説明

六角形パネル及びパネルユニット

【課題】多数の六角形パネルが目地溝を設けて配列されたときに、各目地溝の幅が全て同一になるようにした六角形パネル及びこの六角形パネルを多数配列したパネルユニットを提供する。
【解決手段】六角形パネルPは、中心線Cに平行な一対の対辺11,11と、該対辺11の各先端から中心線Cまで120°の角度αをもって画定された二対の斜辺12,12;12,12とによって周囲が六角形に形成されている。そして、対辺11の一方の先端と中心Oとを結んだ仮想線13と対辺11の他方の先端と中心Oとを結んだ仮想線14とのなす角度γが56.95°となるように各対辺11,11の長さL1が設定されている。パネルユニットUは、前記六角形パネルPを多数配列したもので、隣り合っている六角形パネルPの対辺11と対辺11との間隔と隣り合っている六角形パネルPの斜辺12と斜辺12との間隔が同一とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、床、壁あるいは天井などに敷き詰められる六角形状の六角形パネル及びこの六角形パネルを多数配列したパネルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
公園などの路面や壁面においては、種々の形状のタイルが敷設されているが、特許文献1には、連続模様を現出させることのできるモザイクタイル形成用小板が開示されている。このモザイクタイル形成用小板は、小板本体が平面視正六角形その他の正多角形の薄肉板に形成され、この小板本体の表面において、一つおきの角部に連続模様の一部を施し、モザイクタイル形成時に、モザイクタイルに連続模様が形成されるようにしたことを特徴としている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−306808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3に示すように、正六角形のタイルTは、中心線Cに平行な一対の平行な対辺101,101と、二対の斜辺102,102;102,102によって周囲が六角形に形成され、対辺101と斜辺102とのなす角度α及び斜辺102と斜辺102とのなす角度βがともに120°とされている。また、対辺101と斜辺102の長さも同一とされている。
【0005】
このような正六角形のタイルTは、周囲を密着した状態に多数配列してパネルユニットUに仕上げることができる。このパネルユニットUは、図4に示すように、各タイルT,Tの周囲と周囲との間に間隔、すなわち目地溝111,112を設ける場合において、この目地溝111,112の幅を等間隔にすると、正方形のパネルユニットUを形成することができない。換言すると、正方形のパネルユニットU内に目地溝111,112を設けて多数のタイルT,T,…が配置されると、隣り合っているタイルT,Tの対辺101と対辺101の目地溝111の幅が斜辺102と斜辺102の目地溝112の幅よりも広くなる。
【0006】
これは、対辺101,101同士及び斜辺102,102同士が接しているタイルTとタイルTとを横方向と縦方向とに同一の間隔x(図示せず)で離間させたときに、斜辺102と斜辺102との間隔、すなわち目地溝112の幅は、x・cos30°となり、対辺111と対辺111との間隔、すなわち目地溝111の幅xよりも短くなるからである。このように広い幅の目地溝111と狭い幅の目地溝112とが形成されると、多数のタイルT,T,…を配置した床、壁あるいは天井は、外観を損ねたものとなる。
【0007】
そこで、本発明は、多数の六角形タイルのような六角形パネルが間隔を設けて配列されたときに、各間隔の幅が全て同一になるようにした六角形パネル及びこの六角形パネルを多数配列したパネルユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る六角形パネルは、中心線に平行な一対の対辺と、該対辺の各先端から中心線まで120°の角度をもって画定された二対の斜辺とによって周囲が六角形に形成された六角形パネルであって、対辺の一方の先端と中心とを結んだ仮想線と対辺の他方の先端と中心とを結んだ仮想線とのなす角度が56.95°となるように各対辺の長さが設定されていることを特徴としている。
【0009】
この六角形パネルによれば、対辺の一方の先端と中心とを結んだ仮想線と対辺の他方の先端と中心とを結んだ仮想線とのなす角度が56.95°となるように各対辺の長さが設定されていることにより、対辺の長さが斜辺の長さよりも僅かに短く形成され、一対の対辺の間隔が斜辺の間隔よりも僅かに長く形成される。したがって、多数の六角形パネルを正方形又は長方形の外縁内に間隔を空けて配列したときに、隣り合っている六角形パネルの対辺と対辺との間隔と隣り合っている六角形パネルの斜辺と斜辺との間隔とが同一になるように、かつ、外縁の角に六角形パネルの中心を位置させることができる。
【0010】
また、前記本発明に係る六角形パネルは、精製塩及び/又は天然塩を主成分とする塩が加熱溶融され、前記本発明に係る六角形パネルの形状に冷却固化することによって成形されていることが好ましい。この六角形パネルは、精製塩及び/又は天然塩を主成分とする塩から成形されるため、塩に備えられた遠赤外線効果や殺菌効果、光透過性などを有するものとなり、そして、概して乳白半透明の硬い板状のものとすることができる。
【0011】
また、本発明に係るパネルユニットは、正方形又は長方形の一方の平行な外縁と他方の平行な外縁によって画定された周縁の内側に前記本発明に係る六角形パネルが多数配列されたパネルユニットであって、六角形パネルの対辺が前記一方の外縁と平行に、かつ、隣り合っている六角形パネルの対辺と対辺との間隔と隣り合っている六角形パネルの斜辺と斜辺との間隔とが同一となるように多数の六角形パネルが配列されたことを特徴としている。
【0012】
このパネルユニットによれば、正方形又は長方形の周縁の内側に本願発明に係る多数の六角形パネルが配列されることにより、隣り合っている六角形パネルの対辺と対辺との間隔と隣り合っている六角形パネルの斜辺と斜辺との間隔とを同一にすることができる。なお、このパネルユニットによって床、壁及び天井を構成した室を構築することができ、さらに、精製塩及び/又は天然塩を主成分とする微粉末の塩から形成された六角形パネルが使用されることにより、この室を遠赤外線効果や殺菌効果、光透過性などを備えたリラクゼーションルームとすることができる。
【0013】
また、前記本発明に係るパネルユニットにおいて、前記各六角形パネルの間に、目地材が充填されていることが好ましい。このパネルユニットによれば、各六角形パネルの間に、目地材が充填されていることにより、各六角形パネルが位置ずれしないようにすることができる。なお、六角形パネルが精製塩及び/又は天然塩を主成分とする微粉末の塩から形成されたものであると、目地材も精製塩及び/又は天然塩の微粉末に水を加えて混和した塩ペースト又は精製塩及び/又は天然塩を溶融した塩ペーストを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、六角形の対辺の一方の先端と中心とを結んだ仮想線と対辺の他方の先端と中心とを結んだ仮想線とのなす角度が56.95°となるように各対辺の長さが設定された六角形パネルが提供されることにより、多数の六角形パネルを、間隔を設けて配列したときに、隣り合っている六角形パネルの対辺と対辺との間隔と斜辺と斜辺との間隔とを同一にすることができるため、多数の六角形パネルを配列したパネルユニットの外観を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る六角形パネル及びこの六角形パネルを多数配列したパネルユニットの一実施形態について図1及び図2を参照しながら説明する。
【0016】
この六角形パネルPは、図1に示すように、中心線Cに平行な一対の対辺11,11と、この対辺11,11の各先端から中心線Cまで方へ120°の角度αをもって画定された二対の斜辺12,12;12,12とによって周囲が六角形に形成され、そして、対辺11の一方の先端と中心Oとを結んだ仮想線13と対辺11の他方の先端と中心Oとを結んだ仮想線14とのなす角度γが56.95°となるように各対辺11,11の長さL1,L1が設定されていることを特徴としている。
【0017】
この六角形パネルPは、対辺11の長さL1(例えば44.7mm)が斜辺12の長さL2(例えば47.6mm)よりも僅かに短く形成され、一対の対辺11,11の間隔D1(例えば82.5mm)が一対の斜辺12,12の間隔D2(例えば80.0mm)よりも僅かに長く形成される。また、この六角形パネルPは、中心線Cの長さ、すなわち一方の一対の斜辺12,12の交点と他方の一対の斜辺12,12の交点の間隔D3(例えば92.4mm)が一方の対辺11と斜辺12の交点と他方の対辺11と斜辺12の交点との間隔D4(例えば93.8mm)よりも短く形成される。
【0018】
そして、この六角形パネルPは、精製塩及び/又は天然塩からなる塩を主成分とし、この塩に高融点の無機物粉末を含有させた微粉末を、塩の融点以上沸点以下の温度で加熱溶融し、この加熱溶融物を成形型内に流し込んで冷却固化することによって成形される。六角形パネルPは、塩の微粉末又は塊状物から成形されるが、塩が備えている遠赤外線効果や殺菌効果、光透過性などの効果を奏するものとなり、無機物微粉末を含有することにより、耐圧強度などの機械的強度を優れたものとすることができる。
【0019】
そして、この塩から成形された六角形パネルPは、概して乳白半透明で、岩塩のように硬い板体になっている。また、加熱溶融物が成形型内に流し込まれ、冷却固化するときに収縮することにより、六角形パネルPは、成形型の開放面側に形成される裏面が僅かに凹曲面状に窪む形状とされる。
【0020】
なお、無機物粉末は、塩の融点が800.4℃であることから、1000℃以上の融点を有するもので、さらに、毒性や刺激性、着色性のないもの、例えば、コロイダルシリカのような珪酸粉末、珪酸ナトリウムのような珪酸アルカリ金属塩粉末、アルミナ粉末、珪酸アルミニウム粉末、ジルコニアなどを使用することが好ましい。
【0021】
また、無機物粉末の配合量は、塩の遠赤外線効果や殺菌効果、光透過性などを損ねず、かつ、機械的強度の向上を図ることができるように、0.001〜0.1重量%の範囲とすることが好ましい。
【0022】
この六角形パネルPを多数配列することにより、パネルユニットUを形成することができる。このパネルユニットUは、図2に示すように正方形(図示しないが、長方形であってもよい。)の基盤30の周縁内に多数の前記六角形パネルPを配列したもので、隣り合っている六角形パネルP,Pの対辺11と対辺11との間、及び斜辺12と斜辺12との間にそれぞれ間隔、すなわち第1の目地溝21と第2の目地溝22が設けられ、この第1の目地溝21の幅と第2の目地溝22の幅とが同一とされている。
【0023】
そして、図示したパネルユニットUは、六角形パネルPの対辺11,11が前記基盤30の一方(図面において横方向)の外縁31と平行に配列されている。したがって、各六角形パネルPは、中心線Cを結んだ仮想線(図示せず)が他方(図面において縦方向)の外縁32と平行になるように配列されている。
【0024】
そして、パネルユニットUの一方の平行な2本の外縁31,31に沿って、六角形パネルPの中心線Cで二分割に割られた横ハーフ体Rと六角形パネルPとが交互に配列される。横ハーフ体Rは、六角形パネルPにおける中心線C(図1参照)が一方の外縁31と一致するように配列され、六角形パネルPは、対辺11が外縁31よりも第1の目地溝21の半分の幅だけ内側に配列される。
【0025】
また、他方の平行な2本の外縁32,32上には、六角形パネルPの対辺11,11の中点を結ぶラインで二分割された縦ハーフ体Sが隣り合わせに配列される。そして、パネルユニットUの四隅には、六角形パネルPを四分割した一つであるクオーター体Qが配置される。クオーター体Qは、直角角部がパネルユニットUの角と一致するように配置される。
【0026】
なお、一辺が440mmの正方形のパネルユニットUにおいて、前記のサイズの六角形パネルP、この六角形パネルPを二分割及び四分割した横ハーフ体R、縦ハーフ体S及びクオーター体Qを配列する場合にあっては、一方の外縁31上に、2枚の横ハーフ体R及び2枚のクオーター体Qが配列され、一方の2本の外縁31,31の間に、多数の六角形パネルPが千鳥状に配列され、他方の外縁32上に、4枚の縦ハーフ体S及び2枚のクオーター体Qが配列され、この他方の2本の外縁32,32の間に多数の六角形パネルP,P,…が千鳥状に配列される。
【0027】
このように配列された各六角形パネルP、横ハーフ体R、縦ハーフ体S、クオーター体Qは、隣り合っている対辺11,11の間隔及び斜辺12,12の間隔、すなわち第1,第2の目地溝21,22の幅がどこも同じとされている。すなわち、この六角形パネルPは、一対の斜辺12,12の間隔D2と中心線Cの長さすなわち距離D3とが正六角形と同じであるにもかかわらず、対辺11の長さL1が正六角形よりも僅かに短く、一対の対辺11,11の間隔D1が正六角形よりも僅かに長いことから、正六角形のパネルを配列した場合よりも第1の目地溝21の幅が狭く、第2の目地溝22の幅が広くなり、結果として、第1,第2の目地溝21,22の幅がともに同じとし、正方形のパネルユニットUの角にクオーター体Qの直角角部が位置するように配置することができる。
【0028】
そして、各六角形パネルP、横ハーフ体R、縦ハーフ体S、クオーター体Qは、基盤30に接着剤(図示せず)によって固定され、目地溝21,22内に目地材(採番せず)が充填されることによって、パネルユニットUが形成される。六角形パネルPの裏面が凹曲面状に窪む形状とされていることにより、接着剤が滑ることなく安定して六角形パネルPを接着することができる。ただし、接着剤に換え、六角形の枠又は複数の爪を有するホルダー(図示せず)に六角形パネルPを嵌め込むことにより、六角形パネルPを固定することもできる。
【0029】
また、目地材としては、例えば、精製塩及び/又は天然塩の微粉末に水を加えて混和した塩ペースト又は精製塩及び/又は天然塩を溶融した塩ペーストを用いることが好ましく、この塩ペーストは、目地溝に充填された後、乾燥することによって固化する。この目地材によって、間隔を設けて隣り合っている各六角形パネルP、横ハーフ体R、縦ハーフ体S、クオーター体Q同士が、位置ずれしないようにすることができる。
【0030】
このようなパネルユニットUは、多数配列されることにより、床、壁及び天井を構成する室に構築することができる。パネルユニットUは、一方の外縁31に沿って横ハーフ体Rが配列され、他方の外縁32上に縦ハーフ体Sが配列されているため、各パネルユニットUは、この横ハーフ体Rと縦ハーフ体Sが連続するように配列される。
【0031】
したがって、このパネルユニットUによって構築された室内の床、壁及び天井は、六角形に区画された模様を呈するものとなる。また、第1,第2の目地溝21,22がいずれも同一の幅とされることにより、外観が良好になり、さらに、各六角形パネルPの対辺11,11及び斜辺12,12には、荷重が均等に掛けられる。また、この室の外側周囲にヒータや光源、音響設備の全て又は一部を配備することにより、室をリラクゼーションルームとしてすることができる。
【0032】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定することなく、種々変更することができる。例えば、六角形パネルPは、リラクゼーションルーム用として使用しなくてもよく、この場合は、微粉末の塩を主成分とすることなく、通常のタイルやレンガなどを製造する材料によって形成してもよい。
【0033】
また、パネルユニットUは、横ハーフ体R、縦ハーフ体S、クオーター体Qによって、六角形パネルPが外縁31,32から突出しないようにするのではなく、横ハーフ体R、縦ハーフ体S、クオーター体Qを配列することなく、六角形パネルPを一つおき、すなわち交互に突出させるように配列してもよいし、一方の外縁31,32から六角形パネルPを突出させ、他方の外縁32,31から六角形パネルPを後退させて配列してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る六角形パネルの一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明に係るパネルユニットの一実施形態を示す正面図である。
【図3】従来の六角形パネルを示す正面図である。
【図4】従来の六角形パネルを使用したパネルユニットを示す正面図である。
【符号の説明】
【0035】
11……対辺
12……斜辺
13……仮想線
14……仮想線
31……一方の外縁
32……他方の外縁
C………中心線
O………中心
P………六角形パネル
U………パネルユニット
α………対辺の先端からの角度
γ………仮想線と仮想線とのなす角度
L1……対辺の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心線に平行な一対の対辺と、該対辺の各先端から中心線まで120°の角度をもって画定された二対の斜辺とによって周囲が六角形に形成された六角形パネルであって、
対辺の一方の先端と中心とを結んだ仮想線と対辺の他方の先端と中心とを結んだ仮想線とのなす角度が56.95°となるように各対辺の長さが設定されていることを特徴とする六角形パネル。
【請求項2】
精製塩及び/又は天然塩を主成分とする塩が加熱溶融され、請求項1に記載の形状に冷却固化することによって成形されたことを特徴とする六角形パネル。
【請求項3】
正方形又は長方形の一方の平行な外縁と他方の平行な外縁によって画定された周縁の内側に請求項1又は2に記載の六角形パネルが多数配列されたパネルユニットであって、
六角形パネルの対辺が前記一方の外縁と平行に、かつ、隣り合っている六角形パネルの対辺と対辺との間隔と隣り合っている六角形パネルの斜辺と斜辺との間隔とが同一となるように多数の六角形パネルが配列されたことを特徴とするパネルユニット。
【請求項4】
前記各六角形パネルの間に、目地材が充填されていることを特徴とする請求項3に記載のパネルユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−127042(P2010−127042A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304636(P2008−304636)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(503314716)
【Fターム(参考)】