説明

入力装置およびその制御方法

【課題】タッチ面を介した入力時に操作者に操作感を与える。
【解決手段】本発明の入力装置は、タッチ入力が行われるタッチ面への入力を検知し、検知した入力に応じた処理を行う制御部と、前記タッチ面の表面を第1の方向に向かって伝播する第1の表面弾性波を出力する第1の発信子と、前記タッチ面の表面を前記第1の方向と交差する第2の方向に向かって伝播する第2の表面弾性波を出力する第2の発信子と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ面を介して入力が行われる入力装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報機器や家電製品などにおいては、操作者からの入力を受け付ける入力装置として、押しボタンを備え、押しボタンが押圧されたことを検知して入力を受け付ける入力装置が広く用いられてきた。また、近年、例えば、特許文献1(特開2002−149312号公報)に開示されるように、タッチパネルを備え、指、スタイラスペンなどでタッチパネルのタッチ面が押圧されたことを検知して入力を受け付ける入力装置も用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−149312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような押しボタンを備える入力装置においては、押しボタンが押圧に応じて物理的に変位するため、操作者に触覚的なフィードバックを与えることができる。
【0005】
一方、上述したようなタッチ面を備える入力装置においては、タッチ面を押圧してもタッチ面が物理的に変位することはなく、操作者への触覚的なフィードバックを与えることができないため、タッチ面を介した入力時に操作感がなく、操作者にとっては使い勝手が悪く感じられるという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、タッチ面を介した入力時に操作感を操作者に与えることができる入力装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の入力装置は、
タッチ入力が行われるタッチ面への入力を検知し、検知した入力に応じた処理を行う制御部と、
前記タッチ面の表面を第1の方向に向かって伝播する第1の表面弾性波を出力する第1の発信子と、
前記タッチ面の表面を前記第1の方向と交差する第2の方向に向かって伝播する第2の表面弾性波を出力する第2の発信子と、を有する。
【0008】
上記目的を達成するために本発明の入力装置の制御方法は、
タッチ入力が行われるタッチ面を備える入力装置の制御方法であって、
前記タッチ面の表面を第1の方向に向かって伝播する第1の表面弾性波と、前記タッチ面の表面を前記第1の方向と交差する第2の方向に向かって伝播する第2の表面弾性波と、を出力し、
前記タッチ面への入力を検知し、検知した入力に応じた処理を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タッチ面を介した入力時に操作感を操作者に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態の入力装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す入力装置の構成を示す断面図である。
【図3】図1に示す入力装置の上面図の一例である。
【図4】図1に示す入力装置の上面図の他の一例である。
【図5】本発明の第2の実施形態の入力装置の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の入力装置の他の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の入力装置の構成を示す断面図である。
【図8A】図7に示す入力装置の動作を説明するための図である。
【図8B】図7に示す入力装置の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の入力装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態の入力装置100の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示す入力装置100は、表示部110と、タッチセンサー120と、超音波発信子X0〜Xm,Y0〜Ynと、制御部130と、を有する。超音波発信子X0〜Xmは第1の発信子の一例であり、超音波発信子Y0〜Ynは、第2の発信子の一例である。
【0014】
表示部110は、液晶ディスプレイなどであり、制御部130から出力される表示情報に基づき、操作内容を示す操作ボタンを含む操作画像などを表示する。
【0015】
タッチセンサー120は、表示部110に重ね合わせて配置されるタッチ面を指、スタイラスペンなどで押圧するタッチ入力が行われると、押圧された位置を示す座標情報を制御部130に出力する。タッチ面の押圧位置を検知する方式としては、抵抗膜方式、静電容量方式などがある。なお、これらの方式は当業者にとってよく知られており、また、本発明と直接関係しないため、説明を省略する。
【0016】
超音波発信子X0〜Xm、Y0〜Ynは、タッチセンサー120のタッチ面の表面を伝播する超音波(表面弾性波)を出力する。
【0017】
図2は、入力装置100の断面図である。また、図3は、入力装置100の上面図である。なお、図2においては、各部を接続する接続線については記載を省略する。
【0018】
図2および図3に示すように、超音波発信子X0〜Xmは、タッチセンサー120のタッチ面上に、X軸方向に並んで配置され、点線矢印で示すように、タッチ面の表面をY軸方向に(第1の方向に)伝播する第1の表面弾性波を出力する。
【0019】
超音波発信子Y0〜Ynは、タッチ面上に、Y軸方向に並んで配置され、破線矢印で示すように、タッチ面の表面をX軸方向に(第1の方向と交差する第2の方向に)伝播する第2の表面弾性波を出力する。なお、超音波発信子X0〜Xm,Y0〜Ynはそれぞれ、タッチ面に対して、略平行で略同じ高さとなるように表面弾性波を出力する。
【0020】
第1および第2の表面弾性波をタッチ面の表面を伝播させることで、タッチ面の表面を押圧する操作者への触覚的なフィードバックとして振動を感じさせることができる。操作者に振動を感じさせるメカニズムについては後述する。
【0021】
制御部130は、表示情報を表示部110に出力し、表示情報に応じた映像を表示させる。また、制御部130は、タッチセンサー120から座標情報が出力されると、その座標情報に示される位置に対応する、表示部120に表示されている操作内容の入力を受け付け、入力された内容に応じて、例えば、アプリケーションの起動などの処理を行う。
【0022】
また、制御部130は、例えば、表示部110に表示させる操作画像に含まれる操作ボタンの位置に応じて、超音波発信子X0〜Xmそれぞれに、表面弾性波の出力をオンまたはオフとすべき旨を示すX軸制御情報を出力し、また、超音波発信子Y0〜Ynそれぞれに、表面弾性波の出力をオンまたはオフとすべき旨を示すY軸制御情報を出力する。
【0023】
次に、本実施形態の入力装置100において、操作者に振動を感じさせるメカニズムについて説明する。
【0024】
以下では、超音波発信子X0〜Xmはそれぞれ周波数の異なる第1の表面弾性波を出力し、超音波発信子X0〜Xmが出力する第1の表面弾性波の周波数はそれぞれ、fx(k)(k=0,・・・,m)で固定であるとする。また、超音波発信子Y0〜Ynはそれぞれ周波数の異なる第2の表面弾性波を出力し、超音波発信子Y0〜Ynが出力する第2の表面弾性波の周波数はそれぞれ、fy(l)(l=0,・・・,n)で固定であるとする。第1の表面弾性波の周波数と第2の表面弾性波の周波数とが近いと、タッチ面の第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との交差位置において、その第1および第2の表面弾性波が合成され、うなりが生じる。第1および第2の表面弾性波が合成されることで生じるうなりの周波数F(k,l)は式(1)のようになる。
【0025】
F(k,l)=abs(fx(k)−fy(l)) 式(1)
なお、式(1)において、abs()は、括弧内の値の絶対値を示す。また、k=0,・・・,mであり、l=0,・・・,nである。
【0026】
式(1)において、fx(k)=50050+10*k(Hz)とし、fy(l)=50000+40*l(Hz)とすると、F(k,l)=50+10*k+40*lとなる。ここで、例えば、m=n=3とすると、超音波発信子X0〜X3それぞれが出力する第1の表面弾性波と、超音波発信子Y0〜Y3それぞれが出力する第2の表面弾性波との各交差位置におけるうなりの周波数を図4に示す。
【0027】
図4において、丸印は、第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との交差位置を示す。また、交差位置を示す丸印内の数字は、その交差位置におけるうなりの周波数(Hz)を示す。
【0028】
図4に示すように、第1および第2の表面弾性波が合成されることで生じるうなりの周波数は、50〜200Hzの範囲となり、交差位置を押圧する操作者が振動を感じることができる周波数となる。このように、超音波発信子Y0〜Y3は、第1の表面弾性波との交差位置におけるうなりの周波数が、そのうなりに起因する振動をその交差位置を押圧する操作者が感じることができる範囲となるような周波数を有する第2の表面弾性波を出力する。そのため、入力時の触覚的なフィードバックとして振動を操作者に感じさせることができる。また、各交差位置におけるうなりの周波数が異なるため、タッチ面への入力位置に応じて操作者が感じる振動が異なる。そのため、例えば、複数の操作ボタンが表示部110に表示されている場合に、各操作ボタンに対応する位置を押圧した際に感じられる振動が異なるため、どの操作ボタンに対応する位置を押圧したかが分かりやすくなる。
【0029】
なお、上述した特許文献1においては、タッチパネルの下に振動アクチュエータを配置し、タッチパネルが押圧されると、振動アクチュエータを用いてタッチパネルごと振動させる技術が開示されている。この技術においては、タッチパネルごと振動させることで、タッチパネルの表示にぶれが生じ、視認性が悪くなるという問題がある。
【0030】
一方、本実施形態においては、タッチ面を伝播する第1および第2の表面弾性波の合成の結果生じるうなりを利用して操作者に振動を感じさせるため、表示部110の表示にぶれが生じることがなく、視認性が悪くなるという問題は生じない。
【0031】
このように本実施形態によれば、入力装置100は、タッチセンサー120のタッチ面の表面を第1の方向に向かって伝播する第1の表面弾性波を出力する超音波発信子X0〜Xmと、タッチ面の表面を第1方向と交差する第2の方向に向かって伝播する第2の表面弾性波を出力する超音波発信子Y0〜Ynとを有する。
【0032】
そのため、タッチ面を押圧する操作者に、触覚的なフィードバックとして、その第1および第2の表面弾性波が合成されることで生じるうなりに起因する振動を感じさせ、操作感を与えることができる。
【0033】
なお、本実施形態においては、超音波発信子X0〜Xm,Y0〜Ynをそれぞれ異なる周期で間欠動作させてもよい。超音波発信子X0〜Xm,Y0〜Ynを間欠動作させることで、第1および第2の表面弾性波が合成されることで生じるうなりも間欠的に生成されるようになる。そのため、超音波発信子X0〜Xm,Y0〜Ynを異なる周期で間欠動作させることで、第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との各交差位置におけるうなりの生成周期が変わり、タッチ面への入力位置に応じて異なる振動を操作者に感じさせることができる。
【0034】
また、本実施形態においては、第1の表面弾性波を出力する超音波発信子および第2の表面弾性波を出力する超音波発信子がそれぞれ複数である必要ななく、第1の表面弾性波を出力する超音波発信子および第2の表面弾性波を出力する超音波発信子がそれぞれ1つであっても、タッチ面を押圧する操作者に振動を感じさせることができる。
【0035】
また、本実施形態においては、超音波発信子X0〜Xm,Y0〜Ynが出力する表面弾性波の周波数は固定である例を用いて説明したが、少なくとも一部の超音波発信子が出力する表面弾性波の周波数を可変としてもよい。この場合、例えば、X軸方向に隣接する超音波発信子が出力する表面弾性波の周波数を同じにすると、X軸方向に隣接する2つの交差位置で同じうなりが生じ、その交差位置に対応する操作ボタン表示をX軸方向に2倍の大きさにすることができ、自由に操作ボタンなどの大きさを設定することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態の入力装置200のY軸方向に沿った断面図である。なお、図5においては、各部を接続する接続線については記載を省略する。
【0037】
図5に示す入力装置200は、第1の実施形態の入力装置100と比較して、マイク210を設けた点と、制御部130を制御部220に変更した点と、が異なる。その他の構成および動作は同じであるので説明を省略する。
【0038】
マイク210は、タッチセンサー120の裏面に設けられ、第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との各交差位置における振動に応じた音(振動音)を検出し、検出結果制御部130に出力する。
【0039】
制御部220は、マイク210が検出した各交差位置における振動音に基づき、各交差位置における振動の強度を求め、求めた振動の強度から操作者がタッチ面を押圧する強さを判定する。
【0040】
第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との交差位置が押圧されると、押圧する圧力に応じて、その交差位置での振動が抑制される。したがって、交差位置を押圧する圧力が強いほど、その交差位置における振動の強度は小さくなる。
【0041】
制御部220は、タッチ面の表面が押圧されていない状態でマイク210が検出した、第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との交差位置における振動音に基づき、各交差位置における振動の強度を求め、求めた各交差位置における振動の強度を記憶している。また、制御部220は、タッチセンサー120から座標情報が出力されると、座標情報に示される位置に対応する交差位置おける振動音のマイク210の検出結果に基づき、その交差位置における振動の強度を求め、求めた振動の強度と、その交差位置について記憶している振動の強度とを比較して、その交差位置を押圧する強さを判定し、判定した交差位置を押圧する強さに応じた処理を行う。
【0042】
このように本実施形態によれば、入力装置200は、第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との各交差位置における振動音を検出するマイク210を有し、マイク210が検出した交差位置における振動音に基づき、その交差位置における振動の強度を求め、求めた振動の強度から、その交差位置を押圧する強さを判定し、判定した交差位置を押圧する強さに応じた処理を行う。
【0043】
そのため、第1の実施形態と同様に、タッチ面を押圧する操作者に振動を感じさせることができるのに加えて、タッチ面を押圧する強さに応じて、例えば、半押し、全押しなどの入力を受け付けることができる。
【0044】
なお、入力装置200は、表示部110およびタッチセンサー120の代わりに、図6に示すように、表示部とタッチセンサーとが一体的に構成されたタッチパネル230を有していてもよい。この場合、マイク210は、タッチパネル230の裏面に配置される。
【0045】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態の入力装置300のY軸方向に沿った断面図である。なお、図7においては、各部を接続する接続線については記載を省略する。
【0046】
図7に示す入力装置300は、図5に示す第2の実施形態の入力装置200と比較して、タッチセンサー120を削除した点と、超音波発信子X0〜Xm,Y0〜Ynおよびマイク210の配置箇所を変更した点と、制御部220を制御部310に変更した点と、が異なる。なお、入力装置300においては、表示部110がタッチ面を備える。
【0047】
超音波発信子X0〜Xm,Y0〜Ynはそれぞれ、表示部110のタッチ面の表面を伝播する超音波(表面弾性波)を出力する。なお、超音波発信子X0〜Xm,Y0〜Ynそれぞれの位置関係は、図3に示す位置関係と同様である。
【0048】
マイク210は、表示部110の裏面に配置され、第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との各交差位置における振動音を検出し、検出結果を制御部310に出力する。
【0049】
制御部310は、タッチ面が押圧されていない状態において、マイク210が検出した第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との各交差位置における振動音に基づき、各交差位置における振動の強度を求め、求めた振動の強度を記憶している。また、制御部310は、マイク210から各交差位置における振動音の検出結果が出力されると、その検出結果に基づき、各交差位置における振動の強度を求め、求めた各交差位置における振動の強度と、記憶している各交差位置における振動の強度とに基づいて押圧された位置を判定し、その位置に応じた処理を行う。
【0050】
次に、押圧された位置を判定する際の制御部310の動作について説明する。なお、以下では、図4に示す超音波発信子X0〜X3,Y0〜Y3が、同様の位置関係で配置されているものとする。
【0051】
上述したように、制御部310は、タッチ面の表面が押圧されていない状態における、第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との各交差位置における振動の強度を記憶している。具体的には、制御部310は、図8Aに示すように、第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との交差位置におけるうなりの周波数に対応させて、その交差位置における振動の強度を記憶している。
【0052】
次に、マイク210から第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との各交差位置における振動音の検出結果が出力されると、制御部310は、その検出結果に基づき、各交差位置における振動の強度を求める。図8Bは、マイク210から出力された第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との各交差位置における振動音の検出結果に基づき求められた、各交差位置における振動の強度の一例を示す図である。
【0053】
上述したように、第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との交差位置を押圧する圧力が強いほど、その交差位置における振動の強度は小さくなる。
【0054】
制御部310は、記憶している各交差位置における振動の強度(図8A)と、求めた各交差位置における振動の強度(図8B)とを比較し、強度の変化量が大きい周波数のうなりが生成される交差位置が押圧されたと判定する。
【0055】
図8Bにおいては、周波数が140Hzのうなりに起因する振動の強度がもっとも減少している。そのため、制御部310は、図4に示す、超音波発信子X1から出力される第1の表面弾性波と超音波発信子Y2から出力される第2の表面弾性波との交差位置が押圧されたと判定する。なお、ある交差位置が強く押圧されると、その交差位置の周辺にある交差位置における振動の強度も減少する。この場合、例えば、振動の強度の変化量が最も大きいうなりが生成される交差位置が押圧されたと判定するなどすればよい。
【0056】
このように本実施形態によれば、入力装置300は、マイク210が検出した各交差位置における振動音に基づき、第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との各交差位置における振動の強度を求め、求めた各交差位置における振動の強度から、押圧された位置を判定する。
【0057】
そのため、第1の実施形態と同様に、タッチ面を押圧する操作者に振動を感じさせることができるのに加えて、タッチセンサーなどを設けることなく、押圧された位置を判定することができる。
【0058】
なお、図8Aにおいては、第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との各交差位置における振動の強度がすべて同じである例を用いて説明したが、マイク210の配置箇所によっては、マイク210の検出結果に基づき求められる、各交差位置の振動の強度が異なる場合がある。この場合、制御部310は、例えば、記憶している各交差位置における振動の強度に対する、マイク210の検出結果に基づき求めた振動の強度の変化率が最も大きい周波数のうなりが生成される交差位置が押圧されたと判定する。
【0059】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態の入力装置400の上面図である。
【0060】
図9に示す入力装置400は、制御部410と、超音波発信子X0,Y0と、を有する。
【0061】
制御部410は、指、スタイラスペンなどで押圧するタッチ入力が行われるタッチ面への入力を検知し、検知した入力に応じた処理を行う。
【0062】
超音波発信子X0は、タッチ面の表面を第1の方向に向かって伝播する超音波(第1の表面弾性波)を出力する。
【0063】
超音波発信子Y0は、タッチ面の表面を第1の方向と交差する第2の方向に向かって伝播する超音波(第2の表面弾性波)を出力する。ここで、超音波発信子Y0は、第1の表面弾性波との交差位置における第1の表面弾性波とのうなりの周波数が、そのうなりに起因する振動を、タッチ面を押圧する操作者が感知可能な範囲となる周波数を有する第2の表面弾性波を出力する。
【0064】
そのため、本実施形態の入力装置400によれば、タッチ面の表面における第1の表面弾性波と第2の表面弾性波との交差位置を押圧する操作者に、触覚的なフィードバックとして、その第1および第2の表面弾性波が合成されることで生じるうなりに起因して生じる振動を感じさせ、操作感を与えることができる。
【0065】
なお、本発明の入力装置において行われる方法は、コンピュータに実行させるためのプログラムに適用してもよい。また、そのプログラムを記憶媒体に格納することも可能であり、ネットワークを介して外部に提供することも可能である。
【0066】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0067】
(付記1)
タッチ入力が行われるタッチ面への入力を検知し、検知した入力に応じた処理を行う制御部と、
前記タッチ面の表面を第1の方向に向かって伝播する第1の表面弾性波を出力する第1の発信子と、
前記タッチ面の表面を前記第1の方向と交差する第2の方向に向かって伝播する第2の表面弾性波を出力する第2の発信子と、を有することを特徴とする入力装置。
【0068】
(付記2)
付記1記載の入力装置において、
前記第1および第2の発信子はそれぞれ複数設けられていることを特徴とする入力装置。
【0069】
(付記3)
付記2に記載の入力装置において、
前記複数の第1および第2の発信子はそれぞれ異なる周波数の表面弾性波を出力し、
前記タッチ面の入力位置に応じて、前記第1および第2の表面弾性波が合成されて生じるうなりの周波数が異なることを特徴とする入力装置。
【0070】
(付記4)
付記1から3のいずれかに記載の入力装置において、
前記タッチ面への押圧に応じた信号を出力するタッチセンサーをさらに有し、
前記制御部は、前記タッチセンサーから出力された信号に基づき前記タッチ面への入力を検知することを特徴とする入力装置。
【0071】
(付記5)
付記4に記載の入力装置において、
表示部をさらに有し、
前記タッチ面は前記表示部に重ね合わせて配置されていることを特徴とする入力装置。
【0072】
(付記6)
付記5に記載の入力装置において、
前記制御部は、前記表示部に映像を表示させるとともに、前記表示部に表示させる映像に応じて、前記複数の第1および第2の発信子それぞれの前記表面弾性波の出力をオンまたはオフとすることを特徴とする入力装置。
【0073】
(付記7)
付記1から6のいずれかに記載の入力装置において、
前記第1の表面弾性波と前記第2の表面弾性波との交差位置における、前記第1および第2の表面弾性波が合成されて生じるうなりに起因する振動の振動音を検出し、検出結果を出力するマイクをさらに有し、
前記制御部は、前記マイクから出力される検出結果に基づき、前記第1の表面弾性波と前記第2の表面弾性波との交差位置における振動の強度を求め、求めた振動の強度から前記タッチ面を押圧する強さを判定することを特徴とする入力装置。
【0074】
(付記8)
付記3に記載の入力装置において、
前記第1の表面弾性波と前記第2の表面弾性波との交差位置における、前記第1および第2の表面弾性波が合成されて生じるうなりに起因する振動の振動音を検出し、検出結果を出力するマイクをさらに有し、
前記制御部は、前記マイクから出力される検出結果に基づき、前記第1の表面弾性波と前記第2の表面弾性波との交差位置における振動の強度を求め、求めた振動の強度から前記タッチ面を押圧する位置を判定することを特徴とする入力装置。
【0075】
(付記9)
付記2から8のいずれかに記載の入力装置において、
前記複数の第1および第2の発信子はそれぞれ異なる周期で間欠的に表面弾性波を出力することを特徴とする入力装置。
【0076】
(付記10)
タッチ入力が行われるタッチ面を備える入力装置の制御方法であって、
前記タッチ面の表面を第1の方向に向かって伝播する第1の表面弾性波と、前記タッチ面の表面を前記第1の方向と交差する第2の方向に向かって伝播する第2の表面弾性波と、を出力し、
前記タッチ面への入力を検知し、検知した入力に応じた処理を行うことを特徴とする入力装置の制御方法。
【0077】
(付記11)
タッチ入力が行われるタッチ面を備える入力装置に、
前記タッチ面の表面を第1の方向に向かって伝播する第1の表面弾性波と、前記タッチ面の表面を前記第1の方向と交差する第2の方向に向かって伝播する第2の表面弾性波と、を出力する処理と、
前記タッチ面への入力を検知し、検知した入力に応じた処理と、を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0078】
100,200,300,400 入力装置
110 表示部
120 タッチセンサー
130,220,310,410 制御部
X0〜Xm,Y0〜Yn 超音波発信子
210 マイク
230 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ入力が行われるタッチ面への入力を検知し、検知した入力に応じた処理を行う制御部と、
前記タッチ面の表面を第1の方向に向かって伝播する第1の表面弾性波を出力する第1の発信子と、
前記タッチ面の表面を前記第1の方向と交差する第2の方向に向かって伝播する第2の表面弾性波を出力する第2の発信子と、を有することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1記載の入力装置において、
前記第1および第2の発信子はそれぞれ複数設けられていることを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項2記載の入力装置において、
前記複数の第1および第2の発信子はそれぞれ異なる周波数の表面弾性波を出力し、
前記タッチ面の入力位置に応じて、前記第1および第2の表面弾性波が合成されて生じるうなりの周波数が異なることを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の入力装置において、
前記タッチ面への押圧に応じた信号を出力するタッチセンサーをさらに有し、
前記制御部は、前記タッチセンサーから出力された信号に基づき前記タッチ面への入力を検知することを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項4記載の入力装置において、
表示部をさらに有し、
前記タッチ面は前記表示部に重ね合わせて配置されていることを特徴とする入力装置。
【請求項6】
請求項5記載の入力装置において、
前記制御部は、前記表示部に映像を表示させるとともに、前記表示部に表示させる映像に応じて、前記複数の第1および第2の発信子それぞれの前記表面弾性波の出力をオンまたはオフとすることを特徴とする入力装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の入力装置において、
前記第1の表面弾性波と前記第2の表面弾性波との交差位置における、前記第1および第2の表面弾性波が合成されて生じるうなりに起因する振動の振動音を検出し、検出結果を出力するマイクをさらに有し、
前記制御部は、前記マイクから出力される検出結果に基づき、前記第1の表面弾性波と前記第2の表面弾性波との交差位置における振動の強度を求め、求めた振動の強度から前記タッチ面を押圧する強さを判定することを特徴とする入力装置。
【請求項8】
請求項3記載の入力装置において、
前記第1の表面弾性波と前記第2の表面弾性波との交差位置における、前記第1および第2の表面弾性波が合成されて生じるうなりに起因する振動の振動音を検出し、検出結果を出力するマイクをさらに有し、
前記制御部は、前記マイクから出力される検出結果に基づき、前記第1の表面弾性波と前記第2の表面弾性波との交差位置における振動の強度を求め、求めた振動の強度から前記タッチ面を押圧する位置を判定することを特徴とする入力装置。
【請求項9】
請求項2から8のいずれか1項に記載の入力装置において、
前記複数の第1および第2の発信子はそれぞれ異なる周期で間欠的に表面弾性波を出力することを特徴とする入力装置。
【請求項10】
タッチ入力が行われるタッチ面を備える入力装置の制御方法であって、
前記タッチ面の表面を第1の方向に向かって伝播する第1の表面弾性波と、前記タッチ面の表面を前記第1の方向と交差する第2の方向に向かって伝播する第2の表面弾性波と、を出力し、
前記タッチ面への入力を検知し、検知した入力に応じた処理を行うことを特徴とする入力装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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