説明

公営競技情報表示制御装置、公営競技情報表示方法および公営競技情報表示プログラム

【課題】締切り前の特定の時間帯における売れ筋情報を提供する。
【解決手段】データ取得部21が読み込み周期設定データ保持部22に設定されたデータ読み込み周期に従ってトータリゼータシステム1からオッズ、票数および残時間の情報を取得して最新データ保持部24へ格納する。差分票数算出部25は、前回のデータ読み込み周期で取得して初期データ保持部23へ移動された票数と最新データ保持部24の票数との差分を算出し、差分票数ソート部26が差分票数の多い順に並び替えを実行し、描画処理部28が画面表示のための画像情報を生成して出力する。これにより、データ読み込み周期の期間である特定の時間帯に販売された投票券の投票対象の賭式の、投票対象の番号を人気順に表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は公営競技情報表示制御装置、公営競技情報表示方法および公営競技情報表示プログラムに関し、特に締切りに近い特定時間帯における売れ筋投票券の情報およびその売れ筋の変化情報を表示するようにした公営競技情報表示制御装置、公営競技情報表示方法および公営競技情報表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
競輪、競馬、競艇およびオートレースを含む公営競技の競技場および投票券を発売している投票所には、公営競技情報表示制御装置であるオッズ表示装置が設置されていて、時々刻々変化するオッズ情報を人気順に表示することが行われている。
【0003】
オッズ情報の表示は、投票対象の賭式と投票対象の番号および予想配当率等が表示される。投票対象の賭式とは、たとえば、競輪では単勝式(以下「単勝」と略称)、複勝式(以下「複勝」と略称)、選手番号二連勝単式(以下「2車単」と略称)、普通選手番号二連勝複式(以下「2車複」と略称)、拡大選手番号二連勝複式(以下「ワイド」と略称)、選手番号三連勝単式(以下「3連単」と略称)、選手番号三連勝複式(以下「3連複」と略称)、枠番号二連勝単式(以下「2枠単」と略称)、枠番号二連勝複式(以下「2枠複」と略称)等がある。
【0004】
枠番号とは、競輪や競馬では、1つのレースにおいて、複数の投票対象の番号(選手番号や馬番号)を集めてグループを作り、1つの投票対象とみなし、投票する投票方法である。
【0005】
たとえば、競輪においては、出場選手が9人の場合、枠番号「6」に属する選手は、選手番号「8」と「9」となり、競馬の場合は、出走馬が18頭立だと、枠番号「8」に属する馬は、馬番号「16」と「17」と「18」となる。
【0006】
また、投票対象の番号とは、たとえば、競輪では、単勝や複勝では、選手番号の「1」や「5」で、「2車単」、「2車複」、「ワイド」では、選手番号「5−8」や「6−9」で、「3連単」や「3連複」では、選手番号「4−1−8」や「6−2−9」で、2枠単や2枠複では、枠番号「1−4」や「2−4」で等である。
【0007】
このオッズ情報は、トータリゼータシステムが複数の投票券発売機からそれぞれ送出された発券データを集計し、その集計データを基にして算出される。集計は、発売開始時から発売票数を積み上げた累積値であり、その値を基にオッズが算出される(たとえば、特許文献1参照)。したがって、オッズは、投票された金額によって時間ごとに刻々と変化する。オッズ表示装置は、トータリゼータシステムによって算出されたオッズ情報を取得して表示する。次に、このオッズ表示装置がオッズ情報を表示するまでの処理の例について説明する。
【0008】
図7は従来のオッズ表示装置の処理の流れを示すフローチャート、図8は従来のオッズ表示装置の表示例を示す図である。
オッズ表示装置は、まず、トータリゼータシステムからのデータ読み込み周期を読出して設定する(ステップS21)。このデータ読み込み周期は、あらかじめ設定されたもので、たとえば1分間に設定されており、オッズ表示装置の起動時に読み込まれて初期設定される。
【0009】
次に、オッズ表示装置は、トータリゼータシステムから運用状態を取得し(ステップS22)、投票券が発売中かどうかを判断する(ステップS23)。投票券が発売されていなければ、ステップS22に戻り、投票券が発売中であることを示す運用情報が取得されるまで待つ。
【0010】
投票券が発売中であれば、次に、データ読み込み周期であるかどうかが判断され(ステップS24)、データ読み込み周期でなければ、ステップS22に戻り、次のデータ読み込み周期になるまで待つ。
【0011】
次のデータ読み込み周期になると、オッズ表示装置は、トータリゼータシステムからオッズ、票数および残時間の情報を取得する(ステップS25)。このようにして、オッズ表示装置は、所定のデータ読み込み周期ごとに、たとえば1分周期で、オッズ、票数および残時間の情報を取得することになる。
【0012】
次に、オッズ表示装置は、取得したオッズ情報を人気順にソートする(ステップS26)。オッズは、人気が高くなるほど投票券が的中したときの払戻率が低くなるので、オッズ情報は、昇順にソートされることになる。
【0013】
次に、画面表示のための画像情報を生成する描画処理が行われ(ステップS27)、生成された画像情報は、画面に出力される(ステップS28)。これにより、オッズ表示装置のモニタには、たとえば図8に示したように、「3連単」の投票対象の番号(たとえば、図中の「1−2−3」や「1−2−4」等)が人気の高いオッズの順に表示される。図8の例では、票数の多い上位20位までの人気の高い投票対象の番号がオッズ情報とともに表示され、どの投票対象の番号に人気があってそのオッズが幾つであるかが分るように表示されている。
【0014】
最後に、オッズ表示装置は、先に取得した残時間情報から投票券の発売締切りの時刻に達したかどうかを判断する(ステップS29)。締切りの時刻に達していなければ、ステップS22に戻り、既に、締切りの時刻を過ぎていれば、この処理は終了する。なお、この処理は、1レース分に関する処理であり、複数レースがあれば、ステップS22〜S29の処理が、レース分繰り返し実行されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003−233691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来のオッズ表示装置は、発売開始から現在までに発売された投票券票数の累積値に基づいて算出された人気順オッズ表示であるため、人気順は発売開始からの発売票数の積み上げでしかない。そのため、人気順オッズだけでは、締切り直前の真の売れ筋の投票対象の番号がわからず、特に、大きなレースだと購入票数が分散されることで、今、どの投票対象の番号が売れているかがわからないという問題点があった。
【0017】
また、予想は情報誌によるところが多いが、実際の馬、選手等の状態を見てから(競輪の場合は脚見せ後、競馬の場合はパドック周回後、競艇の場合は展示後、オートレースの場合は試走後)投票券を購入する場合も多い。そのため、締切り10分〜5分前に売れ筋が急激に変化することがあるので、発売開始からのトータルの人気ではなく、締切り直前に人気のある投票対象の番号を購入したいファンにとっては、締切り近くの時間帯にて急激に変化した売れ筋の情報を知るすべがないという問題点があった。
【0018】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、締切り前の特定の時間帯における売れ筋情報を提供できる公営競技情報表示制御装置、公営競技情報表示方法および公営競技情報表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明では上記の課題を解決するために、公営競技における売れ筋の情報を表示する公営競技情報表示制御装置において、トータリゼータシステムから少なくとも票数および残時間のデータを取得するデータ取得部と、前記データ取得部が前記トータリゼータシステムからデータを取得する周期に関する設定データを保持しておく読み込み周期設定データ保持部と、前記データ取得部が前回の読み取り周期に取得したデータを保持する初期データ保持部と、前記データ取得部が最新の読み取り周期に取得したデータを保持する最新データ保持部と、前記初期データ保持部に保持されたデータの中の票数と前記最新データ保持部に保持されたデータの中の票数との差分を算出する差分票数算出部と、前記差分票数算出部によって算出された前記差分票数を人気順に並び替える差分票数ソート部と、前記差分票数ソート部によって人気順に並び替えられた前記差分票数を表示するための画面を生成する描画処理部と、を備え、データ読み込み周期の期間である特定の時間帯に販売された投票券の投票対象の番号を人気順に表示することを特徴とする公営競技情報表示制御装置が提供される。
【0020】
また、本発明では、公営競技における売れ筋の情報を表示する公営競技情報表示方法において、トータリゼータシステムから所定の読み取り周期のタイミングで少なくとも票数および残時間のデータを取得して保持し、前記読み取り周期のタイミングで取得した票数から前回の前記読み取り周期のタイミングで取得した票数を差し引いた差分票数を算出し、前記差分票数を多い順に並び替えし、並び替えた前記差分票数を描画処理して画面出力する、ことによりデータ読み込み周期の期間である特定の時間帯に販売された投票券の投票対象の番号を人気順に表示することを特徴とする公営競技情報表示方法が提供される。
【0021】
さらに、本発明では、公営競技における売れ筋の情報を表示する公営競技情報表示プログラムにおいて、コンピュータに、トータリゼータシステムから読み取り周期のタイミングで投票券が発売中かどうかを示す運用状態、オッズ、票数および残時間のデータを取得し、前記読み取り周期を固定または前記残時間が少なくなるに従って段階的に短くなるよう可変に設定し、前記読み取り周期のタイミングで取得したデータが投票券の発売開始直後のものである場合に当該データを初期データ保持部へ格納し、2回目以降のタイミングで取得したデータである場合に当該データを最新データ保持部へ格納し、かつ、差分票数の算出後には、前記最新データ保持部のデータを前記初期データ保持部へ移動し、前記最新データ保持部のデータの票数と前記初期データ保持部のデータの票数との差分票数を算出し、前記差分票数を多い順に並び替えし、並び替えた前記差分票数を描画処理して画面出力する、処理を実行させることを特徴とする公営競技情報表示プログラムが提供される。
【0022】
このような公営競技情報表示制御装置、公営競技情報表示方法および公営競技情報表示プログラムによれば、あらかじめ設定された読み込み周期ごとにその周期の時間帯に購入された投票券の差分票数を表示できるようにしている。これにより、締切り直前の時間帯における売れ筋の投票対象の番号の情報を提供できるので、どの投票券を購入するのか迷っているファンに対して有用な参考情報になり得る。
【発明の効果】
【0023】
上記構成の公営競技情報表示制御装置、公営競技情報表示方法および公営競技情報表示プログラムは、情報誌等の過去の情報や発売当初からの発売票数積み上げによる人気オッズやそのオッズによる情報を基に予想して投票券を購入する場合と異なり、締切り直前の時間帯の売れ筋の投票対象の番号の情報を提供するので、予想に長けていないファンにでも容易に現在の売れ筋の投票対象の番号が分かり、購入し易くなることから、更なる売上げ増加を期待できるという利点がある。
【0024】
また、レース直前の馬、選手等の状態が提供された後、売れ筋の投票対象の番号が大きく変化して予想が困難な状況になっても、売れ筋の投票対象の番号を購入したいファンにとっては、売れ筋の変化を見極めることができるので、好機を逃すことなく売れ筋の投票対象の番号の購入が容易になるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の公営競技情報表示制御装置を有する情報処理システムの全体構成を示す図である。
【図2】公営競技情報表示制御装置の機能構成図である。
【図3】公営競技情報表示制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】公営競技情報表示制御装置の人気順差分票数に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】人気順差分票数の表示画面の例を示す図である。
【図6】人気順差分票数の遷移をグラフ表示で示した画面の例を示す図である。
【図7】従来のオッズ表示装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】従来のオッズ表示装置の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、競輪、競馬、競艇およびオートレースの公営競技場および投票券の購入が可能な投票所に設置されて、オッズ情報を含む各種公営競技情報を表示する公営競技情報表示制御装置に適用した場合を例に図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の公営競技情報表示制御装置を有する情報処理システムの全体構成を示す図である。
公営競技情報を処理する情報処理システムは、センタシステムとして機能するトータリゼータシステム1を備えている。トータリゼータシステム1の配下には、公営競技場2に設置される投票券発売機2aおよび公営競技情報表示制御装置2bと、複数の投票所31〜3nに設置される投票券発売機31a〜3naおよび公営競技情報表示制御装置31b〜3nbとがあり、それぞれネットワーク4によって接続されている。
【0028】
トータリゼータシステム1は、ネットワーク4に接続される入出力制御部1aと、票数の集計およびオッズの算出を行うオッズ・票数算出部1bと、投票券の発売開始・締切り時刻および競技の開催日、開催時刻等を管理するタイマ1cとを備えている。
【0029】
トータリゼータシステム1では、複数の投票券発売機2a,31a〜3naから上がってきた発券データをオッズ・票数算出部1bが受けて、投票券の票数の集計およびオッズ情報の算出がレースごとおよび投票対象の賭式ごとに行われる。オッズ・票数算出部1bが算出した投票券の票数およびオッズ情報およびタイマ1cから出力された現時点から投票締切り時刻までの残時間は、ネットワーク4を介して公営競技情報表示制御装置2b,31b〜3nbに提供される。公営競技情報表示制御装置2b,31b〜3nbは、提供されたオッズ・票数・残時間を基に、オッズを人気順にソートして残時間とともに表示したり、所定の読み込み周期ごとに増加する差分票数を人気順にソートして残時間およびオッズ情報とともに表示したりする。次に、この公営競技情報表示制御装置2b,31b〜3nbの機能について説明するが、これらは、同じ機能を有するので、以下では、公営競技情報表示制御装置2bが代表してその機能を説明する。
【0030】
図2は公営競技情報表示制御装置の機能構成図である。
公営競技情報表示制御装置2bは、トータリゼータシステム1からオッズ、票数および残時間の情報を取得するデータ取得部21と、このデータ取得部21がトータリゼータシステム1からの情報を取得する周期の設定データを保持する読み込み周期設定データ保持部22とを有している。データ取得部21は、これが取得したデータを保持する初期データ保持部23および最新データ保持部24に接続される。これら初期データ保持部23および最新データ保持部24の出力は、それぞれに保持されている票数のデータを受けてそれらの差分を算出する差分票数算出部25に接続される。差分票数算出部25の出力は、差分票数を人気順に並び替える差分票数ソート部26に接続され、最新データ保持部24の出力は、オッズを人気順に並び替えるオッズソート部27に接続される。そして、差分票数ソート部26およびオッズソート部27の出力は、画面に表示する情報を生成する描画処理部28に接続され、この描画処理部28の出力は、場内に設置されたモニタ、電光掲示板等の映像設備に接続される。
【0031】
この公営競技情報表示制御装置2bによれば、データ取得部21は、読み込み周期設定データ保持部22に保持されたデータ読み込み周期ごとにトータリゼータシステム1からオッズ、票数および残時間の情報を取得する。データ読み込み周期は、表示画面上におけるオッズ情報の更新周期であり、特定の時間帯に販売された投票券の票数を算出するための周期である。このデータ読み込み周期は、固定または可変とすることができ、可変周期の場合は、たとえば、締切り時刻に近づくに従って、段階的に短くなるように設定される。
【0032】
データ取得部21によって取得されたオッズ、票数および残時間の情報は、初期データ保持部23および最新データ保持部24に保持される。初期データ保持部23は、基本的には、1周期前のデータが保持され、最新データ保持部24は、直近のデータが保持され、差分票数算出部25が初期データ保持部23および最新データ保持部24に保持されている票数のデータを基にそれらの差分を算出する。すなわち、差分票数算出部25は、最新データ保持部24に保持されている票数から初期データ保持部23に保持されている票数を差し引くことによって差分票数を算出する。この差分票数は、特定の時間帯、すなわち1データ読み込み周期の間に販売された投票券の票数であって、その時間帯における人気の投票対象の番号を表している。なお、最新データ保持部24に保持されたデータは、差分票数算出部25および差分票数ソート部26での処理が終了した時点で、初期データ保持部23に移される。
【0033】
差分票数ソート部26は、差分票数算出部25によって算出された差分票数を人気順に並び替え、すなわち差分票数を降順でソートし、そのソート結果を描画処理部28へ渡す。
【0034】
オッズソート部27は、最新データ保持部24に保持されたデータを基にオッズを人気順に並び替え、その結果を描画処理部28へ渡す。このオッズソート部27の機能は、通常行われているオッズ表示のためのものと同じである。なお、トータリゼータシステム1での処理負荷を軽減するために、最新データ保持部24に保持された票数のデータを基にこの公営競技情報表示制御装置2bがオッズを算出し、そのオッズをオッズソート部27へ渡すようにしてもよい。また、最新データ保持部24に保持された票数のデータ、すなわち発売開始から積み上げられた票数を、中間データとして描画処理部28へ渡すようにしてもよい。
【0035】
描画処理部28は、差分票数ソート部26から渡された人気順差分票数およびオッズソート部27から渡された人気順オッズを基に、画面に表示する情報を生成し、好ましくは、所定時間ごとに交互に切り替え表示する。描画処理部28は、また、必要に応じて、人気順差分票数の推移をグラフ化し、それを、人気順差分票数および人気順オッズの画面と切り替えて表示することもできる。
【0036】
図3は公営競技情報表示制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
公営競技情報表示制御装置2bは、CPU(Central Processing Unit)29aによって装置全体が制御されている。CPU29aには、バス29gを介してRAM(Random Access Memory)29b、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)29c、グラフィック処理装置29d、入力インタフェース29e、および通信インタフェース29fが接続されている。
【0037】
RAM29bには、CPU29aに実行させるOS(Operating System)のプログラムや公営競技情報表示処理に必要なアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM29bには、CPU29aによる処理に必要な各種データが格納される。ハードディスクドライブ29cには、OS、関連業務や公営競技情報表示のためのアプリケーションプログラム、および、読み込み周期設定データ保持部22、初期データ保持部23および最新データ保持部24のファイル等が格納されている。
【0038】
グラフィック処理装置29dには、モニタ41が接続されている。グラフィック処理装置29dは、CPU29aからの命令に従って、人気順オッズ、人気順差分票数等の画像をモニタ41および場内映像設備の画面に表示させる。入力インタフェース29eには、キーボード42およびマウス43が接続されている。入力インタフェース29eは、キーボード42およびマウス43から送られてくる信号を、バス29gを介してCPU29aに送信する。
【0039】
通信インタフェース29fは、ネットワーク4を介して、上位のトータリゼータシステム1に接続され、トータリゼータシステム1によって配信されたデータを受信することができる。
【0040】
図4は公営競技情報表示制御装置の人気順差分票数に関する処理の流れを示すフローチャート、図5は人気順差分票数の表示画面の例を示す図、図6は人気順差分票数の遷移をグラフ表示で示した画面の例を示す図である。
【0041】
公営競技情報表示制御装置2bでは、まず、データ取得部21がトータリゼータシステム1から取得するデータ読み込み周期を読み込み周期設定データ保持部22から読出して設定する(ステップS1)。このデータ読み込み周期は、締切りまでの残時間に応じて可変するように設定されており、たとえば発売開始から締切り10分前までは2分周期に設定され、締切り10分前から締切り5分前までは1分周期に設定され、締切り5分前から締切りまでは30秒周期に設定されている。
【0042】
次に、データ取得部21は、トータリゼータシステム1から運用状態を取得し(ステップS2)、投票券が発売中かどうかを判断する(ステップS3)。投票券がまだ発売されていなければ、ステップS2に戻り、投票券が発売中であることを示す運用情報が取得されるまで待つ。
【0043】
投票券が発売中であれば、次に、データ読み込み周期であるかどうかが判断され(ステップS4)、データ読み込み周期のタイミングに達していなければ、ステップS2に戻り、次のデータ読み込み周期のタイミングになるまで待つ。
【0044】
次のデータ読み込み周期のタイミングになると、データ取得部21は、トータリゼータシステム1からオッズ、票数および残時間の情報を取得する(ステップS5)。次に、その取得した情報が発売開始直後の情報であるかどうかが判断され(ステップS6)、発売開始直後の情報であれば、その情報は、初期データ保持部23へ格納され(ステップS7)、ステップS2に戻る。
【0045】
ステップS6において、発売開始から2番目以降に取得した情報と判断された場合、その情報は、最新データ保持部24へ格納される(ステップS8)。次に、最新データ保持部24から最新データが読出され(ステップS9)、初期データ保持部23から前回取得したデータが読出される(ステップS10)。そして、差分票数算出部25にて最新データの票数と前回データの票数との差分が計算され(ステップS11)、差分票数ソート部26にて差分票数の多い順に並び替えが実行される(ステップS12)。ここで、その特定の時間帯では、差分票数が多いほど人気が高いことになるので、投票対象の番号は、人気順に並び替えられることになる。
【0046】
次に、差分票数以外に表示される情報として、並び替えられたそれぞれの差分票数に関連付けされた投票対象の番号に対応する最新データのオッズ情報と、最新データおよび前回データの残時間情報とが設定される(ステップS13)。
【0047】
次に、最新データ保持部24の最新データを初期データ保持部23へ移動し、次の差分票数の計算に備える(ステップS14)。次に、描画処理部28は、人気順の投票対象の番号の情報と、最新のオッズ情報と、今回取得した残時間情報と、前回取得した残時間情報とから、画面表示のための画像情報を生成する描画処理が行われ(ステップS15)、生成された画像情報は、画面に出力される(ステップS16)。
【0048】
これにより、公営競技情報表示制御装置2bに接続されたモニタ41には、たとえば図5に示したような画面構成で表示される。図5の例では、投票対象の賭式が「3連単」、今回取得した残時間情報が「締切り5分前」、前回取得した残時間情報が「締切り6分前」としたときの、締切り6分前から5分前までの時間帯に購入された投票券の票数の順に上位20位までの人気の投票対象の番号が差分票数およびオッズ情報とともに表示されている。この画面表示から、締切り6分前から5分前までの特定の時間帯における投票対象の賭式が「3連単」の投票対象の番号の売れ筋情報を知ることができ、購入を決めかねているファンに対して有用な参考情報を提供することができることになる。
【0049】
最後に、公営競技情報表示制御装置2bは、最新データの残時間情報から当回レースの投票券の発売が締切られたかどうかを判断し(ステップS17)、まだ締切られていなければ、ステップS2に戻り、締切られていれば、この処理は終了する。なお、以上の処理は、特定時間帯における売れ筋の投票対象の番号を表示するものであるが、実際には、ステップS15の描画処理部28による描画処理において、最新データを基にして図8に示した従来の人気順オッズ情報の画像も生成している。これにより、本発明による特定時間帯における売れ筋の投票対象の番号の情報と、従来からある人気順オッズ情報とを所定の周期で交互に、または、スクロールにより切り替えて表示したり、2つのモニタを使用してこれらに同時に表示させたりすることができる。
【0050】
なお、以上の処理は、1レース分に関する処理であり、複数レースがあれば、ステップS2〜S17の処理が、レース分繰り返し実行されることになる。また、最新データ保持部24の最新データを初期データ保持部23へ移動するステップS14は、差分票数算出部25が最新データの票数と前回データの票数との差分を計算するステップS11の後から次に最新データ保持部24が更新されるまでの間なら何時でもよい。
【0051】
描画処理部28は、さらに、データ読み込み周期ごとに算出された過去の差分票数を保持しておき、保持された差分票数および最新の差分票数の情報を基に差分票数が特定時間帯ごとにどのように変化してきたかをグラフ化する処理を追加することができる。たとえば図6に示す画面表示例では、最新の特定時間帯における売れ筋の投票対象の番号の情報の人気の高い上位5位の売れ筋の投票対象の番号に関し、締切り20分前からの人気順差分票数の遷移をグラフ表示している。これにより、締切り直前における売れ筋の投票対象の番号の人気順位がどのように変化してきたかを、直感的に知ることが可能になる。
【符号の説明】
【0052】
1 トータリゼータシステム
1a 入出力制御部
1b オッズ・票数算出部
1c タイマ
2 公営競技場
31〜3n 投票所
2a,31a〜3na 投票券発売機
2b,31b〜3nb 公営競技情報表示制御装置
4 ネットワーク
21 データ取得部
22 読み込み周期設定データ保持部
23 初期データ保持部
24 最新データ保持部
25 差分票数算出部
26 差分票数ソート部
27 オッズソート部
28 描画処理部
29a CPU
29b RAM
29c ハードディスクドライブ
29d グラフィック処理装置
29e 入力インタフェース
29f 通信インタフェース
29g バス
41 モニタ
42 キーボード
43 マウス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公営競技における売れ筋の情報を表示する公営競技情報表示制御装置において、
トータリゼータシステムから少なくとも票数および残時間のデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が前記トータリゼータシステムからデータを取得する周期に関する設定データを保持しておく読み込み周期設定データ保持部と、
前記データ取得部が前回の読み取り周期に取得したデータを保持する初期データ保持部と、
前記データ取得部が最新の読み取り周期に取得したデータを保持する最新データ保持部と、
前記初期データ保持部に保持されたデータの中の票数と前記最新データ保持部に保持されたデータの中の票数との差分を算出する差分票数算出部と、
前記差分票数算出部によって算出された前記差分票数を人気順に並び替える差分票数ソート部と、
前記差分票数ソート部によって人気順に並び替えられた前記差分票数を表示するための画面を生成する描画処理部と、
を備え、データ読み込み周期の期間である特定の時間帯に販売された投票券の投票対象の番号を人気順に表示することを特徴とする公営競技情報表示制御装置。
【請求項2】
前記データ取得部は、前記トータリゼータシステムから投票券が発売中かどうかを表す運用状態を前記データ読み込み周期で取得し、投票券が発売中の場合のみ前記トータリゼータシステムからデータを取得することを特徴とする請求項1記載の公営競技情報表示制御装置。
【請求項3】
前記データ取得部は、前記トータリゼータシステムからオッズ情報を取得し、前記描画処理部は、前記差分票数とともに前記オッズ情報を表示するよう処理することを特徴とする請求項1記載の公営競技情報表示制御装置。
【請求項4】
前記オッズ情報を人気順に並び替えるオッズソート部を備えていることを特徴とする請求項3記載の公営競技情報表示制御装置。
【請求項5】
前記描画処理部は、特定の時間帯に販売された投票券の投票対象の番号を票数の順に表示する画面と前記オッズ情報を人気順に並び替えた画面とを生成し、これら2つの画面を、同時に出力、または所定の周期で交互に若しくはスクロールにより切り替えて出力することを特徴とする請求項4記載の公営競技情報表示制御装置。
【請求項6】
前記読み込み周期設定データ保持部は、前記残時間が少なくなるに従って、前記データ読み込み周期を段階的に短くなるように設定していることを特徴とする請求項1記載の公営競技情報表示制御装置。
【請求項7】
前記初期データ保持部は、前記データ取得部が取得した発売直後のデータについてはこれを直接格納し、前記データ取得部が2回目以降に取得して前記最新データ保持部に保持されたデータについてはこれを前記差分票数算出部が前記差分票数を算出した以降に保持することを特徴とする請求項1記載の公営競技情報表示制御装置。
【請求項8】
前記描画処理部は、それぞれの特定の時間帯における人気順差分票数の推移をグラフ化した画面を生成し、そのグラフ化した画面を、人気順に前記差分票数を表示した画面と切り替えて出力することを特徴とする請求項1記載の公営競技情報表示制御装置。
【請求項9】
公営競技における売れ筋の情報を表示する公営競技情報表示方法において、
トータリゼータシステムから所定の読み取り周期のタイミングで少なくとも票数および残時間のデータを取得して保持し、
前記読み取り周期のタイミングで取得した票数から前回の前記読み取り周期のタイミングで取得した票数を差し引いた差分票数を算出し、
前記差分票数を多い順に並び替えし、
並び替えた前記差分票数を描画処理して画面出力する、
ことによりデータ読み込み周期の期間である特定の時間帯に販売された投票券の投票対象の番号を人気順に表示することを特徴とする公営競技情報表示方法。
【請求項10】
前記データ読み込み周期は、前記残時間が少なくなるに従って、段階的に短くなるように設定されていることを特徴とする請求項9記載の公営競技情報表示制御装置。
【請求項11】
公営競技における売れ筋の情報を表示する公営競技情報表示プログラムにおいて、
コンピュータに、
トータリゼータシステムから読み取り周期のタイミングで投票券が発売中かどうかを示す運用状態、オッズ、票数および残時間のデータを取得し、
前記読み取り周期を固定または前記残時間が少なくなるに従って段階的に短くなるよう可変に設定し、
前記読み取り周期のタイミングで取得したデータが投票券の発売開始直後のものである場合に当該データを初期データ保持部へ格納し、2回目以降のタイミングで取得したデータである場合に当該データを最新データ保持部へ格納し、かつ、差分票数の算出後には、前記最新データ保持部のデータを前記初期データ保持部へ移動し、
前記最新データ保持部のデータの票数と前記初期データ保持部のデータの票数との差分票数を算出し、
前記差分票数を多い順に並び替えし、
並び替えた前記差分票数を描画処理して画面出力する、
処理を実行させることを特徴とする公営競技情報表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−158933(P2011−158933A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17661(P2010−17661)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】