説明

入力装置およびその制御方法

【課題】構成の複雑化、部品点数の増加を招くことなく、キーの押下状態の判定の分解能を変更する。
【解決手段】入力装置は、被押下面であるキートップ2と、キートップ2の下に設けられ、キートップを押下する圧力に応じて抵抗値が変化する圧力センサ3と、圧力センサの抵抗値を検出し、検出した抵抗値を示す検出信号を出力する検出部7と、検出信号が出力されると、その検出信号に示される抵抗値に対応するキートップ2の押下状態を判定する判定部8と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーの押下状態を判定する入力装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の入力部には、操作者によりキーの押下により操作入力が行われるキー入力装置(キースイッチ)が広く用いられている。特許文献1には、キーの押下位置、押下の強さなどのキーの押下状態を判定するキー入力装置が開示されている。特許文献1に開示のキー入力装置は、被押下面であるキートップの下に設けられ、キートップの押下の圧力に応じて変形する弾性体からなる上部電極と、それぞれが抵抗と接続され、基板上に設けられた高低差のある複数の電極パターンと、からなる接点部を有する。このキー入力装置においては、キートップが押下されると、キートップの押下の圧力に応じて、上部電極の電極パターンへの接触数が変化して、接点部の合成抵抗値が変化し、その抵抗値の変化をA/D変換機で読み取ることで、キートップの押下状態を判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−050657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のキー入力装置においては、キートップの押下位置などの分解能を調整するには、キートップの押下による接点部の抵抗値が、必要とされる分解能に対応する精度で変化するように、電極パターンの数を変えたり、各電極パターンの高低差を変えたり、上部電極の変形度合いを調整したりする必要がある。そのため、接点部などの構成の複雑化、部品点数の増加による高コスト化を招くという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、構成の複雑化、部品点数の増加を招くことなく、キートップの押下状態の判定の分解能を調整可能な入力装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の入力装置は、
被押下面であるキートップと、
前記キートップの下に設けられ、前記キートップを押下する圧力に応じて抵抗値が変化するセンサと、
前記センサの抵抗値を検出し、検出した抵抗値を示す検出信号を出力する検出部と、
前記キートップの押下状態と抵抗値との対応関係を記憶し、前記検出信号が入力されると、該検出信号に示される抵抗値に対応する前記キートップの押下状態を前記対応関係に基づき判定する判定部と、を有する。
【0007】
本発明の入力装置の制御方法は、
被押下面であるキートップと、前記キートップの下に設けられ、前記キートップを押下する圧力に応じて抵抗値が変化するセンサと、を有する入力装置の制御方法であって、
前記センサの抵抗値を検出する検出工程と、
前記キートップの押下状態と抵抗値との対応関係を記憶し、前記検出した抵抗値に対応する前記キートップの押下状態を前記対応関係に基づき判定する判定工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、構成の複雑化、部品点数の増加を招くことなく、キートップの押下状態の判定の分解能を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態のキー入力装置の接点部の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のキー入力装置の構成を示す図である。
【図3】図2に示すキー入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態のキー入力装置の構成の一例を示す図である。
【図5】図4に示す圧力センサの特性の一例を示す図である。
【図6】図2に示す判定部が格納するテーブルの構成の一例を示す図である。
【図7】図2に示す判定部の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態のキー入力装置の構成の他の一例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態のキー入力装置の構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における判定部の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態のキー入力装置は、種々の電子機器における入力部のキースイッチとして用いることが可能である。
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態におけるキー入力装置は、特許文献1に開示のキー入力装置と比較して、接点部の構成が大きく異なる。そのため、まず、本実施形態のキー入力装置における接点部の構成について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態のキー入力装置の接点部1の構成を示す図である。
【0013】
図1に示す接点部1は、キートップ2と、圧力センサ3と、電極4a,4bと、基板5と、を有する。
【0014】
圧力センサ3は、被押下面であるキートップ2の下に、基板5に設けられた電極4a,4bと接触するように設けられている。圧力センサ3は、感圧導電性ゴムを具備しており、キートップ2を押下する圧力に応じて、電極4a,4b間の抵抗値が変化する。
【0015】
図2は、本実施形態のキー入力装置10の構成を示す図である。
【0016】
図2に示すキー入力装置10は、接点部1と、固定抵抗6と、抵抗値検出部7と、判定部8と、を有する。
【0017】
圧力センサ3は、一端が電極4aに接続され、他端が電極4bに接続される。キートップ2が押下されると、圧力センサ3に圧力がかかり、電極4a,4b間の抵抗値Rが変化する。圧力センサ3には、電極4aを介して電圧Vccが供給されている。
【0018】
固定抵抗6は、一端が電極4bに接続され、他端がGNDに接続される。
【0019】
抵抗値検出部7は、電極4bと固定抵抗6の一端との接続点に接続され、電圧Vccが抵抗値Rと固定抵抗6の抵抗値Rxとで分圧された電圧(Vcc・Rx/(R+Rx))が入力される。抵抗値検出部7は、入力された電圧の電圧値と抵抗値Rxとから抵抗値Rを検出する。なお、抵抗値検出部7は、A/D変換機を具備しており、A/D変換機により入力された電圧値をデジタル値に変換して、抵抗値Rを検出する。抵抗値検出部7は、検出した抵抗値Rを示す検出信号を判定部8に出力する。
【0020】
判定部8は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびROM(Read Only Memory)からなり、キートップ2の押下状態と、圧力センサ3の抵抗値あるいは圧力センサ3への圧力と、の対応関係を記憶しており、抵抗値検出部7から出力された検出信号に示される抵抗値に対応するキートップ2の押下状態をその対応関係に基づき判定する。
【0021】
次に、本実施形態のキー入力装置10の動作について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0022】
キー入力装置10の電源がONになると、抵抗値検出部7は処理を開始し、1msec待って(ステップS11)、圧力センサ3の抵抗値を検出し(ステップS12)、検出信号を判定部8に入力する。検出信号が入力されると、判定部8は、その検出信号に示される抵抗値に対応するキートップ2の押下状態を判定する(ステップS13)。その後、再び、ステップS11に戻り、同様の処理が繰り返される。
【0023】
次に、本実施形態のキー入力装置10の構成の具体例について説明する。
【0024】
図4は、本実施形態のキー入力装置10の構成の一例を示す図である。
【0025】
図4に示すキートップ2は、円形をしており、30°毎に12の領域に分割されている。なお、図4においては、簡略化のため、5つの領域r1〜r5のみを図示している。キートップ2下に、同等の特性を有する3つの圧力センサ3a,3b,3cが設けられている。圧力センサ3aは領域r1の下に設けられ、圧力センサ3bは領域r5の下に設けられ、圧力センサ3cは領域r9(不図示)の下に設けられている。以下では、圧力センサ3a,3b,3cを区別しない場合には、圧力センサ3と称する。
【0026】
以下では、図4に示すキートップ2上の押下位置(どの領域が押下されたか)および押下の強弱を判定する場合を例として説明する。
【0027】
図5は、圧力センサ3への圧力Pと抵抗値Rとの特性図である。図5に示すように、圧力Pが大きいほど抵抗値Rは小さくなり、圧力Pが小さいほど抵抗値Rは大きくなる。
【0028】
本実施形態においては、圧力Pについて5つの閾値TH1〜TH5(TH1<TH2<TH3<TH4<TH5)を設定し、この閾値を用いて圧力Pの閾値レベルが定義されているものとする。具体的には、圧力Pが閾値TH5以上である場合を閾値レベルAと、圧力Pが閾値TH5未満、かつ、閾値TH4以上である場合を閾値レベルBと、圧力Pが閾値TH4未満、かつ、閾値TH3以上である場合を閾値レベルCと、圧力Pが閾値TH3未満、かつ、閾値TH2以上である場合を閾値レベルDと、圧力Pが閾値TH2未満、かつ、閾値TH1以上である場合を閾値レベルEと、圧力Pが閾値TH1である場合を閾値レベルFと定義されているものとする。
【0029】
判定部8は、キートップ2の押下状態(押下された領域および押下の強弱)と、圧力センサ3a,3b,3cそれぞれへの圧力(Pa,Pb,Pc)との対応関係として、キートップ2の押下状態と圧力センサ3への圧力の閾値レベルとを対応付けたテーブルをROMに格納している。
【0030】
図6は、判定部8のROMに格納されるテーブルの構成の一例を示す図である。
【0031】
ある領域が押下された場合、その領域に近い圧力センサ3ほど、押下による圧力は大きくなり、その領域に遠い圧力センサ3ほど、押下による圧力は小さくなる。
【0032】
したがって、領域r1が強く押下された場合、圧力センサ3aは領域r1に近いため、圧力Paは大きい。一方、圧力センサ3b,3cは領域r1から遠いため、圧力Pb,Pcは小さい。また、領域r1から圧力センサ3b,3cまではほぼ等距離であるため、圧力Pb,Pcは同程度となる。
【0033】
そこで、図6に示すように、領域r1を強く押下というキートップ2の押下状態に対応して、圧力Paは閾値レベルA(TH5≦Pa)、圧力Pbは閾値レベルF(Pb<TH1)、圧力Pcは閾値レベルF(Pc<TH1)である旨がテーブルに格納される。
【0034】
また、領域r1が弱く押下された場合、領域r1を強く押下した場合より、圧力センサ3aへの圧力Paは小さい。
【0035】
そこで、領域r1を弱く押下というキートップ2の押下状態に対応して、圧力Paは閾値レベルB(TH4≦Pa<TH5)、圧力Pbは閾値レベルF(Pb<TH1)、圧力Pcは閾値レベルF(Pc<TH1)である旨がテーブルに格納される。
【0036】
また、領域r2が強く押下された場合、領域r2に最も近い圧力センサ3aへの圧力Paが最も大きく、圧力センサ3aの次に領域r2に近い圧力センサ3bへの圧力Pbが次に大きく、領域r2に最も遠い圧力センサ3cへの圧力Pcが最も小さい。
【0037】
そこで、領域r2を強く押下というキートップ2の押下状態に対応して、圧力Paは閾値レベルB(TH4≦Pa<TH5)、圧力Pbは閾値レベルD(TH2≦Pb<TH3)、圧力Pcは閾値レベルF(Pc<TH1)である旨がテーブルに格納される。
【0038】
また、領域r2が弱く押下された場合、領域r2を強く押下した場合より、各圧力センサへの圧力は小さい。
【0039】
そこで、領域r2を弱く押下というキートップ2の押下状態に対応して、圧力Paは閾値レベルC(TH3≦Pa<TH4)、圧力Pbは閾値レベルE(TH1≦Pb<TH2)、圧力Pcは閾値レベルF(Pc<TH1)である旨がテーブルに格納される。
【0040】
以下、同様にして、領域r3を強く押下というキートップ2の押下状態に対応して、圧力Paは閾値レベルC(TH3≦Pa<TH4)、圧力Pbは閾値レベルC(TH3≦Pb<TH4)、圧力Pcは閾値レベルF(Pc<TH1)である旨が格納される。また、領域r3を弱く押下というキートップ2の押下状態に対応して、圧力Paは閾値レベルD(TH2≦Pa<TH3)、圧力Pbは閾値レベルD(TH2≦Pb<TH3)、圧力Pcは閾値レベルF(Pc<TH1)である旨が格納される。
【0041】
また、領域r4を強く押下というキートップ2の押下状態に対応して、圧力Paは閾値レベルD(TH2≦Pa<TH3)、圧力Pbは閾値レベルB(TH4≦Pb<TH5)、圧力Pcは閾値レベルF(Pc<TH1)である旨が格納される。また、領域r4を弱く押下というキートップ2の押下状態に対応して、圧力Paは閾値レベルE(TH1≦Pa<TH2)、圧力Pbは閾値レベルC(TH3≦Pb<TH4)、圧力Pcは閾値レベルF(Pc<TH1)である旨が格納される。
【0042】
また、領域r5を強く押下というキートップ2の押下状態に対応して、圧力Paは閾値レベルF(Pa<TH1)、圧力Pbは閾値レベルA(TH5≦Pb)、圧力Pcは閾値レベルF(Pc<TH1)である旨が格納される。また、領域r5を弱く押下というキートップ2の押下状態に対応して、圧力Paは閾値レベルF(Pa<TH1)、圧力Pbは閾値レベルB(TH4≦Pb<TH5)、圧力Pcは閾値レベルF(Pc<TH1)である旨が格納される。
【0043】
以下、同様にして、全ての領域について、各領域の押下状態と、その押下状態に対応する各センサ3の圧力の閾値レベルとが対応付けてテーブルに格納される。
【0044】
図7は、図3に示す判定処理時の判定部8の動作を示すフローチャートである。
【0045】
まず、判定部8は、ROMに格納されているテーブルを読み出す(ステップS21)。
【0046】
次に、判定部8は、検出信号に示される圧力センサ3a,3b,3cそれぞれの抵抗値から、図5に示す特性を参照して、圧力Pa,Pb,Pcを求める。さらに、判定部8は、求めた圧力Pa,Pb,Pcそれぞれが含まれる閾値レベルに応じて、図6に示すテーブルに基づき、キートップ2の押下状態を判定し(ステップS22)、処理を終了する。
【0047】
なお、例えば、キートップ2を分割する領域数を増やした場合、キートップ2の押下位置の分解能を上げる必要がある。この場合、圧力Pの閾値レベルをより細かく分け、ROMのテーブルに格納される、各領域の押下状態と各圧力センサ3の圧力Pの閾値レベルとの対応関係を調整することで、キートップ2の押下状態の判定の分解能を上げることができる。したがって、本実施形態のキー入力装置10においては、構成、部品点数などはそのままで、キートップ2の押下状態の判定の分解能を調整することができる。
【0048】
図8は、本実施形態のキー入力装置10の構成の他の一例を示す図である。
【0049】
図8に示すキー入力装置10においては、キートップ2が、逆への字状をしており、複数の領域(領域r6〜r10,・・・)に分割されている。キートップ2の下に、同等の特性を有する3つの圧力センサ3d,3e,3fが設けられている。圧力センサ3dは、キートップ2下の左端付近に設けられ、圧力センサ3eは、キートップ2下の中央付近に設けられ、圧力センサ3fは、キートップ2下の右端付近に設けられている。
【0050】
キートップ2の形状および圧力センサ3の配置が変わっても、判定部8のROMに格納されるテープルの内容を適宜設定し、図3および図7に示すフローに従い処理を行うことで、キートップ2の押下状態を判定することができる。
【0051】
このように本実施形態によれば、キー入力装置10は、キートップ2の下に、キートップ2を押下する圧力に応じて抵抗値が変化する圧力センサ3を複数設け、キートップ2の押下状態と圧力センサ3への圧力との対応関係を示すテーブルを記憶し、そのテーブルに基づきキートップ2の押下状態を判定する。そのため、接点部などの構成の複雑化、部品点数の増加を招くことなく、テーブルの内容を書き換えるだけで、キーの押下状態の判定の分解能を調整することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態のキー入力装置は、第1の実施形態のキー入力装置10と比較して、キートップ2の形状および圧力センサ3の配置と、キートップ2の押下状態の判定時の動作と、が異なる。その他の構成および動作は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0053】
図9は、本実施形態のキー入力装置の構成の一例を示す図である。
【0054】
本実施形態のキー入力装置においては、キートップ2は三角形状をしている。キートップ2の下には、同等の特性を有する3つの圧力センサ3g,3h,3iが、三角形の各頂点付近に設けられている。
【0055】
本実施形態のキー入力装置における、キートップ2の押下状態の判定時の動作について、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0056】
本実施形態においては、キートップ2において、圧力センサ3hの重心に対応する位置を始点とし、圧力センサ3iの重心に対応する位置を終点とし、その始点と終点とを直線で結んだ一次元の座標軸Lを定義する。また、圧力センサ3iの重心に対応する位置を始点とし、圧力センサ3gの重心に対応する位置を終点とし、その始点と終点とを直線で結んだ一次元の座標軸Mを定義する。また、圧力センサ3gの重心に対応する位置を始点とし、圧力センサ3hの重心に対応する位置を終点と、その始点と終点とを直線で結んだ一次元の座標軸Nを定義する。
【0057】
判定部8は、キートップ2の押下状態とその押下状態での圧力センサ3への圧力との対応関係として、圧力センサ3への圧力によりキートップの押下状態(押下座標および押下の強さ)を示す演算式を記憶しており、その演算式を用いて、圧力Pg,Ph,Piに基づき演算処理を行い、キートップ2の押下状態(キートップ2上の押下座標および押下の強さ)を判定する。
【0058】
まず、判定部8は、ROMに格納されている、演算処理を行うための演算式を読み出す(ステップS31)。なお、演算式の詳細は後述する。
【0059】
次に、判定部8は、Pg=0であるか否かを判定する(ステップS32)。
【0060】
Pg=0である場合には(ステップS32:Yes)、判定部8は、Ph=Pi=0であるか否かを判定する(ステップS33)。
【0061】
Ph=Pi=0である場合には(ステップS33:Yes)、判定部8は、キートップ2の押下が行われていないと判定し、処理を終了する。
【0062】
Ph=Pi=0でない場合には(ステップS33:No)、判定部8は、キートップ2の座標軸L上で押下が行われたと判定し、読み出した演算式を用いて、座標軸L上の押下座標および押下の強さの演算処理を行い(ステップS34)、処理を終了する。なお、演算処理の詳細については後述する。
【0063】
Pg=0でない場合には(ステップS32:No)、判定部8は、Ph=0であるか否かを判定する(ステップS35)。
【0064】
Ph=0である場合には(ステップS35:Yes)、判定部8は、キートップ2の座標軸M上で押下が行われたと判定し、読み出した演算式を用いて、座標軸M上の押下座標および押下の強さの演算処理を行い(ステップS36)、処理を終了する。
【0065】
Ph=0でない場合には(ステップS35:No)、判定部8は、キートップ2の座標軸N上で押下が行われたと判定し、読み出した演算式を用いて、座標軸N上の押下座標および押下の強さの演算処理を行い(ステップS37)、処理を終了する。
【0066】
次に、座標軸上の押下座標および押下の強さの演算処理について説明する。以下では、図9に示すキートップ2の座標軸L上の点Qが押下されたものする。
【0067】
座標軸Lの始点に加圧された圧力をPstartとし、座標軸Lの終点に加圧された圧力をPendとし、始点から終点までの距離をkとすると、座標軸Lの始点から押下点(点Q)までの距離(押下座標)xは式(1)で示され、押下の強さPは式(2)で示される。
【0068】
押下座標 :x=k*Pend/(Pstart+Pend) 式(1)
押下の強さ:P=Pstart+Pend 式(2)
ここで、座標軸Lの始点は、圧力センサ3hの重心に対応し、座標軸Lの終点は、圧力センサ3iの重心に対応する。したがって、Pstart,Pendはそれぞれ、圧力Ph,Piと略等しい。判定部8は、検出信号に示される各圧力センサ3の抵抗値から圧力Ph,Piを求め、求めた圧力Ph,Piに基づき、式(1)、(2)を用いて、押下座標xおよび押下の強さPを演算する。
【0069】
このように、本実施形態によれば、キー入力装置は、キートップ2の押下状態と圧力センサ3への圧力との対応関係を示す所定の演算式を記憶し、各圧力センサ3の抵抗値に基づき各圧力センサ3への圧力を求め、その求めた圧力に基づき所定の演算式を用いて演算処理を行って、キートップ2の押下状態を判定する。そのため、演算式を適宜変更すれば、接点部などの構成の複雑化、部品点数の増加を招くことなく、キーの押下状態の判定の分解能を調整することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 接点部
2 キートップ
3,3a,3b、3c、3d,3e,3f,3g,3h,3i 圧力センサ
4a,4b 電極
5 基板
6 固定抵抗
7 抵抗値検出部
8 判定部
10 キー入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被押下面であるキートップと、
前記キートップの下に設けられ、前記キートップを押下する圧力に応じて抵抗値が変化するセンサと、
前記センサの抵抗値を検出し、検出した抵抗値を示す検出信号を出力する検出部と、
前記キートップの押下状態と抵抗値との対応関係を記憶し、前記検出信号が入力されると、該検出信号に示される抵抗値に対応する前記キートップの押下状態を前記対応関係に基づき判定する判定部と、を有することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1記載の入力装置において、
前記センサは、前記キートップの下に複数設けられ、
前記検出部は、前記複数のセンサそれぞれの抵抗値を検出し、
前記判定部は、前記キートップの押下状態としての前記キートップの押下位置および押下の強さと、前記複数のセンサそれぞれの抵抗値と、の対応関係を記憶し、前記検出信号が入力されると、該検出信号に示される前記複数のセンサそれぞれの抵抗値に対応する前記キートップの押下状態を判定することを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項2記載の入力装置において、
前記判定部は、前記キートップの押下状態と前記複数のセンサそれぞれの抵抗値に応じた圧力とを対応付けたテーブルを記憶していることを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項2記載の入力装置において、
前記判定部は、前記キートップの押下位置および押下の強さを、前記複数のセンサそれぞれの抵抗値に応じた圧力により示す所定の演算式を記憶していることを特徴とする入力装置。
【請求項5】
被押下面であるキートップと、前記キートップの下に設けられ、前記キートップを押下する圧力に応じて抵抗値が変化するセンサと、を有する入力装置の制御方法であって、
前記センサの抵抗値を検出する検出工程と、
前記キートップの押下状態と抵抗値との対応関係を記憶し、前記検出した抵抗値に対応する前記キートップの押下状態を判定する判定工程と、を有することを特徴とする入力装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5記載の入力装置の制御方法において、
前記センサは、前記キートップの下に複数設けられ、
前記検出工程では、前記複数のセンサそれぞれの抵抗値を検出し、
前記判定工程では、前記キートップの押下状態としての前記キートップの押下位置および押下の強さと、該押下状態における前記複数のセンサそれぞれの抵抗値と、の対応関係を記憶し、前記検出した複数のセンサそれぞれの抵抗値に対応する前記キートップの押下状態を判定することを特徴とする入力装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6記載の入力装置の制御方法において、
前記判定工程では、前記対応関係として、前記キートップの押下状態と前記複数のセンサそれぞれの抵抗値に応じた圧力とを対応付けたテーブルを記憶していることを特徴とする入力装置の制御方法。
【請求項8】
請求項6記載の入力装置の制御方法において、
前記判定工程では、前記対応関係として、前記キートップの押下位置および押下の強さを、前記複数のセンサそれぞれの抵抗値に応じた圧力により示す所定の演算式を記憶していることを特徴とする入力装置の制御方法。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載の入力装置を有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−50856(P2013−50856A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188523(P2011−188523)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】