説明

入退室制御装置およびそれを用いた入退室管理システム

【課題】 入退室時の個人認証を行う際にその都度ネットワークを介して生体情報を集中管理装置に対して要求する必要がなく、ネットワークに障害が発生した場合でも入退室管理を実現でき、生体認証装置内部に格納された利用者個人の生体情報が外部に流出する危険性がない高いセキュリティを実現できる入退室制御装置およびそれを用いた入退室管理システムの提供。
【解決手段】 生体情報認証装置3は、読み取った個人生体情報14Bと制御部15から送信された登録生体情報16Bを比較照合し、照合処理が終了後速やかに、読み取った個人生体情報14Bと制御部15から送信された登録生体情報16Bを生体情報認証装置3内部から消去する。照合結果は制御部15に送信され、符合した場合、制御部15は施開錠部7を制御し扉5の開錠を行い、利用者は部屋4に入室が可能となる。この時、制御部15は利用者の入室履歴を入退室履歴情報16Cとして記憶部16に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人認証を行い、認証情報に基づいて扉の施開錠を制御する入退室制御装置および該入退出制御装置を用いた入退室管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入退室時にセキュリティを必要とする部屋の入退室管理システムにおいて、部屋への入退室希望者(以下、「利用者」と記す)が携帯するカードに登録されたID情報(以下、「個人ID」と記す)を用いて個人認証を行い、入退室を許可または拒否する入退室制御装置が知られており、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
さらに、セキュリティを向上させる目的で、カードに登録された個人ID以外に、利用者個人の生体情報(指紋、静脈、虹彩、声紋等)を併用して個人認証を行い、入退室を管理するシステムも近年提案されてきており、例えば集中管理装置により集中管理されるシステムが特許文献2に、集中管理装置を用いないシステムが特許文献3に開示されている。
【0004】
以下、図面を用いて従来の入退室管理システムについて説明する。
【0005】
(従来例1)
図2は、従来例1の入退室管理システムの構成を示すブロック図である。従来例1の入退室管理システムにおいては、利用者が入室あるいは退室しようとする部屋24の外部に設置される入室用カードリーダ22および生体情報認証装置23と、部屋24の扉25と、扉の施開錠部26と、部屋24の内部に設置される退室用カードリーダ21および制御部31と、制御部31とネットワーク29を介して接続される集中管理装置27から構成される。
【0006】
集中管理装置27は、部屋24を含む管理すべき全部屋に対する全利用者の登録ID情報28Aおよび登録生体情報28Bを格納した記憶部28を備えている。以下は、説明を簡便化するため、利用者1名は部屋24に入退室を許可されているものとし、記憶部28に格納される該利用者1名の登録ID情報を128A、おなじく該利用者1名の登録生体情報を128Bとして説明する。さらに、簡便のため、入室する場合についてのみ説明する。
【0007】
このような従来例1の入退室管理システムにおいて、前記利用者が認証を行い入室しようとする場合には、まず利用者は、入室用カードリーダ22に、情報記録媒体であるカード30から個人ID30Aを読み取らせる。次に入室用カードリーダ22は、読み取った利用者の個人ID30Aを制御部31に送信し、制御部31は、個人ID30Aをネットワーク29を介して集中管理装置27に送信する。
【0008】
集中管理装置27は、記憶部28内にあらかじめ登録された全利用者の登録ID情報28Aと制御部31から送信された個人ID30Aを照合する。全利用者の登録ID情報28Aの中に個人ID30Aと一致する1名の利用者の登録ID情報128Aが確認された場合、集中管理装置27は個人ID30Aと1対1に対応する登録生体情報128Bをネットワーク29を介して生体情報認証装置23に送信する。
【0009】
次に、利用者は、生体情報認証装置23に個人生体情報30Bを読み取らせる。生体情報認証装置23は、読み取った個人生体情報30Bと集中管理装置27から送信された1名の利用者の登録生体情報128Bを比較照合する。照合結果は制御部31に送信され、個人読み取った生体情報30Bと1名の利用者の登録生体情報128Bが一致した場合、制御部31は、施開錠部26を制御し扉25の開錠を行う。
【0010】
入室を許可された利用者が、部屋24から退室しようとする場合には、利用者の個人IDと登録ID情報の照合を行うために、退室用カードリーダ21にカード30から個人ID30Aを読み取らせれば、退室用カードリーダ21は、制御部31およびネットワーク29を通して集中管理装置27に個人ID30Aを送信し、集中管理装置27は、登録ID情報28Aとの照合を行い、照合結果を制御部31に送信し、施開錠部26を制御して扉25の開錠を行うための結果を送信し、利用者は退室すると共に、制御部31は、利用者が退室したことを集中管理装置27に送信する。
【0011】
(従来例2)
図3は、集中管理装置を用いない従来例2の入退室管理システムの構成を示すブロック図である。このような従来例2の入退室管理システムにおいて、利用者が認証を行い入室しようとする場合には、まず利用者は部屋44の外部に設置された入室用カードリーダ42に、情報記録媒体であるカード48から個人ID48Aを読み取らせる。入室用カードリーダ42は、読み取った利用者の個人ID48Aを生体情報認証装置43に送信する。
【0012】
生体情報認証装置43は、内部にあらかじめ登録された部屋44の全利用者の登録ID情報43Aおよび登録生体情報43Bを格納する記憶部を有し、入室用カードリーダ42から送信された個人ID48Aを照合する。登録ID情報43Aに個人ID48Aと一致するものが確認された場合、生体情報認証装置43は、個人ID48Aと1対1に対応する登録生体情報を生体情報認証装置43内部の記憶部内の登録生体情報43Bから検索する。
【0013】
次に、利用者は、生体情報認証装置43に生体情報を読み取らせる。生体情報認証装置43は、読み取った生体情報と、生体情報認証装置43内部の記憶部から検索した登録生体情報とを比較照合する。照合結果は制御部47に送信され、読み取った生体情報と登録生体情報が一致した場合、制御部47は、施開錠部46を制御し扉45の開錠を行う。
【0014】
入室が許可されて入室していた利用者が、部屋44から退室しようとする場合には、退室用カードリーダ41にカード48から個人ID48Aを読み取らせれば、退室用カードリーダ41は、制御部47に個人ID48Aを送信し、制御部47は、登録ID情報43Aとの照合を行い、照合結果に基づいて、施開錠部46を制御して扉45の開錠を行うための結果を送信し、利用者は退室すると共に、制御部47は、利用者が退室したことを記録する。
【0015】
【特許文献1】特開平9−185740号公報
【特許文献2】特開2002−213125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来例1のような入退室管理システムでは、全利用者の登録された個人IDである登録ID情報28Aに関連付けされた生体情報28Bを集中管理装置27の記憶部28に格納しているため、集中管理装置27が故障などで停止した場合、またはネットワーク29に障害が発生した際に集中管理装置27が管理している全部屋の入退室が不可能となるという課題があった。また、全部屋に対する全利用者の生体情報28Bの中から該当する利用者の個人IDと対応した生体情報を検索するため検索に非常に時間がかかり、利用者が入退室をする際に煩わしさを感じるという課題があった。
【0017】
また、従来例2のような入退室管理システムでは、部屋44の外部に設置された生体認証装置43に全利用者のID情報および生体情報が格納されているため、生体認証装置本体が盗まれる等して、生体認証装置内部の記憶部に格納されたID情報および生体情報が外部に容易に流出する危険性があるという課題があった。
【0018】
本発明は上記の課題を解消するためになされたもので、本発明の目的は、入退室時の個人認証を行う際にその都度ネットワークを介して生体情報を集中管理装置に対して要求する必要がなく、ネットワークに障害が発生した場合でも入退室管理を実現できる入退室制御装置およびそれを用いた入退室管理システムを提供することにある。また、本発明の他の目的は、生体認証装置内部に格納された利用者個人の生体情報が外部に流出する危険性のない、すなわち高いセキュリティを実現できる入退室制御装置およびそれを用いた入退室管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の入退室制御装置は、上記課題を解決するために、利用者の個人認証を行い、認証結果に基づいて、前記利用者の部屋への入退室を制御するもので、前記利用者の登録ID情報と前記登録ID情報に関連づけられた登録生体情報とを格納する記憶部と、前記部屋の外部に設置されたカードリーダによって前記利用者の携帯するカードから読み取った前記利用者の個人IDと前記記憶部に格納された前記登録ID情報とを照合しかつ前記登録生体情報を検索する制御部を備え、前記部屋の内部に設置されてなることを特徴としている。
【0020】
前記部屋は、通常は、外部から隔絶された閉空間であるが、例えば上部は、蓋われていなくても外部からの侵入が事実上不可能であれば問題はなく、隔絶には、壁、塀、堀等各種用いることが可能である。また、入退室の制御には、壁や塀に設置された扉の開放・閉鎖だけでなく、堀を跨ぐように橋を上下させるものであっても良い。
【0021】
前記記憶部には、通常のパーソナルコンピュータ等で用いられる内部記憶装置、外部記憶装置および各種電子記憶媒体を用いることができる。前記制御部には、固定的な論理演算を行う電子回路や、ソフトウェアによって各種論理演算を行う電子機器等を用いることができる。
【0022】
本発明の入退室制御装置における前記制御部は、検索した前記登録生体情報を前記部屋の外部に設置された生体情報認証装置に送信し、前記生体情報認証装置で読み取られた前記利用者に固有の生体情報と送信された前記登録生体情報との照合の結果を前記生体情報認証装置から受信し、前記照合結果に応じて前記部屋に設置された扉の施開錠を行うことを特徴としている。
【0023】
前記扉の施開錠は、電子錠の開放・固定によりなされるものが使用できる。前記生体情報認証装置としては、指紋、静脈、虹彩、声紋等利用者に特有の生体情報を読み取り、登録生体情報と照合する電子装置が用いられる。
【0024】
本発明の入退室制御装置における前記記憶部は、前記利用者の入退室の履歴情報を保持し、前記部屋の外部に設置された集中管理装置からの履歴情報の収集要求に応じて、前記集中管理装置内部の入退室履歴記憶部に履歴情報を送信し、前記履歴情報を前記入退室履歴記憶部に送信後、前記保持していた履歴情報を消去することを特徴としている。
【0025】
前記集中管理装置は、通常は、入退室管理が行われる部屋を複数集中的に管理するもので、定期的に、ネットワークを介して、それぞれの部屋の入退室の履歴情報を収集して、前記集中管理装置内部の前記入退室履歴記憶部に保持される全部屋に関する履歴情報の更新を行う。一方、それぞれの部屋では、一旦、入退室の履歴情報を集中管理装置に送信して、履歴情報を消去してから後の入退室履歴情報を次に履歴情報の収集要求があるまでの間保持しており、例えば、履歴情報の収集要求時にネットワークに障害が生じても、ネットワークが復旧した後、最初の履歴情報の収集要求があるまでの間、入退室履歴情報を保持する。
【0026】
本発明の入退室管理システムは、利用者の個人認証を行い、認証結果に基づいて、前記利用者の部屋への入退室を管理する入退室管理システムであって、情報登録制御部を備える集中管理装置と、前記利用者の個人IDを前記情報登録制御部に入力するID情報登録装置と、前記利用者の生体情報を前記情報登録制御部に入力する生体情報登録装置と、前記部屋の外部に設置され前記利用者が携帯するカードから個人IDを読み取る入室用カードリーダおよび前記部屋の内部に設置され前記利用者が携帯するカードから個人IDを読み取る退室用カードリーダと、前記部屋の外部に設置され前記利用者の生体情報を読み取る生体情報認証装置と、前記集中管理装置とネットワークにより接続され、かつ前記部屋の内部に設置された入退室制御装置と、前記部屋の扉の施開錠を行う施開錠部とからなり、前記入退室制御装置は、前記情報登録制御部から送信される前記個人IDと前記生体情報を登録ID情報および登録生体情報として格納する記憶部を備え、前記入室用カードリーダが読み取った前記個人IDと前記登録ID情報とを照合し、前記個人IDに1対1に関連づけられる前記登録生体情報を検索して前記登録生体情報を前記生体情報認証装置に送信し、前記生体情報認証装置が読み取った前記生体情報と前記登録生体情報とを照合した結果を前記生体情報認証装置から受信し、前記照合の結果に応じて前記施開錠部を制御する信号を送信する制御部を備えることを特徴としている。
【0027】
前記ID情報登録装置は、入室用カードリーダあるいは退室用カードリーダと同様のものであって、予め利用者の携帯するカードから個人IDを読み取るものである。前記生体情報登録装置は、基本的に前記生体情報認証装置の生体情報を読み取る機能のみを転用したものと考えてよい。前記情報登録制御部は、前記登録ID情報や前記登録生体情報を保持する機能を有する必要は特になく、前記ID情報登録装置および前記生体情報認証装置で読み取った前記個人IDと前記生体情報とを1対1に関連付けて、それぞれ登録ID情報および登録生体情報として前記入退室管理装置にある前記記憶部に送信する機能を有する。すなわち、前記カードリーダから読み取った前記個人IDと前記登録ID情報とを照合して、一致するものがあった場合には、前記個人IDに1対1に関連付けられた登録生体情報の検索が行われ、次に生体情報の照合が行われる。
【0028】
前記制御部は、前記利用者が退室しようとする場合に、前記退室用カードリーダが読み取った前記個人IDと前記登録ID情報とを照合し、前記照合の結果に応じて前記施開錠部を制御することを特徴としている。
【0029】
利用者が退室する場合には、生体情報の照合により部屋への入室が許可されたことが前提となっているので、改めて、生体情報の照合まで行う必要は、通常はない。
【0030】
本発明の入退室管理システムの入退室制御装置は、前記利用者の入退室の履歴情報を保持し、前記部屋の外部に設置された集中管理装置からの履歴情報の収集要求に応じて、前記集中管理装置内部の入退室履歴記憶部に履歴情報を送信し、前記履歴情報を前記入退室履歴記憶部に送信後、前記保持していた履歴情報を消去する機能を有することを特徴としている。前記入退室制御装置には、前記入退室の履歴情報を保持する記憶部が含まれる。
【0031】
本発明の入退室管理システムの前記生体情報認証装置は、前記利用者個人の前記生体情報と前記登録生体情報とを照合した後、前記利用者個人の前記生体情報と前記登録生体情報とを保持しないことを特徴としている。
【0032】
前記生体情報と前記登録生体情報は、揮発性の記憶媒体である半導体メモリ等に一時的に保持され、照合した後、直ちに消去されるべきものである。ただし、不揮発性の記憶媒体である磁気記録媒体や、強誘電体を用いた半導体メモリであっても使用することは、可能である。いずれの場合も照合するまでの間、保持されれば良い。
【発明の効果】
【0033】
本発明により、入退室時に利用者の個人認証を行う際にその都度ネットワークを介してID情報および生体情報を集中管理装置に対して要求する必要なく、ネットワークの状態に依らずに入退室の制御が可能となる入退室管理装置およびそれを用いた入退室管理システムの提供が可能となった。また、本発明により、履歴情報を各部屋内部に設置された入退室制御装置内部の記憶部に一時的に保持しておくことで、ネットワークに障害が発生した場合でも、ネットワーク復旧後に履歴情報を更新することができる入退室管理システムの提供が可能となった。
【0034】
さらに、本発明により、ネットワークを介して、集中管理装置に格納された全利用者の生体情報の中から該当する利用者のID情報と対応した生体情報を検索する必要がなくなるため、照合時間が短くなり、利用者が入退室をする際に煩わしさを感じるという問題が解消される入退室管理装置およびそれを用いた入退室管理システムの提供が可能となった。
【0035】
また、本発明により、部屋の外部に設置された生体情報認証装置に生体情報を保持しないため、生体情報認証装置本体が盗まれる等しても、利用者個人の生体情報が外部に流出する危険性がない高いセキュリティを実現できる入退室管理装置およびそれを用いた入退室管理システムの提供が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態における入退室管理システムの構成を示すブロック図である。
【0038】
本発明の入退室管理システムは、利用者が入退室をおこなう部屋4の屋内に設置される入退室制御装置6と、部屋4とは異なる場所に設置される集中管理装置8が、ネットワーク13を介して接続される構成となっている。
【0039】
集中管理装置8は、入退室履歴を保存するための入退室履歴記憶部9と、利用者のID情報と生体情報を登録する制御を行う情報登録制御部10により構成される。
【0040】
情報登録制御部10は、登録すべき利用者の個人IDを入力するためのID情報登録装置11と、登録すべき利用者の生体情報を入力するための生体情報登録装置12に接続されており、ID情報登録装置11から入力される利用者の個人ID、および生体情報登録装置12から入力される利用者の生体情報を入退室制御装置6の記憶部16に送信する制御を行う。
【0041】
入退室制御装置6は、制御部15と記憶部16により構成されている。記憶部16は、情報登録制御部10から送信される個人IDおよび生体情報を1対1に関連付けて登録ID情報および登録生体情報として記憶する。
【0042】
制御部15は、部屋4内の利用者が部屋4から退室する際に、利用者の保持するカード14から個人ID14Aを読み取るための退室用カードリーダ1と、部屋4外の利用者が入室する際に、前記カード14から前記個人ID14Aを読み取るための入室用カードリーダ2と、利用者個人の肉体的特徴を示す生体情報を照合するための生体情報認証装置3と接続され、さらに、部屋4に設置された扉5の鍵の施錠開錠を行うことによって、入退室の制限を行う施開錠部7に接続され、それぞれ信号の受信あるいは送信を行う。
【0043】
以下、本発明の入退室制御装置とそれを用いた入退出管理システムの具体的構成とその作用をさらに詳述する。
【0044】
図1に示す入退室管理システムにおいて、部屋4への入退室を希望する利用者に対し、入退室に先立って、ID情報登録装置11に利用者の保持するカード14に格納される個人ID14Aを読み取らせる。この時、情報登録制御部10により入退室制御装置6の記憶部16に対してカード14に格納されている利用者の個人ID14Aが送信され、登録ID情報16Aとして記憶部16に格納される。
【0045】
次に、生体情報登録装置12に利用者個人の肉体的特徴を示す個人生体情報14Bを読み取らせる。この時、情報登録制御部10により入退室制御装置6の記憶部16に対して利用者の個人生体情報14Bが送信され、前記個人生体情報14Bは、前記個人ID14Aと1対1に関連付けられて登録生体情報16Bとして記憶部16に格納される。すなわち、登録生体情報16Bと登録ID情報16Aとは、1対1に対応するように関連付けられている。
【0046】
あらかじめ前述の登録を完了している利用者が部屋4に入室しようとして、施錠されている扉5を開錠するために、利用者自身が保持するカード14に格納される個人ID14Aを入室用カードリーダ2に読み取らせる。続いて、入室用カードリーダ2は、読み取る利用者の個人ID14Aを制御部15に送信する。
【0047】
制御部15は、入室用カードリーダ2から送信される個人ID14Aと記憶部16に格納される登録ID情報16Aとを照合する。照合の結果、個人ID14Aと登録ID情報16Aが符合する。符合を受けて、制御部15は個人ID14Aと符合する登録ID情報16Aと1対1に対応する登録生体情報16Bを記憶部16から検索し、生体情報認証装置3に送信する。
【0048】
利用者は、生体情報認証装置3に利用者個人の肉体的特徴を示す個人生体情報14Bを読み取らせる。生体情報認証装置3は、読み取る個人生体情報14Bと制御部15から送信される登録生体情報16Bを比較照合し、照合処理が終了後速やかに、読み取る個人生体情報14Bと制御部15から送信される登録生体情報16Bを生体情報認証装置3内部から消去する。
【0049】
照合結果は制御部15に送信され、個人生体情報14Bと登録生体情報16Bが符合するので、制御部15は施開錠部7を制御し扉5の開錠を行い、利用者は部屋4に入室が可能となる。この時、制御部15は利用者の入室履歴を入退室履歴情報16Cとして記憶部16に格納する。利用者が入室後、扉5は再び施錠される。
【0050】
利用者が部屋4から退室しようとして、施錠された扉5を開錠するために、利用者自身が保持するカード14に格納される個人ID14Aを退室用カードリーダ1に読み取らせる。退室用カードリーダ1は読み取るカード14に格納されている利用者の個人ID14Aを制御部15に送信する。
【0051】
制御部15は、記憶部16に格納される登録ID情報16Aと退室用カードリーダ1から送信される個人ID14Aを照合する。照合の結果、個人ID14Aと登録ID情報16Aとが符合するので、制御部15は施開錠部7を制御し扉5の開錠を行い、利用者は部屋4から退室が可能となる。この時、制御部15は利用者の退室履歴を入退室履歴情報16Cとして記憶部16に格納する。
【0052】
集中管理装置8は、入退室制御装置6の制御部15に対して定期的に入退室履歴情報16Cの収集要求を行い、制御部15は記憶部16から入退室履歴情報16Cを集中管理装置8に送信する。制御部15から送信される入退室履歴情報16Cは入退室履歴記憶部9に格納される。
【0053】
集中管理装置8は、制御部15から送信される入退室履歴情報16Cが入退室履歴記憶部9に正常に格納されることを制御部15に通知する。通知を受ける制御部15は、記憶部16から送信済みの入退室履歴情報16Cを消去する。
【0054】
本発明の実施の形態における入退室管理システムでは、集中管理装置8が1台に対して、入退室制御装置6を1台のみネットワークを介して接続される例を示したが、本発明の好ましい形態においては、1台の集中管理装置8に対して必要とする複数の入退室制御装置6が接続される構成であってもよい。このことにより、複数の部屋の一元管理が可能となる。
【0055】
さらに、本発明の実施の形態における入退室管理システムでは、カード14を利用者の保持する記録媒体とした例を示したが、個人IDを格納することが可能な記憶媒体であれば、カード形状に限定されるものではない。さらに言えば、情報記録媒体として磁気カードやICカード等のカードに限定する必要はなく、コイン形状やその他の形状の電子タグ、個人IDを記憶させる記録媒体を有する携帯電話等であっても良いことは当然である。
【0056】
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、部材や構成の変更があっても、本発明に含まれる。
【0057】
例えば、前記実施の形態では、部屋への入退室を扉の開錠・施錠という形で制限する構成となっているが、機器の使用状況によっては、必ずしもそのような構造である必要はなく、例えば、扉が設置しにくい広い敷地への入退場の場合には、入退場が不許可の場合には警報機を鳴動させたり、守衛室に通報するなどの構成であっても良く、そのような構成についても本発明の実施の形態をなすことは言うまでもない。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形や修正もまた本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態における入退室管理システムの構成を示すブロック図。
【図2】従来例1の入退室管理システムの構成を示すブロック図。
【図3】従来例2の入退室管理システムの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0059】
1 退室用カードリーダ
2 入室用カードリーダ
3 生体情報認証装置
4 部屋
5 扉
6 入退室制御装置
7 施開錠部
8 集中管理装置
9 入退室履歴記憶部
10 情報登録制御部
11 ID情報登録装置
12 生体情報登録装置
13 ネットワーク
14 カード
14A 個人ID
14B 個人生体情報
15 制御部
16 記憶部
16A 登録ID情報
16B 登録生体情報
16C 入退室履歴情報
21 退室用カードリーダ
22 入室用カードリーダ
23 生体情報認証装置
24 部屋
25 扉
26 施開錠部
27 集中管理装置
28 記憶部
28A 全利用者の登録ID情報
128A 1名の利用者の登録ID情報
28B 全利用者の登録生体情報
128B 1名の利用者の登録生体情報
29 ネットワーク
30 カード
30A 個人ID
30B 個人生体情報
31 制御部
41 退室用カードリーダ
42 入室用カードリーダ
43 生体情報認証装置
44 部屋
45 扉
46 施開錠部
47 制御部
48 カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の個人認証を行い、認証結果に基づいて、前記利用者の部屋への入退室を制御する入退室制御装置であって、前記利用者の登録ID情報と前記登録ID情報に関連づけられた登録生体情報とを格納する記憶部と、前記部屋の外部に設置されたカードリーダによって前記利用者の携帯するカードから読み取った前記利用者の個人IDと前記記憶部に格納された前記登録ID情報とを照合しかつ前記登録生体情報を検索する制御部を備え、前記部屋の内部に設置されてなることを特徴とする入退室制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、検索した前記登録生体情報を前記部屋の外部に設置された生体情報認証装置に送信し、前記生体情報認証装置で読み取られた前記利用者の生体情報と前記登録生体情報との照合の結果を前記生体情報認証装置から受信し、前記照合の結果に応じて前記部屋に設置された扉の施開錠を行うことを特徴とする請求項1に記載の入退室制御装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記利用者の入退室の履歴情報を保持し、前記部屋の外部に設置された集中管理装置からの履歴情報の収集要求に応じて、前記集中管理装置内部の入退室履歴記憶部に履歴情報を送信し、前記履歴情報を前記入退室履歴記憶部に送信後、前記保持していた履歴情報を消去することを特徴とする請求項1ないし請求項2に記載の入退室制御装置。
【請求項4】
利用者の個人認証を行い、認証結果に基づいて、前記利用者の部屋への入退室を管理する入退室管理システムであって、情報登録制御部を備える集中管理装置と、前記利用者の個人IDを前記情報登録制御部に入力するID情報登録装置と、前記利用者の生体情報を前記情報登録制御部に入力する生体情報登録装置と、前記部屋の外部に設置され前記利用者が携帯するカードから個人IDを読み取る入室用カードリーダおよび前記部屋の内部に設置され前記利用者が携帯するカードから個人IDを読み取る退室用カードリーダと、前記部屋の外部に設置され前記利用者の生体情報を読み取る生体情報認証装置と、前記集中管理装置とネットワークにより接続され、かつ前記部屋の内部に設置された入退室制御装置と、前記部屋に設置された扉の施開錠を行う施開錠部とからなり、前記入退室制御装置は、前記情報登録制御部から送信される前記個人IDと前記生体情報を登録ID情報および登録生体情報として格納する記憶部を備え、前記入室用カードリーダが読み取った前記個人IDと前記登録ID情報とを照合し、前記個人IDに1対1に関連づけられる前記登録生体情報を検索して前記登録生体情報を前記生体情報認証装置に送信し、前記生体情報認証装置が読み取った前記生体情報と前記登録生体情報とを照合した結果を前記生体情報認証装置から受信し、前記照合の結果に応じて前記施開錠部を制御する信号を送信する制御部を備えることを特徴とする入退室管理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記利用者が退室しようとする場合に、前記退室用カードリーダが読み取った前記個人IDと前記登録ID情報とを照合し、前記照合の結果に応じて前記施開錠部を制御することを特徴とする請求項4に記載の入退室管理システム。
【請求項6】
前記入退室制御装置において、前記利用者の入退室の履歴情報を保持し、前記部屋の外部に設置された集中管理装置からの履歴情報の収集要求に応じて、前記集中管理装置内部の入退室履歴記憶部に履歴情報を送信し、前記履歴情報を前記入退室履歴記憶部に送信後、前記保持していた履歴情報を消去することを特徴とする請求項4ないし5に記載の入退室管理システム。
【請求項7】
前記生体情報認証装置は、前記利用者個人の前記生体情報と前記登録生体情報とを照合した後、前記利用者個人の前記生体情報と前記登録生体情報とを保持しないことを特徴とする請求項4ないし請求項6に記載の入退室管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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