内視鏡装置
【課題】
装置本体内の各種機器等の動作不良及び悪臭の原因となる異物を収納ケース内から容易に除去できる内視鏡装置の提供。
【解決手段】
本発明の内視鏡装置は、挿入部を巻回収納するドラム部が回動自在に装置本体内に収納されている収納ケースを有する内視鏡装置であって、前記装置本体内へ付着及び沈着した異物を装置外部へ排出する排出手段を有する。
装置本体内の各種機器等の動作不良及び悪臭の原因となる異物を収納ケース内から容易に除去できる内視鏡装置の提供。
【解決手段】
本発明の内視鏡装置は、挿入部を巻回収納するドラム部が回動自在に装置本体内に収納されている収納ケースを有する内視鏡装置であって、前記装置本体内へ付着及び沈着した異物を装置外部へ排出する排出手段を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡挿入部を装置内部に収納できる内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野及び工業分野において、細長な内視鏡挿入部を有する内視鏡装置が広く使用されている。医療分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を体腔内に挿入することによって、体腔内の臓器を観察したり、必要に応じて処置具の挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をしたりすることができる。また、工業用分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を各種工場内のボイラー、ガスタービンエンジン、自動車エンジンのボディ及び各種プラントの配管等に挿入することによって、被検部位の傷及び腐蝕等の観察、並びに検査等を行うことができる。
【0003】
工業用内視鏡装置は、例えば、特開2001−330783号公報に開示されるように、収納ケースを有し、内視鏡の挿入部が収納ケース内の回動自在なドラムに巻回され、使用される各場所へ容易に移動及び運搬されるものがある。この工業用内視鏡装置は、使用時に収納ケース内から内視鏡挿入部が引き出されて観察部位まで挿入される。また、内視鏡挿入部の先端には、湾曲部及び先端部が設けられている。ユーザは、挿入部を配管等に挿入する際及び観察部位に到達時に、内視鏡内に挿通された湾曲部から延出する操作ワイヤ等の牽引部材を内視鏡の操作部の所定操作により牽引弛緩させる。こうして、ユーザは、湾曲部を湾曲させ、先端部内に配設された観察光学系の対物レンズの観察方向を変更させ、観察部位まで挿入部先端部を到達させ各種検査を行う。また、ユーザは、使用後にハンドル部を所定方向に回動してドラム部を連動させ、内視鏡挿入部をドラム部へ巻き取って収納ケース内に収納する。
【0004】
上述したように、工業用内視鏡装置は、砂、鉄粉、油、埃、汚れ等の異物が散乱している各種工場内、各種プラント内等で使用される。工業用内視鏡装置は、内視鏡挿入部を収納ケース内のドラム部に巻き取り、収納するため、挿入部に異物が付着及び沈着して収納ケース内、すなわち装置本体内に入り込む虞がある。そのため、フロントパネル上の挿入部挿通口には、挿入部と略同じ外径の孔部を有する挿入部座屈防止用のゴムブーツが設けられ、このゴムブーツによって挿入部に付着及び沈着した異物が装置本体内に入り込むのを防止している。
【特許文献1】特開2001−330783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2001−330783号公報に記載される内視鏡装置のゴムブーツは、挿入部の収納ケース内からの引き出し及びドラム部への巻き取り時に、その孔部が挿入部の外表面と擦れるため、磨耗劣化し易い。そのため、ユーザは、ゴムブーツによる異物の除去の効率を保つため定期的にゴムブーツを交換する必要があった。
【0006】
このゴムブーツ交換は、ユーザに委ねられるものであり、交換時期がきているにも拘らず、そのままの状態で使用され、装置本体内に砂、鉄粉、油、埃、汚れ等の異物が蓄積してしまうとこともあるのが現状である。この装置本体内に異物が蓄積してしまうと、悪臭の原因となる他、ドラム部の回動、各種機構、各種機器等の動作不良の原因となる問題がある。
【0007】
また、一度、装置本体内に蓄積した異物を取り除くためには、ドラム部を装置内から取り出して洗浄などする必要がある。しかし、装置本体内のドラム部の周辺に複雑な機構及び各種機器が多数、設けられているため、一般のユーザにとっては、ドラム部を装置内から取り出すことが困難である。そのため、ユーザは、異物の除去のための洗浄又は内視鏡装置の各種機構、各種機器等の動作不良のために、製造会社にメンテナンスを依頼しなければならない。内視鏡装置のメンテナンス期間中、ユーザは、内視鏡装置を使用することができなくなり、内視鏡装置の稼動効率が下がるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、装置本体内の各種機器等の動作不良及び悪臭の原因となる異物を収納ケース内から容易に除去できることにより、稼動率の低下を軽減できる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内視鏡装置は、挿入部を巻回収納するドラム部が回動自在に装置本体内に収納されている収納ケースを有する内視鏡装置であって、前記装置本体内へ付着及び沈着した異物を装置外部へ排出する排出手段を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置本体内の各種機器等の動作不良及び悪臭の原因となる異物を収納ケース内から容易に除去できることにより、稼動率の低下を軽減できる内視鏡装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
以下、図面に基づいて本発明の第1実施形態の内視鏡装置について説明する。
図1及び図2は、内視鏡装置の全体構成図、図3は内視鏡装置の内部構成を示す図、図4はドラム部の内部に配設される各種機器を説明するための断面図、図5は内視鏡装置の内部を説明するための部分断面図、図6はドラム部を回動保持するベアリング部を説明するための図、図7はスリップリング周辺の機構を説明するための図、図8は内視鏡装置の排出手段を説明するための部分断面図である。
【0012】
図1に示すように内視鏡装置1は、可撓性を有する細長な内視鏡挿入部2と、この内視鏡挿入部2を巻回するドラム部3と、このドラム部3を回動自在な状態に保持するフレーム部4と、このフレーム部4の上端に設けられ、各種スイッチ、コネクタ類、ACケーブル5a等を備えたフロントパネル5と、このフロントパネル5にケーブル6aを介して着脱自在に接続されるリモコン(リモートコントローラ)6と、フロントパネル5に取り付けられた伸縮式のポール7aに対して回動自在に支持されたモニタ7と、ケース本体を形成する箱体8aと蓋体8bとからなる収納ケース8と、を備えて構成されている。内視鏡挿入部2は、先端側に設けた後述の湾曲部が湾曲自在に湾曲動作される。また、フレーム部4の内部には、各種機器に電源を供給する図示しない電源部が配設される。
【0013】
蓋体8bには、前記ポール7aから取り外したモニタ7を収納するモニタ収納配置部8cが形成されており、このモニタ収納配置部8cにモニタ7を収納することよって安定した状態に収納を行える。
【0014】
内視鏡挿入部2は、前記フロントパネル5に設けられた座屈防止用の挿入部パッキン部10から延出している。また、内視鏡挿入部2は、先端側から順に硬質の先端部本体11、この先端部本体11を所望の方向に向ける湾曲自在な湾曲部12、細長で柔軟性を有する可撓管部13を連設している。
先端部本体11には、内視鏡挿入部2を挿通配設する後述のライトガイド24の先端側が固定保持されており、このライトガイド24から伝達される照明光により被検部位を照明するための照明光学系11a、この照明光学系11aにより照明された被検部位の反射光を被写体像として取り込む対物光学系11bと、この対物光学系11bにより取り込まれた被写体像を撮像するCCD(撮像素子)等を有する撮像ユニット11c等の部材が設けられている。なお、内視鏡挿入部2の先端部本体11には、視野方向、視野角等の光学特性を変換する図示しない各種光学アダプタを着脱自在に取り付け可能である。また、内視鏡挿入部2の基端側には、後述するようにドラム部3と着脱自在に構成されるコネクタ部14が連設されている。
リモコン6には、湾曲部12を湾曲動作させるために操作指示入力するジョイスティックやトラックボール等の湾曲操作入力部15及び後述のCCU(Camera Control Unit)に対するレリース等の操作指示入力する画像ボタンや電源ボタン等の各種スイッチ16が設けられている。
【0015】
図2に示すように、箱体8aの内部には、上端が開口している箱型のドラム収納フレーム部4aが配設されている。このドラム収納フレーム部4aは、内部空間4Aを有し、ドラム部3を回動自在に内部空間4A内に収納している。ドラム収納フレーム部4aの開口部は、フロントパネル5によって封止されている。
【0016】
また、箱体8a及び後述するドラム収納フレーム部4aは、一側面の下部に排出手段である少なくとも1つの排出口9aを有している。この排出口9aは、通常において、着脱自在な栓体9によって密栓されている。
図3に示すように内視鏡装置1の一側面には、回動自在な回転板47が配設されている。この回転板47の外側面には、中心から所定の距離だけ離れた位置に、内視鏡挿入部2を巻き取り操作するための可倒式のハンドル部56が固定されている。すなわち、回転板47は、ユーザによってハンドル部56が把持され、回動される。そして、回転板47の所定方向の回動に合わせてドラム部3が連動されることによって、内視鏡挿入部2はドラム部3の外周面部19へ巻回収納される。
また、フレーム部4は、前述のドラム収納フレーム部4a及び排気フレーム部4bから構成される。このドラム収納フレーム部4aと排気フレーム部4bは、箱体8aの内部において、夫々の一側面が対向するように並設されている。排気フレーム部4bは、上面に後述する排気部20が配設されている。なお、ドラム収納フレーム部4aと排気フレーム部4bの間には、衝撃を緩和する為の図示しない緩衝材が設けられている。
【0017】
ドラム部3は、内視鏡挿入部2を巻回する筒状部材により形成される外周面部19と、この外周面部19の両側の開口を覆う2つの側部19aと有して形成されている。これら外周面部19及び2つの側部19aによって形成されたドラム部3の空間部の内部には、図4に示すように、内視鏡挿入部2に照明光を供給する光源部17、内視鏡挿入部2の先端部本体11に設けた撮像ユニット11cに対する信号処理を行うCCU18及び内視鏡挿入部2の湾曲部12の湾曲操作を制御する電動湾曲回路部23等が収納されている。
【0018】
なお、光源部17は、内視鏡挿入部2のライトガイド24と接続されており、CCUは、内視鏡挿入部2の通信線2aと接続されている。また、CCU18は、ドラム部3の一方の側部19aの中心に配設され、ドラム部3が回動しても電気的な接続を維持するスリップリング26ともハーネスケーブル26aによって接続されている。このスリップリング26は、電動湾曲回路部23ともハーネスケーブル26bによって接続されている。電動湾曲回路部23は、コネクタ部14とも電気ケーブル14aによって接続されている。また、ドラム部3には、内視鏡挿入部2の基端側に連設され、ドラム部3と着脱自在に構成されるコネクタ部14が配設されている。
【0019】
これらコネクタ部14、光源部17、CCU18及び電動湾曲回路部23には、スリップリング26及び各ケーブル2a、14a、23a、23bを介して図示しない前述の電源部から電源が供給されるようになっている。なお、この電源部は、フレーム部4内に設けているが、ドラム部3の空間部内に設けても良い。
【0020】
図5に示すように、ドラム部3の一方の側部19aには、衝撃を緩和する為の複数の緩衝材50が前記ドラム部3の側部19aの中心から所定の距離だけ離された円周上に略等間隔の位置に固設されている。この緩衝材50は、板51に固定されている。この板51の中心には、軸52が固定されている。この軸52の外周には、軸受53と、一方の回転方向のみに回転力を伝達するクラッチの機能を持つワンウェイクラッチ54とが嵌合されており、軸受53とワンウェイクラッチ54の外輪はハウジング55に圧入保持されている。このハウジング55には、前述の回転板47が固定されている。また、ワンウェイクラッチ54は、回転板47を挿入部巻き取り方向に回動させた時に軸52と噛み合うようにハウジング55に圧入されている。
【0021】
フロントパネル5は、ドラム収納フレーム部4aに対応する位置に吸気口5bと、排気フレーム部4bに対応する位置に排気口を有する排気部20を有している。この排気部20と接続され、装置本体内の冷却を担う排気手段であるシロッコファン21が排気フレーム部4b内に配設されている。また、ドラム部3の両方の側部19a、ドラム収納フレーム部4a及び排気フレーム部4bは、夫々の一部分に開口部を有し、それらの開口部には空気のみを通過させるポーラスを有するゴアシート22(ゴアテックス社製)が各開口部分を塞ぐように取り付けられている。従って、シロッコファン21は、その駆動によって、装置外部の空気を吸気口5bからドラム収納フレーム部4a内及び各ゴアシート22を介して、排気フレーム部4b内へ吸引し、排気部20から排出して、特に光源部17によって高温となる装置内部の冷却を行う。また、ドラム部3の回転板47側の側部19aと対向するドラム収納フレーム部4aの内側面には、ドラム部3が回動しても、ドラム収納フレーム部4a内と回転板47側とを気密に保持するOリング18が配設されている。なお、排気フレーム部4b内には、図示しないが、各種内視鏡情報、各種設定情報等が記録されている記録ユニット等の基板類が配設されている。
【0022】
図6に示すように、ドラム部3の回転板47が取り付けられる側面と反対側の側面には、ドラム部3を回転させる為の軸受であって、V字状の周溝を有する複数のベアリング部48がドラム部3中心から所定の距離だけ離された位置に等間隔に固設されている。これらベアリング部48の周溝に係合する爪部を有する円環状のリング49が排気フレーム部4bのドラム収納フレーム部4aと対向する側面に固定されており、排気フレーム部4bに対してドラム部3を回転自在に保持している。
次に、図5の破線円Aに示すスリップリング26の周辺の構成について図7に基づいて説明する。
ドラム部3のスリップリング26が配設される側の側部9aは、ドラム収納フレーム部4aと対向する面にスリップリング26から所定の距離だけ離された位置に周溝30と、この周溝30に配設されるOリング31を有している。また、ドラム収納フレーム部4aは、Oリング31と対応する位置に周溝32を有し、各周溝30、32に係設されるOリング31の部分にいおいて側部9aと気密状態が保たれている。
【0023】
上記側部9aは、中心に円環状の筒部34を有し、この筒部34にスリップリング26が挿着固定されている。筒部34の外周には、ベアリング部33が配設され、このベアリング部33によって側部9aとドラム収納フレーム部4a、すなわちドラム部3とドラム収納フレーム部4aが回動自在となっている。なお、ドラム収納フレーム部4aと排気フレーム部4bとの間には、前述の衝撃を緩和する為の緩衝材35が挟設されている。
【0024】
図8に示すように、排出口9aは、装置外部とドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内とを連通する貫通孔である。すなわち、排出口9aは、箱体8a、緩衝材35及びドラム収納フレーム部4aを箱体8aの外側面から内部空間4Aまで貫通している貫通孔である。この排出口9aには、排出口9aと略同じ形状に形成された栓体9によって密栓されている。図8においては、栓体9が排出口9aから離脱された状態である。なお、この栓体9は、ヒンジ等の機構により排出口9aを開閉するようにしても良い。また、栓体9は、排出口9aに着脱し易いように取っ手等の部材を設けても良い。
【0025】
以上のように構成された内視鏡装置1の作用について図9〜図11を参照しながら説明する。
内視鏡装置1は、内視鏡検査終了に内視鏡挿入部2を装置内、すなわちドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内へ収納するためドラム部3の外周面部19に巻き取られる。通常においては、内視鏡挿入部2の外周面に付着及び沈着した液体(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が挿入部パッキン部10によって削ぎ落とされながら、内視鏡挿入部2は、ドラム部3の外周面部19に巻回収納される。すなわち、内視鏡挿入部2に付着及び沈着する異物は、挿入部パッキン部10によってドラム収納フレーム部4aの内部空間4Aへ入り込むことが防止される。
【0026】
しかし、挿入部パッキン部10が内視鏡挿入部2の外周面との摺動等によって磨耗した状態で内視鏡挿入部2がドラム部3の外周面部19に巻き取られた場合、内視鏡挿入部2の外周面に付着及び沈着した異物は、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内に入り込んでしまう。この挿入部パッキン部10が磨耗したままの状態で内視鏡検査の為に内視鏡挿入部2の装置内への出し入れが行われ続けると、図9及び図10に示すように、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内に異物が蓄積される。
【0027】
このとき、ユーザは、栓体9を排出口9aから取り外す。そして、図11に示すように、ユーザは、内視鏡装置1を排出口9aが下方となるように傾けて、内部空間4A内の異物を排出する。なお、ユーザは、一回の内視鏡検査毎に、栓体9を排出口9aから取り外し、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内に異物が入り込んでいないか確認し、異物が蓄積されていれば、上述のように排出除去することが好ましい。
【0028】
以上の結果、ユーザは、製造会社にメンテナンスを依頼せずとも、栓体9を排出口9aから取り外すだけで、装置本体内に蓄積された液体(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物を容易に装置本体外へ排出除去することができる。
従って、本実施形態の内視鏡装置1は、異物の蓄積により懸念される悪臭及びドラム部の回動、各種機構、各種機器等の動作不良を予防でき、且つ、製造会社でのメンテナンス期間による稼動率の低下を防止することができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
以下、図面に基づいて本発明の第2実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、第1実施形態において、既に記述した内視鏡装置と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成、作用、効果のみを主に説明する。
図12及び図13は、内視鏡装置を示す全体構成図、図14は内視鏡装置に設置される送風機を説明するための斜視図、図15は内視鏡装置に送風機が設置された状態の断面図である。
【0030】
図12に示すように、本実施形態の内視鏡装置1Aのフロントパネル5には、開閉自在な蓋である第1、第2パネル蓋42,43を有している。第1パネル蓋42には取っ手42bが設けられている。この取っ手42bが掴まれ、パネル蓋42が開けられるとドラム部3が図13に示すように露出されるようになっている。また、第1パネル蓋43も第2パネル蓋42同様に図14に示すように開けることができる。
【0031】
内視鏡挿入部2は、フロントパネル5に設けられた座屈防止用の挿入部パッキン部10から延出している。この挿入部パッキン部10は、第1パネル蓋42側に設けられたゴム片10aと、第2パネル蓋43側に設けられたゴム片10bとの2つの部材からなり、これらゴム片10a,10bは、それぞれ溝部10cが形成されている。第1パネル蓋42が閉じた状態のときに、これらゴム片10a,10bは、夫々が合わさって挿入部パッキン部10が形成され、2つの溝部10cも夫々に合わさり、内視鏡挿入部2の挿通する貫通部が形成される。
【0032】
通常、内視鏡装置1Aは、図1に示すように、フロントパネル5の各パネル蓋42,43は閉じられている。例えば、上述のドラム部3の内部の各種機器の保守及び消耗品の交換などのため、図13及び図14に示すように、収納ケース8に開口部8dが現れるように、フロントパネル5の各パネル蓋42、43は、開けられる。
【0033】
また、内視鏡装置1Aは、開口部8dに取り付けられる別体の送風手段である送風機40を有している。すなわち、送風機40は、内視鏡装置1Aに対して着脱可能である。この送風機40は、長手方向の長さが開口部8dの開口面の長手方向の長さと略同じ長さを有している略直方体形状をしており、本実施形態においては、2つの送風ファン41と、短手方向の両側面に夫々凸部40aとを有している。これらの送風ファン41は、送風機40内に配設される図示しないバッテリ部から電源が供給される。なお、これらの送風ファン41への電源供給は、内視鏡装置1Aの電源部から供給されるようにしても良く、電源コードによって直接にコンセントから供給されるようにしても良い。
【0034】
以上のように構成された内視鏡装置1Aの作用について説明する。
図16に示すように、第1実施形態と同様にドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内には、液体(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が蓄積される。また、ドラム部3の外周面部19及びこの外周面部19に巻回収納されている挿入部にも異物が付着及び沈着することがある。
【0035】
このとき、ユーザは、排出口9aから栓体9を取り外して、図14に示すように、各パネル蓋42,43を開けて、フロントパネル5に現れた開口部8dに送風機40を設置する。この開口部8dに設置された送風機40は、図15に示すように、2つの凸部40aがフロントパネル5及び各パネル蓋42,43の開口端の一部分と当接することによって内部空間4Aに入り込まないように係止される。次に、ユーザは、送風機40を駆動する。すると、装置外部の空気は、送風機40の駆動によってドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内へ流れ込み、排出口9aから排出される。
【0036】
このとき、内部空間4A内、外周面部19及び内視鏡挿入部2に付着及び沈着した、特に粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物は、送風機40の風圧によって吹き飛ばされ、排出口9aから装置外部へと排出される。なお、内部空間4Aの底部に粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が残留した場合、第1実施形態と同様にして、ユーザは、内視鏡装置1Aを排出口9aが下方となるように傾けて(図11参照)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物を排出する。
【0037】
以上の結果、フロントパネル5に開閉するパネル蓋42、43を有する内視鏡装置1Aにおいては、パネル蓋42、43の開放により現れる開口部8dに送風機40を設置、駆動することによって、装置外部の空気がドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内を通って排出口9aから排出される流れが形成される。従って、第1実施形態の効果に加え、内部空間4A内、外周面部19及び内視鏡挿入部2に付着及び沈着した粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が効率良く排出除去される。
【0038】
また、図17に示すように、フロントパネル5は、開閉自在なパネル蓋44を有し、このパネル蓋44を開けることによって送風機40が設置される開口部8eを形成しても良い。このパネル蓋44は、挿入部パッキン部10が設けられておらず、送風機40を開口部8eに設置した状態でもドラム部3を回動することによって内視鏡挿入部2を収納できる。すなわち、ユーザは、ドラム部3を回動して内視鏡挿入部2をドラム部3に巻き取りながら、送風機40を駆動することができる。従って、内視鏡挿入部2に付着及び沈着する粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物の殆どが内視鏡挿入部2がドラム部3へ巻回される前に送風機40の風圧によって吹き飛ばされる。また、ドラム部3の回動に伴って、外周面部19の全体が直接的に送風機40からの送風を受けるため、外周面部19及び内視鏡挿入部2に付着及び沈着する異物が満遍なく吹き飛ばされる。
【0039】
なお、ユーザは、図18に示すように、送風機40の代わりにエアガン46を使って、内部空間4A内、外周面部19及び内視鏡挿入部2に付着及び沈着した異物を吹き飛ばして排出口9aから排出除去しても良い。
【0040】
(第3の実施の形態)
以下、図面に基づいて本発明の第3実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、第1、第2実施形態において、既に記述した内視鏡装置と同じ構成要素ついては、同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成、作用、効果のみを主に説明する。
図19は、本実施形態の内視鏡装置及び注液タンクを説明するための部分断面図である。
【0041】
図19に示すように、内視鏡装置1に吸気口5b(図5参照)には、別体の流液注入手段である注液タンク60の注入口と接続されるコネクタ部64が配設されている。この注液タンク60内には、水又は洗浄液などの液体(油等)、が貯溜されている。
第1実施形態に記述したように、ドラム部3の側部19a、ドラム収納フレーム部4a及び排気フレーム部4bには、空気のみを通過させるゴアシート22(図5参照)が取り付けられている。また、ドラム部3の側部19aとドラム収納フレーム部4aは、Oリング18,31(図5,7参照)によって、気密にされている。つまり、ドラム部3とドラム収納フレーム部4aによって形成される内部空間4Aは、気密、すなわち液密が保もたれた空間である。そのため、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4Aにコネクタ部64から注液タンク60内の液体(油等)、が注入されたとしても、装置内部の各種機器類が防水されている。
【0042】
次に、以上のように構成された内視鏡装置1の作用を説明する。
ユーザは、注液タンク60内の液体を内部空間4A内に注入する。そして、ユーザは、内部空間4A内に液体が貯留された後、装置自体を揺らしたり、ドラム部3を回動したりする。なお、ユーザは、注液タンク60内の液体を内部空間4A内に注入ながら、ドラム部3を回動しても良い。こうして、液体(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が付着及び沈着している内視鏡挿入部2、ドラム部3及び内部空間4A内を水又は洗浄液等の液体によって洗浄が行われる。次に、ユーザは、栓体9を排出口9aから取り外し、図20に示すように、内部空間4A内の異物が混合されている液体を排出口9aから排出する。なお、ユーザは、この水又は洗浄液等の流体による内部空間4A内の洗浄を数回に渡って行うことが好ましい。
【0043】
以上の結果、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A、ドラム部3及び内視鏡挿入部2を水又は洗浄液等の液体によって丸洗いできるため、付着及び沈着及び蓄積する液体(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物に対する洗浄効率及び排出効率が向上する。
【0044】
なお、第2実施形態にて記載したフロントパネル5にパネル蓋42、43を有する内視鏡装置1Aの場合は、図21に示すように、パネル蓋42、43を開けて、開口部5dから水道ホース63等からの水道水により、液体(油等)、(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が付着及び沈着する内部空間4A、ドラム部3及び内視鏡挿入部2を洗浄しても良い。また、ユーザは、洗剤、洗浄液等を併用して、内部空間4A、ドラム部3及び内視鏡挿入部2を洗浄しても良い。
【0045】
(第4の実施の形態)
以下、図面に基づいて本発明の第4実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、第1、第2及び第3実施形態において、既に記述した内視鏡装置と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成、作用、効果のみを主に説明する。
図22は、本実施形態の内視鏡装置を説明するための部分断面図である。
【0046】
図22に示すように、フロントパネル5は、複数の、本実施形態では2つの吸気口71を有している。これら吸気口71近傍のドラム収納フレーム部4a内には、周囲温度を上昇させる乾燥手段である複数の、本実施形態では2つの乾燥ランプ72が配設されている。また、ドラム収納フレーム部4a内の2つの乾燥ランプ72の下部側には、乾燥ランプ72によって加温された空気を送風する吸引手段である吸気ファン73が夫々配設されている。さらに、ドラム収納フレーム部4a内の排出口9a近傍には、排気ファン74が配設されている。
【0047】
装置外部の空気は、吸気口71からドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内に、各吸気ファン72の駆動によって送り込まれる。この空気は、各乾燥ランプ72によって加温され、各吸気ファン73によって内部空間4A内を温風として循環する。この温風がドラム収納フレーム部4aの内壁、ドラム部3及び内視鏡挿入部2にあたることによって、内視鏡挿入部2、ドラム部3及びドラム収納フレーム部4aの内壁に付着及び沈着した粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が風乾され、固形状となってドラム収納フレーム部4a内に浮遊する。さらに、排気ファン74によって強制的に排出口9aから排気することで、その浮遊した粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物は装置外部に排出される。
【0048】
以上の結果、複数の乾燥ランプ72によって加温された空気を複数の吸気ファン73によってドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内を循環乾燥させ、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内を乾燥させると共に、内視鏡挿入部2、ドラム部3及びドラム収納フレーム部4aの内壁に付着及び沈着した粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物を乾燥固化させることにより、異物排出効率を向上することができる。なお、乾燥ランプ72を用いず、吸気ファン73、排気ファン74のみをドラム収納フレーム部4a内に設けて、乾燥送風しても良い。
【0049】
また、排出口9aは、箱体8aの底面下側に開口するように設けても良く、ドラム収納フレーム部4a、箱体8aの底面を網状に形成、若しくは、複数の開口孔を設けても良い。
さらに、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内に蓄積する異物等の排出を促すために、ドラム収納フレーム部4a及び排出口9aの底面に傾斜を設けても良い。
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1実施形態の内視鏡装置の全体構成図である。
【図2】内視鏡装置の全体構成図である。
【図3】内視鏡装置の内部構成を示す図である。
【図4】ドラム部内に配設される各種機器を説明するための断面図である。
【図5】内視鏡装置の内部を説明するための断面図である。
【図6】ドラム部を回動保持するベアリング部を説明するための図である。
【図7】スリップリング周辺の機構を説明するための図である。
【図8】排出手段を説明するための内視鏡装置の部分断面図である。
【図9】内視鏡装置の部分断面図である。
【図10】内視鏡装置の部分断面図である。
【図11】内視鏡装置の作用を説明するための部分断面図である。
【図12】第2実施形態の内視鏡装置の全体構成図である。
【図13】内視鏡装置の全体構成図である。
【図14】内視鏡装置に設置される送風機を説明するための斜視図である。
【図15】内視鏡装置に送風機が設置された状態の部分断面図である。
【図16】内視鏡装置の作用を説明するための部分断面図である。
【図17】内視鏡装置に送風機が設置された状態の部分断面図である。
【図18】エアガンによる内視鏡装置内の異物排出を説明するための部分断面図である。
【図19】第3実施形態の内視鏡装置及び注液タンクを説明するための部分断面図である。
【図20】内視鏡装置内の液体による洗浄を説明するための部分断面図である。
【図21】水道ホースを使った内視鏡装置内の洗浄を説明するための部分断面図である。
【図22】第4実施形態の内視鏡装置を説明するための部分断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1,1A・・・内視鏡装置、2・・・内視鏡挿入部、2a・・・通信線、3・・・ドラム部、4a・・・ドラム収納フレーム部、4・・・フレーム部、4A・・・内部空間、4b・・・排気フレーム部、5・・・フロントパネル、5b・・・吸気口、5d・・・開口部、6a・・・ケーブル、6・・・リモコン、7a・・・ポール、7・・・モニタ、8c・・・モニタ収納配置部、8・・・収納ケース、8a・・・箱体、8b・・・蓋体、8d,8e・・・開口部、9a・・・側部、9a・・・ 排出口、9・・・栓体、10a・・・ゴム片、10b・・・ゴム片、10・・・挿入部パッキン部、10c・・・溝部、11・・・先端部本体、11b・・・対物光学系、11c・・・撮像ユニット、11a・・・照明光学系、12・・・湾曲部、13・・・可撓管部、14・・・コネクタ部、14a・・・電気ケーブル、15・・・湾曲操作入力部、16・・・各種スイッチ、17・・・光源部、18,31・・・Oリング、19a・・・側部、19・・・外周面部、20・・・排気部、21・・・シロッコファン、22・・・ゴアシート、23・・・電動湾曲回路部、24・・・ライトガイド、26・・・スリップリング、26a,26b・・・ハーネスケーブル、30,32・・・周溝、33・・・ベアリング部、34・・・筒部、35・・・緩衝材、40a・・・凸部、40・・・送風機、41・・・送風ファン、42,43・・・パネル蓋、42b・・・取っ手、46・・・エアガン、47・・・回転板、48・・・ベアリング部、49・・・Oリング、50・・・緩衝材、51・・・板、52・・・軸、53・・・軸受、54・・・ワンウェイクラッチ、55・・・ハウジング、56・・・ハンドル部、60・・・注液タンク、63・・・水道ホース、64・・・コネクタ部、71・・・吸気口、72・・・乾燥ランプ、73・・・吸気ファン、74・・・排気ファン
代理人 弁理士 伊 藤 進
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡挿入部を装置内部に収納できる内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野及び工業分野において、細長な内視鏡挿入部を有する内視鏡装置が広く使用されている。医療分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を体腔内に挿入することによって、体腔内の臓器を観察したり、必要に応じて処置具の挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をしたりすることができる。また、工業用分野において用いられる内視鏡は、細長い挿入部を各種工場内のボイラー、ガスタービンエンジン、自動車エンジンのボディ及び各種プラントの配管等に挿入することによって、被検部位の傷及び腐蝕等の観察、並びに検査等を行うことができる。
【0003】
工業用内視鏡装置は、例えば、特開2001−330783号公報に開示されるように、収納ケースを有し、内視鏡の挿入部が収納ケース内の回動自在なドラムに巻回され、使用される各場所へ容易に移動及び運搬されるものがある。この工業用内視鏡装置は、使用時に収納ケース内から内視鏡挿入部が引き出されて観察部位まで挿入される。また、内視鏡挿入部の先端には、湾曲部及び先端部が設けられている。ユーザは、挿入部を配管等に挿入する際及び観察部位に到達時に、内視鏡内に挿通された湾曲部から延出する操作ワイヤ等の牽引部材を内視鏡の操作部の所定操作により牽引弛緩させる。こうして、ユーザは、湾曲部を湾曲させ、先端部内に配設された観察光学系の対物レンズの観察方向を変更させ、観察部位まで挿入部先端部を到達させ各種検査を行う。また、ユーザは、使用後にハンドル部を所定方向に回動してドラム部を連動させ、内視鏡挿入部をドラム部へ巻き取って収納ケース内に収納する。
【0004】
上述したように、工業用内視鏡装置は、砂、鉄粉、油、埃、汚れ等の異物が散乱している各種工場内、各種プラント内等で使用される。工業用内視鏡装置は、内視鏡挿入部を収納ケース内のドラム部に巻き取り、収納するため、挿入部に異物が付着及び沈着して収納ケース内、すなわち装置本体内に入り込む虞がある。そのため、フロントパネル上の挿入部挿通口には、挿入部と略同じ外径の孔部を有する挿入部座屈防止用のゴムブーツが設けられ、このゴムブーツによって挿入部に付着及び沈着した異物が装置本体内に入り込むのを防止している。
【特許文献1】特開2001−330783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2001−330783号公報に記載される内視鏡装置のゴムブーツは、挿入部の収納ケース内からの引き出し及びドラム部への巻き取り時に、その孔部が挿入部の外表面と擦れるため、磨耗劣化し易い。そのため、ユーザは、ゴムブーツによる異物の除去の効率を保つため定期的にゴムブーツを交換する必要があった。
【0006】
このゴムブーツ交換は、ユーザに委ねられるものであり、交換時期がきているにも拘らず、そのままの状態で使用され、装置本体内に砂、鉄粉、油、埃、汚れ等の異物が蓄積してしまうとこともあるのが現状である。この装置本体内に異物が蓄積してしまうと、悪臭の原因となる他、ドラム部の回動、各種機構、各種機器等の動作不良の原因となる問題がある。
【0007】
また、一度、装置本体内に蓄積した異物を取り除くためには、ドラム部を装置内から取り出して洗浄などする必要がある。しかし、装置本体内のドラム部の周辺に複雑な機構及び各種機器が多数、設けられているため、一般のユーザにとっては、ドラム部を装置内から取り出すことが困難である。そのため、ユーザは、異物の除去のための洗浄又は内視鏡装置の各種機構、各種機器等の動作不良のために、製造会社にメンテナンスを依頼しなければならない。内視鏡装置のメンテナンス期間中、ユーザは、内視鏡装置を使用することができなくなり、内視鏡装置の稼動効率が下がるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、装置本体内の各種機器等の動作不良及び悪臭の原因となる異物を収納ケース内から容易に除去できることにより、稼動率の低下を軽減できる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内視鏡装置は、挿入部を巻回収納するドラム部が回動自在に装置本体内に収納されている収納ケースを有する内視鏡装置であって、前記装置本体内へ付着及び沈着した異物を装置外部へ排出する排出手段を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置本体内の各種機器等の動作不良及び悪臭の原因となる異物を収納ケース内から容易に除去できることにより、稼動率の低下を軽減できる内視鏡装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
以下、図面に基づいて本発明の第1実施形態の内視鏡装置について説明する。
図1及び図2は、内視鏡装置の全体構成図、図3は内視鏡装置の内部構成を示す図、図4はドラム部の内部に配設される各種機器を説明するための断面図、図5は内視鏡装置の内部を説明するための部分断面図、図6はドラム部を回動保持するベアリング部を説明するための図、図7はスリップリング周辺の機構を説明するための図、図8は内視鏡装置の排出手段を説明するための部分断面図である。
【0012】
図1に示すように内視鏡装置1は、可撓性を有する細長な内視鏡挿入部2と、この内視鏡挿入部2を巻回するドラム部3と、このドラム部3を回動自在な状態に保持するフレーム部4と、このフレーム部4の上端に設けられ、各種スイッチ、コネクタ類、ACケーブル5a等を備えたフロントパネル5と、このフロントパネル5にケーブル6aを介して着脱自在に接続されるリモコン(リモートコントローラ)6と、フロントパネル5に取り付けられた伸縮式のポール7aに対して回動自在に支持されたモニタ7と、ケース本体を形成する箱体8aと蓋体8bとからなる収納ケース8と、を備えて構成されている。内視鏡挿入部2は、先端側に設けた後述の湾曲部が湾曲自在に湾曲動作される。また、フレーム部4の内部には、各種機器に電源を供給する図示しない電源部が配設される。
【0013】
蓋体8bには、前記ポール7aから取り外したモニタ7を収納するモニタ収納配置部8cが形成されており、このモニタ収納配置部8cにモニタ7を収納することよって安定した状態に収納を行える。
【0014】
内視鏡挿入部2は、前記フロントパネル5に設けられた座屈防止用の挿入部パッキン部10から延出している。また、内視鏡挿入部2は、先端側から順に硬質の先端部本体11、この先端部本体11を所望の方向に向ける湾曲自在な湾曲部12、細長で柔軟性を有する可撓管部13を連設している。
先端部本体11には、内視鏡挿入部2を挿通配設する後述のライトガイド24の先端側が固定保持されており、このライトガイド24から伝達される照明光により被検部位を照明するための照明光学系11a、この照明光学系11aにより照明された被検部位の反射光を被写体像として取り込む対物光学系11bと、この対物光学系11bにより取り込まれた被写体像を撮像するCCD(撮像素子)等を有する撮像ユニット11c等の部材が設けられている。なお、内視鏡挿入部2の先端部本体11には、視野方向、視野角等の光学特性を変換する図示しない各種光学アダプタを着脱自在に取り付け可能である。また、内視鏡挿入部2の基端側には、後述するようにドラム部3と着脱自在に構成されるコネクタ部14が連設されている。
リモコン6には、湾曲部12を湾曲動作させるために操作指示入力するジョイスティックやトラックボール等の湾曲操作入力部15及び後述のCCU(Camera Control Unit)に対するレリース等の操作指示入力する画像ボタンや電源ボタン等の各種スイッチ16が設けられている。
【0015】
図2に示すように、箱体8aの内部には、上端が開口している箱型のドラム収納フレーム部4aが配設されている。このドラム収納フレーム部4aは、内部空間4Aを有し、ドラム部3を回動自在に内部空間4A内に収納している。ドラム収納フレーム部4aの開口部は、フロントパネル5によって封止されている。
【0016】
また、箱体8a及び後述するドラム収納フレーム部4aは、一側面の下部に排出手段である少なくとも1つの排出口9aを有している。この排出口9aは、通常において、着脱自在な栓体9によって密栓されている。
図3に示すように内視鏡装置1の一側面には、回動自在な回転板47が配設されている。この回転板47の外側面には、中心から所定の距離だけ離れた位置に、内視鏡挿入部2を巻き取り操作するための可倒式のハンドル部56が固定されている。すなわち、回転板47は、ユーザによってハンドル部56が把持され、回動される。そして、回転板47の所定方向の回動に合わせてドラム部3が連動されることによって、内視鏡挿入部2はドラム部3の外周面部19へ巻回収納される。
また、フレーム部4は、前述のドラム収納フレーム部4a及び排気フレーム部4bから構成される。このドラム収納フレーム部4aと排気フレーム部4bは、箱体8aの内部において、夫々の一側面が対向するように並設されている。排気フレーム部4bは、上面に後述する排気部20が配設されている。なお、ドラム収納フレーム部4aと排気フレーム部4bの間には、衝撃を緩和する為の図示しない緩衝材が設けられている。
【0017】
ドラム部3は、内視鏡挿入部2を巻回する筒状部材により形成される外周面部19と、この外周面部19の両側の開口を覆う2つの側部19aと有して形成されている。これら外周面部19及び2つの側部19aによって形成されたドラム部3の空間部の内部には、図4に示すように、内視鏡挿入部2に照明光を供給する光源部17、内視鏡挿入部2の先端部本体11に設けた撮像ユニット11cに対する信号処理を行うCCU18及び内視鏡挿入部2の湾曲部12の湾曲操作を制御する電動湾曲回路部23等が収納されている。
【0018】
なお、光源部17は、内視鏡挿入部2のライトガイド24と接続されており、CCUは、内視鏡挿入部2の通信線2aと接続されている。また、CCU18は、ドラム部3の一方の側部19aの中心に配設され、ドラム部3が回動しても電気的な接続を維持するスリップリング26ともハーネスケーブル26aによって接続されている。このスリップリング26は、電動湾曲回路部23ともハーネスケーブル26bによって接続されている。電動湾曲回路部23は、コネクタ部14とも電気ケーブル14aによって接続されている。また、ドラム部3には、内視鏡挿入部2の基端側に連設され、ドラム部3と着脱自在に構成されるコネクタ部14が配設されている。
【0019】
これらコネクタ部14、光源部17、CCU18及び電動湾曲回路部23には、スリップリング26及び各ケーブル2a、14a、23a、23bを介して図示しない前述の電源部から電源が供給されるようになっている。なお、この電源部は、フレーム部4内に設けているが、ドラム部3の空間部内に設けても良い。
【0020】
図5に示すように、ドラム部3の一方の側部19aには、衝撃を緩和する為の複数の緩衝材50が前記ドラム部3の側部19aの中心から所定の距離だけ離された円周上に略等間隔の位置に固設されている。この緩衝材50は、板51に固定されている。この板51の中心には、軸52が固定されている。この軸52の外周には、軸受53と、一方の回転方向のみに回転力を伝達するクラッチの機能を持つワンウェイクラッチ54とが嵌合されており、軸受53とワンウェイクラッチ54の外輪はハウジング55に圧入保持されている。このハウジング55には、前述の回転板47が固定されている。また、ワンウェイクラッチ54は、回転板47を挿入部巻き取り方向に回動させた時に軸52と噛み合うようにハウジング55に圧入されている。
【0021】
フロントパネル5は、ドラム収納フレーム部4aに対応する位置に吸気口5bと、排気フレーム部4bに対応する位置に排気口を有する排気部20を有している。この排気部20と接続され、装置本体内の冷却を担う排気手段であるシロッコファン21が排気フレーム部4b内に配設されている。また、ドラム部3の両方の側部19a、ドラム収納フレーム部4a及び排気フレーム部4bは、夫々の一部分に開口部を有し、それらの開口部には空気のみを通過させるポーラスを有するゴアシート22(ゴアテックス社製)が各開口部分を塞ぐように取り付けられている。従って、シロッコファン21は、その駆動によって、装置外部の空気を吸気口5bからドラム収納フレーム部4a内及び各ゴアシート22を介して、排気フレーム部4b内へ吸引し、排気部20から排出して、特に光源部17によって高温となる装置内部の冷却を行う。また、ドラム部3の回転板47側の側部19aと対向するドラム収納フレーム部4aの内側面には、ドラム部3が回動しても、ドラム収納フレーム部4a内と回転板47側とを気密に保持するOリング18が配設されている。なお、排気フレーム部4b内には、図示しないが、各種内視鏡情報、各種設定情報等が記録されている記録ユニット等の基板類が配設されている。
【0022】
図6に示すように、ドラム部3の回転板47が取り付けられる側面と反対側の側面には、ドラム部3を回転させる為の軸受であって、V字状の周溝を有する複数のベアリング部48がドラム部3中心から所定の距離だけ離された位置に等間隔に固設されている。これらベアリング部48の周溝に係合する爪部を有する円環状のリング49が排気フレーム部4bのドラム収納フレーム部4aと対向する側面に固定されており、排気フレーム部4bに対してドラム部3を回転自在に保持している。
次に、図5の破線円Aに示すスリップリング26の周辺の構成について図7に基づいて説明する。
ドラム部3のスリップリング26が配設される側の側部9aは、ドラム収納フレーム部4aと対向する面にスリップリング26から所定の距離だけ離された位置に周溝30と、この周溝30に配設されるOリング31を有している。また、ドラム収納フレーム部4aは、Oリング31と対応する位置に周溝32を有し、各周溝30、32に係設されるOリング31の部分にいおいて側部9aと気密状態が保たれている。
【0023】
上記側部9aは、中心に円環状の筒部34を有し、この筒部34にスリップリング26が挿着固定されている。筒部34の外周には、ベアリング部33が配設され、このベアリング部33によって側部9aとドラム収納フレーム部4a、すなわちドラム部3とドラム収納フレーム部4aが回動自在となっている。なお、ドラム収納フレーム部4aと排気フレーム部4bとの間には、前述の衝撃を緩和する為の緩衝材35が挟設されている。
【0024】
図8に示すように、排出口9aは、装置外部とドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内とを連通する貫通孔である。すなわち、排出口9aは、箱体8a、緩衝材35及びドラム収納フレーム部4aを箱体8aの外側面から内部空間4Aまで貫通している貫通孔である。この排出口9aには、排出口9aと略同じ形状に形成された栓体9によって密栓されている。図8においては、栓体9が排出口9aから離脱された状態である。なお、この栓体9は、ヒンジ等の機構により排出口9aを開閉するようにしても良い。また、栓体9は、排出口9aに着脱し易いように取っ手等の部材を設けても良い。
【0025】
以上のように構成された内視鏡装置1の作用について図9〜図11を参照しながら説明する。
内視鏡装置1は、内視鏡検査終了に内視鏡挿入部2を装置内、すなわちドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内へ収納するためドラム部3の外周面部19に巻き取られる。通常においては、内視鏡挿入部2の外周面に付着及び沈着した液体(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が挿入部パッキン部10によって削ぎ落とされながら、内視鏡挿入部2は、ドラム部3の外周面部19に巻回収納される。すなわち、内視鏡挿入部2に付着及び沈着する異物は、挿入部パッキン部10によってドラム収納フレーム部4aの内部空間4Aへ入り込むことが防止される。
【0026】
しかし、挿入部パッキン部10が内視鏡挿入部2の外周面との摺動等によって磨耗した状態で内視鏡挿入部2がドラム部3の外周面部19に巻き取られた場合、内視鏡挿入部2の外周面に付着及び沈着した異物は、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内に入り込んでしまう。この挿入部パッキン部10が磨耗したままの状態で内視鏡検査の為に内視鏡挿入部2の装置内への出し入れが行われ続けると、図9及び図10に示すように、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内に異物が蓄積される。
【0027】
このとき、ユーザは、栓体9を排出口9aから取り外す。そして、図11に示すように、ユーザは、内視鏡装置1を排出口9aが下方となるように傾けて、内部空間4A内の異物を排出する。なお、ユーザは、一回の内視鏡検査毎に、栓体9を排出口9aから取り外し、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内に異物が入り込んでいないか確認し、異物が蓄積されていれば、上述のように排出除去することが好ましい。
【0028】
以上の結果、ユーザは、製造会社にメンテナンスを依頼せずとも、栓体9を排出口9aから取り外すだけで、装置本体内に蓄積された液体(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物を容易に装置本体外へ排出除去することができる。
従って、本実施形態の内視鏡装置1は、異物の蓄積により懸念される悪臭及びドラム部の回動、各種機構、各種機器等の動作不良を予防でき、且つ、製造会社でのメンテナンス期間による稼動率の低下を防止することができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
以下、図面に基づいて本発明の第2実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、第1実施形態において、既に記述した内視鏡装置と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成、作用、効果のみを主に説明する。
図12及び図13は、内視鏡装置を示す全体構成図、図14は内視鏡装置に設置される送風機を説明するための斜視図、図15は内視鏡装置に送風機が設置された状態の断面図である。
【0030】
図12に示すように、本実施形態の内視鏡装置1Aのフロントパネル5には、開閉自在な蓋である第1、第2パネル蓋42,43を有している。第1パネル蓋42には取っ手42bが設けられている。この取っ手42bが掴まれ、パネル蓋42が開けられるとドラム部3が図13に示すように露出されるようになっている。また、第1パネル蓋43も第2パネル蓋42同様に図14に示すように開けることができる。
【0031】
内視鏡挿入部2は、フロントパネル5に設けられた座屈防止用の挿入部パッキン部10から延出している。この挿入部パッキン部10は、第1パネル蓋42側に設けられたゴム片10aと、第2パネル蓋43側に設けられたゴム片10bとの2つの部材からなり、これらゴム片10a,10bは、それぞれ溝部10cが形成されている。第1パネル蓋42が閉じた状態のときに、これらゴム片10a,10bは、夫々が合わさって挿入部パッキン部10が形成され、2つの溝部10cも夫々に合わさり、内視鏡挿入部2の挿通する貫通部が形成される。
【0032】
通常、内視鏡装置1Aは、図1に示すように、フロントパネル5の各パネル蓋42,43は閉じられている。例えば、上述のドラム部3の内部の各種機器の保守及び消耗品の交換などのため、図13及び図14に示すように、収納ケース8に開口部8dが現れるように、フロントパネル5の各パネル蓋42、43は、開けられる。
【0033】
また、内視鏡装置1Aは、開口部8dに取り付けられる別体の送風手段である送風機40を有している。すなわち、送風機40は、内視鏡装置1Aに対して着脱可能である。この送風機40は、長手方向の長さが開口部8dの開口面の長手方向の長さと略同じ長さを有している略直方体形状をしており、本実施形態においては、2つの送風ファン41と、短手方向の両側面に夫々凸部40aとを有している。これらの送風ファン41は、送風機40内に配設される図示しないバッテリ部から電源が供給される。なお、これらの送風ファン41への電源供給は、内視鏡装置1Aの電源部から供給されるようにしても良く、電源コードによって直接にコンセントから供給されるようにしても良い。
【0034】
以上のように構成された内視鏡装置1Aの作用について説明する。
図16に示すように、第1実施形態と同様にドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内には、液体(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が蓄積される。また、ドラム部3の外周面部19及びこの外周面部19に巻回収納されている挿入部にも異物が付着及び沈着することがある。
【0035】
このとき、ユーザは、排出口9aから栓体9を取り外して、図14に示すように、各パネル蓋42,43を開けて、フロントパネル5に現れた開口部8dに送風機40を設置する。この開口部8dに設置された送風機40は、図15に示すように、2つの凸部40aがフロントパネル5及び各パネル蓋42,43の開口端の一部分と当接することによって内部空間4Aに入り込まないように係止される。次に、ユーザは、送風機40を駆動する。すると、装置外部の空気は、送風機40の駆動によってドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内へ流れ込み、排出口9aから排出される。
【0036】
このとき、内部空間4A内、外周面部19及び内視鏡挿入部2に付着及び沈着した、特に粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物は、送風機40の風圧によって吹き飛ばされ、排出口9aから装置外部へと排出される。なお、内部空間4Aの底部に粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が残留した場合、第1実施形態と同様にして、ユーザは、内視鏡装置1Aを排出口9aが下方となるように傾けて(図11参照)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物を排出する。
【0037】
以上の結果、フロントパネル5に開閉するパネル蓋42、43を有する内視鏡装置1Aにおいては、パネル蓋42、43の開放により現れる開口部8dに送風機40を設置、駆動することによって、装置外部の空気がドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内を通って排出口9aから排出される流れが形成される。従って、第1実施形態の効果に加え、内部空間4A内、外周面部19及び内視鏡挿入部2に付着及び沈着した粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が効率良く排出除去される。
【0038】
また、図17に示すように、フロントパネル5は、開閉自在なパネル蓋44を有し、このパネル蓋44を開けることによって送風機40が設置される開口部8eを形成しても良い。このパネル蓋44は、挿入部パッキン部10が設けられておらず、送風機40を開口部8eに設置した状態でもドラム部3を回動することによって内視鏡挿入部2を収納できる。すなわち、ユーザは、ドラム部3を回動して内視鏡挿入部2をドラム部3に巻き取りながら、送風機40を駆動することができる。従って、内視鏡挿入部2に付着及び沈着する粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物の殆どが内視鏡挿入部2がドラム部3へ巻回される前に送風機40の風圧によって吹き飛ばされる。また、ドラム部3の回動に伴って、外周面部19の全体が直接的に送風機40からの送風を受けるため、外周面部19及び内視鏡挿入部2に付着及び沈着する異物が満遍なく吹き飛ばされる。
【0039】
なお、ユーザは、図18に示すように、送風機40の代わりにエアガン46を使って、内部空間4A内、外周面部19及び内視鏡挿入部2に付着及び沈着した異物を吹き飛ばして排出口9aから排出除去しても良い。
【0040】
(第3の実施の形態)
以下、図面に基づいて本発明の第3実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、第1、第2実施形態において、既に記述した内視鏡装置と同じ構成要素ついては、同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成、作用、効果のみを主に説明する。
図19は、本実施形態の内視鏡装置及び注液タンクを説明するための部分断面図である。
【0041】
図19に示すように、内視鏡装置1に吸気口5b(図5参照)には、別体の流液注入手段である注液タンク60の注入口と接続されるコネクタ部64が配設されている。この注液タンク60内には、水又は洗浄液などの液体(油等)、が貯溜されている。
第1実施形態に記述したように、ドラム部3の側部19a、ドラム収納フレーム部4a及び排気フレーム部4bには、空気のみを通過させるゴアシート22(図5参照)が取り付けられている。また、ドラム部3の側部19aとドラム収納フレーム部4aは、Oリング18,31(図5,7参照)によって、気密にされている。つまり、ドラム部3とドラム収納フレーム部4aによって形成される内部空間4Aは、気密、すなわち液密が保もたれた空間である。そのため、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4Aにコネクタ部64から注液タンク60内の液体(油等)、が注入されたとしても、装置内部の各種機器類が防水されている。
【0042】
次に、以上のように構成された内視鏡装置1の作用を説明する。
ユーザは、注液タンク60内の液体を内部空間4A内に注入する。そして、ユーザは、内部空間4A内に液体が貯留された後、装置自体を揺らしたり、ドラム部3を回動したりする。なお、ユーザは、注液タンク60内の液体を内部空間4A内に注入ながら、ドラム部3を回動しても良い。こうして、液体(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が付着及び沈着している内視鏡挿入部2、ドラム部3及び内部空間4A内を水又は洗浄液等の液体によって洗浄が行われる。次に、ユーザは、栓体9を排出口9aから取り外し、図20に示すように、内部空間4A内の異物が混合されている液体を排出口9aから排出する。なお、ユーザは、この水又は洗浄液等の流体による内部空間4A内の洗浄を数回に渡って行うことが好ましい。
【0043】
以上の結果、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A、ドラム部3及び内視鏡挿入部2を水又は洗浄液等の液体によって丸洗いできるため、付着及び沈着及び蓄積する液体(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物に対する洗浄効率及び排出効率が向上する。
【0044】
なお、第2実施形態にて記載したフロントパネル5にパネル蓋42、43を有する内視鏡装置1Aの場合は、図21に示すように、パネル蓋42、43を開けて、開口部5dから水道ホース63等からの水道水により、液体(油等)、(油等)、粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が付着及び沈着する内部空間4A、ドラム部3及び内視鏡挿入部2を洗浄しても良い。また、ユーザは、洗剤、洗浄液等を併用して、内部空間4A、ドラム部3及び内視鏡挿入部2を洗浄しても良い。
【0045】
(第4の実施の形態)
以下、図面に基づいて本発明の第4実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、第1、第2及び第3実施形態において、既に記述した内視鏡装置と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成、作用、効果のみを主に説明する。
図22は、本実施形態の内視鏡装置を説明するための部分断面図である。
【0046】
図22に示すように、フロントパネル5は、複数の、本実施形態では2つの吸気口71を有している。これら吸気口71近傍のドラム収納フレーム部4a内には、周囲温度を上昇させる乾燥手段である複数の、本実施形態では2つの乾燥ランプ72が配設されている。また、ドラム収納フレーム部4a内の2つの乾燥ランプ72の下部側には、乾燥ランプ72によって加温された空気を送風する吸引手段である吸気ファン73が夫々配設されている。さらに、ドラム収納フレーム部4a内の排出口9a近傍には、排気ファン74が配設されている。
【0047】
装置外部の空気は、吸気口71からドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内に、各吸気ファン72の駆動によって送り込まれる。この空気は、各乾燥ランプ72によって加温され、各吸気ファン73によって内部空間4A内を温風として循環する。この温風がドラム収納フレーム部4aの内壁、ドラム部3及び内視鏡挿入部2にあたることによって、内視鏡挿入部2、ドラム部3及びドラム収納フレーム部4aの内壁に付着及び沈着した粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物が風乾され、固形状となってドラム収納フレーム部4a内に浮遊する。さらに、排気ファン74によって強制的に排出口9aから排気することで、その浮遊した粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物は装置外部に排出される。
【0048】
以上の結果、複数の乾燥ランプ72によって加温された空気を複数の吸気ファン73によってドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内を循環乾燥させ、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内を乾燥させると共に、内視鏡挿入部2、ドラム部3及びドラム収納フレーム部4aの内壁に付着及び沈着した粉体(鉄粉、砂、埃等)等の異物を乾燥固化させることにより、異物排出効率を向上することができる。なお、乾燥ランプ72を用いず、吸気ファン73、排気ファン74のみをドラム収納フレーム部4a内に設けて、乾燥送風しても良い。
【0049】
また、排出口9aは、箱体8aの底面下側に開口するように設けても良く、ドラム収納フレーム部4a、箱体8aの底面を網状に形成、若しくは、複数の開口孔を設けても良い。
さらに、ドラム収納フレーム部4aの内部空間4A内に蓄積する異物等の排出を促すために、ドラム収納フレーム部4a及び排出口9aの底面に傾斜を設けても良い。
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1実施形態の内視鏡装置の全体構成図である。
【図2】内視鏡装置の全体構成図である。
【図3】内視鏡装置の内部構成を示す図である。
【図4】ドラム部内に配設される各種機器を説明するための断面図である。
【図5】内視鏡装置の内部を説明するための断面図である。
【図6】ドラム部を回動保持するベアリング部を説明するための図である。
【図7】スリップリング周辺の機構を説明するための図である。
【図8】排出手段を説明するための内視鏡装置の部分断面図である。
【図9】内視鏡装置の部分断面図である。
【図10】内視鏡装置の部分断面図である。
【図11】内視鏡装置の作用を説明するための部分断面図である。
【図12】第2実施形態の内視鏡装置の全体構成図である。
【図13】内視鏡装置の全体構成図である。
【図14】内視鏡装置に設置される送風機を説明するための斜視図である。
【図15】内視鏡装置に送風機が設置された状態の部分断面図である。
【図16】内視鏡装置の作用を説明するための部分断面図である。
【図17】内視鏡装置に送風機が設置された状態の部分断面図である。
【図18】エアガンによる内視鏡装置内の異物排出を説明するための部分断面図である。
【図19】第3実施形態の内視鏡装置及び注液タンクを説明するための部分断面図である。
【図20】内視鏡装置内の液体による洗浄を説明するための部分断面図である。
【図21】水道ホースを使った内視鏡装置内の洗浄を説明するための部分断面図である。
【図22】第4実施形態の内視鏡装置を説明するための部分断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1,1A・・・内視鏡装置、2・・・内視鏡挿入部、2a・・・通信線、3・・・ドラム部、4a・・・ドラム収納フレーム部、4・・・フレーム部、4A・・・内部空間、4b・・・排気フレーム部、5・・・フロントパネル、5b・・・吸気口、5d・・・開口部、6a・・・ケーブル、6・・・リモコン、7a・・・ポール、7・・・モニタ、8c・・・モニタ収納配置部、8・・・収納ケース、8a・・・箱体、8b・・・蓋体、8d,8e・・・開口部、9a・・・側部、9a・・・ 排出口、9・・・栓体、10a・・・ゴム片、10b・・・ゴム片、10・・・挿入部パッキン部、10c・・・溝部、11・・・先端部本体、11b・・・対物光学系、11c・・・撮像ユニット、11a・・・照明光学系、12・・・湾曲部、13・・・可撓管部、14・・・コネクタ部、14a・・・電気ケーブル、15・・・湾曲操作入力部、16・・・各種スイッチ、17・・・光源部、18,31・・・Oリング、19a・・・側部、19・・・外周面部、20・・・排気部、21・・・シロッコファン、22・・・ゴアシート、23・・・電動湾曲回路部、24・・・ライトガイド、26・・・スリップリング、26a,26b・・・ハーネスケーブル、30,32・・・周溝、33・・・ベアリング部、34・・・筒部、35・・・緩衝材、40a・・・凸部、40・・・送風機、41・・・送風ファン、42,43・・・パネル蓋、42b・・・取っ手、46・・・エアガン、47・・・回転板、48・・・ベアリング部、49・・・Oリング、50・・・緩衝材、51・・・板、52・・・軸、53・・・軸受、54・・・ワンウェイクラッチ、55・・・ハウジング、56・・・ハンドル部、60・・・注液タンク、63・・・水道ホース、64・・・コネクタ部、71・・・吸気口、72・・・乾燥ランプ、73・・・吸気ファン、74・・・排気ファン
代理人 弁理士 伊 藤 進
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部を巻回収納するドラム部が回動自在に装置本体内に収納されている内視鏡装置であって、
前記装置本体内に蓄積する異物を前記装置本体外部へ排出する排出手段を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記排出手段は、前記装置本体に設けられる開口部であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記装置本体に設けられ、前記異物を前記開口部から風圧によって排出する送風手段を具備することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記送風手段は、前記装置本体に対して着脱自在であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
内部に蓄積する異物を前記開口部から流液によって排出するために、前記装置本体内に前記流液を注入する流液注入手段を具備することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記装置本体内に設けられ、前記送風手段の風圧によって、前記異物を前記開口部から排出し易くするために、前記異物を乾燥固化させる乾燥手段を具備することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記開口部近傍の前記装置本体内に設けられ、前記異物を前記開口部に送り出すための吸引手段を具備することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載の内視鏡装置。
【請求項1】
挿入部を巻回収納するドラム部が回動自在に装置本体内に収納されている内視鏡装置であって、
前記装置本体内に蓄積する異物を前記装置本体外部へ排出する排出手段を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記排出手段は、前記装置本体に設けられる開口部であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記装置本体に設けられ、前記異物を前記開口部から風圧によって排出する送風手段を具備することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記送風手段は、前記装置本体に対して着脱自在であることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
内部に蓄積する異物を前記開口部から流液によって排出するために、前記装置本体内に前記流液を注入する流液注入手段を具備することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記装置本体内に設けられ、前記送風手段の風圧によって、前記異物を前記開口部から排出し易くするために、前記異物を乾燥固化させる乾燥手段を具備することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記開口部近傍の前記装置本体内に設けられ、前記異物を前記開口部に送り出すための吸引手段を具備することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載の内視鏡装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−30900(P2006−30900A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213437(P2004−213437)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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