説明

内燃機関の大気圧推定制御装置および大気圧推定方法

【課題】従来の大気圧計測用センサを不要とし、運転者に違和感を与えることなく、スロットルバルブ上流圧センサを用いて大気圧を推定する。
【解決手段】要求トルクを算出する要求トルク算出部27と、要求トルクが所定値以下の場合にエアバイパスバルブ11を全開にするエアバイパスバルブ動作設定部28と、エアバイパスバルブ11が全開したときに、ウェイストゲートバルブ19を全開にするウェイストバルブ動作設定部29と、それらのバルブが全開になった後で、かつ、スロットルバルブ上流圧センサ12によって検出されるスロットルバルブ上流側の圧力の変化量が少なくなって大気圧推定可能範囲内に入ったと判定された場合に、スロットルバルブ上流圧センサ12によるスロットルバルブ上流側の圧力の値を大気圧推定値として、内燃機関の大気側の圧力を推定する大気圧推定手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は内燃機関の大気圧推定制御装置および大気圧推定方法に関し、特に、例えば過給エンジン車両等に搭載される内燃機関の大気圧推定制御装置および大気圧推定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者や車両側からの駆動力の要求値として、車両の制御に直接作用する物理量である内燃機関(エンジン)の出力軸トルクを用い、出力軸トルクをエンジン出力目標値として、エンジン制御量である空気量、燃料量及び点火時期を決定することにより良好な走行性能を得る内燃機関制御装置が提案されている。
【0003】
また、自動車等の車両は、山間部など高地走行の利用も多い。その際、走行高度(標高)による大気圧の変化は内燃機関の吸気管圧力へ影響を与え、パージ制御、燃料制御等に支障を来す。このため、自動車等の車両では、内燃機関の使用環境下の大気圧を測定し、大気圧変化による影響を防止する大気圧補正が行われる。
【0004】
ここで、エンジン制御量のうち、エンジン出力軸トルクに最も影響の大きい制御量が空気量であることは一般に知られている。特許文献1には、スロットルバルブ上流部とスロットルバルブ下流部の圧力を計測し、それらの圧力比を求め、求めた圧力比と空気量から、スロットルバルブ開度とその有効開口面積を補正する方法が提案されており、高精度に空気量を制御するためにスロットルバルブ前後の圧力を計測する必要があることが記載されている。
【0005】
スロットルバルブ上流部の圧力は自然吸気エンジンであれば大気圧計測用センサで検出可能であるが、過給エンジンの場合、過給されることにより大気圧とスロットルバルブ上流部の圧力が異なる状態となるため、大気圧計測用センサの他にスロットルバルブ上流部の圧力センサが必要となっている。したがって、過給エンジンに特許文献1を適用した場合、スロットル上流圧センサと大気圧計測用センサの2つが必要となる。
【0006】
上記のように、車両によっては大気圧計測専用のセンサを用意し、大気圧補正を実施しているものもある。しかし、コスト削減を目的として大気圧計測専用のセンサは用意されていないものも存在する。その場合、スロットルバルブ開度全開時の吸気管圧力計測値をおおよその大気圧として推定する大気圧計測方式が知られている。
【0007】
また、特許文献2には、過給エンジンにおいて、スロットルバルブ開度が略全開時の吸気管圧力と標準大気圧下での目標吸気圧との圧力比率を求め、求めた圧力比率と標準大気圧との積から大気圧を推定されるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4237214号公報
【特許文献2】特許第4408660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のとおり特許文献1を過給エンジンに適用した場合、スロットル上流圧センサと大気圧計測用センサの2つが必要となり、コスト高となるという問題点があった。また、引用文献1において、大気圧情報は推測でも良いとの記載はあるが、大気圧を推測するための具体的な方法については何ら記載されていない。
【0010】
大気圧計測用のセンサを削減する場合、自然吸気エンジンであれば一般的に知られているスロットルバルブ開度全開時の吸気管圧力計測値によって大気圧を推定可能である。しかしながら、過給エンジンの場合には、スロットルバルブ全開時の吸気管圧力は過給された状態であり、大気圧とは異なる値となるため、大気圧計測用センサが無ければ、大気圧を推定できないという問題点がある。
【0011】
また、特許文献2の方法では、過給エンジンでの大気圧推定が可能であるが、スロットルバルブ開度が略全開でなければ算出できないという問題点がある。しかしながら、スロットル開度が略全開となる運転条件は上り坂での運転等に限られている。また、大気圧推定のために運転者の意志と関係なくスロットル開度を略全開とすると、運転者に違和感を与えるという問題点があった。
【0012】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、従来の大気圧計測用センサを不要とすることで製造コストを低減し、かつ、運転者に違和感を与えることなく、スロットルバルブ上流圧センサを用いて大気圧を推定することが可能な、内燃機関の大気圧推定制御装置および大気圧推定方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、車両に設けられた内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサの上流側と下流側とを接続するバイパス通路を開閉するエアバイパスバルブを制御するエアバイパスバルブ制御手段と、前記コンプレッサ下流側の前記吸気通路に設けられて前記内燃機関への吸気量を調節するスロットルバルブを制御するスロットルバルブ制御手段と、前記吸気通路に設けられ、前記コンプレッサ下流側かつ前記スロットルバルブ上流側の圧力を検出するスロットルバルブ上流圧検出手段と、前記車両の運転状態が予め設定された所定の運転状態であるか否かを判定する運転状態判定手段と、前記運転状態判定手段により前記車両の運転状態が前記所定の運転状態であると判定された場合に、前記エアバイパスバルブ制御手段により前記エアバイパスバルブを全開とするエアバイパスバルブ全開手段と、前記エアバイパスバルブ制御手段が前記エアバイパスバルブを全開とした後に、前記スロットルバルブ上流圧検出手段によって検出される前記スロットルバルブ上流側の圧力の変化量が大気圧推定可能範囲内に入ったか否かを判定する大気圧推定可否判定手段と、前記大気圧推定可否判定手段により前記圧力の変化量が前記大気圧推定可能範囲内に入ったと判定された場合に、前記スロットルバルブ上流圧検出手段によって検出される前記スロットルバルブ上流側の圧力の値を大気圧推定値として、前記内燃機関の大気側の圧力を推定する大気圧推定手段とを備えたことを特徴とする内燃機関の大気圧推定制御装置である。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、車両に設けられた内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサの上流側と下流側とを接続するバイパス通路を開閉するエアバイパスバルブを制御するエアバイパスバルブ制御手段と、前記コンプレッサ下流側の前記吸気通路に設けられて前記内燃機関への吸気量を調節するスロットルバルブを制御するスロットルバルブ制御手段と、前記吸気通路に設けられ、前記コンプレッサ下流側かつ前記スロットルバルブ上流側の圧力を検出するスロットルバルブ上流圧検出手段と、前記車両の運転状態が予め設定された所定の運転状態であるか否かを判定する運転状態判定手段と、前記運転状態判定手段により前記車両の運転状態が前記所定の運転状態であると判定された場合に、前記エアバイパスバルブ制御手段により前記エアバイパスバルブを全開とするエアバイパスバルブ全開手段と、前記エアバイパスバルブ制御手段が前記エアバイパスバルブを全開とした後に、前記スロットルバルブ上流圧検出手段によって検出される前記スロットルバルブ上流側の圧力の変化量が大気圧推定可能範囲内に入ったか否かを判定する大気圧推定可否判定手段と、前記大気圧推定可否判定手段により前記圧力の変化量が前記大気圧推定可能範囲内に入ったと判定された場合に、前記スロットルバルブ上流圧検出手段によって検出される前記スロットルバルブ上流側の圧力の値を大気圧推定値として、前記内燃機関の大気側の圧力を推定する大気圧推定手段とを備えたことを特徴とする内燃機関の大気圧推定制御装置であるので、従来の大気圧計測用センサを不要とすることで製造コストを低減し、かつ、運転者に違和感を与えることなく、スロットルバルブ上流圧センサを用いて大気圧を推定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1および2に係る内燃機関の大気圧推定制御装置の制御対象となる内燃機関の構成の一例を示した構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る内燃機関の大気圧推定制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る内燃機関の大気圧推定制御装置で用いられる要求トルクのマップの一例を示した図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る大気圧推定処理の流れを示したフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係る内燃機関の大気圧推定制御装置におけるエアバイパスバルブ作動時のスロットルバルブ上流部圧力の挙動をグラフで示した図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る内燃機関の大気圧推定制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る大気圧推定処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の大気圧推定制御装置および大気圧推定方法について説明する。本実施の形態に係る内燃機関は、例えば、過給エンジンであり、当該エンジンを備えた車両等に搭載されるものとして説明する。以下の説明においては、排気タービンによる過給エンジンに、この発明の内燃機関の大気圧推定制御装置および大気圧推定方法を適用させた場合を例に挙げて説明する。
【0017】
図1は、内燃機関100の構成の一例を表したものであり、本実施の形態に係る内燃機関の大気圧推定制御装置による大気圧推定処理は、例えば、図1に示したような内燃機関(エンジン)で実施される。図1に示すように、内燃機関100には、外気(大気)がエアクリーナー1を通り導入される。導入された外気はコンプレッサ2が回転することにより過給される。コンプレッサ2はタービン軸3を介して排気タービン4に接続されている。排気タービン4は排気ガスの排気エネルギーによって回転し、それに伴い、コンプレッサ2が回転する。コンプレッサ2により過給された外気は、インタークーラー5を通り、内燃機関への吸気量を調節するスロットルバルブ6およびサージタンク7を経て、インジェクタ8からの燃料噴射により混合気となり、吸気バルブ9を通って燃焼室10に吸気される。なお、エアクリーナー1から吸気バルブ9までが設けられている、この外気が吸入される通路全体を、吸気通路と呼ぶこととする。
【0018】
また、この吸気通路上には、コンプレッサ2の上流と下流とを接続しているバイパス通路を開閉させてバイパス通路の流量を制御するエアバイパスバルブ11、スロットルバルブ6の上流側で、かつ、コンプレッサ2の下流側の圧力を測定するスロットルバルブ上流圧センサ12、および、サージタンク7内の圧力を計測する吸気管内圧センサ13が配設されている。ここで、本実施の形態に係る内燃機関100は、スロットルバルブ上流圧センサ12により検出された圧力と吸気管内圧センサ13により検出された圧力との圧力比、および、スロットルバルブ6の開度から求める有効開口面積から、吸気量を推定するものである。本実施の形態においては、スロットルバルブ上流圧センサ12を設けたことで、吸気量を推定する精度が高まる。
【0019】
また、エアバイパスバルブ11はバタフライ式でもソレノイドバルブ式でも流量が調整可能であればどの方式でもかまわない。
【0020】
燃焼室10に吸気された混合気は点火プラグ14より点火され燃焼ガスとなる。燃焼室10にはピストン15があり、ピストン15にはクランク軸16が接続されている。燃焼ガスによってピストン15が上下することによりクランク軸16は回転させられる。クランク軸16には図示しないクランクプレートが取り付けられている。クランクプレートには突起があり、クランク角検出センサ17はこの突起を検出することによりクランク軸16の回転数やクランク角度位置を検出する。
【0021】
燃焼室10の燃焼ガスは排気バルブ18を通って排気される。排気ガスは排出する際、排気タービン4を回転させる。また、排気タービン4の上流と下流とを接続した排気側バイパス通路があり、排気タービン4へ導入される排気ガスの量は当該排気側バイパス通路に配設されたウェイストゲートバルブ19で調整される。
【0022】
ウェイストゲートバルブ19はバタフライ式でもソレノイドバルブ式でも流量が調整可能であればどの方式でもかまわない。
【0023】
ここで、ECU200には、前記スロットルバルブ上流圧センサ12、吸気管内圧センサ13、クランク角センサ17、吸気温を検出する吸気温センサ20、スロットルバルブ6の開度を検出するスロットルポジションセンサ21、内燃機関100の冷却水温を検出する水温センサ22、運転者のアクセル踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサ23、車速を検出する車速センサ24等からの信号が入力され、内燃機関100の回転速度や点火時期、インジェクタ8による燃料噴射量、エアバイパスバルブ11の開閉動作、ウェイストゲートバルブ19の開閉動作、スロットルバルブ6の開閉動作等の計算が行なわれ、それらの制御が行われている。
【0024】
次に、図2を参照して、ECU200内で行われる大気圧推定の処理の概要について述べる。図2は、本実施の形態に係る大気圧推定処理を行うための全体の構成を示したブロック図である。図2において、12は図1に示したスロットルバルブ上流圧センサ12、23は図1に示したアクセルポジションセンサ23、17は図1に示したクランク角センサ17、200は図1に示したECU200である。ECU200内の大気圧推定処理を行う構成について説明する。ECU200は、図示しない各種インターフェース回路とマイクロコンピュータ(計算機)とからなり、マイクロコンピュータは、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、制御プログラムや制御定数を記憶しておくROM領域、プログラムを実行した際の変数を記憶しておくRAM領域、各種プログラムを実行するCPU等から構成されている。25は大気圧推定部であり、スロットルバルブ上流圧センサ12からの情報を用いて大気圧を推定する。26は回転数演算部、27は要求トルク算出部、28はエアバイパスバルブ動作設定部、29はウェイストゲートバルブ動作設定部である。
【0025】
ECU200では、当該構成において、まず、回転数演算部26で、クランク角検出センサ17からの信号に基づいて内燃機関100の回転数(エンジン回転数)を演算し、当該回転数を要求トルク算出部27に入力する。要求トルク算出部27には、当該回転数とともに、アクセルポジションセンサ23からの信号(すなわち、運転者のアクセル踏み込み量を示すアクセル開度)も入力される。要求トルク算出部27では、入力された回転数とアクセル開度とに基づいて、予め用意され記憶されているマップを用いて、要求トルクを算出する。図3は、当該マップの一例を示した図であり、要求トルクは、図3に示すとおり、回転数とアクセル開度とのマップになっており、当該マップを用いれば回転数とアクセル開度から要求トルクが一意に求められる。例えば、回転数が1000[r/min]より大きく2000[r/min]以下で、アクセル開度が10パーセントより大きく20%以下の場合は、要求トルクは10[N・m]となる。なお、図3におけるマップ内のデータの単位は例えば[N・m]である。求められた要求トルクは、エアバイパスバルブ動作設定部28に入力されるとともに、大気圧推定部15以外のエンジン制御にも用いられる。
【0026】
エアバイパスバルブ動作設定部28は、入力された要求トルクに基づいて、エアバイパスバルブ11の動作を設定する。具体的には、要求トルクが、予め設定された所定値以下か否かを判定し、所定値以下の場合に、エアバイパスバルブ11を全開にする。従って、エアバイパスバルブ動作設定部28は、車両の運転状態が所定の状態であったときに(すなわち、要求トルクが所定値以下の場合に)、エアバイパスバルブ11を全開にするエアバイパスバルブ全開手段を構成している。
【0027】
また、エアバイパスバルブ11の動作設定結果は、ウェイストゲートバルブ動作設定部29にも入力され、それにより、ウェイストゲートバルブ動作設定部29がウェイストゲートバルブ19の動作を設定する。具体的には、ウェイストゲートバルブ動作設定部29がウェイストゲートバルブ19を全開にする。ウェイストゲートバルブ19が全開になった場合には、排気タービン4が停止または回転数が低減する。それに伴い、コンプレッサ2も停止または回転数が低減する。従って、ウェイストゲートバルブ動作設定部29は、エアバイパスバルブ動作設定部28によるエアバイパスバルブ11の全開時に、コンプレッサ2を停止またはその回転数を低減させるコンプレッサ回転減速手段を構成している。
【0028】
また、エアバイパスバルブ動作設定部28からのエアバイパスバルブ11の動作設定結果と、ウェイストゲートバルブ動作設定部29からのウェイストゲートバルブ19の動作設定結果と、スロットルバルブ上流圧センサ12により検出されたスロットルバルブ6の上流部の圧力(コンプレッサ2の下流側の圧力)とが、大気圧推定部25に入力される。大気圧推定部25は、エアバイパスバルブ11が全開で、かつ、ウェイストゲートバルブ19が全開の場合で、かつ、スロットルバルブ上流圧センサ12の検出値が安定した時点で、スロットルバルブ上流圧センサ12の検出値を基に大気圧を推定し、推定した大気圧推定値を用いて、自身(大気圧推定部25)に現在記憶されている大気圧推定値の値を更新する。
【0029】
大気圧推定処理は例えば始動時を含めて180degCA周期で繰り返し実施される。
【0030】
本実施の形態1の処理を図4のフローチャートに沿って説明する。
図4のフローチャートは、要求トルクを算出し、各アクチュエータを動作させて、大気圧を推定する処理であり、エンジン回転に同期したタイミング(例えば、180degCA毎の割り込み処理等、degCAはクランク角度の意味)で繰り返し行われる処理である。
【0031】
まず、ステップS101で、回転数演算部26からエンジン回転数が出力され、要求トルク算出部27に、回転数演算部26からのエンジン回転数とアクセルポジションセンサ23からのアクセル開度とが入力される。要求トルク算出部27は、入力されたエンジン回転数とアクセル開度とに基づいて、要求トルクTwを求める。なお、ここで、エンジン回転数は、回転数演算部26により、クランク角センサ17の値から求められ、アクセル開度はアクセルポジションセンサ23で検出した運転者によるアクセル踏み込み量から求められる。また、要求トルクは、上述のように、例えば、図3に示すようなアクセル開度とエンジン回転数とのマップを予め用意しておき、当該マップから求めるようにすればよい。例えば、エンジン回転数が2000[r/min]、アクセル開度50[%]であれば、図3のテーブルから、要求トルクTw=25[N・m]が得られる。要求トルクはもちろん別の方法で求めても良い。
【0032】
次に、ステップS102では、車両の運転状態が予め設定された所定の運転状態か否かが判定される。ここでは、要求トルクの値が予め設定された所定値以下の場合を、当該所定の運転状態として設定している。従って、ステップS102では、エアバイパスバルブ動作設定部28に要求トルクTwの値が入力され、エアバイパスバルブ動作設定部28により、要求トルクTwが所定値以下であるか否かが判定される。要求トルクTwが所定値以上であればステップS109へ進み、所定値以下であればステップS103へ進む。例えば、要求トルクTw=25[N・m]であり、所定値が30[N・m]であればステップS103へ進む。
【0033】
このように、本実施の形態では、要求トルクTwの値を判定して、エアバイパスバルブ11の全開可否判定を行っている。要求トルクTwで判定することにより、過給が必要な領域かどうか判定が可能である。過給の要否によりスロットルバルブ上流部を大気圧相当の圧力とすることが可能となり、大気圧を推定することが可能となる。
【0034】
次に、ステップS103では、エアバイパスバルブ動作設定部28により、エアバイパスバルブ11を全開とする。次に、ステップS104では、エアバイパスバルブ動作設定部28によるエアバイパスバルブ11の動作設定結果(すなわち、全開にしたという情報)が、ウェイストゲートバルブ動作設定部29に入力され、それにより、ウェイストゲートバルブ動作設定部29が、ウェイストゲートバルブ19を全開とする。
【0035】
次に、ステップS105に進み、エアバイパスバルブ動作設定部28からのエアバイパスバルブ11の動作設定結果(全開にしたという情報)と、ウェイストゲートバルブ動作設定部29からのウェイストゲートバルブ19の動作設定結果(全開にしたという情報)とが、大気圧推定部25に入力される。大気圧推定部25は、エアバイパスバルブ11が全開で、かつ、ウェイストゲートバルブ19が全開の場合に、大気圧推定部25に予め内蔵された大気圧推定タイマー(図示省略)が作動しているかどうかを判定する。大気圧推定タイマーが作動していれば、ステップS107へ進み、作動していなければステップS106へ進む。ステップS106では、大気圧推定部25により、大気圧推定タイマーを作動させ、ステップS107へ進む。
【0036】
ステップS107では、大気圧推定部25により、大気圧推定タイマーが計測した経過時間が所定時間以上になったかどうかを判定する。所定時間以上であれば、ステップS108へ進み、所定時間以下であれば、今回の処理は終了となり、大気圧推定は行なわない。大気圧推定タイマーを判定する所定時間は、例えば1[sec]等、ある程度長い時間とし、スロットルバルブ上流圧センサ12で検出される圧力の値の変化が安定するまでに必要な時間を設定する。なお、この所定時間は、エンジン回転数に応じて適宜変更してもよい。図5に、エアバイパスバルブ11が動作した際のスロットルバルブ上流圧センサ12により検出される圧力の挙動を示す。図5に示されるように、エアバイパスバルブ11の作動後(全開後)、スロットルバルブ上流部圧力が徐々に低下し、大気圧の値付近まで下がった段階で、当該圧力の変化量が少なくなり、ほぼ安定する。エアバイパスバルブ11の作動後、当該圧力が大気圧付近で安定するまでの時間は、車両によりほぼ一定であるため、本実施の形態では、大気圧推定タイマーにより、エアバイパスバルブ11が作動した時点からの経過時間を測定し、所定時間経過前の時点では大気圧推定は行なわず、所定時間が経過した後の、スロットルバルブ上流部圧力が安定した時点で、大気圧推定を行うように構成されている。
【0037】
ステップS108では、大気圧推定部25に、スロットルバルブ上流圧センサ12により検出されたスロットルバルブ6の上流部(かつ、コンプレッサ2の下流側)の圧力の値が入力され、大気圧推定部25が、当該値を大気圧推定値として更新し記憶する。次に、ステップS109で、大気圧推定タイマーをリセットし、処理終了となる。
【0038】
上記の説明においては、スロットルバルブ上流圧センサ12によって検出されるスロットルバルブ上流側の圧力の変化量が大気圧推定可能範囲内に入ったか否かを判定するための大気圧推定可否判定手段としての大気圧推定部25が、タイマー(大気圧推定タイマー)を使用した。しかしながら、これに限定されることなく、タイマーのほかに、例えば、大気圧推定部25が、スロットルバルブ上流圧の変化量を継続してモニタし続け、エアバイパスバルブ11が全開になった後に、スロットルバルブ上流圧センサ12の値がほぼ安定したことを判定(すなわち、例えば、圧力の変化量が所定範囲内となった場合に、大気圧推定可能範囲内に入ったと判定)して、判定した時点のスロットルバルブ上流圧の値を大気圧推定値としてもよい。また、スロットルバルブ上流圧センサ12の値はそのまま大気圧推定値としてもよいし、インタークーラー5等の損失を考慮して補正した値を使用してもよい。
【0039】
このように、本実施の形態では、過給エンジンで、エアバイパスバルブ11を全開とすることにより、スロットルバルブ上流部(コンプレッサ下流側)の空気が過給されない状態とする。こうすることでスロットルバルブ上流部の圧力が大気圧と同等となり、スロットルバルブ上流圧センサ12を使用して大気圧推定(大気圧計測)が可能となる。
【0040】
加えて、ウェイストゲートバルブ19を全開とすることで、排気タービン4が停止又は減速となり、接続されているコンプレッサ2が停止又は減速となる。これにより、コンプレッサ2による過給が行われない、又は、過給する力を少ない状態とすることができる。こうすることで、スロットルバルブ上流部圧力がより大気圧相当の圧力となり、大気圧推定精度が向上する。なお、ウェイストゲートバルブ19は必ずしも、全開としなくてもよいものとする。
【0041】
本実施の形態では、エアバイパスバルブ11の全開可否判定を、要求トルクを用いて行うことで、エアバイパス全開時のトルク変化を運転者に気付かせないことができる。したがって、運転者に違和感を与えず、エアバイパスバルブ11を全開にし、大気圧推定を可能とした。要求トルクにより大気圧推定可否を判定するため、要求トルクが所定以下であれば減速中、加速中、アイドルと運転条件を問わず実施が可能である。本実施の形態では要求トルクの算出をアクセル開度とエンジン回転数から求めたが車速情報等他の情報を用いてもよい。
【0042】
本実施の形態では、排気タービンによる過給エンジンに適用したが、これに限らず、エンジン動力を用いるスーパーチャージャー型やモータを使用する電動ターボ型の過給エンジンに対しても有効である。
【0043】
以上のように、本実施の形態に係る内燃機関の大気圧推定制御装置は、車両に設けられた内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサ2の上流側と下流側とを接続するバイパス通路を開閉するエアバイパスバルブ11を制御するエアバイパスバルブ制御手段(ECU200)と、コンプレッサ2の下流側の吸気通路に設けられて内燃機関への吸気量を調節するスロットルバルブ6を制御するスロットルバルブ制御手段(ECU200)と、吸気通路に設けられ、コンプレッサ2の下流側かつスロットルバルブ6の上流側の圧力を検出するスロットルバルブ上流圧センサ12と、車両の運転状態が予め設定された所定の運転状態であるか否かを判定するとともに、車両の運転状態が前記所定の運転状態であると判定された場合に、エアバイパスバルブ11を全開とするエアバイパスバルブ動作設定部28と、エアバイパスバルブ11を全開とした後に、スロットルバルブ上流圧センサ12によって検出されるスロットルバルブ6の上流側の圧力の変化量が大気圧推定可能範囲内に入ったか否かを判定するとともに、当該圧力の変化量が大気圧推定可能範囲内に入ったと判定された場合に、スロットルバルブ上流圧センサ12によって検出されるスロットルバルブ6の上流側の圧力の値を大気圧推定値として内燃機関100の大気側の圧力を推定する大気圧推定部25とを備えるようにしたので、過給エンジンにおいても、スロットルバルブ上流圧センサ12を使用して大気圧を推定することが可能となり、大気圧計測用のセンサを設ける必要がなくなったため、その分だけコストの低減が図れ、また、大気圧推定のために運転者の意思と関係なくスロットル開度を変更しないため、運転者に違和感を与えることがないという効果を奏する。
【0044】
また、本実施の形態では、エンジン回転数とアクセル開度とに基づいて要求トルクを算出する要求トルク算出部27をさらに備え、要求トルク算出部27により算出される要求トルクが予め設定された所定値以下の場合を、エアバイパスバルブ動作設定部28における上記所定の運転状態として設定するようにした。このように、エアバイパスバルブ11の全開可否判定を要求トルクを用いて行なうことで、エアバイパス全開時のトルク変化を運転者に気付かせないことができる。従って、運転者に違和感を与えずに、エアバイパスバルブ11を全開にし、大気圧推定が行なえるという効果を奏する。また、要求トルクにより大気圧推定可否の判定を行うため、要求トルクが所定以下であれば、減速中、加速中、アイドルと運転条件を問わずに、実施が可能であるという効果も得られる。
【0045】
さらに、本実施の形態では、エアバイパスバルブ全開時に、ウェイストゲートバルブ19も全開とすることで、排気タービン4が停止又は減速となり、それに伴い、接続されているコンプレッサ2が停止又は減速となる。これにより、コンプレッサ2による過給が行われない、又は、過給する力を少ない状態とすることができる。こうすることで、スロットルバルブ上流部圧力がより大気圧相当の圧力となり、大気圧推定精度が向上するという効果を奏する。
【0046】
実施の形態2.
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態2に係る内燃機関の大気圧推定制御装置について説明する。本実施の形態に係る大気圧推定制御装置は、実施の形態1と同様に、図1に示される内燃機関100で実施される。図1の説明は、上述の実施の形態1の説明を参照することとし、ここでは省略する。
【0047】
次に、図6を参照してECU200内で行われる大気圧推定の処理の概要について述べる。図6は、本実施の形態に係る大気圧推定処理を行うための全体の構成を示したブロック図である。図6に示すように、本実施の形態に係るECU200の構成は、上記の実施の形態1で説明した図2の構成に対して、その要求トルク算出部27の代わりに、燃料カット判定部30を設けた点が異なる。従って、本実施の形態では、アクセルポジションセンサ23からの出力と回転数演算部26からの出力とが、燃料カット判定部30に入力され、燃料カット判定部30が、それらに基づいて「燃料カットを実施すべき」か否かを判定し、「燃料カットを実施すべき」と判定した場合には、インジェクタ8へ燃料カットの指示を出力する。これにより、インジェクタ8は、燃料噴射を停止させ、「燃料カット」を実施する。また、それと同時に、「燃料カット実施中」の情報が、エアバイパスバルブ動作設定部28に入力され、エアバイパスバルブ動作設定部28が、それに基づき、エアバイパスバルブ11の動作を設定する。具体的には、エアバイパスバルブ11を全開にする。その後の動作は実施の形態1と同様であるため、実施の形態1の説明を参照することとし、ここでは説明を省略する。
【0048】
本実施の形態2に係る大気圧推定処理を図7のフローチャートに沿って説明する。
図7のフローチャートは、燃料カットを判定し大気圧を推定する処理であり、エンジン回転に同期したタイミング(例えば、180degCA毎の割り込み処理等、degCAはクランク角度の意味)で繰り返し行われる処理である。
【0049】
まず、ステップS201で、回転数演算部26からのエンジン回転数とアクセルポジションセンサ23からのアクセル開度とが、燃料カット判定部30に入力され、燃料カット判定部30により、エンジン回転数とアクセル開度とに基づいて、燃料カットを実施するかどうかの判定が行なわれ、「実施すべき」と判定した場合は燃料カットを実施し(具体的には、インジェクタ8を制御して、燃料噴射を停止させる)、一方、「実施しない」と判定した場合は燃料カットを実施しない。判定基準としては、例えば、エンジン回転数が3000[r/min]以上で、かつ、アクセル開度が全閉時に、「燃料カットを実施すべき」と判定し、それ以外の場合は、「燃料カットを実施しない」と判定する。なお、当該判定基準はこれに限定されるものではなく、適宜決定してよい。このように、本実施の形態では、燃料カット判定部30が、エンジン回転数とアクセル開度とが、それぞれに対して予め設定された所定の条件を満たしたときに、燃料カットを実施すべきと判定し、インジェクタ8を制御して燃料噴射を停止させる。
【0050】
次に、ステップS202では、車両の運転状態が予め設定された所定の運転状態か否かが判定される。ここでは燃料カット判定部30により、燃料カットを実施した場合(すなわち、インジェクタ8を制御して、燃料噴射を停止させた場合)を、当該所定の運転状態として設定している。従って、ステップS202では、エアバイパスバルブ操作設定部28により、現在、燃料カット実施中であるか否かを判定する。燃料カットを実施していなければ(すなわち、ステップS201で燃料カットすべきと判定していない場合)、ステップS209へ進み、一方、燃料カット実施中(すなわち、ステップS201で燃料カットすべきと判定し、インジェクタによる燃料噴射を停止した場合)であれば、ステップS203へ進む。
【0051】
ステップS203からステップS209までの動作は実施の形態1のステップS103からステップS109までの動作と同様であるため、ここではそれらの説明は省略する。
【0052】
上記の実施の形態1では、エアバイパスバルブ11の全開可否判定を要求トルクに基づいて行なっていたが、本実施の形態では、燃料カット判定を用いて行うことで、実施の形態1と同様に、エアバイパスバルブ全開によるトルク変化を運転者に気付かせないことができる。したがって、運転者に違和感を与えずにエアバイパスバルブ11を全開にし、大気圧推定を行うことを可能とした。また、本実施の形態では、燃料カットの判定をアクセル開度とエンジン回転数で行ったが、車速情報等他の情報を使用しても良い。
【0053】
本実施の形態では排気タービンによる過給エンジンに適用したが、エンジン動力を用いるスーパーチャージャー型やモータを使用する電動ターボ型の過給エンジンに対しても有効である。
【0054】
本実施の形態においては、上記の実施の形態1と同様の効果が得られる。また、本実施の形態においては、エアバイパスバルブ11の全開可否判定を、燃料カット判定を用いて行なうようにしたので、要求トルクで判定する実施の形態1と同様に、エアバイパスバルブ全開によるトルク変化を運転者に気付かせないことができため、運転者に違和感を与えずに、エアバイパスバルブ11を全開にし、大気圧推定を行うことを可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 エアクリーナー、2 コンプレッサ、3 タービン軸、4 排気タービン、5 インタークーラー、6 スロットルバルブ、7 サージタンク、8 インジェクタ、9 吸気バルブ、10 燃焼室、11 エアバイパスバルブ、12 スロットルバルブ上流圧センサ、13 吸気管圧力センサ、14 点火プラグ、15 ピストン、16 クランク軸、17 クランク角検出センサ、18 排気バルブ、19 ウェイストゲートバルブ、20 吸気温センサ、21 スロットルポジションセンサ、22 水温センサ、23 アクセルポジションセンサ、24 車速センサ、25 大気圧推定部、26 回転数演算部、27 要求トルク算出部、28 エアバイパスバルブ動作設定部、29 ウェイストゲートバルブ動作設定部、30 燃料カット判定部、100 内燃機関、200 ECU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサの上流側と下流側とを接続するバイパス通路を開閉するエアバイパスバルブを制御するエアバイパスバルブ制御手段と、
前記コンプレッサ下流側の前記吸気通路に設けられて前記内燃機関への吸気量を調節するスロットルバルブを制御するスロットルバルブ制御手段と、
前記吸気通路に設けられ、前記コンプレッサ下流側かつ前記スロットルバルブ上流側の圧力を検出するスロットルバルブ上流圧検出手段と、
前記車両の運転状態が予め設定された所定の運転状態であるか否かを判定する運転状態判定手段と、
前記運転状態判定手段により前記車両の運転状態が前記所定の運転状態であると判定された場合に、前記エアバイパスバルブ制御手段により前記エアバイパスバルブを全開とするエアバイパスバルブ全開手段と、
前記エアバイパスバルブ制御手段が前記エアバイパスバルブを全開とした後に、前記スロットルバルブ上流圧検出手段によって検出される前記スロットルバルブ上流側の圧力の変化量が大気圧推定可能範囲内に入ったか否かを判定する大気圧推定可否判定手段と、
前記大気圧推定可否判定手段により前記圧力の変化量が前記大気圧推定可能範囲内に入ったと判定された場合に、前記スロットルバルブ上流圧検出手段によって検出される前記スロットルバルブ上流側の圧力の値を大気圧推定値として、前記内燃機関の大気側の圧力を推定する大気圧推定手段と
を備えたことを特徴とする内燃機関の大気圧推定制御装置。
【請求項2】
エンジン回転数とアクセル開度とに基づいて要求トルクを算出する要求トルク算出手段をさらに備え、
前記要求トルク算出手段により算出される前記要求トルクが予め設定された所定値以下の場合を、前記運転状態判定手段における前記所定の運転状態として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の大気圧推定制御装置。
【請求項3】
エンジン回転数とアクセル開度とが所定の条件を満たしたときに燃料カットを実施すべきと判定し、インジェクタを制御して燃料噴射を停止させる、燃料カット判定手段をさらに備え、
前記燃料カット判定手段により前記インジェクタの燃料噴射を停止させた場合を、前記運転状態判定手段における前記所定の運転状態として設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の大気圧推定制御装置。
【請求項4】
前記大気圧推定可否判定手段は、前記エアバイパスバルブ制御手段が前記エアバイパスバルブを全開とした後の経過時間を測定するタイマーを有し、前記タイマーにより所定時間が経過したときに、前記スロットルバルブ上流圧検出手段によって検出される前記スロットルバルブ上流側の圧力の変化量が大気圧推定可能範囲内に入ったと判定する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の内燃機関の大気圧推定制御装置。
【請求項5】
前記大気圧推定可否判定手段は、前記エアバイパスバルブ制御手段が前記エアバイパスバルブを全開とした後に、前記スロットルバルブ上流圧検出手段によって検出される前記スロットルバルブ上流側の圧力の変化量をモニタし、当該変化量が所定範囲内になったときに、前記スロットルバルブ上流圧検出手段によって検出される前記スロットルバルブ上流側の圧力の変化量が大気圧推定可能範囲内に入ったと判定する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の内燃機関の大気圧推定制御装置。
【請求項6】
前記エアバイパスバルブ全開手段による前記エアバイパスバルブ全開時に、前記コンプレッサを停止させる又は前記コンプレッサの回転数を低減させるコンプレッサ回転減速手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の内燃機関の大気圧推定制御装置。
【請求項7】
車両の運転状態が予め設定された所定の運転状態であるか否かを判定する運転状態判定ステップと、
前記運転状態判定ステップにより前記車両の運転状態が前記所定の運転状態であると判定された場合に、前記車両の内燃機関の吸気通路に設けられたコンプレッサの上流側と下流側とを接続するバイパス通路を開閉するエアバイパスバルブを全開とするエアバイパスバルブ全開ステップと、
前記エアバイパスバルブ全開ステップにより前記エアバイパスバルブを全開とした後に、前記吸気通路に設けられて前記内燃機関への吸気量を調節するスロットルバルブの上流側の圧力の検出値の変化量が大気圧推定可能範囲内に入ったか否かを判定する大気圧推定可否判定ステップと、
前記大気圧推定可否判定ステップにより前記圧力の検出値の変化量が前記大気圧推定可能範囲内に入ったと判定された場合に、前記スロットルバルブの上流側の圧力の検出値を、大気圧推定値として、前記内燃機関の大気側の圧力を推定する大気圧推定ステップと
を備えたことを特徴とする内燃機関の大気圧推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−72300(P2013−72300A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210105(P2011−210105)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【特許番号】特許第5116870号(P5116870)
【特許公報発行日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】