説明

入退管理システム

【課題】ICカード等の認証カードの読取範囲内に存在する利用者の数や、利用者のレベルによってセキュリティレベルを変更する入退管理システムを得る。
【解決手段】監視エリア3の入側の利用者の人数を計測する第1のカメラ6と、監視エリア3の出側の利用者の人数を計測する第2のカメラ7と、入側利用者の人数と出側利用者の人数とを比較する第1の比較手段と、複数の利用者が所持し、それぞれ少なくとも利用者IDを含む情報を送信するIDカード5と、複数の利用者からのそれぞれの情報を受信する無線カードリーダ9と、利用者ごとにそれぞれのIDと結び付けられた第1のセキュリティレベルと監視エリア3に設定された第2のセキュリティレベルとを比較する第2の比較手段と、前記第1の比較手段と前記第2の比較手段の比較結果に基づいて、利用者の認証方法を変更する認証方法変更手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ICカード等の認証カードが無線発信する本人データを無線式カードリーダで受信することにより、扉の解錠制御を行なって入退室管理を行う入退管理システムに係り、特に、認証カードの読取範囲内に存在する利用者の数や利用者のレベルによってセキュリティレベルを変更する入退管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスビルや高級マンションにおいては扉の解錠制御を行う入退室管理システムが採用されている。この入退室管理システムは、認証カード(IDカード)の本人データ(IDデータ)を無線式カードリーダで読取って管理データと照合し、照合結果に基づいて扉の解錠を管理するものである。IDカードには無線によってIDデータを発信する無線IDチップを埋め込んでいる。
【0003】
前記入退管理システムが、例えば特開2007−193558号公報(特許文献1)に開示されている。この特許文献1に開示された入退管理システムは、設定エリア内でカメラにより計数した利用者数とRFIDタグにより計数した通行可と判定された利用者数とを比較し、両者が不一致のときに不審者ありと判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−193558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示された技術によれば、設定エリア内でカメラにより計数した利用者数とIDカードにより計数した通行可と判定された利用者数とを比較し、両者が不一致のときに不審者ありと判定しているため、設定エリア内に複数の利用者が存在し、その中に許可されていない(通行不可)の利用者が一人でも存在する場合、不審者ありと判断されて全ての利用者が通行することができなくなる。即ち、設定エリア内に通行不可の利用者が滞在する間は全ての利用者が通行不可となる問題点がある。
【0006】
この発明の目的は、前記課題を解決するために提案されたもので、ICカード等の認証カードの読取範囲内に存在する利用者の数や、利用者のレベルによってセキュリティレベルを変更する入退管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る入退管理システムは、監視エリアの入側の利用者の人数を計測する第1の利用者人数計測手段と、前記監視エリアの出側の利用者の人数を計測する第2の利用者人数計測手段と、前記入側利用者の人数と前記出側利用者の人数とを比較する第1の比較手段と、複数の前記利用者が所持し、それぞれ少なくとも利用者IDを含む情報を送信する送信手段と、前記複数の利用者からの前記それぞれの情報を受信する受信手段と、前記利用者ごとにそれぞれのIDと結び付けられた第1のセキュリティレベルと、前記監視エリアに設定された第2のセキュリティレベルを比較する第2の比較手段と、前記第1の比較手段と前記第2の比較手段の比較結果に基づいて、前記利用者の認証方法を変更する認証方法変更手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る入退管理システムによれば、セキュリティレベルを可変にすることで、入室や通行する場所のセキュリティレベルに関わらず、読み取った利用者IDによってセキュリティレベルが決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る入退管理システムの構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る入退管理システムの動作フローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係る入退管理システムによる入室レベルの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、この発明に係る入退管理システムについて好適な実施の形態を説明する。なお、この実施の形態により発明が限定されるものでなく、諸種の設計的変更を含むものである。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る入退管理システムの構成図を示し、(a)は利用者が監視エリア内の場合を図示し、(b)は利用者が監視エリアを通過した場合を図示している。
図1において、電気錠等の錠が設けられた管理対象場所の自動ドア1に通じる入口通路2には、監視エリア3が設けられている。監視エリア3には、入側に入口通路2と直角方向の入側境界エリア3aが設けられ、また、出側(自動ドア1側)に出側境界エリア3bが設けられている。
【0012】
監視エリア3を通過する利用者4は、利用者本人のIDデータ(以下、単にIDという。)を発信するIDカード5を携帯しており、IDカード5には無線によってIDを発信する無線IDチップ(RFID)が埋設されている。なお、複数の利用者4が監視エリアを通過するが、図1では一人のみ図示している。
【0013】
監視エリア3には第1の利用者人数計測手段(以下、第1のカメラという。)6と、第2の利用者人数計測手段(以下、第2のカメラという。)7が設置されている。監視エリア3を通過する利用者4は、それぞれ第1のカメラ6、第2のカメラ7で撮影され、その撮影画像が監視コントローラ8に送信される。
【0014】
監視エリア3には無線式カードリーダ(無線タグリーダ)9が設置され、監視エリア3内に存在する利用者4が携帯するIDカード5からIDを受信する。無線式カードリーダ9で受信されたIDは、監視コントローラ8に送信され、監視コントローラ8は、第1のカメラ6、第2のカメラ7の撮影画像により計数した監視エリア3に存在する利用者数とIDによる利用者数とを比較し、不一致のときに不審者有りと判定する。
【0015】
また、監視コントローラ8による判定で利用者数とIDによる利用者数が一致した場合は、検出したID全てに対して個人情報データベース10からIDに結び付けられた個人情報を取得し、自動ドア1に設けられた電気錠に対しての通行権限を調べる。
【0016】
実施の形態1に係る入退管理システムは前記のように構成されており、次にその動作について説明する。図2は、実施の形態1に係る入退管理システムの動作を説明するフローチャートである。なお、この動作は監視コントローラ8により実行される。
まず、ステップ1において、無線式カードリーダ9から受信することにより検出したIDの数が1つか、2つ以上かを判断する。そして、検出したIDの数が1つの場合はステップ2へ進み、2つ以上の場合はステップ3へ進む。
【0017】
ステップ2では、検出したIDが通行できるIDか判断し、通行できるIDであればステップ4へ進み、図3で説明する入室レベルAとして、その判断結果を自動ドア1に設けられた電気錠に送信する。ステップ2での判断結果が通行できるIDでない場合はステップ5へ進み、入室レベルDとして、その判断結果を自動ドア1に設けられた電気錠に送信する。
【0018】
ステップ3では、検出したIDの全てが通行できるIDか否か判断し、検出したIDの全てが通行できるIDであればステップ6へ進み、入室レベルBとして、その判断結果を自動ドア1に設けられた電気錠に送信する。また、検出したIDの全てが通行できるIDでない場合はステップ7へ進む。
【0019】
ステップ7では、通行できるIDが1つ以上あるか否かを判断し、通行できるIDが1つ以上ある場合はステップ8へ進み、入室レベルCとして、その判断結果を自動ドア1に設けられた電気錠に送信する。また、通行できるIDがない場合はステップ9へ進み、入室レベルDとして、その判断結果を自動ドア1に設けられた電気錠に送信する。
【0020】
図3は、入室レベルの一例を説明する図で、監視コントローラ8で判断される入室レベルと自動ドア1に設けられた電気錠に送信する通行方法の一例を示すものである。
図3に示すように、レベルAは自動ドア1の電気錠を解錠(素通り)するレベルであり、レベルBはその他の照合端末11(図1参照)によりカード照合を行い、照合結果が可のとき自動ドア1の電気錠を解錠するレベルであり、レベルCはその他の照合端末11により生体情報照合、およびカード照合を行い、両者の照合結果が可のとき自動ドア1の電気錠を解錠するレベルである。また、レベルDは通行不可のレベルである。なお、図2のフローチャートには図示していないが、通行不可のレベルとしてレベルZを設け、このレベルZの場合は管理者に通知するようにしてもよく、入室レベルはAから順に入室できる難易度(セキュリティレベル)が上がっていくように構成されている。
【0021】
以上のように、実施の形態1に係る入退管理システムは、監視エリア3の入側の利用者の人数を計測する第1のカメラ6と、監視エリア3の出側の利用者の人数を計測する第2のカメラ7と、入側利用者の人数と出側利用者の人数とを比較する第1の比較手段(監視コントローラ8)と、複数の利用者が所持し、それぞれ少なくとも利用者IDを含む情報を送信するIDカード5と、複数の利用者からのそれぞれの情報を受信する無線カードリーダ9と、利用者ごとにそれぞれのIDと結び付けられた第1のセキュリティレベルと監視エリア3に設定された第2のセキュリティレベルとを比較する第2の比較手段(監視コントローラ8)と、前記第1の比較手段と前記第2の比較手段の比較結果に基づいて、利用者の認証方法を変更する認証方法変更手段(監視コントローラ8)とを備えたものである。
【0022】
また、実施の形態1に係る入退管理システムは、管理対象場所の扉に自動ドア1に錠を設け、前記第1の比較手段による比較結果が一致し、かつ、第1のカメラ6、或いは第2のカメラ7の計測人数が1の場合で、かつ、前記第1のセキュリティレベルが前記第2のセキュリティレベル以上の場合に、電気錠を自動開錠するものである。
【0023】
また、実施の形態1に係る入退管理システムは、管理対象場所に扉を設け、前記第1の比較手段による比較結果が一致し、かつ、第1のカメラ6、或いは第2のカメラ7の計測人数が2以上の場合で、かつ、全ての前記第1のセキュリティレベルが前記第2のセキュリティレベル以上の場合に、前記扉における認証を所定の認証とするものである。
【0024】
また、実施の形態1に係る入退管理システムは、管理対象場所に扉を設け、前記第1の比較手段による比較結果が一致し、かつ、第1のカメラ6、或いは第2のカメラ7の計測人数が2以上の場合で、かつ、いずれかの前記第1のセキュリティレベルが前記第2のセキュリティレベル未満の場合に、前記扉における認証を所定の認証より認証レベルの高い第2の認証とするものである。
【0025】
更に、実施の形態1に係る入退管理システムは、前記第1の比較手段による比較結果が不一致の場合、不審者ありと判定するものである。
【0026】
以上のように、実施の形態1に係る入退管理システムによれば、セキュリティレベルを損なわずにセキュリティレベルを可変にすることができる。また、セキュリティレベルを固定する必要がないため、セキュリティレベルが高いエリアに対しても煩雑な動作(例えば、生体情報照合とカード照合のAND照合など)を最小限にし、利用者への負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 自動ドア 2 入口通路
3 監視エリア 3a 入側境界エリア
3b 出側境界エリア 4 利用者
5 IDカード 6 第1のカメラ
7 第2のカメラ 8 監視コントローラ
9 無線式カードリーダ 10 個人情報データベース
11 照合端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視エリアの入側の利用者の人数を計測する第1の利用者人数計測手段と、
前記監視エリアの出側の利用者の人数を計測する第2の利用者人数計測手段と、
前記入側利用者の人数と前記出側利用者の人数とを比較する第1の比較手段と、
複数の前記利用者が所持し、それぞれ少なくとも利用者IDを含む情報を送信する送信手段と、
前記複数の利用者からの前記それぞれの情報を受信する受信手段と、
前記利用者ごとにそれぞれのIDと結び付けられた第1のセキュリティレベルと、前記監視エリアに設定された第2のセキュリティレベルを比較する第2の比較手段と、
前記第1の比較手段と前記第2の比較手段の比較結果に基づいて、前記利用者の認証方法を変更する認証方法変更手段と、を備えたことを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
管理対象場所の扉に錠を設け、前記第1の比較手段による比較結果が一致し、かつ、前記第1の利用者人数計測手段、或いは前記第2の利用者人数計測手段の計測人数が1の場合で、かつ、前記第1のセキュリティレベルが前記第2のセキュリティレベル以上の場合に、前記錠を自動開錠することを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
管理対象場所に扉を設け、前記第1の比較手段による比較結果が一致し、かつ、前記第1の利用者人数計測手段、或いは前記第2の利用者人数計測手段の計測人数が2以上の場合で、かつ、全ての前記第1のセキュリティレベルが前記第2のセキュリティレベル以上の場合に、前記扉における認証を所定の認証とすることを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項4】
管理対象場所に扉を設け、前記第1の比較手段による比較結果が一致し、かつ、前記第1の利用者人数計測手段、或いは前記第2の利用者人数計測手段の計測人数が2以上の場合で、かつ、いずれかの前記第1のセキュリティレベルが前記第2のセキュリティレベル未満の場合に、前記扉における認証を所定の認証より認証レベルの高い第2の認証とすることを特徴とする請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項5】
前記第1の比較手段による比較結果が不一致の場合、不審者ありと判定することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の入退室管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−92970(P2013−92970A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235872(P2011−235872)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】