説明

入力装置、およびこれを備えた表示装置

【課題】第2検出電極パターンの破損を抑制することができる入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置X1は、使用者によって入力操作が行われるための第1主面、および第1主面の反対側に位置する第2主面10aを有する基体10と、基体10の第2主面10a上に設けられる第1検出電極パターン20と、基体10の第2主面10a上に設けられ、一部が絶縁体40を介して第1検出電極パターン20と交差する第2検出電極パターン30と、を備え、絶縁体40は、端部42から頂部41までの領域に凸曲面43を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が入力操作した箇所を入力位置として検出する入力装置、およびこれを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、静電容量方式のタッチパネルのような従来の入力装置は、基体と、基体の主面上に設けられる第1検出電極パターンと、基体の主面上に設けられかつ第1検出電極パターンと交差する第2検出電極パターンとを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような入力装置では、第1検出電極パターンと第2検出電極パターンとの間に、第1検出電極パターンと第2検出電極パターンとを電気的に絶縁するための絶縁体が設けられている。すなわち、絶縁体は、第1検出電極パターンの一部を覆うように基体の主面上に設けられており、第2検出電極パターンの一部は、絶縁体の上面に設けられている。これにより、第1検出電極パターンと第2検出電極パターンとを電気的に絶縁しつつ、第1検出電極パターンと第2検出電極パターンとを交差させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−310551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の入力装置では、絶縁体を第2検出電極パターンに沿った断面で断面視したとき、絶縁体が矩形状をなしている。このため、絶縁体に対して使用時の押圧力等が加わると、絶縁体が変形してその上に設けられている第2検出電極パターンに応力が加わることになる。この応力が第2検出電極パターンに繰り返し加わると、第2検出電極パターンが破損する可能性があった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、第2検出電極パターンの破損を抑制することができる入力装置、およびこれを備えた表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の入力装置における一態様は、使用者によって入力操作が行われるための第1主面、および該第1主面の反対側に位置する第2主面を有する基体と、前記基体の前記第2主面上に設けられる第1検出電極パターンと、前記基体の前記第2主面上に設けられ、一部が絶縁体を介して前記第1検出電極パターンと交差する第2検出電極パターンと、を備え、前記絶縁体は、端部から頂部までの領域に凸曲面を有している。
【0008】
本発明の表示装置における一態様は、本発明に係る入力装置と、前記入力装置と対向配置される表示パネルと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の入力装置、およびこれを備えた表示装置は、第2検出電極パターンの破損を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る入力装置を表す平面図である。
【図2】(a)は図1の入力装置の要部を拡大して表した平面図であり、(b)は図1の入力装置の要部を拡大して表した斜視図である。
【図3】(a)は図1のI−Iに沿った断面図であり、(b)は図1のII−IIに沿った断面図である。
【図4】図3(a)のR部分を拡大して表した図である。
【図5】(a)〜(d)は、入力装置の製造工程を説明するための図であり、図1のI−Iに沿った断面の製造工程を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る入力装置を表す図であり、図1のI−Iに対応した断面図である。
【図7】図6のR部分を拡大して表した図であり、基体の主面に対する絶縁体の傾斜角度θの変化を説明するための図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る入力装置を表す図であり、図1のI−Iに対応した断面図である。
【図9】図8の入力装置の要部を拡大して表した平面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る入力装置を表す図であり、図1のI−Iに対応した断面図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る入力装置を表す断面図である。
【図12】第1の実施形態に係る入力装置を備えた表示装置を表す断面図である。
【図13】液晶表示パネルを示す斜視図である。
【図14】本発明の変形例に係る入力装置を表しており、図1のI−Iに対応した図である。
【図15】図6の変形例を表しており、(a)は図1のI−Iに対応した図であり、(b)は(a)のR部分を拡大して表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の一実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本発明に係る入力装置、およびこれを備えた表示装置は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。
【0012】
[実施の形態1]
本発明の第1の実施形態に係る入力装置X1について説明する。入力装置X1は、静電容量方式のタッチパネルである。
【0013】
図1に示すように、入力装置X1は、使用者が指等で操作することにより情報を入力するための入力領域Eと、入力領域Eの外側に位置する外側領域Eとを有している。また、外側領域Eには、図外のFPC(Flexible Printed Circuit)等と電気的に接続される領域である外部導通領域Eを有している。
【0014】
入力装置X1は、図1〜図4に示すように、基体10、第1検出電極パターン20、第2検出電極パターン30、絶縁体40、および検出用配線50を備えている。
【0015】
基体10は、図3(a)および図3(b)に示すように、主面10aを有している。基体10の平面視形状は、例えば、矩形状とされているが、これに限定されない。基体10の材料は、透光性を有するものが挙げられ、例えば、ガラスあるいはプラスチック等である。なお、本明細書において「透光性」とは、可視光に対する透過性を有することを意味する。また、入力領域Eにおいて、基体10の主面10aとは反対側に位置する面が、使用者が指等で操作することにより情報を入力するための面となる。
【0016】
第1検出電極パターン20は、基体10の主面10a上に設けられている。第1検出電極パターン20は、第1検出電極21、および第1接続電極22を有している。
【0017】
第1検出電極21は、図1で示された矢印B方向での指等による入力位置の検出を行う機能を有する部材である。第1検出電極21は、入力領域Eに対応する基体10の主面10a上に設けられている。第1検出電極21は、所定の間隔を空けてマトリックス状に配置されている。第1検出電極21は、平面視形状が略ひし形をなしているが、これには限られない。第1検出電極21の材料としては、透光性および導電性を有するものが挙げられ、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ATO(Antimony Tin Oxide)、AZO(Al-Doped Zinc Oxide)、酸化錫、酸化亜鉛、あるいは導電性高分子等である。
【0018】
第1検出電極21の形成方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、スパッタリング法、蒸着法、あるいは化学気相成長(CVD)法により、ITO等の材料を基体10の主面10a上に塗布し膜を形成する。そして、形成した膜の表面に感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂に対して露光処理、現像処理を行うことで感光性樹脂に所望のパターンを形成する。そして、形成した膜に対して薬液等を用いてエッチングを行い、パターニングする。そして、形成した膜の表面に存在する感光性樹脂を除去することで、第1検出電極21が形成される。
【0019】
第1接続電極22は、隣り合う第1検出電極21を電気的に接続する機能を有する部材である。第1接続電極22は、入力領域Eに対応する基体10の主面10a上に設けられている。第1接続電極22の材料は、第1検出電極21と同様のものが挙げられる。また、第1接続電極22の形成方法は、第1検出電極21と同様の方法が挙げられる。
【0020】
第2検出電極パターン30は、基体10の主面10a上に設けられている。第2検出電極パターン30は、第2検出電極31、および第2接続電極32を有している。
【0021】
第2検出電極31は、図1で示された矢印A方向での指等による入力位置の検出を行う機能を有する部材である。第2検出電極31は、入力領域Eに対応する基体10の主面10a上に設けられている。また、第2検出電極31は、所定の間隔を空けてマトリックス状に配置されている。第2検出電極31の形状は、平面視形状が略ひし形をなしているが、これには限られない。第2検出電極31の材料は、第1検出電極21と同様のものが挙げられる。また、第2検出電極31の形成方法は、第1検出電極21と同様の方法が挙げられる。
【0022】
絶縁体40は、第1検出電極パターン20と第2検出電極パターン30とを電気的に絶縁する役割を担う部材である。絶縁体40は、第1検出電極パターン20における第1接続電極22の一部を覆うように、基体10の主面10a上に設けられている。また、絶縁体40は、第1接続電極22に対して基体10の主面10aとは反対側に位置する上面40aを有している。また、絶縁体40の上面40aは、第2接続電極22に対向する頂部41と、頂部41と第2検出電極31との間に位置する端部42とを有している。絶縁体40の材料は、絶縁性を有するものが挙げられ、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等である。
【0023】
また、絶縁体40は、図3(a)に示すように、第2検出電極パターン30に沿った断面で、絶縁体40の端部42から頂部41までの領域に凸曲面43を有している。なお、絶縁体40に凸曲面43を有している理由については後述する。
【0024】
第2接続電極32は、隣り合う第2検出電極31を電気的に接続する機能を有する部材である。また、図2に示すように、第2接続電極32は、絶縁体40の上面40aに位置している。すなわち、第2接続電極32の一部は、絶縁体40を介して第1接続電極22の一部と交差している。言い換えれば、第2検出電極パターン30の一部が絶縁体40を介して第1検出電極パターン20の一部と交差している。第2接続電極32の材料は、第1検出電極21と同様のものが挙げられる。また、第2接続電極32の形成方法は、第1検出電極21と同様の方法が挙げられる。
【0025】
上述したように、絶縁体40は、第2検出電極パターン30に沿った断面で、絶縁体40の端部42から頂部41までの領域に凸曲面43を有している。そのため、絶縁体40が第2検出電極パターン30に沿った断面で矩形状をなす場合に比べて、使用者の指等による押圧力が絶縁体40に加わっても、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32に加わる応力を緩和することができる。すなわち、絶縁体40は、絶縁体40の端部42から頂部41までの領域にかけて丸みを帯びているので、該丸みの部分で応力が緩和されることになるからである。
【0026】
図4は、図3(a)のR部分を拡大して表した図であり、図3(a)の上下方向を反対にして表した図である。図4では、基体10の主面10aに対する絶縁体40の傾斜角度を「θ」とするとともに、基体10の主面10aに直交する方向と絶縁体40とのなす角を「θ´」としている。すなわち、θ+θ´=90°の関係式が成り立つ。
【0027】
本実施形態では、絶縁体40の傾斜角度θは、基体10の主面10aに直交する方向と絶縁体40とのなす角θ´よりも小さく設定されている。また、絶縁体40の傾斜角度θは2〜20°の範囲に設定されていることが好ましい。絶縁体40の傾斜角度θが2〜20°の範囲に設定されていると、絶縁体40の凸曲面43でより応力を緩和することができる。また、絶縁体40の傾斜角度θが2〜20°の範囲に設定されていると、絶縁体40の上面40aに位置する第2接続電極32が使用者に視認され難くなる。第2検出電極31の高さ位置と第2接続電極32の高さ位置との差が小さくなるからである。このため、入力装置X1の視認性が向上する。
【0028】
また、本実施形態では、絶縁体40の上面40aは、第2検出電極パターン30に沿った断面に比べて該断面と直交する方向の断面の方が平坦である。具体的には、図3(a)に示す断面と図3(b)に示す断面とを比べた場合に、図3(a)に示す断面における絶縁体40の上面40aよりも、図3(b)に示す断面における絶縁体40の上面40aの方が平坦であることを意味する。ここで、「平坦」とは、曲率が小さいことをいう。「曲率」は、各断面において、例えば、断面に沿った方向の中心点を基準点として、この基準点から最小距離の点と最大距離の点との2点における差をとることで、判断できる。すなわち、2点の差が小さいほど曲率が小さいことを意味している。
【0029】
また、本実施形態では、図2(a)に示すように、絶縁体40は、上面視して、第2検出電極パターン30に沿った方向(矢印B方向)に伸びる長方形状をなしている。具体的には、絶縁体40は、上面視して、第2検出電極パターン30に沿った方向(矢印B方向)の長さが、第1検出電極パターン20に沿った方向(矢印A方向)の長さよりも長い長方形状をなしている。このため、使用者の指等による押圧力が絶縁体40に加わると、絶縁体40の第2検出電極パターン30に沿った方向(矢印B方向)に比較的大きな応力が加わるのに対して、絶縁体40の第1検出電極パターン20に沿った方向(矢印A方向)には比較的小さな応力が加わることになる。
【0030】
ここで、本実施形態のように、絶縁体40の上面40aが、第2検出電極パターン30に沿った断面に比べて該断面と直交する方向の断面の方が平坦であれば、絶縁体40の第
2検出電極パターン30に沿った方向(矢印B方向)に加わる比較的大きな応力を集中して緩和することができる。この結果、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32に加わる応力をより緩和することができる。
【0031】
検出用配線50は、第1検出電極パターン20および第2検出電極パターン30に電圧を印加する機能を有する部材である。検出用配線50は、外側領域Eに対応する基体10の主面10a上に設けられている。検出用配線50は、一端部が第1検出電極パターン20および第2検出電極パターン30と電気的に接続され、他端部が外部導通領域Eに位置している。検出用配線50の材料は、導電性を有するものが挙げられ、例えば、ITO、酸化錫、アルミニウム、アルミニウム合金、銀膜、あるいは銀合金等である。また、検出用配線50の形成方法としては、第1検出電極21と同様の形成方法が挙げられる。
【0032】
次に、上記の入力装置X1の製造方法について、図5を参照して説明する。なお、図5(a)〜(d)は、図1のI−Iに沿った断面の製造工程を説明するための図である。
【0033】
まず、スパッタリング法、蒸着法、あるいは化学気相成長(CVD)法により、ITO等の材料を基体10の主面10a上に塗布し膜を形成する。そして、形成した膜の表面に感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂に対して露光処理、現像処理を行うことで感光性樹脂に所望のパターンを形成する。そして、形成した膜に対して薬液等を用いてエッチングを行い、パターニングする。そして、形成した膜の表面に存在する感光性樹脂を除去することで、図5(a)に示すように、第1接続電極22が形成される。
【0034】
次に、所望の形状をした金型Kに例えばUV硬化性のアクリル樹脂を塗布する。そして、図5(b)に示すように、その塗布した金型Kを第1接続電極22が設けられている基体10の主面10aに押し当てる。そして、この金型Kに対して基板の主面10aと反対側からUV光を照射させることでアクリル樹脂を硬化させる。アクリル樹脂の硬化後に、金型Kを外すことで、図5(c)に示すように、絶縁体40が形成される。
【0035】
次に、基体10の主面10a上に、さらにITO等の材料を塗布し膜を形成する。このとき、絶縁体40は、断面視において、絶縁体40の端部42から頂部41までの領域に凸曲面43を有しているので、この凸曲面43には十分厚く膜を形成することができる。形成した膜に対して、所望の形状にパターニングすることで、図5(d)に示すように、第2検出電極31および第2接続電極32が形成される。特に、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32は、凸曲面43により厚みが十分に確保されることになる。
【0036】
このようにして、上記の入力装置X1が製造される。
【0037】
但し、入力装置X1の製造方法はこれに限定されない。例えば、ペースト状の樹脂を基体10の主面10a上に塗布して、露光処理および現像処理を行い、断面視して矩形状の絶縁体40を形成する。そして、形成した絶縁体40を所定時間、加熱処理する。これにより、絶縁体40の粘度を低くして、絶縁体40の表面を滑らかにし、本実施形態のような凸曲面43を有する絶縁体40を形成してもよい。
【0038】
次に、入力装置X1の入力位置の検出原理について説明する。
【0039】
入力領域Eにおいて、基体10の主面10aとは反対側に位置する面に、使用者の指が近接、接触、または押圧すると、指と第1検出電極パターン20および第2検出電極パターン30との間の静電容量が変化する。ここで、入力装置X1に備えられる図示しないドライバは、指と第1検出電極パターン20および第2検出電極パターン30との間の静電容量の変化を常に検出している。このドライバは、所定値以上の静電容量の変化を検出
すると、静電容量の変化が検出された位置を入力位置として検出する。このようにして、入力装置X1は、入力位置を検出することができる。
【0040】
なお、入力装置X1が入力位置を検出する方式として、相互キャパシタンス方式および自己キャパシタンス方式のいずれの方式であってもよい。相互キャパシタンス方式を採用すると、同時に複数の入力位置を検出できるので、自己キャパシタンス方式を採用する場合と比べて、好ましい。
【0041】
[実施の形態2]
次に、本発明の第2の実施形態に係る入力装置X2について説明する。入力装置X2は、入力装置X1と同様、静電容量方式のタッチパネルである。
【0042】
図6は、入力装置X2を表す図であり、図1のI−Iに対応した断面図である。図7は、図6のR部分を拡大して表した図であり、基体10の主面10aに対する絶縁体40の傾斜角度θの変化を説明するための図である。なお、図7の絶縁体40の各部位での傾斜角度θは、絶縁体40の各部位に接線を引いた場合における、当該接線と基体10の主面10aとがなす角度である。
【0043】
入力装置X2では、図7に示すように、基体10の主面10aに対する絶縁体40の傾斜角度θが、第2検出電極パターン30に沿った断面において、絶縁体40の端部42と頂部41との間に極小値と極大値とを有している。なお、極小値とは、傾斜角度θのグラフにおいて、傾斜角度θが減少から増加に転じるときの傾斜角度θの値である。また、極大値とは、傾斜角度θのグラフにおいて、傾斜角度θが増加から減少に転じるときの傾斜角度θの値である。
【0044】
すなわち、入力装置X2では、絶縁体40は、絶縁体40の端部42と頂部41との間に凹曲面44を有している。本実施形態では、凹曲面44は、凸曲面43と頂部41との間に位置している。本実施形態では、凸曲面43と凹曲面44とは、滑らかに連続した面である。入力装置X2では、凸曲面43に加えて、凹曲面44を有しているので、使用者の指等による押圧力が絶縁体40に加わっても、絶縁体40の凸曲面43および凹曲面44で応力が緩和されるので、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32に加わる応力をより緩和することができる。なお、1つの絶縁体40に対する凹曲面44の数については特に限定されない。
【0045】
[実施の形態3]
次に、本発明の第3の実施形態に係る入力装置X3について説明する。入力装置X3は、入力装置X1,X2と同様、静電容量方式のタッチパネルである。
【0046】
図8は、入力装置X3を表す図であり、図1のI−Iに対応した断面図である。図9は、図8の入力装置X3の要部を拡大して表した平面図である。
【0047】
入力装置X3では、図8に示すように、第2検出電極パターン30に沿った断面において、絶縁体40の端部42に位置する第2検出電極パターン30における第2接続電極32の厚みL1は、絶縁体40の頂部41に位置する第2検出電極パターン30における第2接続電極32の厚みL2よりも大きい。このため、使用者の指等の押圧により、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32に応力が加わっても、絶縁体40の端部42において第2接続電極32の厚みL1がある程度確保されているので、当該部位での第2接続電極32の耐久性が向上する。そのため、入力装置X3では、第2接続電極32の破損をより低減することができる。
【0048】
なお、入力装置X3では、絶縁体40の端部42近傍に位置する基体10の主面10a上に、ダミー電極32aを設けている。ダミー電極32aを設けることで、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32の厚みL1を大きくしている。なお、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32の厚みL1を大きくすることができれば、この方法には限られない。
【0049】
また、入力装置X3では、図9に示すように、上面視して、絶縁体40の端部42に位置する第2検出電極パターン30における第2接続電極32の幅M1は、絶縁体40の頂部41に位置する第2検出電極パターン30における第2接続電極32の幅M2よりも大きい。このため、使用者の指等の押圧により、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32に応力が加わっても、絶縁体40の端部42において第2接続電極32の幅M1がある程度確保されているので、当該部位での第2接続電極32の耐久性が向上する。そのため、入力装置X3では、第2接続電極32の破損をより低減することができる。
【0050】
なお、入力装置X3では、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32の厚みL1が、絶縁体40の頂部41に位置する第2接続電極32の厚みL2よりも大きく、かつ、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32の幅M1が、絶縁体40の頂部41に位置する第2接続電極32の幅M2よりも大きい場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、入力装置X3では、上記の幅M1およびM2が同じ幅であり、かつ、上記の厚みL1が上記の厚みL2よりも大きくてもよい。また、入力装置X3では、上記の厚みL1およびL2が同じ厚みであり、かつ、上記の幅M1が上記の幅M2よりも大きくてもよい。
【0051】
[実施の形態4]
次に、本発明の第4の実施形態に係る入力装置X4について説明する。入力装置X4は、入力装置X1〜X3と同様、静電容量方式のタッチパネルである。
【0052】
図10は、入力装置X4を表す図であり、図1のI−Iに対応した断面図である。
【0053】
入力装置X4では、図10に示すように、絶縁体40の端部42の表面粗さは、絶縁体40の頂部41の表面粗さよりも大きい。絶縁体40の端部42の表面粗さが、絶縁体40の頂部41の表面粗さよりも大きいので、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32の当該絶縁体40に対する接触面積は、絶縁体40の頂部41に位置する第2接続電極32の当該絶縁体40に対する接触面積よりも大きくなる。すなわち、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32の接着強度は、絶縁体40の頂部41に位置する第2接続電極32の接着強度よりも強い。このため、使用者の指等の押圧により、絶縁体40の端部42に位置する第2接続電極32に応力が加わっても、絶縁体40の端部42において第2接続電極32の接着強度がある程度確保されているので、当該部位での第2接続電極32の剥がれを抑制することができる。
【0054】
[実施の形態5]
次に、本発明の第5の実施形態に係る入力装置X5について説明する。入力装置X5は、入力装置X1〜X4と同様、静電容量方式のタッチパネルである。
【0055】
図11は、第5の実施形態に係る入力装置X5を表す断面図である。
【0056】
入力装置X5では、図11に示すように、基体10は、第1検出電極パターン20および第2検出電極パターン30が位置する側とは反対側に突出するように反っている。本実施形態では、基体10は、入力領域Eの中央部分が、第1検出電極パターン20および第2検出電極パターン30が位置する側とは反対側(すなわち、使用者が指等で操作する
側)に突出するように湾曲している。このため、使用者の指等の押圧により、基体10に応力が加わっても、基体10が、使用者が指等で操作する側に突出するように湾曲しているので、第1検出電極パターン20および第2検出電極パターン30に加わる応力を緩和することができる。
【0057】
次に、第1の実施形態に係る入力装置X1を備えた表示装置Y1について説明する。
【0058】
表示装置Y1は、図12に示すように、入力装置X1、および液晶表示装置Z1を備えている。また、液晶表示装置Z1は、液晶表示パネル60、光源装置70、および筐体80を備えている。
【0059】
液晶表示パネル60は、図13に示すように、上側基板61、下側基板62、および封止部材63を備えており、上側基板61と下側基板62との間に液晶層(図示せず)が介在されている。液晶表示パネル60は、液晶層を封止部材63で封止することにより、画像を表示するための複数の画素からなる表示領域Pが形成される。
【0060】
光源装置70は、液晶表示パネル60に向けて光を照射する役割を担うものであり、液晶表示パネル60と下側筐体82との間に配置されている。
【0061】
筐体80は、液晶表示パネル60および光源装置70を収容するための部材であり、上側筐体81および下側筐体82を有する。筐体80の材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂等の樹脂、あるいはステンレス、アルミニウム等の金属が挙げられる。
【0062】
入力装置X1と液晶表示装置Z1とは、両面テープT1を介して接着される。なお、入力装置X1と液晶表示装置Z1との固定に使用される固定用部材は両面テープT1には限られず、例えば、熱硬化性樹脂、あるいは紫外線硬化性樹脂等の接着部材や、入力装置X1と液晶表示装置Z1とを物理的に固定する固定構造体であってもよい。
【0063】
表示装置Y1においては、外部に設けられた液晶用駆動回路によって画素毎に液晶層を制御して、光源装置70の光を液晶表示パネル60に透過させ、表示領域Pに画像を表示させることができる。
【0064】
表示装置Z1は、入力装置X1を備えている。これにより、表示装置Y1は、入力装置X1が奏する効果と同様の効果を奏することになる。
【0065】
なお、上述した実施形態は、本発明の実施形態の具体例を示すものであり、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下、その変形例を示す。
【0066】
第1〜第5の実施形態においては、基体10の主面10aとは反対側に位置する面が、使用者が指等で操作する面である例について説明したが、これに限定されない。例えば、図14に示すように、基体10の主面10a上に、接合部材G1を介して保護用基板10Aを貼り付けることにより、この保護用基板10Aを介して、基体10の主面10aが、使用者が指等で操作する面であるようにしてもよい。
【0067】
また、絶縁体40は、上面視して、第2検出電極パターン30に沿った方向に伸びる長方形状をなしている例について説明したが、これに限定されない。すなわち、絶縁体40は、上面視して、円状、楕円状等であってもよい。絶縁体40が上面視して円状、楕円状であれば、絶縁体40に加わる応力をより緩和することができる。
【0068】
また、入力装置X2では、絶縁体40の極小値が負の値をとるが、図15に示すように
、正の値をとってもよい。
【0069】
また、表示装置Y1では、表示パネルが液晶表示パネルである例について説明したが、これに限定されない。すなわち、表示パネルは、CRT、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、蛍光表示管、電界放出ディスプレイ、表面電界ディスプレイ、あるいは電子ペーパ等であってもよい。
【0070】
また、入力装置X1を備えた表示装置Y1の例について説明したが、当該入力装置X1に代えて、入力装置X2〜X5のいずれかを採用してもよい。
【0071】
さらに、入力装置X1〜X5の少なくとも2つを組み合わせることにより、新たな入力装置を採用してもよい。例えば、入力装置X1と入力装置X2とを組み合わせて新たな入力装置を採用してもよいし、入力装置X1〜X3を組み合わせて新たな入力装置を採用してもよい。また、例えば、入力装置X1〜X4を組み合わせて新たな入力装置を採用してもよいし、入力装置X1〜X5を組み合わせて新たな入力装置を採用してもよい。
【符号の説明】
【0072】
X1〜X5 入力装置
Y1 表示装置
Z1 液晶表示装置
10 基体
20 第1検出電極パターン
21 第1検出電極
22 第1接続電極
30 第2検出電極パターン
31 第2検出電極
32 第2接続電極
40 絶縁体
41 絶縁体の頂部
42 絶縁体の端部
43 凸曲面
60 表示パネル(液晶表示パネル)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者によって入力操作が行われるための第1主面、および該第1主面の反対側に位置する第2主面を有する基体と、
前記基体の前記第2主面上に設けられる第1検出電極パターンと、
前記基体の前記第2主面上に設けられ、一部が絶縁体を介して前記第1検出電極パターンと交差する第2検出電極パターンと、を備え、
前記絶縁体は、端部から頂部までの領域に凸曲面を有していることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記基体の前記第2主面に対する前記絶縁体の傾斜角度が、前記第2検出電極パターンに沿った断面で、前記絶縁体の前記端部と前記頂部との間に少なくとも1個の極小値と極大値とを有する、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記絶縁体の上面は、前記第2検出電極パターンに沿った断面に比べて該断面と直交する方向の断面の方が、平坦である、請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記絶縁体は、上面視して、前記第2検出電極パターンに沿った方向に伸びる長方形状をなしている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記第2検出電極パターンに沿った断面で、前記絶縁体の前記端部に位置する前記第2検出電極パターンの厚みは、前記絶縁体の前記頂部に位置する前記第2検出電極パターンの厚みよりも大きい、請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】
上面視して、前記絶縁体の前記端部に位置する前記第2検出電極パターンの幅は、前記絶縁体の前記頂部に位置する前記第2検出電極パターンの幅よりも大きい、請求項1に記載の入力装置。
【請求項7】
前記絶縁体の前記端部の表面粗さは、前記絶縁体の前記頂部の表面粗さよりも大きい、請求項1に記載の入力装置。
【請求項8】
前記基体は、前記第1検出電極パターンおよび前記第2検出電極パターンが位置する側とは反対側に突出するように反っている、請求項1に記載の入力装置。
【請求項9】
請求項1に記載の入力装置と、
前記入力装置と対向配置される表示パネルと、を備えた表示装置。
【請求項10】
前記表示パネルは、液晶表示パネルである、請求項9に記載の表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−20651(P2013−20651A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230004(P2012−230004)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【分割の表示】特願2011−241210(P2011−241210)の分割
【原出願日】平成22年12月25日(2010.12.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】