説明

内視鏡洗浄装置

【課題】洗浄後の洗浄液によって既洗浄面が汚れてしまう不都合の発生を防止して、鉗子チャネル内を効率的に洗浄する。
【解決手段】内視鏡挿入部2の鉗子チャネル3内に長手方向および周方向に移動可能に挿入され、鉗子チャネル3の内周面に接触させられる洗浄ブラシ4と、該洗浄ブラシ4に一端が固定され、他端から供給される回転力および推進力を伝達するワイヤ5aと、該ワイヤ5aを介して洗浄ブラシ4を周方向に回転させる駆動部と、洗浄ブラシ4に薬液Aを供給する薬液供給手段と、洗浄ブラシ4の後段に配置され、鉗子チャネル3の内面に密着させられて、洗浄ブラシ4から鉗子チャネル3の基端側への薬液Aの流路を密封するシール部材7とを備える内視鏡洗浄装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡挿入部の鉗子チャネル内に配置した洗浄ブラシを挿入部の長手方向に進退させることにより鉗子チャネル内を洗浄する内視鏡洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−153862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の内視鏡洗浄装置は、鉗子チャネル内において洗浄ブラシを単に進退させるだけであるため、洗浄後の洗浄液が、鉗子チャネル内の既に洗浄された領域に逆流して既洗浄面を汚してしまうという不都合がある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、洗浄後の洗浄液によって既洗浄面が汚れてしまう不都合の発生を防止して、鉗子チャネル内を効率的に洗浄することができる内視鏡洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、内視鏡挿入部の鉗子チャネル内に長手方向および周方向に移動可能に挿入され、前記鉗子チャネルの内周面に接触させられる洗浄ブラシと、該洗浄ブラシに一端が固定され、他端から供給される回転力および推進力を伝達するワイヤと、該ワイヤを介して前記洗浄ブラシを周方向に回転させる駆動部と、前記洗浄ブラシに薬液を供給する薬液供給手段と、前記洗浄ブラシの後段に配置され、前記鉗子チャネルの内面に密着させられて、前記洗浄ブラシから前記鉗子チャネルの基端側への薬液の流路を密封するシール部材とを備える内視鏡洗浄装置を提供する。
【0006】
本発明によれば、内視鏡挿入部の鉗子チャネル内に洗浄ブラシを挿入し、駆動部を作動させると、駆動部の回転力がワイヤを介して洗浄ブラシに伝達され、洗浄ブラシが鉗子チャネル内において周方向に回転させられる。このとき、薬液供給手段の作動により、薬液を洗浄ブラシに供給することで、洗浄ブラシによって鉗子チャネル内面に付着していた塵埃が掻き取られるとともに、薬液によって殺菌、洗浄が行われる。
【0007】
そして、ワイヤを介して推進力を洗浄ブラシに伝達することで、洗浄ブラシが鉗子チャネル内を長手方向に移動し、洗浄、殺菌箇所を順次長手方向にずらしながら洗浄が行われる。この場合において、洗浄ブラシの後段に設けられたシール部材により、洗浄ブラシから鉗子チャネルの基端側への薬液の流路が密封されるので、洗浄ブラシが前進しても、洗浄後の薬液が既洗浄面に触れることが防止される。これにより、鉗子チャネル内を効率的に洗浄することができる。
【0008】
上記発明においては、前記薬液供給部が、前記ワイヤの半径方向外方に薬液供給用の流路を形成して前記ワイヤを挿入する供給管を備え、前記シール部材が、前記供給管の外面と前記鉗子チャネルの内面との間の円筒状の流路を密封してもよい。
このようにすることで、供給管を介して鉗子チャネルの基端側から洗浄ブラシに薬液をスムーズに供給して鉗子チャネル内面の洗浄を行うとともに、供給管と鉗子チャネルとの間に円筒状の流路を形成して、シール部材によって確実に密封することができる。
【0009】
また、上記発明においては、前記シール部材が、前記供給管に対してその長手方向に相対移動可能に設けられ、前記シール部材の後方への移動を制限するストッパを備え、前記供給管に、前記シール部材が前記洗浄ブラシに隣接する前方位置に配置されているときに閉塞され、前記シール部材がストッパに突き当たる後方位置に配置されているときに開放される貫通孔が半径方向に貫通して形成されていてもよい。
【0010】
このようにすることで、シール部材を洗浄ブラシに隣接する前方位置に配置し、洗浄ブラシおよびシール部材を鉗子チャネルに挿入すると、貫通孔がシール部材によって閉塞されているので、薬液は供給管を介して洗浄ブラシに供給される。次いで、シール部材によって流路を密封した状態で、洗浄ブラシによって洗浄を行わせながら前進させると、シール部材が停止していても、供給管が洗浄ブラシとともに前進するので、シール部材が供給管に対して相対的に後退し、供給管の貫通孔が開放される。
【0011】
これにより、貫通孔を介して、洗浄ブラシとシール部材との間の隙間に薬液が供給される。この隙間に配される鉗子チャネルの内面は、洗浄ブラシによって既に洗浄された部分であるため、新たな薬液を供給することで、既洗浄面を薬液により殺菌することができる。シール部材はストッパに突き当たる後方位置に配置されると、ストッパによってそれ以上の相対的な後退が制限され、洗浄ブラシが前進するとストッパとともに前進させられる。これにより、長手方向の全域にわたって、鉗子チャネル内面の洗浄およびその後の殺菌を行うことができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記シール部材が、前記洗浄ブラシの後方に隣接して固定された固定シール部材と、該固定シール部材の後方に、前記供給管に対してその長手方向に相対移動可能に設けられた可動シール部材とを備え、該可動シール部材の後方への移動を制限するストッパを備え、前記供給管に、前記可動シール部材が前記固定シール部材に隣接する前方位置に配置されているときに閉塞され、前記可動シール部材がストッパに突き当たる後方位置に配置されているときに開放される貫通孔が半径方向に貫通して形成されていてもよい。
【0013】
このようにすることで、可動シール部材を固定シール部材に隣接する前方位置に配置し、洗浄ブラシ、固定シール部材および可動シール部材を鉗子チャネルに挿入すると、貫通孔が可動シール部材によって閉塞されているので、薬液は供給管を介して洗浄ブラシに供給される。次いで、固定シール部材によって流路を密封した状態で、洗浄ブラシにより洗浄を行わせながら前進させると、可動シール部材が停止していても、供給管が洗浄ブラシおよび固定シール部材とともに前進するので、可動シール部材が供給管に対して相対的に後退し、供給管の貫通孔が開放される。
【0014】
これにより、貫通孔を介して、固定シール部材と可動シール部材との間の隙間に薬液が供給される。この隙間に配される鉗子チャネルの内面は、洗浄ブラシによって既に洗浄された部分であるため、新たな薬液を供給することで、既洗浄面を薬液により殺菌することができる。この場合において、この隙間と洗浄ブラシとは固定シール部材によって密封されているので、洗浄後の薬液がこの隙間に入ることが防止され、この隙間に配される鉗子チャネルの内面は、新たな薬液によって十分に殺菌されることになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、洗浄後の洗浄液によって既洗浄面が汚れてしまう不都合の発生を防止して、鉗子チャネル内を効率的に洗浄することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る内視鏡洗浄装置を示す一部を破断した全体構成図である。
【図2】図1の内視鏡洗浄装置の洗浄ブラシを鉗子チャネル内に挿入した状態を示す縦断面図である。
【図3】図1の内視鏡洗浄装置のシール部材を鉗子チャネル内に挿入し、薬液を供給して洗浄ブラシを回転させた洗浄の開始状態を示す縦断面図である。
【図4】図3の状態から洗浄ブラシおよびシール部材を鉗子チャネル内において前進させた洗浄状態を示す縦断面図である。
【図5】図4の状態から洗浄ブラシおよびシール部材を鉗子チャネル内においてさらに前進させた洗浄の終了状態を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る内視鏡洗浄装置を示す部分的な縦断面図である。
【図7】図6の内視鏡洗浄装置のシール部材を鉗子チャネル内に挿入し、薬液を供給して洗浄ブラシを回転させた洗浄の開始状態を示す縦断面図である。
【図8】図7の状態から洗浄ブラシを鉗子チャネル内において前進させた洗浄状態を示す縦断面図である。
【図9】図8の状態から洗浄ブラシおよびシール部材を鉗子チャネル内においてさらに前進させた洗浄状態を示す縦断面図である。
【図10】図6の内視鏡洗浄装置の変形例を示す部分的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態に係る内視鏡洗浄装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る内視鏡洗浄装置1は、図1〜図5に示されるように、内視鏡挿入部2の鉗子チャネル3内を洗浄および殺菌する装置である。
【0018】
本実施形態に係る内視鏡洗浄装置1は、鉗子チャネル3内に基端側から挿入される洗浄ブラシ4と、該洗浄ブラシ4を駆動する駆動手段5と、洗浄ブラシ4に薬液Aを供給する薬液供給手段6と、洗浄ブラシ4による洗浄後の薬液Aが洗浄を終了した鉗子チャネルの内面(既洗浄面)側に戻るのを防止するシール部材7とを備えている。
【0019】
洗浄ブラシ4は、例えば、多数本の毛4aを放射状に植毛して、略円筒状に形成されている。洗浄ブラシ4は、鉗子チャネル3の内径寸法より若干大きな外径寸法を有している。洗浄ブラシ4の中心部には、円筒状の中空部4bが設けられ、該中空部4bの外周面に毛4aが植毛されている。そして、中空部4bには半径方向に貫通する複数の貫通孔4cが設けられている。
【0020】
駆動手段5は、回転力および推進力を伝達するワイヤ5aを備えている。ワイヤ5aは洗浄ブラシ4の中心軸に固定され、ワイヤ5aを捻る方向に回転力を加えることにより、洗浄ブラシ4をその中心軸回りに回転させることができるようになっている。
鉗子チャネル3内に洗浄ブラシ4が挿入された状態で、洗浄ブラシ4を中心軸回りに回転させると、半径方向外向きに配置された洗浄ブラシ4の毛4a先によって鉗子チャネル3の内面が周方向に擦られるようになっている。その結果、鉗子チャネル3の内面に付着していた汚れや塵埃が掻き落とされるようになっている。
【0021】
駆動手段5は、ワイヤ5aに加える回転力を発生させるモータ5bを備えている。モータ5b自体をワイヤ5aの長手方向に押し引きすることにより、ワイヤ5aによって推進力を伝達し、鉗子チャネル3内において洗浄ブラシ4を前進または後退させることができるようになっている。
【0022】
薬液供給手段6は、ワイヤ5aの半径方向外方に間隔をあけて配置される管状の供給管6aと、該供給管6aの基端側に接続され、薬液Aを貯留する薬液タンク6bと、該薬液タンク6b内の薬液Aを供給管6a内に送るポンプ6cとを備えている。
供給管6aの先端は、洗浄ブラシ4の中空部4bに接続されている。供給管6aを介して送られてきた薬液Aは、中空部4bに入ると、該中空部4bの貫通孔4cを介して半径方向外方に吐出され、毛4a先に供給されるようになっている。薬液Aとしては、例えば、オゾンナノバブル水を使用することができる。図中、符号8は、供給管6aの基端側において、供給管6aとワイヤ5aとの隙間を閉塞するシール部材である。
【0023】
シール部材7は、洗浄ブラシ4の後段に近接して配置され、供給管6aの外面から半径方向外方に延びるリング板状に形成されている。シール部材7は弾性変形可能な材質により形成され、その外径寸法は、鉗子チャネル3の内径寸法より若干大きく形成されている。
【0024】
このように構成された本実施形態に係る内視鏡洗浄装置1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る内視鏡洗浄装置1を用いて内視鏡挿入部2の鉗子チャネル3内を洗浄するには、図2および図3に示されるように、内視鏡挿入部2の鉗子チャネル3内に基端側から洗浄ブラシ4およびシール部材7の順に挿入する。
【0025】
洗浄ブラシ4は、その外周に配置された毛4a先を鉗子チャネル3の内面に全周にわたって接触するように配置される。また、シール部材7は半径方向内方に収縮させられて、鉗子チャネル3内に挿入されるので、供給管6aと鉗子チャネル3との間の円筒状の空間を全周にわたって密封する。
【0026】
次いで、薬液供給手段6のポンプ6cを作動させて、図3に示されるように、薬液タンク6b内の薬液Aを供給管6aを介して洗浄ブラシ4に供給するとともに、駆動手段5のモータ5bを作動させて、ワイヤ5aにより回転力を伝達し、洗浄ブラシ4を中心軸回りに回転させる。これにより、洗浄ブラシ4の毛4a先と鉗子チャネル3内面との摩擦面に薬液Aが供給され、鉗子チャネル3の内面が、全周にわたって洗浄ブラシ4の回転による洗浄および薬液Aによる殺菌が行われる。
【0027】
そして、洗浄ブラシ4により長手方向の一部の洗浄が行われた後には、モータ5bを押してワイヤ5aにより推進力を洗浄ブラシ4に伝達することによって、図4および図5に示されるように、洗浄ブラシ4およびシール部材7が、鉗子チャネル3内において長手方向に前進させられる。これにより、洗浄ブラシ4により新たな領域の洗浄を行うことができる。
【0028】
この場合において、洗浄ブラシ4の後段にはシール部材7が配置されて、供給管6aと鉗子チャネル3との間の空間を密閉しているので、洗浄ブラシ4の毛4a先において鉗子チャネル3の内面を洗浄した後の、塵埃や汚れを含んだ薬液Aが、シール部材7の後段側に流入するのを防止することができる。
【0029】
シール部材7の後段側には、鉗子チャネル3の内面の既に洗浄が終了した既洗浄面が配置されていくので、シール部材7によって既洗浄面への薬液Aの流入を防止することで、薬液Aに含まれている汚れや塵埃が既洗浄面に接触することを防止することができ、既洗浄面を清浄な状態に維持することができる。
すなわち、本実施形態に係る内視鏡洗浄装置1によれば、鉗子チャネル3の洗浄により鉗子チャネル3の内面から落とされた汚れや塵埃が既洗浄面を汚してしまう不都合の発生を防止することができ、洗浄効率を向上することができるという利点がある。
【0030】
次に、本発明の第2の実施形態に係る内視鏡洗浄装置10について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る内視鏡洗浄装置10の説明において、上述した第1の実施形態に係る内視鏡洗浄装置1と構成を共通とする箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
本実施形態に係る内視鏡洗浄装置10は、図6に示されるように、シール部材11の形状が異なる点、シール部材11が供給管6aの外面に供給管6aの長手方向に移動可能に取り付けられている点、シール部材11の移動を制限するストッパ12が設けられている点および、供給管6aに貫通孔13が設けられている点において第1の実施形態に係る内視鏡洗浄装置1と相違している。
【0032】
シール部材11は、大径部11aと小径部11bとを長手方向に連続させた2段階の外径寸法を有する円筒状に掲載されている。大径部11aの外径寸法は、鉗子チャネル3の内径寸法より若干大きく形成されている。また、小径部11bの外径寸法は、鉗子チャネル3の内径寸法より十分に小さく設定されている。
【0033】
これにより、図7および図8に示されるように、鉗子チャネル3内にシール部材11が挿入されると、洗浄ブラシ4の後段において、シール部材11の大径部11aが半径方向内方に収縮させられるように弾性変形させられて、その外周面が全周にわたって鉗子チャネル3の内面に密着させられるようになっている。その結果、シール部材11の大径部11aが、供給管6aと鉗子チャネル3との間の隙間を洗浄ブラシ4の後方において密封するようになっている。
【0034】
そして、洗浄ブラシ4が鉗子チャネル3の内面を洗浄して、鉗子チャネル3内を前方に移動すると、洗浄ブラシ4の後方において鉗子チャネル3の内面に密着させられているシール部材11は、図9に示されるように、洗浄ブラシ4の移動に拘わらずその位置に維持され、洗浄ブラシ4との間隔をあけるようになる。供給管6aの外面にはストッパ12が設けられているので、洗浄ブラシ4に対してシール部材11が所定の距離だけ離間させられると、シール部材11の後端がストッパ12に突き当たって係止され、その後は、シール部材11も洗浄ブラシ4および供給管6aとともに前進させられるようになっている。
【0035】
供給管6aに設けられた貫通孔13は、シール部材11が洗浄ブラシ4の後方に隣接して配置されている状態においては、シール部材11によって閉塞されており、シール部材11が洗浄ブラシ4に対して離間されることにより開放されるようになっている。貫通孔13は供給管6aの内外を連通しているので、供給管6aを介して送られてきた薬液Aが、洗浄ブラシ4とシール部材11との間の隙間に貫通孔13を介して吐出されるようになっている。
【0036】
このように構成された本実施形態に係る内視鏡洗浄装置10によれば、洗浄ブラシ4を回転させて鉗子チャネル3の内面の汚れや塵埃を掻き取り、薬液Aによって洗浄・殺菌しながら前進する際に、洗浄ブラシ4の後方に隣接するシール部材11によって、洗浄後の薬液Aがそれよりも後方へ流入するのが阻止される。これにより、既洗浄面が洗浄後の薬液Aによって汚れる不都合の発生を防止することができる。
【0037】
さらに、洗浄ブラシ4が前進して、洗浄ブラシ4に対してシール部材11が離間した状態では、洗浄ブラシ4とシール部材11との間に形成された隙間に、貫通孔13を介して供給管6a内からの新たな薬液Aが供給される。これにより、鉗子チャネル3の既洗浄面を新たな薬液Aによって効果的に殺菌および洗浄することができるという利点がある。
【0038】
なお、本実施形態においては、洗浄ブラシ4によって鉗子チャネル3の内面を洗浄する際に使用された洗浄後の薬液Aが、洗浄ブラシ4とシール部材11との間に若干流入することとなるが、貫通孔13を介して隙間に供給される新鮮な薬液Aを増やすことで、既洗浄面の清浄度を維持することができる。
また、図10に示されるように、供給管6aに対して移動可能に取り付けられたシール部材11とは別に、洗浄ブラシ4の後方に隣接して配置され、供給管6aに固定されたシール部材14を配置することにしてもよい。
【0039】
このようにすることで、洗浄ブラシ4において洗浄に使用された洗浄後の薬液Aは、固定されたシール部材14によって2つのシール部材11,14の間の空間に流入しないように阻止される。その結果、洗浄ブラシ4の後段のシール部材11,14間の隙間には、新鮮な薬液Aのみが供給され、鉗子チャネル3の既洗浄面を効果的に洗浄して、清浄度を維持することができるという利点がある。
【0040】
また、本実施形態においては、ワイヤ5aを介してモータ5bを押すことにより洗浄ブラシ4を推進することとしたが、ワイヤ5aの送り機構を別途設けることにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
A 薬液
1,10 内視鏡洗浄装置
2 内視鏡挿入部
3 鉗子チャネル
4 洗浄ブラシ
5 駆動手段(駆動部)
5a ワイヤ
6 薬液供給手段
6a 供給管
7,14 シール部材(固定シール部材)
11 シール部材(可動シール部材)
12 ストッパ
13 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡挿入部の鉗子チャネル内に長手方向および周方向に移動可能に挿入され、前記鉗子チャネルの内周面に接触させられる洗浄ブラシと、
該洗浄ブラシに一端が固定され、他端から供給される回転力および推進力を伝達するワイヤと、
該ワイヤを介して前記洗浄ブラシを周方向に回転させる駆動部と、
前記洗浄ブラシに薬液を供給する薬液供給手段と、
前記洗浄ブラシの後段に配置され、前記鉗子チャネルの内面に密着させられて、前記洗浄ブラシから前記鉗子チャネルの基端側への薬液の流路を密封するシール部材とを備える内視鏡洗浄装置。
【請求項2】
前記薬液供給部が、前記ワイヤの半径方向外方に薬液供給用の流路を形成して前記ワイヤを挿入する供給管を備え、
前記シール部材が、前記供給管の外面と前記鉗子チャネルの内面との間の円筒状の流路を密封する請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項3】
前記シール部材が、前記供給管に対してその長手方向に相対移動可能に設けられ、
前記シール部材の後方への移動を制限するストッパを備え、
前記供給管に、前記シール部材が前記洗浄ブラシに隣接する前方位置に配置されているときに閉塞され、前記シール部材がストッパに突き当たる後方位置に配置されているときに開放される貫通孔が半径方向に貫通して形成されている請求項2に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項4】
前記シール部材が、前記洗浄ブラシの後方に隣接して固定された固定シール部材と、該固定シール部材の後方に、前記供給管に対してその長手方向に相対移動可能に設けられた可動シール部材とを備え、
該可動シール部材の後方への移動を制限するストッパを備え、
前記供給管に、前記可動シール部材が前記固定シール部材に隣接する前方位置に配置されているときに閉塞され、前記可動シール部材がストッパに突き当たる後方位置に配置されているときに開放される貫通孔が半径方向に貫通して形成されている請求項2に記載の内視鏡洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−55519(P2012−55519A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202181(P2010−202181)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】