内装材取付具及び内装材の取付構造
【課題】外観の良い仕上がりにすることができ、また切粉などが発生せずに作業効率を高めることができ、さらに移設を容易に行うことができる内装材取付具を提供する。
【解決手段】建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるための取付具に関する。建物躯体1に突設される支持枠材5と、支持枠材5に係着される係止枠材6とからなる。支持枠材5は建物躯体1に固定される固定部8と、内装材3を載置するための支持部9と、支持部9に載置された内装材3の下部に係止するための脱落防止部10と、係止枠材6を係着するための被係着部11とからなる。係止枠材6には内装材3の上部が係止される係止部12を形成する。
【解決手段】建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるための取付具に関する。建物躯体1に突設される支持枠材5と、支持枠材5に係着される係止枠材6とからなる。支持枠材5は建物躯体1に固定される固定部8と、内装材3を載置するための支持部9と、支持部9に載置された内装材3の下部に係止するための脱落防止部10と、係止枠材6を係着するための被係着部11とからなる。係止枠材6には内装材3の上部が係止される係止部12を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁及び間仕切壁の屋内側面(室内面)に施す吸音性、断熱性、意匠性のある内装材を用い、その内装材を保持するための内装材取付具及び内装材の取付構造に関するものである。より詳しくは、内装材を保持するための枠材を金属製薄板で作り、ビスなどの締結部品及び工具を用いることなく、組み立てることができる形状、構成とした吸音、断熱、仕上げ、内装工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、壁の内装の表面材である内装材としてグラスウール(GW)などの吸音材を配置して吸音することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図14に現地築造工法を用いた内装材の取付構造を示す。符号30は壁パネルであって、上下に複数枚の壁パネル30、30…を並設することにより外壁29が形成されている。外壁29は柱や縦胴縁などの建物躯体36の屋外側に形成されており、上下に隣接する壁パネル30、30は上側の壁パネル30の下端に設けた嵌合凸部31と下側の壁パネル30の上端に設けた嵌合凹部28とを嵌合することにより接続されている。また、内装材32としては有孔ボードを用いている。
【0004】
そして、内装材32を取り付けるにあたっては、まず、木製や鉄製の桟材35を建物躯体36の屋内側に取り付ける。桟材35は隣り合う建物躯体36、36の間に架設されるものであり、複数本の桟材35、35…を例えば、450mm間隔で上下に並べて建物躯体36にビス止めなどで固定する。次に、上下に隣り合う桟材35、35の間にグラスウールマット37を充填する。このグラスウールマット37は隣り合う建物躯体36、36の間に充填してもよい。次に、桟材35及びグラスウールマット37の表面側(屋内側)に有孔ボードである内装材32を取り付ける。内装材32は釘やビス、接着剤などで桟材35に取り付ける。
【0005】
しかし、上記の従来例では、内装材32を釘やビスで取り付けた場合、釘やビスが内装材32の表面に露出するために、外観の良い内装仕上げにはならないという問題があった。また、施工に手間がかかり移設が難しいという問題があった。さらに、施工現場でほこりや鋸屑、切粉、廃棄物などが出て生産・作業を止めなければならず、作業効率が低いという問題があった。
【特許文献1】特開2005−146651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、外観の良い仕上がりにすることができ、また切粉などが発生せずに作業効率を高めることができ、さらに移設を容易に行うことができる内装材取付具及び内装材の取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるための取付具4であって、建物躯体1の屋内側に配設される支持枠材5と、支持枠材5に係着される係止枠材6とからなり、支持枠材5は建物躯体1に固定される固定部8と、内装材3の端部を支持するための支持部9と、支持部9に支持された内装材3の端部に当接するために支持部9の先端側に突設される脱落防止部10と、係止枠材6を係着するための被係着部11とからなり、係止枠材6には内装材3の端部の屋内側面に当接させる係止部12を形成して成ることを特徴とするものである。
【0008】
本発明にあっては、内装材3の側端部に取り付けるための側枠材13を備えることができる。
【0009】
また、本発明は、請求項1又は2に記載の内装材取付具4を用いた内装材3の取付構造であって、支持枠材5の固定部8を建物躯体1に固定することによって、複数個の支持枠材5を建物躯体1の屋内側に突設し、対向する支持枠材5、5の間に内装材3を差し込むと共に一方の支持枠材5の支持部9に内装材3の端部を当接し、他方の支持枠材5の被係着部11に係止枠材6を係着すると共に係止枠材6の係止部12を内装材3の端部の屋内側面に当接して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、内装材3を支持枠材5と係止枠材6との係止により建物躯体36に取り付けるので、ビスで取り付ける場合のような切粉が発生せず、また、ドライバのような工具を使用しないで施工することができ、作業効率を高めることができて工期の短縮を図ることができるものであり、生産・作業をしながら内装材3を取り付けることができるものである。また、内装材3と支持枠材5と係止枠材6との係止を解除することにより、これらをバラバラにして再使用することができ、移設を容易に行うことができるものである。さらに、塗装鋼板や化粧グラスウールボードなどの各種の内装材3を使用することができ、外観の良い仕上がりにすることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0012】
図2に示すように、本発明の内装材取付具4は、支持枠材5と係止枠材6及び側枠材13とを備えて形成するものであり、内装材取付具4で内装材3の上端部と下端部及び側端部を係止することにより内装材3を取り付けて施工するものである。支持枠材5と係止枠材6及び側枠材13はいずれも薄い金属板を折り曲げ加工して形成されるものである。この金属板としては、例えば、0.2〜2.0mm程度の塗装鋼板、アルミニウム板、ステンレス鋼板(SUS)などを用いることができる。
【0013】
図3(a)に示すように、支持枠材5は横方向に長尺に形成されるものであって、平板状の支持部9と、支持部9の後端部から上方に向かって突設される断面略L字状の固定部8と、支持部9の前端部から略鉛直上方に向かって突設される断面略U字状の脱落防止片10と、脱落防止片10の下端部からその前面側に向かって折り返し屈曲した被係着部11とを備えて形成されている。支持部9の前後方向の寸法は側枠材13の前後方向の寸法(前片16から後片17までの寸法)と略同等である。固定部8の後端部には斜め下方に向かって折り曲げた係合片51が設けられている。
【0014】
図3(b)に示すように、係止枠材6は略平板状で横方向に長尺に形成されるものであるが、その上端には後面側に向かって折り返し屈曲した係着部14が形成されていると共に係止枠材6の下端には後面側に向かって折り返し屈曲した係止部12が形成されている。また、係止枠材6の上部には屈曲部15が形成されており、屈曲部15よりも下側の部分は屈曲部15よりも上側の部分よりもやや後方に位置している。従って、係着部14よりも係止部12の方が後方に位置している。
【0015】
図3(c)に示すように、側枠材13は縦方向(上下方向)に長尺に形成されるものであって、前片16と後片17及び側片18とで断面略コ字状に形成されている。
【0016】
本発明において内装材3としては、自立性がある平板状(ボード状)のものであれば何でも用いることができ、例えば、化粧グラスウールボード、塗装鋼板やSUSやアルミニウム製の有孔ボード(パンチングメタルやメッシュ)などを用いることができる。また、有孔ボードとグラスウールマットの積層体、金属製メッシュと不織布とグラスウールマットの積層物なども内装材3として用いることができる。このように本発明では従来から内装材として用いられている各種の内装材3が使用可能であり、断熱性や吸音性などの所望の機能や意匠性に応じて外観の良い内装仕上げにすることができるものである。
【0017】
上記の内装材取付具4は、建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるための取付具であって、建物躯体1に突設される支持枠材5と、支持枠材5に係着される係止枠材6とからなり、支持枠材5は建物躯体1に固定される固定部8と、内装材3を載置するための支持部9と、支持部9に載置された内装材3の下部に係止するための脱落防止部10と、係止枠材6を係着するための被係着部11とからなり、係止枠材6には内装材3の上部が係止される係止部12を備えるものである。
【0018】
そして、上記内装材取付具4を用いて横胴縁などの建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるにあたっては、支持枠材5の固定部8を建物躯体1に固定することによって、複数個の支持枠材5を建物躯体1の屋内側に突設し、上下に対向する支持枠材5、5の間に内装材3を差し込むと共に下側の支持枠材5の支持部9に内装材3を載置し、上側の支持枠材5の被係着部11に係止枠材6を係着すると共に係止枠材6の係止部12で内装材3の上部を係止して内装材3を取り付けるものである。
【0019】
つまり、上記内装材取付具4を用いて横胴縁などの建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるにあたって、以下のようにする。
【0020】
まず、内装材取付具4の支持枠材5の固定部8を建物躯体1に固定することによって、建物躯体1の屋内側に支持枠材5を突設する。建物躯体1は例えばC型鋼で形成されており、上面の開口縁部には屋内外方向で並ぶ一対のリップ片1a、1aが突設されており、屋内側のリップ片1aに固形部8の係合片51を係合して固定する。支持枠材5は上下に並ぶ建物躯体1、1…のそれぞれに取り付けられる。
【0021】
また、側枠材13を内装材3の両方の側端部に上下方向の全長に亘って取り付ける。この場合、前片16と後片17と側片18とで囲まれる空間に内装材3の側端部を差し込むようにする。この側枠材13は、鉛直方向の力(自重・地震その他の外力)を床に伝達する役目を担う。また、内装材3がグラスウールなどの軟質材料である場合の補強や保護を行うものである。
【0022】
次に、建物躯体1に取り付けた複数の支持枠材5、5…のうち、上下に隣接して対向する支持枠材5、5の間に、側枠材13を取り付けた内装材3を挿入する。ここで、内装材3の下端面は下側の支持枠材5の支持部9の上面に載せられると共に内装材3の上端面は上側の支持枠材5の支持部9の下面に当接する。さらに、下側の支持枠材5の脱落防止部10が内装材3に取り付けた側枠材13の前片16の下部の屋内側面及び内装材3の下部の屋内側面に当接することにより、内装材3の下部は横方向の全長に亘って下側の支持枠材5の脱落防止部10に係止される。このようにして内装材3を略鉛直に立てて配置する。
【0023】
次に、上記内装材3の直上に位置する支持枠材5の被係着部11に係止枠材6の係着部14を係止することによって、支持枠材5に係止枠材6を取り付ける。この係止枠材6の係止部12は、内装材3に取り付けた側枠材13の前片16の上部の屋内側面及び内装材3の上部の屋内側面に当接するものであり、これにより、図1に示すように、内装材3の上部は横方向の全長に亘って係止枠材6に係止されて倒れないように保持される。また、支持枠材5に取り付けられた係止枠材6の係止部12と建物躯体1の屋内側面との間の寸法は、側枠材13の前後方向の寸法よりも少し小さくなっているため、係止枠材6のバネ力(スプリングバック力)で側枠材13を表面側から建物躯体1側へと押さえつけて内装材3のガタツキを防止することができる。そして、この後、支持枠材5と内装材3と係止枠材6との取り付けを上記と同様にして順次行うことによって、複数枚の内装材3を建物躯体1の屋内側に大壁タイプで取り付けることができる。
【0024】
上記のように本発明では、内装材3を取り付けるにあたって、ネジや釘を全く使用しないので、施工が簡単であり、切粉などが発生せずに清潔である。しかも、上記の施工工程と逆の工程を行うことにより、内装材3を簡単に取り外すことができ、移設を容易に行うことができるものである。また、本発明では、支持枠材5と係止枠材6とを別体で形成し、上下の支持枠材5、5の間に内装材3を建て込んだ後、上側の支持枠材5に係止枠材6を取り付けて係止するものであり、しかも、支持枠材5において、脱落防止部10や被係着部11が支持部9よりも下側に突出していないので、側枠材13が脱落防止部10や被係着部11に当たらないようにして内装材3を建て込むことができ、内装材3の施工を容易に行うことができると共に内装材3の面内方向(上下方向)及び面外方向(内装材3の表面と垂直な方向)の両方でのガタツキを防止することができるものである。
【0025】
図4〜6に他の実施の形態を示す。この実施の形態では、支持枠材5を支持枠材本体41と固定部材42とで構成したものである。その他の構成は上記実施の形態と同様である。
【0026】
支持枠材本体41は、図4(a)に示すように、平板状の支持部9の後端部に下方向に突出した引掛け片46を形成すると共に支持部9に上記と同様の脱落防止片10と被係着部11とを備えて横方向に長尺に形成されている。固定部材42は、図4(b)に示すように、固定部8に前方に向かって突出する略水平の延長片43を延設し、延長片43の先端に上方に向かって突出する被引掛け片44を設けると共に被引掛け片44の上端に前方に向かって突出する略水平の支え片45を設けて横方向に短尺(ピース物)に形成している。固定部8は一対のバネ片8a、8aが接合されて断面略へ字状に形成されており、その両端部には断面略U字状の係止凹部8bが形成されている。
【0027】
そして、この支持枠材5を用いて建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるにあたって、以下のようにする。まず、複数個の固定部材42を建物躯体1の長手方向に沿って所定の間隔を空けて取り付ける。ここで、建物躯体1は例えばC型鋼で形成されており、下面の開口縁部には屋内外方向で並ぶ一対のリップ片1a、1aが突設されており、図5に示すように、固定部8の係止凹部8b、8bを各リップ片1a、1aに差し込むと共にバネ片8a、8aのバネ力で弾性的に固定部8をリップ片1a、1aの間に保持するものである。また、固定部材42は上下に並ぶ建物躯体1、1…のそれぞれに取り付けられ、その支え片45が建物躯体1の屋内側に略水平に突出して配置される。
【0028】
次に、建物躯体1に突設した固定部材42の被引掛け片44に支持枠材本体41の引掛け片46を引掛けると共に支持枠材本体41の支持部9を固定部材42の支え部45の上に載置することによって、横方向に並設した固定部材42、42…で支持枠材本体41を支持させて架設する。このようにして建物躯体1の屋内側面に複数個の支持枠材5、5…を突設する。
【0029】
次に、建物躯体1に取り付けた複数の支持枠材5、5…のうち、上下に隣接して対向する支持枠材5、5の間に、側枠材13を取り付けた内装材3を挿入する。ここで、内装材3の下端面は下側の支持枠材5の支持部9の上面に載せられると共に内装材3の上端面は上側の支持枠材5の支え部45の下面に当接する。さらに、下側の支持枠材5の脱落防止部10が内装材3に取り付けた側枠材13の前片16の下部の屋内側面及び内装材3の下部の屋内側面に当接することにより、内装材3の下部は横方向の全長に亘って下側の支持枠材5の脱落防止部10に係止される。このようにして内装材3を建物躯体1の屋内側に略鉛直に立てて配置する。
【0030】
この後、上記と同様にして支持枠材5の被係着部11に係止枠材6の係着部14を係止して支持枠材5に係止枠材6を取り付けることによって、図6に示すように、複数枚の内装材3を建物躯体1の屋内側に取り付けることができる。
【0031】
図7〜9に他の実施の形態を示す。この実施の形態では、支持枠材5を支持枠材本体41と固定部材42とで構成したものである。その他の構成は上記実施の形態と同様である。
【0032】
支持枠材本体41は、図7(a)に示すように、平板状の支持部9の後端部に上方向に突出した断面略逆J字状の引掛け片46を形成すると共に支持部9に上記と同様の脱落防止片10と被係着部11とを備えて横方向に長尺に形成されている。また、支持部9の下面には、下方に開口する断面略コ字状の差し込み部材47が全長に亘って設けられている。固定部材42は、図7(b)に示すように、固定部8に前方に向かって突出する略鉛直の延長片43を延設し、延長片43の先端に横方向に突出する支え片45を設けると共に支え片45を折り返し屈曲して上方に向かって突出する略鉛直の被引掛け片44を設けて横方向に短尺(ピース物)に形成している。固定部8は一対のバネ片8a、8aが接合されて断面略へ字状に形成されており、その両端部には断面略U字状の係止凹部8bが形成されている。
【0033】
そして、この支持枠材5を用いて柱や縦胴縁の縦方向に長い建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるにあたって、以下のようにする。まず、複数個の固定部材42を建物躯体1の長手方向に沿って所定の間隔を空けて取り付ける。ここで、建物躯体1は例えばC型鋼で形成されており、側面の開口縁部には屋内外方向で並ぶ一対のリップ片1a、1aが突設されており、固定部8の係止凹部8b、8bを各リップ片1a、1aに差し込むと共にバネ片8a、8aのバネ力で弾性的に固定部8をリップ片1a、1aの間に保持するものである。また、固定部材42は横方向に並ぶ建物躯体1、1…のそれぞれに取り付けられ、図8に示すように、その支え片45及び被引掛け片44が建物躯体1の屋内側に略垂直に突出して配置される。
【0034】
次に、建物躯体1に突設した固定部材42の被引掛け片44に支持枠材本体41の引掛け片46を引掛けることによって、横方向に並設した固定部材42、42…で支持枠材本体41を支持させて水平に架設する。このようにして建物躯体1の屋内側面に複数個の支持枠材5、5…を突設する。
【0035】
次に、建物躯体1に取り付けた複数の支持枠材5、5…のうち、上下に隣接して対向する支持枠材5、5の間に、側枠材13を取り付けた内装材3を挿入する。ここで、内装材3の下端面は下側の支持枠材5の支持部9の上面に載せられると共に内装材3の上端面は上側の支持枠材5の差し込み部材47の内側に差し込まれる。さらに、下側の支持枠材5の脱落防止部10が内装材3に取り付けた側枠材13の前片16の下部の屋内側面及び内装材3の下部の屋内側面に当接することにより、内装材3の下部は横方向の全長に亘って下側の支持枠材5の脱落防止部10に係止される。このようにして内装材3を建物躯体1の屋内側に略鉛直に立てて配置する。
【0036】
この後、上記と同様にして支持枠材5の被係着部11に係止枠材6の係着部14を係止して支持枠材5に係止枠材6を取り付けることによって、図9(a)(b)に示すように、複数枚の内装材3を建物躯体1の屋内側に取り付けることができる。
【0037】
図10〜13に他の実施の形態を示す。この実施の形態では、梁や母屋などを建物躯体1とし、これに天井板として内装材3を内装材取付具4で取り付けるようにしたものであり、その他の構成は上記実施の形態と同様である。
【0038】
支持枠材5を支持枠材本体41と固定部材42とで構成したものである。支持枠材本体41は、図7(a)のものを横倒しにした形状であって、図10(a)に示すように、平板状の支持部9の上端部に一方の横方向に突出した引掛け片46を形成すると共に支持部9の下端に横方向に突出する脱落防止片10を設け、脱落防止片10の下側に被係着部11とを備えて横方向に長尺に形成されている。また、支持部9の引掛け片46と反対側の側面には、側方に開口する断面略コ字状の差し込み部材47が全長に亘って設けられている。引掛け片46の先端と被係着部11の先端には固定部材42や内装材3が水平動で外れないようにするための折り返し片48が設けられている。
【0039】
固定部材42は、図10(b)に示すものを横倒しにした形状であって、固定部8に下方に向かって突出する延長片43を延設し、延長片43の先端に横方向に突出する支え片45を設けると共に支え片45を約45°折り返し屈曲して横方向に向かって突出する略水平の被引掛け片44を設けて短尺(ピース物)に形成している。固定部8は一対のバネ片8a、8aが接合されて断面略へ字状に形成されており、その上下両端部には断面略U字状の係止凹部8bが形成されている。また、被引掛け片44の先端にも水平動で支持枠材本体41が外れないようにするための折り返し片48が設けられている。
【0040】
そして、この支持枠材5を用いて梁などの横方向に長い建物躯体1の下側(屋内側)に内装材3を取り付けるにあたって、以下のようにする。まず、複数個の固定部材42を建物躯体1の長手方向に沿って所定の間隔を空けて取り付ける。ここで、図11〜13に示すように、建物躯体1は例えばC型鋼で形成されており、側面の開口縁部には上下方向で並ぶ一対のリップ片1a、1aが突設されており、固定部8の係止凹部8b、8bを各リップ片1a、1aに差し込むと共にバネ片8a、8aのバネ力で弾性的に固定部8をリップ片1a、1aの間に保持するものである。また、固定部材42は横方向に並ぶ建物躯体1、1…のそれぞれに取り付けられ、その支え片45及び被引掛け片44が建物躯体1の下側に略水平に突出して配置される。
【0041】
次に、建物躯体1に突設した固定部材42の被引掛け片44に支持枠材本体41の引掛け片46を引掛けることによって、横方向に並設した固定部材42、42…で支持枠材本体41を支持させて水平に架設する。このようにして建物躯体1の屋内側面に複数個の支持枠材5、5…を突設する。
【0042】
次に、建物躯体1に取り付けた複数の支持枠材5、5…のうち、横方向で隣接する対向する支持枠材5、5の間に側枠材13を取り付けた内装材3を挿入する。ここで、内装材3の一方の側端部は支持枠材5の引掛け片46と脱落防止片10との間に差し込まれると共に内装材3の他方の側端部は支持枠材5の差し込み部材47の内側に差し込まれて係止される。このようにして内装材3を建物躯体1の屋内側に略水平に配置する。また、引掛け片46と脱落防止片10との間に差し込まれた内装材3の一方の側端面は支持部9に当接して支持されると共に内装材3の一方の側端部の屋内側面には脱落防止片10が当接して係止する。
【0043】
この後、支持枠材5の被係着部11に係止枠材6の係着部14を係止して支持枠材5に係止枠材6を取り付け、係止枠材6の係止部12を内装材3の下面(屋内側面)に当接することよって、複数枚の内装材3を建物躯体1の下側に取り付けて天井を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】同上の正面図である。
【図3】同上の内装材取付具の一例を示し、(a)乃至(c)は一部の斜視図である。
【図4】同上の内装材取付具の支持枠材の一例を示し、(a)は一部の斜視図、(b)は斜視図である。
【図5】同上の内装材取付具の支持枠材を取り付けた状態を示す一部の斜視図である。
【図6】同上の他の実施の形態の一例を示す一部の断面図である。
【図7】同上の内装材取付具の支持枠材の一例を示し、(a)は一部の斜視図、(b)は斜視図である。
【図8】同上の内装材取付具の支持枠材を取り付けた状態を示す一部の斜視図である。
【図9】同上の他の実施の形態の一例を示し、(a)(b)は一部の断面図である。
【図10】同上の内装材取付具の支持枠材の一例を示し、(a)は一部の斜視図、(b)は斜視図である。
【図11】同上の他の実施の形態の一例を示す一部の断面図である。
【図12】同上の一部の断面図である。
【図13】同上の一部の斜視図である。
【図14】従来例を示す一部の断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 建物躯体
3 内装材
4 内装材取付具
5 支持枠材
6 係止枠材
8 固定部
9 支持部
10 脱落防止部
11 被係着部
12 係止部
13 側枠材
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁及び間仕切壁の屋内側面(室内面)に施す吸音性、断熱性、意匠性のある内装材を用い、その内装材を保持するための内装材取付具及び内装材の取付構造に関するものである。より詳しくは、内装材を保持するための枠材を金属製薄板で作り、ビスなどの締結部品及び工具を用いることなく、組み立てることができる形状、構成とした吸音、断熱、仕上げ、内装工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、壁の内装の表面材である内装材としてグラスウール(GW)などの吸音材を配置して吸音することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図14に現地築造工法を用いた内装材の取付構造を示す。符号30は壁パネルであって、上下に複数枚の壁パネル30、30…を並設することにより外壁29が形成されている。外壁29は柱や縦胴縁などの建物躯体36の屋外側に形成されており、上下に隣接する壁パネル30、30は上側の壁パネル30の下端に設けた嵌合凸部31と下側の壁パネル30の上端に設けた嵌合凹部28とを嵌合することにより接続されている。また、内装材32としては有孔ボードを用いている。
【0004】
そして、内装材32を取り付けるにあたっては、まず、木製や鉄製の桟材35を建物躯体36の屋内側に取り付ける。桟材35は隣り合う建物躯体36、36の間に架設されるものであり、複数本の桟材35、35…を例えば、450mm間隔で上下に並べて建物躯体36にビス止めなどで固定する。次に、上下に隣り合う桟材35、35の間にグラスウールマット37を充填する。このグラスウールマット37は隣り合う建物躯体36、36の間に充填してもよい。次に、桟材35及びグラスウールマット37の表面側(屋内側)に有孔ボードである内装材32を取り付ける。内装材32は釘やビス、接着剤などで桟材35に取り付ける。
【0005】
しかし、上記の従来例では、内装材32を釘やビスで取り付けた場合、釘やビスが内装材32の表面に露出するために、外観の良い内装仕上げにはならないという問題があった。また、施工に手間がかかり移設が難しいという問題があった。さらに、施工現場でほこりや鋸屑、切粉、廃棄物などが出て生産・作業を止めなければならず、作業効率が低いという問題があった。
【特許文献1】特開2005−146651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、外観の良い仕上がりにすることができ、また切粉などが発生せずに作業効率を高めることができ、さらに移設を容易に行うことができる内装材取付具及び内装材の取付構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるための取付具4であって、建物躯体1の屋内側に配設される支持枠材5と、支持枠材5に係着される係止枠材6とからなり、支持枠材5は建物躯体1に固定される固定部8と、内装材3の端部を支持するための支持部9と、支持部9に支持された内装材3の端部に当接するために支持部9の先端側に突設される脱落防止部10と、係止枠材6を係着するための被係着部11とからなり、係止枠材6には内装材3の端部の屋内側面に当接させる係止部12を形成して成ることを特徴とするものである。
【0008】
本発明にあっては、内装材3の側端部に取り付けるための側枠材13を備えることができる。
【0009】
また、本発明は、請求項1又は2に記載の内装材取付具4を用いた内装材3の取付構造であって、支持枠材5の固定部8を建物躯体1に固定することによって、複数個の支持枠材5を建物躯体1の屋内側に突設し、対向する支持枠材5、5の間に内装材3を差し込むと共に一方の支持枠材5の支持部9に内装材3の端部を当接し、他方の支持枠材5の被係着部11に係止枠材6を係着すると共に係止枠材6の係止部12を内装材3の端部の屋内側面に当接して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、内装材3を支持枠材5と係止枠材6との係止により建物躯体36に取り付けるので、ビスで取り付ける場合のような切粉が発生せず、また、ドライバのような工具を使用しないで施工することができ、作業効率を高めることができて工期の短縮を図ることができるものであり、生産・作業をしながら内装材3を取り付けることができるものである。また、内装材3と支持枠材5と係止枠材6との係止を解除することにより、これらをバラバラにして再使用することができ、移設を容易に行うことができるものである。さらに、塗装鋼板や化粧グラスウールボードなどの各種の内装材3を使用することができ、外観の良い仕上がりにすることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0012】
図2に示すように、本発明の内装材取付具4は、支持枠材5と係止枠材6及び側枠材13とを備えて形成するものであり、内装材取付具4で内装材3の上端部と下端部及び側端部を係止することにより内装材3を取り付けて施工するものである。支持枠材5と係止枠材6及び側枠材13はいずれも薄い金属板を折り曲げ加工して形成されるものである。この金属板としては、例えば、0.2〜2.0mm程度の塗装鋼板、アルミニウム板、ステンレス鋼板(SUS)などを用いることができる。
【0013】
図3(a)に示すように、支持枠材5は横方向に長尺に形成されるものであって、平板状の支持部9と、支持部9の後端部から上方に向かって突設される断面略L字状の固定部8と、支持部9の前端部から略鉛直上方に向かって突設される断面略U字状の脱落防止片10と、脱落防止片10の下端部からその前面側に向かって折り返し屈曲した被係着部11とを備えて形成されている。支持部9の前後方向の寸法は側枠材13の前後方向の寸法(前片16から後片17までの寸法)と略同等である。固定部8の後端部には斜め下方に向かって折り曲げた係合片51が設けられている。
【0014】
図3(b)に示すように、係止枠材6は略平板状で横方向に長尺に形成されるものであるが、その上端には後面側に向かって折り返し屈曲した係着部14が形成されていると共に係止枠材6の下端には後面側に向かって折り返し屈曲した係止部12が形成されている。また、係止枠材6の上部には屈曲部15が形成されており、屈曲部15よりも下側の部分は屈曲部15よりも上側の部分よりもやや後方に位置している。従って、係着部14よりも係止部12の方が後方に位置している。
【0015】
図3(c)に示すように、側枠材13は縦方向(上下方向)に長尺に形成されるものであって、前片16と後片17及び側片18とで断面略コ字状に形成されている。
【0016】
本発明において内装材3としては、自立性がある平板状(ボード状)のものであれば何でも用いることができ、例えば、化粧グラスウールボード、塗装鋼板やSUSやアルミニウム製の有孔ボード(パンチングメタルやメッシュ)などを用いることができる。また、有孔ボードとグラスウールマットの積層体、金属製メッシュと不織布とグラスウールマットの積層物なども内装材3として用いることができる。このように本発明では従来から内装材として用いられている各種の内装材3が使用可能であり、断熱性や吸音性などの所望の機能や意匠性に応じて外観の良い内装仕上げにすることができるものである。
【0017】
上記の内装材取付具4は、建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるための取付具であって、建物躯体1に突設される支持枠材5と、支持枠材5に係着される係止枠材6とからなり、支持枠材5は建物躯体1に固定される固定部8と、内装材3を載置するための支持部9と、支持部9に載置された内装材3の下部に係止するための脱落防止部10と、係止枠材6を係着するための被係着部11とからなり、係止枠材6には内装材3の上部が係止される係止部12を備えるものである。
【0018】
そして、上記内装材取付具4を用いて横胴縁などの建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるにあたっては、支持枠材5の固定部8を建物躯体1に固定することによって、複数個の支持枠材5を建物躯体1の屋内側に突設し、上下に対向する支持枠材5、5の間に内装材3を差し込むと共に下側の支持枠材5の支持部9に内装材3を載置し、上側の支持枠材5の被係着部11に係止枠材6を係着すると共に係止枠材6の係止部12で内装材3の上部を係止して内装材3を取り付けるものである。
【0019】
つまり、上記内装材取付具4を用いて横胴縁などの建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるにあたって、以下のようにする。
【0020】
まず、内装材取付具4の支持枠材5の固定部8を建物躯体1に固定することによって、建物躯体1の屋内側に支持枠材5を突設する。建物躯体1は例えばC型鋼で形成されており、上面の開口縁部には屋内外方向で並ぶ一対のリップ片1a、1aが突設されており、屋内側のリップ片1aに固形部8の係合片51を係合して固定する。支持枠材5は上下に並ぶ建物躯体1、1…のそれぞれに取り付けられる。
【0021】
また、側枠材13を内装材3の両方の側端部に上下方向の全長に亘って取り付ける。この場合、前片16と後片17と側片18とで囲まれる空間に内装材3の側端部を差し込むようにする。この側枠材13は、鉛直方向の力(自重・地震その他の外力)を床に伝達する役目を担う。また、内装材3がグラスウールなどの軟質材料である場合の補強や保護を行うものである。
【0022】
次に、建物躯体1に取り付けた複数の支持枠材5、5…のうち、上下に隣接して対向する支持枠材5、5の間に、側枠材13を取り付けた内装材3を挿入する。ここで、内装材3の下端面は下側の支持枠材5の支持部9の上面に載せられると共に内装材3の上端面は上側の支持枠材5の支持部9の下面に当接する。さらに、下側の支持枠材5の脱落防止部10が内装材3に取り付けた側枠材13の前片16の下部の屋内側面及び内装材3の下部の屋内側面に当接することにより、内装材3の下部は横方向の全長に亘って下側の支持枠材5の脱落防止部10に係止される。このようにして内装材3を略鉛直に立てて配置する。
【0023】
次に、上記内装材3の直上に位置する支持枠材5の被係着部11に係止枠材6の係着部14を係止することによって、支持枠材5に係止枠材6を取り付ける。この係止枠材6の係止部12は、内装材3に取り付けた側枠材13の前片16の上部の屋内側面及び内装材3の上部の屋内側面に当接するものであり、これにより、図1に示すように、内装材3の上部は横方向の全長に亘って係止枠材6に係止されて倒れないように保持される。また、支持枠材5に取り付けられた係止枠材6の係止部12と建物躯体1の屋内側面との間の寸法は、側枠材13の前後方向の寸法よりも少し小さくなっているため、係止枠材6のバネ力(スプリングバック力)で側枠材13を表面側から建物躯体1側へと押さえつけて内装材3のガタツキを防止することができる。そして、この後、支持枠材5と内装材3と係止枠材6との取り付けを上記と同様にして順次行うことによって、複数枚の内装材3を建物躯体1の屋内側に大壁タイプで取り付けることができる。
【0024】
上記のように本発明では、内装材3を取り付けるにあたって、ネジや釘を全く使用しないので、施工が簡単であり、切粉などが発生せずに清潔である。しかも、上記の施工工程と逆の工程を行うことにより、内装材3を簡単に取り外すことができ、移設を容易に行うことができるものである。また、本発明では、支持枠材5と係止枠材6とを別体で形成し、上下の支持枠材5、5の間に内装材3を建て込んだ後、上側の支持枠材5に係止枠材6を取り付けて係止するものであり、しかも、支持枠材5において、脱落防止部10や被係着部11が支持部9よりも下側に突出していないので、側枠材13が脱落防止部10や被係着部11に当たらないようにして内装材3を建て込むことができ、内装材3の施工を容易に行うことができると共に内装材3の面内方向(上下方向)及び面外方向(内装材3の表面と垂直な方向)の両方でのガタツキを防止することができるものである。
【0025】
図4〜6に他の実施の形態を示す。この実施の形態では、支持枠材5を支持枠材本体41と固定部材42とで構成したものである。その他の構成は上記実施の形態と同様である。
【0026】
支持枠材本体41は、図4(a)に示すように、平板状の支持部9の後端部に下方向に突出した引掛け片46を形成すると共に支持部9に上記と同様の脱落防止片10と被係着部11とを備えて横方向に長尺に形成されている。固定部材42は、図4(b)に示すように、固定部8に前方に向かって突出する略水平の延長片43を延設し、延長片43の先端に上方に向かって突出する被引掛け片44を設けると共に被引掛け片44の上端に前方に向かって突出する略水平の支え片45を設けて横方向に短尺(ピース物)に形成している。固定部8は一対のバネ片8a、8aが接合されて断面略へ字状に形成されており、その両端部には断面略U字状の係止凹部8bが形成されている。
【0027】
そして、この支持枠材5を用いて建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるにあたって、以下のようにする。まず、複数個の固定部材42を建物躯体1の長手方向に沿って所定の間隔を空けて取り付ける。ここで、建物躯体1は例えばC型鋼で形成されており、下面の開口縁部には屋内外方向で並ぶ一対のリップ片1a、1aが突設されており、図5に示すように、固定部8の係止凹部8b、8bを各リップ片1a、1aに差し込むと共にバネ片8a、8aのバネ力で弾性的に固定部8をリップ片1a、1aの間に保持するものである。また、固定部材42は上下に並ぶ建物躯体1、1…のそれぞれに取り付けられ、その支え片45が建物躯体1の屋内側に略水平に突出して配置される。
【0028】
次に、建物躯体1に突設した固定部材42の被引掛け片44に支持枠材本体41の引掛け片46を引掛けると共に支持枠材本体41の支持部9を固定部材42の支え部45の上に載置することによって、横方向に並設した固定部材42、42…で支持枠材本体41を支持させて架設する。このようにして建物躯体1の屋内側面に複数個の支持枠材5、5…を突設する。
【0029】
次に、建物躯体1に取り付けた複数の支持枠材5、5…のうち、上下に隣接して対向する支持枠材5、5の間に、側枠材13を取り付けた内装材3を挿入する。ここで、内装材3の下端面は下側の支持枠材5の支持部9の上面に載せられると共に内装材3の上端面は上側の支持枠材5の支え部45の下面に当接する。さらに、下側の支持枠材5の脱落防止部10が内装材3に取り付けた側枠材13の前片16の下部の屋内側面及び内装材3の下部の屋内側面に当接することにより、内装材3の下部は横方向の全長に亘って下側の支持枠材5の脱落防止部10に係止される。このようにして内装材3を建物躯体1の屋内側に略鉛直に立てて配置する。
【0030】
この後、上記と同様にして支持枠材5の被係着部11に係止枠材6の係着部14を係止して支持枠材5に係止枠材6を取り付けることによって、図6に示すように、複数枚の内装材3を建物躯体1の屋内側に取り付けることができる。
【0031】
図7〜9に他の実施の形態を示す。この実施の形態では、支持枠材5を支持枠材本体41と固定部材42とで構成したものである。その他の構成は上記実施の形態と同様である。
【0032】
支持枠材本体41は、図7(a)に示すように、平板状の支持部9の後端部に上方向に突出した断面略逆J字状の引掛け片46を形成すると共に支持部9に上記と同様の脱落防止片10と被係着部11とを備えて横方向に長尺に形成されている。また、支持部9の下面には、下方に開口する断面略コ字状の差し込み部材47が全長に亘って設けられている。固定部材42は、図7(b)に示すように、固定部8に前方に向かって突出する略鉛直の延長片43を延設し、延長片43の先端に横方向に突出する支え片45を設けると共に支え片45を折り返し屈曲して上方に向かって突出する略鉛直の被引掛け片44を設けて横方向に短尺(ピース物)に形成している。固定部8は一対のバネ片8a、8aが接合されて断面略へ字状に形成されており、その両端部には断面略U字状の係止凹部8bが形成されている。
【0033】
そして、この支持枠材5を用いて柱や縦胴縁の縦方向に長い建物躯体1の屋内側に内装材3を取り付けるにあたって、以下のようにする。まず、複数個の固定部材42を建物躯体1の長手方向に沿って所定の間隔を空けて取り付ける。ここで、建物躯体1は例えばC型鋼で形成されており、側面の開口縁部には屋内外方向で並ぶ一対のリップ片1a、1aが突設されており、固定部8の係止凹部8b、8bを各リップ片1a、1aに差し込むと共にバネ片8a、8aのバネ力で弾性的に固定部8をリップ片1a、1aの間に保持するものである。また、固定部材42は横方向に並ぶ建物躯体1、1…のそれぞれに取り付けられ、図8に示すように、その支え片45及び被引掛け片44が建物躯体1の屋内側に略垂直に突出して配置される。
【0034】
次に、建物躯体1に突設した固定部材42の被引掛け片44に支持枠材本体41の引掛け片46を引掛けることによって、横方向に並設した固定部材42、42…で支持枠材本体41を支持させて水平に架設する。このようにして建物躯体1の屋内側面に複数個の支持枠材5、5…を突設する。
【0035】
次に、建物躯体1に取り付けた複数の支持枠材5、5…のうち、上下に隣接して対向する支持枠材5、5の間に、側枠材13を取り付けた内装材3を挿入する。ここで、内装材3の下端面は下側の支持枠材5の支持部9の上面に載せられると共に内装材3の上端面は上側の支持枠材5の差し込み部材47の内側に差し込まれる。さらに、下側の支持枠材5の脱落防止部10が内装材3に取り付けた側枠材13の前片16の下部の屋内側面及び内装材3の下部の屋内側面に当接することにより、内装材3の下部は横方向の全長に亘って下側の支持枠材5の脱落防止部10に係止される。このようにして内装材3を建物躯体1の屋内側に略鉛直に立てて配置する。
【0036】
この後、上記と同様にして支持枠材5の被係着部11に係止枠材6の係着部14を係止して支持枠材5に係止枠材6を取り付けることによって、図9(a)(b)に示すように、複数枚の内装材3を建物躯体1の屋内側に取り付けることができる。
【0037】
図10〜13に他の実施の形態を示す。この実施の形態では、梁や母屋などを建物躯体1とし、これに天井板として内装材3を内装材取付具4で取り付けるようにしたものであり、その他の構成は上記実施の形態と同様である。
【0038】
支持枠材5を支持枠材本体41と固定部材42とで構成したものである。支持枠材本体41は、図7(a)のものを横倒しにした形状であって、図10(a)に示すように、平板状の支持部9の上端部に一方の横方向に突出した引掛け片46を形成すると共に支持部9の下端に横方向に突出する脱落防止片10を設け、脱落防止片10の下側に被係着部11とを備えて横方向に長尺に形成されている。また、支持部9の引掛け片46と反対側の側面には、側方に開口する断面略コ字状の差し込み部材47が全長に亘って設けられている。引掛け片46の先端と被係着部11の先端には固定部材42や内装材3が水平動で外れないようにするための折り返し片48が設けられている。
【0039】
固定部材42は、図10(b)に示すものを横倒しにした形状であって、固定部8に下方に向かって突出する延長片43を延設し、延長片43の先端に横方向に突出する支え片45を設けると共に支え片45を約45°折り返し屈曲して横方向に向かって突出する略水平の被引掛け片44を設けて短尺(ピース物)に形成している。固定部8は一対のバネ片8a、8aが接合されて断面略へ字状に形成されており、その上下両端部には断面略U字状の係止凹部8bが形成されている。また、被引掛け片44の先端にも水平動で支持枠材本体41が外れないようにするための折り返し片48が設けられている。
【0040】
そして、この支持枠材5を用いて梁などの横方向に長い建物躯体1の下側(屋内側)に内装材3を取り付けるにあたって、以下のようにする。まず、複数個の固定部材42を建物躯体1の長手方向に沿って所定の間隔を空けて取り付ける。ここで、図11〜13に示すように、建物躯体1は例えばC型鋼で形成されており、側面の開口縁部には上下方向で並ぶ一対のリップ片1a、1aが突設されており、固定部8の係止凹部8b、8bを各リップ片1a、1aに差し込むと共にバネ片8a、8aのバネ力で弾性的に固定部8をリップ片1a、1aの間に保持するものである。また、固定部材42は横方向に並ぶ建物躯体1、1…のそれぞれに取り付けられ、その支え片45及び被引掛け片44が建物躯体1の下側に略水平に突出して配置される。
【0041】
次に、建物躯体1に突設した固定部材42の被引掛け片44に支持枠材本体41の引掛け片46を引掛けることによって、横方向に並設した固定部材42、42…で支持枠材本体41を支持させて水平に架設する。このようにして建物躯体1の屋内側面に複数個の支持枠材5、5…を突設する。
【0042】
次に、建物躯体1に取り付けた複数の支持枠材5、5…のうち、横方向で隣接する対向する支持枠材5、5の間に側枠材13を取り付けた内装材3を挿入する。ここで、内装材3の一方の側端部は支持枠材5の引掛け片46と脱落防止片10との間に差し込まれると共に内装材3の他方の側端部は支持枠材5の差し込み部材47の内側に差し込まれて係止される。このようにして内装材3を建物躯体1の屋内側に略水平に配置する。また、引掛け片46と脱落防止片10との間に差し込まれた内装材3の一方の側端面は支持部9に当接して支持されると共に内装材3の一方の側端部の屋内側面には脱落防止片10が当接して係止する。
【0043】
この後、支持枠材5の被係着部11に係止枠材6の係着部14を係止して支持枠材5に係止枠材6を取り付け、係止枠材6の係止部12を内装材3の下面(屋内側面)に当接することよって、複数枚の内装材3を建物躯体1の下側に取り付けて天井を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】同上の正面図である。
【図3】同上の内装材取付具の一例を示し、(a)乃至(c)は一部の斜視図である。
【図4】同上の内装材取付具の支持枠材の一例を示し、(a)は一部の斜視図、(b)は斜視図である。
【図5】同上の内装材取付具の支持枠材を取り付けた状態を示す一部の斜視図である。
【図6】同上の他の実施の形態の一例を示す一部の断面図である。
【図7】同上の内装材取付具の支持枠材の一例を示し、(a)は一部の斜視図、(b)は斜視図である。
【図8】同上の内装材取付具の支持枠材を取り付けた状態を示す一部の斜視図である。
【図9】同上の他の実施の形態の一例を示し、(a)(b)は一部の断面図である。
【図10】同上の内装材取付具の支持枠材の一例を示し、(a)は一部の斜視図、(b)は斜視図である。
【図11】同上の他の実施の形態の一例を示す一部の断面図である。
【図12】同上の一部の断面図である。
【図13】同上の一部の斜視図である。
【図14】従来例を示す一部の断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 建物躯体
3 内装材
4 内装材取付具
5 支持枠材
6 係止枠材
8 固定部
9 支持部
10 脱落防止部
11 被係着部
12 係止部
13 側枠材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の屋内側に内装材を取り付けるための取付具であって、建物躯体の屋内側に配設される支持枠材と、支持枠材に係着される係止枠材とからなり、支持枠材は建物躯体に固定される固定部と、内装材の端部を支持するための支持部と、支持部に支持された内装材の端部に当接するために支持部の先端側に突設される脱落防止部と、係止枠材を係着するための被係着部とからなり、係止枠材には内装材の端部の屋内側面に当接させる係止部を形成して成ることを特徴とする内装材取付具。
【請求項2】
内装材の側端部に取り付けるための側枠材を備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の内装材取付具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の内装材取付具を用いた内装材の取付構造であって、支持枠材の固定部を建物躯体に固定することによって、複数個の支持枠材を建物躯体の屋内側に突設し、対向する支持枠材の間に内装材を差し込むと共に一方の支持枠材の支持部に内装材を当接し、他方の支持枠材の被係着部に係止枠材を係着すると共に係止枠材の係止部を内装材の端部の屋内側面に当接して成ることを特徴とする内装材の取付構造。
【請求項1】
建物躯体の屋内側に内装材を取り付けるための取付具であって、建物躯体の屋内側に配設される支持枠材と、支持枠材に係着される係止枠材とからなり、支持枠材は建物躯体に固定される固定部と、内装材の端部を支持するための支持部と、支持部に支持された内装材の端部に当接するために支持部の先端側に突設される脱落防止部と、係止枠材を係着するための被係着部とからなり、係止枠材には内装材の端部の屋内側面に当接させる係止部を形成して成ることを特徴とする内装材取付具。
【請求項2】
内装材の側端部に取り付けるための側枠材を備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の内装材取付具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の内装材取付具を用いた内装材の取付構造であって、支持枠材の固定部を建物躯体に固定することによって、複数個の支持枠材を建物躯体の屋内側に突設し、対向する支持枠材の間に内装材を差し込むと共に一方の支持枠材の支持部に内装材を当接し、他方の支持枠材の被係着部に係止枠材を係着すると共に係止枠材の係止部を内装材の端部の屋内側面に当接して成ることを特徴とする内装材の取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−303075(P2007−303075A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129551(P2006−129551)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】
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