説明

入力装置

【課題】主に自動車内の各種電子機器の操作に用いられる入力装置に関し、誤検出がなく、確実な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】第一の端子17と第二の端子18の間に複数のダイオード13〜16を直列に接続すると共に、第一の端子17とダイオード13〜16に複数のスイッチ5〜8を接続し、制御手段19がスイッチ5〜8の操作に応じた第一の端子17と第二の端子18からの電圧を減算して、操作されたスイッチを検出することによって、接続された電子機器30が異なる抵抗値の抵抗31や32が設けられた機器に取替えられた場合でも、制御手段19がどのスイッチが操作されたかを、値が一定のダイオードの電圧降下によって検出しているため、誤検出がなく、確実な操作が可能な入力装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車内の各種電子機器の操作に用いられる入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車内のステアリングホイールやインストルメントパネル等に様々な操作方式の入力装置を装着し、これによって車室内の音響機器や空調機器等の各種電子機器の操作を行うものが増えており、誤操作がなく確実な操作を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来の入力装置について、図2を用いて説明する。
【0004】
図2は従来の入力装置のブロック回路図であり、同図において、1及び2、3は固定抵抗器等の抵抗、4はコネクタ等の第一の端子で、これらが上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)に実装されると共に、配線パターンを介して直列に接続された複数の抵抗1と2、3が、第一の端子4に接続されている。
【0005】
また、5及び6、7、8はプッシュスイッチ等のスイッチで、同じく配線基板に実装されると共に、配線パターンを介してスイッチ5の一端が第一の端子4に、スイッチ6の一端が抵抗1と2の間に、スイッチ7の一端が抵抗2と3の間に、スイッチ8の一端が抵抗3に接続されている。
【0006】
そして、これらのスイッチ5〜8の他端が第二の端子9に接続されると共に、第一の端子4と第二の端子9には抵抗10が並列に接続されて、いわゆる抵抗分圧回路が形成されている。
【0007】
さらに、11は配線基板に実装されたマイコン等の制御手段で、この制御手段11に第一の端子4や複数の抵抗1〜3等が接続されて、入力装置12が構成されている。
【0008】
そして、このように構成された入力装置12が、ステアリングホイールのスポーク(図示せず)等に取付けられて自動車に装着されると共に、複数のスイッチ5〜8には、各々異なる機能が表示された複数の押釦が取付けられる。
【0009】
また、入力装置12の第一の端子4が車両内の、例えばオーディオ等の電子機器20の、バッテリー等の電源22に接続されたマイコン等の駆動手段23に、電源22との間に抵抗21が接続されたダイオード24を介して電気的に接続される。
【0010】
さらに、第二の端子9が駆動手段23に接続されると共に、制御手段11にはコネクタやリード線(図示せず)等によって、運転席前方に装着された液晶表示素子等の表示手段25が電気的に接続される。
【0011】
以上の構成において、指で操作したい機能が表示された押釦、例えばオーディオ等の電子機器20の音量増や音量減等が表示された押釦を押圧操作すると、この背面のスイッチ5〜8の電気的接離が行われ、抵抗21と抵抗10、抵抗1や2、3の抵抗値に応じた電圧が、電子機器20の駆動手段23と入力装置12の制御手段11に出力される。
【0012】
つまり、例えばスイッチ6を押圧操作した場合には、電源22の電圧からダイオード24の順電圧を減じた電圧に、抵抗1と抵抗10の並列抵抗と抵抗21の分圧を乗じた電圧が、スイッチ7を押圧操作した場合には、同じく電源22の電圧からダイオード24の順電圧を減じた電圧に、抵抗1、2の抵抗値の和と抵抗10の並列抵抗と抵抗21の分圧を乗じた電圧が、駆動手段23と制御手段11に出力される。
【0013】
そして、この電圧によって駆動手段23と入力装置12がどのスイッチが操作されたかを検出して、駆動手段23が機器の制御を行い、例えば電子機器20の音量の増加や減少等が行われると共に、同時に、制御手段11が所定の信号を表示手段25へ出力して、例えば表示手段25に音量の増加や減少等の表示が行われる。
【0014】
すなわち、スイッチ5〜8を操作した際の、スイッチ毎に異なる電圧によって、どのスイッチが操作されたかを駆動手段23と制御手段11が検出して、車室内の様々な機器の制御を行うと共に、その操作内容を運転席前方の表示手段25に表示することで、容易に機器の操作を行うことが可能なように構成されているものであった。
【0015】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−32536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来の入力装置においては、抵抗1や2、3と抵抗10、抵抗21の分圧によって、どのスイッチが操作されたかを制御手段11と駆動手段23が検出しているが、電子機器20に設けられた抵抗21はメーカーや機種毎に異なるため、例えば、抵抗21の抵抗値が1kΩであった電子機器20を、抵抗値が2kΩの機器に取替えた場合、例えばスイッチ7を操作した際の出力電圧が、1kΩであった時のスイッチ6を操作した場合の出力電圧と類似したものとなるため、操作されたスイッチの誤検出が生じてしまう場合があるという課題があった。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、誤検出がなく、確実な操作が可能な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、第一の端子と第二の端子の間に複数のダイオードを直列に接続すると共に、第一の端子とダイオードに複数のスイッチを接続し、制御手段がスイッチの操作に応じた第一の端子と第二の端子からの電圧を減算して、操作されたスイッチを検出するようにして入力装置を構成したものであり、接続された電子機器が、異なる抵抗値の抵抗が設けられた機器に取替えられた場合でも、制御手段がどのスイッチが操作されたかを、値が一定のダイオードの電圧降下によって検出しているため、間違いなく検出することができ、誤検出がなく、確実な操作が可能な入力装置を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、誤検出がなく、確実な操作が可能な入力装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態による入力装置のブロック回路図
【図2】従来の入力装置のブロック回路図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1を用いて説明する。
【0023】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0024】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による入力装置のブロック回路図であり、同図において、13及び14、15、16はダイオードで、これらが上下面に複数の配線パターンが形成された配線基板(図示せず)に実装されると共に、配線パターンを介して直列に接続された複数のダイオード13と14、15、16が、コネクタ等の第一の端子17と第二の端子18の間に接続されている。
【0025】
また、5及び6、7、8はプッシュスイッチ等のスイッチで、同じく配線基板に実装されると共に、配線パターンを介してスイッチ5の一端がダイオード13と14の間に、スイッチ6の一端がダイオード14と15の間に、スイッチ7の一端がダイオード15と16の間に、スイッチ8の一端がダイオード16に、これらの他端が第一の端子17に各々接続されている。
【0026】
さらに、19は配線基板に実装されたマイコン等の制御手段で、この制御手段19が第一の端子17と第二の端子18に接続されると共に、アース端子27が設けられて、入力装置28が構成されている。
【0027】
そして、このように構成された入力装置28が、ステアリングホイールのスポーク(図示せず)等に取付けられて自動車に装着されると共に、複数のスイッチ5〜8には、各々異なる機能が表示された複数の押釦が取付けられる。
【0028】
また、入力装置28の第一の端子17と第二の端子18が車両内の、例えばオーディオ等の電子機器30の、抵抗31や32、バッテリー等の電源22に接続されたマイコン等の駆動手段33に、電気的に接続される。
【0029】
さらに、アース端子27が駆動手段33に接続されると共に、制御手段19にはコネクタやリード線(図示せず)等によって、運転席前方に装着された液晶表示素子等の表示手段25が電気的に接続される。
【0030】
以上の構成において、指で操作したい機能が表示された押釦、例えばオーディオ等の電子機器30の音量増や音量減等が表示された押釦を押圧操作すると、この背面のスイッチ5〜8の電気的接離が行われ、これに応じたダイオード13〜16両端の電圧が第一の端子17と第二の端子18から、電子機器30の駆動手段33と入力装置28の制御手段19に出力される。
【0031】
つまり、例えば電源22の電圧が5V、抵抗31と32の抵抗値が各々1kΩ、ダイオード13〜16の順電圧が各々0.7Vで、スイッチ5を押圧操作した場合には、電源22の電圧5Vからダイオード14と15、16の順電圧2.1Vを減じた値を、抵抗31と32の抵抗値の和2kΩで除した、すなわちスイッチ5を操作した時に流れる電流値に、抵抗31の抵抗値1kΩを乗じた値を、電源22の電圧5Vから減じた電圧3.55Vが、第一の端子17から制御手段19と駆動手段33に出力される。
【0032】
また、第二の端子18からは、同様に、電流値に抵抗32の抵抗値1kΩを乗じた電圧1.45Vが、制御手段19と駆動手段33に出力される。
【0033】
そして、制御手段19と駆動手段33が、第一の端子17からの電圧3.55Vから、第二の端子18からの電圧1.45Vを減じ、この電圧2.1Vによってスイッチ5が操作されたことを検出して、駆動手段33が機器の制御を行い、例えば電子機器30の音量の増加や減少等が行われると共に、同時に、制御手段19が所定の信号を表示手段25へ出力して、例えば表示手段25に音量の増加や減少等の表示が行われる。
【0034】
なお、スイッチ6を操作した場合には、電源22の電圧5Vからダイオード15と16の順電圧1.4Vを減じた値、スイッチ7を操作した場合には、同じくダイオード16の順電圧0.7Vを減じた値、スイッチ8を操作した場合には0Vを減じた値を、抵抗31と32の抵抗値の和2kΩで除した値が、各々のスイッチを操作した際に流れる電流値となる。
【0035】
したがって、第一の端子17と第二の端子18から制御手段19と駆動手段33に出力される電圧は、スイッチ6を操作した場合は3.2Vと1.8V、スイッチ7を操作した場合は2.85Vと2.15V、スイッチ8を操作した場合は2.5Vと2.5Vとなり、制御手段19と駆動手段33がこれを減算した電圧は、各々1.4Vと0.7V、0Vとなる。
【0036】
すなわち、スイッチ5〜8を操作した際の、第一の端子17と第二の端子18からの電圧を減算し、このスイッチ毎に異なる電圧によって、どのスイッチが操作されたかを駆動手段33と制御手段19が検出して、車室内の様々な機器の制御を行うと共に、その操作内容を運転席前方の表示手段25に表示することで、容易に機器の操作を行うことが可能なように構成されている。
【0037】
そして、本発明においては、電子機器30を他のメーカーのものや機種に取替えた場合、すなわち抵抗31や32の抵抗値が変わった場合でも、誤検出が生じることなく、同様に操作されたスイッチの検出を行うことが可能なようになっている。
【0038】
つまり、例えば抵抗31の抵抗値が2kΩであった場合、電源22の電圧5Vから各ダイオードの順電圧を減じた値を、抵抗31と32の抵抗値の和で除した電流値は、抵抗31と32の抵抗値の和が3kΩと、上記とは変わるため変化し、第一の端子17と第二の端子18から制御手段19と駆動手段33に出力される電圧も変化する。
【0039】
すなわち、抵抗31の抵抗値が2kΩの時には、スイッチ5を操作した場合は3.1Vと1.0V、スイッチ6を操作した場合は2.6Vと1.2V、スイッチ7を操作した場合は2.1Vと1.4V、スイッチ8を操作した場合は1.7Vと1.7Vと、上記とは異なる電圧が、第一の端子17と第二の端子18から出力される。
【0040】
しかし、制御手段19と駆動手段33がこれらの第一の端子17からの電圧から、第二の端子18からの電圧を減じた値は、各々2.1V、1.4V、0.7V、0Vとなり、抵抗31の抵抗値が1kΩであった上記の場合と、同一の値となる。
【0041】
つまり、抵抗31や32の抵抗値が変わった場合でも、第一の端子17からの電圧と第二の端子18からの電圧の差は、操作したスイッチに対応したダイオードの順電圧の和と同一となるため、電子機器30側の抵抗31や32の抵抗値が1kΩであろうと2kΩであろうと、各々のスイッチを操作した際には、同じ電圧値が得られるようになっている。
【0042】
すなわち、制御手段19がスイッチ5〜8の操作に応じた第一の端子17と第二の端子18からの電圧を減算し、値が一定のダイオードの電圧降下によって、操作されたスイッチを検出することで、電子機器30側の抵抗31や32の抵抗値が変化した場合でも、誤検出がなく、確実な操作が行えるように構成されている。
【0043】
なお、以上の説明ではスイッチ5〜8に、単品のプッシュスイッチを用いた構成について説明したが、配線基板上面にカーボン等によって固定接点を形成し、この上方に略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を載置したものや、あるいは、下面に可動接点が形成された略ドーム状の可撓性のゴム接点を用いたもの等、様々なスイッチを用いた構成においても、本発明の実施は可能である。
【0044】
このように本実施の形態によれば、第一の端子17と第二の端子18の間に複数のダイオード13〜16を直列に接続すると共に、第一の端子17とダイオード13〜16に複数のスイッチ5〜8を接続し、制御手段19がスイッチ5〜8の操作に応じた第一の端子17と第二の端子18からの電圧を減算して、操作されたスイッチを検出することによって、接続された電子機器30が異なる抵抗値の抵抗31や32が設けられた機器に取替えられた場合でも、制御手段19がどのスイッチが操作されたかを、値が一定のダイオードの電圧降下によって検出しているため、間違いなく検出することができ、誤検出がなく、確実な操作が可能な入力装置を得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明による入力装置は、誤検出がなく、確実な操作が可能なものを実現できるという有利な効果を有し、主に自動車の各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0046】
5、6、7、8 スイッチ
13、14、15、16 ダイオード
17 第一の端子
18 第二の端子
19 制御手段
22 電源
25 表示手段
27 アース端子
28 入力装置
30 電子機器
31、32 抵抗
33 駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の端子と第二の端子の間に直列に接続された複数のダイオードと、上記第一の端子と上記ダイオードに接続された複数のスイッチと、上記第一の端子と第二の端子に接続された制御手段からなり、上記制御手段が上記スイッチの操作に応じた上記第一の端子と第二の端子からの電圧を減算して、操作されたスイッチを検出する入力装置。

【図1】
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【図2】
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