説明

内視鏡装置

【課題】画像信号を含む光の伝送経路が、光源から電子内視鏡に供給する光の伝送経路と共用できる内視鏡装置の提供。
【解決手段】内視鏡装置1は、被写体の画像信号を取得する撮像素子と画像信号を光信号に変換し第1光信号として出力する画像信号発光部とを有する電子内視鏡10を備える。第1光信号を受光する画像信号受光部と第1光信号に含まれる画像信号に画像処理を施す画像処理部と被写体を照明するための照明光を供給する光源とを有するプロセッサ50を備える。電子内視鏡10とプロセッサ50の少なくとも一方は第1光信号と照明光とが通る共用光伝送路を有する。第1光信号の波長帯域は可視光の波長帯域外に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置に関し、特に電子内視鏡からプロセッサへの画像信号の伝送を、光を介して行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子内視鏡とプロセッサとの間の信号伝送について光を介して行う装置が提案されている。
【0003】
特許文献1は、電子内視鏡からプロセッサに送る画像信号、プロセッサから電子内視鏡に送る制御信号について、光を介して伝送する内視鏡装置を開示する。
【特許文献1】特開平10−295635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、干渉を避けるため、画像信号を含む光信号の伝送経路と、プロセッサの光源から電子内視鏡に供給する光(照明光)の伝送経路とは異なる。特許文献1では、照明光を伝送する光ファイバケーブルの周りに、画像信号を含む光信号を伝送する光ファイバケーブルが同心円状に配置されるため、光ファイバケーブルを太くする必要がある。
【0005】
したがって本発明の目的は、画像信号を含む光の伝送経路の一部が、干渉することなく光源から電子内視鏡に供給する光の伝送経路と共用できる内視鏡装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る内視鏡装置は、被写体の画像信号を取得する撮像素子と画像信号を光信号に変換し第1光信号として出力する画像信号発光部とを有する電子内視鏡と、第1光信号を受光する画像信号受光部と第1光信号に含まれる画像信号に画像処理を施す画像処理部と被写体を照明するための照明光を供給する光源とを有するプロセッサとを備え、電子内視鏡とプロセッサの少なくとも一方は第1光信号と照明光とが通る共用光伝送路を有し、第1光信号の波長帯域は可視光の波長帯域外に設定される。
【0007】
好ましくは、共用光伝送路は、電子内視鏡とプロセッサとの接続部分を含む。
【0008】
さらに好ましくは、プロセッサから電子内視鏡への電力供給は磁気結合を介して行われる。
【0009】
さらに好ましくは、電子内視鏡は、プロセッサから供給された電力を充電するバッテリを有する。
【0010】
また、好ましくは、プロセッサは、光源から出射される光のうち、可視光を透過して照明光を形成する照明光透過フィルタを有する。
【0011】
また、好ましくは、第1光信号は、電子内視鏡からプロセッサを制御するスコープ側制御信号を含む。
【0012】
また、好ましくは、電子内視鏡は、共用光伝送路の光路端に配置されて、第1光信号を共用光伝送路内へ導くビームスプリッタを有する。
【0013】
また、好ましくは、プロセッサはプロセッサから電子内視鏡を制御するプロセッサ側制御信号を光信号に変換した状態で第2光信号として電子内視鏡に出力するプロセッサ側制御信号発光部を有し、電子内視鏡は第2光信号を受光するプロセッサ側制御信号受光部を有し、共用光伝送路には第2光信号が通り、第2光信号の波長帯域は可視光の波長帯域外であって第1光信号の波長帯域外に設定される。
【0014】
また、好ましくは、プロセッサは、共用光伝送路の光路端に配置されて、第2光信号を共用光伝送路内へ導くビームスプリッタを有する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、画像信号を含む光の伝送経路の一部が、干渉することなく光源から電子内視鏡に供給する光の伝送経路と共用できる内視鏡装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明にかかる実施形態について、図1〜5を用いて説明する。本実施形態における内視鏡装置1は、電子内視鏡10、プロセッサ50、及びモニターなどの画像表示装置90を備える電子内視鏡装置である。
【0017】
電子内視鏡10は、光ファイバケーブル11、配光レンズ12、対物レンズ13、撮像素子14、撮像素子アンプ15、第1タイミングコントローラ16、第1映像信号処理部17、第1LDドライバ18、第1レーザーダイオード(LD)19、第1集光光学系21、ロッドレンズ24、第1フォトダイオード(PD、受光素子)30、第1PDアンプ31、第1シリアルパラレル変換部32、第1システムコントロール部33、撮像素子ドライバ34、スコープ側トランス41、バッテリ42、電源オンオフ表示部43、操作部44、第1ビームスプリッタBS1、及び第3ビームスプリッタBS3を有し、プロセッサ50などの光源装置側の光源73からの光を、配光レンズ12を介して、被写体である体内を照射し、対物レンズ13を介して撮像素子14で撮像する。
【0018】
第1映像信号処理部17は、サンプルホールド回路(S/H)17a、第1画像処理部17b、第1メモリ17c、第1MPX(マルチプレクサ)17d、及び第1パラレルシリアル変換部17eを有する。
【0019】
プロセッサ50は、集光レンズ51、第2集光光学系53、第2フォトダイオード56、第2PDアンプ57、第2映像信号処理部58、画像処理部59、後段映像信号処理部60、第2システムコントロール部71、第2タイミングコントローラ72、光源73、絞り制御ドライバ76a、モータ76b、絞り76c、照明光透過フィルタ77、第2パラレルシリアル変換部80、第2LDドライバ81、第2レーザーダイオード82、電源85、プロセッサ側トランス86、フロントパネル操作部87、第2ビームスプリッタBS2、及び第4ビームスプリッタBS4を有し、電子内視鏡10に照明光、制御信号(プロセッサ側制御信号)、及び電力を供給し、電子内視鏡10で撮像された被写体の画像信号について画像処理を行い、画像表示装置90で観察可能なビデオ信号に変換する。
【0020】
第2映像信号処理部58は、第2シリアルパラレル変換部58a、及び第2MPX58bを有する。
【0021】
まず、電子内視鏡10の各部について説明する。光ファイバケーブル11は、光源73からの光を電子内視鏡10の先端部分に伝達する。光ファイバケーブル11によって伝達された光源73からの光は、配光レンズ12を介して、照明光として、被写体に照射される。
【0022】
撮像素子14は、対物レンズ13を介して入射した被写体における反射光(被写体像)を、光学像として撮像する。撮像素子アンプ15は、被写体の画像信号(撮像により得られた光学像に関する画像信号)を増幅する。
【0023】
第1タイミングコントローラ16は、第1システムコントロール部33の制御に基づいて、電子内視鏡10の各部にタイミングパルスを供給し、各部の動作タイミングを制御する。特に、第1タイミングコントローラ16は、撮像素子14を駆動する撮像素子ドライバ34や、第1映像信号処理部17の各部にタイミングパルスを供給する。
【0024】
第1映像信号処理部17は、画像信号について、ノイズ除去やサンプルホールドなどの前段の画像処理を行う。具体的には、撮像素子アンプ15で増幅された画像信号は、サンプルホールド回路17aで信号が一時的にホールドされ、第1画像処理部17bに出力される。第1メモリ17cは、画像データを一時的に格納する用途、例えば第1画像処理部17bにおける、時系列に並べられた画像データを平均化してノイズを低減する機能に使用される。第1MPX17dは、第1システムコントロール部33からのスコープ側制御信号と撮像素子14からの画像信号とを時間軸上で切り替えて、電子内視鏡10からの出力信号を1chに合成する。第1パラレルシリアル変換部17eは、第1MPX17dからの出力信号(スコープ側制御信号+画像信号の合成信号)をパラレルデータ(例えば10bit)からシリアルデータに変換して、第1LDドライバ18に出力する(図4参照)。サンプルホールド回路17a、第1画像処理部17b、第1MPX17d、及び第1パラレルシリアル変換部17eの動作は、第1タイミングコントローラ16から出力されるクロックパルスに基づいて行われる。
【0025】
図4の上部は、スコープ側制御信号と画像信号との合成信号を示すタイミングチャートであり、画像信号D1〜Dnは、1水平期間T(1ラインまたは1フレーム)の中で2つ同期信号S1、S2の間に挟まれた映像期間に配置され、スコープ側制御信号C1〜C3は、隣接する1水平期間の間に配置される。例えば、図4の1つのデータ幅は10bitである。
【0026】
第1LDドライバ18は、前段の画像処理が施された画像信号に基づいて、第1レーザーダイオード19を駆動する。第1レーザーダイオード19は、前段の画像処理が施された画像信号などの合成信号をデジタル光信号(第1光信号)として出力(発光)する。第1レーザーダイオード19が出力する第1光信号は、可視光と異なる波長帯域の波長の(可視光よりも短い)第1波長λ1に設定される。第1レーザーダイオード19が出力する第1光信号は、第3ビームスプリッタBS3を透過し、第1集光光学系21を透過し、第1ビームスプリッタBS1で反射され、ロッドレンズ24及び集光レンズ51を透過し、第2ビームスプリッタBS2で反射され、第2集光光学系53を透過し、第4ビームスプリッタBS4で反射されて第2フォトダイオード56に到達する。
【0027】
第1フォトダイオード30は、プロセッサ側制御信号(プロセッサ50の第2レーザーダイオード82から出力された第2光信号、例えば電荷蓄積時間(撮像時間)の変更やノイズ除去の平均化係数の変更などの情報)を受光し電気信号に変換する。第1PDアンプ31は、第1フォトダイオード30で変換された電気信号を増幅し、シリアルパラレル変換を行う第1シリアルパラレル変換部32を介して、第1システムコントロール部33に出力する。
【0028】
第1システムコントロール部33は、第1PDアンプ31からのプロセッサ側制御信号、及び操作部44における使用者の操作に対応したスコープ側制御信号に基づいて、第1タイミングコントローラ16におけるタイミングパルスの出力を制御する。また、第1システムコントロール部33は、操作部44における操作などに対応したスコープ側制御信号を、第1映像信号処理部17に出力する。
【0029】
次に、プロセッサ50の各部について説明する。第2フォトダイオード56は、撮像素子14からの画像信号と第1システムコントロール部33からのスコープ側制御信号との合成信号(電子内視鏡10の第1レーザーダイオード19から出力された第1光信号)を受光し電気信号に変換する。第2PDアンプ57は、第2フォトダイオード56で変換された電気信号を増幅し、第2映像信号処理部58に出力する。
【0030】
第2映像信号処理部58は、画像信号とスコープ側制御信号との合成信号について、同期信号などに基づいて、画像信号とスコープ側制御信号とに分離する処理を行う。具体的には、第2PDアンプ57で増幅された画像信号とスコープ側制御信号の合成信号は、第2シリアルパラレル変換部58aで、シリアルデータからパラレルデータに変換され、第2MPX58bで、画像信号とスコープ側制御信号とが分離される。スコープ側制御信号は、第2MPX58bから第2システムコントロール部71に出力され、第2システムコントロール部71は、スコープ側制御信号に基づく動作制御(例えば、静止画像の第2メモリ61への記録など)を行う。画像信号は、画像処理部59に出力され、画像処理部59で第2メモリ61に記録可能な画像信号への変換などの画像処理が行われる。また、画像信号における輝度情報が絞り制御ドライバ76aに出力され、絞り76cの絞り制御に用いられる。後段映像信号処理部60では、画像表示装置90で表示可能な映像信号への変換など後段の画像処理が行われる。
【0031】
第2システムコントロール部71は、第2映像信号処理部58からのスコープ側制御信号、及びフロントパネル操作部87における使用者の操作に対応したスコープ側制御信号に基づいて、プロセッサ50の各部を制御する。特に、第2システムコントロール部71は、フロントパネル操作部87における操作などに対応したプロセッサ側制御信号を、パラレルシリアル変換を行う第2シリアルパラレル変換部80を介して、第2LDドライバ81に出力する。
【0032】
図4の下部は、プロセッサ側制御信号を示すタイミングチャートであり、プロセッサ側制御信号C1〜Cnは、同期信号Sと、次の同期信号Sとの間に挟まれた期間に配置される。例えば、図4の1つのデータ幅は10bitである。なお、プロセッサ側制御信号の出力タイミングは、スコープ側制御信号と画像信号との合成信号の出力タイミングや、1水平期間Tの始期と同期する必要はない。
【0033】
第2タイミングコントローラ72は、プロセッサ50の各部にタイミングパルスを供給し、各部の動作タイミングを制御する。
【0034】
光源73は、キセノンランプ光源などの光源装置であり、第2システムコントロール部71の制御に基づいて、被写体を照らす照明光を発光する。光源73から出射された光は、絞り76cで光量調節が行われ、照明光透過フィルタ77で紫外線など短波長帯域(非可視光)が除去(反射)され、可視光が照明光として透過して照明光透過フィルタ77から出射され、第2ビームスプリッタBS2、集光レンズ51、ロッドレンズ24、第1ビームスプリッタBS1、光ファイバケーブル11、配光レンズ12を介して電子内視鏡10の先端部から被写体に向けて照射される。照明光透過フィルタ77は、可視光よりも短い波長の光を反射させる第1ビームスプリッタBS1によって、光源73からの光の一部が第1レーザーダイオード19や第1フォトダイオード30に到達するのを防ぐ目的である。
【0035】
絞り76cは、絞り制御ドライバ76aに制御されたモータ76bによって回転せしめられて、光源73から照明光透過フィルタ77へ到達する光量を調整する。絞り制御ドライバ76aは、第2映像信号処理部58からの画像信号における輝度情報に基づいて絞り76cの開度の制御を行う。但し、使用者によるフロントパネル操作部87の操作などによって手動で設定された輝度値に対応して絞り76cの開度を調整してもよい。
【0036】
第2LDドライバ81は、第2システムコントロール部71からのプロセッサ側制御信号に基づいて、第2レーザーダイオード82を駆動する。第2レーザーダイオード82は、プロセッサ側制御信号を第2光信号として出力(発光)する。第2レーザーダイオード82が出力する第2光信号は、可視光と異なる波長帯域の波長であって(可視光よりも短く)、第1波長λ1と異なる第2波長λ2に設定される。第2レーザーダイオード82が出力する第2光信号は、第4ビームスプリッタBS4を透過し、第2集光光学系53を透過し、第2ビームスプリッタBS2で反射され、集光レンズ51及びロッドレンズ24を透過し、第1ビームスプリッタBS1で反射され、第1集光光学系21を透過し、第3ビームスプリッタBS3で反射されて第1フォトダイオード30に到達する。
【0037】
従って、第1レーザーダイオード19から出力された第1光信号、第2レーザーダイオード82から出力された第2光信号、及び光源73から出力された可視光(照明光)の経路であって、電子内視鏡10とプロセッサ50との接続部分は、同じ光信号伝達部材(共用光伝送路:第1、第2ビームスプリッタBS1、BS2、ロッドレンズ24、及び集光レンズ51)が使用される。
【0038】
第1、第2波長λ1、λ2を可視光の波長帯域と異ならしめたのは、光源73からの光(照明光)と、第1レーザーダイオード19からの光(第1光信号:画像信号とスコープ側制御信号の合成信号)と、第2レーザーダイオード82からの光(第2光信号:プロセッサ側制御信号)とをロッドレンズ24などの光信号伝達部材内において干渉させない趣旨である。
【0039】
第1、第2ビームスプリッタBS1、BS2は、第1光信号、第2光信号、及び光源73からの可視光が通る共用光伝送路の端部を形成し、可視光など比較的波長の長い光を透過し、第1レーザーダイオード19、第2レーザーダイオード82から出射されるレーザー光など短い波長(第1、第2波長λ1、λ2)に設定された光を反射する(図5参照)。従って、光源73からの光で第1、第2ビームスプリッタBS1、BS2に入射された光の殆どは、透過して照明光として光ファイバケーブル11に向けて出射される。また、第1レーザーダイオード19や第2レーザーダイオード82からの光で、第1、第2ビームスプリッタBS1、BS2に入射された光の殆どは反射する。
【0040】
そのため、第1レーザーダイオード19からの第1光信号であって、第1ビームスプリッタBS1に入射された光の殆どは反射して、共用光伝送路(ロッドレンズ24、集光レンズ51、及び第2ビームスプリッタBS2)内に導かれ、第2レーザーダイオード82からの第2信号であって、第2ビームスプリッタBS2に入射された光の殆どは反射して、共用光伝送路(集光レンズ51、ロッドレンズ24、及び第1ビームスプリッタBS1)内に導かれる。
【0041】
第3ビームスプリッタBS3は、第1レーザーダイオード19から出射された波長の短い光(第1波長λ1)を透過し、第2レーザーダイオード82から出射され、第1波長λ1よりも長い光(第2波長λ2)を反射する。従って、第1レーザーダイオード19からの光(第1光信号)で、第3ビームスプリッタBS3に入射された光の殆どは透過する。また、第2レーザーダイオード82からの光(第2光信号)で、第3ビームスプリッタBS3に入射された光の殆どは反射する。
【0042】
第4ビームスプリッタBS4は、第1レーザーダイオード19から出射された波長の短い光(第1波長λ1)を反射し、第2レーザーダイオード82から出射された光(第2波長λ2)を透過する。従って、第1レーザーダイオード19からの光(第1光信号)で、第4ビームスプリッタBS4に入射された光の殆どは反射する。また、第2レーザーダイオード82からの光(第2光信号)で、第4ビームスプリッタBS4に入射された光の殆どは透過する。
【0043】
電源85は、プロセッサ50の各部に電力を供給する。また、電源85は、対向する位置関係に配置されたプロセッサ側トランス86、スコープ側トランス41を介して、磁気結合を使って電子内視鏡10のバッテリ42に電力を供給する。バッテリ42は、供給された電力を充電し、且つ電子内視鏡10の各部に電力を供給する。バッテリ42の充電状態は、電源オンオフ表示部43に表示される。電子内視鏡10の各部への電力供給は、バッテリ42を介さずに行うことも出来るが、安定した電力供給を行うため、バッテリ42に充電する形態が望ましい。
【0044】
電源85から電子内視鏡10に電力が供給されると、第1システムコントロール部33は、スコープ側制御信号として、電力供給が開始されたことを確認する信号を、第1映像信号処理部17に出力する。かかるスコープ側制御信号を、第1レーザーダイオード19を介した第1光信号として受光することにより、プロセッサ50は、電子内視鏡10が取り付けられたことを確認し、その後各部の動作が開始される。
【0045】
本実施形態では、プロセッサ50からの制御信号(プロセッサ側制御信号)、及び照明光は光を使って電子内視鏡10に伝達され、電力はトランス(スコープ側トランス41、プロセッサ側トランス86)を介して伝達される。また、電子内視鏡10からの制御信号(スコープ側制御信号)、及び画像信号は光を使ってプロセッサ50に伝達される。そのため、電子内視鏡10とプロセッサ50との間に電気的な接続端子(電気信号用コネクタ)が不要になる。
【0046】
電気的な接続端子が不要になると、新たな機能を盛り込んだ場合であっても旧製品との互換性を保ちやすいメリットを有する。また、洗浄時に電気信号コネクタに防水キャップをかぶせるなどの防水処置が不要になり、作業が簡素化できる。また、対絶縁性が向上するメリットを有する。
【0047】
また、電子内視鏡10とプロセッサ50との接続部分は、1つのロッドレンズ24を介して、スコープ側制御信号と画像信号との合成信号を含む第1光信号、プロセッサ側制御信号を含む第2光信号、及び光源73からの照明光が通るため、これらが異なる経路を介する形態に比べて、構成を簡素化することが可能になる。
【0048】
また、スコープ側制御信号と画像信号との合成信号を含む第1光信号、及びプロセッサ側制御信号を含む第2光信号は、互いに干渉せず、且つ光源73からの可視光とも干渉しない波長に設定される。そのため、電子内視鏡10とプロセッサ50との間の情報(スコープ側制御信号、プロセッサ側制御信号、及び画像信号)の伝達経路の一部(共用光伝送路:第1、第2ビームスプリッタBS1、BS2、集光レンズ51、及びロッドレンズ24)を、共用光伝送路の径を太くすることなく、光源73からの光を伝達する経路と、共用することが出来る。但し、共用光伝送路は、電子内視鏡10とプロセッサ50との接続部分に限られず、電子内視鏡10またはプロセッサ50の他の部分であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態における内視鏡装置の構成図である。
【図2】電子内視鏡の第1映像信号処理部、及び周辺の構成図である。
【図3】プロセッサの第2映像信号処理部、及び周辺の構成図である。
【図4】スコープ側制御信号と画像信号との合成信号、及びプロセッサ側制御信号のデータ構造を示す図である。
【図5】第1、第2レーザーダイオードから出力される光の波長帯域を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 内視鏡装置
10 電子内視鏡
11 光ファイバケーブル
12 配光レンズ
13 対物レンズ
14 撮像素子
15 撮像素子アンプ
16 第1タイミングコントローラ
17 第1映像信号処理部
17a サンプルホールド回路
17b 第1画像処理部17b
17c 第1メモリ
17d 第1MPX
17e 第1パラレルシリアル変換部
18 第1LDドライバ
19 第1レーザーダイオード
21 第1集光光学系
24 ロッドレンズ
30 第1フォトダイオード
31 第1PDアンプ
32 第1シリアルパラレル変換部
33 第1システムコントロール部
34 撮像素子ドライバ
41 スコープ側トランス
42 バッテリ
43 電源オンオフ表示部
44 操作部
50 プロセッサ
51 集光レンズ
53 第2集光光学系
56 第2フォトダイオード
57 第2PDアンプ
58 第2映像信号処理部
58a 第2シリアルパラレル変換部
58b 第2MPX
59 画像処理部
60 後段映像信号処理部
71 第2システムコントロール部
72 第2タイミングコントローラ
73 光源
76a 絞り制御ドライバ
76b モータ
76c 絞り
77 照明光透過フィルタ
80 第2パラレルシリアル変換部
81 第2LDドライバ
82 第2レーザーダイオード
85 電源
86 プロセッサ側トランス
87 フロントパネル操作部
90 画像表示装置
BS1〜BS4 第1〜第4ビームスプリッタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の画像信号を取得する撮像素子と、前記画像信号を光信号に変換し第1光信号として出力する画像信号発光部とを有する電子内視鏡と、
前記第1光信号を受光する画像信号受光部と、前記第1光信号に含まれる前記画像信号に画像処理を施す画像処理部と、前記被写体を照明するための照明光を供給する光源とを有するプロセッサとを備え、
前記電子内視鏡と前記プロセッサの少なくとも一方は、前記第1光信号と、前記照明光とが通る共用光伝送路を有し、
前記第1光信号の波長帯域は、可視光の波長帯域外に設定されることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記共用光伝送路は、前記電子内視鏡と前記プロセッサとの接続部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記プロセッサから前記電子内視鏡への電力供給は磁気結合を介して行われることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記電子内視鏡は、前記プロセッサから供給された電力を充電するバッテリを有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記光源から出射される光のうち、可視光を透過して前記照明光を形成する照明光透過フィルタを有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記第1光信号は、前記電子内視鏡から前記プロセッサを制御するスコープ側制御信号を含むことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記電子内視鏡は、前記共用光伝送路の光路端に配置されて、前記第1光信号を前記共用光伝送路内へ導くビームスプリッタを有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記プロセッサから前記電子内視鏡を制御するプロセッサ側制御信号を光信号に変換した状態で第2光信号として前記電子内視鏡に出力するプロセッサ側制御信号発光部を有し、
前記電子内視鏡は、前記第2光信号を受光するプロセッサ側制御信号受光部を有し、
前記共用光伝送路には、前記第2光信号が通り、
前記第2光信号の波長帯域は、可視光の波長帯域外であって前記第1光信号の波長帯域外に設定されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記共用光伝送路の光路端に配置されて、前記第2光信号を前記共用光伝送路内へ導くビームスプリッタを有することを特徴とする請求項8に記載の内視鏡装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−95551(P2009−95551A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271427(P2007−271427)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】