説明

内視鏡用挿入補助具

【課題】細長な挿入部を管腔の目的部位まで挿入させる手技を容易に行えるようにする内視鏡用挿入補助具を提供すること
【解決手段】案内管回転装置22によって付与される回転力によって長手軸廻りの所定方向に回転される、可撓性を有し外周面に螺旋形状部31bを備える挿入部案内部材21を具備する内視鏡用挿入補助具3において、挿入部案内部材21は、管腔内の目的観察部位に向けて挿通される可撓性を有し、外周面に螺旋形状部31bを設けた推進力発生部31と、推進力発生部31の先端側に配設され、推進力発生部31を先導する中空で可撓性を有する先導部32と、先導部32の先端側に設けられ、案内面33aを有する案内部33とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡挿入部を管腔内に導入する際に使用される内視鏡用挿入補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡は観察のみならず各種治療や処置のために用いられている。一般的に、細長な挿入部を有する内視鏡は、挿入部の先端側に湾曲部が設けられている。湾曲部は、この湾曲部を構成する湾曲駒に接続されている操作ワイヤを進退移動させることによって、例えば上下/左右方向に湾曲動作するようになっている。操作ワイヤの進退移動は、術者が把持する操作部に設けられている、例えば湾曲ノブを回動操作することによって行われる。
【0003】
術者が挿入部を複雑に屈曲した管腔、例えば大腸などに挿入する際、湾曲ノブを適宜操作して湾曲部を湾曲動作させると共に、挿入部を捻り操作して、該挿入部の先端部を観察目的部位に向けて挿入していく。しかし、複雑に屈曲した大腸に挿入部を挿入する手技において、患者に苦痛を与えることなく、短時間でスムーズに挿入させることができるようになるまでには熟練を要する。
【0004】
そして、経験の浅い術者においては、挿入部を深部まで挿入していく途中で、挿入方向を見失って挿入作業に手間取るおそれや、挿入部を深部に向けて挿通させていく際に腸の走行状態を大きく変形させて、患者に苦痛を与えてしまうおそれ等があった。これらの不具合を解消するため、挿入部の挿入性を向上させるための各種提案がなされている。
【0005】
例えば、特開平10−113396号公報には、生体管の深部まで容易に、且つ低侵襲で医療機器を誘導し得る、医療機器の推進装置が示されている。この推進装置では、回転部材に、この回転部材の軸方向に対して斜めのリブが設けてある。このため、回転部材を回転動作させることにより、回転部材の回転力がリブによって推進力に変換され、推進装置に連結されている医療機器がその推進力によって深部方向に向かって移動される。
【特許文献1】特開平10−113396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特開平10−113396号公報の医療機器の推進装置においては、例えば推進装置の回転部材が例えば管腔の屈曲部を通過する際、該回転部材の一部だけが管腔内壁に対して接触した状態になることがある。この場合、十分な推進力を得られなくなるおそれがあり、推進力による挿入が困難となる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、細長な挿入部を管腔の目的部位まで挿入させる手技を容易に行えるようにする内視鏡用挿入補助具を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の内視鏡用挿入補助具は、案内管回転装置によって付与される回転力によって長手軸廻りの所定方向に回転される、可撓性を有し外周面に螺旋形状部を備える挿入部案内部材を具備する内視鏡用挿入補助具において、
前記挿入部案内部材は、管腔内の目的観察部位に向けて挿通される可撓性を有し、外周面に螺旋形状部を設けた推進力発生部と、前記推進力発生部の先端側に配設され、該推進力発生部を先導する中空で可撓性を有する先導部と、前記先導部の先端側に設けられ、案内面を有する案内部とを具備している。
【0009】
この構成によれば、内視鏡挿入補助具に中空で可撓性を有する先導部が設けられていることによって、該挿入部案内部材が管腔内の目的部位までスムーズに挿通される。この後、内視鏡で挿入部案内部材を観察しながら該挿入部を管腔内の目的部位まで挿入する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、細長な挿入部を管腔の目的部位まで挿入させる手技を容易に行えるようにする内視鏡用挿入補助具を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至図図9は本発明の第1実施形態にかかり、図1は内視鏡システムの構成を説明する図、図2は案内管の構成を説明する図、図3は案内管の最先端に設けられた案内部がS字状結腸部に到達した状態を示す図、図4は案内部がS字状結腸部の壁の襞を乗り越えた状態を示す図、図5は案内管を構成する先導部がS字状結腸部を通過した状態を示す図、図6は案内管を構成する案内部がS字状結腸部の壁の襞を乗り越えた状態における案内管の可撓状態を示す図、図7は案内部が盲腸部近傍まで到達した状態における、案内管の可撓状態を示す図、図8は案内管の基端部を内視鏡の先端面に設けられている処置具挿通用チャンネルの開口から挿入している状態を説明する図、図9は内視鏡の挿入部を案内管を目印にして大腸内に押し進めている状態を説明する図である。
【0012】
図1に示すように本実施形態の内視鏡システム1は、内視鏡2と、内視鏡用挿入補助具3とを備えて主に構成されている。
内視鏡2は、細長な挿入部11と、この挿入部11の基端側に設けられた操作部12と、操作部12の側部から延出するユニバーサルコード13とを備えて構成されている。挿入部11は先端側から順に、先端硬性部14、上下左右方向に湾曲自在に構成された湾曲部15、及び可撓性を有する可撓管部16を連設して構成されている。内視鏡2の操作部12には処置具入口17が設けられている。処置具入口17は、挿入部11内に設けられている、処置具を挿通するために設けられた、処置具挿通用チャンネル11a(図8参照)に連通している。
【0013】
内視鏡2には、外部装置として光源装置4、ビデオプロセッサ5、及びモニタ6が備えられている。光源装置4は内視鏡2に照明光を供給する。ビデオプロセッサ5は信号処理回路を有し、内視鏡2に設けられている図示しない撮像素子を駆動させる駆動信号を供給するとともに、撮像素子で光電変換されて伝送された電気信号を映像信号に生成して表示装置であるモニタ6へ出力する。モニタ6の画面上には、ビデオプロセッサ5から出力された映像信号を受けて、内視鏡画像が表示される。
【0014】
一方、内視鏡用挿入補助具3は、挿入部案内部材である挿入部案内部材(以下、案内管と略記する)21と、案内管回転装置22とによって構成されている。
案内管回転装置22は、モータ23と案内管固定部24とを有している。モータ23は、案内管21を案内管長手軸廻り(以下、軸廻りと略記する)に回転させる。モータ23は、患者7が横たわるベッド8の近くに配置される回転装置用カート(以下、カートと略記する)25の台25a上に設置される。具体的に、モータ23は図示しない固定部材によって、モータ23のモータ軸23aが台25aの上部平面に対して平行になるように、台25a上に固定されている。
【0015】
案内管固定部24は、モータ23のモータ軸23aに一体的に固定されるようになっている。案内管固定部24には、案内管21の基端側端部が着脱自在に取り付けられるようになっている。したがって、案内管固定部24に案内管21を取り付けた状態で、モータ23を駆動状態にしてモータ軸23aを回転させることによって、案内管固定部24に取り付けられた案内管21が軸廻りに回転する。
【0016】
なお、符号26は、案内管21が手術室内の床に触れることを防止する保護管である。保護管26の内孔に案内管21を挿通させることによって、案内管21が直接、床等に接触することが防止される。保護管26の端部26a、26bはそれぞれ、管保持部材27、28に着脱自在に固定されるようになっている。一方の管保持部材27は例えばベッド8上に配設されたスタンド29に配置され、他方の管保持部材28はカート25に設けられたテーブル25b上に配置される。
【0017】
次に、図2を参照して案内管21の具体的な構成について説明する。
図に示すように案内管21は、推進力発生部31と、先導部32と、案内部33とで構成されている。
【0018】
推進力発生部31は可撓性を考慮した螺旋管であり、例えばステンレス製で所定の径寸法の金属素線31aを螺旋状に例えば2層に巻回して形成されている。したがって、推進力発生部31の外表面には金属素線31aの表面によって形成された螺旋形状部31bが設けられる。
【0019】
なお、推進力発生部31は、金属素線31aを2層に巻回して形成されるものに限定されることなく、多条、例えば、4条に巻回して形成したもの等であっても良い。金属素線31aは螺旋状に巻かれるとき、その金属素線31a間の密着度や巻回角度を種々設定することが可能であり、これら設定を種々調整することによって所望の推進力を得られる。また、推進力発生部31の径寸法は、本実施形態においては内視鏡2の処置具挿通用チャンネル11a内に挿通可能に設定されている。
【0020】
先導部32は、可撓性を有し、且つ貫通孔を有するチューブ体であって、推進力発生部31の先端側に設けられている。先導部32の長さ寸法は例えば、20mmから40mmの長さに形成され、外径寸法は推進力発生部31の外径寸法と略同径に形成されている。そして、先導部32の可撓性は、推進力発生部31の可撓性より高い可撓性を有する一方、所定の復元性を有している。つまり、先導部32は、推進力発生部31より撓み易い構成になっている。先導部32は、ゴム部材、或いはウレタン樹脂等のエラストマーで形成されている。
【0021】
先導部32は、推進力発生部31の先端部に例えば、糸巻き接着34によって一体的に固定される。先導部32の基端部は推進力発生部31の先端部に設けられた先導部配置段部31cの外周面に配置されるようになっている。このことによって、先導部32と推進力発生部31とのつなぎ目で進行を妨げるような大きな段差が発生することを防止している。
【0022】
なお、先導部32と推進力発生部31との連結は、糸巻き接着34に限定されるものではなく、例えば、先導部32の基端部と推進力発生部31の先端部との内孔に可撓性を有する管状部材を配置して、その配置状態において先導部32、及び推進力発生部31を例えば接着によって一体的に固定するようにしてもよい。
【0023】
案内部33は金属製、或いは硬質な樹脂製であり、その先端部は砲弾形状、或いは半球体に形成されている。案内部33の外径と先導部32の外径とは略同寸法であり、案内部33は、先導部32の先端側に例えば接着によって一体的に固定される。案内部33の先端面は案内面33aであって、その表面は大腸などの管腔の内壁の襞を乗り越えるために、滑り性が良好、言い換えれば、摩擦係数の小さな滑らかな表面になっている。
【0024】
上述のように構成した内視鏡システム1の作用を説明する。
まず、案内管21を患者の管腔である大腸内に導入するまでの準備段階を説明する。
【0025】
内視鏡2の挿入部11を大腸の例えば盲腸部まで導入するに当たって、保護管26と、所望の径寸法、及び可撓性を有する推進力発生部31を備えた案内管21とを準備する。
【0026】
そして、保護管26のそれぞれの端部を、管保持部材27、28に固定する。次に、保護管26の内孔に案内管21を挿通させ、保護管26から突出している推進力発生部31の基端部をモータ23のモータ軸23aに固定されている案内管固定部24に取り付ける。一方、先導部32が設けられている先端部側を例えばベッド8又はスタンド29に配置する。このことによって、案内管21を大腸内に導入するための準備が完了する。
【0027】
次に、案内管21を大腸内に導入する手順を説明する。
術者は、図1に示すようにベッド8上に寝かされている患者7の肛門71から案内管21を導入する。すると、案内管21を構成する推進力発生部31の外周面に設けられた螺旋形状部31bが腸壁に接触する。このとき、推進力発生部31に形成されている螺旋形状部31bと腸壁の襞との接触状態は、あたかも雄ねじと雌ねじとの関係のようになる。
【0028】
ここで、術者は、案内管回転装置22のモータ23を回転駆動状態にする。すると、推進力発生部31が軸廻り方向に回転される。すると、推進力発生部31に雄ねじが雌ねじに対して移動するような推進力が発生して、その推進力によって案内管21が大腸内を進行していく。すなわち、肛門71から挿入された案内管21は、直腸72からS字状結腸部73に向けて推進力によって進んでいく。このとき、案内管21の先端側に設けられている先導部32、及び案内部33も軸廻り方向に回転している。
【0029】
次いで、図3乃至図7を参照して案内管21の盲腸部近傍までの導入過程を説明する。
図3に示すように案内管21の最先端に位置する案内部33がS字状結腸部73に到達する。このとき、案内部33の案内面33aがS字状結腸部73の襞に接触した状態になる。ここで、案内部33は、推進力発生部31の回転に合わせて回転されていることにより、その半球状表面である案内面33aの一部分に接触している襞をスムーズに乗り越える。このことによって、推進力発生部31の推進力によって案内管21は進行を続ける。
【0030】
このとき、案内部33は先導部32の有する復元力によってS字状結腸部の屈曲部分に沿うように押されて、推進力発生部31の進行方向に対して誘導される。このことによって、図4に示すように、まず先導部32がS字状結腸部の屈曲部分に沿って撓み、続いて図5に示すように先導部32に連結されている推進力発生部31の先端部分が同様にS字状結腸部の屈曲部分に沿って撓んで、S字状結腸部73の側壁に沿うように誘導されていく。
【0031】
また、図6に示すように案内部33がS字状結腸部73の腸壁に接触している状態においても、推進力発生部31の螺旋形状部31bと、腸壁の襞とが雄ねじと雌ねじとの関係になっている。このため、回転されている状態の推進力発生部31が、可撓性に富んで容易に位置が変化するS字状結腸部の位置を変化させることなく、推進力によってスムーズに腸壁に沿って前進していく。
【0032】
そして、回転されている状態の推進力発生部31は、先端の案内部33が腸壁の襞を乗り越えながら先導部32の撓み方向に引きずられるように、S字状結腸部73を通過する。こうして、図7に示すように、案内管21は、S字状結腸部73と可動性に乏しい下行結腸部74との境界となる屈曲部、下行結腸部74と可動性に富む横行結腸部75との境界となる屈曲部である脾湾曲76、横行結腸部75と上行結腸部78との境界となる屈曲部である肝湾曲77の腸壁に沿うようにスムーズに進行し、大腸の走行状態を変化させることなく例えば盲腸部79近傍に到達する。
【0033】
この案内管導入過程において、推進力発生部31の螺旋形状部31bと腸壁との接触長が長いため、案内部33が腸壁に接触している状態、及び推進力発生部31が複雑に屈曲している状態でも、推進力を得られる。加えて、推進力発生部31が十分な可撓性を有していることから、大腸の内部を進行中、例えば、容易に位置が変化するS字状結腸部73の位置を変化させることなく、腸壁に沿ってスムーズに進行していく。
【0034】
術者は、案内管21の最先端を構成する案内部33が盲腸部79近傍まで到達したと判断したなら、モータ23の回転を停止させた後、保護管26から突出している推進力発生部31の基端部を案内管固定部24から取り外す。その後、推進力発生部31を保護管26から抜去する。そして、後述するように内視鏡2の挿入部11を大腸に挿入する。
【0035】
なお、管腔内に推進力発生部31を挿入していくとき、推進力発生部31の回転方向は、一方向(管腔の深部に向かって進む前進方向)のみとしてもよいし、左右回転を一定周期、若しくは、任意に切り替えるようにしてもよい。左回転と右回転とを組み合わせて案内管21の導入を行うことによって、推進力発生部31は、管腔内において前進と後進とを繰り返す。このことにより、前進時において、万一、推進力発生部31、又は先導部32の一部、或いは案内部33が腸壁の襞、或いは小さな凹み等に引っ掛かってしまった場合でも、後退時にその引っ掛かり状態が解消される。そして、再び、前進を開始したときには、その腸壁の位置と推進力発生部31との位置と微妙に位置ずれることによって、案内管21が再度、引っ掛かることなくスムーズに前進することができる。
【0036】
最後に、内視鏡2の挿入部11を大腸に挿入する手順を説明する。
術者は、推進力発生部31を保護管26から抜去した後、図8に示すように推進力発生部31の基端部を先端硬性部14の先端面14aに設けられている処置具挿通用チャンネル11aの先端開口14bから挿入していく。そして、術者は、推進力発生部31の基端部を、図中の一点鎖線に示すように、処置具入口17から突出させる。
【0037】
次いで、内視鏡2を観察可能な状態にした後、処置具挿通用チャンネル11a内に推進力発生部31が挿通されている状態で、挿入部11の先端部を肛門71から大腸内に挿入する。すると、先端硬性部14の先端面に設けられている照明窓14cから出射される照明光によって照らされた大腸内の画像がモニタ6の画面上に表示される。このとき、モニタ6の画面上には、予め、挿入されている案内管21の画像も表示される。
【0038】
ここで、術者は、大腸内に挿通されている案内管21の延出方向をモニタ6の画面上に表示されている内視鏡画像で確認する。そして、湾曲部15を湾曲させる操作、或いは挿入部11を捻る操作等を適宜行いながら、挿入部11を図9に示すように大腸内に押し進めていく。この際、挿入済の案内管21が挿入方向を示す目印になるので、挿入方向を見失うことがない。つまり、術者は、内視鏡2の挿入部11を、スムーズに盲腸部79近傍まで挿入することができる。
【0039】
そして、術者は、挿入部11の先端が盲腸部79近傍に到達したことをモニタ6の画面上に表示される内視鏡画像で確認したなら、大腸内の内視鏡検査を行うため、例えば、案内管21を処置具挿通用チャンネル11a内に挿通させたままの状態を保持しながら挿入部11の引き戻しを行って、大腸の内視鏡観察を行う。
【0040】
なお、内視鏡2の挿入部11を大腸内に挿入している際に、予め、挿通させた案内管21が大腸の深部から肛門側へ戻ってしまった場合、術者は、処置具挿通用チャンネル11a内に案内管21を挿通させた状態で、処置具入口17から突出している推進力発生部31の基端部を前記案内管固定部24に取り付ける。そして、再度、モータ23を回転駆動状態にさせて、前述したように推進力発生部31を回転させて、大腸の深部に挿入する。こうして、術者は、推進力発生部31の先端側に位置する案内部33を例えば盲腸部79近傍に再び到達させて、再度、上述の内視鏡2の挿入部11を大腸に挿入する手技を行う。
【0041】
このように、外表面に螺旋形状部を有して可撓性を有する推進力発生部の先端側に、この推進力発生部の可撓性よりその可撓性が高く、所定の復元性を有する先導部を設けて案内管を構成し、その先導部の先端側に案内面を有する案内部を設けている。このことによって、推進力発生部によって推進力が発生されている状態において、案内管の最先端に設けられた案内部が腸壁の襞と接触したとき、推進力発生部より可能性の高い先導部が案内部の進行方向に撓む。したがって、案内管を、大腸などの各屈曲部の屈曲に沿わせて容易に挿入することができる。また、案内管を管腔内、例えば大腸などに挿入する際、案内管の最先端に位置する案内部の案内面が腸壁の襞に接触する。したがって、案内部は、腸壁の襞を容易に乗り越えることができる。
【0042】
そして、案内管を管腔内に挿入配置させた後、管腔内の深部まで挿入された案内管を目印にして、案内管に沿わせ内視鏡の挿入部を挿入させる。このことにより、内視鏡の挿入部の大腸深部までの挿入を容易に行えるとともに、患者に苦痛を与えることなく、且つ、短時間で内視鏡の挿入部の挿入が可能になる。
【0043】
なお、図10に示すように案内管21に設けられている内孔21a内に二点鎖線に示すように所望の弾発性を有するスタイレット35を挿通配置させて、案内管21の可撓性を調整可能にしてもよい。このことによって、可撓性の異なる案内管21を複数、用意する必要がなくなる。ここで、図10はスタイレット、及びスタイレットが挿通された状態の案内管を説明する図である。
【0044】
図に示すように案内管21を構成する推進力発生部31の基端部が固設される案内管固定部24Aには、スタイレット挿通孔24aと、スタイレット連結部24bとが設けられている。スタイレット挿通孔24aは、推進力発生部31の基端部が配設される配設穴24cに連通している。スタイレット連結部24bにはスタイレット35の基端部に一体的に設けられているツマミ35aが図中二点鎖線に示すように一体的に配設されるようになっている。そして、ツマミ35aをスタイレット連結部24bに配設した状態において、スタイレット35の先端部は例えば先導部32内に配置されるようになっている。なお、本図においては、先導部32の基端部と推進力発生部31の先端部とが可撓性を有する管状部材36を介して一体的に固定されている。
【0045】
この構成によれば、案内管21を案内管固定部24Aに固定している状態において、適宜、スタイレット35を挿通配置させたり、交換を行って、案内管21の可撓性を変化させて、対向内深部へのよりスムーズな導入を行える。
【0046】
また、図11に示すように湾曲性能を向上させる目的で蛇腹部32aを設けて先導部32Aを構成するようにしてもよい。その他の構成は上述した実施形態と同様である。ここで、図11は蛇腹を有する先導部を備えた案内管の構成を説明する図である。
図に示す蛇腹部32aを有する先導部32Aを備えた案内管21Aによれば、該案内管21の最先端に位置する案内部33がS字状結腸部73の襞に接触して、この襞を乗り越えたとき、先導部32Aがよりスムーズに曲げられて、S字状結腸部の屈曲部分に沿って撓んだ状態になる。このことによって、先導部32Aに連結されている推進力発生部31の先端部分をS字状結腸部の側壁に沿うように誘導することができる。
【0047】
また、図12、及び図13に示すように先導部32Bを構成して、該先導部32Bが能動的に湾曲される構成にしてもよい。ここで、図12は湾曲機構を備えた先導部を有する案内管の構成を説明する図、図13は図12の矢印Aで示す部分の拡大図である。
【0048】
図12に示すように案内管21Bを構成する先導部32Bの内周面内に、例えば対向するように、一対の形状記憶ワイヤ37を配設する。また、図13に示すように先導部32Bが推進力発生部31の回転に追従して回転することを防止するため、推進力発生部連結固定部38、及び先導部回動連結部39を設けている。
【0049】
推進力発生部連結固定部38の先端側部、及び基端側部の内周面側には所定深さ寸法の凹部38a、38bが形成されている。先端側凹部38aの内周面所定位置には断面形状が凹半円形の周状凹部38cが形成されている。一方、基端側凹部38b内には推進力発生部31の先端部が固設されるようになっており、具体的には、推進力発生部31の先端部が基端側凹部38b内に例えば接着によって一体的に固定されている。
【0050】
先導部回動連結部39の先端側内周面には、先導部32Bの基端部が配置される凹部39aが形成されている。先導部32Bの基端部は凹部39a内に例えば接着によって一体的に固定されている。一方、先導部回動連結部39の基端部側外周面には細径部39bが設けられている。細径部39bの基端側には推進力発生部連結固定部38の先端部が外嵌配置される。細径部39bの基端外周端部には断面形状が凸半円形の周状凸部39cが設けられている。周状凸部39cは周状凹部38cに係入配置される。そして、先導部回動連結部39に備えられている周状凸部39cを、推進力発生部連結固定部38の周状凹部38cに係入配置させた状態において、先導部回動連結部39は推進力発生部連結固定部38に対して遊嵌配置される。
【0051】
つまり、推進力発生部連結固定部38が推進力発生部31の回転に伴って回転されたとき、この推進力発生部連結固定部38の回転は先導部回動連結部39には伝達されない、連結状態である。言い換えれば、先導部32Bに一体的に固定されている先導部回動連結部39の周状凸部39cを、推進力発生部31が一体的に固定されている推進力発生部連結固定部38の周状凹部38cに係入配置させた状態において、推進力発生部31を回転状態にしたとき、先導部32Bは推進力発生部31の回転に追従して回転することのない、非回転状態に維持される。
【0052】
なお、前記形状記憶ワイヤ37の一端部は例えば先導部32Bの先端側内周面に接着によって一体的に固定される。一方、形状記憶ワイヤ37の他端部は例えば先導部回動連結部39の内周面に接着によって一体的に固定される。また、形状記憶ワイヤ37からは電気ケーブル37aが延出されている。この電気ケーブル37aは、可撓性を有する例えばチューブ体40内を挿通され、図示しないフットスイッチに接続される。チューブ体40の先端部は例えば先導部回動連結部39の内周面に接着によって一体的に固定される。
【0053】
したがって、この構成によれば、形状記憶ワイヤ37は、推進力発生部31の回転に対して連動して回転しない非回転部材として、先導部回動連結部39に設けられている。また、形状記憶ワイヤ37から延出する電気ケーブル37aが挿通されるチューブ体40の先端部を先導部回動連結部39に固定している。このため、推進力発生部31の回転によって電気ケーブル37aに捻れ等の不具合が発生することが確実に防止されている。
【0054】
このように構成した案内管21Bによれば、推進力発生部31を回転させている状態において、必要に応じてフットスイッチを適宜操作することによって、先導部32を所望する方向に湾曲動作させることができる。このため、案内管21Bを体腔内に挿入させている状態において、術者が、案内部33が腸壁の襞、或いは小さな凹み等に引っ掛かって、推進力発生部31から発生する推進力による案内管21の前進が阻止されたと判断したとき、フットスイッチを操作して先導部32を適宜湾曲動作させる。このことによって、その引っ掛かり状態が速やかに解消されて、案内管21を推進力発生部31から発生する推進力によって、再び、スムーズに前進させることができる。
【0055】
また、図14に示すように推進力発生部31の推進力を低減させる目的で、推進力発生部31の外表面に螺旋形状部31bの一部を隠すように被覆テープ41を設けるようにしてもよい。ここで、図14は螺旋形状部の一部に被覆テープを設けた状態を説明する図である。
【0056】
前記第1実施形態において、案内管導入過程において、推進力発生部31の螺旋形状部31bと腸壁との接触長が長いため、案内部33が腸壁に接触している状態、及び推進力発生部31が複雑に屈曲している状態でも推進力を得られるとした。しかし、推進力発生部31の全長に螺旋形状部31bを設けた構成においては、案内管21が体腔内に導入されるにしたがって、螺旋形状部31bと腸壁の襞との接触面積が増大することによって、推進力が必要以上に大きくなることも考えられる。
【0057】
この不具合を解消して、所望の推進力を得られるようにするため、必要に応じて、図に示すように被覆テープ41を推進力発生部31の所定部位に設けて、螺旋形状部31bの一部を隠すようにする。このとき、使用する案内管の径寸法や可撓性を考量して、幅寸法、長さ寸法を適宜設定した被覆テープ41a、…、41d等を使用する。このことによって、推進力発生部の接触抵抗を変化させて、案内管の挿入長に対応する推進力を得ることができる。
【0058】
図15乃至図19は本発明の第2実施形態にかかり、図15は案内管の他の構成を説明する図、図16は案内管の先端面の構成を説明する図、図17は案内管を構成する案内部がS字状結腸部に到達した状態を示す図、図18は案内管を構成する案内部がS字状結腸部の壁の襞を乗り越えた状態を示す図、図19は案内部が盲腸部近傍まで到達した状態における、案内管の可撓状態を示す図である。
【0059】
図15に示すように第2実施形態の案内管21Dは、推進力発生部31と、先導部32と、案内部33Aとで主に構成されている。そして、本実施形態においては先導部32と推進力発生部31とが、推進力発生部連結固定部38と、先導部回動連結部39とによって連結されている。したがって、先導部32は、推進力発生部31が回転状態のとき、該先導部32が推進力発生部31の回転に追従して回転することのない、非回転状態で維持される構成になっている。
【0060】
図15、及び図16に示すように本実施形態の案内部33Aは略円柱状であって、例えば硬質な樹脂製である。案内部33Aの先端側は平面部33dとして形成されている。平面部33dには観察光学系を構成する観察窓42aと、照明光学系を構成する複数のLED照明43とが設けられている。観察窓42aには観察手段である例えばC−MOS42が臨まれている。観察窓42aは平面部33dの略中央に配置されている。これに対して、複数のLED照明43は、観察窓42aの周囲に規則的に等間隔で配置されている。C−MOS42からは信号線42bが延出され、各LED照明43からは電気ケーブル43aが延出されている。信号線42b、及び電気ケーブル43aは、可撓性を有するチューブ体44内を挿通して観察装置(不図示)に接続されている。チューブ体44の先端部は案内部33Aの基端部に対して例えば口金部材(不図示)を介して一体的に配設されている。
【0061】
平面部33dの外周部には例えば曲面による面取り部33eが設けられている。案内部33Aの外径と先導部32の外径とは略同寸法である。案内部33Aの基端部には先導部32の貫通孔内に係入配置される細径凸部33fが設けられている。細径凸部33fは先導部32の先端側の透孔内に配置された状態で、例えば接着によって先導部32に一体的に固定される。
【0062】
先導部32の先端面から露出される案内部33Aの平面部33dを含む先端部は案内面33bであって、その表面は大腸などの管腔の内壁の襞を乗り越えるために滑り性が良好な表面、つまり摩擦係数の小さな滑らかな表面になっている。
その他の構成は前記第1実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0063】
なお、観察装置内にはC−MOS42やLED照明43に電力を供給する電源部等が設けられている。また、C−MOS42では撮像した画像を、NTSC方式、PAL方式等の標準テレビ信号に変換され、その標準テレビ信号は信号線42bを介して観察装置に出力される。このことによって、観察装置の画面上にはC−MOS42で撮像した画像が表示される。観察光学系はC−MOSに限定されるものではなくCCD等であってもよい。照明光学系もLED照明に限定されるものではなくエレクトロルミネッセンスデバイス等の面発光光源等であってもよい。これらの場合においては必要に応じて構成が変化される。
【0064】
ここで、図1、図17、及び図18を参照して案内管21Dを大腸に導入する手順を説明する。
術者は、前記図1に示すようにベッド8上に寝かされている患者7の肛門71から案内管71の代わりに案内管21Dを導入する。すると、案内管21Dを構成する推進力発生部31の外周面に設けられた螺旋形状部31bが腸壁に接触する。このとき、推進力発生部31に形成されている螺旋形状部31bと腸壁の襞との接触状態は、あたかも雄ねじと雌ねじとの関係のようになる。
【0065】
ここで、術者は、案内管回転装置22のモータ23を回転駆動状態にするとともに、C−MOS42、及びLED照明43に電力の供給を開始する。すると、推進力発生部31が軸廻り方向に回転されるとともに、観察装置の画面上にC−MOS42で撮像した画像が表示される。
【0066】
このとき、推進力発生部31が軸廻り方向に回転されたことによって、該推進力発生部31に雄ねじが雌ねじに対して移動するような推進力が発生して、案内管21Dが大腸内を進行していく。すなわち、肛門71から挿入された案内管21Dは、直腸72からS字状結腸部73に向けて進んでいく。このとき、案内管21Dの先端側に設けられている先導部32が推進力発生部31と推進力発生部連結固定部38、及び先導部回動連結部39を介して連結されている。したがって、先導部32、及び案内部33Aは非回転状態に維持されている。このため、画面上に表示されるC−MOS42で撮像した画像が回転することなく表示される。
【0067】
案内管21Dが大腸内を進行するにしたがって、図17に示すように、案内管21Dの最先端に位置している案内部33AがS字状結腸部73の屈曲部の腸壁に近づき、その後、案内面33bの一部がS字状結腸部73の屈曲部の腸壁に当接する。これらの状況は画面上に表示される。
【0068】
案内部33が屈曲部の腸壁に接触したとき、案内面33bの有する滑り性によって該案内面33bが襞をスムーズに乗り越えていった場合、推進力発生部31の推進力によって案内管21Dはさらに大腸深部に向かって進行していく。このとき、画面上には大腸内を移動していく様子が表示される。これに対して、案内部33が屈曲部の腸壁に接触したとき、案内面33bの有する滑り性を持ってしても該案内面33bが襞を乗り越えることができなかった場合、画面上には深部への進行が停止されたことを示す画像が表示される。
【0069】
ここで、術者は、観察している画面に表示される画像から、案内管21の案内部33が腸壁の襞等に当接して、該案内管21Dの進行が阻止されている状態であると判断する。そして、術者は、推進力発生部31の回転を逆方向に回転させる操作を一度行った後、再び所定の方向に回転させる操作を行う。つまり、案内管21Dの進行が停止された状態で、一旦、該案内管21Dを後退させ、再び、前進させる操作を行う。すると、案内部33Aが腸壁の襞、或いは小さな凹み等に引っ掛かって進行が停止されていた場合でも、後退時にその引っ掛かり状態が解消される。そして、再び、前進を開始したときには、その腸壁の襞の位置と推進力発生部31との位置と微妙にずれることによって、再び、引っ掛かることなく案内管21Dがスムーズに進行していく。そして、案内部33Aが前進を開始することによって、画面上には大腸内を移動していく様子が再び表示される。
【0070】
そして、図18に示すように回転されている状態の推進力発生部31は、案内部33が腸壁の襞を乗り越えながら前進していくことによって、先導部32の撓み方向に引きずられるように移動していく。この後も術者は、画面上に表示される状況を確認しながら、前進と後退と繰り返し行って案内管21Dを進行させていく。このことによって、図19に示すように、S字状結腸部73、S字状結腸部73と可動性に乏しい下行結腸部74との境界となる屈曲部、下行結腸部74と可動性に富む横行結腸部75との境界となる屈曲部である脾湾曲76、横行結腸部75と上行結腸部78との境界となる屈曲部である肝湾曲77の腸壁に沿うようにスムーズに進行し、大腸の走行状態を変化させることなく例えば盲腸部79近傍に到達する。
【0071】
すると、術者は、案内管21Dの最先端の案内部33Aが盲腸部79近傍まで到達したことを画面上に表示される画像で判断する。ここで、術者は、上述したようにモータ23を停止させた後、保護管26から突出している推進力発生部31の基端部を案内管固定部24から取り外す。その後、推進力発生部31を保護管26から抜去する。そして、前記第1実施形態で説明した、内視鏡2の挿入部11を大腸に挿入する手順にしたがって、該挿入部11を盲腸部79近傍まで挿入していく。そして、術者は、モニタ6の画面上に表示される内視鏡画像を確認しながら、挿入部11を盲腸部79近傍まで挿入していく。そして、挿入部11の挿入を確認したなら、大腸内の内視鏡検査を行うため、例えば、案内管21を処置具挿通用チャンネル11a内に挿通させたままの状態を保持して挿入部11の引き戻しを行って、大腸の内視鏡観察を行う。
【0072】
このように、可撓性を有する先導部の先端側に観察光学系を備える案内部を配設している。そして、案内管を推進力発生部の推進力によって体腔内深部に導入させる際、案内部に設けられている観察光学系で撮像された画像を観察装置の画面上に表示させて、進行状況、及び到達部位の確認を行う。このことによって、案内管をスムーズに目的部位まで導入することかできる。
【0073】
なお、案内管21Dの進行が阻止されている状態であると判断したとき、推進力発生部31の回転を逆方向に回転させることによって、その引っ掛かり状態を解消して、再び、前進を開始させて案内部を前進させるとしているが、案内管21Dの進行が阻止されたとき、単に、案内管21Dを手元側に一旦引き戻して引っ掛かり状態を解消するようにしてもよい。
【0074】
また、図20に示すように先導部連結固定部45、及び案内部回動連結部46を設けて、案内部33Aを先導部32、及び推進力発生部31に対して、非回転状態に維持される案内管21Eを構成するようにしてもよい。ここで、図20は案内管の別の構成を説明する図である。
【0075】
案内管21Eにおいては推進力発生部31と先導部32とは、例えば糸巻き接着34によって一体的に連結固定されている。案内部回動連結部46の先端側部、及び基端側部の内周面側には所定深さ寸法の凹部46a、46bが形成されている。先端側凹部46aの内周面所定位置には案内部33Aの細径凸部33fが接着固定される。基端側凹部46bの内周面所定位置には断面形状が凹半円形の周状凹部46cが形成されている。
【0076】
先導部連結固定部45の基端側内周面には、先導部32の先端部が配置される凹部45aが形成されている。先導部32の先端部は凹部45a内に例えば接着によって一体的に固定される。一方、先導部連結固定部45の先端部側外周面には細径部45bが設けられている。細径部45bの先端側には案内部回動連結部46の基端部が外嵌配置される。細径部45bの先端外周端部には断面形状が凸半円形の周状凸部45cが設けられている。周状凸部45cは周状凹部46cに係入配置される。そして、先導部連結固定部45に備えられている周状凸部45cを、案内部回動連結部46の周状凹部46cに係入配置させた状態において、先導部連結固定部45は案内部回動連結部46に対して遊嵌配置される。
【0077】
つまり、案内管21Eでは、先導部連結固定部45が推進力発生部31の回転に伴って回転されたとき、この先導部連結固定部45の回転は案内部回動連結部46には伝達されない、連結状態である。言い換えれば、先導部32に一体的に固定されている先導部連結固定部45の周状凸部45cを、案内部33Aが一体的に固定されている案内部回動連結部46の周状凹部46cに係入配置させて構成された案内管21Eでは、推進力発生部31を回転状態にしたとき、先導部32は推進力発生部31の回転に追従して回転するが、案内部33Aは推進力発生部31の回転に追従して回転することのない、非回転状態に維持される。その他の構成は前述した第2実施形態と同様である。
【0078】
このことによって、先導部32までが回転される構成になることによって、腸壁との間の摩擦抵抗が低減されるので、より案内部33が腸壁の襞を乗り越えながら前進する。その他の作用、及び効果は第2実施形態と同様である。
【0079】
さらに、前述した第2実施形態においては、観察光学系を設けた案内部33Aを先導部32の先端に設ける構成を示しているが、この案内部33Aを先導部32の先端に設ける代わりに、図21に示すように湾曲機構を備えた先導部32Bの先端に案内部33Aを設けて案内管21Fを構成するようにしてもよい。その他の構成は前述した第2実施形態と同様である。ここで、図21は案内管のまた他の構成を説明する図である。
【0080】
このことによって、観察している画面に表示される画像から、案内管21Fの案内部33Aが腸壁等に当接して、該案内管21Fの進行が阻止されている状態であるか否かを判断する。そして、案内管21Fの進行が阻止されている状態であると判断したとき、術者はフットスイッチを操作して先導部32Bを適宜湾曲動作させる。このことによって、その引っ掛かり状態を速やかに解消して、案内管21Fを推進力発生部31から発生する推進力によって、再び、スムーズに前進させることができる。その他の作用、及び効果は第2実施形態と同様である。
【0081】
又、図22に示すように推進力発生部31の先端部に、2つのチューブ体51、52で構成される先導部32Cを設けて案内管21Gを構成するようにしてもよい。ここで、図22は案内管のまた別の構成を説明する図である。
【0082】
本実施形態の案内管21Gは、推進力発生部31と、先導部32Cと、案内部33Bと、案内部33Aとで主に構成されている。案内部33Bと第2チューブ体52とで被覆部50を構成している。案内部33Bは管部材であり、前記案内部33と同様に、金属製、或いは硬質な樹脂製であり、その端部には曲面部が設けられている。案内部33Bの外径と第2チューブ体52の外径とは略同寸法である。案内部33Bは、第2チューブ体52の先端側に例えば接着によって一体的に固定されている。案内部33Bの外周面は案内面33cであって、その表面は大腸などの管腔の内壁の襞を乗り越えるために、滑り性が良好な滑らかな表面になっている。第2チューブ体52の基端部は推進力発生部31の先端部に例えば糸巻き接着34によって一体的に連結固定されている。
【0083】
被覆部50内には先端側から順に、案内部33A、第1チューブ体51、推進力発生部連結固定部53、先導部回動連結部54、及び推進力発生部31の先端部が配置されている。本実施形態においては第1チューブ体51と推進力発生部31とは、推進力発生部連結固定部53と、先導部回動連結部54とによって連結されている。このことによって、第1チューブ体51は、推進力発生部31が回転状態のとき、該推進力発生部31の回転に追従して回転することのない、非回転状態に維持される構成になっている。これに対して、第2チューブ体52は、推進力発生部31が回転状態のとき、該推進力発生部31の回転に追従して回転される構成になっている。
【0084】
第2チューブ体52の可撓性と、第1チューブ体51の可撓性とは略同等であり、第2チューブ体52の長さ寸法は第1チューブ体51の長さ寸法より長めに設定されている。このことによって、第1チューブ体51と第2チューブ体52とを備えて構成された先導部32Cが例えばS字状結腸部の屈曲部分に沿って撓む構成になっている。
【0085】
推進力発生部連結固定部53の先端側部の内周面側には所定深さ寸法の凹部53aが形成され、基端側部には細径部53bが形成されている。先端側凹部53aの内周面所定位置には断面形状が凹半円形の周状凹部53cが形成されている。一方、細径部53bの外周側には推進力発生部31の先端部が外嵌配置されるようになっており、具体的には、推進力発生部31の先端部が細径部53bに例えば接着によって一体的に固定されている。
【0086】
先導部回動連結部54の先端側内周面には、第1チューブ体51の基端部が配置される凹部54aが形成されている。第1チューブ体51の基端部は凹部54a内に例えば接着によって一体的に固定されている。一方、先導部回動連結部54の基端部側外周面には細径部54bが設けられている。細径部54bの基端側には推進力発生部連結固定部53の先端部が外嵌配置される。細径部54bの基端外周端部には断面形状が凸半円形の周状凸部54cが設けられている。周状凸部54cは周状凹部53cに係入配置される。そして、先導部回動連結部54に備えられている周状凸部54cを、推進力発生部連結固定部53の周状凹部53cに係入配置させた状態において、先導部回動連結部54は推進力発生部連結固定部53に対して遊嵌配置される。つまり、推進力発生部連結固定部53が推進力発生部31の回転に伴って回転されたとき、この推進力発生部連結固定部53の回転は先導部回動連結部54には伝達されない。その他の構成は前述した第2実施形態と同様である。
【0087】
この構成によれば、術者が案内管回転装置22のモータ23を回転駆動状態にして、推進力発生部31を軸廻り方向に回転させたとき、案内管21Gの先端側に設けられている先導部32Cを構成する第2チューブ体52が軸廻り方向に回転状態になる一方、第1チューブ体51は非回転状態に維持される。したがって、案内管21Gの最先端に位置する案内部33Bが例えばS字状結腸部73に到達したとき、案内部33Bの案内面33cがS字状結腸部73の襞に接触した状態になる。ここで、案内部33Bは、推進力発生部31の回転に合わせて回転されていることにより、その案内面33cの一部分に接触している襞をスムーズに乗り越える。このことによって、推進力発生部31の推進力によって案内管21Gがスムーズに進行を続ける。そして、その進行状態が観察装置の画面上に表示される。
【0088】
また、推進力発生部31の推進力によって案内管21Gがスムーズに進行を続けているとき、案内部33Bは先導部32Cを構成する第2チューブ体52の有する復元力によってS字状結腸部の屈曲部分に沿うように押されて、推進力発生部31の進行方向に対して誘導される。このことによって、まず先導部32CがS字状結腸部の屈曲部分に沿って撓む。その後、先導部32Cに連結されている推進力発生部31の先端部分が同様にS字状結腸部の屈曲部分に沿って撓んで、S字状結腸部73の側壁に沿うように誘導されていく。
【0089】
このように、第2チューブ体52、及び案内部33Bが推進力発生部31の回転に伴って回転する構成になる。このことによって、腸壁等との摩擦抵抗が軽減されて第1実施形態と同様に腸壁の襞を乗り越えながら前進させることができるとともに、進行状態の確認等を観察装置の画面上で行うことができる。その他の作用、及び効果は第2実施形態と同様である。
【0090】
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1乃至図図9は本発明の第1実施形態にかかり、図1は内視鏡システムの構成を説明する図
【図2】案内管の構成を説明する図
【図3】案内管の最先端に設けられた案内部がS字状結腸部に到達した状態を示す図
【図4】案内部がS字状結腸部の壁の襞を乗り越えた状態を示す図
【図5】案内管を構成する先導部がS字状結腸部を通過した状態を示す図
【図6】案内管を構成する案内部がS字状結腸部の壁の襞を乗り越えた状態における案内管の可撓状態を示す図
【図7】案内部が盲腸部近傍まで到達した状態における、案内管の可撓状態を示す図
【図8】案内管の基端部を内視鏡の先端面に設けられている処置具挿通用チャンネルの開口から挿入している状態を説明する図
【図9】内視鏡の挿入部を案内管を目印にして大腸内に押し進めている状態を説明する図
【図10】スタイレット、及びスタイレットが挿通された状態の案内管を説明する図
【図11】蛇腹を有する先導部を備えた案内管の構成を説明する図
【図12】湾曲機構を備えた先導部を有する案内管の構成を説明する図
【図13】図12の矢印Aで示す部分の拡大図
【図14】螺旋形状部の一部に被覆テープを設けた状態を説明する図
【図15】図15乃至図19は本発明の第2実施形態にかかり、図15は案内管の他の構成を説明する図
【図16】案内管の先端面の構成を説明する図
【図17】案内管を構成する案内部がS字状結腸部に到達した状態を示す図
【図18】案内管を構成する案内部がS字状結腸部の壁の襞を乗り越えた状態を示す図
【図19】案内部が盲腸部近傍まで到達した状態における、案内管の可撓状態を示す図
【図20】案内管の別の構成を説明する図
【図21】案内管のまた他の構成を説明する図
【図22】案内管のまた別の構成を説明する図
【符号の説明】
【0092】
1…内視鏡システム 2…内視鏡 3…内視鏡用挿入補助具
21…案内管(挿入部案内部材) 31…推進力発生部 31a…金属素線
31b…螺旋形状部 32…先導部 33…案内部 33a…案内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内管回転装置によって付与される回転力によって長手軸廻りの所定方向に回転される、可撓性を有し外周面に螺旋形状部を備える挿入部案内部材を具備する内視鏡用挿入補助具において、
前記挿入部案内部材は、
管腔内の目的観察部位に向けて挿通される可撓性を有し、外周面に螺旋形状部を設けた推進力発生部と、
前記推進力発生部の先端側に配設され、該推進力発生部を先導する中空で可撓性を有する先導部と、
前記先導部の先端側に設けられ、案内面を有する案内部と、
を具備することを特徴とする内視鏡用挿入補助具。
【請求項2】
前記先導部は、前記挿入部案内部材よりも、その可撓性が高いことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用挿入補助具。
【請求項3】
前記案内部に、少なくとも観察光学系、及び照明光学径を設けたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用挿入補助具。
【請求項4】
前記案内部に対して、前記推進力発生部、又は前記先導部の少なくとも一方を、回動自在に配設したことを特徴とする請求項3に記載の内視鏡用挿入補助具。
【請求項5】
前記先導部に湾曲機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用挿入補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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