内視鏡用ガイドチューブ及び内視鏡装置
【課題】入口部分に対して観察対象となる内部空間が一定方向に湾曲して広がりを有するような被検体でも、案内する内視鏡装置の挿入部の姿勢を安定させて、所望の位置まで容易に挿入し観察することが可能な内視鏡用ガイドチューブ及び内視鏡装置を提供する。
【解決手段】内視鏡用ガイドチューブ10は、略管状で内視鏡装置の挿入部2を挿通させるチャンネル11aを有して一方向Rにのみ湾曲可能なチューブ本体11を備える。
【解決手段】内視鏡用ガイドチューブ10は、略管状で内視鏡装置の挿入部2を挿通させるチャンネル11aを有して一方向Rにのみ湾曲可能なチューブ本体11を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部に外装して案内する内視鏡用ガイドチューブ、及び、これを備える内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、観察者が直接目視できない被検体を観察可能とすべく、被検体に挿入可能な挿入部を有する内視鏡装置が利用されている。そして、このような挿入部を被検体内部に挿入する際に、容易に挿入可能とするために、挿入部に可撓性を有する内視鏡用ガイドチューブを外装して挿入部を案内させる場合がある。より具体的には、このような内視鏡用ガイドチューブとしては、密巻コイルを外皮とするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような内視鏡用ガイドチューブでは、被検体の形状に応じて密巻コイルが弾性的に湾曲して、挿入部を案内することができるものとされている。
【0003】
また、直線状に並べて配置された多数の筒体と、筒体に形成された連通孔に挿通された一対のワイヤと、それぞれワイヤの基端に接続された一対のラックと、一対のラックが対向して噛み合うピニオンと、ピニオンを付勢する弾性体とを備える内視鏡用ガイドチューブが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような内視鏡用ガイドチューブでは、ピニオンが弾性体で付勢されているとともに、このピニオンにワイヤが接続されたラックが噛み合っていることで、一対のワイヤには均等に付勢力が作用し、ワイヤが挿通された多数の筒体は被検体の直線部分では直線状に配列することができる。一方、被検体の湾曲部分では、筒体が被検体に当接することで、各ワイヤに接続されたラックの位置が変位し、被検体の形状に応じて湾曲するように配列されることになるとされている。
【0004】
さらに、ワイヤを介して互いに隣接して結合された複数のセグメントからなり、ワイヤを引っ張ることで全体を硬化させることが可能であるとともに、弛緩させることで湾曲することが可能である内視鏡用ガイドチューブが提案されている(例えば、特許文献3参照)。このような内視鏡用ガイドチューブでは、ワイヤを操作することで、ワイヤを弛緩させて湾曲形状を形成するとともに、形成した後は、ワイヤを引っ張って形成した湾曲形状を維持させながら挿入させることができるものとされている。
【特許文献1】特開昭60−150023号公報
【特許文献2】特開平5−11120号公報
【特許文献3】特開2005−524431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の内視鏡用ガイドチューブでは、タイヤや二重管などの環状体を被検体として、内部空間に挿入して内面を観察する場合において、内部空間に挿入された部分の湾曲する方向が不安定となってしまう場合があった。すなわち、このような被検体は、内部空間が一定方向に湾曲しているとともに内視鏡用ガイドチューブを自由に移動させることが可能な程度の広がりを有している一方、内部空間への入口部分がバルブ等で内視鏡用ガイドチューブを挿入可能な程度に狭くなっている。そして、入口部分から内部空間へ到達した内視鏡用ガイドチューブは、基端を入口部分へ押し込むことで、内部空間においてさらに挿入されることとなり、被検体内部の内面に当接して、あるいは、自重によって、自己の可撓性により湾曲することとなる。ここで、内部空間が上記のような広がりを有することで、内部空間に位置する内視鏡用ガイドチューブは、いずれの方向にも湾曲可能である。このため、内視鏡用ガイドチューブの先端がいずれの方向に向いているか不明となってしまい、内視鏡用ガイドチューブに挿通された挿入部によって現在被検体のどの位置を観察しているのか判別することができなくなってしまう問題があった。また、内部空間において内視鏡用ガイドチューブが蛇行するように湾曲してしまった場合、挿入しようとして基端から押し込んだとしても、さらに蛇行してしまうのみで、それ以上挿入していくことができなくなってしまう問題があった。
【0006】
また、特許文献2の内視鏡用ガイドチューブでは、弾性体によってピニオンを付勢して一対のワイヤに均等に付勢力を作用することで直線性を保ち、被検体内部の内面に当接した時のみ湾曲させることが可能であるが、湾曲する方向は、挿入する方向と被検体内部の内面の向きとによって変化してしまい、上記同様に先端がいずれの方向に向いているか不明となってしまう問題があった。また、軸力を与えて直線性を与えていることで湾曲性能が低下してしまい、挿入性が低下してしまう問題があった。さらに、特許文献3の内視鏡用ガイドチューブでは、ワイヤの緊張状態で湾曲状態を変化させることができるが、ワイヤを弛緩させた際にいずれの方向に湾曲するかどうかを制御することはできず、上記同様に先端がいずれの方向に向いているか不明となってしまう。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、入口部分に対して観察対象となる内部空間が一定方向に湾曲して広がりを有するような被検体でも、案内する内視鏡装置の挿入部の姿勢を安定させて、所望の位置まで容易に挿入し観察することが可能な内視鏡用ガイドチューブ及び内視鏡装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の内視鏡用ガイドチューブは、略管状で内視鏡装置の挿入部を挿通させるチャンネルを有して一方向にのみ湾曲可能なチューブ本体を備えることを特徴としている。
【0009】
この発明に係る内視鏡用ガイドチューブによれば、チャンネルに内視鏡装置の挿入部を挿通させた状態で、被検体にチューブ本体を押し込み挿入すれば、チューブ本体は、一方向にのみ湾曲しながら挿入されていくこととなる。すなわち、被検体の湾曲する方向と、チューブ本体の湾曲可能な方向とを略一致させて、チューブ本体を挿入していくことで、被検体の湾曲する方向以外の方向に対しては良好な直進性を確保することができるとともに、被検体の湾曲する方向に対しては被検体の形状に応じて容易に湾曲させることができる。このため、被検体内部において蛇行してしまうこと無く、被検体内部の所望の方向に向かって確実に挿入させていくことができる。
【0010】
また、上記の内視鏡用ガイドチューブにおいて、前記チューブ本体は、同軸上に配設され、前記一方向のみに回転可能に互いに連結された複数の環状体によって構成されていることがより好ましいとされている。
【0011】
この発明に係る内視鏡用ガイドチューブによれば、環状体のそれぞれが一方向のみに回転可能に連結されていることで、複数の環状体によって構成されたチューブ本体は、全体として一方向のみに湾曲可能となるとともに、該一方向以外の方向に対しては直進性を確保することができる。
【0012】
また、上記の内視鏡用ガイドチューブにおいて、前記チューブ本体の前記チャンネル内には、形状を維持するように復元力を作用させる弾性部材が配設されていることがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡用ガイドチューブによれば、一方向に湾曲したチューブ本体には、チャンネル内に配設された弾性部材によって復元力が作用することとなり、もとの形状を維持しようとする。このため、直進性を向上させて、基端から押し込む力を先端側へ好適に伝達させることができるとともに、被検体に応じて一方向に湾曲した範囲では、必要以上に湾曲してしまうことを規制することができる。
【0013】
さらに、上記の内視鏡用ガイドチューブにおいて、前記弾性部材は、前記チューブ本体が湾曲可能な前記一方向と同一方向に湾曲可能に配設された板バネであるであることがより好ましいとされている。
【0014】
この発明に係る内視鏡用ガイドチューブによれば、弾性部材として板バネを配設していることで、チャンネル内の省スペース化を図りつつ、一方向に湾曲したチューブ本体に対して効果的に復元力を作用させることができる。
【0015】
また、上記の内視鏡用ガイドチューブにおいて、前記弾性部材は、異なる長さで、前記チャンネルの基端から先端側に向かって複数配設されていることがより好ましいとされている。
【0016】
この発明に係る内視鏡用ガイドチューブによれば、異なる長さの弾性部材がチャンネルの基端から先端側に向かって複数配設されていることで、先端側に対して基端側の方がより多くの弾性部材によってチューブ本体に復元力を作用させることができる。すなわち、チューブ本体において、先端側よりも基端側の剛性を高めることができ、基端から押し込む力を先端側までより好適に伝達させることができるとともに、一方向に湾曲した範囲では、必要以上に湾曲してしまうことをより確実に規制することができる。
【0017】
また、本発明の内視鏡装置は、上記の内視鏡用ガイドチューブと、該内視鏡用ガイドチューブの前記チャンネルに挿通された可撓性を有する挿入部とを備えることを特徴としている。
【0018】
この発明に係る内視鏡装置によれば、内視鏡用ガイドチューブによって案内することで、被検体内部において蛇行してしまうこと無く、被検体内部の所望の方向に向かって確実に挿入部を挿入させて、所望の位置を観察することができる。
【0019】
また、上記の内視鏡装置において、被検体に振動を与える起振手段を備えることを特徴としている。
この発明に係る内視鏡装置によれば、チャンネル内に挿入部が挿通された状態で内視鏡用ガイドチューブを被検体に挿入する際に、起振手段によって被検体に振動を与えることで、その振動は、被検体内部において被検体に接触する内視鏡用ガイドチューブにまで伝達される。このため、伝達する振動によって、内視鏡用ガイドチューブと被検体との間に生じる摩擦を一時的に解除することができ、これにより基端からの押し込みによってより好適に内視鏡用ガイドチューブを挿入させていくことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の内視鏡用ガイドチューブ及び内視鏡装置によれば、チューブ本体が一方向のみに湾曲可能であることで、直進性を確保しつつ一定の方向にのみ容易に湾曲させることができ、入口部分に対して観察対象となる内部空間が一定方向に湾曲して広がりを有するような被検体でも、案内する内視鏡装置の挿入部の姿勢を安定させて、所望の位置まで容易に挿入し観察することを可能とさせる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る内視鏡装置1は、先端に観察手段を有して被検体に挿入される細長の挿入部2と、挿入部2の基端側に接続された操作部3及び本体部4と、挿入部2に外装された内視鏡用ガイドチューブ10とを備える。挿入部2は、先端側から順に、硬性の先端部2aと、湾曲操作可能な湾曲部2bと、細長で可撓性を有する可撓管部2cとを有する。先端部2aには、図示しないが、先端側の被検体を照明する照明手段と、照明手段による照明光によって先端側を観察する観察手段とが設けられている。照明手段はLEDやライトガイドなどであり、また、観察手段はCCDカメラなどである。操作部3には、挿入部2の湾曲部2bを湾曲させるためのジョイスティック5が設けられている。また、本体部4には、照明手段、観察手段、また、湾曲部2bを湾曲させるための電源が内蔵されているとともに、観察手段からの出力を画像として出力するモニタ4aが設けられている。
【0022】
内視鏡用ガイドチューブ10は、挿入部2を挿通させるチャンネル11aを有するチューブ本体11を備える。チューブ本体11は、外形及びチャンネル11aの断面形状が略矩形を呈する略管状の構造体であり、複数の環状体12によって構成されている。図2及び図3に示すように、環状体12は、チャンネル11aと対応する断面略矩形の貫通孔13aが形成された外形略直方状の本体部材13と、本体部材13の一端13b側に突出する一対の第一の接続部材14と、本体部材13の他端13c側に突出する一対の第二の接続部材15とを備える。一対の第一の接続部材14は、略半円板状で、本体部13の一端13bに設けられている。また、第一の接続部材14において、中心となる位置には、断面略円形状の嵌合孔14aが形成されている。
【0023】
一方、本体部材13において、他端13c側で一対の第一の接続部材14と対応する位置には、略半円状で第一の接続部材14よりも僅かに大きい径の切欠き部13dが形成されている。また、一対の第二の接続部材15は、本体部材13において各第一の接続部材14と対応する位置、すなわち切欠き部13dの内側で本体部材13の内面に接合され、他端13c側に突出している。第二の接続部材15は、略矩形板状で、幅が貫通孔13aを構成する内面の幅と略等しく設定されている。第二の接続部材15において貫通孔13aの軸方向に延びる両縁端部15a、15bの内、一縁端部15aは本体部材13の他端13c側に突出して角部15cを有している一方、他縁端部15bは角部が一端部15aに対して傾斜するように切り欠かれて、面取り部15dが形成されている。また、第二の接続部材15において、本体部材13の切欠き部13dの中心となる位置には、第一の接続部材14の嵌合孔14aに嵌合可能な断面略円形の嵌合凸部15eが外側に向かってそれぞれ突出して設けられている。
【0024】
そして、図2(a)に示すように、環状体12同士を連結した状態では、先端側の環状体12の第二の接続部材15の他端13c側に突出した部分が、基端側の環状体12の本体部材13の貫通孔13aに挿入されるとともに、基端側の環状体12の第一の接続部材14が先端側の環状体12の第二の接続部材15の外側において本体部材13の切欠き部13dに収容された状態となる。また、この状態で、先端側の環状体12の第一の接続部材14の嵌合孔14aに、基端側の環状体12の第二の接続部材15の嵌合凸部15eが嵌合され、これにより環状体12同士は、嵌合孔14a及び嵌合凸部15dの中心を中心軸Lとして互いに回転可能に連結されている。
【0025】
ここで、上記のように第二の接続部材15は、幅が貫通孔13aを構成する内面の幅と略等しく一端部15aが角部15cを有して突出している。このため、隣り合う環状体12同士は、中心軸Lを中心として中心軸Lと直交する平面内で互いに回転しようとする場合において、回転方向Pに回転しようとしても、先端側の環状体12の第二の接続部材15の一縁端部15aが基端側の環状体12の本体部13の貫通孔13aに当接して回転が規制されることとなる。一方、反対方向の回転方向Qに回転しようとする場合、図2(b)に示すように、先端側の環状体12の第二の接続部材15の他端部15bに面取り部15dが形成されていることで、先端側の環状体12の第二の接続部材15の他縁端部15bが基端側の環状体12の本体部13の貫通孔13aに当接してしまうこと無く、回転することができる。すなわち、環状体12を連結して構成されたチューブ本体11は、第二の接続部材15の一縁端部15aによって構成される規制手段によって、中心軸Lと直交する平面内において、直線状態から一方の回転方向Qと対応する湾曲方向Rの一方向のみに自由に湾曲可能な状態となっている。
【0026】
なお、図1に示すように、連結された環状体12の内、最も基端側に連結される環状体12Aの本体部材13には、切欠き部13dが形成されず、また、第二の接続部材15も接合されていない。また、最も先端側に連結される環状体12Bの本体部材13の一端13bからは第一の接続部材14が突出されておらず、その代わりにガイド部材16が突出して設けられている。ガイド部材16は、チャンネル11aから先端側に突出した挿入部2の湾曲方向Rと反対側への湾曲を規制するように、環状体12Bの本体部材13の一端13bに設けられている。
【0027】
次に、この実施形態の内視鏡装置1及び内視鏡用ガイドチューブ10の作用について、図4及び図5に基づいて説明する。図4及び図5は、内視鏡装置1によって被検体を観察する状況図を示していて、本実施形態の内視鏡装置1が最も効果的に使用される被検体の一例として、内管S1と外管S2とで構成された二重管Sの内部空間S3を観察する場合を示している。二重管Sの内管S1には、内部空間S3と外部とを連通するバルブS4が軸方向に複数箇所設けられている。バルブS4の径は、開放した状態において、内視鏡用ガイドチューブ10のチューブ本体11の外形幅と略等しく設定されていて、外部から内部空間S3に向かってバルブS4を介して内視鏡用ガイドチューブ10を挿入することが可能である。そして、内視鏡用ガイドチューブ10に挿通された挿入部2をバルブS4から内部空間S3に挿入して、図5において右回りとなる観察方向Tに内部空間S3を順に観察していくものとする。
【0028】
まず、内視鏡装置1において、挿入部2を内視鏡用ガイドチューブ10のチャンネル11aに挿通させる。この際、挿入部2の先端部2aは、チャンネル11aの内部に収容された状態にしておく。次に、湾曲方向Rに湾曲させた内視鏡用ガイドチューブ10及び挿入部2を、湾曲方向Rと、観察方向Tに向かって観察していく際に湾曲させることとなる方向とを一致させるようにして、内管S1の内側において基端から先端に向かって内部空間S3の観察方向Tに沿うように配置させる。
【0029】
そして、内視鏡用ガイドチューブ10の先端を所望のバルブS4から押し込んで内部空間S3へと挿入していく。バルブS4を通過する内視鏡用ガイドチューブ10は、バルブS4の形状に応じて略直線状になりながら挿入されていく。ここで、バルブS4の位置が図5に示すような位置である場合、内視鏡用ガイドチューブ10の内、内部空間S3に到達した部分は、自重によって観察方向Tと反対となる方向に向かって湾曲しようとするが、内視鏡用ガイドチューブ10は、観察方向Tと一致させた湾曲方向Rにのみ湾曲可能なので、直線状態を保ちつつ挿入される。そして、内視鏡用ガイドチューブ10の先端が、内部空間S3において外管S2の内面S2aに当接することで、内視鏡用ガイドチューブ10は、作用する外力によって湾曲させられる。ここで、上記のように内視鏡用ガイドチューブ10は、湾曲方向Rのみ湾曲可能であることで、予め湾曲方向Rを一致させた観察方向Tに向かって湾曲しながら外管S2の内面S2aに沿って挿入されていくこととなる。
【0030】
そして、内部空間S3において上部まで挿入されると、自重によって下方に向かってさらに湾曲し、外管S2の内面S2aから離脱して内管S1の外面S1aに接触することなり、内管S3から外力が作用することとなる。内管S3から作用する外力は、内視鏡用ガイドチューブ10を湾曲方向Rと反対方向に湾曲させるように作用し、これにより内視鏡用ガイドチューブ10は、内部空間S3の大きさにもよるが、直線状態となり、さらに湾曲方向Rと反対側に湾曲しようとする。しかしながら、内視鏡用ガイドチューブ10は、各環状体12の第二の接続部材15によって直線状態から湾曲方向Rと反対方向に湾曲することが規制されているので、湾曲方向Rに湾曲した状態、若しくは、直線状態を保つこととなり、湾曲方向Rと反対方向に湾曲し、また、蛇行するように湾曲してしまうことが無い。このため、基端からの押し込む力が先端側まで確実に伝達され、観察方向Tに向かって挿入していくことができる。また、内視鏡用ガイドチューブ10は湾曲方向Rのみ湾曲するので、予め内視鏡用ガイドチューブ10の湾曲方向Rと、観察方向Tに向かって観察していく際に湾曲させる方向とを一致させておくことで、確実に観察方向Tに向かって挿入されていくので、押し込み挿入によってバルブS4から挿入した長さに応じて、内視鏡用ガイドチューブ10の先端が内部空間S3のどこに位置しているのかを特定することができる。
【0031】
そして、被検体Sの内部空間S3において、内視鏡用ガイドチューブ10の先端が所望の位置に到達したら観察を開始する。すなわち、チャンネル11aに挿通された挿入部2の先端部2a及び湾曲部2bを内視鏡用ガイドチューブ10の先端から突出させる。そして、操作部3のジョイスティック5を操作して湾曲部2bを自在に湾曲させることにより、先端部2aを所望の方向に配設させて内管S1の外面S1aあるいは外管S2の内面S2aを観察することができる。
【0032】
なお、図4及び図5に示す被検体Sが回転体である場合、一度、内視鏡用ガイドチューブ10が一周するように挿入した後に、観察方向Tに被検体Sを回転させつつ内視鏡用ガイドチューブ10を引き抜きながら、順次内部空間S3において観察を行うとより好適である。このようにすることで、図5に示すように、内視鏡用ガイドチューブ10の先端の位置を径方向に一定に保ちつつ、被検体Sに対する挿入部2の先端部2aの位置を観察方向Tに変化させて全周について好適に観察を行うことができる。
【0033】
また、本実施形態では、環状体12は外形略直方状に形成されるものとしたが、これに限るものでは無く、断面略円形の部材とし、連結して構成したチューブ本体11を円管状に形成するものとしても良い。また、隣り合う環状体12は、嵌合孔14a及び嵌合凸部15eと対応する中心軸L回りに回転可能とし、第二の接続部材15を規制手段として一方向のみに回転可能としたが、これに限るものでは無い。例えば、環状体12の本体部材13の一側部側に回転可能な軸を設けて隣合う環状体12同士を連結し、隣り合う環状体12の本体部材13の一端部13bと他端13cとを規制手段として互いに当接させることで、一方向のみに回転可能とするようにしても良い。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
図6に示すように、この実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブ20は、チューブ本体11と、チューブ本体11のチャンネル11aに配設された弾性部材である板バネ21とを備えている。板バネ21は、チューブ本体11が湾曲可能な湾曲方向Rに湾曲可能に配設されていて、最も基端側または先端側に位置する環状体12A、12B(図1参照)の少なくともいずれかに固定されている。また、図6に示すように、中間に位置する他の環状体12においては、本体部材13に設けられた押え部材22によって、チャンネル11aの軸方向に進退可能に固定されている。
【0036】
本実施形態の内視鏡用ガイドチューブ20において、湾曲方向Rに湾曲したチューブ本体11には、チャンネル11a内に配設された板バネ21によって復元力が作用することとなる。このため、直進性を向上させて、基端から押し込む力を先端側へ好適に伝達させることができるとともに、被検体Sに応じて湾曲方向Rに湾曲した場合には、必要以上に湾曲してしまうことを規制することができる。また、チャンネル11aに配設する弾性部材として板バネ21を選択していることで、チャンネル11a内の省スペース化を図りつつ、湾曲方向Rに湾曲したチューブ本体11に対して効果的に復元力を作用させることができる。
【0037】
なお、弾性部材としては、板バネに限るものでは無い。例えば、形状としては、板状に限らず、螺旋状やチューブ状などに形成された部材でも良い。また、材質としては、金属材に限らず、樹脂材などとしても良い。すなわち、弾性部材としては、少なくと、チューブ本体11を一方向に湾曲可能としつつ、復元力を作用させて形状を維持させるものであれば良い。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図7及び図8は、本発明の第3の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0039】
図7及び図8に示すように、この実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブ30は、チューブ本体11と、チューブ本体11のチャンネル11aに配設された弾性部材として、第一の板バネ31、第二の板バネ32、及び、第三の板バネ33の三つの弾性部材とを備えている。各弾性部材の長さは、第三の板バネ33がチューブ本体11と略等しい長さに設定されているとともに、第二の板バネ32、第一の板バネ31の順に短くなっている。一方、第一の板バネ31、第二の板バネ32、及び、第三の板バネ33のそれぞれは、基端をチューブ本体11の基端に一致させて固定されている。このため、配設される弾性部材の数は、チューブ本体11の基端から先端側に向かって順次少なくなるように設定されている。これにより、先端側に対して基端側の方がより多くの弾性部材によってチューブ本体11に復元力を作用させることができ、すなわち、チューブ本体11において先端側よりも基端側の剛性が高くなっている。このため、基端から押し込む力を先端側までより好適に伝達させることができるとともに、湾曲方向Rに湾曲した場合には、必要以上に湾曲してしまうことをより確実に規制することができる。
【0040】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図9は、本発明の第4の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0041】
図9に示すように、この実施形態の内視鏡装置40は、挿入部2と、操作部3と、本体部4と、内視鏡用ガイドチューブ10と、起振手段41とを備えている。起振手段41は、所定の周波数の電気信号を発生させる発振器41aと、発振器41aと接続されて入力される電気信号に応じて振動を発生させる加振器41bとを備える。
【0042】
この実施形態の内視鏡装置40では、チャンネル11a内に挿入部2が挿通された状態で内視鏡用ガイドチューブ10を被検体Sに挿入する際に、起振手段41の加振器41bから被検体である二重管Sに振動を与えることができる。そして、起振手段41から二重管Sに与えられた振動は、内部空間S3において内管S1に接触する内視鏡用ガイドチューブ10にまで伝達される。このため、伝達する振動によって、内視鏡用ガイドチューブ10と二重管Sとの間に生じる摩擦を一時的に解除することができ、これにより基端からの押し込みによってより好適に内視鏡用ガイドチューブ10を挿入させていくことができる。
【0043】
なお、図9においては、内管S1のみに振動を与えているが、外管S2にも振動を与えるものとしても良い。また、内視鏡用ガイドチューブ10を挿入していく際に、内部空間S3において内視鏡用ガイドチューブ10の接触している位置が明らかである場合、あるいは、推察できる場合には、接触する位置近傍に加振器41bを取り付けることで、より効果的に内視鏡用ガイドチューブ10まで振動を伝達させることができ好適である。
【0044】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図10は、本発明の第5の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0045】
図10に示すように、この実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブ50のチューブ本体51は、チャンネル51aを有する断面略矩形の管体である。チューブ本体51は、被検体に挿入して壁面等に当接しても直線性を保つことが可能な程度の剛性を有した樹脂等で形成されている。そして、チューブ本体51には、一方側において、軸方向に直交する面に略平行に形成されたスリット51bが、軸方向に等間隔に複数設けられている。このため、チューブ本体51は、スリット51bが形成された一方側に向かって湾曲可能である一方、他の方向には、自己の剛性により通常の使用状態では湾曲することが無い。このように、複数の環状体が規制手段を有して連結して構成するもので無く、管体にスリットを形成することで一方向に湾曲可能とする一方、自己の剛性を規制手段として他の方向に湾曲しない構成としても良い。
【0046】
なお、本実施形態において、チューブ本体51は、外力の作用しない状態において略直線状で断面略矩形の部材としたが、これに限るものでは無い。例えば、図11に示すように、断面略円形状のものとしても良い。あるいは、図10や図11に示すような断面のチューブ本体であって、初めから一方向に湾曲した部材で、湾曲外周側、すなわち図10や図11のチューブ本体のスリットが形成された範囲と反対側に複数のスリットを有するものとしても良い。このようにすることで、チューブ本体は、一方向に湾曲した状態から略直線状となるまで容易に変形させることができ、一方向への湾曲性と直進性とを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置を示す全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において、(a)直線状態における内視鏡用ガイドチューブの詳細断面図、(b)湾曲状態における内視鏡用ガイドチューブの詳細断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブのチューブ本体を構成する環状体の詳細を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において、被検体に内視鏡用ガイドチューブ及び挿入部を挿入する際の説明図である。
【図5】図4の切断線A−Aにおける断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の内視鏡装置において、(a)直線状態における内視鏡用ガイドチューブの詳細断面図、(b)湾曲状態における内視鏡用ガイドチューブの詳細断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブの詳細を示す側面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブを模式的に示した側面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の内視鏡装置を示す全体構成図である。
【図10】本発明の第5の実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブの詳細を示す斜視図である。
【図11】本発明の第5の実施形態の変形例の内視鏡用ガイドチューブの詳細を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 内視鏡装置
2 挿入部
10、20、30、40、50 内視鏡用ガイドチューブ
11、51 チューブ本体
11a チャンネル
12 環状体
21 板バネ(弾性部材)
31 第一の板バネ(弾性部材)
32 第二の板バネ(弾性部材)
33 第三の板バネ(弾性部材)
41 起振手段
Q 回転方向
R 湾曲方向(一方向)
S 二重管(被検体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部に外装して案内する内視鏡用ガイドチューブ、及び、これを備える内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、観察者が直接目視できない被検体を観察可能とすべく、被検体に挿入可能な挿入部を有する内視鏡装置が利用されている。そして、このような挿入部を被検体内部に挿入する際に、容易に挿入可能とするために、挿入部に可撓性を有する内視鏡用ガイドチューブを外装して挿入部を案内させる場合がある。より具体的には、このような内視鏡用ガイドチューブとしては、密巻コイルを外皮とするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような内視鏡用ガイドチューブでは、被検体の形状に応じて密巻コイルが弾性的に湾曲して、挿入部を案内することができるものとされている。
【0003】
また、直線状に並べて配置された多数の筒体と、筒体に形成された連通孔に挿通された一対のワイヤと、それぞれワイヤの基端に接続された一対のラックと、一対のラックが対向して噛み合うピニオンと、ピニオンを付勢する弾性体とを備える内視鏡用ガイドチューブが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような内視鏡用ガイドチューブでは、ピニオンが弾性体で付勢されているとともに、このピニオンにワイヤが接続されたラックが噛み合っていることで、一対のワイヤには均等に付勢力が作用し、ワイヤが挿通された多数の筒体は被検体の直線部分では直線状に配列することができる。一方、被検体の湾曲部分では、筒体が被検体に当接することで、各ワイヤに接続されたラックの位置が変位し、被検体の形状に応じて湾曲するように配列されることになるとされている。
【0004】
さらに、ワイヤを介して互いに隣接して結合された複数のセグメントからなり、ワイヤを引っ張ることで全体を硬化させることが可能であるとともに、弛緩させることで湾曲することが可能である内視鏡用ガイドチューブが提案されている(例えば、特許文献3参照)。このような内視鏡用ガイドチューブでは、ワイヤを操作することで、ワイヤを弛緩させて湾曲形状を形成するとともに、形成した後は、ワイヤを引っ張って形成した湾曲形状を維持させながら挿入させることができるものとされている。
【特許文献1】特開昭60−150023号公報
【特許文献2】特開平5−11120号公報
【特許文献3】特開2005−524431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の内視鏡用ガイドチューブでは、タイヤや二重管などの環状体を被検体として、内部空間に挿入して内面を観察する場合において、内部空間に挿入された部分の湾曲する方向が不安定となってしまう場合があった。すなわち、このような被検体は、内部空間が一定方向に湾曲しているとともに内視鏡用ガイドチューブを自由に移動させることが可能な程度の広がりを有している一方、内部空間への入口部分がバルブ等で内視鏡用ガイドチューブを挿入可能な程度に狭くなっている。そして、入口部分から内部空間へ到達した内視鏡用ガイドチューブは、基端を入口部分へ押し込むことで、内部空間においてさらに挿入されることとなり、被検体内部の内面に当接して、あるいは、自重によって、自己の可撓性により湾曲することとなる。ここで、内部空間が上記のような広がりを有することで、内部空間に位置する内視鏡用ガイドチューブは、いずれの方向にも湾曲可能である。このため、内視鏡用ガイドチューブの先端がいずれの方向に向いているか不明となってしまい、内視鏡用ガイドチューブに挿通された挿入部によって現在被検体のどの位置を観察しているのか判別することができなくなってしまう問題があった。また、内部空間において内視鏡用ガイドチューブが蛇行するように湾曲してしまった場合、挿入しようとして基端から押し込んだとしても、さらに蛇行してしまうのみで、それ以上挿入していくことができなくなってしまう問題があった。
【0006】
また、特許文献2の内視鏡用ガイドチューブでは、弾性体によってピニオンを付勢して一対のワイヤに均等に付勢力を作用することで直線性を保ち、被検体内部の内面に当接した時のみ湾曲させることが可能であるが、湾曲する方向は、挿入する方向と被検体内部の内面の向きとによって変化してしまい、上記同様に先端がいずれの方向に向いているか不明となってしまう問題があった。また、軸力を与えて直線性を与えていることで湾曲性能が低下してしまい、挿入性が低下してしまう問題があった。さらに、特許文献3の内視鏡用ガイドチューブでは、ワイヤの緊張状態で湾曲状態を変化させることができるが、ワイヤを弛緩させた際にいずれの方向に湾曲するかどうかを制御することはできず、上記同様に先端がいずれの方向に向いているか不明となってしまう。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、入口部分に対して観察対象となる内部空間が一定方向に湾曲して広がりを有するような被検体でも、案内する内視鏡装置の挿入部の姿勢を安定させて、所望の位置まで容易に挿入し観察することが可能な内視鏡用ガイドチューブ及び内視鏡装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の内視鏡用ガイドチューブは、略管状で内視鏡装置の挿入部を挿通させるチャンネルを有して一方向にのみ湾曲可能なチューブ本体を備えることを特徴としている。
【0009】
この発明に係る内視鏡用ガイドチューブによれば、チャンネルに内視鏡装置の挿入部を挿通させた状態で、被検体にチューブ本体を押し込み挿入すれば、チューブ本体は、一方向にのみ湾曲しながら挿入されていくこととなる。すなわち、被検体の湾曲する方向と、チューブ本体の湾曲可能な方向とを略一致させて、チューブ本体を挿入していくことで、被検体の湾曲する方向以外の方向に対しては良好な直進性を確保することができるとともに、被検体の湾曲する方向に対しては被検体の形状に応じて容易に湾曲させることができる。このため、被検体内部において蛇行してしまうこと無く、被検体内部の所望の方向に向かって確実に挿入させていくことができる。
【0010】
また、上記の内視鏡用ガイドチューブにおいて、前記チューブ本体は、同軸上に配設され、前記一方向のみに回転可能に互いに連結された複数の環状体によって構成されていることがより好ましいとされている。
【0011】
この発明に係る内視鏡用ガイドチューブによれば、環状体のそれぞれが一方向のみに回転可能に連結されていることで、複数の環状体によって構成されたチューブ本体は、全体として一方向のみに湾曲可能となるとともに、該一方向以外の方向に対しては直進性を確保することができる。
【0012】
また、上記の内視鏡用ガイドチューブにおいて、前記チューブ本体の前記チャンネル内には、形状を維持するように復元力を作用させる弾性部材が配設されていることがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡用ガイドチューブによれば、一方向に湾曲したチューブ本体には、チャンネル内に配設された弾性部材によって復元力が作用することとなり、もとの形状を維持しようとする。このため、直進性を向上させて、基端から押し込む力を先端側へ好適に伝達させることができるとともに、被検体に応じて一方向に湾曲した範囲では、必要以上に湾曲してしまうことを規制することができる。
【0013】
さらに、上記の内視鏡用ガイドチューブにおいて、前記弾性部材は、前記チューブ本体が湾曲可能な前記一方向と同一方向に湾曲可能に配設された板バネであるであることがより好ましいとされている。
【0014】
この発明に係る内視鏡用ガイドチューブによれば、弾性部材として板バネを配設していることで、チャンネル内の省スペース化を図りつつ、一方向に湾曲したチューブ本体に対して効果的に復元力を作用させることができる。
【0015】
また、上記の内視鏡用ガイドチューブにおいて、前記弾性部材は、異なる長さで、前記チャンネルの基端から先端側に向かって複数配設されていることがより好ましいとされている。
【0016】
この発明に係る内視鏡用ガイドチューブによれば、異なる長さの弾性部材がチャンネルの基端から先端側に向かって複数配設されていることで、先端側に対して基端側の方がより多くの弾性部材によってチューブ本体に復元力を作用させることができる。すなわち、チューブ本体において、先端側よりも基端側の剛性を高めることができ、基端から押し込む力を先端側までより好適に伝達させることができるとともに、一方向に湾曲した範囲では、必要以上に湾曲してしまうことをより確実に規制することができる。
【0017】
また、本発明の内視鏡装置は、上記の内視鏡用ガイドチューブと、該内視鏡用ガイドチューブの前記チャンネルに挿通された可撓性を有する挿入部とを備えることを特徴としている。
【0018】
この発明に係る内視鏡装置によれば、内視鏡用ガイドチューブによって案内することで、被検体内部において蛇行してしまうこと無く、被検体内部の所望の方向に向かって確実に挿入部を挿入させて、所望の位置を観察することができる。
【0019】
また、上記の内視鏡装置において、被検体に振動を与える起振手段を備えることを特徴としている。
この発明に係る内視鏡装置によれば、チャンネル内に挿入部が挿通された状態で内視鏡用ガイドチューブを被検体に挿入する際に、起振手段によって被検体に振動を与えることで、その振動は、被検体内部において被検体に接触する内視鏡用ガイドチューブにまで伝達される。このため、伝達する振動によって、内視鏡用ガイドチューブと被検体との間に生じる摩擦を一時的に解除することができ、これにより基端からの押し込みによってより好適に内視鏡用ガイドチューブを挿入させていくことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の内視鏡用ガイドチューブ及び内視鏡装置によれば、チューブ本体が一方向のみに湾曲可能であることで、直進性を確保しつつ一定の方向にのみ容易に湾曲させることができ、入口部分に対して観察対象となる内部空間が一定方向に湾曲して広がりを有するような被検体でも、案内する内視鏡装置の挿入部の姿勢を安定させて、所望の位置まで容易に挿入し観察することを可能とさせる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る内視鏡装置1は、先端に観察手段を有して被検体に挿入される細長の挿入部2と、挿入部2の基端側に接続された操作部3及び本体部4と、挿入部2に外装された内視鏡用ガイドチューブ10とを備える。挿入部2は、先端側から順に、硬性の先端部2aと、湾曲操作可能な湾曲部2bと、細長で可撓性を有する可撓管部2cとを有する。先端部2aには、図示しないが、先端側の被検体を照明する照明手段と、照明手段による照明光によって先端側を観察する観察手段とが設けられている。照明手段はLEDやライトガイドなどであり、また、観察手段はCCDカメラなどである。操作部3には、挿入部2の湾曲部2bを湾曲させるためのジョイスティック5が設けられている。また、本体部4には、照明手段、観察手段、また、湾曲部2bを湾曲させるための電源が内蔵されているとともに、観察手段からの出力を画像として出力するモニタ4aが設けられている。
【0022】
内視鏡用ガイドチューブ10は、挿入部2を挿通させるチャンネル11aを有するチューブ本体11を備える。チューブ本体11は、外形及びチャンネル11aの断面形状が略矩形を呈する略管状の構造体であり、複数の環状体12によって構成されている。図2及び図3に示すように、環状体12は、チャンネル11aと対応する断面略矩形の貫通孔13aが形成された外形略直方状の本体部材13と、本体部材13の一端13b側に突出する一対の第一の接続部材14と、本体部材13の他端13c側に突出する一対の第二の接続部材15とを備える。一対の第一の接続部材14は、略半円板状で、本体部13の一端13bに設けられている。また、第一の接続部材14において、中心となる位置には、断面略円形状の嵌合孔14aが形成されている。
【0023】
一方、本体部材13において、他端13c側で一対の第一の接続部材14と対応する位置には、略半円状で第一の接続部材14よりも僅かに大きい径の切欠き部13dが形成されている。また、一対の第二の接続部材15は、本体部材13において各第一の接続部材14と対応する位置、すなわち切欠き部13dの内側で本体部材13の内面に接合され、他端13c側に突出している。第二の接続部材15は、略矩形板状で、幅が貫通孔13aを構成する内面の幅と略等しく設定されている。第二の接続部材15において貫通孔13aの軸方向に延びる両縁端部15a、15bの内、一縁端部15aは本体部材13の他端13c側に突出して角部15cを有している一方、他縁端部15bは角部が一端部15aに対して傾斜するように切り欠かれて、面取り部15dが形成されている。また、第二の接続部材15において、本体部材13の切欠き部13dの中心となる位置には、第一の接続部材14の嵌合孔14aに嵌合可能な断面略円形の嵌合凸部15eが外側に向かってそれぞれ突出して設けられている。
【0024】
そして、図2(a)に示すように、環状体12同士を連結した状態では、先端側の環状体12の第二の接続部材15の他端13c側に突出した部分が、基端側の環状体12の本体部材13の貫通孔13aに挿入されるとともに、基端側の環状体12の第一の接続部材14が先端側の環状体12の第二の接続部材15の外側において本体部材13の切欠き部13dに収容された状態となる。また、この状態で、先端側の環状体12の第一の接続部材14の嵌合孔14aに、基端側の環状体12の第二の接続部材15の嵌合凸部15eが嵌合され、これにより環状体12同士は、嵌合孔14a及び嵌合凸部15dの中心を中心軸Lとして互いに回転可能に連結されている。
【0025】
ここで、上記のように第二の接続部材15は、幅が貫通孔13aを構成する内面の幅と略等しく一端部15aが角部15cを有して突出している。このため、隣り合う環状体12同士は、中心軸Lを中心として中心軸Lと直交する平面内で互いに回転しようとする場合において、回転方向Pに回転しようとしても、先端側の環状体12の第二の接続部材15の一縁端部15aが基端側の環状体12の本体部13の貫通孔13aに当接して回転が規制されることとなる。一方、反対方向の回転方向Qに回転しようとする場合、図2(b)に示すように、先端側の環状体12の第二の接続部材15の他端部15bに面取り部15dが形成されていることで、先端側の環状体12の第二の接続部材15の他縁端部15bが基端側の環状体12の本体部13の貫通孔13aに当接してしまうこと無く、回転することができる。すなわち、環状体12を連結して構成されたチューブ本体11は、第二の接続部材15の一縁端部15aによって構成される規制手段によって、中心軸Lと直交する平面内において、直線状態から一方の回転方向Qと対応する湾曲方向Rの一方向のみに自由に湾曲可能な状態となっている。
【0026】
なお、図1に示すように、連結された環状体12の内、最も基端側に連結される環状体12Aの本体部材13には、切欠き部13dが形成されず、また、第二の接続部材15も接合されていない。また、最も先端側に連結される環状体12Bの本体部材13の一端13bからは第一の接続部材14が突出されておらず、その代わりにガイド部材16が突出して設けられている。ガイド部材16は、チャンネル11aから先端側に突出した挿入部2の湾曲方向Rと反対側への湾曲を規制するように、環状体12Bの本体部材13の一端13bに設けられている。
【0027】
次に、この実施形態の内視鏡装置1及び内視鏡用ガイドチューブ10の作用について、図4及び図5に基づいて説明する。図4及び図5は、内視鏡装置1によって被検体を観察する状況図を示していて、本実施形態の内視鏡装置1が最も効果的に使用される被検体の一例として、内管S1と外管S2とで構成された二重管Sの内部空間S3を観察する場合を示している。二重管Sの内管S1には、内部空間S3と外部とを連通するバルブS4が軸方向に複数箇所設けられている。バルブS4の径は、開放した状態において、内視鏡用ガイドチューブ10のチューブ本体11の外形幅と略等しく設定されていて、外部から内部空間S3に向かってバルブS4を介して内視鏡用ガイドチューブ10を挿入することが可能である。そして、内視鏡用ガイドチューブ10に挿通された挿入部2をバルブS4から内部空間S3に挿入して、図5において右回りとなる観察方向Tに内部空間S3を順に観察していくものとする。
【0028】
まず、内視鏡装置1において、挿入部2を内視鏡用ガイドチューブ10のチャンネル11aに挿通させる。この際、挿入部2の先端部2aは、チャンネル11aの内部に収容された状態にしておく。次に、湾曲方向Rに湾曲させた内視鏡用ガイドチューブ10及び挿入部2を、湾曲方向Rと、観察方向Tに向かって観察していく際に湾曲させることとなる方向とを一致させるようにして、内管S1の内側において基端から先端に向かって内部空間S3の観察方向Tに沿うように配置させる。
【0029】
そして、内視鏡用ガイドチューブ10の先端を所望のバルブS4から押し込んで内部空間S3へと挿入していく。バルブS4を通過する内視鏡用ガイドチューブ10は、バルブS4の形状に応じて略直線状になりながら挿入されていく。ここで、バルブS4の位置が図5に示すような位置である場合、内視鏡用ガイドチューブ10の内、内部空間S3に到達した部分は、自重によって観察方向Tと反対となる方向に向かって湾曲しようとするが、内視鏡用ガイドチューブ10は、観察方向Tと一致させた湾曲方向Rにのみ湾曲可能なので、直線状態を保ちつつ挿入される。そして、内視鏡用ガイドチューブ10の先端が、内部空間S3において外管S2の内面S2aに当接することで、内視鏡用ガイドチューブ10は、作用する外力によって湾曲させられる。ここで、上記のように内視鏡用ガイドチューブ10は、湾曲方向Rのみ湾曲可能であることで、予め湾曲方向Rを一致させた観察方向Tに向かって湾曲しながら外管S2の内面S2aに沿って挿入されていくこととなる。
【0030】
そして、内部空間S3において上部まで挿入されると、自重によって下方に向かってさらに湾曲し、外管S2の内面S2aから離脱して内管S1の外面S1aに接触することなり、内管S3から外力が作用することとなる。内管S3から作用する外力は、内視鏡用ガイドチューブ10を湾曲方向Rと反対方向に湾曲させるように作用し、これにより内視鏡用ガイドチューブ10は、内部空間S3の大きさにもよるが、直線状態となり、さらに湾曲方向Rと反対側に湾曲しようとする。しかしながら、内視鏡用ガイドチューブ10は、各環状体12の第二の接続部材15によって直線状態から湾曲方向Rと反対方向に湾曲することが規制されているので、湾曲方向Rに湾曲した状態、若しくは、直線状態を保つこととなり、湾曲方向Rと反対方向に湾曲し、また、蛇行するように湾曲してしまうことが無い。このため、基端からの押し込む力が先端側まで確実に伝達され、観察方向Tに向かって挿入していくことができる。また、内視鏡用ガイドチューブ10は湾曲方向Rのみ湾曲するので、予め内視鏡用ガイドチューブ10の湾曲方向Rと、観察方向Tに向かって観察していく際に湾曲させる方向とを一致させておくことで、確実に観察方向Tに向かって挿入されていくので、押し込み挿入によってバルブS4から挿入した長さに応じて、内視鏡用ガイドチューブ10の先端が内部空間S3のどこに位置しているのかを特定することができる。
【0031】
そして、被検体Sの内部空間S3において、内視鏡用ガイドチューブ10の先端が所望の位置に到達したら観察を開始する。すなわち、チャンネル11aに挿通された挿入部2の先端部2a及び湾曲部2bを内視鏡用ガイドチューブ10の先端から突出させる。そして、操作部3のジョイスティック5を操作して湾曲部2bを自在に湾曲させることにより、先端部2aを所望の方向に配設させて内管S1の外面S1aあるいは外管S2の内面S2aを観察することができる。
【0032】
なお、図4及び図5に示す被検体Sが回転体である場合、一度、内視鏡用ガイドチューブ10が一周するように挿入した後に、観察方向Tに被検体Sを回転させつつ内視鏡用ガイドチューブ10を引き抜きながら、順次内部空間S3において観察を行うとより好適である。このようにすることで、図5に示すように、内視鏡用ガイドチューブ10の先端の位置を径方向に一定に保ちつつ、被検体Sに対する挿入部2の先端部2aの位置を観察方向Tに変化させて全周について好適に観察を行うことができる。
【0033】
また、本実施形態では、環状体12は外形略直方状に形成されるものとしたが、これに限るものでは無く、断面略円形の部材とし、連結して構成したチューブ本体11を円管状に形成するものとしても良い。また、隣り合う環状体12は、嵌合孔14a及び嵌合凸部15eと対応する中心軸L回りに回転可能とし、第二の接続部材15を規制手段として一方向のみに回転可能としたが、これに限るものでは無い。例えば、環状体12の本体部材13の一側部側に回転可能な軸を設けて隣合う環状体12同士を連結し、隣り合う環状体12の本体部材13の一端部13bと他端13cとを規制手段として互いに当接させることで、一方向のみに回転可能とするようにしても良い。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
図6に示すように、この実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブ20は、チューブ本体11と、チューブ本体11のチャンネル11aに配設された弾性部材である板バネ21とを備えている。板バネ21は、チューブ本体11が湾曲可能な湾曲方向Rに湾曲可能に配設されていて、最も基端側または先端側に位置する環状体12A、12B(図1参照)の少なくともいずれかに固定されている。また、図6に示すように、中間に位置する他の環状体12においては、本体部材13に設けられた押え部材22によって、チャンネル11aの軸方向に進退可能に固定されている。
【0036】
本実施形態の内視鏡用ガイドチューブ20において、湾曲方向Rに湾曲したチューブ本体11には、チャンネル11a内に配設された板バネ21によって復元力が作用することとなる。このため、直進性を向上させて、基端から押し込む力を先端側へ好適に伝達させることができるとともに、被検体Sに応じて湾曲方向Rに湾曲した場合には、必要以上に湾曲してしまうことを規制することができる。また、チャンネル11aに配設する弾性部材として板バネ21を選択していることで、チャンネル11a内の省スペース化を図りつつ、湾曲方向Rに湾曲したチューブ本体11に対して効果的に復元力を作用させることができる。
【0037】
なお、弾性部材としては、板バネに限るものでは無い。例えば、形状としては、板状に限らず、螺旋状やチューブ状などに形成された部材でも良い。また、材質としては、金属材に限らず、樹脂材などとしても良い。すなわち、弾性部材としては、少なくと、チューブ本体11を一方向に湾曲可能としつつ、復元力を作用させて形状を維持させるものであれば良い。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図7及び図8は、本発明の第3の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0039】
図7及び図8に示すように、この実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブ30は、チューブ本体11と、チューブ本体11のチャンネル11aに配設された弾性部材として、第一の板バネ31、第二の板バネ32、及び、第三の板バネ33の三つの弾性部材とを備えている。各弾性部材の長さは、第三の板バネ33がチューブ本体11と略等しい長さに設定されているとともに、第二の板バネ32、第一の板バネ31の順に短くなっている。一方、第一の板バネ31、第二の板バネ32、及び、第三の板バネ33のそれぞれは、基端をチューブ本体11の基端に一致させて固定されている。このため、配設される弾性部材の数は、チューブ本体11の基端から先端側に向かって順次少なくなるように設定されている。これにより、先端側に対して基端側の方がより多くの弾性部材によってチューブ本体11に復元力を作用させることができ、すなわち、チューブ本体11において先端側よりも基端側の剛性が高くなっている。このため、基端から押し込む力を先端側までより好適に伝達させることができるとともに、湾曲方向Rに湾曲した場合には、必要以上に湾曲してしまうことをより確実に規制することができる。
【0040】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図9は、本発明の第4の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0041】
図9に示すように、この実施形態の内視鏡装置40は、挿入部2と、操作部3と、本体部4と、内視鏡用ガイドチューブ10と、起振手段41とを備えている。起振手段41は、所定の周波数の電気信号を発生させる発振器41aと、発振器41aと接続されて入力される電気信号に応じて振動を発生させる加振器41bとを備える。
【0042】
この実施形態の内視鏡装置40では、チャンネル11a内に挿入部2が挿通された状態で内視鏡用ガイドチューブ10を被検体Sに挿入する際に、起振手段41の加振器41bから被検体である二重管Sに振動を与えることができる。そして、起振手段41から二重管Sに与えられた振動は、内部空間S3において内管S1に接触する内視鏡用ガイドチューブ10にまで伝達される。このため、伝達する振動によって、内視鏡用ガイドチューブ10と二重管Sとの間に生じる摩擦を一時的に解除することができ、これにより基端からの押し込みによってより好適に内視鏡用ガイドチューブ10を挿入させていくことができる。
【0043】
なお、図9においては、内管S1のみに振動を与えているが、外管S2にも振動を与えるものとしても良い。また、内視鏡用ガイドチューブ10を挿入していく際に、内部空間S3において内視鏡用ガイドチューブ10の接触している位置が明らかである場合、あるいは、推察できる場合には、接触する位置近傍に加振器41bを取り付けることで、より効果的に内視鏡用ガイドチューブ10まで振動を伝達させることができ好適である。
【0044】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図10は、本発明の第5の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0045】
図10に示すように、この実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブ50のチューブ本体51は、チャンネル51aを有する断面略矩形の管体である。チューブ本体51は、被検体に挿入して壁面等に当接しても直線性を保つことが可能な程度の剛性を有した樹脂等で形成されている。そして、チューブ本体51には、一方側において、軸方向に直交する面に略平行に形成されたスリット51bが、軸方向に等間隔に複数設けられている。このため、チューブ本体51は、スリット51bが形成された一方側に向かって湾曲可能である一方、他の方向には、自己の剛性により通常の使用状態では湾曲することが無い。このように、複数の環状体が規制手段を有して連結して構成するもので無く、管体にスリットを形成することで一方向に湾曲可能とする一方、自己の剛性を規制手段として他の方向に湾曲しない構成としても良い。
【0046】
なお、本実施形態において、チューブ本体51は、外力の作用しない状態において略直線状で断面略矩形の部材としたが、これに限るものでは無い。例えば、図11に示すように、断面略円形状のものとしても良い。あるいは、図10や図11に示すような断面のチューブ本体であって、初めから一方向に湾曲した部材で、湾曲外周側、すなわち図10や図11のチューブ本体のスリットが形成された範囲と反対側に複数のスリットを有するものとしても良い。このようにすることで、チューブ本体は、一方向に湾曲した状態から略直線状となるまで容易に変形させることができ、一方向への湾曲性と直進性とを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置を示す全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において、(a)直線状態における内視鏡用ガイドチューブの詳細断面図、(b)湾曲状態における内視鏡用ガイドチューブの詳細断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブのチューブ本体を構成する環状体の詳細を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において、被検体に内視鏡用ガイドチューブ及び挿入部を挿入する際の説明図である。
【図5】図4の切断線A−Aにおける断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の内視鏡装置において、(a)直線状態における内視鏡用ガイドチューブの詳細断面図、(b)湾曲状態における内視鏡用ガイドチューブの詳細断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブの詳細を示す側面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブを模式的に示した側面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態の内視鏡装置を示す全体構成図である。
【図10】本発明の第5の実施形態の内視鏡装置において、内視鏡用ガイドチューブの詳細を示す斜視図である。
【図11】本発明の第5の実施形態の変形例の内視鏡用ガイドチューブの詳細を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 内視鏡装置
2 挿入部
10、20、30、40、50 内視鏡用ガイドチューブ
11、51 チューブ本体
11a チャンネル
12 環状体
21 板バネ(弾性部材)
31 第一の板バネ(弾性部材)
32 第二の板バネ(弾性部材)
33 第三の板バネ(弾性部材)
41 起振手段
Q 回転方向
R 湾曲方向(一方向)
S 二重管(被検体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略管状で内視鏡装置の挿入部を挿通させるチャンネルを有して一方向にのみ湾曲可能なチューブ本体を備えることを特徴とする内視鏡用ガイドチューブ。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡用ガイドチューブにおいて、
前記チューブ本体は、同軸上に配設され、前記一方向のみに回転可能に互いに連結された複数の環状体によって構成されていることを特徴とする内視鏡用ガイドチューブ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内視鏡用ガイドチューブにおいて、
前記チューブ本体の前記チャンネル内には、形状を維持するように復元力を作用させる弾性部材が配設されていることを特徴とする内視鏡用ガイドチューブ。
【請求項4】
請求項3に記載の内視鏡用ガイドチューブにおいて、
前記弾性部材は、前記チューブ本体が湾曲可能な前記一方向と同一方向に湾曲可能に配設された板バネであることを特徴とする内視鏡用ガイドチューブ。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の内視鏡用ガイドチューブにおいて、
前記弾性部材は、異なる長さで、前記チャンネルの基端から先端側に向かって複数配設されていることを特徴とする内視鏡用ガイドチューブ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の内視鏡用ガイドチューブと、
該内視鏡用ガイドチューブの前記チャンネルに挿通された可撓性を有する挿入部とを備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項7】
請求項6に記載の内視鏡装置において、
被検体に振動を与える起振手段を備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項1】
略管状で内視鏡装置の挿入部を挿通させるチャンネルを有して一方向にのみ湾曲可能なチューブ本体を備えることを特徴とする内視鏡用ガイドチューブ。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡用ガイドチューブにおいて、
前記チューブ本体は、同軸上に配設され、前記一方向のみに回転可能に互いに連結された複数の環状体によって構成されていることを特徴とする内視鏡用ガイドチューブ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内視鏡用ガイドチューブにおいて、
前記チューブ本体の前記チャンネル内には、形状を維持するように復元力を作用させる弾性部材が配設されていることを特徴とする内視鏡用ガイドチューブ。
【請求項4】
請求項3に記載の内視鏡用ガイドチューブにおいて、
前記弾性部材は、前記チューブ本体が湾曲可能な前記一方向と同一方向に湾曲可能に配設された板バネであることを特徴とする内視鏡用ガイドチューブ。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の内視鏡用ガイドチューブにおいて、
前記弾性部材は、異なる長さで、前記チャンネルの基端から先端側に向かって複数配設されていることを特徴とする内視鏡用ガイドチューブ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の内視鏡用ガイドチューブと、
該内視鏡用ガイドチューブの前記チャンネルに挿通された可撓性を有する挿入部とを備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項7】
請求項6に記載の内視鏡装置において、
被検体に振動を与える起振手段を備えることを特徴とする内視鏡装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−229241(P2008−229241A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76862(P2007−76862)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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