説明

内壁パネルの取り付け金具

【課題】鉄筋鉄骨コンクリート構造物では、多数の内装パネルを並べたり、裏面に接着剤を備えたプラスチックシートからなる内装シートを貼り付けていた。いずれにしても施工後の修理、交換には、内装パネル、内装シ−トの剥離によって大きな工事となる。
【解決手段】コンクリート壁面Wにねじ4にて取り付ける基板11に、L形に連設するフック12を設け、フック12と反対側には直角に折り曲げてなる受縁13を設けるように形成した横架材1と、内壁パネルPにねじ5にて取り付ける基板21と、この基板21より段差をもって連続させた延設板22よりなり、この延設板22に凹状の切り込み22aをもって一体にフック12に被せる掛止部23を膨出させ、かつ、凹状の切り込み22bをもって外側に弧状に膨らませ横架材1の受縁13に当接する舌片24を設けて形成した縦材2とからなる内壁パネルの取り付け金具。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、鉄筋コンクリート、鉄筋鉄骨コンクリート構造に係るオフィスビル、マンションなどの住宅、さらには店舗などにおいて、コンクリート構造物の壁面(仕切り壁を含む)に沿わせて配置固定する壁仕上げ材としての内壁パネルの取り付け金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鉄筋鉄骨コンクリート構造物では、コンクリートの打ち放しでは、室内として落ち着きがなく、展示場や仮設工事現場のイメージとなるので、多数の内装パネルを並べたり、裏面に接着剤を備えたプラスチックシートからなる内装シートを貼り付けていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら従来例においては次の問題を有していた。
(1)複数の内装パネルの固定を接着剤などで行うと、作業に熟練を要し作業効率が悪い。
(2)本固定の後、内装パネルの片面に壁紙を貼ったり、塗装を行うなどの仕上げ工程が必要となったりすると省力化にならない。
(3)内装パネルが汚損したり、寿命で交換する場合に貼り付けると、剥すのが面倒であり、ネジなど締結手段で固定すると壁面に穴が残るので補修の手間がかかることになる。
(4)内装シ−トを貼り付けるものでは、厚みにもよるがコンクリ−トの表面を予め平滑に仕上げておかないと凹凸が生じることになるものであった。
(5)いずれにしても施工後の修理、交換には、内装パネル、内装シ−トの剥離によって大きな工事となる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した従来の内装パネル、内装シ−トによる内装仕上げ工事における問題点に鑑み行ったもので、釘打ちや、内装の仕上げ工事を必要とせず、施工が簡単で且つ工事手順がよく、さらに修理や追加工事が容易な内装パネルの取り付け金具に関するもので、コンクリート壁面の内装表面材としての壁パネルを縦方向に順次並べて取り付けるようにするものである。
そして、請求項1の発明の要旨とするのは、壁仕上材としての内壁パネルを、コンクリート壁に固定するための取り付け金具であって、コンクリート壁面に固定する複数の横架材と内装パネルの背面への複数の縦材とからなり、横架材は、コンクリート壁面にねじにて取り付ける基板に、L形に連設するフックを設け、フックと反対側には直角に折り曲げてなる受縁を設けるように形成し、縦材は、内壁パネルにねじにて取り付ける基板と、この基板より段差をもって連続させた延設板よりなり、この延設板に、凹状の切り込みをもって一体にフックに被せる掛止部を膨出させ、かつ、凹状の切り込みをもって外側に弧状に膨らませ横架材の受縁に当接する舌片を設けて形成したことを特徴とするものである。
【0005】
請求項2の発明の要旨は、請求項1記載の内壁パネルの取り付け金具であって、横架材のフックの先端部を二重に折り曲げて形成したことを特徴とするものである。
請求項3の発明の要旨は、請求項1又は請求項2記載の内壁パネルの取り付け金具であって、縦材の延設板を断面浅い溝型としたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下図面に示す発明の実施の形態に即して説明する。
コンクリ−ト壁面Wに縦方向に並列配置する内壁パネルPは、合板、ファイバーボード、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板などの下地板の表面に、塗装仕上げをしたり、クロス貼り或いは肉薄の化粧合板を貼り付けるなどして構成するものである。
このような構成からなる内壁パネルPをコンクリート壁面Wに添わせて固定するための取り付け金具Kである。
取り付け金具Kは、コンクリート壁面Wに水平方向に複数固定する横架材1と内壁パネルPの背面の少なくとも一対両側に縦方向に固定する縦材2とからなるものである。
【0007】
横架材1は、長尺の金属板を折り曲げて得るもので、コンクリート壁面Wに添わせる基板11の長手方向の一方にはL形に連設するフック12を設け、また基板11の長手方向の他端は直角に折り曲げて受縁13を設けるようにしてある。基板11にはコンクリート用ねじ4のための穴11aを適数穿ってあり、フック12は先端部を二重に折り曲げて形成し、肉薄の金属板であっても強度を持たせるようにしてある。
【0008】
縦材2は、内壁パネルPの背面にねじにて取り付ける基板21と、この基板21より段差をもって連続させた延設板22よりなり、この延設板22に、凹状の切り込み22aをもって一体に横架材1のフック12に被せる掛止部23を膨出させ、かつ、凹状の切り込み22bをもって外側に弧状に膨らませ横架材1の受縁13に当接する舌片24を設けて形成してある。
延設板22は、図示のように基板21よりの段差を含めて浅い溝型に形成し、金属板を折曲することで強度を持たせるようにすることが望ましい。
基板21には横長の穴21aを穿ち、内壁パネルPにねじ5にて取り付けるようにする。
【0009】
このような構成からなる内壁パネルの取り付け金具Kは、まず、コンクリート壁面Wの上下に横架材1を複数平行に、コンクリート用のねじ4にて止めるようにする。
図示の例では三箇所に横架材1を配設するようにしているが、天井の高さによっては多くしたり、二つにしたりしてもよい。
内壁パネルPの背面に少なくとも両側縁に縦材2をねじ5にてねじ込み止めるようにしておく。
そして内壁パネルPをコンクリート壁面Wに沿わせるようにして持ち上げ、背面の縦材2の掛止部23を横架材1のフック12に被せて引き下ろして掛け止め、横架材1の受縁13に縦材2の舌片24が当接させるようにする。
図示しないが、天井あるいは梁と内壁パネルPの隙間には別途廻り縁を嵌め込み固定して内壁パネルPと面一にする。
このような構成を採用することで、横架材1と縦材2は二箇所にて支持されるので、がたつきが生じなくなり、かつ、受縁13と舌片24の当接箇所を正確に加工することで、壁面パネルPが左右に傾くこともなくなるのである。
【0010】
なお、化粧パネルPの下地板の表面には、図示しないが、タイルやステンレス鋼板を張ることによって仕上げてもよい。
【0011】
【発明の効果】
この発明は以上のような構成からなるもので、請求項1の発明では、フックのみでは内壁パネルがバタつくことがあるが取り付け金具を二箇所で支持とすることで、内壁パネルとコンクリート壁面を垂直に保てることになる。また、横架材の受縁と舌片の採用により多数の内壁パネルを左右方向に並べたとき傾くようなこともない。
また、予め仕上げた内壁パネルを嵌め込むので施工のスピードアップが図れることになる。
加えて、内壁パネルはコンクリート壁面に直接固定するのでないので、取り付け後の取り外しも大掛かりになることなく、交換補修が容易となるのである。
【0012】
請求項2の発明では、横架材のフックを二重に構成することで、金具の肉厚を薄くしても剛性を保持できることになる。
請求項3の発明では、縦材の延設切を断面浅い溝型としたので、別途補強手段を付加することなく剛性を保てることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るパネルの取り付け金具の使用状態の斜視図である。
【図2】この発明に係る取り付け金具の取り付け状態の断面図である。、
【図3】この発明に係る取り付け金具の取り付け状態を示すための要部斜視図である。
【符号の説明】
W コンクリート壁面
P 内壁パネル
K 取り付け金具
1 横架材
2 縦材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート壁面に固定しフックとなる複数の横架材と、内壁パネルの背面に固定するものでフックに引っ掛ける掛止部を一体に備えるようにした複数の縦材とからなり、
横架材は、コンクリート壁面にねじにて取り付ける基板に、L形に連設するフックを設け、フックと反対側には直角に折り曲げてなる受縁を設けるように形成し、 縦材は、内壁パネルにねじにて取り付ける基板と、この基板より段差をもって連続させた延設板よりなり、この延設板に、凹状の切り込みをもって一体にフックに被せる掛止部を膨出させ、かつ、凹状の切り込みをもって外側に弧状に膨らませ横架材の受縁に当接する舌片を設けて形成したことを特徴とする内壁パネルの取り付け金具。
【請求項2】
請求項1記載の内壁パネルの取り付け金具であって、横架材のフックの先端部を二重に折り曲げて形成したことを特徴とする請求項1記載の内壁パネルの取り付け金具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の内壁パネルの取り付け金具であって、縦材の延設板を断面浅い溝型としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の内壁パネルの取り付け金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2004−285731(P2004−285731A)
【公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−80315(P2003−80315)
【出願日】平成15年3月24日(2003.3.24)
【出願人】(500432206)株式会社総合経営研究所 (12)
【出願人】(502448188)
【Fターム(参考)】