内視鏡洗浄管理システム及び内視鏡洗浄管理方法
【課題】内視鏡の洗浄レベルを確実に確保し、十分な消毒効果を得ることを可能にする。
【解決手段】前回の洗浄回数QA、QBに応じて洗浄方法が異なる2種類の洗浄処理(第1及び第2の洗浄処理)の中から内視鏡の洗浄を行う洗浄処理が選択される。また、各洗浄処理で洗浄が行われた後は内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には再洗浄が指示される。これにより、内視鏡に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡の洗浄が不十分な場合でも内視鏡に付着した汚れを確実に除去することができる。その結果、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。
【解決手段】前回の洗浄回数QA、QBに応じて洗浄方法が異なる2種類の洗浄処理(第1及び第2の洗浄処理)の中から内視鏡の洗浄を行う洗浄処理が選択される。また、各洗浄処理で洗浄が行われた後は内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には再洗浄が指示される。これにより、内視鏡に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡の洗浄が不十分な場合でも内視鏡に付着した汚れを確実に除去することができる。その結果、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡洗浄管理システム及び内視鏡洗浄管理方法に係り、特に、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保することができる内視鏡洗浄管理システム及び内視鏡洗浄管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の体腔内の検査や治療に使用される医療機器として、内視鏡が知られている。内視鏡は、体腔内に挿入される挿入部を備えている。挿入部は、可撓性を有する棒状体であり、体腔内を撮影する撮影部と、処置具が挿通される鉗子チャンネル等の各種チャンネル(以下、内視鏡管路ともいう。)を備えている。使用後の内視鏡は、挿入部の外表面と、挿入部内に設けられた各チャンネル内に体液や汚物が付着している。体液や汚物に含まれる病原菌やウイルスは院内感染の原因となるので、使用後の内視鏡は、必ず洗浄、消毒されている。
【0003】
内視鏡の洗浄、消毒を効率的に行うため、内視鏡洗浄消毒装置が利用されている。内視鏡洗浄消毒装置は、使用後の内視鏡を洗浄槽に収容し、洗浄工程、消毒工程、すすぎ工程を自動的に行う。
【0004】
洗浄工程は、内視鏡に水、洗剤等を噴射して外表面及び各チャンネル内に付着した体液や汚物を洗い流す。洗浄工程で使用された水は、内視鏡洗浄消毒装置の外に排出される。消毒工程は、消毒液中に内視鏡を浸漬させ、洗浄工程で除去されなかった病原菌やウイルスを除去し、または病原性を消失させる。消毒工程で使用された消毒液は、消毒液が貯えられている消毒液タンクに戻される。すすぎ工程は、洗浄工程と消毒工程の後に行われ、内視鏡に付着した洗浄後の水、または消毒液を清浄な水ですすぐ。
【0005】
その一方で、特許文献1には、内視鏡の洗浄、消毒の処理が適切に行なわれたか否かを評価するための技術が開示されている。具体的には、使用後の内視鏡が、内視鏡洗浄消毒装置により洗浄、消毒された後、内視鏡管路に剥離液を注入して、剥離液に含まれる菌をフィルタで捕捉し、この菌を培養して観察することにより、内視鏡管路の品質(清浄性)の評価を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−195554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の内視鏡洗浄消毒装置では、内視鏡の品質評価は行われていないため、1回の処理で十分な効果が得られるように過剰な洗浄、消毒が行われる場合もあり、コストアップを招く要因となっている。また、そのような場合、内視鏡にダメージを与えてしまい、内視鏡の使用寿命を縮めてしまうことも懸念される。
【0008】
これに対して、特許文献1には、上述のように内視鏡の洗浄、消毒の処理が適切に行なわれたか否かを評価するための技術が開示されているが、その品質が不十分と判定された場合に具体的にどのような処理を行うのかは全く開示されていない。
【0009】
また、洗浄により粘膜や血液などの湿性物質を大部分除去した上で、その後に行われる消毒で感染性微生物の殺菌を行うことで効果的な消毒を実現することができる。即ち、消毒液がその効果を発揮するためには、前段階の洗浄レベルが重要であるが、特許文献1では、洗浄後の内視鏡に対して洗浄評価を行うことについては何も考慮されていない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保し、十分な消毒効果を得ることができる内視鏡洗浄管理システム及び内視鏡洗浄管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の内視鏡洗浄管理システムは、内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄手段と、前記第1の洗浄手段とは異なる方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄手段と、前記第1又は第2の洗浄手段で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数を洗浄手段毎に管理する洗浄履歴管理手段と、前記内視鏡の洗浄が前回実施されたときの前回洗浄回数を洗浄手段毎に取得する洗浄履歴取得手段と、前記洗浄履歴取得手段で取得された前記前回洗浄回数に基づいて前記第1の洗浄手段及び前記第2の洗浄手段の中から前記内視鏡の洗浄を行う洗浄手段を選択する選択手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗浄方法が異なる2種類の洗浄手段を備え、前回の洗浄回数に応じて2種類の洗浄手段の中から内視鏡の洗浄を行う洗浄手段が選択される。このように前回の洗浄回数に基づいて洗浄手段を選択することにより、内視鏡の状態(汚れの落としやすさ)に応じた適切な洗浄手段で洗浄が行われる。また、各洗浄手段で洗浄が行われた後は内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には再洗浄が指示される。これにより、内視鏡に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡の洗浄が不十分な場合でも内視鏡に付着した汚れを確実に除去することができる。その結果、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。また、洗浄で内視鏡に与えるダメージを抑えて、内視鏡の使用寿命を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】内視鏡洗浄管理システムの一実施形態を示す概略構成図
【図2】洗浄装置の電気的構成を示したブロック図
【図3】洗浄装置の第1の動作例を示したフローチャート図
【図4】洗浄装置の第2の動作例を示したフローチャート図
【図5】洗浄装置の第3の動作例を示したフローチャート図
【図6】洗浄回数と使用可能時間との対応関係の一例を示した図
【図7】内視鏡プロセッサの動作例を示したフローチャート図
【図8】洗浄装置の第4の動作例を示したフローチャート図
【図9】洗浄回数と再洗浄回数との対応関係の一例を示した図
【図10】洗浄装置の第5の動作例を示したフローチャート図
【図11】洗浄装置の第6の動作例を示したフローチャート図
【図12】洗浄装置の第7の動作例を示したフローチャート図
【図13】前回の洗浄回数から第1の洗浄処理の実施可否を決定するための判断テーブルの一例を示した図
【図14】洗浄装置の第8の動作例を示したフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る内視鏡洗浄管理システムの一実施形態を示す概略構成図である。図1に示すように、本実施形態の内視鏡洗浄管理システム1は、主に内視鏡プロセッサ10、洗浄履歴管理サーバ(以下、単に「管理サーバ」という。)20、内視鏡洗浄消毒装置(以下、単に「洗浄装置」という。)30から構成される。
【0016】
これらの内視鏡プロセッサ10、管理サーバ20、及び洗浄装置30等の各機器は、例えば院内LAN等のネットワークによって互いに接続されており、それぞれデータの送受信を行えるようになっている。なお、各機器は必ずしもLANによって接続されている必要はなく、例えば互いに直接通信することによってデータのやり取りができるようになっていればよい。また、このとき全ての機器が互いに通信可能である必要はなく、少なくとも管理サーバ20と、内視鏡プロセッサ10及び洗浄装置30とがそれぞれ通信可能であればよい。
【0017】
なお、図1では、内視鏡12、内視鏡プロセッサ10及び洗浄装置30はそれぞれ一つずつしか表示されていないが、複数設置されていてもよい。
【0018】
通常、内視鏡プロセッサ10は内視鏡検査が行われる検査室に設置され、洗浄装置30は内視鏡12の洗浄が行われる洗浄室に設置されている。また、内視鏡検査前が行われる前の内視鏡12は保管庫に保管されており、内視鏡検査を行う際に保管庫から搬出されて、検査室で内視鏡プロセッサ10と接続されて検査が行われる。このとき、内視鏡プロセッサ10も保管庫に保管しておいて、内視鏡12と共に検査室に搬出して用いるようにしてもよい。検査終了後には、内視鏡12は内視鏡プロセッサ10から取り外されて洗浄室に運ばれて洗浄装置30によって洗浄が行われる。洗浄後の内視鏡12は保管庫に保管される。
【0019】
内視鏡12は、詳しい図示は省略するが、体腔内に挿入される挿入部と、挿入部の基端部分に連設され、把持部を兼ねる操作部によって構成される。挿入部の先端には体腔内の被観察部位を撮像するCCD等からなる撮影ユニットが内蔵されている。そして、検査時には内視鏡12が内視鏡プロセッサ10に接続されて内視鏡検査が行われる。このとき、内視鏡12は、内視鏡12の操作部の側壁から延びるコードの先端部に設けられたコネクタによって、内視鏡プロセッサ10及び内視鏡プロセッサ10に併設された照明装置(図示省略)に着脱自在に接続される。
【0020】
また、内視鏡12は、RFID(Radio Frequency Identification)タグ14を有しており、このRFIDタグ14によって各機器あるいはオペレータが有する携帯端末との間で情報の授受が可能であり、これによって内視鏡12は個別に識別可能となっている。RFIDタグ14は、内視鏡12のID(内視鏡固有の識別情報)が記憶されるICチップと、このICチップに電気的に接続され、各機器あるいはオペレータの携帯端末との間で無線(非接触)でデータのやり取りを行うループアンテナとを備えている。
【0021】
内視鏡プロセッサ10は、内視鏡12の挿入部に内蔵されたCCD等からなる撮影ユニットが撮影して出力された画像信号に基づいて内視鏡画像を生成し、図示を省略した付属のモニタに表示するとともに記録するものである。
【0022】
洗浄装置30は、箱状の装置本体の上面に蓋のついた洗浄槽が設けられ、使用済みの内視鏡12を収容して、RFIDタグ14により洗浄対象の内視鏡12のID(内視鏡固有の識別情報)を取得して、洗浄、消毒、すすぎ、乾燥などの各種処理を施して、内視鏡12を洗浄、消毒するものである。
【0023】
管理サーバ20は、内視鏡12の洗浄、消毒に関する履歴情報(以下、洗浄情報という。)を保持し、LANを介して内視鏡プロセッサ10、洗浄装置30と通信を行い、内視鏡検査及び検査後の内視鏡12の洗浄を管理するものである。
【0024】
内視鏡12、内視鏡プロセッサ10及び洗浄装置30等の各機器は、管理サーバ20により各機器間の関連付けが制御されるようになっている。
【0025】
図2は、洗浄装置30の電気的構成を示したブロック図である。図2に示すように、洗浄装置30は、装置全体を統括的に制御するCPU32と、制御プログラムや各種データが記憶されたROM34と、ROM34から読み出された制御プログラムの実行領域であるRAM36と、内視鏡12のRFIDタグ14と通信して内視鏡12のIDを読み込むRFIDリーダ40と、LANを介して各機器(管理サーバ20等)と通信を行う通信部42とを備えている。また、CPU32には、操作パネル44、表示パネル46を駆動するLCDドライバ48、モータドライバ50、弁ドライバ52、液面センサ54、温度センサ56、洗浄評価手段58、消毒評価手段60等が接続されている。
【0026】
モータドライバ50は、水、洗剤、消毒液等を洗浄槽等に供給するポンプのモータを駆動する。弁ドライバ52は、水、洗剤、消毒液等を洗浄槽等に供給したり、廃液口に流れ込んだ使用済みの消毒液を消毒液タンクに戻す際などに駆動される各電磁弁を制御する。液面センサ54は、洗浄槽内に貯えられた液体の液面位置を検出する。温度センサ56は、洗浄槽内に貯えられた液体の温度を検出する。
【0027】
洗浄評価手段58は、洗浄後の内視鏡12の汚れ具合を検出し、その検出結果に基づいて内視鏡12の再洗浄が必要か否かを判定するものである。
【0028】
消毒評価手段60は、消毒後の内視鏡12に付着している菌の残存度合いを検出し、その検出結果に基づいて内視鏡12の再消毒が必要か否かを判定するものである。
【0029】
洗浄装置30は、内視鏡12の洗浄を実行する毎に、その洗浄に関する洗浄情報を生成し、管理サーバ20に送信する。管理サーバ20には、例えば洗浄情報が内視鏡12のID毎に記憶される。この洗浄情報には、内視鏡12のID、洗浄装置30のID、内視鏡12を洗浄した日付、洗浄を開始した時刻(洗浄開始時刻)、洗浄を終了した時刻(洗浄終了時刻)、洗浄担当者の名前、洗浄時間、消毒時間、洗剤名、消毒液名、消毒液温度、洗浄回数、消毒回数、総洗浄回数、総消毒回数、使用した洗浄プログラムなどの項目がある。
【0030】
洗浄装置30のIDは、例えば内視鏡12のIDと同様に、個々の洗浄装置30に付された識別情報である。洗浄担当者は、内視鏡12を洗浄装置30に投入し、洗浄消毒の開始を指示したスタッフである。洗浄担当者の名前は、例えば操作パネル44から入力される。洗浄装置30にカードリーダを設けて、IDカードから洗浄担当者の名前やID番号を読み取るようにしてもよい。時間、時刻等は、CPU32のシステムタイマから取得される。洗剤名、消毒液名は、予め設定された情報が読み出される。消毒液温度は、洗浄槽に設けられ、洗浄槽内に供給された消毒液の温度を検出する温度センサ56から取得される。
【0031】
洗浄回数は、後述する洗浄評価に合格するまでに反復実施された洗浄処理の回数である。同様に、消毒回数は、後述する消毒評価に合格するまでに消毒処理が反復実施された回数である。
【0032】
総洗浄回数は、内視鏡12がこれまでに実施された洗浄処理の回数の合計である。同様に、総消毒回数は、内視鏡12がこれまでに実施された消毒処理の回数の合計である。
【0033】
本例の洗浄情報の項目は、1例であり、上記項目がすべて含まれていなくてもよい。また、洗浄情報に、上記項目以外の項目、例えば内視鏡12の型番、製造番号といった項目を加えてもよい。他の項目については、ユーザの要求レベルによって適宜選択される。
【0034】
洗浄プログラムとしては、例えば、A、B、Cの3種類が用意されており、予めROM34に記憶されている。洗浄プログラムAは、洗浄工程及び消毒工程の両方を行うプログラムである。また、洗浄プログラムBは、洗浄工程のみを行い、消毒工程は省略するプログラムである。また、洗浄プログラムCは、消毒工程のみを行い、洗浄工程は省略するプログラムである。
【0035】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0036】
(第1の動作例)
図3は、洗浄装置30の第1の動作例を示したフローチャート図である。以下、図3に従って、洗浄装置30の第1の動作例について説明する。
【0037】
内視鏡12は、検査終了後すぐにシンク等で水洗い(予備洗浄)され、付着している汚物等が乾燥して落ちにくくなる前に洗い流される。予備洗浄後すぐに内視鏡12の洗浄を行えるように、洗浄装置30の電源をオンしておくことが好ましい。洗浄装置30の電源がオンされると、操作パネル44が点灯し、各種コマンドの入力が可能となる。
【0038】
オペレータ(洗浄担当者)は、操作パネル44を操作して、洗浄処理の内容を規定する洗浄プログラムA、B、Cの中からから例えば洗浄プログラムAを選択し、その指示の入力を行う(ステップS10)。CPU32は、入力された指示に基づいて、選択された洗浄プログラムをROM34からRAM36にロードし、実行待機状態になる。
【0039】
次に、内視鏡検査に使用済みの内視鏡12が、洗浄装置30の洗浄槽内に収容され、セッティングされる(ステップS14)。そして、内視鏡管路内も洗浄するため、洗浄槽内に設けられた内視鏡管路内に液体及び気体等の流体を供給するためのポートと、内視鏡12の外表面に開口する管路接続口とをチューブ等を介して接続する。
【0040】
次に、洗浄装置30のRFIDリーダ40によって洗浄槽内に収容された内視鏡12のIDの読み取りが行われる(ステップS14)。RFIDリーダ40で読み取られた内視鏡12のIDは、EEPROM38に記憶される。
【0041】
次に、洗浄槽に蓋をして、処理開始スイッチをオンにすると、洗浄工程が開始される(ステップS16)。洗浄工程では、まず、洗浄回数Nが0にリセットされる(ステップS102)。次いで、洗浄回数Nのインクリメント(即ち、N=N+1)が行われる(ステップS104)。そして、後述する洗浄処理が実施される(ステップS106)。
【0042】
洗浄処理では、まず、水道水が給水ノズルから洗浄槽内に供給されるとともに、洗剤タンク内の洗剤が洗剤供給ノズルから洗浄槽内に供給されることにより、洗浄槽内に水と洗剤とが混合されてなる洗浄液が供給され、この洗浄液が所定水位に達した後、洗浄が開始される。洗浄液は循環しており、その水流により内視鏡12の外表面が洗浄される。
【0043】
また、このとき循環ポンプで吸引した洗浄槽内の洗浄液が各内視鏡管路内にチューブ及び管路接続口を介して導入され、これにより内視鏡管路内は導入された洗浄液の水圧によって洗浄される。
【0044】
洗浄処理が終了すると、洗剤供給ノズルからの洗剤の供給が停止され、給水ノズルから水が洗浄槽内に供給されることにより、すすぎ処理が開始される(ステップS108)。このとき、洗浄液と同様に水を洗浄槽内及び内視鏡管路内を循環させて、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内のすすぎを行い、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内に残っている洗浄液が除去される。
【0045】
すすぎ処理が終了すると、内視鏡12に対する洗浄評価が実施される(ステップS110)。洗浄評価の方法としては、例えばATP(アデノシン三リン酸)測定法、色素染色法、潜血反応法、培養法、過酸化水素反応法、ニンヒドリン法等があり、これらの中でもATP測定法が好ましく用いられる。
【0046】
ATP測定法では、検査対象である内視鏡12に拭き取り部材(例えば綿棒等)を直接接触させて拭き取りを行い、これに発光試薬を添加することでATPを発光させる。そして、この発光量を測定することにより、ATP量、即ち、内視鏡12の汚れ具合を検出することができる。これにより、内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを迅速且つ正確に判定することが可能となる。
【0047】
上記のような内視鏡12の拭き取り検査を行う代わりに、すすぎ処理で使用された水(即ち、すすぎ液)の一部をサンプリングして、拭き取り部材が用いられる場合と同様にして、ATP量を測定することで内視鏡12の汚れ具合を検出することができる。
【0048】
このように検出された内視鏡12の汚れ具合の判定方法としては、発光量(即ち、ATP量)の値による絶対評価でもよいし、所定の基準値或いは測定値との相対評価でもよい。
【0049】
図2に示した洗浄評価手段58は、上記のようなATP測定法を用いて洗浄評価を実施するものであり、CPU32の制御に従って、拭き取り部材による拭き取り、各種試薬の添加、ATP発光量の測定等を行う。
【0050】
なお、洗浄装置30は、必ずしも洗浄評価手段58を備えている必要はなく、オペレータがオフラインで内視鏡12に対する洗浄評価を実施するようにしてもよい。例えばオフラインで内視鏡12に対する洗浄評価を行う場合には、オペレータによって拭き取り部材による拭き取りや各種試薬の添加が行われ、所定の測定器を用いてATP発光量が測定され、その発光量から内視鏡12の洗浄評価が判定される。
【0051】
洗浄評価の結果、内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS110でNGの場合)、内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たすまでステップS104からステップS110までの処理が繰り返し行われる。
【0052】
一方、内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS110でOKの場合)、後述する消毒工程が開始される(ステップS18)。
【0053】
消毒工程では、まず、消毒回数Mが0にリセットされる(ステップS112)。次いで、洗浄回数Mのインクリメント(即ち、M=M+1)が行われる(ステップS114)。そして、消毒液供給ノズルから消毒液を洗浄槽内に消毒液が供給され、洗浄液と同様に消毒液を洗浄槽内及び内視鏡管路内を循環させることにより、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内の消毒が行われる。消毒液としては、過酢酸、過酸化水素水、グルタラール、フタラール、電解酸性水、オゾン水等を用いることができる。
【0054】
消毒工程が終了すると、洗浄工程のすすぎ処理(ステップS108)と同様のすすぎ処理(ステップS118)が実施され、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内に残っている消毒液が除去される。
【0055】
次に、消毒後の内視鏡12に対する消毒評価が実施される(ステップS120)。消毒評価の方法としては特に限定されるものではないが、蛍光染色フィルタ法が好ましく用いられる。蛍光染色フィルタ法は、培養を必要としない非培養的な生菌検出が可能な方法であり、迅速に生菌数の測定を行うことができる。これにより、内視鏡12の消毒レベルが所定基準を満たしているか否かを迅速且つ正確に判定できる。
【0056】
消毒評価の結果、内視鏡12の消毒レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS120でNGの場合)、消毒レベルが所定基準を満たすまでステップS114からステップS120までの処理が繰り返し行われる。
【0057】
一方、内視鏡12の消毒レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS120でOKの場合)、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内に、洗浄液や消毒液の供給と同様に空気又はアルコールを供給することにより、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内の乾燥を促進させる乾燥工程が実施される(ステップS20)。
【0058】
乾燥工程が終了すると、表示パネル46には、指定した洗浄プログラムの全工程が完了したことを知らせるメッセージ等が表示されるとともに、今回の洗浄情報(内視鏡12のID、洗浄回数、消毒回数、洗浄終了時刻等)が管理サーバ20に送信される(ステップS22)。管理サーバ20は、内視鏡12のIDに対応する洗浄情報を更新する。つまり、内視鏡12の洗浄、消毒が行われると、管理サーバ20で管理される洗浄情報が更新される。
【0059】
その後、洗浄槽の蓋が開放され、洗浄槽から内視鏡12が取り出される(ステップS24)。
【0060】
このように第1の動作例によれば、内視鏡12の洗浄工程において洗浄評価に合格するまで洗浄処理が反復実施されるので、内視鏡12に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡12の洗浄が不十分な場合でも再洗浄により内視鏡に付着した汚れを除去することができる。これにより、内視鏡12の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。
【0061】
また、内視鏡12の消毒工程において消毒評価に合格するまで消毒処理が反復実施されるので、内視鏡12の消毒が不十分な状態で使用されることを未然に防ぐことができ、内視鏡12に対する安全性、信頼性を確保することができる。
【0062】
(第2の動作例)
図4は、洗浄装置30の第2の動作例を示したフローチャート図である。図4中、図3と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0063】
第2の動作例では、内視鏡12の洗浄工程(ステップS16)が実施される前に洗浄前評価が実施される(ステップS26)。洗浄前評価は、ステップS110の洗浄評価と同様にして実施される。これにより、ステップS110の洗浄評価において、洗浄前評価で検出された内視鏡12の汚れ具合と相対評価を行うことによって、内視鏡12に対する洗浄効果を確認することができる。
【0064】
また、第2の動作例では、洗浄前評価で検出された内視鏡12の汚れ具合を表示パネル46等の表示手段に表示するようにしてもよい。表示方法としては汚れ具合を示す指標値(例えばATP量或いは発光量等)を数値で表示してもよいし、複数のレベルで段階的に表示してもよい。これにより、内視鏡検査後にすぐに行われる予備洗浄が適切に行われているか否かをオペレータが容易に把握することが可能となり、予備洗浄の適正化を図ることができる。その結果、洗浄装置30による洗浄効率も向上し、内視鏡12の清浄性をさらに高めることが可能となる。
【0065】
(第3の動作例)
図5は、洗浄装置30の第3の動作例を示したフローチャート図である。図5中、図3と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0066】
第3の動作例では、図5に示すように、ステップS110の洗浄評価に合格した後、洗浄回数Nに応じて内視鏡12の使用可能時間が決定される(ステップS28)。内視鏡12の使用可能時間とは、洗浄が行われた内視鏡12を安全に使用することができる時間(再洗浄不要時間)のことである。つまり、洗浄が行われてから使用可能時間を経過した内視鏡12は再洗浄することが必要となる。
【0067】
ここで、洗浄回数Nと使用可能時間との対応関係の一例を図6に示す。図6に示した例では、洗浄回数Nが1、2、3、4回の場合には、それぞれ48、24、12、6時間に設定される。これは、洗浄評価に合格するまでの洗浄回数Nが多い場合には汚れを落としにくい内視鏡12と判断されることから、洗浄回数Nが増加するにつれて使用可能時間を短くして短い間隔で洗浄が行われるようになっている。
【0068】
このような洗浄回数Nと使用可能時間との対応関係は、データテーブルとしてEEPROM38に記憶されている。CPU32は、EEPROM38に記憶されているデータテーブルを参照することにより、洗浄回数Nから内視鏡12の使用可能時間を決定する。決定された使用可能時間はEEPROM38に記憶され、洗浄情報の一部として管理サーバ20に送信される(ステップS24)。
【0069】
なお、上記データテーブルを管理サーバ20に記憶させておき、管理サーバ20が洗浄装置30から取得した洗浄回数Nに基づいて内視鏡12の使用可能時間を決定するようにしてもよい。
【0070】
ここで、内視鏡プロセッサ10の動作例を示したフローチャートを図7に示す。図7に示すように、まず、内視鏡12が内視鏡プロセッサ10に接続される(ステップS50)。次いで、内視鏡プロセッサ10のRFIDリーダ(不図示)によって内視鏡12のIDの読み取りが行われる(ステップS52)。
【0071】
次に、内視鏡12のIDが管理サーバ20に送信され、管理サーバ20から内視鏡12のIDに対応する洗浄情報が取得される(ステップS54)。このとき、管理サーバ20から取得された洗浄情報には、少なくとも内視鏡12の使用可能時間と洗浄終了時刻が含まれているものとする。
【0072】
次に、内視鏡12の洗浄後の経過時間(現在時刻−洗浄終了時刻)が使用可能時間内か否かの判断が行われる(ステップS56)。内視鏡12の洗浄後の経過時間が使用可能時間を超えていない場合(ステップS56でYesの場合)、内視鏡12の使用を許可する処理を行い、使用可能表示を内視鏡プロセッサ10又は付属のモニタに行うとともに内視鏡検査を開始可能な状態とする(ステップS58)。
【0073】
一方、内視鏡12の洗浄後の経過時間が使用可能時間を超えている場合(ステップS56でNoの場合)、内視鏡12の使用を禁止する処理を行い、使用不可表示を内視鏡プロセッサ10又は付属のモニタに行うとともに内視鏡検査を開始不可能な状態にする(ステップS60)。この場合、内視鏡12は内視鏡プロセッサ10から取り外されて洗浄室に運ばれて洗浄装置30によって洗浄が行われる。
【0074】
第3の動作例によれば、洗浄評価に合格するまでの洗浄回数Nに応じて内視鏡12の使用可能時間が設定され、内視鏡12の洗浄が行われてからの経過時間が使用可能時間を超えている場合には内視鏡12の使用が禁止され、内視鏡検査の開始が不可能な状態となる。このため、内視鏡12が使用可能時間を越えて使用されることを確実に防止することができ、内視鏡12に対する安全性、信頼性を向上させることができる。
【0075】
(第4の動作例)
図8は、洗浄装置30の第4の動作例を示したフローチャート図である。図8中、図3又は図5と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0076】
第4の動作例では、図8に示すように、ステップS110の洗浄評価に合格した後、洗浄回数Nに応じて再洗浄回数Pが設定される(ステップS122)。そして、ステップS106とステップS108と同様にして、洗浄処理とすすぎ処理がP回繰り返し行われる(ステップS124)。
【0077】
ここで、洗浄回数Nと再洗浄回数Pとの対応関係の一例を図9に示す。図9に示した例では、洗浄回数Nが3回以下の場合における再洗浄回数Pは0回である。これに対して、洗浄回数Nが4回以上の場合における再洗浄回数Pは1回以上となり、洗浄回数Nが多くなるにつれて再洗浄回数Pも多くなる。洗浄評価に合格するまでの洗浄回数Nが多い内視鏡12は、洗浄によって汚れを落としにくい構造又は材質を有するものと判断される。このため、洗浄回数Nが多い内視鏡12に対しては、洗浄評価に合格しても予防保全の観点から再洗浄を所定回数行うことにしている。
【0078】
このように第4の動作例によれば、洗浄評価に合格しても洗浄回数Nが多い内視鏡12に対しては再洗浄が追加で実施される。これにより、内視鏡12に対する清浄性をより確実に確保することが可能となる。
【0079】
(第5の動作例)
図10は、洗浄装置30の第5の動作例を示したフローチャート図である。図10中、図3又は図5と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0080】
第5の動作例では、図10に示すように、ステップS14で内視鏡12のIDの読み取りが行われた後、内視鏡12のIDが管理サーバ20に送信され、管理サーバ20から内視鏡12のIDに対応する洗浄情報が取得される(ステップS30)。このとき取得される洗浄情報には、内視鏡12が前回洗浄されたときの洗浄回数Qが含まれているものとする。
【0081】
また、管理サーバ20から取得される洗浄情報には、これまでに内視鏡12の洗浄処理が行われた回数の合計を示す総洗浄回数が含まれていることが好ましい。総洗浄回数が所定回数以上の場合には、表示パネル46に内視鏡12のメンテナンスが必要であることを知らせるメッセージ等を表示することにより、オペレータは、内視鏡12のメンテナンス時期であることを把握することができる。また、総洗浄回数に限らず、前回の洗浄回数Qに応じてメッセージを表示するようにしてもよい。
【0082】
次に、前回の洗浄回数Qが規定回数(例えば4回)以上であるか否かの判断が行われる(ステップS126)。前回の洗浄回数Qが規定回数以上の場合(ステップS126でYesの場合)、ステップS106とステップS108と同様にして、洗浄処理とすすぎ処理がR回(例えばQ−2回)繰り返し行われる(ステップS128)。
【0083】
一方、前回の洗浄回数Qが規定回数未満の場合(ステップS126でNoの場合)、まず、洗浄回数Nが0にリセットされる(ステップS102)。そして、第1の動作例と同様にして、ステップS110の洗浄評価に合格するまで、洗浄回数Nのインクリメント(ステップS104)、洗浄処理(ステップS106)、すすぎ処理(ステップS108)が反復実施される。
【0084】
また、第3の動作例と同様にして、ステップS110の洗浄評価に合格した後、洗浄回数Nに応じて内視鏡12の使用可能時間が決定される(ステップS28)。このとき、洗浄回数NにRを加算した値に応じて内視鏡12の使用可能時間を決定することが好ましい。
【0085】
第5の動作例によれば、前回の洗浄回数Qが規定回数以上の内視鏡12に対しては、洗浄評価を行うことなく洗浄処理とすすぎ処理を所定回数実施した後、前回の洗浄回数Qが規定回数未満の内視鏡12と同様にして、洗浄評価に合格するまで洗浄処理とすすぎ処理が反復実施される。このように前回の洗浄回数Qに応じて洗浄評価を一部省略することにより、内視鏡12の洗浄評価に要する時間の短縮化を行うことができ、全体処理の効率化を図ることができる。
【0086】
(第6の動作例)
図11は、洗浄装置30の第6の動作例を示したフローチャート図である。図11中、図3又は図5と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0087】
第6の動作例では、図11に示すように、内視鏡12のIDの読み取りが行われた後(ステップS14)、洗浄回数NA、NBがそれぞれ0にリセットされる(ステップS130)。洗浄回数NA、NBは、後述する第1及び第2の洗浄処理が行われた洗浄回数をそれぞれカウントするための変数である。なお、洗浄装置30は、例えば2種類の洗剤A、Bを選択的に供給可能に構成されており、洗浄方法が異なる2種類の洗浄処理(第1及び第2の洗浄処理)を実施できるようになっているものとする。
【0088】
次に、洗浄回数NAのインクリメントが行われ(ステップS132)、第1の洗浄処理が実施される(ステップS134)。第1の洗浄処理では、内視鏡12に付着した通常の汚れを除去するのに必要な洗浄効果をもたらす洗剤Aが用いられ、洗剤Aによる洗浄時間が通常範囲内であれば内視鏡12にダメージを与えることはないものとする。
【0089】
所定時間の第1の洗浄処理が終了すると、第1の動作例のすすぎ処理(ステップS108)と同様にして、すすぎ処理が実施される(ステップS136)。
【0090】
次に、内視鏡12に対する洗浄評価が実施される(ステップS138)。洗浄評価方法としては、第1の実施形態と同様にATP測定法が好ましく用いられる。洗浄評価の結果、洗浄レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS138でOKの場合)、ステップS18の消毒工程が開始される。一方、洗浄レベルが所定基準に満たない場合(ステップS138でNGの場合)、以下の処理が実施される。
【0091】
まず、洗浄回数NBのインクリメントが行われ(ステップS140)、次いで、第2の洗浄処理が実施される(ステップS142)。第2の洗浄処理では、内視鏡12に付着した頑固な汚れを除去するのに必要な洗浄効果をもたらす洗剤Bが用いられる。洗剤Bは、第1の洗浄処理で用いられる洗剤Aとは洗浄機構(即ち、有効主成分)が異なり、洗剤Aよりも洗浄効果は高いが、洗剤Bを使用しすぎると内視鏡12にダメージを与える可能性がある。また、上記のような効果を有する洗剤Bは、一般に洗剤Aよりも単価が高く、洗剤Bを使用しすぎると洗浄装置30のランニングコストの増加を招く要因ともなる。つまり、洗剤Bは、洗剤Aよりも洗剤効果は高いが各種弊害があることから、その使用はなるべく最小限に抑えることが好ましい。
【0092】
洗剤Aと洗剤Bの組合せとしては、例えば、アルカリ性洗剤と酵素系洗剤、弱アルカリ性洗剤と強アルカリ性洗剤などがある。
【0093】
第2の洗浄処理が終了すると、第1の動作例のすすぎ処理(ステップS108)と同様にして、すすぎ処理が実施される(ステップS144)。
【0094】
次に、内視鏡12に対する洗浄評価が実施される(ステップS146)。洗浄評価方法としては、第1の実施形態と同様にATP測定法が好ましく用いられる。洗浄評価の結果、洗浄レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS146でOKの場合)、ステップS18の消毒工程が開始される。一方、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS146でNGの場合)、ステップS138又はステップS146の洗浄評価に合格するまでステップS132からステップS146の処理が繰り返し行われる。
【0095】
このように第6の動作例によれば、洗浄後の内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には異なる方法(本例では洗剤の種類を変える方法)で内視鏡12の再洗浄が行われるので、内視鏡12に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡12の洗浄が不十分な場合でも内視鏡に付着した汚れを確実に除去することができる。これにより、内視鏡12の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。
【0096】
また、異なる2種類の洗剤を用いて洗浄が行われるので、洗浄による内視鏡12のダメージを抑えて内視鏡12の使用寿命を高めることができるとともに、洗浄液のコストダウンを図ることも可能となる。
【0097】
第6の動作例では、上述したように第1及び第2の洗浄処理で用いられる洗剤の種類を変えているが、これに限らず、第1及び第2の洗浄処理で用いられる洗浄液の濃度(洗剤濃度)や洗浄液の温度を変えるようにしてもよい。
【0098】
洗浄液の濃度を変える態様では、第1の洗浄処理として、所定量の洗剤が投入された低濃度の洗浄液を用いて内視鏡12の洗浄が行われる一方で、第2の洗浄処理として、第1の洗浄処理よりも多くの洗剤が投入された高濃度の洗浄液を用いて内視鏡12の洗浄が行われる。
【0099】
洗浄液の温度を変える態様では、第1の洗浄処理として、常温の洗浄液を用いて内視鏡12の洗浄が行われる一方で、第2の洗浄処理として、第1の洗浄処理よりも高温(例えば40℃)の洗浄液を用いて内視鏡12の洗浄が行われる。
【0100】
また、他の態様として、内視鏡12が洗浄液に浸漬される時間(即ち、洗浄時間)を洗浄処理毎に異ならせるようにしてもよい。即ち、第1の洗浄処理では、内視鏡12が洗浄液に所定時間浸漬される一方で、第2の洗浄処理では、内視鏡12が第1の洗浄処理よりも長時間浸漬される。
【0101】
いずれの態様においても、異なる2種類の洗剤が用いられる場合と同様に、洗浄による内視鏡12のダメージを抑えつつ、内視鏡12に付着した汚れを確実に除去することができ、洗浄液のコストダウンを図ることも可能となる。
【0102】
(第7の動作例)
図12は、洗浄装置30の第7の動作例を示したフローチャート図である。図12中、図3、図5、又は図11と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0103】
第7の動作例では、前述の第6の動作例と同様に、洗浄方法が異なる第1及び第2の洗浄処理が実施されるが、前回の洗浄情報に基づいて第1及び第2の洗浄処理の実施可否が判断される点で異なる。
【0104】
具体的には、図12に示すように、ステップS14で内視鏡12のIDの読み取りが行われた後、内視鏡12のIDが管理サーバ20に送信され、管理サーバ20から内視鏡12のIDに対応する洗浄情報が取得される(ステップS30)。このとき取得される洗浄情報には、前回洗浄時において第1及び第2の洗浄処理が実施された洗浄回数QA、QBが含まれるものとする。
【0105】
また、管理サーバ20から取得される洗浄情報には、これまでに第1及び第2の洗浄処理が行われた回数の合計をそれぞれ示す第1及び第2の総洗浄回数が含まれていることが好ましい。例えば、内視鏡12のダメージ状態を大きく左右する第2の総洗浄回数が所定回数以上の場合には、表示パネル46に内視鏡12のメンテナンスが必要であることを知らせるメッセージ等を表示することにより、オペレータは、内視鏡12のメンテナンス時期であることを把握することができる。また、第2の総洗浄回数に限らず、第1の総洗浄回数、或いは、第1及び第2の総洗浄数の合計値でもよい。また、前回の洗浄回数QA、QBに応じてメッセージを表示するようにしてもよい。
【0106】
洗浄工程では、まず、洗浄回数NA、NBがそれぞれ0にリセットされる(ステップS130)。次いで、前回の洗浄回数QA、QBに応じて第1の洗浄処理の実施可否が判断される(ステップS148)。ここで、前回の洗浄回数QA、QBから第1の洗浄処理の実施可否を決定するための判断テーブルの一例を図13に示す。図13に示した例では、前回の洗浄回数QAが3回以下であり、且つ、前回の洗浄回数QBが0回の場合には第1の洗浄処理は実施と判断され、それ以外の場合には第1の洗浄処理は未実施(即ち、第2の洗浄処理を実施)と判断される。
【0107】
第1の洗浄処理は実施と判断された場合(ステップS148でYesの場合)、第6の動作例と同様にして、洗浄回数NAのインクリメント(ステップS132)、第1の洗浄処理(ステップS134)、すすぎ処理(ステップS136)、洗浄評価(ステップS138)が順次実施される。洗浄評価の結果、洗浄レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS138でOKの場合)、消毒工程が開始される(ステップS18)。
【0108】
一方、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS138でNGの場合)、第1の洗浄処理が実施された洗浄回数NAが所定の上限値H(例えばH=5)未満か否かの判断が行われる(ステップS150)。洗浄回数NAが上限値H未満と判断された場合(ステップS150でYesの場合)、ステップS132からステップS138の処理が繰り返し行われる。
【0109】
ステップS150で洗浄回数NAが上限値Hに達したと判断された場合(ステップS150でNoの場合)、又は、ステップS148で第1の洗浄処理は未実施と判断された場合(ステップS148でNoの場合)、洗浄回数NBのインクリメント(ステップS140)、第2の洗浄処理(ステップS142)、すすぎ処理(ステップS144)、洗浄評価(ステップS146)が順次実施される。洗浄評価の結果、洗浄レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS146でOKの場合)、消毒工程が開始される(ステップS18)。一方、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS146でNGの場合)、ステップS146の洗浄評価に合格するまでステップS140からステップS146の処理が繰り返し行われる。
【0110】
第7の動作例によれば、前回の洗浄回数QA、QBに応じて洗浄方法が異なる2種類の洗浄処理(第1及び第2の洗浄処理)の中から内視鏡12の洗浄を行う洗浄処理が選択される。このように前回の洗浄回数QA、QBに基づいて洗浄処理を選択することにより、内視鏡の状態(汚れの落としやすさ)に応じた適切な洗浄処理で内視鏡12の洗浄を行うことが可能となる。また、各洗浄処理で洗浄が行われた後は内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には再洗浄が指示される。これにより、内視鏡12に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡12の洗浄が不十分な場合でも内視鏡12に付着した汚れを確実に除去することができる。その結果、内視鏡12の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。
【0111】
例えば、前回の洗浄回数QA、QBから洗浄で汚れを落としやすい内視鏡12と判断される場合には、内視鏡12へのダメージが少なくコスト的にも優位な第1の洗浄処理が選択され、洗浄評価に合格するまでの洗浄回数が所定回数に達した時点で第2の洗浄処理が実施される。第2の洗浄処理は、第1の洗浄処理と比較して内視鏡12へのダメージが多くコスト的にも不利ではあるが、第1の洗浄処理よりも洗浄効果が高く、内視鏡12に付着した汚れをより確実に除去することができる。一方、前回の洗浄回数QA、QBから洗浄で汚れを落としにくい内視鏡12と判断される場合には、第2の洗浄処理が選択される。このように内視鏡12の状態(汚れの落としやすさ)に応じて洗浄方法を変えることで、内視鏡12に対する洗浄時間の短縮化や洗浄液のコストダウンを図ることできる。また、洗浄で内視鏡12に与えるダメージを抑えて、内視鏡12の使用寿命を高めることができる。
【0112】
(第8の動作例)
図14は、洗浄装置30の第8の動作例を示したフローチャート図である。図14中、図3、図5、又は図11と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0113】
第8の動作例では、図14に示すように、前述した第1〜第7の動作例のいずれか1つの洗浄工程が行われた後(ステップS16)、消毒回数MA、MBがそれぞれ0にリセットされる(ステップS152)。消毒回数MA、MBは、後述する第1及び第2の消毒処理が行われた消毒回数をそれぞれカウントするための変数である。なお、洗浄装置30は、例えば2種類の消毒液A、Bを選択的に供給可能に構成されており、消毒方法が異なる2種類の消毒処理(第1及び第2の消毒処理)を実施することができるようになっているものとする。
【0114】
次に、第1の動作例と同様にして、消毒回数MAのインクリメント(ステップS154)、第1の消毒処理(ステップS156)、すすぎ処理(ステップS158)、消毒評価(ステップS160)が順次実施される。消毒評価の結果、消毒レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS160でOKの場合)、乾燥工程が開始される(ステップS20)。
【0115】
一方、消毒レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS160でNGの場合)、消毒回数MBのインクリメント(ステップS162)、第2の消毒処理(ステップS164)、すすぎ処理(ステップS166)、消毒評価(ステップS168)が順次実施される。消毒評価の結果、消毒レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS168でOKの場合)、乾燥工程が開始される(ステップS20)。一方、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS168でNGの場合)、ステップS160又はステップS168の消毒評価に合格するまでステップS154からステップS168の処理が繰り返し行われる。
【0116】
ここで、第1の消毒処理で用いられる消毒液Aは、第2の消毒処理で用いられる消毒液Bよりも消毒効果が低く、単価が安いものが使用される。例えば、消毒液Aとしてグルタラールが用いられ、消毒液Bとして過酢酸が用いられる。
【0117】
このように第8の動作例によれば、消毒後の内視鏡12の消毒レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する消毒評価が行われ、消毒レベルが所定基準を満たしていない場合には異なる方法(本例では消毒液の種類を変える方法)で内視鏡12の再消毒が行われるので、内視鏡12に対する過剰な消毒を防止しつつ、内視鏡12の消毒が不十分な場合でも内視鏡12に付着した菌を確実に除去或いは病原性を死滅させることができる。これにより、内視鏡12に対する安全性、信頼性を向上させることができる。また、消毒液の無駄な消費を抑えることができ、コストダウンを図ることができる。
【0118】
第8の動作例では、上述したように第1及び第2の消毒処理で用いられる消毒液の種類を変えているが、これに限らず、第1及び第2の消毒処理で用いられる消毒液の濃度や温度を変えるようにしてもよい。
【0119】
消毒液の濃度を変える態様では、第1の消毒処理として、低濃度の消毒液を用いて内視鏡12の消毒が行われる一方で、第2の洗浄処理として、第1の消毒処理で用いられる消毒液よりも高濃度の消毒液を用いて内視鏡12の消毒が行われる。
【0120】
消毒液の温度を変える態様では、第1の消毒処理として、所定温度の消毒液を用いて内視鏡12の消毒が行われる一方で、第2の消毒処理として、第1の消毒処理よりも高温の消毒液を用いて内視鏡12の消毒が行われる。
【0121】
また、他の態様として、内視鏡12が消毒液に浸漬される時間(即ち、消毒時間)を第1及び第2の消毒時間で異ならせるようにしてもよい。即ち、第1の消毒処理では、内視鏡12が消毒液に所定時間浸漬される一方で、第2の消毒処理では、内視鏡12が第1の消毒処理よりも長時間浸漬される。
【0122】
いずれの態様においても、異なる2種類の消毒液が用いられる場合と同様に、消毒による内視鏡12のダメージを抑えつつ、内視鏡12に対する消毒を確実に行うことができ、消毒液のコストダウンを図ることも可能となる。
【0123】
なお、本実施形態では、管理サーバ20が洗浄情報を保持しているが、これに限らず、例えば、少なくとも前回洗浄時の洗浄情報をRFIDタグ14に保持し、洗浄装置30のRFIDリーダ40から読み取ることで、管理サーバ20を介さずに洗浄装置30とデータのやり取りを実施してもよい。
【0124】
また、前回の洗浄回数Nと使用可能時間をRFIDタグ14に保持し、内視鏡プロセッサ10のRFIDリーダ(不図示)から読み取ることで、管理サーバ20を介さずに内視鏡プロセッサ10とデータのやり取りを実施してもよい。
【0125】
以上、本発明の内視鏡洗浄管理システム及び内視鏡洗浄管理方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0126】
<付記>
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0127】
(発明1):内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄手段と、前記第1の洗浄手段で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしてないと判定された場合に前記第1の洗浄手段とは異なる方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄手段と、を備えたことを特徴とする内視鏡洗浄消毒装置。
【0128】
本発明によれば、洗浄後の内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には異なる方法で内視鏡の再洗浄が行われるので、内視鏡に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡の洗浄が不十分な場合でも内視鏡に付着した汚れを確実に除去することができる。これにより、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。
【0129】
(発明2):前記第2の洗浄手段は、前記第1の洗浄手段とは洗浄液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて前記内視鏡の洗浄を行うことを特徴とする発明1に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0130】
本発明は、洗浄液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて内視鏡の再洗浄を行うのが効果的である。
【0131】
(発明3):前記第2の洗浄手段は、前記第1の洗浄手段とは洗浄時間を異ならせて前記内視鏡の洗浄を行うことを特徴とする発明1又は2に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0132】
本発明は、洗浄時間を異ならせて内視鏡の再洗浄を行うのが効果的である。
【0133】
(発明4):前記洗浄評価手段は、ATP測定法を用いて前記内視鏡の汚れ具合を検出する汚れ具合検出手段を備えて構成されることを特徴とする発明1乃至3のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0134】
本発明は、ATP測定法を用いて内視鏡の汚れ具合を検出する態様が好適であり、内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを迅速且つ正確に判定することが可能である。
【0135】
(発明5):前記第1の洗浄手段で洗浄が行われる前の前記内視鏡の洗浄レベルを測定する洗浄前評価手段を備えることを特徴とする発明1乃至4のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0136】
かかる態様によれば、内視鏡の予備洗浄が適切に行なわれたか否かを評価することが可能となる。
【0137】
(発明6):前記洗浄前評価手段の測定結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とする発明5に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0138】
これにより、ユーザ(洗浄担当者等)は、内視鏡の予備洗浄が適切に行なわれたか否かを容易に把握することが可能となる。
【0139】
(発明7):前記内視鏡の消毒を行う第1の消毒手段と、前記第1の消毒手段で消毒された前記内視鏡の消毒レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する消毒評価手段と、前記消毒評価手段で前記内視鏡の消毒レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記第1の消毒手段とは異なる方法で前記内視鏡の消毒を行う第2の消毒手段と、を備えたことを特徴とする発明1乃至6のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0140】
本発明は、内視鏡の洗浄評価だけでなく消毒評価が行われるので、内視鏡に対する過剰な消毒を防止しつつ、内視鏡の消毒が不十分な場合でも内視鏡に残存している菌を確実に除去或いは病原性を死滅させることができる。これにより、内視鏡の洗浄レベルとともに消毒レベルを確実に確保することが可能となり、内視鏡に対する安全性、信頼性を向上させることができる。
【0141】
(発明8):前記第2の消毒手段は、前記第1の消毒手段とは消毒液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて前記内視鏡の消毒を行うことを特徴とする発明7に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0142】
本発明は、消毒液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて内視鏡の再洗浄を行うのが効果的である。
【0143】
(発明9):前記第2の消毒手段は、前記第1の消毒手段とは消毒時間を異ならせて前記内視鏡の消毒を行うことを特徴とする発明7又は8に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0144】
本発明は、消毒時間を異ならせて内視鏡の再洗浄を行うのが効果的である。
【0145】
(発明10):前記消毒評価手段は、蛍光染色フィルタ法を用いて前記内視鏡の生菌検出を行う生菌検出手段を備えて構成されることを特徴とする発明7乃至9のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0146】
本発明は、蛍光染色フィルタ法を用いて内視鏡の生菌検出を行う態様が好適であり、内視鏡の消毒レベルが所定基準を満たしているか否かを迅速且つ正確に判定することが可能である。
【0147】
(発明11):内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄工程と、前記第1の洗浄工程で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価工程と、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしてないと判定された場合に前記第1の洗浄工程とは異なる方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄工程と、を含むことを特徴とする内視鏡洗浄消毒方法。
【0148】
(発明12):前記第2の洗浄工程は、前記第1の洗浄工程とは洗浄液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて前記内視鏡の洗浄を行うことを特徴とする発明11に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0149】
(発明13):前記第2の洗浄工程は、前記第1の洗浄工程とは洗浄時間を異ならせて前記内視鏡の洗浄を行うことを特徴とする発明11又は12に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0150】
(発明14):前記洗浄評価工程は、ATP測定法を用いて前記内視鏡の汚れ具合を検出する汚れ具合検出工程を備えて構成されることを特徴とする発明11乃至13のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0151】
(発明15):前記第1の洗浄工程で洗浄が行われる前の前記内視鏡の洗浄レベルを測定する洗浄前評価工程を備えることを特徴とする発明11乃至14のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0152】
(発明16):前記洗浄前評価工程の測定結果を表示する表示工程を備えたことを特徴とする発明15に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0153】
(発明17):前記内視鏡の消毒を行う第1の消毒工程と、前記第1の消毒工程で消毒された前記内視鏡の消毒レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する消毒評価工程と、前記消毒評価工程で前記内視鏡の消毒レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記第1の消毒工程とは異なる方法で前記内視鏡の消毒を行う第2の消毒工程と、を備えたことを特徴とする発明11乃至16のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0154】
(発明18):前記第2の消毒工程は、前記第1の消毒工程とは消毒液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて前記内視鏡の消毒を行うことを特徴とする発明17に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0155】
(発明19):前記第2の消毒工程は、前記第1の消毒工程とは消毒時間を異ならせて前記内視鏡の消毒を行うことを特徴とする発明17又は18に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0156】
(発明20):前記消毒評価工程は、蛍光染色フィルタ法を用いて前記内視鏡の生菌検出を行う生菌検出工程を備えて構成されることを特徴とする発明17乃至19のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0157】
(発明21):内視鏡の洗浄を行う洗浄手段と、前記洗浄手段で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数に応じて前記内視鏡の使用可能時間を設定する使用可能時間設定手段と、前記内視鏡の洗浄が行われてからの経過時間が前記使用可能時間を超えているか否かを判断する使用可能時間判断手段と、前記経過時間が前記使用可能時間を超えていると判断された場合に前記内視鏡の使用を禁止する内視鏡使用禁止手段と、を備えたことを特徴とする内視鏡洗浄管理システム。
【0158】
本発明によれば、洗浄後の内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄評価に合格するまでの洗浄回数に応じて内視鏡の使用可能時間が設定され、内視鏡の洗浄が行われてからの経過時間が使用可能時間を超えている場合には内視鏡の使用が禁止され、内視鏡検査の開始が不可能な状態となる。このため、内視鏡が使用可能時間を越えて使用されることを容易且つ確実に防止することができ、内視鏡に対する安全性、信頼性を向上させることができる。
【0159】
(発明22):前記使用可能時間設定手段は、前記洗浄回数が多くなるにつれて前記内視鏡の使用可能時間を短く設定することを特徴とする発明21に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0160】
このように洗浄評価に合格するまでの洗浄回数が多い内視鏡、即ち、汚れが付着しやすい内視鏡の使用可能時間は短く設定されることが好ましい。これにより、内視鏡の清浄性を確実に確保することができる。
【0161】
(発明23):前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数が所定回数よりも多い場合には前記内視鏡の洗浄を追加指示する追加洗浄指示手段を備えたことを特徴とする発明21又は22に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0162】
このように洗浄評価に合格してもより清浄性をより確実に確保すべく予防保全の観点から内視鏡の再洗浄を追加実施する態様が好ましい。
【0163】
(発明24):前記内視鏡の洗浄に関する履歴情報を管理する洗浄履歴管理手段と、洗浄履歴管理手段から前回洗浄時に前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の前回洗浄回数を取得する洗浄履歴取得手段と、前記前回洗浄回数に応じて前記洗浄評価手段による判定処理を省略する洗浄評価省略手段と、を備えたことを特徴とする発明21乃至23のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0164】
このように前回洗浄回数に応じて内視鏡に対する洗浄評価を省略することにより、洗浄評価に要する時間の短縮化を図ることができ、全体処理の効率化を図ることができる。
【0165】
(発明25):前記洗浄評価省略手段は、前記前回洗浄回数が所定回数未満の場合には、前記洗浄手段による前記内視鏡の洗浄が行われた後に前記洗浄評価手段による判定が行われる一方で、前記前回洗浄回数が所定回数以上の場合には、前記洗浄手段による前記内視鏡の洗浄が少なくとも2回行われるまでは前記洗浄評価手段による判定が省略されることを特徴とする発明24に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0166】
本発明は、前回洗浄回数に応じて内視鏡に対する洗浄評価を省略する場合の好ましい一態様である。
【0167】
(発明26):内視鏡の洗浄を行う洗浄工程と、前記洗浄工程で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価工程と、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示工程と、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数に応じて前記内視鏡の使用可能時間を設定する使用可能時間設定工程と、前記内視鏡の洗浄が行われてからの経過時間が前記使用可能時間を超えているか否かを判断する使用可能時間判断工程と、前記経過時間が前記使用可能時間を超えていると判断された場合に前記内視鏡の使用を禁止する内視鏡使用禁止工程と、を備えたことを特徴とする内視鏡洗浄管理方法。
【0168】
(発明27):前記使用可能時間設定工程は、前記洗浄回数が多くなるにつれて前記内視鏡の使用可能時間を短く設定することを特徴とする発明26に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0169】
(発明28):前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数が所定回数よりも多い場合には前記内視鏡の洗浄を追加指示する追加洗浄指示工程を備えたことを特徴とする発明26又は27に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0170】
(発明29):前記内視鏡の洗浄に関する履歴情報を管理する洗浄履歴管理工程と、洗浄履歴管理工程から前回洗浄時に前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の前回洗浄回数を取得する洗浄履歴取得工程と、前記前回洗浄回数に応じて前記洗浄評価工程による判定処理を省略する洗浄評価省略工程と、を備えたことを特徴とする発明26乃至28のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0171】
(発明30):前記洗浄評価省略工程は、前記前回洗浄回数が所定回数未満の場合には、前記洗浄工程による前記内視鏡の洗浄が行われた後に前記洗浄評価工程による判定が行われる一方で、前記前回洗浄回数が所定回数以上の場合には、前記洗浄工程による前記内視鏡の洗浄が少なくとも2回行われるまでは前記洗浄評価工程による判定が省略されることを特徴とする発明29に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0172】
(発明31):内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄手段と、前記第1の洗浄手段とは異なる方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄手段と、前記第1又は第2の洗浄手段で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数を洗浄手段毎に管理する洗浄履歴管理手段と、前記内視鏡の洗浄が前回実施されたときの前回洗浄回数を洗浄手段毎に取得する洗浄履歴取得手段と、前記洗浄履歴取得手段で取得された前記前回洗浄回数に基づいて前記第1の洗浄手段及び前記第2の洗浄手段の中から前記内視鏡の洗浄を行う洗浄手段を選択する選択手段と、を備えたことを特徴とする内視鏡洗浄管理システム。
【0173】
本発明によれば、洗浄方法が異なる2種類の洗浄手段を備え、前回の洗浄回数に応じて2種類の洗浄手段の中から内視鏡の洗浄を行う洗浄手段が選択される。このように前回の洗浄回数に基づいて洗浄手段を選択することにより、内視鏡の状態(汚れの落としやすさ)に応じた適切な洗浄手段で洗浄が行われる。また、各洗浄手段で洗浄が行われた後は内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には再洗浄が指示される。これにより、内視鏡に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡の洗浄が不十分な場合でも内視鏡に付着した汚れを確実に除去することができる。その結果、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。また、洗浄で内視鏡に与えるダメージを抑えて、内視鏡の使用寿命を高めることができる。
【0174】
(発明32):前記第1の洗浄手段は、前記第2の洗浄手段に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ない方法で前記内視鏡の洗浄を行い、前記選択手段は、前記第1の洗浄手段による前回洗浄回数が所定回数以下であり、且つ、前記第2の洗浄手段による前回洗浄回数が0回である場合には、前記第1の洗浄手段を選択することを特徴とする発明31に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0175】
本態様は、前回の洗浄回数に基づいて洗浄手段を選択する場合の好ましい一態様である。
【0176】
(発明33):前記選択手段は、前記第1の洗浄手段による洗浄回数が所定回数に到達した場合には、前記第2の選択手段を選択し、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまで前記第2の洗浄手段による洗浄を繰り返し行うことを特徴とする発明32に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0177】
このように第1の洗浄手段による洗浄では不十分と判断される場合には、第2の洗浄手段を選択して洗浄を行うことにより、内視鏡の洗浄効果を向上させることができる。
【0178】
(発明34):前記第1の洗浄手段で用いられる第1の洗浄液は、前記第2の洗浄手段で用いられる第2の洗浄液に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ないことを特徴とする発明32又は33に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0179】
このように第1の洗浄手段で用いられる第1の洗浄液は、第2の洗浄手段で用いられる第2の洗浄液に比べて内視鏡に与える悪影響が少ないことが好ましい。第1の洗浄液で洗浄が行われるときの内視鏡へのダメージを抑えることができる。
【0180】
(発明35):前記第1の洗浄手段で用いられる第1の洗浄液の濃度は、前記第2の洗浄手段で用いられる第2の洗浄液の濃度よりも低いことを特徴とする発明32乃至34のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0181】
このように第1の洗浄液が第2の洗浄液の濃度(洗剤濃度)よりも低い態様が好ましい。第1の洗浄液で洗浄が行われるときの内視鏡へのダメージを抑えることができる。
【0182】
(発明36):内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄工程と、前記第1の洗浄工程とは異なる洗浄方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄工程と、前記第1又は第2の洗浄工程で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価工程と、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示工程と、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数を洗浄工程毎に管理する洗浄履歴管理工程と、前記内視鏡の洗浄が前回実施されたときの前回洗浄回数を洗浄工程毎に取得する洗浄履歴取得工程と、前記洗浄履歴取得工程で取得された前記前回洗浄回数に基づいて前記第1の洗浄工程及び前記第2の洗浄工程の中から前記内視鏡の洗浄を行う洗浄工程を選択する選択工程と、を含むことを特徴とする内視鏡洗浄管理方法。
【0183】
(発明37):前記第1の洗浄工程は、前記第2の洗浄工程に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ない方法で前記内視鏡の洗浄を行い、前記選択工程は、前記第1の洗浄工程の前回洗浄回数が所定回数以下であり、且つ、前記第2の洗浄工程の前回洗浄回数が0回である場合には、前記第1の洗浄工程を選択することを特徴とする発明36に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0184】
(発明38):前記第1の洗浄工程の洗浄回数が所定回数に到達した場合には、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまで前記第2の洗浄工程による洗浄が繰り返し行われることを特徴とする発明37に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0185】
(発明39):前記第1の洗浄工程で用いられる第1の洗浄液は、前記第2の洗浄工程で用いられる第2の洗浄液に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ないことを特徴とする発明37又は38に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0186】
(発明40):前記第1の洗浄工程で用いられる第1の洗浄液の濃度は、前記第2の洗浄工程で用いられる第2の洗浄液の濃度よりも低いことを特徴とする発明37乃至39のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【符号の説明】
【0187】
10…内視鏡プロセッサ、12…内視鏡、14…RFIDタグ、20…洗浄履歴管理サーバ(管理サーバ)、30…内視鏡洗浄消毒装置(洗浄装置)、32…CPU、40…RFIDリーダ、58…洗浄評価手段、60…消毒評価手段
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡洗浄管理システム及び内視鏡洗浄管理方法に係り、特に、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保することができる内視鏡洗浄管理システム及び内視鏡洗浄管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の体腔内の検査や治療に使用される医療機器として、内視鏡が知られている。内視鏡は、体腔内に挿入される挿入部を備えている。挿入部は、可撓性を有する棒状体であり、体腔内を撮影する撮影部と、処置具が挿通される鉗子チャンネル等の各種チャンネル(以下、内視鏡管路ともいう。)を備えている。使用後の内視鏡は、挿入部の外表面と、挿入部内に設けられた各チャンネル内に体液や汚物が付着している。体液や汚物に含まれる病原菌やウイルスは院内感染の原因となるので、使用後の内視鏡は、必ず洗浄、消毒されている。
【0003】
内視鏡の洗浄、消毒を効率的に行うため、内視鏡洗浄消毒装置が利用されている。内視鏡洗浄消毒装置は、使用後の内視鏡を洗浄槽に収容し、洗浄工程、消毒工程、すすぎ工程を自動的に行う。
【0004】
洗浄工程は、内視鏡に水、洗剤等を噴射して外表面及び各チャンネル内に付着した体液や汚物を洗い流す。洗浄工程で使用された水は、内視鏡洗浄消毒装置の外に排出される。消毒工程は、消毒液中に内視鏡を浸漬させ、洗浄工程で除去されなかった病原菌やウイルスを除去し、または病原性を消失させる。消毒工程で使用された消毒液は、消毒液が貯えられている消毒液タンクに戻される。すすぎ工程は、洗浄工程と消毒工程の後に行われ、内視鏡に付着した洗浄後の水、または消毒液を清浄な水ですすぐ。
【0005】
その一方で、特許文献1には、内視鏡の洗浄、消毒の処理が適切に行なわれたか否かを評価するための技術が開示されている。具体的には、使用後の内視鏡が、内視鏡洗浄消毒装置により洗浄、消毒された後、内視鏡管路に剥離液を注入して、剥離液に含まれる菌をフィルタで捕捉し、この菌を培養して観察することにより、内視鏡管路の品質(清浄性)の評価を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−195554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の内視鏡洗浄消毒装置では、内視鏡の品質評価は行われていないため、1回の処理で十分な効果が得られるように過剰な洗浄、消毒が行われる場合もあり、コストアップを招く要因となっている。また、そのような場合、内視鏡にダメージを与えてしまい、内視鏡の使用寿命を縮めてしまうことも懸念される。
【0008】
これに対して、特許文献1には、上述のように内視鏡の洗浄、消毒の処理が適切に行なわれたか否かを評価するための技術が開示されているが、その品質が不十分と判定された場合に具体的にどのような処理を行うのかは全く開示されていない。
【0009】
また、洗浄により粘膜や血液などの湿性物質を大部分除去した上で、その後に行われる消毒で感染性微生物の殺菌を行うことで効果的な消毒を実現することができる。即ち、消毒液がその効果を発揮するためには、前段階の洗浄レベルが重要であるが、特許文献1では、洗浄後の内視鏡に対して洗浄評価を行うことについては何も考慮されていない。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保し、十分な消毒効果を得ることができる内視鏡洗浄管理システム及び内視鏡洗浄管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の内視鏡洗浄管理システムは、内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄手段と、前記第1の洗浄手段とは異なる方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄手段と、前記第1又は第2の洗浄手段で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数を洗浄手段毎に管理する洗浄履歴管理手段と、前記内視鏡の洗浄が前回実施されたときの前回洗浄回数を洗浄手段毎に取得する洗浄履歴取得手段と、前記洗浄履歴取得手段で取得された前記前回洗浄回数に基づいて前記第1の洗浄手段及び前記第2の洗浄手段の中から前記内視鏡の洗浄を行う洗浄手段を選択する選択手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗浄方法が異なる2種類の洗浄手段を備え、前回の洗浄回数に応じて2種類の洗浄手段の中から内視鏡の洗浄を行う洗浄手段が選択される。このように前回の洗浄回数に基づいて洗浄手段を選択することにより、内視鏡の状態(汚れの落としやすさ)に応じた適切な洗浄手段で洗浄が行われる。また、各洗浄手段で洗浄が行われた後は内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には再洗浄が指示される。これにより、内視鏡に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡の洗浄が不十分な場合でも内視鏡に付着した汚れを確実に除去することができる。その結果、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。また、洗浄で内視鏡に与えるダメージを抑えて、内視鏡の使用寿命を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】内視鏡洗浄管理システムの一実施形態を示す概略構成図
【図2】洗浄装置の電気的構成を示したブロック図
【図3】洗浄装置の第1の動作例を示したフローチャート図
【図4】洗浄装置の第2の動作例を示したフローチャート図
【図5】洗浄装置の第3の動作例を示したフローチャート図
【図6】洗浄回数と使用可能時間との対応関係の一例を示した図
【図7】内視鏡プロセッサの動作例を示したフローチャート図
【図8】洗浄装置の第4の動作例を示したフローチャート図
【図9】洗浄回数と再洗浄回数との対応関係の一例を示した図
【図10】洗浄装置の第5の動作例を示したフローチャート図
【図11】洗浄装置の第6の動作例を示したフローチャート図
【図12】洗浄装置の第7の動作例を示したフローチャート図
【図13】前回の洗浄回数から第1の洗浄処理の実施可否を決定するための判断テーブルの一例を示した図
【図14】洗浄装置の第8の動作例を示したフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る内視鏡洗浄管理システムの一実施形態を示す概略構成図である。図1に示すように、本実施形態の内視鏡洗浄管理システム1は、主に内視鏡プロセッサ10、洗浄履歴管理サーバ(以下、単に「管理サーバ」という。)20、内視鏡洗浄消毒装置(以下、単に「洗浄装置」という。)30から構成される。
【0016】
これらの内視鏡プロセッサ10、管理サーバ20、及び洗浄装置30等の各機器は、例えば院内LAN等のネットワークによって互いに接続されており、それぞれデータの送受信を行えるようになっている。なお、各機器は必ずしもLANによって接続されている必要はなく、例えば互いに直接通信することによってデータのやり取りができるようになっていればよい。また、このとき全ての機器が互いに通信可能である必要はなく、少なくとも管理サーバ20と、内視鏡プロセッサ10及び洗浄装置30とがそれぞれ通信可能であればよい。
【0017】
なお、図1では、内視鏡12、内視鏡プロセッサ10及び洗浄装置30はそれぞれ一つずつしか表示されていないが、複数設置されていてもよい。
【0018】
通常、内視鏡プロセッサ10は内視鏡検査が行われる検査室に設置され、洗浄装置30は内視鏡12の洗浄が行われる洗浄室に設置されている。また、内視鏡検査前が行われる前の内視鏡12は保管庫に保管されており、内視鏡検査を行う際に保管庫から搬出されて、検査室で内視鏡プロセッサ10と接続されて検査が行われる。このとき、内視鏡プロセッサ10も保管庫に保管しておいて、内視鏡12と共に検査室に搬出して用いるようにしてもよい。検査終了後には、内視鏡12は内視鏡プロセッサ10から取り外されて洗浄室に運ばれて洗浄装置30によって洗浄が行われる。洗浄後の内視鏡12は保管庫に保管される。
【0019】
内視鏡12は、詳しい図示は省略するが、体腔内に挿入される挿入部と、挿入部の基端部分に連設され、把持部を兼ねる操作部によって構成される。挿入部の先端には体腔内の被観察部位を撮像するCCD等からなる撮影ユニットが内蔵されている。そして、検査時には内視鏡12が内視鏡プロセッサ10に接続されて内視鏡検査が行われる。このとき、内視鏡12は、内視鏡12の操作部の側壁から延びるコードの先端部に設けられたコネクタによって、内視鏡プロセッサ10及び内視鏡プロセッサ10に併設された照明装置(図示省略)に着脱自在に接続される。
【0020】
また、内視鏡12は、RFID(Radio Frequency Identification)タグ14を有しており、このRFIDタグ14によって各機器あるいはオペレータが有する携帯端末との間で情報の授受が可能であり、これによって内視鏡12は個別に識別可能となっている。RFIDタグ14は、内視鏡12のID(内視鏡固有の識別情報)が記憶されるICチップと、このICチップに電気的に接続され、各機器あるいはオペレータの携帯端末との間で無線(非接触)でデータのやり取りを行うループアンテナとを備えている。
【0021】
内視鏡プロセッサ10は、内視鏡12の挿入部に内蔵されたCCD等からなる撮影ユニットが撮影して出力された画像信号に基づいて内視鏡画像を生成し、図示を省略した付属のモニタに表示するとともに記録するものである。
【0022】
洗浄装置30は、箱状の装置本体の上面に蓋のついた洗浄槽が設けられ、使用済みの内視鏡12を収容して、RFIDタグ14により洗浄対象の内視鏡12のID(内視鏡固有の識別情報)を取得して、洗浄、消毒、すすぎ、乾燥などの各種処理を施して、内視鏡12を洗浄、消毒するものである。
【0023】
管理サーバ20は、内視鏡12の洗浄、消毒に関する履歴情報(以下、洗浄情報という。)を保持し、LANを介して内視鏡プロセッサ10、洗浄装置30と通信を行い、内視鏡検査及び検査後の内視鏡12の洗浄を管理するものである。
【0024】
内視鏡12、内視鏡プロセッサ10及び洗浄装置30等の各機器は、管理サーバ20により各機器間の関連付けが制御されるようになっている。
【0025】
図2は、洗浄装置30の電気的構成を示したブロック図である。図2に示すように、洗浄装置30は、装置全体を統括的に制御するCPU32と、制御プログラムや各種データが記憶されたROM34と、ROM34から読み出された制御プログラムの実行領域であるRAM36と、内視鏡12のRFIDタグ14と通信して内視鏡12のIDを読み込むRFIDリーダ40と、LANを介して各機器(管理サーバ20等)と通信を行う通信部42とを備えている。また、CPU32には、操作パネル44、表示パネル46を駆動するLCDドライバ48、モータドライバ50、弁ドライバ52、液面センサ54、温度センサ56、洗浄評価手段58、消毒評価手段60等が接続されている。
【0026】
モータドライバ50は、水、洗剤、消毒液等を洗浄槽等に供給するポンプのモータを駆動する。弁ドライバ52は、水、洗剤、消毒液等を洗浄槽等に供給したり、廃液口に流れ込んだ使用済みの消毒液を消毒液タンクに戻す際などに駆動される各電磁弁を制御する。液面センサ54は、洗浄槽内に貯えられた液体の液面位置を検出する。温度センサ56は、洗浄槽内に貯えられた液体の温度を検出する。
【0027】
洗浄評価手段58は、洗浄後の内視鏡12の汚れ具合を検出し、その検出結果に基づいて内視鏡12の再洗浄が必要か否かを判定するものである。
【0028】
消毒評価手段60は、消毒後の内視鏡12に付着している菌の残存度合いを検出し、その検出結果に基づいて内視鏡12の再消毒が必要か否かを判定するものである。
【0029】
洗浄装置30は、内視鏡12の洗浄を実行する毎に、その洗浄に関する洗浄情報を生成し、管理サーバ20に送信する。管理サーバ20には、例えば洗浄情報が内視鏡12のID毎に記憶される。この洗浄情報には、内視鏡12のID、洗浄装置30のID、内視鏡12を洗浄した日付、洗浄を開始した時刻(洗浄開始時刻)、洗浄を終了した時刻(洗浄終了時刻)、洗浄担当者の名前、洗浄時間、消毒時間、洗剤名、消毒液名、消毒液温度、洗浄回数、消毒回数、総洗浄回数、総消毒回数、使用した洗浄プログラムなどの項目がある。
【0030】
洗浄装置30のIDは、例えば内視鏡12のIDと同様に、個々の洗浄装置30に付された識別情報である。洗浄担当者は、内視鏡12を洗浄装置30に投入し、洗浄消毒の開始を指示したスタッフである。洗浄担当者の名前は、例えば操作パネル44から入力される。洗浄装置30にカードリーダを設けて、IDカードから洗浄担当者の名前やID番号を読み取るようにしてもよい。時間、時刻等は、CPU32のシステムタイマから取得される。洗剤名、消毒液名は、予め設定された情報が読み出される。消毒液温度は、洗浄槽に設けられ、洗浄槽内に供給された消毒液の温度を検出する温度センサ56から取得される。
【0031】
洗浄回数は、後述する洗浄評価に合格するまでに反復実施された洗浄処理の回数である。同様に、消毒回数は、後述する消毒評価に合格するまでに消毒処理が反復実施された回数である。
【0032】
総洗浄回数は、内視鏡12がこれまでに実施された洗浄処理の回数の合計である。同様に、総消毒回数は、内視鏡12がこれまでに実施された消毒処理の回数の合計である。
【0033】
本例の洗浄情報の項目は、1例であり、上記項目がすべて含まれていなくてもよい。また、洗浄情報に、上記項目以外の項目、例えば内視鏡12の型番、製造番号といった項目を加えてもよい。他の項目については、ユーザの要求レベルによって適宜選択される。
【0034】
洗浄プログラムとしては、例えば、A、B、Cの3種類が用意されており、予めROM34に記憶されている。洗浄プログラムAは、洗浄工程及び消毒工程の両方を行うプログラムである。また、洗浄プログラムBは、洗浄工程のみを行い、消毒工程は省略するプログラムである。また、洗浄プログラムCは、消毒工程のみを行い、洗浄工程は省略するプログラムである。
【0035】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0036】
(第1の動作例)
図3は、洗浄装置30の第1の動作例を示したフローチャート図である。以下、図3に従って、洗浄装置30の第1の動作例について説明する。
【0037】
内視鏡12は、検査終了後すぐにシンク等で水洗い(予備洗浄)され、付着している汚物等が乾燥して落ちにくくなる前に洗い流される。予備洗浄後すぐに内視鏡12の洗浄を行えるように、洗浄装置30の電源をオンしておくことが好ましい。洗浄装置30の電源がオンされると、操作パネル44が点灯し、各種コマンドの入力が可能となる。
【0038】
オペレータ(洗浄担当者)は、操作パネル44を操作して、洗浄処理の内容を規定する洗浄プログラムA、B、Cの中からから例えば洗浄プログラムAを選択し、その指示の入力を行う(ステップS10)。CPU32は、入力された指示に基づいて、選択された洗浄プログラムをROM34からRAM36にロードし、実行待機状態になる。
【0039】
次に、内視鏡検査に使用済みの内視鏡12が、洗浄装置30の洗浄槽内に収容され、セッティングされる(ステップS14)。そして、内視鏡管路内も洗浄するため、洗浄槽内に設けられた内視鏡管路内に液体及び気体等の流体を供給するためのポートと、内視鏡12の外表面に開口する管路接続口とをチューブ等を介して接続する。
【0040】
次に、洗浄装置30のRFIDリーダ40によって洗浄槽内に収容された内視鏡12のIDの読み取りが行われる(ステップS14)。RFIDリーダ40で読み取られた内視鏡12のIDは、EEPROM38に記憶される。
【0041】
次に、洗浄槽に蓋をして、処理開始スイッチをオンにすると、洗浄工程が開始される(ステップS16)。洗浄工程では、まず、洗浄回数Nが0にリセットされる(ステップS102)。次いで、洗浄回数Nのインクリメント(即ち、N=N+1)が行われる(ステップS104)。そして、後述する洗浄処理が実施される(ステップS106)。
【0042】
洗浄処理では、まず、水道水が給水ノズルから洗浄槽内に供給されるとともに、洗剤タンク内の洗剤が洗剤供給ノズルから洗浄槽内に供給されることにより、洗浄槽内に水と洗剤とが混合されてなる洗浄液が供給され、この洗浄液が所定水位に達した後、洗浄が開始される。洗浄液は循環しており、その水流により内視鏡12の外表面が洗浄される。
【0043】
また、このとき循環ポンプで吸引した洗浄槽内の洗浄液が各内視鏡管路内にチューブ及び管路接続口を介して導入され、これにより内視鏡管路内は導入された洗浄液の水圧によって洗浄される。
【0044】
洗浄処理が終了すると、洗剤供給ノズルからの洗剤の供給が停止され、給水ノズルから水が洗浄槽内に供給されることにより、すすぎ処理が開始される(ステップS108)。このとき、洗浄液と同様に水を洗浄槽内及び内視鏡管路内を循環させて、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内のすすぎを行い、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内に残っている洗浄液が除去される。
【0045】
すすぎ処理が終了すると、内視鏡12に対する洗浄評価が実施される(ステップS110)。洗浄評価の方法としては、例えばATP(アデノシン三リン酸)測定法、色素染色法、潜血反応法、培養法、過酸化水素反応法、ニンヒドリン法等があり、これらの中でもATP測定法が好ましく用いられる。
【0046】
ATP測定法では、検査対象である内視鏡12に拭き取り部材(例えば綿棒等)を直接接触させて拭き取りを行い、これに発光試薬を添加することでATPを発光させる。そして、この発光量を測定することにより、ATP量、即ち、内視鏡12の汚れ具合を検出することができる。これにより、内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを迅速且つ正確に判定することが可能となる。
【0047】
上記のような内視鏡12の拭き取り検査を行う代わりに、すすぎ処理で使用された水(即ち、すすぎ液)の一部をサンプリングして、拭き取り部材が用いられる場合と同様にして、ATP量を測定することで内視鏡12の汚れ具合を検出することができる。
【0048】
このように検出された内視鏡12の汚れ具合の判定方法としては、発光量(即ち、ATP量)の値による絶対評価でもよいし、所定の基準値或いは測定値との相対評価でもよい。
【0049】
図2に示した洗浄評価手段58は、上記のようなATP測定法を用いて洗浄評価を実施するものであり、CPU32の制御に従って、拭き取り部材による拭き取り、各種試薬の添加、ATP発光量の測定等を行う。
【0050】
なお、洗浄装置30は、必ずしも洗浄評価手段58を備えている必要はなく、オペレータがオフラインで内視鏡12に対する洗浄評価を実施するようにしてもよい。例えばオフラインで内視鏡12に対する洗浄評価を行う場合には、オペレータによって拭き取り部材による拭き取りや各種試薬の添加が行われ、所定の測定器を用いてATP発光量が測定され、その発光量から内視鏡12の洗浄評価が判定される。
【0051】
洗浄評価の結果、内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS110でNGの場合)、内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たすまでステップS104からステップS110までの処理が繰り返し行われる。
【0052】
一方、内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS110でOKの場合)、後述する消毒工程が開始される(ステップS18)。
【0053】
消毒工程では、まず、消毒回数Mが0にリセットされる(ステップS112)。次いで、洗浄回数Mのインクリメント(即ち、M=M+1)が行われる(ステップS114)。そして、消毒液供給ノズルから消毒液を洗浄槽内に消毒液が供給され、洗浄液と同様に消毒液を洗浄槽内及び内視鏡管路内を循環させることにより、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内の消毒が行われる。消毒液としては、過酢酸、過酸化水素水、グルタラール、フタラール、電解酸性水、オゾン水等を用いることができる。
【0054】
消毒工程が終了すると、洗浄工程のすすぎ処理(ステップS108)と同様のすすぎ処理(ステップS118)が実施され、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内に残っている消毒液が除去される。
【0055】
次に、消毒後の内視鏡12に対する消毒評価が実施される(ステップS120)。消毒評価の方法としては特に限定されるものではないが、蛍光染色フィルタ法が好ましく用いられる。蛍光染色フィルタ法は、培養を必要としない非培養的な生菌検出が可能な方法であり、迅速に生菌数の測定を行うことができる。これにより、内視鏡12の消毒レベルが所定基準を満たしているか否かを迅速且つ正確に判定できる。
【0056】
消毒評価の結果、内視鏡12の消毒レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS120でNGの場合)、消毒レベルが所定基準を満たすまでステップS114からステップS120までの処理が繰り返し行われる。
【0057】
一方、内視鏡12の消毒レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS120でOKの場合)、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内に、洗浄液や消毒液の供給と同様に空気又はアルコールを供給することにより、内視鏡12の外表面及び内視鏡管路内の乾燥を促進させる乾燥工程が実施される(ステップS20)。
【0058】
乾燥工程が終了すると、表示パネル46には、指定した洗浄プログラムの全工程が完了したことを知らせるメッセージ等が表示されるとともに、今回の洗浄情報(内視鏡12のID、洗浄回数、消毒回数、洗浄終了時刻等)が管理サーバ20に送信される(ステップS22)。管理サーバ20は、内視鏡12のIDに対応する洗浄情報を更新する。つまり、内視鏡12の洗浄、消毒が行われると、管理サーバ20で管理される洗浄情報が更新される。
【0059】
その後、洗浄槽の蓋が開放され、洗浄槽から内視鏡12が取り出される(ステップS24)。
【0060】
このように第1の動作例によれば、内視鏡12の洗浄工程において洗浄評価に合格するまで洗浄処理が反復実施されるので、内視鏡12に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡12の洗浄が不十分な場合でも再洗浄により内視鏡に付着した汚れを除去することができる。これにより、内視鏡12の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。
【0061】
また、内視鏡12の消毒工程において消毒評価に合格するまで消毒処理が反復実施されるので、内視鏡12の消毒が不十分な状態で使用されることを未然に防ぐことができ、内視鏡12に対する安全性、信頼性を確保することができる。
【0062】
(第2の動作例)
図4は、洗浄装置30の第2の動作例を示したフローチャート図である。図4中、図3と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0063】
第2の動作例では、内視鏡12の洗浄工程(ステップS16)が実施される前に洗浄前評価が実施される(ステップS26)。洗浄前評価は、ステップS110の洗浄評価と同様にして実施される。これにより、ステップS110の洗浄評価において、洗浄前評価で検出された内視鏡12の汚れ具合と相対評価を行うことによって、内視鏡12に対する洗浄効果を確認することができる。
【0064】
また、第2の動作例では、洗浄前評価で検出された内視鏡12の汚れ具合を表示パネル46等の表示手段に表示するようにしてもよい。表示方法としては汚れ具合を示す指標値(例えばATP量或いは発光量等)を数値で表示してもよいし、複数のレベルで段階的に表示してもよい。これにより、内視鏡検査後にすぐに行われる予備洗浄が適切に行われているか否かをオペレータが容易に把握することが可能となり、予備洗浄の適正化を図ることができる。その結果、洗浄装置30による洗浄効率も向上し、内視鏡12の清浄性をさらに高めることが可能となる。
【0065】
(第3の動作例)
図5は、洗浄装置30の第3の動作例を示したフローチャート図である。図5中、図3と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0066】
第3の動作例では、図5に示すように、ステップS110の洗浄評価に合格した後、洗浄回数Nに応じて内視鏡12の使用可能時間が決定される(ステップS28)。内視鏡12の使用可能時間とは、洗浄が行われた内視鏡12を安全に使用することができる時間(再洗浄不要時間)のことである。つまり、洗浄が行われてから使用可能時間を経過した内視鏡12は再洗浄することが必要となる。
【0067】
ここで、洗浄回数Nと使用可能時間との対応関係の一例を図6に示す。図6に示した例では、洗浄回数Nが1、2、3、4回の場合には、それぞれ48、24、12、6時間に設定される。これは、洗浄評価に合格するまでの洗浄回数Nが多い場合には汚れを落としにくい内視鏡12と判断されることから、洗浄回数Nが増加するにつれて使用可能時間を短くして短い間隔で洗浄が行われるようになっている。
【0068】
このような洗浄回数Nと使用可能時間との対応関係は、データテーブルとしてEEPROM38に記憶されている。CPU32は、EEPROM38に記憶されているデータテーブルを参照することにより、洗浄回数Nから内視鏡12の使用可能時間を決定する。決定された使用可能時間はEEPROM38に記憶され、洗浄情報の一部として管理サーバ20に送信される(ステップS24)。
【0069】
なお、上記データテーブルを管理サーバ20に記憶させておき、管理サーバ20が洗浄装置30から取得した洗浄回数Nに基づいて内視鏡12の使用可能時間を決定するようにしてもよい。
【0070】
ここで、内視鏡プロセッサ10の動作例を示したフローチャートを図7に示す。図7に示すように、まず、内視鏡12が内視鏡プロセッサ10に接続される(ステップS50)。次いで、内視鏡プロセッサ10のRFIDリーダ(不図示)によって内視鏡12のIDの読み取りが行われる(ステップS52)。
【0071】
次に、内視鏡12のIDが管理サーバ20に送信され、管理サーバ20から内視鏡12のIDに対応する洗浄情報が取得される(ステップS54)。このとき、管理サーバ20から取得された洗浄情報には、少なくとも内視鏡12の使用可能時間と洗浄終了時刻が含まれているものとする。
【0072】
次に、内視鏡12の洗浄後の経過時間(現在時刻−洗浄終了時刻)が使用可能時間内か否かの判断が行われる(ステップS56)。内視鏡12の洗浄後の経過時間が使用可能時間を超えていない場合(ステップS56でYesの場合)、内視鏡12の使用を許可する処理を行い、使用可能表示を内視鏡プロセッサ10又は付属のモニタに行うとともに内視鏡検査を開始可能な状態とする(ステップS58)。
【0073】
一方、内視鏡12の洗浄後の経過時間が使用可能時間を超えている場合(ステップS56でNoの場合)、内視鏡12の使用を禁止する処理を行い、使用不可表示を内視鏡プロセッサ10又は付属のモニタに行うとともに内視鏡検査を開始不可能な状態にする(ステップS60)。この場合、内視鏡12は内視鏡プロセッサ10から取り外されて洗浄室に運ばれて洗浄装置30によって洗浄が行われる。
【0074】
第3の動作例によれば、洗浄評価に合格するまでの洗浄回数Nに応じて内視鏡12の使用可能時間が設定され、内視鏡12の洗浄が行われてからの経過時間が使用可能時間を超えている場合には内視鏡12の使用が禁止され、内視鏡検査の開始が不可能な状態となる。このため、内視鏡12が使用可能時間を越えて使用されることを確実に防止することができ、内視鏡12に対する安全性、信頼性を向上させることができる。
【0075】
(第4の動作例)
図8は、洗浄装置30の第4の動作例を示したフローチャート図である。図8中、図3又は図5と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0076】
第4の動作例では、図8に示すように、ステップS110の洗浄評価に合格した後、洗浄回数Nに応じて再洗浄回数Pが設定される(ステップS122)。そして、ステップS106とステップS108と同様にして、洗浄処理とすすぎ処理がP回繰り返し行われる(ステップS124)。
【0077】
ここで、洗浄回数Nと再洗浄回数Pとの対応関係の一例を図9に示す。図9に示した例では、洗浄回数Nが3回以下の場合における再洗浄回数Pは0回である。これに対して、洗浄回数Nが4回以上の場合における再洗浄回数Pは1回以上となり、洗浄回数Nが多くなるにつれて再洗浄回数Pも多くなる。洗浄評価に合格するまでの洗浄回数Nが多い内視鏡12は、洗浄によって汚れを落としにくい構造又は材質を有するものと判断される。このため、洗浄回数Nが多い内視鏡12に対しては、洗浄評価に合格しても予防保全の観点から再洗浄を所定回数行うことにしている。
【0078】
このように第4の動作例によれば、洗浄評価に合格しても洗浄回数Nが多い内視鏡12に対しては再洗浄が追加で実施される。これにより、内視鏡12に対する清浄性をより確実に確保することが可能となる。
【0079】
(第5の動作例)
図10は、洗浄装置30の第5の動作例を示したフローチャート図である。図10中、図3又は図5と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0080】
第5の動作例では、図10に示すように、ステップS14で内視鏡12のIDの読み取りが行われた後、内視鏡12のIDが管理サーバ20に送信され、管理サーバ20から内視鏡12のIDに対応する洗浄情報が取得される(ステップS30)。このとき取得される洗浄情報には、内視鏡12が前回洗浄されたときの洗浄回数Qが含まれているものとする。
【0081】
また、管理サーバ20から取得される洗浄情報には、これまでに内視鏡12の洗浄処理が行われた回数の合計を示す総洗浄回数が含まれていることが好ましい。総洗浄回数が所定回数以上の場合には、表示パネル46に内視鏡12のメンテナンスが必要であることを知らせるメッセージ等を表示することにより、オペレータは、内視鏡12のメンテナンス時期であることを把握することができる。また、総洗浄回数に限らず、前回の洗浄回数Qに応じてメッセージを表示するようにしてもよい。
【0082】
次に、前回の洗浄回数Qが規定回数(例えば4回)以上であるか否かの判断が行われる(ステップS126)。前回の洗浄回数Qが規定回数以上の場合(ステップS126でYesの場合)、ステップS106とステップS108と同様にして、洗浄処理とすすぎ処理がR回(例えばQ−2回)繰り返し行われる(ステップS128)。
【0083】
一方、前回の洗浄回数Qが規定回数未満の場合(ステップS126でNoの場合)、まず、洗浄回数Nが0にリセットされる(ステップS102)。そして、第1の動作例と同様にして、ステップS110の洗浄評価に合格するまで、洗浄回数Nのインクリメント(ステップS104)、洗浄処理(ステップS106)、すすぎ処理(ステップS108)が反復実施される。
【0084】
また、第3の動作例と同様にして、ステップS110の洗浄評価に合格した後、洗浄回数Nに応じて内視鏡12の使用可能時間が決定される(ステップS28)。このとき、洗浄回数NにRを加算した値に応じて内視鏡12の使用可能時間を決定することが好ましい。
【0085】
第5の動作例によれば、前回の洗浄回数Qが規定回数以上の内視鏡12に対しては、洗浄評価を行うことなく洗浄処理とすすぎ処理を所定回数実施した後、前回の洗浄回数Qが規定回数未満の内視鏡12と同様にして、洗浄評価に合格するまで洗浄処理とすすぎ処理が反復実施される。このように前回の洗浄回数Qに応じて洗浄評価を一部省略することにより、内視鏡12の洗浄評価に要する時間の短縮化を行うことができ、全体処理の効率化を図ることができる。
【0086】
(第6の動作例)
図11は、洗浄装置30の第6の動作例を示したフローチャート図である。図11中、図3又は図5と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0087】
第6の動作例では、図11に示すように、内視鏡12のIDの読み取りが行われた後(ステップS14)、洗浄回数NA、NBがそれぞれ0にリセットされる(ステップS130)。洗浄回数NA、NBは、後述する第1及び第2の洗浄処理が行われた洗浄回数をそれぞれカウントするための変数である。なお、洗浄装置30は、例えば2種類の洗剤A、Bを選択的に供給可能に構成されており、洗浄方法が異なる2種類の洗浄処理(第1及び第2の洗浄処理)を実施できるようになっているものとする。
【0088】
次に、洗浄回数NAのインクリメントが行われ(ステップS132)、第1の洗浄処理が実施される(ステップS134)。第1の洗浄処理では、内視鏡12に付着した通常の汚れを除去するのに必要な洗浄効果をもたらす洗剤Aが用いられ、洗剤Aによる洗浄時間が通常範囲内であれば内視鏡12にダメージを与えることはないものとする。
【0089】
所定時間の第1の洗浄処理が終了すると、第1の動作例のすすぎ処理(ステップS108)と同様にして、すすぎ処理が実施される(ステップS136)。
【0090】
次に、内視鏡12に対する洗浄評価が実施される(ステップS138)。洗浄評価方法としては、第1の実施形態と同様にATP測定法が好ましく用いられる。洗浄評価の結果、洗浄レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS138でOKの場合)、ステップS18の消毒工程が開始される。一方、洗浄レベルが所定基準に満たない場合(ステップS138でNGの場合)、以下の処理が実施される。
【0091】
まず、洗浄回数NBのインクリメントが行われ(ステップS140)、次いで、第2の洗浄処理が実施される(ステップS142)。第2の洗浄処理では、内視鏡12に付着した頑固な汚れを除去するのに必要な洗浄効果をもたらす洗剤Bが用いられる。洗剤Bは、第1の洗浄処理で用いられる洗剤Aとは洗浄機構(即ち、有効主成分)が異なり、洗剤Aよりも洗浄効果は高いが、洗剤Bを使用しすぎると内視鏡12にダメージを与える可能性がある。また、上記のような効果を有する洗剤Bは、一般に洗剤Aよりも単価が高く、洗剤Bを使用しすぎると洗浄装置30のランニングコストの増加を招く要因ともなる。つまり、洗剤Bは、洗剤Aよりも洗剤効果は高いが各種弊害があることから、その使用はなるべく最小限に抑えることが好ましい。
【0092】
洗剤Aと洗剤Bの組合せとしては、例えば、アルカリ性洗剤と酵素系洗剤、弱アルカリ性洗剤と強アルカリ性洗剤などがある。
【0093】
第2の洗浄処理が終了すると、第1の動作例のすすぎ処理(ステップS108)と同様にして、すすぎ処理が実施される(ステップS144)。
【0094】
次に、内視鏡12に対する洗浄評価が実施される(ステップS146)。洗浄評価方法としては、第1の実施形態と同様にATP測定法が好ましく用いられる。洗浄評価の結果、洗浄レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS146でOKの場合)、ステップS18の消毒工程が開始される。一方、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS146でNGの場合)、ステップS138又はステップS146の洗浄評価に合格するまでステップS132からステップS146の処理が繰り返し行われる。
【0095】
このように第6の動作例によれば、洗浄後の内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には異なる方法(本例では洗剤の種類を変える方法)で内視鏡12の再洗浄が行われるので、内視鏡12に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡12の洗浄が不十分な場合でも内視鏡に付着した汚れを確実に除去することができる。これにより、内視鏡12の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。
【0096】
また、異なる2種類の洗剤を用いて洗浄が行われるので、洗浄による内視鏡12のダメージを抑えて内視鏡12の使用寿命を高めることができるとともに、洗浄液のコストダウンを図ることも可能となる。
【0097】
第6の動作例では、上述したように第1及び第2の洗浄処理で用いられる洗剤の種類を変えているが、これに限らず、第1及び第2の洗浄処理で用いられる洗浄液の濃度(洗剤濃度)や洗浄液の温度を変えるようにしてもよい。
【0098】
洗浄液の濃度を変える態様では、第1の洗浄処理として、所定量の洗剤が投入された低濃度の洗浄液を用いて内視鏡12の洗浄が行われる一方で、第2の洗浄処理として、第1の洗浄処理よりも多くの洗剤が投入された高濃度の洗浄液を用いて内視鏡12の洗浄が行われる。
【0099】
洗浄液の温度を変える態様では、第1の洗浄処理として、常温の洗浄液を用いて内視鏡12の洗浄が行われる一方で、第2の洗浄処理として、第1の洗浄処理よりも高温(例えば40℃)の洗浄液を用いて内視鏡12の洗浄が行われる。
【0100】
また、他の態様として、内視鏡12が洗浄液に浸漬される時間(即ち、洗浄時間)を洗浄処理毎に異ならせるようにしてもよい。即ち、第1の洗浄処理では、内視鏡12が洗浄液に所定時間浸漬される一方で、第2の洗浄処理では、内視鏡12が第1の洗浄処理よりも長時間浸漬される。
【0101】
いずれの態様においても、異なる2種類の洗剤が用いられる場合と同様に、洗浄による内視鏡12のダメージを抑えつつ、内視鏡12に付着した汚れを確実に除去することができ、洗浄液のコストダウンを図ることも可能となる。
【0102】
(第7の動作例)
図12は、洗浄装置30の第7の動作例を示したフローチャート図である。図12中、図3、図5、又は図11と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0103】
第7の動作例では、前述の第6の動作例と同様に、洗浄方法が異なる第1及び第2の洗浄処理が実施されるが、前回の洗浄情報に基づいて第1及び第2の洗浄処理の実施可否が判断される点で異なる。
【0104】
具体的には、図12に示すように、ステップS14で内視鏡12のIDの読み取りが行われた後、内視鏡12のIDが管理サーバ20に送信され、管理サーバ20から内視鏡12のIDに対応する洗浄情報が取得される(ステップS30)。このとき取得される洗浄情報には、前回洗浄時において第1及び第2の洗浄処理が実施された洗浄回数QA、QBが含まれるものとする。
【0105】
また、管理サーバ20から取得される洗浄情報には、これまでに第1及び第2の洗浄処理が行われた回数の合計をそれぞれ示す第1及び第2の総洗浄回数が含まれていることが好ましい。例えば、内視鏡12のダメージ状態を大きく左右する第2の総洗浄回数が所定回数以上の場合には、表示パネル46に内視鏡12のメンテナンスが必要であることを知らせるメッセージ等を表示することにより、オペレータは、内視鏡12のメンテナンス時期であることを把握することができる。また、第2の総洗浄回数に限らず、第1の総洗浄回数、或いは、第1及び第2の総洗浄数の合計値でもよい。また、前回の洗浄回数QA、QBに応じてメッセージを表示するようにしてもよい。
【0106】
洗浄工程では、まず、洗浄回数NA、NBがそれぞれ0にリセットされる(ステップS130)。次いで、前回の洗浄回数QA、QBに応じて第1の洗浄処理の実施可否が判断される(ステップS148)。ここで、前回の洗浄回数QA、QBから第1の洗浄処理の実施可否を決定するための判断テーブルの一例を図13に示す。図13に示した例では、前回の洗浄回数QAが3回以下であり、且つ、前回の洗浄回数QBが0回の場合には第1の洗浄処理は実施と判断され、それ以外の場合には第1の洗浄処理は未実施(即ち、第2の洗浄処理を実施)と判断される。
【0107】
第1の洗浄処理は実施と判断された場合(ステップS148でYesの場合)、第6の動作例と同様にして、洗浄回数NAのインクリメント(ステップS132)、第1の洗浄処理(ステップS134)、すすぎ処理(ステップS136)、洗浄評価(ステップS138)が順次実施される。洗浄評価の結果、洗浄レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS138でOKの場合)、消毒工程が開始される(ステップS18)。
【0108】
一方、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS138でNGの場合)、第1の洗浄処理が実施された洗浄回数NAが所定の上限値H(例えばH=5)未満か否かの判断が行われる(ステップS150)。洗浄回数NAが上限値H未満と判断された場合(ステップS150でYesの場合)、ステップS132からステップS138の処理が繰り返し行われる。
【0109】
ステップS150で洗浄回数NAが上限値Hに達したと判断された場合(ステップS150でNoの場合)、又は、ステップS148で第1の洗浄処理は未実施と判断された場合(ステップS148でNoの場合)、洗浄回数NBのインクリメント(ステップS140)、第2の洗浄処理(ステップS142)、すすぎ処理(ステップS144)、洗浄評価(ステップS146)が順次実施される。洗浄評価の結果、洗浄レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS146でOKの場合)、消毒工程が開始される(ステップS18)。一方、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS146でNGの場合)、ステップS146の洗浄評価に合格するまでステップS140からステップS146の処理が繰り返し行われる。
【0110】
第7の動作例によれば、前回の洗浄回数QA、QBに応じて洗浄方法が異なる2種類の洗浄処理(第1及び第2の洗浄処理)の中から内視鏡12の洗浄を行う洗浄処理が選択される。このように前回の洗浄回数QA、QBに基づいて洗浄処理を選択することにより、内視鏡の状態(汚れの落としやすさ)に応じた適切な洗浄処理で内視鏡12の洗浄を行うことが可能となる。また、各洗浄処理で洗浄が行われた後は内視鏡12の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には再洗浄が指示される。これにより、内視鏡12に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡12の洗浄が不十分な場合でも内視鏡12に付着した汚れを確実に除去することができる。その結果、内視鏡12の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。
【0111】
例えば、前回の洗浄回数QA、QBから洗浄で汚れを落としやすい内視鏡12と判断される場合には、内視鏡12へのダメージが少なくコスト的にも優位な第1の洗浄処理が選択され、洗浄評価に合格するまでの洗浄回数が所定回数に達した時点で第2の洗浄処理が実施される。第2の洗浄処理は、第1の洗浄処理と比較して内視鏡12へのダメージが多くコスト的にも不利ではあるが、第1の洗浄処理よりも洗浄効果が高く、内視鏡12に付着した汚れをより確実に除去することができる。一方、前回の洗浄回数QA、QBから洗浄で汚れを落としにくい内視鏡12と判断される場合には、第2の洗浄処理が選択される。このように内視鏡12の状態(汚れの落としやすさ)に応じて洗浄方法を変えることで、内視鏡12に対する洗浄時間の短縮化や洗浄液のコストダウンを図ることできる。また、洗浄で内視鏡12に与えるダメージを抑えて、内視鏡12の使用寿命を高めることができる。
【0112】
(第8の動作例)
図14は、洗浄装置30の第8の動作例を示したフローチャート図である。図14中、図3、図5、又は図11と共通する処理については同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0113】
第8の動作例では、図14に示すように、前述した第1〜第7の動作例のいずれか1つの洗浄工程が行われた後(ステップS16)、消毒回数MA、MBがそれぞれ0にリセットされる(ステップS152)。消毒回数MA、MBは、後述する第1及び第2の消毒処理が行われた消毒回数をそれぞれカウントするための変数である。なお、洗浄装置30は、例えば2種類の消毒液A、Bを選択的に供給可能に構成されており、消毒方法が異なる2種類の消毒処理(第1及び第2の消毒処理)を実施することができるようになっているものとする。
【0114】
次に、第1の動作例と同様にして、消毒回数MAのインクリメント(ステップS154)、第1の消毒処理(ステップS156)、すすぎ処理(ステップS158)、消毒評価(ステップS160)が順次実施される。消毒評価の結果、消毒レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS160でOKの場合)、乾燥工程が開始される(ステップS20)。
【0115】
一方、消毒レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS160でNGの場合)、消毒回数MBのインクリメント(ステップS162)、第2の消毒処理(ステップS164)、すすぎ処理(ステップS166)、消毒評価(ステップS168)が順次実施される。消毒評価の結果、消毒レベルが所定基準を満たしている場合(ステップS168でOKの場合)、乾燥工程が開始される(ステップS20)。一方、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合(ステップS168でNGの場合)、ステップS160又はステップS168の消毒評価に合格するまでステップS154からステップS168の処理が繰り返し行われる。
【0116】
ここで、第1の消毒処理で用いられる消毒液Aは、第2の消毒処理で用いられる消毒液Bよりも消毒効果が低く、単価が安いものが使用される。例えば、消毒液Aとしてグルタラールが用いられ、消毒液Bとして過酢酸が用いられる。
【0117】
このように第8の動作例によれば、消毒後の内視鏡12の消毒レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する消毒評価が行われ、消毒レベルが所定基準を満たしていない場合には異なる方法(本例では消毒液の種類を変える方法)で内視鏡12の再消毒が行われるので、内視鏡12に対する過剰な消毒を防止しつつ、内視鏡12の消毒が不十分な場合でも内視鏡12に付着した菌を確実に除去或いは病原性を死滅させることができる。これにより、内視鏡12に対する安全性、信頼性を向上させることができる。また、消毒液の無駄な消費を抑えることができ、コストダウンを図ることができる。
【0118】
第8の動作例では、上述したように第1及び第2の消毒処理で用いられる消毒液の種類を変えているが、これに限らず、第1及び第2の消毒処理で用いられる消毒液の濃度や温度を変えるようにしてもよい。
【0119】
消毒液の濃度を変える態様では、第1の消毒処理として、低濃度の消毒液を用いて内視鏡12の消毒が行われる一方で、第2の洗浄処理として、第1の消毒処理で用いられる消毒液よりも高濃度の消毒液を用いて内視鏡12の消毒が行われる。
【0120】
消毒液の温度を変える態様では、第1の消毒処理として、所定温度の消毒液を用いて内視鏡12の消毒が行われる一方で、第2の消毒処理として、第1の消毒処理よりも高温の消毒液を用いて内視鏡12の消毒が行われる。
【0121】
また、他の態様として、内視鏡12が消毒液に浸漬される時間(即ち、消毒時間)を第1及び第2の消毒時間で異ならせるようにしてもよい。即ち、第1の消毒処理では、内視鏡12が消毒液に所定時間浸漬される一方で、第2の消毒処理では、内視鏡12が第1の消毒処理よりも長時間浸漬される。
【0122】
いずれの態様においても、異なる2種類の消毒液が用いられる場合と同様に、消毒による内視鏡12のダメージを抑えつつ、内視鏡12に対する消毒を確実に行うことができ、消毒液のコストダウンを図ることも可能となる。
【0123】
なお、本実施形態では、管理サーバ20が洗浄情報を保持しているが、これに限らず、例えば、少なくとも前回洗浄時の洗浄情報をRFIDタグ14に保持し、洗浄装置30のRFIDリーダ40から読み取ることで、管理サーバ20を介さずに洗浄装置30とデータのやり取りを実施してもよい。
【0124】
また、前回の洗浄回数Nと使用可能時間をRFIDタグ14に保持し、内視鏡プロセッサ10のRFIDリーダ(不図示)から読み取ることで、管理サーバ20を介さずに内視鏡プロセッサ10とデータのやり取りを実施してもよい。
【0125】
以上、本発明の内視鏡洗浄管理システム及び内視鏡洗浄管理方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0126】
<付記>
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0127】
(発明1):内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄手段と、前記第1の洗浄手段で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしてないと判定された場合に前記第1の洗浄手段とは異なる方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄手段と、を備えたことを特徴とする内視鏡洗浄消毒装置。
【0128】
本発明によれば、洗浄後の内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には異なる方法で内視鏡の再洗浄が行われるので、内視鏡に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡の洗浄が不十分な場合でも内視鏡に付着した汚れを確実に除去することができる。これにより、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。
【0129】
(発明2):前記第2の洗浄手段は、前記第1の洗浄手段とは洗浄液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて前記内視鏡の洗浄を行うことを特徴とする発明1に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0130】
本発明は、洗浄液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて内視鏡の再洗浄を行うのが効果的である。
【0131】
(発明3):前記第2の洗浄手段は、前記第1の洗浄手段とは洗浄時間を異ならせて前記内視鏡の洗浄を行うことを特徴とする発明1又は2に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0132】
本発明は、洗浄時間を異ならせて内視鏡の再洗浄を行うのが効果的である。
【0133】
(発明4):前記洗浄評価手段は、ATP測定法を用いて前記内視鏡の汚れ具合を検出する汚れ具合検出手段を備えて構成されることを特徴とする発明1乃至3のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0134】
本発明は、ATP測定法を用いて内視鏡の汚れ具合を検出する態様が好適であり、内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを迅速且つ正確に判定することが可能である。
【0135】
(発明5):前記第1の洗浄手段で洗浄が行われる前の前記内視鏡の洗浄レベルを測定する洗浄前評価手段を備えることを特徴とする発明1乃至4のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0136】
かかる態様によれば、内視鏡の予備洗浄が適切に行なわれたか否かを評価することが可能となる。
【0137】
(発明6):前記洗浄前評価手段の測定結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とする発明5に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0138】
これにより、ユーザ(洗浄担当者等)は、内視鏡の予備洗浄が適切に行なわれたか否かを容易に把握することが可能となる。
【0139】
(発明7):前記内視鏡の消毒を行う第1の消毒手段と、前記第1の消毒手段で消毒された前記内視鏡の消毒レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する消毒評価手段と、前記消毒評価手段で前記内視鏡の消毒レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記第1の消毒手段とは異なる方法で前記内視鏡の消毒を行う第2の消毒手段と、を備えたことを特徴とする発明1乃至6のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0140】
本発明は、内視鏡の洗浄評価だけでなく消毒評価が行われるので、内視鏡に対する過剰な消毒を防止しつつ、内視鏡の消毒が不十分な場合でも内視鏡に残存している菌を確実に除去或いは病原性を死滅させることができる。これにより、内視鏡の洗浄レベルとともに消毒レベルを確実に確保することが可能となり、内視鏡に対する安全性、信頼性を向上させることができる。
【0141】
(発明8):前記第2の消毒手段は、前記第1の消毒手段とは消毒液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて前記内視鏡の消毒を行うことを特徴とする発明7に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0142】
本発明は、消毒液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて内視鏡の再洗浄を行うのが効果的である。
【0143】
(発明9):前記第2の消毒手段は、前記第1の消毒手段とは消毒時間を異ならせて前記内視鏡の消毒を行うことを特徴とする発明7又は8に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0144】
本発明は、消毒時間を異ならせて内視鏡の再洗浄を行うのが効果的である。
【0145】
(発明10):前記消毒評価手段は、蛍光染色フィルタ法を用いて前記内視鏡の生菌検出を行う生菌検出手段を備えて構成されることを特徴とする発明7乃至9のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒装置。
【0146】
本発明は、蛍光染色フィルタ法を用いて内視鏡の生菌検出を行う態様が好適であり、内視鏡の消毒レベルが所定基準を満たしているか否かを迅速且つ正確に判定することが可能である。
【0147】
(発明11):内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄工程と、前記第1の洗浄工程で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価工程と、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしてないと判定された場合に前記第1の洗浄工程とは異なる方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄工程と、を含むことを特徴とする内視鏡洗浄消毒方法。
【0148】
(発明12):前記第2の洗浄工程は、前記第1の洗浄工程とは洗浄液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて前記内視鏡の洗浄を行うことを特徴とする発明11に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0149】
(発明13):前記第2の洗浄工程は、前記第1の洗浄工程とは洗浄時間を異ならせて前記内視鏡の洗浄を行うことを特徴とする発明11又は12に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0150】
(発明14):前記洗浄評価工程は、ATP測定法を用いて前記内視鏡の汚れ具合を検出する汚れ具合検出工程を備えて構成されることを特徴とする発明11乃至13のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0151】
(発明15):前記第1の洗浄工程で洗浄が行われる前の前記内視鏡の洗浄レベルを測定する洗浄前評価工程を備えることを特徴とする発明11乃至14のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0152】
(発明16):前記洗浄前評価工程の測定結果を表示する表示工程を備えたことを特徴とする発明15に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0153】
(発明17):前記内視鏡の消毒を行う第1の消毒工程と、前記第1の消毒工程で消毒された前記内視鏡の消毒レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する消毒評価工程と、前記消毒評価工程で前記内視鏡の消毒レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記第1の消毒工程とは異なる方法で前記内視鏡の消毒を行う第2の消毒工程と、を備えたことを特徴とする発明11乃至16のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0154】
(発明18):前記第2の消毒工程は、前記第1の消毒工程とは消毒液の種類、濃度、及び温度の少なくとも1つの条件を異ならせて前記内視鏡の消毒を行うことを特徴とする発明17に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0155】
(発明19):前記第2の消毒工程は、前記第1の消毒工程とは消毒時間を異ならせて前記内視鏡の消毒を行うことを特徴とする発明17又は18に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0156】
(発明20):前記消毒評価工程は、蛍光染色フィルタ法を用いて前記内視鏡の生菌検出を行う生菌検出工程を備えて構成されることを特徴とする発明17乃至19のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄消毒方法。
【0157】
(発明21):内視鏡の洗浄を行う洗浄手段と、前記洗浄手段で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数に応じて前記内視鏡の使用可能時間を設定する使用可能時間設定手段と、前記内視鏡の洗浄が行われてからの経過時間が前記使用可能時間を超えているか否かを判断する使用可能時間判断手段と、前記経過時間が前記使用可能時間を超えていると判断された場合に前記内視鏡の使用を禁止する内視鏡使用禁止手段と、を備えたことを特徴とする内視鏡洗浄管理システム。
【0158】
本発明によれば、洗浄後の内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄評価に合格するまでの洗浄回数に応じて内視鏡の使用可能時間が設定され、内視鏡の洗浄が行われてからの経過時間が使用可能時間を超えている場合には内視鏡の使用が禁止され、内視鏡検査の開始が不可能な状態となる。このため、内視鏡が使用可能時間を越えて使用されることを容易且つ確実に防止することができ、内視鏡に対する安全性、信頼性を向上させることができる。
【0159】
(発明22):前記使用可能時間設定手段は、前記洗浄回数が多くなるにつれて前記内視鏡の使用可能時間を短く設定することを特徴とする発明21に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0160】
このように洗浄評価に合格するまでの洗浄回数が多い内視鏡、即ち、汚れが付着しやすい内視鏡の使用可能時間は短く設定されることが好ましい。これにより、内視鏡の清浄性を確実に確保することができる。
【0161】
(発明23):前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数が所定回数よりも多い場合には前記内視鏡の洗浄を追加指示する追加洗浄指示手段を備えたことを特徴とする発明21又は22に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0162】
このように洗浄評価に合格してもより清浄性をより確実に確保すべく予防保全の観点から内視鏡の再洗浄を追加実施する態様が好ましい。
【0163】
(発明24):前記内視鏡の洗浄に関する履歴情報を管理する洗浄履歴管理手段と、洗浄履歴管理手段から前回洗浄時に前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の前回洗浄回数を取得する洗浄履歴取得手段と、前記前回洗浄回数に応じて前記洗浄評価手段による判定処理を省略する洗浄評価省略手段と、を備えたことを特徴とする発明21乃至23のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0164】
このように前回洗浄回数に応じて内視鏡に対する洗浄評価を省略することにより、洗浄評価に要する時間の短縮化を図ることができ、全体処理の効率化を図ることができる。
【0165】
(発明25):前記洗浄評価省略手段は、前記前回洗浄回数が所定回数未満の場合には、前記洗浄手段による前記内視鏡の洗浄が行われた後に前記洗浄評価手段による判定が行われる一方で、前記前回洗浄回数が所定回数以上の場合には、前記洗浄手段による前記内視鏡の洗浄が少なくとも2回行われるまでは前記洗浄評価手段による判定が省略されることを特徴とする発明24に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0166】
本発明は、前回洗浄回数に応じて内視鏡に対する洗浄評価を省略する場合の好ましい一態様である。
【0167】
(発明26):内視鏡の洗浄を行う洗浄工程と、前記洗浄工程で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価工程と、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示工程と、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数に応じて前記内視鏡の使用可能時間を設定する使用可能時間設定工程と、前記内視鏡の洗浄が行われてからの経過時間が前記使用可能時間を超えているか否かを判断する使用可能時間判断工程と、前記経過時間が前記使用可能時間を超えていると判断された場合に前記内視鏡の使用を禁止する内視鏡使用禁止工程と、を備えたことを特徴とする内視鏡洗浄管理方法。
【0168】
(発明27):前記使用可能時間設定工程は、前記洗浄回数が多くなるにつれて前記内視鏡の使用可能時間を短く設定することを特徴とする発明26に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0169】
(発明28):前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数が所定回数よりも多い場合には前記内視鏡の洗浄を追加指示する追加洗浄指示工程を備えたことを特徴とする発明26又は27に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0170】
(発明29):前記内視鏡の洗浄に関する履歴情報を管理する洗浄履歴管理工程と、洗浄履歴管理工程から前回洗浄時に前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の前回洗浄回数を取得する洗浄履歴取得工程と、前記前回洗浄回数に応じて前記洗浄評価工程による判定処理を省略する洗浄評価省略工程と、を備えたことを特徴とする発明26乃至28のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0171】
(発明30):前記洗浄評価省略工程は、前記前回洗浄回数が所定回数未満の場合には、前記洗浄工程による前記内視鏡の洗浄が行われた後に前記洗浄評価工程による判定が行われる一方で、前記前回洗浄回数が所定回数以上の場合には、前記洗浄工程による前記内視鏡の洗浄が少なくとも2回行われるまでは前記洗浄評価工程による判定が省略されることを特徴とする発明29に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0172】
(発明31):内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄手段と、前記第1の洗浄手段とは異なる方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄手段と、前記第1又は第2の洗浄手段で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示手段と、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数を洗浄手段毎に管理する洗浄履歴管理手段と、前記内視鏡の洗浄が前回実施されたときの前回洗浄回数を洗浄手段毎に取得する洗浄履歴取得手段と、前記洗浄履歴取得手段で取得された前記前回洗浄回数に基づいて前記第1の洗浄手段及び前記第2の洗浄手段の中から前記内視鏡の洗浄を行う洗浄手段を選択する選択手段と、を備えたことを特徴とする内視鏡洗浄管理システム。
【0173】
本発明によれば、洗浄方法が異なる2種類の洗浄手段を備え、前回の洗浄回数に応じて2種類の洗浄手段の中から内視鏡の洗浄を行う洗浄手段が選択される。このように前回の洗浄回数に基づいて洗浄手段を選択することにより、内視鏡の状態(汚れの落としやすさ)に応じた適切な洗浄手段で洗浄が行われる。また、各洗浄手段で洗浄が行われた後は内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かの判定を行う洗浄評価が行われ、洗浄レベルが所定基準を満たしていない場合には再洗浄が指示される。これにより、内視鏡に対する過剰な洗浄を防止しつつ、内視鏡の洗浄が不十分な場合でも内視鏡に付着した汚れを確実に除去することができる。その結果、内視鏡の洗浄レベルを確実に確保することが可能となり、その後に行われる消毒で十分な効果を発揮させることができる。また、洗浄で内視鏡に与えるダメージを抑えて、内視鏡の使用寿命を高めることができる。
【0174】
(発明32):前記第1の洗浄手段は、前記第2の洗浄手段に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ない方法で前記内視鏡の洗浄を行い、前記選択手段は、前記第1の洗浄手段による前回洗浄回数が所定回数以下であり、且つ、前記第2の洗浄手段による前回洗浄回数が0回である場合には、前記第1の洗浄手段を選択することを特徴とする発明31に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0175】
本態様は、前回の洗浄回数に基づいて洗浄手段を選択する場合の好ましい一態様である。
【0176】
(発明33):前記選択手段は、前記第1の洗浄手段による洗浄回数が所定回数に到達した場合には、前記第2の選択手段を選択し、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまで前記第2の洗浄手段による洗浄を繰り返し行うことを特徴とする発明32に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0177】
このように第1の洗浄手段による洗浄では不十分と判断される場合には、第2の洗浄手段を選択して洗浄を行うことにより、内視鏡の洗浄効果を向上させることができる。
【0178】
(発明34):前記第1の洗浄手段で用いられる第1の洗浄液は、前記第2の洗浄手段で用いられる第2の洗浄液に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ないことを特徴とする発明32又は33に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0179】
このように第1の洗浄手段で用いられる第1の洗浄液は、第2の洗浄手段で用いられる第2の洗浄液に比べて内視鏡に与える悪影響が少ないことが好ましい。第1の洗浄液で洗浄が行われるときの内視鏡へのダメージを抑えることができる。
【0180】
(発明35):前記第1の洗浄手段で用いられる第1の洗浄液の濃度は、前記第2の洗浄手段で用いられる第2の洗浄液の濃度よりも低いことを特徴とする発明32乃至34のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【0181】
このように第1の洗浄液が第2の洗浄液の濃度(洗剤濃度)よりも低い態様が好ましい。第1の洗浄液で洗浄が行われるときの内視鏡へのダメージを抑えることができる。
【0182】
(発明36):内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄工程と、前記第1の洗浄工程とは異なる洗浄方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄工程と、前記第1又は第2の洗浄工程で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価工程と、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示工程と、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数を洗浄工程毎に管理する洗浄履歴管理工程と、前記内視鏡の洗浄が前回実施されたときの前回洗浄回数を洗浄工程毎に取得する洗浄履歴取得工程と、前記洗浄履歴取得工程で取得された前記前回洗浄回数に基づいて前記第1の洗浄工程及び前記第2の洗浄工程の中から前記内視鏡の洗浄を行う洗浄工程を選択する選択工程と、を含むことを特徴とする内視鏡洗浄管理方法。
【0183】
(発明37):前記第1の洗浄工程は、前記第2の洗浄工程に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ない方法で前記内視鏡の洗浄を行い、前記選択工程は、前記第1の洗浄工程の前回洗浄回数が所定回数以下であり、且つ、前記第2の洗浄工程の前回洗浄回数が0回である場合には、前記第1の洗浄工程を選択することを特徴とする発明36に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0184】
(発明38):前記第1の洗浄工程の洗浄回数が所定回数に到達した場合には、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまで前記第2の洗浄工程による洗浄が繰り返し行われることを特徴とする発明37に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0185】
(発明39):前記第1の洗浄工程で用いられる第1の洗浄液は、前記第2の洗浄工程で用いられる第2の洗浄液に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ないことを特徴とする発明37又は38に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【0186】
(発明40):前記第1の洗浄工程で用いられる第1の洗浄液の濃度は、前記第2の洗浄工程で用いられる第2の洗浄液の濃度よりも低いことを特徴とする発明37乃至39のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【符号の説明】
【0187】
10…内視鏡プロセッサ、12…内視鏡、14…RFIDタグ、20…洗浄履歴管理サーバ(管理サーバ)、30…内視鏡洗浄消毒装置(洗浄装置)、32…CPU、40…RFIDリーダ、58…洗浄評価手段、60…消毒評価手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄手段と、
前記第1の洗浄手段とは異なる方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄手段と、
前記第1又は第2の洗浄手段で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価手段と、
前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示手段と、
前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数を洗浄手段毎に管理する洗浄履歴管理手段と、
前記内視鏡の洗浄が前回実施されたときの前回洗浄回数を洗浄手段毎に取得する洗浄履歴取得手段と、
前記洗浄履歴取得手段で取得された前記前回洗浄回数に基づいて前記第1の洗浄手段及び前記第2の洗浄手段の中から前記内視鏡の洗浄を行う洗浄手段を選択する選択手段と、
を備えたことを特徴とする内視鏡洗浄管理システム。
【請求項2】
前記第1の洗浄手段は、前記第2の洗浄手段に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ない方法で前記内視鏡の洗浄を行い、
前記選択手段は、前記第1の洗浄手段による前回洗浄回数が所定回数以下であり、且つ、前記第2の洗浄手段による前回洗浄回数が0回である場合には、前記第1の洗浄手段を選択することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【請求項3】
前記選択手段は、前記第1の洗浄手段による洗浄回数が所定回数に到達した場合には、前記第2の選択手段を選択し、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまで前記第2の洗浄手段による洗浄を繰り返し行うことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【請求項4】
前記第1の洗浄手段で用いられる第1の洗浄液は、前記第2の洗浄手段で用いられる第2の洗浄液に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ないことを特徴とする請求項2又は3に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【請求項5】
前記第1の洗浄手段で用いられる第1の洗浄液の濃度は、前記第2の洗浄手段で用いられる第2の洗浄液の濃度よりも低いことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【請求項6】
内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄工程と、
前記第1の洗浄工程とは異なる洗浄方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄工程と、
前記第1又は第2の洗浄工程で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価工程と、
前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示工程と、
前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数を洗浄工程毎に管理する洗浄履歴管理工程と、
前記内視鏡の洗浄が前回実施されたときの前回洗浄回数を洗浄工程毎に取得する洗浄履歴取得工程と、
前記洗浄履歴取得工程で取得された前記前回洗浄回数に基づいて前記第1の洗浄工程及び前記第2の洗浄工程の中から前記内視鏡の洗浄を行う洗浄工程を選択する選択工程と、
を含むことを特徴とする内視鏡洗浄管理方法。
【請求項7】
前記第1の洗浄工程は、前記第2の洗浄工程に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ない方法で前記内視鏡の洗浄を行い、
前記選択工程は、前記第1の洗浄工程の前回洗浄回数が所定回数以下であり、且つ、前記第2の洗浄工程の前回洗浄回数が0回である場合には、前記第1の洗浄工程を選択することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【請求項8】
前記第1の洗浄工程の洗浄回数が所定回数に到達した場合には、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまで前記第2の洗浄工程による洗浄が繰り返し行われることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【請求項9】
前記第1の洗浄工程で用いられる第1の洗浄液は、前記第2の洗浄工程で用いられる第2の洗浄液に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ないことを特徴とする請求項7又は8に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【請求項10】
前記第1の洗浄工程で用いられる第1の洗浄液の濃度は、前記第2の洗浄工程で用いられる第2の洗浄液の濃度よりも低いことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【請求項1】
内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄手段と、
前記第1の洗浄手段とは異なる方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄手段と、
前記第1又は第2の洗浄手段で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価手段と、
前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示手段と、
前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数を洗浄手段毎に管理する洗浄履歴管理手段と、
前記内視鏡の洗浄が前回実施されたときの前回洗浄回数を洗浄手段毎に取得する洗浄履歴取得手段と、
前記洗浄履歴取得手段で取得された前記前回洗浄回数に基づいて前記第1の洗浄手段及び前記第2の洗浄手段の中から前記内視鏡の洗浄を行う洗浄手段を選択する選択手段と、
を備えたことを特徴とする内視鏡洗浄管理システム。
【請求項2】
前記第1の洗浄手段は、前記第2の洗浄手段に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ない方法で前記内視鏡の洗浄を行い、
前記選択手段は、前記第1の洗浄手段による前回洗浄回数が所定回数以下であり、且つ、前記第2の洗浄手段による前回洗浄回数が0回である場合には、前記第1の洗浄手段を選択することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【請求項3】
前記選択手段は、前記第1の洗浄手段による洗浄回数が所定回数に到達した場合には、前記第2の選択手段を選択し、前記洗浄評価手段で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまで前記第2の洗浄手段による洗浄を繰り返し行うことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【請求項4】
前記第1の洗浄手段で用いられる第1の洗浄液は、前記第2の洗浄手段で用いられる第2の洗浄液に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ないことを特徴とする請求項2又は3に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【請求項5】
前記第1の洗浄手段で用いられる第1の洗浄液の濃度は、前記第2の洗浄手段で用いられる第2の洗浄液の濃度よりも低いことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理システム。
【請求項6】
内視鏡の洗浄を行う第1の洗浄工程と、
前記第1の洗浄工程とは異なる洗浄方法で前記内視鏡の洗浄を行う第2の洗浄工程と、
前記第1又は第2の洗浄工程で洗浄された前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしているか否かを判定する洗浄評価工程と、
前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていないと判定された場合に前記内視鏡の再洗浄を指示する再洗浄指示工程と、
前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまでに実施された前記内視鏡の洗浄回数を洗浄工程毎に管理する洗浄履歴管理工程と、
前記内視鏡の洗浄が前回実施されたときの前回洗浄回数を洗浄工程毎に取得する洗浄履歴取得工程と、
前記洗浄履歴取得工程で取得された前記前回洗浄回数に基づいて前記第1の洗浄工程及び前記第2の洗浄工程の中から前記内視鏡の洗浄を行う洗浄工程を選択する選択工程と、
を含むことを特徴とする内視鏡洗浄管理方法。
【請求項7】
前記第1の洗浄工程は、前記第2の洗浄工程に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ない方法で前記内視鏡の洗浄を行い、
前記選択工程は、前記第1の洗浄工程の前回洗浄回数が所定回数以下であり、且つ、前記第2の洗浄工程の前回洗浄回数が0回である場合には、前記第1の洗浄工程を選択することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【請求項8】
前記第1の洗浄工程の洗浄回数が所定回数に到達した場合には、前記洗浄評価工程で前記内視鏡の洗浄レベルが所定基準を満たしていると判定されるまで前記第2の洗浄工程による洗浄が繰り返し行われることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【請求項9】
前記第1の洗浄工程で用いられる第1の洗浄液は、前記第2の洗浄工程で用いられる第2の洗浄液に比べて前記内視鏡に与える悪影響が少ないことを特徴とする請求項7又は8に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【請求項10】
前記第1の洗浄工程で用いられる第1の洗浄液の濃度は、前記第2の洗浄工程で用いられる第2の洗浄液の濃度よりも低いことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の内視鏡洗浄管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−71029(P2012−71029A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219546(P2010−219546)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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