説明

共役ジエン化合物、スルホニル基含有ポリマー、スルホニル基含有ポリマーの製造方法、スルホニル基含有水素化ポリマー、及び、スルホニル基含有水素化ポリマーの製造方法

【課題】スルホニル基含有モノマー、該スルホニル基含有ポリマーの製造方法、スルホニル基含有水素化ポリマー、及び、スルホニル基含有水素化ポリマーの製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されることを特徴とする共役ジエン化合物。


式(1)中、R〜Rは、それぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有してもよいフェニル基を示す。R〜Rは、同一でもよいし異なっていてもよい。Xは、CO、CONR、COR、OCO、NCONR、NCO、CS、CSNR、CSR、SCS、NCSNR、NCSを示す。Rは、置換基を示す。Yは、炭素数1〜12のアルキレン基を示す。ただし、Yが炭素数1のメチレン基の場合はRおよびRは水素原子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性を有する置換基を有するスルホニル基含有ポリマーの製造に好適に用いることができる共役ジエン化合物に関する。また、本発明は、スルホニル基含有ポリマー、該スルホニル基含有ポリマーの製造方法、スルホニル基含有水素化ポリマー、及び、スルホニル基含有水素化ポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アクティブマトリックスタイプ等の液晶表示素子や有機EL表示素子用の表示素子基板、カラーフィルター基板、太陽電池用基板等には、ガラス板が広く用いられている。しかしながら、ガラス板は割れ易く、曲げられない上に、比重が大きく軽量化に不向きである等の理由から、近年、その代替材料として種々のプラスチック素材が検討されている。
【0003】
また、その他の各種分野においても、使用する材料に対して、その用途に応じて、耐摩耗性、透明性、耐溶剤性、耐熱性等の各種の特性が要求されている。このため、その用途に適合した優れた性能を有するプラスチック材料が求められている。
従来、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等は透明性、耐衝撃性、加工性、大量生産性等に優れていることから、車両、住居、学校、スポーツ施設等の窓、ベランダ腰板、バルコニー等のグレージング材等として用いられており、更に、各種計器盤、コンピューターディスプレイ、液晶テレビ、自動販売機前面板等のディスプレイ装置用保護カバー、光学レンズ、照明カバー、看板、保護メガネ、光学式光ディスク基板等にも使用されている。
【0004】
なかでも、グレージング材、ディスプレイ装置用保護カバー、光学レンズ等では、透明性、光学物性、機械的強度、剛性等とともに、視認性、美観等の点からの耐擦傷性すなわち高い表面硬度、耐薬品性、耐熱性等が求められている。
前述した汎用透明樹脂は、それぞれ優れた性能を有するものであるが、上記した各種の要求特性を同時に満足することは難しいために、更に、優れた性能を有する新規なプラスチック材料の開発が望まれている。
【0005】
優れた性能を有するプラスチック材料としては、スルホニル基含有ポリマーが注目されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、共役ジエン化合物と二酸化硫黄から、スルホニル基含有ポリマーを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5922518号明細書
【特許文献2】米国特許第6103866号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、機能性を有する置換基を有するスルホニル基含有ポリマーの製造に好適に用いることができる共役ジエン化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、スルホニル基含有ポリマー、該スルホニル基含有ポリマーの製造方法、スルホニル基含有水素化ポリマー、及び、スルホニル基含有水素化ポリマーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記一般式(1)で表される共役ジエン化合物である。
【0009】
【化1】

【0010】
式(1)中、R〜Rは、それぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有してもよいフェニル基を示す。R〜Rは、同一でもよいし異なっていてもよい。Xは、CO、CONR、COR、OCO、NCONR、NCO、CS、CSNR、CSR、SCS、NCSNR、NCSを示す。Rは、置換基を示す。Yは、炭素数1〜12のアルキレン基を示す。ただし、Yが炭素数1のメチレン基の場合はR及びRは水素原子である。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
スルホニル基含有ポリマーは優れた性能を有するものであるが、更に機能性を有する置換基(以下、機能性基ともいう)を導入することにより、用途に応じた種々の性能を付与することが求められていた。しかしながら、特許文献1や特許文献2の方法では、機能性基を有するスルホニル基含有ポリマーを得ることが困難であった。
本発明者らは、特定の構造を有する共役ジエン化合物と二酸化硫黄とを共重合させることにより、機能性基を有するスルホニル基含有ポリマーを容易に製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
上記式(1)中、R〜Rは、それぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有してもよいフェニル基を示す。なかでも、後述するα炭素のケミカルシフトを好ましい値とすることができ、機能性基を有するスルホニル基含有ポリマーの製造に好適に用いることができることから、R及びRは水素であることが好ましい。スルホニル基含有ポリマー及びスルホニル基含有水素化ポリマーを効果的に得るには、R、R、R、Rは水素であることがより好ましい。
また、R〜Rがアルキル基である場合、該アルキル基の炭素数が12を超えると、スルホニル基含有ポリマーがもつ特性、例えば、優れた透明性、耐熱性、耐溶剤性、成膜性、耐酸化性、光学特性、機械特性等を損なうことがある。また、該アルキル基の炭素数の合計が20を超える場合も、スルホニル基含有ポリマーがもつ特性を損なうことがある。該アルキル基の炭素数は少ない方が好ましく、R〜Rがアルキル基である場合、該アルキル基の炭素数の好ましい上限は10である。
上記アルキル基及びフェニル基が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、エステル結合、アミド結合、ウレア結合、チオエステル結合、チオアミド結合、チオウレア結合等が挙げられる。
【0013】
上記式(1)中、Xは、CO、CONR、COR、OCO、NCONR、NCO、CS、CSNR、CSR、SCS、NCSNR、NCSを示す。なかでも、COは、Rとして様々な置換基を容易に導入できることから、特に好ましい。
また、Rは置換基を示す。この置換基により、スルホニル基含有ポリマーやスルホニル基含有水素化ポリマーの製造に用いた際に、これらのポリマーに用途に応じた種々の性能を付与することができる。
【0014】
上記Rで表される置換基としては、例えば、耐熱性、耐溶剤性に優れるポリマーの製造を目的とする場合、後重合可能な水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0015】
上記Rで表される置換基としては、例えば、耐熱性、耐候性、耐薬品性、電気絶縁性、低温特性、ガス透過性、離型性、消泡性、撥水性に優れるポリマーの製造を目的とする場合、シリル基が挙げられる。
上記シリル基としては、例えば、ジメトキシメチルシリル基、シクロヘキシルジメトキシシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジメトキシオクチルシリル基、ジエトキシビニルシリル基、クロロメチル(ジイソプロポキシ)シリル基、ジメトキシフェニルシリル基、ジエトキシフェニルシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシプロピルシリル基、イソブチルジメトキシシリル基、オクチルジメトキシシリル基、オクタデシルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、イソブチルジエトキシシリル基、オクチルジエトキシシリル基、ビニルジメトキシシリル基、ビニルジエトキシシリル基、アリルジエトキシシリル基、(3−クロロプロピル)ジメトキシシリル基、クロロメチルジエトキシシリル基、ビス(2−メトキシエトキシ)ビニルシリル基、3−グリシドキシプロピルジメトキシシリル基、ジエトキシ(3−グリシドキシプロピル)シリル基、ジメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4,1,0]−ヘプト−3−イル)エチル]シリル基、クロロジメトキシシリル基、クロロジエトキシシリル基、クロロビス(1,3−ジメチルブトキシ)−シリル基、クロロジエトキシシリル基、3−(トリエトキシシリル)−プロピオニトリル基、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル基、3−(トリエトキシシリル)−プロピルイソシアネート基、3−(トリエトキシシリル)−プロピルチオイソシアネート基、フェニルジメトキシシリル基、フェニルジエトキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)、ジアセトキシジフェニルシリル基、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シリル基、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シリル基、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシリル基、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシリル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチル)トリメチルシリル基、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシリル基、メチルトリイソプロペノキシシリル基、エチルトリアセトキシシリル基、メチルトリアセトキシシリル基、ジアセトキシジメチルシリル基、トリアセトキシビニルシリル基、テトラアセトキシシリル基、ジアセトキシメチルフェニルシリル基、ジメトキシエチルメチルケトオキシムメチルシリル基等が挙げられる。
【0016】
上記式(1)中、Yは、炭素数1〜12のアルキレン基を示す。本発明の共役ジエン化合物は、Yとして炭素数1〜12のアルキレン基を有することにより、二酸化硫黄と反応させることで、機能性基を有するスルホニル基含有ポリマーを容易に製造することができる。該アルキレン基の炭素数が1未満であると、二酸化硫黄と反応させることで、機能性基を有するスルホニル基含有ポリマーを容易に製造できないことがある。
該アルキレン基の炭素数が12を超えると、機能性基を有するスルホニル基含有ポリマーが充分に特性を発現できないことがある。該アルキレン基の好ましい炭素数は1〜8である。
【0017】
上記式(1)中、R及びRと結合しているα炭素の13C−NMRのケミカルシフトの好ましい上限は130ppmである。上記ケミカルシフトが130ppmを超えると、機能性基を有するスルホニル基含有ポリマーの製造が困難となることがある。上記ケミカルシフトのより好ましい上限は120ppmである。
また、上記式(1)中、二重結合はシス体(Z体)又はトランス体(E体)のいずれかのみを含んでもよく、また、それらの混合物であってもよい。ここで、2種類以上の異性体が含まれる場合には、少なくともいずれかの異性体のR及びRと結合しているα炭素の13C−NMRのケミカルシフトが130ppm以下であることが好ましい。さらに、含まれる異性体の2種類以上が130ppm以下であることがより好ましく、全ての異性体が130ppm以下であることが更に好ましい。
【0018】
本発明の共役ジエン化合物を製造する方法としては、例えば、ウィティッヒ反応により、不飽和アルデヒドを原料化合物として、簡便に合成する方法等が挙げられる。
【0019】
本発明の共役ジエン化合物と二酸化硫黄とを共重合させることにより、下記式(2)で表される繰り返し単位を有するスルホニル基含有ポリマーを製造することができる。下記式(2)で表される繰り返し単位を有するスルホニル基含有ポリマー、及び、本発明の共役ジエン化合物と二酸化硫黄とを共重合させる工程を有するスルホニル基含有ポリマーの製造方法もまた、それぞれ本発明の1つである。
【0020】
【化2】

【0021】
式(2)中、R〜Rは、それぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有してもよいフェニル基を示す。R〜Rは、同一でもよいし異なっていてもよい。Xは、CO、CONR、COR、OCO、NCONR、NCO、CS、CSNR、CSR、SCS、NCSNR、NCSを示す。Rは、置換基を示す。Yは、炭素数2〜12のアルキレン基を示す。ただし、Yが炭素数1のメチレン基の場合はR及びRは水素原子である。
式(2)中のR〜R、X、及び、Yについては、式(1)と同様であるため、詳しい説明は省略する。
【0022】
本発明のスルホニル基含有ポリマーは、本発明の共役ジエン化合物と二酸化硫黄の交互共重合体であることが好ましいが、交互共重合体でなく、スルホニル基の含有率が50%以下の場合でも問題なく効果を発揮する。
【0023】
本発明のスルホニル基含有ポリマーの重量平均分子量の好ましい下限は3000である。上記重量平均分子量が3000未満であると、スルホニル基含有ポリマーが脆くなる傾向にある。上記重量平均分子量のより好ましい下限は5000である。
また、上記重量平均分子量の好ましい上限は100万である。上記重量平均分子量が100万を超えると、成形性が悪くなることがある。上記重量平均分子量のより好ましい上限は50万である。
なお、本明細書において、上記重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算又はポリエチレングリコール換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算又はポリエチレングリコール換算による重量平均分子量及び数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex KF803L(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0024】
本発明のスルホニル基含有ポリマーの製造方法は、本発明の共役ジエン化合物と二酸化硫黄とを共重合させる工程を有する。
【0025】
本発明のスルホニル基含有ポリマーの製造方法は、本発明の共役ジエン化合物と共に、他の共役ジエン化合物を二酸化硫黄と反応させてもよい。
他の共役ジエン化合物としては、例えば、下記一般式(I)で表される共役ジエン化合物、下記一般式(II)で表される共役ジエン化合物等が挙げられる。
【0026】
【化3】

【0027】
式(I)中、R〜R12は、同一又は相異なって、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アセトキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のアシル基、置換基を有してもよい単環式炭素環基、置換基を有してもよい単環式複素環基、シリル基、又は、シリルオキシ基を示す。
【0028】
【化4】

式(II)中、R13は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基を示し、R14〜R17は、同一又は相異なって、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アセトキシ基、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数2〜12のアシル基、置換基を有してもよい単環式炭素環基、置換基を有してもよい単環式複素環基、シリル基、又は、シリルオキシ基を示す。
【0029】
上記式(I)及び式(II)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0030】
上記式(I)及び式(II)において、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、これらのアルキル基に置換基が結合した基等が挙げられる。
【0031】
上記式(I)及び式(II)において、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、n−エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、これらのアルコシキ基に置換基が結合した基等が挙げられる。
【0032】
上記式(I)及び式(II)において、置換基を有してもよい炭素数2〜12のアシル基としては、例えば、アセチル基、置換基を有するアセチル基等が挙げられる。
【0033】
上記式(I)及び式(II)において、置換基を有してもよい単環式炭素環基としては、例えば、フェニル基、置換基を有するフェニル基等が挙げられる。
【0034】
上記式(I)及び式(II)において、置換基を有してもよい単環式複素環基としては、例えば、チエニル基、置換基を有するチエニル基等が挙げられる。
【0035】
上記式(I)及び式(II)において、シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基等が挙げられる。
【0036】
上記式(I)及び式(II)において、シリルオキシ基としては、例えば、トリメチルシリルオキシ基等が挙げられる。
【0037】
上記式(II)において、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、(トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ)メチレン等の直鎖のアルキレン基、これらのアルキレン基に置換基が結合した基等が挙げられる。
【0038】
上記式(I)及び式(II)において、各基における置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、フェニル基、カルボキシル基、アセトキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0039】
炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0040】
上記式(I)及び式(II)において、置換基を有する炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有する炭素数1〜12のアルコキシ基、置換基を有する炭素数2〜12のアシル基、置換基を有する単環式炭素環基、及び置換基を有する単環式複素環基は、それぞれ、1つの置換基を有するものであってもよく、複数の置換基を有するものであってもよい。また、複数の置換基を有する場合における当該置換基は、同種の置換基であってもよく、あるいは異なる置換基であってもよい。
【0041】
上記式(I)で表される共役ジエン化合物におけるR及びR10と一般式(II)で表される共役ジエン化合物におけるR15及びR16は、得られる共重合体の水素化反応の反応性の観点から、いずれも水素原子であることが好ましい。
また、上記式(I)で表される共役ジエン化合物におけるR、R、R11、及び、R12と、上記式(II)で表される共役ジエン化合物におけるR14及びR17は、重合反応性の観点から、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、一般式(II)で表される共役ジエン化合物におけるR13は、重合反応性の観点から、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
【0042】
上記式(I)で表される共役ジエン化合物は、具体的には例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエン−1−オール、2,4−デカジエン−1−オール、2,4−ドデカジエン−1−オール、2,4−ウンデカジエン−1−オール、ヘキサクロロ−1,3−ブタジエン、2,4−ヘプタジエン−6−オン、3,4−ビス(4−アセトキシフェニル)−2,4−ヘキサジエン、1,4−ジ(2−チエニル)−1,3−ブタジエン、1−メトキシ−3−(トリメチルシリルオキシ)−1,3−ブタジエン、2−トリメチルシリルオキシ−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
【0043】
上記式(II)で表される共役ジエン化合物は、具体的には例えば、シクロペンタジエン、1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,2,3,4−テトラフェニル−1,3−シクロペンタジエン、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン、5−(トリメチルシリル)−1,2,3,4,5−ペンタメチル−1,3−シクロペンタジエン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、1,3,5,5−テトラメチル−1,3−シクロヘキサジエン、2,6,6−トリメチル−2,4−シクロヘプタジエン−1−オン、5,5−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラクロロシクロペンタジエン、5−(トリメチルシリル)−1,3−シクロペンタジエン、2−(トリメチルシリルオキシ)−1,3−シクロヘキサジエン等が挙げられる。
【0044】
これらの共役ジエン化合物の中でも、得られる共重合体の水素化反応の反応性の観点から、上記式(I)の共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエン−1−オール、2,4−デカジエン−1−オール、2,4−ドデカジエン−1−オール、2,4−ウンデカジエン−1−オール、2,4−ヘプタジエン−6−オン、1,4−ジ(2−チエニル)−1,3−ブタジエンが好ましく、上記式(II)の共役ジエン化合物としては、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエン、2,6,6−トリメチル−2,4−シクロヘプタジエン−1−オン、5−(トリメチルシリル)−1,3−シクロペンタジエンが好ましい。
【0045】
また、重合反応性の観点から、一般式(I)の共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンが好ましく、一般式(II)の共役ジエン化合物としては、シクロペンタジエン、1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3,5,5−テトラメチル−1,3−シクロヘキサジエンが好ましい。
【0046】
上記共役ジエン化合物の中でも、入手性の観点から、一般式(I)の共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエンがより好ましい。
また、上記式(II)の共役ジエン化合物としては、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエン等が好ましく、シクロペンタジエンがより好ましい。
【0047】
本発明のスルホニル基含有ポリマーの製造方法では、他の共役ジエン化合物として、上記式(I)で表される共役ジエン化合物及び上記式(II)で表される共役ジエン化合物からなる群から選ばれた二種以上の共役ジエン化合物を用いることにより、得られるスルホニル基含有ポリマーは、水素化反応に対する反応性が非常に良好となり、得られるスルホニル基含有水素化ポリマーは、耐熱性、耐薬品性に優れるものとなる。
【0048】
本発明のスルホニル基含有ポリマーの製造方法では、他の共役ジエン化合物を用いる場合、上記式(I)で表される共役ジエン化合物を少なくとも一種と、上記式(II)で表される共役ジエン化合物を少なくとも一種用いることが好ましい。これにより、得られるスルホニル基含有ポリマーを水素化した場合に、耐熱性、耐薬品性に特に優れるスルホニル基含有水素化ポリマーを得ることができる。
【0049】
上記共役ジエン化合物類と二酸化硫黄とを共重合させる方法としては、例えば、本発明の共役ジエン化合物、又は、本発明の共役ジエン化合物及び上記他の共役ジエン化合物(以下、併せて共役ジエン化合物類ともいう)と、液状又は溶液状態の二酸化硫黄とを、ラジカル重合開始剤の存在下で反応させる方法等が挙げられる。
具体的には例えば、冷却、加圧等によって液体とした二酸化硫黄、又は、溶媒中に気体状の二酸化硫黄を吹き込むことによって溶液状態とした二酸化硫黄に共役ジエン化合物類を加えて均一に混合し、得られた混合液にラジカル重合開始剤を添加して重合反応を進行させる方法等が挙げられる。
【0050】
本発明のスルホニル基含有ポリマーの製造方法における二酸化硫黄の使用量は、共役ジエン化合物類の総量1モルに対して、好ましい下限が1モル、好ましい上限が10モルである。二酸化硫黄の使用量が1モル未満であると、使用量が少なすぎて重合反応が不充分となることがある。二酸化硫黄の使用量が10モルを超えても使用量に見合う効果がなく経済的ではない。二酸化硫黄の使用量のより好ましい下限は1.2モル、より好ましい上限は5モルである。
【0051】
本発明のスルホニル基含有ポリマーの製造方法では、特に、重合反応後の共重合体の取り扱いの容易さから、溶媒中で重合反応を行うことが好ましい。
上記重合反応に用いる溶媒としては、重合を阻害しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類や、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂環式炭化水素類や、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等を用いることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
上記重合反応に用いる溶媒の使用量は、共役ジエン化合物類の総量100重量部に対して、好ましい下限が100重量部、好ましい上限が5000重量部である。重合反応に用いる溶媒の使用量が100重量部未満であると、重合反応中に不溶物が大量に析出したり、反応液全体が固化し、反応が完結しなかったりすることがある。重合反応に用いる溶媒の使用量が5000重量部を超えると、得られるスルホニル基含有ポリマーが、分子量が低く脆いものとなることがある。重合反応に用いる溶媒の使用量のより好ましい下限は500重量部、より好ましい上限は2500重量部である。
【0053】
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、無機系開始剤として、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、これらの混合物等を用いることができ、有機系開始剤として、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプルピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、アセチルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソブチレート、クミルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物等を用いることができる。
なかでも、二酸化硫黄が存在することでレドックス系開始剤として働き、低温でも反応を進行させることができるt−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド等の有機ヒドロペルオキシド類が好ましく、入手性の観点からクメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド等がより好ましい。これらラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
上記ラジカル重合開始剤の添加方法については特に限定されず、共役ジエン化合物と二酸化硫黄を反応させる際に、反応系中に、ラジカル重合開始剤が存在すればよい。例えば、上述した溶媒にラジカル重合開始剤を溶解した溶液を反応系に添加しても良く、あるいは、ラジカル重合開始剤をそのまま反応系に添加してもよい。なお、溶媒で溶解して用いる場合は、例えば、ラジカル重合開始剤100重量部に対して、100〜2000重量部程度の溶媒を用いることができる。
【0055】
上記ラジカル重合開始剤の使用量は、共役ジエン化合物類の総量1モルに対して、好ましい下限が0.001モル、好ましい上限が0.05モルである。ラジカル重合開始剤の使用量が0.001モル未満であると、重合反応が充分に進行しないことがある。
ことがある。ラジカル重合開始剤の使用量が0.05モルを超えると、得られるスルホニル基含有ポリマーが、分子量が低く脆いものとなることがある。ラジカル重合開始剤の使用量のより好ましい下限は0.005モル、より好ましい上限は0.03モルである。
【0056】
重合反応の反応温度の好ましい下限は−100℃、好ましい上限は100℃である。重合反応の反応温度が−100℃未満であると、重合反応が充分に進行しないことがある。重合反応の反応温度が100℃を超えると、反成長の効果が無視できなくなり、天井温度に近づくほど、重合速度が低下し、得られるスルホニル基含有ポリマーが、分子量が低く脆いものとなることがある。また、重合中にモノマーが消費され、平衡モノマー濃度に到達するとそれ以上重合が進行しないことがある。重合反応の反応温度のより好ましい下限は−80℃、より好ましい上限は40℃である。
【0057】
ラジカル重合は、通常、酸素の存在によって影響を受け、重合阻害の効果を示すことがあり、また、酸素が存在する状態での重合ではうまく再現性が得られないことから、重合反応時の雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
【0058】
重合反応の反応時間は、反応温度、単量体や反応溶媒の種類、使用量等により異なるが、好ましい下限は1時間、好ましい上限は20時間である。
【0059】
重合反応終了後、析出した固体を濾別、乾燥することにより、スルホニル基含有ポリマーを単離することができる。この際、必要に応じて貧溶媒を添加してもよい。貧溶媒を添加して、スルホニル基含有水素化ポリマーの分離を行うことによって、収率の向上及び操作性の向上が期待できる。
【0060】
上記貧溶媒としては、具体的には例えば、メタノール、エタノール、iso−プロパノール等が挙げられる。なかでも、経済性の観点からメタノールが好ましい。
【0061】
上記貧溶媒の使用量は、用いた共役ジエン化合物類の総量100重量部に対して、好ましい下限が100重量部、好ましい上限が5000重量部である。貧溶媒の使用量が100重量部未満であると、ポリマーの一部が沈殿しないことがある。貧溶媒の使用量が5000重量部を超えた場合、析出するポリマーを濾別、乾燥する工程には特に支障はないが、濾別に時間を要し、貧溶媒の使用量が5000重量部を超えても、それ以上の効果はなく、経済的でない。貧溶媒の使用量のより好ましい下限は200重量部、より好ましい上限は3000重量部である。
【0062】
本発明のスルホニル基含有ポリマーを水素化することにより、耐熱性、耐薬品性に優れる、式(3)で表される繰り返し単位を有するスルホニル基含有水素化ポリマーを製造することができる。
下記式(3)で表される繰り返し単位を有するスルホニル基含有水素化ポリマー、及び、本発明のスルホニル基含有ポリマーを水素化する工程を有するスルホニル基含有水素化ポリマーの製造方法もまた、それぞれ本発明の1つである。
【0063】
【化5】

【0064】
式(3)中、R〜Rは、それぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有してもよいフェニル基を示す。R〜Rは、同一でもよいし異なっていてもよい。Xは、COR、CONR、COR、OCOR、NCONR、NCOR、CSR、CSNR、CSR、SCSR、NCSNR、NCSRを示す。Rは、機能性基を示す。Yは、炭素数1〜12のアルキレン基を示す。ただし、Yが炭素数1のメチレン基の場合はR及びRは水素原子である。
式(3)中のR〜R、X、及び、Yについては、式(1)と同様であるため、詳しい説明は省略する。
【0065】
本発明のスルホニル基含有水素化ポリマーも、本発明のスルホニル基含有ポリマーと同様に交互共重合体であることが好ましいが、交互共重合体でなく、スルホニル基の含有率が50%以下の場合でも問題なく効果を発揮する。
【0066】
本発明のスルホニル基含有水素化ポリマーの製造方法において、本発明のスルホニル基含有ポリマーを水素化する方法としては、例えば、本発明のスルホニル基含有ポリマーを水又は有機溶媒に溶解又は分散させ、得られた溶液又は分散液に水素化剤を加えて撹拌する方法、あるいは、得られた溶液又は分散液に水素化反応用触媒を溶解又は分散させた状態で水素ガスと接触させる方法等が挙げられる。
【0067】
上記水素化剤としては、例えば、ヒドラジン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、2−メシチレンスルホニルヒドラジド、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルヒドラジド、4−メトキシベンゼンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。なかでも、入手性の観点から、ヒドラジン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド等が好ましい。これら水素化剤は単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0068】
上記水素化剤の使用量は、本発明のスルホニル基含有ポリマー100重量部に対して、好ましい下限が10重量部、好ましい上限が7000重量部である。水素化剤の使用量が10重量部未満であると、充分に水素化できないことがある。水素化剤の使用量が7000重量部を超えても、それ以上の効果はなく経済的でない。水素化剤の使用量のより好ましい下限は25重量部、より好ましい上限は5000重量部である。
【0069】
上記水素化反応触媒としては、例えば、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金等の金属、及び、これらの触媒成分がシリカ、ケイソウ土、アルミナ、活性炭等の固体上に担持された不均一系触媒や、チタン、ニッケル、パラジウム、コバルト等の化合物と有機金属化合物とを組み合わせてなる均一系の触媒や、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム等の錯体等が挙げられる。
【0070】
上記水素化反応触媒の使用量は、本発明のスルホニル基含有ポリマー100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が200重量部である。水素化反応触媒の使用量が0.01重量部未満であると、充分に水素化できないことがある。水素化反応触媒の使用量が200重量部を超えても、それ以上の効果はなく経済的でない。
【0071】
本発明のスルホニル基含有ポリマーを水素ガスと接触させる方法としては、例えば、上記水素化反応用触媒を溶解又は分散させ、得られた溶液又は分散液を収容した容器中に水素ガスを導入して、溶液又は分散液と水素ガスを充分に接触させればよい。
本発明のスルホニル基含有ポリマーを水素ガスと接触させる際の水素ガスの圧力としては、反応容器中の水素ガス圧として、好ましい下限は0.2MPa、好ましい上限は30MPaである。水素ガスの圧力が0.2MPa未満であると反応が円滑に進行しないことがある。水素ガスの圧力が30MPaを超えると、装置上の制約がかかる上に、圧力を増す効果が充分には認められない。水素ガスの圧力のより好ましい上限は20MPaである。
【0072】
本発明のスルホニル基含有ポリマーの水素化反応に用いる溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の極性溶媒や、ジエトキシエタン、ジメトキシエタン等のエーテル類等を用いることができる。その他、水を水素化反応の溶媒として用いることもできる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、二種以上を組み合せて用いてもよい。
【0073】
本発明のスルホニル基含有ポリマーの水素化反応に用いる溶媒の使用量は、本発明のスルホニル基含有ポリマー100重量部に対して、好ましい下限が100重量部、好ましい上限が5000重量部である。水素化反応に用いる溶媒の使用量が100重量部未満であると、水素化反応中に不溶物が大量に析出したり、反応液全体が固化し、反応が完結しなかったりすることがある。水素化反応に用いる溶媒の使用量が5000重量部を超えると、水素化反応用触媒が希釈され、反応が完結しないことがある。水素化反応に用いる溶媒の使用量のより好ましい下限は500重量部、より好ましい上限は2500重量部である。
【0074】
上記水素化反応の反応温度の好ましい下限は0℃、好ましい上限は150℃である。水素化反応の反応温度が0℃未満であると、反応速度が遅くなり、反応に長時間を要することがある。水素化反応の反応温度が150℃を超えると、スルホニル基含有ポリマーの分解が起こりやすくなり、スルホニル基含有水素化ポリマーの収率及び純度が低下することがある。水素化反応の反応温度のより好ましい下限は20℃、より好ましい上限は130℃である。
【0075】
上記水素化反応の反応時間の好ましい下限は1時間、好ましい上限は50時間である。水素化反応の反応時間が1時間未満であると、充分に水素化できないことがある。水素化反応の反応時間が50時間を超えてもそれ以上の効果はない。水素化反応の反応時間のより好ましい下限は5時間、より好ましい上限は30時間である。
【0076】
水素化反応終了後、分散した状態のスルホニル基含有水素化ポリマーについては、濾別、乾燥を行うことにより単離することができる。なお、この際、必要に応じて貧溶媒を添加してもよい。
また、得られたスルホニル基含有水素化ポリマーが反応液中において溶媒に溶解している場合には、当該反応液を貧溶媒に滴下してポリマーを析出させる方法や、反応液に貧溶媒を滴下してポリマーを析出させる方法等によって分離することができる。なお、必要に応じて、再沈殿やリパルプ等の方法により、得られたスルホニル基含有水素化ポリマーを精製することができる。
【0077】
スルホニル基含有水素化ポリマーを分離する際に用いる貧溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、iso−プロパノール等のアルコール類等が挙げられる。なかでも、経済性の観点からメタノールが好ましい。
【0078】
上記貧溶媒の使用量は、用いたスルホニル基含有ポリマー100重量部に対して、好ましい下限が100重量部、好ましい上限が1万重量部である。貧溶媒の使用量が100量部未満であると、不溶物が大量に析出したり、反応液全体が固化し、反応が完結しなかったりすることがある。貧溶媒の使用量が1万重量部を超えると、水素化反応用触媒が希釈され、反応が完結しないことがある。貧溶媒の使用量のより好ましい下限は500重量部、より好ましい上限は5000重量部である。
【0079】
本発明のスルホニル基含有水素化ポリマーの製造方法によって得られる本発明のスルホニル基含有水素化ポリマーは、高い水素化率を有するものであり、耐熱性及び耐薬品性に優れるものとなる。
本発明のスルホニル基含有水素化ポリマーの水素化率は、80%以上でも充分に耐熱性に優れるが、より優れた耐熱性とするためには、90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましく、97%以上であることが特に好ましい。
なお、本願明細書において、上記「水素化率」とは、水素化前のスルホニル基含有ポリマー中に存在した炭素−炭素二重結合の総計に対する水素化された炭素−炭素二重結合の割合を示すものであり、NMRスペクトルの測定結果、又は、赤外吸収スペクトル結果より求めることができる。
【0080】
本発明のスルホニル基含有ポリマー及び本発明のスルホニル基含有水素化ポリマーは、耐熱性、耐薬品性、透明性、加工性等に優れ、かつ、スルホニル基を有することから金属等への良好な密着性が期待できる。このため、例えば、グレージング材、ディスプレイ装置用保護カバー、光学レンズ、ハードコート材等として好適に使用できる。更に、機能性基を有するため、従来のスルホニル基含有水素化ポリマーを用いることが適さなかった範囲を含む各種の分野において有効に利用できる。
【発明の効果】
【0081】
本発明によれば、機能性基を有するスルホニル基含有ポリマーの製造に好適に用いることができる共役ジエン化合物を提供することができる。また、本発明によれば、スルホニル基含有ポリマー、該スルホニル基含有ポリマーの製造方法、スルホニル基含有水素化ポリマー、及び、スルホニル基含有水素化ポリマーの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
なお、下記各実施例及び比較例に記載されている共役ジエン化合物、スルホニル基含有ポリマー、並びに、スルホニル基含有水素化ポリマーについて、以下の測定を行った。
【0083】
(1)共役ジエン化合物のNMRケミカルシフト
FT−NMR(BRUKER社製、「AVANCE300」)を用い、クロロホルム−dを溶媒として、共鳴周波数75MHzにて13C−NMRスペクトルによりケミカルシフトを測定した。
【0084】
(2)スルホニル基含有ポリマー及びスルホニル基含有水素化ポリマーの構造の確認
FT−NMR(BRUKER社製、「AVANCE300」)を用い、ジメチルスルホキシド−d、クロロホルム−dを溶媒として、必要に応じて加温し、共鳴周波数300MHzでのH−NMRスペクトル、及び、共鳴周波数75MHzでの13C−NMRスペクトルにより測定した。また、FT−IR装置(日本分光社製、「FT/IR−430」)を用い、KBr法にて測定した。
【0085】
(3)スルホニル基の確認
FT−IR装置(日本分光社製、「FT/IR−430」)を用い、KBr法にて測定した。
【0086】
(4)スルホニル基含有ポリマーの重量平均分子量及び多分散度
テトラヒヒドロフラン又はジメチルスルホキシドを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算値又はポリエチレングリコール換算値として、重量平均分子量及び多分散度を求めた。
【0087】
(5)スルホニル基含有水素化ポリマーの水素化率
NMR装置(BRUKER社製、「AVANCE300」)を用い、ジメチルスルホキシド−dを溶媒として、必要に応じて加温し、共鳴周波数300MHzにてH−NMRスペクトルによりスルホニル基含有水素化ポリマーの水素化率を測定した。
また、該ポリマーが溶媒に溶けない場合は、FT−IR装置(日本分光社製、「FT/IR−430」)を用い、KBr法にて赤外吸収スペクトル結果によりスルホニル基含有水素化ポリマーの水素化率を測定した。
【0088】
(6)スルホニル基含有ポリマーの分解温度
示差熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、「TG/DTA6200」)を用いて、窒素気流下、昇温速度10℃/分で熱重量示差熱分析を行い、5%重量減少温度(T95)を分解開始温度とした。
【0089】
(実施例1)
(5,7−オクタジエン酸メチルの合成)
撹拌機及び冷却器を備え付けた25mL容のガラス製フラスコにδ―バレロラクトン4.03g(0.04mol)を6mLのメタノールに混合し、室温で撹拌しながら、0.07mL(1.31mmol)の濃硫酸を滴下した。滴下後、加熱して10時間還流した後、室温に戻し、NaHCO0.04gを加えて乾燥後、溶媒除去、カラムクロマトグラフィにより精製した。収率は55%であった。
クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)6.1g(28.1mmol)を乾燥した塩化メチレン25mLに加え、激しく撹拌しながら、5−ヒドロキシペンタン酸メチル2.5g(18.9mmol)を11mLの塩化メチレンに溶かした溶液を室温で滴下した。滴下後、室温で2時間撹拌し、不溶物をろ過し、濾液を濃縮、カラムクロマトグラフィにより5−オキソペンタン酸メチルを収率44%で得た。
臭化アリルトリフェニルホスホニム5.0g(13.0mmol)を70mLのジエチルエーテルに加え、溶液を0から5℃に保ってゆっくり撹拌しながら、n−ブチルリチウム8.2mL(13.0mmol)のジエチルエーテル溶液をゆっくり滴下し、1時間攪拌を続けた。更に、5−オキソペンタン酸メチル1.54g(11.8mmol)のジエチルエーテル溶液(ジエチルエーテル15mL)を滴下し、更に室温で1時間攪拌した。ジエチルエーテルを水で洗浄、除去した後、減圧蒸留することにより、5,7−オクタジエン酸メチルを収率12%で得た。5,7−オクタジエン酸メチルは、2種類の幾何異性体の混合物として得られ、(E)体と(Z)体の比は4:3であった。
NMR装置(BRUKER社製、AVANCE300)を用いて測定した、5,7−オクタジエン酸メチルのα炭素の13C−NMRのケミカルシフトは、(E)体に対して115.4ppm、(Z)体に対して117.5ppmであった。
【0090】
(スルホニル基含有ポリマーの作製)
5,7−オクタジエン酸メチル(0.55g、3.6mmol)とtert−ブチルヒドロペルオキシド(10μL、0.05mmol)とをパイレックス(登録商標)管に入れ、凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返して溶存酸素を除いた後、真空蒸留法により二酸化硫黄0.5mL(12.5mmol)を加え、熔封してアンプルとした。ここで、5,7−オクタジエン酸メチル、二酸化硫黄、tert−ブチルヒドロペルオキシドのモル比は75:250:1とした。ドライアイスメタノール浴中(−78℃)で24時間静置し、重合を行った後、アンプルを開封し、200mLのメタノールに反応混合物を注ぎ、ポリマーを沈殿させた。得られたポリマーを濾過後、メタノール50mLで洗浄した後、減圧乾燥することにより、スルホニル基含有ポリマーとして、5,7−オクタジエン酸メチルと二酸化硫黄の交互共重合体0.47gを得た。原料として用いた5,7−オクタジエン酸メチルに対する収率は60%であった。また、5,7−オクタジエン酸メチルと二酸化硫黄の交互共重合体(スルホニル基含有ポリマー)の重量平均分子量(Mw)は、10500、多分散度(Mw/Mn)は2.01、分解温度は173℃であった。
なお、得られたスルホニル基含有ポリマーが、5,7−オクタジエン酸メチルと二酸化硫黄の交互共重合体であることは、NMR装置(BRUKER社製、「AVANCE300」)及びFT−IR装置(日本分光社製、「FT/IR−430」)を用いて得られた下記の分析結果により確認した。
H−NMRδ(ppm):1.62、1.76、2.10、2.38、3.81、3.98、5.86、5.98
13C−NMRδ(ppm):22.0、25.6、33.2、51.8、54.0、65.4、125.7、132.8
FT−IR(cm−1):753、979、1045、1124、1172、1294、1733
【0091】
(スルホニル基含有水素化ポリマーの作製)
次いで、撹拌機、温度計、冷却器を備え付けた100mL容のガラス製四つ口フラスコに得られた5,7−オクタジエン酸メチルと二酸化硫黄の交互共重合体(スルホニル基含有ポリマー)0.2g、1,2−ジエトキシエタン10mLを加え、及び、p−トルエンスルホニルヒドラジド 3.5gを添加し、100℃まで昇温した後、100℃に保ったまま12時間、窒素気流下で攪拌した。反応終了後、攪拌下のメタノール200mLに当該反応液を滴下し、スルホニル基含有水素化ポリマーを析出させた。濾過後、メタノール100mLで洗浄した後、減圧乾燥することにより、スルホニル基含有水素化ポリマーを、スルホニル基含有ポリマーに対する収率90%で取得した。得られたスルホニル基含有水素化ポリマーの水素化率は81%であった。
【0092】
(比較例1)
(酢酸2,4−ヘキサジエニルの合成)
2,4−ヘキサジエン−1−オール4.9g(0.05mol)、トリエチルアミン7.58g(0.075mol)、およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.48g(0.004mol)のトルエン溶液に無水酢酸7.66g(0.075mol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応液を50mLのジエチルエーテルで2回抽出した。このジエチルエーテル溶液を濃度1mol/Lの塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後,溶媒を減圧除去することにより酢酸2,4−ヘキサジエニルを得た。2,4−ヘキサジエン−1−オールに対する収率は47%であった。構造はH−NMR、13C−NMRにより確認した。
NMR装置(BRUKER社製、AVANCE300)を用いて測定した、酢酸2,4−ヘキサジエニルのα炭素の13C−NMRのケミカルシフトは、134.8ppmであった。
【0093】
(スルホニル基含有ポリマーの作製)
酢酸2,4−ヘキサジエニル0.68g(4.87mmol)、tert−ブチルヒドロペルオキシド10μL(0.05mmol)、トルエン2.5mLをパイレックス(登録商標)管に入れ、凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返して溶存酸素を除いた後、真空蒸留法により二酸化硫黄0.5mL(12.5mmol)を加え、熔封してアンプルとした。ここで、酢酸2,4−ヘキサジエニル、二酸化硫黄、tert−ブチルヒドロペルオキシドのモル比は100:250:1とした。ドライアイスメタノール浴中(−78℃)で24時間静置し、重合を行った後、アンプルを開封し、200mLのメタノールに反応混合物を注ぎ、ポリマーを沈殿させた。得られたポリマーを濾過後、メタノール100mLで洗浄した後、減圧乾燥することにより、スルホニル基含有ポリマーとして、酢酸2,4−ヘキサジエニルと二酸化硫黄の交互共重合体0.01gを得た。原料として用いた酢酸2,4−ヘキサジエニルに対する収率は1.0%であった。
なお、スルホニル基含有ポリマーの収率が低かったため、スルホニル基含有ポリマーの重量平均分子量及び多分散度の測定、並びに、スルホニル基含有水素化ポリマーの作製を行うことができなかった。
【0094】
(比較例2)
(ソルビン酸メチル)
共役ジエン化合物としてソルビン酸メチル(和光純薬工業社製)を用意した。NMR装置(BRUKER社製、「AVANCE300」)を用いて測定した、ソルビン酸メチルのα炭素の13C−NMRのケミカルシフトは、139.4ppmであった。
【0095】
(スルホニル基含有ポリマーの作製)
ソルビン酸メチル0.61g(4.87mmol)、tert−ブチルヒドロペルオキシド10μL(0.05mmol)、トルエン2.5mLをパイレックス(登録商標)管に入れ、凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返して溶存酸素を除いた後、真空蒸留法により二酸化硫黄0.5mL(12.5mmol)を加え、熔封してアンプルとした。ここで、ソルビン酸メチル、二酸化硫黄、tert−ブチルヒドロペルオキシドのモル比は100:250:1とした。ドライアイスメタノール浴中(−78℃)で24時間静置し、重合を行った後、アンプルを開封し、200mLのメタノールに反応混合物を注ぎ、ポリマーを沈殿させた。得られたポリマーを濾過後、メタノール100mLで洗浄した後、減圧乾燥することにより、スルホニル基含有ポリマーとして、ソルビン酸メチルと二酸化硫黄の交互共重合体0.01gを得た。原料として用いた酢酸2,4−ヘキサジエニルに対する収率は1.0%であった。
なお、スルホニル基含有ポリマーの収率が低かったため、スルホニル基含有ポリマーの重量平均分子量及び多分散度の測定、並びに、スルホニル基含有水素化ポリマーの作製を行うことができなかった。
【0096】
(比較例3)
(2,4−ヘキサジエン−1−オール)
共役ジエン化合物として2,4−ヘキサジエン−1−オール(東京化成工業社製)を用意した。NMR装置(BRUKER社製、「AVANCE300」)を用いて測定した、2,4−ヘキサジエン−1−オールのα炭素の13C−NMRのケミカルシフトは、131.4ppmであった。
【0097】
(スルホニル基含有ポリマーの作製)
2,4−ヘキサジエン−1−オール0.56g(4.87mmol)、tert−ブチルヒドロペルオキシド10μL(0.05mmol)、トルエン2.5mLをパイレックス(登録商標)管に入れ、凍結、脱気、融解のサイクルを3回繰り返して溶存酸素を除いた後、真空蒸留法により二酸化硫黄0.5mL(12.5mmol)を加え、熔封してアンプルとした。ここで、2,4−ヘキサジエン−1−オール、二酸化硫黄、tert−ブチルヒドロペルオキシドのモル比は100:250:1とした。ドライアイスメタノール浴中(−78℃)で24時間静置し、重合を行った後、アンプルを開封し、200mLのメタノールに反応混合物を注ぎ、ポリマーを沈殿させた。得られたポリマーを濾過後、メタノール100mLで洗浄した後、減圧乾燥することにより、スルホニル基含有ポリマーとして、2,4−ヘキサジエン−1−オールと二酸化硫黄の交互共重合体0.06gを得た。原料として用いた2,4−ヘキサジエン−1−オールに対する収率は6.5%であった。
なお、スルホニル基含有ポリマーの収率が低かったため、スルホニル基含有ポリマーの重量平均分子量及び多分散度の測定、並びに、スルホニル基含有水素化ポリマーの作製を行うことができなかった。
【0098】
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
【0099】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明によれば、機能性基を有するスルホニル基含有ポリマーの製造に好適に用いることができる共役ジエン化合物を提供することができる。また、本発明によれば、スルホニル基含有ポリマー、該スルホニル基含有ポリマーの製造方法、スルホニル基含有水素化ポリマー、及び、スルホニル基含有水素化ポリマーの製造方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されることを特徴とする共役ジエン化合物。
【化1】

式(1)中、R〜Rは、それぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有してもよいフェニル基を示す。R〜Rは、同一でもよいし異なっていてもよい。Xは、CO、CONR、COR、OCO、NCONR、NCO、CS、CSNR、CSR、SCS、NCSNR、NCSを示す。Rは、置換基を示す。Yは、炭素数1〜12のアルキレン基を示す。ただし、Yが炭素数1のメチレン基の場合はR及びRは水素原子である。
【請求項2】
式(1)中、R及びRと結合しているα炭素の13C−NMRのケミカルシフトが130ppm以下であることを特徴とする請求項1記載の共役ジエン化合物。
【請求項3】
下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有することを特徴とするスルホニル基含有ポリマー。
【化2】

式(2)中、R〜Rは、それぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有してもよいフェニル基を示す。R〜Rは、同一でもよいし異なっていてもよい。Xは、CO、CONR、COR、OCO、NCONR、NCO、CS、CSNR、CSR、SCS、NCSNR、NCSを示す。Rは、置換基を示す。Yは、炭素数1〜12のアルキレン基を示す。ただし、Yが炭素数1のメチレン基の場合はR及びRは水素原子である。
【請求項4】
重量平均分子量が3000以上であることを特徴とする請求項3記載のスルホニル基含有ポリマー。
【請求項5】
請求項3又は4記載のスルホニル基含有ポリマーを製造する方法であって、
請求項1又は2記載の共役ジエン化合物と二酸化硫黄とを共重合させる工程を有することを特徴とするスルホニル基含有ポリマーの製造方法。
【請求項6】
下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有することを特徴とするスルホニル基含有水素化ポリマー。
【化3】

式(3)中、R〜Rは、それぞれ、水素、置換基を有してもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は、置換基を有してもよいフェニル基を示す。R〜Rは、同一でもよいし異なっていてもよい。Xは、CO、CONR、COR、OCO、NCONR、NCO、CS、CSNR、CSR、SCS、NCSNR、NCSを示す。Rは、置換基を示す。Yは、炭素数1〜12のアルキレン基を示す。ただし、Yが炭素数1のメチレン基の場合はR及びRは水素原子である。
【請求項7】
請求項6記載のスルホニル基含有水素化ポリマーを製造する方法であって、
請求項3又は4記載のスルホニル基含有ポリマーを水素化する工程を有することを特徴とするスルホニル基含有水素化ポリマーの製造方法。

【公開番号】特開2013−18945(P2013−18945A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155857(P2011−155857)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(506122327)公立大学法人大阪市立大学 (122)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【Fターム(参考)】