説明

入力機能付表示装置

【課題】薄型で表示品位の高い入力機能付表示装置を提供する。
【解決手段】位置情報パターン16で反射された検出光に基づいて位置情報を取得する位置情報読取手段110と、表示領域5上の位置情報を表す位置情報パターン16を有し、位置情報読取手段110が位置情報パターン16から読み取った情報に基づいて表示を行う表示手段120と、を備えた入力機能付表示装置100に関する。表示手段120は、検出光に対する透過性を有する第1基板11と、第1基板11に対向配置される第2基板300と、第1基板11及び第2基板300間の空間を複数に区画するとともに検出光に対する透過性を有する隔壁37と、を含み、位置情報パターン16が隔壁37と第2基板300との間に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力機能付表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーと呼ばれる薄型軽量の装置形態を有する表示装置の実用化が進められている。外光を拡散的に反射する反射型表示方式により、バックライトを有する透過型液晶表示装置やELディスプレイなどの自発光型表示装置に比べ消費電力が少ないので電池の小型軽量化を図ることができ、表示装置の小型軽量化が可能である。
【0003】
電子ペーパー方式の表示装置の代表として、電気泳動方式の表示装置がある。加えて、電子ペーパーにおいては、入力装置を用いて手書き文字入力ができたり、表示装置を直感的に操作できるたりすることが望ましい。電子ペーパーに適した薄型軽量の入力装置としては、電子ペーパーの表示面上に、光学的に読み取り可能な位置情報パターン層を設け、ポインタに設置した撮像部によって位置情報パターンを撮像することにより、電子ペーパーの表示面における指示位置を特定する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この入力方式は、表示装置に位置情報パターン層を付加するだけで入力機能を付加できるので、薄型軽量の電子ペーパーに適した入力装置である。この表示装置においては、位置情報パターン画像に表示画像が混ざって撮像されることを防止するために位置情報パターン層と表示装置との間に赤外光反射層を設けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−21168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、誘電体多層膜から構成された赤外光反射層によって可視光の透過率が低下してしまい、表示装置への入射光と表示装置からの反射光が共に弱まることで特に反射型の表示装置においては表示品位が大きく低下するといった問題があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、薄型で表示品位の高い入力機能付表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の入力機能付表示装置は、位置情報パターンで反射された検出光に基づいて位置情報を取得する位置情報読取手段と、表示領域上の位置情報を表す前記位置情報パターンを有し、前記位置情報読取手段が前記位置情報パターンから読み取った情報に基づいて表示を行う表示手段と、を備え、前記表示手段は、前記検出光に対する透過性を有する第1基板と、該第1基板に対向配置される第2基板と、該第1基板及び第2基板間の空間を複数に区画するとともに前記検出光に対する透過性を有する隔壁と、を含み、前記位置情報パターンが前記隔壁と前記第2基板との間に設けられることを特徴とする。
【0009】
本発明の入力機能付表示装置によれば、表示に寄与しない隔壁の形成領域に位置情報パターンが形成されるので、表示品質を損なうことなく、筆跡情報を入力可能であって且つ良好な表示画像を得ることができる。また、例えば検出光として赤外光を用いたときでも赤外線反射層を表示領域上に重ねて設ける必要が無いため、赤外線反射層を設けることにより透過率の低下及び装置の厚みが増すといった不具合の発生を防止できる。したがって、表示品位を低下させることなく、装置の薄型化が可能である。
【0010】
また、上記入力機能付表示装置においては、前記位置情報パターンは、前記第2基板に設けられた画素電極の一部であるのが好ましい。
この構成によれば、画素電極の一部を位置情報パターンとして用いるので、別途位置情報パターンを形成する工程や材料を不要にすることができ、装置の低コスト化を図ることができる。
【0011】
また、上記入力機能付表示装置においては、前記位置情報パターンは、前記第2基板に設けられた画素駆動回路部の配線の一部であるのが好ましい。
この構成によれば、画素駆動回路部の配線の一部を位置情報パターンとして用いるので、別途位置情報パターンを形成する工程や材料を不要にすることができ、装置の低コスト化を図ることができる。
【0012】
また、上記入力機能付表示装置においては、前記位置情報パターンは、前記第2基板上に設けられた塗布膜であるのが好ましい。
この構成によれば、第2基板上に設けられた塗布膜により位置情報パターンが構成されるので、装置の薄型化を図ることができる。
【0013】
また、上記入力機能付表示装置においては、前記表示手段が電気泳動表示装置であるのが好ましい。
この構成によれば、電気泳動表示装置から構成された表示手段を備えるので、薄くて可撓性に優れた電子ペーパーによる入力機能付きの装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】入力機能付表示装置の全体構成を示す平面図。
【図2】入力機能付表示における表示本体の概略構成を示す断面図。
【図3】表示本体の要部構成を示す平面図。
【図4】電子ペンの概略構成を示す図。
【図5】(a)、(b)は位置情報パターンの変形例に係る図。
【図6】位置情報パターンの変形例に係る構成を示す図。
【図7】ハニカム構造の隔壁に係る構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各画面では、各部材を認識可能な大きさとするため、核部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の入力機能付表示装置の全体構成を示す平面図である。図2は、入力機能付表示における表示本体の概略構成を示す断面図である。図3は、表示本体の要部構成を示す平面図である。
【0017】
図1および図2に示すように、入力機能付表示装置100は、電子ペン(位置情報読取手段)110と、表示本体(表示手段)120とを備え、表示本体120の表示面に対して電子ペン110を用いた手書き入力が可能な表示装置である。ここでは、表示本体120に電子ペン110の位置情報(時間変動における座標値)を検出する手段として後述の位置情報パターン16を用いて、表示本体120の表示面に対する電子ペン110の接点の時系列データにより手書き情報を取得して表示する。
【0018】
表示本体120は、位置情報パターン16を有する表示体(表示部)10と、これを保持するハウジング9とにより構成されており、表示領域5に対して電子ペン110により手書き入力が行えるように構成されている。
【0019】
表示体10としては、記憶性表示素子である電気泳動素子32(図2)を有する電気泳動ディスプレイ(Electrophoretic Display、以下「EPD」という)を用いており、表示面に複数の画素Gをマトリクス状に配列してなる表示領域5を有している。電気泳動素子32は素子基板(第2基板)300の最表面に複数の電気泳動粒子が配列されてなる。
なお、表示体10としては電気泳動素子以外の表示デバイスを用いてもよく、例えば、液晶装置や、OLED等から適宜選択される。
上記した各種表示体は、そのシール構造や駆動ICの実装等から、額縁と呼ばれる外周スペースが必要となる。図示は省略しているが、ハウジング9内には、表示体10の無線通信部、制御部、駆動制御部等が実装されている。
【0020】
本実施形態では、表示体10として電気泳動表示素子を用いることで曲がった表面にも追従可能なフレキシブルディスプレイからなる入力機能付表示装置100を提供することができる。
【0021】
表示領域5にはm本の走査線66およびn本のデータ線68が形成され、各々の走査線66およびデータ線68の交点位置に対応して画素Gが設けられている。各画素Gには、選択トランジスタ(図示略)、画素電極35および電気泳動素子32が設けられている。
【0022】
選択トランジスタは、例えばNMOS(Negative Metal Oxide
Semiconductor)−TFT(Thin Film Transistor)からなる画素スイッチング素子である。選択トランジスタのゲート端子は走査線66に接続され、ソース端子はデータ線68に接続され、ドレイン端子は画素電極35に接続されている。
【0023】
表示領域5の周辺領域には、表示領域5から延出された複数の走査線66がシフトレジスタ61のパラレル出力に繋がっており、シフトレジスタ61のシリアル入力となる接続配線66aと、接続端子6,7,8とが形成されている。接続端子6は、接続配線66aを入力として表示領域5の全ての走査線66にシリアルパラレル変換接続されている。接続端子8は、接続配線66bをシリアル入力とするシフトレジスタ62を介して表示領域5の全てのデータ線68と接続されている。接続端子7は、複数の画素Gに対して共通の電位を有する共通電極13と接続されている。これら接続端子6,7,8はコントローラーに接続されている。コントローラーは、電子ペン110からの入力信号に基づいて、表示領域5への画像表示動作を制御する。具体的には、各接続端子6〜8を介して走査線66およびデータ線68に所定の電位を入力し、表示領域5に所定の画像を表示する。
【0024】
素子基板300はガラスやプラスチック等からなる基材30を有し、基材30の電気泳動素子32側には走査線66、データ線68、選択トランジスタなどが形成された回路層34が設けられている。また、回路層34上には複数の画素電極35が配列形成されている。画素電極35は、銀、アルミ、銅、クロム等の金属材料から構成されるものであり、電気泳動素子32に電圧を印加する電極である。
【0025】
対向基板(第1基板)11は、表示領域5に対応する大きさを有しており、素子基板300との間に電気泳動素子32を挟持している。対向基板11は、PET等の可撓性材料を用いて形成された透明な樹脂フィルム12と、樹脂フィルム12の一面側に形成された共通電極13とを含む。
【0026】
共通電極13は、複数の画素電極35とともに電気泳動素子32に電圧を印加する電極であって、Al(アルミ)、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)などの金属やそれら合金及び導電性塗料等から形成される。
【0027】
図2、3に示すように素子基板300と対向基板11との間の空間が隔壁37によって複数のセルCに分割され、各セルCの各々に電気泳動粒子としての白色粒子27及び黒色粒子26が分散液中に分散されてなる電気泳動分散液が充填されている。なお、各セルCに白色粒子27及び黒色粒子26を含むマイクロカプセルを配置するようにしても構わない。また、本説明では白、黒の2粒子の例を示したが、電気泳動粒子の色を増やし、フルカラー表示を行う構成であっても構わない。
【0028】
図3に示すように隔壁37は、1つのセルC内に4つの画素Gを含むように基板300、11間の空間を分割している。また、隔壁37の高さ及び幅は数十μmから数百μmであり、セルCのピッチは数百μmから数mm程度に設定されている。なお、隔壁37と画素Gとの大小関係、及び相対位置は本実施形態に限定されることは無く、所定の周期性を保っていれば他の形態であっても構わない。
【0029】
図2に示したように隔壁37の下面には、画素電極35の一部が張り出すことで形成された張出部36が設けられた領域と、張出部36が設けられない領域とがある。上述のように画素電極35は銀、アルミ、銅、クロム等の金属材料から構成されることから、張出部36の表面は光学的に反射性あるいは散乱性を有している。一方、画素電極35が形成されていない領域は下地層であって光吸収性を有する回路層34から構成される。
【0030】
隔壁37は、後述する電子ペン110から照射される検査光を透過させるようになっている。隔壁37を透過した検査光は、画素電極35の形成領域においては底面に形成された張出部36で反射され、画素電極35の非形成領域では回路層34で吸収される。したがって、電子ペン110は、張出部36で反射された光を再度受光することで張出部36の有無を判別可能となっている。なお、電子ペン110が受光する光としては、隔壁37側面で全反射されることで電子ペン110側に戻るものも含まれる。
【0031】
本実施形態においては、位置情報パターン16として、隔壁37の下面に張出部36が重なる場所を符号「1」とし、無い場所を符号「0」と示すことで、隔壁37の交差点を基準として上、右、下、左にそれぞれ4ビットの符号を設定することで各交差点に計16値を割り付けできるようになっている。図3に示されるように隔壁37の交差点に割り付けられる位置情報パターン16の符号の一例として、張出部36が4aの位置のみに存在する場合は符号が「1000」で示され、張出部36が4bの位置のみに存在する場合は符号が「0100」で示され、張出部36が4cの位置のみに存在する場合は符号が「0010」で示され、張出部36が4dの位置のみに存在する場合は符号が「0001」で示される。
【0032】
また、上記隔壁37を構成する材料としては、光透過性を有するものであって、例えばポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素−ポリウレタン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホンアミド、ポリカーボネート、ポリスルフィネート、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ゼラチン等の樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ノボラック樹脂、ポリスチレン等をベースとした樹脂材料が挙げられる。隔壁37はフォトリソ技術を用いることで所望の形状にパターニングされている。
【0033】
隔壁パターンのレジスト材料としては、ポリアクリレート、ポリビニル化合物、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ化合物、ポリアミド、ポリイミド、ノボラック系樹脂、フルオレン系樹脂などのバインダー樹脂、多官能アクリレート、多官能メタクリレートなどのラジカル重合性化合物、光重合開始剤などからなる樹脂組成物およびこれらの混合物を用いることができる。
【0034】
図4は電子ペン110の概略構成を示す図である。図4に示すように、電子ペン110は、細棒状のペン型ケース41の内部にコリメータレンズ42、発光素子43、撮像素子44、電子回路部品45、電池46等を含んで構成されている。発光素子43としては、発光ダイオード(LED)あるいはレーザーダイオード(半導体レーザー)が適する。撮像素子44としては、位置情報パターンの微小単位領域の部分パターンを撮像して記録することのできるCCDカメラあるいはCMOSセンサーが用いられる。これら半導体センサーの光感度は600nm付近にピークがあり、表示画像の影響を抑えるために赤外領域の発光素子を使用してもよい。この場合は、赤外光線を透過して可視光線を遮光する赤外線透過フィルタをコリメータレンズ42とともに配置する。つまり、発光素子として赤外光を発光するものを使用し、フィルタは赤外光透過フィルタを使用することにより、位置情報パターン16以外の背景光(表示画像)を除去することができる。その結果、表示体10における表示領域5上での電子ペン110による正確な位置情報を得ることができる。
また、焦電効果によって赤外線を含む光を検出する焦電素子を使用しても良い。
【0035】
電子回路部品45は、発光、撮像および検出演算処理を実行するCPUなどの画像処理手段、検出データを本体に送信する無線回路等を備える。電子ペン110の電源は、ペン型ケース41内に取り付けられる電池46から供給されるようになっている。発光素子43は、常に点灯させておく必要はなく、電子ペンの走査スピードや撮像素子による撮像タイミングなどから、表示体10の表示領域5に向けてパルス的に照明し、表示体10の照明(背景輝度)に応じて発光時間や消費電力を制御する。ここで、前回の照明時における撮像素子44によって得た情報を次回の照明時にフィードバックすれば、さらにSN比を改善させることができる。
【0036】
上記電子ペン110は、上記位置情報パターン16をペン先に設けられた撮像素子44によって撮像し、この撮像した画像と、予め作成された、各分割空間の表示領域における位置と各分割空間に割り付けられた符号列との対応関係を示す対応テーブルとに基づいて、撮像した画像に含まれる分割空間の表示領域における位置を検出することができる。M平面のサイズを大きく(座標を多く)するために、これら隣り合う4ビット符号を更にいくつかのウインドウ(例えば4×4符号)でくくり、その数値が全領域で唯一となるようにウインドウを配置すればよい。ウインドウのサイズは撮像素子44の1回で取り込める範囲、ペン先を走査するスピード、隔壁37の交差点のピッチ等から総合的に決定される。なお、M平面の符号から表示体10の座標をデコードする方法は、例えば、特開2006−277492号公報や特開2006−127081号公報を例示することができ、本実施形態ではその手段には言及しない。
【0037】
このような構成に基づき、本実施形態では、電子ペン110のペン先に設けられた撮像素子44にて検出された部分パターンから表示領域5上の位置が特定され、ペン先の軌跡を筆跡として表示領域5に入力する。つまり、電子ペン110の時系列座標データ(ストロークデータ)が筆跡データとなる。
【0038】
続いて、本実施形態の入力機能付表示装置100の動作について説明する。なお、本説明では、電子ペン110を用いて表示本体120に手書き入力を行う動作を中心に説明する。
【0039】
ユーザーが把持した電子ペン110を表示領域5上で移動すると、電子ペン110の先端に設けられた発光素子43から光が表示領域5に対して照射される。このとき、発光素子43から照射された光は表示領域5上に設けられた位置情報パターン16で反射されて電子ペン110の撮像素子44により撮像される。
【0040】
具体的に、発光素子43からの照明光は、隔壁37を透過して画素電極35の形成領域においては底面に形成された張出部36で反射され、画素電極35の非形成領域においては回路層34で吸収される。したがって、電子ペン110は、位置情報パターン16を構成する張出部36で反射された光を受光することで、現在のペン先が表示領域5における、どの位置に配置されているかを検出できる。そして、撮像素子44は、電子回路部品45の無線回路を介して検出結果を対応する表示本体120側に対して送信する。このとき、表示本体120は位置座標情報を取得し、該位置情報に基づいて筆跡情報を表示領域5に表示させる。
【0041】
具体的に、表示本体120は、取得した位置座標情報に対応する画素電極35及び共通電極13間に印加する電圧を制御し、電気泳動粒子(白色粒子27及び黒色粒子26)を移動させることで、ユーザーが電子ペン110を用いて入力した手書きによる筆跡を表示領域5上に表示することができる。
【0042】
このように本実施形態では、無線方式により表示本体120側に電子ペン110による入力情報を出力できるので、電子ペン110と表示本体120とを配線で接続する必要が無い。よって、表示本体120に手書き入力を行う際に配線が絡まるといった不具合の発生が防止され、高い操作性を得ることができる。
【0043】
以上述べたように、本実施形態に係る入力機能付表示装置100によれば、表示に寄与しない隔壁37の形成領域に位置情報パターン16が形成されるので、表示品質を損なうことなく、筆跡情報を入力可能であって且つ良好な表示画像を得ることができる。また、例えば検出光として赤外光を用いたときでも赤外線反射層を表示領域5に重ねて設ける必要が無いため、赤外線反射層を設けることにより透過率の低下及び表示本体120の厚みが増すといった不具合の発生を防止できる。したがって、表示品位を低下させることなく、表示本体120の薄型化することができる。
【0044】
また、位置情報パターン16が画素電極35の一部から構成されるので、各画素Gと位置情報パターン16との位置を精度良く合わせることができる。また、製造工程の面からは、画素電極35の製造時に位置情報パターン16も形成できるので、位置情報パターン16を設けることによるコスト増加を抑えることができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、位置情報パターン16を画素電極35の一部である張出部36によって構成する場合について説明したが、画素電極35とは分離した独立のパターンであっても構わない。例えば、図5に示すように駆動回路のTFT層を含む回路層34に設けられた金属配線34aの一部を位置情報パターン16として同時に形成しても構わない。また、金属以外の材料を隔壁37の下面に選択的に塗布することで光学的に識別可能な位置情報パターン16を形成しても良い。この場合、位置情報パターン16と周辺の地部とは、撮像素子44の感度波長範囲で光学的に識別されることが必要であり、反射(あるいは散乱)と吸収、あるいは、吸収と反射(あるいは散乱)の組み合わせを満たす必要がある。なお、可視光の場合、反射は白、吸収は黒を意味する。
【0046】
また、上記実施形態では、位置情報パターン16を隔壁37の下面側に設けた張出部36で構成する場合を例に説明したが、図6に示すように格子状の隔壁37の下面に円形の位置情報パターン16を形成するようにしても構わない。隔壁37の格子の交差部で、位置情報パターン16が見える場所が符号「1」で、無い場所が符号「0」を表す。この場合は1ビットの位置情報パターン16であるため、電子ペン110はこれら符号を10×10個以上のウインドウとして座標情報を得ることができる。
【0047】
また、隔壁37としては上述の実施形態に係る格子形状のもののみならず、ハニカム構造のものを採用しても構わない。図7は、ハニカム構造の隔壁37の下面に円形の位置情報パターン16を形成した場合を示す。隔壁37の六角形の各頂点の下面に位置情報パターン16がある場所が符号「1」を表し、無い場所が符号「0」を表す。このように、隔壁37の形状は格子に限定されず、ハニカム、三角形、円形等のいずれであっても構わない。
【0048】
また、位置情報パターン16を形成する場所は、必ずしも隔壁37の頂点や交差点に設定する必要はなく、撮像素子44が識別可能であって、符号の位置を特定できる周期性を有していれば良い。また、上記実施形態では、位置情報パターン16を構成する張出部36が検査光を吸収し、張出部36が形成されない画素電極35の非形成領域においては検査光を吸収することで位置情報パターン16の有無を識別する場合を例に説明したが、位置情報パターン16側で検査光を吸収し、画素電極35の非形成領域において検査光を反射することで位置情報パターン16の有無を電子ペン110側で判別する構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0049】
5…表示領域、11…対向基板(第1基板)、16…位置情報パターン、32…電気泳動素子、34a…金属配線、35…画素電極、36…張出部(画素電極の一部)、37…隔壁、100…入力機能付表示装置、110…電子ペン(位置情報読取手段)、120…表示本体(表示手段)、300…素子基板(第2基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報パターンで反射された検出光に基づいて位置情報を取得する位置情報読取手段と、
表示領域上の位置情報を表す前記位置情報パターンを有し、前記位置情報読取手段が前記位置情報パターンから読み取った情報に基づいて表示を行う表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記検出光に対する透過性を有する第1基板と、該第1基板に対向配置される第2基板と、該第1基板及び第2基板間の空間を複数に区画するとともに前記検出光に対する透過性を有する隔壁と、を含み、
前記位置情報パターンが前記隔壁と前記第2基板との間に設けられることを特徴とする入力機能付表示装置。
【請求項2】
前記位置情報パターンは、前記第2基板に設けられた画素電極の一部であることを特徴とする請求項1に記載の入力機能付表示装置。
【請求項3】
前記位置情報パターンは、前記第2基板に設けられた画素駆動回路部の配線の一部であることを特徴とする請求項1に記載の入力機能付表示装置。
【請求項4】
前記位置情報パターンは、前記第2基板上に設けられた塗布膜であることを特徴とする請求項1に記載の入力機能付表示装置。
【請求項5】
前記表示手段が電気泳動表示装置であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の入力機能付表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−37537(P2013−37537A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173156(P2011−173156)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】