説明

入力装置

【課題】 操作の簡便なキースイッチ等の入力手段を増設可能とし、しかも、装置自体の小型化を維持または促進することができる入力装置を提供する。
【解決手段】 LED108の駆動用の電極パターンの少なくとも一部と前記静電センサ105の電極パターンの少なくとも一部を共用可能とし、照光期間と静電センサ監視期間とを時分割で設定し、LED108と静電センサ105とを間歇駆動可能とする回路を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作面の照光手段としてのLEDと情報入力手段としての静電センサとを有する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、静電センサは各種の用途において入力手段として広く利用されている。例えば、近年広く普及している個人用の携帯情報端末(Personal Digital Assistance:以下、PDAという。)のような、液晶表示パネル(Liquid Crystal Display:以下、LCDという。)とタブレットとを一体とした入力装置においては、番号や文字等の情報入力手段として採用されている。
【0003】
この静電センサは、入力装置のケースとなる筐体の入力部分とされる所定位置の内側に電極を設け、その電極と対面する筐体の外面を人体が接触した時に、電極と人体との間に介在する筐体の静電容量の変化を検出して、出力を発生するようにされている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、前記入力装置においてはLED(Light Emitting Diode)が、入力部および表示部として機能する入力装置の操作面の照光手段(電源)として用いられている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−201175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記入力装置においてはその機能や操作が複雑化、多様化しているため、その入力手段についても多様化する必要があり、さらには、その操作性は簡便であることが望まれる。
【0007】
また、前記PDA等の入力装置は軽量小型化の要請が強いものであるため、例えば、前記操作面上に配列形成されたキースイッチ等の入力手段を新たに増設するとしても、ケースの外形状を大きくさせて新たにキースイッチ等の入力手段を配設することはできず、その配設位置には限りがある。
【0008】
さらに、前記入力装置においては、入力部および表示部として機能する入力装置の操作面をLED(Light Emitting Diode)等の照光手段(電源)により、照光することが望まれている。
【0009】
そこで、本発明は、操作の簡便なキースイッチ等の入力手段を増設可能とし、しかも、装置自体の小型化を維持または促進することができる入力装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成する本発明の入力装置の特徴は、LEDの駆動用の電極パターンの少なくとも一部と前記静電センサの電極パターンの少なくとも一部が共用可能に形成されるとともに、照光期間と静電センサ監視期間とを時分割で設定し、前記照光期間には照光用電圧を前記LEDの駆動用の電極パターンに印加し、静電センサ監視期間にはセンシング用電圧を前記静電センサの駆動用の電極パターンに印加することを可能とする間歇駆動制御回路と備えている点にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の入力装置によれば、間歇駆動制御回路により、前記照光期間に前記照光用パルスに基づいて照光用電圧を前記LEDの駆動用の電極パターンに印加し、前記LEDを駆動させ、該入力装置の操作面を照光し、静電センサ監視期間にセンシング用パルスに基づいてセンシング用電圧を前記静電センサの電極パターンに印加することで、前記静電センサの起動監視を行うことができる。
【0012】
そして、本発明の入力装置によれば、前記LEDの駆動用の電極パターンと前記静電センサの電極パターンのそれぞれ少なくとも一部を共用する構成とすることで、電極パターンの引き回しに要する領域面積を削減させることができる。
【0013】
よって、前記操作面に配列形成されたスイッチキー等の前記入力手段の配列間隔を狭めることも可能となり、その場合には、入力装置の小型化の要請に応じることができる。
【0014】
また、前記LEDの駆動用の電極パターンと前記静電センサの電極パターンのそれぞれ少なくとも一部を共用する構成とすることで、従来と同じ操作部の領域面積内により多数のスイッチキー等の入力手段を配設することができる。
【0015】
さらに、本発明の入力装置の構成によれば、前記LEDに対する通電により、操作部を照光することが可能となる。具体的には、前記入力手段がスイッチキーの場合、各キーと前記LEDとを近接させて1対1で形成し、各スイッチキー毎に個別に照光させるような構成も可能となり、デザイン性を向上させ、優れた使用感を呈する入力装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本実施形態の入力装置は、操作面の照光手段としてのLEDと前記操作面に対する接触動作を検出することにより入力手段として機能する静電センサとを有しており、前記LEDの駆動用の電極パターンの少なくとも一部が、前記静電センサの電極パターンの少なくとも一部を共用するように形成されている。
【0017】
図1は、本実施形態の入力装置101の静電センサによりスイッチ機能を果たすスイッチキーSKとLED108との配置関係を説明するための概略図であり、本実施形態の入力装置においては、操作面に形成された静電センサとしての機能が付与された各スイッチキーSKに極めて近接させて1つのLED108が配設されており(1対1対応)、全LED108の点灯のみならず、各スイッチキーSK毎に配設されたLED108を個別に点灯させることも可能な構成とされている。
【0018】
本実施形態の入力装置101は、該装置の最上部に載置される絶縁フィルムからなるフェイスシート102と、前記フェイスシート102の下部で、LED108を備えたフロントライト(照光手段)と一体型とされた静電センサ105を筐体103内に備えた入力手段104とを有している。
【0019】
前記フェイスシート102の表面には、数字、英字、かな、記号および機能の表示などのキャラクタのスイッチキーSKの表示が印刷または転写によって形成されている。(なお、図1には、携帯電話などの電話機として使用される際の規定配列とされた数字キー(1、2、3、…、9、0、*、#)を示す。)
そして、前記入力手段104は、所望のキャラクタキーの表示領域をユーザーが入力ペンやユーザーの指等(以下、指示体という)で接触することによって変化する静電容量を検出する静電センサ105であり、支持体が接触した前記キャラクタキーの内容を特定し、該内容を入力処理するように形成されている。
【0020】
前記入力手段104は、略平板状の基板(図示せず)と、その上面に配設された光源としての白色LED(Light EmittingDiode)などの発光素子(以下、LED108という)と、基板における該入力装置101の視認・操作側となる面(上面)の周縁部に額縁状に設けられたシール材を介して前記基板と対向配置された透光性基板(図示せず)とを備えて概略構成されている。
詳しくは、所定の形状に引き回し配線された第1の電極層の電極パターンが形成されている。本実施形態においては、前記フェイスシート102に形成された数字キーの配設位置に対応する箇所に引き回された前記第1の電極層の電極パターンには、他の部分より幅太(丸)とされたランドが形成されている。また、前記基板の上面には、前記第1の電極層の電極パターンの一部を共用する、前記LED108の駆動用パターンが所定の形状に引き回し形成されている。具体的には、本実施形態においては、図2に示すように、前記LED108の電極パターン108aに接続されたLED108の通電用の一方のランド108bが、前記静電センサ105の第1の電極層の電極パターン105a上に形成されたランド105bに接続させるようにして配設されている。
【0021】
所定の形状に引き回し配線された電極パターンの前記フェイスシート102に形成された数字キーの配設位置に対応する箇所にランドが形成されている。前記第1の電極層の電極には駆動制御するための制御回路(いずれも図示せず)が接続されており、これら電極層に電圧が印加されて電極の位置に、静電容量が形成されるように構成されている。
【0022】
そして本実施形態の入力装置101は、前記第1の電極層に電圧を印加することにより、支持体が接触することによって前記第1電極層及び指等間に生じた静電容量の変化を検出し、静電センサ105として機能するように構成されている。
【0023】
また、本実施形態の入力装置101は、照光期間と静電センサ105監視期間とを時分割で設定し、前記照光期間には照光用電圧を前記LED108の駆動用の電極パターンに印加し、静電センサ105監視期間にはセンシング用電圧を前記静電センサ105の各電極パターンに印加するための間歇駆動制御回路を有している。
【0024】
図3は前記間歇駆動制御回路の一具体例を示す回路図である。
【0025】
図3に示すように、前述した入力装置101は、間歇駆動制御部201のクロック信号生成手段202から、前記静電センサ105のドライブ波となるクロック信号をAND手段となるAND回路203の1つの入力信号として出力するようにされている。
【0026】
また、クロック信号生成手段202からは、静電センサ105のドライブ波形とは逆の立上り、下りの波形の前記LED108のクロック信号を駆動制御部207を介して、前記静電センサ105とランドを共有するLED108へ出力するようになされている。
【0027】
そして、AND回路203の入力側には、クロック信号生成手段202側より直列接続された抵抗4と、静電センサ105とからなる遅延手段206が接続されている。前記遅延手段206においては、前記入力装置101に配設された入力手段104の操作面に、指示体が接近または接触した時に検知される静電容量に応じてクロック信号に立ち上がりの遅延を付与した遅延信号をAND回路203の他の入力信号として出力するようになされている。
【0028】
AND回路203の出力側には、AND回路203の出力をクロック信号によってスイッチングして出力するアナログスイッチ209が接続されている。アナログスイッチ209としては、公知のいずれの形式のものであってもよい。このアナログスイッチ209の出力側には、その出力を平滑して出力する平滑手段210としての抵抗211およびコンデンサ12が接続されている。平滑手段10の出力は、制御部201に設けられているADコンバータ213に出力するように接続されている。
【0029】
このように間歇駆動制御回路が構成された本実施形態の入力装置101においては、間歇駆動制御部201のクロック信号生成手段202からは、前記静電センサ105の駆動を監視する所定の周波数の規則的なパルス信号(1周期長がT1、半周期長がT2)からなるクロック信号CKがAND回路203に出力されるので、静電センサ105については、このクロック信号CKに基づいて駆動する。
【0030】
このようにすることで、前記クロック信号生成手段202からLED108のドライブ波形を示すパルスが出力されている期間(照光期間)には、照光用電圧を前記LED108の駆動用の電極パターンに印加して前記LED108を駆動させて該入力装置101の操作面を照光することを可能とし、前記クロック信号生成手段202から静電センサ105のドライブ波形を示すパルスが出力されている期間(静電センサ監視期間)にはセンシング用電圧を前記静電センサ105の電極パターンに印加することで、前記静電センサ105の起動監視を行なうという、時分割駆動を実現することができる。
【0031】
また、本実施形態の入力装置101によれば、前記LED108の駆動用の電極パターンと前記静電センサ105の電極パターンのそれぞれ少なくとも一部を共用する構成とすることで、電極パターンの引き回しに要する領域面積を削減させることができる。よって、前記操作面に配列形成されたスイッチキーSK等の前記入力手段104の配列間隔を狭めることも可能となり、入力装置101の小型化の要請に応じることができる。また、本実施形態のように、前記入力手段104としてのスイッチキーSKと前記LED108とを近接させて1対1関係となるように形成し、操作部を全体として照光させる以外に、各スイッチキーSK毎に個別に照光させることも可能な構成とすれば、デザイン性を向上させることができ、優れた使用感を呈することもできる。その場合、静電センサ105用の電極パターンが形成される基板とLED108の配設基板を積層構造としてスルーホール構造とし、前記静電センサ105用の電極パターンをLED108を囲むように大きく形成することによってスイッチキーSKの直下にLED108を配設する構成とすることも可能であり、デザイン性をさらに向上させることもできる。
【0032】
また、前記LED108の駆動用の電極パターンと前記静電センサ105の電極パターンのそれぞれ少なくとも一部を共用する構成とすることで、同一面上に電極パターンが過密状態で形成されることを回避することができるので、LED108の電極パターンを所望の位置に導く電極パターンとして形成する設計の自由さが増す。よって、従来と同じ操作部の領域面積内により多数のスイッチキーSK等の入力手段104を配設することができる。図4には、その1例として、図1と同様に電話機の操作面に形成された規定配列の数字キー(1、2、3、…、9、0、*、#)の配列間に4つのLED108を配置した例を示す。このLED108の配置位置には、本実施形態のスイッチキーの構成と同様に、新たな入力手段としてのスイッチキーを設けることができる。
【0033】
このように、本実施形態の入力装置は、操作の簡便なスイッチキー等の入力手段を増設可能とし、しかも、装置自体の小型化を維持または促進することができる。
【0034】
なお、前記実施形態においては、フェイスシート102とLED108を備えた静電センサ105を組み合わせた入力装置101を説明したが、構成としては、LED108の駆動用と静電センサ105用の電極パターンの少なくとも一部を共用する電極パターンとされており、LED108と静電センサ105とが逆タイミングで間歇駆動する構成を有していればよく、本発明の入力装置101は前記実施形態に限るものではない。
【0035】
たとえば、前記実施形態の入力装置101におけるフェイスシート102を除いて、液晶表示パネルをLED108を備えた静電センサ105の反操作面側に配設した構成とすることも可能である。その場合、前記静電センサ105の基板はアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂からなる透明の略平板状の部材からなる導光板とすればよい。その際に、導光板のLED108やスペーサが配設された部分以外の領域は、LED108の光路方向を変化させるためのくさび型の凸部が三角波状に形成された反射面とすることもできる。また、導光板における該入力装置101の反操作面側は照明光が出射される出射面として機能することとなるが、この導光板の下面側にAR格子層を備えた防反射膜を形成することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の入力装置の一実施形態における入力手段としてのスイッチキーと照光手段としてのLEDの配置関係を示す概略説明図
【図2】本発明の入力装置における静電センサの電極パターンとLEDの電極パターンの共通化の具体例を示す概略説明図
【図3】本発明の入力装置の一実施形態における間歇駆動制御回路図
【図4】本発明の入力装置の他の実施形態における入力手段としてのスイッチキーと照光手段としてのLEDの配置関係を示す概略説明図
【符号の説明】
【0037】
101 入力装置
104 入力手段
105 静電センサ
108 LED
SK スイッチキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面の照光手段としてのLEDと前記操作面に対する接触動作を検出することにより入力手段として機能する静電センサとを有する入力装置であって、
前記LEDの駆動用の電極パターンの少なくとも一部と前記静電センサの電極パターンの少なくとも一部が共用可能に形成されるとともに、
照光期間と静電センサ監視期間とを時分割で設定し、前記照光期間には照光用電圧を前記LEDの駆動用の電極パターンに印加し、静電センサ監視期間にはセンシング用電圧を前記静電センサの駆動用の電極パターンに印加することを可能とする間歇駆動制御回路を備えること
を特徴とする入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−139536(P2006−139536A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328465(P2004−328465)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】