説明

内視鏡、内視鏡管理システム

【課題】オートクレーブ実施回数の管理のための専用の装置を導入することなく、オートクレーブ実施回数の履歴を知ることができる内視鏡、かかる内視鏡が有するオートクレーブ実施回数を通知し得る内視鏡管理システムを提供すること。
【解決手段】本発明の内視鏡は、内視鏡の内部が陰圧となったことの陰圧情報を検出し得るスイッチ(検出手段)40と、スイッチ40により検出された前記陰圧情報を保持し得るラッチングリレー(保持手段)60とを有し、スイッチ40とラッチングリレー60とは、内視鏡の外部から電源供給を受けることなく作動し、スイッチ40が検出した陰圧情報をラッチングリレー60により保持するよう構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡、内視鏡管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、体腔内に内視鏡の細長い挿入部を挿入することによって、体腔内の臓器を観察、また必要に応じて処置具の挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置を行うもので医療分野等において広く利用されている。挿入部の先端には、湾曲部および先端部が設けられ、術者等は、内視鏡操作部に接続されたワイヤにより湾曲させることによって、先端部内に配設された観察光学系の対物レンズの観察方向を変更させることができる。
【0003】
内視鏡は、感染を防止するため、使用後に洗浄・消毒あるいは滅菌される。滅菌する方法としては、高温高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)法が知られており、この場合には、専用のオートクレーブ装置を用いて内視鏡の滅菌が行なわれつつある。オートクレーブ装置による消毒・滅菌は、ランニングコストが安価、有害物質の発生が無い等の理由から、多分野に広く浸透している。
【0004】
オートクレーブ装置に用いられる内視鏡には、内部から外部へは気体を通過させ、外部から内部へは気体を通過させない逆止弁が設置されている。そして、オートクレーブ装置内では、内視鏡は、その内部の空気が外部へ抜けて内圧が下げられ、かつ滅菌時や洗浄時には蒸気、ガスまたは洗浄水等が内部に侵入することがないようになっている。
【0005】
ところで、一般に、内視鏡検査を行う医療機関では、複数の内視鏡を使用し、かつ1台の内視鏡を1日に複数回使用することになる。このとき、検査に使用された内視鏡は、オートクレーブ装置で滅菌処理された後、消毒・滅菌液を使った滅菌処理の場合のように内視鏡を洗浄することなく、再び検査に使用されるようになっている。このため、短い時間で滅菌処理できることが求められている。
【0006】
特許文献1には、オートクレーブ実施回数の履歴を来歴情報として記憶し、この来歴情報から推奨工程を選択するオートクレーブ装置が開示されている。特許文献1に記載のオートクレーブ装置は、来歴情報を基にオートクレーブ工程のバリエーションを変えることにより、内視鏡の耐久性を向上させるものである。
【0007】
しかしながら、このような従来の内視鏡にあっては、オートクレーブ実施回数の履歴を記憶し、オートクレーブ工程を変更するための専用の装置が必要となる。また、記憶部への書き込み・保持および工程変更処理のために常時電源供給する必要がある。
【0008】
特に、オートクレーブ実施回数の履歴を記憶するためだけに、専用のオートクレーブ装置が必要となることは、コスト高になることは勿論のこと、オートクレーブ実施回数の履歴を、個別の内視鏡毎に対応付けて管理しなければならず、管理および取り扱いが煩雑となる欠点がある。すなわち、複数の内視鏡を、オートクレーブ装置側で、個別の内視鏡のオートクレーブ実施回数等を記憶・管理することは取り扱い上とても面倒である。
【0009】
【特許文献1】特許第3691764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、オートクレーブ実施回数の管理のための専用の装置を導入することなく、オートクレーブ実施回数の履歴を知ることができる内視鏡、かかる内視鏡が有するオートクレーブ実施回数を通知し得る内視鏡管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的は、以下(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) 内視鏡の内部と外部とが必要時に連通する連通部を有し、オートクレーブ処理を施すに際し、前記内視鏡自体が陰圧の環境下におかれ、それにより、前記連通部を介して前記内部が陰圧となる内視鏡であって、
前記内部が陰圧となったことの陰圧情報を検出し得る検出手段と、該検出手段により検出された前記陰圧情報を保持し得る保持手段とを有し、
前記検出手段と前記保持手段とは、前記外部から電源供給を受けることなく作動し、前記検出手段が検出した前記陰圧情報を前記保持手段により保持するよう構成したことを特徴とする内視鏡。
【0012】
これにより、オートクレーブ実施回数の管理のための専用の装置を導入することなく、オートクレーブ実施回数の履歴を知ることができる。
【0013】
(2) 電気を蓄電する蓄電部を有し、
前記検出手段は、前記内部と前記外部との圧力差により、前記内部に引き込まれる可動部を有し、
該可動部の移動に伴い、前記蓄電部と前記保持手段とが電気的に接続されることにより、前記保持手段に、前記蓄電部に蓄電された電気により電源供給されて、前記陰圧情報が保持される上記(1)に記載の内視鏡。
【0014】
これにより、内視鏡の外部から電源供給を受けることなく、保持手段により内視鏡内部が陰圧になったことの陰圧情報を保持することができる。
【0015】
(3) 前記検出手段は、前記可動部と、前記可動部に設置された第1の端子と、前記内視鏡の本体部に設置された第2の端子と、前記可動部を前記外部側に付勢する付勢手段とを有し、
前記可動部の移動に伴い、前記第1の端子と前記第2の端子とが接触することにより導通して、前記蓄電部に蓄電された電気により前記保持手段に電源供給される上記(2)に記載の内視鏡。
【0016】
これにより、内視鏡の外部から電源供給を受けることなく、保持手段により前記陰圧情報を保持することができる。
【0017】
(4) 前記検出手段は、前記内部と前記外部との圧力差により、前記内部に引き込まれる可動部を有し、
当該可動部の移動に伴い生じる誘導起電力により、前記保持手段に電源供給されて前記陰圧情報が保持される上記(1)に記載の内視鏡。
【0018】
これにより、内視鏡の外部から電源供給を受けることなく、保持手段により前記陰圧情報を保持することができる。
【0019】
(5) 前記検出手段は、前記可動部と、該可動部または前記内視鏡の本体部の一方に設置された磁芯と、他方に設置されたコイルと、前記可動部を前記外部側に付勢する付勢手段とを有し、
前記可動部の移動に伴い、前記コイルと前記磁芯との間に生じる誘導起電力により前記保持手段に電源供給される上記(4)に記載の内視鏡。
【0020】
これにより、内視鏡の外部から電源供給を受けることなく、保持手段により前記陰圧情報を保持することができる。
【0021】
(6) 前記保持手段は、当該保持手段に電源供給されたことを保持する継電器である上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の内視鏡。
【0022】
これにより、内視鏡の外部から電源供給を受けることなく、保持手段に前記陰圧情報を保持させることができる。
【0023】
(7) メモリ機能を備える制御手段を有し、
前記制御手段は、前記保持手段により保持された前記陰圧情報を、前記メモリに記録する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の内視鏡。
これにより、メモリに、前記保持回数を確実に記録することができる。
【0024】
(8) 前記制御手段は、前記保持手段が保持する前記陰圧情報を前記メモリに記録した後、前記保持手段をリセットする上記(7)に記載の内視鏡。
これにより、前記保持手段に、前記陰圧情報を再度保持させることができる。
【0025】
(9) 上記(7)または(8)に記載の内視鏡と、当該内視鏡が接続される外部装置とを有する内視鏡管理システムであって、
前記外部装置は、前記メモリが記録する前記陰圧情報の保持回数を通知する通知手段を備えることを特徴とする内視鏡管理システム。
これにより、内視鏡の外部に前記保持回数を通知することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、オートクレーブ処理を施した実施回数を管理のための専用の装置を導入することなく、この実施回数の履歴を知ることができるので、コスト削減を図ることができるとともに、常時電源供給しないため省電力化、さらには取り扱い・管理の大幅な簡略化を図ることができる。
【0027】
さらには、本発明によれば、オートクレーブ処理を施した実施回数を、内視鏡の内部が陰圧になったことの情報に基づいて記録することから、人為的に実施回数を入力して実施回数を記録する場合のように、実施回数にミスカウントが生じるのを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の内視鏡および内視鏡管理システムを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、本発明の内視鏡を、医療用内視鏡、特に、電子内視鏡(電子スコープ)に適用した場合について説明する。
【0029】
<第1実施形態>
まず、電子内視鏡の第1実施形態について説明する。
【0030】
図1は、電子内視鏡の第1実施形態を示す全体図、図2は、図1に示す電子内視鏡が備える光源差込部を示すの拡大図、図3は、図2に示す光源差込部の部分縦断面、図4は、図2に示す光源差込部の内部に設置されたオートクレーブ実施記録装置を示す図である。以下、図1中、上側を「基端」、下側を「先端」として説明する。
【0031】
図1に示す電子内視鏡10(以下、「内視鏡10」という)は、可撓性(柔軟性)を有する長尺物の挿入部可撓管11と、挿入部可撓管11の先端部に設けられた湾曲部12と、挿入部可撓管11の基端部に設けられ、術者が把持して内視鏡10全体を操作する操作部13と、操作部13に接続された接続部可撓管14と、接続部可撓管14の先端側に設けられた光源差込部15とを備えている。
【0032】
挿入部可撓管11と接続部可撓管14は、それぞれ、中空部を有する管状の芯材の外周を外皮で被覆した内視鏡用可撓管である。
【0033】
挿入部可撓管11は、例えば、消化管のような生体の管腔内に挿入して使用される。また、操作部13には、その側面に操作ノブ16、17が設置されている。この操作ノブ16、17を操作すると、挿入部可撓管11内に配設されたワイヤ(図示せず)が牽引されて、湾曲部12が例えば4方向に湾曲し、その方向を変えることができる。湾曲部12の先端部には、観察部位における被写体像を撮像する図示しない撮像素子(CMOSイメージセンサ、CCD等の固体撮像素子)が設けられている。
【0034】
光源差込部15には、図2に示すように、その先端側に光源用コネクタ18と画像信号用コネクタ19とが設けられ、その基端側に逆止弁20が設けられている。
【0035】
逆止弁20は、内視鏡10の内部から外部への気体の通過を許容し、内視鏡10の外部から内部への気体の通過を許容しない。かかる構成の逆止弁20を光源差込部15に設けることにより、オートクレーブ装置が備える減圧滅菌室内では内視鏡10内の空気が外部へ抜けて内圧が下げられ、かつ滅菌時や洗浄時には高圧の蒸気雰囲気になるが、内視鏡10内への蒸気侵入が防止される。すなわち、本実施形態では、この逆止弁20により、内視鏡10の内部と外部とが必要時に連通する連通部が構成され、オートクレーブ処理を施すに際し、内視鏡10の内部の陰圧状態を維持することができる。
【0036】
光源用コネクタ18は、光源装置に接続され、この光源装置から発せられた照明光が光源用コネクタ18、および、光源差込部15内、接続部可撓管14内、操作部13内、挿入部可撓管11内および湾曲部12内に連続して配設された光ファイバー束によるライトガイド(図示せず)を通り、湾曲部12の先端部より観察部位に照射され、照明する。
【0037】
画像信号用コネクタ19は、外部装置(光源装置)200に接続され、さらに、光源装置は、ケーブル220を介してモニタ装置210に接続されている。
【0038】
前記照明光により照明された観察部位からの反射光(被写体像)は、撮像素子で撮像される。撮像素子では、撮像された被写体像に応じた画像信号が出力される。
【0039】
この画像信号は、湾曲部12内、挿入部可撓管11内、操作部13内および接続部可撓管14内に連続して配設され、撮像素子と画像信号用コネクタ19とを接続する画像信号ケーブル(図示せず)を介して、光源差込部15に伝達される。
【0040】
そして、光源差込部15内および光源装置内で所定の処理(例えば、信号処理、画像処理等)がなされ、その後、モニタ装置210に入力される。モニタ装置210では、撮像素子で撮像された動画の内視鏡モニタ画像が表示される。
【0041】
なお、画像信号用コネクタ19が、光源装置に接続されたとき、光源差込部15内部に設置された制御用マイコン80(図4で後述する)に電源供給される。
【0042】
また、光源差込部(内視鏡の本体部)15は、図2および図3に示すように、その外周面が外壁21で構成され、この外壁21により、光源差込部15内部の気密性が保持される。そして、外壁21には、スイッチの取り付け座22が内方に向けて筒状に突出して形成される。
【0043】
筒状に形成された取り付け座22の側面には、シール用のOリング23を介して可動部24(変位部材)が摺動自在に設置され、可動部24は、圧縮コイルスプリング25により、光源差込部(内視鏡の本体部)15の外方(外部側)に付勢される。すなわち、本実施形態では、圧縮コイルスプリング25により付勢手段が構成され、この付勢手段により、可動部24は図3から図2に示す位置に付勢される。なお、付勢手段は、本実施形態のように、コイルスプリングで構成される場合の他、例えば、スポンジ、エアークッション、ゴム材のような弾性部材や、板バネ等で構成されるものであってもよい。
【0044】
また、可動部24の外側端部の外周部には、溝24aが形成され、取り付け座22の外側には内方に突出するリブ22aが形成される。通常、可動部24は、圧縮コイルスプリング25により外方に付勢され、可動部24の溝24aが取り付け座22のリブ22aに当接する位置で係止する(図2参照)。図3に示す可動部24は、光源差込部15の内部(内視鏡10内部)が陰圧になったことを受け、その内部と外部とに圧力差が生じた時に、可動部24が圧縮コイルスプリング25の付勢力に抗して内方(内部)に引き込まれた状態を示す。可動部24は、取り付け座22内に軸方向に摺動自在に移動するが、可動部24の外周部の溝24bに装着されたシール用のOリング23によって内部の気密性は保たれる。
【0045】
また、可動部24の軸中心部24cは内方に突出しており、軸中心部24cに第1の接点スイッチ電極(第1の端子)26の基部27が螺合し(設置され)、さらに、この第1の接点スイッチ電極26の基部27には第2の接点スイッチ電極28の基部29が螺合される。第2の接点スイッチ電極28の基部29には、光源差込部15の内部(内視鏡10内部)の圧力変化により移動する部材30が取り付けられている。この部材30は、後述するラッチングリレー60に電気的に接続される。
【0046】
第1の接点スイッチ電極26は、図3に示すように、第2の接点スイッチ電極28の外周を覆うように一定の間隙を保って内方に突出して形成されるとともに、内方に突出するとき一旦外周方向に広がってから元の外周位置に戻る膨らみを持った形状に形成されている。
【0047】
また、取り付け座22全体は、蓋部31により覆われ、蓋部31は、可動部24、可動部24に螺合した第1の接点スイッチ電極26の基部27、第2の接点スイッチ電極28の基部29、および圧縮コイルスプリング25を収容する。蓋部31の内側は、圧縮コイルスプリング25の一端のバネ受けとなる。
【0048】
蓋部(内視鏡の本体部)31には、第1の接点スイッチ電極26を挿通する円形の開口部31aが形成されており、この開口部31aの端面には導電材料からなるリング(第2の端子)32が嵌挿されて固定(設置)される。導電リング電極32は、リード線33を介してケーブル34に接続され、ケーブル34は、後述するラッチングリレー60に電気的に接続される。
【0049】
導電リング電極32の内周面は、第1の接点スイッチ電極26の外周部より大きく形成されており、陰圧を受けて可動部24が内側にあるとき(図3に示す位置)、および陰圧が解除され可動部24が圧縮コイルスプリング25の付勢力により外側にあるとき(図2に示す位置)にはいずれも、第1の接点スイッチ電極26は導電リング電極32に接触しない。
【0050】
ここで、第1の接点スイッチ電極26は、前述したように、外周方向に広がる膨らみ部分26aを持った形状を有している。そのため、この膨らみ部分26aが導電リング電極32の内周面を移動する過程、すなわち図2に示す位置から図3に示す位置に可動部24が移動する過程で、第1の接点スイッチ電極26(膨らみ部分26a)は、導電リング電極32に電気的に接触する。さらにこのとき、この膨らみ部分26aが導電リング電極32に当接しながら押し込まれることで、第1の接点スイッチ電極26の先端が閉じることとなり、第2の接点スイッチ電極28にも接触することとなる。その結果、部材30とケーブル34とが、第2の接点スイッチ電極28、第1の接点スイッチ電極26およびリード線33を介して電気的に接続することとなる。
【0051】
以上説明した可動部24、第1の接点スイッチ電極(第1の端子)26、導電リング電極(第2の端子)32および圧縮コイルスプリング(付勢手段)25は、全体として、光源差込部15の内部(内視鏡10内部)が、陰圧になったことの陰圧情報を検出し得る検出手段として機能するスイッチ40を構成する。
【0052】
なお、本実施形態では、第1の接点スイッチ電極26の先端が第2の接点スイッチ電極28に接触することで、第1の接点スイッチ電極26の先端を介して第2の接点スイッチ電極28と導電リング電極32とが電気的に接触する。かかる構成とすることにより、第2の接点スイッチ電極28と導電リング電極32との間での電気的な接触をより確実なものとしているが、第1の接点スイッチ電極26の先端と第2の接点スイッチ電極28とは、接触しない構造であってもよい。
【0053】
このような内視鏡10は、図4に示すように、上述したような構成のスイッチ40と、ラッチングリレー60と、コンデンサ70とで構成されるオートクレーブ実施記録装置50を有している。なお、図4中に示す、突入防止抵抗Rは、コンデンサ70へ充電される、または、放電される時に、コンデンサに流れる突入電流を軽減する為の抵抗である。
【0054】
また、逆流防止ダイオードD1は、内視鏡内部電源90から供給された電力を内視鏡内部電源90が切れた後でも逆流を防止するダイオードであり、逆起電力保護用ダイオードD2は、スイッチ40が押されラッチングリレーに電流が流れた際、ラッチングリレーの1次側がコイルの逆起電力の発生を防止する為のダイオードである。
【0055】
ラッチングリレー(継電器)60は、スイッチ40のONを受けて内視鏡10内部が陰圧になったことを保持(記録)し得る保持手段として機能するものである。すなわち、ラッチングリレー60は、スイッチ40がOFFであるとき、休止状態(OFFの状態)を維持するが、スイッチ40が一度でもONの状態となると、動作状態(ONの状態)を維持することにより、保持手段としての機能を発揮するものである。
【0056】
コンデンサ70は、ラッチングリレー60を動作させるバッテリー(電源)として機能するものである。すなわち、コンデンサ70は、スイッチ40がOFFであるとき、電気を蓄電し、スイッチ40がONとなったとき、この蓄電された電気をラッチングリレー60に電源供給する蓄電部として機能するものである。
【0057】
このようなコンデンサ70は、特に限定されないが、例えば、電界コンデンサ、大容量セラミックコンデンサおよび二次電池用コンデンサ等が挙げられる。
【0058】
また、内視鏡10は、内視鏡10の作動を制御する制御用マイコン80を有し、オートクレーブ実施記録装置50は、この制御用マイコン80に接続され、制御用マイコン80と共に、内視鏡10内部に密閉(配置)されている。
【0059】
制御用マイコン80は、マイクロプロセッサ等により構成され、信号入出力等の動作演算処理の実行を含む内視鏡10全体の制御を行う制御手段であり、ROM上のプログラムに従い、演算に使用するデータを記憶したメモリを使用して各種処理を実行する。メモリの一部は、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリにより構成され、電源OFF後も設定条件を記録する。
【0060】
特に、本実施形態では、制御用マイコン80は、外部装置200からの電源供給時に、オートクレーブ実施記録装置50に対する読み取り動作によって、ラッチングリレー60から内視鏡10内部が陰圧となったことの有無を示す陰圧情報(信号)を読み出し、陰圧情報がある場合、この陰圧情報をオートクレーブ実施回数としてメモリに1回加算して記録する。換言すれば、制御用マイコン80は、ラッチングリレー60によって保持される陰圧情報を電源供給の都度、メモリに記録する。
【0061】
そして、モニタ装置210に接続される外部装置200(例えば、光源装置、画像処理システムおよび画像ファイリングシステム等を備えるプロセッサ)に光源差込部15が接続され、外部装置200が制御用マイコン80に対してアクセスする際に、マイコン80は、当該内視鏡10のオートクレーブ実施回数(陰圧情報の保持回数)を外部装置200に伝達(入力)する。そして、内視鏡モニタ画像を表示するモニタ画面を備えるモニタ装置210は、例えば、外部装置200に伝達されたオートクレーブ実施回数を、モニタ画面上に表示することにより、術者等に伝達する。すなわち、本実施形態では、内視鏡10、外部装置200、およびモニタ装置210とにより内視鏡管理システムが構成され、モニタ装置210が備えるモニタ画面がオートクレーブ実施回数を通知する通知手段として機能する。通知手段をかかる構成とすることにより、オートクレーブ実施回数を術者等に確実に伝達することができる。
【0062】
また、制御用マイコン80は、ラッチングリレー60からの読出し後、ラッチングリレー60を休止状態に戻すリセット信号を出力する。ラッチングリレー60は、制御用マイコン80からのリセット信号を受けると、動作状態から休止状態となるよう構成されている。これにより、ラッチングリレー60は、スイッチ40が検出した内視鏡10内部が陰圧となったことを示す陰圧情報を、再度保持することができるようになる。
【0063】
以上は、光源差込部15が光源装置等の外部装置200に接続され、図4に示す内視鏡内部電源90を介して制御用マイコン80に電源供給された場合の動作である。また、内視鏡内部電源90からの電流は、ラッチングリレー60を介してコンデンサ70に流れ、コンデンサ70に蓄積される。
【0064】
ところで、内視鏡10は、オートクレーブ処理の際、高温高圧状態に所定の時間(137℃ 20分)晒されることになるため、制御用マイコン80およびオートクレーブ実施記録装置50は、この高温高圧状態に耐え得るように密閉された容器に収容されている。そして、この密閉容器内には、電池等のバッテリーが設置されておらず、また光源差込部15の光源用コネクタ18と画像信号用コネクタ19が光源装置に接続されていない時には、内視鏡10の外部からの電源供給もない。したがって、光源差込部15内部に密閉して収容されているオートクレーブ実施記録装置50および制御用マイコン80は、光源装置等に接続されない限り、電源供給を受けることができず動作することはできない。
【0065】
本発明は、オートクレーブ処理時のように内視鏡10の外部からの電源供給のない状況下であっても、内視鏡10(オートクレーブ実施記録装置50)自体が、オートクレーブ処理が施されたことを保持(記録)し得るものである。
【0066】
以下、内視鏡10の外部からの電源供給のない状況下におけるオートクレーブ実施記録装置50の動作について説明する。
【0067】
[1]外部装置からの取り外し
まず、術者等は、検査終了後に、光源装置(外部装置200)から光源差込部15を取り外す。これにより、内視鏡10は外部装置200から脱離される。かかる状態で、内視鏡10は、オートクレーブ処理のために一時保管される。このとき、光源差込部15が光源装置から取り外されることにより、制御用マイコン80への電源供給がなくなり、制御用マイコン80は、その動作を停止する。
【0068】
また、スイッチ40の可動部24は、大気圧下では、圧縮コイルスプリング25により付勢され外方(図2に示す位置)にある。
【0069】
[2]オートクレーブ処理
次に、内視鏡10にオートクレーブ処理を施す。
【0070】
このオートクレーブ処理は、オートクレーブ装置が備える滅菌室内に内視鏡10を収容した後、この滅菌室内を減圧状態にする減圧工程と、この減圧状態の滅菌室内に高圧高温蒸気を送り込んで滅菌を行う滅菌工程とを有する。
【0071】
減圧工程は、後の滅菌工程の際に、内視鏡10の細部にまで高圧高温蒸気を行き渡らせるための工程であり、この減圧工程の後に滅菌工程を行う構成とすることにより、内視鏡10の滅菌を確実に行うことができる。
【0072】
ここで、減圧工程において、内視鏡自体が陰圧の環境下におかれ、光源差込部15に取り付けられている逆止弁(連通部)20を介して、光源差込部15の内部(内視鏡10内部)の気体がその外部に排出されることから、光源差込部15内も滅菌室内と同様に減圧される。
【0073】
そして、滅菌工程において、滅菌室内に高圧高温蒸気を送り込む際には、逆止弁20により、光源差込部15の内部への高圧高温蒸気の進入が許容されないことから、光源差込部15内の陰圧状態が維持されることとなる。その結果、滅菌室内が内視鏡10内より圧力が高くなる圧力差、すなわち光源差込部15内が滅菌室内より陰圧となる圧力差が生じる。これにより、部材30が内方に移動し、部材30に螺合された可動部24も圧縮コイルスプリング25の付勢力に抗して内方に引き込まれることとなる。
【0074】
この可動部24が内方(内視鏡の内部)に引き込まれることに伴って、可動部24に取り付けられた第1の接点スイッチ電極26の膨らみ部分26aが導電リング電極32の内周面に電気的に接触する(図3参照)。
【0075】
[3]オートクレーブ処理後
次に、オートクレーブ処理が施された内視鏡10を、滅菌室内から取り出す。
【0076】
光源差込部15の内部(内視鏡10内部)は、滅菌室内から取り出した後も逆止弁20の作用により、陰圧状態が保たれているが、術者等が逆止弁20を動かすことにより陰圧状態から開放される。すなわち、この操作により、内視鏡10内部と外部とが連通して、内視鏡10内部を大気圧(常圧)に復帰させる。
【0077】
以上のような工程を経た内視鏡10が次の内視鏡検査に用いられる。
ところで、上述したオートクレーブ処理工程[2]において、光源差込部15内部が陰圧とされた際に、スイッチ40は、第1の接点スイッチ電極26と導電リング電極32とが接触することにより、ON(導通)となる。
【0078】
そして、図4中の矢印aに示すように、光源差込部15が光源装置等に接続されている時の内視鏡内部電源90からの電源供給により、あらかじめコンデンサ70には電気(電荷)が蓄電(蓄積)されており、上述したようにスイッチ40がONすると、図4中の矢印bに示すように、コンデンサ70に蓄電された電気によって、コンデンサ70はバッテリーとしての機能を発揮して、ラッチングリレー60に電源供給する。
【0079】
次に、ラッチングリレー60が有する操作コイルに、ラッチングリレー60から電源供給されると、ラッチングリレー60が備える操作コイルに挿通された電磁石(鉄芯)が磁化されることにより、この鉄芯と離間していた鉄片が吸引されることで、鉄芯と鉄片とが接触する。これにより、ラッチングリレー60は、復帰状態(OFFの状態)から動作状態(ONの状態)となる。なお、この動作状態は、ラッチングリレー60に電流が流れなくなっても維持される。これにより、光源差込部15内部が陰圧となった陰圧情報が、ラッチングリレー60に記録される。
【0080】
なお、上述したオートクレーブ処理後の工程[3]において、逆止弁20を開放して光源差込部15内を大気圧とする際に、第1の接点スイッチ電極26と導電リング電極32とは再び接触する、すなわち、スイッチ40は再びONとなる。しかしながら、この場合、コンデンサ70が既に放電していることから、ラッチングリレー60に電流が流れることはなく、前述したラッチングリレー60の動作状態(ONの状態)はそのまま維持される。
【0081】
以上説明したように、スイッチ40は、内視鏡10内部が陰圧となったことの陰圧情報を検出し得る検出手段としての機能を好適に発揮し、また、ラッチングリレー60は、前記陰圧情報を保持する保持手段としての機能を好適に発揮する。その結果、スイッチ40とラッチングリレー60とは、内視鏡10の外部から電源供給を受けることなく作動して、スイッチ40が検出した前記陰圧情報をラッチングリレー60により確実に保持することができる。
【0082】
ここで、オートクレーブ処理の後、内視鏡10の光源差込部15を光源装置(外部装置200)等に接続すると、制御用マイコン80に電源供給されて制御用マイコン80が起動する。そして、制御用マイコン80は、所定のイニシャライズ(初期化)の後、オートクレーブ実施記録回数の記録処理を実行する。このオートクレーブ実施記録回数の記録処理では、ラッチングリレー60が復帰状態(OFFの状態)であるか、または動作状態(ONの状態)であるかを読み出し、動作状態であれば、制御用マイコン80の内部メモリ(外部メモリでもよい)のカウンタを+1インクリメントする。すなわち、内視鏡10のオートクレーブ実施回数を1回加算する。
【0083】
さらに、制御用マイコン80は、ラッチングリレー60をリセットするリセット信号をラッチングリレー60のリセット端子に出力する。これにより、ラッチングリレー60は、再度、復帰状態(OFFの状態)となる。なお、内視鏡内部電源90からの電源供給により、コンデンサ70は、再度、充電される。
【0084】
内視鏡10を上述したような構成とすることにより、内視鏡10のオートクレーブ実施回数の履歴を制御用マイコン80すなわち内視鏡10自体に記憶することができる。
【0085】
以上、説明したように、本実施形態によれば、内視鏡10は、内視鏡内部が陰圧となり外部との圧力差が生じると、その内部に引き込まれる可動部24の移動を電気的に検出するスイッチ40と、スイッチ40が検出した情報すなわち内視鏡内部が陰圧になったことの陰圧情報を保持するラッチングリレー60と、スイッチ40のONによりラッチングリレー60を動作させるバッテリーとなるコンデンサ70と、ラッチングリレー60から陰圧情報の有無を読み出し、オートクレーブ実施回数を履歴情報としてメモリに記憶する制御用マイコン80とを備えている。その結果、オートクレーブ処理時のように電源供給のない状況下においても、内視鏡10自体に自らのオートクレーブ実施回数を記録しておくことができる。
【0086】
したがって、オートクレーブ実施回数の管理のための専用の装置(例えば、管理機能を備えるオートクレーブ装置)を導入することなく、内視鏡10内部が陰圧となったことをメモリが記憶する回数すなわちオートクレーブ実施回数の履歴を知ることができる。専用の装置を購入することがないのでコスト削減が可能になるばかりか、内視鏡10自体にオートクレーブ実施回数を記録しておくことができるので、取り扱い・管理の大幅な向上を図ることができる。
【0087】
また、本実施形態のように、内視鏡10自体が備えるラッチングリレー60により、オートクレーブ処理が施されたことを保持し、さらに内視鏡10自体が備える制御用マイコン80に、このラッチングリレー60が保持する記録に基づいて、メモリが記憶する陰圧情報の保持回数を加算する構成とすることにより、術者等が手動で記録等を入力することなく、オートクレーブ処理の履歴を自動的に更新することができる。さらに、術者等による実施回数の入力ミスによるミスカウントを確実に防止することができる。
【0088】
さらに、本実施形態では、制御用マイコン80およびオートクレーブ実施記録装置50が密閉される容器内(電源差込部15)には、電池を設置せず、電池の代わりにスイッチ40のON時にコンデンサ70の放電電流を用いてラッチングリレー60を動作させる構成とした。その結果、電池を使用しないことによる信頼性の向上が期待できる。断熱材等の種類や容器設計にもよるが、一般に電池は85℃を超えると機能しない。そのため、元々制御用マイコン80について電池からの電源供給は行われていない。本実施形態では、電池を使用していないので容器内温度が130℃以下であれば耐えることができ、オートクレーブ実施の有無をラッチングリレー60に保持することができる。
【0089】
また、コンデンサに蓄えられた電荷を利用する為、電源供給することなく、少ない消費電力でオートクレーブ処理が施されたことを保持(記録)することができる。
【0090】
また、オートクレーブの陰圧状態は、滅菌開始前の温度が低いときに発生するため、イオンマイグレーションや回路劣化等を未然に防ぐことができる。
【0091】
なお、オートクレーブ実施記録装置を構成するラッチングリレーは、本実施形態で説明した形態のものに限定されない。また、ラッチングリレーの名称は一例であり、双安定リレー、キープリレー等と呼称される。
【0092】
<第2実施形態>
次に、電子内視鏡の第2実施形態について説明する。
【0093】
図5は、第2実施形態の電子内視鏡が備える光源差込部の部分縦断面、図6は、第2実施形態の電子内視鏡が備える光源差込部の内部に設置されたオートクレーブ実施記録装置を示す図である。なお、図5および図6中において、図3および図4と同一の構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0094】
以下、この第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0095】
第2実施形態の内視鏡10は、スイッチ40を異なる構成とし、コンデンサ70の配置を省略した以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0096】
より具体的には、前記第1実施形態では、スイッチ40のONにより、コンデンサ70に蓄電された電気を利用してラッチングリレー60に電源供給する構成としていたが、本実施形態では、スイッチ40が有するコイル120と磁芯110との間で生じる誘導起電力により、ラッチングリレー60に電源供給する構成となっている。
【0097】
本実施形態において、内視鏡10の光源差込部15Aは、図5に示すように、可動部24を有し、この可動部24に、内視鏡10内部が陰圧となった際に内方に移動する部材100が螺合されている。また、部材100内部には、その長手方向に沿って磁芯110が埋設されている。さらに、部材100の外周には、所定の空隙を保って磁芯110の移動による誘導起電力を受けるコイル120が設置されている。換言すれば、磁芯110は可動部24に設置され、コイル120は光源差込部15A側(内視鏡の本体部)に設置されている。
【0098】
そして、コイル120の一端は、リード線33を介してケーブル34に接続され、その他端は、部材100に接続され、ケーブル34および部材100は、それぞれ、ラッチングリレー60に接続される。
【0099】
かかる構成のスイッチ40を備える光源差込部15Aにおいて、その内部(内視鏡10内部)が陰圧となると、可動部24が圧縮コイルスプリング25の付勢力に抗して内方に引き込まれ、部材100内部に埋設された磁芯110がコイル120中を移動することで誘導起電力が発生する。
【0100】
本実施形態では、可動部24と、磁芯110と、コイル120と圧縮コイルスプリング25とにより、陰圧になったことの陰圧情報を検出し得る検出手段として機能するスイッチ40が構成される。また、オートクレーブ実施記録装置150は、図6に示すように、上述したようなスイッチ40と、前記第1実施形態で説明したのと同様の構成のラッチングリレー60とを備えている。
【0101】
そのため、前記オートクレーブ処理工程[2]において、部材100内部に埋設された磁芯110がコイル120中を移動することによる誘導起電力により、ラッチングリレー60に電流が流れ、前記第1実施形態と同様に、ラッチングリレー60を動作状態とすることができる。
【0102】
このように、本実施形態によっても、ラッチングリレー60を動作状態とすることができることから、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0103】
また、本実施形態では、誘導起電力を発生させてラッチングリレー60の動作状態を変えるので、経年変化によるコンデンサの劣化がなくより一層信頼性の向上が期待できる。
【0104】
なお、本実施形態では、磁芯110が可動部24に、コイル120が光源差込部15A側に設置されている場合について説明したが、このような場合に限定されず、磁芯110が光源差込部15A側に、コイル120が可動部24に設置されていてもよい。
【0105】
以上、本発明の内視鏡および内視鏡管理システムを図示の各実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部材(各部)の構成は、同様の機能を有する任意のものに置換すること、もしくは、任意の構成を付加することもできる。
【0106】
また、本発明の内視鏡は、電子内視鏡(電子スコープ)の適用に限定されず、光学内視鏡(ファイバースコープタイプの内視鏡)に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】電子内視鏡の第1実施形態を示す全体図である。
【図2】図1に示す電子内視鏡が備える光源差込部を示す拡大図である。
【図3】図2に示す光源差込部の部分縦断面である。
【図4】図2に示す光源差込部の内部に設置されたオートクレーブ実施記録装置を示す図である。
【図5】第2実施形態の電子内視鏡が備える光源差込部の部分縦断面である。
【図6】第2実施形態の電子内視鏡が備える光源差込部の内部に設置されたオートクレーブ実施記録装置を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
10 電子内視鏡
11 挿入部可撓管
12 湾曲部
13 操作部
14 接続部可撓管
15、15A 光源差込部
16、17 操作ノブ
18 光源用コネクタ
19 画像信号用コネクタ
20 逆止弁
21 外壁
22 取り付け座
23 Oリング
24 可動部
25 圧縮コイルスプリング
26 第1の接点スイッチ電極
27、29 基部
28 第2の接点スイッチ電極
30、100 部材
31 蓋部
32 導電リング電極
33 リード線
34 ケーブル
40 スイッチ
50、150 オートクレーブ実施記録装置
60 ラッチングリレー
70 コンデンサ
80 制御用マイコン
90 内視鏡内部電源
110 磁芯
120 コイル
200 外部装置
210 モニタ装置
220 ケーブル
D1 逆流防止ダイオード
D2 逆起電力保護用ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の内部と外部とが必要時に連通する連通部を有し、オートクレーブ処理を施すに際し、前記内視鏡自体が陰圧の環境下におかれ、それにより、前記連通部を介して前記内部が陰圧となる内視鏡であって、
前記内部が陰圧となったことの陰圧情報を検出し得る検出手段と、該検出手段により検出された前記陰圧情報を保持し得る保持手段とを有し、
前記検出手段と前記保持手段とは、前記外部から電源供給を受けることなく作動し、前記検出手段が検出した前記陰圧情報を前記保持手段により保持するよう構成したことを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
電気を蓄電する蓄電部を有し、
前記検出手段は、前記内部と前記外部との圧力差により、前記内部に引き込まれる可動部を有し、
該可動部の移動に伴い、前記蓄電部と前記保持手段とが電気的に接続されることにより、前記保持手段に、前記蓄電部に蓄電された電気により電源供給されて、前記陰圧情報が保持される請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記検出手段は、前記可動部と、前記可動部に設置された第1の端子と、前記内視鏡の本体部に設置された第2の端子と、前記可動部を前記外部側に付勢する付勢手段とを有し、
前記可動部の移動に伴い、前記第1の端子と前記第2の端子とが接触することにより導通して、前記蓄電部に蓄電された電気により前記保持手段に電源供給される請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記検出手段は、前記内部と前記外部との圧力差により、前記内部に引き込まれる可動部を有し、
当該可動部の移動に伴い生じる誘導起電力により、前記保持手段に電源供給されて前記陰圧情報が保持される請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記検出手段は、前記可動部と、該可動部または前記内視鏡の本体部の一方に設置された磁芯と、他方に設置されたコイルと、前記可動部を前記外部側に付勢する付勢手段とを有し、
前記可動部の移動に伴い、前記コイルと前記磁芯との間に生じる誘導起電力により前記保持手段に電源供給される請求項4に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記保持手段は、当該保持手段に電源供給されたことを保持する継電器である請求項2ないし5のいずれかに記載の内視鏡。
【請求項7】
メモリ機能を備える制御手段を有し、
前記制御手段は、前記保持手段により保持された前記陰圧情報を、前記メモリに記録する請求項1ないし6のいずれかに記載の内視鏡。
【請求項8】
前記制御手段は、前記保持手段が保持する前記陰圧情報を前記メモリに記録した後、前記保持手段をリセットする請求項7に記載の内視鏡。
【請求項9】
請求項7または8に記載の内視鏡と、当該内視鏡が接続される外部装置とを有する内視鏡管理システムであって、
前記外部装置は、前記メモリが記録する前記陰圧情報の保持回数を通知する通知手段を備えることを特徴とする内視鏡管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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