入力装置
【課題】決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる入力装置を提供する。
【解決手段】タッチパネル12が押込み始めされたことを検出する小ストロークスイッチ25と、タッチパネル12が決定操作されたことを検出する大ストロークスイッチ26を備える。制御装置は、小ストロークスイッチ25がオンした時点で、タッチパネルにタッチしていた手指のタッチ位置を記憶し、この後、大ストロークスイッチ26がオンしたときに決定操作されたと判断し、記憶していたタッチ位置で決定操作が行われたと判定する。
【解決手段】タッチパネル12が押込み始めされたことを検出する小ストロークスイッチ25と、タッチパネル12が決定操作されたことを検出する大ストロークスイッチ26を備える。制御装置は、小ストロークスイッチ25がオンした時点で、タッチパネルにタッチしていた手指のタッチ位置を記憶し、この後、大ストロークスイッチ26がオンしたときに決定操作されたと判断し、記憶していたタッチ位置で決定操作が行われたと判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを備えた入力装置に関する
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを備えた入力装置においては、タッチパネルの表面にタッチされた手指の位置をタッチ位置検出手段により検出し、タッチパネルが押込み操作されたことを押圧式の例えばタクトスイッチにより検出することで、タッチ位置で選択された項目を決定して動作させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなものでは、決定操作用のタクトスイッチは、オンするまでに所定のストロークが必要であり、タッチパネルにタッチしてからこれを押込み操作する際のストローク中に、操作する手指の位置が操作開始時に対してずれてしまい、意図しない項目が決定されてしまう場合がある。このようなことの対策として、例えば、決定操作用の押圧式スイッチのストロークを極端に短くすることが考えられるが、タッチパネルをわずかに動かしたり、タッチパネルが振動でわずかに動いたりした際に、使用者の意図に反して決定操作されてしまうなど、操作性が低下する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−298380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明の入力装置は、上下方向へ変位可能でかつ非押圧状態で上方の原位置へ付勢されるように設けられ、表面に手指がタッチされたときにそのタッチ位置を検出するタッチ位置検出手段を有して押込み操作されるタッチパネルと、このタッチパネルが押込まれて下方へ変位することに伴い前記タッチパネルの押込み始めを検出する押込み始め検出手段と、前記タッチパネルが、前記押込み始め検出手段が前記押込み始めを検出した位置よりもさらに下方へ変位することに伴い決定操作を検出する決定操作検出手段と、前記押込み始め検出手段が前記押込み始めを検出した時点で前記タッチ位置検出手段にて検出していたタッチ位置を記憶し、この後、前記決定操作検出手段が決定操作を検出したときに前記記憶していた前記タッチ位置で決定操作が行われたと判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
使用者がタッチパネルで項目を選択して決定操作する場合、まず手指を、タッチパネル上で選択した項目をタッチし、その状態でタッチパネルを押込み操作する。そのタッチパネルの押込み操作時に、操作する手指の位置が操作開始時に対してずれたとしても、本発明においては、押込み開始時点に手指がタッチしていたタッチ位置を記憶し、その記憶したタッチ位置で決定操作されたと判定するので、使用者が操作したい項目を特定することができる。決定操作には、決定操作検出手段が決定操作を検出するための所定のストロークが必要である。したがって、本発明によれば、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態の入力装置を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のX−X線に沿う縦断正面図
【図2】固定接点部分の平面図
【図3】動作を説明するための縦断正面図
【図4】電気的構成を示すブロック図
【図5】第2実施形態の入力装置を示す図1相当図
【図6】図3相当図
【図7】第3実施形態の入力装置を示す図1相当図
【図8】図3相当図
【図9】図4相当図
【図10】第4実施形態の入力装置を示す図1相当図
【図11】図4相当図
【図12】第5実施形態の入力装置を示す図1相当図
【図13】図4相当図
【図14】第6実施形態の入力装置を示す図1(b)相当図
【図15】図4相当図
【図16】押込み操作検出用のフローチャート
【図17】第7実施形態を示す図4相当図
【図18】タッチパネルの変位方向の位置と、押込み操作時および戻り操作時の検出状態の関係を説明する図
【図19】状態遷移図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態による入力装置を図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態について図1〜図4を参照して説明する。図1において、入力装置の外殻は、矩形筒状をなすボデー1と、このボデー1の上部に固定配置されたベゼル2と、ボデー1の下部に固定配置されたカバー3とから構成されている。このうち、ボデー1の内部には、上下方向の中間部に位置させて内部を上下に仕切るように仕切部4が一体に設けられていると共に、この仕切部4の下部の4箇所に円柱状のボス部5が一体に設けられている。仕切部4には、ほぼ中央部に位置させて矩形状の開口部6が形成され、図1の左側に位置させて矩形状の切欠き部7が形成されている。ベゼル2は、中央部に矩形状の開口部8を有していて、上から見て矩形枠状をなしている。
【0010】
下部のカバー3の上部には、スペーサ9を介してプリント配線基板からなる配線基板10が配置されている。これらカバー3および配線基板10は、カバー3の下方から挿通されたねじ11を、スペーサ9および配線基板10を貫通させて、前記ボス部5にねじ込むことにより、ボデー1の下部に共締め状態で取り付けられている。
【0011】
ボデー1内において仕切部4とベゼル2との間に位置させて、タッチパネル12が上下方向に変位可能に配設されている。このタッチパネル12は、ベゼル2の開口部8より大きな矩形板状をなしていて、静電容量式のタッチ位置検出手段と液晶式の表示手段とを備えている。タッチ位置検出手段は、タッチパネル12の上面に人の手指がタッチされたときに、そのタッチ位置(座標)を検出する。表示手段は、使用者が選択する項目などを表示する。タッチパネル12における操作領域13(図1(a)参照)は、ベゼル2の開口部8よりやや大きな領域となっている。タッチパネル12の下面には、下方へ突出する凸部14が一体的に設けられている。この凸部14は、仕切部4の前記開口部6を貫通して仕切部4の下方へ突出している。
【0012】
配線基板10の上面には、凸部14の下方に位置させてラバーシート16が配置されている。このラバーシート16には、上方に向けて突出するドーム部17が弾性変形可能に設けられていて、このドーム部17の上面が凸部14の下面に下方から当接している。ドーム部17の上部の下面には、下方へ突出する第1の凸部18と、この第1の凸部18を挟んだ左右両側に位置させて下方へ突出する第2の凸部19が一体に設けられている。第1の凸部18の下端部は、第2の凸部19の下端部よりも下方へ突出している。第1の凸部18の下端部には第1の可動接点20が設けられ、第2の凸部19の下面には第2の可動接点21が設けられている。ドーム部17の上部には、第1の凸部18の上方に位置させて凹部22が形成されている。
【0013】
配線基板10の上面には、図2に示すように、第1の可動接点20に対向する位置に位置させて一対の第1の固定接点23が設けられ、第2の可動接点21に対向する位置に位置させて、それぞれ一対の第2の固定接点24が設けられている。ここで、第1の可動接点20と第1の固定接点23との間の隙間寸法を第1のストロークL1とし、第2の可動接点21と第2の固定接点24との間の隙間寸法を第2のストロークL2とした場合、第2のストロークL2が第1のストロークL1よりも大きく設定されている(L2>L1)。第1のストロークL1は、使用者の操作時において指ずれが生じない程度の短いストロークに設定され、第2のストロークL2は、使用者がストローク感(操作感)を感じるのに十分なストロークに設定されている。
【0014】
そして、第1の可動接点20と第1の固定接点23とにより、小ストロークスイッチ25を構成し、第2の可動接点21と第2の固定接点24とにより、小ストロークスイッチ25よりもストロークが大きな大ストロークスイッチ26を構成している。小ストロークスイッチ25は、タッチパネル12の押込み始めを検出するための押込み始め検出手段を構成する。また、大ストロークスイッチ26は、決定操作を検出するための決定操作検出手段を構成する。タッチパネル12は、非押圧状態では、ドーム部17の弾性復帰力により図1(b)に示す上方の原位置に付勢されている。
【0015】
なお、タッチパネル12の一端部(図1における左端部)には、フレキシブルプリント基板27の一端部27aが接続されている。このフレキシブルプリント基板27の他端部27bは、仕切部4の切欠き部7、配線基板10に形成された切欠き部28を通して、配線基板10の下面に接続されている。したがって、タッチパネル12と配線基板10とは、フレキシブルプリント基板27によって電気的に接続されている。
【0016】
配線基板10には、制御装置30(図4参照)が設けられている。この制御装置30は、例えばマイクロコンピュータにより構成されていて、本発明の判定手段として機能する。この制御装置30には、タッチパネル12のタッチ位置検出手段からのタッチ位置検出信号、小ストロークスイッチ25の信号、および大ストロークスイッチ26の信号が入力される。制御装置30は、これらの信号と、予め備えた制御プログラムに基づき、タッチパネル12の表示手段を制御するとともに、制御対象31を制御する機能を有している。
【0017】
次に上記構成の作用を説明する。
まず、タッチパネル12は、非押圧状態では図1(b)に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(図1(b)の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12が原位置から第1のストロークL1分、下方へ変位することにより、まず小ストロークスイッチ25がオンし(図3の実線位置参照)、この後、タッチパネル12がさらに下方の、第2のストロークL2分、下方へ変位することにより、大ストロークスイッチ26がオンするようになる(図3の二点鎖線参照)。
【0018】
このとき、制御装置30は、小ストロークスイッチ25がオンすることで、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。制御装置30は、この後、大ストロークスイッチ26がオンすることで、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0019】
ここで、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点から大ストロークスイッチ26がオンするまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置30は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(押込み始めを検出する小ストロークスイッチ25がオンした時点)での手指の位置を記憶し、その位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、使用者がストローク感を感じるのに十分なストロークの大ストロークスイッチ26をオンさせる必要がある。したがって、本実施形態によれば、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0020】
(第2実施形態)
図5および図6は本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形態は、上記した第1実施形態とは次の点が異なっている。
タッチパネル12の下面に設けられた凸部32は、前記凸部14よりも細い円柱状をなしていて、下端部が、仕切部4に形成された円形の開口部6aに上方から挿入されている。配線基板10の上面に配置されたラバーシート33には、前記凸部32の左側に位置させて第1のドーム部34が弾性変形可能に設けられ、右側に位置させて第2のドーム部35が弾性変形可能に設けられている。このうち、第1のドーム部34の上部の下面には、下方へ突出する凸部34aが一体に設けられていて、この凸部34aの下面に第1の可動接点36が設けられている。第2のドーム部35の上部の下面には、前記凸部34aよりも高さ寸法が短い凸部35aが一体に設けられていて、この凸部35aの下面に第2の可動接点37が設けられている。
【0021】
配線基板10の上面には、第1の可動接点36に対向する位置に位置させて一対の第1の固定接点38が設けられ、第2の可動接点37に対向する位置に位置させて、一対の第2の固定接点39が設けられている。ここで、第1の可動接点36と第1の固定接点38との間の隙間寸法を第1のストロークL3とし、第2の可動接点37と第2の固定接点39との間の隙間寸法を第2のストロークL4とした場合、第2のストロークL4が第1のストロークL3よりも大きく設定されている(L4>L3)。第1のストロークL3は、使用者の操作時において指ずれが生じない程度の短いストロークに設定され、第2のストロークL4は、使用者がストローク感(操作感)を感じるのに十分なストロークに設定されている。
【0022】
そして、第1の可動接点36と第1の固定接点38とにより、小ストロークスイッチ40を構成し、第2の可動接点37と第2の固定接点39とにより、小ストロークスイッチ40よりもストロークが大きな大ストロークスイッチ41を構成している。小ストロークスイッチ40は、タッチパネル12の押込み始めを検出するための押込み始め検出手段を構成する。また、大ストロークスイッチ41は、決定操作を検出するための決定操作検出手段を構成する。
【0023】
第1のドーム部34の上面と、第2のドーム部35の上面とは同じ高さとなるように設定されていて、これら第1のドーム部34の上面と第2のドーム部35の上面との間に橋をかけるように、矩形板状の橋かけプレート42が配置されている。橋かけプレート42の上面が、前記凸部32の下端部に下方から当接している。この場合も、タッチパネル12は、非押圧状態では、第1のドーム部34および第2のドーム部35の弾性復帰力により図5(b)に示す上方の原位置に付勢されている。仕切部4の下面には、橋かけプレート42を囲うように矩形状の枠部43が一体に設けられている。
【0024】
次に上記構成の作用を説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図5(b)に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(図5(b)の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12が原位置から第1のストロークL3分、下方へ変位することにより、橋かけプレート42も下方へ変位し、まず小ストロークスイッチ40がオンし(図6の実線位置参照)、この後、タッチパネル12がさらに下方へ変位することにより、橋かけプレート42が、左側の第1のドーム部34を支点にして右側が下降するように傾斜し、大ストロークスイッチ41がオンするようになる(図6の二点鎖線参照)。
【0025】
このとき、制御装置30は、小ストロークスイッチ40がオンすることで、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。制御装置30は、この後、大ストロークスイッチ41がオンすることで、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0026】
ここで、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点から大ストロークスイッチ41がオンするまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置30は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(押込み始めを検出する小ストロークスイッチ40がオンした時点)での手指の位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、大ストロークスイッチ41をオンさせる必要がある。したがって、本実施形態においても、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0027】
(第3実施形態)
図7〜図9は本発明の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、上記した第1実施形態とは次の点が異なっている。
図7において、タッチパネル12の下面には、下方へ突出する円柱状の第1の凸部45が設けられ、この第1の凸部45の下面に、当該第1の凸部45よりも細い円柱状の第2の凸部46が下向きに設けられている。仕切部4のほぼ中央部には、固定接点取付部47が一体に設けられているとともに、この固定接点取付部47の内部に、ばね受部48が一体に設けられている。固定接点取付部47には、第1の凸部45の左右両側に位置させて一対の固定接点49が固定状態に取り付けられている。これら固定接点49の一端部は、それぞれ接続部49aを介して配線基板10に電気的に接続されている。
【0028】
ばね受部48の中央部には、上下方向に貫通した挿通孔50が形成されている。この挿通孔50に、前記第2の凸部46が上方から上下動可能な状態で挿通され、その第2の凸部46の下端部が挿通孔50から下方へ突出している。第1の凸部45の下面とばね受部48との間には、可動接点51が上下動可能な状態で配置されている。この可動接点51の下面とばね受部48との間には、付勢手段を構成する圧縮コイルばね52が配設されていて、この圧縮コイルばね52の付勢力により、可動接点51が一対の固定接点49に下方から当接している。
【0029】
ここで、一対の固定接点49と、これに対して接離する可動接点51とにより、ノーマリークローズスイッチ53を構成している。このノーマリークローズスイッチ53は、タッチパネル12が、図7(b)に示す上方の原位置に位置された状態では、可動接点51が固定接点49に接触し、回路が閉成したオン状態となっている。このノーマリークローズスイッチ53は、タッチパネル12の押込み始めを検出する押込み始め検出手段を構成する。
【0030】
配線基板10の上面には、前記第2の凸部46の下方に位置させて、タクトスイッチ54が設けられている。このタクトスイッチ54は、操作子54aが上方に突出した押しボタン式のスイッチであり、その操作子54aが下方へ所定ストローク分押し込まれることに伴い図示しないスイッチ要素がオン状態となり、操作子54aに対する押圧力が解除されると、操作子54aが上方へ復帰してスイッチ要素がオフ状態となる。操作子54aの上面が、第2の凸部46の下面に下方から当接している。このタクトスイッチ54は、タッチパネル12が決定操作されたことを検出する決定操作検出手段を構成する。図9に示すように、ノーマリークローズスイッチ53の信号、およびタクトスイッチ54の信号も、制御装置30に入力される。
【0031】
次に上記構成の作用を説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図7(b)に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(図7(b)の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12が原位置から下方へ変位することにより、まず、ノーマリークローズスイッチ53の可動接点51が固定接点49から下方へ離間して(図8の実線位置参照)、回路が開放してオフ状態となる。この状態では、タクトスイッチ54の操作子54aは、所定のストロークは移動しておらず、オフ状態のままである。この後、タッチパネル12がさらに下方へ変位することにより、タクトスイッチ54の操作子54aが所定のストローク分押し込まれ、タクトスイッチ54がオンするようになる(図8の二点鎖線参照)。
【0032】
このとき、制御装置30は、ノーマリークローズスイッチ53がオフすることで、タッチパネル12が押込み始めされたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。制御装置30は、この後、タクトスイッチ54がオンすることで、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0033】
ここで、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点からタクトスイッチ54がオンするまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置30は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(ノーマリークローズスイッチ53がオフした時点)での手指の位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、使用者がストローク感を感じるのに十分なストロークのタクトスイッチ54をオンさせる必要がある。したがって、本実施形態においても、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0034】
この実施形態においては、特に、ノーマリークローズスイッチ53により、タッチパネル12が下方へ変位し始めた瞬間を検出することができる利点がある。
【0035】
(第4実施形態)
図10および図11は本発明の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、上記した第1実施形態とは次の点が異なっている。
タッチパネル12の下面には、下方へ突出する円柱状の凸部56が設けられ、この凸部56の下端部が、仕切部4に形成された開口部57を通して下方へ突出している。配線基板10の上面には、前記凸部56の下方に位置させてタクトスイッチ58が設けられている。このタクトスイッチ58は、第3実施形態のタクトスイッチ54と同様な構成のもので、操作子58aが上方に突出した押しボタン式のスイッチであり、その操作子58aが下方へ所定ストローク分押し込まれることに伴い図示しないスイッチ要素がオン状態となり、操作子58aに対する押圧力が解除されると、操作子58aが上方へ復帰してスイッチ要素がオフ状態となる。操作子584aの上面が、凸部56の下面に下方から当接している。操作子58aへの上方への復帰力により、凸部56を介してタッチパネル12が上方の原位置に位置されている。このタクトスイッチ58も、タッチパネル12が決定操作されたことを検出する決定操作検出手段を構成する。
【0036】
そして、配線基板10の上面には、タクトスイッチ58の右側に位置させて変位センサ59が実装されている。この変位センサ59の上部は、仕切部4に形成された開口部60に下方から挿入されていて、タッチパネル12の下面に下方から臨んでいる。この変位センサ59は、例えば赤外線式のもので、上方のタッチパネル12に対して赤外線を照射してタッチパネル12と当該変位センサ59との間の距離、ひいてはタッチパネル12の下面の上下方向の位置を検出する機能を有している。図10において、符号59aは、変位センサ59から発せられる赤外線を模式的に示している。この変位センサ59は、タッチパネル12に対する操作時に指ずれが生じない程度の短いストロークを検出するためのもので、タッチパネル12の押込み始めを検出する押込み始め検出手段を構成する。変位センサ59としては、赤外線式のものに代えて、超音波式のものを用いることもできる。図11に示すように、変位センサ59の検出信号、およびタクトスイッチ58の信号も、制御装置30に入力される。
【0037】
次に上記構成の作用を説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図10(b)に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(図10(b)の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12が原位置から下方へ変位する。そのタッチパネル12の下方への変位を変位センサ59により検出する。
【0038】
制御装置30は、その変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12が、予め設定された設定値まで変位したと判断したら、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。このときの設定値は、タッチパネル12が押込み始めされたことを検出するための短い変位量とする。このとき、タクトスイッチ58の操作子58aも凸部56により押されて下方へ少し変位するが、その変位量(ストローク量)は小さく、オフ状態のままである。そして、タッチパネル12がさらに下方へ押し込まれ、操作子58aが所定のストローク分押込まれると、タクトスイッチ58がオンする。制御装置30は、そのタクトスイッチ58のオン信号に基づき、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0039】
ここで、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点からタクトスイッチ58がオンするまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置30は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(変位センサ59でタッチパネル12の押込み始めを検出した時点)の手指の位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、使用者がストローク感を感じるのに十分なストロークのタクトスイッチ58をオンさせる必要がある。したがって、本実施形態においても、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0040】
この実施形態においては、特に、タッチパネル12の変位を検出する変位センサ59に、検出対象のタッチパネル12の位置を非接触で検出する非接触式のものを採用することにより、タッチパネル12を介して決定操作を行うタクトスイッチ58の操作フィーリングに影響を与えることなく実施できる利点がある。なお、変位センサとしては、非接触式のものに限られず、タッチパネル12の上下方向の位置に対応した出力を行うものであれば、例えば、棒型可変抵抗器を用いることも可能である。また、タッチパネル12の押込み始めとする位置は、変位センサ59の検出信号(検出値)と比較する制御装置30の設定値を変更することで、容易に調整することができる。
【0041】
(第5実施形態)
図12および図13は本発明の第5実施形態を示す。この第5実施形態は、上記した第4実施形態とは次の点が異なっている。
押込み始め検出手段として、変位センサ59に代えて、荷重センサ62を用いている。この荷重センサ62は、例えば圧電素子を用いたもので、タクトスイッチ58の操作子58aの上面と、凸部56の下面との間に配置している。この荷重センサ62の接続線62aは、弾性変形が可能であり、先端部が配線基板10に接続されている。図13に示すように、荷重センサ62の信号も制御装置30に入力される。
【0042】
次に上記構成の作用を説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図12(b)に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(図12(b)の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12の凸部56とタクトスイッチ58の操作子58aとの間に挟まれた荷重センサ62が、凸部56から押圧荷重を受け、その荷重を検出する。荷重センサ62としては、受ける荷重により変形しないものが好ましい。
【0043】
制御装置30は、その荷重センサ62からの検出信号により、予め設定された設定荷重(タクトスイッチ58の操作子58aを操作する操作荷重より小さい荷重)を受けたと判断したら、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。このとき、タクトスイッチ58はオフ状態のままである。
【0044】
そして、タッチパネル12がさらに下方へ押し込まれ、操作子58aが荷重センサ62を介して所定のストローク分押込まれると、タクトスイッチ58がオンする。制御装置30は、そのタクトスイッチ58のオン信号に基づき、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0045】
ここで、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点からタクトスイッチ58がオンするまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置30は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(荷重センサ62でタッチパネル12の押込み始めを検出した時点)での手指の位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、使用者がストローク感を感じるのに十分なストロークのタクトスイッチ58をオンさせる必要がある。したがって、本実施形態においても、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0046】
この実施形態においても、タッチパネル12の押込み始めとする位置は、荷重センサ62の検出信号(検出値)と比較する制御装置30の設定値を変更することで、容易に調整することができる。
【0047】
(第6実施形態)
図14〜図16は本発明の第6実施形態を示す。この第6実施形態は、上記した第4実施形態とは次の点が異なっている。
図14において、この場合、前記タクトスイッチ58は設けられていない。仕切部4には、タッチパネル12の下面に設けられた凸部64に対応して、凹状のばね受部65が設けられている。ばね受部65は凸部64の外形より大きく形成されていて、凸部64の下端部が、そのばね受部65に上下動可能に挿入されている。このばね受部65と、タッチパネル12の下面との間に、圧縮コイルばね66が配設されている。この圧縮コイルばね66は、凸部64を外側から囲繞するように配置されているとともに、上端部がタッチパネル12の下面に当接していて、タッチパネル12を上方の原位置へ付勢する付勢手段を構成している。そして、この場合、変位センサ59は、タッチパネル12の押込み始めを検出する押込み始め検出手段と、決定操作を検出する決定操作検出手段を兼ねていて、図15に示すように、その検出信号を制御装置67に出力する。制御装置67は、前記制御装置30と同様な構成のもので、本発明の判定手段として機能する。
【0048】
次に上記構成の作用を説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図14に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12が原位置から下方へ変位する。そのタッチパネル12の下方への変位を変位センサ59により検出する。
【0049】
制御装置67は、その変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12が、予め設定された設定値Aまで変位したと判断したら、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。このときの設定値Aは、タッチパネル12が押込み始めされたことを検出するための短い変位量とする。
【0050】
そして、タッチパネル12がさらに下方へ押し込まれ、制御装置67は、変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12が、予め設定された設定値B(設定値Bは設定値Aよりも大)まで変位したと判断したら、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0051】
図16には、このときの制御装置67の制御内容の一例が示されており、この制御装置67の制御内容を図16に沿って説明する。制御装置67は、まず、タッチ位置(座標)を記憶していた場合にはそのタッチ位置をリセットし(ステップS1)、変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12が変位したストローク量が設定値A未満か否かを判断する(ステップS2)。設定値Aは、タッチパネル12が押込み始めされたことを検出するための小さな変位量である。変位センサ59により検出したストローク量が設定値A未満である場合には、ステップS1へ戻る。
【0052】
タッチパネル12が押込み操作され、変位センサ59により検出したストローク量が設定値A以上となった場合には、制御装置67は、タッチパネル12が押込み始めされたと判断し、ステップS2で「NO」に従ってステップS3へ移行し、この時点での手指のタッチ位置(座標)を記憶する。この後、制御装置67は、変位センサ59により検出したストローク量が設定値A未満であるか否かを再度判断し(ステップS4)、設定値A未満であると判断した場合にはステップS1へ戻り、設定値A以上であると判断した場合には、ステップS5へ移行する。
【0053】
ステップS5においては、変位センサ59により検出したストローク量が、設定値Aよりも大きな設定値B以上であるか否かを判断する。制御装置67は、変位センサ59により検出したストローク量が設定値B以上であると判断した場合には、タッチパネル12が押込み操作されて決定操作されたと判断し、ステップS6へ移行し、ステップS3で記憶していたタッチ位置に対応する項目に対応する制御対象31を制御する。なお、ステップS5において、変位センサ59により検出したストローク量が設定値B以上でないと判断した場合には、ステップS4へ戻る。
【0054】
上記した実施形態においては、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点から、決定操作であると判定するまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置67は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(変位センサ59でタッチパネル12の押込み始めを検出した時点)の手指の位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、使用者がストローク感を感じるのに十分なストロークである設定値B以上になるまで押込み操作をする必要がある。したがって、本実施形態においても、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0055】
この実施形態においては、特に、変位センサ59は、押込み始め検出手段と、決定操作検出手段とを兼ねる構成としているので、部品点数を少なくできる利点がある。なお、押込み始め検出用の変位センサと、決定操作検出用の変位センサとを別々に設けることも可能である。
【0056】
(第7実施形態)
図17〜図19は本発明の第7実施形態を示す。この第7実施形態は、上記した第6実施形態とは次の点が異なっている。
図17において、タッチパネル12にはこの場合表示手段は設けられておらず、表示手段は、制御対象31側の機器に設けられている。タッチパネル12の表面に人の手指が接触すると、タッチ位置検出手段によりタッチ位置を検出し、制御対象31の表示手段に、タッチ位置を示すマークがタッチ位置に対応して表示される。タッチパネル12の変位方向の変位位置を検出する変位センサ59は、この場合も押込み始め検出手段と決定操作検出手段とを兼ねている。制御装置70は、判定手段として機能するもので、後述するように決定操作された際に、タッチ位置に関する情報を制御対象31に送信する。
【0057】
図18に示すように、変位センサ59による検出位置としては、タッチパネル12の変位方向(押込み方向)において、タッチパネル12が原位置に位置された基準位置のほか、押込み始め検出位置(原位置からの変位量α)と、決定操作検出位置(原位置からの変位量γ)と、これらの中間に位置する中間検出位置(原位置からの変位量β)が設定されている。この場合、タッチパネル12の変位量Zは、押込み方向(下方向)を+としている。変位量α、β、γの関係は、α<β<γとなっている。
【0058】
次に上記構成の作用を、図14、図17、図18も参照して説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図14に示す原位置(基準位置)に位置されている。また、制御対象31の表示手段に、例えば複数の選択項目が表示されている。この状態では、図19に示すように、入力装置としては通常状態で、制御装置70において、エンター中フラグはOFF、補正中フラグもOFFに設定されている。
【0059】
この通常状態から、使用者がタッチパネル12の表面に手指を接触させると、タッチ位置検出手段がタッチ位置を検出し、制御対象31の表示手段に、タッチ位置を示すマークがタッチ位置に応じて表示される。そして、表示手段に表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、タッチ位置を示すマークを希望する項目に対応させた状態で、タッチパネル12を押込み操作する(図14の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12は、押込み方向(下方)へ変位する。そのタッチパネル12の押込み方向への変位を変位センサ59により検出する。
【0060】
制御装置70は、その変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12が、予め設定された押込み始め検出位置であるα以上変位したと判断したら(押込み始め検出位置に到達したか又はこれを越えたと判断したら)(Z≧α)、エンター開始状態となり、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点で、タッチ位置検出手段が検出したタッチ位置(座標)を記憶し固定する。このとき、制御装置70においては、エンター中フラグはOFFのままで、補正中フラグをONに設定する。
【0061】
そして、例えば、タッチパネル12が決定操作検出位置に到達する前(Z<γ)に使用者が押込み操作を中止し、手指がタッチパネル12から離れたような場合には、タッチパネル12は原位置方向へ戻される。このとき、制御装置70が、変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12の変位量Zが押込み始め検出位置のαより小さくなったと判断したら(Z<α)、タッチパネル12の押込み操作が中断されたと判断し、通常状態に戻る。これに伴い、制御装置70は、記憶していたタッチ位置(座標)の記憶を解除し、補正中フラグをOFFに変更する。
【0062】
一方、前記エンター開始状態(タッチ位置(座標)を記憶し固定した状態)で、タッチパネル12がさらに押込み操作され、制御装置70が、変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12の変位量Zが決定操作検出位置であるγ以上変位したと判断したら(決定操作検出位置に到達したか又はこれを越えたと判断したら)(Z≧γ)、エンター中状態となり、前記記憶していたタッチ位置で決定操作が行われたと判断し、そのことを制御対象31に送信する。制御対象31では、選択された項目が実行される。このとき、制御装置70においては、補正中フラグはONのままで、エンター中フラグをONに設定する。
【0063】
上記エンター中状態において、使用者がタッチパネル12に対する押込み操作力を解除すると、タッチパネル12は決定操作検出位置から原位置方向(上方)へ戻される。制御装置70は、変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12の変位量Zが、押込み始め検出位置のαよりは大きく、かつ中間検出位置のβより小さくなったと判断したら(α≦Z<β)、記憶していたタッチ位置(座標)の記憶を解除し、補正中フラグをOFFに変更する。これにより、エンター後状態となる。タッチパネル12の位置がさらに上昇し、制御装置70は、タッチパネル12の変位量Zが押込み始め検出位置のαより小さくなったと判断したら(Z<α)、エンター中フラグもOFFに変更し、もとの通常状態に戻る。
【0064】
ここで、使用者が押込み操作してタッチパネル12が一旦、決定操作検出位置まで到達した後、タッチパネル12が原位置方向へ戻される場合において、使用者が再度押込み操作した場合について説明する。タッチパネル12が一旦、決定操作検出位置まで到達した後、原位置方向へ戻される場合において、タッチパネル12の位置が中間検出位置であるβより小さくなると(上昇すると)、制御装置70は、上記したように、記憶していたタッチ位置の記憶を解除する。そして、制御装置70は、タッチパネル12の位置が押込み始め検出位置となるαまで上昇する前に、タッチパネル12が押込み操作されて前記中間検出位置であるβ以上となったことを検出すると(βより下方へ変位すると)、その時点で、タッチ位置検出手段にて検出したタッチ位置を記憶して固定し、タッチパネル12が押込み検出位置であるγまで変位すると、前記記憶していたタッチ位置で決定操作が行われたと判断し、そのことを制御対象31に送信する。
【0065】
また、タッチパネル12が一旦、決定操作検出位置まで到達した後、原位置方向へ戻される場合において、タッチパネル12の位置が、一旦押込み開始検出位置であるαより小さくなった場合には、通常状態に戻る。このため、この状態でタッチパネル12が再度押込み操作された場合には、制御装置70は、上記したように、タッチパネル12の位置が押込み始め検出位置となるαまで押込まれた時点で、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し固定することになる。
【0066】
上記した実施形態によれば、使用者が押込み操作してタッチパネル12が一旦、決定操作検出位置まで到達した後、タッチパネル12が原位置方向へ戻され、使用者が再度押込み操作した場合において、タッチパネル12の位置が、決定操作検出位置と押込み始め検出位置との中間の中間検出位置に到達した時点で、記憶していたタッチ位置(座標)を解除する構成としているので、使用者がタッチパネル12に触れたまま再度押込み操作した場合でも、記憶していたタッチ位置が固定されたまま変化しなくなるということを極力防止することができる。
【0067】
また、上記した場合において、タッチパネル12の位置が中間検出位置を再度下方へ越えた時点でタッチ位置を再度記憶し直し、その後、タッチパネル12が決定操作検出位置まで到達することで、その記憶し直したタッチ位置で決定操作されたと判断するので、使用者が意図した操作に対応することができる。
【0068】
(その他の実施形態)
本発明は上記した各実施形態にのみ限られず、次のように変形または拡張することが可能である。
項目などを表示する表示手段としては、タッチパネル12に一体的に設けられるものに限られず、タッチパネル12とは別体で設けられるものでもよい。
【符号の説明】
【0069】
図面中、12はタッチパネル(タッチ位置検出手段)、25は小ストロークスイッチ(押込み始め検出手段)、26は大ストロークスイッチ(決定操作検出手段)、30は制御装置(判定手段)、40は小ストロークスイッチ(押込み始め検出手段)、41は大ストロークスイッチ(決定操作検出手段)、53はノーマリークローズスイッチ(押込み始め検出手段)、54はタクトスイッチ(決定操作検出手段)、58はタクトスイッチ(決定操作検出手段)、59は変位センサ(押込み始め検出手段、決定操作検出手段)、62は荷重センサ(押込み始め検出手段)、67は制御装置(判定手段)、70は制御装置(判定手段)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを備えた入力装置に関する
【背景技術】
【0002】
タッチパネルを備えた入力装置においては、タッチパネルの表面にタッチされた手指の位置をタッチ位置検出手段により検出し、タッチパネルが押込み操作されたことを押圧式の例えばタクトスイッチにより検出することで、タッチ位置で選択された項目を決定して動作させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなものでは、決定操作用のタクトスイッチは、オンするまでに所定のストロークが必要であり、タッチパネルにタッチしてからこれを押込み操作する際のストローク中に、操作する手指の位置が操作開始時に対してずれてしまい、意図しない項目が決定されてしまう場合がある。このようなことの対策として、例えば、決定操作用の押圧式スイッチのストロークを極端に短くすることが考えられるが、タッチパネルをわずかに動かしたり、タッチパネルが振動でわずかに動いたりした際に、使用者の意図に反して決定操作されてしまうなど、操作性が低下する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−298380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明の入力装置は、上下方向へ変位可能でかつ非押圧状態で上方の原位置へ付勢されるように設けられ、表面に手指がタッチされたときにそのタッチ位置を検出するタッチ位置検出手段を有して押込み操作されるタッチパネルと、このタッチパネルが押込まれて下方へ変位することに伴い前記タッチパネルの押込み始めを検出する押込み始め検出手段と、前記タッチパネルが、前記押込み始め検出手段が前記押込み始めを検出した位置よりもさらに下方へ変位することに伴い決定操作を検出する決定操作検出手段と、前記押込み始め検出手段が前記押込み始めを検出した時点で前記タッチ位置検出手段にて検出していたタッチ位置を記憶し、この後、前記決定操作検出手段が決定操作を検出したときに前記記憶していた前記タッチ位置で決定操作が行われたと判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
使用者がタッチパネルで項目を選択して決定操作する場合、まず手指を、タッチパネル上で選択した項目をタッチし、その状態でタッチパネルを押込み操作する。そのタッチパネルの押込み操作時に、操作する手指の位置が操作開始時に対してずれたとしても、本発明においては、押込み開始時点に手指がタッチしていたタッチ位置を記憶し、その記憶したタッチ位置で決定操作されたと判定するので、使用者が操作したい項目を特定することができる。決定操作には、決定操作検出手段が決定操作を検出するための所定のストロークが必要である。したがって、本発明によれば、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態の入力装置を示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のX−X線に沿う縦断正面図
【図2】固定接点部分の平面図
【図3】動作を説明するための縦断正面図
【図4】電気的構成を示すブロック図
【図5】第2実施形態の入力装置を示す図1相当図
【図6】図3相当図
【図7】第3実施形態の入力装置を示す図1相当図
【図8】図3相当図
【図9】図4相当図
【図10】第4実施形態の入力装置を示す図1相当図
【図11】図4相当図
【図12】第5実施形態の入力装置を示す図1相当図
【図13】図4相当図
【図14】第6実施形態の入力装置を示す図1(b)相当図
【図15】図4相当図
【図16】押込み操作検出用のフローチャート
【図17】第7実施形態を示す図4相当図
【図18】タッチパネルの変位方向の位置と、押込み操作時および戻り操作時の検出状態の関係を説明する図
【図19】状態遷移図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態による入力装置を図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態について図1〜図4を参照して説明する。図1において、入力装置の外殻は、矩形筒状をなすボデー1と、このボデー1の上部に固定配置されたベゼル2と、ボデー1の下部に固定配置されたカバー3とから構成されている。このうち、ボデー1の内部には、上下方向の中間部に位置させて内部を上下に仕切るように仕切部4が一体に設けられていると共に、この仕切部4の下部の4箇所に円柱状のボス部5が一体に設けられている。仕切部4には、ほぼ中央部に位置させて矩形状の開口部6が形成され、図1の左側に位置させて矩形状の切欠き部7が形成されている。ベゼル2は、中央部に矩形状の開口部8を有していて、上から見て矩形枠状をなしている。
【0010】
下部のカバー3の上部には、スペーサ9を介してプリント配線基板からなる配線基板10が配置されている。これらカバー3および配線基板10は、カバー3の下方から挿通されたねじ11を、スペーサ9および配線基板10を貫通させて、前記ボス部5にねじ込むことにより、ボデー1の下部に共締め状態で取り付けられている。
【0011】
ボデー1内において仕切部4とベゼル2との間に位置させて、タッチパネル12が上下方向に変位可能に配設されている。このタッチパネル12は、ベゼル2の開口部8より大きな矩形板状をなしていて、静電容量式のタッチ位置検出手段と液晶式の表示手段とを備えている。タッチ位置検出手段は、タッチパネル12の上面に人の手指がタッチされたときに、そのタッチ位置(座標)を検出する。表示手段は、使用者が選択する項目などを表示する。タッチパネル12における操作領域13(図1(a)参照)は、ベゼル2の開口部8よりやや大きな領域となっている。タッチパネル12の下面には、下方へ突出する凸部14が一体的に設けられている。この凸部14は、仕切部4の前記開口部6を貫通して仕切部4の下方へ突出している。
【0012】
配線基板10の上面には、凸部14の下方に位置させてラバーシート16が配置されている。このラバーシート16には、上方に向けて突出するドーム部17が弾性変形可能に設けられていて、このドーム部17の上面が凸部14の下面に下方から当接している。ドーム部17の上部の下面には、下方へ突出する第1の凸部18と、この第1の凸部18を挟んだ左右両側に位置させて下方へ突出する第2の凸部19が一体に設けられている。第1の凸部18の下端部は、第2の凸部19の下端部よりも下方へ突出している。第1の凸部18の下端部には第1の可動接点20が設けられ、第2の凸部19の下面には第2の可動接点21が設けられている。ドーム部17の上部には、第1の凸部18の上方に位置させて凹部22が形成されている。
【0013】
配線基板10の上面には、図2に示すように、第1の可動接点20に対向する位置に位置させて一対の第1の固定接点23が設けられ、第2の可動接点21に対向する位置に位置させて、それぞれ一対の第2の固定接点24が設けられている。ここで、第1の可動接点20と第1の固定接点23との間の隙間寸法を第1のストロークL1とし、第2の可動接点21と第2の固定接点24との間の隙間寸法を第2のストロークL2とした場合、第2のストロークL2が第1のストロークL1よりも大きく設定されている(L2>L1)。第1のストロークL1は、使用者の操作時において指ずれが生じない程度の短いストロークに設定され、第2のストロークL2は、使用者がストローク感(操作感)を感じるのに十分なストロークに設定されている。
【0014】
そして、第1の可動接点20と第1の固定接点23とにより、小ストロークスイッチ25を構成し、第2の可動接点21と第2の固定接点24とにより、小ストロークスイッチ25よりもストロークが大きな大ストロークスイッチ26を構成している。小ストロークスイッチ25は、タッチパネル12の押込み始めを検出するための押込み始め検出手段を構成する。また、大ストロークスイッチ26は、決定操作を検出するための決定操作検出手段を構成する。タッチパネル12は、非押圧状態では、ドーム部17の弾性復帰力により図1(b)に示す上方の原位置に付勢されている。
【0015】
なお、タッチパネル12の一端部(図1における左端部)には、フレキシブルプリント基板27の一端部27aが接続されている。このフレキシブルプリント基板27の他端部27bは、仕切部4の切欠き部7、配線基板10に形成された切欠き部28を通して、配線基板10の下面に接続されている。したがって、タッチパネル12と配線基板10とは、フレキシブルプリント基板27によって電気的に接続されている。
【0016】
配線基板10には、制御装置30(図4参照)が設けられている。この制御装置30は、例えばマイクロコンピュータにより構成されていて、本発明の判定手段として機能する。この制御装置30には、タッチパネル12のタッチ位置検出手段からのタッチ位置検出信号、小ストロークスイッチ25の信号、および大ストロークスイッチ26の信号が入力される。制御装置30は、これらの信号と、予め備えた制御プログラムに基づき、タッチパネル12の表示手段を制御するとともに、制御対象31を制御する機能を有している。
【0017】
次に上記構成の作用を説明する。
まず、タッチパネル12は、非押圧状態では図1(b)に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(図1(b)の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12が原位置から第1のストロークL1分、下方へ変位することにより、まず小ストロークスイッチ25がオンし(図3の実線位置参照)、この後、タッチパネル12がさらに下方の、第2のストロークL2分、下方へ変位することにより、大ストロークスイッチ26がオンするようになる(図3の二点鎖線参照)。
【0018】
このとき、制御装置30は、小ストロークスイッチ25がオンすることで、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。制御装置30は、この後、大ストロークスイッチ26がオンすることで、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0019】
ここで、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点から大ストロークスイッチ26がオンするまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置30は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(押込み始めを検出する小ストロークスイッチ25がオンした時点)での手指の位置を記憶し、その位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、使用者がストローク感を感じるのに十分なストロークの大ストロークスイッチ26をオンさせる必要がある。したがって、本実施形態によれば、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0020】
(第2実施形態)
図5および図6は本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形態は、上記した第1実施形態とは次の点が異なっている。
タッチパネル12の下面に設けられた凸部32は、前記凸部14よりも細い円柱状をなしていて、下端部が、仕切部4に形成された円形の開口部6aに上方から挿入されている。配線基板10の上面に配置されたラバーシート33には、前記凸部32の左側に位置させて第1のドーム部34が弾性変形可能に設けられ、右側に位置させて第2のドーム部35が弾性変形可能に設けられている。このうち、第1のドーム部34の上部の下面には、下方へ突出する凸部34aが一体に設けられていて、この凸部34aの下面に第1の可動接点36が設けられている。第2のドーム部35の上部の下面には、前記凸部34aよりも高さ寸法が短い凸部35aが一体に設けられていて、この凸部35aの下面に第2の可動接点37が設けられている。
【0021】
配線基板10の上面には、第1の可動接点36に対向する位置に位置させて一対の第1の固定接点38が設けられ、第2の可動接点37に対向する位置に位置させて、一対の第2の固定接点39が設けられている。ここで、第1の可動接点36と第1の固定接点38との間の隙間寸法を第1のストロークL3とし、第2の可動接点37と第2の固定接点39との間の隙間寸法を第2のストロークL4とした場合、第2のストロークL4が第1のストロークL3よりも大きく設定されている(L4>L3)。第1のストロークL3は、使用者の操作時において指ずれが生じない程度の短いストロークに設定され、第2のストロークL4は、使用者がストローク感(操作感)を感じるのに十分なストロークに設定されている。
【0022】
そして、第1の可動接点36と第1の固定接点38とにより、小ストロークスイッチ40を構成し、第2の可動接点37と第2の固定接点39とにより、小ストロークスイッチ40よりもストロークが大きな大ストロークスイッチ41を構成している。小ストロークスイッチ40は、タッチパネル12の押込み始めを検出するための押込み始め検出手段を構成する。また、大ストロークスイッチ41は、決定操作を検出するための決定操作検出手段を構成する。
【0023】
第1のドーム部34の上面と、第2のドーム部35の上面とは同じ高さとなるように設定されていて、これら第1のドーム部34の上面と第2のドーム部35の上面との間に橋をかけるように、矩形板状の橋かけプレート42が配置されている。橋かけプレート42の上面が、前記凸部32の下端部に下方から当接している。この場合も、タッチパネル12は、非押圧状態では、第1のドーム部34および第2のドーム部35の弾性復帰力により図5(b)に示す上方の原位置に付勢されている。仕切部4の下面には、橋かけプレート42を囲うように矩形状の枠部43が一体に設けられている。
【0024】
次に上記構成の作用を説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図5(b)に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(図5(b)の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12が原位置から第1のストロークL3分、下方へ変位することにより、橋かけプレート42も下方へ変位し、まず小ストロークスイッチ40がオンし(図6の実線位置参照)、この後、タッチパネル12がさらに下方へ変位することにより、橋かけプレート42が、左側の第1のドーム部34を支点にして右側が下降するように傾斜し、大ストロークスイッチ41がオンするようになる(図6の二点鎖線参照)。
【0025】
このとき、制御装置30は、小ストロークスイッチ40がオンすることで、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。制御装置30は、この後、大ストロークスイッチ41がオンすることで、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0026】
ここで、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点から大ストロークスイッチ41がオンするまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置30は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(押込み始めを検出する小ストロークスイッチ40がオンした時点)での手指の位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、大ストロークスイッチ41をオンさせる必要がある。したがって、本実施形態においても、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0027】
(第3実施形態)
図7〜図9は本発明の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、上記した第1実施形態とは次の点が異なっている。
図7において、タッチパネル12の下面には、下方へ突出する円柱状の第1の凸部45が設けられ、この第1の凸部45の下面に、当該第1の凸部45よりも細い円柱状の第2の凸部46が下向きに設けられている。仕切部4のほぼ中央部には、固定接点取付部47が一体に設けられているとともに、この固定接点取付部47の内部に、ばね受部48が一体に設けられている。固定接点取付部47には、第1の凸部45の左右両側に位置させて一対の固定接点49が固定状態に取り付けられている。これら固定接点49の一端部は、それぞれ接続部49aを介して配線基板10に電気的に接続されている。
【0028】
ばね受部48の中央部には、上下方向に貫通した挿通孔50が形成されている。この挿通孔50に、前記第2の凸部46が上方から上下動可能な状態で挿通され、その第2の凸部46の下端部が挿通孔50から下方へ突出している。第1の凸部45の下面とばね受部48との間には、可動接点51が上下動可能な状態で配置されている。この可動接点51の下面とばね受部48との間には、付勢手段を構成する圧縮コイルばね52が配設されていて、この圧縮コイルばね52の付勢力により、可動接点51が一対の固定接点49に下方から当接している。
【0029】
ここで、一対の固定接点49と、これに対して接離する可動接点51とにより、ノーマリークローズスイッチ53を構成している。このノーマリークローズスイッチ53は、タッチパネル12が、図7(b)に示す上方の原位置に位置された状態では、可動接点51が固定接点49に接触し、回路が閉成したオン状態となっている。このノーマリークローズスイッチ53は、タッチパネル12の押込み始めを検出する押込み始め検出手段を構成する。
【0030】
配線基板10の上面には、前記第2の凸部46の下方に位置させて、タクトスイッチ54が設けられている。このタクトスイッチ54は、操作子54aが上方に突出した押しボタン式のスイッチであり、その操作子54aが下方へ所定ストローク分押し込まれることに伴い図示しないスイッチ要素がオン状態となり、操作子54aに対する押圧力が解除されると、操作子54aが上方へ復帰してスイッチ要素がオフ状態となる。操作子54aの上面が、第2の凸部46の下面に下方から当接している。このタクトスイッチ54は、タッチパネル12が決定操作されたことを検出する決定操作検出手段を構成する。図9に示すように、ノーマリークローズスイッチ53の信号、およびタクトスイッチ54の信号も、制御装置30に入力される。
【0031】
次に上記構成の作用を説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図7(b)に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(図7(b)の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12が原位置から下方へ変位することにより、まず、ノーマリークローズスイッチ53の可動接点51が固定接点49から下方へ離間して(図8の実線位置参照)、回路が開放してオフ状態となる。この状態では、タクトスイッチ54の操作子54aは、所定のストロークは移動しておらず、オフ状態のままである。この後、タッチパネル12がさらに下方へ変位することにより、タクトスイッチ54の操作子54aが所定のストローク分押し込まれ、タクトスイッチ54がオンするようになる(図8の二点鎖線参照)。
【0032】
このとき、制御装置30は、ノーマリークローズスイッチ53がオフすることで、タッチパネル12が押込み始めされたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。制御装置30は、この後、タクトスイッチ54がオンすることで、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0033】
ここで、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点からタクトスイッチ54がオンするまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置30は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(ノーマリークローズスイッチ53がオフした時点)での手指の位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、使用者がストローク感を感じるのに十分なストロークのタクトスイッチ54をオンさせる必要がある。したがって、本実施形態においても、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0034】
この実施形態においては、特に、ノーマリークローズスイッチ53により、タッチパネル12が下方へ変位し始めた瞬間を検出することができる利点がある。
【0035】
(第4実施形態)
図10および図11は本発明の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、上記した第1実施形態とは次の点が異なっている。
タッチパネル12の下面には、下方へ突出する円柱状の凸部56が設けられ、この凸部56の下端部が、仕切部4に形成された開口部57を通して下方へ突出している。配線基板10の上面には、前記凸部56の下方に位置させてタクトスイッチ58が設けられている。このタクトスイッチ58は、第3実施形態のタクトスイッチ54と同様な構成のもので、操作子58aが上方に突出した押しボタン式のスイッチであり、その操作子58aが下方へ所定ストローク分押し込まれることに伴い図示しないスイッチ要素がオン状態となり、操作子58aに対する押圧力が解除されると、操作子58aが上方へ復帰してスイッチ要素がオフ状態となる。操作子584aの上面が、凸部56の下面に下方から当接している。操作子58aへの上方への復帰力により、凸部56を介してタッチパネル12が上方の原位置に位置されている。このタクトスイッチ58も、タッチパネル12が決定操作されたことを検出する決定操作検出手段を構成する。
【0036】
そして、配線基板10の上面には、タクトスイッチ58の右側に位置させて変位センサ59が実装されている。この変位センサ59の上部は、仕切部4に形成された開口部60に下方から挿入されていて、タッチパネル12の下面に下方から臨んでいる。この変位センサ59は、例えば赤外線式のもので、上方のタッチパネル12に対して赤外線を照射してタッチパネル12と当該変位センサ59との間の距離、ひいてはタッチパネル12の下面の上下方向の位置を検出する機能を有している。図10において、符号59aは、変位センサ59から発せられる赤外線を模式的に示している。この変位センサ59は、タッチパネル12に対する操作時に指ずれが生じない程度の短いストロークを検出するためのもので、タッチパネル12の押込み始めを検出する押込み始め検出手段を構成する。変位センサ59としては、赤外線式のものに代えて、超音波式のものを用いることもできる。図11に示すように、変位センサ59の検出信号、およびタクトスイッチ58の信号も、制御装置30に入力される。
【0037】
次に上記構成の作用を説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図10(b)に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(図10(b)の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12が原位置から下方へ変位する。そのタッチパネル12の下方への変位を変位センサ59により検出する。
【0038】
制御装置30は、その変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12が、予め設定された設定値まで変位したと判断したら、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。このときの設定値は、タッチパネル12が押込み始めされたことを検出するための短い変位量とする。このとき、タクトスイッチ58の操作子58aも凸部56により押されて下方へ少し変位するが、その変位量(ストローク量)は小さく、オフ状態のままである。そして、タッチパネル12がさらに下方へ押し込まれ、操作子58aが所定のストローク分押込まれると、タクトスイッチ58がオンする。制御装置30は、そのタクトスイッチ58のオン信号に基づき、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0039】
ここで、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点からタクトスイッチ58がオンするまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置30は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(変位センサ59でタッチパネル12の押込み始めを検出した時点)の手指の位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、使用者がストローク感を感じるのに十分なストロークのタクトスイッチ58をオンさせる必要がある。したがって、本実施形態においても、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0040】
この実施形態においては、特に、タッチパネル12の変位を検出する変位センサ59に、検出対象のタッチパネル12の位置を非接触で検出する非接触式のものを採用することにより、タッチパネル12を介して決定操作を行うタクトスイッチ58の操作フィーリングに影響を与えることなく実施できる利点がある。なお、変位センサとしては、非接触式のものに限られず、タッチパネル12の上下方向の位置に対応した出力を行うものであれば、例えば、棒型可変抵抗器を用いることも可能である。また、タッチパネル12の押込み始めとする位置は、変位センサ59の検出信号(検出値)と比較する制御装置30の設定値を変更することで、容易に調整することができる。
【0041】
(第5実施形態)
図12および図13は本発明の第5実施形態を示す。この第5実施形態は、上記した第4実施形態とは次の点が異なっている。
押込み始め検出手段として、変位センサ59に代えて、荷重センサ62を用いている。この荷重センサ62は、例えば圧電素子を用いたもので、タクトスイッチ58の操作子58aの上面と、凸部56の下面との間に配置している。この荷重センサ62の接続線62aは、弾性変形が可能であり、先端部が配線基板10に接続されている。図13に示すように、荷重センサ62の信号も制御装置30に入力される。
【0042】
次に上記構成の作用を説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図12(b)に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(図12(b)の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12の凸部56とタクトスイッチ58の操作子58aとの間に挟まれた荷重センサ62が、凸部56から押圧荷重を受け、その荷重を検出する。荷重センサ62としては、受ける荷重により変形しないものが好ましい。
【0043】
制御装置30は、その荷重センサ62からの検出信号により、予め設定された設定荷重(タクトスイッチ58の操作子58aを操作する操作荷重より小さい荷重)を受けたと判断したら、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。このとき、タクトスイッチ58はオフ状態のままである。
【0044】
そして、タッチパネル12がさらに下方へ押し込まれ、操作子58aが荷重センサ62を介して所定のストローク分押込まれると、タクトスイッチ58がオンする。制御装置30は、そのタクトスイッチ58のオン信号に基づき、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0045】
ここで、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点からタクトスイッチ58がオンするまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置30は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(荷重センサ62でタッチパネル12の押込み始めを検出した時点)での手指の位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、使用者がストローク感を感じるのに十分なストロークのタクトスイッチ58をオンさせる必要がある。したがって、本実施形態においても、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0046】
この実施形態においても、タッチパネル12の押込み始めとする位置は、荷重センサ62の検出信号(検出値)と比較する制御装置30の設定値を変更することで、容易に調整することができる。
【0047】
(第6実施形態)
図14〜図16は本発明の第6実施形態を示す。この第6実施形態は、上記した第4実施形態とは次の点が異なっている。
図14において、この場合、前記タクトスイッチ58は設けられていない。仕切部4には、タッチパネル12の下面に設けられた凸部64に対応して、凹状のばね受部65が設けられている。ばね受部65は凸部64の外形より大きく形成されていて、凸部64の下端部が、そのばね受部65に上下動可能に挿入されている。このばね受部65と、タッチパネル12の下面との間に、圧縮コイルばね66が配設されている。この圧縮コイルばね66は、凸部64を外側から囲繞するように配置されているとともに、上端部がタッチパネル12の下面に当接していて、タッチパネル12を上方の原位置へ付勢する付勢手段を構成している。そして、この場合、変位センサ59は、タッチパネル12の押込み始めを検出する押込み始め検出手段と、決定操作を検出する決定操作検出手段を兼ねていて、図15に示すように、その検出信号を制御装置67に出力する。制御装置67は、前記制御装置30と同様な構成のもので、本発明の判定手段として機能する。
【0048】
次に上記構成の作用を説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図14に示す原位置に位置されていて、タッチパネル12の表示手段に複数の選択項目が表示されている。この状態で、使用者が、表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、自分の手指を、タッチパネル12に表示された複数の選択項目のうち希望する選択項目が表示された位置に接触させ、その状態でタッチパネル12を下方へ押込み操作する(矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12が原位置から下方へ変位する。そのタッチパネル12の下方への変位を変位センサ59により検出する。
【0049】
制御装置67は、その変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12が、予め設定された設定値Aまで変位したと判断したら、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点での、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し、選択された項目を記憶する。このときの設定値Aは、タッチパネル12が押込み始めされたことを検出するための短い変位量とする。
【0050】
そして、タッチパネル12がさらに下方へ押し込まれ、制御装置67は、変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12が、予め設定された設定値B(設定値Bは設定値Aよりも大)まで変位したと判断したら、決定操作されたと判断し、前記記憶したタッチ位置に対応する項目が決定操作されたと判断し、その項目に対応する制御対象31を制御する。
【0051】
図16には、このときの制御装置67の制御内容の一例が示されており、この制御装置67の制御内容を図16に沿って説明する。制御装置67は、まず、タッチ位置(座標)を記憶していた場合にはそのタッチ位置をリセットし(ステップS1)、変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12が変位したストローク量が設定値A未満か否かを判断する(ステップS2)。設定値Aは、タッチパネル12が押込み始めされたことを検出するための小さな変位量である。変位センサ59により検出したストローク量が設定値A未満である場合には、ステップS1へ戻る。
【0052】
タッチパネル12が押込み操作され、変位センサ59により検出したストローク量が設定値A以上となった場合には、制御装置67は、タッチパネル12が押込み始めされたと判断し、ステップS2で「NO」に従ってステップS3へ移行し、この時点での手指のタッチ位置(座標)を記憶する。この後、制御装置67は、変位センサ59により検出したストローク量が設定値A未満であるか否かを再度判断し(ステップS4)、設定値A未満であると判断した場合にはステップS1へ戻り、設定値A以上であると判断した場合には、ステップS5へ移行する。
【0053】
ステップS5においては、変位センサ59により検出したストローク量が、設定値Aよりも大きな設定値B以上であるか否かを判断する。制御装置67は、変位センサ59により検出したストローク量が設定値B以上であると判断した場合には、タッチパネル12が押込み操作されて決定操作されたと判断し、ステップS6へ移行し、ステップS3で記憶していたタッチ位置に対応する項目に対応する制御対象31を制御する。なお、ステップS5において、変位センサ59により検出したストローク量が設定値B以上でないと判断した場合には、ステップS4へ戻る。
【0054】
上記した実施形態においては、仮に、タッチパネル12に対する押込み開始時点から、決定操作であると判定するまでに手指の位置がずれてしまったとしても、制御装置67は、タッチパネル12に対する押込み開始時点(変位センサ59でタッチパネル12の押込み始めを検出した時点)の手指の位置に対応した項目が選択されて決定操作されたと判断するので、決定操作時の位置ずれを極力防止することができ、使用者の意図に反して決定操作されてしまうことを防止できる。また、決定操作するには、使用者がストローク感を感じるのに十分なストロークである設定値B以上になるまで押込み操作をする必要がある。したがって、本実施形態においても、決定操作に適度なストロークを有しつつ、決定操作時の位置ずれを極力防止することができる。
【0055】
この実施形態においては、特に、変位センサ59は、押込み始め検出手段と、決定操作検出手段とを兼ねる構成としているので、部品点数を少なくできる利点がある。なお、押込み始め検出用の変位センサと、決定操作検出用の変位センサとを別々に設けることも可能である。
【0056】
(第7実施形態)
図17〜図19は本発明の第7実施形態を示す。この第7実施形態は、上記した第6実施形態とは次の点が異なっている。
図17において、タッチパネル12にはこの場合表示手段は設けられておらず、表示手段は、制御対象31側の機器に設けられている。タッチパネル12の表面に人の手指が接触すると、タッチ位置検出手段によりタッチ位置を検出し、制御対象31の表示手段に、タッチ位置を示すマークがタッチ位置に対応して表示される。タッチパネル12の変位方向の変位位置を検出する変位センサ59は、この場合も押込み始め検出手段と決定操作検出手段とを兼ねている。制御装置70は、判定手段として機能するもので、後述するように決定操作された際に、タッチ位置に関する情報を制御対象31に送信する。
【0057】
図18に示すように、変位センサ59による検出位置としては、タッチパネル12の変位方向(押込み方向)において、タッチパネル12が原位置に位置された基準位置のほか、押込み始め検出位置(原位置からの変位量α)と、決定操作検出位置(原位置からの変位量γ)と、これらの中間に位置する中間検出位置(原位置からの変位量β)が設定されている。この場合、タッチパネル12の変位量Zは、押込み方向(下方向)を+としている。変位量α、β、γの関係は、α<β<γとなっている。
【0058】
次に上記構成の作用を、図14、図17、図18も参照して説明する。
タッチパネル12は、非押圧状態では図14に示す原位置(基準位置)に位置されている。また、制御対象31の表示手段に、例えば複数の選択項目が表示されている。この状態では、図19に示すように、入力装置としては通常状態で、制御装置70において、エンター中フラグはOFF、補正中フラグもOFFに設定されている。
【0059】
この通常状態から、使用者がタッチパネル12の表面に手指を接触させると、タッチ位置検出手段がタッチ位置を検出し、制御対象31の表示手段に、タッチ位置を示すマークがタッチ位置に応じて表示される。そして、表示手段に表示された複数の選択項目の中から一つの選択項目を選択して実行させる場合、使用者は、タッチ位置を示すマークを希望する項目に対応させた状態で、タッチパネル12を押込み操作する(図14の矢印P参照)。これに伴い、タッチパネル12は、押込み方向(下方)へ変位する。そのタッチパネル12の押込み方向への変位を変位センサ59により検出する。
【0060】
制御装置70は、その変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12が、予め設定された押込み始め検出位置であるα以上変位したと判断したら(押込み始め検出位置に到達したか又はこれを越えたと判断したら)(Z≧α)、エンター開始状態となり、タッチパネル12の押込みが開始されたと判断し、その時点で、タッチ位置検出手段が検出したタッチ位置(座標)を記憶し固定する。このとき、制御装置70においては、エンター中フラグはOFFのままで、補正中フラグをONに設定する。
【0061】
そして、例えば、タッチパネル12が決定操作検出位置に到達する前(Z<γ)に使用者が押込み操作を中止し、手指がタッチパネル12から離れたような場合には、タッチパネル12は原位置方向へ戻される。このとき、制御装置70が、変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12の変位量Zが押込み始め検出位置のαより小さくなったと判断したら(Z<α)、タッチパネル12の押込み操作が中断されたと判断し、通常状態に戻る。これに伴い、制御装置70は、記憶していたタッチ位置(座標)の記憶を解除し、補正中フラグをOFFに変更する。
【0062】
一方、前記エンター開始状態(タッチ位置(座標)を記憶し固定した状態)で、タッチパネル12がさらに押込み操作され、制御装置70が、変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12の変位量Zが決定操作検出位置であるγ以上変位したと判断したら(決定操作検出位置に到達したか又はこれを越えたと判断したら)(Z≧γ)、エンター中状態となり、前記記憶していたタッチ位置で決定操作が行われたと判断し、そのことを制御対象31に送信する。制御対象31では、選択された項目が実行される。このとき、制御装置70においては、補正中フラグはONのままで、エンター中フラグをONに設定する。
【0063】
上記エンター中状態において、使用者がタッチパネル12に対する押込み操作力を解除すると、タッチパネル12は決定操作検出位置から原位置方向(上方)へ戻される。制御装置70は、変位センサ59からの検出信号により、タッチパネル12の変位量Zが、押込み始め検出位置のαよりは大きく、かつ中間検出位置のβより小さくなったと判断したら(α≦Z<β)、記憶していたタッチ位置(座標)の記憶を解除し、補正中フラグをOFFに変更する。これにより、エンター後状態となる。タッチパネル12の位置がさらに上昇し、制御装置70は、タッチパネル12の変位量Zが押込み始め検出位置のαより小さくなったと判断したら(Z<α)、エンター中フラグもOFFに変更し、もとの通常状態に戻る。
【0064】
ここで、使用者が押込み操作してタッチパネル12が一旦、決定操作検出位置まで到達した後、タッチパネル12が原位置方向へ戻される場合において、使用者が再度押込み操作した場合について説明する。タッチパネル12が一旦、決定操作検出位置まで到達した後、原位置方向へ戻される場合において、タッチパネル12の位置が中間検出位置であるβより小さくなると(上昇すると)、制御装置70は、上記したように、記憶していたタッチ位置の記憶を解除する。そして、制御装置70は、タッチパネル12の位置が押込み始め検出位置となるαまで上昇する前に、タッチパネル12が押込み操作されて前記中間検出位置であるβ以上となったことを検出すると(βより下方へ変位すると)、その時点で、タッチ位置検出手段にて検出したタッチ位置を記憶して固定し、タッチパネル12が押込み検出位置であるγまで変位すると、前記記憶していたタッチ位置で決定操作が行われたと判断し、そのことを制御対象31に送信する。
【0065】
また、タッチパネル12が一旦、決定操作検出位置まで到達した後、原位置方向へ戻される場合において、タッチパネル12の位置が、一旦押込み開始検出位置であるαより小さくなった場合には、通常状態に戻る。このため、この状態でタッチパネル12が再度押込み操作された場合には、制御装置70は、上記したように、タッチパネル12の位置が押込み始め検出位置となるαまで押込まれた時点で、手指によるタッチ位置(座標)を記憶し固定することになる。
【0066】
上記した実施形態によれば、使用者が押込み操作してタッチパネル12が一旦、決定操作検出位置まで到達した後、タッチパネル12が原位置方向へ戻され、使用者が再度押込み操作した場合において、タッチパネル12の位置が、決定操作検出位置と押込み始め検出位置との中間の中間検出位置に到達した時点で、記憶していたタッチ位置(座標)を解除する構成としているので、使用者がタッチパネル12に触れたまま再度押込み操作した場合でも、記憶していたタッチ位置が固定されたまま変化しなくなるということを極力防止することができる。
【0067】
また、上記した場合において、タッチパネル12の位置が中間検出位置を再度下方へ越えた時点でタッチ位置を再度記憶し直し、その後、タッチパネル12が決定操作検出位置まで到達することで、その記憶し直したタッチ位置で決定操作されたと判断するので、使用者が意図した操作に対応することができる。
【0068】
(その他の実施形態)
本発明は上記した各実施形態にのみ限られず、次のように変形または拡張することが可能である。
項目などを表示する表示手段としては、タッチパネル12に一体的に設けられるものに限られず、タッチパネル12とは別体で設けられるものでもよい。
【符号の説明】
【0069】
図面中、12はタッチパネル(タッチ位置検出手段)、25は小ストロークスイッチ(押込み始め検出手段)、26は大ストロークスイッチ(決定操作検出手段)、30は制御装置(判定手段)、40は小ストロークスイッチ(押込み始め検出手段)、41は大ストロークスイッチ(決定操作検出手段)、53はノーマリークローズスイッチ(押込み始め検出手段)、54はタクトスイッチ(決定操作検出手段)、58はタクトスイッチ(決定操作検出手段)、59は変位センサ(押込み始め検出手段、決定操作検出手段)、62は荷重センサ(押込み始め検出手段)、67は制御装置(判定手段)、70は制御装置(判定手段)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向へ変位可能でかつ非押圧状態で上方の原位置へ付勢されるように設けられ、表面に手指がタッチされたときにそのタッチ位置を検出するタッチ位置検出手段を有して押込み操作されるタッチパネルと、
このタッチパネルが押込まれて下方へ変位することに伴い前記タッチパネルの押込み始めを検出する押込み始め検出手段と、
前記タッチパネルが、前記押込み始め検出手段が前記押込み始めを検出した位置よりもさらに下方へ変位することに伴い決定操作を検出する決定操作検出手段と、
前記押込み始め検出手段が前記押込み始めを検出した時点で前記タッチ位置検出手段にて検出していたタッチ位置を記憶し、この後、前記決定操作検出手段が決定操作を検出したときに前記記憶していた前記タッチ位置で決定操作が行われたと判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記押込み始め検出手段は、前記タッチパネルの上下方向の変位位置を検出する変位センサであることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記変位センサは、前記押込み始め検出手段と前記決定操作検出手段とを兼ねていることを特徴とする請求項2記載の入力装置。
【請求項4】
前記タッチパネルの変位方向において、前記タッチパネルの押込み始めを検出する押込み始め検出位置と決定操作を検出する決定操作検出位置との間に中間検出位置を設定し、
前記判定手段は、前記タッチパネルが前記決定操作検出位置から前記原位置方向へ戻される際には、前記タッチパネルが前記中間検出位置に到達したか又はこれを越えたことを前記変位センサが検出した時点で、記憶していた前記タッチ位置の記憶を解除することを特徴とする請求項3記載の入力装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記タッチパネルが前記決定操作検出位置から前記原位置方向へ戻される際に、前記タッチパネルが前記中間検出位置に到達したか又はこれを越えたことを前記変位センサが検出することに基づき記憶していた前記タッチ位置の記憶を解除した後、前記タッチパネルが前記押込み始め検出位置まで到達する前に再度押込み操作されて前記中間検出位置に到達したか又はこれを越えたことを前記変位センサが検出した場合には、その時点で前記タッチ位置検出手段にて検出したタッチ位置を記憶し、この後、前記タッチパネルが前記決定操作検出位置に到達したことを前記決定操作検出手段が検出したときに前記記憶していた前記タッチ位置で決定操作が行われたと判定することを特徴とする請求項4記載の入力装置。
【請求項6】
前記押込み始め検出手段は、前記タッチパネルが前記原位置から第1のストローク分下方へ変位したときに動作する小ストロークスイッチであり、
前記決定操作検出手段は、前記タッチパネルが前記原位置から前記第1のストローク分よりも大きな第2のストローク分下方へ変位したときに動作する大ストロークスイッチであることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項7】
前記押込み始め検出手段は、前記タッチパネルが前記原位置に位置した状態で回路が閉成したノーマリークローズスイッチであり、前記タッチパネルが前記原位置から下方へ変位して前記回路が開放することで前記タッチパネルの押込み始めを検出することを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項8】
前記押込み始め検出手段は、前記タッチパネルにより押圧される荷重を検出する荷重センサであることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項1】
上下方向へ変位可能でかつ非押圧状態で上方の原位置へ付勢されるように設けられ、表面に手指がタッチされたときにそのタッチ位置を検出するタッチ位置検出手段を有して押込み操作されるタッチパネルと、
このタッチパネルが押込まれて下方へ変位することに伴い前記タッチパネルの押込み始めを検出する押込み始め検出手段と、
前記タッチパネルが、前記押込み始め検出手段が前記押込み始めを検出した位置よりもさらに下方へ変位することに伴い決定操作を検出する決定操作検出手段と、
前記押込み始め検出手段が前記押込み始めを検出した時点で前記タッチ位置検出手段にて検出していたタッチ位置を記憶し、この後、前記決定操作検出手段が決定操作を検出したときに前記記憶していた前記タッチ位置で決定操作が行われたと判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記押込み始め検出手段は、前記タッチパネルの上下方向の変位位置を検出する変位センサであることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記変位センサは、前記押込み始め検出手段と前記決定操作検出手段とを兼ねていることを特徴とする請求項2記載の入力装置。
【請求項4】
前記タッチパネルの変位方向において、前記タッチパネルの押込み始めを検出する押込み始め検出位置と決定操作を検出する決定操作検出位置との間に中間検出位置を設定し、
前記判定手段は、前記タッチパネルが前記決定操作検出位置から前記原位置方向へ戻される際には、前記タッチパネルが前記中間検出位置に到達したか又はこれを越えたことを前記変位センサが検出した時点で、記憶していた前記タッチ位置の記憶を解除することを特徴とする請求項3記載の入力装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記タッチパネルが前記決定操作検出位置から前記原位置方向へ戻される際に、前記タッチパネルが前記中間検出位置に到達したか又はこれを越えたことを前記変位センサが検出することに基づき記憶していた前記タッチ位置の記憶を解除した後、前記タッチパネルが前記押込み始め検出位置まで到達する前に再度押込み操作されて前記中間検出位置に到達したか又はこれを越えたことを前記変位センサが検出した場合には、その時点で前記タッチ位置検出手段にて検出したタッチ位置を記憶し、この後、前記タッチパネルが前記決定操作検出位置に到達したことを前記決定操作検出手段が検出したときに前記記憶していた前記タッチ位置で決定操作が行われたと判定することを特徴とする請求項4記載の入力装置。
【請求項6】
前記押込み始め検出手段は、前記タッチパネルが前記原位置から第1のストローク分下方へ変位したときに動作する小ストロークスイッチであり、
前記決定操作検出手段は、前記タッチパネルが前記原位置から前記第1のストローク分よりも大きな第2のストローク分下方へ変位したときに動作する大ストロークスイッチであることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項7】
前記押込み始め検出手段は、前記タッチパネルが前記原位置に位置した状態で回路が閉成したノーマリークローズスイッチであり、前記タッチパネルが前記原位置から下方へ変位して前記回路が開放することで前記タッチパネルの押込み始めを検出することを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項8】
前記押込み始め検出手段は、前記タッチパネルにより押圧される荷重を検出する荷重センサであることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−54725(P2013−54725A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134736(P2012−134736)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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