説明

内燃機関用点火装置

【課題】ノイズの影響を受けにくい信頼性の高さと生産効率の高さを備えた点火装置を提供する。
【解決手段】第1の点火コイル102及び第2の点火コイル104のそれぞれに第1のイグナイタ50と第2のイグナイタ52を備え、第1の点火コイル102及び第2の点火コイル104は1つのコネクタ40によって外部と接続され、コネクタ40は第1の点火コイル102及び第2の点火コイル104に電源を入力する電源端子42と第1の点火コイル102に点火信号を入力する第1の信号入力端子44、第2の点火コイル104に点火信号を入力する第2の信号入力端子46、グランドと接続する接地端子48を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関用点火装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より燃費の改善などで、理論空燃比より燃料の割合が低い混合気で燃焼させるリーン燃焼やシリンダ内に層状混合気を形成して成層燃焼を行うものがある。しかし、リーン燃焼や成層燃焼では空燃比のばらつきがあることや、点火プラグのくすぶりによってミスファイアを起こすことがある。そしてこのような状況においては例えば特開2000−199470号公報(以下「特許文献1」)のような複数の点火コイルを用いて多重点火を行う構成が知られている。
【0003】
上記特許文献1の点火装置の上面図(E)と側面図(F)を図6に示す。図6において特許文献1では、シリンダヘッドに装着される点火栓とロッカカバーとの間に円筒状の第1の点火コイル500を配設すると共に、該第1の点火コイル500の上端部に連結させてロッカカバー上に筐体状の第2の点火コイル600を配設し、これら第1の点火コイル500と第2の点火コイル600とを並列に接続して、多重放電特性を得るように構成している。また、前記第1の点火コイル500は、第2の点火コイル600に比較して2次電圧が急峻に立ち上がる放電特性を有する一方、第2の点火コイル600は第1の点火コイル500に比較して放電時間が長い放電特性を有し、これらを合成した2次電圧が急峻に立ち上がり放電時間の長い多重放電特性が得られる構成としている。さらに、前記第1の点火コイル500と第2の点火コイル600の2次側同士を、前記第1の点火コイル500の円筒状ケースの外周壁に外装鉄心位置決め用に突出して形成されたリブに配設された配線を介して接続する構成としている。
【0004】
また、前記第1の点火コイル500と第2の点火コイル600の2次側同士を、過早着火防止用のダイオードを介して点火栓の電極に接続される位置で接続し、前記第1の点火コイル500及び第2の点火コイル600の1次側に接続される各パワートランジスタ150,160を1つのパッケージに一体に装着している。さらに、前記第1の点火コイル500及び第2の点火コイル600の1次側に接続される各パワートランジスタ150,160を第2の点火コイル600のケースの離れた位置に装着している。
【0005】
また、第2の点火コイル600のケースと一体に、第1の点火コイル500を電源と接続するための第1のコネクタ120と第2の点火コイル600を電源と接続するための第2のコネクタ130が形成され、また、ボルトによりシリンダヘッド1に締結するための締結部140が形成されている内燃機関の点火装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−199470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の点火装置では次のような問題が生じている。即ち、特許文献1の点火装置では、シリンダヘッドに装着される点火栓とロッカカバーとの間に円筒状の第1の点火コイルを配設すると共に、該第1の点火コイルの上端部に連結させてロッカカバー上に筐体状の第2の点火コイルを配設し、これら第1の点火コイルと第2の点火コイルとを並列に接続して、多重放電特性を得るように構成し、第2の点火コイルのケースと一体に、第1の点火コイルを電源と接続するための第1のコネクタと第2の点火コイルを電源と接続するための第2のコネクタが形成されている。
【0008】
しかし、第1の点火コイルと第2の点火コイルのそれぞれにコネクタを備えると、車両に搭載される様々な電子機器からのノイズの影響を受けやすくなる。さらに、コネクタを複数備えることは部品点数の増加を招き、生産効率の悪化にも繋がる。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、ノイズの影響を受けにくい信頼性の高さと、生産効率の高さを備えた点火装置を提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。即ち、請求項1の発明においては、ケースと、当該ケース内に1次ボビンに1次巻線を巻き回した1次コイルと2次ボビンに2次巻線を巻き回した2次コイルと鉄芯からなる第1の点火コイルと第2の点火コイルを備え、前記ケースにコネクタを配置し、前記ケースに点火プラグへの高電圧を供給する高圧端子を配置し、前記ケースのコイル収容部にモールド樹脂を充填し、前記第1の点火コイルと前記第2の点火コイルからの高電圧を1つにまとめて1つの前記点火プラグに供給する点火装置において、前記第1の点火コイル及び前記第2の点火コイルのそれぞれに第1のイグナイタと第2のイグナイタを備え、前記第1の点火コイル及び前記第2の点火コイルとが1つの前記コネクタで外部に接続されていることを特徴とする点火装置とする。
【0011】
上記構成においては、前記コネクタは4つ以上の端子を有してもよいし、前記コネクタは前記第1の点火コイル及び前記第2の点火コイルに電源を入力する電源端子と前記第1の点火コイルに点火信号を入力する第1の信号入力端子、前記第2の点火コイルに点火信号を入力する第2の信号入力端子、グランドと接続する接地端子を有してもよい。また、前記第1の点火信号入力端子は前記コネクタ内で前記第1のイグナイタに近接する位置に配置され、前記第2の点火信号入力端子は前記コネクタ内で前記第2のイグナイタに近接する位置に配置されてもよい。さらに、前記接地端子が前記第1の点火信号入力端子と前記第2の点火信号入力端子の間に配置されてもよいし、前記電源端子及び前記第1の点火信号入力端子、前記第2の点火信号入力端子、前記接地端子はそれぞれの端子が重ならないよう配線されてもよい。
【0012】
また、前記電源端子は前記第1の点火コイル及び前記第2の点火コイルにそれぞれ1つずつ備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
上記の通り、第1の点火コイル及び第2の点火コイルのそれぞれに第1のイグナイタと第2のイグナイタを備え、第1の点火コイル及び第2の点火コイルは1つのコネクタによって外部からの電源等を供給され、コネクタは第1の点火コイル及び第2の点火コイルに電源を入力する電源端子と第1の点火コイルに点火信号を入力する第1の信号入力端子、第2の点火コイルに点火信号を入力する第2の信号入力端子、グランドと接続する接地端子を有し、第1の点火信号入力端子はコネクタ内で第1のイグナイタに近接する位置に配置され、第2の点火信号入力端子はコネクタ内で第2のイグナイタに近接する位置に配置され、第1のイグナイタ及び第2のイグナイタとコネクタの接続に要するイグナイタ端子の長さが短くなることで、ノイズの影響を受けにくい信頼性の高さと、生産効率の高さを備えた点火装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施例とする点火装置の斜視図である。
【図2】図1の点火装置の矢印(A)方向から見たB−B断面図である。
【図3】図2の点火装置の矢印(C)方向から見たD−D断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例とするコネクタの斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施例とする点火装置の回路構成図である。
【図6】特許文献1の点火装置の上面図(E)と側面図(F)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を示す実施例1を図1乃至図5に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の第1の実施例とする点火装置の斜視図を図1に、図1の点火装置の矢印(A)方向から見たB−B断面図を図2に、図2の点火装置の矢印(C)方向から見たD−D断面図を図3に、コネクタの斜視図を図4に、点火装置の回路構成図を図5に示す。
【0017】
図1乃至図5において、点火装置100の外形を形成するケース70は開口面を一面備える箱型とした一体成形で形成されている。また、当該ケース70には当該点火装置100を図示しないエンジンヘッドに取り付けて固定するためのケース固定部72を当該ケース70の開口面と略垂直面の2箇所に形成している。さらに、当該ケース70の底面には、2次電圧を点火プラグ110に供給する高圧端子を備えるための高圧タワー74がエンジン上部に形成されたプラグホール内に向かって突出するように形成されている。
【0018】
また、前記ケース70のコイル収容部には、第1の点火コイル102と第2の点火コイル104を備え、当該第1の点火コイル102及び当該第2の点火コイル104は複数の薄板を積層して形成された鉄芯30と、当該鉄芯30の外周に樹脂で形成された1次ボビン10の外周に1次巻線12を50ターン前後巻き回した1次コイル14と、当該1次コイル14の外周に樹脂で形成された2次ボビン20の外周に2次巻線22を3000ターン前後巻き回した2次コイル24とから構成されている。さらに、当該1次ボビン10には当該1次ボビン10の軸方向両端部を結ぶ誘導溝18を形成している。
【0019】
また、前記1次巻線12は前記1次ボビン10の一端から巻き始めて前記誘導溝18を通って前記1次ボビン10の他端へ向かい、前記1次巻線12は前記1次ボビン10の他端から一端に向かって1層目が巻き回されている。さらに、前記1次巻線12は前記1次ボビン10の一端から他端に向かって2層目が巻き回され、前記1次巻線12は前記1次ボビン10の他端から一端に向かって3層目が巻き回され前記1次ボビン10の一端で巻き終えている。
【0020】
また、前記誘導溝18は前記1次コイル14が前記ケース70に備えられた際に前記ケース70の底面側に近接する面に形成されている。さらに、前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104の前記2次コイル24の低圧側にそれぞれ2次低圧端子26を備え、当該2次低圧端子26は前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104の前記1次コイル14の低圧側とそれぞれ電気的に接続している。
【0021】
また、前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104の前記2次コイル24の高圧側にそれぞれ2次高圧端子28を備えている。さらに、前記ケース70の内側底面にケース側2次高圧端子76を前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104それぞれに備え、前記第1の点火コイル102の当該2次高圧端子28は前記第1の点火コイル102の当該ケース側2次高圧端子76と電気的に接続し、前記第2の点火コイル104の当該2次高圧端子28は前記第2の点火コイル104の当該ケース側2次高圧端子76と電気的に接続している。
【0022】
また、前記ケース70内に前記第1の点火コイル102に点火信号を供給する第1のイグナイタ50と、前記第2の点火コイル104に点火信号を供給する第2のイグナイタ52を備えている。さらに、当該第1のイグナイタ50及び当該第2のイグナイタ52はスイッチング素子から構成され、当該スイッチング素子のベース側及びコレクタ側、エミッタ側にはそれぞれイグナイタ端子54が備えられている。
【0023】
また、前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104の前記1次コイル14の低圧側に1次コイル端子16を備えている。さらに、前記ケース70の側面にバッテリ112からの1次電圧及び点火装置制御部114からの点火信号を供給するコネクタ40を備え、当該コネクタ40は電源端子42及び第1の点火信号入力端子44、第2の点火信号入力端子46、接地端子48の4本の端子を備えている。
【0024】
また、前記コネクタ40は前記電源端子42及び前記第1の点火信号入力端子44、前記第2の点火信号入力端子46、前記接地端子48の4本の端子を水平方向に配列し、前記第1の点火信号入力端子44及び前記第2の点火信号入力端子46は前記コネクタ40の両端側に配置され、前記第1の点火信号入力端子44は前記第1のイグナイタ50に近接する位置に配置し、前記第2の点火信号入力端子46は前記第2のイグナイタ52に近接する位置に配置されている。さらに、前記電源端子42及び前記接地端子48は前記第1の点火信号入力端子44と前記第2の点火信号入力端子46の間且つ前記電源端子42は前記第1の点火信号入力端子44の隣、前記接地端子48は前記第2の点火信号入力端子46の隣に配置されている。
【0025】
また、前記電源端子42の一端は前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104の前記1次コイル端子16と溶接によって電気的に接続されている。さらに、前記電源端子42の他端は前記バッテリ112と接続され、前記バッテリ112は前記電源端子42を介して前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104の前記1次コイル14に1次電圧を供給している。
【0026】
また、前記第1の点火信号入力端子44の一端は前記第1のイグナイタ50のベース側の前記イグナイタ端子54と溶接によって電気的に接続されている。さらに、前記第1の点火信号入力端子44の他端は前記点火装置制御部114と接続され、前記点火装置制御部114は前記第1の点火信号入力端子44を介して前記第1のイグナイタ50に点火信号を供給している。
【0027】
また、前記第2の点火信号入力端子46の一端は前記第2のイグナイタ52のベース側の前記イグナイタ端子54と溶接によって電気的に接続されている。さらに、前記第2の点火信号入力端子46の他端は前記点火装置制御部114と接続され、前記点火装置制御部114は前記第2の点火信号入力端子46を介して前記第2のイグナイタ52に点火信号を供給している。
【0028】
また、前記接地端子48の一端は前記第1のイグナイタ50及び前記第2のイグナイタ52のエミッタ側の前記イグナイタ端子54と溶接によって電気的に接続されている。さらに、前記接地端子48の他端はグランドに接続されている。
【0029】
また、前記第1の点火信号入力端子44及び前記第2の点火信号入力端子46、前記接地端子48と接続される前記イグナイタ端子54は前記第1のイグナイタ50及び前記第2のイグナイタ52の側面方向から水平方向に突出してL字型に屈曲し、それぞれの前記イグナイタ端子54が重なることがないように配線され接続されている。さらに、前記第1のイグナイタ50のコレクタ側の前記イグナイタ端子54は前記第1の点火コイル102の前記1次コイル14に接続され、前記第2のイグナイタ52のコレクタ側の前記イグナイタ端子54は前記第2の点火コイル104の前記1次コイル14に接続されている。
【0030】
また、前記ケース70の内側底面には、前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104のどちらか一方の2次電圧が他方の点火コイルに流れるのを阻止するための第1のダイオード群60と第2のダイオード群62を備えている。さらに、当該第1のダイオード群60及び当該第2のダイオード群62にはリード線64を備え、当該第1のダイオード群60及び当該第2のダイオード群62の当該リード線64を半田付けで接続することで当該第1のダイオード群60及び当該第2のダイオード群62をそれぞれ3つ繋げて構成されている。
【0031】
また、前記第1のダイオード群60及び前記第2のダイオード群62のアノード側のリード線64は1つに結合され、前記高圧端子と電気的に接続されている。さらに、前記第1のダイオード群60のカソード側の前記リード線64は前記第1の点火コイル102の前記ケース側2次高圧端子76と電気的に接続され、前記第2のダイオード群62のカソード側の前記リード線64は前記第2の点火コイル104の前記ケース側2次高圧端子76と電気的に接続されている。
【0032】
また、前記ケース70内側底面には前記第1のダイオード群60及び前記第2のダイオード群62を備えるための溝部78を形成している。さらに、当該溝部78には前記第1のダイオード群60及び前記第2のダイオード群62の前記リード線64を挟んで固定するための略U字型のリード線固定部80を前記第1のダイオード群60及び前記第2のダイオード群62の各ダイオードの両端に1箇所ずつ、合計で12箇所形成し、当該リード線固定部80の前記リード線64の挿入口を面取りしている。
【0033】
また、前記溝部78は前記第1のダイオード群60及び前記第2のダイオード群62、前記リード線64、前記リード線固定部80が前記ケース70底面からは飛び出ない深さに形成されている。さらに、前記ケース70内側底面には外周溝82が形成され、当該外周溝82は前記第1のダイオード群60と前記第2のダイオード群62、前記リード線64を備えた前記溝部78及び、前記ケース側2次高圧端子76、前記高圧端子の外周全周を囲うように形成されている。
【0034】
また、前記外周溝82は前記溝部78と同じ深さ且つ前記溝部78の3分の1前後の幅で形成されている。さらに、前記ケース70内には前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104間に発生するクラックの波及を防ぐための第1の隔壁84及び第2の隔壁86が形成されている。
【0035】
また、前記第1の隔壁84は前記第1の点火コイル102の鉄芯クラックを封じ、前記第1の点火コイル102の前記鉄芯30の位置決めをするために前記第1の点火コイル102の前記鉄芯30に接するように形成されている。されに、前記第2の隔壁86は前記第2の点火コイル104の鉄芯クラックを封じ、前記第2の点火コイル104の前記鉄芯30の位置決めをするために前記第2の点火コイル102の前記鉄芯30に接するように形成されている。
【0036】
また、前記第1の隔壁84及び前記第2の隔壁86は前記鉄芯30の前記ケース70底面からの垂直方向の高さと同じ高さに形成されている。さらに、前記点火装置100は前記第1の点火コイル102と前記第2の点火コイル104を並列に接続しており、前記第1の点火コイル102の前記2次コイル24の高圧側は前記第1のダイオード群60のカソード側に接続され、前記第2の点火コイル104の前記2次コイル24の高圧側は前記第2のダイオード群60のカソード側に接続される。
【0037】
また、前記第1のダイオード群60と前記第2のダイオード群60のアノード側は1つに結合された後、前記点火プラグ110に接続されている。さらに、前記第1の点火コイル102と前記第2の点火コイル104の前記1次コイル14の低圧側は前記バッテリ112のプラス側と接続され、前記第1の点火コイル102と前記第2の点火コイル104と前記バッテリ112の間には、前記点火装置制御部114を接続している。
【0038】
また、前記第1の点火コイル102の前記1次コイル14の高圧側は前記第1のイグナイタ50のコレクタ側と接続され、前記第2の点火コイル104の前記1次コイル14の高圧側は前記第2のイグナイタ52のコレクタ側と接続されている。さらに、前記第1のイグナイタ50及び前記第2のイグナイタ52のエミッタ側はグランドに接続されている。
【0039】
また、上記構成から前記点火制御部114からの点火信号S1の出力がオンされると前記第1の点火コイル102の前記1次コイル14に1次電流I1が流れ、前記点火制御部114からの点火信号S2の出力がオンされると前記第2の点火コイル104の前記1次コイル14に1次電流I2が流れる。さらに、前記点火装置制御部114からの点火信号S1の出力がオフされると前記第1の点火コイル102の前記1次コイル14に流れる1次電流I1が遮断され、前記第1の点火コイル102の前記2次コイル24に2次電圧が発生し放電される。
【0040】
また、前記点火装置制御部114からの点火信号S2の出力がオフされると、前記第2の点火コイル104の前記1次コイル14に流れる1次電流I2が遮断され、前記第2の点火コイル104の前記2次コイル24に2次電圧が発生し放電される。さらに、前記点火装置制御部114からの点火信号S1,S2のオンを交互に繰り返すことによって、前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104の前記2次コイル24に交互に2次電圧が発生する。
【0041】
また、前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104の前記2次コイル24に交互に発生した2次電圧をそれぞれ前記第1のダイオード群60及び前記第2のダイオード群62を経由し、合成された2次電圧Vとなって前記点火プラグ110に供給され、多重点火が行われる。さらに、前記ケース70内には前記点火装置100の電気的絶縁及び各部材の物理的固定を実現するモールド樹脂90が充填されている。
【0042】
また、前記第1の点火コイル102及び前記第2の点火コイル104から出力される2次電圧は前記高圧端子から前記プラグホール内に収容された導電部材を介して前記点火プラグ110へ供給される。
【0043】
上記実施例1の変形例として、前記コネクタ40が有する端子の数は設計事情によって任意に変更してもよい。また、前記電源端子42は前記第1の点火コイル102と前記第2の点火コイル104を個別に接続するために2つ備えてもよい。さらに、前記接地端子48を前記第1の点火コイル102と前記第2の点火コイル104を個別に接続するために2つ備えてもよい。
【0044】
また、前記コネクタ40を備える位置は設計事情によって任意の位置に変更してもよい。さらに、前記コネクタ40の端子の配列は前記接地端子48が前記第1の点火信号入力端子44と前記第2の点火信号入力端子46の間に配置されるのであれば設計事情によって任意に変更してもよいし、前記電源端子42及び前記第1の点火信号入力端子44、前記第2の点火信号入力端子46、前記接地端子48の配線はそれぞれの端子.が重ならない配線となるのであれば設計事情によって任意に変更してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10:1次ボビン
12:1次巻線
14:1次コイル
16:1次コイル端子
18:誘導溝
20:2次ボビン
22:2次巻線
24:2次コイル
26:2次低圧端子
28:2次高圧端子
30:鉄芯
40:コネクタ
42:電源端子
44:第1の点火信号入力端子
46:第2の点火信号入力端子
48:接地端子
50:第1のイグナイタ
52:第2のイグナイタ
54:イグナイタ端子
60:第1のダイオード群
62:第2のダイオード群
64:リード線
70:ケース
72:ケース固定部
74:高圧タワー
76:ケース側2次高圧端子
78:溝部
80:リード線固定部
82:外周溝
84:第1の隔壁
86:第2の隔壁
90:モールド樹脂
100:点火装置
102:第1の点火コイル
104:第2の点火コイル
110:点火プラグ
112:バッテリ
114:点火装置制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、当該ケース内に1次ボビンに1次巻線を巻き回した1次コイルと2次ボビンに2次巻線を巻き回した2次コイルと鉄芯からなる第1の点火コイルと第2の点火コイルを備え、
前記ケースにコネクタを配置し、
前記ケースに点火プラグへの高電圧を供給する高圧端子を配置し、
前記ケースのコイル収容部にモールド樹脂を充填し、
前記第1の点火コイルと前記第2の点火コイルからの高電圧を1つにまとめて1つの前記点火プラグに供給する点火装置において、
前記第1の点火コイル及び前記第2の点火コイルのそれぞれに第1のイグナイタと第2のイグナイタを備え、
前記第1の点火コイル及び前記第2の点火コイルとが1つの前記コネクタで外部に接続されていることを特徴とする点火装置。
【請求項2】
前記コネクタは4つ以上の端子を有したことを特徴とする請求項1に記載の点火装置。
【請求項3】
前記コネクタは前記第1の点火コイル及び前記第2の点火コイルに電源を入力する電源端子と前記第1の点火コイルに点火信号を入力する第1の信号入力端子、前記第2の点火コイルに点火信号を入力する第2の信号入力端子、グランドと接続する接地端子を有したことを特徴とする請求項2に記載の点火装置。
【請求項4】
前記第1の点火信号入力端子は前記コネクタ内で前記第1のイグナイタに近接する位置に配置され、
前記第2の点火信号入力端子は前記コネクタ内で前記第2のイグナイタに近接する位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の点火装置。
【請求項5】
前記接地端子が前記第1の点火信号入力端子と前記第2の点火信号入力端子の間に配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の点火装置。
【請求項6】
前記電源端子及び前記第1の点火信号入力端子、前記第2の点火信号入力端子、前記接地端子はそれぞれの端子が重ならないよう配線されていることを特徴とする請求項3乃至5に記載の点火装置。
【請求項7】
前記電源端子は前記第1の点火コイル及び前記第2の点火コイルにそれぞれ1つずつ備えたことを特徴とする請求項3乃至6に記載の点火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−94644(P2012−94644A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239937(P2010−239937)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000109093)ダイヤモンド電機株式会社 (387)
【Fターム(参考)】