説明

入退出管理システム

【課題】
集合住宅・集合事務所などの建造物の入退出管理において、許可されない不審者が、許可された人物と同行して、監視又は規制個所を通り抜けることができず。かつ、許可された人物の入退出に時間がかかり過ぎない入退出管理システムを提供する。
【解決手段】
入退出管理システムにおいて、自動ドア装置と、その装置の近傍にそれぞれ離間して配置された2台のドア開許可装置とからなり、第一のドア開許可装置は、暗証番号ないし物理的な鍵によって許可する構成とし、第二のドア開許可装置は、インタホンによって訪問先から許可信号を受けることで許可される構成とし、かつ、それぞれのドア開許可装置に対向して配置した標識物により、存在する人物を4か所に分離しうる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅、集合事務所などの建造物での入退出を管理するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅や集合事務所においては、個人住宅や単独事務所に比べて、出入りする人物が多くなることから、犯罪の発生率が高くなることが懸念され、不審者の侵入を防止するための入退出管理システムが実用に供されている。
【0003】
実用化されているシステムでは、入退出する人物を目視、あるいは監視カメラなどで監視するか、あるいは入退出を許された人物にICカードなどの個人識別手段を所持させることで入退出を規制している。
【0004】
しかし、単純なシステムでは、許可されない不審者が許可された人物と同行して、監視又は規制個所を通り抜けることができるという欠点があった。また、より複雑なシステムでは、許可された人物の入退出に時間がかかり過ぎるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−134256
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、入退出管理システムにおいて、許可されない不審者が許可された人物と同行して、侵入することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明は、建屋に対して開口され、入退出可能なごとくに開閉する自動ドア装置と、この自動ドア装置に面して建屋外側に設けられた前室と、その前室側の自動ドア装置の近傍に、それぞれ離間して配置された少なくとも2台以上のドア開許可装置とからなる入退出管理システムにおいて、少なくとも第一のドア開許可装置は、暗証番号ないし、物理的な鍵によって許可する構成とし、第二のドア開許可装置は、インタホン装置によって訪問先から許可信号を受けることによって許可される構成としたことを特徴とする入退出管理システムであって、前室側のそれぞれのドア開許可装置に対向して、少なくとも人間一人分以上の空間をおいた場所に明示的な標識物を配置することによって、前室空間を、少なくとも、
第一のドア開許可装置の操作に供する第一の空間、
第一のドア開許可装置の操作の待機に供する第二の空間、
第二のドア開許可装置の操作に供する第三の空間、
第二のドア開許可装置の操作の待機に供する第四の空間
の4空間に分割することによって、前室に存在する人間を空間的に分類できるようにしたことを特徴とする入退出管理システムである。
【0008】
第2発明は、建屋に対して開口され、入退出可能なごとくに開閉する自動ドア装置と、この自動ドア装置に面して建屋外側に設けられた前室と、その前室側の自動ドア装置の近傍に配置されたドア開許可装置と、ドアを通過する人間を検知する通過人数計測センサーとからなる入退出管理システムにおいて、連続して複数のドア開許可装置の入力があった場合、入力した人数を通過人数計測センサーが検知するまでドア開の状態を維持し、検知したらドアを閉じることを特徴とする入退出管理システムである。
【0009】
第3発明は、建屋に対して開口され、入退出可能なごとくに開閉する自動ドア装置と、この自動ドア装置に面して建屋外側に設けられた前室と、この自動ドア装置に面して建屋内側に設けられた後室と、後室に設けられたエレベータ装置と、前室側の自動ドア装置の近傍に配置されたドア開許可装置とからなる入退出管理システムにおいて、ドア開許可の信号をエレベータ装置に伝達し、この信号によってエレベータの動作を制御することを特徴とする、入退出管理システムである。
【0010】
第4発明は、第3発明の入退出管理システムにおいて、自動ドアが開の状態のときは、エレベータ扉が閉、自動ドアが閉の状態のときはエレベータ扉が開となるよう制御することを特徴とする入退出管理システムである。
【0011】
第5発明は、第3発明の入退出管理システムにおいて、ドア開許可装置の入力によってエレベータが停止すべき特定の階を指定し、その特定の階のみ停止するようにしたことを特徴とする入退出管理システムである。
【0012】
第6発明は、第5発明の入退出管理システムにおいて、連続して複数のドア開許可装置の入力があった場合、入力した人数を通過人数計測センサーが検知した後の所定時間、エレベータの開状態を延長するとともに、入力のあった複数階に停止する制御を行うことを特徴とする入退出管理システム。
【0013】
第7発明は、第2発明または第3発明の入退出管理システムにおいて、同一行先へ複数人が入退出する場合に、ドア開許可装置に対して、代表者が人数情報を付加して入力することにより、複数人の入退出を行わせることを特徴とした入退出管理システムである。
【0014】
第8発明は、第2発明または第3発明の入退出管理システムであって、連続して複数人が利用する場合であっても、ドア開許可装置の入力を2人以上受け付けないか、受け付けても通過人数計測センサーが1人を検知したらドアを閉じるように制御することを特徴とする入退出管理システムである。
【発明の効果】
【0015】
第1発明によれば、ドア開許可装置を複数設け、それぞれ異なるドア開許可方法とし、入退出する人の属性(居住者・訪問者など)により、使用するドア開許可装置を分離したから、不審者がいれば容易に見分けられ、不審者の侵入を防止する効果がある。
【0016】
その上、第1発明によれば、ドア開許可装置に対応して、物理的に操作者・待機者の存在位置を分離したから、更に、不審者が居場所をなくし、更に容易に見分けられ、侵入防止に高い効果がある。
【0017】
第2発明によれば、単独のドア開許可装置に、連続して複数の入力があった場合、入力した人数を通過人数計測センサーが検知するまでドア開の状態を維持し、検知したらドアを閉じるようにしたから、許可された複数人が通過する際に、その利用時間を短縮し、かつ、不審者の侵入を防止できる効果がある。
【0018】
第3発明によれば、ドア開許可装置とエレベータ装置とを連動させるようにしたから、利用者の操作の重複をなくして利便性を増すとともに、不審者のエレベータ利用を困難にして侵入を防止する効果がある。
【0019】
第4発明によれば、自動ドアとエレベータ扉が、両方とも開のタイミングをなくすことにより、不審者がエレベータに駆け込むなどの侵入を防止する効果がある。
【0020】
第5発明によれば、第4発明の連動方法として、ドア開許可装置の入力によりエレベータの停止階を指定するようにしたから、指定階以外にエレベータが停止することがなく、不審者のエレベータ利用による侵入を防止する効果がより高まる。
【0021】
第6発明によれば、複数人が自動ドアおよびエレベータを利用する際に、連続して複数の入力があった場合、入力した人数を自動ドア近傍の通過人数計測センサーが検知するまでドア開の状態を維持し、検知したらドアを閉じるようにし、かつ、その間はエレベータも待機しているから、許可された複数人が通過する際に、その利用時間を短縮し、かつ、不審者の侵入も防止する効果がある。
【0022】
第7発明によれば、例えば家族のように、同一行先(居室など)に複数人が向かう場合に、その入力を代表者が行うようにしたから、利用時間の短縮ができ、かつ、通過人数計測センサーにより、不審者の侵入は防止できるという効果がある。
【0023】
第8発明によれば、例えば、女性が一人で利用する場合のように、たとえ、利用が許可される人とでも同行することが不安な場合に、利用者1人で強制的に自動ドアを閉とするようにしたから、厳密に利用者の安全が確保できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は入退出管理システムの構成を示した説明図である。
【図2】図2は入退出管理システムの別の構成を示した説明図である。
【図3】図3は入退出管理システムの更に別の構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態に係る入退出管理システムを図面に基づいて説明する。本発明は図1のように構成される。集合住宅、集合事務所などの、不特定多数の人物が出入りする建造物において、出入りを管理するために、その入口部分に自動ドア2を設けることが行われる。この自動ドア2の建造物外側を前室3、建造物内側を後室4とする。
【0026】
前室3の自動ドア2近傍には、許可された人物のみが建造物の内部に入ることができるドア開許可装置1a、1bを自動ドア2の右側と左側に離して2ケ所設ける。ここで、第1のドア開許可装置1aには、キーボード装置5を内蔵し、主に住居居住者または事務所使用者(以下居住者等という)により、このキーボード装置5を用いて予め付与された暗証番号を入力させて、ドア開許可装置1aにおいて、その暗証番号と予め作成してあるドア開許可番号リストとを照合し、一致した場合に、自動ドア2を開き、その居住者等を建造物の後室4へ入館させる。
【0027】
また、第2のドア開許可装置1bにおいては、インタホン6を内蔵し、このインタホン6は建造物内の居住者等を呼び出すことができるように設定されている。このインタホン6によって、主に訪問者は、内部の居住者等と連絡を取り、居住者等が入館を許可できる訪問者であると判断した場合には、居住者等の室内からの遠隔の操作により、ドア開許可装置1bに指示を与え、自動ドア2を開き、訪問者を建造物の後室4へ入館させる。
【0028】
更に、それぞれのドア開許可装置1a、1bの前室側で、操作を行う人物の背後になる位置の床面に白線7a、7bを塗布する。このようにすることで、2ケ所のドア開許可装置1a、1bの前室3側の床面は、
・第1のドア開許可装置1aを操作する人物が存在する領域A、
・第1のドア開許可装置1aの操作のために待機する人物が存在する領域B、
・第2のドア開許可装置1bを操作する人物が存在する領域C、
・第2のドア開許可装置1bの操作のために待機する人物が存在する領域D、
に分割される。
【0029】
このような構成によれば、ドア開許可装置1a、1bを2ケ所離間して設置し、第1のドア開許可装置1aは居住者等の用に供し、第2のドア開許可装置1bは訪問者のように供することにしたので、まず、第1のドア開許可装置1aの前には居住者等以外は立つことがなく、居住者等の相互の親密関係から居住者等以外の不審者がいれば発見できる可能性が高い。また、第2のドア開許可装置1bにおいては居住者等とインタホンで対話して、正しい訪問者の確認を取るため、訪問者以外の不審者に許可を与える恐れは少ない。
【0030】
また、床面の白線により領域を4分し、操作する者と、操作のために待機する者との位置を規定したので、操作者の背後に密着して一緒に建造物内へ入る、あるいは操作者の背後から暗証番号を盗み見するなどの不正入館行為を防ぐことができる。更には、居住者等または訪問者のいずれでもない不正入館を試みるものが存在する領域がなく、不正入館者がいれば容易に発見ができる。
【0031】
なお、第1のドア開許可装置1aと第2のドア開許可装置1bは、右側と左側に離して設置するとしたが、左右は逆でもよく、また左右に限定することなく、例えば、前後・上下など、物理的に離間して設置すればよい。建造物の状況によって、最適な分離効果が期待できる。
【0032】
第1のドア開許可装置1aでのドア開許可者の認証は、居住者等に予め付与される暗証番号を入力するとしたが、これに限定されず、磁気カード・IC内蔵カード、物理的な鍵と錠によってもよく、更には、指紋・虹彩・手指の静脈などの生体認証、及びこれらの組み合わせによってもよい。操作者の利便性と不正入館防止の厳重性とを勘案し、既存の個人認証方法を用いることが可能である。
【0033】
第2のドア開許可装置1bでは、内部の居住者等がインタホン6により訪問者を確認してドア開許可装置1bを遠隔で操作するようにしたが、これと第1のドア開許可装置1aに用いられる種々の個人認証方法を併用してもよく、その場合はさらに不正入館防止機能が向上する。さらに音声による訪問者確認に追加して、あるいはその代わりに、画像による確認を行ってもよい。不正入館防止機能が向上する効果が期待できる。
【0034】
自動ドアを1ヶ所、ドア開許可装置を2ヶ所として説明したが、これに限定されるものではなく、自動ドアを2ヶ所としてその各々に専用のドア開許可装置を設けてもよい。この場合は、自動ドアも含めて領域分けができ、更に不正入館防止の効果が上がる。また、3ケ所以上のドア開許可装置を設けてもよい。この場合は、入館可能者をさらに細かな属性、例えば、居住者等・来客・物品配達人などに分けることができる。これによって、ドア開許可装置の作動条件を細かく設定することもできる。この場合にはそれに合わせて白線を増加し、領域を増やすことも可能であり、属性にそぐわない不正入館者の発見が容易になる効果がある。
【0035】
領域の分割には、床面に白線を塗布することとしたが、もちろん他の色でもよく、線の形状は実線でも破線でも波線でもよく、限定されない。場所や背景などに合わせて適切に選択することにより、より大きな効果を期待できる。
線については、塗布でなく粘着テープを貼付するようにしてもよい。簡便に領域を設定することができる。線に追加して、あるいは線に代えて、足型などの停止位置を明示するシンボルを塗布してもよい。待機者への強い心理的効果が実現できる。停止位置であることを明らかにする『停止線』『ここで待て』などの文言を白線に追加したり、白線に代え、あるいは、白線のほかに、立て看板を設けたりしてもよい。白線部分を盛り上げて段差を設けてもよい。これらにより、更に領域を明確にする効果が期待できる。
【0036】
次に、本発明の実施形態に係る別の入退出管理システムを図面に基づいて説明する。本発明においては、図2に示すように、集合住宅、集合事務所などの、不特定多数の人物が出入りする建造物の入口部分に自動ドア2を設ける。この自動ドア2の建造物外側を前室3、建造物内側を後室4とする。
【0037】
前室3の自動ドア2近傍には、許可された人物のみが建造物の内部に入ることができるドア開許可装置1を設ける。ここで、ドア開許可装置1には、キーボード5を内蔵している。また、自動ドア1の開口部には、その部分の通過人数を計測できる通過人数計測センサー8を設ける。通過人数計測センサー8は、公知の光センサーなど、通過人数が計測できるものであればよい。更に、前室3の自動ドア2近傍に、警報発呼装置9を設ける。
【0038】
このような構成によれば、居住者等より、キーボード5から予め付与された暗証番号を入力させ、ドア開許可装置1において、その暗証番号と予め作成してあるドア開許可番号リストとを照合し、一致した場合にドア開許可者と認証して、自動ドア2を開き、その居住者等の建造物の後室4への入館を可能とする。
【0039】
利用者が単独の場合は、自動ドア2の開口部分の通過人数計測センサー8により、ドア開許可装置1にてドア開許可者と認証された後で、1人が通過した場合には、自動ドア2を速やかに閉にするよう制御する。これにより、許可のない人物の利用を防止できる。
【0040】
また、ドア開許可装置1にて、連続して複数人物がドア開許可者と認証された場合は、1人の通過の時点では自動ドア2を閉とせず、通過人数計測センサー8にて検知された人数が、ドア開許可者と認証された人数に達したら、速やかに自動ドア2を閉にする。
【0041】
もし、ドア開許可者と認証された人数より多い人数が、通過人数計測センサー8にて検知された場合は、許可されない人物が侵入したとして、警報発呼装置9を作動させ、音声・サイレン・閃光・点滅光などの警報を発し、不審人物の侵入に対して速やかに警告する。
【0042】
さらに、利用者が複数であるが、家族などの条件で、同様の入室許可条件の場合は、代表者が暗証番号を入力し、更に家族人数を入力することにより、処理時間を短縮するよう制御することが可能である。
【0043】
ここで、夜間に女子が入館する場合のように、たとえ入館を許可された人物であろうと、一緒に入館することが不安な場合も考えられる。そのような場合、予め利用者の特性(単独入館を希望するなど)を登録しておき、更に、特定の時間帯(例えば平日の深夜など)に限定して設定した「単独入館モード」を準備しておく。このモードにおいては、登録済みの利用者が特定の時間帯に入館しようとした場合には、その利用者に続いて複数人物がドア開許可者と認証されたとしても、1人の通過の時点で自動ドアを閉とするように制御する。これによって、更なる利用者の安全を確保することができる。
【0044】
なお、ドア開許可装置1でのドア開許可者の認証は、居住者等に予め付与される暗証番号を入力するとしたが、これに限定されず、磁気カード・IC内蔵カード、物理的な鍵と錠によってもよく、更には、指紋・虹彩・手指の静脈などの生体認証、及びこれらの組み合わせによってもよい。操作者の利便性と不正入館防止の厳重性とを勘案し、既存の個人認証方法を用いることが可能である。また、内部の居住者等がインタホンなどにより訪問者を確認してドア開許可者と認証する方法でもよい。これと上記の居住者等が入力する信号とを組み合わせてもよい。
【0045】
また、警報発呼装置9については、有人または無人の監視の状況から、削除することもできる。その場合は、システムが安価に構成できる。
【0046】
次に、本発明の更に別の実施形態に係る入退出管理システムを図面に基づいて説明する。本発明は図3のように構成される。集合住宅、集合事務所などの、不特定多数の人物が出入りする建造物において、エレベータを複数基設置することが行われる。これは、居住者等の利便性を向上させ、住宅・事務所のステータスを高めるなどの効果が期待でき、不正入館の防止の面でも、それぞれのエレベータで入室できる住宅または事務所が限定されており、それ以外の人物がエレベータを利用すると不正入館者であるとして発見されやすい効果があることは周知である。しかし、それだけでは強引にエレベータに乗り込む不正入館者を完全に防止することはできない。
【0047】
本発明においては、建造物の入口部分(前室3)から、自動ドア2を介して、個々のエレベータ10を利用するための閉空間(後室4)に入り、そこでエレベータ10に搭乗するようにした。なお、後室4とエレベータ10の間は、エレベータ自身の扉11aと、同時に開閉する建造物側の保護扉11b(この両者を合わせてエレベータ扉11と称する)によって区切られている。
【0048】
前室3の自動ドア2近傍にはドア開許可装置1を設ける。ドア開許可装置1にはキーボード5を内蔵する。また、自動ドア1の開口部には、その部分の通過人数を計測できる通過人数計測センサー8を設ける。通過人数計測センサー8は、公知の光センサーなど、通過人数が計測できるものであればよい。更に、前室3の自動ドア2近傍に、警報発呼装置9を設ける。
【0049】
このような構成によれば、居住者等より、キーボード5から予め付与された暗証番号を入力させ、その暗証番号と予め作成してあるドア開許可番号リストとを照合し、一致した場合にドア開許可者と認証して、ドア開許可装置1を作動させ、自動ドア2を開き、その居住者等の後室4への入室を可能とする。
【0050】
一方、このドア開許可装置1の許可信号は、エレベータの制御装置(図示せず)にも伝達され、エレベータ扉11を開状態とする。また、停止階については、ドア開許可装置1に入力された居住者等の情報に基づき、予め登録してある情報により、許可された停止階のみに停止するようにエレベータの制御装置により制御する。
【0051】
なお、自動ドア2とエレベータ扉11の開閉については、自動ドア2が開の場合はエレベータ扉11を閉に、また、自動ドア2が閉の場合はエレベータ扉11を開とするように制御することで、居住者等を、自動ドア2を開けて後室4に入室させ、その後、自動ドア2を閉じた後にのみ、エレベータ扉11を開にすることができ、許可されない人物のエレベータ利用をより厳格に防止することができる。
【0052】
また、ドア開許可装置1にて連続して複数人物がドア開許可者と認証された場合は、1人の通過の時点では自動ドア2を閉とせず、通過人数計測センサー8にて検知された人数がドア開許可者と認証された人数に達したら、速やかに自動ドア2を閉にする。これによって、許可された人物の迅速なエレベータ利用を可能とし、許可のない人物の利用をさらに防止できる。この場合、各々のエレベータ停止階情報は、ドア開許可装置1からの入力情報によりエレベータ制御装置に伝達されており、複数の利用者の利用する階に停止する。
【0053】
また、ドア開許可装置1にてドア開許可者と認証された人数と通過人数計測センサー16にて検知された人数との相違があった場合は、許可されない人物が侵入したとして、警報発呼装置9を作動させ、音声・サイレン・閃光・点滅光などの警報を発し、不審人物の侵入に対して速やかに警告する。
【0054】
なお、人数が多くてもこのような制御は可能であるが、最初の利用者の待ち時間が長くなり過ぎるなどの問題があれば、エレベータの搭載人数、または、当初の認証操作からの経過時間に上限を設け、それを超えたら、たとえその次の利用者が認証操作中であっても、自動ドアを閉とするよう制御すればよい。
【0055】
さらに、利用者が複数であるが、家族などの条件で、同一住居等に向かう場合は、代表者が認証操作を行い、更に居室番号、家族人数を入力することにより、処理時間を短縮するよう制御することが可能である。
【0056】
ここで、夜間に女子が入館する場合のように、たとえ、入館を許可された人物であろうと、一緒に入館することが不安な場合も考えられる。そのような場合、予め利用者の特性(単独入館を希望するなど)を登録しておき、更に、特定の時間帯(例えば平日の深夜など)に限定して設定した「単独入館モード」を準備しておく。このモードにおいては、登録済みの利用者が特定の時間帯に入館しようとした場合には、その利用者に続いて複数人物がドア開許可者と認証されたとしても、1人の通過の時点で自動ドアを閉とするように制御する。これによって、更なる利用者の安全を確保することができる。
【0057】
なお、ドア開許可装置1には、居住者等の個人認証手段として、居住者等に予め付与される暗証番号を入力するとしたが、これに限定されず、磁気カード・IC内蔵カード、物理的な鍵と錠によってもよく、更には、指紋・虹彩・手指の静脈などの生体認証、及びこれらの組み合わせによってもよい。操作者の利便性と不正入館防止の厳重性とを勘案し、既存の個人認証方法を用いることが可能である。また、内部の居住者等がインタホンなどにより訪問者を確認してドア開許可者と認証する方法でもよい。これと上記の居住者等が入力する信号とを組み合わせてもよい。
【0058】
また、警報発呼装置9については、有人または無人の監視の状況から、削除することもできる。その場合は、システムが安価に構成できる。
【符号の説明】
【0059】
1 ドア開許可装置
2 自動ドア
3 前室
4 後室
5 キーボード
6 インタホン
7 白線
8 通過人数計測センサー
9 警報発呼装置
10エレベータ
11エレベータ扉



【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋に対して開口され、入退出可能なごとくに開閉する自動ドア装置と、この自動ドア装置に面して建屋外側に設けられた前室と、その前室側の自動ドア装置の近傍に、それぞれ離間して配置された少なくとも2台以上のドア開許可装置とからなる入退出管理システムにおいて、少なくとも第一のドア開許可装置は、暗証番号ないし、物理的な鍵によって許可する構成とし、第二のドア開許可装置は、インタホン装置によって訪問先から許可信号を受けることによって許可される構成としたことを特徴とする入退出管理システムであって、前室側のそれぞれのドア開許可装置に対向して、少なくとも人間一人分以上の空間をおいた場所に明示的な標識物を配置することによって、前室空間を、少なくとも、
第一のドア開許可装置の操作に供する第一の空間、
第一のドア開許可装置の操作の待機に供する第二の空間、
第二のドア開許可装置の操作に供する第三の空間、
第二のドア開許可装置の操作の待機に供する第四の空間
の4空間に分割することによって、前室に存在する人間を空間的に分類できるようにしたことを特徴とする入退出管理システム。
【請求項2】
建屋に対して開口され、入退出可能なごとくに開閉する自動ドア装置と、この自動ドア装置に面して建屋外側に設けられた前室と、その前室側の自動ドア装置の近傍に配置されたドア開許可装置と、ドアを通過する人間を検知する通過人数計測センサーとからなる入退出管理システムにおいて、連続して複数のドア開許可装置の入力があった場合、入力した人数を通過人数計測センサーが検知するまでドア開の状態を維持し、検知したらドアを閉じることを特徴とする入退出管理システム。
【請求項3】
建屋に対して開口され、入退出可能なごとくに開閉する自動ドア装置と、この自動ドア装置に面して建屋外側に設けられた前室と、この自動ドア装置に面して建屋内側に設けられた後室と、後室に設けられたエレベータ装置と、前室側の自動ドア装置の近傍に配置されたドア開許可装置とからなる入退出管理システムにおいて、ドア開許可の信号をエレベータ装置に伝達し、この信号によってエレベータの動作を制御することを特徴とする、入退出管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の入退出管理システムにおいて、自動ドアが開の状態のときは、エレベータ扉が閉、自動ドアが閉の状態のときはエレベータ扉が開となるよう制御することを特徴とする入退出管理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の入退出管理システムにおいて、ドア開許可装置の入力によってエレベータが停止すべき特定の階を指定し、その特定の階のみ停止するようにしたことを特徴とする入退出管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の入退出管理システムにおいて、連続して複数のドア開許可装置の入力があった場合、入力した人数を通過人数計測センサーが検知した後の所定時間、エレベータの開状態を延長するとともに、入力のあった複数階に停止する制御を行うことを特徴とする入退出管理システム。
【請求項7】
請求項2または請求項3に記載の入退出管理システムにおいて、同一行先へ複数人が入退出する場合に、ドア開許可装置に対して、代表者が人数情報を付加して入力することにより、複数人の入退出を行わせることを特徴とした入退出管理システム。
【請求項8】
請求項2または請求項3に記載の入退出管理システムであって、連続して複数人が利用する場合であっても、ドア開許可装置の入力を2人以上受け付けないか、受け付けても通過人数計測センサーが1人を検知したらドアを閉じるように制御することを特徴とする入退出管理システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−13885(P2011−13885A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156806(P2009−156806)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(509185697)
【Fターム(参考)】