説明

共通クエリグラフパターン生成装置、生成方法、生成用プログラム、およびこれらを用いた共通サブグラフ検索装置、検索方法、検索用プログラム

【課題】 グラフ構造を持つ大量のデータの中からクエリグラフパターンが一致する情報を検索する際、ユーザにより入力された情報または予め設定された情報に関連し共通の意味合いの構造を持つ情報を取得することができるクエリグラフパターンを生成できる共通クエリグラフパターン生成装置、生成方法、および生成用プログラムを提供する。
【解決手段】 ユーザ端末20から入力された情報または予め設定された情報を基に、グラフ構造データベース30から取得した複数のノードまたはプロパティ間に存在するパスを検索するための検索クエリグラフパターンにマッチする検索サブグラフをグラフ構造データベース30から取得し、この検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを抽出し、抽出されたグラフ構造に含まれる任意のノード名およびプロパティ名を変数にすることにより共通クエリグラフパターンを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨大なデータの中からユーザが必要とする情報を検索するために用いる共通クエリグラフパターン生成装置、生成方法、生成用プログラム、およびこれらを用いた共通サブグラフ検索装置、検索方法、検索用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータネットワーク上には大量のデータが存在しており、ユーザはその中から所望のデータを検索することが困難になってきている。そのため、大量のデータから所望のデータを簡易に入手するための精度の高い検索技術が注目を集めている。
【0003】
このような精度の高い検索を行うために用いられる技術にセマンティックWebがある。このセマンティックWebは、Webサイト上にメタデータとしてセマンティクス(意味情報)を付与し、人の手を使わずにデータを機械的に処理できる空間を創出するものである。
【0004】
このセマンティックWebを利用した技術が非特許文献1に記載されている。この文献には、セマンティックWebを利用し、メタデータの記述方法を定めたResource Description Framework(RDF)により表現されたグラフ構造のデータから、グラフパターンをクエリとしてマッチングさせて必要なデータを検索する技術が記載されている。またこの文献では、マッチした部分をサブグラフとして取得するための仕様が規定されている。
【非特許文献1】SPARQL Query Language for RDF URL:http://www.w3.org/TR/RDF-sparql-query/
【非特許文献2】gSpan: Graph-Based Substructure Pattern Mining, Proceedings of the 2002 IEEE International Conference on Data Mining(ICDM’02),IEEE Computer Society,Washington,DC,USA
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この非特許文献1に記載の技術では、グラフ構造を持つ大量のデータの中から所望のサブグラフを抽出する際、予め抽出したいサブグラフの構造が分かっていなければならなかった。これは、ユーザの検索履歴データやユーザプロファイルデータの情報があってもこれらの情報からクエリグラフパターンを作成する方法については明示されていないため、ユーザ自身がそのグラフパターンをクエリとして入力しなければならないからである。そのため、ユーザによって異なる興味や関心に応じてクエリグラフパターンを変更する場合も、ユーザ自身が変更するグラフパターンを直接指定しなければならず、手間がかかるという問題があった。
【0006】
また、非特許文献2には、グラフ集合から頻出部分のサブグラフを検出するアルゴリズムが記載されている。しかしこの技術は、グラフ構造を持った膨大な情報の中から頻出のサブグラフ構造を検出することはできるが、その際ユーザの興味対象に関連づけられた構造に基づいて検出することはできない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、グラフ構造を持つ大量のデータの中からクエリグラフパターンが一致する情報を検索する際、ユーザにより入力された情報または予め設定された情報に関連し且つ共通の意味合いの構造を持つ情報を取得することができるクエリグラフパターンを自動的に生成できる共通クエリグラフパターン生成装置、生成方法、生成用プログラム、およびこれらを用いた共通サブグラフ検索装置、検索方法、検索用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、グラフグラフ構造を持つデータが格納されているグラフ構造データベースに接続され、ユーザから入力された情報または予め設定された情報を基に、グラフ構造データベースから取得した複数のノードまたはプロパティ間に存在するパスを検索するための検索クエリグラフパターンを生成する検索クエリグラフパターン生成手段と、生成された検索クエリグラフパターンにマッチする検索サブグラフをグラフ構造データベースから取得する検索サブグラフ取得手段と、取得された検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを抽出し、この抽出されたグラフ構造に含まれる任意のノード名およびプロパティ名を変数にすることにより、ユーザにより入力された情報または予め設定された情報に関連する情報が追加されたデータを検索するための共通クエリグラフパターンを生成する共通クエリグラフパターン生成手段とを備える。
【0009】
また、共通クエリグラフパターン生成手段において、検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを、オントロジを用いて抽出するようにしてもよい。
【0010】
また、共通クエリグラフパターン生成手段において生成された共通クエリグラフパターンの変数であるノードのいずれかに、ユーザ端末から入力された情報または予め設定された情報を代入した共通クエリグラフパターンを生成するようにしてもよい。
【0011】
また、この共通クエリグラフパターンによりグラフ構造データベースから取得されたユーザにより入力された情報または予め設定された情報に関連する情報が追加された共通サブグラフのデータを、表形式で表示させるためのデータに変換する表示データ変換手段を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、グラフ構造を持つ大量のデータの中からクエリグラフパターンが一致する情報を検索する際に、ユーザによりキーワードまたは概念などの情報が入力されることにより、これらの情報に関連し且つ共通の意味合いの構造を持つ情報を取得することができるクエリグラフパターンを自動的に生成することができるため、所望の情報を効率よく取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の共通クエリグラフパターン生成装置の一実施形態を、図1〜図19を用いて説明する。
【0014】
《一実施形態による検索システム1の構成》
図1は、本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置としての共通クエリグラフ生成部13を有する検索装置10を用いた検索システム1の構成を示す全体図である。
【0015】
本実施形態における検索システム1は、検索装置10と、ユーザ端末20と、グラフ構造データベース30と、オントロジデータベース40とを有する。
【0016】
検索装置10は、ユーザ端末20、グラフ構造データベース30、およびオントロジデータベース40にアクセス可能な状態で接続されている。
【0017】
また、検索装置10は、ユーザに検索内容の情報を入力させるための入力用GUIを生成する入力用GUI生成部11と、この入力用GUIに入力された情報に基づいて共通クエリグラフパターンを生成してこの共通クエリグラフパターンにマッチする情報をグラフ構造データベースから取得する共通クエリグラフパターン生成部12と、生成された共通クエリグラフパターンを蓄積する共通クエリグラフパターン蓄積部13と、ユーザに検索結果を提示するための出力用GUIを生成する出力用GUI生成部14とを有する。
【0018】
グラフ構造データベース30は、図2に示すようなグラフ構造を持つデータが格納されている。本実施形態におけるグラフ構造データはラベル付き有向グラフデータであり、データのアーク(ノード間を結ぶ矢印)をRDFの仕様に基づいてプロパティと称する。
【0019】
図3は、これらのグラフ構造データがどのように既存のリレーショナルデータベースなどで管理されているデータから生成され、グラフ化されているかを示す説明図である。図3は図2のデータの一部を示したものであり、ドキュメント「T-041」とそのドキュメントの著者「山田太郎」と、そのドキュメントの題名「セマンティックWeb入門」と、そのドキュメントのキーワード「セマンティックWeb」とが与えられているデータを、XML形式およびグラフ形式を用いてRDFで表現したものである。
【0020】
オントロジデータベース40は、図4に示すようなWeb Ontology Language(OWL)を用いて表現される、言葉の意味や分類体系を定義するためのオントロジデータが格納されている。図4では、プロパティ「rm:キーワード」とプロパティ「ms:用語」とは等価であり、プロパティ「rm:著者」とプロパティ「ms:著者」とは等価であることが示されている。
【0021】
《一実施形態による検索システム1の動作》
次に、上記のように構成された検索システム1の動作を、図5のシーケンス図を用いて説明する。
【0022】
まず、入力用GUI生成部11において入力用GUIが生成される(S1)。本実施形態において生成される入力用GUIには、図6に示すように、キーワードを入力するスペースと、概念(クラス)を選択する欄が設けられている。
【0023】
そして、生成された入力用GUIがユーザ端末20に表示され、ユーザによりキーワードの入力および概念が選択される(S2)。本実施形態においては、ユーザによりキーワードとして「セマンティックWeb」が入力され、概念(クラス)として「人」が選択されている。入力されたキーワードおよび選択された概念のデータは共通クエリグラフパターン生成部12に出力される。
【0024】
共通クエリグラフパターン生成部12では、取得したキーワードを基にグラフ構造データベース30にアクセスが行われる(S3)。
【0025】
そして、グラフ構造データベース30において、このキーワード「セマンティックWeb」につながるプロパティが抽出される(S4)。抽出されたプロパティのアークが太線で示され、プロパティ名に下線が引かれたグラフ構造データの例を図7に示す。
【0026】
さらにグラフ構造データベース30において、これらの太線で示されたプロパティ「rm:キーワード」または「ms:用語」を基に、このプロパティ「rm:キーワード」または「ms:用語」と、ユーザにより選択されたクラス「Person:人」のインスタンス「Person:山田太郎」、「Person:田中一郎」、または「Person:鈴木花子」との間にあるパスをグラフ構造データベース30から抽出することが可能な検索クエリグラフパターンが全て生成される(S5)。
【0027】
図8は、生成された検索クエリグラフパターンを示す説明図である。本実施形態においては図8に示すように、ステップS4で抽出されたプロパティ「rm:キーワード」または「ms:用語」と、ユーザにより選択されたクラス「Person:人」と、このクラス「Person:人」のインスタンス「Person:山田太郎」、「Person:田中一郎」、または「Person:鈴木花子」からクラス「Person:人」につながるプロパティ「rdf:type」とが固定された2種類の検索クエリグラフパターンが生成されている。図8において、名称の先頭に「?」マークが記載されているノードは、任意の値が入る可能性がある変数であることを示している。
【0028】
次に、生成された2種類の検索クエリグラフパターンを基に、共通クエリグラフパターン生成部12からグラフ構造データベース30にアクセスされる(S6)。
【0029】
そして、グラフ構造データベース30においてこの検索クエリグラフパターンにマッチする検索サブグラフ(変数ノード「?keyword」と変数ノード「?Person」との間にパスが存在するサブグラフ)が抽出される(S7)。
【0030】
図9は、グラフ構造データベース30から抽出された検索サブグラフの一例である第1検索サブグラフを示す説明図である。この第1検索サブグラフでは、変数ノード「?keyword」としてノード「XML」がマッチした検索サブグラフを示す。このとき、変数ノード「?Person」の値が同一のデータについては同一ノードを1つのみ表示するようにする。
【0031】
このように、変数ノード「?keyword」がノード「XML」であり同一の変数ノード「?Person」ごとに示された第1検索サブグラフは、図9に示すとおり(1)変数ノード「?Person」がノード「Person:山田太郎」の場合、(2)変数ノード「?Person」がノード「Person:鈴木花子」の場合、(3)変数ノード「?Person」がノード「Person:中村二郎」の場合の3種類である。
【0032】
次に、これら3種類の第1検索サブグラフの中から、2点(ノード「XML」および変数ノード「?Person」)のノード間が2個以上の複数のパスで構成され、この複数のパスで構成されたグラフの構造およびこのパスのプロパティが一致し、且つこの一致した複数のパスで構成されたグラフの構造およびこのパスのプロパティが複数の検索結果の中に存在する部分第1検索サブグラフが抽出される(S8)。
【0033】
図10は、第1検索サブグラフから抽出された部分第1検索サブグラフのプロパティを太線で示した状態を示す説明図である。本実施形態においては、ノード「XML」に2本のプロパティ「rm:キーワード」がつながり、変数ノード「?Person」にプロパティ「pj:担当者」とプロパティ「rm:著者」とがつながっている構造の部分検索サブグラフが抽出されている。
【0034】
そして、この部分第1検索サブグラフにおいて、共通した構造およびプロパティ以外のノード「XML」、「Aプロジェクト」、「rm:T-041」、「Bプロジェクト」、「rm:T-057」、「Person:山田太郎」、および「Person:鈴木花子」を変数ノードとした第1共通クエリグラフパターンが共通クエリグラフパターン生成部12において生成される(S9)。
【0035】
生成された第1共通クエリグラフパターンは、共通クエリグラフパターン生成部12から共通クエリグラフパターン蓄積部13に送出され蓄積される(S10)。
【0036】
図11は、生成された第1共通クエリグラフパターンを示す説明図である。本実施形態においては図11に示すように、ステップS8で抽出されたプロパティ「rm:キーワード」、「pj:担当者」、および「tm:著者」が固定された第1共通クエリグラフパターンが生成されている。
【0037】
一方、ステップS7において、変数ノード「?keyword」としてノード「セマンティックWeb」がマッチした第2検索サブグラフについて説明する。
【0038】
図12は、変数ノード「?keyword」としてノード「セマンティックWeb」がマッチした第2検索サブグラフを示す説明図である。ここでも、変数ノード「?Person」の値が同一のデータについては同一ノードを1つのみ表示するようにする。
【0039】
このように、変数ノード「?keyword」がノード「セマンティックWeb」であり同一の変数ノード「?Person」ごとに示された第2検索サブグラフは、図12に示すとおり(1)変数ノード「?Person」がノード「Person:山田太郎」の場合、(2)変数ノード「?Person」がノード「Person:田中一郎」の場合、(3)変数ノード「?Person」がノード「Person: 鈴木花子」の場合の3種類である。
【0040】
次に、この第2検索サブグラフに含まれるプロパティを基に、共通クエリグラフパターン生成部12からオントロジデータベース40にアクセスされる(S11)。
【0041】
そして、オントロジデータベース40において、これらの第2検索サブグラフに含まれるプロパティの中に同じ意味に分類されているものがあるかどうか検索される。ここでは、第2検索サブグラフのプロパティに含まれ、同じ意味に分類されている「キーワード」と「用語」とが抽出され、共通クエリグラフパターン生成部12に送出される(S12)。
【0042】
次に、3種類の第2検索サブグラフの中から、2点(ノード「セマンティックWeb」および変数ノード「?Person」)のノード間が2個以上の複数のパスで構成され、この複数のパスで構成されたグラフの構造およびこのパスのプロパティが一致し、且つこの一致した複数のパスで構成されたグラフの構造およびこのパスのプロパティが複数の検索結果の中に存在する部分第2検索サブグラフが抽出される。このとき、ステップS14で抽出された単語は同一とみなされ、部分第2検索サブグラフが抽出される(S8)。
【0043】
図13は、第2検索サブグラフから抽出された部分第2検索サブグラフのプロパティを太線で示した状態を示す説明図である。本実施形態においては、ノード「セマンティックWeb」に2本のプロパティ「rm:キーワード」または「ms:用語」がつながり、変数ノード「?Person」にプロパティ「rm:著者」またはプロパティ「ms:著者」とがつながっている構造の部分第2検索サブグラフが抽出されている。
【0044】
そして、この部分第2検索サブグラフにおいて、共通した構造およびプロパティ以外のノード「セマンティックWeb」、「rm:T-041」、「ms:PF1-14」、「rm:T-053」、「rm:T-048」「Person:山田太郎」、および「Person:田中一郎」を変数ノードとした第2共通クエリグラフパターンが共通クエリグラフパターン生成部12において生成される(S9)。
【0045】
生成された第2共通クエリグラフパターンも、共通クエリグラフパターン生成部12から共通クエリグラフパターン蓄積部13に送出され蓄積される(S10)。
【0046】
図14は、生成された第2共通クエリグラフパターンを示す説明図である。本実施形態においては図14に示すように、ステップS8で抽出されたプロパティ「rm:キーワード」、「rm:キーワード」もしくは「ms:用語」、「rm:著者」、「rm:著者」もしくは「ms:著者」が固定された第2共通クエリグラフパターンが生成されている。
【0047】
次に、図15に示すように、ステップS9で生成された第1クエリグラフパターンの変数ノード「?keyword」にユーザにより入力されたキーワード「セマンティックWeb」を代入し、この第1クエリグラフパターンを基に、共通クエリグラフパターン生成部12からグラフ構造データベース30にアクセスされる(S13)。
【0048】
そして、グラフ構造データベース30においてこのキーワード「セマンティックWeb」が代入された第1クエリグラフパターンにマッチする第1共通サブグラフが抽出される(S14)。
【0049】
図16は、グラフ構造データベース30から抽出された第1共通サブグラフを示す説明図である。本実施形態においては抽出された第1共通サブグラフは1件のみであり、これはユーザにより入力されたキーワード「セマンティックWeb」以外の技術(ここでは「XML」)においてみられたクラス「人」とクラス「技術」との間に共通して存在する強い関連性のある情報が、キーワード「セマンティックWeb」に関しては1件しかなかったことを示している。
【0050】
次に、図17に示すように、ステップS9で生成された第2クエリグラフパターンの変数ノード「?keyword」にユーザにより入力されたキーワード「セマンティックWeb」を代入し、この第2クエリグラフパターンを基に、共通クエリグラフパターン生成部12からグラフ構造データベース30にアクセスされる(S13)。
【0051】
そして、グラフ構造データベース30においてこのキーワード「セマンティックWeb」が代入された第2クエリグラフパターンにマッチする第2共通サブグラフが抽出される(S14)。
【0052】
本実施形態においては抽出された第2共通サブグラフは2件であり、これはクラス「人」とクラス「技術」との間に共通して存在する強い関連性のある情報が、キーワード「セマンティックWeb」に関しては2件存在するとともに、この2件の中のノード「Person:」に示される「山田太郎」と「田中一郎」とは、キーワード「セマンティックWeb」に関して類似した情報を持つことを示している。
【0053】
抽出された2件の第2共通サブグラフは、共通クエリグラフパターン生成部12において、同一のノードを1つのノードとして表すように2つのグラフがマージされる(S15)。
【0054】
図18は、2件の第2共通サブグラフがマージされた状態を示す説明図である。
【0055】
さらに、このマージされた第2共通サブグラフは、出力用GUI生成部14において図19に示すような表形式の出力用GUIが生成され(S16)、ユーザ端末20において表示される(S17)。この際、グラフ構造データベースのデータよりドキュメントの題名がわかっているものについては併せて表示される。図19においては、ドキュメント「rm:T-041」とともにこのタイトル「セマンティックWeb入門」が表示されている。
【0056】
以上の実施形態によれば、グラフ構造を持つ大量のデータの中からクエリグラフパターンが一致する情報を検索する際に、ユーザにより入力されたキーワード「セマンティックWeb」および概念「人」に関連し意味的に共通の構造を持つ情報を自動的に取得し、ユーザに見やすい形式で提供することができる。
【0057】
また、ステップ11において共通クエリグラフパターンが蓄積されることにより、グラフ構造データベース30にデータが追加された際にも、蓄積されている共通クエリグラフパターンを基にグラフ構造データベース30を再度検索すれば追加されたデータも含まれた情報を取得することができる。
【0058】
本実施形態では、ステップS5において検索クエリグラフパターンを生成する際、2点のノード間のノードが1個の検索サブクエリを検索するための検索クエリグラフパターンを生成しているが、これには限定されず、2個以上のノードが存在する検索クエリグラフパターンを生成することも可能である。また、キーワードにつながるプロパティによって制約されるノードのみ、もしくはクラスによって制約されるノードのみで2点を構成して検索クエリグラフパターンを生成することも可能である。さらには、プロパティの矢印の向きに応じて複数の検索クエリグラフパターンを生成することも可能である。
【0059】
また、本実施形態では、ステップS8において部分第1検索サブグラフを抽出する際、2点のノード間が2個以上の複数のパスで構成されていることを条件としているが、これには限定されず、このパスの個数については可変とすることができる。その際、検索結果の中にどれだけの個数の同じ構造があれば抽出するかといった条件についても可変とすることができる。
【0060】
また、本実施形態では、ステップS9において部分第1検索サブグラフに含まれるノードを変数にすることにより共通クエリグラフパターンを生成したが、この方法には限定されず、一部のプロパティ名を変数とした共通クエリグラフパターンを生成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置が用いられている検索システム1の構成を示す全体図である。
【図2】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置に接続されているグラフ構造データベース内のデータを示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置に接続されているグラフ構造データベース内のデータの一部であり、元のリレーショナルデータベースにおけるデータと、このデータをXML形式およびグラフ形式を用いてRDFで表現した状態を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置に接続されているオントロジデータベース内のデータの一部を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置が用いられている検索システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置に入力される入力GUIを示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で取得された、入力キーワードにつながるプロパティを太線で示したグラフ構造データを示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で生成された検索クエリグラフパターン示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で取得された検索クエリグラフパターンにマッチした検索サブグラフの例を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で取得された検索サブグラフにおいて共通する構造およびプロパティを太線で示した状態を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で生成された共通クエリグラフパターンの一例を示す説明図である。
【図12】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で取得された検索クエリグラフパターンにマッチした検索サブグラフの例を示す説明図である。
【図13】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で取得された検索サブグラフにおいて共通する構造およびプロパティを太線で示した状態を示す説明図である。
【図14】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で生成された共通クエリグラフパターンの一例を示す説明図である。
【図15】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で生成された共通クエリグラフパターンにユーザにより入力されたキーワードを代入した状態の一例を示す説明図である。
【図16】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で取得された共通クエリグラフパターンにマッチした共通サブグラフの一例を示す説明図である。
【図17】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で生成された共通クエリグラフパターンにユーザにより入力されたキーワードを代入した状態の一例を示す説明図である。
【図18】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置で取得された共通クエリグラフパターンにマッチした共通サブグラフの一例を示す説明図である。
【図19】本発明の一実施形態による共通クエリグラフパターン生成装置に接続されているユーザ端末で表示された表形式のデータを示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1…検索システム
10…検索装置
11…入力用GUI生成部
12…共通クエリグラフパターン生成部
13…共通クエリグラフパターン蓄積部
14…出力用GUI生成部
20…ユーザ端末
30…グラフ構造データベース
40…オントロジデータベース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフ構造を持つデータが格納されているグラフ構造データベースに接続され、
ユーザから入力された情報または予め設定された情報を基に、前記グラフ構造データベースから取得した複数のノードまたはプロパティ間に存在するパスを検索するための検索クエリグラフパターンを生成する検索クエリグラフパターン生成手段と、
生成された検索クエリグラフパターンにマッチする検索サブグラフを前記グラフ構造データベースから取得する検索サブグラフ取得手段と、
取得された検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを抽出し、この抽出されたグラフ構造に含まれる任意のノード名およびプロパティ名を変数にすることにより、前記ユーザにより入力された情報または予め設定された情報に関連する情報が追加されたデータを検索するための共通クエリグラフパターンを生成する共通クエリグラフパターン生成手段と、
を備えることを特徴とする共通クエリグラフパターン生成装置。
【請求項2】
前記共通クエリグラフパターン生成手段において、前記検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを、オントロジを用いて抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の共通クエリグラフパターン生成装置。
【請求項3】
前記共通クエリグラフパターン生成手段において生成された共通クエリグラフパターンの変数であるノードのいずれかに、前記ユーザから入力された情報または予め設定された情報を代入した共通クエリグラフパターンを生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の共通クエリグラフパターン生成装置。
【請求項4】
ユーザから入力された情報または予め設定された情報を基に、グラフ構造を持つデータが格納されているグラフ構造データベースから取得した複数のノードまたはプロパティ間に存在するパスを検索するための検索クエリグラフパターンを生成する検索クエリグラフパターン生成ステップと、
生成された検索クエリグラフパターンにマッチする検索サブグラフを前記グラフ構造データベースから取得する検索サブグラフ取得ステップと、
取得された検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを抽出し、この抽出されたグラフ構造に含まれる任意のノード名およびプロパティ名を変数にすることにより、前記ユーザにより入力された情報または予め設定された情報に関連する情報が追加されたデータを検索するための共通クエリグラフパターンを生成する共通クエリグラフパターン生成ステップと、
を備えることを特徴とする共通クエリグラフパターン生成方法。
【請求項5】
前記共通クエリグラフパターン生成ステップにおいて、前記検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを、オントロジを用いて抽出する
ことを特徴とする請求項4に記載の共通クエリグラフパターン生成方法。
【請求項6】
前記共通クエリグラフパターン生成ステップにおいて生成された共通クエリグラフパターンの変数であるノードのいずれかに、前記ユーザから入力された情報または予め設定された情報を代入した共通クエリグラフパターンを生成する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の共通クエリグラフパターン生成方法。
【請求項7】
ユーザから入力された情報または予め設定された情報を基に、グラフ構造を持つデータが格納されているグラフ構造データベースから取得した複数のノードまたはプロパティ間に存在するパスを検索するための検索クエリグラフパターンを生成する検索クエリグラフパターン生成機能と、
生成された検索クエリグラフパターンにマッチする検索サブグラフを前記グラフ構造データベースから取得する検索サブグラフ取得機能と、
取得された検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを抽出し、この抽出されたグラフ構造に含まれる任意のノード名およびプロパティ名を変数にすることにより、前記ユーザにより入力された情報または予め設定された情報に関連する情報が追加されたデータを検索するための共通クエリグラフパターンを生成する共通クエリグラフパターン生成機能と、
をコンピュータに実現させるための共通クエリグラフパターン生成用プログラム。
【請求項8】
前記共通クエリグラフパターン生成機能において、前記検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを、オントロジを用いて抽出する
ことを特徴とする請求項7に記載の共通クエリグラフパターン生成用プログラム。
【請求項9】
前記共通クエリグラフパターン生成機能において生成された共通クエリグラフパターンの変数であるノードのいずれかに、前記ユーザから入力された情報または予め設定された情報を代入した共通クエリグラフパターンを生成する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の共通クエリグラフパターン生成用プログラム。
【請求項10】
グラフ構造を持つデータが格納されているグラフ構造データベースに接続され、
ユーザから入力された情報または予め設定された情報を基に、前記グラフ構造データベースから取得した複数のノードまたはプロパティ間に存在するパスを検索するための検索クエリグラフパターンを生成する検索クエリグラフパターン生成手段と、
生成された検索クエリグラフパターンにマッチする検索サブグラフを前記グラフ構造データベースから取得する検索サブグラフ取得手段と、
取得された検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを抽出し、この抽出されたグラフ構造に含まれる任意のノード名およびプロパティ名を変数にすることにより、前記ユーザにより入力された情報または予め設定された情報に関連する情報が追加されたデータを検索するための共通クエリグラフパターンを生成する共通クエリグラフパターン生成手段と、
生成された共通クエリグラフパターンにマッチする共通サブグラフを前記グラフ構造データベースから取得する共通サブグラフ取得手段と、
を備えることを特徴とする共通サブグラフ検索装置。
【請求項11】
前記共通クエリグラフパターン生成手段において、前記検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを、オントロジを用いて抽出する
ことを特徴とする請求項10に記載の共通サブグラフ検索装置。
【請求項12】
前記共通クエリグラフパターン生成手段において生成された共通クエリグラフパターンの変数であるノードのいずれかに、前記ユーザから入力された情報または予め設定された情報を代入した共通クエリグラフパターンを生成する
ことを特徴とする請求項10または11に記載の共通サブグラフ検索装置。
【請求項13】
前記共通サブグラフのデータを表形式で表示させるためのデータに変換する表示データ変換手段
を備えることを特徴とする請求項10〜12何れか1項に記載の共通サブグラフ検索装置。
【請求項14】
ユーザから入力された情報または予め設定された情報を基に、グラフ構造を持つデータが格納されているグラフ構造データベースから取得した複数のノードまたはプロパティ間に存在するパスを検索するための検索クエリグラフパターンを生成する検索クエリグラフパターン生成ステップと、
生成された検索クエリグラフパターンにマッチする検索サブグラフを前記グラフ構造データベースから取得する検索サブグラフ取得ステップと、
取得された検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを抽出し、この抽出されたグラフ構造に含まれる任意のノード名およびプロパティ名を変数にすることにより、前記ユーザにより入力された情報または予め設定された情報に関連する情報が追加されたデータを検索するための共通クエリグラフパターンを生成する共通クエリグラフパターン生成ステップと、
生成された共通クエリグラフパターンにマッチする共通サブグラフを前記グラフ構造データベースから取得する共通サブグラフ取得ステップと、
を備えることを特徴とする共通サブグラフ検索方法。
【請求項15】
前記共通クエリグラフパターン生成ステップにおいて、前記検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを、オントロジを用いて抽出する
ことを特徴とする請求項14に記載の共通サブグラフ検索方法。
【請求項16】
前記共通クエリグラフパターン生成ステップにおいて生成された共通クエリグラフパターンの変数であるノードのいずれかに、前記ユーザから入力された情報または予め設定された情報を代入した共通クエリグラフパターンを生成する
ことを特徴とする請求項14または15に記載の共通サブグラフ検索方法。
【請求項17】
前記拡張サブグラフのデータを表形式で表示させるためのデータに変換する表示データ変換ステップ
を備えることを特徴とする請求項14〜16何れか1項に記載の共通サブグラフ検索方法。
【請求項18】
ユーザから入力された情報または予め設定された情報を基に、グラフ構造を持つデータが格納されているグラフ構造データベースから取得した複数のノードまたはプロパティ間に存在するパスを検索するための検索クエリグラフパターンを生成する検索クエリグラフパターン生成機能と、
生成された検索クエリグラフパターンにマッチする検索サブグラフを前記グラフ構造データベースから取得する検索サブグラフ取得機能と、
取得された検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを抽出し、この抽出されたグラフ構造に含まれる任意のノード名およびプロパティ名を変数にすることにより、前記ユーザにより入力された情報または予め設定された情報に関連する情報が追加されたデータを検索するための共通クエリグラフパターンを生成する共通クエリグラフパターン生成機能と、
生成された共通クエリグラフパターンにマッチする共通サブグラフを前記グラフ構造データベースから取得する共通サブグラフ取得機能と、
をコンピュータに実現させるための共通サブグラフ検索用プログラム。
【請求項19】
前記共通クエリグラフパターン生成機能において、前記検索サブグラフに含まれるグラフ構造およびこのグラフ構造中のプロパティ名の組み合わせの中で複数回出現するものを、オントロジを用いて抽出する
ことを特徴とする請求項18に記載の共通サブグラフ検索用プログラム。
【請求項20】
前記共通クエリグラフパターン生成機能において生成された共通クエリグラフパターンの変数であるノードのいずれかに、前記ユーザから入力された情報または予め設定された情報を代入した共通クエリグラフパターンを生成する
ことを特徴とする請求項18または19に記載の共通サブグラフ検索用プログラム。
【請求項21】
前記拡張サブグラフのデータを表形式で表示させるためのデータに変換する表示データ変換手段
を備えることを特徴とする請求項18〜20何れか1項に記載の共通サブグラフ検索用プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−313501(P2006−313501A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−136706(P2005−136706)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】