内視鏡操作部の連結機構
【課題】把持部から本体部全体を取り外すことなく、操作ワイヤ同士を容易且つ短時間に連結でき、且つ操作ワイヤの張力を容易且つ短時間に調整できる内視鏡操作部の連結機構を提供すること。
【解決手段】連結機構121は、挿入部側と操作部側とを連結する筒部101の内部101eにて、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結する。連結機構121は、筒部101の外周面101cに形成され、外部に向かって開口している開口部101bと、開口部101bを含む筒部を覆う折止部と、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との少なくとも一方の張力を調整しつつ連結する連結本体部121と、連結本体部121が連結本体部121の長手軸方向に摺動するようにガイドし、且つ折止部が筒部から取り外された際に連結本体部121が開口部101bから露出するように連結本体部121を保持するガイド部151とを具備する。
【解決手段】連結機構121は、挿入部側と操作部側とを連結する筒部101の内部101eにて、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結する。連結機構121は、筒部101の外周面101cに形成され、外部に向かって開口している開口部101bと、開口部101bを含む筒部を覆う折止部と、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との少なくとも一方の張力を調整しつつ連結する連結本体部121と、連結本体部121が連結本体部121の長手軸方向に摺動するようにガイドし、且つ折止部が筒部から取り外された際に連結本体部121が開口部101bから露出するように連結本体部121を保持するガイド部151とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に配設され、操作部側の操作ワイヤと挿入部側の操作ワイヤとを連結し、操作ワイヤの張力を調整する内視鏡操作部の連結機構に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の操作部は、操作ワイヤを牽引することで湾曲部を操作している。この操作部には、操作部側の操作ワイヤと挿入部側の操作ワイヤとを連結し、操作ワイヤの張力を調整する連結機構が配設されている。このような内視鏡操作部の連結機構は、例えば特許文献1,2,3に開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、操作ワイヤの遊びの除去・調整を行えるワイヤ調整機構が開示されている。特許文献1において、操作ワイヤは螺旋管を挿通している。螺旋管の基端部には、螺旋管の基端部の位置を調整する操作部ノブとラックとピニオンとが配設されている。このような基端部と操作ノブとラックとピニオンとは、スリーブに覆われている。操作部ノブが操作されると、螺旋管の基端部の位置は、ラックとピニオンとによって、調整される。これにより操作ワイヤの張力が調整される。
【0004】
また例えば特許文献2には、ワイヤの接続部分の弛みを確実に防止可能なワイヤの接続構造及び内視鏡の湾曲操作ワイヤの接続構造が開示されている。特許文献2において、操作ワイヤ端部は、中空のブロックにねじ込まれている。
【0005】
また例えば特許文献3には、操作部側のワイヤと挿入部側のワイヤとの連結部がコンパクトで、かつワイヤのテンション調整が容易な、操作感の良い内視鏡が開示されている。特許文献3において、操作ワイヤ端部は、連続した溝にはめ込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−303120号公報
【特許文献2】特開2003−290138号公報
【特許文献3】特開2001−37706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1において、操作ノブとラックとピニオンとがスリーブ(操作部の本体部)内に配設されるため、スリーブが大型化してしまう。またピニオンの回転を止める回転止め機構が別途必要となるため、スリーブが大型化してしまう。
【0008】
また特許文献2に示す方式や特許文献3に示す方式は、操作ワイヤの張力を調整するために、操作ワイヤの端部の間の距離を調整する作業領域を必要としている。そのため把持部の内部に広い空間を確保する必要があり、結果的に把持部が大型化してしまう。また距離を調整するために、操作部の本体部を把持部に対して着脱可能にする必要があり、着脱作業と、空間における水密確保作業とが必要となり、手間と時間がかかる。
【0009】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、把持部から本体部全体を取り外すことなく、操作ワイヤ同士を容易且つ短時間に連結でき、且つ操作ワイヤの張力を容易且つ短時間に調整できる内視鏡操作部の連結機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は目的を達成するために、内視鏡の挿入部側と前記内視鏡の操作部側とを連結する連結部の内部にて、前記挿入部側の挿入部側操作ワイヤと、前記操作部側の操作部側操作ワイヤとを連結する内視鏡操作部の連結機構であって、前記連結部の外周面に形成され、外部に向かって開口している開口部と、前記連結部に対して着脱自在であり、前記連結部に配設された際に、前記開口部を含む前記連結部を覆う被覆部と、前記連結部の内部に配設され、前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとの少なくとも一方の張力を調整しつつ前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとを連結する連結本体部と、前記連結部の内部に配設され、前記連結本体部が前記連結本体部の長手軸方向に摺動するように前記連結本体部をガイドし、且つ前記被覆部が前記連結部から取り外された際に前記連結本体部が前記開口部から露出するように前記連結本体部を保持するガイド部と、を具備することを特徴とする内視鏡操作部の連結機構を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、把持部から本体部全体を取り外すことなく、操作ワイヤ同士を容易且つ短時間に連結でき、且つ操作ワイヤの張力を容易且つ短時間に調整できる内視鏡操作部の連結機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る内視鏡の概略図である。
【図2A】図2Aは、連結機構が開口部から露出している筒部の斜視図である。
【図2B】図2Bは、開口部の変形例である。
【図3A】図3Aは、第1の実施形態における連結本体部の斜視図である。
【図3B】図3Bは、連結本体部の分解斜視図である。
【図3C】図3Cは、摺動溝部の正面図である。
【図3D】図3Dは、摺動溝部に配設された連結本体部の正面図である。
【図4A】図4Aは、挿入部側保持部と操作部側保持部との相対距離を調整する方法を説明する図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの正面図である。
【図5A】図5Aは、変形例における連結本体部の斜視図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示す連結本体部の分解斜視図である。
【図6A】図6Aは、第2の実施形態において、連結本体部が摺動溝部の第1の位置に配設されている状態を示す図である。
【図6B】図6Bは、第2の実施形態において、連結本体部が摺動溝部の第2の位置に配設されている状態を示す図である。
【図7A】図7Aは、第3の実施形態における連結本体部の斜視図である。
【図7B】図7Bは、連結本体部の分解斜視図である。
【図7C】図7Cは、挿入部側保持部と操作部側保持部との相対距離を調整する方法を説明する図である。
【図7D】図7Dは、図7Cの正面図である。
【図8A】図8Aは、第4の実施形態における調整部の斜視図である。
【図8B】図8Bは、挿入部側操作ワイヤの張力を調整する方法を説明する図である。
【図8C】図8Cは、挿入部側操作ワイヤの張力を調整する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bと図3Aと図3Bと図3Cと図3Dと図4Aと図4Bとを参照して第1の実施形態について説明する。
図1に示すように内視鏡1には、患者の体腔内等に挿入される細長い挿入部10と、挿入部10の基端部と連結し、内視鏡1を操作する操作部60とが配設されている。
【0014】
挿入部10は、挿入部10の先端部側から基端部側に向かって、先端硬質部21と、湾曲部23と、可撓管部25とを有している。先端硬質部21の基端部は湾曲部23の先端部と連結し、湾曲部23の基端部は可撓管部25の先端部と連結している。
【0015】
先端硬質部21は、挿入部10の先端部であり、硬い。
湾曲部23は、後述する湾曲操作部67の操作によって、例えば上下左右といった所望の方向に湾曲する。湾曲部23が湾曲することにより、先端硬質部21の位置と向きとが変わり、観察対象物が観察視野内に捉えられ、照明光が観察対象物に照明される。
可撓管部25は、所望な可撓性を有しており、外力によって曲がる。可撓管部25は、操作部60における後述する本体部61から延出されている管状部材である。
【0016】
なお可撓管部25の内部と、湾曲部23の内部とには、挿入部側操作ワイヤ51が挿通している。挿入部側操作ワイヤ51の先端部は先端硬質部21と接続しており、挿入部側操作ワイヤ51は後述する湾曲操作部67の操作によって、湾曲部23を湾曲させる。挿入部側操作ワイヤ51については、後述する。
【0017】
操作部60は、可撓管部25が延出している本体部61と、本体部61の基端部と連結し、内視鏡1を操作する操作者によって把持される把持部63と、把持部63と接続しているユニバーサルコード65とを有している。
【0018】
把持部63には、湾曲部23を湾曲操作する湾曲操作部67が配設されている。湾曲操作部67は、湾曲部23を左右に湾曲操作させる左右湾曲操作ノブ67aと、湾曲部23を上下に湾曲操作させる上下湾曲操作ノブ67bと、湾曲した湾曲部23の位置を固定する固定ノブ67cとを有している。
【0019】
また、把持部63には、吸引スイッチ69aと、送気・送水スイッチ69bとを有するスイッチ部69が配設されている。スイッチ部69は、把持部63が操作者に把持された際に、操作者の手によって操作される。吸引スイッチ69aは、先端硬質部21に配設される図示しない吸引開口部から図示しない吸引チャンネルを介して、粘液や流体等を内視鏡1が吸引するときに操作される。送気・送水スイッチ69bは、先端硬質部21において図示しない撮像ユニットの観察視野を確保するために図示しない送気・送水チャンネルから流体を送気・送水するときに操作される。流体は、水や気体を含む。
【0020】
また、把持部63には、内視鏡撮影用の各種ボタン71が配設されている。
【0021】
また把持部63には、湾曲操作部67と連結し、湾曲操作部67の操作力を挿入部側操作ワイヤ51に伝達する操作部側操作ワイヤ53が配設されている。操作部側操作ワイヤ53は、把持部63を挿通し、後述する連結機構121によって挿入部側操作ワイヤ51と連結している。操作部側操作ワイヤ53については、後述する。
【0022】
ユニバーサルコード65は、図示しないビデオプロセッサや光源装置に接続する接続部65aを有している。
【0023】
次に図1と図2Aとを参照して、本体部61について説明する。
本体部61は、把持部63の先端部に嵌め込まれることで把持部63と着脱自在に連結する円筒形状の筒部101と、筒部101が着脱自在に嵌め込まれ、筒部101を覆う被覆部(カバー)である折止部105とを有している。
【0024】
図2Aに示すように、筒部101の外周面101cには、外部に向かって開口している開口部101bが配設されている。この開口部101bには、開口部101bを開閉する図示しない蓋が着脱自在に配設されている。蓋が開口部101bを閉じることで、筒部101は水密を確保される。蓋は、例えば開口部101bに対してスライドすることで、開口部101bを開閉する。なお蓋は、扉のように開閉することで、開口部101bを開閉してもよい。
【0025】
このような筒部101は、アトヅヅである。また筒部101の外周面101cの基端部には、図示しないねじ溝が配設されている。このねじ溝は、筒部101が把持部63の先端部に嵌め込まれた際に、把持部63の先端部の内周面に形成されているねじ溝と係合する。筒部101の外周面101cの先端部には、図示しないねじ溝が配設されている。
【0026】
筒部101の内部101eには、後述する連結機構121が配設されている。なお連結機構121は、筒部101に配設されている図示しない基板に配設されていてもよい。
【0027】
折止部105は、筒部101に対して着脱自在であり、筒部101に配設された際に、開口部101bを含む筒部101を覆う。折止部105は、弾性力を有している。
【0028】
折止部105の内周面の基端部には、図示しないねじ溝が配設されている。筒部101が折止部105に嵌め込まれた際、折止部105のこのねじ溝と筒部101の外周面101cの先端部におけるねじ溝とが係合することで、折止部105が筒部101を覆うように、折止部105は筒部101に係合される。
【0029】
折止部105の内周面には、折止部105と筒部101との水密を確保する図示しない水密部材が密着して配設されている。水密部材は、例えばOリングである。上述したように筒部101が折止部105に嵌め込まれた際、水密リングは、筒部101の外周面101cに密着することで、折止部105と筒部101との水密を確保する。
【0030】
なお上述した蓋が配設されていない場合、図2Bに示すように筒部101が折止部105に嵌め込まれることで、折止部105は開口部101bを開閉する蓋となる。このように折止部105は、蓋を兼ねていてもよい。
【0031】
このような折止部105には、可撓管部25が延出している。折止部105と可撓管部25とには、水密が確保されている。
【0032】
上述したように、筒部101は把持部63に嵌め込まれ、筒部101には可撓管部25が延出している折止部105が嵌め込まれる。このように筒部101は、内視鏡1の挿入部10側と内視鏡1の操作部60側とを連結する連結部となっている。また本体部61と筒部101と折止部105とは、内視鏡操作部(内視鏡1の操作部60)の連結機構121に含まれる。
【0033】
次に図2Aと図3Aと図3Bと図3Cと図3Dと図4Aと図4Bとを参照して、内視鏡操作部の連結機構121について説明する。
連結機構121は、連結部である筒部101の内部101eにて、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結し、連結する際に、挿入部側操作ワイヤ51の張力と操作部側操作ワイヤ53の張力との少なくとも一方を調整する。本実施形態では、連結機構121は、挿入部側操作ワイヤ51の張力を調整するために、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との距離を調整するように挿入部側操作ワイヤ51を弛張(牽引または弛緩)する。連結機構121は、蓋が開いた際に、図2Aに示すように、開口部101bから露出するように筒部101の内部101eに配設されている。
【0034】
連結機構121は、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との少なくとも一方の張力を調整しつつ挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結する図3Aに示すような連結本体部131と、連結本体部131が連結本体部131の長手軸方向に摺動するように連結本体部131をガイドし、且つ折止部105が筒部101から取り外された際に連結本体部131が開口部101bから露出するように連結本体部131を保持する図4Aに示すようなガイド部151とを有している。
【0035】
次に図3Aと図3Bとを参照して、連結本体部131について説明する。
連結本体部131は、例えば湾曲部を上方向に湾曲させる操作部側操作ワイヤ53と、この操作部側操作ワイヤ53に対応する挿入部側操作ワイヤ51とを連結する。この点は、下方向と、右方向と、左方向とについても同様である。そのためこのような連結本体部131が例えば4個配設されている。このような連結本体部131は、筒部101の内部101eに配設されている。
【0036】
連結本体部131は、挿入部側操作ワイヤ51を保持する挿入部側保持部135と、操作部側操作ワイヤ53を保持する操作部側保持部137と、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とが配設され、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とが配設された状態で挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離を調整し、挿入部側操作ワイヤと操作部側操作ワイヤとの少なくとも一方の張力を調整する調整部141とを有している。
【0037】
挿入部側保持部135は、挿入部側操作ワイヤ51を保持する保持本体部135aと、挿入部側保持部135が調整部141に配設されるために、調整部141と係合する係合部135eとを有している。
【0038】
保持本体部135aは、挿入部側操作ワイヤ51が嵌合する円筒形状の嵌合孔135bを有している。嵌合孔135bは、挿入部側操作ワイヤ51の長手軸方向に沿って配設されている。保持本体部135aと係合部135eとは、一体である。
【0039】
係合部135eは、調整部141の先端部141b側が調整部141の周方向に摺動可能となるように係合する係合孔135fを有している。係合孔135fは、調整部141の長手軸方向に沿って配設されている。係合孔135fは、調整部141の先端部141b側と略同様の大きさを有している。係合孔135fはU字形状を有しており、U字形状の係合孔135fは一部に対して開口している開口部135gを有している。調整部141の先端部141b側は、開口部135g側から係合孔135fに嵌ることで、係合部135eと係合する。
【0040】
操作部側保持部137は、挿入部側保持部135と略同様の構成を有している。操作部側保持部137の保持本体部を保持本体部137a、嵌合孔を嵌合孔137b、係合部を係合部137e、係合孔を係合孔137fと称する。係合孔137fは、調整部141が挿通可能な長さを有している。
【0041】
なお係合孔137fは円筒形状を有しており、係合孔137fには相対距離の調整のために調整部141の基端部141a側がねじ込まれる。そのため係合孔137fの内周面137hには、ねじ溝部137iが配設されている。
【0042】
挿入部側保持部135の構成と操作部側保持部137の構成とは、逆であっても良い。そのため挿入部側保持部135と操作部側保持部137との一方は、相対距離の調整のために調整部141がねじ込まれる係合孔137fを有している。
【0043】
次に嵌合孔135b,137bと係合孔135f,137fと挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とについて説明する。
挿入部側保持部135と操作部側保持部137とが調整部141に配設された際、係合部135eと係合部137e(係合孔135fと係合孔137f)とは同一直線上、詳細には調整部141の長手軸線上に配設される。
【0044】
同時に嵌合孔135bと嵌合孔137bとは、同一直線上に配設されることとなる。そのため挿入部側操作ワイヤ51が嵌合孔135bに嵌合し、操作部側操作ワイヤ53が嵌合孔137bに嵌合すると、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とは、同一直線上に配設されることとなる。
このとき、嵌合孔135b,137bは、係合部135e,137eに対して挿入部側操作ワイヤ51(操作部側操作ワイヤ53)の長手軸方向に直交する方向にずれて配設されている。そのため嵌合孔135bと嵌合孔137bとは、調整部141の長手軸線上とは下方にずれた状態で、同一直線上に配設される。
【0045】
よって挿入部側保持部135によって保持されている挿入部側操作ワイヤ51と、操作部側保持部137によって保持されている操作部側操作ワイヤ53とは、同一直線上に配設され、且つ調整部141の長手軸とは異なる軸線上に配設される。詳細には、挿入部側保持部135によって保持されている挿入部側操作ワイヤ51と、操作部側保持部137によって保持されている操作部側操作ワイヤ53とは、調整部141の長手軸よりも後述する摺動溝部153の底面153b側に配設される。
【0046】
このように嵌合孔135bと係合孔135fとは、挿入部側操作ワイヤ51と調整部141の長手軸とが同一直線上に配設されないように、挿入部側操作ワイヤ51の長手軸方向(調整部141の長手軸方向)に対して同一直線上に配設されていない。嵌合孔135bは、係合孔135fよりも摺動溝部153の底面153b側に配設される。言い換えると、挿入部側保持部135は、係合孔135fと、係合孔135fよりも摺動溝部153の底面153b側に配設される嵌合孔135bとを有している。この点は、嵌合孔137bと係合孔137fとについても同様である。
【0047】
また挿入部側操作ワイヤ51が嵌合孔135bに嵌合し、操作部側操作ワイヤ53が嵌合孔137bに嵌合した状態において、保持本体部135aは、挿入部側操作ワイヤ51の基端部51bが挿入部側操作ワイヤ51の長手軸方向において調整部141の先端部141b側から基端部141a側に向かって嵌合孔135bを貫通しないように、嵌合孔135bにて挿入部側操作ワイヤ51を保持している。また保持本体部137aは、操作部側操作ワイヤ53の先端部53aが操作部側操作ワイヤ53の長手軸方向において調整部141の基端部141a側から先端部141b側に向かって嵌合孔137bを貫通しないように、嵌合孔137bにて操作部側操作ワイヤ53を保持している。これにより、挿入部側操作ワイヤ51を保持する挿入部側保持部135と、操作部側操作ワイヤ53操作部側保持部137とが調整部141に配設された際、挿入部側操作ワイヤ51の基端部51bと操作部側操作ワイヤ53の先端部53aとが当接しない状態で、連結本体部131は挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結する。
【0048】
なお挿入部側操作ワイヤ51は、保持本体部135aに半田によって接着されていても良い。この点は、操作部側操作ワイヤ53についても同様である。
また挿入部側操作ワイヤ51は、挿入部側操作ワイヤ51と、係合孔135f(調整部141)の長手軸とが同一直線上に配設されていなければ、係合孔135fに半田によって接着されていても良い。この点は、操作部側操作ワイヤ53についても同様である。
【0049】
次に図3Aと図3Bとを参照して、調整部141について説明する。
調整部141は、溝部143と、防止部145と、ねじ溝部147とを有している。このような調整部141は、例えば調整ねじであり、片ねじである。
【0050】
溝部143は、調整部141の先端部141bに配設されており、例えばドライバーなどの図示しない回転部材によって調整部141を回転させるために回転部材が嵌り込む。溝部143は、調整部141の回転を操作し、相対距離を調整し、挿入部側操作ワイヤ51の張力を調整する操作調整部でもある。
【0051】
防止部145は、調整部141の先端部141b(溝部143)と調整部141の基端部141aとの間に配設されている。防止部145と溝部143とは、係合部135eよりも太い。防止部145と溝部143との間の調整部141(調整部141の先端部141b側)には、係合部135eが係合する。このとき防止部145は、先端部141b側に係合された係合部135eを溝部143とともに調整部141の軸方向において挟み込み、溝部143と共に、挿入部側保持部135が調整部141の軸方向において摺動することを防止し、挿入部側保持部135を位置決めする。防止部145は、例えば八角形状を有している。
【0052】
ねじ溝部147は、調整部141の軸方向における防止部145と調整部141の基端部141aとの間における調整部141の外周面141cに形成されている。ねじ溝部147は、係合孔137fにねじ込まれ、内周面137hのねじ溝部137iと噛み合う。
【0053】
調整部141は、係合孔137fにねじ込まれることで係合孔137fを貫通可能である。また調整部141は、係合孔137fにねじ込まれることで、挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離を調整する。なお本実施形態では、後述するように操作部側保持部137が固定されるため、調整部141が係合孔137fにねじ込まれることで、挿入部側保持部135が操作部側保持部137に対して近づくまたは離れる。これにより本実施形態では、連結機構121は、挿入部側操作ワイヤ51を弛張し、挿入部側操作ワイヤ51の張力を調整する。
【0054】
次に図3Cを参照して、ガイド部151について説明する。
ガイド部151は、円筒形状の筒部101に対応する形状、例えば円弧形状を有している。ガイド部151は、筒部101の内部101eに配設されるように、筒部101に固定されている。
【0055】
ガイド部151は、連結本体部131が嵌り込み、連結本体部131が連結本体部131の長手軸方向に摺動し、長手軸方向に直交する連結本体部131の短手軸方向において連結本体部131を位置決めする摺動溝部153を有している。摺動溝部153は、連結本体部131と同数、つまり4個配設されている。1つの摺動溝部153には、1つの連結本体部131が配設される。摺動溝部153の開口部153aは、開口部101b側に面している。摺動溝部153の開口部153a側は、連結本体部131が摺動溝部153に嵌り易いように開口部153a側から摺動溝部153の底面153b(ガイド部151の中心部)に向かって縮径しているテーパ形状を有している。
【0056】
摺動溝部153は、略凹形状を有している。詳細には、摺動溝部153は、連結本体部131の外形と略同様の形状を有している。そのため連結本体部131が摺動溝部153に配設されると、摺動溝部153は挿入部側保持部135と操作部側保持部137とに当接する。このとき挿入部側保持部135と操作部側保持部137とは、摺動溝部153に当接(係合)することで、連結本体部131が連結本体部131の長手軸方向の周方向に回転しないように、摺動溝部153における連結本体部131の回転を防止する回転防止部として機能する。
【0057】
次に本実施形態の挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との連結方法について説明する。
図3Bに示すように、挿入部側操作ワイヤ51は嵌合孔135bに嵌合し、操作部側操作ワイヤ53は嵌合孔137bに嵌合する。操作部側保持部137は、摺動溝部153に配設される。
【0058】
図3Aに示すように、係合部135eは防止部145と溝部143との間の調整部141の先端部141b側と係合する。これにより挿入部側保持部135は、調整部141に配設される。この状態の調整部141は、摺動溝部153に配設され、さらに係合孔137fにねじ込まれる。これにより連結機構121(連結本体部131)は、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結する。
【0059】
次に図4Aと図4Bとを参照して、本実施形態の挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離を調整する方法について説明する。この方法は、本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51を弛張する方法でもある。
折止部105は、筒部101から取り外される。蓋が開き、開口部101bが開く。このとき、連結機構121は、図2Aに示すように開口部101bから露出する。
【0060】
例えばドライバーなどの回転部材は、開口部101bを通じて溝部143に嵌りこむ。そして溝部143のみが摺動溝部153から露出するように、詳細には、溝部143側が基端部141aよりも開口部101b側に近づく、または溝部143側が開口部101bから内視鏡1の外部に突出するように、図4Aと図4Bとに示すように、連結本体部131は回転部材によって摺動溝部153から連結本体部131の長手軸に対する斜め方向に取り出される。このとき連結本体部131は、例えば45度傾いた状態となっている。また挿入部側保持部135の摺動溝部153側と、操作部側保持部137とは、摺動溝部153に当接している。
【0061】
この状態で溝部143に嵌り込んでいる回転部材が溝部143を介して調整部141を回転することで、例えば調整部141は、係合孔137fにねじ込まれる。これにより調整部141は、例えば操作部側保持部137に向かって移動する。このとき挿入部側保持部135は、溝部143と防止部145とに挟み込まれているために、調整部141と共に操作部側保持部137に向かって移動する。これにより、挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離が調整される。そして挿入部側操作ワイヤ51が引っ張られ、挿入部側操作ワイヤ51の張力が調整される。
【0062】
なお調整部141が回転する際、図4Aと図4Bとに示すように、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とは摺動溝部153に当接しているため、挿入部側保持部135と操作部側保持部137と挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とは調整部141の回転に伴うとも回りを防止されている。
【0063】
この後、回転部材によって、連結本体部131(溝部143側)は、テーパ形状の開口部153aに沿って摺動溝部153に配設される。このとき、摺動溝部153は、短手軸方向において連結本体部131を位置決めする。また挿入部側保持部135と操作部側保持部137と防止部145とは、摺動溝部153に当接(係合)し、連結本体部131が連結本体部131の長手軸方向の周方向に回転しないように、摺動溝部153における連結本体部131の回転を防止する。
【0064】
そして蓋が閉じられ、折止部105は筒部101を覆うように筒部101に配設される。
【0065】
このように本実施形態では、連結本体部131によって、把持部63から本体部61全体を取り外すことなく挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを容易に連結することができる。また本実施形態では、開口部101bと調整部141とによって、把持部63から本体部61全体を取り外すことなく挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離を調整することができ、開口部101bを介して挿入部側操作ワイヤ51の張力を容易に調整することができる。
【0066】
また本実施形態では、開口部101bを介して連結本体部131を傾けることで、開口部101b側、または溝部143を開口部101bから突出させた状態で、張力を調整できる。そのため、本実施形態では、把持部63と本体部61との内部にて調整のための作業スペースを確保する必要は無く、把持部63と本体部61とを大型化する必要はなく、把持部63と本体部61とを小型にすることができる。
【0067】
また本実施形態では、調整部141を係合孔137fにねじ込むことで、容易且つ短時間に、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結でき、挿入部側操作ワイヤ51の張力を調整することができる。また本実施形態では、調整部141を係合孔137fにねじ込むことで、連結機構121を小型にすることができる。
【0068】
また本実施形態では、連結本体部131が開口部101bから露出するようにガイド部151が連結本体部131を保持し、このガイド部151を筒部101の内部101eに配設することで、開口部101bを介して挿入部側操作ワイヤ51の張力を容易に調整することができる。
【0069】
また本実施形態では、上記のように張力を調整するために、把持部63の着脱作業と、水密確保作業とを不要にでき、連結の張力の調整のための手間と作業時間を抑えることができる。
【0070】
また本実施形態では、湾曲操作が行われた際に、連結本体部131が摺動溝部153を長手軸方向に摺動することで、操作性を向上させることができる。また本実施形態では、摺動溝部153が短手軸方向において連結本体部131を位置決めすることで、短手軸方向における連結本体部131の位置ずれを防止でき、湾曲操作の操作性を向上させることができる。
【0071】
また本実施形態では、開口部153a側をテーパ形状にすることで、張力を調整した後の連結部材をスムーズに摺動溝部153に配設することができる。
【0072】
また本実施形態では、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とが摺動溝部153に係合することで、連結本体部131が摺動溝部153に配設され、湾曲操作の際に、摺動溝部153における連結本体部131の回転を防止できる。
【0073】
また本実施形態では、張力を調整するために調整部141が回転する際に、挿入部側保持部135の摺動溝部153側と操作部側保持部137とが摺動溝部153に当接することで、挿入部側保持部135と操作部側保持部137と挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とは調整部141の回転に伴うとも回りを防止できる。これにより本実施形態では、張力をスムーズに調整することができる。
【0074】
また本実施形態では、挿入部側保持部135によって保持されている挿入部側操作ワイヤ51と、操作部側保持部137によって保持されている操作部側操作ワイヤ53とを、調整部141の長手軸よりも摺動溝部153の底面153b側に配設している。これにより本実施形態では、連結本体部131を傾けた際に、例えば挿入部側操作ワイヤ51が回転部材の邪魔になることを防止できる。また本実施形態では、連結本体部131の傾きに伴う挿入部側操作ワイヤ51の傾きを最小限にすることができ、張力をスムーズに調整することができる。
【0075】
なお本実施形態の係合孔137fは調整部141が挿通可能な長さを有しているが、これに限定される必要はない。例えば、図5Aと図5Bとに示すように、係合孔137fは調整部141が挿入可能な長さを有していてもよい。またこのとき、図5Aに示すように、操作部側保持部137は、操作部側保持部137の先端部137lに、保持本体部135aを有していても良い。この保持本体部135aは、嵌合孔135bを挿通した挿入部側操作ワイヤ51が挿通する挿通孔137kを有している。また挿入部側操作ワイヤ51は、基端部51bに挿通孔137kからの抜けを防止する防止部51dを有している。
【0076】
これにより挿入部側操作ワイヤ51は操作部側保持部137によっても保持されているために、調整部141をスムーズに係合孔137fに係合することができる。また防止部51dによって、調整部141が係合孔137fから抜かれる際に、挿入部側操作ワイヤ51が操作部側保持部137から外れることを防止することで、調整部141が係合孔137から外れることを防止できる。
【0077】
次に本発明に関わる第2の実施形態について図6Aと図6Bとを参照して説明する。
第1の実施形態では、連結本体部131は斜め方向に取り出されたが、これに限定する必要はない。本実施形態では、溝部143が摺動溝部153から突出する状態と摺動溝部153に配設される状態とのいずれかとなるように、連結本体部131は摺動溝部153において挿入部側操作ワイヤ51の長手軸方向を中心に回動可能である。
【0078】
詳細には、連結本体部131は、調整部141が挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との側方且つ摺動溝部153内に配設された状態で連結本体部131が摺動溝部153内を摺動可能な図6Aに示すような第1の位置と、調整部141(溝部143)が摺動溝部153から突出し且つ挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との上方に配設された状態で調整部141が相対距離を調整する図6Bに示すような第2の位置とを選択可能である。
【0079】
内視鏡1が使用される際、連結本体部131は図6Aに示すように摺動溝部153に横たわるように配設されている。このとき第1の実施形態と同様に、摺動溝部153は、連結本体部131の短手軸方向において連結本体部131を位置決めしている。また、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とは、摺動溝部153における連結本体部131の回転位置を規制している。
【0080】
また張力が調整される際、連結本体部131は、挿入部側操作ワイヤ51の長手軸方向を中心に90度回動し、図6Bに示すように調整部141(溝部143)が摺動溝部153から突出するように、起き上がる。
【0081】
これにより本実施形態では、連結本体部131が第2の位置に配設されることで、溝部143が摺動溝部153から突出し、第1の実施形態のように挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを傾かせることはなく、張力を調整できる。よって本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との経路長に影響されることなく、張力を調整できる。
【0082】
次に本発明に関わる第3の実施形態について図7Aと図7Bと図7Cと図7Dとを参照して説明する。
本実施形態の挿入部側保持部135は、操作部側保持部137と略同様の形状を有している。そのため係合孔135fは、係合孔137fと同様に調整部141が挿通可能な長さを有している。また本実施形態の係合孔135fは、円筒形状を有しており、係合孔137fには相対距離の調整のために調整部141の先端部141b側がねじ込まれる。そのため係合孔135fの内周面135hには、ねじ溝部135iが配設されている。
【0083】
本実施形態の調整部141は、操作調整部149と、ねじ溝部147とを有している。本実施形態の調整部141は、例えば両ねじである。
【0084】
操作調整部149は、調整部141の長手軸方向における略中間部に配設されている。本実施形態の操作調整部149は、調整部141の回転を操作し、相対距離を調整し、挿入部側操作ワイヤ51の張力と操作部側操作ワイヤ53の張力とを調整する。
【0085】
ねじ溝部147は、操作調整部149よりも先端部141b側と基端部147a側との外周面141cに配設されている。先端部141b側のねじ溝部147は、係合孔135fにねじ込まれ、内周面135hのねじ溝部135iと噛み合う。また基端部141a側のねじ溝部147は、係合孔137fにねじ込まれ、内周面137hのねじ溝部137iと噛み合う。
【0086】
次に本実施形態の挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離を調整する方法について説明する。この方法は、本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを弛張する方法でもある。
折止部105は、筒部101から取り外される。蓋が開き、開口部101bが開く。このとき、連結機構121は、開口部101bから露出する。
【0087】
操作調整部149が調整者によって保持され、図7Cに示すように連結本体部131全体が持ち上げられる。このとき少なくとも操作調整部149は、摺動溝部153から突出し、さらに開口部101b側に近づく、または開口部101bから内視鏡1の外部に突出する。この状態で操作調整部149が回転することで、調整部141は係合孔135f,137fにねじ込まれる。これにより、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とは互いに近づきまたは離れ、これらの相対距離は調整される。そして挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とが弛張され、挿入部側操作ワイヤ51の張力と操作部側操作ワイヤ53の張力とが調整される。
【0088】
このように本実施形態では、調整部141を両ねじとしても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51の張力と操作部側操作ワイヤ53の張力とを同時に調整することができる。
【0089】
次に本発明に関わる第4の実施形態について図8Aと図8Bと図8Cとを参照して説明する。
本実施形態の調整部141は、溝部143と防止部145とねじ溝部147とは別体の第1の部材161と第2の部材163とをさらに有している。第1の部材161と第2の部材163とは、例えば角柱形状を有しており、挿入部側操作ワイヤ51の軸方向に沿って例えば摺動溝部153に配設されている。第1の部材161と第2の部材163とは、同じ構成を有している。
【0090】
第1の部材161は、摺動溝部153の深さ方向において第2の部材163に載置されるように、例えばビスなどの図示しない連結部材によって第2の部材163と連結する。この第1の部材161と第2の部材163との間隔は、この連結部材によって、調整されている。
【0091】
第1の部材161は、挿入部側操作ワイヤ51の軸方向に沿って配設されている凸部161aを側面161bに有している。凸部161aの先端部161cは、半円形状を有しており、第2の部材163に対向する第1の円柱部材の端面161dよりも突出している。以下において、第2の部材163の凸部を凸部163aとする。
【0092】
図8Bに示すように、第1の部材161が第2の部材163と連結した際、凸部161aと凸部163aとは、挿入部側操作ワイヤ51の軸方向に沿って互い違いとなるように配設されている。つまり凸部161aは凸部163aに隣り合う。
【0093】
また第1の部材161が第2の部材163と連結した際、凸部161aと凸部163aとは、互い違いに配設されて挿入部側操作ワイヤ51を挟み込む。この時、第1の部材161と第2の部材163との間隔が調整されることで、凸部161aと凸部163aとは挿入部側操作ワイヤ51の軸方向において重なり合う。これにより挿入部側操作ワイヤ51は、凸部161aと凸部163aとの外形に沿って配設され、蛇行する。そして、挿入部側操作ワイヤ51の経路長が変化し、挿入部側操作ワイヤ51は引っ張られ、挿入部側操作ワイヤ51の張力が調整される。
【0094】
なお図8Cに示すように、第1の部材161と第2の部材163との間隔が狭いほど、挿入部側操作ワイヤ51は大きく蛇行し、挿入部側操作ワイヤ51の経路長はより増加し、挿入部側操作ワイヤ51はより強く引っ張られる。
【0095】
このように本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51を凸部161a,163aにて挟み込ませることで、挿入部側操作ワイヤ51の張力を容易に調整することができる。
【0096】
また本実施形態では、第1の部材161と第2の部材163との間隔を連結部材によって調整することで、挿入部側操作ワイヤ51の経路長を容易に調整でき、挿入部側操作ワイヤ51の張力を容易に調整できる。
【0097】
なお本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51について説明したが、操作部側操作ワイヤ53についても同様である。
【0098】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0099】
1…内視鏡、10…挿入部、21…先端硬質部、23…湾曲部、25…可撓管部、51…挿入部側操作ワイヤ、53…操作部側操作ワイヤ、101…筒部、101c…外周面、101b…開口部、101e…内部、105…折止部、121…連結機構、131…連結本体部、135…挿入部側保持部、135a…保持本体部、135b…嵌合孔、135e…係合部、135f…係合孔、135g…開口部、137…操作部側保持部、137a…保持本体部、137b…嵌合孔、137e…係合部、137f…係合孔、141…調整部、143…溝部、145…防止部、147…溝部、151…ガイド部、153…摺動溝部、153b…底面、153a…開口部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に配設され、操作部側の操作ワイヤと挿入部側の操作ワイヤとを連結し、操作ワイヤの張力を調整する内視鏡操作部の連結機構に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の操作部は、操作ワイヤを牽引することで湾曲部を操作している。この操作部には、操作部側の操作ワイヤと挿入部側の操作ワイヤとを連結し、操作ワイヤの張力を調整する連結機構が配設されている。このような内視鏡操作部の連結機構は、例えば特許文献1,2,3に開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、操作ワイヤの遊びの除去・調整を行えるワイヤ調整機構が開示されている。特許文献1において、操作ワイヤは螺旋管を挿通している。螺旋管の基端部には、螺旋管の基端部の位置を調整する操作部ノブとラックとピニオンとが配設されている。このような基端部と操作ノブとラックとピニオンとは、スリーブに覆われている。操作部ノブが操作されると、螺旋管の基端部の位置は、ラックとピニオンとによって、調整される。これにより操作ワイヤの張力が調整される。
【0004】
また例えば特許文献2には、ワイヤの接続部分の弛みを確実に防止可能なワイヤの接続構造及び内視鏡の湾曲操作ワイヤの接続構造が開示されている。特許文献2において、操作ワイヤ端部は、中空のブロックにねじ込まれている。
【0005】
また例えば特許文献3には、操作部側のワイヤと挿入部側のワイヤとの連結部がコンパクトで、かつワイヤのテンション調整が容易な、操作感の良い内視鏡が開示されている。特許文献3において、操作ワイヤ端部は、連続した溝にはめ込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−303120号公報
【特許文献2】特開2003−290138号公報
【特許文献3】特開2001−37706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1において、操作ノブとラックとピニオンとがスリーブ(操作部の本体部)内に配設されるため、スリーブが大型化してしまう。またピニオンの回転を止める回転止め機構が別途必要となるため、スリーブが大型化してしまう。
【0008】
また特許文献2に示す方式や特許文献3に示す方式は、操作ワイヤの張力を調整するために、操作ワイヤの端部の間の距離を調整する作業領域を必要としている。そのため把持部の内部に広い空間を確保する必要があり、結果的に把持部が大型化してしまう。また距離を調整するために、操作部の本体部を把持部に対して着脱可能にする必要があり、着脱作業と、空間における水密確保作業とが必要となり、手間と時間がかかる。
【0009】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、把持部から本体部全体を取り外すことなく、操作ワイヤ同士を容易且つ短時間に連結でき、且つ操作ワイヤの張力を容易且つ短時間に調整できる内視鏡操作部の連結機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は目的を達成するために、内視鏡の挿入部側と前記内視鏡の操作部側とを連結する連結部の内部にて、前記挿入部側の挿入部側操作ワイヤと、前記操作部側の操作部側操作ワイヤとを連結する内視鏡操作部の連結機構であって、前記連結部の外周面に形成され、外部に向かって開口している開口部と、前記連結部に対して着脱自在であり、前記連結部に配設された際に、前記開口部を含む前記連結部を覆う被覆部と、前記連結部の内部に配設され、前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとの少なくとも一方の張力を調整しつつ前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとを連結する連結本体部と、前記連結部の内部に配設され、前記連結本体部が前記連結本体部の長手軸方向に摺動するように前記連結本体部をガイドし、且つ前記被覆部が前記連結部から取り外された際に前記連結本体部が前記開口部から露出するように前記連結本体部を保持するガイド部と、を具備することを特徴とする内視鏡操作部の連結機構を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、把持部から本体部全体を取り外すことなく、操作ワイヤ同士を容易且つ短時間に連結でき、且つ操作ワイヤの張力を容易且つ短時間に調整できる内視鏡操作部の連結機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る内視鏡の概略図である。
【図2A】図2Aは、連結機構が開口部から露出している筒部の斜視図である。
【図2B】図2Bは、開口部の変形例である。
【図3A】図3Aは、第1の実施形態における連結本体部の斜視図である。
【図3B】図3Bは、連結本体部の分解斜視図である。
【図3C】図3Cは、摺動溝部の正面図である。
【図3D】図3Dは、摺動溝部に配設された連結本体部の正面図である。
【図4A】図4Aは、挿入部側保持部と操作部側保持部との相対距離を調整する方法を説明する図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの正面図である。
【図5A】図5Aは、変形例における連結本体部の斜視図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示す連結本体部の分解斜視図である。
【図6A】図6Aは、第2の実施形態において、連結本体部が摺動溝部の第1の位置に配設されている状態を示す図である。
【図6B】図6Bは、第2の実施形態において、連結本体部が摺動溝部の第2の位置に配設されている状態を示す図である。
【図7A】図7Aは、第3の実施形態における連結本体部の斜視図である。
【図7B】図7Bは、連結本体部の分解斜視図である。
【図7C】図7Cは、挿入部側保持部と操作部側保持部との相対距離を調整する方法を説明する図である。
【図7D】図7Dは、図7Cの正面図である。
【図8A】図8Aは、第4の実施形態における調整部の斜視図である。
【図8B】図8Bは、挿入部側操作ワイヤの張力を調整する方法を説明する図である。
【図8C】図8Cは、挿入部側操作ワイヤの張力を調整する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bと図3Aと図3Bと図3Cと図3Dと図4Aと図4Bとを参照して第1の実施形態について説明する。
図1に示すように内視鏡1には、患者の体腔内等に挿入される細長い挿入部10と、挿入部10の基端部と連結し、内視鏡1を操作する操作部60とが配設されている。
【0014】
挿入部10は、挿入部10の先端部側から基端部側に向かって、先端硬質部21と、湾曲部23と、可撓管部25とを有している。先端硬質部21の基端部は湾曲部23の先端部と連結し、湾曲部23の基端部は可撓管部25の先端部と連結している。
【0015】
先端硬質部21は、挿入部10の先端部であり、硬い。
湾曲部23は、後述する湾曲操作部67の操作によって、例えば上下左右といった所望の方向に湾曲する。湾曲部23が湾曲することにより、先端硬質部21の位置と向きとが変わり、観察対象物が観察視野内に捉えられ、照明光が観察対象物に照明される。
可撓管部25は、所望な可撓性を有しており、外力によって曲がる。可撓管部25は、操作部60における後述する本体部61から延出されている管状部材である。
【0016】
なお可撓管部25の内部と、湾曲部23の内部とには、挿入部側操作ワイヤ51が挿通している。挿入部側操作ワイヤ51の先端部は先端硬質部21と接続しており、挿入部側操作ワイヤ51は後述する湾曲操作部67の操作によって、湾曲部23を湾曲させる。挿入部側操作ワイヤ51については、後述する。
【0017】
操作部60は、可撓管部25が延出している本体部61と、本体部61の基端部と連結し、内視鏡1を操作する操作者によって把持される把持部63と、把持部63と接続しているユニバーサルコード65とを有している。
【0018】
把持部63には、湾曲部23を湾曲操作する湾曲操作部67が配設されている。湾曲操作部67は、湾曲部23を左右に湾曲操作させる左右湾曲操作ノブ67aと、湾曲部23を上下に湾曲操作させる上下湾曲操作ノブ67bと、湾曲した湾曲部23の位置を固定する固定ノブ67cとを有している。
【0019】
また、把持部63には、吸引スイッチ69aと、送気・送水スイッチ69bとを有するスイッチ部69が配設されている。スイッチ部69は、把持部63が操作者に把持された際に、操作者の手によって操作される。吸引スイッチ69aは、先端硬質部21に配設される図示しない吸引開口部から図示しない吸引チャンネルを介して、粘液や流体等を内視鏡1が吸引するときに操作される。送気・送水スイッチ69bは、先端硬質部21において図示しない撮像ユニットの観察視野を確保するために図示しない送気・送水チャンネルから流体を送気・送水するときに操作される。流体は、水や気体を含む。
【0020】
また、把持部63には、内視鏡撮影用の各種ボタン71が配設されている。
【0021】
また把持部63には、湾曲操作部67と連結し、湾曲操作部67の操作力を挿入部側操作ワイヤ51に伝達する操作部側操作ワイヤ53が配設されている。操作部側操作ワイヤ53は、把持部63を挿通し、後述する連結機構121によって挿入部側操作ワイヤ51と連結している。操作部側操作ワイヤ53については、後述する。
【0022】
ユニバーサルコード65は、図示しないビデオプロセッサや光源装置に接続する接続部65aを有している。
【0023】
次に図1と図2Aとを参照して、本体部61について説明する。
本体部61は、把持部63の先端部に嵌め込まれることで把持部63と着脱自在に連結する円筒形状の筒部101と、筒部101が着脱自在に嵌め込まれ、筒部101を覆う被覆部(カバー)である折止部105とを有している。
【0024】
図2Aに示すように、筒部101の外周面101cには、外部に向かって開口している開口部101bが配設されている。この開口部101bには、開口部101bを開閉する図示しない蓋が着脱自在に配設されている。蓋が開口部101bを閉じることで、筒部101は水密を確保される。蓋は、例えば開口部101bに対してスライドすることで、開口部101bを開閉する。なお蓋は、扉のように開閉することで、開口部101bを開閉してもよい。
【0025】
このような筒部101は、アトヅヅである。また筒部101の外周面101cの基端部には、図示しないねじ溝が配設されている。このねじ溝は、筒部101が把持部63の先端部に嵌め込まれた際に、把持部63の先端部の内周面に形成されているねじ溝と係合する。筒部101の外周面101cの先端部には、図示しないねじ溝が配設されている。
【0026】
筒部101の内部101eには、後述する連結機構121が配設されている。なお連結機構121は、筒部101に配設されている図示しない基板に配設されていてもよい。
【0027】
折止部105は、筒部101に対して着脱自在であり、筒部101に配設された際に、開口部101bを含む筒部101を覆う。折止部105は、弾性力を有している。
【0028】
折止部105の内周面の基端部には、図示しないねじ溝が配設されている。筒部101が折止部105に嵌め込まれた際、折止部105のこのねじ溝と筒部101の外周面101cの先端部におけるねじ溝とが係合することで、折止部105が筒部101を覆うように、折止部105は筒部101に係合される。
【0029】
折止部105の内周面には、折止部105と筒部101との水密を確保する図示しない水密部材が密着して配設されている。水密部材は、例えばOリングである。上述したように筒部101が折止部105に嵌め込まれた際、水密リングは、筒部101の外周面101cに密着することで、折止部105と筒部101との水密を確保する。
【0030】
なお上述した蓋が配設されていない場合、図2Bに示すように筒部101が折止部105に嵌め込まれることで、折止部105は開口部101bを開閉する蓋となる。このように折止部105は、蓋を兼ねていてもよい。
【0031】
このような折止部105には、可撓管部25が延出している。折止部105と可撓管部25とには、水密が確保されている。
【0032】
上述したように、筒部101は把持部63に嵌め込まれ、筒部101には可撓管部25が延出している折止部105が嵌め込まれる。このように筒部101は、内視鏡1の挿入部10側と内視鏡1の操作部60側とを連結する連結部となっている。また本体部61と筒部101と折止部105とは、内視鏡操作部(内視鏡1の操作部60)の連結機構121に含まれる。
【0033】
次に図2Aと図3Aと図3Bと図3Cと図3Dと図4Aと図4Bとを参照して、内視鏡操作部の連結機構121について説明する。
連結機構121は、連結部である筒部101の内部101eにて、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結し、連結する際に、挿入部側操作ワイヤ51の張力と操作部側操作ワイヤ53の張力との少なくとも一方を調整する。本実施形態では、連結機構121は、挿入部側操作ワイヤ51の張力を調整するために、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との距離を調整するように挿入部側操作ワイヤ51を弛張(牽引または弛緩)する。連結機構121は、蓋が開いた際に、図2Aに示すように、開口部101bから露出するように筒部101の内部101eに配設されている。
【0034】
連結機構121は、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との少なくとも一方の張力を調整しつつ挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結する図3Aに示すような連結本体部131と、連結本体部131が連結本体部131の長手軸方向に摺動するように連結本体部131をガイドし、且つ折止部105が筒部101から取り外された際に連結本体部131が開口部101bから露出するように連結本体部131を保持する図4Aに示すようなガイド部151とを有している。
【0035】
次に図3Aと図3Bとを参照して、連結本体部131について説明する。
連結本体部131は、例えば湾曲部を上方向に湾曲させる操作部側操作ワイヤ53と、この操作部側操作ワイヤ53に対応する挿入部側操作ワイヤ51とを連結する。この点は、下方向と、右方向と、左方向とについても同様である。そのためこのような連結本体部131が例えば4個配設されている。このような連結本体部131は、筒部101の内部101eに配設されている。
【0036】
連結本体部131は、挿入部側操作ワイヤ51を保持する挿入部側保持部135と、操作部側操作ワイヤ53を保持する操作部側保持部137と、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とが配設され、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とが配設された状態で挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離を調整し、挿入部側操作ワイヤと操作部側操作ワイヤとの少なくとも一方の張力を調整する調整部141とを有している。
【0037】
挿入部側保持部135は、挿入部側操作ワイヤ51を保持する保持本体部135aと、挿入部側保持部135が調整部141に配設されるために、調整部141と係合する係合部135eとを有している。
【0038】
保持本体部135aは、挿入部側操作ワイヤ51が嵌合する円筒形状の嵌合孔135bを有している。嵌合孔135bは、挿入部側操作ワイヤ51の長手軸方向に沿って配設されている。保持本体部135aと係合部135eとは、一体である。
【0039】
係合部135eは、調整部141の先端部141b側が調整部141の周方向に摺動可能となるように係合する係合孔135fを有している。係合孔135fは、調整部141の長手軸方向に沿って配設されている。係合孔135fは、調整部141の先端部141b側と略同様の大きさを有している。係合孔135fはU字形状を有しており、U字形状の係合孔135fは一部に対して開口している開口部135gを有している。調整部141の先端部141b側は、開口部135g側から係合孔135fに嵌ることで、係合部135eと係合する。
【0040】
操作部側保持部137は、挿入部側保持部135と略同様の構成を有している。操作部側保持部137の保持本体部を保持本体部137a、嵌合孔を嵌合孔137b、係合部を係合部137e、係合孔を係合孔137fと称する。係合孔137fは、調整部141が挿通可能な長さを有している。
【0041】
なお係合孔137fは円筒形状を有しており、係合孔137fには相対距離の調整のために調整部141の基端部141a側がねじ込まれる。そのため係合孔137fの内周面137hには、ねじ溝部137iが配設されている。
【0042】
挿入部側保持部135の構成と操作部側保持部137の構成とは、逆であっても良い。そのため挿入部側保持部135と操作部側保持部137との一方は、相対距離の調整のために調整部141がねじ込まれる係合孔137fを有している。
【0043】
次に嵌合孔135b,137bと係合孔135f,137fと挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とについて説明する。
挿入部側保持部135と操作部側保持部137とが調整部141に配設された際、係合部135eと係合部137e(係合孔135fと係合孔137f)とは同一直線上、詳細には調整部141の長手軸線上に配設される。
【0044】
同時に嵌合孔135bと嵌合孔137bとは、同一直線上に配設されることとなる。そのため挿入部側操作ワイヤ51が嵌合孔135bに嵌合し、操作部側操作ワイヤ53が嵌合孔137bに嵌合すると、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とは、同一直線上に配設されることとなる。
このとき、嵌合孔135b,137bは、係合部135e,137eに対して挿入部側操作ワイヤ51(操作部側操作ワイヤ53)の長手軸方向に直交する方向にずれて配設されている。そのため嵌合孔135bと嵌合孔137bとは、調整部141の長手軸線上とは下方にずれた状態で、同一直線上に配設される。
【0045】
よって挿入部側保持部135によって保持されている挿入部側操作ワイヤ51と、操作部側保持部137によって保持されている操作部側操作ワイヤ53とは、同一直線上に配設され、且つ調整部141の長手軸とは異なる軸線上に配設される。詳細には、挿入部側保持部135によって保持されている挿入部側操作ワイヤ51と、操作部側保持部137によって保持されている操作部側操作ワイヤ53とは、調整部141の長手軸よりも後述する摺動溝部153の底面153b側に配設される。
【0046】
このように嵌合孔135bと係合孔135fとは、挿入部側操作ワイヤ51と調整部141の長手軸とが同一直線上に配設されないように、挿入部側操作ワイヤ51の長手軸方向(調整部141の長手軸方向)に対して同一直線上に配設されていない。嵌合孔135bは、係合孔135fよりも摺動溝部153の底面153b側に配設される。言い換えると、挿入部側保持部135は、係合孔135fと、係合孔135fよりも摺動溝部153の底面153b側に配設される嵌合孔135bとを有している。この点は、嵌合孔137bと係合孔137fとについても同様である。
【0047】
また挿入部側操作ワイヤ51が嵌合孔135bに嵌合し、操作部側操作ワイヤ53が嵌合孔137bに嵌合した状態において、保持本体部135aは、挿入部側操作ワイヤ51の基端部51bが挿入部側操作ワイヤ51の長手軸方向において調整部141の先端部141b側から基端部141a側に向かって嵌合孔135bを貫通しないように、嵌合孔135bにて挿入部側操作ワイヤ51を保持している。また保持本体部137aは、操作部側操作ワイヤ53の先端部53aが操作部側操作ワイヤ53の長手軸方向において調整部141の基端部141a側から先端部141b側に向かって嵌合孔137bを貫通しないように、嵌合孔137bにて操作部側操作ワイヤ53を保持している。これにより、挿入部側操作ワイヤ51を保持する挿入部側保持部135と、操作部側操作ワイヤ53操作部側保持部137とが調整部141に配設された際、挿入部側操作ワイヤ51の基端部51bと操作部側操作ワイヤ53の先端部53aとが当接しない状態で、連結本体部131は挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結する。
【0048】
なお挿入部側操作ワイヤ51は、保持本体部135aに半田によって接着されていても良い。この点は、操作部側操作ワイヤ53についても同様である。
また挿入部側操作ワイヤ51は、挿入部側操作ワイヤ51と、係合孔135f(調整部141)の長手軸とが同一直線上に配設されていなければ、係合孔135fに半田によって接着されていても良い。この点は、操作部側操作ワイヤ53についても同様である。
【0049】
次に図3Aと図3Bとを参照して、調整部141について説明する。
調整部141は、溝部143と、防止部145と、ねじ溝部147とを有している。このような調整部141は、例えば調整ねじであり、片ねじである。
【0050】
溝部143は、調整部141の先端部141bに配設されており、例えばドライバーなどの図示しない回転部材によって調整部141を回転させるために回転部材が嵌り込む。溝部143は、調整部141の回転を操作し、相対距離を調整し、挿入部側操作ワイヤ51の張力を調整する操作調整部でもある。
【0051】
防止部145は、調整部141の先端部141b(溝部143)と調整部141の基端部141aとの間に配設されている。防止部145と溝部143とは、係合部135eよりも太い。防止部145と溝部143との間の調整部141(調整部141の先端部141b側)には、係合部135eが係合する。このとき防止部145は、先端部141b側に係合された係合部135eを溝部143とともに調整部141の軸方向において挟み込み、溝部143と共に、挿入部側保持部135が調整部141の軸方向において摺動することを防止し、挿入部側保持部135を位置決めする。防止部145は、例えば八角形状を有している。
【0052】
ねじ溝部147は、調整部141の軸方向における防止部145と調整部141の基端部141aとの間における調整部141の外周面141cに形成されている。ねじ溝部147は、係合孔137fにねじ込まれ、内周面137hのねじ溝部137iと噛み合う。
【0053】
調整部141は、係合孔137fにねじ込まれることで係合孔137fを貫通可能である。また調整部141は、係合孔137fにねじ込まれることで、挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離を調整する。なお本実施形態では、後述するように操作部側保持部137が固定されるため、調整部141が係合孔137fにねじ込まれることで、挿入部側保持部135が操作部側保持部137に対して近づくまたは離れる。これにより本実施形態では、連結機構121は、挿入部側操作ワイヤ51を弛張し、挿入部側操作ワイヤ51の張力を調整する。
【0054】
次に図3Cを参照して、ガイド部151について説明する。
ガイド部151は、円筒形状の筒部101に対応する形状、例えば円弧形状を有している。ガイド部151は、筒部101の内部101eに配設されるように、筒部101に固定されている。
【0055】
ガイド部151は、連結本体部131が嵌り込み、連結本体部131が連結本体部131の長手軸方向に摺動し、長手軸方向に直交する連結本体部131の短手軸方向において連結本体部131を位置決めする摺動溝部153を有している。摺動溝部153は、連結本体部131と同数、つまり4個配設されている。1つの摺動溝部153には、1つの連結本体部131が配設される。摺動溝部153の開口部153aは、開口部101b側に面している。摺動溝部153の開口部153a側は、連結本体部131が摺動溝部153に嵌り易いように開口部153a側から摺動溝部153の底面153b(ガイド部151の中心部)に向かって縮径しているテーパ形状を有している。
【0056】
摺動溝部153は、略凹形状を有している。詳細には、摺動溝部153は、連結本体部131の外形と略同様の形状を有している。そのため連結本体部131が摺動溝部153に配設されると、摺動溝部153は挿入部側保持部135と操作部側保持部137とに当接する。このとき挿入部側保持部135と操作部側保持部137とは、摺動溝部153に当接(係合)することで、連結本体部131が連結本体部131の長手軸方向の周方向に回転しないように、摺動溝部153における連結本体部131の回転を防止する回転防止部として機能する。
【0057】
次に本実施形態の挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との連結方法について説明する。
図3Bに示すように、挿入部側操作ワイヤ51は嵌合孔135bに嵌合し、操作部側操作ワイヤ53は嵌合孔137bに嵌合する。操作部側保持部137は、摺動溝部153に配設される。
【0058】
図3Aに示すように、係合部135eは防止部145と溝部143との間の調整部141の先端部141b側と係合する。これにより挿入部側保持部135は、調整部141に配設される。この状態の調整部141は、摺動溝部153に配設され、さらに係合孔137fにねじ込まれる。これにより連結機構121(連結本体部131)は、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結する。
【0059】
次に図4Aと図4Bとを参照して、本実施形態の挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離を調整する方法について説明する。この方法は、本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51を弛張する方法でもある。
折止部105は、筒部101から取り外される。蓋が開き、開口部101bが開く。このとき、連結機構121は、図2Aに示すように開口部101bから露出する。
【0060】
例えばドライバーなどの回転部材は、開口部101bを通じて溝部143に嵌りこむ。そして溝部143のみが摺動溝部153から露出するように、詳細には、溝部143側が基端部141aよりも開口部101b側に近づく、または溝部143側が開口部101bから内視鏡1の外部に突出するように、図4Aと図4Bとに示すように、連結本体部131は回転部材によって摺動溝部153から連結本体部131の長手軸に対する斜め方向に取り出される。このとき連結本体部131は、例えば45度傾いた状態となっている。また挿入部側保持部135の摺動溝部153側と、操作部側保持部137とは、摺動溝部153に当接している。
【0061】
この状態で溝部143に嵌り込んでいる回転部材が溝部143を介して調整部141を回転することで、例えば調整部141は、係合孔137fにねじ込まれる。これにより調整部141は、例えば操作部側保持部137に向かって移動する。このとき挿入部側保持部135は、溝部143と防止部145とに挟み込まれているために、調整部141と共に操作部側保持部137に向かって移動する。これにより、挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離が調整される。そして挿入部側操作ワイヤ51が引っ張られ、挿入部側操作ワイヤ51の張力が調整される。
【0062】
なお調整部141が回転する際、図4Aと図4Bとに示すように、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とは摺動溝部153に当接しているため、挿入部側保持部135と操作部側保持部137と挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とは調整部141の回転に伴うとも回りを防止されている。
【0063】
この後、回転部材によって、連結本体部131(溝部143側)は、テーパ形状の開口部153aに沿って摺動溝部153に配設される。このとき、摺動溝部153は、短手軸方向において連結本体部131を位置決めする。また挿入部側保持部135と操作部側保持部137と防止部145とは、摺動溝部153に当接(係合)し、連結本体部131が連結本体部131の長手軸方向の周方向に回転しないように、摺動溝部153における連結本体部131の回転を防止する。
【0064】
そして蓋が閉じられ、折止部105は筒部101を覆うように筒部101に配設される。
【0065】
このように本実施形態では、連結本体部131によって、把持部63から本体部61全体を取り外すことなく挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを容易に連結することができる。また本実施形態では、開口部101bと調整部141とによって、把持部63から本体部61全体を取り外すことなく挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離を調整することができ、開口部101bを介して挿入部側操作ワイヤ51の張力を容易に調整することができる。
【0066】
また本実施形態では、開口部101bを介して連結本体部131を傾けることで、開口部101b側、または溝部143を開口部101bから突出させた状態で、張力を調整できる。そのため、本実施形態では、把持部63と本体部61との内部にて調整のための作業スペースを確保する必要は無く、把持部63と本体部61とを大型化する必要はなく、把持部63と本体部61とを小型にすることができる。
【0067】
また本実施形態では、調整部141を係合孔137fにねじ込むことで、容易且つ短時間に、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを連結でき、挿入部側操作ワイヤ51の張力を調整することができる。また本実施形態では、調整部141を係合孔137fにねじ込むことで、連結機構121を小型にすることができる。
【0068】
また本実施形態では、連結本体部131が開口部101bから露出するようにガイド部151が連結本体部131を保持し、このガイド部151を筒部101の内部101eに配設することで、開口部101bを介して挿入部側操作ワイヤ51の張力を容易に調整することができる。
【0069】
また本実施形態では、上記のように張力を調整するために、把持部63の着脱作業と、水密確保作業とを不要にでき、連結の張力の調整のための手間と作業時間を抑えることができる。
【0070】
また本実施形態では、湾曲操作が行われた際に、連結本体部131が摺動溝部153を長手軸方向に摺動することで、操作性を向上させることができる。また本実施形態では、摺動溝部153が短手軸方向において連結本体部131を位置決めすることで、短手軸方向における連結本体部131の位置ずれを防止でき、湾曲操作の操作性を向上させることができる。
【0071】
また本実施形態では、開口部153a側をテーパ形状にすることで、張力を調整した後の連結部材をスムーズに摺動溝部153に配設することができる。
【0072】
また本実施形態では、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とが摺動溝部153に係合することで、連結本体部131が摺動溝部153に配設され、湾曲操作の際に、摺動溝部153における連結本体部131の回転を防止できる。
【0073】
また本実施形態では、張力を調整するために調整部141が回転する際に、挿入部側保持部135の摺動溝部153側と操作部側保持部137とが摺動溝部153に当接することで、挿入部側保持部135と操作部側保持部137と挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とは調整部141の回転に伴うとも回りを防止できる。これにより本実施形態では、張力をスムーズに調整することができる。
【0074】
また本実施形態では、挿入部側保持部135によって保持されている挿入部側操作ワイヤ51と、操作部側保持部137によって保持されている操作部側操作ワイヤ53とを、調整部141の長手軸よりも摺動溝部153の底面153b側に配設している。これにより本実施形態では、連結本体部131を傾けた際に、例えば挿入部側操作ワイヤ51が回転部材の邪魔になることを防止できる。また本実施形態では、連結本体部131の傾きに伴う挿入部側操作ワイヤ51の傾きを最小限にすることができ、張力をスムーズに調整することができる。
【0075】
なお本実施形態の係合孔137fは調整部141が挿通可能な長さを有しているが、これに限定される必要はない。例えば、図5Aと図5Bとに示すように、係合孔137fは調整部141が挿入可能な長さを有していてもよい。またこのとき、図5Aに示すように、操作部側保持部137は、操作部側保持部137の先端部137lに、保持本体部135aを有していても良い。この保持本体部135aは、嵌合孔135bを挿通した挿入部側操作ワイヤ51が挿通する挿通孔137kを有している。また挿入部側操作ワイヤ51は、基端部51bに挿通孔137kからの抜けを防止する防止部51dを有している。
【0076】
これにより挿入部側操作ワイヤ51は操作部側保持部137によっても保持されているために、調整部141をスムーズに係合孔137fに係合することができる。また防止部51dによって、調整部141が係合孔137fから抜かれる際に、挿入部側操作ワイヤ51が操作部側保持部137から外れることを防止することで、調整部141が係合孔137から外れることを防止できる。
【0077】
次に本発明に関わる第2の実施形態について図6Aと図6Bとを参照して説明する。
第1の実施形態では、連結本体部131は斜め方向に取り出されたが、これに限定する必要はない。本実施形態では、溝部143が摺動溝部153から突出する状態と摺動溝部153に配設される状態とのいずれかとなるように、連結本体部131は摺動溝部153において挿入部側操作ワイヤ51の長手軸方向を中心に回動可能である。
【0078】
詳細には、連結本体部131は、調整部141が挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との側方且つ摺動溝部153内に配設された状態で連結本体部131が摺動溝部153内を摺動可能な図6Aに示すような第1の位置と、調整部141(溝部143)が摺動溝部153から突出し且つ挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との上方に配設された状態で調整部141が相対距離を調整する図6Bに示すような第2の位置とを選択可能である。
【0079】
内視鏡1が使用される際、連結本体部131は図6Aに示すように摺動溝部153に横たわるように配設されている。このとき第1の実施形態と同様に、摺動溝部153は、連結本体部131の短手軸方向において連結本体部131を位置決めしている。また、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とは、摺動溝部153における連結本体部131の回転位置を規制している。
【0080】
また張力が調整される際、連結本体部131は、挿入部側操作ワイヤ51の長手軸方向を中心に90度回動し、図6Bに示すように調整部141(溝部143)が摺動溝部153から突出するように、起き上がる。
【0081】
これにより本実施形態では、連結本体部131が第2の位置に配設されることで、溝部143が摺動溝部153から突出し、第1の実施形態のように挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを傾かせることはなく、張力を調整できる。よって本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53との経路長に影響されることなく、張力を調整できる。
【0082】
次に本発明に関わる第3の実施形態について図7Aと図7Bと図7Cと図7Dとを参照して説明する。
本実施形態の挿入部側保持部135は、操作部側保持部137と略同様の形状を有している。そのため係合孔135fは、係合孔137fと同様に調整部141が挿通可能な長さを有している。また本実施形態の係合孔135fは、円筒形状を有しており、係合孔137fには相対距離の調整のために調整部141の先端部141b側がねじ込まれる。そのため係合孔135fの内周面135hには、ねじ溝部135iが配設されている。
【0083】
本実施形態の調整部141は、操作調整部149と、ねじ溝部147とを有している。本実施形態の調整部141は、例えば両ねじである。
【0084】
操作調整部149は、調整部141の長手軸方向における略中間部に配設されている。本実施形態の操作調整部149は、調整部141の回転を操作し、相対距離を調整し、挿入部側操作ワイヤ51の張力と操作部側操作ワイヤ53の張力とを調整する。
【0085】
ねじ溝部147は、操作調整部149よりも先端部141b側と基端部147a側との外周面141cに配設されている。先端部141b側のねじ溝部147は、係合孔135fにねじ込まれ、内周面135hのねじ溝部135iと噛み合う。また基端部141a側のねじ溝部147は、係合孔137fにねじ込まれ、内周面137hのねじ溝部137iと噛み合う。
【0086】
次に本実施形態の挿入部側保持部135と操作部側保持部137との相対距離を調整する方法について説明する。この方法は、本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とを弛張する方法でもある。
折止部105は、筒部101から取り外される。蓋が開き、開口部101bが開く。このとき、連結機構121は、開口部101bから露出する。
【0087】
操作調整部149が調整者によって保持され、図7Cに示すように連結本体部131全体が持ち上げられる。このとき少なくとも操作調整部149は、摺動溝部153から突出し、さらに開口部101b側に近づく、または開口部101bから内視鏡1の外部に突出する。この状態で操作調整部149が回転することで、調整部141は係合孔135f,137fにねじ込まれる。これにより、挿入部側保持部135と操作部側保持部137とは互いに近づきまたは離れ、これらの相対距離は調整される。そして挿入部側操作ワイヤ51と操作部側操作ワイヤ53とが弛張され、挿入部側操作ワイヤ51の張力と操作部側操作ワイヤ53の張力とが調整される。
【0088】
このように本実施形態では、調整部141を両ねじとしても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51の張力と操作部側操作ワイヤ53の張力とを同時に調整することができる。
【0089】
次に本発明に関わる第4の実施形態について図8Aと図8Bと図8Cとを参照して説明する。
本実施形態の調整部141は、溝部143と防止部145とねじ溝部147とは別体の第1の部材161と第2の部材163とをさらに有している。第1の部材161と第2の部材163とは、例えば角柱形状を有しており、挿入部側操作ワイヤ51の軸方向に沿って例えば摺動溝部153に配設されている。第1の部材161と第2の部材163とは、同じ構成を有している。
【0090】
第1の部材161は、摺動溝部153の深さ方向において第2の部材163に載置されるように、例えばビスなどの図示しない連結部材によって第2の部材163と連結する。この第1の部材161と第2の部材163との間隔は、この連結部材によって、調整されている。
【0091】
第1の部材161は、挿入部側操作ワイヤ51の軸方向に沿って配設されている凸部161aを側面161bに有している。凸部161aの先端部161cは、半円形状を有しており、第2の部材163に対向する第1の円柱部材の端面161dよりも突出している。以下において、第2の部材163の凸部を凸部163aとする。
【0092】
図8Bに示すように、第1の部材161が第2の部材163と連結した際、凸部161aと凸部163aとは、挿入部側操作ワイヤ51の軸方向に沿って互い違いとなるように配設されている。つまり凸部161aは凸部163aに隣り合う。
【0093】
また第1の部材161が第2の部材163と連結した際、凸部161aと凸部163aとは、互い違いに配設されて挿入部側操作ワイヤ51を挟み込む。この時、第1の部材161と第2の部材163との間隔が調整されることで、凸部161aと凸部163aとは挿入部側操作ワイヤ51の軸方向において重なり合う。これにより挿入部側操作ワイヤ51は、凸部161aと凸部163aとの外形に沿って配設され、蛇行する。そして、挿入部側操作ワイヤ51の経路長が変化し、挿入部側操作ワイヤ51は引っ張られ、挿入部側操作ワイヤ51の張力が調整される。
【0094】
なお図8Cに示すように、第1の部材161と第2の部材163との間隔が狭いほど、挿入部側操作ワイヤ51は大きく蛇行し、挿入部側操作ワイヤ51の経路長はより増加し、挿入部側操作ワイヤ51はより強く引っ張られる。
【0095】
このように本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51を凸部161a,163aにて挟み込ませることで、挿入部側操作ワイヤ51の張力を容易に調整することができる。
【0096】
また本実施形態では、第1の部材161と第2の部材163との間隔を連結部材によって調整することで、挿入部側操作ワイヤ51の経路長を容易に調整でき、挿入部側操作ワイヤ51の張力を容易に調整できる。
【0097】
なお本実施形態では、挿入部側操作ワイヤ51について説明したが、操作部側操作ワイヤ53についても同様である。
【0098】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0099】
1…内視鏡、10…挿入部、21…先端硬質部、23…湾曲部、25…可撓管部、51…挿入部側操作ワイヤ、53…操作部側操作ワイヤ、101…筒部、101c…外周面、101b…開口部、101e…内部、105…折止部、121…連結機構、131…連結本体部、135…挿入部側保持部、135a…保持本体部、135b…嵌合孔、135e…係合部、135f…係合孔、135g…開口部、137…操作部側保持部、137a…保持本体部、137b…嵌合孔、137e…係合部、137f…係合孔、141…調整部、143…溝部、145…防止部、147…溝部、151…ガイド部、153…摺動溝部、153b…底面、153a…開口部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部側と前記内視鏡の操作部側とを連結する連結部の内部にて、前記挿入部側の挿入部側操作ワイヤと、前記操作部側の操作部側操作ワイヤとを連結する内視鏡操作部の連結機構であって、
前記連結部の外周面に形成され、外部に向かって開口している開口部と、
前記連結部に対して着脱自在であり、前記連結部に配設された際に、前記開口部を含む前記連結部を覆う被覆部と、
前記連結部の内部に配設され、前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとの少なくとも一方の張力を調整しつつ前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとを連結する連結本体部と、
前記連結部の内部に配設され、前記連結本体部が前記連結本体部の長手軸方向に摺動するように前記連結本体部をガイドし、且つ前記被覆部が前記連結部から取り外された際に前記連結本体部が前記開口部から露出するように前記連結本体部を保持するガイド部と、
を具備することを特徴とする内視鏡操作部の連結機構。
【請求項2】
前記連結本体部は、
前記挿入部側操作ワイヤを保持する挿入部側保持部と、
前記操作部側操作ワイヤを保持する操作部側保持部と、
前記挿入部側保持部と前記操作部側保持部とが配設され、前記挿入部側保持部と前記操作部側保持部とが配設された状態で前記挿入部側保持部と前記操作部側保持部との相対距離を調整して、前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとの少なくとも一方の張力を調整する調整部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項3】
前記挿入部側保持部と前記操作部側保持部との少なくとも一方は、前記相対距離の調整のために前記調整部がねじ込まれる係合孔を有していることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記連結本体部が嵌り込み、前記連結本体部が前記連結本体部の長手軸方向に摺動し、前記長手軸方向に直交する前記連結本体部の短手軸方向において前記連結本体部を位置決めする摺動溝部を有していることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項5】
前記摺動溝部は、前記摺動溝部の底面に向かって縮径しているテーパ形状を有していることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項6】
前記挿入部側保持部と前記操作部側保持部とは、前記摺動溝部に係合することで、前記摺動溝部における前記連結本体部の回転を防止することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項7】
前記挿入部側保持部によって保持されている前記挿入部側操作ワイヤと、前記操作部側保持部によって保持されている前記操作部側操作ワイヤとは、同一直線上に配設され、且つ前記調整部の長手軸とは異なる軸線上に配設されていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項8】
前記挿入部側保持部によって保持されている前記挿入部側操作ワイヤと、前記操作部側保持部によって保持されている前記操作部側操作ワイヤとは、前記調整部の長手軸よりも前記摺動溝部の底面側に配設されることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項9】
前記調整部が前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとの側方に配設された状態で前記連結本体部が前記ガイド部内を摺動可能な第1の位置と、前記調整部が前記ガイド部から突出し且つ前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとの上方に配設された状態で前記調整部が前記相対距離を調整する第2の位置とを選択可能であることを特徴とする請求項2乃至請求項8のいずれかに記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項10】
前記調整部は、第1の凸部を有する第1の部材と、第2の凸部を有し、前記第1の部材と連結する第2の部材とをさらに有し
前記第1の部材と前記第2の部材とが連結した際に、前記第1の凸部と前記第2の凸部とは互い違いに配設されて前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側ワイヤとの少なくとも一方を挟み込むことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項1】
内視鏡の挿入部側と前記内視鏡の操作部側とを連結する連結部の内部にて、前記挿入部側の挿入部側操作ワイヤと、前記操作部側の操作部側操作ワイヤとを連結する内視鏡操作部の連結機構であって、
前記連結部の外周面に形成され、外部に向かって開口している開口部と、
前記連結部に対して着脱自在であり、前記連結部に配設された際に、前記開口部を含む前記連結部を覆う被覆部と、
前記連結部の内部に配設され、前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとの少なくとも一方の張力を調整しつつ前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとを連結する連結本体部と、
前記連結部の内部に配設され、前記連結本体部が前記連結本体部の長手軸方向に摺動するように前記連結本体部をガイドし、且つ前記被覆部が前記連結部から取り外された際に前記連結本体部が前記開口部から露出するように前記連結本体部を保持するガイド部と、
を具備することを特徴とする内視鏡操作部の連結機構。
【請求項2】
前記連結本体部は、
前記挿入部側操作ワイヤを保持する挿入部側保持部と、
前記操作部側操作ワイヤを保持する操作部側保持部と、
前記挿入部側保持部と前記操作部側保持部とが配設され、前記挿入部側保持部と前記操作部側保持部とが配設された状態で前記挿入部側保持部と前記操作部側保持部との相対距離を調整して、前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとの少なくとも一方の張力を調整する調整部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項3】
前記挿入部側保持部と前記操作部側保持部との少なくとも一方は、前記相対距離の調整のために前記調整部がねじ込まれる係合孔を有していることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記連結本体部が嵌り込み、前記連結本体部が前記連結本体部の長手軸方向に摺動し、前記長手軸方向に直交する前記連結本体部の短手軸方向において前記連結本体部を位置決めする摺動溝部を有していることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項5】
前記摺動溝部は、前記摺動溝部の底面に向かって縮径しているテーパ形状を有していることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項6】
前記挿入部側保持部と前記操作部側保持部とは、前記摺動溝部に係合することで、前記摺動溝部における前記連結本体部の回転を防止することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項7】
前記挿入部側保持部によって保持されている前記挿入部側操作ワイヤと、前記操作部側保持部によって保持されている前記操作部側操作ワイヤとは、同一直線上に配設され、且つ前記調整部の長手軸とは異なる軸線上に配設されていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項8】
前記挿入部側保持部によって保持されている前記挿入部側操作ワイヤと、前記操作部側保持部によって保持されている前記操作部側操作ワイヤとは、前記調整部の長手軸よりも前記摺動溝部の底面側に配設されることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項9】
前記調整部が前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとの側方に配設された状態で前記連結本体部が前記ガイド部内を摺動可能な第1の位置と、前記調整部が前記ガイド部から突出し且つ前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側操作ワイヤとの上方に配設された状態で前記調整部が前記相対距離を調整する第2の位置とを選択可能であることを特徴とする請求項2乃至請求項8のいずれかに記載の内視鏡操作部の連結機構。
【請求項10】
前記調整部は、第1の凸部を有する第1の部材と、第2の凸部を有し、前記第1の部材と連結する第2の部材とをさらに有し
前記第1の部材と前記第2の部材とが連結した際に、前記第1の凸部と前記第2の凸部とは互い違いに配設されて前記挿入部側操作ワイヤと前記操作部側ワイヤとの少なくとも一方を挟み込むことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡操作部の連結機構。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【公開番号】特開2012−50554(P2012−50554A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194308(P2010−194308)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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