説明

内副管接続用可撓マンホール継手

【課題】 一度の取付作業でマンホール継手と内副管とを取り付けることができる内副管接続用可撓マンホール継手を提供する。
【解決手段】 マンホールの上部に流入する下水をマンホールの下部に導く内副管を設けるためのマンホール継手であって、マンホール12の上部に設けられた配管接続口13に水平方向に挿入され、マンホール外の突出端に上流側下水管17との接続部18を有する継手管部14と、該継手管部のマンホール内からマンホール底部側に向かって分岐した内副管接続管部15と、前記配管接続口13に対して前記継手管部14を揺動可能な状態で固定する可撓性固定部材16とを一体的に有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内副管接続用可撓マンホール継手に関し、詳しくは、マンホール外部側の上流側下水管の接続部と、マンホール内部側の内副管の接続部とを一体に形成した内副管接続用可撓マンホール継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マンホールに流入する下水が上部から落下し、マンホール底面が浸食されて損傷することを防止するため、マンホールの内部に、上部からの下水をマンホールの底面に導く内副管を設けることが行われている、この内副管は、上流側下水管をマンホールに接続するためのマンホール継手とは別に形成されており、マンホール継手のマンホール内部側を覆うようにしてマンホールの内壁に取り付けるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−52235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のものでは、マンホールに設けられた配管接続口へのマンホール継手の取り付けと、マンホール内壁への内副管の取り付けとを別個に行わなければならず、二度の取付作業が必要で手間がかかっていた。
【0004】
そこで本発明は、一度の取付作業でマンホール継手と内副管とを取り付けることができる内副管接続用可撓マンホール継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の内副管接続用可撓マンホール継手は、第1の構成として、マンホールの上部に流入する下水をマンホールの下部に導く内副管を設けるためのマンホール継手であって、マンホールの上部周壁に設けられた配管接続口に水平方向に挿入され、マンホール外の突出端に上流側下水管との接続部を有する継手管部と、該継手管部のマンホール内からマンホール底部側に向かって分岐した内副管接続管部と、前記配管接続口に対して前記継手管部を揺動可能な状態で固定する可撓性固定部材とを有していることを特徴としている。
【0006】
本発明の内副管接続用可撓マンホール継手の第2の構成は、マンホールの上部に流入する下水をマンホールの下部に導く内副管を設けるためのマンホール継手であって、マンホールの上部周壁に設けられた配管接続口に水平方向に挿入され、マンホール外の突出端に上流側下水管接続部を有するとともに、マンホール内の突出端に内副管接続用継手管接続部を有する継手管と、前記配管接続口に対して前記継手管を揺動可能な状態で固定する可撓性固定部材と、前記継手管の内副管接続用継手管接続部に接続される継手管接続部を有するとともに、マンホール底部側に向かう内副管接続管部を有する内副管接続用継手管とを有していることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明の内副管接続用可撓マンホール継手は、上記両構成において、前記内副管接続管部に自在継手が装着されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の内副管接続用可撓マンホール継手の第1の構成によれば、継手管部を配管接続口に挿入して可撓性固定部材部材により継手管部を配管接続口に固定することにより、マンホールへのマンホール継手部分と内副管部分との取り付けを完了することができ、取付作業を大幅に簡略化できる。
【0009】
また、内副管接続用可撓マンホール継手の第2の構成では、継手管を配管接続口に挿入して可撓性固定部材部材により継手管を配管接続口に固定する前に、継手管に内副管接続用継手管を接続しておくことにより、実質的に第1の構成と同じ作用効果が得られる。さらに、継手管を配管接続口に固定してから内副管接続用継手管を継手管に接続するようにしても、マンホール内部側への内副管の取り付けを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の内副管接続用可撓マンホール継手をマンホールに取り付けた第1形態例を示す一部断面正面図である。この内副管接続用可撓マンホール継手11は、マンホール12の上部周壁に設けられた配管接続口13に水平方向に挿入される継手管部14と、該継手管部14のマンホール12内からマンホール12の底部側に向かって分岐した内副管接続管部15と、前記配管接続口13に対して継手管部14を揺動可能な状態で固定する可撓性固定部材16とで形成されている。
【0011】
継手管部14は、マンホール12の外部突出端に、リブパイプからなる上流側下水管17を挿入する接続部18が設けられており、マンホール12の内部側には、前記内副管接続管部15の対向位置に内副管用掃除口19が、上流側下水管17の対向位置に下水管用掃除口20がそれぞれ設けられており、下水管用掃除口20には、蓋21が取り付けられている。また、内副管用掃除口19にも蓋を取り付けておくことができる。
【0012】
前記内副管接続管部15には、自在継手22が装着されている。この自在継手22は、球状外面を有する接続筒23と、該接続筒23の球状外面に対応した球状内面を有する受口部材24とを組み合わせたものであって、接続筒23内に内副管接続管部15の先端が挿入され、受口部材24の下方に、内副管を構成する直管25及びエルボ26が接続されている。また、直管25の下部は、マンホール12の内壁に設けられた固定金具27によって支持されている。
【0013】
前記可撓性固定部材16は、継手管部14の外周面にバンド28によって締め付け固定される内筒部29と、該内筒部29のマンホール内部側端部からマンホール外側方向に折り返された外筒部30とを有する断面略U字状のゴム製部品であって、外筒部30の内周には拡径バンド31が設けられている。
【0014】
マンホール12の配管接続口13に内副管接続用可撓マンホール継手11を取り付けるには、まず、可撓性固定部材16の内筒部29内に継手管部14を挿入してバンド28により装着固定する。また、内副管接続管部15に自在継手22を介して直管25及びエルボ26を接続する。次に、可撓性固定部材16を装着した継手管部14を配管接続口13に挿入した後、拡径バンド31を拡径させて外筒部30の外周面を配管接続口13の内周面に圧接する。
【0015】
これにより、内副管接続用可撓マンホール継手11は、その継手管部14が可撓性固定部材16のゴムの弾力によって配管接続口13に揺動可能な状態で固定された状態となる。そして、固定金具27で直管25の下部を支持固定し、継手管部14に上流側下水管17の端部を挿入することにより、マンホール12への内副管の施工が完了する。なお、直管25及びエルボ26の接続は、継手管部14を配管接続口13に取り付けた後に行うこともできる。
【0016】
このように、可撓性固定部材16を装着した継手管部14を配管接続口13に挿入して拡径バンド31を拡径させるだけで内副管接続用可撓マンホール継手11をマンホール12の配管接続口13に取り付けることができ、従来に比べて作業量を大幅に削減することができる。
【0017】
マンホール12の上部に接続した上流側下水管17からマンホール12の内部に流入する下水は、内副管接続用可撓マンホール継手11の継手管部14を通り、内副管接続管部15、自在継手22から直管25、エルボ26を通ってマンホール12の底部に導かれ、マンホール12の底部側壁に取り付けられた継手32から下流側下水管33に流出する。
【0018】
図2は本発明の内副管接続用可撓マンホール継手の第2形態例を示す一部断面正面図である。なお、以下の説明において、前記第1形態例で示した内副管接続用可撓マンホール継手における構成要素と同一の構成要素には、それぞれ同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0019】
本形態例は、マンホール12の配管接続口13に内副管接続用可撓マンホール継手11の継手管部14を揺動可能な状態で固定するため、継手管部14の突出端に被着されてバンド41により締め付け固定される筒部42と、該筒部42の中間部外周に設けられてマンホール12の外周面に沿う形状の鍔部43と、直管からなる上流側下水管(図示せず)の端部を挿入してバンド44により締め付け固定する接続筒45とからなるゴム製の可撓性固定部材46を用いている。
【0020】
この可撓性固定部材46は、鍔部43をマンホール12の外周面に接着することにより、内副管接続用可撓マンホール継手11の継手管部14を揺動可能な状態で配管接続口13に固定することができ、ゴムの弾力によって継手管部14の角度調節を行えるようにしている。
【0021】
各形態例に示したように、マンホール12に設けられた配管接続口13へのマンホール継手の取り付けとマンホール内部側への内副管の取り付けとを同時に行うことができるので、作業性の大幅な向上が図れる。さらに、継手管部14を揺動可能な状態で配管接続口13に固定するので、上流側下水管17の接続角度に対応させて継手管部14を傾斜させることができ、内副管接続管部15に自在継手22を装着することにより、継手管部14を傾斜させても直管25を鉛直方向に向けて設置することができる。
【0022】
なお、内副管用掃除口19や下水管用掃除口20は省略することも可能であり、いずれか一方のみを設けるようにしてもよい。また、内副管接続用可撓マンホール継手11は、成形条件に応じて複数に分割形成し、接着や嵌合等の手段によって一体化させるようにしてもよい。さらに、自在継手22も省略可能であり、他の構造の自在継手を用いることもできる。
【0023】
図3及び図4は、本発明の内副管接続用可撓マンホール継手の第2形態例を示すもので、図3は内副管取付前の状態を示す一部断面正面図、図4は内副管取付後の状態を示す一部断面正面図である。
【0024】
本形態例に示す内副管接続用可撓マンホール継手51は、マンホール12の上部周壁に設けられた配管接続口13に水平方向に挿入される継手管52と、該継手管52を前記配管接続口13に揺動可能な状態で固定する可撓性固定部材53と、前記継手管52のマンホール内部側に接続される内副管接続用継手管54とで形成されている。
【0025】
継手管52は、マンホール12の外部突出端に、上流側下水管17を挿入する接続部55が設けられており、マンホール12の内部突出端には、前記内副管接続用継手管54を接続するための接続部56が設けられている。
【0026】
前記可撓性固定部材53は、継手管52の外周面にバンド57によって締め付け固定される筒部58と、該筒部58の外周からマンホール12の外周面に沿う方向に延出した鍔部59と、上流側下水管17をバンド60により締め付け固定する接続筒61とを有している。この可撓性固定部材53は、筒部58内に継手管52を挿入してバンド57で固定した状態で、鍔部59をマンホール12の外周面に接着することにより、継手管52を揺動可能な状態で配管接続口13に固定することができ、ゴムの弾力によって継手管52の角度調節を行えるようにしている。
【0027】
前記内副管接続用継手管54は、継手管52の前記接続部56に接続される継手管接続部(受口)62と、マンホール底部側に向かう内副管接続管部63とを有している。さらに、前記継手管接続部62に対向する位置に下水管用掃除口64が、内副管接続管部63に対向する位置に内副管用掃除口65がそれぞれ設けられており、下水管用掃除口64には蓋66が取り付けられている。前記内副管接続管部63には、前記同様に、自在継手22を介して内副管を構成する直管及びエルボが接続される。
【0028】
このように形成された内副管接続用可撓マンホール継手51は、次の手順でマンホール12に取り付けることができる。まず、可撓性固定部材53の筒部58内に継手管52を挿入してバンド57で固定し、継手管52を配管接続口13内に挿入して鍔部59をマンホール12の外周面に接着する。次に、接続筒61を通して上流側下水管17を接続部55内に挿入し、バンド60により締め付け固定するとともに、可撓性固定部材53の弾性変形を利用して継手管52の設置角度を上流側下水管17の勾配に合わせる。
【0029】
そして、継手管52の接続部56に内副管接続用継手管54の継手管接続部62を接続するとともに、内副管接続管部63に自在継手22を介して直管及びエルボを接続する。このとき、継手管52と内副管接続用継手管54とにそれぞれ接続部56,62を設けておくことにより、従来のようにマンホール内壁に内副管を取り付ける場合に比べて内副管の施工を極めて容易に行うことができる。
【0030】
また、継手管52と上流側下水管17とを先に接続してから継手管52を配管接続口13内に挿入し、角度調整を行いながら鍔部59をマンホール12の外周面に接着するようにしてもよい。さらに、継手管52と内副管接続用継手管54とを先に接続することにより、前記両形態例と同様に一体化した状態で、内副管接続用可撓マンホール継手51をマンホール12に取り付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の内副管接続用可撓マンホール継手をマンホールに取り付けた第1形態例を示す一部断面正面図である。
【図2】本発明の内副管接続用可撓マンホール継手の第2形態例を示す一部断面正面図である。
【図3】本発明の内副管接続用可撓マンホール継手の第3形態例を示すもので、内副管取付前の状態を示す一部断面正面図である。
【図4】同じく内副管取付後の状態を示す一部断面正面図である。
【符号の説明】
【0032】
11…内副管接続用可撓マンホール継手、12…マンホール、13…配管接続口、14…継手管部、15…内副管接続管部、16…可撓性固定部材、17…上流側下水管、18…接続部、19…内副管用掃除口、20…下水管用掃除口、21…蓋、22…自在継手、23…接続筒、24…受口部材、25…直管、26…エルボ、27…固定金具、28…バンド、29…内筒部、30…外筒部、31…拡径バンド、32…継手、33…下流側下水管、41…バンド、42…筒部、43…鍔部、44…バンド、45…接続筒、46…可撓性固定部材、51…内副管接続用可撓マンホール継手、52…継手管、53…可撓性固定部材、54…内副管接続用継手管、55,56…接続部、57…バンド、58…筒部、59…鍔部、60…バンド、61…接続筒、62…継手管接続部、63…内副管接続管部、64…下水管用掃除口、65…内副管用掃除口、66…蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールの上部に流入する下水をマンホールの下部に導く内副管を設けるためのマンホール継手であって、マンホールの上部周壁に設けられた配管接続口に水平方向に挿入され、マンホール外の突出端に上流側下水管との接続部を有する継手管部と、該継手管部のマンホール内からマンホール底部側に向かって分岐した内副管接続管部と、前記配管接続口に対して前記継手管部を揺動可能な状態で固定する可撓性固定部材とを一体的に有していることを特徴とする内副管接続用可撓マンホール継手。
【請求項2】
マンホールの上部に流入する下水をマンホールの下部に導く内副管を設けるためのマンホール継手であって、マンホールの上部周壁に設けられた配管接続口に水平方向に挿入され、マンホール外の突出端に上流側下水管接続部を有するとともに、マンホール内の突出端に内副管接続用継手管接続部を有する継手管と、前記配管接続口に対して前記継手管を揺動可能な状態で固定する可撓性固定部材と、前記継手管の内副管接続用継手管接続部に接続される継手管接続部を有するとともに、マンホール底部側に向かう内副管接続管部を有する内副管接続用継手管とを有していることを特徴とする内副管接続用可撓マンホール継手。
【請求項3】
前記内副管接続管部に自在継手が装着されていることを特徴とする請求項1又は2記載の内副管接続用可撓マンホール継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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