入力装置
【課題】タッチパネルにおいて複数の隣り合う入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける際、ユーザの誤操作に基づく誤動作を回避する入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置10は、表示部32に表示される入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける入力部34と、入力部34に対する押圧荷重を検出する荷重検出部40と、押圧荷重が荷重基準を満たした際に押圧入力を受け付けるように制御する制御部20とを備え、この制御部20は、互いに隣り合う複数の入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準を、第1の荷重基準と、これよりも高い第2の荷重基準と、に相違させるように制御すると共に、第1の荷重基準の入力用オブジェクトに対する押圧入力に係る押圧荷重が第2の荷重基準を満たした場合、この押圧入力を受け付けないように制御する
【解決手段】入力装置10は、表示部32に表示される入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける入力部34と、入力部34に対する押圧荷重を検出する荷重検出部40と、押圧荷重が荷重基準を満たした際に押圧入力を受け付けるように制御する制御部20とを備え、この制御部20は、互いに隣り合う複数の入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準を、第1の荷重基準と、これよりも高い第2の荷重基準と、に相違させるように制御すると共に、第1の荷重基準の入力用オブジェクトに対する押圧入力に係る押圧荷重が第2の荷重基準を満たした場合、この押圧入力を受け付けないように制御する
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関するものであり、特に、タッチパネルを有する入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話のような携帯端末において、ユーザが端末の操作を行う際に使用する入力装置は、各端末の機能や用途に応じて様々なものが開発されている。多くの場合、携帯端末本体の表面に予め配設された機械式のキーまたはボタンなどを、ユーザが指などで直接押下することによって、入力操作を行う構成になっている。
【0003】
このような端末における入力装置の機械的なキー(例えばテンキー等)は、当該端末の主要な用途に応じて予め配置されているのが普通であり、一般的に、最初に規定されたキーの物理的配置を、後から変更することはできない。
【0004】
ところで、最近では、携帯電話にデジタルカメラや音楽再生の機能を搭載したものがあるように、小型の携帯端末に多種多様な機能が組み込まれている。携帯電話のように、端末の主要な用途以外に補助的な機能が数多く搭載されているものや、PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)等のように、1つの端末でスケジュール管理や住所録など、主要な用途を複数有するものもある。このような端末においては、キーの配置が固定されていると、使用する機能によっては、操作入力時に著しく不便さを感じることがある。
【0005】
このような操作入力の際の不便さを解消するために、表示部を構成する液晶表示画面の前面に透明な入力部を重ねて配設することにより構成したタッチパネルを備える入力装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このようなタッチパネルを有する入力装置は、一般的に、タッチパネルの表示画面上に、操作キーやボタンなどの画像(以下、「入力用オブジェクト」と記す)を表示する。表示画面上に表示された入力用オブジェクトをユーザが押圧すると、その位置に対応するタッチパネルの入力部が入力を受け付けるようになっている。
【0006】
上記特許文献1に記載の折り畳み型携帯電話機は、タッチパネルの表示画面上に任意に入力用オブジェクトの配置を表示させて、ユーザの操作入力を受け付けることができ、自由なキーなどの配置を構成することが可能である。したがって、この携帯電話機は、端末の各機能を切り替える毎に、その機能に応じて入力用オブジェクトの配置を自在に変更することにより、極めて良好な操作性を提供することができる。例えば、携帯電話機に搭載されているデジタルカメラ機能を使用する際は、タッチパネル上にデジタルカメラ用の操作部を構成する入力用オブジェクトを表示して操作入力を受け付けることができる。一方、この携帯電話機を用いて電子メールなどの文字を入力する際は、タッチパネル上にパーソナルコンピュータ(PC)のようなキーボードを構成する入力用オブジェクトを表示して入力を受け付けることができる。このように、タッチパネルを備えることにより、1つの入力装置を、複数の機能にそれぞれ最適化して操作入力を受け付けることができる。
【0007】
また、タッチパネルを有する入力装置は、表示部上に表示された入力用オブジェクトにユーザが指先などで直接触れる(タッチする)入力方式により入力を受け付けるため、ユーザは極めて直感的な操作を行うことができる。すなわち、ユーザは、タッチパネルの画面に表示された案内に従って、画面に表示された入力用オブジェクトに指先などで直接触れることにより操作を行う。このため、ユーザは、画面に表示された誘導に応じて直感的な操作により非常に容易に端末を動作させることができ、結果的に誤操作を低減させる効果も期待できる。
【0008】
このように、タッチパネルを備える携帯端末を用いて、現在、通常の携帯電話による通話や電子メール作成の際の操作入力のみならず、インターネットを利用して配信されるコンテンツの視聴やウェブ閲覧(ブラウズ)の際の操作入力を行うこともできる。また、このようなタッチパネルを有する入力装置は、携帯端末以外においても、例えば銀行などのATM(現金自動預入支払機)や、駅などの券売機に配設され、現在日常的に利用されている。さらに、ファーストフード店などの店舗においては、従業員が顧客の注文を処理する際、上述したようなタッチパネルを有する入力装置を備えた端末装置を用いて業務が行われている。入力装置にタッチパネルを用いることにより、タッチパネル以外のキーボードなどの、機械式の操作ボタンまたはキーなどは必須の要素ではなくなる。したがって、端末装置本体に機械式の操作ボタン等を配置する領域が少なくて済むため、端末装置自体を全体的に小型化することができ、様々な店内や駅構内などにおける端末装置の設置場所の自由度を高めることもできる。
【0009】
また、入力装置にタッチパネルを用いれば、従来一般的である機器の構成のように、各種情報を表示する表示部と、ユーザの操作入力を受け付ける入力部とを、別個の機能部として構成する必要はなく、情報表示部と入力部とを一画面上に構成することができる。したがって、例えば、タッチパネル上にキーボードのキーを構成する入力用オブジェクトの配列を表示させてユーザの入力を受け付け、さらに、この入力結果を、当該タッチパネル上のキーボードのそばに表示させることもできる。このようにすれば、ユーザは、一画面上で、入力操作と、その入力操作による入力結果の確認を行うことができる。
【0010】
以上説明したように、タッチパネルは、入力部と表示部とを同一画面上に構成することができ、なおかつその操作入力を直観的に行うことができるというメリットのため、このような入力装置を有する端末装置はますます増加傾向にある。
【0011】
しかしながら、タッチパネルを有する入力装置においては、入力部と表示部とを同一画面上に構成して、直観的な操作入力を受け付けるがために生じる特有の問題点もある。すなわち、タッチパネルは、入力用オブジェクトを自由に配置して表示部を構成することができるが、通常は入力部の全表面が平坦なため、入力用オブジェクトと入力用オブジェクト以外の部分との境界を、ユーザが触覚により判定することは困難である。また、タッチパネルに対して入力を行う際、ユーザは自らの指やスタイラスなどで入力部に直接触れるため、押圧入力を行う瞬間は入力用オブジェクトが隠れてしまい、ユーザは操作入力を視認できないことも多い。
【0012】
したがって、ユーザは、自らの指先が触れているのが入力用オブジェクトの存在する位置であるか否かを指先の感触で判断することはできないため、意図する位置と異なる位置を押してしまう恐れが常にある。すなわち、意図する位置と微妙に異なる位置を押してしまい、入力しようとする入力用オブジェクトから外れた部分を押圧してしまったり、入力しようとする入力用オブジェクトの隣の入力用オブジェクトを押圧してしまう危険性がある。入力しようとする入力用オブジェクトを指で押圧する際には、当該入力用オブジェクトの表示が隠れてしまうため、このように意図する入力ができない恐れは一層高くなる。
【0013】
また、上述のようにユーザが意図しない入力が入力装置に受け付けられてしまうと、これに基づいてユーザの意図しない動作が開始される場合がある。このような場合、ユーザは、当該意図しない動作を取り消す(キャンセルする)ために追加の操作を行わなければならないという手間が発生する。さらに、当該意図しない動作によって、それまで起動していた重要な処理動作を終了させてしまった場合、リカバリのきかない状況に陥ることもあり得る。したがって、ユーザの意図しない入力に基づいて意図しない動作が開始される恐れは、少しでも低減させることが望まれる。
【0014】
このような事情に対処する一助となり得る技術として、タッチパネルに対する入力の押圧力を検知する手段を設け、ユーザのタッチパネルに対する入力の位置および押圧力に応じて、タッチパネル表面の高低を変化させる機構を備える入力装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−311224号公報
【特許文献2】特許第4039344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記特許文献2に記載の入力装置によれば、タッチパネルの表示部に表示された入力用オブジェクトに対するユーザの入力があった場合、タッチパネルの高低を変化させることにより、ユーザが触れている位置が入力用オブジェクトであることを示すことができる。すなわち、例えば、ユーザが入力用オブジェクトに触れた場合、入力用オブジェクト以外の箇所を触れた場合よりもタッチパネル表面の高さを高くすることにより、ユーザが触れている位置が入力用オブジェクトであることを示す。さらに、この入力装置は、タッチパネルの入力用オブジェクトに対応する位置にユーザが軽く触れたことが認識された場合、入力用オブジェクトを拡大表示して見易くするなどしている(例えば、特許文献2の図7および図10等参照)。このような種々の措置を講ずることにより、特許文献2に記載の入力装置は、ユーザの誤操作を避けるべく入力を支援している。
【0017】
この入力装置によれば、ユーザは、自らの指先が触れているタッチパネルの位置に入力用オブジェクトが存在するか否かを、指の感触で判別することができる。また、ユーザが触れている入力用オブジェクトを拡大表示する態様にできるため、ユーザが指先で入力用オブジェクト触れていても、それにより隠れてしまう部分を相対的に小さくすることができる。したがって、この入力装置によれば、ユーザの意図しない入力が受け付けられてしまう恐れは低減し得る。
【0018】
しかしながら、このような技術を、例えば携帯電話のような小型の携帯端末に適用するに際しては、いくつかの不都合も存在する。すなわち、上述したようなタッチパネル表面の高低を変化させる機械的な機構は、当該タッチパネルの表面の変化幅よりも相当大きな幅を必要とする。これは、タッチパネルの高低を変化させる機械的な駆動装置がある程度の大きさを必要とするためと、さらに、タッチパネル全体の高低を変化させる空間を確保する必要があるためである。最近の携帯電話機の開発においては、可能な限りの小型化が求められており、タッチパネル表面の高低を変化させる機械的な機構を携帯電話機の本体に搭載するにあたっては、技術上の困難を伴うことが想定される。
【0019】
また、携帯電話のような小型の携帯端末は、銀行のATMや駅の券売機など大型の端末の場合と異なり、表示部を兼ねるタッチパネルそのものの大きさも相当な制約を受けるため、入力用オブジェクトを表示する表示部も必然的に小型になる。その一方で、タッチパネルに対するユーザの各種入力を受け付ける必要もあるため、小型の携帯端末であっても、入力用オブジェクトも各種のものを多数表示する必要もある。そのため、ユーザが入力用オブジェクトに触れた際に入力用オブジェクトを拡大表示することも、携帯端末の場合には困難であることが想定される。
【0020】
また、このように限られた面積のタッチパネルに多数の入力用オブジェクトを表示した場合、上述のようにタッチパネルの高低を変化させて、ユーザが触れている位置が入力用オブジェクトであるか否かを示すことも実際上困難であると考えられる。特に、大きさの制限された多数の入力用オブジェクトを隣り合わせて表示した場合、これらの入力用オブジェクト同士の間隔はほとんど、あるいは全く存在しない。そのため、これらの各入力用オブジェクトの縁部(キーのエッジに相当する部分)を、タッチパネルの高低を変化させることによりユーザに認識させることは非常に困難であると考えられる。したがって、携帯電話のような小型の携帯端末のタッチパネル上に、多数の小さな入力用オブジェクトを隣り合わせて表示する場合、上記特許文献2の技術を適用することによりユーザの誤入力を低減させることは困難であると予想される。
【0021】
一般に、小型のタッチパネルに多数の入力用オブジェクトが隣り合って表示されるような場合、ユーザがそれぞれの入力用オブジェクトに対する入力を正確に区別して行うことは困難になり易い。そのため、ユーザは、意図と異なる誤操作をしてしまい、その誤操作に基づいてユーザの意図と異なる動作が開始されてしまう場合もある。
【0022】
特に、携帯電話のような小型の携帯端末の場合、限られた面積のタッチパネルに多数の入力用オブジェクトを表示するのみならず、入力を行うユーザが、歩きながら入力を行ったり、または他の動作を行いながら入力を行うこともあるという特殊な事情もある。このようにユーザが注視していないような場合であっても、多数の入力用オブジェクトに対する入力をユーザの意図通りに受け付けて、ユーザの誤操作を回避することが望まれる。さらに、ユーザが意図と異なる入力を誤って行ってしまった際にも、その入力に基づいてユーザの意図と異なる動作が開始されることを回避するような入力装置も望まれている。
【0023】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、例えば携帯端末に搭載されるようなタッチパネルにおいて、複数の隣り合う入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける際、ユーザの誤操作に基づく誤動作を回避する入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成する請求項1に係る入力装置の発明は、
入力用オブジェクトを表示する表示部と、
前記表示部に表示される前記入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける入力部と、
前記入力部に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が荷重基準を満たした際に、前記押圧入力を受け付けるように制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
互いに隣り合う複数の前記入力用オブジェクトに対する前記押圧入力を受け付ける荷重基準を、第1の荷重基準と、該第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準と、に相違させるように制御すると共に、
前記第1の荷重基準の入力用オブジェクトに対する押圧入力に係る押圧荷重が前記第2の荷重基準を満たした場合、当該押圧入力を受け付けないように制御することを特徴とするものである。
【0025】
請求項2に係る発明は、請求項1の記載の入力装置において、
前記制御部が、
前記第1の荷重基準の入力用オブジェクトに対する押圧入力に係る押圧荷重が前記第2の荷重基準を満たした後に当該第2の荷重基準を下回った場合、当該押圧入力を受け付けないように制御するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の入力装置によれば、タッチパネルの入力部に対する押圧荷重を検出し、ある入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準と、この入力用オブジェクトと隣り合っている入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準と、を相違させる。したがって、小型のタッチパネルの入力部において多数の入力用オブジェクトを隣接して表示させたとしても、ユーザは、各入力用オブジェクトに対する入力を区別して行うことができる。
【0027】
特に、荷重基準が低い入力用オブジェクトに対する押圧入力の押圧荷重が、荷重基準が高い入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準を満たす場合、荷重基準が低い方の入力用オブジェクトに対する押圧入力は受け付けられない。したがって、ユーザが、荷重基準が高い入力用オブジェクトに対する押圧入力を意図しつつ、誤って、荷重基準が低い入力用オブジェクトに対して押圧入力をした場合でも、ユーザの意図と異なる入力用オブジェクトに対する押圧入力は受け付けらない。これらより、ユーザの意図しない入力に基づいて意図しない動作が開始されることは回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る入力装置を備える携帯電話の外観斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る携帯電話の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図2に示した携帯電話のタッチパネル、荷重検出部、および振動部の実装構造の例を説明する図である。
【図4】ユーザがタッチパネルの入力部を押圧する際の、荷重検出部が検知する荷重(押圧力)の時間変化の例を概略的に表すグラフである。
【図5】本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理を説明するフローチャートである。本実施の形態による入力用オブジェクトの押圧入力受付処理を説明するフローチャートである。
【図6】本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理に基づく表示部の表示例を示す図である。
【図7】本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理に基づく表示部の他の表示例を示す図である。
【図8】本実施の形態による入力用オブジェクトの押圧入力受付処理を説明するフローチャートである。
【図9】本実施の形態による高荷重入力受付処理を説明するフローチャートである。
【図10】本実施の形態によるハイライト表示および押下表示を説明する図である。
【図11】本実施の形態による低荷重入力受付処理を説明するフローチャートである。
【図12】入力用オブジェクトの押圧入力受付処理において、荷重検出部が検知する荷重(押圧力)の時間変化の例を概略的に表すグラフである。
【図13】入力用オブジェクトの押圧入力受付処理において、スライド入力を含む入力について、荷重検出部が検知する荷重(押圧力)の時間変化の例を概略的に表すグラフである。
【図14】本実施の形態に係る携帯電話の振動部が発生する振動の波形の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態では、本発明の入力装置を具える携帯端末の一例として、携帯電話を想定して説明する。しかしながら、本発明の入力装置が適用できる携帯端末は携帯電話に限定されるものではなく、例えばPDAなどタッチパネルを有する任意の携帯端末などに適用できる。また、本発明は、タッチパネルを有する携帯端末に限定されるものでもなく、上述したような銀行のATMや駅の券売機など、タッチパネルを有する任意の入力端末にも適用できる。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係る入力装置を備える携帯電話10の概略構成を示す外観斜視図である。この携帯電話10は、端末本体の前面に、一部切り欠いて示すように、液晶ディスプレイ(LCD)または有機ELディスプレイなどに種々の情報およびキーやボタンなどの形状を描画してこれらの配列を表示する表示部32を備えている。また、この表示部32の前面には、ユーザの指やスタイラスペンなどによる入力を受け付けるマトリクススイッチ等で構成した入力部34を配設する。本実施の形態では、これら表示部32と入力部34とを含めてタッチパネル30を構成している。携帯電話10はさらに、マイクなどにより構成される音声入力部70、スピーカなどにより構成される音声出力部80、および、少なくとも1つの機械的なキーにより構成されるキー入力部90も備えている。
【0031】
他にも、携帯電話10は、必要な機能に応じて、デジタルカメラ機能部、ワンセグ放送用チューナ、赤外線通信機能部などの近距離無線通信部、および各種インタフェース等を備える場合もあるが、これらの詳細については図示および説明を省略する。
【0032】
図2は、本実施の形態に係る携帯電話10の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。図2に示すように、携帯電話10は、制御部20と、タッチパネル30と、荷重検出部40と、振動部50と、記憶部60と、音声入力部70と、音声出力部80と、キー入力部90と、を備えている。制御部20は、携帯端末10の各機能ブロックをはじめとして携帯端末10全体を制御および管理する。タッチパネル30は、上述したように、ユーザからの入力を受け付ける入力部34を、表示部32の前面に重畳させて配設することにより構成する。このような構成により、タッチパネル30は、ユーザからの操作入力を受け付けると共に、各アプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」と略記する)に応じて入力結果など各種情報の表示を行う。
【0033】
タッチパネル30の入力部34は、ユーザの指先やスタイラス等の接触(押圧)による入力を検知することにより、当該接触による入力が検知された位置に対応する信号を出力する。このタッチパネル30は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式などの公知のものを用いて構成する。表示部32は、各アプリケーションに対応する表示を行う他、入力部34へのユーザの操作入力を受け付ける各種キーやボタンなどで構成するユーザインタフェースを所定の表示領域に描画して表示する。本実施の形態においては、このように、タッチパネル30の入力部34に対するユーザの操作入力を受け付けるために、表示部32に表示する各種キーやボタンなどの画像を「入力用オブジェクト」と記す。
【0034】
荷重検出部40は、タッチパネル30(または入力部34)に対する押圧荷重を検出するもので、例えば歪みゲージセンサを用いて構成する。振動部50は、タッチパネル30を振動させるもので、例えば、圧電素子または超音波振動子などを用いて構成する。なお、荷重検出部40および振動部50と、タッチパネル30との構成上の関係については後述する。
【0035】
記憶部60は、各種アプリケーションおよび入力された各種情報などを記憶するとともに、ワークメモリなどとしても機能する。また、記憶部60は、各アプリケーションに応じて使用される各種の入力用オブジェクトを含んだ複数のテンプレートなども記憶する。
【0036】
音声入力部70は、ユーザの音声などを入力信号に変換して制御部20に伝達する。音声出力部80は、制御部20から伝達された音声信号を音声に変換して出力する。キー入力部90は、ユーザによる操作入力に応じて、対応する信号を制御部10に送信する。キー入力部90を構成する各種キーは、使用するアプリケーションに従って、その用途および機能が規定される。
【0037】
なお、携帯電話10はさらに、音声通話および電子メールのデータなど各種情報をインターネットや無線通信等を介して基地局と送受信するアンテナおよび無線通信部など、通常の携帯電話としての機能を提供するために必要な各種機能部も備えている。しかしながら、これらは全て公知技術のものと特に変わるところはないため、説明を省略する。
【0038】
次に、上述した荷重検出部40および振動部50と、タッチパネル30との構成上の関係について説明する。
【0039】
図3は、図2に示した携帯電話10のタッチパネル30、荷重検出部40、および振動部50の実装構造の一例を示す図である。図3(A)は要部断面図であり、図3(B)は要部平面図である。
【0040】
タッチパネル30に各種の入力用オブジェクトを表示する表示部32は、筐体12内に収納保持する。表示部32上には、弾性部材からなるインシュレータ36を介して、入力部34を保持する。なお、本実施の形態に係る入力装置は、表示部32および入力部34を平面視で矩形状とする。図3においては、タッチパネル30は、正方形状として示してあるが、タッチパネル30を実装する携帯端末の仕様に応じて、長方形としてもよい。また、この入力装置は、入力部34を、図3(B)に仮想線で示す表示部32の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ36を介して、表示部32に保持する。
【0041】
また、筐体12には、表示部32の表示領域から外れた入力部34の表面領域を覆うようにアッパカバー14を設け、このアッパカバー14と入力部34との間に、弾性部材からなるインシュレータ16を配設する。
【0042】
なお、入力部34は、例えば、表面すなわち操作入力を受け付ける面が透明フィルムで構成され、裏面がガラスで構成され、操作面が押圧されると、押圧力に応じて表面の透明フィルムが微少量撓む(歪む)構造のものを用いる。
【0043】
さらに、本実施の形態に係る入力装置は、入力部34の表面の透明フィルム上で、アッパカバー14で覆われる各辺の近傍に、入力部34に加わる押圧荷重(押圧力)を検出するための歪みゲージセンサをそれぞれ接着等により設ける。また、入力部34の裏面のガラス面上で、対向する2つの辺の近傍には、入力部34を振動させるための圧電素子または超音波振動子などを、それぞれ接着等により設ける。すなわち、図3に示す入力装置は、図2に示した荷重検出部40を4つの歪みゲージセンサを用いて構成し、振動部50を2つの振動子を用いて構成する。なお、図3(B)は、図3(A)に示した筐体12、アッパカバー14、およびインシュレータ16の図示を省略している。
【0044】
本実施の形態に係る入力装置は、制御部20において、入力部34で検知される入力を監視するとともに、荷重検出部40で検出される押圧荷重を監視する。制御部20は、入力部34で検知された押圧入力が表示部32に表示された入力用オブジェクトに対する入力で、かつ、荷重検出部40により検知される押圧荷重が、当該入力を受け付ける際の所定の基準を満たした際に、当該入力を正規の入力として受け付ける。以下、このような「入力を受け付ける際の基準」を、単に「荷重基準」と記す。なお、荷重検出部40は、例えば、4つの歪みゲージセンサの出力の平均値から荷重を検出する。
【0045】
また、振動部50は、例えば、2つの超音波振動子を同相で駆動する。入力部34に対して所定の押圧入力が行われた場合、制御部20は、振動部50に振動を発生させて、入力部34を押圧しているユーザの指もしくはスタイラスペンなどの押圧物に対して振動を伝えるように制御する。このように、所定の押圧入力が行われた際に発生する振動部50の振動により、ユーザは、自らの行った押圧入力が適切に受け付けられたことを認識することができる。
【0046】
次に、本実施の形態による、入力用オブジェクトの荷重基準について説明する。図4は、ユーザがタッチパネル30の入力部34を押圧する動作により操作入力を行う際の、荷重検出部40が検出する押圧荷重(押圧力)の時間変化の例を概略的に表すグラフである。一般的に、ユーザは、タッチパネル30の入力部34を押圧する動作(押圧入力)を行う際、入力部34に触れてから、入力が受け付けられたと判断できる時点までは、入力部34に対する押圧力を増大し続ける(つまり入力部34を押し込む動作を行う)。また、ユーザは、入力が受け付けられたと判断した時点からは、入力部34に対する押圧力を低減する(つまり入力部34から指などを離そうとする動作を行う)。したがって、荷重検出部40が検出する荷重は、図4に示す曲線のように、左から右に時間の経過に従って最初は右上がりに増大し、途中から右下がりに減少する。
【0047】
以下、本実施の形態による、入力用オブジェクトの荷重基準設定処理を行うための初期設定について説明する。本実施の形態では、入力用オブジェクトの荷重基準設定処理を行う前提として、まず、表示部32に表示されている入力用オブジェクトに対して通常の操作入力を行うための、入力部34に入力がされたと判定する荷重基準P1を予め設定する。この際、荷重基準の値P1は、ユーザが表示部32に対して通常の操作入力を行う際の普段の押圧力に基づいて設定する。この設定に基づいて、ユーザが通常の操作入力を行う際の普段の押圧力として、P1(A1)を超える押圧荷重が荷重検出部40によって検出された場合、制御部20は、表示部32に表示されている入力用オブジェクトが押下されたと判定する。また、(A1の後)押圧された入力用オブジェクトに対してP1(A2)を割り込んだ押圧荷重が荷重検出部40によって検知された場合、制御部20は、押下中の入力用オブジェクトに対する操作入力が完了(確定)したと判定する。
【0048】
このように、荷重基準の値P1を設定することにより、ユーザが入力部34にごく軽く触れただけで入力として判定してしまうことを防ぎ、これにより、ユーザの意図しない入力を回避することができる。
【0049】
また、このように荷重基準の値P1を設定することにより、入力部34上で同一位置(同じ入力用オブジェクト)を連続して複数回押圧する連打入力を行う場合、ユーザは、1回の入力ごとに入力部34から指を離すことなく連打入力を行うことができる。すなわち、入力部34上にユーザの指が触れたままであっても、ユーザは、指の押圧力の強弱を調整して、荷重基準の値P1に対して連続して押圧力を上下させるような入力を行うことにより、当該入力を連打入力として入力部34に認識させることができる。このような入力方法は、ユーザにとっては指を動かすストロークが少なくて済むため、ユーザは、この入力方法に習熟することにより、より少ない動きで素早く楽に入力を行うことができる。
【0050】
次に、本実施の形態では、ユーザが入力部34に対して通常の操作入力を行う際の普段の押圧力よりも大きな(強い)押圧力に基づいて、荷重基準の値P2を設定する。本実施の形態では、このように設定した荷重基準の値P2を超える押圧を、上述した荷重基準の値がP1である入力用オブジェクトと隣り合っている入力用オブジェクトに対する入力として受け付ける。このため、荷重基準の値がP1の入力用オブジェクトと隣り合っている入力用オブジェクトに対して、P1より大きな押圧力P2(B1)を超える押圧荷重が荷重検出部40によって検出された場合、制御部20は、当該隣り合っている入力用オブジェクトが押下されたと判定する。また、(B1の後)押圧された当該隣り合っている入力用オブジェクトに対してP2(B2)を割り込んだ押圧荷重が荷重検出部40によって検出された場合、制御部20は、押下中の入力用オブジェクトに対する操作入力が完了(確定)したと判定する。すなわち、制御部20は、表示部32に表示されている入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準P1よりも、当該入力用オブジェクトと隣り合って表示された入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準を高く(P2)するように制御する。
【0051】
したがって、荷重基準の値がP1の入力用オブジェクトと隣り合っている入力用オブジェクトに対して、ユーザが通常の操作入力を行う際の普段の(P2に達しない)押圧力で押圧しても、この押圧入力は、当該隣り合っている入力用オブジェクトに対する入力として受け付けられない。ユーザが通常の操作入力を行う際の普段の押圧力(P1)よりも大きなP2を超える押圧力で押圧された場合に初めて、この押圧入力は、当該隣り合って表示された入力用オブジェクトに対する入力として受け付けられる。
【0052】
なお、上述の説明では、例として、荷重基準(P1,P2)の値を「押圧荷重のしきい値」に見立て、荷重基準の値を「超えた」場合に「荷重基準が満たされた」と判定する態様について説明した。以下も、このような態様により判定する場合について説明するが、「荷重基準が満たされた」と判定できる態様はこれに限定されるものではなく、いくつもの態様を含むことが想定できる。例えば、入力用オブジェクトに対するユーザの押圧入力による押圧荷重が上記荷重基準の値に「達した」場合に荷重基準が満たされたと判定することもできる。また、上記荷重基準の値を示す押圧荷重が荷重検出部40によって「検出された」場合に荷重基準が満たされたと判定することもできる。
【0053】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理について説明する。本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理は、制御部20が、入力用オブジェクトにより構成されるユーザインタフェースをタッチパネル30の表示部32上に表示するアプリケーションを起動する要求(命令)を受けることにより開始する。ユーザインタフェースを表示するアプリケーションを起動する命令を受けると、制御部20は、記憶部60に記憶されている各種ユーザインタフェースのテンプレートの中から、上述した要求に対応するテンプレートを読み込む(ステップS1)。
【0054】
ユーザインタフェースのテンプレートを読み込んだら、制御部20は、テンプレートに含まれる入力用オブジェクトが複数であるか否かを判定する(ステップS2)。テンプレートに含まれる入力用オブジェクトが複数である場合、制御部20は、次に、隣り合った入力用オブジェクトが所定の間隔未満で配置される仕様になっているか否かを判定する(ステップS3)。なお、所定の間隔については、後述する。テンプレートに含まれる入力用オブジェクトが複数で、かつ、隣り合った入力用オブジェクトが所定の間隔未満で配置される場合、制御部20は、これらの入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準が相違(P1およびP2)するように、各入力用オブジェクトの荷重基準を設定する(ステップS4)。
【0055】
ステップS4にて各入力用オブジェクトの荷重基準の設定が完了したら、制御部20は、これらの各入力用オブジェクトを表示部32に表示して、ユーザからの入力を受け付ける(ステップS5)。なお、ステップS2において入力用オブジェクトが複数でない場合、すなわち入力用オブジェクトが1つしかない場合には、当該入力用オブジェクトに通常の荷重基準(P1)を設定してから(ステップS6)、ステップS5に移行する。また、ステップS3において複数の入力用オブジェクトが互いに所定の間隔以上の間隔で配置される場合にも、それらの入力用オブジェクトに通常の荷重基準(P1)を設定してから(ステップS6)、ステップS5に移行する。
【0056】
以上の処理により、複数の入力用オブジェクトが隣り合って配置される場合に、各入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準が相違する態様で配置される。前述した所定の間隔とは、入力用オブジェクト同士の間隔が当該所定の間隔未満の場合、ユーザが入力を誤って、意図する入力用オブジェクトとは異なる入力用オブジェクトを押圧してしまう可能性が高まるとして設定する間隔である。ここで、所定の間隔として設定される間隔は、入力用オブジェクト同士の端部から端部の距離とすることができるし、また、入力用オブジェクト同士の中心部から中心部の距離とすることもできる。以下、上述した処理の結果を、典型的な実施例につき具体的に説明する。
【0057】
例えば図6(A)に示すように、ユーザメモ作成アプリケーションを起動している場合を説明する。このアプリケーションは、タッチパネル30の表示部32のほぼ下半分に文字入力用オブジェクトを表示して、入力部34に対するユーザの入力を受け付ける。なお、このユーザメモ作成アプリケーションは、文字入力用オブジェクトを互いに所定の間隔以上離間して表示する。したがって、本例では、ユーザが入力を誤って、意図する入力用オブジェクトとは異なる入力用オブジェクトを押圧してしまう可能性は低いため、これらの文字入力用オブジェクトには、それぞれ通常の荷重基準(P1)を設定する。なお、本例のように、仮名文字に対応したテンキーを用いて、キーの入力回数に応じて、各キーに対応する仮名文字を「あいうえお順」に遷移させることにより文字を1文字ずつ入力する方式は、従来「マルチタップ入力方式」として公知技術のため説明を省略する。
【0058】
図6(A)に示すような文字の入力を完了した後、ユーザがこのメモを記憶部60(メモリ)に保存する場合、タッチパネル30の表示部32の左上に示す「機能」の入力用オブジェクトに触れて、図6(B)に示すような、いわゆるプルダウン表示を出現させる。この「機能」のプルダウン表示には、「保存」および「削除」の入力用オブジェクトが含まれている。これら2つの入力用オブジェクトが互いに所定の間隔未満で配置される場合、上述した荷重基準設定処理により、「保存」の入力用オブジェクトと「削除」の入力用オブジェクトとは、押圧入力を受け付ける荷重基準が相違する態様で配置される。この場合、この「削除」の入力用オブジェクトのように、互いに隣り合う入力用オブジェクトの一方が、リカバリのきかない(重要な)動作に係るものである場合、この入力用オブジェクトには、例えば3N(ニュートン)とする荷重基準の値P2を設定する。また、この「保存」の入力用オブジェクトのように、荷重基準の値がP2である入力用オブジェクトと隣り合っている入力用オブジェクトには、例えば1Nとする荷重基準の値P1を設定する。
【0059】
このように、入力用オブジェクトの荷重基準を相違させて配置することにより、例えば、ユーザが「保存」のオブジェクトを押圧しようと意図していたが誤って「削除」のオブジェクトを押圧してしまった場合に対処することができる。すなわち、「削除」のオブジェクトに対して、通常の操作入力を行う際の普段の(P2を超えない)押圧力による入力は受け付けられない。「削除」のオブジェクトに対する入力を行うためには、ユーザは、意図的に、通常の操作入力を行う際の普段の押圧力(P1)より大きな荷重基準の値(P2)を超える押圧荷重により操作入力を行う必要がある。
【0060】
また、タッチパネル30が、複数の入力用オブジェクトに対する入力を同時に受け付ける機能を有する場合でも、上述したのと同様な対処を行うことができる。すなわち、ユーザが「保存」のオブジェクトを押圧しようと意図していたが、誤って(または入力部34を押圧する指の接触面積がはみ出すことにより)「保存」と「削除」の入力用オブジェクトを両方同時に押圧してしまう恐れがある。このような場合でも、「削除」のオブジェクトに対して、通常の操作入力を行う際の普段の(P2を超えない)押圧力による入力は受け付けられない。なお、上述の場合と逆に、ユーザが「削除」のオブジェクトを押圧しようと意図していたが誤って「保存」のオブジェクトを押圧してしまった場合の対処については、後述する。
【0061】
このように、本実施の形態では、普段の操作入力に基づく(P1を超える)押圧荷重により入力を受け付ける入力用オブジェクトと隣り合って配置される入力用オブジェクトに対しては、普段の操作入力に基づく押圧荷重よりも大きな(P2を超える)荷重に設定する。普段の操作入力よりも大きな(重い)押圧荷重による入力は、通常の入力方法として想定される各種の入力態様(例えば長押しや、ダブルクリックのような2度押しなど)とは異なる入力である。したがって、荷重基準がP2である入力用オブジェクトに対して、通常の入力方法として想定される各種の入力態様による入力は受け付けられないため、ユーザが意図せずに誤って行ってしまった入力は有効な入力として受け付けられることはない。すなわち、ユーザの意図しない誤操作による入力は回避される。
【0062】
なお、本実施の形態の処理により入力用オブジェクトを互いに隣り合わせて配置する場合、荷重基準の値がP2である入力用オブジェクトに対する入力は通常の操作入力時よりも強い押圧力で入力する必要があることを、ユーザに示唆する表示を行うのが好適である。例えば、図6(C)に示す「削除」のキーの入力用オブジェクトのように、強い押圧力で入力する必要がある入力用オブジェクトは、他のキーの入力用オブジェクトとは異なる色で表示部32に表示する。これにより、異なる色の入力用オブジェクトは、荷重基準の値がP2である入力用オブジェクトであることを強調することができる。また、このような入力用オブジェクトを表示部32に表示する際には、例えば「『削除』キーの入力は強めにタッチして下さい」等の文字を表示部32の所定位置に表示してもよい。
【0063】
また、他の実施例について説明する。図7に示すユーザメモ作成アプリケーションによる画面表示は、タッチパネル30の表示部32に表示された文字入力用オブジェクトの構成は図6に示したものと類似するが、ユーザの入力結果(メモ)を表示する領域が大きめになっている。そのため、ユーザの押圧入力を受け付ける文字入力用オブジェクトを配置する領域が相対的に小さい。このような場合、図7に示すように、各入力用オブジェクトの面積をそれぞれ縮小するとともに、入力用オブジェクト同士の間隔を狭くして表示する。この入力用オブジェクト同士の間隔が所定の間隔未満である場合、本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理に基づいて、制御部20は、間隔が所定の間隔未満で隣り合う入力用オブジェクトについて、それぞれ異なる荷重基準を設定する。
【0064】
本実施の形態による荷重基準設定処理により、例えば図7に示すように、異なる荷重基準の入力用オブジェクトが交互に配置される。図7に示す例では、異なる荷重基準により入力用オブジェクトが配置されていることを示すために、強い押圧力で入力する必要がある入力用オブジェクトは色を変更して表示している。すなわち、色の濃い(破線のハッチングを施した)入力用オブジェクトは、通常の操作入力を行う際の荷重基準(P1)より大きな荷重基準(P2)が設定されていることを示している。一方、通常の色の(白抜きした)入力用オブジェクトは、通常の荷重基準(P1)が設定されていることを示している。
【0065】
このように荷重基準が設定された結果、タッチパネル30の入力部34は、通常の荷重基準(P1)が設定された入力用オブジェクトと隣り合わせて、通常の荷重基準(P1)よりも大きな荷重基準(P2)が設定される配置になる。すなわち、通常の荷重基準(P1)が設定された入力用オブジェクトと、通常の荷重基準(P1)よりも大きな荷重基準(P2)が設定された入力用オブジェクトとが、1つおきに配置される。したがって、複数の入力用オブジェクトが密集して隣り合う場合であっても、ユーザは、これらの入力用オブジェクトの入力を区別して行うことができる。
【0066】
なお、このように荷重基準が設定された結果、低い荷重基準(P1)の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って高い荷重基準(P2)の入力用オブジェクトを通常の押圧力で押圧してしまった場合には対処することができる。しかしながら、この設定のみでは、高い荷重基準(P2)の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って低い荷重基準(P1)の入力用オブジェクトを強く押圧してしまった場合には対処することができない。すなわち、この場合、ユーザは高い荷重基準(P2)の入力用オブジェクトを押圧しようと意図して強い押圧力により入力部34を押圧するが、この時の押圧力は低い荷重基準(P1)も超える。このため、ユーザの意図とは異なる低い荷重基準(P1)の入力用オブジェクトに対する入力が受け付けられてしまう。
【0067】
この不都合に対処するために、本実施の形態では、図5で説明した入力用オブジェクトの荷重基準設定処理により入力用オブジェクトを配置した後に行う入力用オブジェクトの押圧入力受付処理において、所定の場合には、入力のキャンセル処理を行う。以下、このような一連の処理について説明する。
【0068】
まず、図8に示すフローチャートを参照して、図5で説明した入力用オブジェクトの荷重基準設定処理により入力用オブジェクトを配置した後に行う、入力用オブジェクトの押圧入力受付処理の概略について説明する。本処理は、図5で説明した処理により、ユーザメモ作成アプリケーション等を起動して、入力用オブジェクトを隣り合わせて表示部32に表示した後、入力部34に対するユーザの入力を受け付ける時点から開始する。
【0069】
本実施の形態による入力用オブジェクトの押圧入力受付処理が開始すると、制御部20は、タッチパネル30の入力部34に対するユーザの指先やスタイラスなどによる入力(以下、「ユーザによる入力」と略記する)が検知されたか否かを判定する(ステップS11)。
【0070】
ステップS11にて入力部34に対するユーザによる入力が検知された場合、制御部20は、入力部34からの入力に基づいて、当該入力を受け付けた入力部34の位置に対応する、表示部32における位置を判定する(ステップS12)。さらに、この判定結果に基づいて、制御部20は、入力が検知された位置に対応する表示部32の位置が、通常の荷重基準(P1)よりも大きな荷重基準(P2)が設定された入力用オブジェクトに対応する位置であるか否かを判定する。入力位置が、通常の荷重基準(P1)よりも大きな荷重基準(P2)が設定された入力用オブジェクトに対応する位置である場合(ステップS12のYes)、高荷重入力受付処理に移行する(ステップS13)。
【0071】
一方、ステップS12にて、入力位置が、荷重基準P2が設定された入力用オブジェクトに対応する位置ではない場合(ステップS12のNo)、低荷重入力受付処理に移行する(ステップS14)。なお、ステップS12からステップS14に移行する場合というのは、ユーザによる入力が検知された入力用オブジェクトが、荷重基準P1が設定された入力用オブジェクトである場合である。
【0072】
次に、図9のフローチャートを参照して、図8に示したステップS13の高荷重入力受付処理の詳細を説明する。高荷重入力受付処理は、入力部34に対するユーザの押圧入力の入力位置が、通常の荷重基準(P1)よりも大きな荷重基準(P2)、すなわち高い荷重基準が設定された入力用オブジェクトに対応する位置である場合(ステップS12のYes)に行う処理である。
【0073】
高荷重入力受付処理が開始すると、まず、制御部20は、当該入力用オブジェクトをハイライト表示する(ステップS21)。このハイライト表示とは、入力用オブジェクトに対して、ユーザの指先などが触れていることをユーザに認識させるために行う強調表示のことである。例えば、図10(A)に示すような「削除」ボタンの入力用オブジェクトに対するユーザの入力が検知された場合、制御部20は、当該入力用オブジェクトを、図10(B)に示すようなハイライト表示に変化させる。これにより、ユーザは、入力部34に触れている自分の指先などの入力が適切に検知されていることを視認できる。なお、このハイライト表示は、ユーザの指先などが入力部34に触れていることのみを示すものであり、この時点では、まだ入力が受け付けられた(つまりキーが押下された)とは判定されていない。
【0074】
次に、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが荷重基準の値P2を超えたか否かを判定する(ステップS22)。荷重基準P2が設定された入力用オブジェクトに対しては、この荷重基準の値P2を超える入力がなされないと、入力を受け付けたものとして処理しない。したがって、ステップS22にて、荷重基準の値P2を超える値の押圧荷重Pが荷重検出部40により検出されない場合、制御部20は、入力部34に対するユーザによる入力が解除されたか否かを判定する(ステップS23)。
【0075】
ステップS23にて当該入力が解除されない(つまりユーザが指先などを入力部34から離していない)場合、制御部20は、ステップS28に移行する。ステップS28では、制御部20は、入力部34により検知される押圧入力の位置が変化する、いわゆるスライド入力が検知されたか否かを判定する。ここでいうスライド入力とは、ユーザが入力部34を指などで押圧したままの状態で、その指などを移動させ、もともと押圧していた入力用オブジェクトから他の入力用オブジェクトまで入力位置が変化する入力のことを表す。
【0076】
ステップS28においてスライド入力が検知されない場合、ステップS22に戻って、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pを監視する。ステップS23にて、入力部34に対するユーザによる入力が解除された場合、ユーザが触れた入力用オブジェクトに対しては入力がされなかったものとして扱い、ハイライト表示を解除して(ステップS24)、本処理は終了する。
【0077】
ステップS24におけるハイライト表示の解除とは、入力用オブジェクトに対応する位置の入力部34に触れていたユーザの指先などの入力が検知されなくなったことを、ユーザに示すための表示である。例えば、制御部20は、図10(B)に示すように、ユーザの入力が検知されて表示部32に表示していた入力用オブジェクトのハイライト表示を、図10(A)に示すような表示に戻す。これにより、ユーザは、入力部34に触れていた自分の指先などが、入力部34から離れたことを視認できる。
【0078】
一方、ステップS22にて、荷重基準の値P2(図4に示すB1)を超える押圧荷重Pが荷重検出部40により検出された場合、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトの押圧表示を行う(ステップS25)。この押圧表示は、入力が検知されている入力用オブジェクトがキーとして押下されたことを示すように、表示部32の表示を変更するものである。すなわち、例えば、図10(B)に示すようなハイライトされた入力用オブジェクトの表示を、図10(C)に示すように、当該入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を行う。これにより、ユーザは、自らの押圧荷重Pが荷重基準の値P2を超えたことを識別できると共に、入力部34に触れていた自分の指先などによる押圧入力が、入力用オブジェクトに対して、押下入力として適切に受け付けられていることを視認できる。
【0079】
ステップS25の後、制御部20は、入力部34に対するユーザによる入力の押圧力が減少し、荷重検出部40により検出される押圧荷重Pが荷重基準の値P2(図4に示すB2)以下になったか否かを判定する(ステップS26)。ステップS26にて、押圧荷重Pが荷重基準の値P2以下になった場合、制御部20は、現在入力を受け付けている最中の、荷重基準がP2である入力用オブジェクトに対する操作入力が確定されたものとして受け付ける(ステップS27)。すなわち、本実施形態による入力処理においては、機械式のキーに例えると、キーを押下した時点では、まだキーの入力の受け付けを確定せずに、キーの押下が解除された時点で初めて当該キーの入力の受け付けを確定する。
【0080】
また、ステップS27においては、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトに対する押圧荷重がP2以下になったことを示すように、表示部32の表示をハイライト表示に戻す。すなわち、例えば、図10(C)に示す入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を、図10(B)に示すように、ハイライト表示された入力用オブジェクトの表示に戻す。これにより、ユーザは、入力用オブジェクトに対する押下入力が入力として確定され、かつ、入力用オブジェクトを押圧している押圧力を緩和させたことが適切に認識されていることを視認できる。
【0081】
ステップS27の後、制御部20は、入力部34において上述したスライド入力が検知されたか否かを判定する(ステップS28)。ステップS28にて、このようなスライド入力が入力部34に検知されない場合、ステップS22に戻り、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pの監視を続行する。この場合、この後、入力部34に対するユーザによる入力が解除される(ステップS23)のを待機するか、または現在入力が検知されている入力用オブジェクトに対してさらに押圧入力(つまり連続する押圧入力)が検出される。
【0082】
一方、ステップS28にて、入力部34対して押圧荷重がゼロにならないままでスライド入力が検出された場合、ステップS29に移行する。ステップS29では、制御部20は、もともと押圧入力が検知されていた(スライド入力が行われる前の)入力用オブジェクトの押圧表示を解除した後に、図8のステップS11に戻って処理を続行する。
【0083】
スライド入力(ステップS28)後、ステップS11を経てステップS12において、スライド入力により入力位置が変化した先が荷重基準の低い(P1)入力用オブジェクトであるか、または荷重基準の高い(P2)入力用オブジェクトであるかが判定される。すなわち、本実施の形態では、荷重基準P2の入力用オブジェクトに押圧が検知された後、荷重基準P2を超えない入力か、または荷重基準P2を超えた後受け付けが確定した入力を、押圧解除せずに他の入力用オブジェクトに対する入力として引き継ぐことができる。
【0084】
したがって、ユーザは、タッチパネル30の入力部34から指を離さずに触れたまま、入力を意図する入力用オブジェクトを変更することができる。このため、スライド入力を活用することにより、ユーザは、入力部34に一度触れてしまった後でも、入力が受け付けられる前であれば、入力用オブジェクトを変更することができる。また、このスライド入力を活用することにより、ユーザは、入力部34に触れたまま、押圧荷重の強弱を調整するのみで連続して入力を行うことができるため、このような入力方法に習熟することにより素早い入力が可能になる。
【0085】
なお、以上説明した高荷重入力受付処理により、入力部34にユーザの押圧入力が検知された後に入力の受付が確定する際、荷重検出部40により検出される入力部34に対する押圧荷重を例示すると、図4に示すB1からB2を経る曲線のようになる。図4に示すように、荷重基準P2の入力用オブジェクトにおいては、押圧基準P2を超える時点(B1)にて当該入力用オブジェクトに対する入力が受け付けられ、押圧基準がP1以下になる時点(B2)にて当該入力用オブジェクトに対する入力が確定する。
【0086】
次に、図11のフローチャートを参照して、図8に示したステップS14の低荷重入力受付処理の詳細を説明する。低荷重入力受付処理は、入力部34に対するユーザの押圧入力の入力位置が、通常の荷重基準(P1)、すなわち低い荷重基準が設定された入力用オブジェクトに対応する位置である場合(ステップS12のNo)に行う処理である。
【0087】
低荷重入力受付処理が開始すると、まず、制御部20は、当該入力用オブジェクトをハイライト表示する(ステップS31)。この場合に行う入力用オブジェクトのハイライト表示も、ステップS21にて説明したのと同じ態様のハイライト表示を行う。
【0088】
次に、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが荷重基準の値P1を超えたか否かを判定する(ステップS32)。荷重基準P1が設定された入力用オブジェクトに対しては、通常の操作入力を行う場合と同様に、荷重基準の値P1を超える入力がなされれば、入力を受け付ける。一方、ステップS32にて、荷重基準の値P1を超える値の押圧荷重Pが荷重検出部40により検出されない場合、入力部34に対するユーザによる入力が解除されたか否かを判定する(ステップS33)。
【0089】
ステップS33にて当該入力が解除されない(つまりユーザが指先などを入力部34から離していない)場合、制御部20は、ステップS39に移行して、スライド入力が検知されたか否かを判定する。ステップS39においてスライド入力が検知されない場合、ステップS32に戻って、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pを監視する。ステップS33にて、入力部34に対するユーザによる入力が解除された場合、ユーザが触れた入力用オブジェクトに対しては入力がされなかったものとして扱い、ハイライト表示を解除して(ステップS34)、本処理は終了する。
【0090】
一方、ステップS32にて、荷重基準の値P1(図4に示すA1)を超える押圧荷重Pが荷重検出部40により検出された場合、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトの押圧表示を行う(ステップS35)。この押圧表示も、入力が検知されている入力用オブジェクトがキーとして押下されたことを示すように、表示部32の表示を変更するものである。すなわち、例えば、図10(B)に示すようなハイライトされた入力用オブジェクトの表示を、図10(C)に示すように、当該入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を行う。これにより、ユーザは、自らの押圧荷重Pが荷重基準の値P1を超えたことを識別できると共に、入力部34に触れていた自分の指先などによる押圧入力が、入力用オブジェクトに対して、押下入力として適切に受け付けられていることを視認できる。
【0091】
なお、低荷重入力受付処理においては、ステップS35の後、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが、一旦荷重基準の値P2を超えた後にP2以下になったか否かを判定する(ステップS36)。ここで、押圧荷重の値Pが一旦荷重基準P2を超えた後にP2以下になる場合とは、荷重基準の低い(P1)入力用オブジェクトに対して、荷重基準の高い(P2)入力用オブジェクトに対する押圧入力が受け付けられ、かつ当該押圧入力が確定される場合である。このような場合、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1のオブジェクトを押圧してしまったと推認できる。この場合の処理については後述する。
【0092】
ステップS35の後、ステップS36において、P≧P2の検出後にP<P2となる押圧荷重が検出されない場合、つまりユーザが意図通りに正しく入力をしていると想定される場合には、ステップS37に移行する。ステップS37において、制御部20は、入力部34に対するユーザによる入力の押圧力が減少し、荷重検出部40により検出される押圧荷重Pが荷重基準の値P1(図4に示すA2)以下になったか否かを判定する。ステップS37にて、押圧荷重Pが荷重基準の値P1以下になった場合、制御部20は、現在入力を受け付けている最中の、荷重基準がP1である入力用オブジェクトに対する操作入力が確定されたものとして受け付ける(ステップS38)。
【0093】
また、ステップS38において、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトに対する押圧荷重がP1以下になったことを示すように、表示部32の表示をハイライト表示に戻す。すなわち、例えば、図10(C)に示すような入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を、図10(B)に示すように、ハイライト表示された入力用オブジェクトの表示に戻す。これにより、ユーザは、入力用オブジェクトに対する押下入力が入力として確定され、かつ、入力用オブジェクトを押圧している押圧力を緩和させたことが適切に認識されていることを視認できる。
【0094】
ステップS38の後、制御部20は、入力部34に対してスライド入力が検知されたか否かを判定する(ステップS39)。ステップS39にて、スライド入力が入力部34に検知されない場合、ステップS22に戻り、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pの監視を続行する。この場合、この後は、入力部34に対するユーザによる入力が解除される(ステップS33)のを待機するか、または現在入力が検知されている入力用オブジェクトに対してさらに押圧入力(つまり連続する押圧入力)が検出される。しかしながら、ステップS39にて、入力部34対して押圧荷重がゼロにならないままでスライド入力が検出された場合、ステップS40に移行する。ステップS40では、制御部20は、もともと押圧入力が検知されていた(スライド入力が行われる前の)入力用オブジェクトの押圧表示を解除した後に、図8のステップS11に戻って処理を続行する。
【0095】
スライド入力(ステップS39)後、ステップS11を経てステップS12に移行する場合の処理は、上述した高荷重入力受付処理の場合と同様である。すなわち、本実施の形態では、荷重基準P1の入力用オブジェクトに押圧が検知された後、荷重基準P1を超えない入力か、または荷重基準P1を超えた後受け付けが確定した入力を、押圧解除せずに他の入力用オブジェクトに対する入力として引き継ぐことができる。
【0096】
なお、以上説明した低荷重入力受付処理により、入力部34にユーザの押圧入力が検知された後に入力の受付が確定する際、荷重検出部40により検出される入力部34に対する押圧荷重を例示すると、図4に示すA1からA2を経る曲線のようになる。図4に示すように、荷重基準P1の入力用オブジェクトにおいては、押圧基準P1を超える時点(A1)にて当該入力用オブジェクトに対する入力が受け付けられ、押圧基準がP1以下になる時点(A2)にて当該入力用オブジェクトに対する入力が確定する。
【0097】
一方、ステップS36において、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが、一旦荷重基準の値P2を超えた後にその値P2以下になったと判定された場合、ステップS41の処理に移行する。現在入力が検知されている荷重基準P1の入力用オブジェクトおいては、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが、一旦荷重基準の値P1(A1)を超えた後に続いてP1(A2)以下になれば、受け付けられた操作入力が確定する。しかしながら、ステップS36からステップS41に移行する場合、荷重基準P1の入力用オブジェクトに対してはP1を超える押圧荷重により押圧入力が可能であるのに、荷重基準P2の入力用オブジェクトに対する押圧入力が受け付けられて確定している。このような場合、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを押圧してしまったものと推認できる。
【0098】
したがって、ステップS41においては、荷重基準P1の入力用オブジェクトに対してP2を超える押圧荷重が検知された場合、続いて検出される押圧荷重がP2以下になった時点で、当該荷重基準P1の入力用オブジェクトに対する押圧入力をキャンセルする。さらに、ステップS41においては、入力を受け付けていた荷重基準P1の入力用オブジェクトに対する押圧入力がキャンセルされたことを示すために、入力用オブジェクトが押下されていることを示す表示を、ハイライト表示に戻す。ステップS41の後は、上述したステップS38の後と同様に、入力部34に対してスライド入力が検知されたか否かを判定する(ステップS39)処理を続行する。
【0099】
このように、低荷重入力受付処理において、ステップS36からステップS41を経る処理により、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを押圧してしまった場合にも対処できる。
【0100】
以下、本実施の形態による、入力用オブジェクトの押圧入力受付処理および押圧入力受付処理により、ユーザの意図とは異なる誤った入力用オブジェクトに対するユーザの入力に対処する態様について、図12を参照して説明する。
【0101】
まず、高い荷重基準(P2)の入力用オブジェクトについては、押圧荷重が、図12(A)に破線の曲線で示すように、高い荷重基準の値P2(B1)を超えた後に続いてP2(B2)以下になれば、受け付けられた操作入力が確定する。したがって、荷重基準P1の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P2の入力用オブジェクトを通常の押圧力で押圧しても、この入力は受け付けられない。なお、この場合のユーザの押圧入力は、通常の操作を行う押圧力に基づいて、図12(A)に実線の曲線で示すように、低い荷重基準の値P1(A1)を超えた後に続いてP1(A2)以下になる。以上のようにして、ユーザの意図しない入力は回避される。
【0102】
次に、低い荷重基準(P1)の入力用オブジェクトについては、押圧荷重が、図12(B)に破線の曲線で示すように、低い荷重基準の値P1(A1’)を超えた後に続いてP1(A2’)以下になれば、受け付けられた操作入力が確定する。しかしながら、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを強く押圧してしまった場合、図12(B)に実線の曲線で示すように、押圧荷重は、低い荷重基準の値P1(A1)を超える。この時点では、荷重基準P1の入力用オブジェクトが押下されたと判定されているが、入力の受け付けはまだ確定されていない。したがって、この後さらに、押圧荷重が荷重基準P2(C1)を超えた後、続いてP2(C2)以下になる時点で、押下されたと判定している荷重基準P1の入力用オブジェクトに対する入力の受付をキャンセルする。このため、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを強く押圧してしまった場合、当該荷重基準P1の入力用オブジェクトには入力がされなかったものとして扱われる。したがって、この場合も、ユーザの意図しない入力が受け付けられることはない。
【0103】
次に、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを強く押圧してしまった場合、正しい荷重基準P2の入力用オブジェクトを簡潔に押圧し直す方法について説明する。
【0104】
荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを強く押圧してしまった場合、図13に実線の曲線で示すように、押圧荷重は、低い荷重基準の値P1(A1)を超える。この後、押圧荷重が荷重基準P2(C1)を超えた後、または続いてP2(C2)以下になる時点で、制御部20は、入力用オブジェクトに対する入力受付がキャンセルされたことをユーザに通知する。具体的には、入力キャンセルの旨を知らせる音声(ビープ音など)を音声出力部80から出力したり、入力キャンセルの旨を知らせる振動を振動部50により駆動することなどが考えられる。このような通知により、ユーザは、自らの行った押圧入力が適切に行われておらず、キャンセルされたことを認識することができる。以上の動作を、図13の時間軸上においてαの範囲により示す。
【0105】
この後、入力がキャンセルされたことを認識したユーザは、上述したスライド入力により、入力部34に対する押圧入力を解除せずに移動させることで、この押圧入力を、目的とする荷重基準P2の入力用オブジェクトまで引き継ぐことができる。この時の動作を、図13の時間軸上においてβの範囲により示す。このスライド入力により、目的とする荷重基準P2の入力用オブジェクトまで押圧入力を移動させたユーザは、その荷重基準P2の入力用オブジェクトに対して押圧基準P2を超える押圧荷重の押圧入力をすることができる。この時の動作を、図13の時間軸上においてγの範囲により示す。以上のようにして、ユーザは、当初の誤入力を修正して、正しい入力用オブジェクトに対する入力を簡単に行うことができる。
【0106】
なお、本発明は、上述した実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能である。例えば、上述した実施の形態においては、入力用オブジェクトの荷重基準の値P1、P2、および所定の間隔は、予め設定することを想定したが、必要に応じて、ユーザが適宜変更または調整できるようにするのが望ましい。このようにすれば、操作中に、ユーザが押圧荷重の設定について違和感がある場合、後から適宜設定を修正することができる。
【0107】
上述した実施の形態では、入力を判定する際のアルゴリズムを簡略化するため、荷重基準P1の入力用オブジェクトも荷重基準P2の入力用オブジェクトも、各荷重基準を超えた時点では入力の受け付けを確定させずに、各荷重基準を下回った時点で入力の受け付けを確定した。しかしながら、本発明は、荷重基準P1の入力用オブジェクトについて、荷重基準P1を超えた時点では入力の受け付けを確定せず、荷重基準P1以下になった時点で入力の受け付けを確定し、一方、荷重基準P2を超えた時点で入力がキャンセルされるようにもできる。すなわち、荷重基準P1の入力用オブジェクトについて、荷重基準P1を超えた後に続けてP1以下になれば、当該荷重基準P1の入力用オブジェクトに対する入力の受け付けを確定し、また、荷重基準P1を超えた後さらに続いてP2も超えれば、当該荷重基準P1の入力用オブジェクトに対する入力の受け付けをキャンセルするようにもできる。
【0108】
また、上述した実施の形態では、入力用オブジェクト同士の間隔が当該所定の間隔未満の場合、ユーザの誤操作を防止するために、各入力用オブジェクトの荷重基準を相違させた。しかしながら、入力用オブジェクト同士の間隔が無く、隣接していたとしても、個々の入力用オブジェクトの入力受付範囲が広い場合、ユーザが入力を誤る可能性は低い。よって、このような場合、個々の入力用オブジェクトの入力受付範囲が所定の面積以上であれば、荷重基準を相違させなくてもよい。また、個々の入力用オブジェクトの入力受付範囲が広いと、ユーザが入力を誤る可能性が低いことに基づき、荷重基準を相違させるか否かの基準となる所定の間隔を入力用オブジェクトの入力受付範囲に依存させ、変動させてもよい。つまり、所定の間隔として1cmを設定したとしても、入力用オブジェクトの入力受付範囲が広い場合、入力用オブジェクトの間隔が0.1cm未満にならなければ荷重基準が相違せず、また、入力用オブジェクトの入力受付範囲が狭い場合、入力用オブジェクトの間隔が2cm未満になったら荷重基準が相違するようにしてもよい。
【0109】
上述した実施の形態では、最も単純な例として、荷重基準がP1およびP2の2つの場合を説明したが、必要に応じて、この荷重基準を3つ以上にしてもよい。
【0110】
また、上述した実施の形態では、入力用オブジェクトに対する入力受付がキャンセルされた際に、振動部50を振動させることによりユーザに通知した。本発明においては、振動によるユーザへの通知は必須の要素ではないが、入力受付がキャンセルされた場合以外にも、上述した各種の入力に対する反応として振動部50による振動を提供することにより、ユーザビリティの向上が期待できる。
【0111】
例えば、荷重基準の値がP1である入力用オブジェクトに対して、図4に示すP1(A1)を超える押圧荷重が荷重検出部40により検出された時点で、制御部20は、図14(A)に示すような波形の振動を振動部50に発生させる。この後、当該入力用オブジェクトに対して、図4に示すP1(A2)以下となる押圧荷重が荷重検出部40により検出された時点で、制御部20は、図14(B)に示すような波形の振動を振動部50に発生させる。また、荷重基準の値がP2である入力用オブジェクトに対して、図4に示すP2(B1)を超える押圧荷重が荷重検出部40により検出された時点で、制御部20は、図14(C)に示すような波形の振動を振動部50に発生させる。この後、当該入力用オブジェクトに対して、図4に示すP2(B2)以下となる押圧荷重が荷重検出部40により検出された時点で、制御部20は、図14(D)に示すような波形の振動を振動部50に発生させる。
【0112】
これにより、ユーザは、各入力用オブジェクトについて、押圧荷重P1または押圧荷重P2による入力が、それぞれ適切に受け付けられたことを区別して認識できる。
【符号の説明】
【0113】
10 携帯電話
20 制御部
30 タッチパネル
32 表示部
34 入力部
40 荷重検出部
50 振動部
60 記憶部
70 音声入力部
80 音声出力部
90 キー入力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関するものであり、特に、タッチパネルを有する入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話のような携帯端末において、ユーザが端末の操作を行う際に使用する入力装置は、各端末の機能や用途に応じて様々なものが開発されている。多くの場合、携帯端末本体の表面に予め配設された機械式のキーまたはボタンなどを、ユーザが指などで直接押下することによって、入力操作を行う構成になっている。
【0003】
このような端末における入力装置の機械的なキー(例えばテンキー等)は、当該端末の主要な用途に応じて予め配置されているのが普通であり、一般的に、最初に規定されたキーの物理的配置を、後から変更することはできない。
【0004】
ところで、最近では、携帯電話にデジタルカメラや音楽再生の機能を搭載したものがあるように、小型の携帯端末に多種多様な機能が組み込まれている。携帯電話のように、端末の主要な用途以外に補助的な機能が数多く搭載されているものや、PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)等のように、1つの端末でスケジュール管理や住所録など、主要な用途を複数有するものもある。このような端末においては、キーの配置が固定されていると、使用する機能によっては、操作入力時に著しく不便さを感じることがある。
【0005】
このような操作入力の際の不便さを解消するために、表示部を構成する液晶表示画面の前面に透明な入力部を重ねて配設することにより構成したタッチパネルを備える入力装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このようなタッチパネルを有する入力装置は、一般的に、タッチパネルの表示画面上に、操作キーやボタンなどの画像(以下、「入力用オブジェクト」と記す)を表示する。表示画面上に表示された入力用オブジェクトをユーザが押圧すると、その位置に対応するタッチパネルの入力部が入力を受け付けるようになっている。
【0006】
上記特許文献1に記載の折り畳み型携帯電話機は、タッチパネルの表示画面上に任意に入力用オブジェクトの配置を表示させて、ユーザの操作入力を受け付けることができ、自由なキーなどの配置を構成することが可能である。したがって、この携帯電話機は、端末の各機能を切り替える毎に、その機能に応じて入力用オブジェクトの配置を自在に変更することにより、極めて良好な操作性を提供することができる。例えば、携帯電話機に搭載されているデジタルカメラ機能を使用する際は、タッチパネル上にデジタルカメラ用の操作部を構成する入力用オブジェクトを表示して操作入力を受け付けることができる。一方、この携帯電話機を用いて電子メールなどの文字を入力する際は、タッチパネル上にパーソナルコンピュータ(PC)のようなキーボードを構成する入力用オブジェクトを表示して入力を受け付けることができる。このように、タッチパネルを備えることにより、1つの入力装置を、複数の機能にそれぞれ最適化して操作入力を受け付けることができる。
【0007】
また、タッチパネルを有する入力装置は、表示部上に表示された入力用オブジェクトにユーザが指先などで直接触れる(タッチする)入力方式により入力を受け付けるため、ユーザは極めて直感的な操作を行うことができる。すなわち、ユーザは、タッチパネルの画面に表示された案内に従って、画面に表示された入力用オブジェクトに指先などで直接触れることにより操作を行う。このため、ユーザは、画面に表示された誘導に応じて直感的な操作により非常に容易に端末を動作させることができ、結果的に誤操作を低減させる効果も期待できる。
【0008】
このように、タッチパネルを備える携帯端末を用いて、現在、通常の携帯電話による通話や電子メール作成の際の操作入力のみならず、インターネットを利用して配信されるコンテンツの視聴やウェブ閲覧(ブラウズ)の際の操作入力を行うこともできる。また、このようなタッチパネルを有する入力装置は、携帯端末以外においても、例えば銀行などのATM(現金自動預入支払機)や、駅などの券売機に配設され、現在日常的に利用されている。さらに、ファーストフード店などの店舗においては、従業員が顧客の注文を処理する際、上述したようなタッチパネルを有する入力装置を備えた端末装置を用いて業務が行われている。入力装置にタッチパネルを用いることにより、タッチパネル以外のキーボードなどの、機械式の操作ボタンまたはキーなどは必須の要素ではなくなる。したがって、端末装置本体に機械式の操作ボタン等を配置する領域が少なくて済むため、端末装置自体を全体的に小型化することができ、様々な店内や駅構内などにおける端末装置の設置場所の自由度を高めることもできる。
【0009】
また、入力装置にタッチパネルを用いれば、従来一般的である機器の構成のように、各種情報を表示する表示部と、ユーザの操作入力を受け付ける入力部とを、別個の機能部として構成する必要はなく、情報表示部と入力部とを一画面上に構成することができる。したがって、例えば、タッチパネル上にキーボードのキーを構成する入力用オブジェクトの配列を表示させてユーザの入力を受け付け、さらに、この入力結果を、当該タッチパネル上のキーボードのそばに表示させることもできる。このようにすれば、ユーザは、一画面上で、入力操作と、その入力操作による入力結果の確認を行うことができる。
【0010】
以上説明したように、タッチパネルは、入力部と表示部とを同一画面上に構成することができ、なおかつその操作入力を直観的に行うことができるというメリットのため、このような入力装置を有する端末装置はますます増加傾向にある。
【0011】
しかしながら、タッチパネルを有する入力装置においては、入力部と表示部とを同一画面上に構成して、直観的な操作入力を受け付けるがために生じる特有の問題点もある。すなわち、タッチパネルは、入力用オブジェクトを自由に配置して表示部を構成することができるが、通常は入力部の全表面が平坦なため、入力用オブジェクトと入力用オブジェクト以外の部分との境界を、ユーザが触覚により判定することは困難である。また、タッチパネルに対して入力を行う際、ユーザは自らの指やスタイラスなどで入力部に直接触れるため、押圧入力を行う瞬間は入力用オブジェクトが隠れてしまい、ユーザは操作入力を視認できないことも多い。
【0012】
したがって、ユーザは、自らの指先が触れているのが入力用オブジェクトの存在する位置であるか否かを指先の感触で判断することはできないため、意図する位置と異なる位置を押してしまう恐れが常にある。すなわち、意図する位置と微妙に異なる位置を押してしまい、入力しようとする入力用オブジェクトから外れた部分を押圧してしまったり、入力しようとする入力用オブジェクトの隣の入力用オブジェクトを押圧してしまう危険性がある。入力しようとする入力用オブジェクトを指で押圧する際には、当該入力用オブジェクトの表示が隠れてしまうため、このように意図する入力ができない恐れは一層高くなる。
【0013】
また、上述のようにユーザが意図しない入力が入力装置に受け付けられてしまうと、これに基づいてユーザの意図しない動作が開始される場合がある。このような場合、ユーザは、当該意図しない動作を取り消す(キャンセルする)ために追加の操作を行わなければならないという手間が発生する。さらに、当該意図しない動作によって、それまで起動していた重要な処理動作を終了させてしまった場合、リカバリのきかない状況に陥ることもあり得る。したがって、ユーザの意図しない入力に基づいて意図しない動作が開始される恐れは、少しでも低減させることが望まれる。
【0014】
このような事情に対処する一助となり得る技術として、タッチパネルに対する入力の押圧力を検知する手段を設け、ユーザのタッチパネルに対する入力の位置および押圧力に応じて、タッチパネル表面の高低を変化させる機構を備える入力装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−311224号公報
【特許文献2】特許第4039344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記特許文献2に記載の入力装置によれば、タッチパネルの表示部に表示された入力用オブジェクトに対するユーザの入力があった場合、タッチパネルの高低を変化させることにより、ユーザが触れている位置が入力用オブジェクトであることを示すことができる。すなわち、例えば、ユーザが入力用オブジェクトに触れた場合、入力用オブジェクト以外の箇所を触れた場合よりもタッチパネル表面の高さを高くすることにより、ユーザが触れている位置が入力用オブジェクトであることを示す。さらに、この入力装置は、タッチパネルの入力用オブジェクトに対応する位置にユーザが軽く触れたことが認識された場合、入力用オブジェクトを拡大表示して見易くするなどしている(例えば、特許文献2の図7および図10等参照)。このような種々の措置を講ずることにより、特許文献2に記載の入力装置は、ユーザの誤操作を避けるべく入力を支援している。
【0017】
この入力装置によれば、ユーザは、自らの指先が触れているタッチパネルの位置に入力用オブジェクトが存在するか否かを、指の感触で判別することができる。また、ユーザが触れている入力用オブジェクトを拡大表示する態様にできるため、ユーザが指先で入力用オブジェクト触れていても、それにより隠れてしまう部分を相対的に小さくすることができる。したがって、この入力装置によれば、ユーザの意図しない入力が受け付けられてしまう恐れは低減し得る。
【0018】
しかしながら、このような技術を、例えば携帯電話のような小型の携帯端末に適用するに際しては、いくつかの不都合も存在する。すなわち、上述したようなタッチパネル表面の高低を変化させる機械的な機構は、当該タッチパネルの表面の変化幅よりも相当大きな幅を必要とする。これは、タッチパネルの高低を変化させる機械的な駆動装置がある程度の大きさを必要とするためと、さらに、タッチパネル全体の高低を変化させる空間を確保する必要があるためである。最近の携帯電話機の開発においては、可能な限りの小型化が求められており、タッチパネル表面の高低を変化させる機械的な機構を携帯電話機の本体に搭載するにあたっては、技術上の困難を伴うことが想定される。
【0019】
また、携帯電話のような小型の携帯端末は、銀行のATMや駅の券売機など大型の端末の場合と異なり、表示部を兼ねるタッチパネルそのものの大きさも相当な制約を受けるため、入力用オブジェクトを表示する表示部も必然的に小型になる。その一方で、タッチパネルに対するユーザの各種入力を受け付ける必要もあるため、小型の携帯端末であっても、入力用オブジェクトも各種のものを多数表示する必要もある。そのため、ユーザが入力用オブジェクトに触れた際に入力用オブジェクトを拡大表示することも、携帯端末の場合には困難であることが想定される。
【0020】
また、このように限られた面積のタッチパネルに多数の入力用オブジェクトを表示した場合、上述のようにタッチパネルの高低を変化させて、ユーザが触れている位置が入力用オブジェクトであるか否かを示すことも実際上困難であると考えられる。特に、大きさの制限された多数の入力用オブジェクトを隣り合わせて表示した場合、これらの入力用オブジェクト同士の間隔はほとんど、あるいは全く存在しない。そのため、これらの各入力用オブジェクトの縁部(キーのエッジに相当する部分)を、タッチパネルの高低を変化させることによりユーザに認識させることは非常に困難であると考えられる。したがって、携帯電話のような小型の携帯端末のタッチパネル上に、多数の小さな入力用オブジェクトを隣り合わせて表示する場合、上記特許文献2の技術を適用することによりユーザの誤入力を低減させることは困難であると予想される。
【0021】
一般に、小型のタッチパネルに多数の入力用オブジェクトが隣り合って表示されるような場合、ユーザがそれぞれの入力用オブジェクトに対する入力を正確に区別して行うことは困難になり易い。そのため、ユーザは、意図と異なる誤操作をしてしまい、その誤操作に基づいてユーザの意図と異なる動作が開始されてしまう場合もある。
【0022】
特に、携帯電話のような小型の携帯端末の場合、限られた面積のタッチパネルに多数の入力用オブジェクトを表示するのみならず、入力を行うユーザが、歩きながら入力を行ったり、または他の動作を行いながら入力を行うこともあるという特殊な事情もある。このようにユーザが注視していないような場合であっても、多数の入力用オブジェクトに対する入力をユーザの意図通りに受け付けて、ユーザの誤操作を回避することが望まれる。さらに、ユーザが意図と異なる入力を誤って行ってしまった際にも、その入力に基づいてユーザの意図と異なる動作が開始されることを回避するような入力装置も望まれている。
【0023】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、例えば携帯端末に搭載されるようなタッチパネルにおいて、複数の隣り合う入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける際、ユーザの誤操作に基づく誤動作を回避する入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成する請求項1に係る入力装置の発明は、
入力用オブジェクトを表示する表示部と、
前記表示部に表示される前記入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける入力部と、
前記入力部に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が荷重基準を満たした際に、前記押圧入力を受け付けるように制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
互いに隣り合う複数の前記入力用オブジェクトに対する前記押圧入力を受け付ける荷重基準を、第1の荷重基準と、該第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準と、に相違させるように制御すると共に、
前記第1の荷重基準の入力用オブジェクトに対する押圧入力に係る押圧荷重が前記第2の荷重基準を満たした場合、当該押圧入力を受け付けないように制御することを特徴とするものである。
【0025】
請求項2に係る発明は、請求項1の記載の入力装置において、
前記制御部が、
前記第1の荷重基準の入力用オブジェクトに対する押圧入力に係る押圧荷重が前記第2の荷重基準を満たした後に当該第2の荷重基準を下回った場合、当該押圧入力を受け付けないように制御するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の入力装置によれば、タッチパネルの入力部に対する押圧荷重を検出し、ある入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準と、この入力用オブジェクトと隣り合っている入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準と、を相違させる。したがって、小型のタッチパネルの入力部において多数の入力用オブジェクトを隣接して表示させたとしても、ユーザは、各入力用オブジェクトに対する入力を区別して行うことができる。
【0027】
特に、荷重基準が低い入力用オブジェクトに対する押圧入力の押圧荷重が、荷重基準が高い入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準を満たす場合、荷重基準が低い方の入力用オブジェクトに対する押圧入力は受け付けられない。したがって、ユーザが、荷重基準が高い入力用オブジェクトに対する押圧入力を意図しつつ、誤って、荷重基準が低い入力用オブジェクトに対して押圧入力をした場合でも、ユーザの意図と異なる入力用オブジェクトに対する押圧入力は受け付けらない。これらより、ユーザの意図しない入力に基づいて意図しない動作が開始されることは回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る入力装置を備える携帯電話の外観斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る携帯電話の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図2に示した携帯電話のタッチパネル、荷重検出部、および振動部の実装構造の例を説明する図である。
【図4】ユーザがタッチパネルの入力部を押圧する際の、荷重検出部が検知する荷重(押圧力)の時間変化の例を概略的に表すグラフである。
【図5】本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理を説明するフローチャートである。本実施の形態による入力用オブジェクトの押圧入力受付処理を説明するフローチャートである。
【図6】本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理に基づく表示部の表示例を示す図である。
【図7】本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理に基づく表示部の他の表示例を示す図である。
【図8】本実施の形態による入力用オブジェクトの押圧入力受付処理を説明するフローチャートである。
【図9】本実施の形態による高荷重入力受付処理を説明するフローチャートである。
【図10】本実施の形態によるハイライト表示および押下表示を説明する図である。
【図11】本実施の形態による低荷重入力受付処理を説明するフローチャートである。
【図12】入力用オブジェクトの押圧入力受付処理において、荷重検出部が検知する荷重(押圧力)の時間変化の例を概略的に表すグラフである。
【図13】入力用オブジェクトの押圧入力受付処理において、スライド入力を含む入力について、荷重検出部が検知する荷重(押圧力)の時間変化の例を概略的に表すグラフである。
【図14】本実施の形態に係る携帯電話の振動部が発生する振動の波形の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態では、本発明の入力装置を具える携帯端末の一例として、携帯電話を想定して説明する。しかしながら、本発明の入力装置が適用できる携帯端末は携帯電話に限定されるものではなく、例えばPDAなどタッチパネルを有する任意の携帯端末などに適用できる。また、本発明は、タッチパネルを有する携帯端末に限定されるものでもなく、上述したような銀行のATMや駅の券売機など、タッチパネルを有する任意の入力端末にも適用できる。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係る入力装置を備える携帯電話10の概略構成を示す外観斜視図である。この携帯電話10は、端末本体の前面に、一部切り欠いて示すように、液晶ディスプレイ(LCD)または有機ELディスプレイなどに種々の情報およびキーやボタンなどの形状を描画してこれらの配列を表示する表示部32を備えている。また、この表示部32の前面には、ユーザの指やスタイラスペンなどによる入力を受け付けるマトリクススイッチ等で構成した入力部34を配設する。本実施の形態では、これら表示部32と入力部34とを含めてタッチパネル30を構成している。携帯電話10はさらに、マイクなどにより構成される音声入力部70、スピーカなどにより構成される音声出力部80、および、少なくとも1つの機械的なキーにより構成されるキー入力部90も備えている。
【0031】
他にも、携帯電話10は、必要な機能に応じて、デジタルカメラ機能部、ワンセグ放送用チューナ、赤外線通信機能部などの近距離無線通信部、および各種インタフェース等を備える場合もあるが、これらの詳細については図示および説明を省略する。
【0032】
図2は、本実施の形態に係る携帯電話10の内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。図2に示すように、携帯電話10は、制御部20と、タッチパネル30と、荷重検出部40と、振動部50と、記憶部60と、音声入力部70と、音声出力部80と、キー入力部90と、を備えている。制御部20は、携帯端末10の各機能ブロックをはじめとして携帯端末10全体を制御および管理する。タッチパネル30は、上述したように、ユーザからの入力を受け付ける入力部34を、表示部32の前面に重畳させて配設することにより構成する。このような構成により、タッチパネル30は、ユーザからの操作入力を受け付けると共に、各アプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」と略記する)に応じて入力結果など各種情報の表示を行う。
【0033】
タッチパネル30の入力部34は、ユーザの指先やスタイラス等の接触(押圧)による入力を検知することにより、当該接触による入力が検知された位置に対応する信号を出力する。このタッチパネル30は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式などの公知のものを用いて構成する。表示部32は、各アプリケーションに対応する表示を行う他、入力部34へのユーザの操作入力を受け付ける各種キーやボタンなどで構成するユーザインタフェースを所定の表示領域に描画して表示する。本実施の形態においては、このように、タッチパネル30の入力部34に対するユーザの操作入力を受け付けるために、表示部32に表示する各種キーやボタンなどの画像を「入力用オブジェクト」と記す。
【0034】
荷重検出部40は、タッチパネル30(または入力部34)に対する押圧荷重を検出するもので、例えば歪みゲージセンサを用いて構成する。振動部50は、タッチパネル30を振動させるもので、例えば、圧電素子または超音波振動子などを用いて構成する。なお、荷重検出部40および振動部50と、タッチパネル30との構成上の関係については後述する。
【0035】
記憶部60は、各種アプリケーションおよび入力された各種情報などを記憶するとともに、ワークメモリなどとしても機能する。また、記憶部60は、各アプリケーションに応じて使用される各種の入力用オブジェクトを含んだ複数のテンプレートなども記憶する。
【0036】
音声入力部70は、ユーザの音声などを入力信号に変換して制御部20に伝達する。音声出力部80は、制御部20から伝達された音声信号を音声に変換して出力する。キー入力部90は、ユーザによる操作入力に応じて、対応する信号を制御部10に送信する。キー入力部90を構成する各種キーは、使用するアプリケーションに従って、その用途および機能が規定される。
【0037】
なお、携帯電話10はさらに、音声通話および電子メールのデータなど各種情報をインターネットや無線通信等を介して基地局と送受信するアンテナおよび無線通信部など、通常の携帯電話としての機能を提供するために必要な各種機能部も備えている。しかしながら、これらは全て公知技術のものと特に変わるところはないため、説明を省略する。
【0038】
次に、上述した荷重検出部40および振動部50と、タッチパネル30との構成上の関係について説明する。
【0039】
図3は、図2に示した携帯電話10のタッチパネル30、荷重検出部40、および振動部50の実装構造の一例を示す図である。図3(A)は要部断面図であり、図3(B)は要部平面図である。
【0040】
タッチパネル30に各種の入力用オブジェクトを表示する表示部32は、筐体12内に収納保持する。表示部32上には、弾性部材からなるインシュレータ36を介して、入力部34を保持する。なお、本実施の形態に係る入力装置は、表示部32および入力部34を平面視で矩形状とする。図3においては、タッチパネル30は、正方形状として示してあるが、タッチパネル30を実装する携帯端末の仕様に応じて、長方形としてもよい。また、この入力装置は、入力部34を、図3(B)に仮想線で示す表示部32の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ36を介して、表示部32に保持する。
【0041】
また、筐体12には、表示部32の表示領域から外れた入力部34の表面領域を覆うようにアッパカバー14を設け、このアッパカバー14と入力部34との間に、弾性部材からなるインシュレータ16を配設する。
【0042】
なお、入力部34は、例えば、表面すなわち操作入力を受け付ける面が透明フィルムで構成され、裏面がガラスで構成され、操作面が押圧されると、押圧力に応じて表面の透明フィルムが微少量撓む(歪む)構造のものを用いる。
【0043】
さらに、本実施の形態に係る入力装置は、入力部34の表面の透明フィルム上で、アッパカバー14で覆われる各辺の近傍に、入力部34に加わる押圧荷重(押圧力)を検出するための歪みゲージセンサをそれぞれ接着等により設ける。また、入力部34の裏面のガラス面上で、対向する2つの辺の近傍には、入力部34を振動させるための圧電素子または超音波振動子などを、それぞれ接着等により設ける。すなわち、図3に示す入力装置は、図2に示した荷重検出部40を4つの歪みゲージセンサを用いて構成し、振動部50を2つの振動子を用いて構成する。なお、図3(B)は、図3(A)に示した筐体12、アッパカバー14、およびインシュレータ16の図示を省略している。
【0044】
本実施の形態に係る入力装置は、制御部20において、入力部34で検知される入力を監視するとともに、荷重検出部40で検出される押圧荷重を監視する。制御部20は、入力部34で検知された押圧入力が表示部32に表示された入力用オブジェクトに対する入力で、かつ、荷重検出部40により検知される押圧荷重が、当該入力を受け付ける際の所定の基準を満たした際に、当該入力を正規の入力として受け付ける。以下、このような「入力を受け付ける際の基準」を、単に「荷重基準」と記す。なお、荷重検出部40は、例えば、4つの歪みゲージセンサの出力の平均値から荷重を検出する。
【0045】
また、振動部50は、例えば、2つの超音波振動子を同相で駆動する。入力部34に対して所定の押圧入力が行われた場合、制御部20は、振動部50に振動を発生させて、入力部34を押圧しているユーザの指もしくはスタイラスペンなどの押圧物に対して振動を伝えるように制御する。このように、所定の押圧入力が行われた際に発生する振動部50の振動により、ユーザは、自らの行った押圧入力が適切に受け付けられたことを認識することができる。
【0046】
次に、本実施の形態による、入力用オブジェクトの荷重基準について説明する。図4は、ユーザがタッチパネル30の入力部34を押圧する動作により操作入力を行う際の、荷重検出部40が検出する押圧荷重(押圧力)の時間変化の例を概略的に表すグラフである。一般的に、ユーザは、タッチパネル30の入力部34を押圧する動作(押圧入力)を行う際、入力部34に触れてから、入力が受け付けられたと判断できる時点までは、入力部34に対する押圧力を増大し続ける(つまり入力部34を押し込む動作を行う)。また、ユーザは、入力が受け付けられたと判断した時点からは、入力部34に対する押圧力を低減する(つまり入力部34から指などを離そうとする動作を行う)。したがって、荷重検出部40が検出する荷重は、図4に示す曲線のように、左から右に時間の経過に従って最初は右上がりに増大し、途中から右下がりに減少する。
【0047】
以下、本実施の形態による、入力用オブジェクトの荷重基準設定処理を行うための初期設定について説明する。本実施の形態では、入力用オブジェクトの荷重基準設定処理を行う前提として、まず、表示部32に表示されている入力用オブジェクトに対して通常の操作入力を行うための、入力部34に入力がされたと判定する荷重基準P1を予め設定する。この際、荷重基準の値P1は、ユーザが表示部32に対して通常の操作入力を行う際の普段の押圧力に基づいて設定する。この設定に基づいて、ユーザが通常の操作入力を行う際の普段の押圧力として、P1(A1)を超える押圧荷重が荷重検出部40によって検出された場合、制御部20は、表示部32に表示されている入力用オブジェクトが押下されたと判定する。また、(A1の後)押圧された入力用オブジェクトに対してP1(A2)を割り込んだ押圧荷重が荷重検出部40によって検知された場合、制御部20は、押下中の入力用オブジェクトに対する操作入力が完了(確定)したと判定する。
【0048】
このように、荷重基準の値P1を設定することにより、ユーザが入力部34にごく軽く触れただけで入力として判定してしまうことを防ぎ、これにより、ユーザの意図しない入力を回避することができる。
【0049】
また、このように荷重基準の値P1を設定することにより、入力部34上で同一位置(同じ入力用オブジェクト)を連続して複数回押圧する連打入力を行う場合、ユーザは、1回の入力ごとに入力部34から指を離すことなく連打入力を行うことができる。すなわち、入力部34上にユーザの指が触れたままであっても、ユーザは、指の押圧力の強弱を調整して、荷重基準の値P1に対して連続して押圧力を上下させるような入力を行うことにより、当該入力を連打入力として入力部34に認識させることができる。このような入力方法は、ユーザにとっては指を動かすストロークが少なくて済むため、ユーザは、この入力方法に習熟することにより、より少ない動きで素早く楽に入力を行うことができる。
【0050】
次に、本実施の形態では、ユーザが入力部34に対して通常の操作入力を行う際の普段の押圧力よりも大きな(強い)押圧力に基づいて、荷重基準の値P2を設定する。本実施の形態では、このように設定した荷重基準の値P2を超える押圧を、上述した荷重基準の値がP1である入力用オブジェクトと隣り合っている入力用オブジェクトに対する入力として受け付ける。このため、荷重基準の値がP1の入力用オブジェクトと隣り合っている入力用オブジェクトに対して、P1より大きな押圧力P2(B1)を超える押圧荷重が荷重検出部40によって検出された場合、制御部20は、当該隣り合っている入力用オブジェクトが押下されたと判定する。また、(B1の後)押圧された当該隣り合っている入力用オブジェクトに対してP2(B2)を割り込んだ押圧荷重が荷重検出部40によって検出された場合、制御部20は、押下中の入力用オブジェクトに対する操作入力が完了(確定)したと判定する。すなわち、制御部20は、表示部32に表示されている入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準P1よりも、当該入力用オブジェクトと隣り合って表示された入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準を高く(P2)するように制御する。
【0051】
したがって、荷重基準の値がP1の入力用オブジェクトと隣り合っている入力用オブジェクトに対して、ユーザが通常の操作入力を行う際の普段の(P2に達しない)押圧力で押圧しても、この押圧入力は、当該隣り合っている入力用オブジェクトに対する入力として受け付けられない。ユーザが通常の操作入力を行う際の普段の押圧力(P1)よりも大きなP2を超える押圧力で押圧された場合に初めて、この押圧入力は、当該隣り合って表示された入力用オブジェクトに対する入力として受け付けられる。
【0052】
なお、上述の説明では、例として、荷重基準(P1,P2)の値を「押圧荷重のしきい値」に見立て、荷重基準の値を「超えた」場合に「荷重基準が満たされた」と判定する態様について説明した。以下も、このような態様により判定する場合について説明するが、「荷重基準が満たされた」と判定できる態様はこれに限定されるものではなく、いくつもの態様を含むことが想定できる。例えば、入力用オブジェクトに対するユーザの押圧入力による押圧荷重が上記荷重基準の値に「達した」場合に荷重基準が満たされたと判定することもできる。また、上記荷重基準の値を示す押圧荷重が荷重検出部40によって「検出された」場合に荷重基準が満たされたと判定することもできる。
【0053】
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理について説明する。本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理は、制御部20が、入力用オブジェクトにより構成されるユーザインタフェースをタッチパネル30の表示部32上に表示するアプリケーションを起動する要求(命令)を受けることにより開始する。ユーザインタフェースを表示するアプリケーションを起動する命令を受けると、制御部20は、記憶部60に記憶されている各種ユーザインタフェースのテンプレートの中から、上述した要求に対応するテンプレートを読み込む(ステップS1)。
【0054】
ユーザインタフェースのテンプレートを読み込んだら、制御部20は、テンプレートに含まれる入力用オブジェクトが複数であるか否かを判定する(ステップS2)。テンプレートに含まれる入力用オブジェクトが複数である場合、制御部20は、次に、隣り合った入力用オブジェクトが所定の間隔未満で配置される仕様になっているか否かを判定する(ステップS3)。なお、所定の間隔については、後述する。テンプレートに含まれる入力用オブジェクトが複数で、かつ、隣り合った入力用オブジェクトが所定の間隔未満で配置される場合、制御部20は、これらの入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準が相違(P1およびP2)するように、各入力用オブジェクトの荷重基準を設定する(ステップS4)。
【0055】
ステップS4にて各入力用オブジェクトの荷重基準の設定が完了したら、制御部20は、これらの各入力用オブジェクトを表示部32に表示して、ユーザからの入力を受け付ける(ステップS5)。なお、ステップS2において入力用オブジェクトが複数でない場合、すなわち入力用オブジェクトが1つしかない場合には、当該入力用オブジェクトに通常の荷重基準(P1)を設定してから(ステップS6)、ステップS5に移行する。また、ステップS3において複数の入力用オブジェクトが互いに所定の間隔以上の間隔で配置される場合にも、それらの入力用オブジェクトに通常の荷重基準(P1)を設定してから(ステップS6)、ステップS5に移行する。
【0056】
以上の処理により、複数の入力用オブジェクトが隣り合って配置される場合に、各入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける荷重基準が相違する態様で配置される。前述した所定の間隔とは、入力用オブジェクト同士の間隔が当該所定の間隔未満の場合、ユーザが入力を誤って、意図する入力用オブジェクトとは異なる入力用オブジェクトを押圧してしまう可能性が高まるとして設定する間隔である。ここで、所定の間隔として設定される間隔は、入力用オブジェクト同士の端部から端部の距離とすることができるし、また、入力用オブジェクト同士の中心部から中心部の距離とすることもできる。以下、上述した処理の結果を、典型的な実施例につき具体的に説明する。
【0057】
例えば図6(A)に示すように、ユーザメモ作成アプリケーションを起動している場合を説明する。このアプリケーションは、タッチパネル30の表示部32のほぼ下半分に文字入力用オブジェクトを表示して、入力部34に対するユーザの入力を受け付ける。なお、このユーザメモ作成アプリケーションは、文字入力用オブジェクトを互いに所定の間隔以上離間して表示する。したがって、本例では、ユーザが入力を誤って、意図する入力用オブジェクトとは異なる入力用オブジェクトを押圧してしまう可能性は低いため、これらの文字入力用オブジェクトには、それぞれ通常の荷重基準(P1)を設定する。なお、本例のように、仮名文字に対応したテンキーを用いて、キーの入力回数に応じて、各キーに対応する仮名文字を「あいうえお順」に遷移させることにより文字を1文字ずつ入力する方式は、従来「マルチタップ入力方式」として公知技術のため説明を省略する。
【0058】
図6(A)に示すような文字の入力を完了した後、ユーザがこのメモを記憶部60(メモリ)に保存する場合、タッチパネル30の表示部32の左上に示す「機能」の入力用オブジェクトに触れて、図6(B)に示すような、いわゆるプルダウン表示を出現させる。この「機能」のプルダウン表示には、「保存」および「削除」の入力用オブジェクトが含まれている。これら2つの入力用オブジェクトが互いに所定の間隔未満で配置される場合、上述した荷重基準設定処理により、「保存」の入力用オブジェクトと「削除」の入力用オブジェクトとは、押圧入力を受け付ける荷重基準が相違する態様で配置される。この場合、この「削除」の入力用オブジェクトのように、互いに隣り合う入力用オブジェクトの一方が、リカバリのきかない(重要な)動作に係るものである場合、この入力用オブジェクトには、例えば3N(ニュートン)とする荷重基準の値P2を設定する。また、この「保存」の入力用オブジェクトのように、荷重基準の値がP2である入力用オブジェクトと隣り合っている入力用オブジェクトには、例えば1Nとする荷重基準の値P1を設定する。
【0059】
このように、入力用オブジェクトの荷重基準を相違させて配置することにより、例えば、ユーザが「保存」のオブジェクトを押圧しようと意図していたが誤って「削除」のオブジェクトを押圧してしまった場合に対処することができる。すなわち、「削除」のオブジェクトに対して、通常の操作入力を行う際の普段の(P2を超えない)押圧力による入力は受け付けられない。「削除」のオブジェクトに対する入力を行うためには、ユーザは、意図的に、通常の操作入力を行う際の普段の押圧力(P1)より大きな荷重基準の値(P2)を超える押圧荷重により操作入力を行う必要がある。
【0060】
また、タッチパネル30が、複数の入力用オブジェクトに対する入力を同時に受け付ける機能を有する場合でも、上述したのと同様な対処を行うことができる。すなわち、ユーザが「保存」のオブジェクトを押圧しようと意図していたが、誤って(または入力部34を押圧する指の接触面積がはみ出すことにより)「保存」と「削除」の入力用オブジェクトを両方同時に押圧してしまう恐れがある。このような場合でも、「削除」のオブジェクトに対して、通常の操作入力を行う際の普段の(P2を超えない)押圧力による入力は受け付けられない。なお、上述の場合と逆に、ユーザが「削除」のオブジェクトを押圧しようと意図していたが誤って「保存」のオブジェクトを押圧してしまった場合の対処については、後述する。
【0061】
このように、本実施の形態では、普段の操作入力に基づく(P1を超える)押圧荷重により入力を受け付ける入力用オブジェクトと隣り合って配置される入力用オブジェクトに対しては、普段の操作入力に基づく押圧荷重よりも大きな(P2を超える)荷重に設定する。普段の操作入力よりも大きな(重い)押圧荷重による入力は、通常の入力方法として想定される各種の入力態様(例えば長押しや、ダブルクリックのような2度押しなど)とは異なる入力である。したがって、荷重基準がP2である入力用オブジェクトに対して、通常の入力方法として想定される各種の入力態様による入力は受け付けられないため、ユーザが意図せずに誤って行ってしまった入力は有効な入力として受け付けられることはない。すなわち、ユーザの意図しない誤操作による入力は回避される。
【0062】
なお、本実施の形態の処理により入力用オブジェクトを互いに隣り合わせて配置する場合、荷重基準の値がP2である入力用オブジェクトに対する入力は通常の操作入力時よりも強い押圧力で入力する必要があることを、ユーザに示唆する表示を行うのが好適である。例えば、図6(C)に示す「削除」のキーの入力用オブジェクトのように、強い押圧力で入力する必要がある入力用オブジェクトは、他のキーの入力用オブジェクトとは異なる色で表示部32に表示する。これにより、異なる色の入力用オブジェクトは、荷重基準の値がP2である入力用オブジェクトであることを強調することができる。また、このような入力用オブジェクトを表示部32に表示する際には、例えば「『削除』キーの入力は強めにタッチして下さい」等の文字を表示部32の所定位置に表示してもよい。
【0063】
また、他の実施例について説明する。図7に示すユーザメモ作成アプリケーションによる画面表示は、タッチパネル30の表示部32に表示された文字入力用オブジェクトの構成は図6に示したものと類似するが、ユーザの入力結果(メモ)を表示する領域が大きめになっている。そのため、ユーザの押圧入力を受け付ける文字入力用オブジェクトを配置する領域が相対的に小さい。このような場合、図7に示すように、各入力用オブジェクトの面積をそれぞれ縮小するとともに、入力用オブジェクト同士の間隔を狭くして表示する。この入力用オブジェクト同士の間隔が所定の間隔未満である場合、本実施の形態による入力用オブジェクトの荷重基準設定処理に基づいて、制御部20は、間隔が所定の間隔未満で隣り合う入力用オブジェクトについて、それぞれ異なる荷重基準を設定する。
【0064】
本実施の形態による荷重基準設定処理により、例えば図7に示すように、異なる荷重基準の入力用オブジェクトが交互に配置される。図7に示す例では、異なる荷重基準により入力用オブジェクトが配置されていることを示すために、強い押圧力で入力する必要がある入力用オブジェクトは色を変更して表示している。すなわち、色の濃い(破線のハッチングを施した)入力用オブジェクトは、通常の操作入力を行う際の荷重基準(P1)より大きな荷重基準(P2)が設定されていることを示している。一方、通常の色の(白抜きした)入力用オブジェクトは、通常の荷重基準(P1)が設定されていることを示している。
【0065】
このように荷重基準が設定された結果、タッチパネル30の入力部34は、通常の荷重基準(P1)が設定された入力用オブジェクトと隣り合わせて、通常の荷重基準(P1)よりも大きな荷重基準(P2)が設定される配置になる。すなわち、通常の荷重基準(P1)が設定された入力用オブジェクトと、通常の荷重基準(P1)よりも大きな荷重基準(P2)が設定された入力用オブジェクトとが、1つおきに配置される。したがって、複数の入力用オブジェクトが密集して隣り合う場合であっても、ユーザは、これらの入力用オブジェクトの入力を区別して行うことができる。
【0066】
なお、このように荷重基準が設定された結果、低い荷重基準(P1)の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って高い荷重基準(P2)の入力用オブジェクトを通常の押圧力で押圧してしまった場合には対処することができる。しかしながら、この設定のみでは、高い荷重基準(P2)の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って低い荷重基準(P1)の入力用オブジェクトを強く押圧してしまった場合には対処することができない。すなわち、この場合、ユーザは高い荷重基準(P2)の入力用オブジェクトを押圧しようと意図して強い押圧力により入力部34を押圧するが、この時の押圧力は低い荷重基準(P1)も超える。このため、ユーザの意図とは異なる低い荷重基準(P1)の入力用オブジェクトに対する入力が受け付けられてしまう。
【0067】
この不都合に対処するために、本実施の形態では、図5で説明した入力用オブジェクトの荷重基準設定処理により入力用オブジェクトを配置した後に行う入力用オブジェクトの押圧入力受付処理において、所定の場合には、入力のキャンセル処理を行う。以下、このような一連の処理について説明する。
【0068】
まず、図8に示すフローチャートを参照して、図5で説明した入力用オブジェクトの荷重基準設定処理により入力用オブジェクトを配置した後に行う、入力用オブジェクトの押圧入力受付処理の概略について説明する。本処理は、図5で説明した処理により、ユーザメモ作成アプリケーション等を起動して、入力用オブジェクトを隣り合わせて表示部32に表示した後、入力部34に対するユーザの入力を受け付ける時点から開始する。
【0069】
本実施の形態による入力用オブジェクトの押圧入力受付処理が開始すると、制御部20は、タッチパネル30の入力部34に対するユーザの指先やスタイラスなどによる入力(以下、「ユーザによる入力」と略記する)が検知されたか否かを判定する(ステップS11)。
【0070】
ステップS11にて入力部34に対するユーザによる入力が検知された場合、制御部20は、入力部34からの入力に基づいて、当該入力を受け付けた入力部34の位置に対応する、表示部32における位置を判定する(ステップS12)。さらに、この判定結果に基づいて、制御部20は、入力が検知された位置に対応する表示部32の位置が、通常の荷重基準(P1)よりも大きな荷重基準(P2)が設定された入力用オブジェクトに対応する位置であるか否かを判定する。入力位置が、通常の荷重基準(P1)よりも大きな荷重基準(P2)が設定された入力用オブジェクトに対応する位置である場合(ステップS12のYes)、高荷重入力受付処理に移行する(ステップS13)。
【0071】
一方、ステップS12にて、入力位置が、荷重基準P2が設定された入力用オブジェクトに対応する位置ではない場合(ステップS12のNo)、低荷重入力受付処理に移行する(ステップS14)。なお、ステップS12からステップS14に移行する場合というのは、ユーザによる入力が検知された入力用オブジェクトが、荷重基準P1が設定された入力用オブジェクトである場合である。
【0072】
次に、図9のフローチャートを参照して、図8に示したステップS13の高荷重入力受付処理の詳細を説明する。高荷重入力受付処理は、入力部34に対するユーザの押圧入力の入力位置が、通常の荷重基準(P1)よりも大きな荷重基準(P2)、すなわち高い荷重基準が設定された入力用オブジェクトに対応する位置である場合(ステップS12のYes)に行う処理である。
【0073】
高荷重入力受付処理が開始すると、まず、制御部20は、当該入力用オブジェクトをハイライト表示する(ステップS21)。このハイライト表示とは、入力用オブジェクトに対して、ユーザの指先などが触れていることをユーザに認識させるために行う強調表示のことである。例えば、図10(A)に示すような「削除」ボタンの入力用オブジェクトに対するユーザの入力が検知された場合、制御部20は、当該入力用オブジェクトを、図10(B)に示すようなハイライト表示に変化させる。これにより、ユーザは、入力部34に触れている自分の指先などの入力が適切に検知されていることを視認できる。なお、このハイライト表示は、ユーザの指先などが入力部34に触れていることのみを示すものであり、この時点では、まだ入力が受け付けられた(つまりキーが押下された)とは判定されていない。
【0074】
次に、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが荷重基準の値P2を超えたか否かを判定する(ステップS22)。荷重基準P2が設定された入力用オブジェクトに対しては、この荷重基準の値P2を超える入力がなされないと、入力を受け付けたものとして処理しない。したがって、ステップS22にて、荷重基準の値P2を超える値の押圧荷重Pが荷重検出部40により検出されない場合、制御部20は、入力部34に対するユーザによる入力が解除されたか否かを判定する(ステップS23)。
【0075】
ステップS23にて当該入力が解除されない(つまりユーザが指先などを入力部34から離していない)場合、制御部20は、ステップS28に移行する。ステップS28では、制御部20は、入力部34により検知される押圧入力の位置が変化する、いわゆるスライド入力が検知されたか否かを判定する。ここでいうスライド入力とは、ユーザが入力部34を指などで押圧したままの状態で、その指などを移動させ、もともと押圧していた入力用オブジェクトから他の入力用オブジェクトまで入力位置が変化する入力のことを表す。
【0076】
ステップS28においてスライド入力が検知されない場合、ステップS22に戻って、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pを監視する。ステップS23にて、入力部34に対するユーザによる入力が解除された場合、ユーザが触れた入力用オブジェクトに対しては入力がされなかったものとして扱い、ハイライト表示を解除して(ステップS24)、本処理は終了する。
【0077】
ステップS24におけるハイライト表示の解除とは、入力用オブジェクトに対応する位置の入力部34に触れていたユーザの指先などの入力が検知されなくなったことを、ユーザに示すための表示である。例えば、制御部20は、図10(B)に示すように、ユーザの入力が検知されて表示部32に表示していた入力用オブジェクトのハイライト表示を、図10(A)に示すような表示に戻す。これにより、ユーザは、入力部34に触れていた自分の指先などが、入力部34から離れたことを視認できる。
【0078】
一方、ステップS22にて、荷重基準の値P2(図4に示すB1)を超える押圧荷重Pが荷重検出部40により検出された場合、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトの押圧表示を行う(ステップS25)。この押圧表示は、入力が検知されている入力用オブジェクトがキーとして押下されたことを示すように、表示部32の表示を変更するものである。すなわち、例えば、図10(B)に示すようなハイライトされた入力用オブジェクトの表示を、図10(C)に示すように、当該入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を行う。これにより、ユーザは、自らの押圧荷重Pが荷重基準の値P2を超えたことを識別できると共に、入力部34に触れていた自分の指先などによる押圧入力が、入力用オブジェクトに対して、押下入力として適切に受け付けられていることを視認できる。
【0079】
ステップS25の後、制御部20は、入力部34に対するユーザによる入力の押圧力が減少し、荷重検出部40により検出される押圧荷重Pが荷重基準の値P2(図4に示すB2)以下になったか否かを判定する(ステップS26)。ステップS26にて、押圧荷重Pが荷重基準の値P2以下になった場合、制御部20は、現在入力を受け付けている最中の、荷重基準がP2である入力用オブジェクトに対する操作入力が確定されたものとして受け付ける(ステップS27)。すなわち、本実施形態による入力処理においては、機械式のキーに例えると、キーを押下した時点では、まだキーの入力の受け付けを確定せずに、キーの押下が解除された時点で初めて当該キーの入力の受け付けを確定する。
【0080】
また、ステップS27においては、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトに対する押圧荷重がP2以下になったことを示すように、表示部32の表示をハイライト表示に戻す。すなわち、例えば、図10(C)に示す入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を、図10(B)に示すように、ハイライト表示された入力用オブジェクトの表示に戻す。これにより、ユーザは、入力用オブジェクトに対する押下入力が入力として確定され、かつ、入力用オブジェクトを押圧している押圧力を緩和させたことが適切に認識されていることを視認できる。
【0081】
ステップS27の後、制御部20は、入力部34において上述したスライド入力が検知されたか否かを判定する(ステップS28)。ステップS28にて、このようなスライド入力が入力部34に検知されない場合、ステップS22に戻り、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pの監視を続行する。この場合、この後、入力部34に対するユーザによる入力が解除される(ステップS23)のを待機するか、または現在入力が検知されている入力用オブジェクトに対してさらに押圧入力(つまり連続する押圧入力)が検出される。
【0082】
一方、ステップS28にて、入力部34対して押圧荷重がゼロにならないままでスライド入力が検出された場合、ステップS29に移行する。ステップS29では、制御部20は、もともと押圧入力が検知されていた(スライド入力が行われる前の)入力用オブジェクトの押圧表示を解除した後に、図8のステップS11に戻って処理を続行する。
【0083】
スライド入力(ステップS28)後、ステップS11を経てステップS12において、スライド入力により入力位置が変化した先が荷重基準の低い(P1)入力用オブジェクトであるか、または荷重基準の高い(P2)入力用オブジェクトであるかが判定される。すなわち、本実施の形態では、荷重基準P2の入力用オブジェクトに押圧が検知された後、荷重基準P2を超えない入力か、または荷重基準P2を超えた後受け付けが確定した入力を、押圧解除せずに他の入力用オブジェクトに対する入力として引き継ぐことができる。
【0084】
したがって、ユーザは、タッチパネル30の入力部34から指を離さずに触れたまま、入力を意図する入力用オブジェクトを変更することができる。このため、スライド入力を活用することにより、ユーザは、入力部34に一度触れてしまった後でも、入力が受け付けられる前であれば、入力用オブジェクトを変更することができる。また、このスライド入力を活用することにより、ユーザは、入力部34に触れたまま、押圧荷重の強弱を調整するのみで連続して入力を行うことができるため、このような入力方法に習熟することにより素早い入力が可能になる。
【0085】
なお、以上説明した高荷重入力受付処理により、入力部34にユーザの押圧入力が検知された後に入力の受付が確定する際、荷重検出部40により検出される入力部34に対する押圧荷重を例示すると、図4に示すB1からB2を経る曲線のようになる。図4に示すように、荷重基準P2の入力用オブジェクトにおいては、押圧基準P2を超える時点(B1)にて当該入力用オブジェクトに対する入力が受け付けられ、押圧基準がP1以下になる時点(B2)にて当該入力用オブジェクトに対する入力が確定する。
【0086】
次に、図11のフローチャートを参照して、図8に示したステップS14の低荷重入力受付処理の詳細を説明する。低荷重入力受付処理は、入力部34に対するユーザの押圧入力の入力位置が、通常の荷重基準(P1)、すなわち低い荷重基準が設定された入力用オブジェクトに対応する位置である場合(ステップS12のNo)に行う処理である。
【0087】
低荷重入力受付処理が開始すると、まず、制御部20は、当該入力用オブジェクトをハイライト表示する(ステップS31)。この場合に行う入力用オブジェクトのハイライト表示も、ステップS21にて説明したのと同じ態様のハイライト表示を行う。
【0088】
次に、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが荷重基準の値P1を超えたか否かを判定する(ステップS32)。荷重基準P1が設定された入力用オブジェクトに対しては、通常の操作入力を行う場合と同様に、荷重基準の値P1を超える入力がなされれば、入力を受け付ける。一方、ステップS32にて、荷重基準の値P1を超える値の押圧荷重Pが荷重検出部40により検出されない場合、入力部34に対するユーザによる入力が解除されたか否かを判定する(ステップS33)。
【0089】
ステップS33にて当該入力が解除されない(つまりユーザが指先などを入力部34から離していない)場合、制御部20は、ステップS39に移行して、スライド入力が検知されたか否かを判定する。ステップS39においてスライド入力が検知されない場合、ステップS32に戻って、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pを監視する。ステップS33にて、入力部34に対するユーザによる入力が解除された場合、ユーザが触れた入力用オブジェクトに対しては入力がされなかったものとして扱い、ハイライト表示を解除して(ステップS34)、本処理は終了する。
【0090】
一方、ステップS32にて、荷重基準の値P1(図4に示すA1)を超える押圧荷重Pが荷重検出部40により検出された場合、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトの押圧表示を行う(ステップS35)。この押圧表示も、入力が検知されている入力用オブジェクトがキーとして押下されたことを示すように、表示部32の表示を変更するものである。すなわち、例えば、図10(B)に示すようなハイライトされた入力用オブジェクトの表示を、図10(C)に示すように、当該入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を行う。これにより、ユーザは、自らの押圧荷重Pが荷重基準の値P1を超えたことを識別できると共に、入力部34に触れていた自分の指先などによる押圧入力が、入力用オブジェクトに対して、押下入力として適切に受け付けられていることを視認できる。
【0091】
なお、低荷重入力受付処理においては、ステップS35の後、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが、一旦荷重基準の値P2を超えた後にP2以下になったか否かを判定する(ステップS36)。ここで、押圧荷重の値Pが一旦荷重基準P2を超えた後にP2以下になる場合とは、荷重基準の低い(P1)入力用オブジェクトに対して、荷重基準の高い(P2)入力用オブジェクトに対する押圧入力が受け付けられ、かつ当該押圧入力が確定される場合である。このような場合、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1のオブジェクトを押圧してしまったと推認できる。この場合の処理については後述する。
【0092】
ステップS35の後、ステップS36において、P≧P2の検出後にP<P2となる押圧荷重が検出されない場合、つまりユーザが意図通りに正しく入力をしていると想定される場合には、ステップS37に移行する。ステップS37において、制御部20は、入力部34に対するユーザによる入力の押圧力が減少し、荷重検出部40により検出される押圧荷重Pが荷重基準の値P1(図4に示すA2)以下になったか否かを判定する。ステップS37にて、押圧荷重Pが荷重基準の値P1以下になった場合、制御部20は、現在入力を受け付けている最中の、荷重基準がP1である入力用オブジェクトに対する操作入力が確定されたものとして受け付ける(ステップS38)。
【0093】
また、ステップS38において、制御部20は、入力が検知されている入力用オブジェクトに対する押圧荷重がP1以下になったことを示すように、表示部32の表示をハイライト表示に戻す。すなわち、例えば、図10(C)に示すような入力用オブジェクトが押下されたことを示すような表示を、図10(B)に示すように、ハイライト表示された入力用オブジェクトの表示に戻す。これにより、ユーザは、入力用オブジェクトに対する押下入力が入力として確定され、かつ、入力用オブジェクトを押圧している押圧力を緩和させたことが適切に認識されていることを視認できる。
【0094】
ステップS38の後、制御部20は、入力部34に対してスライド入力が検知されたか否かを判定する(ステップS39)。ステップS39にて、スライド入力が入力部34に検知されない場合、ステップS22に戻り、制御部20は、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pの監視を続行する。この場合、この後は、入力部34に対するユーザによる入力が解除される(ステップS33)のを待機するか、または現在入力が検知されている入力用オブジェクトに対してさらに押圧入力(つまり連続する押圧入力)が検出される。しかしながら、ステップS39にて、入力部34対して押圧荷重がゼロにならないままでスライド入力が検出された場合、ステップS40に移行する。ステップS40では、制御部20は、もともと押圧入力が検知されていた(スライド入力が行われる前の)入力用オブジェクトの押圧表示を解除した後に、図8のステップS11に戻って処理を続行する。
【0095】
スライド入力(ステップS39)後、ステップS11を経てステップS12に移行する場合の処理は、上述した高荷重入力受付処理の場合と同様である。すなわち、本実施の形態では、荷重基準P1の入力用オブジェクトに押圧が検知された後、荷重基準P1を超えない入力か、または荷重基準P1を超えた後受け付けが確定した入力を、押圧解除せずに他の入力用オブジェクトに対する入力として引き継ぐことができる。
【0096】
なお、以上説明した低荷重入力受付処理により、入力部34にユーザの押圧入力が検知された後に入力の受付が確定する際、荷重検出部40により検出される入力部34に対する押圧荷重を例示すると、図4に示すA1からA2を経る曲線のようになる。図4に示すように、荷重基準P1の入力用オブジェクトにおいては、押圧基準P1を超える時点(A1)にて当該入力用オブジェクトに対する入力が受け付けられ、押圧基準がP1以下になる時点(A2)にて当該入力用オブジェクトに対する入力が確定する。
【0097】
一方、ステップS36において、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが、一旦荷重基準の値P2を超えた後にその値P2以下になったと判定された場合、ステップS41の処理に移行する。現在入力が検知されている荷重基準P1の入力用オブジェクトおいては、荷重検出部40により検出される押圧荷重の値Pが、一旦荷重基準の値P1(A1)を超えた後に続いてP1(A2)以下になれば、受け付けられた操作入力が確定する。しかしながら、ステップS36からステップS41に移行する場合、荷重基準P1の入力用オブジェクトに対してはP1を超える押圧荷重により押圧入力が可能であるのに、荷重基準P2の入力用オブジェクトに対する押圧入力が受け付けられて確定している。このような場合、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを押圧してしまったものと推認できる。
【0098】
したがって、ステップS41においては、荷重基準P1の入力用オブジェクトに対してP2を超える押圧荷重が検知された場合、続いて検出される押圧荷重がP2以下になった時点で、当該荷重基準P1の入力用オブジェクトに対する押圧入力をキャンセルする。さらに、ステップS41においては、入力を受け付けていた荷重基準P1の入力用オブジェクトに対する押圧入力がキャンセルされたことを示すために、入力用オブジェクトが押下されていることを示す表示を、ハイライト表示に戻す。ステップS41の後は、上述したステップS38の後と同様に、入力部34に対してスライド入力が検知されたか否かを判定する(ステップS39)処理を続行する。
【0099】
このように、低荷重入力受付処理において、ステップS36からステップS41を経る処理により、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを押圧してしまった場合にも対処できる。
【0100】
以下、本実施の形態による、入力用オブジェクトの押圧入力受付処理および押圧入力受付処理により、ユーザの意図とは異なる誤った入力用オブジェクトに対するユーザの入力に対処する態様について、図12を参照して説明する。
【0101】
まず、高い荷重基準(P2)の入力用オブジェクトについては、押圧荷重が、図12(A)に破線の曲線で示すように、高い荷重基準の値P2(B1)を超えた後に続いてP2(B2)以下になれば、受け付けられた操作入力が確定する。したがって、荷重基準P1の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P2の入力用オブジェクトを通常の押圧力で押圧しても、この入力は受け付けられない。なお、この場合のユーザの押圧入力は、通常の操作を行う押圧力に基づいて、図12(A)に実線の曲線で示すように、低い荷重基準の値P1(A1)を超えた後に続いてP1(A2)以下になる。以上のようにして、ユーザの意図しない入力は回避される。
【0102】
次に、低い荷重基準(P1)の入力用オブジェクトについては、押圧荷重が、図12(B)に破線の曲線で示すように、低い荷重基準の値P1(A1’)を超えた後に続いてP1(A2’)以下になれば、受け付けられた操作入力が確定する。しかしながら、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを強く押圧してしまった場合、図12(B)に実線の曲線で示すように、押圧荷重は、低い荷重基準の値P1(A1)を超える。この時点では、荷重基準P1の入力用オブジェクトが押下されたと判定されているが、入力の受け付けはまだ確定されていない。したがって、この後さらに、押圧荷重が荷重基準P2(C1)を超えた後、続いてP2(C2)以下になる時点で、押下されたと判定している荷重基準P1の入力用オブジェクトに対する入力の受付をキャンセルする。このため、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを強く押圧してしまった場合、当該荷重基準P1の入力用オブジェクトには入力がされなかったものとして扱われる。したがって、この場合も、ユーザの意図しない入力が受け付けられることはない。
【0103】
次に、荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを強く押圧してしまった場合、正しい荷重基準P2の入力用オブジェクトを簡潔に押圧し直す方法について説明する。
【0104】
荷重基準P2の入力用オブジェクトを押圧しようと意図していたユーザが、誤って荷重基準P1の入力用オブジェクトを強く押圧してしまった場合、図13に実線の曲線で示すように、押圧荷重は、低い荷重基準の値P1(A1)を超える。この後、押圧荷重が荷重基準P2(C1)を超えた後、または続いてP2(C2)以下になる時点で、制御部20は、入力用オブジェクトに対する入力受付がキャンセルされたことをユーザに通知する。具体的には、入力キャンセルの旨を知らせる音声(ビープ音など)を音声出力部80から出力したり、入力キャンセルの旨を知らせる振動を振動部50により駆動することなどが考えられる。このような通知により、ユーザは、自らの行った押圧入力が適切に行われておらず、キャンセルされたことを認識することができる。以上の動作を、図13の時間軸上においてαの範囲により示す。
【0105】
この後、入力がキャンセルされたことを認識したユーザは、上述したスライド入力により、入力部34に対する押圧入力を解除せずに移動させることで、この押圧入力を、目的とする荷重基準P2の入力用オブジェクトまで引き継ぐことができる。この時の動作を、図13の時間軸上においてβの範囲により示す。このスライド入力により、目的とする荷重基準P2の入力用オブジェクトまで押圧入力を移動させたユーザは、その荷重基準P2の入力用オブジェクトに対して押圧基準P2を超える押圧荷重の押圧入力をすることができる。この時の動作を、図13の時間軸上においてγの範囲により示す。以上のようにして、ユーザは、当初の誤入力を修正して、正しい入力用オブジェクトに対する入力を簡単に行うことができる。
【0106】
なお、本発明は、上述した実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能である。例えば、上述した実施の形態においては、入力用オブジェクトの荷重基準の値P1、P2、および所定の間隔は、予め設定することを想定したが、必要に応じて、ユーザが適宜変更または調整できるようにするのが望ましい。このようにすれば、操作中に、ユーザが押圧荷重の設定について違和感がある場合、後から適宜設定を修正することができる。
【0107】
上述した実施の形態では、入力を判定する際のアルゴリズムを簡略化するため、荷重基準P1の入力用オブジェクトも荷重基準P2の入力用オブジェクトも、各荷重基準を超えた時点では入力の受け付けを確定させずに、各荷重基準を下回った時点で入力の受け付けを確定した。しかしながら、本発明は、荷重基準P1の入力用オブジェクトについて、荷重基準P1を超えた時点では入力の受け付けを確定せず、荷重基準P1以下になった時点で入力の受け付けを確定し、一方、荷重基準P2を超えた時点で入力がキャンセルされるようにもできる。すなわち、荷重基準P1の入力用オブジェクトについて、荷重基準P1を超えた後に続けてP1以下になれば、当該荷重基準P1の入力用オブジェクトに対する入力の受け付けを確定し、また、荷重基準P1を超えた後さらに続いてP2も超えれば、当該荷重基準P1の入力用オブジェクトに対する入力の受け付けをキャンセルするようにもできる。
【0108】
また、上述した実施の形態では、入力用オブジェクト同士の間隔が当該所定の間隔未満の場合、ユーザの誤操作を防止するために、各入力用オブジェクトの荷重基準を相違させた。しかしながら、入力用オブジェクト同士の間隔が無く、隣接していたとしても、個々の入力用オブジェクトの入力受付範囲が広い場合、ユーザが入力を誤る可能性は低い。よって、このような場合、個々の入力用オブジェクトの入力受付範囲が所定の面積以上であれば、荷重基準を相違させなくてもよい。また、個々の入力用オブジェクトの入力受付範囲が広いと、ユーザが入力を誤る可能性が低いことに基づき、荷重基準を相違させるか否かの基準となる所定の間隔を入力用オブジェクトの入力受付範囲に依存させ、変動させてもよい。つまり、所定の間隔として1cmを設定したとしても、入力用オブジェクトの入力受付範囲が広い場合、入力用オブジェクトの間隔が0.1cm未満にならなければ荷重基準が相違せず、また、入力用オブジェクトの入力受付範囲が狭い場合、入力用オブジェクトの間隔が2cm未満になったら荷重基準が相違するようにしてもよい。
【0109】
上述した実施の形態では、最も単純な例として、荷重基準がP1およびP2の2つの場合を説明したが、必要に応じて、この荷重基準を3つ以上にしてもよい。
【0110】
また、上述した実施の形態では、入力用オブジェクトに対する入力受付がキャンセルされた際に、振動部50を振動させることによりユーザに通知した。本発明においては、振動によるユーザへの通知は必須の要素ではないが、入力受付がキャンセルされた場合以外にも、上述した各種の入力に対する反応として振動部50による振動を提供することにより、ユーザビリティの向上が期待できる。
【0111】
例えば、荷重基準の値がP1である入力用オブジェクトに対して、図4に示すP1(A1)を超える押圧荷重が荷重検出部40により検出された時点で、制御部20は、図14(A)に示すような波形の振動を振動部50に発生させる。この後、当該入力用オブジェクトに対して、図4に示すP1(A2)以下となる押圧荷重が荷重検出部40により検出された時点で、制御部20は、図14(B)に示すような波形の振動を振動部50に発生させる。また、荷重基準の値がP2である入力用オブジェクトに対して、図4に示すP2(B1)を超える押圧荷重が荷重検出部40により検出された時点で、制御部20は、図14(C)に示すような波形の振動を振動部50に発生させる。この後、当該入力用オブジェクトに対して、図4に示すP2(B2)以下となる押圧荷重が荷重検出部40により検出された時点で、制御部20は、図14(D)に示すような波形の振動を振動部50に発生させる。
【0112】
これにより、ユーザは、各入力用オブジェクトについて、押圧荷重P1または押圧荷重P2による入力が、それぞれ適切に受け付けられたことを区別して認識できる。
【符号の説明】
【0113】
10 携帯電話
20 制御部
30 タッチパネル
32 表示部
34 入力部
40 荷重検出部
50 振動部
60 記憶部
70 音声入力部
80 音声出力部
90 キー入力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力用オブジェクトを表示する表示部と、
前記表示部に表示される前記入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける入力部と、
前記入力部に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が荷重基準を満たした際に、前記押圧入力を受け付けるように制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
互いに隣り合う複数の前記入力用オブジェクトに対する前記押圧入力を受け付ける荷重基準を、第1の荷重基準と、該第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準と、に相違させるように制御すると共に、
前記第1の荷重基準の入力用オブジェクトに対する押圧入力に係る押圧荷重が前記第2の荷重基準を満たした場合、当該押圧入力を受け付けないように制御することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の荷重基準の入力用オブジェクトに対する押圧入力に係る押圧荷重が前記第2の荷重基準を満たした後に当該第2の荷重基準を下回った場合、当該押圧入力を受け付けないように制御する、請求項1の記載の入力装置。
【請求項1】
入力用オブジェクトを表示する表示部と、
前記表示部に表示される前記入力用オブジェクトに対する押圧入力を受け付ける入力部と、
前記入力部に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部により検出される押圧荷重が荷重基準を満たした際に、前記押圧入力を受け付けるように制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
互いに隣り合う複数の前記入力用オブジェクトに対する前記押圧入力を受け付ける荷重基準を、第1の荷重基準と、該第1の荷重基準よりも高い第2の荷重基準と、に相違させるように制御すると共に、
前記第1の荷重基準の入力用オブジェクトに対する押圧入力に係る押圧荷重が前記第2の荷重基準を満たした場合、当該押圧入力を受け付けないように制御することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の荷重基準の入力用オブジェクトに対する押圧入力に係る押圧荷重が前記第2の荷重基準を満たした後に当該第2の荷重基準を下回った場合、当該押圧入力を受け付けないように制御する、請求項1の記載の入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−150738(P2011−150738A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107616(P2011−107616)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【分割の表示】特願2008−331272(P2008−331272)の分割
【原出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【分割の表示】特願2008−331272(P2008−331272)の分割
【原出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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