説明

共有クレジット設定が可能なゲーム機

【課題】 他のゲーム機との間で通信可能なゲーム機において、自らのゲーム機と他のゲーム機の間でクレジットを共有化できる共有クレジットモードの設定が可能なゲーム機を提供する。
【解決手段】 監視部28dは当該ゲーム機筐体にコインが投入されたか否か、ゲーム開始後にゲームが消化されたか否か判定し、共通クレジット管理処理部28eは、コインが投入された場合にはコインカウントを加算し、ゲームが1回消化された場合にはコインカウント値を減算し、その後にこのゲーム機筐体について共有クレジットが設定されているか否かを判断する。S004の判断に移行する。共通クレジット管理処理部28eは、判断に際してメモリ部より情報を読み出し、このゲーム機筐体について共通クレジットが設定されている(ON)か判断する。共通クレジットが設定されていれば、自己のゲーム機および他のゲーム機と共有してクレジットを使うこととなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務用ビデオゲーム機などのコインオペレート設定方式に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用ビデオゲーム機などは、プレイヤがコインを投入してゲームを行うものが一般的であり、コイン投入個数に応じてプレイ回数が決められている場合や1プレイに対し投入するコイン数が決められている場合が多い。このプレイ回数は、業務者側が設定できるようになっており、例えば、コイン2個でゲーム回数5回できるというものである。また、場合によっては無料でプレイができるゲーム機なども存在する。
【特許文献1】特開2000−299853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、複数のゲーム機がLANなどにより接続されていて、これらゲーム機のプレイヤの間でレーシングゲームなどを行うことができる業務用ビデオゲーム機システムが一般に採用されている。
該ゲーム機システムでは、各プレイヤが各ゲーム機ごとにコインを投入してゲーム機を起動するようになっている。そのため、各ゲーム機ではプレイヤが自らコインを投入しない限り、ゲーム可能状態にはならないためゲーム機間のゲームに参加することができない。また、コインを投入してゲームに参加している間に、投入コインがすべて使い果たされたゲーム機は、ゲーム途中で離脱しなければならず、投入コインがなくなったゲーム機のプレイヤのみならず、他のプレイヤも影響を受けることとなる。これは、他のゲーム機のプレイヤを含め、投入コインの無くなったプレイヤ自身のゲームに対する興味を減退させる結果となる。
【0004】
本発明の目的は、上記問題を解決するもので、他のゲーム機との間で通信可能なゲーム機において、自らのゲーム機と他のゲーム機の間でクレジットを共有化し、他のゲーム機の投入コインによりゲームを行うことができる共有クレジット設定が可能なゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、管理者用操作部によってゲームに関する種々の設定が可能なゲーム機において、管理者用操作部からの操作信号によって共有クレジットモードを有するコインオペレート設定画面を立ち上げる管理画面起動手段と、
前記コインオペレート設定画面で共有クレジットモードを選択した場合、共有クレジット設定画面に切り換える画面切換手段と、ゲーム機間が通信により接続され、1つのゲーム機のクレジットを他のゲーム機が使用する共有クレジットを設定するための入力を行う共有クレジット設定手段と、前記共有クレジットが設定されたとき、その設定情報を記憶するデータ格納処理手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2は、請求項1記載の発明において、前記共有クレジット設定画面は、各ゲーム機毎に自己のゲーム機に対する共有クレジット設定が可能か、または各ゲーム機毎に自己のゲーム機および他のゲーム機の共有クレジット設定が可能であることを特徴とする。
本発明の請求項3は、請求項1または2記載の発明において、コインの投入、コインの使用によりコインカウントの加減算を行うコイン加減算部と、前記共有クレジットが設定されたことを検出する監視手段と、前記監視手段が共有クレジット設定を検出した場合、他の接続されたゲーム機に対し、コインカウント情報を送出する送出手段と、他のゲーム機からコインカウント情報が送られてきたとき、自己のゲーム機のコインカウント値を前記コインカウント情報によって前記コイン加減算部に演算させる共有クレジット管理処理手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、自己のゲーム機に共有クレジットが設定されていれば、自己の投入コインを用いることの他、他のゲーム機のクレジットを使うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明によるコインオペレート設定方式を適用したビデオゲーム機の外観の一例を示す斜視図である。
このビデオゲーム機1は、左右に並んだ2つの運転席を有し、左側に第1運転席2,第1運転操作部3および第1画面表示部4が、右側に第2運転席5,第2運転操作部6および第2画面表示部7がそれぞれ配置されているレースゲーム機である。
各レースゲーム機の回路部分は接続されていて、通信可能であり、例えば、第1ゲーム機側で、ゲーム開始に当たって第2ゲーム機側とレースを行う選択をした場合には、第1画面表示部4にプレイヤが選択した車と、対戦相手の車として第2ゲーム機側で選択された車が表示される。また、第2ゲーム機側ではなくコンピュータ側の車と対戦することも可能である。それぞれのゲーム機のデータを送受信することが可能である。
中央部付近には第1と第2運転席側ゲーム機それぞれのコイン投入口9が、さらにカード挿入口10が設置されている。
【0008】
第1画面表示部4(または第2画面表示部7)にデモ画面が表示されている状態でコイン投入口9にコインを投入すると、デモ画面の下部に投入したコインに対応して○○クレジットという表示がなされる。ここで、コイン枚数とは100円投入口であれば100円を投入した枚数,500円投入口であれば500円を投入した枚数である。また、クレジットとは1ゲームをプレイできる権利の単位のことを云い、ゲーム可能回数のことを意味するものである。したがって、2クレジットと表示されれば、2回ゲームが可能である。例えば、管理者用のコインオペレート設定画面において、コイン枚数Nに対しクレジット数Mを決められた範囲で設定できるモード(共有クレジットのモードとは異なる)で、「2コイン5クレジット」と設定されればコイン2枚で5ゲームできることとなる。コイン投入口が100円のゲーム機であれば、200円投入して5クレジットと表示されて5ゲームできることとなり、100円しか投入しない場合はコインが不足し画面にはクレジットの数値は表示されず1ゲームもできない。
また、カード挿入口10にカードを装着した場合にはカードに記録されているプレイヤのデータが読み込まれる。カードには、例えばカード番号,ID,性別,年齢,生月日,所定のゲーム機の進行状態を示すデータなどが記録されている。
【0009】
図2は、本発明によるコインオペレート設定方式を適用したビデオゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。第1および第2ゲーム機にはそれぞれ図2に示す回路ブロックが搭載されている。
コイン投入口9からのコイン入力を検知するコイン関連装置(コインカウンタ,コインボックスなど)20が入出力制御装置21を介してバス23に接続されている。また、カード挿入部10にカードが挿入された場合、その内容を読み込むカード読込装置19も入出力制御装置21を介してバス23に接続されている。バックアップメモリ22はコイン数などの設定値が記憶されるものである。
【0010】
操作部27は決定ボタンを兼ねるスタートボタン,ハンドル,アクセル,ブレーキ,シフトレバー,ビューチェンジボタン(これらボタン類は図示されていない)などを備えている。操作部27のボタン類を操作すると、図示しないスイッチ接点が動作し、スイッチ接点の動作により発生した信号が入出力制御装置21,バス23を介してCPU28に送られる。CPU28は操作部27のどのボタン類からのどのような信号であるかを認識し、入力した信号に基づいた処理を行う。
また、管理者のみが操作できる管理者用操作部35は、管理機能起動ボタン35a,選択ボタン35b,英数入力ボタン35cおよび決定ボタン35dを備えている。管理者用操作部35からの信号は、入出力制御装置21,バス23を介してCPU28に送られ、CPU28は操作部35の、どのボタン類からのどのような信号であるかを認識し、その信号に基づいた処理を行う。
【0011】
CPU28は、ROM30に格納されているプログラムに基づきゲーム機全体の制御を行い、操作部からの操作信号によりレースゲームを進行させる。また、通信インタフェース部34を介して一方のゲーム機に対し通信を行い、相手ゲーム機の車とレースをする場合の通信制御を行う。
ワークRAM29は、CPU28が演算,処理するときの作業領域として用いられる。3次元画像処理部32はCPU28からの表示制御指示に従っての3次元処理を行い、モニタ33(第1画面表示部4または第2画面表示部7)に3D像を表示する。コミュニケーションRAM24は、サウンドに関するCPU28の指令を格納しており、CPU28がサウンド状況を確認するときに使用される。サウンドシステム回路25はCPU28の指令に基づきサウンドを生成する。
【0012】
CPU28は、管理機能起動ボタン35aの操作にしたがってコインオペレート設定画面を立ち上げる管理画面起動部28aの機能を有している。また、選択ボタン35bにより選択された項目、例えば共有クレジットモードが選択された場合、その詳細設定画面に切り換える画面切換部28bの機能を有している。さらに共有クレジットモードの詳細設定画面に切り換えられ、英数ボタン35cにより共有クレジットの内容が入力設定された場合、該データに基づき一定のデータを生成し、その情報をRAM31に格納する入力データ格納処理部28cの機能を有している。
さらには、デモ表示状態でプレイヤのコイン投入を検出したか否か、およびカードが挿入されたか否かを監視する監視部28dの機能を有している。また、コイン投入を検出した場合、他のゲーム機からコインカウント情報(例えば2コイン分減算,3コイン分加算などの情報)が送られてきた場合、コインの加減算を行う加減算部28eおよびRAM31から共通クレジットのデータを読み出して共通クレジット設定の有無を判断し、その内容に従って他のゲーム機筐体にコインカウント情報を送信したり、他のゲーム機筐体からコインカウント情報が送られてきた場合、加減算部にコインカウントを加減算させる共通クレジット管理処理部28fの機能を有している。
【0013】
図3は、管理者がコインオペレート設定する場合の操作を説明するための図である。
管理者用操作部35の管理起動ボタン35aを押すと、管理画面起動部28aはモニタ33(図1の第1画面表示部4または第2画面表示部7を管理画面として用いる)に図3(a)に示すコインオペレート設定の画面を表示する。選択ボタン35bにより共有クレジットモードを選択し、決定ボタン35dを押すと、画面切換部28bは図3(b)に示すような共有クレジットモードの詳細を設定する画面に切り換える。この画面では、選択ボタン35bにより筐体の(1) (2) (3) (4) についてそれぞれを選択し、設定(ON),設定なし(OFF)のいずれかを英数入力ボタン35cにより設定できる。
【0014】
この設定画面は、1つのゲーム機筐体からそのゲーム機は勿論,他のゲーム機筐体についての共有クレジットの設定,設定なしを入力可能である。
図3(b)の例では筐体(1) (3) (4) について共有クレジットを設定した状態が示されている。ゲーム機筐体(1) (3) (4) の間で、いずれに投入されているコインについても相互に使用することが可能となる。
【0015】
図3(c)はコインオペレート設定の画面から共通クレジットモードを選択したときのプレイ料金設定画面の他の例を示すものである。
この例は、当該ゲーム機筐体のみについて共通クレジット設定ができるようにしたものである。このようにゲーム機1台1台についてそれぞれ設定するような設定画面を採用する場合は、各ゲーム機筐体についてそれぞれ設定する必要がある。
【0016】
図4は、共有クレジットをチェックする動作シーケンスを説明するためのフローチャートである。
ゲーム待ち受け状態図5(a)または図5(b)およびゲーム処理中(ステップ(以下「S」という)001)、監視部28dは当該ゲーム機筐体にコインが投入されたか否か、ゲームが行われたか否かを判定する(S002)。共通クレジット管理処理部28fは、コインが投入された場合にはコイン加減算部28eにコインカウント値を加算させ、ゲームが行われる場合にはコインカウント値を減算させ(S003)、その後にこのゲーム機筐体について共有クレジットが設定されているか否かを判断する(S004)。一方、S002においてコインが投入されず、また、ゲームも行われなかった場合にはS004にそのまま移行する。
【0017】
共通クレジット管理処理部28fは、RAM31より情報を読み出し、このゲーム機筐体について共通クレジットが設定されている(ON)か判断することとなる。共通クレジットが設定されていなければ(OFF)、S001に戻る。このゲーム機筐体について共通クレジットが設定されていれば、このゲーム機のコインカウント情報を他の共通クレジットが設定されたゲーム機に通信インタフェース部34を介して送信する(S005)。この時のコインカウント情報は、自己のゲーム機で使用すべきクレジットがない情報(コインカウント値が0)や自己のゲーム機で使用すべきクレジットがある情報(コインカウント値が1以上の情報)であり、自己のゲーム機で使用すべきクレジットがない場合でゲームを行うときには減算情報を他のゲーム機に流す。また、共通クレジット管理処理部28fは、通信インタフェース部34を介して他のゲーム機からコインカンウト情報が送られてきたか否かを判断する(S006)。他のゲーム機からコインカンウト情報が送られてきた場合にはその内容に従ってコインカウントの加減算を行う(S007)。S006において、コインカンウト情報が送られてきていない場合、およびS007の処理を行った後はS001に戻る。
【0018】
以上のように、通信が可能な複数のゲーム機に共有クレジットが設定されている場合には、自己のゲーム機にコイン投入がなくてクレジットがなくても、他のゲーム機にコイン投入があってクレジットがあれば、そのクレジットを使って自己のゲーム機でプレイすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
対戦ゲームなどの業務用ビデオゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による共有クレジット設定が可能なゲーム機の外観の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明による共有クレジット設定が可能なゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】管理者がコインオペレート設定の共有クレジットを設定する場合の操作を説明するための図である。
【図4】共有クレジットをチェックする動作シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図5】図4の動作シーケンスにおける画面表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ビデオゲーム機
2 第1運転席
3 第1運転操作部
4 第1画面表示部
5 第2運転席
6 第2運転操作部
7 第2画面表示部
8 パネル部
9 コイン投入口
10 カード挿入部
19 カード読込装置
20 コイン関連装置
21 入出力制御装置
22 バックアップメモリ
23 バス
24 コミュニケーションRAM
25 サウンドシステム回路
26 スピーカ
27 操作部
28 CPU
28a 管理画面起動部
28b 画面切換部
28c 入力データ格納処理部
28d 監視部
28e コイン加減算部
28f 共有クレジット管理処理部
29 ワークRAM
30 ROM
31 RAM
32 3次元画像処理部
33 モニタ
34 通信インタフェース部
35 管理者用操作部
35a 管理機能起動ボタン
35b 選択ボタン
35c 英数入力ボタン
35d 決定ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理者用操作部によってゲームに関する種々の設定が可能なゲーム機において、
管理者用操作部からの操作信号によって共有クレジットモードを有するコインオペレート設定画面を立ち上げる管理画面起動手段と、
前記コインオペレート設定画面で共有クレジットモードを選択した場合、共有クレジット設定画面に切り換える画面切換手段と、
ゲーム機間が通信により接続され、1つのゲーム機のクレジットを他のゲーム機が使用する共有クレジットを設定するための入力を行う共有クレジット設定手段と、
前記共有クレジットが設定されたとき、その設定情報を記憶するデータ格納処理手段と、
を備えたことを特徴とする共有クレジット設定が可能なゲーム機。
【請求項2】
前記共有クレジット設定画面は、各ゲーム機毎に自己のゲーム機に対する共有クレジット設定が可能か、または各ゲーム機毎に自己のゲーム機および他のゲーム機の共有クレジット設定が可能であることを特徴とする請求項1記載の共有クレジット設定が可能なゲーム機。
【請求項3】
コインの投入、コインの使用によりコインカウントの加減算を行うコイン加減算部と、
前記共有クレジットが設定されたことを検出する監視手段と、
前記監視手段が共有クレジット設定を検出した場合、他の接続されたゲーム機に対し、コインカウント情報を送出する送出手段と、
他のゲーム機からコインカウント情報が送られてきたとき、自己のゲーム機のコインカウント値を前記コインカウント情報によって前記コイン加減算部に演算させる共有クレジット管理処理手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の共有クレジット設定が可能なゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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