説明

内視鏡装置

【課題】内視鏡と挿入具とを互いに充分に固定できると共に、挿入具に内視鏡を円滑に挿入することが可能な内視鏡装置を提供する。
【解決手段】この内視鏡装置は、挿入部12、及び、基端部に設けられている内視鏡側係合部62、を有する内視鏡10と、挿入部12が進退可能に挿通される中空体42、及び、中空体42の基端部に設けられ、内視鏡側係合部62と係合可能である挿入具側係合部64、を有する挿入具41と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に挿入される内視鏡と、体腔内への内視鏡の挿入を補助する挿入具と、を有する内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の挿入部を体腔内へと挿入する際、体腔内への挿入部の挿入を補助する挿入具が用いられている。
【0003】
特許文献1の内視鏡装置では、シース状の挿入具本体に内視鏡の挿入部が進退自在に挿入される。そして、挿入部を複雑に屈曲した体腔内の深部へと挿入していく際には、挿入具に対して挿入部を前進させて屈曲部を通過させ、続いて挿入部に沿って挿入具を前進させて屈曲部を通過させて、挿入具によって屈曲部を挿入しやすい形状に保持し、さらに挿入具に対して挿入部を前進させるという操作を繰り返す。ここで、挿入具の内腔の先端部及び基端部には、夫々、ドーナッツ状のバルーンが挿入具本体と共軸に配設されている。そして、バルーンを膨張させ、挿入具の内周面、両バルーン、挿入部の外周面によって密閉される空間に液体を充填させて液体の層を形成することで、挿入具と挿入部とを接触しにくくし、挿入具と挿入部との摩擦抵抗を軽減している。
【0004】
また、特許文献1の内視鏡装置では、挿入部と内視鏡の基端部の操作部とを連結する連結部が挿入部よりも太径となっている。そして、連結部を挿入具の基端部のバルーンの位置に配置し、バルーンを膨張させて連結部を締め付けることで、挿入具と内視鏡とを固定することが可能となっている。
【特許文献1】特開2005−118115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の内視鏡装置では、バルーンを膨張させて挿入部を締め付けることで挿入具と内視鏡とを固定しているため、挿入具と内視鏡とを充分に固定することが困難である。
【0006】
また、挿入具の内腔にバルーンが配設されているため、挿入具に内視鏡を挿入する際には、バルーンを収縮させたとしても、バルーンと挿入部とが干渉してしまい、内視鏡を円滑に挿入することができない。
【0007】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、内視鏡と挿入具とを互いに充分に固定でき、挿入具に内視鏡を円滑に挿入することが可能な内視鏡装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1実施態様の内視鏡装置は、体腔内に挿入される挿入部、及び、基端部に設けられている内視鏡側係合部、を有する内視鏡と、前記挿入部が進退可能に挿通される中空体、及び、前記中空体の基端部に設けられ、前記内視鏡側係合部と係合可能である挿入具側係合部、を有する挿入具と、を具備することを特徴とする。
【0009】
本発明の第2実施態様の内視鏡装置は、第1実施態様の内視鏡装置において、前記内視鏡側係合部と前記挿入具側係合部とは、夫々、互いに嵌合する内視鏡側嵌合部と挿入具側嵌合部とを有する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第3実施態様の内視鏡装置は、第2実施態様の内視鏡装置において、前記内視鏡が、前記挿入部より基端側に設けられ外周面がテーパ形状をなすオレドメ部を有し、前記内視鏡側嵌合部が、前記オレドメ部の外周面によって形成されており、前記挿入部側嵌合部が、前記オレドメ部の外周面と嵌合するテーパ部を有する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第4実施態様の内視鏡装置は、第2実施態様の内視鏡装置において、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との一方の嵌合部が嵌合凸部を有し、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との他方の嵌合部が前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第5実施態様の内視鏡装置は、第1実施態様の内視鏡装置において、前記内視鏡側係合部と前記挿入具側係合部との一方の係合部はピンを有し、前記内視鏡側係合部と前記挿入具側係合部との他方の係合部が、前記ピンが摺動される係合溝部を有し、前記係合溝部は、前記挿入具に対して前記内視鏡が進退不能となるように前記ピンが係止される係止部と、前記係止部と接続され前記ピンをガイドするガイド部と、を有する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第6実施態様の内視鏡装置は、第2実施態様の内視鏡装置において、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との少なくとも一方の嵌合部が、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との固着を防止する固着防止機構を有する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第7実施態様の内視鏡装置は、第6実施態様の内視鏡装置において、前記固着防止機構が、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との少なくとも一方の嵌合部の嵌合面に形成されている固着防止凹部を有する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第8実施態様の内視鏡装置は、第2実施態様の内視鏡装置において、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との少なくとも一方の嵌合部が、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との固着を解除する固着解除機構を有する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第9実施態様の内視鏡装置は、第8実施態様の内視鏡装置において、前記固着解除機構が、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との少なくとも一方の嵌合部を破壊する破壊機構により形成されている、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の第10実施態様の内視鏡装置は、第8実施態様の内視鏡装置において、前記固着解除機構が、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との少なくとも一方の嵌合部を変形させて前記内視鏡側嵌合部の嵌合面と前記挿入具側嵌合部の嵌合面とを互いに分離させる変形機構により形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1実施態様の内視鏡装置では、内視鏡側係合部と挿入具側係合部とを係合することにより、内視鏡と挿入具とを互いに充分に固定することが可能となっていると共に、挿入具に内視鏡の挿入部を挿入する際に挿入部側係合部が挿入の妨げとなることが少なく、挿入具に内視鏡の挿入部を円滑に挿入することが可能となっている。
【0019】
本発明の第2実施態様の内視鏡装置では、内視鏡側嵌合部と挿入具側嵌合部とを互いに嵌合することで、内視鏡と挿入具とを確実に固定することが可能となっている。
【0020】
本発明の第3実施態様の内視鏡装置では、内視鏡で通常用いられているオレドメ部の外周面によって内視鏡側嵌合部を形成しており、内視鏡に追加工が必要なく、安価に実施することが可能となっている。
【0021】
本発明の第4実施態様の内視鏡装置では、嵌合凹部と嵌合凸部とを互いに嵌合することで、内視鏡と挿入具とを充分に確実に固定することが可能となっている。
【0022】
本発明の第5実施態様の内視鏡装置では、係合溝部の係止部にピンを係止することにより、挿入具に対して内視鏡を進退不能に確実に固定することが可能となっていると共に、挿入具に対して内視鏡を移動させて、係合溝部のガイド部によってピンを係止部へと及び係止部からガイドすることにより、挿入具と内視鏡とを容易に固定及び固定解除することが可能となっている。
【0023】
本発明の第6実施態様の内視鏡装置では、固着防止機構により、内視鏡側嵌合部と挿入具側嵌合部との固着が防止されるため、挿入具と内視鏡との固定を解除できなくなることが防止されている。
【0024】
本発明の第7実施態様の内視鏡装置では、嵌合面に形成されている固着防止凹部によって、内視鏡側嵌合部と挿入具側嵌合部との固着が防止される。
【0025】
本発明の第8実施態様の内視鏡装置では、固着解除機構により、内視鏡側嵌合部と挿入具側嵌合部との固着を解除可能となっているため、両嵌合部が固着してしまった場合にも、挿入具と内視鏡との固定解除を容易に行うことが可能となっている。
【0026】
本発明の第9実施態様の内視鏡装置では、嵌合部を破壊することで、両嵌合部の固着を解除する。
【0027】
本発明の第10実施態様の内視鏡装置では、嵌合部を変形させて、両嵌合部の嵌合面を互いに分離させることで、両嵌合部の固着を解除する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の各実施形態を図面を参照して説明する。
【0029】
図1乃至図3は、本発明の第1実施形態を示す。
【0030】
図1及び図2を参照し、本実施形態の内視鏡装置の内視鏡10は、体腔内に挿入される細長い挿入部12を有する。この挿入部12は、硬性の先端硬性部14、湾曲作動される湾曲部16、長尺で可撓性を有する可撓管部18を先端側から順に連結することにより形成されている。挿入部12の基端部は、オレドメ部20を介して、操作者に把持操作される操作部22に連結されている。オレドメ部20は、挿入部12と操作部22との連結部において挿入部12が折れてしまうのを防止するものである。操作部22には、湾曲部16を湾曲操作するための湾曲操作ノブ24等が配設されている。そして、操作部22からユニバーサルコード26が延出されており、ユニバーサルコード26の延出端部には光源コネクタ28及び電気コネクタ32が配設されている。光源コネクタ28は光源装置30に接続され、光源装置30からの照明光が、光源コネクタ28から内視鏡10の先端部まで延設されているライトガイドを伝達されて、内視鏡10の先端部から照射される。また、電気コネクタ32は電気ケーブル34を介してビデオプロセッサ36に接続され、内視鏡10の先端部の撮像ユニットで得られた画像信号が、内視鏡10の先端部から電気コネクタ32まで延設されている信号ケーブル及び電気ケーブル34を介して、ビデオプロセッサ36へと出力される。ビデオプロセッサ36は、入力された画像信号を処理して、モニター38に観察画像を表示させる。なお、内視鏡10の操作部22には、ビデオプロセッサ36を操作するための各種スイッチ40が配設されている。
【0031】
一方、本実施形態の内視鏡装置の挿入具41はシース状の中空体42を有する。この中空体42の内腔に、内視鏡10の挿入部12が基端開口から先端開口へと進退自在に挿通される。なお、先端硬性部14及び湾曲部16を含む挿入部12の先端部は、中空体42の先端開口から突出可能である。中空体42の基端部には液体用口金46が配設されており、液体用口金46から液体供給路47が中空体42の内腔まで延設されている。そして、シリンジ等によって、液体用口金46から液体供給路47を介して中空体42の内腔に潤滑剤を供給することが可能となっている。この潤滑剤により、挿入具41の内周面と挿入部12の外周面との滑り性が向上される。また、中空体42の基端部には気体用口金48が配設されており、気体用口金48から気体給排路49が中空体42の先端部のバルーン50まで延設されている。このバルーン50は中空体42に外装されており、気体用口金48から気体給排路49を介して気体を給排することで、バルーン50を膨張、収縮させることが可能となっている。気体用口金48には給排チューブ52を介して給排装置54が接続されている。この給排装置54では、給排チューブ52へと気体を給排するポンプ56が制御回路58によって制御される。給排装置54には、給排装置54を操作するためのリモートコントローラ60が接続されている。
【0032】
図3を参照し、内視鏡10のオレドメ部20は基端側から先端側へと外径が減少しており、オレドメ部20の外周面62はテーパ形状をなしている。そして、挿入具41の中空体42の内径は、内視鏡10の挿入部12の外径即ちオレドメ部20の先端部の外径よりも大きく、オレドメ部20の基端部の外径よりも小さくなっている。このため、挿入具41の中空体42の基端開口に挿入部12に続いてオレドメ部20を挿入し、中空体42にオレドメ部20を圧入することにより、中空体42の基端開口のエッジ部64にオレドメ部20の外周面62を嵌合することが可能となっている。なお、挿入具41の中空体42の基端開口の径は挿入部12の外径よりも大きいため、基端開口のエッジ部64が挿入部12と嵌合することはない。
【0033】
即ち、本実施形態では、オレドメ部20の外周面62によって内視鏡側係合部としての内視鏡側嵌合部が形成されており、中空体42の基端開口のエッジ部64によって挿入具側係合部としての挿入具側嵌合部が形成されている。
【0034】
次に、本実施形態の内視鏡装置の使用方法について説明する。
【0035】
内視鏡10を体腔内へと挿入する際には、挿入具41に内視鏡10を挿通し、挿入具41と内視鏡10とを互いに固定して一体化する。即ち、シリンジ等によって、液体用口金46から液体供給路47を介して挿入具41の中空体42の内腔に潤滑剤を供給しつつ、中空体42の基端開口から内視鏡10の挿入部12を挿入し、中空体42の内腔に挿入部12を挿通する。この際、中空体42の基端開口のエッジ部64によって挿入部12の挿入が妨げられることはない。続いて、中空体42の基端開口に挿入部12に続いてオレドメ部20を挿入し、中空体42にオレドメ部20を圧入して、中空体42の基端開口のエッジ部64にオレドメ部20の外周面62を嵌合させる。このようにして、挿入具41と内視鏡10とが互いに固定される。
【0036】
挿入具41と内視鏡10とを一体的に体腔内へと挿入していき、挿入具41及び内視鏡10が体腔の屈曲箇所の手前まで達したところで、挿入具41に対して内視鏡10を後退させて、挿入具41の中空体42の基端開口のエッジ部64と内視鏡10のオレドメ部20の外周面62との嵌合を解除する。このようにして、挿入具41と内視鏡10との固定が解除される。
【0037】
給排装置54によって気体用口金48から気体給排路49を介してバルーン50に気体を供給し、バルーン50を膨張させて体壁内面に係止させる。この状態で挿入具41を後退させて、体壁を手繰り寄せて屈曲した体腔を直線状にし、内視鏡10を挿入具41に対して前進させて体腔の屈曲していた箇所を通過させる。内視鏡10を体腔の次の屈曲箇所の手前まで前進させたら、給排装置54によって挿入具41のバルーン50から気体を排気し、バルーン50を収縮させて体壁内面との係止を解除する。続いて、内視鏡10に沿って挿入具41を屈曲箇所の手前まで前進させ、再びバルーン50を膨張させて体壁内面に係止させる。ここで、挿入具41の挿入された箇所までは、体腔は挿入しやすい形状に保持される。以下、同様の操作を繰り返して、内視鏡10を複雑に屈曲した体腔の深部へと挿入していく。必要に応じて、挿入具41と内視鏡10との固定、固定解除を行う。
【0038】
従って、本実施形態の内視鏡装置は次の効果を奏する。
本実施形態の内視鏡装置では、内視鏡10のオレドメ部20の外周面62と挿入具41の中空体42の基端開口のエッジ部64とを嵌合することにより、内視鏡10と挿入具41とを互いに充分に確実に固定することが可能となっている。また、中空体42の基端開口のエッジ部64が内視鏡10の挿入部12とは嵌合不能となっているため、挿入具41に挿入部12を挿入する際にエッジ部64が挿入の妨げとなることが少なく、挿入具41に挿入部12を円滑に挿入することが可能となっている。
【0039】
図4は、本発明の第2実施形態を示す。
【0040】
本実施形態の内視鏡装置の挿入具41では、中空体42の基端部の内周面側にテーパ部68が形成されている。このテーパ部68は、基端側から先端側へと内径が減少し、内視鏡10のオレドメ部20の外周面62のテーパ形状に対応するものである。このため、中空体42の基端開口に挿入部12に続いてオレドメ部20を挿入することにより、中空体42の基端部のテーパ部68にオレドメ部20の外周面62を嵌合することが可能となっている。また、テーパ部68の先端部の内径は内視鏡10の挿入部12の外径よりも大きく、テーパ部68が挿入部12と嵌合することはない。
【0041】
本実施形態の内視鏡装置の使用方法は、第1実施形態の内視鏡装置の使用方法と同様である。即ち、挿入具41と内視鏡10とを互いに固定する際には、挿入具41の中空体42の基端開口に挿入部12に続いてオレドメ部20を挿入して、中空体42の基端部のテーパ部68にオレドメ部20の外周面62を嵌合させる。ここで、中空体42の基端部のテーパ部68によって、挿入部12の挿入が妨げられることはない。
【0042】
本実施形態の内視鏡装置では、挿入具41との嵌合に、内視鏡10で通常用いられているオレドメ部20の外周面62を利用しているため、内視鏡10に追加工が必要なく、安価に実施することが可能となっている。
【0043】
また、挿入具41の中空体42の基端部のテーパ部68と内視鏡10のオレドメ部20の外周面62とを互いに嵌合しているため、第1実施形態の内視鏡装置と比較して、挿入具41と内視鏡10とをより確実に固定することが可能となっている。
【0044】
図5は、本発明の第3実施形態を示す。
【0045】
本実施形態の内視鏡装置では、挿入具41の中空体42の基端部の内周面側に、径方向内向きに突出する嵌合凸部70が形成されている。一方、内視鏡10のオレドメ部20の外周部に、径方向内向きに沈降し、嵌合凸部70に対応する嵌合凹部72が形成されている。このため、中空体42の基端開口に挿入部12に続いてオレドメ部20を挿入することにより、中空体42の基端部の嵌合凸部70をオレドメ部20の嵌合凹部72に嵌合することが可能となっている。また、嵌合凸部70の径方向内側端部における内径は内視鏡10の挿入部12の外径よりも大きく、嵌合凸部70が挿入部12と嵌合することはない。
【0046】
本実施形態の内視鏡装置の使用方法は、第1実施形態の内視鏡装置の使用方法と同様である。即ち、挿入具41と内視鏡10とを互いに固定する際には、挿入具41の中空体42の基端開口に挿入部12に続いてオレドメ部20を挿入して、中空体42の基端部の嵌合凸部70をオレドメ部20の外周部の嵌合凹部72に嵌合させる。ここで、中空体42の基端部の嵌合凸部70によって、挿入部12の挿入が妨げられることはない。
【0047】
本実施形態の内視鏡装置では、挿入具41の中空体42の基端部の嵌合凸部70と内視鏡10のオレドメ部20の外周部の嵌合凹部72とを互いに嵌合しているため、第2実施形態の内視鏡装置と比較して、挿入具41と内視鏡10とをさらに確実に固定することが可能となっている。
【0048】
図6は、本発明の第4実施形態を示す。
【0049】
本実施形態の内視鏡装置では、挿入具41の中空体42の内径は、内視鏡10の挿入部12、オレドメ部20、操作部22の先端部の外径よりも大きくなっている。そして、内視鏡10の操作部22の先端部にピン73が径方向外向きに突設されている。一方、挿入具41の中空体42の基端部には、ピン73が摺動される貫通溝形状の係合溝部74が形成されている。この係合溝部74では、ピン73をガイドするガイド部76が中空体42の基端から長手軸方向に延びており、続いて、ピン73が係止される係止部78が周方向に延びている。
【0050】
本実施形態の内視鏡装置の使用方法は、第1実施形態の内視鏡装置の使用方法と同様である。但し、挿入具41と内視鏡10とを互いに固定する際には、中空体42の基端開口に挿入部12、オレドメ部20を挿入した後、挿入具41に対して内視鏡10を回転させて、係合溝部74の入口に内視鏡10の操作部22の先端部のピン73を位置合わせする。そして、挿入具41に対して内視鏡10を前進させ、ピン73を係合溝部74のガイド部76に沿って摺動させ、続いて、挿入具41に対して内視鏡10を回転させて、ピン73を係合溝部74の係止部78へと導入して係止する。この結果、挿入具41に対して内視鏡10が進退不能に固定される。挿入具41と内視鏡10との固定を解除する際には、挿入具41に対して内視鏡10を回転させて、ピン73を係合溝部74の係止部78からガイド部76に導入し、続いて、挿入具41に対して内視鏡10を後退させ、ピン73を係合溝部74のガイド部76に沿って摺動させて係合溝部74から抜去する。
【0051】
本実施形態の内視鏡装置では、係合溝部74の係止部78にピン73を係止することにより、挿入具41に対して内視鏡10を進退不能に確実に固定することが可能となっている。また、挿入具41に対して内視鏡10を進退及び回転させて、係合溝部74のガイド部76によってピン73を係止部78へと及び係止部78からガイドすることにより、挿入具41と内視鏡10とを固定及び固定解除しており、嵌合によって固定する場合と比較して、比較的小さな操作力量で容易に固定及び固定解除を行うことが可能となっている。
【0052】
図7は、本発明の第5実施形態を示す。
【0053】
図4に示される第4実施形態のように、挿入具41と内視鏡10とを嵌合によって固定する場合には、長時間にわたって嵌合状態を維持していると、挿入具41の嵌合面と内視鏡10の嵌合面とが互いに固着してしまう場合がある。例えば、両嵌合面をなす材料がシリコン等の固着しやすい材料の場合、両嵌合面間に介在された体液等が乾燥、固化してしまった場合に、固着が生じる可能性がある。
【0054】
図7を参照し、本実施形態では、このような固着を防止する固着防止機構が挿入具側嵌合部に形成されている。即ち、挿入具41の基端部には外径の大きな太径部79が形成されており、この太径部79の内周面側に第4実施形態と同様なテーパ部68が形成されている。このテーパ部68において、固着防止溝部80が長手軸方向に延設されている。
【0055】
本実施形態の内視鏡装置では、固着防止溝部80により、内視鏡10のオレドメ部20の外周面62と挿入具41のテーパ部68との固着が防止されるため、挿入具41と内視鏡10との固定を解除できなくなることが防止されている。
【0056】
図8は、本発明の第6実施形態を示す。
【0057】
本実施形態では、挿入具41の嵌合面と内視鏡10の嵌合面との固着を解除する固着解除機構が挿入具側嵌合部に形成されている。即ち、第5実施形態と同様な挿入具41の基端部の太径部79の周壁に、ミシン目82が形成されている。このミシン目82は、太径部79の基端から長手軸方向に延び、続いて周方向に延びている。そして、太径部79の基端の、ミシン目82によって囲まれる領域に、把持部84が形成されている。挿入具41の太径部79のテーパ部68と内視鏡10のオレドメ部20の外周面62とが固着した場合には、太径部79の把持部84を把持して引き起こし、ミシン目82を切断しつつミシン目82に沿って太径部79の周壁をオレドメ部20から剥離していくことにより、両嵌合面の固着を解除することが可能である。
【0058】
即ち、本実施形態では、太径部79を破壊する破壊機構によって、固着解除機構が形成されている。なお、太径部79を中空体42本体に対して着脱自在とし、破壊された太径部79を新たな太径部79と交換可能としてもよい。
【0059】
本実施形態の内視鏡装置では、挿入部12の基端部の太径部79を破壊することで、挿入具41の太径部79のテーパ部68と内視鏡10のオレドメ部20の外周面62との固着を解除可能となっているため、テーパ部68と外周面62とが固着してしまった場合にも、挿入具41と内視鏡10との固定解除を容易に行うことが可能となっている。
【0060】
図9は、本発明の第7実施形態を示す。
【0061】
本実施形態では、内視鏡10のオレドメ部20に、挿入具41のテーパ部68と接触しない平面部86が形成されている。このため、テーパ部68にオレドメ部20の外周面62を嵌合させた場合には、テーパ部68とオレドメ部20の平面部86との間に、太径部79の周壁を径方向内側へと変形可能な変形用スペース88が形成されることになる。テーパ部68とオレドメ部20の外周面62とが固着した場合には、太径部79の周壁を変形用スペース88へと径方向内側に変形させることにより、太径部79の周壁全体を楕円状に変形させて、テーパ部68とオレドメ部20の外周面62とを互いに分離して、固着を解除することが可能である。即ち、本実施形態では、太径部79を変形させる変形機構によって、固着解除機構が形成されている。
【0062】
本実施形態の内視鏡装置では、太径部79を変形させて、テーパ部68とオレドメ部20の外周面62とを互いに分離させることで固着を解除しており、第7実施形態のように太径部79を破壊する場合と比較して、容易かつ安価に固定解除を行うことが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態の内視鏡装置を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態の内視鏡及び挿入具を示す図。
【図3】本発明の第1実施形態の内視鏡及び挿入具を示す部分断面側面図。
【図4】本発明の第2実施形態の内視鏡及び挿入具を示す部分断面側面図。
【図5】本発明の第3実施形態の内視鏡及び挿入具を示す部分断面側面図。
【図6】本発明の第4実施形態の内視鏡及び挿入具を示す側面図。
【図7】本発明の第5実施形態の挿入具の基端部を示す斜視図。
【図8】本発明の第6実施形態の挿入具の基端部を示す斜視図。
【図9】本発明の第7実施形態の挿入具の基端部を示す斜視図。
【符号の説明】
【0064】
10…内視鏡、12…挿入部、20…オレドメ部、41…挿入具、42…中空体、62;72;73…内視鏡側係合部、62;72…内視鏡側嵌合部、62…外周面、72…嵌合凹部、73…ピン、64;68;70;74…挿入具側係合部、64;68;70…挿入具側嵌合部、64…エッジ部、68…テーパ部、70…嵌合凸部、74…係合溝部、76…ガイド部、78…係止部、80…固着防止機構・固着防止凹部、82,84;86,88…固着解除機構、82,84…破壊機構、86,88…変形機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入される挿入部、及び、基端部に設けられている内視鏡側係合部、を有する内視鏡と、
前記挿入部が進退可能に挿通される中空体、及び、前記中空体の基端部に設けられ、前記内視鏡側係合部と係合可能である挿入具側係合部、を有する挿入具と、
を具備することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記内視鏡側係合部と前記挿入具側係合部とは、夫々、互いに嵌合する内視鏡側嵌合部と挿入具側嵌合部とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記内視鏡は、前記挿入部より基端側に設けられ外周面がテーパ形状をなすオレドメ部を有し、
前記内視鏡側嵌合部は、前記オレドメ部の外周面によって形成されており、
前記挿入部側嵌合部は、前記オレドメ部の外周面と嵌合するテーパ部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との一方の嵌合部は嵌合凸部を有し、
前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との他方の嵌合部は前記嵌合凸部と嵌合する嵌合凹部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記内視鏡側係合部と前記挿入具側係合部との一方の係合部はピンを有し、
前記内視鏡側係合部と前記挿入具側係合部との他方の係合部は、前記ピンが摺動される係合溝部を有し、
前記係合溝部は、前記挿入具に対して前記内視鏡が進退不能となるように前記ピンが係止される係止部と、前記係止部へと接続され前記ピンをガイドするガイド部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との少なくとも一方の嵌合部は、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との固着を防止する固着防止機構を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記固着防止機構は、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との少なくとも一方の嵌合部の嵌合面に形成されている固着防止凹部を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との少なくとも一方の嵌合部は、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との固着を解除する固着解除機構を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記固着解除機構は、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との少なくとも一方の嵌合部を破壊する破壊機構により形成されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
前記固着解除機構は、前記内視鏡側嵌合部と前記挿入具側嵌合部との少なくとも一方の嵌合部を変形させて前記内視鏡側嵌合部の嵌合面と前記挿入具側嵌合部の嵌合面とを互いに分離させる変形機構により形成されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の内視鏡装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の内視鏡装置の内視鏡。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の内視鏡装置の挿入具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−142334(P2008−142334A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333533(P2006−333533)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】