説明

入力装置

【課題】 種々の情報を容易かつ迅速に入力することができる入力装置を提供する。
【解決手段】本発明の目的は、種々の情報を容易かつ迅速に入力することができる入力装置を提供することである。手書き文字入力手段11では、手書き文字入力部14であるタッチパネル10から文字が手書き入力され、この文字が手書き文字認識部15として機能する制御部7によって認識される。音声指示入力手段12では、音声指示入力部16である音声入力部4から指示が音声入力され、この指示が音声指示認識部17として機能する制御部7によって認識される。選択手段13としても機能する制御部7は、手書き文字入力手段11および音声指示入力手段12を選択的に動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を入力するための入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理機器には、情報を入力するための入力装置が備えられる。特許文献1には、文字を入力するための文字入力装置が開示される。この文字入力装置では、手書きによる文字入力と音声による文字入力とを併用し、総合的に入力文字を判断している。
【0003】
入力装置には、文字に限らず、種々の情報が入力される。このような入力装置は、種々の情報を容易かつ迅速に入力可能であることが望まれる。
【0004】
【特許文献1】特開平7−311656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、種々の情報を容易かつ迅速に入力することができる入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、文字を手書き入力するための手書き文字入力部と、前記手書き文字入力部から入力される文字を認識する手書き文字認識部とを備える手書き文字入力手段と、
指示を音声入力するための音声指示入力部と、前記音声指示入力部から入力される指示を認識する音声指示認識部とを備える音声指示入力手段と、
前記手書き文字入力手段および前記音声指示入力手段を選択的に動作させる選択手段とを含むことを特徴とする入力装置である。
【0007】
また本発明は、前記音声指示認識部は、指示を表す単語だけを記憶する音声指示認識辞書を有し、前記音声指示認識辞書に記憶される単語に基づいて、前記音声指示入力部から入力される指示を認識することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記指示は、送信の指示を含み、
前記音声指示入力手段は、
送信先の名前と送信先の識別情報とを関連付ける送信先情報が予め登録される送信先登録簿を有し、前記送信先登録簿に登録される送信先情報と前記音声指示認識部による認識結果とに基づいて、送信先の識別情報を特定する送信先特定部をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記音声指示認識部は、指示を表す単語だけを記憶する音声指示認識辞書を有し、前記音声指示認識辞書に記憶される単語に基づいて、前記音声指示入力部から入力される指示を認識し、
前記音声指示認識辞書には、送信先の名前を、指示を表す単語として記憶することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記音声指示認識部は、複数の指示が前記音声指示入力部から入力されるとき、前記音声指示入力部から入力される各指示を個別に認識することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、手書き文字入力手段によって文字が手書き入力され、音声指示入力手段によって指示が音声入力される。手書き文字入力手段では、手書き文字入力部から文字が手書き入力され、この文字が手書き文字認識部によって認識される。音声指示入力手段では、音声指示入力部から指示が音声入力され、この指示が音声指示認識部によって認識される。選択手段は、手書き文字入力手段および音声指示入力手段を選択的に動作させる。このような本発明では、入力情報に応じて、手書き文字入力手段および音声指示入力手段を選択的に動作させ、これによって情報を容易かつ迅速に入力することができる。
【0012】
入力情報の1つに挙げられる文字には、同音異字が多くある。このような文字を音声入力する場合、同一の音声に対して、多くの文字が候補として挙がる。操作者は、多くの文字の中から所望の文字を選択する必要がある。したがって所望の文字を入力するのに手間を要する。これに対して、文字を手書き入力する場合、類似度の高い少数の文字が候補として挙がる。操作者は、少数の文字の中から所望の文字を選択すればよい。したがって所望の文字を入力するのに手間を要しない。このような点を考慮して本発明では、文字を入力する場合は、選択手段によって手書き文字入力手段を動作させ、これによって文字を容易かつ迅速に入力することができる。
【0013】
文字以外の入力情報として挙げられる指示には、限られた単語しか使用されない。このような指示を音声入力する場合は、限られた単語に基づいて指示を認識すればよい。したがって文字を音声入力する場合のような問題は生じない。また指示を音声入力するのは、指示を手書き入力するのに比べて容易である。このような点を考慮して本発明では、指示を入力する場合は、選択手段によって音声指示入力手段を動作させ、これによって指示を容易かつ迅速に入力することができる。
【0014】
手書き文字入力手段および音声指示入力手段は、選択手段によって選択的に動作される。文字は、手書き文字入力手段によって文字として入力される。指示は、音声指示入力手段によって指示として入力される。したがって誤入力を防ぐことができる。
【0015】
本発明によれば、音声指示認識部では、音声指示認識辞書に記憶される単語に基づいて、音声指示入力部から入力される指示が認識される。音声指示認識辞書には、指示を表す単語だけが記憶される。したがって指示の認識に要する時間を短縮することができる。
【0016】
本発明によれば、送信先登録簿には、送信先の名前と送信先の識別情報とを関連付ける送信先情報が予め登録される。送信先特定部は、送信先登録簿に登録される送信先情報と音声指示認識部による認識結果とに基づいて、送信先の識別情報を特定する。このような本発明では、送信先の名前を指示として音声入力することで、送信先の識別情報が特定される。したがって送信の指示とともに送信先の名前を音声入力することで、所望の送信先に情報を容易に送信することができる。
【0017】
本発明によれば、音声指示認識部では、音声指示認識辞書に記憶される単語に基づいて、音声指示入力部から入力される指示が認識される。音声指示認識辞書には、指示を表す単語だけが記憶される。したがって指示の認識に要する時間を短縮することができる。音声認識辞書には、送信先の名前も、指示を表す単語として記憶される。したがって送信先の名前も、指示として音声入力することができ、利便性を向上することができる。
【0018】
本発明によれば、複数の指示が音声指示入力部から入力されるとき、音声指示認識部では、音声指示入力部から入力される各指示を個別に認識する。したがって複数の指示を1度に音声入力することができ、複数の指示を効率よく入力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の一形態である入力装置1を備える複合機2のハードウエア構成を簡略化して示すブロック図である。図1では、煩雑を避けるために、コピー動作に関連する部分だけを抽出して示す。コピー動作とは、(1)原稿を読取って原稿に基づく読取データを生成し、(2)この読取データに基づく画像を用紙に形成する、という動作をいう。
【0020】
情報処理機器である複合機2は、ユーザによって操作される操作部3と、ユーザによって音声が入力される音声入力部4と、原稿を読取って原稿に基づく読取データを生成する原稿読取部5と、読取データに基づく画像を用紙に形成する画像形成部6と、制御部7と、メモリ18とを有する。操作部3は、キースイッチ8と、画面を表示する表示部9と、表示部9の前面に配置されるタッチパネル10とを有する。複合機2には、(1)キースイッチ8を操作すること、(2)タッチパネル10を操作すること、(3)音声入力部4に向けて音声を発すること、によって情報を入力することができる。
【0021】
本実施の形態の入力装置1は、情報を入力するために用いられる。入力装置1から入力される入力情報としては、文字および指示が挙げられる。入力装置1は、手書き文字入力手段11と、音声指示入力手段12と、選択手段13とを含む。
【0022】
手書き文字入力手段11は、文字を手書き入力するための手書き文字入力部14と、この手書き文字入力部14から入力される文字を認識する手書き文字認識部15とを備える(図3参照)。手書き文字入力部14は、前記タッチパネル10によって実現される。手書き文字認識部15は、前記制御部7によって実現される。換言すれば、制御部7は、手書き文字認識部15として機能する。
【0023】
音声指示入力手段12は、指示を音声入力するための音声指示入力部16と、この音声指示入力部16から入力される指示を認識する音声指示認識部17とを備える(図4参照)。音声指示入力部16は、マイクなどから構成される音声入力部4によって実現される。音声指示認識部17は、前記制御部7によって実現される。換言すれば、制御部7は、音声指示認識部17として機能する。
【0024】
選択手段13は、手書き文字入力手段11および音声指示入力手段12を選択的に動作させる。選択手段13は、前記制御部7によって実現される。換言すれば、制御部7は、選択手段13としても機能する。
【0025】
図2は、複合機2のソフトウエア構成を簡略化して示すブロック図である。複合機2のソフトウエア20は、複合機2全体の動作を統括的に制御するソフトウエア本体21と、手書き文字を認識するための手書き文字認識モジュール22と、音声指示を認識するための音声指示認識モジュール23と、その他のモジュール24とを含む。各モジュール22〜24は、ソフトウエア本体21に組込まれる。
【0026】
このようなソフトウエア20は、制御部7によって実行される。制御部7は、手書き文字認識モジュール22を実行することで、手書き文字認識部15として機能する。制御部7は、音声指示認識モジュール23を実行することで、音声指示認識部17として機能する。
【0027】
図3は、手書き文字入力手段11の構成を示すブロック図である。前述のように、手書き文字入力手段11は、手書き文字入力部14および手書き文字認識部15を有する。手書き文字認識部15は、手書き文字認識辞書26と、ベクトルデータ検出部27と、ベクトルデータ記憶部28と、文字照合処理部29とを有する。
【0028】
手書き文字認識辞書26は、メモリ18に記憶される。手書き文字認識辞書26には、各文字に対するベクトルパターンが予め登録される。ベクトルデータ検出部27は、手書き文字入力部14から入力されるデータに基づいて、ベクトルデータを検出する。ベクトルデータ記憶部28には、ベクトルデータ検出部27によって検出されるベクトルデータが記憶される。文字照合処理部29は、ベクトルデータ記憶部28に記憶されるベクトルデータについて照合処理を行い、認識結果を出力する。
【0029】
文字照合処理部29は、ベクトルデータ記憶部28に記憶されるベクトルデータが、手書き文字認識辞書26に登録されているベクトルパターンに一致すると、そのベクトルパターンに対応する文字の文字コードに変換して、テキストデータを作成する。文字照合処理部29は、このテキストデータを、認識結果として出力する。
【0030】
手書き文字入力部14であるタッチパネル10上に描かれる線は、その始点から、一定の距離ごとに分割され、各分割部分についてベクトルデータが検出される。ベクトルデータは、分割部分の開始点位置および分割部分の終了点位置をパラメータとする。開始点位置および終了点位置は、XYの座標データで表される。ここでは、分割部分の両端のうち、タッチパネル10上に描かれる線上で、この線の始点に近いほうを開始点とし、遠いほうを終了点とする。このようなベクトルデータは、数学的なベクトルの考えに基づくものである。複雑な曲線は、複数の線分の集合体と考え、複数の線分に近似して扱う。前記一定の距離を短く設定するほど、データ量は増えるけれども、曲線の再現性と文字の認識性とが向上される。
【0031】
タッチパネル10上に描かれる線のベクトルデータを取得するには、まず、線の始点を開始点とし、線の軌跡を取込みながら、開始点からの移動距離を計測し、その移動距離が一定の値になると、その点を終了点とし、開始点位置および終了点位置をパラメータとするベクトルデータを生成する。次に、終了点を新たな開始点とし、線の軌跡をさらに取込みながら、開始点からの移動距離を計測し、その移動距離が一定の値になると、その点を終了点とし、開始点位置および終了点位置をパラメータとする新たなベクトルデータを生成する。このような処理を、線の終点まで繰返し実行し、複数のベクトルデータを生成する。
【0032】
図4は、音声指示入力手段12の構成を示すブロック図である。前述のように、音声指示入力手段12は、音声指示入力部16および音声指示認識部17を有する。音声指示認識部17は、音声指示認識辞書31と、音響分析部32と、類似度演算部33と、指示照合処理部34とを有する。
【0033】
音声指示認識辞書31は、メモリ18に記憶される。音声指示認識辞書31には、指示を表す単語だけが予め登録される。音響分析部32は、音声指示入力部16から入力される音声をデジタル波形に変換し、短い時間間隔のフレーム毎に周波数分析し、スペクトルを表すパラメータのベクトルに変換する。周波数分析には、線形予測分析(LPC)メルケプストラムのような表現方法が用いられる。類似度演算部33は、音響分析部32によって得られるパラメータのベクトルに対して、隠れマルコフモデルなどの音響モデルを作用させて、音韻毎に類似度を算出する。指示照合処理部34は、類似度演算部33によって算出される類似度に基づいて、音声指示認識辞書31に予め登録されている全ての単語との照合を行い、各単語のスコアを算出し、スコアの高い単語を認識結果として出力する。
【0034】
図5は、表示部9に表示される画面40の一例を簡略化して示す図である。画面40は、操作のための操作領域41と、情報提示のための情報提示領域42とを有する。
【0035】
操作領域41は、画面上方寄りに配置される。操作領域41には、複数の操作ボタン43が表示される。各操作ボタン43には、図5では省略されているけれども、処理内容を表す記号などが表示される。タッチパネル10において操作ボタン43に対応する領域をユーザが触ると、制御部7によってその操作ボタン43に応じた動作が実行される。
【0036】
本実施の形態では、操作ボタン43は、音声入力開始ボタン44を含む。タッチパネル10において音声入力開始ボタン44に対応する領域をユーザが触ると、音声入力開始指示が入力され、選択手段13によって音声指示入力手段12が選択的に動作され、音声指示入力手段12による音声指示入力が開始される。
【0037】
情報提示領域42は、画面下方寄りに配置される。情報提示領域42は、音声指示入力手段12によって入力された指示を提示する音声指示提示領域45と、複合機2の動作状況を提示する動作状況提示領域46とを有する。音声指示提示領域45は、情報提示領域42の上方寄りに配置される。動作状況提示領域46は、情報提示領域42の下方寄りに配置される。
【0038】
図6は、手書き文字入力画面41aの一例を示す図である。手書き文字入力画面41aは、前記操作領域41に表示される。手書き文字入力画面41aは、ユーザが文字を手書きするための手書き領域47と、手書き文字の認識結果として複数の候補文字を提示する候補文字提示領域48と、入力結果を並べて表示する入力結果表示領域49と、手書き文字入力に必要な複数の操作ボタン50とを有する。手書き領域47には、タッチパネル10上に描かれる線が表示される。
【0039】
タッチパネル10において手書き領域47に対応する領域にユーザが文字を手書きすると、その手書き文字が認識され、候補文字提示領域48には、認識結果として複数の候補文字が提示される。タッチパネル10において所望の候補文字に対応する領域をユーザが触ることで、入力結果表示領域49には、入力結果として前記所望の候補文字が表示される。入力結果表示領域49には、入力結果が入力順に並ぶように表示される。
【0040】
図7は、音声指示入力後の処理を説明するためのフローチャートである。音声指示入力後の処理は、制御部7によって実行される。音声指示の入力が終了すると、ステップa1で、入力された音声指示に基づいてキーワードを認識する。複数の指示が入力されたときは、入力された各指示を個別に認識して、複数のキーワードを認識する。次のステップa2では、キーワードを複数の区分に分類する。複数の区分は、動作区分および設定区分を含む。次のステップa3では、動作区分に分類されたキーワードに基づいて、タスクを作成する。次のステップ4では、設定区分に分類されたキーワードに基づいて、タスクにパラメータを設定する。この後、タスクを実行する。
【0041】
一例として、「コピー」および「3部」という2つの単語が、音声指示として順次に入力された場合を説明する。前記ステップa1では、「コピー」および「3部」という単語がキーワードとして認識される。前記ステップa2では、「コピー」というキーワードが動作区分に分類され、「3部」というキーワードが設定区分に分類される。前記ステップa3では、コピーのためのタスクが作成される。前記ステップa4では、部数を表すパラメータとして「3」が前記タスクに設定される。前記ステップa5では、前記タスクが実行され、原稿が3部だけコピーされる。
【0042】
図8は、入力装置1による入力動作を説明するためのフローチャートである。図9は、図8に続く入力動作を説明するためのフローチャートである。入力装置1による入力動作は、ユーザがタッチパネル10を操作すると開始される。
【0043】
入力動作を開始すると、ステップb1で、文字入力用の状態が選択されたか否かを判定する。文字入力用の状態が選択されると、ステップb2に進み、その他の状態が選択されると、ステップb6に進む。文字入力用の状態としては、検索キーワード入力用の状態およびユーザ名入力用の状態などが挙げられる。
【0044】
ステップb2では、選択手段13によって手書き文字入力手段11の動作を開始する。次のステップb3では、手書き文字入力手段11によって手書き文字を入力する。次のステップb4では、文字入力用の状態が解除されたか否かを判定する。検索キーワード入力用の状態は、検索指示が入力されると解除される。ユーザ名入力用の状態は、確定指示が入力されると解除される。文字入力用の状態が解除されるまでステップb3の動作を繰返し実行し、文字入力用の状態が解除されると、ステップb5に進む。ステップb5では、選択手段13によって手書き文字入力手段11の動作を終了し、入力動作を終了する。
【0045】
ステップb6では、前記音声入力開始指示が入力されたか否かを判定する。前記音声入力開始指示が入力されると、ステップb7に進み、その他の指示が入力されると、入力動作を終了する。
【0046】
ステップb7では、選択手段13によって音声指示入力手段12の動作を開始する。次のステップb8では、音声指示入力手段12によって音声指示を入力する。次のステップb9では、音声指示が終了したか否かを判定する。音声指示が終了するまでステップb8の動作を繰返し実行し、音声指示が終了すると、ステップb10に進む。ステップb10では、選択手段13によって音声指示入力手段12の動作を終了し、入力動作を終了する。
【0047】
前記ステップb8では、音声指示認識辞書31に予め登録される単語を表す音声が入力されたとき、その音声指示が認識される。音声指示認識辞書31に予め登録される単語を表す音声以外の音声が入力されると、その音声は認識されない。
【0048】
前記ステップb9では、1または複数の音声指示の後、無音の時間が所定の時間を経過すると、音声指示が終了したと判定してもよく、あるいは、音声指示の終了を示す音声指示が入力されることで、音声指示が終了したと判定してもよい。
【0049】
以上のような本実施の形態によれば、入力情報に応じて、手書き文字入力手段11および音声指示入力手段12を選択的に動作させ、これによって情報を容易かつ迅速に入力することができる。
【0050】
入力情報の1つに挙げられる文字には、同音異字が多くある。このような文字を音声入力する場合、同一の音声に対して、多くの文字が候補として挙がる。操作者は、多くの文字の中から所望の文字を選択する必要がある。したがって所望の文字を入力するのに手間を要する。これに対して、文字を手書き入力する場合、類似度の高い少数の文字が候補として挙がる。操作者は、少数の文字の中から所望の文字を選択すればよい。したがって所望の文字を入力するのに手間を要しない。このような点を考慮して本実施の形態では、文字を入力する場合は、選択手段13によって手書き文字入力手段11を動作させ、これによって文字を容易かつ迅速に入力することができる。
【0051】
文字以外の入力情報として挙げられる指示には、限られた単語しか使用されない。このような指示を音声入力する場合は、限られた単語に基づいて指示を認識すればよい。したがって文字を音声入力する場合のような問題は生じない。また指示を音声入力するのは、指示を手書き入力するのに比べて容易である。このような点を考慮して本実施の形態では、指示を入力する場合は、選択手段13によって音声指示入力手段12を動作させ、これによって指示を容易かつ迅速に入力することができる。
【0052】
手書き文字入力手段11および音声指示入力手段12は、選択手段13によって選択的に動作される。換言すれば、手書き文字入力手段11および音声指示入力手段12の両者が同時に動作されることはない。文字は、手書き文字入力手段11によって文字として入力される。指示は、音声指示入力手段12によって指示として入力される。したがって誤入力を防ぐことができる。
【0053】
また本実施の形態によれば、音声指示認識部17では、音声指示認識辞書31に記憶される単語に基づいて、音声指示入力部16から入力される指示が認識される。音声指示認識辞書31には、指示を表す単語だけが記憶される。したがって指示の認識に要する時間を短縮することができる。
【0054】
また本実施の形態によれば、複数の指示が音声指示入力部16から入力されるとき、音声指示認識部17では、音声指示入力部16から入力される各指示を個別に認識する。したがって複数の指示を1度に音声入力することができ、複数の指示を効率よく入力することができる。
【0055】
図10は、他の音声指示入力手段61の構成を示すブロック図である。図10に示す音声指示入力手段61は、図4に示す音声指示入力手段12に類似するので、同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。音声指示入力手段61は、送信機能を有する複合機に用いられる。送信機能としては、電子メール機能およびファクシミリ機能が挙げられる。
【0056】
音声指示認識辞書31には、送信先の名前も、指示を表す単語として予め登録される。したがって送信先の名前も、指示として音声入力することができ、利便性を向上することができる。送信先の名前を音声入力すると、音声指示認識部17による認識結果として、送信先の名前が出力される。
【0057】
音声指示入力手段61は、送信先特定部62をさらに備える。送信先特定部62は、送信先登録簿63と、送信先照合処理部64とを有する。送信先登録簿63は、メモリ18に記憶される。送信先登録簿63には、送信先の名前と送信先の識別情報とを関連付ける送信先情報が予め登録される。送信先照合処理部64は、送信先登録簿63に登録される送信先情報と音声指示認識部17による認識結果とを照合して、送信先の識別情報を特定する。
【0058】
図11は、送信先登録簿63に登録される送信先情報63a,63bを示す図である。図11(1)は電子メール用の登録簿に登録される送信先情報63aを示し、図11(2)はファクシミリ用の登録簿に登録される送信先情報63bを示す。送信先登録簿63として、電子メール用の登録簿とファクシミリ用の登録簿とが個別に設けられる。電子メール用の登録簿には、図11(1)に示すように、送信先の名前66と、送信先の識別情報である電子メールアドレス67とを関連付ける送信先情報63aが予め登録される。ファクシミリ用の登録簿には、図11(2)に示すように、送信先の名前68と、送信先の識別情報であるファクシミリ番号69とを関連付ける送信先情報63bが予め登録される。
【0059】
このような音声指示入力手段61では、送信先の名前を指示として音声入力することで、送信先の識別情報が特定される。したがって送信の指示とともに送信先の名前を音声入力することで、所望の送信先に、前記読取データなどの情報を容易に送信することができる。
【0060】
前述の実施の各形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において構成を変更することができる。動作指示は、1度の音声指示につき1つである必要はなく、1度の音声指示につき複数であってもよい。1度の音声指示で複数の動作指示が入力されることで、指示の入力に関して効率化を図ることができる。この場合、複数のタスクが作成されて、各タスクが順次に実行される。
【0061】
たとえば、「スキャン」および「ファクシミリ」という2つの単語を含む音声指示が入力されると、スキャンのためのタスクとファクシミリのためのタスクが作成される。「Aさんに、スキャンおよびファクシミリ」という音声指示が入力されると、スキャンのためのタスクおよびファクシミリのためのタスクに、「Aさん」がパラメータとして設定される。「Aさんにスキャン、Bさんにファクシミリ」という音声指示が入力されると、スキャンのためのタスクには、「Aさん」がパラメータとして設定され、ファクシミリのためのタスクには、「Bさん」がパラメータとして設定される。
【0062】
各動作指示に対して、パラメータ登録部がそれぞれ設けられてもよい。パラメータ登録部は、メモリ18に記憶される。各パラメータ登録部には、各動作指示に設定されるパラメータが予め登録される。たとえば、スキャン用のパラメータ登録部には、前記電子メール用の登録簿が予め登録され、ファクシミリ用のパラメータ登録部には、前記ファクシミリ用の登録簿が予め登録される。たとえば、仮に「Aさんにスキャン」という音声指示が入力されても、Aさんの電子メールアドレスが、スキャン用のパラメータ登録部に予め登録されていなければ、前記読取データはAさん宛てに送信されない。
【0063】
音声指示を最優先するような構成であってもよい。たとえば、両面コピーモードと片面コピーモードとにモードを切換え可能である場合、両面コピーモードが選択されていても、「片面」という単語が、「コピー」という単語とともに、音声指示として入力されると、片面コピーモードに変更されてコピーされる。
【0064】
入力装置1は、ユーザと入力装置1との間で、会話形式で入力ができるように構成されてもよい。換言すれば、入力装置1は、ユーザに対して質問を音声で出力するように構成されてもよい。
【0065】
入力装置1は、複合機2に備えられるけれども、複合機2以外の情報処理機器に備えられてもよい。
【0066】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の一形態である入力装置を備える複合機のハードウエア構成を簡略化して示すブロック図である。
【図2】複合機のソフトウエア構成を簡略化して示すブロック図である。
【図3】手書き文字入力手段の構成を示すブロック図である。
【図4】音声指示入力手段の構成を示すブロック図である。
【図5】表示部に表示される画面の一例を簡略化して示す図である。
【図6】手書き文字入力画面の一例を示す図である。
【図7】音声指示入力後の処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】入力装置による入力動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8に続く入力動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】他の音声指示入力手段の構成を示すブロック図である。
【図11】送信先登録簿に登録される送信先情報を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 入力装置
2 複合機
3 操作部
4 音声入力部
5 原稿読取部
6 画像形成部
7 制御部
8 キースイッチ
9 表示部
10 タッチパネル
11 手書き文字入力手段
12 音声指示入力手段
13 選択手段
14 手書き文字入力部
15 手書き文字認識部
16 音声指示入力部
17 音声指示認識部
18 メモリ
22 文字認識モジュール
23 音声指示認識モジュール
24 その他のモジュール
26 手書き文字認識辞書
27 ベクトルデータ検出部
28 ベクトルデータ記憶部
29 文字照合処理部
31 音声指示認識辞書
32 音響分析部
33 類似度演算部
34 指示照合処理部
61 音声指示入力手段
62 送信先特定部
63 送信先登録簿
63a,63b 送信先情報
64 送信先照合処理部
67 電子メールアドレス
69 ファクシミリ番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字を手書き入力するための手書き文字入力部と、前記手書き文字入力部から入力される文字を認識する手書き文字認識部とを備える手書き文字入力手段と、
指示を音声入力するための音声指示入力部と、前記音声指示入力部から入力される指示を認識する音声指示認識部とを備える音声指示入力手段と、
前記手書き文字入力手段および前記音声指示入力手段を選択的に動作させる選択手段とを含むことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記音声指示認識部は、指示を表す単語だけを記憶する音声指示認識辞書を有し、前記音声指示認識辞書に記憶される単語に基づいて、前記音声指示入力部から入力される指示を認識することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記指示は、送信の指示を含み、
前記音声指示入力手段は、
送信先の名前と送信先の識別情報とを関連付ける送信先情報が予め登録される送信先登録簿を有し、前記送信先登録簿に登録される送信先情報と前記音声指示認識部による認識結果とに基づいて、送信先の識別情報を特定する送信先特定部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記音声指示認識部は、指示を表す単語だけを記憶する音声指示認識辞書を有し、前記音声指示認識辞書に記憶される単語に基づいて、前記音声指示入力部から入力される指示を認識し、
前記音声指示認識辞書には、送信先の名前を、指示を表す単語として記憶することを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記音声指示認識部は、複数の指示が前記音声指示入力部から入力されるとき、前記音声指示入力部から入力される各指示を個別に認識することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−116841(P2009−116841A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45267(P2008−45267)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】