説明

全包囲形カートンおよびそのブランク

複数の物品(A)を保持するためのカートンであって、このカートンは、上面壁(53,54)と、底面壁(58,60,72,76)と、対向側壁(12,16)と、対向端壁(14,18)と、を具備してなる。隣接する物品同士を分離するための離隔構造体が、端壁(14,18)の少なくとも一つから形成される。この離隔構造体は、互いにおよび対向側壁(12,16)に対して折り曲げ可能に連結された第1および第2の内側に折り曲げられた離隔パネル(30,32)と、第1および第2の離隔パネル(30,32)の個々の下部に対して折り曲げ可能に連結されかつ第1および第2の離隔パネル(30,32)の個々の下部同士の間に延在する、内側に折り曲げられたサポートパネル(36)と、を具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き付け(ラップアランド)カートンおよびそのブランクに関する。さらに詳しく言うと、本発明は、物品、たとえば、突出するサチェット部を有する半流動性食料品(たとえばフルーツジュース)のフレキシブルサチェットを収容するための巻き付けカートンおよびそのブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、巻き付け型携行器は、一つ以上の物品を保持するために開口部を備える。特許文献1にはその一実施例が開示されている。
【0003】
半流動性食料品を含むサチェットのようなフレキシブルな物品を包装する際、サチェットが潜在的に問題をはらむことがある。なぜならば、そうした物品は変形し、かつ/または互いに重なり合う傾向があるからである。
【特許文献1】米国特許第4,836,375号(Shuster)明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、カートン内での物品の内部移動を起き難くし、かつ外部カートンが変形したり、見た目が悪化したり、破れたりするリスクを低減するため、適当なサポート構造体を設けることによって従来技術の問題を克服するかあるいは少なくとも軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、複数の物品を保持するためのカートンであって、上面壁と、底面壁と、対向側壁と、対向端壁と、を具備してなるカートンを提供する。隣接する物品同士を分離するための離隔構造体が、端壁の少なくとも一つから形成される。この離隔構造体は、互いにおよび対向側壁に対して折り曲げ可能に連結された第1および第2の内側に折り曲げられた離隔パネルと、第1および第2の離隔パネルの下部に対して折り曲げ可能に連結されかつ第1および第2の離隔パネルの下部同士の間に延在する、内側に折り曲げられたサポートパネルと、を含む。
【0006】
ある実施形態では、上記側壁はその上側縁部に向かって収束する。
【0007】
上記上面壁は、一対の上面壁パネルおよびこの上面壁パネルを互いに固定するためのロック機構からなっていてもよい。
【0008】
本発明の第2の態様は、先の段落で言及したカートンを形成するためのブランクを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ここで、添付図面を参照して、例としてのみ、本発明の代表的実施形態について説明する。
【0010】
図面、特に図1を参照すると、物品をずらりと並んだ状態で多重包装するのに使用される全包囲形カートンを形成するための、ボール紙または同様の折り曲げ可能なシート材料から形成されたブランク10が示されている。このブランクは、カートンの上面、対向側面および対向端面、そして底面を形成するための複数のパネルを具備してなる。
【0011】
この実施形態では、第1の側壁パネル12と、端壁パネル14と、第2の側壁パネル16と、第2の端壁パネル18と、固定フラップ20と、を具備してなり、これらは、それぞれ折り曲げ線22,24,26および28に沿って一列に、あるものが次のものに対して折り曲げ可能に連結されている。
【0012】
本カートンはさらに、上面壁および底面壁をそれぞれ形成するための上面壁構造体および底面壁構造体を具備してなる。上面壁構造体は、折り曲げ線55に沿って側壁パネル16に折り曲げ可能に連結された第1の上面壁パネル53と、折り曲げ線56に沿って第1の側壁パネル12に折り曲げ可能に連結された第2の上面壁パネル54と、を具備してなる。
【0013】
底面壁構造体は、折り曲げ線62に沿って第1の側壁パネル12に折り曲げ可能に連結された第1の底面壁パネル58と、折り曲げ線64に沿って側壁パネル16に折り曲げ可能に連結された第2の底面壁パネル60とから構成される。底面壁パネル58および60の外側縁部は、相互係合するよう構成された部分P1およびP2をそれぞれ備える。
【0014】
本カートンは、折り曲げ線66および70に沿って第1および第2の底面壁パネル58および60の個々にそれぞれ折り曲げ可能に連結された係合フラップ67および68をさらに具備してなる。折り曲げ線74に沿って端壁パネル14に折り曲げ可能に連結された第1のサポートフラップ72と、折り曲げ線78に沿って第2の端壁パネル18に折り曲げ可能に連結された第2のサポートフラップ76によって、サポートフラップが提供される。
【0015】
本発明に係るカートン用のロック機構は、ロックタブおよび開口部構造によって提供される。ロックタブは、上面壁パネル53から延在する一つ以上のタブ80からなる。タブ80は対向する凹部82を具備し、これが切れ目84によって部分的に形成された開口部の対応する縁部と係合するためのショルダー部を形成している。本発明では、上記ロック機構の雌部分は、第2の上面壁パネル54が折り曲げ線56に沿って折り曲げられた際に形成される開口部によって提供される。
【0016】
本カートンは、カートン内に保持された隣接する物品を分離するのに使用される離隔構造体をさらに具備してなる。この離隔構造体は端壁構造体の配置構成によって提供される。各端壁14,18は、隣接する物品同士の中間に配置された、内側に向けて配置されたパネルによって提供される。したがって、端壁14は、折り曲げ線34に沿って互いに折り曲げ可能に連結されかつ折り曲げ線22および24に沿って第1および第2の側壁パネル12および16の個々に折り曲げ可能に連結された、第1の離隔パネル30および第2の離隔パネル32を具備してなる。ある種の実施形態では、折り曲げ線38および40に沿って第1および第2の離隔パネル30および32に折り曲げ可能に連結されたサポートパネル36をさらに具備してなる。
【0017】
同様に、端壁18は、折り曲げ線46に沿って互いに折り曲げ可能に連結されかつ折り曲げ線26および28に沿って第2の側壁パネル16および固定フラップ20の個々に折り曲げ可能に連結された、第1の離隔パネル42および第2の離隔パネル44を具備してなる。本カートンは、折り曲げ線50および52に沿って第1および第2の離隔パネル42および44に折り曲げ可能に連結されたサポートパネル48をさらに具備してなる。
【0018】
サポートパネル36および48は、上記離隔パネルを所望の形状(本実施形態ではウェブ形状)に維持するよう形成されている。もちろん、サポートパネルは、離隔体の所望の形状(たとえば弓形またはストロフォイド形)に従って、異なる形状に形成することができる。
【0019】
本カートンは、側壁パネル12,16の片方あるいはそれぞれに、一つ以上のディスプレイ窓94をさらに具備してもよい。ディスプレイ窓を形成するために、横断仕切りパネル90を側壁パネル16から打ち出すと共に、折り曲げ線92に沿って側壁パネル16に折り曲げ可能に連結してもよい。この横断仕切りパネル90は、隣接する物品の列を分離するのに使用される。
【0020】
ブランクから、平らに折り畳まれた状態の完成した携行器を形成するためには、順次的な一連の折り曲げおよび接着作業が必要であり、これについて図2ないし図6を参照してさらに詳しく説明する。この折り曲げおよび接着作業は、1基以上の直線機械で実施でき、この結果、その組立てを成し遂げるのに、トレイを回転あるいは反転させることを必要としない。折り曲げプロセスは以下で説明するものに限定されるわけではなく、特定の製造条件に従って変更可能である。
【0021】
組立ての第一段階は、ハッチングによって図示しかつ文字Gによって指し示す固定フラップ20に接着剤を塗布することである。端壁18および固定フラップ20は、図3に示すように、折り曲げ線26に沿って折り曲げて、側壁パネル16と面接触様態とする。その後、図4に示すごとく、側壁パネル12を折り曲げ線22に沿って折り曲げて、端壁14と面接触様態とすると共に、それを固定フラップ20に対して固定する。底面壁は、サポートフラップ72,76を内側に折り曲げ、端壁14,18と面接触関係とすることによって部分的に組み立てる。底面壁パネル58,60は、折り曲げ線62,64に沿って内側に折り曲げ、これによって係合フラップ67,68をサポートフラップ72,76のそれぞれと面接触関係にすると共に互いに固定する。こうしてカートンは、最終組立ておよび装填のためにエンドユーザーに提供する準備ができた、平らに折り畳まれた状態となる。
【0022】
カートンの組立てを成し遂げるためには、カートンの対向側壁パネルおよび対向端壁パネルを、折り曲げ線22,24,26および28に沿って面接触様態から折り曲げて、筒状構造体を形成する。
【0023】
この折り曲げ動作によって底面壁構造体が自動的に形成され、そしてこれによってサポートフラップ72,76および係合パネル67,68は下方に折れ曲がり、これが今度は第1および第2の底面壁パネルを外側に折り曲げる。突出部P1およびP2については隣接させ、続いて重なり合った様態で相互係合させる。
【0024】
横断仕切りパネル90を備えた上記実施形態においては、カートン内への物品の導入に先立って、折り曲げ線92に沿ってパネルを内側に折り曲げる。
【0025】
周知の通り、カートンと物品との間の相対的垂直移動によって物品を装填し、そして上面壁を形成する。内側上面壁パネル54は折り曲げ線56に沿って内側に折り曲げ、切れ目84によって部分的に形成された開口部を露出させる。外側上面壁パネル53は折り曲げ線55に沿って内側に折り曲げ、そしてロックタブ80を、それが開口部に挿入されるよう折り曲げ、それと係合させる。この手法によって、内側上面壁パネル54および外側上面壁パネル53を面接触関係で互いに固定する。
【0026】
タブ80を開口部に挿入するロック動作によって、対向側壁パネル12および16を相手方向に向かって押しやり、これによって離隔体を形成する。本実施形態においては、離隔体を、折り曲げ線34および46に沿って、それぞれ離隔パネル30および32、ならびに離隔パネル42および44を内側に折り曲げることによって形成する。サポートパネルを備えたこの実施形態では、図6に示すように、離隔パネルをさらに折り曲げ線38,40および50,52に沿って折り曲げ、サポートパネル36および48に対して、ある角度をなす様態で折り込まれたようにする。
【0027】
折り曲げ線34および46によって形成される離隔体の縁部は、この離隔体の内側ポイントに位置しており、隣接する物品同士を分離する。これによって安定性が改善されると共に、携行器内での望ましくない移動が抑制される。
【0028】
本発明およびその好ましい実施形態は、全包囲形カートンにおける再密封できるアクセス構造体を提供するための工夫に関するものである。だが、本発明はさまざまな携行器に応用可能であり、これまで説明した全包囲タイプのものには限定されず、しかも数多くの用途たとえば巻き付けカートンに関して利用可能である、ということは明らかである。
【0029】
本明細書で使用しているように、向きに関する言及、たとえば、「上面」、「底面」、「端面」、「側面」、「内部」、「外部」、「上側」および「下側」は、個々のパネルをそうした向きに限定するものではなく、単にこれらのパネルを互いに区別するものに過ぎない、ということを理解されたい。折り曲げ可能な連結部に対する言及を、必ずしも単一の折り曲げ線のみを意味するものとして解釈すべきではない。実際、折り曲げ可能な連結部は、本発明の範囲から逸脱することなく、刻み目、破断可能線あるいは折り曲げ線の一つ以上から形成できることは明らかである。
【0030】
本発明の範囲内で、さまざまな変更をなし得ることを理解されたい。たとえば、パネルおよび開口部のサイズおよび形状は、異なるサイズまたは形状の物品を収容するために調整可能であり、代替的な上面および底面閉塞構造を用いてもよい。カートンは一つ以上の物品を異なる配列で収容してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態によるカートンを形成するためのブランクの平面図である。
【図2】カートン組立ておよび装填処理に係る連続した段階中の図1のブランクの図である。
【図3】カートン組立ておよび装填処理に係る連続した段階中の図1のブランクの図である。
【図4】カートン組立ておよび装填処理に係る連続した段階中の図1のブランクの図である。
【図5】完成したカートンの側面図である。
【図6】図1のブランクから形成されたカートンの斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
10 ブランク
12 第1の側壁パネル
14 第1の端壁パネル
16 第2の側壁パネル
18 第2の端壁パネル
20 固定フラップ
22,24,26,28 折り曲げ線
30 第1の離隔パネル
32 第2の離隔パネル
34 折り曲げ線
36 サポートパネル
38,40 折り曲げ線
42 第1の離隔パネル
44 第2の離隔パネル
46 折り曲げ線
48 サポートパネル
50,52 折り曲げ線
53 第1の上面壁パネル
54 第2の上面壁パネル
55,56 折り曲げ線
58 第1の底面壁パネル
60 第2の底面壁パネル
62,64,66,70 折り曲げ線
67,68 係合フラップ
72 第1のサポートフラップ
74 折り曲げ線
76 第2のサポートフラップ
78 折り曲げ線
80 タブ
82 凹部
84 切れ目
90 横断仕切りパネル
92 折り曲げ線
94 ディスプレイ窓
P1,P2 相互係合部分(突出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を保持するためのカートンであって、上面壁と、底面壁と、対向側壁と、対向端壁と、を具備してなり、
隣接する物品同士を分離するための離隔構造体が前記端壁の少なくとも一つから形成され、
前記離隔構造体は、
互いにおよび前記対向側壁に対してそれぞれ折り曲げ可能に連結された第1および第2の内側に折り曲げられた離隔パネルと、
前記第1および第2の離隔パネルの個々の下部に対して折り曲げ可能に連結されかつ前記第1および第2の離隔パネルの個々の下部同士の間に延在する、内側に折り曲げられたサポートパネルと、を具備してなることを特徴とするカートン。
【請求項2】
前記サポートパネルは前記底面壁に対して折り曲げ可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
前記サポートパネルは形状が三角形であり、頂点および開拡離隔壁を有する離隔体を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートン。
【請求項4】
前記側壁は、その上側縁部に向かって収束していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のカートン。
【請求項5】
前記上面壁は、一対の上面壁パネルと、前記上面壁パネルを互いに固定するためのロック機構と、を具備してなることを特徴とする請求項4に記載のカートン。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の、複数の物品を保持するためのカートンを形成するためのブランク。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のカートンと、内部仕切り構造体内で保持されるのに適した一つ以上の物品と、を具備してなるパッケージ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を保持するためのカートンであって、上面壁と、底面壁と、対向側壁と、対向端壁と、を具備してなり、
隣接する物品同士を分離するための離隔構造体が前記端壁の少なくとも一つから形成され、
前記離隔構造体は、
互いにおよび前記対向側壁に対してそれぞれ折り曲げ可能に連結された第1および第2の内側に折り曲げられた離隔パネルと、
前記第1および第2の離隔パネルの個々の下部に対して折り曲げ可能に連結されかつ前記第1および第2の離隔パネルの個々の下部同士の間に延在する、内側に折り曲げられたサポートパネルと、を具備してなることを特徴とするカートン。
【請求項2】
前記サポートパネルは前記底面壁に対して折り曲げ可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
前記サポートパネルは形状が三角形であり、頂点および開拡離隔壁を有する離隔体を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカートン。
【請求項4】
前記側壁は、その上側縁部に向かって収束していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のカートン。
【請求項5】
前記上面壁は、一対の上面壁パネルと、前記上面壁パネルを互いに固定するためのロック機構と、を具備してなることを特徴とする請求項4に記載のカートン。
【請求項6】
複数の物品を保持するためのカートンを形成するためのブランクであって、
組み立てられたカートンの、上面壁と、底面壁と、対向側壁と、対向端壁と、を形成する複数のパネルを具備してなり、
隣接する物品同士を分離するための、組み立てられたカートンの離隔構造体が、前記端壁の少なくとも一つから形成され、
組み立てられたカートンの前記離隔構造体は、
互いにおよび前記対向側壁に対してそれぞれ折り曲げ可能に連結された第1および第2の内側に折り曲げられた離隔パネルと、
前記第1および第2の離隔パネルの個々の下部に対して折り曲げ可能に連結されかつ前記第1および第2の離隔パネルの個々の下部同士の間に延在する、内側に折り曲げられたサポートパネルと、を具備してなるブランク。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のカートンと、内部仕切り構造体内で保持されるのに適した一つ以上の物品と、を具備してなるパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−515255(P2006−515255A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501288(P2006−501288)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/012327
【国際公開番号】WO2004/094248
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(503056492)ミードウエストヴェイコ・パッケージング・システムズ・エルエルシー (44)
【Fターム(参考)】