説明

内装基材の端部保持構造

【課題】ガタツキを抑制して内装基材の周縁部を樹脂部品に保持させることができる端部保持構造を提供する。
【解決手段】樹脂部品3の挟持部は、第1ヒンジ12を介して内装基材の端部の挿入方向に対して略直交する第1方向D1を軸として回動可能とされ且つ第1係合部13を有する第1規制部7と、第2ヒンジ18を介して第1方向に略直交する第2方向D2を軸として回動可能とされ且つ第2係合部19を有する第2規制部8と、を備え、内装基材2の端部は、第1ヒンジ12を介して内装基材2の端部を挟む方向に回動された第1規制部7の第1係合部13と係合して第1方向D1において樹脂部品3に対する内装基材2の相対移動を規制する第1被係合部21と、第2ヒンジ18を介して内装基材2の端部を挟む方向に回動された第2規制部8の第2係合部19と係合して第2方向において樹脂部品3に対する内装基材の相対移動を規制する第2被係合部22と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装基材の端部保持構造に関し、更に詳しくは、ガタツキを抑制して内装基材の周縁部を樹脂部品に保持させることができる内装基材の端部保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内装基材の端部保持構造として、内装基材の周縁部を樹脂部品に保持させるものが一般に知られている(例えば、特許文献1の図2等参照)。この特許文献1には、内装基材(オーナメント部材14)の端部に設けられた係止爪(係止突起46)を樹脂部品(ドアトリム本体12)に設けられた係止穴に弾性変形を伴って差し込むことにより、内装基材の周縁部を樹脂部品に保持させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−36763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の技術では、内装基材の端部の係止爪を樹脂部品の係止穴に差し込むようにしているので、係止穴を係止爪の頭部が通過し得る比較的大きな空間に形成する必要がある。そのため、係止穴及び係止爪の係止状態で両者の間に隙間が存在しており、樹脂部品に対して内装部材がガタついてしまう。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ガタツキを抑制して内装基材の周縁部を樹脂部品に保持させることができる内装基材の端部保持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、内装基材の端部を樹脂部品の挟持部に挿入して該内装基材の周縁部を該樹脂部品に保持させる内装基材の端部保持構造であって、前記樹脂部品の挟持部は、第1ヒンジを介して前記内装基材の端部の挿入方向に対して略直交する第1方向を軸として回動可能とされ且つ第1係合部を有する第1規制部と、第2ヒンジを介して該第1方向に対して略直交する第2方向を軸として回動可能とされ且つ第2係合部を有する第2規制部と、を備え、前記内装基材の端部は、前記第1ヒンジを介して該内装基材の端部を挟む方向に回動された前記第1規制部の前記第1係合部と係合して前記第1方向において前記樹脂部品に対する該内装基材の相対移動を規制する第1被係合部と、前記第2ヒンジを介して前記内装基材の端部を挟む方向に回動された前記第2規制部の前記第2係合部と係合して前記第2方向において前記樹脂部品に対する該内装基材の相対移動を規制する第2被係合部と、を備えることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第1規制部は、前記第1ヒンジを介して前記樹脂部品に回動可能に設けられ、前記第2規制部は、前記第2ヒンジを介して前記第1規制部に回動可能に設けられていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記第2規制部は、前記第1規制部の前記第1方向の両側のそれぞれに回動可能に設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3において、前記第2規制部は、前記樹脂部品に設けられた係止部と係止する被係止部を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の内装基材の端部保持構造によると、第1ヒンジを介して内装基材の端部を挟む方向に回動された第1規制部の第1係合部と第1被係合部とが係合することにより、内装基材の端部の挿入方向に対して略直交する第1方向において樹脂部品に対する内装基材の相対移動が規制されるとともに、第2ヒンジを介して内装基材の端部を挟む方向に回動された第2規制部の第2係合部と第2被係合部とが係合することにより、第1方向に対して略直交する第2方向において樹脂部品に対する内装基材の相対移動が規制される。これにより、ガタツキを抑制して内装基材の周縁部を樹脂部品に保持させることができる。
また、前記第1規制部が、前記第1ヒンジを介して前記樹脂部品に回動可能に設けられ、前記第2規制部が、前記第2ヒンジを介して前記第1規制部に回動可能に設けられている場合は、第1係合部及び第1被係合部を係合させるための第1規制部の回動操作と第2係合部及び第2被係合部を係合させるための第2規制部の回動操作とを連続的に行うことができ、操作性に優れる。また、第1及び第2係合部、並びに第1及び第2被係合部は、第1方向に沿って並設されるので、内装基材の端部及び樹脂部品の挟持部の第2方向の寸法を小さくできる。
また、前記第2規制部が、前記第1規制部の前記第1方向の両側のそれぞれに回動可能に設けられている場合は、第2方向において樹脂部品に対する内装基材の相対移動をより確実に規制することができる。
さらに、前記第2規制部が、前記樹脂部品に設けられた係止部と係止する被係止部を有する場合は、第2規制部が第2ヒンジを介して内装基材の端部を挟む方向に回動されると、第2規制部の被係止部と樹脂部品の係止部とが係止される。この係止部及び被係止部の係止により、樹脂部品に対して第1及び第2規制部のそれぞれが略同時に固定され、操作性に優れる。また、第2係合部及び第2被係合部の係合により係止部及び被係止部の係止の開始を案内したり、係止部及び被係止部の係止により第2係合部及び第2被係合部の係合の開始を案内したりでき、操作性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】実施例に係る内装基材の端部保持構造を備えるドアトリムを示す分解斜視図である。
【図2】上記内装基材の端部保持構造(内装基材及び樹脂部品の締結状態)を示す斜視図である。
【図3】上記内装基材の端部保持構造(内装基材及び樹脂部品の締結前の状態)を示す斜視図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】図2のV−V線断面図である。
【図6】図2のVI−VI線断面図である。
【図7】図2のVII矢視図である。
【図8】他の形態の内装基材の端部保持構造を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
1.内装基材の端部保持構造
本実施形態1.に係る内装基材の端部保持構造は、内装基材(2)の端部(5)を樹脂部品(3)の挟持部(6a)に挿入して内装基材の周縁部を樹脂部品に保持させる内装基材の端部保持構造(4)であって、樹脂部品の挟持部は、第1ヒンジ(12)を介して内装基材の端部の挿入方向に対して略直交する第1方向(D1)を軸として回動可能とされ且つ第1係合部(13、13’)を有する第1規制部(7)と、第2ヒンジ(18)を介して第1方向(D1)に対して略直交する第2方向(D2)を軸として回動可能とされ且つ第2係合部(19、19’)を有する第2規制部(8)と、を備え、内装基材の端部は、第1ヒンジを介して内装基材の端部を挟む方向に回動された第1規制部の第1係合部と係合して第1方向において樹脂部品に対する内装基材の相対移動を規制する第1被係合部(21、21’)と、第2ヒンジを介して内装基材の端部を挟む方向に回動された第2規制部の第2係合部と係合して第2方向において樹脂部品に対する内装基材の相対移動を規制する第2被係合部(22、22’)と、を備えることを特徴とする(例えば、図3及び図8等参照)。
【0011】
上記樹脂部品は、通常、熱可塑性樹脂から構成される。この熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の汎用の熱可塑性樹脂を用いることができる。なかでもポリオレフィン樹脂が好ましい。これは、挟持部を形成した際に、優れた柔軟性と耐屈曲性とを有し、より強固に内装基材の周縁部を保持できるためである。また、上記挟持部は、通常、第1規制部及び第2規制部との間で内装基材の端部を挟持する壁部を備えている。なお、上記「挟持部(6a)に挿入」とは、内装基材の周縁部と樹脂部品とを突き合わせたときに、第1及び第2規制部の回動位置に拘わらず、挟持部を構成する壁部に沿って内装基材の端部を移動させることを意図する。また、上記「内装基材の端部の挿入方向」とは、内装基材の周縁部と樹脂部品との突き合わせ方向を意図する。
【0012】
本実施形態1.に係る内装基材の端部保持構造としては、例えば、上記第1規制部(7)は、第1ヒンジ(12)を介して樹脂部品(3)に回動可能に設けられ、上記第2規制部(8)は、第2ヒンジ(18)を介して第1規制部(7)に回動可能に設けられている形態A(例えば、図3及び図8等参照)を挙げることができる。
【0013】
上述の形態Aでは、例えば、上記第2規制部(8)は、第1規制部(7)の第1方向(D1)の両側のそれぞれに回動可能に設けられていることができる(例えば、図3及び図8等参照)。
【0014】
上述の形態Aでは、例えば、上記第2規制部(8)は、樹脂部品(3)に設けられた係止部(15)と係止する被係止部(16)を有することができる(例えば、図3及び図8等参照)。この場合、例えば、上記被係止部(16)は、第2規制部(8)の第1方向(D1)において第2係合部(19、19’)を挟んで第2ヒンジ(18)と反対側に配置されていることができる。これにより、第2係合部及び第2被係合部の係合により係止部及び被係止部の係止の開始を案内でき、操作性に優れる。また、例えば、上記係止部(15)は、内装基材の端部の第1方向(D1)の側面と対向又は接触する位置に配置されていることができる。これにより、係止部により樹脂部品の挟持部に対する内装基材の端部の挿入を案内することができる。
【0015】
本実施形態1.に係る内装基材の端部保持構造としては、例えば、上記内装基材(2)は、第1スキン層(2a)、樹脂発泡層(2b)及び第2スキン層(2c)を順に備え、上記樹脂部品(3)は、挟持部(6a)で第1スキン層(2a)及び第2スキン層(2c)の両外側を挟み込んでいる形態(例えば、図4〜図6等参照)を挙げることができる。これにより、内装基材の周縁部をより強固に保持させることができる。すなわち、内装基材が中心層に樹脂発泡層を備えることで、挟持部は、内装基材の樹脂発泡層を押し潰しながら内装基材を挟み込むことができるので、両者を密着させて強固に取り付けることができる。なお、上記内装基材は、射出成形材からなる内装基材に比べて軽量化を図ることができる一方、内装基材を別体の他部品へ取り付けること、及び/又は内装基材の端末部(すなわち、周縁部)を外部から隠すことを目的として樹脂部品が必要となる。
【0016】
上述の形態の場合、例えば、上記第1係合部(13、13’)及び第2係合部(19、19’)のそれぞれは、各規制部(7、8)の表面から突出する凸状に形成され、上記第1被係合部(21、21’)及び第2被係合部(22、22’)のそれぞれは、内装基材(2)の厚さ方向に貫通した孔状又は内装基材の表面から凹んだ凹状に形成されていることができる。これにより、上述の特定構成の内装基材を採用する場合であっても、係合部及び被係合部を容易に形成できる。
【0017】
なお、上記第1スキン層及び第2スキン層のそれぞれは、通常、内装基材の外表をなす層であり、熱可塑性樹脂から構成される。この熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の汎用の熱可塑性樹脂を用いることができる。なかでもポリオレフィン樹脂が好ましい。更に、ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体等のポリプロピレン系樹脂、高圧法低密度ポリエチレン、中低圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂などが挙げられる。これらのなかでもポリプロピレン系樹脂が好ましい。また、上記熱可塑性樹脂には、充填剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、抗菌剤、防臭剤及び軟化剤等を配合できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち充填剤の種類は特に限定されないが、無機充填剤が好ましく、例えば、タルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子、及びガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維などが挙げられる。これらの充填剤の配合により、各スキン層の強度及び剛性等を向上させることができ、これにより、内装基材の強度及び剛性等を向上させることができる。
【0018】
また、上記樹脂発泡層は、例えば、熱可塑性樹脂を発泡させてなる発泡樹脂からなることができる。この発泡樹脂は、軽量であって且つ十分な強度を有するために、架橋された樹脂から構成されることが好ましい。また、この熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、例えば、第1スキン層又は第2スキン層を構成する熱可塑性樹脂と同じであることができる。また、樹脂発泡層を形成するために用いる発泡剤の種類も特に限定されず、例えば、加熱により分解してガスを発生する熱分解型化学発泡剤を用いることができ、有機系熱分解型発泡剤及び無機系熱分解型発泡剤のいずれを使用してもよい。さらに、前述のように、架橋された樹脂とするために、架橋剤を用いることができる。架橋剤を配合し、発泡とともに、架橋構造を導入することにより、樹脂発泡層の強度及び耐熱性等を向上させることもできる。
【実施例】
【0019】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「内装基材の端部保持構造」を備える車両用内装材としてドアトリムを例示する。
【0020】
(1)ドアトリムの構成
本実施例に係るドアトリム1は、図1に示すように、内装基材2と、この内装基材2の周縁部を保持する略L字状の樹脂部品3と、これら内装基材2及び樹脂部品3の間において樹脂部品3の全長に沿って所定間隔で配置される複数(図1中で5つ)の内装基材の端部保持構造4と、を備えている。
【0021】
上記内装基材2は、内装基材2の外表(意匠面側の表面)をなす第1スキン層2aと、発泡樹脂からなる樹脂発泡層2bと、内装基材2の外表(意匠面と反対側の表面)をなす第2スキン層2cと、を順に備えている(図4〜図6参照)。また、内装基材2の周縁部には、突出状の端部5が周縁部に沿って所定間隔で複数(図1中で5つ)配設されている。
【0022】
(2)内装基材の端部保持構造
上記内装基材の端部保持構造4のそれぞれは、図2及び図3に示すように、樹脂部品3に設けられる可動式の挟持部6aを備えている。この可動式の挟持部6aは、板状の第1規制部7及び第2規制部8と、これら第1及び第2規制部7、8との間で内装基材2の端部5を挟持する壁部9と、を有している。また、樹脂部品3には、樹脂部品3を車室内に設置した状態で車室内側に開口する固定式の挟持部6bが設けられている。この固定式の挟持部6bは、内装基材2の端部5以外の周縁端部を挟持する対向する壁部10a、10bを有している。そして、各挟持部6a、6bに内装基材2の端部5及び周縁端部を挿入することにより、内装基材2の周縁部が樹脂部品3に保持される。
【0023】
上記第1規制部7は、図3及び図4に示すように、第1ヒンジ12(「インテグラルヒンジ」とも称される。)を介して樹脂部品3に回動可能に設けられている。そして、この第1規制部7は、第1ヒンジ12を介して内装基材2の端部5の挿入方向に対して略直交する第1方向D1を軸として回動可能とされている。また、第1規制部7は、その表面から突出する凸状の第1係合部13を有している。なお、上記第1ヒンジ12は、第1規制部7の厚さより薄肉状に形成されている。
【0024】
上記第2規制部8は、図3及び図6に示すように、第2ヒンジ18(「インテグラルヒンジ」とも称される。)を介して第1規制部7の第1方向D1の両側のそれぞれに回動可能に設けられている。そして、第2規制部8は、第2ヒンジ18を介して第1方向D1に対して略直交する第2方向D2を軸として回動可能とされている。また、第2規制部8は、その表面から突出する凸状の第2係合部19を有している。なお、上記第2ヒンジ18は、各規制部7、8の厚さより薄肉状に形成されている。
【0025】
また、上記第2規制部8は、樹脂部品3に設けられた係止部15と係止する被係止部16を有している。この係止部15は、樹脂部品3の表面から突出する支持部15aと、支持部15aの先端側に設けられるフック部15bと、を有している(図6参照)。また、係止部15は、内装基材2の端部5の第1方向D1の側面と対向又は接触する位置に配置されている。また、上記被係止部16は、貫通孔状に形成され、第2規制部8の第1方向D1において第2係合部19を挟んで第2ヒンジ18の反対側に配置されている。そして、上記第2規制部8が第2ヒンジ18を介して内装基材2の端部5を挟む方向に回動されるときに、支持部15aの弾性変形を伴ってフック部15bが被係止部16に挿通され、フック部15bが被係止部16の周囲面に引っ掛かり係止部15及び被係止部16が係止される(図6参照)。
【0026】
上記内装基材2の端部5には、図3及び図6に示すように、第1ヒンジ12を介して内装基材2の端部5を挟む方向に回動された第1規制部7の第1係合部13と係合する第1被係合部21が設けられている。この第1被係合部21は、図3及び図7に示すように、第2方向D2に長尺状となり、且つ、第1方向D1の幅が第1係合部13の大きさ(即ち、外径寸法)と略一致する貫通孔状に形成されている。よって、第1規制部7とともに所定軌跡で回動される第1係合部13は、内装基材2に干渉せずに第1被係合部21に挿入されて係合する。これら第1係合部13及び第1被係合部21の係合により、第1方向D1において樹脂部品3に対する内装基材2の相対移動が規制される。
【0027】
上記内装基材2の端部5には、図3及び図4に示すように、第2ヒンジ18を介して内装基材2の端部5を挟む方向に回動された第2規制部8の第2係合部19と係合する第2被係合部22が設けられている。この第2被係合部22は、図3及び図7に示すように、第1方向D1に長尺状となり、且つ、第2方向D2の幅が第2係合部19の大きさ(即ち、外径寸法)と略一致する貫通孔状に形成されている。よって、第2規制部8とともに所定軌跡で回動される第2係合部19は、内装基材2に干渉せずに第2被係合部22に挿入されて係合する。これら第2係合部19及び第2被係合部22の係合により、第2方向D2において樹脂部品3に対する内装基材2の相対移動が規制される。
【0028】
(3)内装基材の端部保持構造の作用
次に、上記構成の内装基材の端部保持構造4の作用について説明する。先ず、内装基材2の周縁部と樹脂部品3とを突き合わせて、内装基材2の端部5を樹脂部品3の可動式の挟持部6a(開放状態)の開口に挿入するとともに、内装基材2の端部5以外の周縁端部を樹脂部品3の固定式の挟持部6bに挿入する(図3参照)。次に、可動式の挟持部6aにおいて、図4中に仮想線で示す第1規制部7を、第1ヒンジ12を介して内装基材2の端部5を挟む方向に回動させる。すると、第1規制部7の第1係合部13と第1被係合部21とが係合して、第1方向D1において樹脂部品3に対する内装基材2の相対移動が規制される。
【0029】
次いで、可動式の挟持部6aにおいて、図6中に仮想線で示す第2規制部8のそれぞれを、第2ヒンジ18を介して内装基材2の端部5を挟む方向に回動させる。すると、第2規制部8の第2係合部19と第2被係合部22とが係合して、第2方向D2において樹脂部品3に対する内装基材2の相対移動が規制される。さらに、第2規制部8の被係止部16と樹脂部品3の係止部15とが係止されて、樹脂部品3に対して第1及び第2規制部7、8のそれぞれが略同時に固定される。その後、他の内装基材の端部保持構造4においても、上述の動作を繰り返し行うことにより内装基材2の周縁部が樹脂部品3に保持されることとなる。
【0030】
(4)実施例の効果
以上より、本実施例の内装基材の端部保持構造4によると、第1ヒンジ12を介して内装基材2の端部5を挟む方向に回動された第1規制部7の第1係合部13と第1被係合部21とが係合することにより、第1方向D1において樹脂部品3に対する内装基材2の相対移動が規制されるとともに、第2ヒンジ18を介して内装基材2の端部5を挟む方向に回動された第2規制部8の第2係合部19と第2被係合部22とが係合することにより、第2方向D2において樹脂部品3に対する内装基材2の相対移動が規制される。これにより、ガタツキを抑制して内装基材2の周縁部を樹脂部品3に保持させることができる。
【0031】
また、本実施例では、第1規制部7が、第1ヒンジ12を介して樹脂部品3に回動可能に設けられ、第2規制部8が、第2ヒンジ18を介して第1規制部8に回動可能に設けられているので、第1係合部13及び第1被係合部21を係合させるための第1規制部7の回動操作と第2係合部19及び第2被係合部22を係合させるための第2規制部8の回動操作とを連続的に行うことができ、操作性に優れる。また、第1及び第2係合部13、19並びに第1及び第2被係合部21、22は、第1方向D1に沿って並設されるので、内装基材2の端部5及び樹脂部品3の挟持部6aの第2方向D2の寸法を小さくできる。
【0032】
また、本実施例では、第2規制部8が、第1規制部7の第1方向D1の両側のそれぞれに回動可能に設けられているので、第2方向D2において樹脂部品3に対する内装基材2の相対移動をより確実に規制することができる。
【0033】
さらに、本実施例では、第2規制部8が、樹脂部品3の係止部15と係止する被係止部16を有しているので、第2規制部8が第2ヒンジ18を介して内装基材2の端部5を挟む方向に回動されると、第2規制部8の被係止部16と樹脂部品3の係止部15とが係止される。この係止部15及び被係止部16の係止により、樹脂部品3に対して第1及び第2規制部7、8のそれぞれが略同時に固定され、操作性に優れる。
【0034】
また、本実施例では、被係止部16は、第2規制部8の第1方向D1において第2係合部19を挟んで第2ヒンジ18と反対側に配置されているので、第2係合部19及び第2被係合部22の係合により係止部15及び被係止部16の係止の開始を案内でき、操作性に優れる。
【0035】
また、本実施例では、係止部15は、内装基材2の端部5の第1方向D1の側面と対向又は接触する位置に配置されているので、係止部15により樹脂部品3の挟持部6a、6bに対する内装基材2の端部5の挿入を案内することができる。
【0036】
また、本実施例では、内装基材2は、第1スキン層2a、樹脂発泡層2b及び第2スキン層2cを順に備え、樹脂部品3は、挟持部6aで第1スキン層2a及び第2スキン層2cの両外側を挟み込んでいるので、内装基材2の周縁部をより強固に保持させることができる。すなわち、内装基材2が中心層に樹脂発泡層2bを備えることで、挟持部6a、6bは、内装基材2の樹脂発泡層2bを押し潰しながら内装基材2を挟み込むことができるので、両者を密着させて強固に取り付けることができる。
【0037】
さらに、本実施例では、第1係合部13及び第2係合部19のそれぞれは、各規制部7、8の表面から突出する凸状に形成され、第1被係合部21及び第2被係合部22のそれぞれは、内装基材2の厚さ方向に貫通した孔状に形成されているので、上述の特定構成の内装基材2を採用する場合であっても、係合部13、19及び被係合部21、22を容易に形成できる。
【0038】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更することができる。すなわち、上記実施例では、各規制部7、8に凸状の各係合部13、19を設け、内装基材2に各係合部13、19と係合する貫通孔状の各被係合部21、22を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、各規制部7、8に凸状の各係合部13’、19’を設け、内装基材2に各係合部13’、19’と係合する、内装基材2の表面から凹んだ凹状の各被係合部21’、22’を設けるようにしてもよい。また、各規制部7、8に凸状の各係合部を設け、内装基材2に各係合部と係合する凸状の各被係合部を設けるようにしてもよい。さらに、各規制部7、8に貫通孔状又は凹状の各係合部を設け、内装基材2に各係合部と係合する凸状の各被係合部を設けるようにしてもよい。
【0039】
また、上記実施例では、第1方向D1の樹脂部品3に対する内装基材2の相対移動を規制するための第1規制部7を樹脂部品3に回動可能に設け、第2方向D2の樹脂部品3に対する内装基材2の相対移動を規制するための第2規制部8を第1規制部7に回動可能に設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、第1及び第2規制部7、8のそれぞれを樹脂部品3に回動可能に設けるようにしてもよい。また、第1規制部7を第2規制部8に回動可能に設け、第2規制部8を樹脂部品3に回動可能に設けるようにしてもよい。
【0040】
また、上記実施例では、第2規制部8を第1規制部7の両側のそれぞれに回動可能に設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、第2規制部8を第1規制部7の一方の側のみに回動可能に設けるようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施例では、第2規制部8に樹脂部品3の係止部15と係止する被係止部16を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、第2規制部8に替えて又は加えて、第1規制部7に樹脂部品3の係止部15と係止する被係止部16を設けるようにしてもよい。また、上記実施例では、被係止部16を、第2規制部8の第1方向D1において第2係合部19を挟んで第2ヒンジ18の反対側に配置するようにしたが、これに限定されず、例えば、被係止部16を、第2規制部8の第1方向D1において第2係合部19と第2ヒンジ18との間に配置するようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施例では、樹脂部品3の係止部15を貫通孔状の被係止部16に係止させるようにしたが、これに限定されず、例えば、樹脂部品3の係止部15を第2規制部8の縁側(被係止部)に係止させるようにしてもよい。また、樹脂部品3に貫通孔状の係止部を設け、第2規制部8にフック部を有する被係止部を設けるようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施例では、第1スキン層2a、発泡樹脂層2b及び第2スキン層2cを備える内装基材2を例示したが、これに限定されず、例えば、熱可塑性樹脂と植物性材料とが混合された複合材料からなる内装基材(例えば、ケナフ等の植物繊維ボード等)を採用してもよい。
【0044】
また、上記実施例において、上記内装基材2は、第1スキン層2aと樹脂発泡層2bとの間、及び、樹脂発泡層2bと第2スキン層2cとの間、の一方又は両方に、他の層を介在して備えてもよい。すなわち、内装基材2は必要に応じて、第1スキン層2a、樹脂発泡層2b及び第2スキン層2c以外の他の層を備えることができるが、これらの必須の3層のみからなってもよい。
【0045】
また、上記実施例において、内装基材2に樹脂部品3を予め取り付けた状態のドアトリム1を車体パネル等の他部品に組付けるようにしてもよいし、車両パネル等の他部品に樹脂部品3を予め取り付けた状態で、樹脂部品3に内装基材2を車室内側から装着してドアトリム1を構成するようにしてもよい。
【0046】
さらに、上記実施例では、内装基材の端部保持構造4を備える車両用内装材としてドアトリム1を例示したが、これに限定されず、例えば、ルーフトリム、フロアトリム、ラゲージトリム、トランクトリム、リヤサイドトリム、リヤパーセルシェルフ、インストルメントパネル、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレスト、シートバックボード等を採用してもよい。
【0047】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0048】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
自動車用内装材、鉄道車両用内装材、船舶用内装材、飛行機用内装材、建築物用内装材等の内装基材の周縁部を保持する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0050】
2;内装基材、3;樹脂部品、4;内装基材の端部保持構造、5;内装基材の端部、6a;挟持部、7;第1規制部、8;第2規制部、12;第1ヒンジ、13,13’;第1係合部、15;係止部、16;被係止部、18;第2ヒンジ、19,19’;第2係合部、21,21’;第1被係合部、22,22’;第2被係合部、D1;第1方向、D2;第2方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装基材の端部を樹脂部品の挟持部に挿入して該内装基材の周縁部を該樹脂部品に保持させる内装基材の端部保持構造であって、
前記樹脂部品の挟持部は、第1ヒンジを介して前記内装基材の端部の挿入方向に対して略直交する第1方向を軸として回動可能とされ且つ第1係合部を有する第1規制部と、第2ヒンジを介して該第1方向に対して略直交する第2方向を軸として回動可能とされ且つ第2係合部を有する第2規制部と、を備え、
前記内装基材の端部は、前記第1ヒンジを介して該内装基材の端部を挟む方向に回動された前記第1規制部の前記第1係合部と係合して前記第1方向において前記樹脂部品に対する該内装基材の相対移動を規制する第1被係合部と、前記第2ヒンジを介して前記内装基材の端部を挟む方向に回動された前記第2規制部の前記第2係合部と係合して前記第2方向において前記樹脂部品に対する該内装基材の相対移動を規制する第2被係合部と、を備えることを特徴とする内装基材の端部保持構造。
【請求項2】
前記第1規制部は、前記第1ヒンジを介して前記樹脂部品に回動可能に設けられ、前記第2規制部は、前記第2ヒンジを介して前記第1規制部に回動可能に設けられている請求項1記載の内装基材の端部保持構造。
【請求項3】
前記第2規制部は、前記第1規制部の前記第1方向の両側のそれぞれに回動可能に設けられている請求項2記載の内装基材の端部保持構造。
【請求項4】
前記第2規制部は、前記樹脂部品に設けられた係止部と係止する被係止部を有する請求項2又は3に記載の内装基材の端部保持構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−14235(P2013−14235A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148633(P2011−148633)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】