に対して使用される。好ましい実施態様において、樹状細胞は、末梢血または
骨髄から単離されるが、樹状細胞の任意の供給源から単離され得る。このエキソ
ビボ手順を実施して、特定の癌または他の型の抗原に対して活性な樹状細胞を特
異的に産生する場合、この樹状細胞は、CpGおよび免疫増強性サイトカインに
加えて、その抗原に曝露され得る。他の場合、この樹状細胞はすでに抗原に曝露
されてい得るが、その表面上でその抗原を効率的に発現してい得ない。あるいは
、その樹状細胞は、直接的な接触または身体における曝露のいずれかによって、
免疫増強性サイトカインに曝露され、そして抗原に曝露され得る。次いでその樹
状細胞は、身体に戻され、続いて全身または局所的のいずれかで被験体に直接的
にCpGが投与される。活性化は、劇的に抗原プロセシングを増加する。次いで
、活性化された樹状細胞は、その表面上に癌抗原を提示する。被験体に戻された
とき、この癌抗原を発現する活性化された樹状細胞は、その癌抗原に特異的であ
るT細胞をインビボで活性化する。癌免疫療法のための樹状細胞のエキソビボ操
作は、以下を含む、当該分野におけるいくつかの参考文献に記載されている:E
ngleman,E.G.、1997、Cytotechnology、25:
1;Van Schooten,W.ら、1997、Molecular Me
dicine Today,6月、255;Steinman,R.M.、19
96、Experimental Hematology,24、849;およ
びGluckman,J.C.、1997、Cytokines,Cellul
ar and Molecular Therapy、3:187。本発明の樹
状細胞のエキソビボ活性化は、活性化因子としてのCpGおよび免疫増強性サイ
トカインの使用を除いては、当該分野において公知の慣用的なエキソビボ操作工
程によって実施され得る。
【0121】
この樹状細胞はまた、インビボ方法を用いて、CpGおよび免疫増強性サイト
カインと接触され得る。これを達成するために、CpGおよび免疫増強性サイト
カインは、免疫療法の必要性のある被験体に直接的に投与される。CpGおよび
免疫増強性サイトカインは、抗原と組み合わせて投与されても、単独で投与され
てもよい。いくつかの実施態様において、CpGおよび免疫増強性サイトカイン
は、腫瘍の局所領域に投与されることが好ましく、このことは、当該分野におい
て公知の任意の方法(例えば、腫瘍への直接的注入、薬物の組み合わせを放出す
る移植物を用いる、など)で達成され得る。
【0122】
本発明による有用な樹状細胞は、その細胞が、活性な抗原発現樹状細胞を産生
するようにCpGおよびサイトカインによって活性化され得る限り、任意の供給
源から単離され得る。未成熟樹状細胞のいくつかのインビボ供給源が、本発明の
方法によって使用され得る。例えば、骨髄樹状細胞および末梢血樹状細胞はとも
に、CpGおよびサイトカインによって活性化される未成熟樹状細胞の優れた供
給源である。他の供給源は、当業者によって過度な実験を必要とすることなく容
易に決定され得る。例えば、樹状細胞の初代供給源を単離し、そしてインビトロ
でCpGによる活性化を試験することによる。本発明はまた、その細胞がCpG
およびサイトカインによって活性化され得る限り、細胞株として培養において維
持される任意の未成熟樹状細胞の使用を含む。そのような細胞型は、当該分野に
おいて公知の標準的なアッセイを用いて慣用的に同定され得る。
【0123】
免疫磁気セルソーティングによって単離され、CpGおよびサイトカインによ
って活性化されている末梢血樹状細胞は、単球由来樹状細胞よりも多くの、樹状
細胞の生理学的細胞集団を示す。未成熟樹状細胞は、骨髄における細胞の約1〜
3%、および末梢血において約10分の1〜100分の1を含む。末梢血細胞は
、当該分野において周知のデバイス(例えば、haemoneticsモデルv
.50アフェレーシスデバイス(Haemonetics,Braintree
,MA))を用いて回収され得る。赤血球および好中球は、遠心分離によって血
液から除去される。境界面に位置する単核細胞が単離される。末梢血からCD4
+樹状細胞を単離するための方法は、O’Doherty Uら、J.Exp.
Med.1993;178:1067〜1076に記載されている。GM−CS
F単独の存在下で、これらの細胞は、2日以内の特徴的な細胞プロセスを有する
樹状細胞に分化する。分化は、細胞のサイズ、顆粒性、およびMHC II発現
における増加によって付随され、このことは、フローサイトメトリーを用いて容
易に理解され得る。GM−CSFの非存在下で培養された新しく単離された樹状
細胞は、迅速にアポトーシスを経る。著しいことに、(GM−CSFの添加なし
での)CpGオリゴヌクレオチドの存在下では、細胞生存および分化の両方は、
GM−CSFと比較して顕著に改善される。CpGの存在下で、樹状細胞は、電
子顕微鏡のような超微細構造技術によって試験される場合に、GM−CSFとと
もにインキュベートされた樹状細胞中では存在しなかった特徴的な密の多層状細
胞質内体および多小胞構造を示した細胞クラスターを形成する。走査電子顕微鏡
は、細胞間相互作用のために使用されると考えられる長いベールおよびシート様
の突起(process)、および不規則な細胞形状を示した。対照的に、GM
−CSFとともにインキュベートされた細胞は、円形であり、そして少数の細胞
性突起のみを有した。樹状細胞の生存および分化を促進することに加えて、Cp
Gオリゴヌクレオチドのみの添加は、同時刺激性分子ICAM−1(CD54)
、B7−2(CD86)、およびCD40のアップレギュレーションによって示
されるような活性化を導いた。CpGオリゴヌクレオチドおよびGM−CSFの
組み合わせは、CD86およびCD40の発現を相乗的に増強し、このことは、
活性化がCpG誘導GM−CSFに起因しないことを示す。
【0124】
(免疫刺激性核酸を作製するための方法)
本発明における使用のために、核酸は、当該分野において周知の多くの手順の
うちのいずれかを使用してデノボ合成され得る。例えば、b−シアノエチルホス
ホロアミダイト法(S.L.BeaucageおよびM.H.Caruther
s,1981、Tet.Let.22:1859);ヌクレオシドH−ホスホン
酸法(Gareggら、1986、Tet.Let.27:4051〜4051
;Froehlerら、1986、Nucl.Acid.Res.14:539
9〜5407;Gareggら、1986、Tet.Let.27:4055〜
4058、Gaffneyら、1988)、Tet.Let.29:2619〜
2622。これらの化学は、市場で入手可能な種々の自動化オリゴヌクレオチド
合成機によって実施され得る。あるいは、オリゴヌクレオチドは、公知の技術(
例えば、制限酵素、エキソヌクレアーゼ、またはエンドヌクレアーゼを使用する
技術)を使用して、既存の核酸配列(例えば、ゲノムまたはcDNA)から調製
され得る。
【0125】
インビボでの使用のために、核酸は好ましくは、分解(例えば、エンドヌクレ
アーゼおよびエキソヌクレアーゼを介する分解)に対して比較的耐性である。ス
テムループのような二次構造は、核酸を分解に対して安定にし得る。あるいは、
核酸の安定化は、先に議論されるようなリン酸骨格改変を通じて達成され得る。
好ましい安定化された核酸は、リン酸骨格改変を通じて達成され得る。好ましい
安定化された核酸は、少なくとも部分的なホスホロチオエート改変骨格を有する
。ホスホロチオエートは、ホスホロアミダイト化学またはH−ホスホン酸化学の
いずれかを使用する自動化技術を用いて合成され得る。アリールホスホネートお
よびアルキルホスホネートは、例えば米国特許第4,469,863号において
記載されるように作製され得;そしてアルキルホスホトリエステル(ここで、荷
電した酸素部分は、米国特許第5,023,243号および欧州特許番号092
,574において記載されるようにアルキル化されている)は、市販の試薬を用
いる自動化固相合成によって調製され得る。他のDNA骨格改変および置換を作
製するための方法は記載されている(Uhlmann,E.およびPeyman
,A.、1990、Chem Rev.90:544;Goodchild,J
.1990、Bioconjugate Chem.1:165)。CpGモチ
ーフを有する2’−O−メチル核酸もまた、エトキシ改変CpG核酸と同様に免
疫活性化を生じる。実際に、CpG効果を完全に破壊する骨格改変は見出されて
いないが、CpG効果は、Cを5−メチルCで置換することによって非常に低減
される。
【0126】
インビボでの投与のために、核酸およびサイトカインは、標的細胞(例えば、
樹状細胞)表面へのより高い親和性の結合、および/または標的細胞による増加
した細胞取り込みを生じ、先に議論されるような「核酸/サイトカイン送達複合
体」を形成する分子と関連し得る。核酸は、当該分野において周知の技術を用い
て、適切な分子とイオン結合または共有結合され得る。種々のカップリング剤ま
たは架橋剤(例えば、プロテインA、カルボジイミド、およびN−スクシンイミ
ジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP))が使用され得
る。あるいは、核酸は、周知の技術を用いてリポソームまたはヴィロソーム中に
被包され得る。
【0127】
活性化樹状細胞、単離されたCpG核酸分子、サイトカインおよびそれらの混
合物を含む、本発明の組成物は、薬学的に受容可能な組成物中で投与される。投
与される場合、本発明の組成物は、薬学的に受容可能な量で適用される。このよ
うな調製物は、通常、塩、緩衝剤、防腐剤、適合性キャリア、および必要に応じ
て、他の治療剤を含み得る。医薬において使用される場合、塩は、薬学的に受容
可能であるべきであるが、薬学的に受容可能でない塩が、それらの薬学的に受容
可能な塩を調製するために都合よく利用され得、そして本発明の範囲から除外さ
れない。このような薬理学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能な塩は、以
下の酸:塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サ
リチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸などから調製される塩を含むが
、これらに限定されない。また、薬学的に受容可能な塩は、アルカリ金属塩また
はアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム
塩)として調製され得る。本明細書中で使用される場合、CpGオリゴヌクレオ
チド組成物および/または免疫強化サイトカイン組成物は、上記の化合物および
それらの塩を意味する。
【0128】
本発明の組成物は、必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせ得
る。用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、本明細書中で用いられる場合、ヒ
トまたは他の動物への投与に適切な1つ以上の適合性の固体賦形剤もしくは液体
賦形剤、希釈剤、またはカプセル化物質を意味する。用語「キャリア」は、活性
な成分が適用を促進するように組み合わせられる、天然または合成の、有機成分
または無機成分を意味する。薬学的組成物の成分はまた、所望の薬学的有効性を
実質的に損なう相互作用が存在しないような様式で、本発明の分子とそして互い
に同時に混合され得る。
【0129】
薬学的組成物は、以下を含む適切な緩衝剤を含み得る:酢酸塩;クエン酸塩;
ホウ酸塩;およびリン酸塩。
【0130】
薬学的組成物はまた、必要に応じて以下のような適切な防腐剤を含み得る:ベ
ンザルコニウムクロリド;クロロブタノール;パラベンおよびチメロサール。
【0131】
非経口的投与に適切な組成物は、好ましくはレシピエントの血液と等張な、本
発明の組成物の無菌水性調製物を都合よく含み得る。この水性調製物は、適切な
分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用する公知の方法に従って、処方され得る
。滅菌した注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤また
は溶媒中の滅菌した注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオ
ール中の溶液のような)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶
媒には、水、リンゲル溶液、および等張な塩化ナトリウム溶液がある。さらに、
滅菌した不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として都合よく使用される。この目
的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の刺激性の低
い不揮発性油が、使用され得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が、注射可
能な調製物において使用され得る。経口投与、皮下投与、静脈投与、筋肉内投与
などに適切なキャリア処方物は、Remington’s Pharmaceu
tical Sciences、Mack Publishing Co.、E
aston、PAにおいて見出され得る。
【0132】
種々の投与経路が、利用可能である。選択された特定のモードは、もちろん選
択された特定の組成物、処置されている状態の重症度、および治療的有効性に必
要な投与量に依存する。一般的に言えば、本発明の方法は、投与の任意のモード
を使用して実行され得る。このモードは、医学的に受容可能であり、臨床的に受
容不可能な有害な効果を生じることのない有効レベルの活性な化合物を産生する
任意のモードを意味する。このような投与のモードは、経口的経路、直腸経路、
局所経路、経鼻経路、皮内経路、または非経口経路を含む。用語「非経口」は、
皮下、静脈内、筋肉内または注入を含む。静脈内または筋肉内経路は、長期間の
治療および予防に特に適切なわけではない。しかし、それらは、緊急事態に好ま
しく有り得る。経口投与は、予防的処置において好ましい。なぜなら、経口投与
は、患者および投薬計画に都合がいいからである。
【0133】
この組成物は、単位用量形態で好都合に提示され得、そして薬学分野で周知の
方法のいずれかにより調製され得る。すべての方法は、本発明の組成物を1つ以
上の補助成分を構成するキャリアと会合させる工程を包含する。一般に、これら
の組成物は、本発明の組成物を液体キャリア、細かく分割された固体キャリア、
またはその両方と均一かつ親密に会合させ、次いで、必要であれば、産物を成形
することにより調製される。
【0134】
経口投与に適した組成物は、それぞれが本発明の組成物の予め決定した量を含
む別々のユニット(例えば、カプセル剤、錠剤、トローチ剤)として示され得る
。他の組成物は、水性の液体中の懸濁物または非水性の液体中の懸濁物(例えば
、シロップ、エリキシルまたは乳濁液)を含む。
【0135】
他の送達系は、時間放出送達系、遅延放出送達系、または持続放出送達系を含
み得る。このような系は、上記の本発明の組成物の反復投与を避け、被験体およ
び医者の便利さを増す。放出性送達系の多くの型が、利用可能であり、そして当
業者に公知である。それらは、ポリ(ラクチド−グリコリド)、コポリオキサレ
ート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒ
ドロキシ酪酸、およびポリ無水物(polyanhydride)のようなポリ
マーベースの系を含む。薬物を含む前述のポリマーのマイクロカプセルは、例え
ば、米国特許第5,057,109号に記載される。送達系はまた、以下の非ポ
リマー系を含む:コレステロールのようなステロール、コレステロールエステル
および脂肪酸、またはモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドのよ
うな中性脂肪を含む脂質;ヒドロゲル放出系;シラスティック(sylasti
c)系;ペプチドに基づいた系;ワックスコーティング;従来の結合剤および賦
形剤を使用する圧縮した錠剤;部分的に融合した移植片など。特定の例は、以下
を含むがそれらに限定されない:(a)本発明の組成物が、米国特許第4,45
2,775号、同第4,667,014号、同第4,478,034号および同
第5,239,660号に記載されるような形態でマトリクス内に含まれる、侵
食系、ならびに(b)活性な成分が、制御された速度で米国特許第3,832,
253号および同第3,854,480号に記載されるようにポリマーから浸透
する、分散性の系。さらに、ポンプに基づいたハードウェア送達系が、使用され
得、それらのいくつかは、移植に適用される。
【0136】
長期間持続放出移植片の使用は、慢性的な状態の処置のために特に適切であり
得る。長期間の放出は、本明細書で使用される場合、移植片が、少なくとも30
日および好ましくは60日の間、治療的レベルの活性な成分の送達のために作製
およびアレンジされていることを意味する。長期間持続放出移植片は、当業者に
周知であり、そして上記の放出系のいくつかを含む。
【実施例】
【0137】
(実施例)
(実施例1:材料および方法)
腫瘍モデルおよび腫瘍抗原:38C13マウスB細胞リンパ腫モデルは、抗体
に基づく治療およびリンパ腫の活性な免疫化の研究において広範に使用されてい
る(Kwak,L.W.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA
93:10972−7、1996)。38C13表面IgMのイディオタイプ(
Id)は、非常に特異的な腫瘍関連抗原として作用する(Bergman,Y.
およびHaimovich,J.、Eur J Immunol 7:413−
7、1997)。Idは、Eshhar,Z.ら、J Immunol 122
:2430(1979)に記載されるように38C13 IgMを分泌する細胞
株の上清から得て、そしてプロテインAアフィニティークロマトグラフィーによ
り精製した。精製されたIdを、グルタルアルデヒドを使用してキーホールリン
ペットヘモシアニン(KLH)に結合体化し、そして免疫原として使用した。3
8C13 Id/マウスGM−CSF融合タンパク質を産生する細胞株を、Ro
nald Levy博士により親切にも提供していただいた。この細胞株を、中
空繊維リアクター(Unisyn Technologies、Hopkint
on、MA)中で培養し、そして融合タンパク質を、プロテインAアフィニティ
ークロマトグラフィーにより得た。融合タンパク質は、38C13 Id重鎖可
変領域および軽鎖可変領域、ヒトIgG1重鎖定常領域および軽鎖定常領域、な
らびにマウスGM−CSF配列からなる(Tao,M.H.およびLevy,R
.、Nature 362:755−758、1993)。二機能性反応性を、
使用前にELISAにより確認した。プレートを抗Idを用いて被膜し、融合タ
ンパク質の系列希釈物を添加し、そして抗GM−CSF抗体とのプロービングに
より、結合したGM−CSF部分の存在を評価した。38C13 Id/ヒトG
M−CSF融合タンパク質を、同様の様式により得て、そしてコントロールとし
て使用した。
【0138】
免疫化:2つのホスホロチオエートCpGオリゴヌクレオチドを、商業的に購
入し、そしてGMP条件下で生成した(Oligos Etc.、Wilson
ville、OR)。両方のオリゴヌクレオチド配列は、全てのアッセイにおい
て同様の効果を有した。他に示さない限り、CpGオリゴヌクレオチド1758
を使用した。オリゴヌクレオチド1758は、以下の配列を有し:
TCTCCCAGCGTGCGCCAT(配列番号104)
そしてオリゴヌクレオチド1826は、以下の配列を有した:
TCCATGACGTTCCTGACGTT(配列番号3)。
【0139】
両方のCpGオリゴヌクレオチドは、メチル化されていなかった。検出可能な
エンドトキシンは、LALアッセイではどちらのCpGオリゴヌクレオチドにお
いても存在しなかった。以前の研究が、非免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、ア
ジュバント効果をほとんど有さないことを実証した(Weiner,G.J.ら
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:10833−108
37、1997)。それゆえ、非免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、この研究に
は含まれなかった。樹状細胞のインビトロ生成のためのマウスGM−CSFは、
商業的に購入した(PeproTech、Rocky Hill、NJ)。イン
ビトロ研究のためのGM−CSFは、Immunexにより親切にも提供してい
ただいた(Seattle、WA)。
【0140】
Harlan−Sprague−Dawleyから得た雌性C3H/HeNマ
ウスを、University of Iowa Animal Care U
nitにて飼育し、そして6〜9週齢で使用した。各マウスを、総量200μl
の示した抗原およびアジュバントを、PBSをビヒクルとして使用して皮下に免
疫した。
【0141】
抗IdレベルのELISA決定:血清を、メトファン(metophane)
を用いる吸入麻酔後に、後部眼窩の穿刺によりマウスから得た。マイクロタイタ
ープレートを、5μg/mlの38C13 IgMまたは関係のないIgMを用
いて一晩被膜した。IgM被膜プレートを、5%乳汁でブロックし、そして血清
の系列希釈を添加した。既知の濃度のモノクローナル抗Idを添加したネイティ
ブのマウスからの血清を、標準物として使用した。プレートを洗浄し、そして重
鎖特異的ヤギ抗マウスIgG、IgG1またはIgG2a(Southern B
iotechnology Associates、Birmingham、A
L)を添加し、続いて比色基質p−ニトロフェニルホスフェートを添加した。プ
レートを、マイクロプレートリーダーを使用して評価した。試験曲線を、標準曲
線と比較し、抗Idの濃度を決定した。値は、標準曲線およびサンプル曲線が、
同じ形である場合にのみ、有効であると考えた。コントロール(関係のないマウ
スIgM)との血清の反応性を並行して評価した。そしてそれは、全てのアッセ
イにおいて陰性であった。このことにより、免疫応答が、アイソタイプ応答の発
生のためではないことを確認した。
【0142】
インビトロ生存研究:示した抗原およびアジュバントを使用する単回皮下免疫
の3日後、マウスを、1,000の38C13生細胞を用いて腹腔内接種をした
。細胞は、接種前に、少なくとも4日間対数期で増殖した。腫瘍を発症させたマ
ウスは、鼠径部および腹部に、塊、腹水および悪液質を示した。腫瘍を発症させ
た全てのマウスが死亡した。生存を決定し、そして死ぬまでの時間に対する有意
性を、コックス回帰分析を使用して評価した。統計的な目的のために、60日の
生存を、腫瘍を有さずに維持したマウスについて設定した。無期限でそのような
全てのマウスを腫瘍を有さずに維持し、そして少なくとも100日間モニターし
た。
【0143】
樹状細胞産生および刺激:樹状細胞を、以前に記載されたアプローチ(Zit
vogel,L.ら、J Ex Med 183:87−97、1996;Ma
yordomo,J.I.ら、Nature Medicine 1:1297
−302、1995)を改変したアプローチを使用して得た。簡潔には、骨髄細
胞を、実験されていない6〜8週齢のC3H/HeNマウスの大腿骨および脛骨
をフラッシュすることにより得た。赤血球細胞を、溶解し、そしてT細胞を、抗
CD3(145.2C11)抗体、抗CD4(GK1.5)抗体および抗CD8
(53.6.7)抗体の混合物を使用して、補体媒介溶解により取り除いた。次
いで、B細胞を、抗B−220で被膜したフラスコを使用するパニングにより取
り除いた。残った細胞を、一晩固着させた。非固着細胞を、1.25×105
胞/mlの濃度の、1000U/mlのGM−CSFおよび1000U/mlの
muIL−4(PeproTech、Rocky Hill、NJ)を補充した
培地で培養した。培地を4日後に交換し、そして骨髄を採取した7日後に樹状細
胞を採取した。樹状細胞の表現型および形態を、フローサイトメトリー分析およ
び走査型電子顕微鏡により確認した。樹状細胞を、洗浄し、計数し、そして1×
105細胞を、最終濃度100μg/mlの抗体および最終濃度50μg/ml
のCpGオリゴヌクレオチドとともに総容量200μl中で、18時間培養した
。サイトカインレベルの測定のために、全てのサンプルを、4連で行なった。上
清を採取し、そして記載されるように(Klinman,D.M.ら、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 93:2879−83、1996;Y
i,A.K.ら、J Immunol 156:558−64、1996)IL
−6およびIL−12の存在についてELISAによりアッセイした。
【0144】
(実施例2:GM−CSFをアジュバントとして使用した場合、CpGオリゴ
ヌクレオチドは、Id−KLH免疫に対する抗体応答の発生を増強する)
CpGオリゴヌクレオチドは、GM−CSFを含む多くのサイトカインのAP
Cによる産生を誘導することが公知である(Krieg,A.M.、Trend
s in Microbiology 4:73−6、1996)。GM−CS
FへのCpGオリゴヌクレオチドの添加が、免疫応答をさらに増強するかどうか
を決定するために、マウスを、50μgのCpGオリゴヌクレオチド、10μg
のGM−CSF、またはCpGオリゴヌクレオチドおよびGM−CSFの混合物
と水溶液中で混合したPBS中の50μgのId−KLHの単回の皮下注射によ
り免疫した。血清を毎週採取し、そして抗原特異的IgG(抗Id IgG)の
存在についてELISAにより評価した。図1に示すように、CpGオリゴヌク
レオチドおよびGM−CSFの両方を使用して免疫したマウスは、最高レベルの
抗Id IgGを発達させた。これらの2つのアジュバントの効果は、相化的で
あることが明らかとなった。
【0145】
従って、GM−CSFおよびCpGオリゴヌクレオチドの組み合わせは、抗原
取りこみを増加するGM−CSFとの免疫応答の誘導における多くの異なる段階
を増強し得る一方で、エフェクター細胞活性化に関与するサイトカインの産生を
含む下流の応答を、CpGオリゴヌクレオチドが増強する。さらに、CpGオリ
ゴヌクレオチドは、抗原レセプターを介したB細胞活性化の相乗的な促進により
寄与し、そしてこのことが、抗原特異的B細胞を優先的に活性化する(Krie
g,A.M.ら、Nature 374:546−9、1995)。この上記に
示したデータは、GM−CSFおよびCpGオリゴヌクレオチドの組み合わせを
含む免疫ストラテジーが、特に効果的であることを提示した。CpGオリゴヌク
レオチドおよび可溶性GM−CSFは、Id−KLHでの免疫後に、抗Id I
gGを誘導するその能力においてのみ相加的であった。このことは、マウスGM
−CSFの短い半減期に起因し得る(Kedar,E.ら、J Immunot
herapy 20:180−93、1997)。
【0146】
(実施例3:CpGオリゴヌクレオチドは、Id/GM−CSF融合タンパク
質での免疫に続く抗Id抗体の産生を増強する)
38C13可変領域、ヒトIgG定常領域、およびマウスGM−CSF(Id
/GM−CSF)からなるId/GM−CSF融合タンパク質は、優れた免疫原
であることが示されている(Tao,M.H.およびLevy,R.、Natu
re 362:755−758、1993)。CpGオリゴヌクレオチドが、I
d/GM−CSFにより誘導される特異的抗体応答をさらに増強し得るか否かを
評価するために、マウスを、Id−KLHまたはアジュバントとしてCpGオリ
ゴヌクレオチドを含むId/GM−CSF、およびCpGオリゴヌクレオチドを
含まないId/GM−CSFで免疫した。血清を毎週採取し、そして抗Id I
gGレベルを決定した。どのマウスにおいても毒性は、観察されなかった。図2
に示すように、CpGオリゴヌクレオチドは、Id/GM−CSFに応答して抗
Id応答の産生を増強した。
【0147】
別の実験において、同じ抗原およびアジュバントを用いて、マウスを0日目に
免疫し、そして14日目にブーストした。Id/GM−CSFおよびCpGオリ
ゴヌクレオチドの組み合わせは、2回の免疫後、明らかに高レベルの抗Id I
gGを誘導した(図3)。最後の免疫の1週間後に採取した血清は、2.5mg
/mlを超える抗Id IgGを含んだ。38C13IdおよびGM−CSF(
Id/ヒトGM−CSF)からなる融合タンパク質を、コントロールとして誘導
した。なぜなら、ヒトGM−CSFは、マウスの系においては活性ではないから
である。Id/ヒトGM−CSFは、マウスGM−CSF配列をヒトGM−CS
F配列で置換したことを除いて、Id/GM−CSFと同一であった。CpGオ
リゴヌクレオチドを含むId/ヒトGM−CSFまたはCpGオリゴヌクレオチ
ドを含まないId/ヒトGM−CSFを用いて免疫した後に産生される抗Idの
レベルは、Id/GM−CSF後に見られたレベルより有意に低く、そしてId
−KLHで見られたレベルに類似していた。このことは、生物学的に活性なGM
−CSFが、観察された効果に重要であることを実証する。
【0148】
(実施例4:CpGオリゴヌクレオチドは、IgG2aアイソタイプの抗原特異
的抗体の産生を増強する)
IgG1の増強された産生は、Th2応答を反映するが、優勢なIgG2a産生
は、Th1応答を示す(Stevens,T.L.ら、Nature 334:
255−8、1988)。さらに、マウスIgG2aは、抗体依存細胞傷害性の媒
介においてマウスIgGよりさらに効果的であり、そしてモノクローナルIgG
2aは、マウスにおいて腫瘍を処置するための治療的抗体のセットとして、同じ可
変領域を有するモノクローナルIgGよりもよく機能する(Kaminski,
M.S.、J Immunol 136:1123−1130、1986)。ア
イソタイプを、抗Id IgGに対して分析し、そして抗Id IgG1および
IgG2aの存在を免疫後に評価した(図4)。免疫は、Id−KLHまたはId
/GM−CSFとGM−CSFまたはCpGオリゴヌクレオチドとの種々の組み
合わせを含んだ。血清を、単回の免疫から4週間後にサンプリングした。CpG
オリゴヌクレオチドは、CpGオリゴヌクレオチドを有さない対応する条件下で
見られた産生と比較して増強された抗Id IgG2aの産生を誘導した。同様の
IgG1/IgG2aの比率が、他の時点でも見られた。
【0149】
(実施例5:CpGオリゴヌクレオチドおよびId/GM−CSF融合タンパ
ク質を使用する免疫は、腫瘍増殖からマウスをさらに保護する)
CpGオリゴヌクレオチドはまた、Id/GM−CSF免疫との有効なアジュ
バントとして作用に得るか否かを評価するために、マウスをCpGオリゴヌクレ
オチドを有するId/GM−CSFまたはCpGオリゴヌクレオチドを有さない
Id/GM−CSFで単回免疫した3日後に、腫瘍でチャレンジした。この日程
での免疫は、Id−KLHを用いると最小限の効果にすぎなかった。CpGオリ
ゴヌクレオチド1758およびCpGオリゴヌクレオチド1826は、単独で、
またはId/GM−CSFとの組み合わせで用いた場合、生存の延長に対して同
等に効果的であった。図5に示したこのデータは、CpGオリゴヌクレオチド1
758およびCpGオリゴヌクレオチド1826で処置したマウスの組み合わせ
た結果を示す。全ての非免疫化マウス、および抗原を有さないCpGオリゴヌク
レオチドで処置したマウスは、腫瘍を発達させ、そして50日以内に死亡した。
I/GM−CSF単独で免疫したマウスの30%が、罹患しないままであったが
、一方Id/GM−CSFおよびCpGオリゴヌクレオチドで免疫したグループ
の70%が、罹患しないままであった。Id/GM−CSFおよびCpGオリゴ
ヌクレオチドで免疫したマウスは、生存していた。このことは、非免疫またはC
pGオリゴヌクレオチド単独で処置した場合と比べて統計的に優位であった(P
<0.001)。Id/GM−CSF単独で免疫したもの対CpGオリゴヌクレ
オチドおよびId/GM−CSFで免疫したものとの間の差異は、統計的有意さ
が類似していた(P−0.072)。
【0150】
これらの研究および実施例5の研究において、抗Id IgGの顕著なレベル
が、Id/GM−CSFおよびCpGオリゴヌクレオチドでの反復した免疫後に
達成された。CpGオリゴヌクレオチドは、可溶性GM−CSFおよびId/G
M−CSF融合タンパク質での免疫を含む研究した全ての条件下において、Ig
SAに対する応答を変化させた。このことは、TH1応答の増強を示唆した。こ
のアプローチを用いる免疫は、Id/GM−CSFおよびCpGオリゴヌクレオ
チドでの免疫のたった3日後で腫瘍増殖からの保護を生じた。これは、この広範
な研究モデルにおいて、今までのところ報告された最も効果的な保護である。
【0151】
(実施例6:樹状細胞表現型に対するCpGオリゴヌクレオチドの効果)
CpGオリゴヌクレオチドおよびGM−CSFの相乗的な効果は、これらの薬
剤が、一緒にAPCによる同時刺激分子の発現またはMHCの発現を増強し得る
ことを示唆する。骨髄由来の樹状細胞によるこれらの分子の発現を、評価した。
Id/GM−CSFおよび/またはCpGオリゴヌクレオチドでパルスした樹状
細胞のフローサイトメトリー分析は、Id/GM−CSFおよびCpGオリゴヌ
クレオチドの組み合わせに応答してのクラスIおよびクラスIIのMHC発現の
穏やかな増加を実証した。CD80およびCD86発現のベースライン発現は、
高かった。そしてそれは、Id/GM−CSFまたはCpGオリゴヌクレオチド
によって、顕著には変化しなかった(図6)。
【0152】
(実施例7:CpGオリゴヌクレオドはId/GM−CSFでパルスした樹状
細胞によるIL−12の産生を増強する)
抗原に対するTh1応答の増強は、樹状細胞のようなAPCによるIL−12
産生を増強するCpGオリゴヌクレオチドの能力により説明され得た。抗原(I
d/GM−CSFを含む)でパルスされた骨髄由来の樹状細胞によるIL−12
の産生を、CpGオリゴヌクレオチドの存在下で評価した。図7に示すように、
CpGオリゴヌクレオチドで樹状細胞をパルスすることは、特に細胞を、Id/
GM−CSFでもパルスした場合に、IL−12の産生を増加した。樹状細胞に
よるIL−6の産生もまた、Id/GM−CSに対するCpGオリゴヌクレオチ
ドの添加により増加したが、その効果は、IL−12についてよりも低く示され
た。樹状細胞でのサイトカイン産生に対するGM−CSF単独の影響は、研究さ
れなかった。なぜならば、これらの細胞は、GM−CSFを使用して生成された
からである。CpGオリゴヌクレオチドにより誘導された樹状細胞によるIL−
12の産生の明らかな増強は、少なくとも部分的にTh1応答の増強を説明し得
る。
【0153】
(実施例8:ヒトIL−12分泌を誘導するホスホロチオエートリゴヌクレオ
チドの同定)
CpGオリゴヌクレオチドのIL−12分泌を誘導する能力は、そのアジュバ
ントの潜在能力、特にIL−12に高度に依存するTh1免疫応答を誘導するそ
の能力に関する良い指標である。それゆえ、一団のホスホロチオエートリゴヌク
レオチドが、インビトロでヒトPBMCからIL−12分泌を誘導する能力を試
験した(表1)。これらの実験は、いくつかのヒトPBMCにおいて、ほとんど
のCpGオリゴヌクレオチドが、IL−12の分泌を誘導し得ることを示した(
例えば、実験1)。しかし、他のドナーは、少数のCpGオリゴヌクレオチドに
のみ応答した(例えば、実験2)。オリゴヌクレオチド2006は、ほとんどの
被験体からIL−12分泌の一貫した誘導物質であった(表2)。
【0154】
【表2】


(実施例9:CpGおよびGM−CSFは、DCに対する同時刺激性分子を相
乗的に増加する)
(方法)
エンドトキシンの検出。LPSの活性を、リムルスアメーバ様細胞溶解産物(
LAL)アッセイを使用してFDAにより標準化する(EU/ml)。本発明者
らによるLALアッセイの検出下限は、0.03EU/mlであった(LAL−
assay Bio Whittaker、Walkersville、MD)
。本研究において使用したLPSサンプル(ネズミチフス菌由来、Sigma
Chemical Co.、St.Louis、MO)は、4.35ng/EU
の活性を有した。エンドトキシンは、オリゴヌクレオチドにおいて検出され得な
かった(<0.075EU/mg)。
【0155】
(結果)
形態学およびMHC IIの発現の基準によるDCの分化は、DCによる特異
的な免疫応答の誘導については十分ではない。同時刺激性分子の発現によるDC
の機能的な活性が必要である。本発明者らは、細胞内接着分子I(ICAM−1
、CD54)、ならびに同時刺激性表面分子B7−2(CD86)およびCD4
0の発現に対するCpGの効果を試験した。最初、本発明者らは、DC(分化)
に対するMHC IIの増強された発現が、CD54発現のより反映された活性
化に関連するか否かに興味を持った。陽性の関連を見出し得ず、このことは、分
化が、DCの活性化と必ずしも関連しないことを確認した(図8)。同時刺激性
分子CD54(図9、パネルA)、CD86(図9、パネルB)、およびCD4
0(図9、パネルC)の発現は、生存可能なDCの平均蛍光強度(MFI)によ
り、フローサイトメトリーにおいて定量した。全ての実験において、CpGは、
同時刺激性分子の発現の増強においてGMCSFよりも優れていた。細胞のみの
サンプルと比較して、CpGオリゴヌクレオチド2006は、CD54(25.
0+−5.7対7.0+−1.8;p=0.02、n=5)、CD86(3.9
+−0.8対1.6+−0.3;p=0.01;n=5)およびCD40(3.
5+−1.0対0.9+−0.1;p=0.04、n=4)の発現を増強した。
GMCSFおよび2006の組み合わせは、CD54(38.5+−7.9;p
=0.03;n=5)に対して相加的な効果を示し、そしてCD86およびCD
40の発現を相乗的に増加した(CD86:7.0+−1.6;p=0.01;
n=5;CD40:8.5+−1.0;p<0.01;n=4)。
【0156】
特異性を2117(2006のメチル化バージョン)および2078(208
0のGpCバージョン)を使用して試験した。非CpGオリゴヌクレオチド21
17は、GMCSFと組み合わせた場合、CD40発現の相乗的な増強を示さな
かった。
【0157】
【表1】




前述の明細書は、当業者が本発明を実施するのを可能にするに十分であると考
えられる。本願中に引用される全ての参考文献、特許および特許公開は、その全
体が本明細書中に参考として援用される。
脚注:
1PBMCを正常ドナーから採取し、そしてFicoll上で遠心分離した。
次いで、PBMCを、培養物に6μg/mlで添加された、示したオリゴヌクレ
オチドを含むかまたは含まない96ウェルマイクロタイタープレート中に106
細胞/mlで培養した。方法において記載されたように、上清を24時間で回収
し、そしてELISAによってIL−12レベルについて試験した。標準曲線を
、各実験において作成した。これは異なるドナーを表す。
(配列表)
【表1−1】


【表1−2】


【表1−3】


【表1−4】


【表1−5】


【表1−6】


【表1−7】


【表1−8】


【表1−9】


【表1−10】


【表1−11】


【表1−12】


【表1−13】


【表1−14】


【表1−15】


【表1−16】


【表1−17】


【表1−18】


【表1−19】


【表1−20】


【表1−21】


【表1−22】


【表1−23】

【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】図1は、CpG ODNおよび可溶性GM−CSFの組み合わせを用いた免疫後の抗Id IgGの産生を示すグラフである。マウスは、GM−CSF、CpG ODNまたはその両方を、水溶液中に混合した、単回の皮下用量として、50μgのId−KLHで免疫された。血液を毎週得て、そして血清をELISAを用いて、抗Id IgGの存在について見積もった。既知濃度のモノクローナル抗Idを追加した正常なマウス血清を標準として用いた。それぞれの群に3匹のマウスを含んだ。
【図2】図2は、Id/GM−CSF融合タンパク質およびCpG ODNの組み合わせを用いる免疫が抗原特異的IgGの産生を増強することを示すグラフである。マウスは、CpG ODNとともに、またはCpG ODNなしで、単回の皮下用量として50μgのId/GM−CSFで免疫された。血液を、毎週得て、そして血清をELISAを用いて、抗Id IgGの存在について見積もった。既知濃度のモノクローナル抗Idを追加した正常なマウス血清を標準として用いた。それぞれの群に3匹のマウスを含んだ。
【図3】図3は、Id/GM−CSF融合タンパク質およびCpG ODNの組み合わせを用いる反復した免疫を用いる免疫が、抗原特異的IgGの高いレベルを誘導することを示すグラフである。マウスは、0週および再度2週に、CpG ODNとともに、またはCpG ODNなしで、皮下用量として50μgのId/GM−CSFで免疫された。血液を、毎週得て、そして血清をELISAを用いて、抗Id IgGの存在について見積もった。既知濃度のモノクローナル抗Idを追加した正常なマウス血清を、標準として用いた。それぞれの群に3匹のマウスを含んだ。
【図4】図4は、CpG ODNがIgG2aアイソタイプの抗原特異的抗体の産生を増強することを示す棒グラフである。マウスを、Id−KLH、GM−CSF、Id/GM−CSF融合タンパク質およびCpG ODNの種々の組み合わせを用いて単回用量で免疫した。血清を、単回免疫の4週間後に得た。抗Id IgG1および抗Id IgG2aを、ELISAにより決定した。それぞれの群に3匹のマウスを含んだ。
【図5】図5は、CpG ODNが腫瘍増殖に対するId/GM−CSF防御の防御的効果を増強することを示す生存曲線である。マウスを、Id/GM−CSFおよび/またはCpG ODNの単回注射を用いて免疫し、そして3日後に腫瘍にチャレンジした。生存を、100日間追跡した。51日後に生存したすべてのマウスは、全観察期間について腫瘍のないままであった。それぞれの群に20匹のマウスを含んだ。
【図6】図6は、Id/GM−CSFおよび/またはCpG ODNを用いた骨髄由来樹状細胞のパルシング後の、MHCクラスI、MHCクラスII、CD80およびCD86の発現を示す棒グラフである。
【図7】図7は、CpG ODNが、Id−KLHまたはId/GM−CSFでパルスされた樹状細胞によるIL−12産生を増強することを例証する棒グラフである。骨髄由来樹状細胞を18時間、CpG ODNと共にまたはCpG ODNなしで抗原でパルスし、そしてIL−12およびIL−6の産生をELISAにより決定した。CpG ODNは、樹状細胞(特にId/GM−CSF融合タンパク質でパルスした樹状細胞)によるIL−12の産生を顕著に増強した。
【図8】図8は、GM−CSFおよびCpGに応答する樹状細胞のICAM−1発現およびMHC II発現を実証するFACSチャートを示す。前駆樹状細胞を、GM−CSF(800U/ml)および2006(CpGホスホロチオエート;6μg/ml)の存在下で48時間インキュベートした。ICAM−1(CD54)およびMHCIIの発現を、フローサイトメトリー(2500の生存可能細胞がそれぞれのサンプルにおいて計数される)で試験した。
【図9】図9は、CpGによる樹状細胞上での同時刺激分子発現の誘導を示すいくつかのグラフである。樹状前駆細胞を、示されるようにGM−CSF(800U/ml)およびオリゴヌクレオチド(2006:CpGホスホロチオエート;6μg/ml)の存在下で48時間インキュベートした。CD54(ICAM−1)の発現(パネルA)、CD86(B7−2)の発現(パネルB)およびCD40の発現(パネルC)を、フローサイトメトリー(MFI,平均蛍光強度)により定量した。GM−CSFおよび2006の組み合わせは、CD86およびCD40の発現増加について相乗作用を示すが、一方、CD54への効果は相加的であった。結果は、5つの独立した実験(CD54およびCD86)ならびに4実験(CD40)の平均を示す。サンプルのみの細胞と比較した増加の統計的有意性は、*(p<0.05)により示される。統計的評価は、対応のないt検定により実行され、誤差帯はSEMを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−214357(P2008−214357A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113235(P2008−113235)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【分割の表示】特願2000−542030(P2000−542030)の分割
【原出願日】平成11年4月2日(1999.4.2)
【出願人】(399036497)ユニバーシティ オブ アイオワ リサーチ ファウンデーション (2)
【Fターム(参考)】