内照式看板およびその管理方法
【課題】LEDパネルが故障した場合でも、表示スクリーン上での照度の違いを極力低減させることができるとともに、電源装置のサイズを小型化することができる内照式看板を提供する。
【解決手段】内照式看板は、表面に画像が表示された透光性を有する表示スクリーンと、表示スクリーンを着脱自在に支持する支持基盤と、第1の方向に複数のLEDが配列された長尺のLEDパネルを、第1の方向に直交する第2の方向に複数配置して構成され、支持基盤に固定され、表示スクリーンを裏面側から照明する面状照明装置と、面状照明装置の複数のLEDパネルにブレーカを介して電力を供給する電源装置とを備えている。そして、各々隣接していない2以上のLEDパネルを1つの組として複数の組が作成され、ブレーカが作成された複数の組の各々に対応して設けられている。
【解決手段】内照式看板は、表面に画像が表示された透光性を有する表示スクリーンと、表示スクリーンを着脱自在に支持する支持基盤と、第1の方向に複数のLEDが配列された長尺のLEDパネルを、第1の方向に直交する第2の方向に複数配置して構成され、支持基盤に固定され、表示スクリーンを裏面側から照明する面状照明装置と、面状照明装置の複数のLEDパネルにブレーカを介して電力を供給する電源装置とを備えている。そして、各々隣接していない2以上のLEDパネルを1つの組として複数の組が作成され、ブレーカが作成された複数の組の各々に対応して設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間等であっても広告等の情報を伝えることができるように、看板となる画像が表示された表示スクリーンを内側(画像表示面の裏面側)から照明する内照式看板およびその管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内照式看板の照明光源として、蛍光灯等が用いられてきたが、近年では、特許文献1のように、消費電力や寿命等の点で優れているLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)が用いられるようになってきた。
【0003】
以下、従来の内照式看板とその問題点について説明する。
【0004】
図8は、従来の内照式看板の構成を表す側面概念図である。同図に示す内照式看板40は、表示スクリーン42と、これを裏面側から照明する面状照明装置44と、表示スクリーン42および面状照明装置44を支持する支持基盤46と、電源装置48とによって構成されている。この例の面状照明装置44は、図9に示すように、横4×縦2=8つの領域に分割された8つのLEDパネル50を備えており、各々のLEDパネル50は、それぞれ対応するブレーカ58を介して電源装置48に接続されている。
【0005】
ここで、表示スクリーン42の下段左側から2番目の領域に対応するLEDパネル50が故障し、故障したLEDパネル50への電力の供給がブレーカ58によって遮断された場合、図10に示すように、故障したLEDパネル50に対応する表示スクリーン42の領域が照明されなくなる。この場合、故障したLEDパネル50に対応する表示スクリーン42の領域と他の領域との照度の違いは、1つ当たりのLEDパネル50のサイズが大きいほど目立つ。
【0006】
これに対し、LEDパネル50の個数を増やし、1つ当たりのLEDパネル50のサイズを小さくすることにより上記問題を改善することが考えられる。しかし、LEDパネル50の個数が増えるに従ってブレーカ58の個数も増えるため、ブレーカ58を収納する電源装置48のサイズが大きくなるという問題点があった。この問題は、特に、表示スクリーン42のサイズが大きくなり、LEDパネル50の個数が多くなるにつれて深刻化する。
【0007】
また、従来の内照式看板40には、表示スクリーン42と面状照明装置44との間の距離が最適化されていないという問題があった。例えば、両者の間の距離が非常に近い場合、表示スクリーン42には、図11に黒点で示すように、LEDパネル50を構成する個々のLED56の照射像(点光源である各々のLEDに対応するドット)が照度ムラとして表示される。一方、両者の距離が遠くなると、照度が低下するとともに、内照式看板40のサイズも大きくなる(厚さが厚くなる)という問題等がある。
【0008】
さらに、従来の内照式看板40では、故障したLEDパネル50を交換する場合、表示スクリーン42を外して前面側からLEDパネル50の交換作業が行われていた。しかし、例えば、屋上広告塔等のように、限られた設置スペースに巨大な内照式看板40が設置されている場合、表示スクリーン42の前面側に作業スペースがない、表示スクリーン42の着脱にクレーン車等が必要になり手間とコストが掛かる等の問題があった。
【0009】
ここで、本発明に関連性のある先行技術文献として、特許文献2〜4がある。
【0010】
特許文献2は、点状光源である複数のLEDがモジュール化され、マトリックス状に配列された内照式のライトボックスに関するものである。同文献には、収納凹部内に配置されたLEDから出射される光の入射角が0°であって350mmの距離をおいた場合の輝度を15000cd/m2以下とすることにより、表面照度にムラが発生することを抑制することが開示されている。
【0011】
特許文献3は、LED光源を内蔵したフィルム状又はシート状の面発光体及びこの面発光体を使用した内照式看板に関するものである。同文献には、発光角度が60°〜120°の広角発光LEDチップを上下・左右均等に並べて面発光体を構成し、面発光体と看板画像面の距離をLEDの設置間隔に応じて離すことにより、発散する光を均一にすることが開示されている。
【0012】
特許文献4は、発光ダイオードを光源とする表示装置およびその光源に関するものである。同文献には、光源部として、2個のLEDと1個の定電流ダイオードを直列結線したブロックを短冊状の基板に直列に配列し、8ブロック分、並列に電源供給を可能とすることにより、8ブロックについて、ブロック単位で基板を切断して使用できるようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実用新案登録第3095940号
【特許文献2】特開2008−270144号公報
【特許文献3】特開2007−33662号公報
【特許文献4】特開2006−58828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の第1の目的は、LEDパネルが故障した場合でも、表示スクリーン上での照度の違いを極力低減させることができるとともに、電源装置のサイズを小型化することができる内照式看板を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記第1の目的に加えて、さらに、表示スクリーンと面状照明装置との間の距離が最適化され、照度ムラがなく、最適な照度を得ることができる内照式看板を提供することにある。
本発明の第3の目的は、故障したLEDパネルの交換作業を容易に行うことができる内照式看板の管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、表面に画像が表示された透光性を有する表示スクリーンと、
前記表示スクリーンを着脱自在に支持する支持基盤と、
第1の方向に複数のLEDが配列された長尺のLEDパネルを、前記第1の方向に直交する第2の方向に複数配置して構成され、前記支持基盤に固定され、前記表示スクリーンを裏面側から照明する面状照明装置と、
前記面状照明装置の複数のLEDパネルにブレーカを介して電力を供給する電源装置とを備え、
各々隣接していない2以上のLEDパネルを1つの組として複数の組が作成され、前記ブレーカが前記作成された複数の組の各々に対応して設けられていることを特徴とする内照式看板を提供するものである。
【0016】
ここで、前記複数のLEDがマトリックス状に配置されており、
前記LEDから前記表示スクリーンに垂直な方向を軸として、前記LEDから照射された光が前記軸を中心として円錐状に広がる空間を立体角とし、前記LEDから照射された光の、前記表示スクリーンにおける相対光度が所定の値となる場合の立体角で円錐状に広がる空間が対角線上に位置する2つのLEDの間で交差する位置に、前記表示スクリーンが配置されていることが好ましい。
【0017】
また、各々の前記LEDパネルの前記LEDが配列されていない側の面が、前記支持基盤の前記第2の方向に延びる支持部材にパネル固定具で固定されていることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、上記に記載の内照式看板のLEDパネルを交換するに際し、
前記交換するLEDパネルの前記パネル固定具を前記支持部材から外し、該交換するLEDパネルを前記第1の方向に沿って第1の向きに移動させて前記支持基盤から取り外し、
新たなLEDパネルを前記第1の方向に沿って前記第1の方向とは反対の第2の向きに移動させて前記交換するLEDパネルが配置されていた位置に配置し、前記パネル固定具で前記支持部材に固定することを特徴とする内照式看板の管理方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の内照式看板によれば、LEDパネルが部分的に消灯された場合でも、表示スクリーン上での照度の違いを極力低減させることができるとともに、ブレーカの個数を大幅に削減することができ、電源装置のサイズを小型化することができる。
【0020】
また、本発明の内照式看板によれば、表示スクリーンと面状照明装置との間の距離が最適化されているため、照度ムラなく最適な照度を得ることができ、しかも、内照式看板のサイズを必要最小限の最適化されたサイズ(厚さ)にすることができる。
【0021】
さらに、本発明の内照式看板の管理方法によれば、表示スクリーンの前面側に作業スペースがない場合であっても交換作業を容易に行うことができる。また、クレーン車等も不要であり、手間もコストも削減できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の内照式看板の構成を表す一実施形態の側面概念図である。
【図2】図1に示す面状照明装置のLEDが配置された側の面の構成を表す概念図である。
【図3】図1に示す面状照明装置のLEDが配置されていない側の面の構成を表す概念図である。
【図4】図2および図3に示すLEDパネルを構成するLEDモジュールの構成を表す概念図である。
【図5】図1に示す内照式看板において、LEDパネルのうちの1つが故障した場合の様子を表す概念図である。
【図6】図2および図3に示す面状照明装置を構成するLEDの配光曲線を表すグラフである。
【図7】(A)および(B)は、表示スクリーンと面状照明装置との間の距離の関係を表す概念図である。
【図8】従来の内照式看板の構成を表す側面概念図である。
【図9】図8に示す面状照明装置の構成を表す概念図である。
【図10】図8に示す内照式看板において、LEDパネルのうちの1つが故障した場合の様子を表す概念図である。
【図11】表示スクリーンと面状照明装置との間の距離が非常に近い場合の様子を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の内照式看板およびその管理方法を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の内照式看板の構成を表す一実施形態の側面概念図である。図1に示す内照式看板10は、表示スクリーン12と、面状照明装置14と、支持基盤16と、電源装置18とによって構成されている。
【0025】
表示スクリーン12は、照明光を透過させる透光性を有する所定サイズの矩形のものであり、支持基盤16に着脱自在に支持されている。また、表示スクリーン12は、面状照明装置14のLEDが配列された側の面(図1中、面状照明装置14の左側の面)から所定の間隔を空けて配置されている。表示スクリーン12には、看板となる画像が表面(同表示スクリーン12の左側の面)に表示されている。表示スクリーン12表面の画像は、例えば、インクジェットプリンタ等によって印刷することができる。
【0026】
面状照明装置14は、複数の疑似白色LED26をマトリックス状に配置して構成された、表示スクリーン12の外形と同等のサイズの矩形の面状光源であり、支持基盤16に固定されている。面状照明装置14は、電源装置18からブレーカ28を介して電力の供給を受けて、表示スクリーン12を裏面側(同表示スクリーン12の右側の面)から照明する。面状照明装置16の詳細については後述する。
【0027】
支持基盤16は、前述のように、表示スクリーン12および面状照明装置14を支持する設置台となるものである。支持基盤16は、図3に示すように、表示スクリーン12や面状照明装置14の外形と同等のサイズの矩形の枠体30と、枠体30の上下方向および左右方向の辺を各々接続するように配設された支持部材(図3中、上下方向の辺を接続する支持部材は省略)32とによって構成されている。
【0028】
LEDユニット24は、さまざまな形式のものが選択できるが、たとえばDC(直流)電源で電力を供給される形式の場合には、電源装置18は、AC(交流)電源をDC(直流)電源に変換し、面状照明装置14にブレーカ28を介して電力(DC電源)を供給するものである。一方、LEDユニット24が、AC(交流)電源にて電力を供給される形式の場合には、電源装置18は商用電源等から交流電圧のまま交流電力をブレーカ28を介して供給すればよいことは勿論である。また、電源装置18は、ソーラー式タイムスイッチ(図示省略)を備えており、日入時刻に合わせて電力を供給し、日出時刻に合わせて電力の供給を遮断する。つまり、面状照明装置14は、日入時刻に合わせて点灯され、日出時刻に合わせて消灯される。
【0029】
次に、面状照明装置14について詳しく説明する。
【0030】
図2は、図1に示す面状照明装置のLEDが配置された側の面(図1中、左側の面)の構成を表す概念図である。同図に示すように、面状照明装置14は、第1の方向(図2中、上下方向)に延びる複数の長尺のLEDパネル20によって構成されている。これら複数のLEDパネル20は、第1の方向と直交する第2の方向(同左右方向)に等間隔に配置されている。
【0031】
また、各々のLEDパネル20は、複数のLEDモジュール22を、第1の方向に等間隔に配置して構成され、各々のLEDモジュール22は、図4に示すように、複数のLEDユニット24を、第1の方向に等間隔に配置して構成されている。さらに、LEDユニット24は、同図4に示すように、4つのLED26を、第1および第2の方向にそれぞれ2つずつマトリックス状に等間隔に配置して構成されている。
【0032】
面状照明装置14では、全てのLED26が等間隔に配置されるように、複数のLEDパネル20が第2の方向に所定の間隔を空けて配置され、各々のLEDパネル20において、複数のLEDモジュール22が第1の方向に所定の間隔を空けて配置され、複数のLEDユニット24も第1の方向に所定の間隔を空けて配置され、さらに、4つのLED26が第1および第2の方向にマトリックス状に等間隔に配置されている。
【0033】
続いて、図3は、図1に示す面状照明装置のLEDが配置されていない側の面(図1中、面状照明装置14の右側の面)の構成を表す概念図である。また、同図には、支持基盤16の枠体30および第2の方向(図3中、左右方向)に延びる支持部材(第1の方向に延びる支持部材は省略)32も示されている。同図に示すように、各々のLEDパネル20は、LEDが配列されていない側の面が、支持基盤16の第2の方向に延びる複数の支持部材32にパネル固定具34で固定されている。
【0034】
また、各々のLEDパネル20において、各々のLEDユニット24に含まれる4つのLED26は電気的に直列に接続され、各々のLEDモジュール22に含まれる複数のLEDユニットも電気的に直列に接続され、さらに、LEDパネル20に含まれる複数のLEDモジュール22も電気的に直列に接続されている。つまり、各々のLEDパネル20では、全てのLED26が電気的に直列に接続されている。
【0035】
さらに、1つおきの位置に配置されている2つのLEDパネル20が、コネクタを介して電源配線で電気的に接続されている。そして、これらの電気的に接続された2つのLEDパネル20を1つの組として複数の組が作成され、作成された複数の組の各々に対応して1つずつブレーカ28が設けられている。つまり、電源装置18には、LEDパネル20の個数の半分の個数のブレーカ28が使用されている。
【0036】
ここで、各々のLEDパネル20に1つずつブレーカ28が設けられた場合、LEDパネル20の個数が多くなると、これに応じて必要なブレーカ28の個数も多くなり、電源装置18のサイズが巨大化する。これに対し、上記のように、2つのLEDパネル20に対して1つのブレーカ28を設けることにより、電源装置18に収納されるブレーカ28の個数を半減させることができ、電源装置18のサイズをコンパクトにできるという利点がある。
【0037】
また、図5に示すように、左から2番目のLEDパネル20が故障し、対応するブレーカ28によって電源の供給が遮断された場合、このブレーカ28に対応する2つのLEDパネル20による照明が消灯される(図5中、斜線部分のLEDパネル20)。このような場合でも、面状照明装置14では、隣接するLEDパネル20の照明が同時に消灯されることがなく、大きな領域で消灯されることがないため、表示スクリーン12に部分的に極端な照度の違いが生じることがないという利点がある。
【0038】
次に、表示スクリーン12と面状照明装置14との間の間隔の設定方法について説明する。
【0039】
図6は、面状照明装置を構成するLEDの配光曲線を表すグラフである。このグラフの横軸は、LED26の相対光度(%)、相対光度が0%の位置から放射状に延びる軸は、LED26から照射される光の照射角度を表す。ここで、照射角度は、LEDパネル20に平行な方向が0°、表示スクリーン12に垂直な方向が90°とされている。また、相対光度は、照射角度が90°の場合のLED26の光度(cd)を100%とした場合の各照射角度における光度を表す。
【0040】
図6のグラフに示したように、例えば、相対光度が約80%となるのは、照射角度が約55°の場合であり、相対光度が約90%となるのは、照射角度が約65°の場合であることが分かる。
【0041】
ここで、90°から照射角度を減算した値(=90°−照射角度)を立体角と定義する。例えば、照射角度が55°の場合の立体角は90°−55°=35°であり、照射角度が65°の場合の立体角は90°−65°=25°である。立体角は、LED26から表示スクリーン12に垂直な方向を軸として、LED26から照射された光が軸を中心として円錐状に広がる空間を表す。
【0042】
続いて、図7(A)および(B)は、表示スクリーンと面状照明装置との間の距離の関係を表す概念図である。同図(A)に示すように、4つのLED(a)、(b)、(c)および(d)がマトリックス状に等間隔に配置された場合、隣接する2つのLED(a)〜(b)の間の距離を100とすると、対角線上に位置する2つのLED(a)〜(c)の間の距離は100√2となる。同図(B)には、対角線上に位置する2つのLED(a)および(c)を、対角線に垂直な方向の側面から見た場合の様子が示されている。
【0043】
例えば、表示スクリーン12における相対光度を約80%としたい場合、前述のように、図6のグラフから照射角度が約55°、つまり、立体角が約35°であればよい。従って、図7(B)に示すように、対角線上に位置する2つのLEDの間の距離を100√2とし、立体角が約35°であるとすると、表示スクリーン12と面状照明装置14との間の距離を約100とすればよいことが分かる。
【0044】
同様に、相対光度を約90%としたい場合、照射角度が約65°、つまり、立体角が約25°であればよいので、両者の間の距離を約150とすればよいことが分かる。つまり、LED26から照射された光の、表示スクリーン12における相対光度が所定の値となる場合の立体角で円錐状に広がる空間が対角線上に位置する2つのLEDの間で交差する位置に、表示スクリーン12を配置することが望ましい。
【0045】
上記のように、表示スクリーン12と面状照明装置14との間の距離が最適化されていることによって、照度ムラなく最適な照度を得ることができ、しかも、内照式看板10のサイズ(厚さ)を必要最小限の最適化されたサイズにすることができる。
【0046】
次に、本発明の内照式看板の管理方法に従って、LEDパネル20を交換する際の作用について説明する。
【0047】
LEDパネル20を交換する場合、表示スクリーン12を外し、面状照明装置14の前面側からLEDパネル20を交換することができる。しかし、例えば、屋上広告塔等のように、限られた設置スペースに巨大な内照式看板が設置されている場合、表示スクリーン12の前面側に作業スペースがない、表示スクリーン12の着脱にクレーン車等が必要になり手間とコストが掛かる等の問題があることは既に述べた通りである。
【0048】
従って、内照式看板10では、面状照明装置14の裏面側からLEDパネル20の交換を行う。しかし、面状照明装置14の各々のLEDパネル20のLEDが配列されていない側の面は、支持基盤16の第2の方向に延びる支持部材32にパネル固定具34で固定されている。つまり、支持部材32が障害となって、交換するLEDパネル20を、面状照明装置16の裏面に垂直な方向へ移動させることはできないので、以下の手順に従ってLEDパネル20の交換を行う。
【0049】
まず、交換するLEDパネル20のパネル固定具34を支持部材32から外し、LEDパネル20のコネクタの部分から電源配線を外す。これにより、交換するLEDパネル20は、第1の方向に沿って移動可能な状態となる。なお、LEDパネル20の長手方向の上下端部近傍には、LEDパネル20を支持基盤16の枠体30に引っ掛けて保持し、パネル固定具34を支持部材32から外した時にLEDパネル20が自重で落ちるのを防止するためのフックが設けられていることが望ましい。
【0050】
続いて、交換するLEDパネル20を第1の方向に沿って、例えば下向きに移動(スライド)させて支持基盤16から取り外す。この時、支持基盤16の枠体30や設置面が障害となって、交換するLEDパネル20を第1の方向に沿って移動させることが難しい場合、LEDパネル20の引出先端部を支持基盤16側へ撓ませてからLEDパネル20を移動させることができる。この場合、LEDパネル20は可撓性のある材質のものであることが望ましい。
【0051】
次いで、新たなLEDパネル20を第1の方向に沿って、例えば上向きに移動させて、交換するLEDパネル20が配置されていた位置に配置する。そして、新たなLEDパネル20にコネクタの部分で電源配線を接続し、パネル固定具34で支持部材32に固定する。
【0052】
上記のLEDパネル20の交換方法であれば、表示スクリーン12の前面側に作業スペースがない場合であっても交換作業を容易に行うことができる。また、クレーン車等も不要であり、手間もコストも削減できるという利点がある。
【0053】
なお、本発明は、屋上広告塔のように、表示スクリーンのサイズが大きく、従って、面状照明装置の分割数が多くなる可能性が高いほど適用時の効果も大きい。しかし、本発明は屋上広告塔に限らず、袖看板や壁面看板等の各種の看板にも適用できる。
【0054】
また、LEDパネルをLEDモジュールに分割することは必須ではないし、逆に、LEDパネルを複数のLEDモジュールに分割する場合、その分割数に制限はない。LEDモジュール、LEDユニット、およびLEDの間の関係も同様である。
【0055】
また、1つおきの位置に配置されている2つのLEDパネルを1つの組とすることに限定されず、例えば、2つおき、3つおきとしてもよいし、左端のLEDパネルと右端のLEDパネル、左から2番目のLEDパネルと右から2番目のLEDパネルというように、左側および右側から同じ順番のLEDパネルを1つの組としてもよいし、任意のパターンに従ってLEDパネルの組を決めることができる。また、2以上の任意の個数のLEDパネルを1つの組としてもよい。
【0056】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0057】
10、40 内照式看板
12、42 表示スクリーン
14、44 面状照明装置
16、46 支持基盤
18、48 電源装置
20、50 LEDパネル
22 LEDモジュール
24 LEDユニット
26、56 LED
28、58 ブレーカ
30 枠体
32 支持部材
34 パネル固定具
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間等であっても広告等の情報を伝えることができるように、看板となる画像が表示された表示スクリーンを内側(画像表示面の裏面側)から照明する内照式看板およびその管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内照式看板の照明光源として、蛍光灯等が用いられてきたが、近年では、特許文献1のように、消費電力や寿命等の点で優れているLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)が用いられるようになってきた。
【0003】
以下、従来の内照式看板とその問題点について説明する。
【0004】
図8は、従来の内照式看板の構成を表す側面概念図である。同図に示す内照式看板40は、表示スクリーン42と、これを裏面側から照明する面状照明装置44と、表示スクリーン42および面状照明装置44を支持する支持基盤46と、電源装置48とによって構成されている。この例の面状照明装置44は、図9に示すように、横4×縦2=8つの領域に分割された8つのLEDパネル50を備えており、各々のLEDパネル50は、それぞれ対応するブレーカ58を介して電源装置48に接続されている。
【0005】
ここで、表示スクリーン42の下段左側から2番目の領域に対応するLEDパネル50が故障し、故障したLEDパネル50への電力の供給がブレーカ58によって遮断された場合、図10に示すように、故障したLEDパネル50に対応する表示スクリーン42の領域が照明されなくなる。この場合、故障したLEDパネル50に対応する表示スクリーン42の領域と他の領域との照度の違いは、1つ当たりのLEDパネル50のサイズが大きいほど目立つ。
【0006】
これに対し、LEDパネル50の個数を増やし、1つ当たりのLEDパネル50のサイズを小さくすることにより上記問題を改善することが考えられる。しかし、LEDパネル50の個数が増えるに従ってブレーカ58の個数も増えるため、ブレーカ58を収納する電源装置48のサイズが大きくなるという問題点があった。この問題は、特に、表示スクリーン42のサイズが大きくなり、LEDパネル50の個数が多くなるにつれて深刻化する。
【0007】
また、従来の内照式看板40には、表示スクリーン42と面状照明装置44との間の距離が最適化されていないという問題があった。例えば、両者の間の距離が非常に近い場合、表示スクリーン42には、図11に黒点で示すように、LEDパネル50を構成する個々のLED56の照射像(点光源である各々のLEDに対応するドット)が照度ムラとして表示される。一方、両者の距離が遠くなると、照度が低下するとともに、内照式看板40のサイズも大きくなる(厚さが厚くなる)という問題等がある。
【0008】
さらに、従来の内照式看板40では、故障したLEDパネル50を交換する場合、表示スクリーン42を外して前面側からLEDパネル50の交換作業が行われていた。しかし、例えば、屋上広告塔等のように、限られた設置スペースに巨大な内照式看板40が設置されている場合、表示スクリーン42の前面側に作業スペースがない、表示スクリーン42の着脱にクレーン車等が必要になり手間とコストが掛かる等の問題があった。
【0009】
ここで、本発明に関連性のある先行技術文献として、特許文献2〜4がある。
【0010】
特許文献2は、点状光源である複数のLEDがモジュール化され、マトリックス状に配列された内照式のライトボックスに関するものである。同文献には、収納凹部内に配置されたLEDから出射される光の入射角が0°であって350mmの距離をおいた場合の輝度を15000cd/m2以下とすることにより、表面照度にムラが発生することを抑制することが開示されている。
【0011】
特許文献3は、LED光源を内蔵したフィルム状又はシート状の面発光体及びこの面発光体を使用した内照式看板に関するものである。同文献には、発光角度が60°〜120°の広角発光LEDチップを上下・左右均等に並べて面発光体を構成し、面発光体と看板画像面の距離をLEDの設置間隔に応じて離すことにより、発散する光を均一にすることが開示されている。
【0012】
特許文献4は、発光ダイオードを光源とする表示装置およびその光源に関するものである。同文献には、光源部として、2個のLEDと1個の定電流ダイオードを直列結線したブロックを短冊状の基板に直列に配列し、8ブロック分、並列に電源供給を可能とすることにより、8ブロックについて、ブロック単位で基板を切断して使用できるようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実用新案登録第3095940号
【特許文献2】特開2008−270144号公報
【特許文献3】特開2007−33662号公報
【特許文献4】特開2006−58828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の第1の目的は、LEDパネルが故障した場合でも、表示スクリーン上での照度の違いを極力低減させることができるとともに、電源装置のサイズを小型化することができる内照式看板を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記第1の目的に加えて、さらに、表示スクリーンと面状照明装置との間の距離が最適化され、照度ムラがなく、最適な照度を得ることができる内照式看板を提供することにある。
本発明の第3の目的は、故障したLEDパネルの交換作業を容易に行うことができる内照式看板の管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、表面に画像が表示された透光性を有する表示スクリーンと、
前記表示スクリーンを着脱自在に支持する支持基盤と、
第1の方向に複数のLEDが配列された長尺のLEDパネルを、前記第1の方向に直交する第2の方向に複数配置して構成され、前記支持基盤に固定され、前記表示スクリーンを裏面側から照明する面状照明装置と、
前記面状照明装置の複数のLEDパネルにブレーカを介して電力を供給する電源装置とを備え、
各々隣接していない2以上のLEDパネルを1つの組として複数の組が作成され、前記ブレーカが前記作成された複数の組の各々に対応して設けられていることを特徴とする内照式看板を提供するものである。
【0016】
ここで、前記複数のLEDがマトリックス状に配置されており、
前記LEDから前記表示スクリーンに垂直な方向を軸として、前記LEDから照射された光が前記軸を中心として円錐状に広がる空間を立体角とし、前記LEDから照射された光の、前記表示スクリーンにおける相対光度が所定の値となる場合の立体角で円錐状に広がる空間が対角線上に位置する2つのLEDの間で交差する位置に、前記表示スクリーンが配置されていることが好ましい。
【0017】
また、各々の前記LEDパネルの前記LEDが配列されていない側の面が、前記支持基盤の前記第2の方向に延びる支持部材にパネル固定具で固定されていることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、上記に記載の内照式看板のLEDパネルを交換するに際し、
前記交換するLEDパネルの前記パネル固定具を前記支持部材から外し、該交換するLEDパネルを前記第1の方向に沿って第1の向きに移動させて前記支持基盤から取り外し、
新たなLEDパネルを前記第1の方向に沿って前記第1の方向とは反対の第2の向きに移動させて前記交換するLEDパネルが配置されていた位置に配置し、前記パネル固定具で前記支持部材に固定することを特徴とする内照式看板の管理方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の内照式看板によれば、LEDパネルが部分的に消灯された場合でも、表示スクリーン上での照度の違いを極力低減させることができるとともに、ブレーカの個数を大幅に削減することができ、電源装置のサイズを小型化することができる。
【0020】
また、本発明の内照式看板によれば、表示スクリーンと面状照明装置との間の距離が最適化されているため、照度ムラなく最適な照度を得ることができ、しかも、内照式看板のサイズを必要最小限の最適化されたサイズ(厚さ)にすることができる。
【0021】
さらに、本発明の内照式看板の管理方法によれば、表示スクリーンの前面側に作業スペースがない場合であっても交換作業を容易に行うことができる。また、クレーン車等も不要であり、手間もコストも削減できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の内照式看板の構成を表す一実施形態の側面概念図である。
【図2】図1に示す面状照明装置のLEDが配置された側の面の構成を表す概念図である。
【図3】図1に示す面状照明装置のLEDが配置されていない側の面の構成を表す概念図である。
【図4】図2および図3に示すLEDパネルを構成するLEDモジュールの構成を表す概念図である。
【図5】図1に示す内照式看板において、LEDパネルのうちの1つが故障した場合の様子を表す概念図である。
【図6】図2および図3に示す面状照明装置を構成するLEDの配光曲線を表すグラフである。
【図7】(A)および(B)は、表示スクリーンと面状照明装置との間の距離の関係を表す概念図である。
【図8】従来の内照式看板の構成を表す側面概念図である。
【図9】図8に示す面状照明装置の構成を表す概念図である。
【図10】図8に示す内照式看板において、LEDパネルのうちの1つが故障した場合の様子を表す概念図である。
【図11】表示スクリーンと面状照明装置との間の距離が非常に近い場合の様子を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の内照式看板およびその管理方法を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の内照式看板の構成を表す一実施形態の側面概念図である。図1に示す内照式看板10は、表示スクリーン12と、面状照明装置14と、支持基盤16と、電源装置18とによって構成されている。
【0025】
表示スクリーン12は、照明光を透過させる透光性を有する所定サイズの矩形のものであり、支持基盤16に着脱自在に支持されている。また、表示スクリーン12は、面状照明装置14のLEDが配列された側の面(図1中、面状照明装置14の左側の面)から所定の間隔を空けて配置されている。表示スクリーン12には、看板となる画像が表面(同表示スクリーン12の左側の面)に表示されている。表示スクリーン12表面の画像は、例えば、インクジェットプリンタ等によって印刷することができる。
【0026】
面状照明装置14は、複数の疑似白色LED26をマトリックス状に配置して構成された、表示スクリーン12の外形と同等のサイズの矩形の面状光源であり、支持基盤16に固定されている。面状照明装置14は、電源装置18からブレーカ28を介して電力の供給を受けて、表示スクリーン12を裏面側(同表示スクリーン12の右側の面)から照明する。面状照明装置16の詳細については後述する。
【0027】
支持基盤16は、前述のように、表示スクリーン12および面状照明装置14を支持する設置台となるものである。支持基盤16は、図3に示すように、表示スクリーン12や面状照明装置14の外形と同等のサイズの矩形の枠体30と、枠体30の上下方向および左右方向の辺を各々接続するように配設された支持部材(図3中、上下方向の辺を接続する支持部材は省略)32とによって構成されている。
【0028】
LEDユニット24は、さまざまな形式のものが選択できるが、たとえばDC(直流)電源で電力を供給される形式の場合には、電源装置18は、AC(交流)電源をDC(直流)電源に変換し、面状照明装置14にブレーカ28を介して電力(DC電源)を供給するものである。一方、LEDユニット24が、AC(交流)電源にて電力を供給される形式の場合には、電源装置18は商用電源等から交流電圧のまま交流電力をブレーカ28を介して供給すればよいことは勿論である。また、電源装置18は、ソーラー式タイムスイッチ(図示省略)を備えており、日入時刻に合わせて電力を供給し、日出時刻に合わせて電力の供給を遮断する。つまり、面状照明装置14は、日入時刻に合わせて点灯され、日出時刻に合わせて消灯される。
【0029】
次に、面状照明装置14について詳しく説明する。
【0030】
図2は、図1に示す面状照明装置のLEDが配置された側の面(図1中、左側の面)の構成を表す概念図である。同図に示すように、面状照明装置14は、第1の方向(図2中、上下方向)に延びる複数の長尺のLEDパネル20によって構成されている。これら複数のLEDパネル20は、第1の方向と直交する第2の方向(同左右方向)に等間隔に配置されている。
【0031】
また、各々のLEDパネル20は、複数のLEDモジュール22を、第1の方向に等間隔に配置して構成され、各々のLEDモジュール22は、図4に示すように、複数のLEDユニット24を、第1の方向に等間隔に配置して構成されている。さらに、LEDユニット24は、同図4に示すように、4つのLED26を、第1および第2の方向にそれぞれ2つずつマトリックス状に等間隔に配置して構成されている。
【0032】
面状照明装置14では、全てのLED26が等間隔に配置されるように、複数のLEDパネル20が第2の方向に所定の間隔を空けて配置され、各々のLEDパネル20において、複数のLEDモジュール22が第1の方向に所定の間隔を空けて配置され、複数のLEDユニット24も第1の方向に所定の間隔を空けて配置され、さらに、4つのLED26が第1および第2の方向にマトリックス状に等間隔に配置されている。
【0033】
続いて、図3は、図1に示す面状照明装置のLEDが配置されていない側の面(図1中、面状照明装置14の右側の面)の構成を表す概念図である。また、同図には、支持基盤16の枠体30および第2の方向(図3中、左右方向)に延びる支持部材(第1の方向に延びる支持部材は省略)32も示されている。同図に示すように、各々のLEDパネル20は、LEDが配列されていない側の面が、支持基盤16の第2の方向に延びる複数の支持部材32にパネル固定具34で固定されている。
【0034】
また、各々のLEDパネル20において、各々のLEDユニット24に含まれる4つのLED26は電気的に直列に接続され、各々のLEDモジュール22に含まれる複数のLEDユニットも電気的に直列に接続され、さらに、LEDパネル20に含まれる複数のLEDモジュール22も電気的に直列に接続されている。つまり、各々のLEDパネル20では、全てのLED26が電気的に直列に接続されている。
【0035】
さらに、1つおきの位置に配置されている2つのLEDパネル20が、コネクタを介して電源配線で電気的に接続されている。そして、これらの電気的に接続された2つのLEDパネル20を1つの組として複数の組が作成され、作成された複数の組の各々に対応して1つずつブレーカ28が設けられている。つまり、電源装置18には、LEDパネル20の個数の半分の個数のブレーカ28が使用されている。
【0036】
ここで、各々のLEDパネル20に1つずつブレーカ28が設けられた場合、LEDパネル20の個数が多くなると、これに応じて必要なブレーカ28の個数も多くなり、電源装置18のサイズが巨大化する。これに対し、上記のように、2つのLEDパネル20に対して1つのブレーカ28を設けることにより、電源装置18に収納されるブレーカ28の個数を半減させることができ、電源装置18のサイズをコンパクトにできるという利点がある。
【0037】
また、図5に示すように、左から2番目のLEDパネル20が故障し、対応するブレーカ28によって電源の供給が遮断された場合、このブレーカ28に対応する2つのLEDパネル20による照明が消灯される(図5中、斜線部分のLEDパネル20)。このような場合でも、面状照明装置14では、隣接するLEDパネル20の照明が同時に消灯されることがなく、大きな領域で消灯されることがないため、表示スクリーン12に部分的に極端な照度の違いが生じることがないという利点がある。
【0038】
次に、表示スクリーン12と面状照明装置14との間の間隔の設定方法について説明する。
【0039】
図6は、面状照明装置を構成するLEDの配光曲線を表すグラフである。このグラフの横軸は、LED26の相対光度(%)、相対光度が0%の位置から放射状に延びる軸は、LED26から照射される光の照射角度を表す。ここで、照射角度は、LEDパネル20に平行な方向が0°、表示スクリーン12に垂直な方向が90°とされている。また、相対光度は、照射角度が90°の場合のLED26の光度(cd)を100%とした場合の各照射角度における光度を表す。
【0040】
図6のグラフに示したように、例えば、相対光度が約80%となるのは、照射角度が約55°の場合であり、相対光度が約90%となるのは、照射角度が約65°の場合であることが分かる。
【0041】
ここで、90°から照射角度を減算した値(=90°−照射角度)を立体角と定義する。例えば、照射角度が55°の場合の立体角は90°−55°=35°であり、照射角度が65°の場合の立体角は90°−65°=25°である。立体角は、LED26から表示スクリーン12に垂直な方向を軸として、LED26から照射された光が軸を中心として円錐状に広がる空間を表す。
【0042】
続いて、図7(A)および(B)は、表示スクリーンと面状照明装置との間の距離の関係を表す概念図である。同図(A)に示すように、4つのLED(a)、(b)、(c)および(d)がマトリックス状に等間隔に配置された場合、隣接する2つのLED(a)〜(b)の間の距離を100とすると、対角線上に位置する2つのLED(a)〜(c)の間の距離は100√2となる。同図(B)には、対角線上に位置する2つのLED(a)および(c)を、対角線に垂直な方向の側面から見た場合の様子が示されている。
【0043】
例えば、表示スクリーン12における相対光度を約80%としたい場合、前述のように、図6のグラフから照射角度が約55°、つまり、立体角が約35°であればよい。従って、図7(B)に示すように、対角線上に位置する2つのLEDの間の距離を100√2とし、立体角が約35°であるとすると、表示スクリーン12と面状照明装置14との間の距離を約100とすればよいことが分かる。
【0044】
同様に、相対光度を約90%としたい場合、照射角度が約65°、つまり、立体角が約25°であればよいので、両者の間の距離を約150とすればよいことが分かる。つまり、LED26から照射された光の、表示スクリーン12における相対光度が所定の値となる場合の立体角で円錐状に広がる空間が対角線上に位置する2つのLEDの間で交差する位置に、表示スクリーン12を配置することが望ましい。
【0045】
上記のように、表示スクリーン12と面状照明装置14との間の距離が最適化されていることによって、照度ムラなく最適な照度を得ることができ、しかも、内照式看板10のサイズ(厚さ)を必要最小限の最適化されたサイズにすることができる。
【0046】
次に、本発明の内照式看板の管理方法に従って、LEDパネル20を交換する際の作用について説明する。
【0047】
LEDパネル20を交換する場合、表示スクリーン12を外し、面状照明装置14の前面側からLEDパネル20を交換することができる。しかし、例えば、屋上広告塔等のように、限られた設置スペースに巨大な内照式看板が設置されている場合、表示スクリーン12の前面側に作業スペースがない、表示スクリーン12の着脱にクレーン車等が必要になり手間とコストが掛かる等の問題があることは既に述べた通りである。
【0048】
従って、内照式看板10では、面状照明装置14の裏面側からLEDパネル20の交換を行う。しかし、面状照明装置14の各々のLEDパネル20のLEDが配列されていない側の面は、支持基盤16の第2の方向に延びる支持部材32にパネル固定具34で固定されている。つまり、支持部材32が障害となって、交換するLEDパネル20を、面状照明装置16の裏面に垂直な方向へ移動させることはできないので、以下の手順に従ってLEDパネル20の交換を行う。
【0049】
まず、交換するLEDパネル20のパネル固定具34を支持部材32から外し、LEDパネル20のコネクタの部分から電源配線を外す。これにより、交換するLEDパネル20は、第1の方向に沿って移動可能な状態となる。なお、LEDパネル20の長手方向の上下端部近傍には、LEDパネル20を支持基盤16の枠体30に引っ掛けて保持し、パネル固定具34を支持部材32から外した時にLEDパネル20が自重で落ちるのを防止するためのフックが設けられていることが望ましい。
【0050】
続いて、交換するLEDパネル20を第1の方向に沿って、例えば下向きに移動(スライド)させて支持基盤16から取り外す。この時、支持基盤16の枠体30や設置面が障害となって、交換するLEDパネル20を第1の方向に沿って移動させることが難しい場合、LEDパネル20の引出先端部を支持基盤16側へ撓ませてからLEDパネル20を移動させることができる。この場合、LEDパネル20は可撓性のある材質のものであることが望ましい。
【0051】
次いで、新たなLEDパネル20を第1の方向に沿って、例えば上向きに移動させて、交換するLEDパネル20が配置されていた位置に配置する。そして、新たなLEDパネル20にコネクタの部分で電源配線を接続し、パネル固定具34で支持部材32に固定する。
【0052】
上記のLEDパネル20の交換方法であれば、表示スクリーン12の前面側に作業スペースがない場合であっても交換作業を容易に行うことができる。また、クレーン車等も不要であり、手間もコストも削減できるという利点がある。
【0053】
なお、本発明は、屋上広告塔のように、表示スクリーンのサイズが大きく、従って、面状照明装置の分割数が多くなる可能性が高いほど適用時の効果も大きい。しかし、本発明は屋上広告塔に限らず、袖看板や壁面看板等の各種の看板にも適用できる。
【0054】
また、LEDパネルをLEDモジュールに分割することは必須ではないし、逆に、LEDパネルを複数のLEDモジュールに分割する場合、その分割数に制限はない。LEDモジュール、LEDユニット、およびLEDの間の関係も同様である。
【0055】
また、1つおきの位置に配置されている2つのLEDパネルを1つの組とすることに限定されず、例えば、2つおき、3つおきとしてもよいし、左端のLEDパネルと右端のLEDパネル、左から2番目のLEDパネルと右から2番目のLEDパネルというように、左側および右側から同じ順番のLEDパネルを1つの組としてもよいし、任意のパターンに従ってLEDパネルの組を決めることができる。また、2以上の任意の個数のLEDパネルを1つの組としてもよい。
【0056】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0057】
10、40 内照式看板
12、42 表示スクリーン
14、44 面状照明装置
16、46 支持基盤
18、48 電源装置
20、50 LEDパネル
22 LEDモジュール
24 LEDユニット
26、56 LED
28、58 ブレーカ
30 枠体
32 支持部材
34 パネル固定具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に画像が表示された透光性を有する表示スクリーンと、
前記表示スクリーンを着脱自在に支持する支持基盤と、
第1の方向に複数のLEDが配列された長尺のLEDパネルを、前記第1の方向に直交する第2の方向に複数配置して構成され、前記支持基盤に固定され、前記表示スクリーンを裏面側から照明する面状照明装置と、
前記面状照明装置の複数のLEDパネルにブレーカを介して電力を供給する電源装置とを備え、
各々隣接していない2以上のLEDパネルを1つの組として複数の組が作成され、前記ブレーカが前記作成された複数の組の各々に対応して設けられていることを特徴とする内照式看板。
【請求項2】
前記複数のLEDがマトリックス状に配置されており、
前記LEDから前記表示スクリーンに垂直な方向を軸として、前記LEDから照射された光が前記軸を中心として円錐状に広がる空間を立体角とし、前記LEDから照射された光の、前記表示スクリーンにおける相対光度が所定の値となる場合の立体角で円錐状に広がる空間が対角線上に位置する2つのLEDの間で交差する位置に、前記表示スクリーンが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内照式看板。
【請求項3】
各々の前記LEDパネルの前記LEDが配列されていない側の面が、前記支持基盤の前記第2の方向に延びる支持部材にパネル固定具で固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の内照式看板。
【請求項4】
請求項3に記載の内照式看板のLEDパネルを交換するに際し、
前記交換するLEDパネルの前記パネル固定具を前記支持部材から外し、該交換するLEDパネルを前記第1の方向に沿って第1の向きに移動させて前記支持基盤から取り外し、
新たなLEDパネルを前記第1の方向に沿って前記第1の方向とは反対の第2の向きに移動させて前記交換するLEDパネルが配置されていた位置に配置し、前記パネル固定具で前記支持部材に固定することを特徴とする内照式看板の管理方法。
【請求項1】
表面に画像が表示された透光性を有する表示スクリーンと、
前記表示スクリーンを着脱自在に支持する支持基盤と、
第1の方向に複数のLEDが配列された長尺のLEDパネルを、前記第1の方向に直交する第2の方向に複数配置して構成され、前記支持基盤に固定され、前記表示スクリーンを裏面側から照明する面状照明装置と、
前記面状照明装置の複数のLEDパネルにブレーカを介して電力を供給する電源装置とを備え、
各々隣接していない2以上のLEDパネルを1つの組として複数の組が作成され、前記ブレーカが前記作成された複数の組の各々に対応して設けられていることを特徴とする内照式看板。
【請求項2】
前記複数のLEDがマトリックス状に配置されており、
前記LEDから前記表示スクリーンに垂直な方向を軸として、前記LEDから照射された光が前記軸を中心として円錐状に広がる空間を立体角とし、前記LEDから照射された光の、前記表示スクリーンにおける相対光度が所定の値となる場合の立体角で円錐状に広がる空間が対角線上に位置する2つのLEDの間で交差する位置に、前記表示スクリーンが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内照式看板。
【請求項3】
各々の前記LEDパネルの前記LEDが配列されていない側の面が、前記支持基盤の前記第2の方向に延びる支持部材にパネル固定具で固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の内照式看板。
【請求項4】
請求項3に記載の内照式看板のLEDパネルを交換するに際し、
前記交換するLEDパネルの前記パネル固定具を前記支持部材から外し、該交換するLEDパネルを前記第1の方向に沿って第1の向きに移動させて前記支持基盤から取り外し、
新たなLEDパネルを前記第1の方向に沿って前記第1の方向とは反対の第2の向きに移動させて前記交換するLEDパネルが配置されていた位置に配置し、前記パネル固定具で前記支持部材に固定することを特徴とする内照式看板の管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−65062(P2011−65062A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217345(P2009−217345)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(501476247)
【出願人】(000226954)日清エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(501476247)
【出願人】(000226954)日清エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
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