説明

入浴装置のレバー取り付け機構

【課題】入浴者の入浴状態の姿勢や位置に応じてレバーを着脱交換できる。
【解決手段】浴槽内にアーム部11を揺動可能に設ける。アーム部11に入浴者が把持可能なレバー21を着脱可能に支持する。アーム部11に嵌合穴22と嵌合穴から突出する凹部26を設ける。レバー21に嵌合穴22に嵌合する係合軸部24を備えた。係合軸部24は本体28と係合軸29を備える。係合軸部24は軸筒38と中央軸35を同軸に有する。中央軸35は軸筒38内を進退可能で回転可能に嵌挿され、先端に係止ピン40を設けた。軸筒38は先端面に十字溝39を形成し、係止ピン40を嵌合穴22に係止する位置と嵌合穴22から離脱可能な位置とに係合する溝部39a、39bを交差させて設けた。本体28を貫通する中央軸35の基端に押圧板34と操作部34aを設け、押圧板34と第二凹部32の底部との間にコイルばね37を装着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば身体の不自由な入浴者等を入浴させる際に用いられる入浴装置のレバー取り付け機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、体が不自由で介助が必要な者(以下、要介助者と記す)を入浴させる際に、要介助者等を浴槽に移動させるために浴槽内で着座可能な座椅子部または入浴用車椅子の椅子部が用いられる。
例えば、下記特許文献1に記載された入浴用車椅子では、開口部を有する浴槽の側部に入浴用車椅子を略平行に接近させて位置決めして互いにロックすることになる。そして、入浴用車椅子は、下部にキャスターを設けた台車の上部に、椅子部が着脱可能に設けられている。
【0003】
この入浴装置では、入浴用車椅子の台車と椅子部とのロックを外して、椅子部を台車に設けた第1のレールから浴槽内に設けた座部上の第2のレールへ走行させて入浴状態に保持できる。そして、入浴後は上述の手順と逆の操作で浴槽から台車に椅子部を戻してロックすることになる。
【0004】
或いは、浴槽内の座部に着座可能な座面を取り付け、例えば浴槽の側部に設けた開口部から要介助者を座椅子部に着座させ、その身体を浴槽内に移動させて扉を上昇させることで開口部を閉鎖させて浴槽内に湯を供給して入浴状態にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−154241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、入浴状態の要介助者は、湯の中で身体が安定せず、或いは身体の不自由のために安定した状態で入浴できない場合がある。要介助者が入浴用車椅子の椅子部に着座している場合には、椅子部に設けたレバーを把持することで安定した状態で入浴できるが、身体の大きさによって把持すべきレバーの適切な位置が異なることがあり、この場合にレバーを無理なく把持できないことがあった。
また、要介助者が座椅子部や背もたれのない座面に着座している場合には、レバーが取り付けられていないので安定した状態で入浴できなかった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みて、入浴者の入浴状態の姿勢や位置に応じてレバーを着脱交換できるように取り付けた入浴装置のレバー取り付け機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による入浴装置のレバー取り付け機構は、浴槽内にアーム部が位置を変更できるように取り付けられ、該アーム部に入浴者が把持可能なレバーが着脱可能に支持されており、アーム部に形成された嵌合穴と、レバーに設けられていて嵌合部に嵌合されて係止される係合軸部とを備え、係合軸部には、アーム部の嵌合穴に対して相対回転することで嵌合穴に係止された位置と嵌合穴から離脱可能な位置とを取り得る係止部材が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、浴槽内でアーム部の位置に応じて、アーム部の嵌合穴に係止されたレバーの係合軸部について係止部材を相対回転させて嵌合穴に係止された位置から嵌合穴から離脱可能な位置に変更して係合軸部を抜き出し、アーム部の位置を変更した状態でレバーを入浴者が把持できる姿勢で係合軸部を嵌合穴に嵌合して係止部材で係止させることができる。
【0009】
また、係合軸部は、嵌合穴に嵌合されると共にその先端面に係止部材を嵌合穴に係止された位置と離脱可能な位置とに選択的に係合する溝部を設けた軸筒と、軸筒内に進退可能で回転可能に嵌挿されていて先端に係止部材を設けた中央軸と、係止部材を軸筒の溝部に嵌合させる方向に付勢する弾性部材とを備えることが好ましい。
係合軸部の係止部材を嵌合穴に係止された位置に係合するためには、弾性部材の付勢力に抗して中央軸を軸筒に対して進出させて軸筒の一方の溝部から外して中央軸を回転させて中央軸を弾性部材の付勢力で後退させて他方の溝部に係合させ、また係止部材を嵌合穴と離脱可能な位置に係合させるためには、上述した操作と逆の操作により係止部材を他方の溝部から離脱させて一方の溝部へ係合させるようにすればよい。
【0010】
また、嵌合穴には、嵌合穴より外側に突出して形成された凹部が形成され、係合軸部を嵌合穴に嵌合させる際に係止部材が凹部を通過するようにしてもよい。
レバーの係合軸部をアーム部の嵌合穴に係合させるための係止部材を嵌合穴の凹部に位置合わせすることで、係合軸部を挿通させることができ、挿通後に係止部材を回転させることで係合軸部を嵌合穴に係合できる。
【0011】
また、アーム部には嵌合穴が複数設けられていてもよく、これによって、いずれかの嵌合穴を選択して係合軸部を嵌挿して係合させることでレバーの位置を選択的に異なる位置に保持できる。
【0012】
また、アーム部は揺動可能に設けられ、該アーム部には入浴者が着座する座椅子部または入浴用車椅子の椅子部が取り付けられる座部が設けられていることが好ましい。
入浴者が例えば要介助者である場合に、入浴者が浴槽に入りやすい向きや姿勢に応じてアームを揺動させて浴槽内の座椅子部または椅子部の取り付け位置と向きを選定し、この位置に応じてアームにレバーを取り付けることで、入浴者が座椅子部または椅子部に着座してレバーを容易に把持することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による入浴装置のレバー取り付け機構によれば、レバーの係合軸部をアーム部の嵌合穴に嵌挿して係止部材によって嵌合穴に係合して固定した状態で、浴槽内の入浴者がレバーを把持して安定した状態で入浴できる。
しかも、浴槽内でアーム部の取り付け位置を変えても、レバーの係合軸部を嵌合穴から離脱させて、新たなアーム部の位置でアーム部の嵌合穴にレバーの係合軸部を嵌挿して係止部材で係合させることができる。そのため、アーム部の位置に応じてレバーを好ましい向きと位置になるように装着して入浴者がレバーを把持して入浴できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態による浴槽とレバーを示す斜視図である。
【図2】図1に示すアーム部に取り付けたレバーを示す拡大図である。
【図3】アーム部とレバーを示す正面図と断面図である。
【図4】アーム部に取り付けたレバーの縦断面図である。
【図5】図4に示すレバーとアーム部の要部拡大断面図である。
【図6】レバーに設けた係合軸部とガイド部の部分拡大斜視図である。
【図7】アーム部の嵌合穴をレバーと反対側から見た図であり、(a)は凹部に係止ピンが嵌合した状態の図、(b)は凹部から係止ピンがずれた係止状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は入浴装置1において浴槽2内に入浴者が着座可能な座部15を取り付けた状態を示すものである。浴槽2は側面3の略上半分である上部に開口部5が形成され、開口部5を閉鎖するための扉部6がスライドして上下動可能に設けられている。また、浴槽2の底部は側面3の開口部5より下方に位置しているが、開口部5と同程度の深さに設定しても良い。開口部5を有する側面3に対向する他方の側面7には浴槽2の容量の半量の湯を溜めておくためのタンク8が設けられている。
【0016】
図1において、他方の側面7には支柱9に上下動可能なリフト10が設けられ、リフト10には左右方向に揺動可能なアーム11と軸部12略平行に設けられている。アーム11と軸部12はリンク機構13を構成しており、その下端部には座部15が設けられている。座部15はリンク機構13によって揺動可能な範囲の左右両端の位置で側面3に設けた開口部5の下端面とほぼ同一高さに支持されている。
【0017】
座部15には取り外し可能に例えば座椅子形状の座椅子部16が装着されている。座椅子部16は座部15に設けた図示しない溝に沿って若干移動可能であり、しかも溝において回動可能とされている。そのため、図1に示すように座部15がその揺動範囲の右側に位置する場合には、座椅子部16に着座した入浴者は図中、左方向を向いて着座して入浴可能であり、また座部15がその揺動範囲の左側に位置する場合には、座椅子部16に着座した入浴者は右方向を向いて着座して入浴可能である。
そのため、側面3の開口部5に対して左右方向のいずれの向きからも入浴者が入浴可能であり、入浴者に身体の片側に障害等がある場合等に選択的な向きで入浴可能である。
【0018】
そして、座部15はアーム11及び軸部12の支持枠18にヒンジ等で上側に折り曲げ可能に取り付けられている。更に、座部15のリンク機構13とは反対側の端部側は図示しないヒンジ等で上方に折り曲げ可能な折り曲げ部を介して解除部19が接続されている。
解除部19は座部15に対して略同一平面状に広げた状態で浴槽2の側面3の上端部を超えて外側に若干突出しており、入浴時にはリフト10によって座部16を下降させることで側面3の上端部に当接して折り曲げ部で上方に折り曲げられる状態になり、浴槽2の側面3の内側に納まる。
【0019】
リンク機構13のアーム部11には、座椅子部16に着座した入浴者がつかまることができるようにレバー21が取り外し可能に取り付けられている。図2及び図3において、アーム部11にはその長手方向に沿って複数、例えば2個の嵌合穴22、22が形成されており、レバー21の係合軸部24がいずれかの嵌合穴22、22に選択的に装着可能とされている。嵌合穴22,22はアーム部11の幅方向中央に形成され、レバー21は左右何れの向きにも装着可能とされている。
【0020】
次にレバー取り付け機構について詳述する。
図4乃至図6において、レバー21は略L字形状とされ、長さの短い支持部21aに係合軸部24が固定され、長さの長い把持部21bはアーム部11から略直交する方向に延びて座椅子部16に着座した入浴者の前側に位置している。レバー21には係合軸部24に隣接する位置にアーム部11の外側に位置するガイド部25が設けられている。
図2及び図5に示すアーム部11の嵌合穴22は、内周面22aを有すると共にこの内周面22aの直径方向に例えば短冊状の凹部26が嵌合穴22の延在方向に延びて形成され、この凹部26の両端は内周面22aの外側に突出して形成されており、これらを凹端部26aとする。そして、嵌合穴22の他端部は内周面22aの直径方向外側まで延びる凹部26よりも更に拡径された円形穴を形成する拡径凹部22bとされている。
【0021】
一方、図5において、レバー21の係合軸部24は、レバー21の孔部21bに嵌合された拡径された本体28とアーム部11の嵌合穴22に嵌合可能な比較的小径の係合軸29とで一体に形成されている。本体28には同軸で順次小径になる段付きの第一凹部31、第二凹部32が形成され、更に小径の貫通孔33が形成されている。
そして、第1凹部31内には操作部34aを有する押圧板34が進退可能に嵌合され、押圧板34には第二凹部32と貫通孔33を貫通してアーム部11の嵌合穴22内に延びる柱状の中央軸35が設けられている。押圧板34と第2凹部34の底面との間には弾性部材としてコイルばね37が中央軸35に圧縮状態で介装されている。
そして中央軸35の外周面には、略円筒状の軸筒38が嵌挿されて本体28に連結されている。係合軸29の軸筒38は嵌合穴22の内周面に挿脱可能に嵌入される。
【0022】
また、軸筒38の他端面には互いに直交する一方の溝部39a及び他方の溝部39bからなる略十字形状をなす十字溝39が形成され、軸筒38の他端面より先端側に突出する中央軸35には軸筒38の溝部39に進退可能に嵌合される係止部材としての係止ピン40が略直交する方向に固定されている。この係止ピン40はその長さが軸筒38の外径より外側に突出して形成され、しかも嵌合穴22の凹部26の長さより若干短い長さに設定されている。
そのため、レバー21の係合軸部24は、軸筒38内で中央軸35が進退可能である。そして、操作部34aをコイルばね37の付勢力に抗して押圧しながら回動することで、中央軸35の先端に設けた係止ピン40が十字溝39のいずれか一方の溝部39a、39bに選択的に係合及び離脱可能である。
係合軸部24の係合軸29について、係止ピン40を嵌合穴22の凹部26内に挿入させながらアーム部11の嵌合穴22内に挿入可能であり、そして、係止ピン40を中央軸35回りに回動させて十字溝39の一方の溝部39aから他方の溝部39bに切り換えて嵌合させることで、係止ピン40は嵌合穴22に対して凹部26のない領域に係止され、これによってレバー21の係合軸部24はアーム部22の嵌合穴22に係止される。
【0023】
本実施形態による入浴装置1は上述の構成を備えており、次にレバー21の装着方法について説明する。
入浴装置1において、アーム部11へのレバー21の取り付け位置は、例えば図1に示すように座椅子部16が浴槽2の右側に設置されている場合には、レバー21をその長さの短い支持部21aがアーム部11の傾斜方向と逆方向に傾斜するように取り付ける。同様に、座椅子部16が浴槽2の左側に設置されている場合には、レバー21の支持部21aがアーム部11の傾斜方向と逆方向に傾斜するように取り付ける。これによって、レバー21の把持部21bは座椅子部16と間隔を開けて対向する位置に設置される。
そして、座椅子部16に着座する入浴者の座高の高さに応じてアーム部11の上方または下方の嵌合穴22へレバー21の係合軸部24を嵌挿させる。
【0024】
アーム部11へのレバー21の装着に際しては、まず、アーム部11の嵌合穴22の内周面22aの両側に凹端部26aが突出する凹部26の傾きに係合軸部24の係止ピン40の傾きを一致させて、軸筒38の十字溝39の一方の溝部39a(または39b)に係止ピン40を嵌合させた状態で、係合軸部24の係合軸29を嵌合穴22に挿入する。そして、嵌合穴22の端面に係合軸部24の本体28の端面が当接した状態で静止する(図5参照)。
この状態で、操作部34aを押すと、コイルばね37がその付勢力に抗して圧縮され、係合軸29の軸筒38内を中央軸35が摺動して嵌合穴22内を進出する。これによって係合軸29の先端に設けた係止ピン40は拡径凹部22b内で突出して十字溝39の一方の溝部39aから離脱するので、押しながら操作部34aを略90°回転させる。そして、操作部34aを離すとコイルばね37の付勢力によって押圧板34が本体28内の第一凹部31内で後退し、中央軸35も軸筒38に対して後退移動するため、中央軸35の係止ピン40は他方の溝部39b(または39a)に嵌合する。
【0025】
そうすると、係止ピン40は嵌合穴22の凹部26を形成した領域から略90°回転して凹部26のない位置で、軸筒38の両外側に突出するため、係止ピン40は嵌合穴22の拡径凹部22bのリング状の底部22cに当接する。中央軸部35の係止ピン40はコイルばね37によってレバー21の方向に引っ張られて、レバー21はアーム部11に係止される。
この状態で、レバー21は座椅子部16と着座する入浴者に対して目の前に把持部21bが位置するように支持される。このとき、レバー21のガイド部25はアーム部11と軸部12の間でアーム部11の側部に当接する位置に保持され、レバー21は係合軸部24を中心にガイド部25がアーム部11の側面に当接するまでの小さな範囲で回動可能に保持される。そのため、レバー21の支持に遊びが生じる。
なお、ガイド部25が当接する範囲で係合軸部24が嵌合穴22内で回転可能であるが、その回転範囲は小さいので係合軸部24の回転に応じて係止ピン40が回動しても嵌合穴22の凹部22bの底面22cから外れることはない。
【0026】
また、レバー21を装着する嵌合穴22を切り換える場合や、座椅子部16の位置に応じてレバー21の向きを切り換える場合には、上述の手順の逆の操作でレバー21の係合軸部24を離脱して再装着し直せばよい。
即ち、この場合には係合軸部24の操作部34aを押して回転させることで、中央軸部35の係止ピン40を十字溝39の他方の溝部39bから離脱させ、操作部34aを略90°回転させて押圧を解除することで、一方の溝部39aに嵌合させる。
この状態で、係止ピン40は嵌合穴22の凹部26と同一角度位置にあり、そのまま、係合軸部24を引き出せば係合軸29は軸筒38が嵌合穴22の内周面22aを摺動し、係止ピン40が凹部26を摺動して嵌合穴22からレバー21の係合軸部24が外れる。
そして、上述のようにレバー21の姿勢や嵌合穴22を変えて、上述した手順と同様に、嵌合穴22へレバー21の係合軸部24を装着し直せばよい。
【0027】
なお、レバー21の使用に際しては、例えば図1において浴槽2の右側にアーム部11及び軸部12が傾斜して、リンク機構13に支持された座部15に回動及び移動可能に取り付けられた座椅子部16が右側に設置されているものとする。そして、椅子部16を座部15上で浴槽2の開口部5側に移動させて開口部5に向けて回動させる。この状態で、要介助者等の入浴者が座椅子部16に着座する。
そして、入浴者が着座する座椅子部16を図1で左側に向けて開口部5から浴槽2内の奥側に移動させると座椅子部16と入浴者は浴槽2内に移動させられる。すると、入浴者はアーム部11から延びて前方に位置するレバー21の把持部21bをつかんで安定した姿勢で着座できる。
この状態で、扉部6を上方に移動させて開口部5を液密に閉鎖させ、例えばタンク8から湯を浴槽2内に供給して入浴できる。
【0028】
上述のように、本実施形態による入浴装置1のレバー取り付け機構によれば、座椅子部16の位置に応じてレバー21のアーム部11への取り付け方向と取り付け高さを選択して設定し、座椅子部16に着座する入浴者から手が届く位置にレバー21を取り付けできる。そのため、入浴者は座椅子部16に着座してレバー21の把持部21bを適切な距離で容易に把持できて安定した入浴を行える。
しかも、座椅子部16による入浴者の入浴位置を変えてもアーム部11に対するレバー21の取り付け位置を変更できるから、いずれの方向から入浴者が入浴しても着座状態でレバー21を容易に把持できる。
また、座椅子部16に着座する入浴者の身体の大きさに応じて最適な高さ位置の嵌合穴22を選択してレバー21を取り付けし直すことができる。
また、係止ピン40によるアーム部11へのレバー21の係止と解除を、操作部34aの操作で簡単に行うことができて、着脱操作が容易である。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。
なお、上述の実施形態では、係止ピン40による嵌合穴22への係合軸部24を着脱操作する際、軸筒38の先端面に設けた十字状溝部39の各溝部39a、39bを互いに直交させて設けたが、両溝部39a、39bの角度は任意である。要するに、一方の溝部39aまたは39bに嵌合した係止ピン40が嵌合穴22の凹部26に嵌挿される状態と、他方の溝部39bまたは39aに嵌合した係止状態とに保持できればよい。
また、嵌合穴22に略直交して設けた凹部26は必ずしも内周面22aの両側に突出する必要はなく、片方だけ突出していてもよい。
【0030】
また、本発明は、座部15に座椅子部16を装着した状態でのレバー21の取り付け機構に適用できるだけでなく、入浴用車椅子の椅子部や背もたれのない着座部である座面を座部15に装着した状態で、レバー21を把持できるように装着してもよいし、或いは座部15を用いないで通常の入浴を行う入浴者が使用する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 入浴装置
2 浴槽
10 リフト
11 アーム部
13 リンク機構
15 座部
16 座椅子部
21 レバー
21b 把持部
22 嵌合穴
24 係合軸部
26 凹部
26a 凹端部
28 本体
29 係合軸
34a 操作部
34 押圧板
35 中央軸
37 コイルばね
38 軸筒
39 十字溝
39a、39b 溝部
40 係止ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内にアーム部が位置を変更できるように取り付けられ、該アーム部に入浴者が把持可能なレバーが着脱可能に支持されており、
前記アーム部に形成された嵌合穴と、前記レバーに設けられていて前記嵌合部に嵌合されて保持される係合軸部とを備え、
前記係合軸部には、前記アーム部の嵌合穴に対して相対回転することで前記嵌合穴に係止された位置と前記嵌合穴から離脱可能な位置とを取り得る係止部材が設けられていることを特徴とする入浴装置のレバー取り付け機構。
【請求項2】
該係合軸部は、前記嵌合穴に嵌合されると共にその先端面に前記係止部材を嵌合穴に係止された位置と離脱可能な位置とに選択的に係合させる溝部を設けた軸筒と、該軸筒内に進退可能で回転可能に嵌挿されていて先端に前記係止部材を設けた中央軸と、前記係止部材を前記軸筒の溝部に嵌合させる方向に付勢する弾性部材とを備えた請求項1に記載された入浴装置のレバー取り付け機構。
【請求項3】
前記嵌合穴には、該嵌合穴より外側に突出して形成された凹部が形成され、前記係合軸部を嵌合穴に嵌合させる際に前記係止部材が凹部を通過するようにした請求項1または2に記載された入浴装置のレバー取り付け機構。
【請求項4】
前記アーム部には前記嵌合穴が複数設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載された入浴装置のレバー取り付け機構。
【請求項5】
前記アーム部は揺動可能であり、該アーム部には入浴者が着座する座椅子部、背もたれのない座面または入浴用車椅子の椅子部が取り付けられる座部が設けられている請求項1乃至4のいずれか1項に記載された入浴装置のレバー取り付け機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−66014(P2012−66014A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215515(P2010−215515)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000182373)酒井医療株式会社 (46)
【Fターム(参考)】