説明

共押出積層ポリエテルフィルム

【課題】 光の透過性に優れ、他の透明部材と密着しても干渉縞が発生せず、また傷付き防止性に優れた共押出積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも3層のポリエステルからなる共押出フィルムであり、両外層以外の一つの層に不活性粒子を含有し、二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm)が少なくとも片方の表面において0.7以上であり、全光線透過率が85%以上であることを特徴とする共押出積層ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタッチパネルの透明導電性フィルム、バックライトユニットの拡散板、反射板やプリズムシート、さらにプラズマディスプレーの電磁波遮蔽性フィルムなどのフィルム基材として好適に使用することのできる、透明部材に対する傷付き防止性に優れ、干渉縞発生を防止する光透過性に優れたポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
透明部材同士が密着する際に発生する干渉縞を防止することは、例えば、光学用途では重要な課題である、その対策としては両者の間に生じる間隔を一定以上に広げたり、光を散乱させたり、それらを複合したりする方法が取られている。従来、発生する干渉縞などの発生を防止するフィルムおよびシートは、透明部材と密着する表面を粗面化処理したものが用いられ、多くの場合、光散乱性を有する粒子を含有する透明樹脂層をコートしたフィルムが用いられている。例えば、特許文献1には、粒子を含む透明樹脂を、梨地状に処理したコートロールを用いて塗布したフィルムが開示されている。また、特許文献2には、紫外線硬化樹脂と球状有機粒子を用いた、光透過性に優れた干渉縞防止シートが開示されている。しかしながら、いずれの例も、塗布層の塗布工程や乾燥工程が必要であり、生産性向上に限界あり、安全衛生管理にも注意が必要である。一方、フィルムを粗面化する方法として、従来、不活性粒子を含有させる方法があるが、干渉縞を発生防止できる大きな表面突起を形成するには、大きな粒子を用いることが必要となる。例えば、特許文献3には、平均粒子径が15μmの粒子を用いた積層フィルムが開示されているが、フィルム表面粒子脱落による汚れの問題や透明部材に対する傷付き性の問題がある。また、特許文献4には、内層に比較的平均粒子径の大きな粒子を含有したフィルムが例示されているが、全光線透過率が低く、光を有効に利用する光学用途には十分ではない。
【0003】
【特許文献1】特開平09−272183号公報
【特許文献2】特開平11−227088号公報
【特許文献3】特開2004−67853号公報
【特許文献4】特開2001-253031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、光の透過性に優れ、他の透明部材と密着しても干渉縞が発生せず、また傷付き防止性に優れた共押出積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも3層のポリエステルからなる共押出フィルムであり、両外層以外の一つの層に不活性粒子を含有し、二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm)が少なくとも片方の表面において0.7以上であり、全光線透過率が85%以上であることを特徴とする共押出積層ポリエステルフィルムに存する。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のような芳香族ジカルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のようなグリコールとのエステルを主たる成分とするポリエステルである。当該ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接重合させて得られるほか、芳香族ジカルボン酸ジアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合させる方法、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる等の方法によっても得られる。当該ポリエステルの代表的なものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ボリブチレンテレフタレート等が例示される。かかるポリエステルは、共重合されないホモポリマーであってもよく、またジカルボン酸成分の40モル%以下が主成分以外のジカルボン酸成分であり、ジオール成分の40モル%以下が主成分以外のジオール成分であるような共重合ポリエステルであってもよく、またそれらの混合物であってもよい。
【0008】
本発明のフィルムは、少なくとも3層からなる共押出フィルムであり、不活性粒子を含有する共押出層(以下、単に粒子含有層と記述する)を内層のいずれかに有する。再外層のいずれかを粒子含有層にすると、不活性粒子の脱落が起こりやすくなり、製膜工程やフィルム加工工程のクリーン度を落とし、付着異物の原因となる。また、他の透明部材と密着して使用される場合、摩擦により脱落した粒子または表面突起の摩耗粉が原因となり、相手の透明部材に傷を発生させる。粒子含有層に用いる不活性粒子は、ポリエステルと非相溶の有機粒子や無機粒子が用いられる。これらの不活性粒子の5%熱分解温度(不活性ガス雰囲気中、10℃/分の昇温速度で加熱し、重量減少が5%に達する温度)は、280℃以上が好ましく、さらに好ましくは290℃以上である。不活性粒子の5%熱分解温度が280℃未満では、熱劣化によりフィルムが黄色または茶色を帯びてしまうことがある。具体的な不活性粒子の例としては、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、有機シリコーン樹脂、アクリル−スチレン共重合体等の有機質微粒子、および炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、ガラス等の無機質微粒子で単体もしくは混合体が挙げられる。これらの中でも、フィルムの延伸工程で適度に粒子が変形する有機粒子が好ましい。
【0009】
また、用いる粒子の粒子変形度は、1.5〜10の範囲が好ましく、さらに好ましくは2.0〜8.0、特に好ましくは2.0〜5.0の範囲である。粒子変形度が1.5未満では、フィルムの延伸時に粒子周りにボイドが発生しやすく、透明性の低下やフィルムからの粒子脱落が起こりやすい。一方、粒子変形度が8を超えると、フィルム表面に形成される突起高さが小さくなる傾向があり、干渉縞の発生を防止できないことがある。
【0010】
また、粒子含有層における不活性粒子の含有量は、好ましくは0.05〜1.4重量%であり、さらに好ましくは0.1〜1.2重量%である。0.05重量%未満では、干渉縞防止性に劣る傾向がある。一方、1.4重量%を超えると光透過性が低下することがある。
【0011】
さらに用いる不活性粒子の平均粒径は、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは8〜40μmである。平均粒径が5μm未満の不活性粒子では、干渉縞防止性に劣る傾向があり、また、短い波長の光が散乱され、透過光が黄色みを帯びることがある。一方、50μmを超える不活性粒子は、製膜性に劣る傾向があり、フィルムに光学上の欠陥を生じることがある。
【0012】
用いる不活性粒子の粒子径分布については、70μm以上の粗大粒子が実質的にゼロであることが好ましく、さらに好ましくは50μm以上の粗大粒子が実質ゼロであることが好ましい。70μm以上の粗大粒子が存在すると、フィルム中に異物起因の光学上の欠陥を生じる場合がある。70μm以上の粗大粒子が実質的にゼロにするには、単分散性の粒子を利用するか、不活性粒子を分級することが好ましい。ポリエステルの溶融押出し工程で適切なフィルターを設ける方法がある。なお、内層には、必要に応じて、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有してもよい。
【0013】
本発明の共押出積層ポリエステルフィルムの少なくとも片方の表面について、二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm)は0.7以上であり、好ましくは0.8以上である。5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm)が0.7未満では、透明部材と接触したときに発生する干渉縞を抑制することはできない。また、特に限定しないが、5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm)の上限の値は通常5.0である。5.0を超えると光透過性が低下する傾向がある。
【0014】
また、透明部材と接触したときに発生する干渉縞を抑制する必要のある表面を構成する層の厚みは、不活性粒子の平均粒径をd(μm)とすると、0.05d〜1.0d(μm)の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1d〜0.8dの範囲である。厚みが0.05d(μm)未満では、不活性粒子が脱落する場合があり、1.0d(μm)を超えると干渉縞の防止性に劣る傾向がある。なお、表層には、必要に応じて、微細な不活性粒子、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有してもよい。
【0015】
また本発明のフィルムの表面には、帯電性、易滑性、易接着性を有する塗布層を設けてもよい。
【0016】
本発明のフィルムの全光線透過率は、85%以上であり、好ましくは86%以上、さらに好ましくは87%以上である。全光線透過率が85%未満では、光の透過性が劣り、例えば光学用途には適さないようになる。
【0017】
次に本発明のフィルムの製造方法を具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示に限定されるものではない。
【0018】
本発明のフィルムを製造するときには、乾燥したポリエステルを押出機に供給し、各ポリエステルの融点以上の温度に加熱してそれぞれ溶融させる。次いで、Tダイから溶融シートとして押出すが、この場合、2台以上の押出機を用い多層シートとする。続いて、溶融シートを回転冷却ドラム上でガラス転位温度未満にまで急冷し、非晶質の未延伸フィルムを得る。このとき、未延伸フィルムの平面性を向上させるために、静電印加密着法や液体塗布密着法等によって、未延伸フィルムと回転冷却ドラムとの密着性を向上させてもよい。そして、ロール延伸機を用いて、未延伸フィルムをその長手方向に延伸(縦延伸)することにより一軸延伸フィルムを得る。このときの延伸温度は、原料レジンのガラス転移温度(Tg)のマイナス10℃からプラス40℃の温度範囲で延伸する。また、延伸倍率は、好ましくは2.5〜7.0倍、さらに好ましくは3.0〜6.0倍である。さらに、縦延伸を一段階のみで行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。その後、テンターに導きテンター延伸機を用いて、一軸延伸フィルムをその幅方向に延伸(横延伸)することにより二軸延伸フィルムを得る。このときの延伸温度は、原料レジンのガラス転移温度(Tg)からプラス50℃の温度範囲で延伸する。また、延伸倍率は、好ましくは2.5〜7.0倍、さらに好ましくは3.5〜6.0倍である。さらに、横延伸を一段階のみで行ってもよいし、二段以上に分けて行ってもよい。また縦と横を同時に行う同時二軸延伸を行ってもよい。そして二軸延伸フィルムを熱処理することにより積層フィルムが製造される。このときの熱処理温度は、130〜250℃である。二軸延伸フィルムを熱処理するときには、二軸延伸フィルムに対して20%以内の弛緩を行ってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光の透過性に優れ、他の透明部材と密着しても干渉縞の発生がなく、傷付き防止性に優れた共押出積層二軸延伸ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および本発明で用いた測定法および用語の定義は次のとおりである。
【0021】
(1)平均粒径
電子顕微鏡を用いて粒子を観察して最大径と最小径を求め、その平均を不活性粒子1個の粒径とした。フィルム中の少なくとも100個の不活性粒子についてこれを行い、粒子群の平均粒径は、これらの粒子の重量平均径とした。
【0022】
(2)粒子変形度
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、フィルム厚み方向にミクロトームで切断し、切断面を走査型電子顕微鏡にて観察した。粒子毎に最大径と最小径を求め、最大径が平均粒径の±10%に入る少なくとも50個の粒子について、最大径と最小径の比を算出し、その相加平均を変形度とした。
【0023】
(3)全光線透過率
日本電色工業社製分球式濁度計NDH−300Aによりフィルムの全光線透過率を測定した。
【0024】
(4)二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度
フィルム表面にアルミニウムを蒸着し、ニコンオプチフォト干渉顕微鏡を用い、二光束法にて測定した。測定波長は0.54μmで5次以上の干渉縞を示す突起個数を100cmの面積にわたって測定した。
【0025】
(5)光透過性
分光光度計UV−3100PC(島津製作所(株)製)を用いて測定した。波長800nmから400nmまでの光透過率を測定し、平均値を平均光線透過率とし、以下のように評価した。
○:平均光線透過率が80%以上であり、450nmと750nmの光線透過率の差が10%以下であり、光透過性が良好。
△:平均光線透過率が50%以上80%未満であり、450nmと750nmの光線透過率の差が8%以下であり、光透過性がやや良。
×:平均光線透過率が50%未満であるか、または450nmと750nmの光線透過率の差が8%を超え、光透過性が不良。
【0026】
(6)干渉縞防止性
表面粗さRa(小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用い、JIS−B−0601−1982に準じて測定したもので、カットオフ値は80μm、測定長は2.5mmとする)が8nmの厚さ0.2mmのポリエステルフィルムの表面に、試料フィルムの評価する表面(A層表面)と重ねて、5mm角のアクリル棒を45°の角度で100gの荷重で上から押し付けて20mm移動させ、蛍光灯下で干渉縞が発生するかどうか観察した。干渉縞防止性は以下のように評価した。
【0027】
○:アクリル棒を押し付けて、20mm移動してもリング状の干渉縞は観察されない
△:20mm移動中にわずかにリング状干渉縞が観察されるが、3分後には消える
×:20mm移動中に、明瞭なリングの干渉縞が観察され、3分後にも消えない
【0028】
(7)傷付き防止性
RUBBING TESTER(55mm/秒往復)を用い、往復運動するプレートに5cm×5cmのガーゼを24枚重ねクッションとし、その表面に試験フィルムを貼り付けた。次にJIS K6718に規定された厚み2mmのメタクリル樹脂板を両面粘着テープで固定し、その上に試験フィルムを貼り付けたプレートをおいて(フィルムA層側表面と樹脂板が接するようにした)、プレートを含めた治具の自重380gの荷重がかかった状態で10回往復運動をさせて、メタクリル板の表面に発生した、長さ5mm以上の傷を蛍光灯下で目視観察した。1試料につき3回試験を行い傷の本数の平均値を求め、以下のように評価した。
○:傷の本数が1以下であり、傷つき防止性に優れる
△:傷の本数が1を超え3以下であり、傷付き防止性がやや良い
×:傷の本数が3を超え、傷付き防止性が不良
【0029】
実施例および比較例において使用した原料の詳細は、以下のとおりである。
(原料の調整)
・ポリエステルa
常法の重縮合で合成された、極限粘度0.65、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂である。
【0030】
・ポリエステルb
常法の重縮合で合成された、極限粘度0.68、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂に、平均粒径13μm、5%熱分解温度が290℃の架橋アルキル有機粒子を練り込み2.0重量%含有させたものである。
【0031】
・ポリエステルc
常法の重縮合で合成された、極限粘度0.68、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂に、平均粒径1.7μm、5%熱分解温度が292℃の架橋アルキル有機粒子を練り込み2.0重量%含有させたものである。
・ポリエステルd
常法の重縮合で合成された、極限粘度0.68、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂に、平均粒径8.2μm、5%熱分解温度が365℃の架橋スチレン−アクリル有機粒子を練り込み2.0重量%含有させたものである。
・ポリエステルe
常法の重縮合で合成された、極限粘度0.68、融点253℃のポリエチレンテレフタレート樹脂に平均粒径10μmのシリカ粒子を練り込み2.0重量%含有させたものである。
【実施例1】
【0032】
ポリエステルa60重量%とポリエステルb40重量%の混合物をベント付き2軸押出機(メイン)に供給し、ポリエステルaを別のベント付き2軸押出機(サブ)に供給して溶融温度280℃で溶融したあと、フィルム表裏を構成する層を形成するため2つに分流し、それぞれのサブ押出機の溶融ポリマーと、メイン押出機からの溶融ポリマーとをギヤポンプフィルター(粒子を含有する溶融ポリマーを含むメイン押出し機のフィルターは50μmの粒子捕集率が75%のフィルターを用いた)を介してフィードブロックで合流させ、ダイを通してキャスティングドラムに引き取り2種3層の未延伸フィルムを得た。かくして得られた未延伸フィルムを縦延伸ロールに送り込み、まずフィルム温度83℃で3.7倍延伸した後、テンターに導き95℃で横方向に4.0倍延伸して二軸配向フィルムを得た。次いで、得られた二軸配向フィルムを熱固定ゾーンに導き、230℃で5秒間幅方向に3%弛緩させながら熱固定し、下記表1に記載した厚み構成のポリエステルフィルムを得た。なお、表1の層構成で、例えばA層/B層/A層と記載されているフィルムは、3層から構成されたフィルムであり、A層がサブ押出機からの樹脂で構成され、B層はメイン押出機からの樹脂で構成された内層を表す。またA’層は、Aと同じ樹脂からなり層の厚みが異なるものである。
【実施例2】
【0033】
ポリエステルa92.5重量%とポリエステルb7.5重量%の混合物をベント付き2軸押出機(メイン)に供給し、ポリエステルaを別のベント付き2軸押出機(サブ)に供給して溶融温度280℃で溶融し、サブ押出機の溶融ポリマーとメイン押出機からの溶融ポリマーとを、ギヤポンプフィルター(50μmの粒子捕集率が75%)を介してフィードブロックで分流させ、ダイを通してキャスティングドラムに引き取り2種3層の表1に記載した厚み構成としたほかは実施例1と同じ条件でフィルムを得た。
【0034】
(比較例1)
ポリエステルa75重量%とポリエステルc25重量%の混合物をベント付き2軸押出機に供給して溶融温度280℃で溶融しダイを通してキャスティングドラムに引き取り単層の未延伸フィルムを得て、表1に記載した厚みの構成としたほかは実施例1と同じ条件でフィルムを得た。
【0035】
(比較例2)
ポリエステルa92.5重量%とポリエステルd7.5重量%の混合物をベント付き2軸押出機(メイン)に供給したほかは実施例2と同じ条件でフィルムを得た。
【0036】
(比較例3)
ポリエステルa60重量%とポリエステルe40重量%の混合物をベント付き2軸押出機(メイン)に供給したほかは実施例1と同じ条件でフィルムを得た。
以上得られた結果をまとめて表1に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
実施例1〜2のフィルムにおいては、傷付き防止性や干渉縞防止性に優れる。特に実施例2のフィルムは、光透過性も良好である。一方、比較例1のフィルムは、単層のフィルムのため、傷付き防止性が劣った。さらに平均粒子径の小さい不活性粒子を用いたため、450nmと750nmの光線透過率の差が8%を超え、光透過性も劣った。なお、5次以上の干渉縞を有する突起密度は、小さいが干渉縞は観察されなかった、これは粒子による光散乱の効果によると考えられる。比較例2のフィルムは、不活性粒子の変形度が大きいため、5次以上の干渉縞を有する突起密度が小さくなり、干渉縞防止性が劣った。比較例3のフィルムは、全光線透過率が小さいため、平均光線透過率が50%未満となり、光透過性が劣った。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のフィルムは、例えば、タッチパネルの透明導電性フィルム、バックライトユニットの拡散板、反射板やプリズムシート、さらにプラズマディスプレーの電磁波遮蔽性フィルムなどのフィルム基材として好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3層のポリエステルからなる共押出フィルムであり、両外層以外の一つの層に不活性粒子を含有し、二光束干渉法で観察される5次以上の干渉縞を有する突起の密度(個/mm)が少なくとも片方の表面において0.7以上であり、全光線透過率が85%以上であることを特徴とする共押出積層ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2006−56090(P2006−56090A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239122(P2004−239122)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000108856)三菱化学ポリエステルフィルム株式会社 (187)
【Fターム(参考)】