説明

共役ジエン系重合体組成物の製造方法

【課題】省燃費性に優れる共役ジエン系重合体組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】共役ジエン系重合体とシリカとシランカップリング剤とを、該共役ジエン系重合体100重量部あたり1〜50重量部の水及び/又は二酸化炭素の存在下、混練機を用いて混練する共役ジエン系重合体組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共役ジエン系重合体組成物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への関心の高まりから、自動車に対して省燃費化の要求が強くなっており、自動車用タイヤに用いる重合体組成物に対しても、省燃費性に優れることが求められている。自動車タイヤ用の重合体組成物としては、ポリブタジエンやブタジエン−スチレン共重合体等の共役ジエン系重合体に、シリカ及びシランカップリング剤を配合した重合体組成物が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1、2には、スチレン−ブタジエン共重合体とシリカとシランカップリング剤とを混練して製造された共役ジエン系重合体組成物が記載されている。また、例えば、特許文献3、4には、官能基を有する変性剤で変性されたスチレン−ブタジエン共重合体と、シリカと、シランカップリング剤とを混練して製造された共役ジエン系重合体組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−60738号公報
【特許文献2】特開平3−252431号公報
【特許文献3】特開2005−290355号公報
【特許文献4】特開2005−344039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の製造方法で製造された共役ジエン系重合体組成物は、省燃費性において必ずしも十分満足のいくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、省燃費性に優れる共役ジエン系重合体組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、共役ジエン系重合体とシリカとシランカップリング剤とを、該共役ジエン系重合体100重量部あたり1〜50重量部の水及び/又は二酸化炭素の存在下、混練機を用いて混練する共役ジエン系重合体組成物の製造方法にかかるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、省燃費性に優れる共役ジエン系重合体組成物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
共役ジエン系重合体は、共役ジエンに基づく構成単位(共役ジエン単位)を有する重合体である。該共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンがあげられる。これらは、1種以上用いられる。共役ジエンとして、好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンである。
【0009】
共役ジエン系重合体は、共役ジエン単位に加え、他の単量体に基づく構成単位を有していてもよい。該他の単量体としては、芳香族ビニル化合物、ビニルニトリル、不飽和カルボン酸エステルがあげられる。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンがあげられる。また、ビニルニトリルとしては、アクリロニトリルがあげられ、不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチルがあげられる。
【0010】
共役ジエン系重合体としては、ポリ(1,3−ブタジエン)、ポリイソプレン、1,3−ブタジエン−イソプレン共重合体、1,3−ブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、イソプレン−イソブチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等があげられる。
【0011】
共役ジエン系重合体は、強度を高めるために、芳香族ビニル化合物に基づく構成単位(芳香族ビニル化合物単位)を有していることが好ましい。芳香族ビニル化合物単位の含有量としては、共役ジエン単位と芳香族ビニル化合物単位との総量を100重量%として、好ましくは10重量%以上(共役ジエン単位の含有量は90重量%以下)であり、より好ましくは15重量%以上(共役ジエン単位の含有量は85重量%以下)である。また、省燃費性を高めるために、芳香族ビニル化合物単位の含有量は、好ましくは50重量%以下(共役ジエン単位の含有量は50重量%以上)であり、より好ましくは45重量%以下(共役ジエン単位の含有量は55重量%以上)である。
【0012】
共役ジエン系重合体としては、少なくとも一種の官能基を有する共役ジエン系重合体が好適に用いられる。該官能基としては、窒素原子含有官能基、ケイ素原子含有官能基をあげることができる。好ましくは、ケイ素原子含有官能基である。窒素原子含有官能基としては、置換及び非置換のアミノ基、アミド基、=NCO−、イミノ基、イミダゾリル基、ニトリル基、ピリジル基があげられる。ケイ素原子含有官能基としては、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、ハロゲン化シリル基、ヒドロカルビルシリロキシ基などがあげられる。窒素原子含有官能基及びケイ素原子含有官能基は、窒素原子とケイ素原子を含有する官能基であってもよく、当該官能基としてはアミノシリル基、トリアルキルシリルアミノ基などがあげられる。
【0013】
上記のアルコキシシリル基とは、下記の式(1)で表される基を表すものとする。

(式中、R1はアルキル基を表す。)
【0014】
上記のヒドロカルビルシリロキシ基とは、下記の式(2)で表される基を表すものとする。


(式中、R21、R22、R23はヒドロカルビル基を表す。)
【0015】
上記のアミノシリル基とは、下記の式(3)で表される基を表すものとする。

(式中、R31、R32はアルキル基を表す。)
【0016】
上記のトリアルキルシリルアミノ基とは、下記の式(4)で表される基を表すものとする。

(式中、R41、R42、R43はアルキル基を表す。)
【0017】
官能基を有する共役ジエン系重合体の製造方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、次の(a)の方法、(b)の方法、(c)の方法があげられる。
(a)共役ジエンを含む単量体を重合触媒(例えば、有機アルカリ金属化合物、有機過酸化物。)の存在下で重合し、得られた共役ジエン系重合体に、窒素原子含有官能基を有する変性剤、ケイ素原子含有官能基を有する変性剤、あるいは、窒素原子含有官能基及びケイ素原子含有官能基を有する変性剤を反応させる方法。
(b)窒素原子含有官能基及び/又はケイ素原子含有官能基を有する単量体と共役ジエンとを含む単量体を重合触媒(例えば、有機アルカリ金属化合物、有機過酸化物。)の存在下で重合する方法。
(c)窒素原子含有官能基及び/又はケイ素原子含有官能基を有する有機アルカリ金属化合物の存在下で、共役ジエンを含む単量体を重合する方法。
また、これらの方法を組み合わせた方法、例えば(a)と(b)を組み合わせた方法、及び(a)と(c)を組み合わせた方法を挙げることもできる。
【0018】
(a)の方法における窒素原子含有官能基を有する変性剤としては、アミノ基及びカルボニル基を含有する化合物を挙げることができる。アミノ基及びカルボニル基を含有する化合物としては、4−N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、4−N−メチル−N−エチルアミノアセトフェノン、4−N,N−ジエチルアミノアセトフェノン、4’−(イミダゾール−1−イル)アセトフェノン、4−ピラゾリルアセトフェノン等の4−アミノアセトフェノン;1,7−ビス(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン等のビス(ジヒドロカルビルアミノアルキル)ケトン;4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジ−t−ブチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジフェニルアミノベンゾフェノン等の4−(ジヒドロカルビルアミノ)ベンゾフェノン;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン等の4、4’−ビス(ジヒドロカルビルアミノ)ベンゾフェノン;2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート等の2−ジヒドロカルビルアミノエチルアクリレート;3−ジメチルアミノプロピルアクリレート等の3−ジヒドロカルビルアミノプロピルアクリレート;2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート等の2−ジヒドロカルビルアミノエチルメタクリレート;3−ジメチルアミノプロピルメタクリレート等の3−ジヒドロカルビルアミノプロピルメタクリレートを挙げることができる。
【0019】
また、(a)の方法における窒素原子含有官能基を有する変性剤としては、=NCO−を有する化合物を挙げることもできる。=NCO−を有する化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のN−ジヒドロカルビルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のN,N−ジヒドロカルビルアセトアミド;N−メチル−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム等のN−ヒドロカルビル−β−プロピオラクタム;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−tert−ブチル−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチル−2−ピロリドン等のN−ヒドロカルビル−2−ピロリドン;N−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−フェニル−2−ピペリドン等のN−ヒドロカルビル−2−ピペリドン;N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム等のN−ヒドロカルビル−ε−カプロラクタム;N−メチル−ω−ラウリロラクタム、N−ビニル−ω−ラウリロラクタム等のN−ヒドロカルビル−ω−ラウリロラクタム;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジビニル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノン等の1,3−ジヒドロカルビル−2−イミダゾリジノン;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド等のN,N−ジヒドロカルビルアクリルアミド;N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルメタクリルアミド等のN,N−ジヒドロカルビルメタクリルアミドを挙げることができる。
【0020】
また、(a)の方法における窒素原子含有官能基を有する変性剤としては、アミド基を有する化合物を挙げることもできる。アミド基を有する化合物としては、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミド等のN、N−ジヒドロカルビルアミノエチルアクリルアミド;N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド等のN,N−ジヒドロカルビルアミノプロピルアクリルアミド;N,N−ジメチルアミノブチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチルアクリルアミド等のN,N−ジヒドロカルビルアミノブチルアクリルアミド;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリルアミド等のN、N−ジヒドロカルビルアミノエチルメタクリルアミド;N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド等のN,N−ジヒドロカルビルアミノプロピルメタクリルアミド;N,N−ジメチルアミノブチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチルメタクリルアミド等のN,N−ジヒドロカルビルアミノブチルメタクリルアミドを挙げることができる。中でもN,N−ジヒドロカルビルアミノプロピルアクリルアミドが好ましい。
【0021】
(a)の方法におけるケイ素原子含有官能基を有する変性剤としては、アルコキシシリル基を有する化合物を挙げることができる。アルコキシシリル基を有する化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のトリアルコキシヒドロカルビルシラン;トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリ−n−プロポキシクロロシラン等のトリアルコキシハロシラン;ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン等のジアルコキシジヒドロカルビルシラン;ジメトキシジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジ−n−プロポキシジクロロシラン等のジアルコキシジハロシラン;メトキシトリメチルシラン等のモノアルコキシトリヒドロカルビルシラン;メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン等のモノアルコキシトリハロシラン;2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン等の(グリシドキシアルキル)アルコキシシラン化合物;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン等の(3,4−エポキシシクロヘキシル)アルキルアルコキシシラン化合物;3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物等のアルコキシシリルアルキルコハク酸無水物;3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタクリロイロキシアルキル)アルコキシシラン化合物を挙げることができる。
【0022】
(a)の方法におけるケイ素原子含有官能基及び窒素原子含有官能基を有する変性剤としては、アルコキシシリル基及びアミノ基を含有する化合物、アルコキシシリル基及び
=NCO−を含有する化合物を挙げることができる。
【0023】
アルコキシシリル基及びアミノ基を含有する化合物としては、3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルメチルジエトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン等の[(ジアルキルアミノ)アルキル]アルコキシシラン化合物;ヘキサメチレンイミノメチルトリメトキシシラン、3−ヘキサメチレンイミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾ−ル、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾ−ル等の環状アミノアルキルアルコキシシラン化合物;3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン等の[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]アルキルアルコキシシラン化合物;N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のN,N−ビス(トリアルキルシリル)アミノアルキルアルコキシシラン化合物を挙げることができる。中でも[(ジアルキルアミノ)アルキル]アルコキシシラン化合物が好ましい。
【0024】
アルコキシシリル基及び=NCO−を含有する化合物としては、トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、トリス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、トリス[3−(トリプロポキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、トリス[3−(トリブトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート等のトリス[(アルコキシシリル)アルキル]イソシアヌレート化合物を挙げることができる。
【0025】
上記の化合物の他、ケイ素原子含有官能基及び窒素原子含有官能基を有する変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルアクリルアミド等のN,N−ビス(トリアルキルシリル)アミノプロピルアクリルアミド;3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン等の(イソシアナトアルキル)アルコキシシラン化合物;2−シアノエチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルジメトキシメチルシラン、2−シアノエチルメトキシジメチルシラン、2−シアノエチルジメトキシエチルシラン、2−シアノエチルメトキシジエチルシラン等の(シアノアルキル)アルコキシシラン化合物;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン等のN−アルキリデン−3−(アルコキシシリル)−1−プロパンアミン化合物を挙げることができる。
【0026】
(b)の方法における窒素原子含有官能基及び/又はケイ素原子含有官能基を有する単量体としては、アミノ基含有芳香族ビニル化合物、アルコキシ基含有ビニルシラン化合物、アルコキシシリル基含有共役ジエン化合物、アミノ基含有ビニルシラン化合物を挙げることができる。中でも、アルコキシ基含有ビニルシラン化合物又はアミノ基含有ビニルシラン化合物が好ましく、アミノ基含有ビニルシラン化合物がより好ましい。
【0027】
アミノ基含有芳香族ビニル化合物としては、4−N,N−ジメチルアミノスチレン、3−N,N−ジメチルアミノスチレン、4−N,N−ジエチルアミノスチレン、3−N,N−ジエチルアミノスチレン、4−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、3−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、4−N,N−ジエチルアミノメチルスチレン、3−N,N−ジエチルアミノメチルスチレン、4−N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、3−N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、4−N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、3−N,N−ジエチルアミノエチルスチレン等のN,N−ジアルキルアミノアルキルスチレン;4−ピロリジニルスチレン、3−ピロリジニルスチレン、4−ピペリジニルスチレン、3−ピペリジニルスチレン、4−ピロリジニルメチルスチレン、3−ピロリジニルメチルスチレン、4−ピペリジニルメチルスチレン、3−ピペリジニルメチルスチレン、4−ピロリジニルエチルスチレン、3−ピロリジニルエチルスチレン、4−ピペリジニルエチルスチレン、3−ピペリジニルエチルスチレン等の環状アミノアルキルスチレン;1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1−(3−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1−(4−N,N−ジエチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン、1−(3−N,N−ジエチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン等の1−(N,N−ジアルキルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジンを挙げることができる。
【0028】
また、アミノ基含有芳香族ビニル化合物として、トリアルキルシリルアミノ基含有芳香族ビニル化合物を挙げることができる。当該トリアルキルシリルアミノ基含有芳香族ビニル化合物としては、4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノスチレン、3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノスチレン、4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノメチルスチレン、3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノメチルスチレン、4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルスチレン、3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルスチレン等のN,N−ビス(トリアルキルシリル)アミノアルキルスチレンを挙げることができる。
【0029】
アルコキシ基含有ビニルシラン化合物としては、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリプロポキシビニルシラン等のトリアルコキシビニルシラン;メチルジメトキシビニルシラン、メチルジエトキシビニルシラン等のジアルコキシアルキルビニルシラン;ジ(tert−ペントキシ)フェニルビニルシラン、ジ(tert−ブトキシ)フェニルビニルシラン等のジアルコキシアリールビニルシラン;ジメチルメトキシビニルシラン等のモノアルコキシジアルキルビニルシラン;tert−ブトキシジフェニルビニルシラン、tert−ペントキシジフェニルビニルシラン等のモノアルコキシジアリールビニルシラン;tert−ブトキシメチルフェニルビニルシラン、tert−ブトキシエチルフェニルビニルシラン等のモノアルコキシアルキルアリールビニルシラン;トリス(β−メトキシエトキシ)ビニルシラン等の置換アルコキシビニルシラン化合物を挙げることができる。中でも、モノアルコキシジアリールビニルシランが好ましい。
【0030】
アルコキシシリル基含有共役ジエン化合物としては、2−トリメトキシシリル−1,3ブタジエン、2−トリエトキシシリル−1,3−ブタジエン、2−トリプロポキシシリル−1,3−ブタジエン、2−トリブトキシシリル−1,3−ブタジエン、2−トリフエノキシシリル−1,3−ブタジエン等を挙げることができる。
【0031】
アミノ基含有ビニルシラン化合物としては、アミノシリル基含有ビニル化合物を挙げることができる。当該アミノシリル基含有ビニル化合物としては、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−プロピル)アミノ)メチルビニルシラン、ビス(ジ(n−ブチル)アミノ)メチルビニルシラン等のビス(ジアルキルアミノ)アルキルビニルシランを挙げることができる。
【0032】
(c)の方法における窒素原子含有官能基及び/又はケイ素原子含有官能基を有する有機アルカリ金属化合物としては、リチウムアミド化合物、アミノヒドロカルビルリチウム化合物、ヒドロカルビルシリロキシヒドロカルビルリチウム化合物を挙げることができる。中でも、ヒドロカルビルシリロキシヒドロカルビルリチウム化合物が好ましい。
【0033】
リチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルヘキシルアミド、リチウムジデカンアミド、リチウム−N−メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドを挙げることができる。
【0034】
アミノヒドロカルビルリチウム化合物としては、3−(N,N−ジメチルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−(N,N−ジエチルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−(N,N−ジプロピルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−(N,N−ジブチルアミノ)−1−プロピルリチウム、3−モルホリノ−1−プロピルリチウム、3−イミダゾリル−1−プロピルリチウムを挙げることができる。また、これらのアミノヒドロカルビルリチウム化合物に、ブタジエン、イソプレン、スチレン等のモノマーを、該化合物1当量あたり該モノマー1〜10当量反応させた化合物を用いてもよい。
【0035】
ヒドロカルビルシリロキシヒドロカルビルリチウム化合物としては、3−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、4−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)−1−ブチルリチウム、5−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)−1−ペンチルリチウム、6−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)−1−ヘキシルリチウム、8−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)−1−オクチルリチウム、3−(トリイソプロピルシリロキシ)−1−プロピルリチウム等のトリアルキルシリロキシアルキルリチウム;3−(tert−ブチルジフェニルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、6−(tert−ブチルジフェニルシリロキシ)−1−ヘキシルリチウム等のアルキルジアリールシリロキシアルキルリチウムを挙げることができる。中でも、トリアルキルシリロキシアルキルリチウムが好ましい。また、これらのヒドロカルビルシリロキシヒドロカルビルリチウム化合物に、ブタジエン、イソプレン、スチレン等のモノマーを、該化合物1当量あたり該モノマー1〜10当量反応させた化合物を用いてもよい。
【0036】
官能基を有する共役ジエン系重合体としては、好ましくは、窒素原子含有官能基及び/又はケイ素原子含有官能基を有する共役ジエン系重合体であり、より好ましくは、ケイ素原子含有官能基を有する共役ジエン系重合体であり、さらに好ましくは、窒素原子含有官能基及びケイ素原子含有官能基を有する共役ジエン系重合体(窒素原子及びケイ素原子を含有する官能基である場合は、当該官能基のみを有する共役ジエン系重合体であってもよい。)である。
【0037】
共役ジエン系重合体のムーニー粘度(ML1+4)は、強度を高めるために、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上である。また、加工性を高めるために、好ましくは200以下であり、より好ましくは150以下である。該ムーニー粘度(ML1+4)は、JIS K6300(1994)に従って、100℃にて測定される。
【0038】
共役ジエン系重合体のビニル結合量は、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、省燃費性を高めるために、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは70モル%以下である。また、グリップ性を高めるために、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上であり、更に好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは40モル%以上である。該ビニル結合量は、赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm-1付近の吸収強度より求められる。
【0039】
本発明で用いる共役ジエン系重合体の分子量分布は、省燃費性の観点から、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜2である。分子量分布は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定し、MwをMnで除すことにより求められる。
【0040】
シリカとしては、乾式シリカ(無水ケイ酸)、湿式シリカ(含水ケイ酸)、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどをあげることができる。これらは1種以上用いられる。シリカのBET比表面積は、好ましくは、50〜250m2/gである。該BET比表面積は、ASTM D1993−03に従って測定される。市販品としては、東ソー・シリカ社製 商品名 VN3、AQ、ER、RS−150、Rhodia社製 商品名 Zeosil 1115MP、1165MP等を用いることができる。
【0041】
シリカの配合量は、共役ジエン系重合体100重量部あたり、耐摩耗性および強度を高めるために、好ましくは1重量部以上であり、より好ましくは10重量部以上であり、更に好ましくは20重量部以上であり、特に好ましくは30重量部以上である。また、補強性を高めるために、好ましくは200重量部以下であり、より好ましくは120重量部以下であり、更に好ましくは100重量部以下である。
【0042】
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどをあげることができる。これらは1種以上用いられる。市販品としては、Degussa社製 商品名 Si69、Si75等を用いることができる。
【0043】
シランカップリング剤の配合量は、共役ジエン系重合体100重量部あたり、省燃費性を高めるために、好ましくは1重量部以上であり、より好ましくは5重量部以上である。また、経済性を高めるために、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下である。
【0044】
本発明方法では、共役ジエン系重合体とシリカとシランカップリング剤とを、水及び/又は二酸化炭素の存在下で、混練する。混練時に存在させる水と二酸化炭素の総量は、共役ジエン系重合体100重量部あたり1〜50重量部である。該量は、省燃費性を高めるために、好ましくは5重量部以上であり、より好ましくは10重量部以上である。また、該量は、省燃費性又は経済性を高めるために、好ましくは30重量部以下であり、より好ましくは20重量部以下である。
【0045】
本発明方法では、共役ジエン系重合体とシリカとシランカップリング剤とを、水及び二酸化炭素の存在下で混練することが好ましい。混練機内への水及び二酸化炭素の供給においては、水及び二酸化炭素を、水と二酸化炭素の混合用液、すなわち、炭酸水として供給することが好ましい。また、該炭酸水のpHは、4〜6が好ましい。
【0046】
共役ジエン系重合体とシリカとシランカップリング剤とを、水及び/又は二酸化炭素の存在下で、混練する際に用いる混練機としては、公知の混練機を用いることができる。例えば、一軸押出機、二軸押出機などの押出機;ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサーなどの密閉型混練機;ロール混練機があげられる。好ましくは、押出機または密閉型混練機である。
【0047】
混練温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは80〜190℃である。混練時間は、好ましくは30秒〜30分であり、より好ましくは1分〜30分である。
【0048】
共役ジエン系重合体とシリカとシランカップリング剤とを、水及び二酸化炭素の存在下で混練する際に、他の重合体成分や添加剤などを配合してもよい。また、共役ジエン系重合体とシリカとシランカップリング剤とを、水及び二酸化炭素の存在下で混練して調製した共役ジエン系重合体組成物に、更に、他の重合体成分や添加剤などを配合してもよい。
【0049】
他の重合体成分としては、天然ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体をあげることができる。これらの重合体成分は、1種以上用いられる。
【0050】
添加剤としては、公知のものを用いることができ、硫黄、有機過酸化物などの加硫剤;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤などの加硫促進剤;ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫活性化剤;カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどの充填剤;伸展油;加工助剤;老化防止剤;滑剤を例示することができる。
【0051】
上記硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄があげられる。好ましくは、粉末硫黄、不溶性硫黄である。
【0052】
上記有機過酸化物としては、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ第三ブチルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシド−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、第三ブチルヒドロペルオキシドがあげられる。
【0053】
加硫剤を配合する場合、加硫剤の配合量は、共役ジエン系重合体100重量部あたり、好ましくは0.1〜15重量部であり、より好ましくは0.3〜10重量部であり、更に好ましくは0.5〜5重量部である。
【0054】
上記加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤をあげることができる。
【0055】
加硫促進剤を配合する場合、加硫促進剤の配合量は、共役ジエン系重合体100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3重量部である。
【0056】
上記カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどをあげることができる。カーボンブラックとしては、EPC、MPC及びCCのようなチャンネルカーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスカーボンブラック;FT及びMTのようなサーマルカーボンブラック;アセチレンカーボンブラックが例示される。これらは1種以上用いられる。
【0057】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、通常、5〜200m2/gであり、また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、通常、5〜300ml/100gである。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。市販品としては、東海カーボン社製 商品名 シースト6、シースト7HM、シーストKH、Degussa社製 商品名 CK 3、Special Black 4A等を用いることができる。
【0058】
カーボンブラックを配合する場合、シリカの配合量とカーボンブラックの配合量との重量割合(シリカの配合量/ガーボンブラックの配合量)は、好ましくは30/70〜95/5である。
【0059】
上記伸展油としては、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900〜1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850〜0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790〜0.849)などをあげることができる。伸展油の多環芳香族含有量は、好ましくは3重量%未満であり、より好ましくは1重量%未満である。該多環芳香族含有量は、英国石油学会346/92法に従って測定される。また、伸展油の芳香族化合物含有量(CA)は、好ましくは20重量%以上である。これらの伸展油は、1種以上用いられる。
【0060】
共役ジエン系重合体組成物に、更に、加硫剤および加硫促進剤以外の添加剤、他の重合体成分を配合する場合、混練条件としては、混練温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは80〜190℃であり、混練時間は、好ましくは30秒〜30分であり、より好ましくは1分〜30分である。加硫剤および加硫促進剤を配合する場合、混練条件としては、混練温度は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を配合した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理を行って用いられる。加硫温度としては、好ましくは120〜200℃であり、より好ましくは140〜180℃である。
【0061】
本発明方法で得られる共役ジエン系重合体組成物は、省燃費性に優れる。また、グリップ性も良好である。
【0062】
本発明方法で得られる共役ジエン系重合体組成物は、タイヤ、靴底、床材、防振材などに用いられ、特に、タイヤに好適に用いられる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例によって本発明を説明する。
物性評価は次の方法で行った。
【0064】
1.ムーニー粘度(ML1+4(100℃))
JIS K6300(1994)に従って、100℃にて重合体のムーニー粘度を測定した。
【0065】
2.ビニル含量(単位:モル%)
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm-1付近の吸収強度より重合体のビニル含量を求めた。
【0066】
3.スチレン単位の含量(単位:重量%)
JIS K6383(1995)に従って、屈折率から重合体のスチレン単位の含量を求めた。
【0067】
4.反発弾性
JIS K−6255に従い、60℃で、リュプケ式反発弾性試験機を用いて測定した。この値が高いほど、省燃費性に優れる。
【0068】
5.グリップ性
シート状の加硫成形体から幅1mm、長さ40mmの短冊上試験片を打ち抜き、試験に供した。測定は、粘弾性測定装置VR−7110(上島製作所社製)によって、歪み0.25%及び周波数10Hzの条件下で、温度0℃での試験片の損失正接(tanδ(0℃))を測定した。この値が大きいほど、グリップ性に優れる。
【0069】
実施例および比較例で使用した共役ジエン系重合体、シリカ、シランカップリング剤は次のものである。
(a)共役ジエン系重合体
SBR1:油展スチレン−ブタジエン共重合体(トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート変性)。スチレン単位含量25重量%、ビニル含量55モル%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))52。スチレン−ブタジエン共重合体100重量部あたり、伸展油を18重量部含有。
SBR2:スチレン−ブタジエン共重合体(ジアルキルアミノビニルシラン(ビス(ジエチルアミノ)メチルビニルシラン)共重合、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド変性)。スチレン単位含量25重量%、ビニル含量55モル%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))52。
SBR3:スチレン−ブタジエン共重合体(アミノヒドロカルビルオキシシラン(3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン)変性)。スチレン単位含量25重量%、ビニル含量57モル%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))54。
SBR4:スチレン−ブタジエン共重合体(N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド変性)。スチレン単位含量22重量%、ビニル含量58モル%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))77。
SBR5:スチレン−ブタジエン共重合体(3−(tert−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウムを開始剤として使用)。スチレン単位含量24量%、ビニル含量56モル%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))43。
SBR6:スチレン−ブタジエン共重合体(テトラエトキシシラン変性)。スチレン単位含量25重量%、ビニル含量56モル%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))48。
SBR7:スチレン−ブタジエン共重合体(tert−ブトキシジフェニルビニルシラン共重合)。スチレン単位含量23重量%、ビニル含量58モル%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))53。
(b)シリカ
デグッサ社製 商品名 ウルトラシルVN3−G
(c)シランカップリング剤
デグッサ社製 商品名 Si69
【0070】
実施例1
SBR1を118重量部、水10重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(新日本石油社製、商品名:NC−140)29.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部を70℃に温調したラボプラストミルにて、約5分混練した。取り出した重合体組成物は約120℃であった。
【0071】
得られた重合体組成物に、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、硫黄1.4重量部を、50℃に温調したロールにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物をロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0072】
実施例2
水10重量部をドライアイス10重量に変更した以外は、実施例1と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0073】
実施例3
水10重量部に加えてドライアイス10重量部を用いた以外は、実施例1と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0074】
実施例4
水10重量部を炭酸水(炭酸水100mlあたりに二酸化炭素730mg溶解。pHは4〜5。)10重量部に変更した以外は、実施例1と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0075】
比較例1
水10重量部を用いなかった以外は、実施例1と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
実施例5
SBR2を100重量部、水10重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(新日本石油社製、商品名:NC−140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部を70℃に温調したラボプラストミルにて、約5分混練した。取り出した重合体組成物は約120℃であった。
【0078】
得られた重合体組成物に、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、硫黄1.4重量部を、50℃に温調したロールにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物をロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0079】
実施例6
水10重量部をドライアイス10重量に変更した以外は、実施例5と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表2に示す。
【0080】
実施例7
水10重量部に加えてドライアイス10重量部を用いた以外は、実施例5と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表2に示す。
【0081】
実施例8
水10重量部を炭酸水(炭酸水100mlあたりに二酸化炭素730mg溶解。pHは4〜5。)10重量部に変更した以外は、実施例5と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表2に示す。
【0082】
比較例2
水10重量部を用いなかった以外は、実施例5と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表2に示す。
【0083】
【表2】

【0084】
実施例9
SBR3を100重量部、水10重量部、ドライアイス10重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(新日本石油社製、商品名:NC−140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部を70℃に温調したラボプラストミルにて、約5分混練した。取り出した重合体組成物は約120℃であった。
【0085】
得られた重合体組成物に、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、硫黄1.4重量部を、50℃に温調したロールにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物をロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0086】
実施例10
水10重量部及びドライアイス10重量部にかえて、炭酸水(炭酸水100mlあたりに二酸化炭素730mg溶解。pHは4〜5。)を10重量部用いた以外は、実施例9と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表3に示す。
【0087】
比較例3
水10重量部及びドライアイス10重量部を用いなかった以外は、実施例9と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表3に示す。
【0088】
【表3】

【0089】
実施例11
SBR4を100重量部、水10重量部、ドライアイス10重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(新日本石油社製、商品名:NC−140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部を70℃に温調したラボプラストミルにて、約5分混練した。取り出した重合体組成物は約120℃であった。
【0090】
得られた重合体組成物に、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、硫黄1.4重量部を、50℃に温調したロールにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物をロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表4に示す。
【0091】
実施例12
水10重量部及びドライアイス10重量部にかえて、炭酸水(炭酸水100mlあたりに二酸化炭素730mg溶解。pHは4〜5。)を10重量部用いた以外は、実施例11と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表4に示す。
【0092】
比較例4
水10重量部及びドライアイス10重量部を用いなかった以外は、実施例11と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表4に示す。
【0093】
【表4】

【0094】
実施例13
SBR5を100重量部、炭酸水(炭酸水100mlあたりに二酸化炭素730mg溶解。pHは4〜5。)を10重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(新日本石油社製、商品名:NC−140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部を70℃に温調したラボプラストミルにて、約5分混練した。取り出した重合体組成物は約120℃であった。
【0095】
得られた重合体組成物に、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、硫黄1.4重量部を、50℃に温調したロールにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物をロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表4に示す。
【0096】
比較例5
炭酸水10重量部を用いなかった以外は、実施例13と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表5に示す。
【0097】
【表5】

【0098】
実施例14
SBR6を100重量部、炭酸水(炭酸水100mlあたりに二酸化炭素730mg溶解。pHは4〜5。)を10重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(新日本石油社製、商品名:NC−140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部を70℃に温調したラボプラストミルにて、約5分混練した。取り出した重合体組成物は約120℃であった。
【0099】
得られた重合体組成物に、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、硫黄1.4重量部を、50℃に温調したロールにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物をロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表4に示す。
【0100】
比較例6
炭酸水10重量部を用いなかった以外は、実施例14と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表5に示す。
【0101】
【表6】

【0102】
実施例15
SBR7を100重量部、炭酸水(炭酸水100mlあたりに二酸化炭素730mg溶解。pHは4〜5。)を10重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(新日本石油社製、商品名:NC−140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部を70℃に温調したラボプラストミルにて、約5分混練した。取り出した重合体組成物は約120℃であった。
【0103】
得られた重合体組成物に、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、硫黄1.4重量部を、50℃に温調したロールにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物をロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表4に示す。
【0104】
比較例6
炭酸水10重量部を用いなかった以外は、実施例14と同様に行った。加硫シートの物性評価結果を表5に示す。
【0105】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役ジエン系重合体とシリカとシランカップリング剤とを、該共役ジエン系重合体100重量部あたり1〜50重量部の水及び/又は二酸化炭素の存在下、混練機を用いて混練する共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
【請求項2】
共役ジエン系重合体100重量部あたり、1〜200重量部のシリカと1〜20重量部のシランカップリング剤とを混練する請求項1に記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
【請求項3】
50〜200℃の温度で30秒〜30分間混練する請求項1又は2に記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
【請求項4】
共役ジエン系重合体が少なくとも一種の官能基を有する変性共役ジエン系重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
【請求項5】
共役ジエン系重合体が窒素原子含有官能基及び/又はケイ素原子含有官能基を有する変性共役ジエン系重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
【請求項6】
共役ジエン系重合体が置換及び非置換のアミノ基、アミド基、=NCO−、アルコキシシリル基、ヒドロカルビルシリロキシ基及びアミノシリル基からなる官能基群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する変性共役ジエン系重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。
【請求項7】
水及び二酸化炭素をpH4〜6の炭酸水として混練機内に供給する請求項1〜6のいずれかに記載の共役ジエン系重合体組成物の製造方法。

【公開番号】特開2011−225809(P2011−225809A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254543(P2010−254543)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】