説明

内視鏡、内視鏡用先端アダプタ、および内視鏡用先端アダプタの製造方法

【課題】 照明光源であるLEDに設けられる透明樹脂が褐色化することなく、照明光量が低下することを抑制した内視鏡を提供すること。
【解決手段】 内視鏡2は、先端部6を備えた挿入部4と、先端部6に着脱自在な接続部20に連設されたベース体14と、ベース体14に配設された撮影光学系15と、ベース体14に配設された照明光を発光する光源16と、光源16上に配設された透明樹脂16dと、ベース体14と低硬度樹脂接着剤によって固着され、光源16、および透明樹脂16dを覆うカバー部材19と、カバー部材19、およびベース体14によって形成され、光源16の周囲に形成される空間部41と、空間部41を外部と連通する通路19bと、通路19bを気密封止し、通路19bの少なくとも空間部41側と高硬度樹脂接着剤によって固着された封止部材12と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光の光源にLEDが用いられた、内視鏡、内視鏡用先端アダプタ、および内視鏡用先端アダプタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野及び工業分野において、細長な内視鏡挿入部を有する内視鏡装置が広く使用されている。
医療分野において用いられる内視鏡装置は、細長い挿入部を体腔内に挿入することによって、体腔内の臓器を観察したり、必要に応じて処置具の挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をしたりすることができる。
【0003】
これに対して、工業用分野において用いられる内視鏡装置は、挿入部を各種工場内のボイラー、ガスタービンエンジン、自動車エンジンのボディ、各種プラントの配管などに挿入することによって、被検部位の傷及び腐蝕などの観察、並びに検査などを行うことができる。
【0004】
内視鏡装置は、従来から用いられていたライトガイドバンドルによって、照明光を伝送するタイプの他、例えば、特許文献1に開示されるように、照明光の光源(発光体)にLEDが用いられるタイプのものがある。LEDは、パウダー状の蛍光体がシリコン透明樹脂に混合されてLEDチップ上に定着されており、さらに、蛍光体上にシリコン透明樹脂を被覆する場合がある。なお、引用文献1に開示されている従来の内視鏡装置は、工業用内視鏡装置であって、挿入部の先端部と着脱自在な内視鏡用先端アダプタを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−291314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の照明光の光源(発光体)にLEDが用いられる内視鏡装置は、例えば、工場における高温環境下で使用したり、オートクレーブ滅菌処理により高温高圧蒸気に晒されたりすると、各種構成部品を接着している接着剤から芳香族炭化水素が発生する。また、発光するLEDの発熱によっても、上記接着剤から芳香族炭化水素が発生する。
【0007】
そして、従来の内視鏡装置では、LEDの蛍光体を定着させるシリコン透明樹脂、およびLEDチップを被覆するシリコン透明樹脂に発生した芳香族炭化水素が取り込まれて、高温環境下で高光束エネルギーとLED特有の低波長光(紫外線光)の起因によって褐色化するという問題があった。
【0008】
そのため、従来の内視鏡装置は、シリコン透明樹脂の褐色化によって、実装されるLEDによる所定の発光輝度から想定される照明光量が得られず、照明光の光量が低下してしまう虞があった。
【0009】
そこで、照明光源であるLEDに設けられる透明樹脂が褐色化することなく、照明光量が低下することを抑制した内視鏡、内視鏡用先端アダプタ、および内視鏡用先端アダプタの製造方法が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明である内視鏡は、先端部を備えた挿入部と、前記先端部に着脱自在な接続部と、前記接続部に連設されたベース体と、前記ベース体に配設された撮影光学系と、前記ベース体に配設された照明光を発光する光源と、前記光源上に配設された透明樹脂と、前記ベース体に硬化時の硬度が低い低硬度樹脂接着剤によって固着され、前記光源、および前記透明樹脂を覆うカバー部材と、前記カバー部材、および前記ベース体によって形成され、前記光源の周囲に形成される空間部と、前記空間部を外部と連通する通路と、前記通路を気密封止し、前記通路の少なくとも前記空間部側と硬化時の硬度が高い高硬度樹脂接着剤によって固着された封止部材と、を具備する。
【0011】
また、第2の発明である内視鏡用先端アダプタは、内視鏡の挿入部の先端部に着脱自在な接続部と、前記接続部に連設されたベース体と、前記ベース体に配設された撮影光学系と、前記ベース体に配設された照明光を発光する光源と、前記光源上に配設された透明樹脂と、前記ベース体に硬化時の硬度が低い低硬度樹脂接着剤によって固着され、前記光源、および前記透明樹脂を覆うカバー部材と、前記カバー部材、および前記ベース体によって形成され、前記光源の周囲に形成される空間部と、前記空間部を外部と連通する通路と、前記通路を気密封止し、前記通路の少なくとも前記空間部側と硬化時の硬度が高い高硬度樹脂接着剤によって固着された封止部材と、を具備する。
【0012】
さらに、第3の発明である内視鏡用先端アダプタの製造方法は、内視鏡の挿入部の先端部に着脱自在な接続部に連設され、撮影光学系、および透明樹脂が被覆された光源が配設されたベース体に前記光源、および前記透明樹脂を覆うように前記ベース体に装着されるカバー部材を硬化時の硬度が低い低硬度樹脂接着剤によって固着させ、前記低硬度樹脂接着剤の硬化後に、前記ベース体と前記カバー部材とを加熱炉を用いて熱処理して、前記低硬度樹脂接着剤から芳香族炭化水素を気化させて、前記カバー部材、および前記ベース体によって形成され、前記光源の周囲に形成される空間部に芳香族炭化水素ガスが滞留しないように、前記空間部を外部と連通する通路から排出させ、前記通路の少なくとも前記空間部側と硬化時の硬度が高い高硬度樹脂接着剤によって、前記通路を封止部材によって気密封止する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、照明光源であるLEDに設けられる透明樹脂が褐色化することを抑制し、照明光量が低下することを抑制した内視鏡、内視鏡用先端アダプタ、および内視鏡用先端アダプタの製造方法を提供することすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態のアダプタ式内視鏡装置の構成を示す図の変形例の照明用ガラス板が装着された状態の先端アダプタの構成を示す断面図
【図2】同、アダプタ内視鏡の先端部に先端アダプタが装着された状態の構成を示す斜視図
【図3】同、先端アダプタの構成を示す断面図
【図4】同、先端アダプタにおける一部構成を部分的に示す分解斜視図
【図5】同、先端アダプタの分解斜視図
【図6】同、段部に配設された電気接点部の構成を示す断面図
【図7】同、照明用ガラス板を装着する前の状態を示す先端アダプタの斜視図
【図8】同、照明用ガラス板が装着された状態の先端アダプタの構成を示す断面図
【図9】同、第1の変形例の照明用ガラス板が装着された状態の先端アダプタの構成を示す断面図
【図10】同、第2の変形例の照明用ガラス板が装着された状態の先端アダプタの構成を示す断面図
【図11】第2の実施の形態の先端アダプタの構成を示す断面図
【図12】同、組み立時の先端アダプタの構成を示す断面図
【図13】同、変形例の組み立時の先端アダプタの構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を構成するアダプタ式内視鏡装置について説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0016】
(第1の実施の形態)
先ず、図面に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。なお、以下の説明においては、工業用の内視鏡装置の実施の形態を例示するが、勿論、医療用の内視鏡装置などの種々の内視鏡装置に本発明を適用することは勿論可能である。
図1から図10は本発明の第1の実施形態に係り、図1はアダプタ式内視鏡装置の構成を示す図、図2はアダプタ内視鏡の先端部に先端アダプタが装着された状態の構成を示す斜視図、図3は先端アダプタの構成を示す断面図、図4は先端アダプタにおける一部構成を部分的に示す分解斜視図、図5は先端アダプタの分解斜視図、図6は段部に配設された電気接点部の構成を示す断面図、図7は照明用ガラス板を装着する前の状態を示す先端アダプタの斜視図、図8は照明用ガラス板が装着された状態の先端アダプタの構成を示す断面図、図9は第1の変形例の照明用ガラス板が装着された状態の先端アダプタの構成を示す断面図、図10は第2の変形例の照明用ガラス板が装着された状態の先端アダプタの構成を示す断面図である。
【0017】
図1に示すようにアダプタ式内視鏡装置(以下、単に内視鏡装置という)1は、アダプタ式内視鏡(以下、単に内視鏡という)2と、内視鏡2に接続された外部装置である装置本体3とにより主要部が構成されている。内視鏡2は、先端アダプタ10と、挿入部4と、操作装置5と、ユニバーサルコード9とにより主要部が構成されている。
挿入部4は、細長で可撓性を有し、先端側から順に、先端部6、湾曲部7、及び可撓管部8を備えて構成されている。先端部6は硬性で、内視鏡用先端アダプタ(以下、単に先端アダプタという)10が着脱自在に取り付けられる。湾曲部7は、内部に複数の湾曲駒を連設して例えば上下/左右方向に湾曲するように構成されている。可撓管部8は、可撓性を有して形成されている。
【0018】
操作装置5は、挿入部4を構成する可撓管部8の後端と連結されている。操作装置5には、湾曲部7を湾曲操作するための湾曲操作レバー5aが設けられている。
【0019】
ユニバーサルコード9は、操作装置5から延出され、可撓性を有している。装置本体3は、操作装置5から延出したユニバーサルコード9の端部に設けられている。装置本体3は、例えば箱状に形成されている。装置本体3の内部には、画像処理用のCPUなどの電気部品が複数固定された基板、または先端アダプタ10が備える発光素子であるLED照明に電源を供給するバッテリユニット(不図示)などが設けられている。モニタ3aの画面上には、内視鏡2の備える撮像素子により撮像された内視鏡画像が表示される。
【0020】
なお、本実施形態において、先端アダプタ10は、挿入部4の長手軸方向の先端側(挿入方向側)を観察する直視光学系を備えた単眼直視タイプである。なお、先端アダプタ10は、単眼直視タイプに限定されるものではなく、双眼直視タイプ、または側視光学系を備えた単眼側視タイプ、双眼側視タイプなどであってもよい。また、先端アダプタ10は、図2に示すように、挿入部4の先端部6に螺着して装着される構成となっている。
【0021】
次に、本実施の形態に係る先端アダプタ10の構成について、図3から図6に基づいて、以下に詳しく説明する。
【0022】
先端アダプタ10は、図3から図5に示すように、挿入部4の先端に配置される金属製(金属ガラスを含む)のベース体である取付ベース14と、この取付ベース14に固定された撮影光学系15、光源部であるLEDパッケージ16、およびフレキシブル基板(FPCに限らず、FCCでも良い)17(図4参照。)と、これらを覆い、観察窓となる観察用ガラス板11、および照明窓となる照明用ガラス板12が装着される金属製(金属ガラスを含む)のカバー部材19と、取付ベース14、およびカバー部材19を一体として挿入部4に固定する接続部である取付スリーブ20とを備えている。
【0023】
取付ベース14には、撮影光学系15を取り付ける貫通孔21(図3参照)と、LEDパッケージ16を取り付けるLED固定部22(図4参照)と、フレキシブル基板17を取り付ける基板固定部23(図4参照)とが設けられている。貫通孔21は、LED固定部22および基板固定部23に対して高い位置に形成された段部24に設けられている。この段部24には、貫通孔21の両側に給電用端子部30が設けられている。
【0024】
撮影光学系15は、図3に示すように、撮影光軸方向に沿って配列された複数の対物レンズ15a,15b,15cと、これらの対物レンズ15a〜15cを収容する筒状のレンズ枠15dと、を備えている。レンズ枠15dは、取付ベース14に設けられた貫通孔21に嵌合されることにより、取付ベース14に位置決め状態に取り付けられるようになっている。
【0025】
これらの対物レンズ15a〜15cを収容するレンズ枠15dは、後段の対物レンズ15b,15cの位置において半径方向内方に括れた形状を有し、その位置における外径寸法は、最先端の対物レンズ15aの外径寸法より小さく構成されている。そして、この位置において、レンズ枠15dはLEDパッケージ16の側面を突き当てる突当面26を構成している。
【0026】
また、撮影光学系15の最先端の対物レンズ15aは、図4に示すように、円形に形成された周方向の一部に直線状に切り欠いた切欠(Dカット)を有している。切欠は、突当面26に対応する位置に位相を合わせて配置されている。
【0027】
LEDパッケージ16は、パウダー状の蛍光体がシリコンなどの透明樹脂に混合された蛍光部16cが表面に塗装された光源であるLEDチップ16bを支持する略正方形の板状のセラミック基板16aと、LEDチップ16bを蛍光部16cと共に被覆する、シリコンなどの透明な樹脂材料からなる略半球形のモールド部16dとを備えている。
【0028】
セラミック基板16aのモールド部16dが配設される表面とは反対側の裏面側には、LEDチップ16bに接続される複数の電極が露出していると共に、放熱用の放熱パッドが設けられている(いずれも不図示)。セラミック基板16aの裏面に設けられた放熱パッドは、取付ベース14に固定される際に、この取付ベース14に設けられたLED固定部22に接合されるようになっている。この状態で、セラミック基板16aの裏面に設けられた各電極は、取付ベース14の基板固定部23にそれぞれ対向して配置されるようになっている。
【0029】
フレキシブル基板17は、例えば、ポリイミド樹脂のような電気的絶縁性の高い柔軟なフィルム状の基材17aの上に導電性材料からなる配線パターンを形成することにより、一表面に電極パッド17bが形成されている。なお、基材17aは、絶縁紙により形成したものでも良い。このフレキシブル基板17は、屈曲させられて使用され、取付ベース14のLED固定部22から、段部24の上面にかけて配置されるようになっている。
【0030】
なお、上述した、取付ベース14の段部24に設けられる2つの給電用端子部30は、図6に示すように、絶縁管31が取付ベース14に形成された貫通孔に嵌合され、この絶縁管31内に、挿入部4の先端部6側で露出される給電ピン32と、金属製の付勢バネ33と、段部24の表面側で露出される給電ピン34と、が配設されて構成されている。
【0031】
各給電ピン32,34は、それぞれ外向フランジを有し、これら外向フランジが絶縁管31の内向フランジに当接することで、絶縁管31内から離脱しないように構成されている。また、付勢バネ33は、各給電ピン32,34を電気的に通電すると共に、各給電ピン32,34のそれぞれが離反する方向に付勢して、各給電ピン32,34を取付ベース14、および段部24の表面から突起させる。
【0032】
また、給電用端子部30は、段部24から突起する給電ピン34がフレキシブル基板17の電極パッド17bと半田35により溶着される。そして、給電ピン34と電極パッド17bとの接合部には、ここでは紫外線(UV)硬化型接着剤36が塗布硬化されている。なお、給電ピン32は、先端アダプタ10が挿入部4に装着されたときに、先端部6に設けられ電気接点部(不図示)と接触されて電気的に接続される。
【0033】
カバー部材19は、外形円柱状であって、断面略凹状をしており、封止部材であって観察窓となる観察用ガラス板11が後述の接着剤によって気密(水密)に固着する第1の開口部19a、および封止部材であって照明窓となる照明用ガラス板12が後述の接着剤によって気密(水密)に固着し、ここでは外部と連通するガス排出口であって気体通路となる第2の開口部19bが先端アダプタ10における前方(先端)側となる表面に形成されている(図5参照)。なお、観察用ガラス板11を設けず、撮影光学系15の最先端の対物レンズ15aを観察窓として第1の開口部19aに固着させても良い。
【0034】
このカバー部材19は、後方(基端)表面となる円形状の基端面が取付ベース14の前後方向の中途部において内方へ段部形成された外向フランジとなる円形状の接合面14aと当接して面接触した状態で位置決めされ、それら接合部が例えば、比較的柔らかい状態で硬化する例えば、エポキシ系樹脂接着剤であるエコボンド(登録商標)によって気密(水密)保持されるように固着される。こうして、カバー部材19は、取付ベース14に実装された撮影光学系15、LEDパッケージ16、およびフレキシブル基板17を覆うように取付ベース14に装着される。
【0035】
このように、フレキシブル基板17、およびLEDパッケージ16を固定した状態の取付ベース14にカバー部材19が装着され、さらに、取付スリーブ20が被せられることにより先端アダプタ10が構成される。そして、このように完成された先端アダプタ10は、取付スリーブ20の内周部に設けられた雌ネジ20aを、挿入部4の先端部6に備えられた雄ネジ(不図示)と螺合することにより、図2に示したように、挿入部4の先端部6に固定され、本実施形態に係る内視鏡装置1が構成される。
【0036】
ここで、本実施の形態の先端アダプタ10の組み立て手順と共に、各構成要素を固着する接着剤について、以下に詳しく説明する。
先ず、取付ベース14には、撮影光学系15、LEDパッケージ16、およびフレキシブル基板17が組み付けられる。これら撮影光学系15、LEDパッケージ16、およびフレキシブル基板17は、低硬度樹脂接着剤である、光学接着剤、紫外線(UV)硬化型接着剤、エコボンド(登録商標)などによって、取付ベース14に固着される。
【0037】
そして、カバー部材19には、予め、エポキシ系樹脂接着剤の中でも硬化時の硬度が低い(粘性が高い)低硬度樹脂接着剤である、例えば、エコボンド(登録商標)により、観察用ガラス板11が第1の開口部19aに気密(水密)保持されるように固着される。
【0038】
次に、撮影光学系15、LEDパッケージ16、およびフレキシブル基板17が実装された取付ベース14は、接合面14aに硬化時の硬度が低い(粘性が高い)、例えば、エコボンド(登録商標)が塗布される。そして、図7に示すように、取付ベース14の接合面14aにカバー部材19の基端面が面接触するように取付ベース14にカバー部材19が被せられて固着される。
【0039】
なお、このとき、取付ベース14の撮影光学系15と観察用ガラス板11が固着されたカバー部材19の第1の開口部19a、および取付ベース14のLEDパッケージ16とカバー部材19の第2の開口部19bのそれぞれが対向配置されるように、取付ベース14とカバー部材19とが位置決めされ、エコボンド(登録商標)の硬化処理がされる。
【0040】
つまり、先端アダプタ10は、組み立て時において、カバー部材19の第2の開口部19bに照明用ガラス板12を組み付けられていない状態で、取付ベース14にカバー部材19が装着され、これらを固着する接着剤、ここではエコボンド(登録商標)の硬化処理がされる。
【0041】
その後、取付ベース14とカバー部材19が固着したユニットは、加熱炉内でエージング(熱処理)によるアウトガス工程が実施される。このエージングでは、芳香族化合物が含まれる光学接着剤、紫外線(UV)硬化型接着剤、エコボンド(登録商標)などから芳香族炭化水素(aromatic hydrocarbons)ガスが放出される。
【0042】
このエージングは、減圧(真空)加熱炉を用いて行なわれ、炉内を、1気圧未満、例えば、0.2気圧以下に減圧して、LEDパッケージ16の想定された使用温度よりも高い所定の温度で所定の時間だけ実施される。このように炉内を減圧した状態でエージングを行なうことで、取付ベース14とカバー部材19とによって形成されたLEDパッケージ16周囲の空間部41(図3参照)に充満する芳香族炭化水素ガスを滞留させることなく、第2の開口部19bを介して空間部41外へ排出し易くすると共に、シリコン樹脂材料からなるモールド部16dに芳香族炭化水素ガスが取り込まれないようにするためである。
【0043】
なお、エージングによるアウトガス工程時には、熱処理中にカバー部材19の第2の開口部19bに向けて気流を発生させる送風ファンなどにより風を送るようにして、芳香族炭化水素ガスをLEDパッケージ16周囲の空間部41から排出させると良い。このようなファンを利用することで、減圧加熱炉ではなく、通常の加熱炉を用いてエージングすることもできる。また、エージングは、各種接着剤から放出される芳香族炭化水素ガスのアウトガス量が一定量となる所定の時間まで実施される。さらに、このエージングは、製造工程は増加するが、確実に芳香族炭化水素ガスを空間部41内に滞留させることなく、アウトガス(排気)するために、各種構成部品の接着毎、接着剤種別毎などに行なっても良い。
【0044】
そして、エージングによってアウトガス工程が終了したユニットのカバー部材19は、第2の開口部19bに照明用ガラス板12が接着固定される。この照明用ガラス板12とカバー部材19の第2の開口部19bとの固着では、図8から図10に示すように、2種類の接着剤42,43が用いられる。
【0045】
具体的な一例として、図8に示すように、カバー部材19の第2の開口部19bは、基端側である取付ベース14側に設けられ、照明用ガラス板12に当接して保持する段部形状の接合面部19cと、先端側である表面側に設けられ、接合面部19cから外方へ照明用ガラス板12の側面から所定の距離だけ離間するように段部形成された隙間形成部19dと、を有している。
【0046】
第2の開口部19bの接合面部19cには、エポキシ系樹脂接着剤の中でもエコボンド(登録商標)などよりも硬化時の硬度が高い(粘性が低い)高硬度樹脂接着剤42が塗布され、照明用ガラス板12が組み付けられた後、高硬度樹脂接着剤42が硬化されて、照明用ガラス板12がカバー部材19に気密(水密)保持された状態で固着される。
【0047】
次に、第2の開口部19bに照明用ガラス板12が固着されて形成された溝状の隙間形成部19dには、エポキシ系樹脂接着剤の中でも硬化時の硬度が低い(粘性が高い)例えば、エコボンド(登録商標)である低硬度樹脂接着剤43が充填塗布されて硬化される。
【0048】
なお、高硬度樹脂接着剤42は、低硬度樹脂接着剤43に比して、硬化すると硬くなり、含有する芳香族化合物の化学結合が強く、内視鏡装置1の使用環境、およびLEDパッケージ16の発熱による高温下でも芳香族化合物から芳香族炭化水素が気化(ガス化)し難い分子構造を有する接着剤である。これに対して、低硬度樹脂接着剤43は、高硬度樹脂接着剤42に比して、硬化しても柔らかく、含有する芳香族化合物の化学結合が弱いため、上記各環境における高温下では芳香族化合物から芳香族炭化水素が気化(ガス化)し易い分子構造を有する接着剤である。
【0049】
また、図9に示すように、隙間形成部19dを設けず、接合面部19cを形成して、高硬度樹脂接着剤42、および低硬度樹脂接着剤43を積層させて第2の開口部19bに照明用ガラス板12を接着しても良い。さらに、図10に示すように、低硬度樹脂接着剤43が定着し易いように、照明用ガラス板12の表面と面位置が一致する平面部19eをカバー部材19に形成しても良い。
【0050】
上述したように、本実施の形態では、組み立て工程の最後に照明用ガラス板12をカバー部材19に固着しているが、観察用ガラス板11も組み立て工程の最後にして、各接着剤42,43によって、第1の開口部19aに固着させるようにしても良い。
【0051】
これにより、エージングによるアウトガス工程において、2つの第1、第2の開口部19a、19bが外部と連通するガス排出口であって気体通路となって、空間部41内に気化した芳香族炭化水素ガスを滞留させることなく排出させることができる。
【0052】
以上に説明したように、本実施の形態の先端アダプタ10は、製造時にエージングにより、予め、各種構成部品(要素)を固着する光学接着剤、紫外線(UV)硬化型接着剤、エコボンド(登録商標)などから芳香族炭化水素ガスをアウトガスさせ、高温環境化においても、取付ベース14とカバー部材19によって囲まれたLEDパッケージ16の周囲の空間部41内に芳香族炭化水素ガスが発生しないように構成している。
【0053】
また、先端アダプタ10は、エージング時に発生させた光学接着剤、紫外線(UV)硬化型接着剤、エコボンド(登録商標)などからの芳香族炭化水素ガスが第2の開口部19bから排出するように、エージング後に照明用ガラス板12を第2の開口部19bに装着する組み付け手順としている。
【0054】
そして、照明用ガラス板12は、カバー部材19の第2の開口部19bと、取付ベース14とカバー部材19によって囲まれたLEDパッケージ16の周囲の空間部41側が内視鏡装置1の使用環境における高温下でも芳香族化合物から芳香族炭化水素が気化し難い高硬度樹脂接着剤42によって接着される。
【0055】
以上から、先端アダプタ10は、内視鏡装置1を高温下で使用しても、空間部41内に光学接着剤、紫外線(UV)硬化型接着剤、エコボンド(登録商標)など、および高硬度樹脂接着剤42からの芳香族炭化水素ガスが発生しないようにしている。そのため、LEDパッケージ16のシリコン樹脂材料からなるモールド部16dは、芳香族炭化水素ガスを取り込むことがなくなり、高温度下で高光束エネルギーとLED特有の低波長光(紫外線光)を受けても褐色化することがない。これにより、先端アダプタ10は、LEDパッケージ16で発光された照明光の光量低下を抑制できる。
【0056】
さらに、照明用ガラス板12は、カバー部材19の第2の開口部19bと、カバー部材19の表面側が硬化時の硬度が低い(粘性が高い)低硬度樹脂接着剤43によって接着される。この低硬度樹脂接着剤43は、硬化してもある程度の粘性を有した、ここでは、エコボンド(登録商標)を使用している。これに加え、先端アダプタ10は、先端アダプタ10の各種構成部品(要素)を接着する光学接着剤、紫外線(UV)硬化型接着剤、エコボンド(登録商標)など、硬化してもある程度の粘性を有した接着剤を使用することで、温度差によって生じる各種構成部品(要素)の膨張収縮によるひび割れ、亀裂などの発生を抑え、各種構成部品(要素)間の気密(水密)性、接着性の低下を抑制している。
【0057】
以上の説明により、本実施の形態の内視鏡装置1に着脱自在な先端アダプタ10は、照明光源であるLEDパッケージ16に設けられるモールド部16dが褐色化することなく、実装されたLEDパッケージ16の発光輝度に対する照明光量の低下を抑制することができる。
【0058】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の内視鏡装置1について、図11から図13に基づいて、以下に説明する。
なお、図11から図13は、本発明の第2の実施の形態に係り、図11は先端アダプタの構成を示す断面図、図12は組み立時の先端アダプタの構成を示す断面図、図13は変形例の組み立時の先端アダプタの構成を示す断面図である。また、以下の説明においても、第1の実施の形態と同一の構成要素については、説明の便宜のため、同じ符号を用いて、それら構成要素の詳細な説明、および作用効果を省略する。そして、本実施の形態の構成は、第1の実施の形態の構成と組み合わせて実施しても良い。
【0059】
本実施の形態の内視鏡用先端アダプタ(以下、単に先端アダプタという)50は、側視型タイプである。この先端アダプタ50は、径方向外方(に向けて照明光を照射するLEDパッケージ16と、このLEDパッケージ16の周囲を取り囲む位置に配置されたリフレクタ部材54と、LEDパッケージ16に長手軸方向に隣接する位置に配置された撮像光学系55を構成するプリズム56および対物レンズ57と、ベース部材64に固定されている。
【0060】
ベース部材64は、先端部分が、ここでのカバー部材である外枠部材58に覆われて、固定ビス66によって外枠部材58が固定されており、これらベース部材64と外枠部材58によって、LEDパッケージ16の周囲に空間部41が形成されている。また、ベース部材64の基端部分には、取付スリーブ20が長手軸回りに回動自在に装着されている。
【0061】
外枠部材58は、ベース部材64の先端側から長手軸方向に沿って挿入される略円筒のキャップ状に形成されている。外枠部材58は、ベース部材64の先端に装着された状態において、ベース部材64に設けられているLEDパッケージ16に対向する位置に開口部60を備えている。この開口部60には、照明窓となる照明用ガラス板63が固着されている。
【0062】
また、開口部60に対して外枠部材58の軸方向に隣接する位置には、外枠部材58がベース部材64の先端に装着された状態で、ベース部材64に設けられているプリズム56に対向することとなる位置に開口する観察窓部61が設けられている。この観察窓部61には、上述した対物レンズ59が密封状態で閉塞するように配設されている。
【0063】
リフレクタ部材54は、LEDパッケージ16の周囲を取り囲む円環状に形成され、LEDパッケージ16から発せられた照明光を反射して所定の観察範囲に指向させるテーパ内面状の反射面54aを有している。リフレクタ部材54の周囲には、アルミニウムまたはアルミニウム合金により構成された円環状のリング部材(閉塞部材)62が嵌合されている。リング部材62はリフレクタ部材54の周囲に設けられた段部54bに突き当たってリフレクタ部材54に対して位置決めされるようになっている。
【0064】
ベース部材64には、封止部材である固定ビス66が螺着するネジ溝が形成されたネジ穴64aと、このネジ穴64aに連通し、先端で開口する貫通孔64bが形成されている。この貫通孔64bは、ベース部材64に外枠部材58が装着されて形成される空間部41に連通する。つまり、貫通孔64b、およびネジ穴64aは、空間部41を外部と連通するガス排出口であって気体通路を構成している。
【0065】
本実施の形態の先端アダプタ50は、各構成部品(要素)を組み付けて、光学接着剤、紫外線(UV)硬化型接着剤、エコボンド(登録商標)など、硬化してもある程度の粘性を有した接着剤によって、各構成部品(要素)を固着させた後、第1の実施の形態と同様にエージング(熱処理)する。このとき、図12に示すように、固定ビス66をネジ穴64aに螺着しない状態で、エージングによりアウトガス工程を行なうことによって、光学接着剤、紫外線(UV)硬化型接着剤、エコボンド(登録商標)などから発生する芳香族炭化水素ガスが空間部41に滞留することなく、この空間部41に連通する貫通孔64bを介して、ネジ穴64aから排出することができる。そして、エージング終了後に、固定ビス66をネジ穴64aに螺着する製造時の最終工程を行なう。
【0066】
なお、固定ビス66は、第1の実施の形態の高硬度樹脂接着剤42が塗布され、ネジ穴64aに気密(水密)保持した状態で固着される。その後、固定ビス66とネジ穴64aの周囲に低硬度樹脂接着剤43を塗布して硬化させる。
【0067】
以上に説明した本実施の形態の先端アダプタ50の構成においても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。したがって、本実施の形態の先端アダプタ50も、照明光源であるLEDパッケージ16に設けられるモールド部16dが褐色化することなく、実装されたLEDパッケージ16の発光輝度に対する照明光量の低下を抑制することができる。
【0068】
なお、図13に示すように、エージングによるアウトガス工程時に発生する芳香族炭化水素ガスが空間部41に滞留しないように外部に排出するためのガス排出口であって気体通路を構成するネジ孔58aを外枠部材58にもうけても良い。このネジ孔58aには、空間部41を気密(水密)保持する封止部材である封止ビス67が螺着され、この封止ビス67にも高硬度樹脂接着剤42が塗布された後、封止ビス67とネジ孔58aの周囲に低硬度樹脂接着剤43を塗布して硬化される。
【0069】
また、本実施の形態の構成を上述した第1の実施の形態の構成に加えて、組み合わせることで、さらに、エージングによるアウトガス工程時に発生する芳香族炭化水素ガスが空間部41に滞留しないようにすることができる。
【0070】
以上の各実施の形態に記載した発明は、その実施の形態、および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0071】
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
【符号の説明】
【0072】
1…アダプタ式内視鏡装置
2…アダプタ式内視鏡
3…装置本体
3a…モニタ
4…挿入部
4b…段部
5…操作装置
5a…湾曲操作レバー
6…先端部
7…湾曲部
8…可撓管部
9…ユニバーサルコード
10…内視鏡用先端アダプタ
11…観察用ガラス板
12…照明用ガラス板
14…取付ベース
14a…接合面
15…撮影光学系
15a,15b,15c…対物レンズ
15d…レンズ枠
16…LEDパッケージ
16a…セラミック基板
16b…LEDチップ
16c…蛍光部
16d…モールド部
17…フレキシブル基板
17a…基材
17b…電極パッド
19…カバー部材
19a…開口部
19b…開口部
19c…接合面部
19d…隙間形成部
19e…平面部
20…取付スリーブ
20a…雌ネジ
21…貫通孔
22…固定部
23…基板固定部
24…段部
26…突当面
30…給電用端子部
31…絶縁管
32,34…給電ピン
33…付勢バネ
35…半田
36…紫外線硬化型接着剤
41…空間部
42…高硬度樹脂接着剤
43…低硬度樹脂接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部を備えた挿入部と、
前記先端部に着脱自在な接続部と、
前記接続部に連設されたベース体と、
前記ベース体に配設された撮影光学系と、
前記ベース体に配設された照明光を発光する光源と、
前記光源上に配設された透明樹脂と、
前記ベース体に硬化時の硬度が低い低硬度樹脂接着剤によって固着され、前記光源、および前記透明樹脂を覆うカバー部材と、
前記カバー部材、および前記ベース体によって形成され、前記光源の周囲に形成される空間部と、
前記空間部を外部と連通する通路と、
前記通路を気密封止し、前記通路の少なくとも前記空間部側と硬化時の硬度が高い高硬度樹脂接着剤によって固着された封止部材と、
を具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記封止部材が前記低硬度樹脂接着剤によって前記通路の前記外部側と固着されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記通路が前記カバー部材に形成された開口部であることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記開口部が前記光源、または前記撮影光学系に対向した前記カバー部材に形成され、
前記封止部材が照明用カバー部材、または観察用カバー部材であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記通路が前記ベース体に形成され、
前記封止部材が前記カバー部材と前記ベース体を固定する固定ビスであることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記封止部材が前記開口部を封止する封止ビスであることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の内視鏡。
【請求項7】
内視鏡の挿入部の先端部に着脱自在な接続部と、
前記接続部に連設されたベース体と、
前記ベース体に配設された撮影光学系と、
前記ベース体に配設された照明光を発光する光源と、
前記光源上に配設された透明樹脂と、
前記ベース体に硬化時の硬度が低い低硬度樹脂接着剤によって固着され、前記光源、および前記透明樹脂を覆うカバー部材と、
前記カバー部材、および前記ベース体によって形成され、前記光源の周囲に形成される空間部と、
前記空間部を外部と連通する通路と、
前記通路を気密封止し、前記通路の少なくとも前記空間部側と硬化時の硬度が高い高硬度樹脂接着剤によって固着された封止部材と、
を具備することを特徴とする内視鏡用先端アダプタ。
【請求項8】
前記封止部材が前記低硬度樹脂接着剤によって前記通路の前記外部側と固着されていることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡用先端アダプタ。
【請求項9】
前記通路が前記カバー部材に形成された開口部であることを特徴とする請求項7、または請求項8に記載の内視鏡用先端アダプタ。
【請求項10】
前記開口部が前記光源、または前記撮影光学系に対向した前記カバー部材に形成され、
前記封止部材が照明用カバー部材、または観察用カバー部材であることを特徴とする請求項9に記載の内視鏡用先端アダプタ。
【請求項11】
前記通路が前記ベース体に形成され、
前記封止部材が前記カバー部材と前記ベース体を固定する固定ビスであることを特徴とする請求項7、または請求項8に記載の内視鏡用先端アダプタ。
【請求項12】
前記封止部材が前記開口部を封止する封止ビスであることを特徴とする請求項1、または請求項8に記載の内視鏡用先端アダプタ。
【請求項13】
内視鏡の挿入部の先端部に着脱自在な接続部に連設され、撮影光学系、および透明樹脂が被覆された光源が配設されたベース体に前記光源、および前記透明樹脂を覆うように前記ベース体に装着されるカバー部材を硬化時の硬度が低い低硬度樹脂接着剤によって固着させ、
前記低硬度樹脂接着剤の硬化後に、前記ベース体と前記カバー部材とを加熱炉を用いて熱処理して、前記低硬度樹脂接着剤から芳香族炭化水素を気化させて、前記カバー部材、および前記ベース体によって形成され、前記光源の周囲に形成される空間部に芳香族炭化水素ガスが滞留しないように、前記空間部を外部と連通する通路から排出させ、
前記通路の少なくとも前記空間部側と硬化時の硬度が高い高硬度樹脂接着剤によって、前記通路を封止部材によって気密封止する、
ことを特徴とする内視鏡用先端アダプタの製造方法。
【請求項14】
前記加熱炉の炉内を1気圧未満に減圧して、前記加熱処理を行なうことを特徴とする請求項13に記載の内視鏡用先端アダプタの製造方法。
【請求項15】
前記加熱処理時に、前記通路に向けて気流を発生させる送風ファンなどにより風を送るようにして、芳香族炭化水素ガスを前記空間部から排出させることを特徴とする請求項13、または請求項14に記載の内視鏡用先端アダプタの製造方法。
【請求項16】
前記光源の使用温度よりも高い温度で前記加熱処理を行なうことを特徴とする請求項13から請求項15のいずれか1項に記載の内視鏡用先端アダプタの製造方法。
【請求項17】
前記低硬度樹脂接着剤から放出される芳香族炭化水素ガスのアウトガス量が一定量となる所定の時間まで前記加熱処理を行なうことを特徴とする請求項13から請求項16のいずれか1項に記載の内視鏡用先端アダプタの製造方法。
【請求項18】
さらに、前記通路の前記外部側と前記記封止部材を低硬度樹脂接着剤によって固着させることを特徴とする請求項13から請求項17のいずれか1項に記載の内視鏡用先端アダプタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−224277(P2011−224277A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99417(P2010−99417)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】