説明

内視鏡検査装置及び対象の複数領域を同時観察する方法

【課題】対象の複数領域を同時に観察することを可能にする内視鏡検査装置及びその方法を提供することを課題とする。
【手段】本発明は、複数の光ガイド(1,2,3)を有し、それら光ガイドの各々が一つ又はそれ以上の光ファイバーを有している、内視鏡装置に関するものである。光ガイドは、複数の光ファイバーの一つを有するガイドの近位端から、同一つの光ファイバーに交互に励起光ビームを誘導するよう配置された走査システム(4)と結合されている。これにより、複数のガイドの近位端は、同じ走査システムを使用することができ、他方、複数のガイドの遠位端は、対象物又は検体動物(10)の対象領域の同時観察のために、対象物又は検体動物の異なる対象領域に同時に取り付けることができる。また、本発明は、本発明による装置において採用される内視鏡検査方法に関するものである。本発明による装置及び方法は、対象の複数領域の略同時の反射イメージング、蛍光イメージング及び多光子イメージングに適用することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡検査装置に関するものである。また、本発明は、本発明による装置において用いられる内視鏡検査方法に関するものである。
【0002】
本発明による装置及び方法は、分光学,インビボ(in−vivo)及びインシチュ(in−situ)イメージング,蛍光イメージング,反射イメージング,多光子イメージング及びマイクロエンドスコピー(microendoscopy)のような分野に無制約な態様で適用することができる。
【背景技術】
【0003】
一般に、内視鏡検査装置は、単一の光ファイバー又は複数の光ファイバーの束を含んだ光ガイドを有している。以下「遠位端」と呼ぶ、光ガイドの第一の端は、検体を検査することができるように、検体内へ挿入し又は検体に対して平らに横たえるように備え付けられている。以下、光ガイドの他端を「近位端」と言う。光ガイドは、挿入を助長するために或る程度の柔軟性を有し、光ビームが近位端から遠位端まで、又は、逆に遠位端から近位端まで伝送されることを可能にする。
【0004】
また、内視鏡検査装置は、光ガイドの遠位端に接続された光学ヘッドを有している。光学ヘッドは、光ガイドから発せされる励起光ビームを検体の表面又は検体内の或る深さの部位に焦点を合わせることができる。また、光学ヘッドは、光ビームを集光して、この光ビームを光ガイドへ送ることを可能にする。それ故、光ガイドと光学ヘッドは、小型の共焦点顕微鏡を構成している。視界の全てを観察することができるようにするために、光ガイドの遠位側又は近位側に配置された走査手段(scanning means)によって、焦点合わせされた励起ビームを視野内で走査させることができる。
【0005】
走査手段が近位側に配置されている場合には、光ガイドの役割は、イメージをポイントごとに伝送することである。従って、光ガイドは、複数の光ファイバーによって構成されなければならないことになる。それ故、光ガイドについては、イメージガイドという用語が用いられる。
【0006】
このような装置によって実施されるインシチュ及びインビボ顕微鏡検査は、非常に減じられた視野に亘ってのみ、典型的には直径約数百マイクロメートルに亘って、対象の領域(area of interest)の観察を許容する。この制約は、観察された領域より広い範囲に亘って現れている何らかの現象の解明についての障害となり、即ち、観察された領域が、現象が起きている領域よりも大きい場合にのみその現象の解明が可能である。また、この制約は、その調べられた現象が、互いにかなり離れているか或いはあまり離れていない対象の複数領域、特に無理なく観察可能な領域を越えて離れている、対象の複数領域で生じている場合に問題となる。
【0007】
十分な解像度をもって、対象の複数領域を観察することができれば、この制約は解消される。例えば、小動物の神経系のイメージングの場合には、脳の様々な部分又は異なる神経終末、または、それら双方を顕微鏡スケールで観察することができる。別の例は、血管ネットワークが複数の部位のマルチ観察の主題となっている、血管の現象の研究である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、対象の複数領域を略同時に観察することを可能にする内視鏡検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、複数の光ガイドと走査システムとを有する内視鏡検査装置によって達成され、複数の光ガイドは、夫々、一つ又はそれ以上の光ファイバーによってリンクされた二つの端、即ち、近位端と遠位端とを有し、走査システムは、光学的に光ガイドの近位端とリンクされて、順に、光ガイドのファイバーの一つに励起光ビームを誘導するよう配置されている。
【0010】
好ましくは、光ガイドは複数の光ファイバーを有している。そして、これについて用いられている用語は、イメージガイドである。
【0011】
従って、同じ走査システムが一つ以上の光ガイドに励起光ビームを誘導することができ、それによって複数の光ガイドが同じ走査システムを使用することが可能になる。複数の光ファイバーの近位端を一つずつ照射した光は、同光ファイバーによってファイバーの遠位端に伝送されて、順に照明源となる。各光ガイドはプローブで、その個々の遠位端は、他のプローブの遠位端と同時に研究対象となるシステム又は動物の様々な対象領域に取り付けられる。従って、本発明による内視鏡検査装置は、例えば、一匹の動物の複数の異なった対象領域のインビボ,インシチュ及び同時イメージングの実施を可能にさせる。光ガイドの寸法は、非常に小さいスペースしか必要としない内視鏡プローブを構成する光ガイドについては、充分小さくすることができる(典型的には、直径数百マイクロメートル)。ファイバーの数と寸法は、光ガイド毎に変えることができる。
【0012】
走査システムは、イメージガイドの入力面を走査するために通常使用される何らかのシステムから構成することができる。走査システムは、例えば、二つの異なった反射鏡を有し、それにより、光ガイドの入力面の垂直方向及び水平方向の走査を確実にさせる。
【0013】
光ガイドの近位端は、光ガイド束を形成するように組合せることが可能であり、それにより、光ガイド束は、光ガイドの近位端を一纏めにした近位端を有する。また、本発明による装置は、走査システムにガイド束の近位端を接続させるための手段を有している。本発明による装置の一実施形態においては、特に、走査システムがガイド束の近位端におけるファイバーとのみ作用する場合には、光ガイドは、ガイド束の近位端において、ファイバーの配列をガイド毎に保持させるように配置することができる。本発明による装置の別の実施形態においては、ガイド束の近位端においてファイバーは、特に、走査システムがガイド束の近位端においてランダムに分布しているファイバーに適合されている場合には、ガイド毎にいかなる態様でも配置させることができる。
【0014】
本発明による装置は、励起光ビームを発する光源を含んでいる。
【0015】
更に、本発明による装置は、複数の光ガイドの一つの遠位端に配置された光学ヘッドを有している。光学ヘッドは、特に、複数の光ガイドのうちの一つのファイバーによって光学ヘッドへ伝送された励起光ビームを焦点面に焦点合わせさせることを可能にすると共に、この焦点面において実質的に反射又は発せられる光ビームを集光し、その集光されたビームを同じファイバーへ伝送させることを可能にする。用いられる光学ヘッドに依存して、励起光ビームを表面又は深部に焦点合わせさせることができる。
【0016】
また、本発明による装置は、複数の光ガイドの一つの遠位端において集光された光ビームを検出する手段を備えている。この検出手段は、或るファイバーに誘導された励起光ビームに応じて、そのファイバーによって集光された光ビームを検出する分光計、光増倍管又はフォトダイオードを含んでいてもよく、また、CCDセンサーのような複数のピクセルを有するセンサーを含んでいてもよい。そのセンサーのピクセルは、励起光ビームに応じて、集光された光ビームを順に検出する。従って、検出手段は、複数のガイドの一つのファイバーに誘導された励起光ビームに応じて、その同じファイバーの遠位端において集光される光ビームを検出するよう配置するのが好ましく、従って、このファイバーは、ガイドの遠位端において集光される光の空間フィルタリングを実施し、それにより、本発明による装置を共焦点のものにさせる。
【0017】
更に、本発明による装置は、一つ又はそれ以上のガイドによって集光される光ビームから、光ガイドの遠位端において複数のファイバーによって集光された一組の光ビームを抽出するための手段と、その集光された一組の光ビームから画像を構成する手段とを含んでいる。好ましくは、一組の光ビームは、走査が周期的に行われる場合には、一走査周期中に、ファイバーによって順に集光される。典型的には、この抽出手段は、各ファイバーと検出器のピクセルとの間の対応テーブル、又は、走査が周期的に実施される場合に、各ファイバーと走査周期のモーメント(moment)との間の対応テーブルを用いて抽出アルゴリズムを実施する手段を有し、それ故、抽出手段は、検出器によって検出された各ビームをそのビームを発するファイバーと関係付けることができる。抽出手段は、ビームを集光する光ガイドによって、集光された複数の光ビームを一纏めにすることを可能にする。各光ガイドに関しては、構成されたイメージは、対象領域の視界に対応する。視界の寸法及び観察する深さは、ガイドにおけるファイバーの数及び直径に左右され、また、ガイドの遠位端に配置された光学ヘッドの特性にも左右される。本発明による装置は、イメージを表示するための手段も含んでいる。
【0018】
一般的には、本発明による装置は、国際公開公報WO2004/010377A1において開示されている方法を実施する、画像を取得して処理するための手段を有している。
【0019】
更に、本発明による装置は、励起光ビームが誘導された光ガイドに依存して、励起光ビームのスペクトル面積を変化させるための手段を有している。好ましくは、光ガイド毎に異なった波長を関連付けることができる。スペクトル面積変更手段と走査システムとを組み合わせることにより多色走査手段が構成され、それにより、対象の異なる領域に存在する異なった染色剤の同時励起を可能にさせる。
【0020】
本発明の別の側面に依れば、本発明による装置において実施される内視鏡検査方法(endoscopy method)が得られる。この方法は、複数の光ガイドを走査システムにカップリングさせる工程と、その光ガイドを走査システムによって走査する工程とを含んでいる。各光ガイドは、一つ又はそれ以上の光ファイバーによってリンクされた、二つの端、即ち、近位端と遠位端とを有している。その走査によって、励起光ビームが、ガイドの複数のファイバーのうちの一つを含むガイドの近位端から、当該一つのファイバーに順に誘導される。
【0021】
また、本発明による方法は、光ガイドの一つのファイバーの遠位端において光ビームを集光する工程を含んでいる。更に、本発明による方法は、集光された光ビームを検出する工程を含んでいる。集光された光ビームは、励起光ビームの反射又は再放出により現れ、従って、一般に、励起光ビームが順に誘導されるファイバーの遠位端において、集光された光ビームが検出される。従って、本発明による方法は、ガイドのうちの一つのファイバーに誘導される励起光ビームに応じて、その同じファイバーの遠位端において集光された光ビームを検出する工程を含んでいる。従って、このファイバーは、ガイドの遠位端において集光された光の空間フィルタリングを実施する。
【0022】
更に、本発明による方法は、各ファイバーと、ファイバーの遠位端において集光された光ビームを検出する検出器のピクセルとの間の対応テーブルを作る工程を含んでいてもよい。同様に、走査が周期的に行われる場合には、本発明による方法は、ファイバーの遠位端において集光されたビームが検出される走査周期の最中に、各ファイバーとモーメント(moment)との間の対応テーブルを作り出す工程を含んでいてもよい。
【0023】
更に、本発明による方法は、励起光ビームが誘導された光ガイドに依存して、励起光ビームのスペクトル面積の変化させる工程を含んでいてもよい。
【0024】
走査は周期的に実施することができる。一走査周期の最中において、走査によって、例えば、複数の光ガイドに共通する一つのフレームに沿って励起光ビームを誘導し、又は、特定の光ガイドを走査する複数の連続フレームに沿って励起光ビームを誘導することができる。
【0025】
走査によって、平行なラインに沿って励起光ビームを誘導させてもよい。
【0026】
走査によって、或る光ガイドの或るファイバーにだけ励起光ビームを誘導させてもよい。
【0027】
また、本発明による方法は、複数のガイドのうちの一つに遠位端において複数のファイバーによって集光された一組の光ビームを抽出する工程と、その集光された一組の光ビームから画像を構成する工程と、その画像を表示する工程を含んでいてもよい。一組の光ビームは、走査が周期的に行われる場合には、一周期中にファイバーによって順に集光することができる。抽出は、各ファイバーと検出器のピクセルとの間の対応テーブル、又は、各ファイバーと一走査周期中の適時なモーメントとの間の対応テーブルを使用することによって達成することができる。これらの対応テーブルのおかげで、画像を構成するために、ガイド毎にファイバーの配列をプリザーブ(preserve)する必要が必ずしもなくなる。即ち、これは、ガイドを走査システムにカップリングさせることに関する制限と、例えば、ガイドを束の形態で組み立てる場合に、ガイド毎にファイバーをアレンジすることに関する制限とを大幅に減少させることができるので、現実的な利点を提供することとなる。
【0028】
本発明による装置及び方法においては、励起光ビームは単色又は多色であってもよく、また、連続的又はパルス的なものであってもよい。本発明による装置及び方法は、蛍光イメージング、反射イメージング又は多光子イメージングに適用することができる。
【0029】
本発明のその他の利点及び特徴については、限定的なものではない実施形態についての後述する詳細な説明及び添付図面を参照することにより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1,2及び3を参照して、本発明による装置の好ましい実施形態である第一の実施形態について先ず説明する。
【0031】
図1に示した本発明に係る装置の第一の実施形態は、三つのイメージガイド1,2,3と、走査システムを含んだハウジング4と、表示スクリーン5を有している。
【0032】
図2は、複数のイメージガイドのうちの一つの遠位端の断面図である。各イメージガイドは、ほぼ同一で、不規則に配列された数千の光ファイバーコア12を含んだ光ファイバー束により構成されている。イメージガイド1,2又は3のファイバーの配列(arrangement)は、ガイド束11の近位端においてガイド毎にプリザーブされていない。遠位端において、各イメージガイドは保護シース(protective sheath)13によって取り囲まれている。ファイバーの直径は数マイクロメートルで、ガイドの直径は数百マイクロメートルである。より明瞭にするために、図2には、限定された数のファイバーしか図示されておらず、同様に、その他の図においてもガイド毎の限定された数のファイバーしか図示されていない。各イメージガイドの遠位端は、他のイメージガイドの遠位端から独立し、分離されている。従って、ガイドの各遠位端は他のイメージガイドから独立して動くので、イメージガイドの遠位端は検体動物10の異なる対象部位に同時に取り付けることができる。
【0033】
イメージガイドの近位端は、結束されてイメージガイド束11を構成している。図3は、イメージガイド束11の横断面図である。ガイド束11を作るために、三つのイメージガイド1,2,3の近位端を保護シース13から離してから、これら近位端は互いに結合されている。イメージガイド束11全体は保護シース15によって取り囲まれている。ガイド束11の近位端は複数のガイドの近位端を一纏めにし、こうして、励起光ビームのための走査入力面を形成している。走査システムにガイド束11の近位端をカップリングさせるために、ガイド束11はコネクター6を介してハウジング4に接続される。
【0034】
走査システムは、ガイド束11の近位端から複数のガイドのファイバーのうちの一つへ励起光ビームを順に誘導させる二つの異なったミラーを有し、複数のファイバーを一つずつ照射した光は、ファイバーによって遠位端まで伝送されて、それぞれ順に照明源となる。
【0035】
イメージガイド1,2,3の遠位端は、光学ヘッド7,8,9に接続され、それにより、
・ファイバーから発生した励起光ビームを、光学ヘッドが取り付けられた検体動物10の対象表面又は内部の一定の深さの対象領域に焦点を合わせさせ、
・対象領域において照射された生体組織により反射即ち再放出された光ビームを集光し、
・集光された光ビームを同じファイバーへ伝送する。
【0036】
そして、集光された光ビームは、遠位端からイメージガイドの近位端まで送られ、ハウジング4の内部に向けられて光ビーム検出器まで伝送される。
【0037】
ガイド束11の近位端の走査は周期的に行われ、ハウジング4は、一周期中に検出器によって検出される全ての光ビームの中から、複数のガイドのうちの一つの遠位端においてそのガイドの複数のファイバーによって集光される一組の光ビームを抽出するための手段を含んでいる。また、ハウジング4は、その一組の光ビームから画像を構成するイメージ合成モジュールを含んでいる。表示スクリーン5が、イメージ合成モジュールによって構成された画像を表示する。こうして、表示スクリーンは、イメージガイド1,2,3の各々のために画像を表示することができる。
【0038】
更に、ハウジング4は、励起光ビームを連続的又はパルス的態様で放出するレーザーと、励起光ビームのスペクトル面積(spectral content)を変更させる手段を含んでいる。その変更させる手段は、イメージガイド毎に一定波長の励起光ビームを誘導するようにプログラムさせることができる。
【0039】
本発明による装置の第一の実施形態に基づく多数の変形例が存在し、特に、それらは、ガイドの数、ガイド毎のファイバーの数、ファイバーの直径及びガイドの直径に関するものである。例えば、七つのガイドの近位端が束として組み合わされている変形例は、同じ直径のガイドの場合に更によく適合する。
【0040】
本発明による装置の第二の実施形態は、三つではなく四つのイメージガイドを有し、それら四つのイメージガイドの近位端が一纏めにされているという点を除いて、本発明による第一の実施形態と同じ全ての構成要素を有している。図4は、本発明による装置の第二の実施形態のガイド束の横断面図である。二つのガイド16,17は同じ直径の同一数のファイバーを有しているが、しかしそれらはガイド束の近位端においてガイド毎のファイバーの配列をプリザーブ(preserve)するように配置されてはいない。他の二つのガイド18,19は、ガイド16,17のファイバーとは異なった直径及び数のファイバーを有し、従って、夫々、ガイド16,17と異なった直径を有している。
【0041】
茲で、図5,6及び7を参照して、本発明による装置の第一の実施形態において実施される、本発明による方法の第一、第二及び第三の実施形態について説明する。
【0042】
本発明による第一、第二及び第三の実施形態は、三つのイメージガイド1,2,3を走査システムへカップリングさせる工程と、走査システムによってガイドを周期的に走査する工程を含み、その走査によって、ガイドの複数のファイバーのうちの一つに、当該同じ一つのファイバーを有するガイドの近位端から、順に、励起光ビームを誘導する。
【0043】
本発明による方法の第一、第二及び第三の実施形態は、励起光ビームが順に誘導されるファイバー毎に、
ファイバーに沿って、励起光ビームをそのファイバーを有する近位端から遠位端まで伝送する工程と、
ガイドに接続された光学ヘッドによって励起光ビームを焦点合わせさせる工程と、
拡散又は発光によって反射又は再放出される光ビームを光学ヘッドによって集光する工程と、
ガイドの遠位端において集光された光ビームを伝送する工程と、
ファイバーに沿って、ガイドの遠位端から近位端まで励起光ビームを伝送する工程と、
集光された光ビームを検出器によって検出する工程を更に含み、ファイバーは、ビームが検出される走査周期の最中に、対応テーブルにおいて、集光されたビームを検出する検出器のピクセルと適時なモーメント(moment in time)とに関係付けられる。
【0044】
従って、励起光ビームは複数のファイバーの一つを含んだガイドの近位端からその一つのファイバーに順に導入され、このファイバーの遠位端において集光された光ビームが順に検出され、従って、このファイバーは、ガイドの遠位端において集光された光の空間フィルタリングを実施する。それ故、本発明による装置の第一実施形態の検出器は、複数のガイドの一つのファイバーの遠位端において集光される光ビームを、このファイバーに誘導される励起ビームに応じて検出するよう配置され、従って、このファイバーは、ガイドの遠位端で集光される光の空間フィルタリングを実施し、これにより、本発明による装置の第一の実施形態を共焦点のものにさせる。
【0045】
対応テーブルは、ガイド束を走査システムにカップリングさせた後に、本発明による装置の較正(calibration)工程中に形成される。本発明による方法の第一、第二及び第三実施形態は、一周期中、イメージガイド毎に、
検出器によって対応テーブルを用いて検出される全ての光ビームから、ガイドの遠位端で複数のファイバーによって集光され、検出器によって検出される一組の光ビームを抽出する工程と、
ガイドの光学ヘッドが取り付けられる対象の領域の視界を表現するイメージを、集光され且つ検出された一組の光ビームから構成する工程と、
そのイメージを表示スクリーンに表示させる工程を更に含み、イメージを構成する前記工程は、ガイドの何千ものファイバーのネットワークの痕跡(imprint)を除去するのに十分な処理を含んでいる。
【0046】
直径が数マイクロメートルの数千のファイバーを有するイメージガイド1,2,3については、視野の典型的な表面領域は平方ミリメートルの範囲内にあり、この表面領域は、特に、ガイド1,2,3の遠位端に配置された光学ヘッドの特性に左右される。光学ヘッドを検体動物の対象の複数領域に取り付けることにより、本発明による方法は、顕微鏡分解能で、動物の対象の複数領域のインビボ,インシチュ及び同時表示を可能にさせる。
【0047】
図5は、本発明による装置の第一の実施形態のガイド束11の近位端の横断面図で、本発明による方法の第一の実施形態の場合における一走査周期を示している。本発明による方法の第一実施形態の一走査周期において、走査システムは、斜めのライン21によりリンクされる平行な水平ライン20に沿って、ガイド束11の近位端から励起光ビームを順にファイバー内に誘導させる。斜めのライン21によりリンクされる一組の水平ライン20は、テレビ画面のラスターに類似したフレームを構成する。水平ライン20及び斜めのライン21は、イメージガイド1,2,3毎に一つのフレームを形成する。水平ライン20は、イメージガイドの近位端間のギャップ内に励起光ビームを誘導させない。第一の走査ガイド1のフレームは第一の斜めなリレーライン(oblique relay line)23によって第二の走査ガイド2のフレームにリンクされ、第二の走査ガイド2のフレームは第二の斜めなリレーライン22によって第三の走査ガイド3のフレームにリンクされる。一周期の過程を通して、全てのファイバーが走査される。水平ライン20は一つのファイバー内に周期毎に一度以上励起光ビームを誘導するに充分な程度近接しており、それによりファイバーの高サンプリング分解能を可能にする。その実際の技術的走査方法により、ガイド束11の近位端を、約百ミリ秒の周期に亘って、この分解能で走査することを可能にする。従って、夫々特定のガイドから発する三組の集光ビームから一周期中に構成される三つのイメージを得られることは、三つの光学ヘッドが取り付けられた対象の三つの領域をほとんど同時に観察することに対応する。本発明による方法の第一の実施形態は、励起光ビームが単色で(monochromatic)、ガイド毎に一定の波長を有するように、励起光ビームの波長の変化させる工程を更に含んでいる。こうして、各イメージガイドは、対象の領域毎に異なった着色剤(stain)を励起させるように機能することができる。
【0048】
図6は、本発明による装置の第一実施形態のガイド束11の近位端の断面図で、本発明による方法の第二の実施形態の場合における一走査周期を示した図である。本発明による方法の第二の実施形態の一走査周期中に、走査システムは、斜めのライン25によりリンクされる平行な水平ライン24に沿って、ガイド束11の近位端から複数のファイバーのうちの一つファイバーに向かって順に励起光ビームを誘導する。水平ライン24は同じファイバーに周期毎に一度以上励起光ビームを誘導するに充分な程度近接している。一周期中に、全てのファイバーは走査され、水平ラインはイメージガイドの近位端間におけるギャップ内に励起光ビームを誘導する。斜めのライン25によってリンクされる水平ライン24は、一つの水平ラインが通常一つ以上のイメージガイドを走査するように、テレビ画面のラスターに類似した、ガイド1,2,3に共通のフレームを構成する。従って、三つのイメージガイドは、一周期中にほとんど同時に走査され、夫々特定のガイドから発する三組の集光ビームから一周期中に構成される三つのイメージを得られることは、三つの光学ヘッドが取り付けられる対象の三つの領域をほとんど同時に観察できることに対応する。
【0049】
図7は、本発明による装置の第一実施形態のガイド束11の近位端の断面図で、本発明による方法の第三の実施形態の場合における一走査周期を示している。本発明による方法の第三の実施形態の一走査周期中において、走査システムは、斜めのライン27によりリンクされる平行な水平ライン26に沿って、ガイド束11の近位端から複数のファイバーのうちの一つに励起光ビームを順に誘導する。水平ライン26は、同じファイバーに周期毎に一度以上励起光ビームを誘導するに充分近接しているが、三つのガイドと、二つの走査されたガイド2,3の全てのファイバー内に、励起光ビームを誘導するに充分な程は近接していない。斜めのライン27によってリンクされる水平ライン26は、一つの水平ライン26がラスターによって走査される二つのガイド2,3を通常走査するように、ガイド2,3に共通のフレームを構成する。従って、二つの走査されるイメージガイド2,3は、一周期に亘ってほぼ同時に走査される。一周期中に或るガイドの或るファイバーのみを走査することにより、走査周期を数ミリ秒にまで減少させることを可能にする。
【0050】
勿論、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に対して様々な調整を加えることができる。本発明による装置において、使用されるイメージガイドの数、ガイドのファイバーの直径及びガイド毎のファイバーの数は様々に変更させることが可能である。本発明による装置は、分光学、蛍光イメージング、反射イメージング又は多光子イメージングのような様々な分野に適応可能である。多光子イメージングのフレームワーク内に、本発明による装置は、ファイバーの起こりうる分散効果を補償するための事前補償手段を有していてもよい。その事前補償手段は、ガイドが同じ分散特性を有しているという条件の下で、イメージガイドの近位端に配置することができる。更に、イメージガイドの近位端は、必ずしもガイド束の形態で走査システムに接続させる必要はなく、走査システムとは分離してカップリングさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による装置の第一の実施形態を示した図である。
【図2】本発明による装置の第一の実施形態の複数のイメージガイドのうちの一つの横断面図である。
【図3】本発明による装置の第一の実施形態のイメージガイド束の横断面図である。
【図4】本発明による装置の第二の実施形態のイメージガイド束の横断面図である。
【図5】本発明による方法の第一の実施形態の走査を示す図である。
【図6】本発明による方法の第二の実施形態の走査を示す図である。
【図7】本発明による方法の第三の実施形態の走査を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ又はそれ以上の光ファイバー(12)によってリンクされた、近位端と遠位端との二つの端を夫々有する複数の光ガイド(1,2,3)と、前記近位端に光学的に連結され且つ前記光ガイドの複数のファイバーのうちの一つを含むガイドの近位端から、前記一つのファイバーに順に励起光ビームを誘導するように配置された走査システム(4)とを有し、各ガイドの遠位端が、他のガイドの遠位端と分離されていることを特徴とする、内視鏡検査装置。
【請求項2】
前記光ガイド(1,2,3)の近位端が組み合わされて、光ガイド束(11)を構成していることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡検査装置。
【請求項3】
ガイド束(11)の近位端を前記走査システム(4)に接続させるための手段(6)を更に有していることを特徴とする、請求項2に記載の内視鏡検査装置。
【請求項4】
励起光ビームを発する光源を更に有していることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の内視鏡検査装置。
【請求項5】
複数の光ガイド(1,2,3)のうちの一つの遠位端に配置された光学ヘッド(7,8,9)を有していることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の内視鏡検査装置。
【請求項6】
複数の光ガイドのうちの一つの遠位端において集光される光ビームを検出するための手段を更に有していることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の内視鏡検査装置。
【請求項7】
励起光ビームが誘導される光ガイド(1,2,3)に依存して、励起光ビームのスペクトル面積を変化させるための手段を更に有していることを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の内視鏡検査装置。
【請求項8】
複数の光ガイド(1,2,3)のうちの一つの遠位端において複数のファイバーによって集光される一組の光ビームを抽出するための手段を更に有していることを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の内視鏡検査装置。
【請求項9】
集光された一組の光ビームから画像を構成するための手段を更に有していることを特徴とする、請求項8に記載の内視鏡検査装置。
【請求項10】
画像を表示するための手段(5)を更に有していることを特徴とする、請求項9に記載の内視鏡検査装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の内視鏡検査装置において実施される内視鏡検査方法であって、
複数の光ガイド(1,2,3)を走査システム(4)にカップリングさせる工程と、
前記走査システムによって前記ガイドを走査する工程を含み、
前記光ガイドの各々が、一つ又はそれ以上の光ファイバー(12)によってリンクされた近位端と遠位端との二つの端を有し、各ガイドの遠位端が他のガイドの遠位端から分離され、
前記走査により、前記一つのファイバーを含むガイドの近位端から前記一つのファイバーに励起光ビームを順に誘導する、内視鏡検査方法。
【請求項12】
複数の光ガイド(1,2,3)のうちの一つの遠位端において光ビームを集光する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項11に記載の内視鏡検査方法。
【請求項13】
集光された光ビームを検出する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項12に記載の内視鏡検査方法。
【請求項14】
各ファイバーとファイバーの遠位端において集光される光ビームを検出する検出器のピクセルとの間の対応テーブルを作り出す工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項13に記載の内視鏡検査方法。
【請求項15】
前記走査を周期的に実施し、ファイバーの遠位端において集光されるビームを検出する一走査周期中に、各ファイバーと適時のモーメントとの間の対応テーブルを作り出す工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項13又は14に記載の内視鏡検査方法。
【請求項16】
励起光ビームが誘導される光ガイド(1,2,3)に依存して励起光ビームのスペクトル面積を変化させる工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項11〜15の何れか一項に記載の内視鏡検査方法。
【請求項17】
前記走査を周期的に実施することを特徴とする、請求項11〜16の何れか一項に記載の内視鏡検査方法。
【請求項18】
一走査周期中に、走査によって、複数の光ガイドに共通のフレームに沿って励起光ビームを誘導させることを特徴とする、請求項17に記載の内視鏡検査方法。
【請求項19】
一走査周期中に、走査によって、特定の光ガイドを走査する連続した複数のフレームに沿って励起光ビームを誘導させることを特徴とする、請求項17に記載の内視鏡検査方法。
【請求項20】
走査によって、励起光ビームを平行なライン(20,24,26)に沿って誘導させることを特徴とする、請求項11〜19の何れか一項に記載の内視鏡検査方法。
【請求項21】
走査によって、励起光ビームを光ガイド(1,2,3)のうちの特定の光ガイドの特定のファイバーにのみ誘導させることを特徴とする、請求項11〜20の何れか一項に記載の内視鏡検査方法。
【請求項22】
複数の光ガイド(1,2,3)のうちの一つの遠位端において複数のファイバーにより集光される一組の光ビームを抽出する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項11〜20の何れか一項に記載の内視鏡検査方法。
【請求項23】
集光された一組の光ビームから画像を構成する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項22に記載の内視鏡検査方法。
【請求項24】
画像を表示する工程を更に含んでいることを特徴とする、請求項23に記載の内視鏡検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−536863(P2009−536863A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510493(P2009−510493)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000799
【国際公開番号】WO2007/132085
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(506250745)マウナ キア テクノロジーズ (6)
【Fターム(参考)】